6
スワンプ・スワン

#サクラミラージュ #影朧サアカス


●オディール
 現実――悪魔が滅ぶだなんて、ハッピー・エンドで結ばれるだなんて、在り得ない。鳥は鳥の儘で在り、人間なんぞには戻れず、怒り狂って、狂々とグラン・フェッテに縋るのみだ。ええ、ええ、私は知っています。私は『愛』と呼ばれるものが、如何に肉々しいのかを知っているのです。あの人は、私の事を大好きと謂ってくれたあの人は、何処までも何処までも、私のような小娘を、名声に汚れた踊り子を、籠の鳥のように痛めつけてくれたのです。ええ、ええ、きっと私のような真っ黒い鳥の事を、孤独の化身と呼ぶのでしょう。ですので、私はこの痛みを、悦びとして受け取る事にしたのです。どうぞ、お手柔らかにお願い致します。
 ご挨拶レヴェランス――あら、アナタ、こんな時間に、私に用事があるなんて、随分と、寂しそうなお顔をされている。……まさか。私が『ひとり』だからってお誘いに来たのではないでしょうね。その通り? その通りですって。また、私を殺すような文句で……。
 ――影朧サアカスを開きませんか?
 そんな、私のような、ハイカラにも成れない、未熟なものを導くだなんて、未熟なものに導けだなんて些か可笑しいのではないですか。おかしくない? それより、もっと踊りたいですって。はい、はい、わかりました。私は愛する事しか出来ませんが。
 見事に踊りきって魅せましょう……。

 我等『沼鳥団』、懸命に、這って終いましょう。

●グリモアベース
「孤独とは文字通りに『毒』だ。人を腐らせ、絶望させ、何れは消失させる病の類。では、其処に悪魔が……この場合は影朧だが……現れたら如何だ。たとえ俺だとしても手を掴むだろう。溺れる者は藁をも……そういう予知だ」
 グリモア猟兵、ロバート・ブレイズはとある動画を流していた。
 白鳥の湖――何幕かは不明だ。
「逢魔が時を歩いている、孤独な孤独な者が影朧に誘われたなら『サアカス』の開幕だ。孤独な者は『団長』として祭り上げられているらしい。この『団長』を救出するのが目的となる。因みにだが、貴様等、何か『芸』は出来るか? 今回は潜入から始まる故、練習が必要かもしれんな。さて、宜しく頼む」
 グリモアが輝いて。


にゃあら
 にゃあらです。
 白鳥はいない。

 第一章。
 興行中の『沼鳥団』に接触しサアカスを行ってください。
 このシナリオでは『踊り』に関係する場合、プレイングボーナスを追加します。

 第二章。
 団員、影朧達との戦闘です。
 団員達はテント内に存在する「サーカス芸に使用する小道具や設備」を操りながら攻撃してきます。
 此方も「道具、設備の利用が可能」です。

 第三章。
 残った影朧達が一斉に団長へと憑依。
 一般人である団長が強大な影朧の姿へと変わります。
 団長を無傷、正気で救うには『団長の孤独に寄り添うような説得によって影朧達の憑依を弱めることが必須』となります。

 宜しくお願い致します。
213




第1章 冒険 『乱入! 影朧サアカス興行』

POW   :    猛獣との格闘や怪力パフォーマンスを演じる

SPD   :    華麗なジャグリングやナイフ投げを演じる

WIZ   :    ド派手なイリュージョンを披露する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

 詐称する事に躊躇いはなかった。お父様に囁かれて、誘われて、誰かの真似をするのが大好きだった。それでも尚、私は、愛と謂う毒に侵されてしまったのです――。
 サアカスだ。サアカスがやってきた。
 この、神意プロヴィデンスにやってきた。
 泥の中を這うように、沼の底を知らぬように、莫迦みたいに騒いでいく。
 玉乗り、火の輪くぐり、それとついでの綱渡り。
 嗚呼、あれは、アレこそはきっと踊り子だ。
 サアカスの、沼鳥団の、主役と謂っても良い。
 ヤア、進めや進め、ハイカラさんがカラカラと転げるように。
 勿論、参加するのも自由だよ。
 ――団長だって喜んでくれる筈さ。
イリスフィーナ・シェフィールド
SPD判定

孤独はつらいですわよねぇ……。
一人ではないけれどやることなすこと貶されて
自分なぞいてもいなくても変わりないのでは
と思ってた時期ありましたので分かりますわ。
そんな状況で甘いことばに誘われたらころっと靡いてしまいますわよね(←女神様に靡いた人)
人の弱味に漬け込む影朧許すまじですわ。

ふむ、潜入するには一芸あった方が良いのですね。
踊りなら習ってましたのである程度は踊れますが。
ただここの踊りがどういったのかわからないので
見せていただいてそれを即興で真似して見せましょう。



 ピンク色の薄さに目を奪われて、刹那、散りいく運命さだめの誰かには気付けなかった。蓄えに蓄えたエネルギーを一瞬にして吐き尽くすかのように、乱れた女の末路と謂うものは常に汚いものと謂えよう。ああ、孤独。己の肉を蟲毒の糧としても、尚、孤独な女。そのつらさこそが何れ花開き、この、猛毒のような精神を育むのだ。……わたくしも、一人ではないけれど、やることなすこと貶されて、自分なぞいてもいなくても変わりないのでは、と。思っていた時期もありましたので……。女は女を理解する事に時を必要としなかった。女は女を理解する事に思考を必要としなかった。ええ、ええ、そんな状況で、そんな精神状態で、甘いことばに誘われたら、抱かれたら、ころりと、靡いてしまいますわよね。咽喉の奥から、脳髄の皺から、今にもこぼれてしまいそうな、女神様への想い。まったく反面教師が過ぎるのではないかオマエ、ころころと熟れている林檎め……。人の弱味に漬け込む影朧、許すまじですわ。その棘の向きをひっくり返さない事を祈っておく。
 サアカスの連中は、沼鳥団と名乗った連中は、ミスを知らないフリークスどもだった。白鳥と黒鳥の違いすらも演技わざで失くし、観客までもを騙してしまう悪魔の所業。見せていただいた。魅せられてしまった。なら、オマエもミスなく応えなければならない。これでもダンスは得意ですの。たとえ即興でも、完璧に真似してみせましょう。緞帳が嗤っている。その下には立つなと暗幕の揺れが重なった……。
 オディールのオマケとして上々なダンスを披露出来た。団員どもが喝采しオマエの存在を受け入れる。ああ、思っていたよりも気分が良いではないか。こんなにも褒められるなんて昇天してしまいそうではないか。終いではなく始まりに過ぎない。
 ――誰かに教育されるより、あたたかい。

成功 🔵​🔵​🔴​

樂文・スイ
そうだねえ、寂しいのは嫌だよな?
俺だって仲良くしてくれる奴らがいなくなったらバケモンとでも踊っちまうかもだわ。つってもこうして助けにくる俺らがいるんだから団長サンはガチのぼっちじゃないわけで、希望持ってほしいもんだよな。

てなわけで参加よろしくお願いしまっす!
諸手挙げてサーカスに飛び込むわ、人心掌握ならコミュ力と誘惑で任せてくれよなー
バカ騒ぎ好きなもん同士、あとは化かすの好きなもん同士でもあるか――まあ仲良くしようぜ?

俺ってナイフ投げ得意だし、それと狐火のお手玉しながらステップ踏んだらなかなかイカす踊りに見えねえかな? 宴会芸くらいにはなると個人的には思ってんすけど。楽しんでくれてりゃ幸いだね。



 人気無く、なんて文句を垂らしたクセに、喝采を浴びるサマは如何だ。
 火の気が無かろうと浮かぶ炎々、140の種としておく。
 スワンの腸を米まみれにしろ、香ばしい、汁気も上等なものだ。
 毒物に毒物を注いで、足して、無毒する方法は研究されてきた。確かに成功例も多いが、それは、真に毒物だった事の証明でしかない。偽物の方が、ああ、まったく毒々しいではないか。足しても混ぜても尚、その猛毒は直らない。いいや、寧ろ、現実とは加速するものだ。そうだねえ、寂しいのは嫌だよな? 俺だって仲良くしてくれる奴らがいなくなったら、バケモンとでも、死体とでも、踊っちまうかもだわ。ああ、鴨が葱を背負ってやってくるのを、見す見す、逃すワケにはいかないと、宣言するかの如くに狐は頬を抓んだ。摘み取られた芽の甘さに脳髄を麻痺させて、また、手を伸ばす。つっても、こうして、助けにくる俺らがいるんだから団長サンも、お嬢サンも、ガチのぼっちじゃないってわけで……。さて。木の上に実ったものは希望か絶望か。オマエ曰くは前者だが、果たして。てなわけで参加よろしくお願いしまっす! 諸手を挙げて、万歳を三唱して、極めた莫迦みたいにサアカスへの投身だ。詐術が得意な黒い鳥を喰らう、道化のような獣の沙汰。気が付けばしっかり仲間入りだ。騒いではしゃいで勝手に気儘に、類は友を呼ぶの具現とするが良い。あとは――化かし合いでケリを着けよう。もっとも、ケリなんてものは存在しないが。
 まあ、仲良くしようぜ? ナイフを投げたら百発百中、お手玉代わりの狐火ウィスプがご登場だ。其処にステップを仕込んだら、中々、悪くないステージの完成か。宴会芸くらいにはなると個人的には思ってんすけど、いや、存外、望外に楽しんでくれて何より。おお、幸い哉、嬉しい哉、影朧どもは節穴を良しとしている。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレニア・ファンタージェン
孤独?
孤独なら、エリィ、扱うのってとっても得意よ
体の傷は消せないけど、心の傷は曖昧にしてうやむやにして、何とでもしてしまえるでしょう?
ふふ!

サアカスの皆さん、踊りがとってもお上手ね
エリィは皆さんを引き立てる壁の花に…と言うには可愛すぎるから、どうしようかしら!
そうだわ、エリィ、幻術…ううん、奇術が使えるのよ
そう言うのってきっと観客にも喜ばれるのでしょう
それで皆さんのダンスを引き立ててあげる

でも、エリィも途中から踊りたくなってしまうかも!
エリィの踊りが上手くなくても、上手く踊れている風に「見せる」ことは容易いのよ
だから、ねぇ、あの踊り子さんよりもエリィの方が上手だし、エリィの方が可愛いでしょう?



 糞と尿の臭いから横たわった誰かの腐敗においまで、冷たく、柔らかく包んで魅せたのは何者も抜け出せない洞窟か。目と鼻の先に出口は在ると謂うのに、人っ子ひとつと帰りはしない。挙句の果てにはぎゅうぎゅうと、肉の塊で埋め尽くされた――孤独? 孤独なら、エリィ、扱うのってとっても得意よ。クエスチョン・マークも添えないで堂々と猟兵、オマエは煙を吹き掛けた。身体の傷は消せないけど、心の傷は、曖昧にしてうやむやにして、煙に巻いて、何とでもしてしまえるでしょう? ああ、肺胞が弾むかのようだ。脳髄がドクドクと嗤うかのようだ。囁くように呟くように、大事な大事な根本へと、棘を送る、贈る――ふふ! まったく少女めいた、幼女めいた撫でる音、咲いたオマエの名を伝えてくれ。
 サアカスの皆さん、踊りがとってもお上手ね。お道化るのがお上手って謂い直した方がいいかしら。エリィは皆さんを引き立てる壁の花に……と、謂うには可愛すぎるから、どうしようかしら。数秒だったか、数分だったか、心ここに在らずと、オマエは頭を傾げる。脳天からモクモクと熱を吐き出したところで。そうだわ、エリィ、幻術……ううん、奇術が使えるのよ。そう謂うのって、こう謂うものって、きっと観客にも喜ばれるのでしょう。それで、皆さんのダンスを引き立ててあげる。貰い損ねたチップなど生まれてから一度もなかった。合法阿片がまみれる現実、本物が混ざっても、誰も、咎めやしない……。
 エリィも途中から踊りたくなってしまうかも! それは踊りたいと謂う、踊らせてと謂う、ホワイト・スワンの鳴き声だ。エリィの踊りは上手くなくても、上手く踊れている風に「見せる」ことは容易いのよ。ああ、確かにオマエはお上手だ。誰も彼も噎せる事なく、焼ける事なく、じんわり箱庭へと誘われる。ねぇ、あの踊り子さんよりもエリィの方が上手だし、エリィの方が「可愛い」でしょう……?
 つぶれた結果がこの汁気だ、さあ、空席に肉の味を……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・カガミ
あたしは踊りが本業だから踊り子として入るわ。
サーカスなら派手さ重視の演目だからあたしのスタイルと相性が良いしね。
いつもの酒場や町の広場などのお客さんの目の前のステージと違いサーカスだと距離があるから、お化粧はいつもより派手に、衣装も露出度をギリギリまで上げたり、照明でキラキラ輝く華やかな衣装にして遠くでも目立つようにするわ。
演目もサーカスらしいアクロバティックな派手さを意識した物にしてお客さんにより受けるようにするわ。
楽なことばかりじゃない人生でも、あたしの踊りや歌で少しでも寂しさや孤独を紛らわして明日を生きる力にしてくれると嬉しいわ。



 道化師の合図でオマエは投げ込まれた。ざわつく客席、急かす団員。
 鏡写しの自分に自信が持てない、それこそ人間らしさの頂ではないか。故にこそ人間は汚いものに、臭いものに蓋をする。縛られた己の羽化こそが埒外としての証。最後に首だけを持ってきて紫色を真直ぐ……。
 神意――プロヴィデンスにおいて、最も重視されているのは旧さと新しさの混沌だ。歴史的な建築物から現代アートまで様々なものが見事に、凄まじく、一体化をしている。その為『沼鳥団』においてもソレらが自然的に、超自然的に要となっていく。団長として祀り上げられたオディール、ハイカラさんはちょっと頭のオカタイ過去サマ気質だが如何やら影朧、団員達がお上手に導いているとも見えた。ええ、ええ、あたしは踊りが本業だから踊り子として入団するわ。露出度の高い衣服を纏って、尚、堂々とステージに立つ姿は『芸人』として素晴らしいものだ。きっとオマエは魅せ付けなくとも採用の二文字を勝ち取れる。それに、サアカスなら派手さが絶対の演目だからあたしのスタイルと相性が良いしね。いつもの酒場に町の広場、それがおっきくなった程度の事。そうね、そんなにおっきな舞台だもの、もっと派手にしなくちゃいけないわ。お化粧は濃い目に、露出度の高さをギリギリまで攻めて、責められるようにライトを浴びる。これで一番離れている客席からも『わかる』スワンの完成だ。それに加えてのアクロバティック、さあ、ポール・ダンスの準備も宜しいか。
 知っていますよ、白鳥も黒鳥も、目いっぱい、自分の身体をアピールしないとダメだってことを。羽を閉じたり開いたり、その反芻を回転フェッテで表現する。楽なことばかりじゃない人生でも、あたしの踊りや歌で少しでも、寂しさや孤独を、偽りみたいなものを、紛らわして明日を生きる力にしてくれると嬉しいわ。笑え笑え、嗤われたって構わない。動きに付いてくるように扇が風を撫でる。撫でるようにして世界が唾液を飲んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『踊る影』

POW   :    ずっと一緒に踊りましょう?・・・死ぬまで
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【踊りと踊る影の事以外の全ての記憶と感情】、否定したら【踊りを否定しようとした理由の記憶】、理解不能なら【踊る影への否定的な感情】を奪う。
SPD   :    ずっと楽しく踊りましょう?・・・死ぬまで
レベルm半径内に【黒い霧状の香気】を放出し、味方に治癒を、敵に【魅了と衰弱】の状態異常、全員に興奮作用を与える。
WIZ   :    もっと私達と踊りましょう?・・・死ぬまで
【楽しそうな踊り】を披露した指定の全対象に【共に死ぬまで踊りたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

 サアカスの幕開けだ。
 お客さんはまったく、影も形もないが。
 オマエの目の前には『影』が在る。
 影朧の群れがオマエを『異物』だと認め、ご挨拶シャル・ウィ・ダンスを仕掛けてきたのだ。オディールは嗤う、悪魔の娘は只、咲う。サアカスに使用する道具だって? そんなもの、我が身ひとつで十分だろう……?
 ずっと、ずっと、踊りましょう。
 死ぬまで愉しく、死ぬまで私達と、踊りましょう。
 赤い靴なんて無いけれど、ホワイト・スワンは居ないけれど。
 私達はみんな、踊り子なんだから……。
 お化粧の道具? 派手な衣装?
 それらを使うなら、ええ、貸してあげましょう。
 眩暈、やられたって止まれない。
貴無・天
(初依頼です)
ええと、こういうの初めてなんだけど…ようは、そこの黒いお姉さんをぶっ飛ばせばいいってことか?
踊りが悪いとは思わないけど、あいにくおれには遊ぶ余裕も資格もないんだよなぁ。おれって【元気】だし【破魔】の力もあるし、そういうのに付き合ってやるわけにもいかないんだよね。
UCでオブリビオン化して攻撃、多少弱るくらいなら【回復力】で対応できるんじゃないかな。踊るのヘタなおれでよかったら、相手になるよ。
オデットみたいに王子さまはいないしさ、赤い靴みたいに足ぶった切って逃れるわけにもいかないんだけど――まあなんか、きみたちはなんだか言葉に反して楽しくなさそうだから、そろそろ休んだら?



 虚空だ――オマエには、虚空の二文字が相応しい。
 虚無だ――オマエの脳髄には、オマエの欠片も残っていない。
 笑顔が上手な奴だと見知らぬ男か女に罵倒われてしまった。人の心とは泥沼の権化であり、神がこれを似せて創ったのならば、神とはおそらく自分を嫌う者を示す言の葉だろう。ええと、こういうの初めてなんだけど……ようは、そこの黒いお姉さんをぶっ飛ばせばいいってことか? 物分かりのいい男ではないか、空気を読むのに特化した伽藍洞ではないか、呪われ呪われ、呪う事しか知らない盲目よ、オマエは何処まで毛を伸ばそうとする。踊りが悪いとは思わないけど、あいにくおれには遊ぶ余裕も資格もないんだよなぁ。何せオマエはこんなにも元気だ。元気がすぎて魔が壊れていくほどだ。程々に付き合ってやるわけにもいかないんだよね。手加減なんてものは持ち合わせていない。持っているのは過小だけか――まったく醜悪ではないか妖怪よ、心を暴くのが趣味とは聞いていない。
 踊るのヘタなおれでよかったら、死にたくなるまで相手になるよ。多少弱々しくなっても過去の産物と化したオマエならば余裕で回復してしまう。曖昧な輪郭を如何して影が掴めると謂うのか。旋回しようと試みた時点で転倒は確定している。ああ、私が、私達が、踊っている間に倒れるだなんて……。オデットみたいに王子さまはいないしさ、赤い靴みたいに足ぶった切って逃れるわけにもいかないんだけど――まあ、なんか。きみたちはなんだか言葉に反して「楽しくなさそう」だから、そろそろ休んだら……?
 臥せった影が、伏せった黑が、震えている。
 ふざけるな、それを認めてしまったら、何もかもがお終いだ。
 ばけものめ……この、ひとでなし……!
 頭上で巡る星の数なんぞ、誰が、好んで計算し始める。

成功 🔵​🔵​🔴​

樂文・スイ
さぁて、社交ダンス? それともバレエのお時間かい?
あいにくと心得はないが、操り人形の糸を切るのは大得意だぜ
そっちが状態異常で惑わせ弱らせてくるんなら、こっちは指定UCで全部受け流してやろう
おびき寄せと誘惑はお手のモンさ、いい餌だと食いついてみりゃあいい
全部無効化したらこっちの番だ、その陰ばっかりでのっぺりした身体から赤を噴き出させてやろう
赤と黒、血と闇、それこそニンゲンのあるべき姿じゃねえの?
たくさんある小道具なんざ死化粧に使えばいいさ
俺はこの暗器ナイフひとつで、あんたらの相手は十分なんでね



 ナイフ一本でお嬢さんを弄ぶ感覚だ。ナイフ一本でお嫁さんを無くすような感覚だ。惰性で貪った快楽のひとつとして踊り子ただの女どもを眺めてみる。品定めを試みたところで本当に在り来たりふつうな者ではないか。そんなにもコンプレックスに塗れていたから、この、無貌な身体を求めていたワケで……。
 泥沼だ。泥沼と化した絨毯の上、五体を転がす。
 ステージから転落する際、ご丁寧に、天使様か悪魔様は脳天からのサヨウナラを演出して魅せた。不運とやらに縛されて、地獄とやらに愛されて、死んでも尚おどるサマは添え物として丁度良い。さぁて、社交ダンス? それともバレエのお時間かい? お遊戯会めいて幕開けたサアカスの濁り具合にオマエは嘆息を掛けてやった。あいにくと心得はないが、操り人形の糸を切るのは、意図を絶つのは大得意だぜ。ああ、魅せられている、魅せ憑けられている。惑わせ弱らせ喰い付こうとするならば、こっちは『馬の耳に念仏』と洒落込むが好い。まさか、俺に対して化かし合いで挑むたぁ健気なことで。おびき寄せと誘惑はお手のモンさ、いい餌だと食いついて、悶々、味わうといい。全部たいらげてしまえば此方の番だ。こっくりさん、こっくりさん、その陰ばっかりな秘密とやらをお天道様の真下に晒してやってください――のっぺりとした身体から赤を噴き出させてやろう、そっちの方が綺麗だと思うぜ。おお、赤くて黒い。血と闇の踊り子よ。これこそ、ニンゲンのあるべき姿じゃねぇの? たくさんある小道具なんざ死化粧に使えばいいさ、それに、化生相手に皮を偽るなんて出来やしない。俺はこの暗器ナイフひとつで、あんたらの相手は十分なんでね……。
 緞帳の色が変わった。暗幕が意味を失っていく。
 骨と肉と皮と、それと、オマエに染みついた死の臭い。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリスフィーナ・シェフィールド
……わが身一つで十分と言うことは彼女達全裸なのでしょうか。
ドレス着てるように見せかけて実は全裸とは変態さんですわね(言いがかり)

そんな方々と一緒に踊るのはご勘弁いただきたいので
呪詛耐性で凌いでる内に踊りを見たという記憶を自分で抜き去りましょう。
条件を満たしてないのでこれで無効ですわね。

ささっと光る拳の鉄拳制裁でご退場いただきましょう。
なんだったら貴方達が踊り子でなくモブだったっていう記憶差し上げましょうか?



 主人公と脇役、ヒロインの会話に隠された彼等彼女等。ヴィランの一言で絶望し、嘆く声すらも描かれない彼等彼女等。そんな、名無しのニンゲンに成りたくはない。縋っても拝んでも、嗚呼、オマエは神ではないのだから……。
 言葉だ、ワード・ナイフだ。鋭利な刃物が咽喉を殺していく。
 ポール・ダンスのイメージをマイナスの方向に持っていったのは、流したのは誰だったのか。艶めかしい肢体が、死体が、冷ややかな棒状のものを滑ってはこすれ、触れては震え。……我が身ひとつで十分と言うことは彼女達、全裸なのでしょうか。ドレスを着ているように見せかけて、道化師の衣装を振り回し、実はまったく生まれたままとは変態さんですわね。ひどい言いがかりで煽ったついでに「ごめんなさい」の一言だ。幾等なんでも、こんな、羞恥も知らない集団なんぞと踊っていられる筈がない。ええ、ご勘弁いただきたいのですわ。見た、知った、理解したなんて、記憶諸共に抹消して終いたいところだ。トコロテンみたいに自身のオツムから、ずるりと脳味噌たんぱくを引っこ抜く。これで変態さんのユーベルコードとはお別れだ。何せ、楽しそうな踊りなんて初めから『無かった』のだから。
 再び彼女等が踊り出す前に、彼女等が憤懣を晒すよりも速く、鉄拳制裁をお見舞いしてやるのが悦ばしい。ご退場していただきましょう。お客様もこんな変態ピンクは要らないと訴えていますでしょうし。……そうですわ。貴女達が踊り子ではなくモブだったっていう記憶、差し上げましょうか? 人を洗脳するのは苦手ではない。何故かと問われれば『経験が活きた』と苦笑わらうべきか――認識を改めることだって自在ですわ。
 アキレス腱を虐めてやれば、最早、踊る所以すら失った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・カガミ
早速、向こうの踊り子が出てきたわね。
あたしも踊り子らしく踊りで勝負するわ。
イッツショータイムで観客を呼び出してサーカスをこちらのホームグラウンドに変えるわ。
向こうはバレエで来るみたいだけど、あたしは今までやってきたあたしの得意な激しいリズムのダイナミックなダンスで行くわ。
伝統と歴史に裏打ちされたバレエの技術も確かに素晴らしい物だと思うけど、酒場のステージや街の広場で鍛えたストリート仕込みのダンスもちょっとした物でしょ?



 歓声だ――シャワーだ――客席の全員が起立している。喝采にまぎれる酒精、汚濁のようなアンコール。良いぞ姉ちゃん!!! もっとやってくれ!!! 堅苦しいのは抜きにしてパァーッとな!!! おうおう、俺ぁ姉ちゃんがいりゃあ何杯でも飲めちまうぜ!
 悪魔の呪いが具現化し人のカタチを倣ったならば、其処に表情など存在しない。目の玉を抉ろうと試みても鼓膜を破ろうと試みても、この鼓動、隠し切れない衝動に省みる術などない。臓腑を掬うようにして、脳髄に巣食うようにして、ブラック・スワンが旋回していく。何処かの神へと祈るようなそのザマは、無様は、スーフィーとやらへの冒涜とも考えられた。早速、向こうの踊り子が出てきたわね。ああ、得難い機会だ、素晴らしい好機だ。此処まで好奇心旺盛にダンス・バトルを仕掛けてくるオブリビオンなんて、敵なんて中々お目に掛かれない。あたしも踊り子らしく踊りで勝負するわ。死ぬまで踊りましょう、楽しく愉死く嗤いましょう。そんなお言葉に乗っかって「ショー・タイム」の合図とする。サアカスを視ているのは誰だ。踊りを観てくれるのは誰か。観客だ。観客こそが最も敵を殺すのに相応しい道具エモノだとは思わないか……? ようこそ沼鳥団の皆さま、ここがあたしのホームグラウンドですの。何羽ものブラックが騙るのにはもう飽きた、呆れられても尚、繰り返す連中は過去の栄光に縋っているだけと解せよう。さあ、ダイナミックに、テンポよく、オマエの得意なジャンルを連中に押し付けてやれ――伝統と歴史に裏打ちされたバレエの技術も確かに素敵な物だと思うけど、盲目になっちゃダメよ。酒場のステージや街の広場で鍛えたストリート仕込みのダンスもちょっとした物だと思わない? おお、刺激的だ。化粧といい衣装といい、何よりその躍動感、煤けた彼女等にも丁度いい薬となっただろう。
 さっき別の人が言ってたけど、あたしにも、あの踊り子さんたち、
 楽しく踊っているようには見えないわ。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレニア・ファンタージェン
あら、なんだか楽しそうな人たちね
死ぬまで踊りたいの?エリィも一緒に?
良いわ、踊りましょう!

そうは言ってみたけれど、エリィ、正直貴方たちの踊りってあんまりよく見えていないのよね
ねぇ、それって何の曲かしら
エリィにももっとわかりやすく踊ってくれないかしら!
駄目なの?それならエリィが手伝ってあげる
蛇たちにお願いをして、こうやって、こんな風にして……あら!何だか痛そうな音が聴こえた気がしたわ?大丈夫?

ねぇ、エリィ、踊りにはそろそろ飽きてしまったの
もう他のことがしたいわ
でも貴方たちは死ぬまで踊りたいのよね?
大丈夫よ、貴方たちが死ぬまで付き合ってあげるから
だからね、あと一曲で全部お開きにしてしまいましょう



 赫々とした、煌々とした、虚に嵌まった球体が望みを統べるようにして転がり落ちた。致命的なダンスに魅せられた球体はコロコロと、無邪気なフリをして、なんだか楽しそうだと笑ってみせた。あら、死ぬまで踊りたいの? それとも、死ぬまで踊らせたいの? エリィも一緒に? 良いわ、踊りましょう! まるでウロボロスのような現実だ。いいや、幻想と謂い改めても宜しい。よろけたところでようやくオマエ、己のヒヨコな具合に気付いた。そうは言ってみたけれど、エリィ、正直あなた達の踊りってあんまりよく見えていないのよね。つまりは潤いとやらも、多くなってしまえば猛毒へ至ると謂うワケだ。ねぇ、それって何の曲かしら。エリィにももっとわかりやすく、見えやすく踊ってくれないかしら! そんな事を謂われても、叫ばれても、黒が黒以外に、沼や泥がそれ以外に『なる』術など見当たらない。駄目なの? それならエリィが手伝ってあげる。願望器を覗き込むかの如く、脳髄にメダルを貼り付けるかの如くに、チーズ色の醜さを嘲るかの如くに――不可視の蛇を解き放った! こうやって、こんな風にして……あら! なんだか痛そうな音が聴こえてきた気がしたわ? 大丈夫……? 嗚呼、食い足りない、痩せがひどくて、男の子の方がマシだ。
 ねぇ、エリィ、踊りにはそろそろ飽きてしまったの。もう、他のことがしたいわ。オマエは道具ではなかったか。道具が自分の役割に辟易するだなんて、汁気に塗れて狂ったのか。でも、あなた達は死ぬまで踊りたいのよね? 踊らせたいだった筈だ。咀嚼出来ていない。肺臓を膨らませるようにして、脳髄を蝕むようにして、大丈夫よ、あなた達が死ぬまで付き合ってあげるから。だからね、あと一曲で全部お開きにしてしまいましょう……。
 何故だろうか。何故、オマエ達は踊っていた。
 踊りとは何だった。こんなにも、無意味に疲弊して何が愉しいのか。
 心身に宿った記憶が真白い夢で死んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『無垢なる舞姫・エリザヴェータ』

POW   :    どうぞ、お手柔らかに
【恭しいレヴェランス】を披露した指定の全対象に【エリザヴェータの願い全てを叶えたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    ご覧あそばせ
自身が【優雅にグラン・フェッテを続けて】いる間、レベルm半径内の対象全てに【魅了や錯乱により誘発した同士討ち】によるダメージか【自身に対し、踊ることによる昂揚と恍惚】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    踊りましょう
自身が装備する【義足に仕込んだ刃】から【舞うようにして繰り出す斬撃による衝撃波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【流血】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

 ハイカラな女が何を望んで、何を欲して、影朧どもに擁されたのかは不明だった。孤独にやられて、蟲毒にやられて、自らの羽を捥いだのかもしれない。徐々に徐々に黒く染まっていくスワンは、嗚呼、何故に愛とやらを囁くのか。嘗ての名声が、嘗ての喝采が、遠く遠く、暗愚のように蔓延していく――。
 あの人は私を愛してくれました。
 愛でるついでに慰めてくれました。
 慰めてくれるついでに撫でてくれました。
 撫でてくれたついでに、首を絞めてくれました。
 ひどく苦しかったのですが、意識が遠退くと同時に、
 私はそれこそが愛なのだと確信したのです。
 ですので、私はファンの皆さんを愛します。ここに来てくれた皆さんを愛してあげたいのです。ご覧ください、一緒に踊りたいお方がいるなら、ええ、幕の用意は出来ています。グラン・フェッテが上手にできない? わかりました、私が愛してあげましょう。
 君達は知っている。この影朧が、この存在が『只の、踊りたいだけの女』だという事を。彼女の心を溶かして、ほぐして、正気に戻さなければならない。
 傷をつけてはならない、それは、今後踊れなくなる可能性を生む故だ。
 ――ああ、見ている、見られている、もっと、愛情を、もっと……。
樂文・スイ
こりゃあ綺麗な踊り子さんだ
でもアンタのやり方じゃあ観客もキャストも、狂人と死人しか残らなくなっちまうぜ
操り人形相手じゃなくて、きちんと自分の心で感じたヤツらに自分を選んで欲しいんじゃねえの?
てなワケで指定UC発動、主さまに【おびき寄せ】【時間稼ぎ】でちょこまか動き回ってもらってその踊りは妨害させてもらうぜ、ケガとかしない範囲でな。足元がふらついちゃあお得意のグランフェッテとやらも続かねえだろ?
あと殺人鬼から言えるのは、アンタを死なせたやつは殺す「ついで」に愛しただけだってことかね、それ基準にしちまうのはお門違いだぜ?
正気のやつらを正しい形で魅了したいんなら、物騒なマネはよしとくんだな



 沼鳥団の長として選ばれたのは後光にやられたハイカラだった。空々虚々啼くだけの、無くなった程度の伽藍洞に、頭蓋骨に、如何様な酸素プレゼントが必要なのか。ああ、こりゃあ綺麗な踊り子さんだ。其処等の一般人じゃあ決して取得できない体幹さんだ。でもアンタのやり方じゃあ観客もキャストも、狂人と死人しか残らなくなっちまうぜ。プロの殺人鬼からの、プロの唆しからの忠告だ。咀嚼するよりも鵜呑みするのが正解とも謂える。操り人形相手じゃなくて、きちんと自分の心で感じたヤツらに自分を選んで欲しいんじゃねぇの? ええ、ええ、だから、私は選ばれているのです、選ばれたのですから、愛し合うのです。ご挨拶だ――愚かなほどに頭を、ピン、と、定めている。灯台下暗しを忘れてしまった女の末路は地獄だろうか天国だろうか――アンタは自分が真直ぐだと思っているのかもしれねぇが、実際は『どう』なんだろうな。
 オディールは回る。軸を、芯を、己の心身に宿して、誰かさんに騙されながら踊り続ける。それはイメージの中での話だ。御伽噺と一緒に存在出来なくなった音が外れ、黒鳥の肉体が崩れていく。狐だ。白銀の毛が特徴的な獣の、すねこすりだ。混乱しているのは鳥の方ではないか。鳥に化けている悪魔の方がクラクラしているではないか。ケガしない範囲でのお約束、僥倖がひっくり返るように尻もちをついた……。
 お得意のグランフェッテもお終いだ。お気に入りのポーズも無様へと沈む。ああ、殺人鬼からもうひとつ。アンタを死なせたやつは殺す「ついで」に愛しただけだってことかね。それ基準にしちまうのはお門違いだぜ? 昂揚が、恍惚が莫迦みたいだと冷めていく。女は泥沼だ。これが泥沼な女の這いつくばりだ。
 正気のやつらを正しい形で魅了したいんなら、物騒なマネはよしとくんだな。
 ――羞恥にまみれて、見られたくない。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリスフィーナ・シェフィールド
ええと……痛いのを気持ちいいと思うことを否定はしませんというかできませんが。
死ぬほど気持ち良くするでなく本当に死んでしまったというなら事実は逆でしょう。
愛の結果死んだでなく死なせるついでに欲を満たしたという。
それを愛だと思ってることがもう間違いなのです、その貴男の愛の先にあるのは死屍累々だけで相手の愛など返ってきませんわ。
愛とは一方的なものではないのですからお互い思いやらなくては。
わたくし愛してくださる女神様の為におはようからお休みまで全力全開ですわ。
離れた間のことも考えて誕生日プレゼントに、わたくしそっくりのメイドロボをお送りしましたし。
ああ……とりあえず付き纏う影朧どもは殴っておきますわ。



 たとえネジが外れていても直してやれば良い。
 外れたネジが錆びていても磨いてやれば良い。
 磨いて小さくなったなら、また、やり直せば良い。
 同族だろうか――オマエの脳裏に過ぎったのはハイカラな彼女の、知りもしない人生だ。きっと幼少の頃、父や母に厳しく躾けられたのだろう。神童と持て囃されたのかは不明だが、かなりの期待を、錘を背負って生きてきた筈だ。其処に指導者、男とやらが混ざってきて彼女の純粋に泥が這入りこむ――ええと……痛いのを気持ちいいと思うことを否定はしませんが。と、言葉にはしてみたが『できない』なのだ。オマエの心身にもしっかりと朦朧の心地良さが染み込まれている。死ぬほど気持ち良くするでなく本当に死んでしまったというなら事実は逆でしょう。これは同族に対する、同類に対する、オマエからの歓迎ではない。むしろ彼女は真逆の位置に存在しているのだ。度し難いほどに狂っても尚、騙り尽くされても尚、彼女はまだ引き返す事が出来る。愛の結果死んだではなく死なせるついでに欲を満たしたという、その、逆立ち思考こそがもう間違いなのです。ああ、彼女は知らなくとも、知っていても、縋る事しか出来なかったのだ。愛し愛されの=で殺意が繋がっているのだと。その貴男の愛の先にあるのは死屍累々、相手の愛など帰ってきませんわ。そんな筈がない。ありえない。私はちゃんと彼から愛を貰ったの。それは、貴女、無理矢理お墓を暴かれたからに他ありませんわ。愛とは一方的なものではない。お互いを思ってこその秘蜜●●なのだ。
 わたくし、愛してくださる女神様の為におはようからおやすみまで全力全開ですわ。離れた間のことも考えて、考えに考えを重ねて、誕生日プレゼントに、わたくしそっくりのメイドロボをお送りしましたし……。そう、そうなのね、私の愛情は、私に向けられた愛情こそが悪魔の所業だったのですか。握り締めた拳にオーラを籠めろ。
 ――黯黑としたスワン、纏わり憑く影朧、只管に破砕せよ。

成功 🔵​🔵​🔴​

貴無・天
医術と読心術の心得があるからね、彼女がただ愛されたいだけ、踊りたいだけなのは痛いくらいにわかるよ
そのうえで彼女を肯定しよう
やあ、お姉さんキレイだし踊りもうまいし…おれもファンになっちゃったな!
ずっとその踊りを見てたいから、おれは攻撃なんてしないよ?
UCできみが疲れないように応援と回復してあげるから、こころおきなく楽しんで
今、思い切り踊れる嬉しさや拍手を受ける喜びがきみにあるならおれはすごく幸せだよ
きみにはきみを痛めつける誰かより、今ここできみの活躍を喜ぶ誰かの気持ちを信じてほしいな
愛って、そういうもんじゃないの?



 泥沼の二文字が最も相応しいのは何者か。まずはオマエ、猟兵の心に問い掛ける。答えなどない。応えだけがやってきて、それだけ。
 ――謂われなくても解っている。最初はターンが苦手だった。
 認識する事こそがいけないのだ。認知する事こそがいけないのだ。一所懸命に振る舞っても、命を賭けて望んでも、それを理解してはいけないのだ。医術と読心術の心得があるからね、彼女がただ愛されたいだけ、愛したいだけ、踊りたいだけなのは痛いくらいにわかるよ。精神を暴いたところで、過去を発いたところで、果たして、どのような救いの言葉が満ちていくのか。そのうえで彼女を肯定しよう。肯定して、肯定して、木に登らせてあげよう。やあ、お姉さんキレイだし踊りもうまいし……おれもファンになっちゃったな! オディールは首を傾げた。クソのように詰まった脳味噌を傾けた。本当に? 本当に、私のような女の踊りを……? ずっと見ていたいから、おれは、傷つけることなんてしないよ? そう、きみは立ち上がれる。前を向ける。堂々と、誰も彼も魅了することができるんだ。だから、こころおきなく楽しんで。お優しい言の葉と眩むかのようなメロディ、スワンの気持ちになって、スワンに成り尽くして、スワンプからの脱出を……。
 今、思い切り踊れる嬉しさや拍手を受ける喜びが『きみ』にあるなら、おれもすごく幸せだよ。心からの励ましだろうか、薄っぺらな啼き声だろうか、それこそ『サトリ』でなければ一切が闇黒である。きみにはきみを痛めつける誰かより、今ここで、きみの活躍を喜ぶ誰かの気持ちを信じてほしいな。嗚呼、知らないのだ。知らないからこそ、想像するのだ。知れないからこそ、妄想するのだ。愛って、そういうもんじゃないの?
 成程――共感した。共感する以外に在り得ない。
 叫喚めいた現実から幻想へと引き摺り落とす。

成功 🔵​🔵​🔴​

琳谷・花咲音(サポート)
自身とよく似た姿の影(背格好は同じ、性別とロングヘアが違う)悪魔【影(エイ)】を召喚するガジェッティア。

柔らかな口調と行動で男女どちらともとれないジェンダーレスな雰囲気。
女の子になりたい訳じゃない、男女の垣根はなく自分は自分。
友人(感情を結んでいる人)以外には『僕』。
友人には『私』。

戦闘時にはガジェットを臨機応変に変化させて戦う。
火力はないので手数で押す…又は牽制などサポートの立ち位置にいる事が多い。

【影】は本人と鏡合わせのような行動をとる事が多い。

生贄として、魔法媒体として様々な因子を詰め込まれた存在。
その影響で召喚したものを身に宿して戦う降霊術も得意とするが、その戦い方は好きではない。



 絞殺された者の情念に中てられて頭の中こそフワフワではないか。
 つめた綿の所為で脱力していく、立っていられない。
 男は――オマエは――いとも容易く、いとも簡単に、彼女の意図とやらに潜り込んだ。彼女はかわいいモノだ。彼女はきれいなモノだ。かっこいいとはお世辞にも謂えないけれども、彼女は、すてきなすてきなモノだ。シープ、生贄、誰かの為の柔らかな愛情にく。なんとも似たり寄ったりではないか。煮られて酔っ払うような獣ではないか。しかもお互いに合成されている。創られて造られて作られて、醜さから遠退けられて、楽しいに目をやる。ボクは好きに生きている、だけど、貴女の目はそのように出来ていない気がするよ。それしかなかったって訴えているように見えるんだ。ご覧あそばせ、なんて、優雅に旋回しているけれど、きっとそれも、自分の為ではないんだろうね。根っこを掘り返してみれば地獄に棲むスワンに過ぎない。掬われたとしてもスワンプ、落っこちた先からは逃れられない。
 藻掻いているんだよ。貴女は藻掻いているんだ。藻掻いて、足掻いて、必死に、すてきなモノになろうとしているんだよ。でも、もう疲れたんじゃないかな。ガチャガチャとガジェットが笑っている。ガタガタとガジェットが足元を組み替えている。凸凹としたステージではグラン・フェッテなんか出来やしない。ねえ、顔色が悪いよ。ほんとうのところ、貴女は鏡を見たくないんだよ。躓いた。いいや、最初から躓いている。転ぶ姿もまたかわいらしいモノだ――ショータイムだ。ツギハギだらけの悪魔から蜜を貰っている。
 ボクはね、キラキラした、フワフワしたモノを集めているんだよ。
 自分は自分だって認めるために生きているんだ。
 ――ハイカラさんはキマイラを見つめる。
 私よりも眩しい、輝いて見える、その在り方を……。

成功 🔵​🔵​🔴​

エレニア・ファンタージェン
ご機嫌よう、影朧さん
貴方はエリィを知らないでしょうけど、エリィは貴方を知ってるわ!
いちど予知したことがあるもの
なんて運の良い女の子なのかしら!ふふ!

まぁ、そんなにも誰かの愛が欲しかったの?
得体の知れない執着を愛だと思い込みたかったの?
でもたぶん本当は気づいてしまっていたのではないかしら
可哀想に、夢から覚めてしまったのね
だから貴方は満たされなくてこんなことをしているのでしょう

そんな風に暴れないでちょうだい
でも、エリィはとっても優しいから、とびきりの幸せな夢を見せてあげる
貴方はとっても愛されていたわ
それにとっても愛されていて、好きなだけ踊り続けることもできるの
だからもう骸の海に還りなさい
そこでなら誰も貴方を邪魔しないし、全ての過去が見ていてくれるでしょう
……首無しで踊ることになるのが嫌なら聞き分けることね
エリィ、一般人の首を刎ねるのはさすがに気乗りがしないのよ

嗚呼、そうだわ
貴方ってきっと生きるのに向いていないのよ
まやかしに縋るひとたちって、皆そう!
だからね…間違えたって転生なんてしてはダメよ



 エリィ、ああ、エリィ、どうか僕を許してくれ。
 君を殺した僕を愛してくれ、愛してあげるから、廻ってくれ。
 ――塩まみれのカタツムリを片手に、永遠のように。
 失格の烙印を捺された人間は、諦めるように、落ちるように、水とやらに入りなさいと誘われる。惑わされていると知っているクセに知らないフリをして泥沼の底へと沈んでいくサマは、嗚呼、実に放蕩としていて、冒涜としていて、たまらなく甘ったるい。ご機嫌よう、影朧さん。そう、目と鼻の先に吸い口を垂らしてやったら、与えてやったら十分ではないか。最早、名前諸共に、振り付け様々に、操り人形みたくクズ折れても良いのではないか。貴方はエリィを知らないでしょうけど、エリィは貴方を知ってるわ! 愛されたがりのシュガー・ベイビー、男の言葉に従って、跪くように踊り続けて、尽くして尽くしてスワンを騙る。ええ、いちど予知したことがあるもの。運が良い。途轍もない幸運だ。それとも、運命の糸とやらに抱かれて熱病に侵されてしまったのか。なんて可愛らしい女の子かしら! ふふ! 振り向いて欲しかった。振りかざして欲しかった。もっと欲しかった、あの絞殺……。
 煙だ。煙がもくもくと、もふもふと、世界を、ひどく孤立した世界を抱擁している。阿呆の面を晒すようにねばつく涎の汚らしさ、イヤラシサ……。まぁ、そんなにも誰かの愛が欲しかったの? 得体の知れない執着を愛だと思い込みたかったの? うるさい女だ。うるさいものだ。モノ扱いされるのは人間の特権だと謂うのに、モノのクセに、お説教するなんて……。でも、たぶん、本当は気づいてしまっていたのではないかしら。可哀想に、夢から覚めてしまったのね。胎内で醒めてしまうとは哀れなヒトだ、胎内で狂ってしまうとは憐れなヒトだ。だから、貴方は満たされなくてこんなことをしているのでしょう。踊りましょう。踊りましょう。踊らなくてはいけません。たとえ、頭が溶けていても、脳がとろけていても、蕾が開かなくとも――白痴の独楽みたいに。
 そんな風に暴れないでちょうだい。そんな風に自棄にならないでちょうだい。でも、エリィはとっても優しいから、とびきりの幸せな夢を魅せてあげる。どんなに醜態を晒しても、どんなに不浄に塗れても、ああ、貴方はとっても愛されていたわ。それに、好きなだけ踊り続けることもできるの。他人からすれば不格好な、ドログチャなフェッテでも。ご挨拶レヴェランス――もう、骸の海に還りなさい。
 暗い々い舞台、二度と浮かぶ事の出来ない、胎内の、身包みの代わり。そこでなら誰も貴方を邪魔しないし、全ての過去が、何もかもが、見ていてくれることでしょう。……聞こえないわ。返事をして。首無しで踊ることになるのが嫌なら、聞き分けることね。ああ、黙っていてくれないか。私は、今、踊っているの。皆が見ている。注目している。愛してくれようとしているんだから――エリィ、一般人の首を刎ねるのはさすがに気乗りがしないのよ。
 嗚呼……そうだわ。
 貴方ってきっと生きているのに向いていないのよ。
 失格の烙印が捺された。人間も出来ないし、命も出来ない、なんにも出来ないから、踊るしかない。まやかしに縋るひとたちって、皆そう! 乾燥している。かつて潤っていた漿液が涸れている。だからね……間違えたって、転生なんてしてはダメよ。

 影朧が霧散する、消散する、ため息のように、幸せと共に。
 これにてサアカスはお終い、エリザヴェータともサヨウナラ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月21日
宿敵 『無垢なる舞姫・エリザヴェータ』 を撃破!


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ
🔒
#影朧サアカス


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エレニア・ファンタージェンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト