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バトル・オブ・オリンピア⑦〜晴雲秋月、その舞は澱まない

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #その他スポーツ #ウレタンポカポカ大海戦 #なぎなた #晴雲秋月 #光彩陸離


「ウソだろ那月!!」
『マジです。先輩には悪いけど諦めてもろて』
「そんなあ!! もう晴雲秋月でエントリーしちゃったんだって!! 頼みの綱はもう那月しかいないんだって!!」
『それ他の奴らにも連絡した上で断られたってことじゃないっスか』
「テヘペロ」
『テヘペロではない。つか、そりゃ無理もないっスよ。こんな年明け早々呼び出しなんて。皆実家に帰ってますって』
「我ら三強揃って道民じゃん!! その私が会場にとって返すと言っているのだぞ!!」
『フットワーク軽すぎんだろ。少なくとも三ヶ日は予定埋まってるんで無理っス』
「そんな殺生な!!」
『大体、正式になぎなた競技があるわけじゃないんでしょ? そのバトルオリンピアとやら……』
「ぐっ……それはそうだけどさあ。あとバトル・オブ・オリンピアな!! 二度と間違えるな!!」
『先輩が面倒くせえ過激派と化しちまった』
「話は聞かせて貰ったよ!!!!!!」
「うわうるさっ」
『すんげえ聞き覚えのある声が爆音でこっちまで響いてきたわ。アイドルぢからの無駄遣いよ』
「あ……あなたはまさかトウヤさん!? 去年のなぎなた大会で我々と鎬を削った光彩陸離の!!」
「説明ありがとう。強敵ともだちが困ってるって聞いて、アイドルのボクが駆けつけてあげたよ。カワイくて各方面に引っ張りだこで忙しいボクだけど……特別だよ?」
「マジで助かります天才的なアイドル様!!」
『著作が危ない』
「あーでもキミが登場の時にぶち破ってくれたそこの最後のガラスは」
『だから著作』
「マネージャーに何とかさせるから無問題だよ」
『無茶振りが過ぎて草なんだ』


「楽しそうで大変よろしいですね」
 だからって前振りが長いのは如何なものかと思うの。
 集まった猟兵達の『現時点でもう飽きたよ』と言わんばかりのじっとりとした視線を流れる川のように受け流す虹目・カイ(○月・f36455)。
「アスリートアースには数多のその他スポーツが存在しています。今回ご案内する『なぎなた』もそのひとつ。ですが今回の戦争、或いは大会バトル・オブ・オリンピアにおいて、本来こういったその他スポーツ……言ってしまえばマイナー競技は、盛り上がりを見せた中でも一握りの、ごく一部の競技を除いて、正式競技には登録されておりません」
 では何故、今。このマイナー競技についてカイは語ろうとしているのか。
「以前、縁のあったなぎなたチーム『晴雲秋月』のリーダーである烽火・光華様が、ライバルチーム『光彩陸離』のダークリーガーにしてリーダー、トウヤ様の協力により、バトル・オブ・オリンピアに出場する運びとなりました」
 それは何か別の競技で?
「いいえ? アイドルとしてです」
 ごめんちょっと何言ってるか解らない。
「その他スポーツ『ウレタンポカポカ大海戦』では、競技の合間にアイドル達が歌って踊って盛り上げる、インターバルが存在するのはご存知ですね?」
 らしいですね。
「烽火様はトウヤ様のコネで、アイドル枠として出場権を勝ち取りました。ただ、そこはなぎなたをこよなく愛する烽火様のことですから。歌って踊って……の『踊って』の部分を、アスリートアース式なぎなた演舞で行おうと画策しているわけです」
 ただ、圧倒的にメンバーが足りない。
 なぎなたの演舞は基本、二人一組で行うものだ。光華自身の相手は最悪トウヤに任せるとしても、一組だけでは華々しさに欠ける。
「というわけで、皆様にも本日限りの即席アイドルグループ『晴雲秋月』のメンバーとして、なぎなたアイドルやってきていただきたいと。そういうお話でございます。勿論ドレスコードは水着にて」
 一部の踵を返して帰ろうとした猟兵の肩をガシリと掴みつつ、カイは続ける。
「私の故郷であるシルバーレインを始め、アース系世界のなぎなた演舞競技には基本、形というものがありますが。そこはアスリートアース式、なぎなたを使って美しく舞えばいい――烽火様曰く、あんまりなりふり構わず薙刀ぶんぶんやるとかしなければ問題ないとのこと。ユーベルコードでエフェクト入れてキラキラさせたりお花散らしたりしてもいいそうですよ」
 相変わらず他の世界のなぎなた競技に喧嘩売ってるレベルのゆるさである。
「但しユーベルコードの使用は『テニスの世界』などと同様、薙刀に宿して使う形でしか認められないというルールがアスアスなぎなたにはございまして。烽火様も今回、その形式に則って演舞を披露していただきたいと」
 アイドル枠とは言え、なぎなた選手でもあるゆえの譲れない点なのだろう。
「通常のアイドル枠参加とは幾分か勝手が違いますから、難しい点もあるかとは存じますが。どうぞよろしくお願いいたします」


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 スロースタートでゆるゆると参ります。

 戦争シナリオのため、今回は1章構成です。

 第1章:日常『お正月アイドルコンテスト』

 水着を着て歌うことでプレイングボーナスが得られます、が。
 このシナリオに限り、なぎなたを使って演舞、つまりダンスもしていただきます。
 どのような歌でどのような演舞を見せるか、皆様の創意工夫をお待ちしております。
 (歌についてはあくまで『アイドルらしく可愛く』『クールにロックで』『ミュージカル仕立てで』など、
 雰囲気のみの指定でお願いいたします。歌詞があるとオリジナルだとしても不採用になります)

 アスアス式なぎなたのルールについては『#なぎなた』タグのついた過去作シナリオより確認出来ます。
 確認必須ではございませんが、確認いただければよりゆるいルールであることがお解りいただけるかと思います。

 ※ペアについて※
 ・指定がなければ光華がペアになります。
 公共良俗に反すること以外であれば大抵の指示は聞きます。
 ・他の誰かとペア参加の場合はプレイング冒頭にお相手様のお名前+IDか、チーム名の記載をお願いします。
 ・拙宅グリモア猟兵の指名も可能です。こちらも公共良俗に反すること以外であれば大抵の指示は聞きます。
 (但しなぎなた経験者はカイと金時のみです)
 ・トウヤは光華のペアが誰もいなかった場合のみ彼女のペアとなります(触れられない限り描写はありません)
 ペアとして指名は出来ません(自身の所属するアイドルグループで参加している為)

 断章なし、公開された時点で受付開始です。
 それでは、よろしくお願いいたします!
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第1章 日常 『お正月アイドルコンテスト』

POW   :    パワフルに歌う

SPD   :    スタイリッシュに歌う

WIZ   :    キュートに歌う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
御乃森・雪音
薙刀…は見た事はあるけれど、手にした事は無いわねぇ
歌を披露するだけなら良かったんだけど
まあ、見た目それっぽくっていうだけならどうにか出来るでしょ
水着は動いた時の綺麗さから、2019の黒のやつで

動きの優雅さを狙うなら日舞の経験が生きるかもしれないわねぇ
歌もダンスも、可愛らしさよりは綺麗さ意識
折角だから和風の雰囲気を出せたら良いんだけど、そういう曲あるかしら
薙刀の戦い方を思い出しながら、ダンスに合わせてそれっぽい型を間に
振り上げたりした時にユーベルコードを薙刀に乗せて、虹色の薔薇を周りに散らせば綺麗なんじゃないかしら

ねぇ、歌うって楽しいわよねぇ光華
もっともっと皆に聞いてもらいましょう




(「薙刀……は見た事はあるけれど、手にした事は無いわねぇ。歌を披露するだけなら良かったんだけど」)
 はい、と笑顔で光華の手渡してくるそれ。そう、競技用薙刀。
 御乃森・雪音(La diva della rosa blu・f17695)は歌手であるからして歌は差し支えないのだが、何せなぎなた競技は初めての経験である。
「まあ、見た目それっぽくっていうだけならどうにか出来るでしょ」
「うむ! 決まった形はあるけど判定緩いし、何より今回は審判もいないからねー」
 厳密に採点する者もいないわけだ、と光華が悪戯っぽく笑った。
「動きの優雅さを狙うなら日舞の経験が生きるかもしれないわねぇ。そうなると歌もダンスも、可愛らしさよりは綺麗さを意識して……」
「おねーさん日舞出来るん!? すげー!!」
 仔犬のように目をキラキラさせる光華にありがと、と微笑んで。雪音は続ける。
「折角だから和風の雰囲気を出せたら良いんだけど、そういう曲あるかしら」
「ほいよー! これでいい? 動きはある程度合わせられるから、おねーさんのやりやすいように動いていいからね!」
 薙刀よし、水着よし。いざ本番。
 雪音は踊り子の衣装にも見える黒の水着でスタンバイ。舞えば細く編み込んだ髪が、そして羽衣を思わせる黒が波のように優雅に揺れ動く。青薔薇も涼しげに揺れ、雪音の髪を彩っていた。
 因みに光華は黒めの小麦肌だからだろうか、白の水着姿だ。図らずも雪音の黒とのコントラストで、お互いを引き立てることだろう。
 雪音と光華、向き合って構える。音楽が流れ始める。歌と演舞ダンスが、始まる。
 緩やかに、雅やかに。しかし徐々に旋律は、雪音の歌声と共に確かな存在感を持って。
(「薙刀の戦い方を思い出して、ダンスに合わせて……」)
 技を、形を組み込み、ひらりゆらり、優雅に舞い踊る。黒い波が、白い光を伴って揺れる。
 くるりと回転し、雪音と光華の薙刀が重なり合う。弾かれるようにして、また回転。その最中。
(「さあ、虹を咲かせましょう」)
 その軌跡に、七色の帯をはためかせるように。
 虹色の薔薇の花弁が、ぱっと綻び舞い散った。
 光華も線香花火のように、色鮮やかな火花を煌めかせて。
 花と光の共演は、華やかであり煌びやかでもあり。観客からわっと、歓声が上がる。
 ああ、この感覚には覚えがある。
 響き渡る歌の清々しさ。高揚に包まれる一体感。
 雪音はぱちぱちと光を散らしながら、朗々と歌う光華へと微笑みかけた。
「ねぇ、歌うって楽しいわよねぇ光華」
「ん! 今めっちゃ楽しい!!」
 笑顔で答える光華に、雪音も笑みを深めて。
「それじゃあ、もっともっと皆に聞いてもらいましょう」
「おけー!」
 美しく、何より楽しく。
 二人は歓声の中で舞い踊り、歌い続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・奏
義兄の瞬(f06558)と参加

何かとても風流なチーム名ですね。薙刀は武家の女性も身につけた由緒正しい武芸だとか。もちろん私も興味あります!!水着は紫のリボンビキニに同色のパレオを巻いてコンテストに!!

ペアで出場するといいみたいですので兄さんをパートナーに!!兄さんはいつも持つのは杖で専門はフルートですけど、私とよく依頼で舞台に立っているのでダンスもできますよね!!せっかく最愛の人とペアなのでメルヘン溢れるミュージカル仕立てにしますよ!!

絢爛のクレド発動!!兄さんが呼んだ氷の精霊と共にペアで飛び切りのダンス踊りますよ〜!!ああ、気持ちいい〜!!


神城・瞬
義妹の奏(f03210)と参加

何やらとても風流で雅なチーム名ですね。薙刀は武家の女性も学んだ武芸ですので演舞に昇華したらさぞや映えるでしょう。ウレタンでポカポカやって相手を沈めるより、美しさで圧倒する、興味深い。乗らせていただきましょう。

薙刀、ですか。見たことはあるので大丈夫です。ええ、ダンスもカナデのを見てるので大丈夫です。茶色のサーフパンツで奏とペアで参加しましょう。

折角最愛の人との晴れ舞台ですからね。メルヘン溢れるミュージカル仕立てにしましょう。精霊顕現で氷の精霊を呼び出して、【パフォーマンス】を100レベルにして使用!!氷の精霊と共に奏と演舞を。ええ、とても清々しい気分ですね。




「晴雲秋月、ですか。何か……」
「何やらとても風流で雅なチーム名ですね」
 神城・瞬(清光の月・f06558)の言葉に、全く同じことを考えていた真宮・奏(絢爛の星・f03210)は心の中を読まれたような心地がして、一瞬どきりとした。義兄でもあるが同時に最愛の人でもある彼と心が通じ合っているようなこの感じは、嬉しくもありつつ少し気恥ずかしくもある。
 とは言え、今は目の前の競技。と言うよりも、一応はインターバルではあるのだけれども。
「薙刀は武家の女性も身につけた由緒正しい武芸だとか」
「ええ、演舞に昇華したらさぞや映えるでしょう。ウレタンでポカポカやって相手を沈めるより、美しさで圧倒する、興味深い」
「あっ、もちろん私も興味あります!!」
 でもやはり、嬉しさの方が勝る。
 奏が笑顔を見せれば、瞬も微笑みを深めて。
 そんな息の合ったふたりには、うってつけの競技ではないか。勿論ふたり、乗らせて貰うつもりでここに来た。
 水着だって準備万端だ。奏は水着は紫のリボンビキニとパレオ、瞬は茶色のサーフパンツ姿だ。調和の取れる二色で、見る者に上品さと温かな印象を与えている。
 後は薙刀を手に取り舞台で向き合えば、準備は万端。
「薙刀、ですか」
 実際に振るうのは初めてだけれど、形にこだわらなくていいのなら、見様見真似で何とか出来そうだと。
 瞬がそう言えば、奏は心配してないと言いたげに笑顔で。
「兄さんはいつも持つのは杖で専門はフルートですけど、私とよく依頼で舞台に立っているのでダンスもできますよね!!」
「ええ、ダンスもカナデのを見てるので大丈夫です」
 ふたりの間には確かな信頼がある。だから、大丈夫だ。
 パフォーマンスもメルヘンチックにミュージカル仕立てで盛り上げていこうと、事前に決めてある。折角の晴れ舞台、それも最愛の人と立つものだから、きっと息の合った素晴らしいパフォーマンスを披露出来るだろうと。
 お互いを信じて、疑わないから。その自信と信頼が、ふたりから不安や緊張をなくしていた。
 今はただただ、楽しみだ。
「行きますよ、兄さん!!」
「ええ、いつでも」
 音楽が流れる。
「――精霊顕現」
 瞬の喚びかけに応じて、氷の精霊が現れる。
 彼ら、ないし彼女らが曲に合わせて、ふたりの周りを舞う。ダイヤモンドダストにも似た煌めきを振り撒いて、軽やかに楽しげに。
 主役のふたりも、その細かく乱反射する光の中で、手を取り合うように薙刀を重ね、ターンするように薙刀を翻した。その様子はまさに幻想世界の舞踏会。
 ああ、歌うのも、踊るのも、未知への挑戦も――何もかもが楽しくて仕方がない。愛する人と一緒なら。
 その楽しさこそが、観客にも伝わり場を盛り上げた。観客も歓声と手拍子と共に、一緒になって踊るように身体を揺らしている。
 会場全体が、ひとつの舞踏会になったような錯覚さえ覚えて、奏と瞬はパフォーマンスの成功を悟った。
「ああ、気持ちいい〜!!」
「ええ、とても清々しい気分ですね」
 飛び切りの笑顔と極上の微笑みを交わす。
 常夏のそれと変わらぬ爽やかな青い空と海。
 ダンスで火照る肌を涼やかに冷やす氷のそよ風。
 何よりも、誰よりも、愛する人と競技を通じて身も心もひとつになる、この一体感が。
 ふたりには、この上なく心地がよかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神塚・深雪
【銀闇】
※今年の水着姿
なぎなた演舞という名前のアイドルパフォーマンスってことで良いの?
長柄の武器は扱い慣れてるつもりだからどうにかなると思います!

え? だって二人一組だもん
この路線なら(夫婦でというよりも)沙羅とかなーって

折角だから、レビューショー中詰めちっくに、賑やか華やかのびやかに!
なぎなたにユーベルコード乗せるのはOKってことだから、光舞翔乱で羽を添えて!

沙羅はこちらに添えてくると信じてるから、こっちは思う存分やりたいように歌い舞うのですっ

そういえば。動画とかって残ってるのかしら
残ってたら持って帰りたいんですけど、ダメですか?

(妹に)え? なんで、晴れ姿なんだから皆に見せないとでしょ?


神塚・沙羅
【銀闇】
※銀雨時代の水着ベースに
※UC使用してますが、キャラ変貌なし
何故私も付き合う事になっているんですか、姉さん
付き合わされるからには下手な事はしませんけど……

私は姉さんに併せますから、好きにやってください
(若干呆れたような投げやり気味な顔をしている可能性が)

姉さんの好みと趣味の傾向は判ってるつもりですけど、それにしてもいきなりで併せるのは難度が高い気が……!
(言いつつもしっかり黒影剣・呑狼の闇のオーラを姉の羽に併せてくる)
歌については主旋律は姉に任せることにして、姉の歌に併せて即興でハモりや重ねていきます

お願いですから、個人の思い出に留めてくださいよ?!
人前で動画再生とかもっての外です!




「なるほど、なぎなた演舞という名前のアイドルパフォーマンスってことで良いの?」
「間違ってないとは思いますけど、何故私も付き合う事になっているんですか、姉さん」
 白と黒のコントラストが眩しい。
 巫女装束を彷彿とさせる白地に赤い結び飾りの和風水着で決めた、やる気十分の神塚・深雪(光紡ぐ麟姫りんき・f35268)とは対象的に、学生時代に着たものに寄せた、黒地にリボンをあしらったワンピースタイプの水着姿になった神塚・沙羅(優しき闇の紡ぎ手・f35281)は何処か気恥ずかしげだ。
「え? だって二人一組だもん」
 それなら旦那義兄はどうした、という視線を向ける妹に、姉はこともなげにサラッと。
「この路線なら沙羅とかなーって」
「……まあ、付き合わされるからには下手な事はしませんけど……」
 長柄の武器は扱い慣れてるつもりだからどうにかなると思います! と低めのガッツポーズを見せる深雪に、はあとひとつ溜息を吐く沙羅。
 経験上、こういう時の姉に何か言ったところでじゃあ今からでも変えようか、とはならないのだ。現に自分自身、着替えてもう後には退けないところまで来てしまっているし。妹としてそれを熟知してしまっている自分への切なさで、沙羅は遠くを見つめた。
 けれどすぐに、呆れと諦めの綯交ぜになった気持ちで沙羅は深雪に向き直る。もうどうとでもなーれ。
「私は姉さんに併せますから、好きにやってください」
「じゃあ折角だから、レビューショー中詰めちっくに、賑やか華やかのびやかに!」
「えっ」
 今度は本当に沙羅が何か言う間もなくミュージックスタートしてしまった。
 ノリノリで競技用薙刀を構える深雪に、急いで沙羅も合わせつつ。
「いえ、姉さんの好みと趣味の傾向は判ってるつもりですけど、それにしてもいきなりで併せるのは難度が高い気が……!」
 あれですよね、歌劇の中盤頃にあるアレですよね。キャスト総踊り、華やかで煌びやか、客席も手拍子で大盛り上がりの。
 そんなわけで観客からも手拍子が巻き起こっている。ハードルがダダ上がりである。
「沙羅はこちらに添えてくれるでしょう? こっちは思う存分やりたいように歌い舞うのですっ」
「ああもう……!」
 信じてるからね、という視線を深雪に向けられては、何だかんだで応えるしかなくなる沙羅である。こうして時折とんでもない無茶振りをしてくる姉ではあるが、決して嫌いなわけではないのだ。
 息の合った動きで薙刀を、ステップを合わせてはらりひらりと舞い踊り、紡ぐ言葉は歌であり、物語であり。主旋律をなぞり朗々と歌い上げる深雪を追いかけるようにして、沙羅も即興でハーモニーを生む。
「さあ、もっと煌びやかに行きますよー!」
 リフレインで曲調も盛り上がりを見せれば、それに合わせて深雪は大きく薙刀を振り上げた。
 するとまるで、それに巻き上げられて舞い上がるかのように、光り輝く銀色の羽根が軽やかに宙へと舞った。陽光に乱反射して輝きを増す羽根が、角度を変えるごとにその光の姿を変えて揺らめく。
 すかさず合わせて、沙羅の放った闇が羽根の影へと滑り、奥行きとコントラストを与えるようにして、光を際立てる。銀色の煌めきと、それに照らされ舞う姉妹をより、映えさせる為に。
 歌も踊りも演出も、盛り上がりは最高潮。その中心で薙刀を振るう深雪と沙羅はまさに、華二輪。
 最後にもう一度薙刀を重ね、同時に影を味方につけた銀の光がふわり、花吹雪の如く舞えば。観客からは拍手喝采、歓声の嵐。
 やり遂げて見せた。その事実と、ふうと沙羅は溜息を吐いた。今度は投げやりな心境ではない、少しの疲労と、しかし確かな達成感から来るものだった。
 ――だが、直後。
「そういえば。動画とかって残ってるのかしら」
「……姉さん?」
 観客に手を振りつつ、ぽつりと深雪が零したその呟き。
 沙羅が嫌な予感を覚えて振り返れば、案の定。
「残ってたら持って帰りたいんですけど、ダメですか?」
「ちょっ……」
 係員にそんなことを訪ねている姉の姿に、ぎょっとした。
「お願いですから、個人の思い出に留めてくださいよ?! 人前で動画再生とかもっての外です!」
「え? なんで、晴れ姿なんだから皆に見せないとでしょ?」
「姉さん!!」
 互いの夫に、それから友人達に、なんて指折り数え始めた姉の姿に、いよいよ頭を抱える妹。
 果たして沙羅は深雪による動画公開を阻止出来たのか。それはまた別の話。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
2021年水着着用
ペアお任せ

薙刀は僕は未経験だけど
友人の女の子が薙刀使いでね
その手裁きも、優雅に舞う姿も、以前見せてもらったから
雰囲気はなんとなく覚えてるよ
ダンス自体は僕も得意だしね

だから荘厳で、それでいて爽やかさも見える舞(ダンス)に
雰囲気に合わせた歌唱を合わせ僕の世界を表現したい
薙刀すらも自分の手指のように扱い
僅かな角度も含め先の先まで気を抜かない
勿論ペアの相手との動きのバランスやタイミング
そういうコンビネーションもしっかり意識して

更に指定UCを発動
天から降り注ぐ破魔の輝きと花弁をパフォーマンスの一環として
僕らの舞いは勿論だけど、折角海があるんだから
その爽やかさやきらめきを生かせるように




「えっなにめちゃかわ……?? 天使……?? いや女神か……??」
「はは、ありがと……」
 ド直球な光華の感想に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思わず苦笑した。
 そう、彼女……いや彼の水着姿。古代のキトンを思わせる純白の装束が、より清らかさと神々しさを醸し出している、ゆえの。
 まあ、事前に男性であるとは伝えてあるし、悪気はないのは解る。澪は気を取り直してよろしくね、と挨拶し。
「薙刀は僕は未経験だけど、友人の女の子が薙刀使いでね」
「はぇ! じゃあ完全初見でもないんだね?」
「うん、その手裁きも、優雅に舞う姿も、以前見せてもらったから。雰囲気はなんとなく覚えてるよ」
 ダンス自体は僕も得意だしね、と続ければ。頼もしい! と満面の笑顔が返ってきた。良くも悪くも素直な子だなと澪は思った。
「だから荘厳で、それでいて爽やかさも見えるダンスに、雰囲気に合わせた歌唱を合わせて僕の世界を表現したいんだけど……大丈夫かな」
「全然オッケー! 何でもドンと来い! こう見えて試合も演技も卒なくこなすオールラウンダーですから!」
「ありがとう。勿論、動きのバランスやタイミングなんかのコンビネーションもしっかり意識していくつもりだから。無理はしないでね」
 そう告げれば、ありがと、とまた笑顔を返される。
 光華はああ言ったが、初めての動きに合わせて貰うのだ。大変でないわけがないと、澪は思うから。
 即席のパートナーとはいえ、出来る限り互いに息を合わせて、今出来るベストを尽くしたい。それは光華も同じ筈。だからこそ、意思の疎通はしっかりと行おうと。
 会場の盛り上がりは最高潮。歓声に出迎えられるも二人、色めくことはなく。まずは静かに薙刀を合わせて、曲の始まりを待つ。
 光華の顔つきが変わった。なぎなたを、心から愛し、常にベストを尽くすという気概が伝わってくる。
 ならば澪も、本気でそれに応えよう。最高の舞台にして見せる。
 曲が始まる。高らかに、清らかに歌い上げれば、光華の歌声もそれをワンテンポ遅らせて追いかけてきた。それは宛ら聖歌の如く。
 だが、堅苦しさを感じさせないのは荘厳な曲調の中にも、そして演舞ダンスにも爽快さが織り交ぜられているからだ。
 薙刀すらも自分の手指のように扱い、僅かな角度も含めてその先端までも神経を通すように、動く。先の先まで気を抜かず、繊細ながらも清々しいその立ち居振る舞いは、見ていて、聴いていてとても気持ちがいい。そう観客に思わせる。
 そしてリフレインの直前、その刹那。
(「行くよ」)
 光華に目配せすれば、頷くのを確かに澪は認めて。
 二人、天を指すようにして薙刀を振り上げ、交差させれば。
 指し示した天の先から、破魔の輝きと得も言われぬほど美しい花弁が降り注いだ。それは澪と光華のみならず、舞台を包み込む碧海すらも照らして、その水面を照り映えさせた。
(「折角海があるんだから」)
 夏の海とさえ見紛うその爽やかさと煌めきは、きっと舞台をより彩ってくれる。
 空と海の青さに、その輝きに包まれながら終わりを迎えた演舞は、拍手喝采の嵐に包まれて。
 会釈と共にそれに応えた澪はちらと、隣を見る。観客に満面の笑顔で手を降る光華の姿が、そこにあった。
(「よかったね」)
 そんな彼女の様子に澪も、密かにその微笑みを深めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月07日


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#晴雲秋月
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト