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若き獅子たちの誕生

#アルダワ魔法学園 #一人称リレー形式 #にゃんこ


●アルダワ魔法学園にて
 重々しく回る歯車の響きが壁の向こうから聞こえ、天井近くに並んだピストンが上下に動き、バルブとパイプで飾られた壁のそこかしこから蒸気が噴き出している。
 なにかの工場か巨大戦艦の機関室といった様相だが、ここはアルダワ魔法学園の一室。新入生を歓迎するためのパーティーの会場だ。
 空の皿が並ぶ円卓(座卓並みに低いテーブルだった)が部屋の中央に置かれ、その周囲では歓迎の対象たる者たちが言葉を交わしている。
「もうすぐ、先輩たちが来るのね。緊張するわ」
「センパイって、どんな感じなのかな?」
「品行方正で謹厳実直で清廉潔白な方々に決まってるじゃないですか」
「いやいや、ナイフについた災魔の血を舐めてニタニタ笑ってるような戦闘ジャンキーどもかもしれないぜ」
「イケメンなら、それでいいわ」
「少しでも機嫌を損ねたら、鉄拳制裁とか食らっちゃったりして。怖いよー!」
 ある者は期待に目を輝かせ、ある者は怯えて耳を伏せ、ある者は楽しげに尻尾を揺らし、ある者は余裕を見せつけるかのように毛繕いをしている。
 そう、そこにいる新入生は皆、ケットシーだった。

●グリモアベースにて
「アルダワ魔法学園の蒸気機関を使って、ローストビーフを作ってみたんだ。スライスせずにまるごといっちゃうぜー」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前でローストビーフの塊にかぶりついた。
 グリモア猟兵のJJことジャスパー・ジャンブルジョルトだ。
 グラインダーのごとき音を立てて肉塊を十数ジャストでかたづけると、満足げに目を細めて指を舐めながら、JJは本題に入った。
「今回のお仕事のゲンバもアルダワ魔法学園だ。知ってる奴もいるだろうし、実際に体験したことがある奴もいるかもしれないが、あの学園には『迷宮新歓コンパ』ってならわしがあるんだよ。新入生たちをパーティーでもてなした後、迷宮をちょいと探索させる――そんなコンパだ」
 アルダワ魔法学園の学生といえば、災魔と戦うプロフェッショナル。引退後には故郷で英雄として扱われることも少なくない。
 しかしながら、どんな英雄も最初は駆け出し。先輩や転入生(猟兵)たちがしっかり面倒を見てやらなければ、新入生たちは海の藻屑ならぬ迷宮の塵と化してしまうだろう。
「つーことで、おまえさんたちにコンパの付き添いをやってほしいんだわ。今回のコンパに参加する新入生のグループは、全員が俺と同じケットシーだ。まあ、種族が同じってだけで、知恵も経験も俺には遠く及ばないけどな。そんなヒヨッ子どもを時に師父のように厳しく、時に慈母のように優しく導いてやってくれ。好きなだけ先輩風を吹かしてくれちゃっていいのよー」
 かく言うJJ自身が先輩風を吹かすタイプであろうことは容易に想像がついたが、あえて口を閉じておく猟兵たちであった。
「さっきも言ったが、まずはパーティーだ。蒸気機関を利用した特設会場で、新入生たちと一緒にシュウマイだの茶碗蒸しだのふかし芋だのといった蒸し料理を作って食べてくれ。俺は転送の準備とか事務仕事とかなんやかやがあるんで、参加できないけどな」
 パーティーの後はいよいよ迷宮の探索。大きな危険がある区域には近寄らないが、今回は新入生というお荷物を抱えている。彼らの安全を守りつつ、手本となるような行動を示すべきだろう。
「新入生どもがケツの青い子猫ちゃんのままで終わるか、勇猛なる獅子に化けるか……すべてはおまえさんたち次第だ。頼んだぜ!」
 皆にそう言うと、JJはどこからともなく新たな肉の塊(今度はローストチキンだった)を取り出し、凄まじい勢いで食べ始めた。


土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。

 本件は、アルダワ学園の新入生たるケットシーたちを指導(?)するシナリオです。JJが言ったように先輩風を吹かしまくっちゃってOK。
 第1章では、特設会場で蒸気を利用した料理を作って食べることができます。新入生と親睦を図るためのパーティーですが、この時点では新入生をほったらかしにしてひたすら食べることだけに集中しても問題ありません。
 第2章では新入生たちとともにダンジョン内を探索し、第3章では災魔の集団(どんな敵が来るかはまだヒミツ)と戦います。どちらの章でも新入生たちの目を意識し、手本としてカッチョよく振る舞うことが望ましいのですが、あえて反面教師になるのも面白いかもしれません。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※章の冒頭にあるPOW/SPD/WIZのプレイングはあくまでも一例です。それ以外の行動が禁止というわけではありません、念のため。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 日常 『蒸気機関を利用して』

POW   :    沢山作って沢山食べる

SPD   :    色々な料理を作って食べる

WIZ   :    より美味しくなるよう味を研究しながら作って食べる

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ルアナ・フローリア
アルダワ学園にくるのは初めて。
パーティでは蒸気を利用したアルダワの料理が沢山振舞われるみたい。
アルダワの料理は初めてだし是非いろいろな料理を作って食べてみたいわ。

それに、新入生のケットシーさんたちとお料理を作るのもちょっとたのしみ。
見知らぬ人と話すのは得意ではないのだけれど、ケットシーさんたちは大好きなネコさんみたいでかわいい。
仲良くなったら喉なでさせてくれるかしら。がんばらなきゃ。むん。


シオン・ハートブレイク
【SPD】
料理なら出来るし、手伝うかー。

にしても若さが眩しい。10年くらい前は私もあんな……?
……あんな青春っぽい生き方経験……したこと……ない……
あんた達、少年少女時代って超短いから……人生的には謳歌できる期間なんて10年……寿命の1/10ってとこなんだから……しっかり楽しみなさい?

さて本題。料理作るから、食べてきなさい。
サラダ、パスタ、カレー、焼き物に煮物、揚げ物などなど。

料理から得られるものっていろいろあるけど、経験や知識ってのもあるんだから。
なにが食べられるのか。
どんな味なのか。
どういう料理法があるのか。

誰かと話すとき、誰かと一緒に食べる時、引き出しは多くて困ることは無いからね?


ジェリー・ワイルダー
オブリビオンに負けないように新人のチビ達をしっかり鍛えないとな。
まあまずは腹ごしらえか!

料理は得意なんだが、いつもは(貧乏で)材料が無くてなあ……
今日は材料も揃ってるし存分に腕を発揮できるってもんよ!
特に蒸し料理に関しては、街や学園の蒸気を拝借して、毎日盗……買ってきた物を調理して食べてるから得意中の得意だぜ

というわけで、魚の酒蒸し作りま〜す。見とけよ俺様のこの魚のさばき様〈早業〉を!
あ、料理はアルコール飛ばしてるから食えるんだ。チビは酒飲むんじゃねえぞ〜
……さーて腹満たそ。


バロン・ゴウト
【CSF】テンさんと参加
テンさんや新入生のみんなと一緒におにまんを作るのにゃ。

みんな初めましてにゃ!ボクはバロンなのにゃ。
(ライオンライドを使用、子ライオンを呼ぶ)
この子はシトラス、ボクの相棒なのにゃ。

今日はみんなでおにまんを作るのにゃ!ケガやヤケドに気を付けて、おいしいのを作って食べようにゃ。
みんなで協力しておイモを切ったり、粉を混ぜたりするのにゃ。

もしうまくみんなの輪に入れない新入生の子がいたら、シトラスがその子に構いにいくのにゃ。
そして何とかみんなの方に誘導して、仲間に入れるように動くのにゃ。

おにまんの生地ができたらカップに入れて蒸気機関へ。
上手にふくらむかにゃ?楽しみなのにゃ!


テン・オクトー
【CSF】バロンさんと参加
新入生の人達と親睦を兼ねて一緒に「おにまん」作り。これはとある地域の蒸しパン。サイコロ状のさつまいもを沢山混ぜて蒸すからほんのり甘くてデザートにもなるよ。簡単だから料理経験無しでも大丈夫!
UCで耐熱ガラスの特製蒸し器を出すね。これだと中のおにまんの様子が見えるよ。

ケットシーサイズだからおにまん一つ一つが小さめ。一つだけ大きいのがあるけど、これはバロンさんの喚んだシトラスさん用。初めて会うよワクワク。

美味しく出来た!皆で一緒に1つの事をやるのは楽しいね。これって料理に限らず色々な事でもそうだと思うんだ。

心情:自身は子供で猟兵経験浅く先輩意識全く無し
絡みアドリブ歓迎です


ヴェイゼル・ベルマン
蒸気機関で料理が作れるたぁスゲェな
楽しく作って食うとすっか

料理の腕前はそれなり
俺はあさりと春キャベツの酒蒸し、蒸しケーキを作るぜ
酒蒸しは、アルコールをしっかり飛ばして誰でも食えるように
あさりの食感、春キャベツの甘みが旨いぜ
蒸しケーキは、ナッツ入りのココア味にすっか
あまり菓子は作ったことねぇが……
生地をさっくり混ぜるとかに気を付けつつ、レシピ見て作れば大丈夫だろ

まずは、入学おめでとさんと乾杯でも
円卓に並んだ料理は一通り食いてぇな
お、これも旨そうだし、あれも旨そう
緊張している新入生が居りゃあ、さっき作った蒸しケーキを勧めるぜ
何か緊張してねぇ?甘い物は心身をほぐす効果があるんだぜ。ほら、食ってみろよ



●ルアナ・フローリア(半魔の死霊術士・f01554)
 アルダワ魔法学園に来たのは初めて。
 こんなに素敵な場所だとは思わなかった。かわいいネコさんがいっぱい……いえ、ネコさんじゃなくて、ケットシーなんだけど。
 とても低い(ケットシーの身長に合わせてるのね)円卓の周りにケットシーの新入生さんたちがたむろしている光景はまるでネコの集会。見ているだけで心がぽかぱかする。壁の向こうでいくつもの蒸気機関が動き続けているから、体もぽかぽかしている。
 さて、それらの蒸気機関を利用して、皆と一緒に料理を作らなくちゃいけないんだけど――
「なにを作るの?」
 ――ケットシーたちに私は尋ねた。
 実を言うと、知らない人と話すのはちょっと苦手。でも、相手が可愛いネコさんの姿をしているせいか、今日は言葉が自然に出る。
「おにまんを作るにゃ!」
 元気よく答えたのはバロンくん。手足の先と口吻の一部だけが白く染まった黒猫のような男の子。口吻の白い模様がお髭みたい。
 小さなケットシーたちの中でも一際小さな(たぶん、まだ十歳にもなってない)バロンくんだけど、新入生じゃなくて、私と同じ猟兵よ。
「おにまん?」
「とある地域の蒸しパンだよ」
 私が首をかしげると、灰色と白の被毛のケットシーが教えてくれた。こちらはバロンくんのお友達のテンくん。バロンくんと同じく猟兵で、年齢も同じくらい。
「サイコロ状のさつまいもをたくさん混ぜて蒸すんだ。ほんのり甘くてデザートにもなるんだよ。簡単にできるから、料理の経験がなくても、だいじょーぶ!」
 私や新入生さんに『おにまん』なるものの解説をするテンくん。
 ああ、テンくんもバロンくんも新入生さんたちも可愛いー。仲良くなったら、喉をなでさせてくれるかしら?
 そのためにも頑張らなきゃ。むん!

●バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)
 ルアナさんがなにやら『むん!』と気合いを入れてるにゃ。
 彼女はダンピールで、びっくりするほど肌が白い。人間型種族のビテキカンカクはよく知らないけど、素敵な女性なのかもしれないにゃ。
 その横にいるエルフのシオンさんの肌はタイショーテキな褐色だけど、たぶん魅力的な女性なんだろうにゃ。
 でも、二人とも、ボクの夢の中に出てくるお姉さんとは違うにゃあ。
 いつの日か、あの優しそうなお姉さんに会えるといいのだけれど……いや! きっと、必ず、絶対、会ってみせるにゃ!
「おいおい。なーにボケッとしてんだよ、チビ」
 ふみゃ!? 誰にゃ、いきなり後ろから小突いてきたのは?
 ああ、ジェリーさんにゃ。
 ジェリーさんもケットシーなんだけど、ボクやテンさんよりはるかに年上。所謂『オトナの男』というやつかにゃ。
「ジェリーさんも、おにまんを作るにゃ?」
「いや、俺は魚の酒蒸しを振る舞うからよ。オニマンとやらはそっちに任せるぜ」
「じゃあ、任せてもらうよー」
 そう言って、テンさんがユーベルコードの『ガジェットショータイム』を発動させたにゃ。
 現れ出たのは、おにまんを作るためのガジェット。
「じゃじゃーん! 耐熱ガラスの特製蒸し器。これなら、中のおにまんの様子も見えるよ」
「おおおぉぉぉーっ!?」
 と、新入生たちが驚きと感心の声をあげたにゃ。
 その中でもとくに大きな声を出しているのは、メガネをかけた白いケットシー。
「な、なんと、見事なユーベルコード!? さすが、先輩です! まさに運斤成風!」
 ウンキンセーフー? よく判らないけど、大袈裟だにゃあ。
「おいおい。その程度で驚いてちゃダメだぜ」
 ジェリーさんが割り込んできたにゃ。
「しっかり目ェ開けて見てろよ、この華麗な包丁の舞いをよぉ!」
 ダイナミックに魚を捌いて、新入生たちの注意を引こうとしているにゃ。テンさんにタイコウイシキを燃やしてるのかにゃ? オトナの男のくせしてオトナゲないにゃあ。
 でも、新入生たちはあいかわらず感心しきり。もちろん、あのメガネの新入生もにゃ。
「な、なんと、見事な包丁さばき!? さすが、先輩です! まさに神工鬼斧!」
 ……大袈裟だってば。

●ジェリー・ワイルダー(野良猫・f15817)
「ふーん。たいしたものね」
 シオンが俺の手元を覗き込み、感心している……のだろう、たぶん。表情も喋り方もダルそうだから、よく判らねえけど。
「こう見えても、料理は得意なんだ。とくに蒸し料理に関しては、街や学園の蒸気を拝借して、毎日そこいらから盗ん……いや、買ってきた物を調理して食べてっから、得意中の得意だぜ」
「イケメンな上に料理が得意だなんて、素敵ぃ!」
 と、艶っぽい声を出したのはシオンじゃなくて、新入生のうちの一人――ちょっとケバめのケットシー娘だ。しなをつくって、俺に熱い視線を送ってる。いや、女はべつに嫌いじゃないが、こういう風にグイグイ来られると、却って退いちまうぜ。熱い視線には気付かない振りをしとこうっと。
 さて、魚は捌き終えた。これに酒を振りかけて……あれ? 今頃になって気付いたが、ヴェイゼルも酒蒸しを作ってるじゃねえか。
 ヴェイゼルってのはダークセイヴァーから来たとかいう人間の若造だ。料理だけじゃなくて、剣呑な目つきをしてるところも俺と被ってるんだよなぁ。
「あんたも酒蒸し作ってんのか?」
 俺が話しかけると、ヴェイゼルは料理の手を止めた。
「ああ。白身魚じゃなくて、あさりと春キャベツのやつだけどな。ついでに蒸しケーキも付ける」
 おいおい。ケーキと聞いて、あのケバいケットシー娘が目の色を変えやがったぞ。あんな女に興味はないが、なんか悔しいぜ。
 こいつぁ、負けらんねえ。絶対にケーキよりも美味い酒蒸しを作ってやる。しかし、酒蒸しとはいえ、アルコールはしっかり飛ばさないとな。チビどもも食うんだからよ。
 そういうオトナの配慮ってやつについて皆に一くさり聞かせようとしたが、その前にヴェイゼルが口を開いた。
「酒蒸しとはいえ、アルコールはしっかり飛ばしておかないとな。誰でも食えるように」
 くそっ! また被ってんじゃねえか!

●テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)
「この子はシトラス。ボクの相棒なのにゃ」
 バロンさんが子ライオン(体長は六十センチ弱といったところかな)のシトラスさんを召喚して、新入生たちに紹介してる。
 かく言うボクもシトラスさんに会うのは今日が初めて。
「よろしくー」
 ボクが挨拶すると、シトラスさんはこちらに近付いて、自分の額とボクの額を軽くごっつんこ。それから、その額をすりすりすりすりー。まだ子供とはいえ、近くで見ると、けっこう迫力があるな。でも、やっぱり可愛い。
 おっと、シトラスさんとじゃれてばかりもいられない。おにまんを作らないと。
「みんな、ケガやヤケドに気をつけてにゃー」
 新入生たちに声をかけながら、バロンさんもおイモを切ったり、粉を混ぜたり……それにルアナさんも手伝ってくれてる。
「料理から得られるのは栄養や満腹感だけじゃないのよ。経験や知識ってのもあるの」
 と、ちょっと難しい話をしながら、料理をしているのはシオンさん。
「そういう経験や知識はきっと役に立つわ。なにが食べられるのか、とか。どんな味なのか、とか。どういう料理法があるのか、とか……誰かと話す時、誰かと一緒に食べる時、引き出しは多くて困ることはないからね」
 なるほど。新入生だけじゃなくて、ボクらにとっても勉強になるなあ。
 あ? さっきから『新入生』と言ってるけど、みーんな、ボクやバロンさんよりも年上なんだよ。そんな人たちから先輩扱いされるのは変な気分。
「これくらいの大きさでいいかにゃ?」
 練り上げたおにまんをバロンさんが見せてきた。人間にとっては小さめだろうけど、ボクたちケットシーにはちょうどいいサイズ。
「うん。でも、一つだけ大きいのも作っておこうよ。シトラスさん用にね」
「がおー」
 と、シトラスさんが嬉しそうに吠えた。
 一つの大きなおにまんと沢山の小さなおにまんを耐熱ガラスの特製蒸し器に入れて、その蒸し器を蒸気機関のパイプに連結。後は蒸し上がるのを待つばかり。
「上手に膨らむかにゃ? 楽しみなのにゃ!」
「楽しみだねえ」
 言葉を交わすバロンさんとボクの後ろでシトラスさんがまた吠えた。
 待ちきれないかのように。
「がおー」

●ヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)
 おにまん、酒蒸し、蒸しケーキ……などなど、次々と料理が出来あがっていく。
 それらが円卓(ケットシーの身長に合わせてるもんだから、こっちは床に胡座をかかなくちゃいけない)に並べられたところで、俺は乾杯の音頭を取った。
「入学、おめでとさん」
「ありがとうございます! 偉大なる先輩の皆様に祝福の言葉をいただけるとは恐悦至極! 誠歓誠喜です!」
 メガネの新入生が大袈裟に喜びをアピールしてきた。どうにも暑苦しい野郎だ。
 それを適当に受け流して乾杯を済ませ、俺は料理に手をつけた。まずは自分の作ったあさりと春キャベツの酒蒸しから……うん。あさりの食感と春キャベツの甘みが良い感じ。
 他の奴らの料理も食べていく。どれもなかなかの出来だな。
「美味い。うん、美味い」
 と、俺が思わす口に出すと――
「ああ。悔しいが、美味いぜ」
 ――ジェリーが深く頷いた。その手にあるのは、俺のつくった蒸しケーキ。ちなみにナッツ入りのココア味だ。菓子作りの経験はないんで、レシピを見てその通りに作っただけなんだら、けっこうな完成度だったようだ。
「今回の勝負は引き分けだな、ヴェイゼル」
 いや、べつに勝負した覚えはないぞ。
「アルダワの料理は初めてだけど……おいしい」
 と、呟くような調子で感想を述べたのはルアナ。
 俺としては首をかしげずにはいられない。美味いのは認めるが、おにまんや酒蒸しってのはアルダワの料理なのか? まあ、どうでもいいか。
「皆で一緒に一つのことをやるのは楽しいね。これって――」
 テンが笑顔で一同を見回した。
「――料理に限らず、色々なことでもそうだと思うんだ」
 そうだな。そうかもしれない。
 しかし、新入生たちは『皆で一緒に一つのこと』をやっているわけじゃない。円卓から距離を置いてる新入生もいる。ほら、あっちの隅っこで身を隠すようにしている(ちっとも隠せてないが)気の弱そうな錆猫タイプのケットシーだ。どうやら、かなり緊張しているらしい。
 しょうがない。リラックスさせてやるか。

●シオン・ハートブレイク(はぐれエルフ・f04237)
 それにしても、新入生たちの若さが眩しいわー。
 思い返さずにはいられない。十年くらい前は私もこんな……こんな……こんな……あれ? どうして、いつまでたっても回想が始まらないの?
 あー。よくよく考えたら、こんな青春っぽい生き方なんて、経験したことなかったわね。うん。
「あんたたち」
 と、私は改めて新入生たちに語りかけた。この学園ではなく、人生の先輩として。
「少年少女時代っていうのはチョー短いのよ。人生的には謳歌できる期間なんて、せいぜい十年。長くても寿命の十分の一ってところ。だから、しっかり楽しみなさい。そこのあんたもね」
 最後に呼びかけた相手は、隅っこで身を縮こませていた錆猫くん。
 ヴェイゼルが彼に近付き、ココア味の蒸しケーキを差し出した。
「なにか緊張してねえ? 甘い物は心身をほぐす効果があるんだぜ。ほら、食ってみろよ」
「……て、て、鉄拳制裁とかしない?」
 涙目でヴェイゼルを見上げる錆猫くん。どこから鉄拳制裁という発想が出てきたのやら。ヴェイゼルの三白眼に恐れをなして……とかじゃなくて、誰に対してもビクついてしまうタイプみたいね。
「理由もなしに鉄拳制裁なんて、するわけねえだろうが。ほら、食えてっば」
「……」
 錆猫くんは恐る恐るといった感じでケーキを受け取り、もそもそと食べ始めた。
 そして、私たちのいる円卓のほうに歩いてきた。でも、自分の意思で積極的に歩いているわけじゃない。バロンの相棒のシトラスが傍に寄り、襟をくわえて軽く引っ張りながら、ゆっくりと導いているの。
 錆猫くんがようやくにして円卓に到着すると(けっこう時間がかかったのに、まだケーキを食べ終わってない)、ルアナが静かに問いかけた。
「喉、なでてもいい?」
 錆猫くんは暫く迷っていたけど――
「……うん」
 ――小さく頷いた後、顎を上げて喉をさらけ出した。
 眩しいわー。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

英・明夜
こんぱって、宴会ってことで良いのかなー?
美味しいもの、いっぱい食べられるって聞いて、来ちゃった。
学生さんじゃないけど、地下迷宮に潜ったことが在れば、先輩だよね?

あのね、新入生達の分だけ、好き嫌いが在ると思うんだ。
だから、甘いのや辛いのや、色んなお皿(?)を持って、遠慮しないでどうぞ! って、配って回るね!
(…まあ明夜は、出来たお料理を配るだけだけど)

人とお話しするのが苦手な新入生さんも居ると思うから、そういう生徒さんのところに、ちょっとお話しに行こうかな。
最初に寂しい思いをしないように。
…明夜、こんなにいっぱいのケットシーさんは初めてだから。
可愛いなーって、心の中でにこにこしてるね。


城島・冬青
新入生歓迎の季節だね
しかもみんなケットシー
うー…みんなあどけない子猫みたいで可愛いなぁ
おっと、いけない
可愛いからって新入生を子猫扱いはNGだよね
ちゃんと先輩っぽく振る舞わないと…

料理…ここはやはりスタミナ料理かな?
角煮やマグロステーキをどんどん作るよ!
ご飯を食べた後はダンジョンで冒険するから
みんな沢山食べて力をつけてね
あ、食べ過ぎて動けなくなるのは本末転倒なので限界まで食べまくるのはやめようね
食べきれない分はお弁当にするから

勿論私もご馳走を食べて力を蓄えておかないとね(もぐもぐもぐ)お肉おいしー!

爪や嘴での年上は名前+さん付け、敬語
同い年年下はタメ口
アドリブ歓迎
先輩と呼ばれるとデレデレします


柊・雄鷹
ハレちゃん(f00145)と美味いもん食うでー!
折角の歓迎会や、楽しく騒がなあかん
え?料理?台所禁止のワイにそれ聞くん?

蒸気機関を利用した…ってことは蒸し料理がメインやな!
ローストビーフ、ローストビーフはどこやー!
おっ!魚とか貝とか、海老とか蒸してるんのもあるやん
ワイもそれ欲しい、お皿に乗っけて!あっ、1番大きい奴な!
ハレちゃんも食べよるか?おっ、これ美味そう
(ハレちゃんの皿から横取りする)
って、まだできてないんかーい!

しかし、新入生は皆モフモフしとって可愛いなぁ
どっかのガキンチョ人狼と大違いや!
おっ、お前らちゃんと食べよるか?
いっぱい食べて大きくなるんやで
(お皿にお勧め料理を乗せて上げる)


夏目・晴夜
ユタカさん(f00985)と適当に

なるほど自分で作って食べる、面白い歓迎会ですね
しかし私は料理できないんですよね

なので料理が得意な新入生に教えてもらいながら作ってみたく
迷宮に関しては私の方が先輩ですが、調理の場では新米さんのが先輩ですね
お礼に迷宮ではビシバシ守って指導しますよ

ああ、ユタカさん
食べるのはこれから……って、人のを勝手に取るとは行儀が悪いですよ
まあいいですけどね、それ蒸す前のやつですし

確かにケットシーってモフモフで可愛いですよね
身長174センチのどっかのクールな人狼16歳は格好いい系ですから、
まあ確かに大違いではありますね
否定はしませんよ、おっさんの戯言を適当に聞くのも若者の務めです


セツナ・クラルス
ようこそ学園へ
戦う仲間が増えるのは頼もしいよ
…とはいえ、私も未だ経験浅い若輩者
互いに高め合うことができればいいね

ふふ、遠慮し合ってても仕方ない
これからは存分に楽しもうか
おいで、ゼロ
共に食べよう
別人格・ゼロを呼び出して準備は万端
気になるメニューを制覇してしまおう
ふふふ、こういう時、
人格が複数あるのは幸せだなぁ…と思うのだよ
人格により味覚が異なるので
(セツナは甘党、ゼロは辛党)
短時間で食事をより楽しめる
…ただ、満腹を感じるのも早いのだけどね
ゼロ、ゼロ、デザートを食べるだけの余裕は残しておいてくれると嬉しいかな

…!
このプリン、とても美味しいよ
きみも食べてみるかい?
新入生にも親しげに声をかけて



●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
 最近、猫に縁があるなー。ついこの間もアルダワ魔法学園で猫がらみの仕事をしたんだよね。その時の猫たちは討伐の対象だったけど、今回は仲間だから、じぃーっくり観察できる。
 座卓サイズの円卓を囲んで食事をするケットシーたち……うー! あどけない子猫みたいで可愛いー!
 おっと、いけない。可愛いからって、新入生を子猫扱いはNGだよね。ちゃんと先輩っぽく振る舞わないと。
「みんなー! たくさん食べて、力をつけてね。この後はダンジョンを探索しなくちゃいけないんだから」
 スタミナが付きそうな特製マグロステーキを子猫ちゃんならぬ新入生たちに勧める私。
「遠慮なく食べてね」
 と、小皿に料理を取って、皆に配って回ってるのは明夜。十歳くらいの妖狐の女の子だよ。その明るい笑顔だけでお腹いっぱいになりそう。
「そうそう。いっぱい食べて、大きくなるんやでー」
 オラトリオの雄鷹さんは翼を意味もなくバサバサいわせながら、大皿に料理を積み上げている。景気よく積み上げすぎて、ケットシーの平均的な背丈よりも高くなってるけど……。
 一方、セツナさんは落ち着いていて――
「戦う仲間が増えるのは頼もしいよ、とはいえ、私も未だ経験浅い若輩者。互いに高め合うことができればいいね」
 ――と、静かに優しく微笑みかけてる。
 そんな私たちに対する新入生たちのリアクションは様々。
「ありがとうございます、先輩! たいへんおいしゅうございます! 美味佳肴にして炊金饌玉であります!」
 メガネをかけた白猫のケットシーくんはあいかわらず大袈裟。でも、こういう真面目な感じの子に『先輩』って呼ばれると、なんだか本当に頼れる先輩になれた感じがして、ついつい顔がにやけちゃうな。くふふふ。
「……て、鉄拳制裁するぅ?」
 錆猫のケットシーくんもあいかわらずだね。鉄拳制裁なんかしないって。あと、どーでもいいけど、食べるのが遅すぎない?
「もぐもぐもぐ……おかわりー!」
 こっちの太ったブチ猫のケットシーくんは逆に食べるの速すぎ。
「先輩ヅラはやめな、お嬢ちゃん。俺は誰の指図も受けねえ。食いたい時に食いたいものを食いたいように食うのさ」
 で、出たー! 生意気で反抗的な新入生! わっかりやすーい!
 まあ、まだ十四歳の私よりもこの茶虎のケットシーくんのほうが年上っぽいから、『お嬢ちゃん』扱いされるのも仕方ないといえば仕方ないのかも。
 とはいえ、年下だろーが、お嬢ちゃんだろーが、先輩であることにかわりはないもんね。このままずっと先輩らしく振る舞わせてもらうよ。

●柊・雄鷹(sky jumper・f00985)
「みんな、ちょっと聞いてー」
 いかにもセンパイ然とした態度で冬青ちゃんがなんか話しとるで。はい、謹聴、謹聴。
「さっきは『たくさん食べて』とは言ったけど、限界まで食べまくるのはやめようね。食べ過ぎて動けなくなっちゃったら、本末転……」
「いや、食べ過ぎるくらいがええんとちゃうのん! 折角の歓迎会や! 楽しく食べまくって、楽しく騒ぎまくろうや!」
 おいおい、どこの誰や? 冬青ちゃんの話に大声で割り込んだんは? ……って、俺やぁーん! ごめんなー。ホンマ、ごめんなー。せやけど、騒がずにはいられへんねんって。
「こういう宴会とか、テンション上がるもんな? なあ、ハレちゃん!」
「テンション上がるもなにも――」
 うわー。隣におるハレちゃんの背中をパーンと叩いたったら、めっちゃ冷たい視線が返ってきたで。
「――ユタカさんのテンションは常に最高潮じゃないですか」
 視線だけやのうて、言葉も絶対零度やん。まあ、ええわ。今に始まったことでなし。気を取り直して、食事を再開!
「ローストビーフ! ローストビーフはどこやー! やっぱ、肉を重点的に攻めんとアカン……と、思たけど、魚とか貝とか海老とか蒸してるんのもあるやん。美味そうやねえ。これ、もろとこー」
 ハレちゃんの前に置いてある皿から料理を横取りぃ。
「ユタカさん。人の料理を勝手に取るなんて、行儀が悪いですよ」
「かたいこと言いなやー」
「まあ、いいですけどね。それ、まだ蒸してませんから」
「蒸してへんのかーい! どうりで歯応えが良すぎると思たわ! ちゅうか、未完成の料理を意味ありげに置くなー!」
 思わず全力でツッコんでもうた。
 明夜ちゃんや一部の新入生にめっちゃウケてるわ。これ、好感度、けっこう上がったちゃうん? せやけど、センパイとしての威厳は地に落ちたかもしれんね。

●夏目・晴夜(不夜狼・f00145)
 多芸多才で大抵のことは人並み以上にこなせる私ではありますが、実は厨房での創作活動は得意ではありません。
 なので、今回は新入生たち(主に、体格が水平方向に発達しているブチ猫さん)に教えてもらいながら、料理を作りました。
「万能人間たる私にとって、誰かにものを教わるというのは非常に貴重な経験です。この先、二度とないかもしれませんね」
「いや、自信過剰にも程があるやろ!」
 ユタカさんがツッコんできました。いけない、いけない。いつの間にか、心の声が肉声に変わっていたようです。
「調理の場では皆さんにいろいろと教えていただきましたが――」
 新入生たちの顔をを見回します。
「――そのお礼も兼ねて、迷宮ではビシバシ指導しますよ」
「はい! お願いします! 我々も嘔心瀝血、粉骨砕身の覚悟で臨みます!」
 メガネの白猫さんが大声で答えました。
 でも、返事をしたのは彼だけ。
 錆猫さんは『鉄拳制裁』とか呟きながら、身を震わせています。
 反抗的な茶虎さんは聞こえよがしに『けっ!』と言って、そっぽを向いています。
 派手な化粧をした黒猫の娘さんは熱っぽい視線で私やセツナさんを見ています(ケットシー以外のイケメンもいける口のようですね)。
 料理を教えてくれたブチ猫さんは……ただひたすら料理を食べてます。
 この五人(五匹?)以外の新入生たちも頼りなさそう。前途多難ですね。
 もっとも、ユタカさんは違う感想を抱いているらしく――
「しっかし、どの新入生もモフモフしとって可愛いなぁ。どっかのガキンチョ人狼とは大違いやで!」
 ――なんてことを言いながら、私の脇腹を肘で軽く突いてきました。
 新入生たちはきょとんとしています。私が人狼だということに気付いてないのでしょう(世界の加護が働いていますからね)。あるいは人狼の存在そのものを知らないのかもしれません(ダークセイヴァーの種族ですからね)。
「確かに大違いですね」
 と、私はユタカさんの言葉を認めてあげました。オッサンのくだらない戯言を適当に聞くのも若者の務めですから。
「本当に、まったく、ぜっんぜん、ケットシーとは違いますよ。ユタカさんが言うところの『どっかのガキンチョ人狼』はクールで格好いい系ですからねえ」
「ハレちゃーん。何度も言うようやけど、自信過剰にも程があるんとちゃうか?」
 やれやれ。客観的な事実を述べただけで自信過剰と評されてしまうなんて……不条理な世の中です。

●英・明夜(啓明・f03393)
 明夜はね、美味しいものがいっぱい食べられるって聞いて、ここに来たの。でも、美味しいものだけじゃなくて、雄鷹と晴夜の漫才も楽しめるとは思わなかったな。本人たちは普通のやりとりをしているつもりなのかもしれないけど。
 明夜は漫才もお料理もできないから、こうやって食べ物を配って回る形で協力するの。新入生たちの数だけ、好き嫌いがあるだろうから、甘いのとか辛いのとか色んな料理を小皿に取り分けて、と……。
 あ、そうだ。新入生だけじゃなくて、猟兵仲間にも配らないとね。
「どうぞ、冬青」
「うーん! お肉、おいしー!」
「どうぞ、雄鷹」
「やったー! 今度はちゃんと蒸してあるやつやん」
「どうぞ、晴夜」
「どうも」
「どうぞ、セツナ」
「ありがとう」
「どうぞ、セツナ」
「おう。悪いな」
「どういたしまして……って、セツナが二人いるぅ!?」
「いや、オレはセツナじゃなくてゼロだから」
 ああ、なるほど。セツナがユーベルコードを使って、別の人格のゼロを具現化させたのね。そういえば、前にも見たことあったっけ。サムライエンパイで鎧武者のオブリビオンを退治した時に。
「ふふふ」
 セツナが微笑んでる。
「こういう時、人格が複数あるのは幸せだなぁ……と思うのだよ。私とゼロは嗜好に違いがあってね」
「オレは辛党だけど、セツナは甘党なんだよ」
 と、ゼロが補足した。
「だから、二人に分かれると、短時間で食事をより楽しめるんだ」
 と、セツナがまとめた。
 うーん。羨ましいような、そうでもないような。
 まあ、どんな時でも話し相手がいるっていのは良いことかもね。
 あ? 話し相手といえば……あの反抗的な茶虎のケットシーはすっかり不貞腐ちゃって、誰とも話してない。
 もう、しょうがないな。

●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)
 こういう時、人格が複数あるのは幸せ……と、明夜君には言ったけど、この能力にも問題がないわけでもない。
 私(とゼロ)の場合、満腹中枢までは分かたれていないらしく、すぐにお腹がいっぱいになるんだ。おかげで太らなくて済むけどね。
 それなのにゼロはもの凄い勢いで料理(辛いものばかりだ)をかきこんでいる。このままでは私まで満腹になってしまうじゃないか。
「ねえ、ゼロ。デザートを食べるだけの余裕は残しておいてくれると嬉しいのだがね」
「はぁ? だったら、最初にデザートを食っときゃいいだろうがよ」
 あー、なんというか……その発想はなかったよ。うん。
 ゼロの暴言に納得したわけではないが、私は今のうちにデザートを味わっておくことにした。アルダワ学園特別蒸気機関製の蒸しプリン。
「ねえ! 明夜とお話しよ!」
 おや? 明夜君が例の茶虎氏と接触しているね。
「う、うっせーな! 放っといてくれ!」
「そんなこと言わないで、お話ししようよー」
 孤高を気取ろうとする茶虎氏。天真爛漫に食い下がる明夜君。ひねくれ者の弟の相手をする優しいお姉さん……といった光景を連想せずにはいられない。お姉さんであるところの明夜君のほうが年下だけども。
 私もお姉さんに加勢しようかな。
「このプリン、とても美味しいよ。きみも食べてみるかい?」
 蒸しプリンを差し出すと、茶虎氏は――
「べ、べつに食いたかねえよぉ」
 ――などと言いながらも、不器用な手付きでスプーンを操り、プリンを食べ始めた。口は悪いが、性根が完全に腐りきってるというわけではないらしい。傍らで辛口料理を貪ってる誰かさんを彷彿とさせるね。
「美味しい?」
 渋面の茶虎氏に明夜君が尋ねた。もちろん、笑顔で。にこにこにこにこ。
「うまかねーよ!」
 茶虎氏は怒鳴るように答えた。一口残らず食べた後で。

 小一時間後、パーティーは終わった。
「じゃあ、そそろダンジョンに行こうか。でも、その前に――」
 冬青君が立ち上がり、皆に言った。
「――残った料理をお弁当にしようねー」
 弁当持参のダンジョン探索行か。
 楽しくなりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『スチームロード』

POW   :    材料を運搬したり、大雑把に補修する

SPD   :    細かな箇所などを補修する

WIZ   :    知識を活用して補修する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●幕間
「なんじゃ、こりゃ!?」
「熱っ!?」
「さっさとそこのバルブを閉めろ!」
「どのバルブ? てゆーか、どれも錆ついて回らないんだけど!」
「あぢぢぢっ!? こっちからも噴き出してきたぞぉーっ!」
「一旦退却しよう!」
「おう! 角まで戻れぇーっ!」
 ダンジョンの探索を開始してから三十分も経たぬうちに新入生たちは大きな障害に直面することとなった。
 その『障害』とは凶悪なモンスターでもなければ、危険なトラップでもない。
 老朽化した細長い通路である。
 壁と天井に無数のパイプが張り巡らされているのだが、そのパイプ群のそこかしこに小さな亀裂が走り、熱い蒸気が間欠泉さながらに噴き出しているのだ。
「我々の手には負えません。ここは頭脳明晰にして博学才穎な先輩方におすがりするしか……」
 メガネをかけた白猫のケットシーが猟兵たちに助けを求めた。
 ちなみに小一時間の宴と三十分足らずの探索の間に新入生たちは自己紹介を済ましている。この白猫の名はケイン・オーワシー(16)。
「そうだな。センパイどものお手並み拝見といこうじゃねえか」
 反抗的(ただし、ツンデレの傾向あり)な茶虎はショー・ザ・コンドル(18)。
「イケメンなら、きっとできるはずよ」
 美男子(ケットシー以外の種族もストライクゾーンに入っている模様)と甘いものに目がない黒猫の娘はジューン・スワニー(17)。
「ここでリタイヤしちゃったら、鉄拳制裁が待ってるの?」
 やたらと鉄拳制裁を恐れている錆猫はジムピー・トゥバーロック(13)。
「もぐもぐもぐもぐ……おかわりー!」
 呑気に弁当を食べているブチ猫はリュヴ・ズクミン(21)。
 彼ら(と他の新入生たち)の力で現状を打破することはできないだろう。
 先輩たる猟兵たちが蒸気を防ぎつつ(あるいは根性で耐えつつ)パイプを修繕して回らねばならないのだ。
 
ジェリー・ワイルダー
困難にぶつかった時に全部手を貸すっつうのも成長しねえし、放っておくのも良くねえって言うし、丁度良い方法ねえかな?

難しいことを考えるのは面倒くせえから、ダチの力を借りよう。〈動物?と話す〉【獣殺士】の中で1番頭が良いラミーに良い方法を教えてもらうか!あ?何ジロジロ見てんだよ
まあ俺一人でも、さり気な〜く、壊れて危険な蒸気パイプにブルース(タコ?)を投げて塞いだり、〈メカニック〉知識を活かして修理できそうな所や塞げそうな所はこっそりどうにかしてやれるんだがな!

マジで危なくなったら身体で守る!慣れ過ぎちまってるから、俺にとっちゃ蒸気はシャワーみたいなもんだぜ!「あッッツッ!!」
だって俺、先輩だし??


城島・冬青
やっば!
改めて新入生メンバーの年齢を確認したらジムピー君以外歳上じゃん!
そりゃ茶虎君もあんな態度取るよね
…まぁ今更敬語やさん付け呼びに直すのもアレだしここは先輩としての態度を通すけどね(ごほん)

迷宮補修をしながら冒険は一度したことがあるので多少は慣れてるかな
事前に調べた事や過去の【情報収集】でテキパキ補修していくよ
初めての冒険で士気が下がってる子は
【コミュ力】で励ましてやる気を起こそう!

蒸気で火傷はしてない?
無茶はしないでね
仮に途中でリタイアしても鉄拳制裁は無いから…多分
でも直ぐに諦めたりせず出来るだけやってみようね、大和魂見せつけようよ!
…ってヤマトダマシイってわかんないか
わかんないよねー


セツナ・クラルス
弁当片手にダンジョンなんて
まるでピクニックみたいだね
だが、学園に帰るまでが冒険だよ
気を抜かずにいこう
自分がそわそわしつつ探索

…?
おや、もう探索はおしまいかな
戻ってくる新入生たちを見て首を傾げるも、進行方向を見て納得
ああ、これでは進めないね
…ふむ、応急処置なら何とかならないかな

きみは属性魔法は使えるかい
ツンデレのショーさんに声をかけ、
フォローを依頼
ふふ、きみのツンツン具合が不思議と心地いいのだよ
何故だろう、ねえ、ゼロ?

土属性の魔法を使用
パテ状にした泥を亀裂の入った箇所に被せ、熱を加えたら
一時的にでも補強できないかな
バルブの鯖には細かい砂を吹き付け、錆を落とし、回るか試してみよう


シオン・ハートブレイク
【SPD】しょうがないなぁ……
ほら、猫ちゃん達。頼るのは良いけれど、進む姿勢は見せなさいな。
道作る手伝いくらいはしてあげるから。

……つっても、どうしよっかな。ハイテクとかわかんないから、結構力任せの対処になっちゃうけど。

咎力封じの要領で、破損してるパイプに鋼糸巻きつけて補修しましょうか。
つっても、手持ちの道具だけだと応急処置すら怪しいし、猫ちゃんが通る瞬間だけ蒸気を抑えるので精一杯かな……

あ、これあれね? 私に構わず先に行け的なやつ?
やだ、うまく言えるかしら私。こほんこほん。

「道は私が開くわ! 構わず先に行って!」

………………ホントにはいかないわよね?
ちゃんと待っててよね?


英・明夜
『蒸気が噴き出ない頃合いを見て走り抜ける』とか。
『熱くても根性で耐えて進む』とか。
やった猟兵や生徒さんが居て、もし火傷しちゃったらUCで治療するね。
うん、そうやって迷宮を進まなきゃいけない時も在るかもだもんね。

明夜は、管がどう繋がってるか見て、皆が修理しようとしてる管から蒸気が出ないようにしたいな。
”この弁を開けば、この先に蒸気が行かない”って、何度か開け閉めして分かると良いんだけど。
分からないなら、勘(第六感)…。

不安で進めないよう! って生徒さんが居たら、おやつで気を引いたり、手を繋いだり抱っこして進む。
心を傷付けないように、「一緒に来てくれたお陰で、明夜も怖く無かったよ!」って伝えるね。



●ジェリー・ワイルダー(野良猫・f15817)
 パイプだらけの細長い通路が俺たちの前に延びている。
 アルダワ魔法学園の上階でも地下迷宮でも珍しくない光景だ。
 老朽化したパイプのあちこちから蒸気が勢いよく噴き出して、暴走したサウナ室みたいな有様になっていることを除けばな。
「これは困ったねぇ」
 と、セツナが言った。
 もっとも、『困った』ような顔はしていない。それどころか――
「――おまえ、ちょっと楽しそうじゃね?」
「ああ、すまない。弁当を片手にダンジョン巡りなんて初めてのことだから、どうにもピクニック気分が抜けないんだ。でも、大丈夫。ここからは気を引き締めて事に臨むよ」
 ピクニック気分ねえ……まあ、しょうがねえか。オブリビオン相手の切った張ったに比べりゃあ、ダンジョンでのパイプ修理なんて、緊張感がなさすぎるもんな。
 でも、それは歴戦の猟兵たる俺たちにとっての話。新入生のほうはといえば、すっかり参っちまってるようだ。
「ほらほら。猫ちゃんたちー。先輩に頼るのはいいけれど、ちゃんと前に進む姿勢は見せなさいな」
 シオンが連中に発破をかけてる。あいかわらず、ダルそうだが。
 さで、俺は……どうしたもんかなあ? 困難にぶつかった時になんでもかんでも手ェ貸してばっかりでは成長しねえし、かといって放っておくのもよくねえような気がするし。
 ここは一つ、ダチに相談してみるか。
 ユーベルコードを使って、ダニのダニー(こいつほど勇敢な男はちょっといない)とノミのノミー(気さくでいい奴だぜ)とシラミのラミー(べらぼうに頭がいいんだ)を呼び出す。用があるのはラミーだ。こいつと相談して、今後の方針を決めよう。

●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
「うんうん……でもなぁ、そうは言っても……いや、それは判るさ……ああ、なるほど……」
 うわー。ジェリーさんってば、掌をじっと見つめて、一人でごにょごにょ話してる。あまりにも蒸し暑いもんだから、錯乱しちゃったのかしらん? なるべく目を合わせないほうがいいかも……と、思っていても、ついチラチラ見ちゃうよぉ。
「あ? なーに見てんだよ!」
 いけない! バレた!
「言っとくけど、俺はべつにイカれたわけじゃねえぞ。ラミーと話してんだ」
「らみー?」
「こいつだ、こいつ」
 ジェリーさんがこっちに来て、手を差し出した。ちっちゃ虫が肉球の上に乗ってる。これは……シラミかな? うー! 見てるだけで痒くなりそう。
「ラミーと相談した結果、俺は『さりげなくフォロー』系のポジションでいくことにした。おおっぴらに手助けしたり、ガツンと活を入れたりするのはおまえらに任せるぜ」
 なんだかよく判らないけど、任されちゃった。まあ、いいけどね。任されなくてもやるつもりだったから。
「ねえ、みんな! すぐに諦めたりせず、できるだけのことはやってみようよ!」
 と、ヘコんでる新入生たちを私は励ました。我ながら、先輩らしい振る舞い。この際、大半の新入生が私よりも年上という事実は無視しよう。うん、無視しよう。
「こういう時こそ、大和魂を見せつけてやろう! ……って、大和魂とか言っても判んないか。判んないよねー」
「言葉の意味は判らないけど――」
 と、口を開いたのは黒猫のケットシーのジェーンちゃん。
「――とにかく、へこたれちゃいけないってことよね」
 あらら? 目が燃えてる。イケメン好きのちょっと軽い娘だと思ってたけど、実は熱血系だったのかな。
「城島先輩の言うとおり、ヤマトダマってやるわ!」
 ……いや、意気込みは買うけど、『大和魂』という言葉の使い方を思い切り間違ってるから。

●英・明夜(啓明・f03393)
 ジューンに続いて、他の新入生たちも次々と声をあげはじめた。
「よーし! 俺もヤマトダマるぞ!」
「おう! ここでヤマトダマらなきゃ、男がすたるってもんよ!」
「あたし、一流のヤマトダマーを目指すわ!」
「ヤマトダマるしかない! このビッグウェーブに!」
「あ、そーれ! ヤァーマトダマッ! ヤァーマトダマッ!」
 ものすごく盛り上がってる。でも、全員じゃないけどね。錆猫のジムピーはぶるぶる震えながら『ヤマトダマって、鉄拳制裁?』とか呟いてるし、ツンデレな虎猫のショーはそっぽを向いてる。
「『大和魂』の正しい意味はまた後で教えるとして――」
 ケットシーたちの間に変な言葉を流行らせちゃった(本人にそのつもりはなかっただろうけど)冬青が苦笑しながら、皆に言った。
「――今はパイプを直そうか。私、以前にも似たような任務をやったことがあるし、修理法とかも事前にいろいろと調べてきたんだ」
 新入生たちにてきぱきと指示を出す冬青。
 彼女だけじゃなくて、他の人たちも作業を始めた。
「きみは属性魔法は使えるかい?」
 と、セツナがショーに尋ねた。
 ショーはちょっと戸惑ってるみたい。
「つ、使えるけど……なんで、俺に話を振ってくんだよぉ?」
「ふふふ。きみのツンツン具合が不思議と心地いいのだよ。なぜだろう。ねえ、ゼロ?」
「知るか」
 セツナの別人格のゼロ(またユーベルコードで具現化してるの)がそっぽを向いた。なんだか、ショーに似てるね。
「さて、ショーくん。土属性の魔法を使って、パテ状にした泥をパイプの亀裂に被せてくれないか」
「えーっと……こんな感じか」
「うん。上手い、上手い。次は、細かい砂をバルブにたくさん吹きつけてみよう。ヤスリをかける要領で錆を落とせるかもしれない」
「あー、もう! 人使いが荒いセンパイだぜ」
 めんどくさそうな顔をしながらも、ショーはセツナの指示通りに魔法を使って(精霊術士だったのね)修理してる。
 明夜も手伝おう。入り組んだパイプのうちの一本を目で追って、勘を働かせて……ん? たぶん、あのバルブかなー?
「ねえ、ショー。そこのバルブの錆を落としてみて。それを回せるようになったら、あっちで一際勢いよく噴き出てる蒸気が止まると思うから」
「へいへい」
 私が指さしたバルブにセツナは魔法で砂をかけた。あいかわらず、めんどくさそうな顔をしてるけど。
 その様子をセツナが楽しそうに眺めている。
「なんだかんだ言いながらも、働き者だねえ。誰かさんにも見習ってほしいよ」
「むしろ、おまえこそ見習うべきだろ」
 と、ゼロが言い返した。

●シオン・ハートブレイク(はぐれエルフ・f04237)
『前に進む姿勢を見せろ』という私の言葉と冬青さんの励ましが効いたのか、猫ちゃんたちは意気軒昂。
 じゃあ、彼らのために道を作る手伝いくらいはしてあげましょう……つっても、どうしようかな?
「私、ハイテクとか判んないのよね。力任せの対処になっちゃいそう」
 それは独り言だったんだけど、冬青さんの耳に届いていたらしく――
「大丈夫ですよ、シオンさん。UDCアースやスペースシップワールドの技術に比べれば、ローテクですから」
 ――と、笑顔でヤマトダマッってきた(使い方、間違ってる?)。そういう問題ではないような気がするんだけどね。まあ、いいわ。やるだけやってみましょう。
 修理に使うユーベルコードは『咎力封じ』。手枷と猿轡とロープをパイプに巻き付けるような感じで……よし、成功。
 あら? 『さりげなくフォロー』系のポジションを宣言してたジェリーも向こうでさりげなーくパイプを修理しているわね。
「それ!」
 と、タコみたいなもの(たぶん、UDCアースのクランケヴァッフェとかいう武器ね)をパイプめがけて投げつけて、破損個所を塞いでる。
 でも、私の拘束セットもジェリーのタコモドキも一時しのぎにしかならない。猫ちゃんたちが通る間だけ蒸気を抑えるので精一杯かな。
 ……あ? これって、アレよね? ほら、『私に構わず、先に行け!』的なやつ。まさか、そんなド定番の台詞を口にする日が来るなんて。うまく言えるかしら?
 こほん!
 じゃあ、いくわよ。
「道は私が開くわ! 構わず、先に行って!」
「承知しました! 勇往邁進であります!」
 眼鏡をかけた白猫のケインくんが先頭に立ち、皆を連れて歩いていく。ケットシーの一団がちょこちょこ進んでいく様は可愛いんだけど……本当に行かないわよね? ちゃんと待っててくれるわよね?

●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)
「道は私が開くわ! 構わず、先に行って!」
 拘束具でパイプを押さえ、芝居がかった調子で叫ぶシオンさん。
 その横をぞろぞろと通り過ぎる小さなケットシーたち。
 実にシュールな光景だ。
 なんにせよ、新入生は皆、サウナじみた通路を渡り終えた……わけじゃない。
「ほれ、そっちの亀裂も早く塞げよ」
「うっせーな! 今、やろうと思ってたんだよ!」
 ゼロと仲良く喧嘩しながら、ショー君が修理を続けている。
 そして、もう一人(一匹?)。ジムピー君も残っている。どうやら、怖くて動けないようだ。
「行こう、ジムピーくん。大丈夫だから。ね?」
「う、うん」
 冬青君に優しく声をかけられて、ジムピー君はようやく歩き出した。まだ震えているけどね。おまけにべそをかいてる。
「ごめんさない。僕、グズだから……でも、鉄拳制裁だけは勘弁してぇー」
「鉄拳制裁なんかしてないってば」
「ホントに?」
「ホントだよ」
 と、冬青君の代わりに明夜が答え、ジムピー君の横に並んで、手をそっと握った。
「明夜もさっきまでは怖かったけどね。今はこうしてジムピーと手を繋いで一緒に歩いてるから、ぜんぜん怖くないよ」
「……ありがとう」
 消え入るような声で答えるジムピー君。ここで『ありがとう』という言葉が出るということは、子供ながらに理解したのだろうね。相手を傷つけまいという明夜君の気遣いに。
 でも、もうちょっと歩くペースをあげたほうがいいんじゃないかな。でないと、心じゃなくて、体が傷ついてしまうよ。
 ほら、傍のパイプから蒸気がいきなり噴き出した!
「あぶねえ!」
 あ? 『さりげなくフォロー』系のポジションのはずのジェリーさんがパイプとジムピーくんの間に素早く割って入り、自分の体を盾にした。おかげでジムピー君は無傷。
「熱くないの?」
 呆れたようにシオンさんが尋ねると、ジェリーさんは余裕の笑みを浮かべた。ちっとも熱くないらしい。
「もう慣れ過ぎちまってるからよぉ。俺にとっちゃあ、蒸気はシャワーみたいなも……あッッッツッ!」
 いや、やっぱり熱いみたいだね。

「神様、神様。頑張ってる皆に癒やしをお与え下さいませ……」
 通路を渡り終えると、冬青君がユーベルコードの祝詞を唱え始めた。
 ジェリーさんの火傷を癒すために。
 やがて、祝詞に歌声が重なった。
 ジムピー君の『シンフォニック・ギア』だ。
 それに耳を傾けながら、シオンさんがしみじみと言った。
「こんなに素敵な歌を聴かされたら、鉄拳制裁なんてできるわけないわよねぇ」
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

テン・オクトー
【CSF】バロンさんと参加
バロンさんと一緒に破損パイプの修理をします。

UCで簡単な工具箱的補修道具と作業用軍手を2人分出すね。じゃーん!工具、軍手はケットシー用サイズ!大事な肉球守りつつかつ作業しやすい耐熱軍手だよ。

バロンさんのUCで蒸気が出ないよう安全確保してもらうね。水の魔法綺麗だな〜すごいな〜!ウットリ…

その後はバロンさんと一緒に破損箇所を塞ぐよ。 金属片をトンテンカン×2と覆い打ち付けてっと。蒸気の中強行突破も有りだけど、余裕あれば後続のために直しておきたいよね。

え?ボクのやってる事地味?災魔と戦う事以外にも探索捜索調査等々案外地味な事多いよ。地味な事も大事だよ〜。

絡みアドリブ歓迎です


バロン・ゴウト
引き続き【CSF】テンさんと協力して修理するのにゃ。

まずはテンさんにユーベルコードで作業用手袋と補修道具を出してもらうのにゃ。
手袋を付けたら【トリニティ・エンハンス】で手に水の魔法を纏い、補修するパイプの蒸気が出なくなるくらいまで冷やすのにゃ。
「トリニティ・エンハンスの水の型よ、我に力を示せ!…なのにゃ!」
パイプが冷えたらテンさんと一緒に修理にゃ。

修理が終わったら新入生に
「こんな風にユーベルコードは戦うだけじゃなく、色々便利に使えるのにゃ。」
「だから色んなユーベルコードについて勉強することはとっても大切なのにゃ!」

絡み、アドリブ歓迎にゃ。


夏目・晴夜
うわ、嫌になりそうなほどに暑いですね……
さっさと直してしまいましょう

固いバルブは、戦闘特化のからくり人形の【怪力】で閉めていきます
蒸気で熱すぎる箇所や高くて手が届かない箇所も、
やたらと巨体の同人形を操ってサクサクと修繕していきたく

何事にも適材適所というものがありますからね
無理と思ったら素直に他の人に頼るという行動は実に正しいと思います
ただし、何もせずにボーっと見ているだけでは駄目ですよ
無理のない範囲で今できる事をしてください

次に使う道具を用意したり未修繕の部分をチェックしたり、
暑いので扇いであげたり、後はこのハレルヤを褒めたり等々
偶然にも今手が空いている新兵でないと出来ない事は山ほどありますよ


ヴェイゼル・ベルマン
俺も新入生と同じで、ダンジョンの探索はこれが初めてなんだよな。
だからって、無様な姿は見せられねぇぜ。
いっちょ頑張るとすっか。

んー、パイプの補修……補修ねぇ。
手持ちの粘着テープを亀裂にぐるぐる巻いて塞ぐ位しか思い付かねぇや。
大雑把で応急処置的な補修だが、まあやってみるか。
煌焔(ビームシールド)の『盾受け』で蒸気をある程度防ぎつつ、『気合い』で熱さを耐えながら作業。根性の見せ所だぜ。
急に蒸気が噴き出してきたら、『第六感』と『見切り』で瞬時に回避ってな。
だが新入生が蒸気に晒されそうになったら、そこは『かばう』とするか。火傷でもされたら大変だしよ。
後、高い所の補修は任せな。背丈がある方だからな。



●ヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)
 ゼロとやいやい言い合いながら、茶虎のショーはまだ作業を続けてる。それ以外の新入生たちはサウナじみた通路を渡り終えた。
 帰りも同じ道を通るとは限らないから、もう修理する必要はないわけだが――
「完全に直しておきたいよね。だって、後からまた誰か来るかもしれないし」
 ――と、テンが皆に提案した。
「先輩の仰るとおりです!」
 大声で賛成した新入生は白猫のケイン。自分の半分くらいの年齢であろうテンのことを完全に先輩として認めているようだ。もしかしたら、四分の一の年齢でも認めるかもな。
「無知蒙昧で用管窺天なる私は後続のことなど微塵も考えておりませんでした! ただただ恥じいるばかりですっ!」
 あいかわらず、ハイテンションで暑苦しい野郎だぜ。それでなくても、蒸気のせいでめちゃくちく暑いっていうのに……。
 まあ、しかし、テンの言ってることは正しいよな。この惨状を放って、ダンジョンの奥に進む気にはなれない。やれるだけのことはやっておくべきだ。
「そうと決まれば、さっさと直してしまいましょう。いつまでもこんな暑い場所にいたくありませんから」
 晴夜が言った。無表情だから、あまり暑がってるようには見えないが。
「おまえ、修理とかできるのか?」
 俺が尋ねると、晴夜は無表情のままで肩をすくめてみせた。
「不毛な質問はやめてくださいよ、ヴェイゼルさん。私にできないことがあるとでも?」
『料理はできなかったじぇねえか』と俺が指摘するよりも早く、晴夜は鍵盤でも叩くように十指を蠢かせた。
「もっとも、修理するのは私ではなく、この優しく可愛いニッキーくんですけどね」
 指輪についた細い糸が迷宮の淡い灯りを照り返して己の存在を示し、次の瞬間には虚空に紛れ、そして、また灯りを照り返し……複雑かつ奇妙な動きによって、先端に繋がれた大型のからくり人形に命を吹き込んでいく。
 歪な頭をした、おそろしく悪趣味なからくり人形だ。たぶん、こいつが『ニッキーくん』とやらなのだろう。
 ちなみに悪趣味ってのは俺の主観だぜ。一部の女子供は『キモカワイイ』とかいう評価を下すかもな。

●バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)
 晴夜さんの操るニッキーくんがのっしのっしと通路に進んで、パイプやバルブをいじり始めたにゃ。力が強いから、錆ついたバルブも簡単に回してる。驚くべき怪力だけど、生き物みたいな自然な動きにも目を見張っちゃうにゃあ。
「人形遣いって、凄いんだにゃ」
「いえ、人形遣いという職業全般ではなく、私という個人が凄いのですよ。もっと褒めてください」
 晴夜さんは澄まし顔でそう言ってのけると、ニッキーくんを動かし続けながら、新入生たちのほうを見た。
「何事にも適材適所というものがありますからね。自力で解決するのが無理だと悟ったら、私のような優れた存在に素直に頼る――その選択は実に正しいです。ただし、なにもせずにボーっと見ているだけでは駄目ですよ。今、できることをしてください。無理のない範囲でね」
「今、できる……ことって……たとえば……なに?」
 と、訊いたのはブチ模様のリュブさん。言葉が途切れ途切れになっているのは、お弁当をもぐもぐ食べてるからにゃ。
「たくさんあるじゃないですか。次に使う道具を用意したり、未修繕の部分をチェックしたり、暑い中で作業している人を扇いであげたり、そして、このハレルヤを称賛したり、絶賛したり、激賛したり、熱賛したり……」
「では、不肖ながら、このケインが礼賛させていただきます! さすが、先輩! 秀外恵中! 英明果敢! 有智高才!」
 メガネのケインさんがまた難しい言葉を並べ始めたにゃ。
 晴夜さんを褒めるのはケインさんに任せて、ボクはパイプを修理するにゃ。
「テンさん。アレをお願いにゃ」
「任せて!」
 テンさん、本日二度目の『ガジェットショータイム』!
 さっきのパーティーでは特製蒸し器を召喚したけど、今回は――
「――じゃじゃーん! 二人分の工具箱と軍手だよ!」
「この軍手、ケットシーにぴったりのサイズだにゃ」
「うん。それに大事な肉球を守れる耐熱仕様なんだ」
 至れり尽くせりだにゃあ。ケインさんはテンさんのことも褒めるべきだにゃ。

●テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)
「トリニティ・エンハンスの水の型よ、我に力を示せ! ……なのにゃ!」
 バロンさんが『トリニティ・エンハンス』を使って、水の魔力を両手に集中させた。耐熱仕様の軍手を水の膜が覆っていく。軍手と水の二重構造。これなら、熱い蒸気もへっちゃらだね。
 それにしても、この水の魔法は綺麗だなー。キラキラ光ってプヨプヨ波打つ美味しそうなゼリーの中に手を入れてるようにも見える。バロンさんはボクの『ガジェットショータイム』に感心してたみたいだけど、こんなに不思議で面白いものを生み出せるバロンさんのほうこそ凄いよねー。
 おっと、水のグローブに見とれてる場合じゃない。修理、修理。
「まずはパイプをしっかり冷やすにゃ」
 水と軍手で守られた手でバロンさんがパイプを掴んだ。
 ジューッ! ……という音がして、亀裂から漏れ出ていた蒸気とはまた違う湯気が濛々とあがったけど、暫くしたら『ジューッ!』が『しゅうぅぅぅ~』に変わって、その湯気は治まった。
「さあ、今のうちにゃ」
「うん。バロンさんはそっちを押さえておいて」
 亀裂のある箇所を金属片で覆って、トンテンカントンテンカンと打ちつける。リズムカルな音が心地良いー。
「しっかし、地味な作業だね」
 僕らの作業を手伝いながら、ブチ模様のリュブさんが言った。言葉はもう途切れ途切れじゃない。だって、すべてのお弁当を食べ尽くしちゃったから。
「そりゃあ、アルダワ魔法学園の生徒の仕事は災魔と戦うことだけじゃないからね。探索とか捜索とか調査とか、地味なことは多いよ。でも、地味なことも大事なんだよー」
「地味なことも大事、か……そうかもしれないな」
 と、感心したように呟いたのは、ボクらの横で別のパイプに粘着テープをぐるぐる巻いていたヴェイゼルさん。バロンさんは水の手だけど、ヴェイゼルさんは炎の手。魔法のアイテムらしき革手袋から炎みたいな揺らめきが出て、蒸気を防いでいるんだ。
「勉強になるぜ」
「勉強? ヴェイゼルさんって、ボクなんかよりもいっぱい経験を積んでいるように見えるけどなぁ」
「いや、確かにいろんな経験をしてきたが――」
 ヴェイゼルさんはボクを見下ろして、ニヤリと笑った。
「――ダンジョンを探索するのはこれが初めてなんだ」

●夏目・晴夜(不夜狼・f00145)
「先輩の多謀善断には感服するばかり! 先輩こそ、我が目標! 見賢思斉でありまーす!」
 ケインさんはまだ私を褒め続けています。彼は四字熟語を多用する傾向がありますが、この私をたったの四字で褒めるのは無理がありませんか? 最低でも四百字は必要だと思いますよ。
「あー! 手が届かないにゃー!」
 おやおや。バロンさんが助けを求めていますね。高い位置にあるパイプに悪戦苦闘しているようです。
 四百字以上で賞賛されるべき私の出番ですね。ニッキーくんはやたらと大きいですから、高いところにも手が……あ? ニッキーくんを行かせるまでもなく、ヴェイゼルさんが動きましたよ。
「高いところの修理は任せな。背丈はあるほうだからな」
「ありがとにゃ」
「いいってことよ……あ!? おい、そこどけ!」
 高い位置のパイプを直し始めたヴェイゼルさんでしたが、いきなり叫び声をあげたかと思うと、足元にいた新入生(私に料理を教えてくれたブチ猫さんです)を蹴飛ばし、身を屈めました。
 次の瞬間、パイプから噴き出した蒸気がヴェイゼルさんの姿を覆い隠しました。こうなることを察知して、彼はブチ猫さんを庇ったんですね。
「大丈夫か?」
 蒸気が晴れると、ヴェイゼルさんがブチ猫さんに尋ねました。
「ヴェイゼルさんこそ、大丈夫ですか?」
 テンさんがそう言ったのも当然です。ブチ猫さんは(強く蹴られたにもかかわらず)無傷ですが、ヴェイゼルさんはちょっと火傷を負ったようですから。
「大丈夫だよ」
 と、なんでもないような顔をして答えた後、ヴェイゼルさんは付け加えました。
「俺もダンジョン一年生だが、無様な姿は見せられねえからな」

 それから三十分ほどの作業を経て――
「ぜーんぶ、修理できたにゃ!」
 ――と、バロンさんが宣言しました。
 そして、新入生たちに自分の手を示しました。
 水の皮膜に包まれた小さな手を。
「ユーベルコードというのは戦いだけに使うものじゃないにゃ。こういう風にちょっと応用すれば、どんな時でもどんな所でも役に立つのにゃ。だから、いろんなユーベルコードについて勉強することはとっても大切なのにゃ! 判ったにゃあ?」
「はい!」
 と、答える新入生たち。
 きっと、パイプの修理という地味な作業を通して、彼らは成長したことでしょう。
 僅かに、ちょっぴり、ほんの少し、ミリ単位で。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『スチームドローン』

POW   :    機関暴走
【過熱状態での突進】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自爆】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    スチームブラスター
【機体下部に搭載された蒸気熱線銃】を向けた対象に、【精確な射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    戦闘データ送信
戦闘力のない【観測用スチームドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【次章のボスへとそれらの情報が送信される事】によって武器や防具がパワーアップする。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●幕間
 パイプの修理を終えた一行は大きなトラブルに見舞われることなく(ブチ猫のリュブが空腹で気を失いかけたが、それはトラブルのうちに入らないだろう)三十分ほど歩き回った末、迷宮らしからぬ区域に足を踏み入れた。
 どのあたりが迷宮らしからぬのかというと……まず、異様に広い。球技のコートやダンスホールとしても使えそうだ。
 そして、天井がやけに高い。しかも、明るい。ランタンに似ていなくもない無数の照明器具が格子状の梁から吊り下げられ、魔法の光でこの大広間を照らしている。
「むむむっ!? 奇怪千万!」
 天井を見上げて、白猫のケインが驚愕の声をあげた。
 いくつかの照明器具が梁から離れ、プロペラを展開して皆の頭上を舞い始めたのだ。
 いや、それらは照明器具ではなかった。
「初めて見ましたが、これが災魔ですね!」
 ケインが再び叫んだ。
 それに反応するかのように、災魔たちは下部に備わった銃器のようなものを動かした。狙いをつけようとしているのだろう。
 しかし、新入生たちは(一部の者を覗いて)怯むことなく、プロペラを有した災魔――自律飛行型ガジェットの群れに戦いを挑み始めた。
「怯防勇戦! 攻めて攻めて攻めまくります!」
「ヤマトダマってやるわ!」
「一体残らずスクラップにしてやんよ」
「こ、こ、怖いけど……プロペラお化けなんて、鉄拳制裁してやるぅ!」
「お腹すいた」
 新入生とはいえ、彼らはアルダワ魔法学園への入学を許された者たち。そう、疑似ユーベルコードとでも呼ぶべき魔術や武術を使う対災魔の専門家だ。その戦闘能力は一般人とは比較にならない。
 だが、しかし、本物のユーベルコードを使う猟兵には遠く及ばない。
 おまけに経験が足りない。あまりにも足りない。まあ、パイプ修理の経験はあるが。
「あーん! ヤマトダマってるのに攻撃が当たんなーい!」
「疾風迅雷! 電光石火! 目にも止まらぬ我が一撃を……あれ? 敵が視界から消失しました」
「ケイン! 後ろ、後ろ!」
「ふみゃあぁぁぁーっ!?」
 本人(本猫?)たちは真剣なのだろうが、災魔に苦戦する彼らの姿は、猫じゃらしに翻弄される子猫を彷彿とさせた。
 
城島・冬青
ヤマトダマるとは…?(宇宙猫顔)
ま・まぁいいか
本来とは別の意味で伝わっちゃった単語とか外国あるあるだもんね!

焦りは攻撃が当たらないどころか
ミスや同士討ちの危険を招くよ
まずは落ち着いて深呼吸
敵の動きをよく見てね
自分が敵だったら相手にどういった攻撃をされたら嫌か考えて敵の動きを予測してみて?

新入生達が怪我をしないうちに加勢して
ドローンを攻撃!
弱らせたり動きを鈍らせるよ
トドメが撃てそうなら新入生に任せてみる
新入生が被弾しそうになったら技能【武器受け】で【かばう】

まぁ最初は誰しも上手くはいかないものだよ
私もここにいる先輩達もそうだったんだから
失敗は成功のもと!苦い経験も明日の糧になるんだよ

アドリブ歓迎


リヴェンティア・モーヴェマーレ
▼アドリブ&他の方との絡み
大歓迎!
もり盛りのモリでも大ジョブです

▼本日のメインの子
響(戦闘特化なハムスター)
他の子が居ても全然大ジョブです

▼【WIZ】
スチームドローンって見た目はとってもカッコいいですネ
カッコいいノデスガ…ごめんなさい…壊し…――壊せば良いんですヨね…?(何となく不安になって周りを確認)

UCでハムスター型の機械兵器を出現させて攻撃デス!
勿論リーダーはひびちゃん(響)ですヨー!
その間に[ハッキング]して戦闘データ送信する際に誤情報を流してみたりしたいデス
ちょっとオモシロ系なネタとか入れてビックリさせたい気持ち

攻撃には[オーラ防御]等を使用して少しでもダメージ軽減をしたい気持ち


夏目・晴夜
真剣であることはかなり伝わってくるのですが、
子猫みたいで可愛いですね

ウロチョロしているドローンの影を片っ端から【憑く夜身】で操り、
その影をドローンのプロペラに絡みつかせて動きを封じていきます
ほら、攻撃を当てるための絶好のチャンスですよ
世間に褒められるような格好良さでスクラップにしていってくださいね

貴重な経験を積んで頂くためにも攻撃は新兵たちに任せたいところですが
新兵の身が危ない時には妖刀を投げてドローンを【串刺し】にしたり、
からくり人形のニッキーくんの【怪力】で一気に【なぎ払い】させます

初陣なんですから、皆で怪我無く帰還できれば十分上等です
全てが無事に終われば肉でも食べて一息つきたいものですね


ジェリー・ワイルダー
あーあー何やってんだか。対災魔の手本ってのを見せてやらねえとな。

敵を空中で自由にさせちまうと不利だな。面倒でもフック付ワイヤーで一体ずつ引きずり降ろそう。〈投擲+スナイパー〉(←狙い撃ち)
もし敵の揚力が意外と強くて、こっちが持ち上げられそうになったら、登ってプロペラの付け根をブラスターでブチ抜いて、下へ落っことしてやるか。〈零距離射撃〉

「さてジムピー。ご指名だ!」鉄拳制裁。そうそう、お前がする方な。
「カッコイイとこ見せてくれよ!」

【クイックドロウ】でチビ達を掩護しつつ敵を破壊。〈掩護射撃+恩返し〉
「…グスっ……これからたくさん勉強するんだぞ。頑張れよ!」
■SPD対策:気合で耐える〈激痛耐性〉


テン・オクトー
【CSF】バロンさんと参加
新入生さんが思いのほか果敢に戦っててびっくりしたよ。ボク初めての戦闘はオロオロしっぱなしだったのに。すごいなぁ。でもちょっとおされてるかな?

WIZ
バロンさんと一緒に少し遠巻きに
UCでこっそりサポート。
UCの【竜巻】効果で敵の進行を鈍らせたり、新入生さん達の被弾時に風で受け止め衝撃和らげてみるね。可能ならドローンも落とすの手伝おうかな。

危ない時は(武器フレイル、丸盾)を持ち直接援護するよ。【盾受け、見切り、気絶攻撃】

仲間と連携して戦闘するとうまく行く事もあるんじゃないかなあ?試してみる?

連携アドリブ歓迎です


アリシア・マクリントック
あら、かわいい……ではなく!大けがをする前に早く助けてあげないと!
……でも、せっかくだからかっこいい所を見せちゃいましょうか。変身!
【セイバークロス】に変身して戦います。【マリア】には生徒を守ることに専念してもらいましょうか。

「空を飛ぶ相手ならばこれです!奥義・八艘翔び!」
飛行機械であるなら上方への攻撃は苦手と見ました。それに、これなら突撃されても他の方から引き離すことができるでしょう。自爆に巻き込まれる方を減らせるはず。

それにしてもケットシーの方たちはかわいらしいですね……


セツナ・クラルス
遂に本格的な実戦体験ができそうだね
幸い、猟兵の数も多いし戦闘自体は何とかなるだろう
という訳で、我々は後方で支援をするとしよう
心配はいらないよ
先ほどのパイプ修理の様子を見て確信したんだ
あなた方のポテンシャルは相当高い
経験を積めば、私程度すぐ追い越してしまうだろうね

さて、焚き付ける(これもヤマトダマす(騙す)と形容すればいいのだろうか)だけではいけないね
ゼロと私は
彼らが戦いやすくなるようフォローを
氷や水のつぶてを敵の攻撃にぶつけて勢いを殺したり、
土壁を生成し一時的な避難場所を設置しておこう
但し、急ごしらえの為強度はそれなり
戦場に完全な安全地帯があると期待してはいけないよ
さあ、あと少しだよ、頑張ろう


ヴェイゼル・ベルマン
翻弄されてんなぁ
まあ初めての戦いなら仕方ねぇか
さて、手本になれるような動きが出来りゃ良いけどな

新入生ども、落ち着け
集団戦は死角から攻撃を受ける事も多いな、さっきのケインみてぇに
だが俺達は一人で戦ってる訳じゃねぇ、仲間との連携を意識して動くと良いぜ
『勇気』を出して戦うとしようぜ

氷『属性』の【旋風撃】で『範囲攻撃』
プロペラを凍らせて動きを鈍らせてやらあ(『マヒ攻撃』)
これでちったあ新入生の攻撃も当たるようになるんじゃね?

敵の攻撃は『第六感』と『見切り』で回避
避けきれねぇなら『武器受け』で防ぐ
隙を逃さず『カウンター』を仕掛けるぜ

新入生が攻撃を食らいそうなら『ダッシュ』で割り込み『かばう』
やらせるかよ


バロン・ゴウト
引き続き【CSF】テンさんと協力するのにゃ。

新入生の皆、とっても頑張ってるのにゃ!けどなかなか敵を捕らえられないみたいだにゃ。

基本的にはサポート、【アイリスの嵐】の広範囲攻撃で敵の動きを止めたら後は新入生の皆にお任せにゃ。
「すばしっこい敵は、まず動きを止めるのにゃ!アイリスの花びらよ、敵を討ち落とすのにゃ!」

新入生の皆が敵を攻撃中は周囲を見張るのにゃ。
敵が無防備な仲間に突進してきたら割って入るのにゃ!
「おっと、そうはさせないのにゃ!」

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。


英・明夜
かわ…(手で口塞ぎ)、いけない、いけない。
危なくなければ眺めていたいけど、そういうはいかないよね。

範囲攻撃をしようとしてる仲間とは範囲がなるべく重ならないようにして、神桜爛漫で災魔を攻撃!
どかーん!みたいな迫力は無いけど、少しは格好良く…というか、お手本になるかなあ。

それでね、災魔の数が減ったら、新入生さん達だけで、協力して一体、倒してみて欲しいな。
死角を補うとか、合図で一斉に攻撃するとか。
それが難しければ、明夜もちょっぴりお手伝い。角に追い込むとか、動きが鈍いのを教えるとか。
成功しても失敗しても、勉強になるし。

討伐が済んだら、新入生さん達を労うね。
お疲れ様。いつかまた、一緒に探険しようね!



●ジェリー・ワイルダー(野良猫・f15817)
 あーあー、なにやってんだか。新入生どもめ、完全に手玉に取られてんじゃねえか。見てらんねえな、おい。
「かわ……いけない、いけない」
 明夜が手で自分の口を塞いだ。まあ、なにを言いかけたのかは察しがつくけどよ。
「かわいい!」
 そう、『かわいい』と言いかけ……って、誰だよ、はっきりと口にしたのは?
「あ! そんなことを言ってる場合じゃありませんでしたね!」
 アリシアか。まったく、もう。人間の娘っ子ってのは、すぐに俺たちケットシーを小動物扱いしやがる。
 ここは一つ説教でも……と、思ったが、俺が口を開く前にアリシアは行動を起こした。
「変身!」
 ゴツいバックルを付けたベルトが光を放ったかと思うと、次の瞬間には白銀の装甲服がアリシアの体を覆っていた。
「なんだよ、こりゃ?」
「量産型戦闘用特殊強化装甲セイバークロスです」
 思わず尋ねた俺にそう答えて、装甲服姿のアリシアは床を蹴り、天井にぶつからんばかりの勢いで舞い上がった。
「空を飛ぶ相手ならば、これです! 奥義、八艘翔び!」
 一匹のドローンの上に降り、幅広の剣を叩きつける。そのドローンが姿勢を崩して落下する前にアリシアはすぐさまジャンプ。傍にいた別のドローンに乗って、また剣で攻撃。そして、素早く三匹目のドローンに乗り移り、剣を突き入れ……と、ぴょんぴょん跳ね回りながら、敵を攻撃していく。
「やはり、この種の飛行機械は上方への攻撃は苦手のようです」
 八艘どころか十六艘くらい踏みつけながら、視線をちらりと下にやるアリシア。
 俺と目が合うと、にこりと微笑みやがった。
「それにしても、上から見てもケットシーのかたたちはかわいらしいですね」
 だから、『かわいい』はやめろってば!

●夏目・晴夜(不夜狼・f00145)
 アリシアさんが言うとおり、ケットシーの新入生たちが右往左往する様は可愛いです。真剣であることは十二分に伝わってきますが。
「カッコいいデザインのドローンですケド、壊しちゃっても……いいんですヨね?」
 自信なげな顔をして、周囲をきょろきょろと見回しているのはリヴェンティアさん。私やアリシアさんと同年代らしきお嬢さんです。ミレナリィドールなので、実年齢は判りませんけどね。
「ええ、壊していいんですよ。というか、壊さないといけないんです」
 私がそう言うと、リヴェンティアさんは安堵の笑みを浮かべました。
「そうでスか。じゃあ、壊しチャウ気持ち。出番ですヨ、ひびちゃーん!」
 リヴェンティアさんの携えていた剣が灰色のハムスターに変わりました。おそらく、橙の璧で身を飾ったこのお洒落なハムスターさんが『ひびちゃん』なのでしょう。ケットシーに負けず劣らず可愛いですね。
 しかしながら、いかに可愛かろうと、たった一匹でドローンたちに対処するのは……おや? 一匹じゃありませんね。ネズミ型の小さな機械がどこからともなく湧いて出てきましたよ。リヴェンティアさんがユーベルコードで召喚したのでしょうか。数は軽く百を超えているようです。
「ちゅーっ!」
 ひびちゃんが勇ましくも可愛い声をあげると、ネズミ型の機械群は壁や柱を素早く登り始めました。ある程度の高さに達したところでジャンプして、空中の敵に体当たり。その捨て身の攻撃によって、ネズミ型機械は次々と消滅していきますが、ドローンの軍団に確実にタメージを与えています。
「ちゅー! ちゅー! ちゅぅぅぅーっ!」
 鳴き続けるひびちゃん。ネズミ型機械たちに指示を出しているのか。あるいは声援を送っているのか。なんにせよ、なかなかの奮闘振りです。
 では、私も奮闘するとしますか。

●アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)
 ドローンからドローンへと飛び移りながらの空中戦。高い場所にいるおかげで、下にいる皆さんの様子を俯瞰することできます。
「どうぞ、存分に――」
 晴夜さんが腕を伸ばし、指を突き出しました。
 指がさしているのは、床に映る小さな影。
「――自分の影とお遊びください」
 すると、影の主であるドローンが空中で停止しました。私にはなにも見えませんが、晴夜さんの指先とドローンの影との間がなにかで繋がり、その『なにか』がドローンの動きを封じているのかもしれません。
「ほら、攻撃を当てる絶好のチャンスですよ」
 影を指さしたまま、晴夜さんが新入生たちに攻撃を促しました。
「世間に褒められるような格好よさでスクラップにしてやってください」
 格好よさはどうでもいいような気がします。
「明夜も皆のお手本になるように格好よく決めないと……」
 あらあら。明夜さんまで、格好よさにこだわってますよ。
「御神木の裔よ! 霞の如く、嵐の如く、桜花咲かせませ!」
 凛とした声で明夜さんがユーベルコードを詠唱すると、彼女の持っていた薙刀が無数の桜の花片に変わり、ドローンたちに襲いかかりました。広範囲の敵を攻撃する技ですが、他の猟兵や新入生たちの攻撃範囲となるべく重ならないような位置取りをしていますね(上から見ているので、一目で判ります)。さすがです。そういう配慮こそがなによりも格好いいと思いますよ。
「不肖、ケイン・オーワシー! 夏目先輩のご厚意に甘え、威風堂々、格好よく敵をスクラップにしてみせまーす!」
 明夜さんが意図的に攻撃範囲から外した体――晴夜さんのユーベルコードに捕まったドローンに向かって、白猫のケインさんが突進していきます。
「とぅりゃあーっ!」
 雄叫びとともに剣を突き出し、ドローンを仕留めるケインさん。ダイナミックなポーズを決めていますが……ごめんなさい。格好よく見えません。
「どうですか、夏目先輩! 格好よかったですか?」
「ええ、格好いいですよ」
 晴夜さんは白い犬の人形(この空間、かわいいものが多すぎませんか?)を手にしたかと思うと、そこから小振りの刀を抜き、無造作に投擲しました。
 その刀はケインさんの横を一直線に通り過ぎて――
「もっとも、私の格好よさにはまだまだ敵いませんけどね」
 ――彼の背後に迫っていたドローンを刺し貫きました。

●リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)
「ケインは晴夜や明夜に任せておくとして……他の奴らは落ち着け!」
「そうそう。ちょっと落ち着こっか?」
 悪戦苦闘を続けてる新入生たちにヴェイゼルさんと冬青さんがアドバイスしてマス。
「焦りすぎると、攻撃が当たらないどころか、ミスや同士討ちの危険を招くからね。はい、深呼吸、深呼吸ぅ」
 冬青さんの言葉に従って、一斉にスーハースーハーと深呼吸するケットシーたち。すぐ傍で他の猟兵さんたち(私のひびちゃんやちっちゃなネズミ型機械タチも)が戦っているというのに、平和でかわいい光景ですネ。
 皆が深呼吸を終えるまで待ってから、ヴェイゼルさんは言いマシした。
「集団戦ってのは、死角から攻撃を受けることが多い。それを防ぐためにも仲間との連携を意識して動くんだ」
 さすが、皆の頼れる先輩。いえ、ここまで来ると、『先輩』よりも『先生』と呼びたい気持ち。
「あと、敵の動きを予測することも重要だね」
 冬青さんが助言すると、ブチ猫のリュブさんが首をかしげました。
「んー? どうやって予想すればいいのー?」
「自分が敵だったら、相手にどういった攻撃をされたらイヤか――それを考えて動くのよ。じゃあ、実戦で実践してみよう!」
「はーい!」
 新入生たちは元気よく返事をスルと、各々の武器を構えて、改めてドローンたちに挑みかかりました。
 その様子を先輩らしい眼差しで見守る冬青さんとヴェイゼルさん……いえ、見守るダケでは終わりマせん。
「この愛刀『花髑髏』の――」
 冬青さんが掲げたのは、鍔に花と髑髏の彫り模様が入った刀。
 天井に突きつけられた刀身が漆黒に変ワッテいきます。
「――本当の姿を見せますね」
 そして、冬青さんはドローンの群れに切り込み、新入生たちと一緒に戦い始メマした。
「さて、俺も手本になれるような動きができりゃいいんだが……」
 そう言って、ヴェイゼルさんも戦場に飛び込みました。
 尻尾の先に火が灯ッタ小さなドラゴンと一緒に。

●城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)
「見ててください、センパイ! ヤマトダマってやりますから!」
「うんにゃ。オラのほうがヤマトダマるだよ!」
「No! No! ミーこそが真のヤマトダマラーですね!」
 新入生たちが張り切って戦ってる。それはいいんだけど……うん、べつにいいんだけど……どうして、ヤマトダマシイという言葉が本来の意味から何万光年も離れてるのぉ!?
 まあ、いいか。今は余計なことを考えずに私もヤマトダマろう。吸血武器に変化させた『花髑髏』でもって、敵を斬って、斬って、斬りまくーる!
 あ? こんな時にお腹が鳴っちゃった。恥ずかしいな、もう。『花髑髏』を変えるユーベルコードを使うと、一日分のカロリーを消費しちゃうんだよね。
「きじまセンパーイ」
 錆猫のジムピーくんがちょこまかした足取りで近付いてきた。
「今、おなかがグゥーって鳴ったでしょ? よかったら……これ、食べて。僕、取っといたの」
 ジムピーくんが差し出したのは、小さなドロップの缶。泣かせるじゃないの。弁当を食べ尽くしたリュブくんに見習ってほしい。本気で見習ってほしい。
「いいのよ、ジムピーくん。ドロップは皆で後で食べよ。今は戦いに専念しようか。ね?」
「おーい! 見とけよ、ジムピー!」
 私の言葉に合わせたのかどうかは判らないけど、ジェリーさんがジムピーくんに呼びかけた。
「敵を引きずり降ろしてやっからよ」
 フック付きワイヤーをぶんぶん振り回して勢いをつけてから、ジェリーさんはそれをひょいっと投げた。見事、ドローンの一体に命中。でっぱりにフックが引っかかってる。
 あとはワイヤーに体重をかければ、ドローンが落ちて……って、あれ? ジェリーさんの足が床を離れて、どんどん浮かび上がってるぅ!? 体重が軽すぎたんだねー。
 でも、女子としては羨ましいかも。

●テン・オクトー(ケットシーのシャーマン・f03824)
「引きずり降ろされるのはお気に召さないってか? だったら――」
 ジェリーさんは慌てず騒がず、ワイヤーをするすると登り、ドローンに取りついた。
「――撃ち落としてやるぜ!」
 プロペラの付け根にピストル(に見えるけど、本当は光線銃みたい)を突きつけて……バーン! こういうのをゼロ距離射撃っていうんだっけ?
 プロペラを壊されたドローンは床にまっさかさま。でも、ジェリーさんは床に激突する前にドローンから離れて、くるりと着地。
「さて、ジムピー。ご指名だ!」
 ジェリーさんにまた名前を呼ばれて、ジムピーさんが体をびくりと震わせた。
「……て、鉄拳制裁するのぉ?」
「そうそう。おまえがするほうな。カッコいいとこ、見せてくれよ!」
「うん」
 墜落したドローンに恐る恐る近付くジムピーさん。
 そして――
「てっ! けん! せぇ! さぁーい!」
 ――メイスを何度も叩きつけて、ドローンをスクラップに変えた。やったね。
 でも、あたりまえのことだけど、ボクたちが一方的に攻めているわけじゃない。敵も反撃してる。蒸気熱線銃を撃ったり、体当たりしてきたり、観測用スチームドローンを呼んだりして。
 それなのに新入生が大きな傷を負ってないのは、猟兵の皆が守ってるからだよ。
 たとえば、セツナさん。属性魔法かなにかを使って土で壁を作り、盾にしてるんだ。グゲンカさせたゼロさんと一緒に。
「とはいえ、急ごしらえの防壁だからねえ。強度にはあまり期待しないように……」
 と、セツナさんが言ってる間に壁が崩れた。ドローンたちの攻撃を受け続けて限界に達していたんだね。
「めんどくさい上に虚しいよな。敵に壊されることが判ってるのに壁を築くってはよぉ」
 ぶつぶつと不平を並べながら、ゼロさんがまた壁を生み出し始めた。
 無防備になった彼や新入生を守るため、セツナさんは魔法で氷の礫を飛ばし、敵を牽制してる。
 新入生たちに語りかけながら。
「これで判っただろう? 戦場には完全な安全地帯はないのだよ。だから、どんな時も油断しないように」
 もしかして、このことを教えるために壁をわざと壊れやすくしたのかな?

●ヴェイゼル・ベルマン(焔斬り・f13471)
「いくぞ、焔々!」
 俺の叫びに応じて、小型ドラゴンの焔々がハルバードに変わった。尻尾の炎の熱が微かに残る柄を両手で受け止め……思い切り、ブン回す! これぞ、ユーベルコード『旋風撃』。
 回転から生まれた強風を受けて、ドローンどもの動きが鈍っていく。プロペラが凍りついてるからな。『旋風撃』には任意の属性の力を込めることができるので、今回は氷にしておいたんだ。
「今のうちにやっちまえ!」
「さすが、イケメンだわー!」
 真っ先に答えてドローンに攻撃を加えたのは黒猫のジューン。俺もイケメンの枠に入ってるのかよ……なんか、あんまし嬉しくねえんだが。
「うんうん。すばしっこい敵は、まず動きを止めるべきなのにゃ!」
 と、イケメンと呼ぶには十年早いバロン(いや、ジューンのことだから、八歳児でもイケメン扱いするかもな)が言った。俺と同じことを考えていたらしい。
「アイリスの花びらよ、敵を討ち落とすのにゃ!」
 バロンの持つ金色のレイピアが数え切れないほどの花片に変わり、ドローンの群れにまとわりついてダメージを与えていく。氷と花片で飾られたドローンの姿はなかなか乙なものだが、本人(本機と言うべきなのか?)にとっては災難だろう。
 当然、動きも更に鈍くなった。その隙をついて、新入生たちも激しく追撃した……と言うと、なにやら勇ましい感じがするが、猟兵ほどの戦闘力がない上に見た目がケットシーということもあって、いまいち迫力に欠ける。
 それに比べて、あいつは嫌な迫力があるな。
 そう、晴夜のからくり人形のニッキーくんだ(べつに『くん』付けする義理はねえんだが、なぜか呼び捨てする気になれない)。
「新入生たちの援護をお願いしますよ、ニッキーくん」
 晴夜の指示に従って(というか、晴夜が直に操ってるわけだが)太い両腕を振り、敵の群れを薙ぎ払うニッキーくん。
 そして、その勇姿に熱い眼差しを送るジューン。
「ニッキーくん……イケメンだわ」
 おまえは、なんでもありか?

●セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)
 新入生たちは頑張っているけれど、疲労の色が見えてきたね。
 心が折れてしまう前にエールを送っておいたほうがよさそうだ。
「大丈夫だよ。あなたがたは絶対に勝てる」
 と、私は断言してみせた。
「先程のパイプ修理の様子を見て、確信したんだ。あなたがたのポテンシャルは高い。私たちなんかよりもずっとね」
「いや、いくらなんでも誉めすぎだろ」
 さすがのゼロも呆れ顔だけど、私は意に介さなかった。
「このような状況では大袈裟なくらいに誉めて、誉めて、ひたすら誉めたほうがいいんだよ。こういうのを『ヤマト騙ス』と言うのかな?」
「言わねえよ」
 と、ゼロは即座に否定した。
「絶対、言わない!」
 と、冬青君も(わざわざ戦闘の手を止めて)否定した。ゼロとのやりとりが聞こえていたらしい。
 まあ、『ヤマト騙ス』という新語は市民権を得られなかったけど、それなりに効果はあったんじゃないかな。新入生たちがまた踏ん張り始めたように見える。
 もちろん、猟兵のフォローがあるからこそだけどね。
「ご先祖様、力をお借りします!」
 ほら、言ってるそばからテン君がフォローしてるよ。なにやらユーベルコードを使って、自分そっくりのケットシーを召喚した。
「『ご先祖様』つったか?」
「うん」
 ゼロの問いかけに頷くテン君。
「ボクのひーひーひーひーひーおじいちゃんくらいかなあ?」
 テンくんの七代前のご先祖様は強力な竜巻を起こし、時にドローンたちの動きを鈍らせ、時のドローンたちの攻撃の機動を反らした。大活躍だけど、新入生たちからは距離を置き、なるべく目立たないようにしている。だから、大半の新入生は援護されてることに気付いていないようだ。
 ただ、あくまでも『大半』であって、全員ではない。ジューン君はご先祖様の存在にしっかり気付き、熱烈な秋波を送ってる。
「渋い! イケメン! チョー好みなんですけど!」
 間口が広すぎないかい?

●英・明夜(啓明・f03393)
「おっと!」
 頭の上から聞こえてきたのはアリシアの声。少し遅れて、爆発音も。
 視線を上げると、空飛ぶ災魔たちを踏み台にして戦い続けてるアリシアが見えた。たぶん、今のは災魔が自爆した音だね。でも、アリシアはなんとか回避することができたみたい。
 あ、そうか。きっと、アリシアが空中戦を選んだのは、自爆に巻き込まれる仲間を減らすためなんだ。敵と同じ高さで飛び回っていれば、仲間から引き離せるもんね。ぴかぴか光る装甲服よりも、華麗に舞う八艘翔びよりも、そういう配慮がカッコいい。
 それにアリシアの友達(なのかな?)もカッコいい。マリアって名前の狼なんだけど、四つの足で駆け回って、新入生たちを守ってる。
 もちろん、マリアだけじゃなくて――
「やらせるかよ!」
 ――ヴェイゼルも守ってる。新入生が攻撃を受けそうになる度に素早く走り、新入生と災魔との間に割り込んで、自分の体を盾にしてるの。
 でも、庇いきれないというか、庇いようのない特殊な攻撃もあるんだよね。災魔たちはチビ災魔(『観測用すちーむどろーん』って言うんだって)を次々と召喚してるんだけど、そいつらが災魔たちの能力を上げてるの。こればかりはどうしようもない。
 そう思ってたんだけど――
「あの観測用スチームドローンを放っておくと、戦いが長引く一方デスね。一気にかたづけまショウ」
 ――と、リヴェンティアがこともなげに言ってのけた。
「かたづけるって……どうやって?」
「私、電脳魔術師ですヨ」
 リヴェンティアは小さな宝箱を取り出した。もしかして、『はっきんぐつーる』とか呼ばれてるカラクリかな?
「細工はリューリュー、仕上げをゴロージロー!」
 宝箱を開けて、中に入ってるなにかを操作をした後、リヴェンティアは人差し指をチビ災魔たちに突きつけた。
「ちゅうぅーっ!」
 ひびちゃんがリヴェンティアと同じ姿勢を取り、甲高い声で鳴いた。
 その途端、チビ災魔たちの様子がおかしくなった。酔っぱらいみたいにあっちにフラフラ、こっちにフラフラ。
 そして、一斉に床に落ちた。
「戦闘データの代わりに、UDCアースで取得したモフモフな猫ちゃんの動画集を送信して、骨抜きにしてみまシタ」
 リヴェンティアがちょっと誇らしげに説明してくれてるけど……うーん。正直、半分も理解できないよ。

●バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)
「さあ、あと少しだよ。頑張ろう」
 セツナさんが新入生たちに発破をかけてるけど、それは『ヤマト騙シ』とかいうのじゃないにゃ。敵は本当に少ししか残っていない。勝利は目前にゃ。
 だけど、油断は禁物。ここまで追い込まれたら、きっと敵も死に物狂い……って、ことはないかにゃ。感情とかは持ってそうにないからにゃ。
 それでも、とにかく最後まで気は抜けないにゃ。
 あ? 煙を噴いたドローンがリュブさんに突っ込もうとしてるにゃ。
「そうはさせないのにゃ!」
 ボクはリュブさんの横手に回り込み、ドローンを撃退したにゃ。ちょっと離れた場所からユーベルコード『アイリスの嵐』で援護する――そういう方針だったけど、こうなったら、ガンガン前に出て攻めまくるにゃ! 新入生を守るために!
「ヴェイゼルさんも言ってたけど、仲間との連携は大事だよ。もっと連携を意識したら、うまく戦えるんじゃないか?」
 新入生たちに忠告しながら、テンさんも前に出てきたにゃ。フレイルと丸盾を構えて、やる気満々!
「よし、テンさん。ボクたちの連携を敵や新入生たちに――」
「――見せてやろう!」
 後を引き取って、テンさんはドローンめがけてフレイルをガツーンと叩きつけたにゃ。すかさず、レイピアをシュパっと繰り出すボク。我ながら……じゃなくて、我らながら、見事な連携攻撃だにゃ。
 他の猟兵たちも新入生と一緒に攻めまくり、あっという間に敵は一体だけになったにゃ。
 その敵に明夜が薙刀で斬りかかる! ……と思いきや、薙刀を引っ込めて、新入生たちのほうを見たにゃ。
「あのね。最後の敵は新入生さんたちだけで倒したほうがいいんじゃないかな?」
 なるほど。それもそうだにゃ。
 新入生たちも乗り気らしく――
「承知しました!」
 ――と、ケインさんが代表して答えたにゃ。
 そして、全員で武器を構えて、ドローンに襲いかかったにゃ。
「一撃必殺!」
「オラオラオラオラ!」
「ヤマトダマるわー!」
「てっ! けん! せぇ! さぁぁぁぁぁーい!」
「おなかすいたよぉーっ!」

 こうして、新入生はウイジンを勝利で飾ることができたんだけど……ケインさん、なんだか浮かない顔してるにゃ。ん? よく見たら、ケインさんだけじゃなくて、他の新入生もちょっと沈んでるにゃ。
「いったい、どうしたのにゃ? 勝ったんだから、もっと喜べばいいにゃ」
「いえ、こんなのは勝ったうちに入りませんよ」
 と、寂しそうな笑顔で答えるケインさん。お得意のヨンモジジュクゴが出てこないなんて、そうとう参ってるにゃ。
「だって、先輩たちがいなかったら、確実に負けていたでしょうからね。戦闘だけじゃなくて、パイプの修理の時もそうです。自分たちだけではなにもできなくて……本当に情けないです」
「いやいや」
 と、晴夜が首を左右に振ったにゃ。
「これは初陣なんですよ? 無事に帰還できれば、それで上等。この結果を『情けない』と評するのは、逆に自分を過大評価していることになります」
「そうそう」
 と、頷いたのは冬青さんにゃ。
「最初は誰しも上手くいかないものだよ。あなたたちだけじゃなくて、私や他の皆もそうだったんだからね。失敗は成功のもと! 苦い経験も明日の糧になるんだよ!」
 冬青さんはケインさんの背中を軽く(と言っても、体格差があるからけっこう重いかも)叩いたにゃ。
「新入生のみんなが果敢に戦ってたから、びっくりしたけどなー」
 これはテンさん。
「ボクなんか、初めての戦闘の時はオロオロしっぱなしだったよ。だから、みんなのほうが凄い!」
「そ、そうだ。おめえらは凄い……ああ、凄いとも。とても、立派だぜぇ……ぐすっ……」
 え? ジェリーさんが泣いてる!?
「たくさん勉強して……もっと立派になれよぉ! うぉぉぉぉぉん!」
「な、泣いてんじゃねえよ、オッサン! 新歓コンパじゃなくて卒業式みたいじゃねえかよぉぉぉぉぉん!」
 ショーさんまで泣き始めたにゃ。
 そんな涙もろい二人をにこにこと眺めながら――
「いつかまた、一緒に探険しようね!」
 ――明夜さんが元気な声で言ったにゃ。
 うん。いつか、同じメンバーで探検できるといいにゃあ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月08日


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#アルダワ魔法学園
#一人称リレー形式
#にゃんこ


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
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