冬の訪れ、厳寒の娘
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「みんな集まったな!」
アルダワの一角、気候の良い秋の平原にて、魔法使い達が集められた。
「今回の野外授業では【天候操作】の魔法を行う!」
男気の強い、女性の魔法教師が声を張り詰める。
「【天候操作】は気候を読むことも重要だが、何より感情に左右されやすい!嬉しい時に使えば空を晴らしやすく、怒ったときに使えば嵐や雷が起きやすくなる……今回はそうした感情による【天候操作】のいい見本を用意した!」
魔法学園の先生は傍らに羊を侍らせた。
「これだ!名称はウェザーシープ」
めえと鳴いた。宝石でできた巻き角をした虹の光沢が輝く羊だ。
「こいつは強い感情を発すると、感情に応じた天候を呼び起こす!皆で協力してまずは落ち着かせ、晴れの天候を……ん?」
めえ、めえと鳴いた。
ウェザーシープが次々と魔法教師に集まってくる。
「……用意したシープは1頭の筈だが」
「先生!向こうから!」
その時、生徒が指した方向から大量のウェザーシープが突撃してきたではないか。
「何!?」
まるで何かから逃げるように突撃してくる羊は、所々毛皮が凍っており、めええめええと鳴きながらこちらへ走ってくる。
「ま、まずい!号泣の感情は吹雪に」
教師の声を遮るように、巨大な吹雪の塊が、暴力の如く魔法使い達を舞台ごと殴りつける。
「あ……ぁ……」
「さむ……たす……け……」
秋の平原が一瞬で雪景色に変わる程の猛吹雪は、魔法使い達を凍らせて尚吹雪続ける。
ウェザーシープは近くのへと、吹雪を連れて駆け抜けていく。
そこに追い打ちをかけるように、否、羊を追いかけるようにして、更なる猛吹雪の寒波が迫り来る。
全身凍てついた体では抵抗することもできず、無防備のまま、まともに浴びせられた大寒波。
魔法使い達はたちまち芯から凍り付き、全身の氷が分厚く、氷山の如き強固で巨大な氷塊と化していく……。
吹雪の中から、獣耳のフードを被った厚着の少女が歩いてきた。
彼女は目についた雪の塊をそっと手で触れ、こすり、雪を落とす。
落とした雪の中から現れた――寒そうに身を震わせている姿をした、アルダワ魔法学園の魔法使いの少女――を閉じ込めた氷塊。
「ああ、とっても、とっても素敵です……この可愛い寒がりさんの姿……」
その氷に、震え切って歪んだ少女の顔付近に、はぅと息を漏らしながら頬をくっつける。
「永遠に見ていたくなります……」
●
「みんな集まったね!冬だよ。冬が来たよ!それと同時にアルダワで事件なの!」
グリモアベースに集まった猟兵達を、涼しげな氷のベルを鳴らしながらポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が迎え入れた。
「アルダワのとある大陸で、天候を操る羊さんをけしかけて、大寒波を起こしちゃう災魔が現れたの。」
グリモアの映像機を操作して災魔の画像を見せるポーラリア。
ピンク色のもこもこの防寒着をした少女の様だ。
「いたってシンプルに凍らせてくるから、いたってシンプルに倒して欲しいのだけど」
その前に、けしかけて来た羊のせいで人々に被害が及ぶ為、どうにかして食い止めて欲しい、との事だった。
「『ウェザーシープ』っていう羊さんで、リラックスしてるとお空が晴れて、怒ると雨や雷、泣いちゃうと吹雪を起こしちゃう羊さんなんだ!」
普段は洞窟に住んでいるが、どうも災魔にいじめられ、泣いて住処を飛び出して来るようなのだ。群れで、一斉に。
「大寒波みたいになってどひゃーって村とか、魔法の授業してる人たちとか巻き込んで雪だるまにしちゃうみたい!……でも
災魔じゃないし、羊さんの素材で助かってる人もいるからー……なだめるとか、できるだけ穏便な方法で食い止めて欲しいのよ。」
そういうとポーラリアはグリモアのベルを鳴らして、猟兵達をアルダワに送り出していく。
「さむさむなお話になると思うから、どうかお風邪をひきませんようー!」
古塔
古塔と申します。宜しくお願いします。
目的:2章の災魔を倒す。
●概要
蒸気魔法世界アルダワはやや北部の大陸、諸王国連合でのお話です。
最初は秋の原っぱに転送されますが、すぐに猛吹雪が襲い掛かってきます。
それもこれも天候を操る羊さんのせいなんだ。
●1章
OP冒頭に居ました、野外授業中のアルダワ魔法学園の生徒&教師達と合流し、【天候操作】のスキルを持つ羊、『ウェザーシープ』を食い止める話となります。
ウェザーシープは感情に応じて天候を変化させる不思議な羊です。(災魔ではありません)
落ち着いていると空は暖かくなり、ストレスを感じると寒くなったり色々降ってきます。
そんなウェザーシープが、吹雪くレベルの暴れ羊状態で群をなしてきます。
止めてください。
1頭1頭いい感じにケアすると、いい感じに吹雪は収まります。(力技でもOKです)
ウェザーシープはもこもこです。宝石みたいな角を持っていて、虹色の光を放ちます。
●2章
元凶を退治しに行ってください。
羊達が住んでいた洞窟の中に、それらしい災魔が待ち構えています。
それでは、もし宜しければ。
第1章 日常
『もふもふなお手伝い』
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POW : 動物をたくさん運ぶ等、力仕事でできるお世話
SPD : ブラッシング等、自分の器用さ・技量を活かしたお世話
WIZ : 動物に関する知識等を活かしたお世話やアドバイス
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秋のアルダワ平原にて、冬の吹雪と共に。
ウェザーシープが大群をなして実習中の学園生徒達に迫ってきた。
「う、うわーっ!」「アクシデントですか先生!」
「落ち着け!こんな時の為ではないが羊を手懐ける用の器具は一式持ってきた!」
そういうと先生の服の中からユーベルコードかと言わんばかりに大量の酪農器具が飛び出て来た。
主に餌袋、ブラシ、柔らかいクッション、羊の鳴き声の音が出る袋、ベルなどだ。
「まずはベルや鳴き袋で呼びつつクッションで受け止め、餌付けやブラシで落ち着かせるぞ!その前に君!」
アルダワ生徒の一人を指し。
「炎の魔法で吹雪を中和している私の杖を渡す!我々の後ろには酪農家が経営する村があるからそいつらに応援呼んでこい!」
「避難では無く!?」
「どの道大暴れしたウェザーシープがあちこち向かうだけで大被害だ。借りれる手は全部借りてこい!」
「我々の防寒は!?」
「ぶっつけ本番だが魔法を調整し炎熱のバリアを展開して吹雪を止めるのだ!」
「う、受け止めて…」
炎のオーラを纏いながらベルを鳴らしつつ、クッションでウェザーシープを受け止める生徒の一人。
だが飛び出過ぎたか、他のウェザーシープがその生徒に殺到する。
密集した羊毛の柔らかさと吹雪が寄せ集まった。
「う、うわっ!…柔らかい…普通に毛並みは羊さんなんだ…あ、き、気持ちい…」
もふもふに囲まれながら吹雪に凍えさせられ、押しつぶされたような姿で生徒は氷漬けになった。
とても心やすらかな表情をしている。
「一人やられたーっ!?」
「落ち着け!隊列を乱すな!来るぞ!」
アルダワ学園の大変な一日が始まった。
黄泉川・宿禰
WIZ ※アドリブ連携等歓迎
気分で天候を変えてしまうとは……
随分と面妖な羊が居たものだな。
まあいい。獣の世話は初めてだが……
やれるだけのことはやるさ。
まずは羊型の式神を何体か生成
羊の群れをこちら側に<おびき寄せ>るとしよう。
無論、寒さで凍えぬよう自身に防護結界を張ることも忘れずに。
ひとまとめにしたところで<咒怨・天道>を発動する。
見たところ羊共は随分と落ち着きがないみたいだ
ならばその荒ぶる気持ちを落ち着かせないとな……
なだめすかすのは、その後でもいい。
……その辺に氷漬けのアルダワ学園の生徒たちがいるなら、一緒に治療しておこう。
気休め程度にはなるだろう。
どれ、怖かっただろう?もう大丈夫だ。
●
「気分で天候を変えてしまうとは……随分と面妖な羊が居たものだな。」
そこへ、女性の身体をした少年、黄泉川・宿禰(両面宿儺・f29564)が現れた。
災魔絡みの困った時に現れる解決屋、猟兵である。
「まあいい。獣の世話は初めてだが……やれるだけのことはやるさ。」
看破かと思えるような冷気の波と共に押し寄せる羊の群れ、その側面に並ぶ様に宿禰は駆け出し。
九字を指し、羊型の式神を生成する。
「「「メッ」」」
ウェザーシープ達は突然別方向を行く羊達(の式神)に目を奪われ、アルダワ生徒達とは別方向、宿禰の側に殺到する。
「さて、凍えん様にしないとな」
吹雪除けの防護結界を張った宿禰は、上空へと垂直に飛び上がり、ユーベルコードを発動する。
『
咒怨・天道』
666の怪異の呪力を用いた光を放つ。
生きる意志の力に応じる、見る者を落ち着かせる安らぎの光である。
「見たところ羊共は随分と落ち着きがないみたいだ」
呪力の光を浴びた羊達は不思議な事に恐怖が和らぎ、自分達はどうして逃げているのかを忘れていく。
「メェ……」
足の歩みが遅くなっていった羊から順に、雪の勢いが和らぎ、曇天までに天気が収まる。
「ならばその荒ぶる気持ちを落ち着かせないとな……なだめすかすのは、その後でもいい。」
宿禰は更に羊の式神を動員させ、においを覚えさせ、群れの動きを抑制。
更に座り込ませ、全員で昼寝を促すようにしてその場に休ませた。
「猟兵か……!?ここにブラシがある。上手い事グルーミングを頼む」
まだ晴れてはいない。誰がウェザーシープをここまで怯えさせたのだろう。
「その前にアルダワ学園の生徒が氷漬けになっているようだな。」
もふもふに包まれた状態で既に何人かのアルダワ生徒が凍っている。
宿禰は彼らに向けてもユーベルコードを放ち、氷の中の生徒の自然治癒力を活性化させた。
「気休め程度にはなるだろう。」
そう言って宿禰はウェザーシープの1頭を撫で、丁寧に羊毛をブラッシングしていく。
それに応じて落ち着いたウェザーシープの周囲は、少しだけ暖かくなった。
「どれ、怖かっただろう?もう大丈夫だ。」
大成功
🔵🔵🔵
テフラ・カルデラ
【狐と兎】
もふもふ羊さんはただ追い出されただけですし、罪は無いですからね…
何とかして落ち着かせましょうこん子さ…こん子さん!?
わたしは【癒しの鳴き声】で落ち着かせます!にゃ~ん♪
どんどんウェザーシープが落ち着いてきているのでちょっともふもふしても…
…ってまだ落ち着いていない一匹に激突されて…身体が凍って…
(氷像と化す兎にもふもふするさっき激突してきた落ち着いている羊)
稲荷・こん子
【狐と兎】
美味しs…こほん(涎拭き)
羊さんには罪はないので、優しくお手入れするのです!
っと言うわけで
【秘技】で自身の周りを狐火で温かくし凍らないようにし、羊飼いの衣服で見た目から入ってみるのです!
怖がらせないように注意しながら、ブラッシングなどをして緊張を解し、私なりに頑張ってみるのです。
(凍っているテフラさんを観て)
うん、いつもの光景なので放置なのです!
それよりも一匹でも多く羊さんをリラックスさせるのです!(羊達なでなでを続ける)
やり終えたら、何だか眠く…スゥスゥ…(羊達のもふもふ天国に沈んで眠るこん子)
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「美味し
s…」「こん子さん!?」
「こほん、羊さんには罪はないので、優しくお手入れするのです!」
兎キマイラのテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)と、
羊の群れに垂らした涎を慌ててひっこめた恋人の妖狐、稲荷・こん子(七変化妖狐・f06041)がやってきた。
「もふもふ羊さんはただ追い出されただけですし、罪は無いですからね…何とかして落ち着かせましょうこん子さ…こん子さん!?」
そう言ってごちるテフラの隣にいたこん子は、羊飼いの衣装になっていた。
帽子をかぶり、ポンチョを羽織り、フックと小さなベル付きの杖を手にした可愛い女の狐の姿に化けたのだ。
「羊飼いの衣服で見た目から入ってみるのです!」
「そうですか…ところで腰の辺りにあるフォークとナイフは…?」
「そんなものはないですよ?」
「いえその」
さっとポンチョで腰の部分を隠したこん子。
「ないですよ?」
「…た、食べないでくださいね!?」
ふふんと微笑み垂らした涎をひっこめたこん子。
こん子は怖がらせないように注意しながらウェザーシープの群れに近づく。
だが、ウェザーシープ達は怯えているのか一塊に集まりながら豪雪を降らせてやってくる。
その寒さに息が白くなっていくこん子。
「わたしに任せてください!落ち着かせます!【にゃ~ん♪】」
平原に響くテフラの、兎の姿から放たれる猫の鳴き声はユーベルコード。
その癒しの鳴き声を聞いた羊達は徐々に降らせる雪を弱めていく。
ちらつく程度の雪となった平原でこん子はウェザーシープに近づく。
「怖くないです。怖くないですー」
そっと自身に狐火の光を纏う。
それはヒーターの如くやわらかな光を以てこん子そのものを羊の様に暖かくさせる。
杖の小ベルを鳴らし、寄ってきたウェザーシープの頭を撫で、もふもふとその羊毛を撫でる。
「よーしよしよし。それじゃあブラッシングしていくのです。」
ゆっくりと、驚かせない様に優しくウェザーシープの羊毛をブラシで撫でていくこん子。
落ち着かせればウェザーシープはただの羊と変わらない。
もふもふとした冬の羊毛の感覚が撫でているこん子をも癒す。
「どんどんウェザーシープが落ち着いてきてますね。わたしもちょっともふもふしても…」
その様子を見ていたテフラもブラシ片手に近づこうとすると、突如背後から衝撃が走った。
「メェ―!」
「うわっ!とと!?」
まだ落ち着いていないはぐれウェザーシープによる突撃だ。
「ま、待ってください!落ち着いて下さい!にゃ、にゃ…あっ!?」
ウェザーシープによる頭突きはそのままテフラを別のウェザーシープの群れに押し運んでいった。
即ちまだ落ち着いていない、降雪真っ盛りの暴れウェザーシープの群れへと。
「わ、わーっ!助けてくださいこん子さーん!」
ぼふっとウェザーシープの群れに入ったテフラは、そのまま怯えるウェザーシープ達の吹雪をまともに浴びてしまう。
「う゛わ゛っ ざ、ざむ…い……でも……もふもふ……してる……ぅぅ……」
極寒の世界に身を投じられたかの様な吹雪が全方位から襲い凍り付いていきながらも、ウェザーシープ達のもふもふがおしくらまんじゅうの様に全方位から押し付けられる。
気持ちよさと寒さが両立したテフラは悲痛どころか天国にも昇るような心地よさを覚え、微笑みながら雪と氷に包まれていき。
悲鳴がなくなった後には幸せそうな表情をしながら氷漬けになったテフラが、ウェザーシープ達の群れの上にぎゅうぎゅうと押し出されていた。
「あっ、テフラさ……うん、いつもの光景なので放置なのです!」
大体テフラは何らかのアレな目に遇う。
恋人であるこん子は大体その事を分かっていた。
そうこうしている内に完全になだめきったウェザーシープが、空に陽光を照らし出し。
「気持ちよくて…何だか眠く…」
こん子はウェザーシープのもふもふした羊毛の中に顔をうずめ、よき日差しの中、眠ってしまったのだった。
「…スゥスゥ…」
「(さ……さむ……い……なんだか……ぎゅうぎゅう……され……て……)」
その隣に寄せてこられ、ウェザーシープの羊毛にぎゅうぎゅうとされている氷漬けのテフラもまた、幸せそうな笑みを浮かべて氷の眠りについていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神城・瞬
おお、【天候操作】が出来る羊さん・・・落ち着くと暖まり、機嫌が悪くなると寒くなると。今回はどうやらご機嫌が悪いようで。僕は氷の精霊術を使う関係で寒さには耐性あるんですが、世界そのものが吹雪くのは重大な問題ですね。
念の為トレンチコート着て防寒してから群れで突撃してくる羊さん達に向かって銀のフルート清光のベネディクトゥスを発動。とりあえず心休まる音楽を奏でて宥めて見ます。
まあ、潰されて埋まることも有り得るのですが、めげずに起き上がって、膝や肩や頭に羊さんを乗せて撫でながら落ち着くまで好きなようにさせます。体が毛だらけになっても構いません。
落ち着きましたか?ここにはいじめるのはいませんよ。
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「おお、天候操作が出来る羊さん・・・落ち着くと暖まり、機嫌が悪くなると寒くなると。ですが今回はどうやらご機嫌が悪いようで。」
金髪の良き顔をしたダンピールの紳士が現れた。
彼の名は神城・瞬(清光の月・f06558)。
どうも此度は単独で参られた様だ。
「僕は精霊術の関係で寒さには耐性あるんですが、世界そのものが吹雪くのは重大な問題ですね。」
トレンチコートを着て防寒してはいるが、さてどこまで耐えられるかといった所であった。
早速と群れで吹雪の塊と成しながら突撃してくるウェザーシープが目に入った。
『
清光のベネディクトゥス』
瞬は銀のフルートを手に取ると、美しい音色を平原に響かせた。
その心休まる音楽は、音を聴いたウェザーシープ達の機嫌を落ち着かせ、ゆっくりと
宥めつかせていく。
「落ち着きましたか?ここにはいじめるのはいませんよ。……む、ぐっ。」
そう言って手を広げ、敵意が無い事を示した瞬に、ウェザーシープ達がわらわらと寄って来る。
「……これは……」
周りの気温が緩やかに暖かくなっていく中、どんどん攻め寄ってきたウェザーシープの群れに瞬は潰れるように埋もれてしまう。
「こら、そんなにまで詰め寄っては……むぐ。」
「メエー」
「メエエー」
めげずに何度も起き上がるも、瞬に惚れでもしたのだろうか、好意を持ったウェザーシープ達が次々と瞬に羊毛の身体を擦り付ける。
結構強い。数もあり、たまらず押し負ける瞬は何度も羊毛の中に身体が沈んでしまう。
「ふぅ……結構こたえますね……落ち着きましたか?」
どうにか、と、ダンピール由来の力で抱き寄せる様にウェザーシープを押しとどめる瞬。
新品の様に綺麗だったトレンチコートは今や羊毛まみれだ。
そんな中、崩した膝にウェザーシープを乗せ、撫で、肩に前足をもたげて乗るウェザーシープののしかかりに耐え、更に一回り小さなウェザーシープが、モフっと瞬の頭の上に乗る。
「お、おぉ。ここまでしてくれるのですか。……暖かい……」
何とも言えない心地よさの中、瞬は天から射す陽光を受けながら、羊達に絡まれ続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
さっむ…何これ?
暴れるなら受けるっきゃねえ
何も閃かないのでプロレスのように力で受け止めて、案の定吹き飛んで凍結した地面を滑っていきます、無惨ー
そのまま薄く氷漬けになるけど気合で割ってテイク2だぜ
アタシの心の火は消えないっ
苛められて来たんだし、餌袋をブチ撒けてご飯の食べられる安全地帯であることをアピールするよう生徒に指示する
「
落ち着くんだ羊たちよ!」と動物と話すことで慰めつつ、やっぱ根性論でどうこうなると思わないので【フォックスファイア・弐式】も展開します
これだけ寒いと落ち着くわけがないもん
暖を取らせブラッシングで寝かしつけるよ
アタシの炎なら負ける気しないぜと盛大に慢心するのでした
●
「さっむ…何これ?」
灰髪の妖狐、四王天・燦(
月夜の翼・f04448)が現れた。
その目前にはウェザーシープ達の群れ。吹雪を起こしながら走り続ける羊の行軍である。
「あれが雪を降らせてんのか……?全く。どうしたもんかね。」
そこで彼女はおもむろに武器を捨て、素手で立ち向かう。
「何も閃かん。暴れるなら受けるっきゃねえよなやっぱ。」
プロレスの様に力で受け止めようと丸腰で突撃。素手で先頭の1頭をわしづかみせんと飛び掛かる。
「「「「メエー
!」」」」
「おわああ!」
捕まえたと同時に瞬く間に吹きすさぶ大量の吹雪が燦を襲い、巻き込まれる。
先頭のウェザーシープが勢いよく燦を頭突きでどついて吹き飛ばす。
吹雪から抜けて吹き飛んだ燦は、何かを抱きかかえようとしている姿で氷像の様に全身凍り付いた状態で、吹雪によって凍り付いた平原の道を無惨に滑っていく。
驚嘆と寒さに満ちた表情で固定されたまま無常に滑っていき、ぼちゃんと近くにあった湖の中に落ちる。
ぷかぷかと浮いた上からその近くをウェザーシープの群れが通ると、猛吹雪が巻き起こり、燦は凍った湖に突き上がるようにできた氷塊と化したのであった。
「………………」
驚嘆と寒さに満ちた表情の燦の氷に、極寒の雪が無慈悲に積もっていく。
数分、極寒の地に冷ややかに煌めき続けていた氷塊は、内側からひび割れ、砕かれる。
「アタシの心の火は消えないっ」
燦、復活である。
彼女は改めて作戦を考える事にした。
「苛められて来たんだし、餌袋をブチ撒けてご飯の食べられる安全地帯であることをアピールすれば大丈夫だよな」
燦は村から調達した、羊用の餌が入った袋を大量に持ってきた。
そのまま無事なアルダワの生徒達の下へ。
「おらっ、生徒共、こいつで餌付けするようにしてくれ!」
急な指示でびっくりするも、猟兵の考え故に従うアルダワ生徒達。
平原の辺り一面に羊の餌がぶちまけられた。
ウェザーシープの群れが踵を返してこちらにやってくる。
「よしよし、効いたな。これで後は……」
安堵する燦だが、ぶちまけられた餌には目もくれず突進してくる。
「うおお!?」
踏みしだかれる餌。迫り来る吹雪の塊。
先程まで凍ってはね飛ばされていた奴が何で復活しているの?みたいな恐怖心がその目から見て取れる。
「
落ち着くんだ羊たちよ!」
咄嗟に腕を広げ、羊語で説得しようとする燦。
しかしウェザーシープ達は止まりそうにない。
「っち。やっぱ根性論でどうこうはならないな。」
燦は諦めてユーベルコードで対処する事に決めた。
『御狐・燦の狐火をもって陣を為せ。炎の生命力で癒しと安らぎをもたらさん――』
安息のぬくもりを持つ大量の狐火を展開する燦。
燃え広がらないその不思議な狐火はウェザーシープ達を包み込むと、安らかな感情を与え、眠気をもたらす。
「メ……」「メエエ……」
どっと疲れたような表情をして、ウェザーシープ達はその場に膝を崩し、次々とこてんと寝転がり、すやすや安らかに眠り出したのだった。
「これだけ寒いと落ち着くわけがないもん。暖は必須。」
その後、燦は改めてアルダワ生徒達と共にブラシを手にしてウェザーシープ達に詰め寄る。
一緒に膝を崩し、1頭1頭、丁寧に羊毛をブラッシングする。
すると天が割れ、徐々に日差しが差し込み、辺りの空気は暖かな暖気へと変わっていったのだった。
「天候操作の羊だろうと、アタシの炎なら負ける気しないぜ」
燦は一仕事終えたような表情で慢心したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『アイス・コキュートス』
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POW : コキュートス・ブリザード
【全てを凍らせる絶対零度の猛吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 凍止する世界
【全身】から【想像を絶する寒さの冷気と絶対零度のビーム】を放ち、【凍えながらの全身瞬間冷凍】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : スノウ・フリーズ
【対象を凍らせる氷の全身もこもこ着る毛布】【雪で出来た全身を簀巻きにするもふもふ毛布】【対象を閉じ込める絶対零度の檻】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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かくして、ウェザーシープの群れをなだめつかせる事に成功した猟兵達。
「ありがとう!助かったよ」
アルダワの学生たちにお礼を申し上げられる。
「さぶさぶ……こ、凍った時はもうだめかととと……」
凍っていた生徒も無事解凍され、今は毛布に包まっている。
「しかしあいつら一体どこから来たんだ……?」
その時である、魔法教師が光のレーダー的なものを見せた。
「君達が活躍している間に計算した。ウェザーシープ達が来た道と冷気の経路だ。それらが指し示す彼らの巣は……ここだ」
そこは切り立った崖の麓にある洞窟であった。
「ウェザーシープは元来、巣を洞窟に作る傾向があるのだ。」
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追い出されたウェザーシープの巣であるという洞窟に猟兵達は突撃した。
その洞窟に入った瞬間、刺すような冷気が猟兵達を刺激した。
洞窟は……ここに、本当に羊が住んでいたのか?と思える程、極寒に満ちていた。
屋内であるにもかかわらず絶えず吹雪が吹き荒れている。
洞窟は一面、青白い氷の壁で覆われ、足元には雪が積もっている。
気温はどんどん下がっていき、最早絶対零度に近い程の寒さへと突入してきている。
対策がないと猟兵と言えどもあっという間に氷像の仲間入りであろうか。
洞窟を進んでいくと凄惨な光景が目の当たりになった。
氷の洞窟とも思わしきその広場に立ち並ぶ、無数の氷像。
全身凍り付いた、アルダワ中の人間の氷のオブジェが立ち並ぶ。
「わたしのコレクションに……何か用……?」
絶対零度の凍気に身を纏った、防寒服を着こなす赤ピンクい少女が現れた。
彼女の近くにいるだけで、耐性の無いものはあっという間に凍り付くだろう。
「以前住んでいた場所が事故で崩落しちゃって……新しい巣が必要だったの。ここにいた羊さんは雪を降らせるから、最初は仲良くしていたけど、私の力があんまりにも寒すぎてみんな出ていっちゃった……」
彼女は言葉を紡ぎ続ける。
「私、氷漬けになった子や、寒さに凍える可愛い子が大好きなんだ……こっそり見てたよ……あの羊さんが吹雪で皆凍ってくれる事を期待してたけど……残念。」
「でもここに来てくれたという事は……みんな寒くなって凍えて……わたしの氷像コレクションの仲間入りになりたいって事だよね……?歓迎する……ならせてあげる……」
そう言ってその少女は、否、災魔は、全身から猛吹雪と、凍てつく冷気を放出。
猟兵達を凍らせようと、容赦無く戦場を絶対零度に引き下げていく!
※特殊
(戦場には無数の人間の氷像がありますが、災魔の力なのか壊れたり溶けたりしません。災魔を倒すと溶けます。遮蔽としてお使いください。)
(本章、やられプレイングをしても成功値にボーナスを入れるものとします。最終的には倒さねばなりませんが、十分寒さをご堪能下さい。)
神城・瞬
本当に凍ってますね。酷いですね。人間をそのまま氷像としてコレクションするなんて。とにかくここ寒いですね。氷の精霊術使う僕でもキツいですよ。流石氷そのもののスケールは違いますね・・・
ウェザーシープさんを苦しめた張本人は貴方でしたか・・・僕も寒いのは好んでますが、他人を害してまで押し付けるものではありませんよ?少し痛いめ合わせてわからせるとしますか。
寒さは【オーラ防御】【結界術】で何とか和らげたいんですか、手が痺れますね・・手強い。口だけなんとか動かして【全力魔法】で疾風閃を飛ばします。【マヒ攻撃】【鎧無視攻撃】はなんとか併用できますがこれ以上は・・
本当に迷惑ですね!!痛い目みて反省してください!
●
洞窟を進んでいくと凄惨な光景が目の当たりになった。
氷の洞窟とも思わしきその広場に立ち並ぶ、無数の氷像。
全身凍り付いた、アルダワ中の人間の氷のオブジェが立ち並ぶ。
「本当に凍ってますね。酷いですね。人間をそのまま氷像としてコレクションするなんて。」
白い息を吐きながら、氷の空間に瞬が舞い降りた。
「とにかくここ寒いですね。氷の精霊術使う僕でもキツいですよ。流石氷そのもののスケールは違いますね・・・」
彼もまた寒さに震える。今回の相手、氷と極寒を司る今回の災魔の力は段違いの様であった。
「お客さん……?」
そんな氷像群の影から災魔がゆっくりと、凍えた目を覗かせた。
「わたしのコレクションに……何か用……?」
絶対零度の凍気に身を纏った、防寒服を着こなす赤ピンクい少女が現れた。
ここに住んでいたウェザーシープを追い出したという彼女の話を聞いた瞬は、その瞳に冷たい怒りを浮かべる。
「ウェザーシープさんを苦しめた張本人は貴方でしたか・・・僕も寒いのは好んでますが、他人を害してまで押し付けるものではありませんよ?」
冷気の籠った白い息を吐きながら、瞬は杖を構える。
「少し痛い目合わせてわからせるとしますか。」
その言葉と同時に結界が張られる。
その言葉と同時に災魔から極寒の吹雪が巻き起こった。
あと少し遅ければ瞬の身体はどうなっていたか分からない。
その結界は瞬の魔力オーラと結界魔法による、寒冷を遮断するバリアであった、が、吹雪を防御する瞬の手には、それでもうっすらと霜が降り、その冷たさで手がしびれている。
「(……手強い。)」
災魔の彼女の放つ攻撃は実にシンプルであった。
吹雪を、放つ。
迸る超極寒の雪と風が瞬く間に瞬を凍り付かせていく。
「魔法使いさんなのですね。寒そうな恰好をしているからでしょうか、平気なように見えて、やっぱり寒そう……。」
はふと防寒着に顔をうずめて凍てつく吐息を吹く災魔。
それと同時に更に吹雪が勢いを増す。
瞬の身体が更に凍える。
体温が冷え切り、低体温症を引き出しそうな白い冷気に凍えると、結界を張りながら距離を詰め攻撃の機会を伺う瞬はひとりでに震えだし、声も震える。
「もっとずっと見ていたいです……その内その杖も手放して、がちがちがたがたと震えるんです……私知ってます。この人もそうでしたから。」
そう言って近くに佇む魔法使いの少女の氷像に手をぽんとやる災魔。
それは瞬の末路の様な、雪の積もった地面に杖を落とした、びっしりと体中に氷柱の垂れ下がる、腕を組んでがちがちと歯を震わせる様に寒がったまま時を止めた少女。
頭には何日このままでいたのか分からない程沢山の雪が積もっている。
「減らず……口を……。」
「あなたも同じように、一緒に凍り付きましょう……?」
再び吐息を吹いて、更に真白の強烈な吹雪を吹きつける災魔。
このままでは瞬は完全に凍り付いてしまう。
その光景に油断した災魔は、我慢できずに瞬に近づいてくる。
己の身から発する冷気と吹雪をさらに強める為。
「(……射程距離に入った!)」
『疾風よ、奔れ!!』
気力を振り絞り、口内に氷柱が出来上がる瞬の口からユーベルコードの詠唱。
それと同時に吹雪を切り裂かんほどの風の刃が瞬の杖から放たれ、災魔を切り裂き、吹き飛ばす。
「っ!!」
災魔は吹き飛んだ。
それだけではない。切り裂かれた風が自身の厚着の衣服を通して身体の内に響く程のダメージを与える。
洞窟の壁まで吹き飛んだ災魔はその衝撃で痺れ、一時気を失う。
「本当に迷惑ですね!!痛い目見て反省してください!」
瞬は隙を突き、滑るようにして一撃をぶつけ、離脱していった。
これ以上攻撃を加えに行けば、今度こそ全身が凍り付いてしまうかもしれないからだ。
大成功
🔵🔵🔵
黄泉川・宿禰
※アドリブ連携等歓迎
これまたいい趣味をしている災魔だな。
少しお灸を据えてやる必要がありそうだ。
しかし……随分と冷えてきたな。
流石に寒いぞ。
一応<結界術>で防寒を試みるが……
気休め程度にしかならんだろうな。
……まずいな。凍ってきた。
あの氷像の仲間入りをするのも時間の問題、か……くっ!
……と、まぁ
敢えて氷漬けになることで災魔の油断を誘い
近くに<おびき寄せ>たところで
<咒怨・地獄道>を発動。
地獄の門を開き、この場に大焦熱地獄を顕現させる。
地獄の炎であれば……奴に十分なお灸を据えることはできる筈だ。
奴は随分と氷漬けがスキモノみたいだからな
機会があったら、今度は八寒地獄行きのチケットをくれてやるよ。
●
「これまたいい趣味をしている災魔だな。少しお灸を据えてやる必要がありそうだ。」
凍てついた氷のオブジェ(人型)に目を配背ながら、宿禰は周囲に式神を展開し、敵の襲撃を警戒しつつ氷洞の先へと進む。
「しかし……随分と冷えてきたな。流石に寒いぞ。」
その内災魔の冷気によって、雪と氷で厚着されたかのように何重にも氷雪が宿禰へと覆いかぶさっていく。
宿禰は結界を張り、どうにかとバリアの様に氷雪をギリギリで退けていくが、寒波は防げない。
そうして進むとやがて、白い冷気で視界の悪い中から、目立つ色をした防寒着の少女が現れる。
災魔だ。
「新しいコレクションがまた一人……やってきたの……ね……?」
災魔は微笑むと、吹雪を放つ。
その吹雪は飛来中に宿禰を簀巻きにせんと毛布の様な厚い雪の塊となって宿禰に襲い掛かってきた。
それを更なる結界によって防ぐ宿禰。だが災魔の冷気によって、徐々に、宿禰の身体が指先から芯に至るまで凍り付いてきた。
「……まずいな。凍ってきた。あの氷像の仲間入りをするのも時間の問題、か……くっ!」
「その寒そうな表情がとってもいい……仕上げ……にしましょう……」
災魔は手を上に翻すと、宿禰の周囲に冷気の檻が出来上がる。
あっという間に氷点下を超え、絶対零度の気温になり、宿禰の身体が即座に完全に凍り付いていく。
「…………………………」
「ああ……目が隠されていますけど、いい表情。頑張って寒さを防ごうとしたけれど、結局叶わないままにこんなに震えて……」
周囲のそれらと同様、極寒の冷気によって氷像と化し、上から何重にも極寒の雪で覆われた宿禰。
その氷のオブジェにゆっくりと近づき、凍てついた頬に手袋の手で触れようとする。
「(……と、まあ。やられてしまえば災魔も油断するわけだ。)」
その時、宿禰の周囲が、覆われている氷が一瞬にして絶対零度を翻す獄炎の熱で満たされた。
「う、わっ
……!?」
『地獄門、展開──さぁ、大掃除の時間だ』
一瞬で氷が溶けた宿禰は元の色と肌を取り戻し、雪さえも蒸発する地獄の炎を権限させる。
短時間、八大地獄を権限させる宿禰の技。
今回このユーベルコードで開いたのは勿論、八大地獄の最終、大焦熱地獄だ。
劇的な獄炎によって急激に熱された周囲はひび割れながら災魔を焼き、割れる様なダメージを与える。
「あっ、あああああ!」
「追い出された
あの羊の分、お灸を据えてやるよ。」
災魔が吹き飛ばされるまで、宿禰は幾度も幾度も災魔を焼いたのだった。
「随分と氷漬けがスキモノみたいだからな。機会があったら、今度は八寒地獄行きのチケットをくれてやるよ。」
成功
🔵🔵🔴
テフラ・カルデラ
【狐と兎】
※アドリブ可
わわわ…!氷像がいっぱいなのです…羨まし…イエナンエモアリマセン…
ともあれ敵を倒して助け出さなければいけません!
相手からはものすごい冷気が…ど…どうしましょうこん子さん…!?
迷っているうちにコキュートスがこちらに向かってくるので【全てを凍てつかせる小さな妖精】さん達を召喚!
…って言ってる間に思い切り抱き着かれて段々凍っていきます…!
あれ?こん子さん?妖精さん達と融合して…胸が大きいお姉さんに…?
あ”…まさか…こん子さんも抱き着いてきましたぁー!やっぱりぃー!?
(コキュートスと融合こん子さんの冷たすぎる冷気によって身体の芯まで凍って氷像と化す兎)
稲荷・こん子
【狐と兎】
アドリブ歓迎
なる程、確かに寒い場所なのです
すると横でテフラさんのある一言にピクッと耳が反応して
「今、羨ましいって…言いましたです?」一瞬目から光が消えかけたこん子
どうやら“固めに反応している”のを別の事と勘違いしている様子
「私以外の女性に鼻を伸ばしたテフラさんは、こうなのです!」
氷の妖精さん達を沢山集めて抱きついてもらい【秘技】発動
そこに立っていたのはナイスバディな氷狐の美女が…?
そして始まるテフラさん凍らせと、敵を倒す本気の闘いが!
「全部凍っちゃえ、なのです!」
(解決後)
うっとりと氷像テフラさんを撫でて
「テフラさんは誰にも渡さないのです…」
と言っているこん子(?)が居たとか…
●
洞窟を進んでいくと凄惨な光景が目の当たりになった。
氷の洞窟とも思わしきその広場に立ち並ぶ、無数の氷像。
全身凍り付いた、アルダワ中の人間の氷のオブジェが立ち並ぶ。
「なる程、確かに寒い場所なのです」
自身らも間もなく同様の氷像にならんとする程の冷気。
だがテフラとこん子の二人は普段からこの手の類の話に慣れているので、得意げな顔をしていた。
凍てついたアルダワ生徒の氷像を見て目を輝かせたテフラ。
「わわわ……!氷像がいっぱいなのです……羨まし」
そう言った瞬間、こん子がテフラの口に手を突っ込んだ。
「テフラさん?」
「ひ!うっ!?」
「今、羨ましいって……言いましたです?」
その目は光を失った、獣が獲物を狩る時の目である。
殺意が宿っている。
「は、ひぁひ
……!?」
「こん子という狐がありながら、他の方に目くばせをしていたのですか……?」
「ほ、ほういうわへでは……!」
テフラはただ凍って飾り物にされている人物という状況を羨んでいた。
が、こん子は別解釈をしていた様だ。
もしもテフラが氷の中に閉じ込められている人間の内、目移りするような女がいたなら。
あまつさえ今回の事件解決後の解凍をきっかけに仲良くなろうとしているならば。
こん子の手がずんずんと、テフラの口の中に入り込んでいく。
「……イエナンエモアリマセン……」
ふがふがと口を蠢かすテフラに突っ込んだ手をそのままに、二人は先に進む。
こん子はテフラが他の氷像に目が行かない様にしていた。
やっと解放されたテフラは兎耳を揺らしながら状況を再確認する。
「ポーラさんの情報で出てきた、あのもこもこした災魔の女の子は、多分つららさんの宿敵、『アイス・コキュートス』ですよね?なんでか一辺倒として災魔呼びされてますけど……ひうっ、この刺すような冷気、恐らくはもうすぐアイス・コキュートスさんです!今の内に妖精さんを呼んでおかなければ。」
そう言ってテフラはあらかじめユーベルコードを発動する。
手から召喚される様にふわりふわりと現れる、氷の妖精達。
振れた相手を瞬く間に凍らせる力を持つ。
「(妖精さん妖精さん、ちょっとテフラさんに灸を据えたいので手伝って頂きたいのです。)」
そんな妖精達をこっそりこん子が呼び寄せて、テフラの見えない位置に誘導する。
悪戯大好きな氷妖精達は何だろうとこん子の腰辺りに飛んでいく。
と、突如氷妖精達はこん子の身体に吸い込まれる様にして引き込まれた。
『私と混ざって、プロポーションと氷の力を宿して欲しいのです!』
「?こん子さん?」
ふと、刺すような冷気がこん子の方から感じて兎耳が反応した事に気づいたテフラ。
「なんですかその……えっ?……なんで……おっきくなって……?」
振り返るとそこには氷の力を得た、氷色の毛色を有するナイスバディな妖狐の美女。
氷の力を宿した氷こん子が、病んだような眼をしてテフラに微笑んでいた。
「えっ、えっ?……その色もしかしてわたしの妖精さんの……融合して…胸が大きいお姉さんに…?」
「どうですかテフラさん?私は自在に体系を操る事が出来るのです。」
こん子は突如、ぎゅっとテフラに抱き着いた。
「だというのにテフラさんは他の女性にうつつをぬかして……」
「ひあっ!?」
「私以外の女性に鼻を伸ばしたテフラさんは、こうなのです!」
抱き着かれたテフラは、触れた所からあっという間にパキリと凍てつき、その身体が氷像の様に白くなり、霜で覆われる。
「あ”……あひいいぃ……!?こん子さ……こん子さん……!こんな……所で……ひっ……ひゃぁぁぁぁ……」
驚いた表情で凍り付いたテフラの口から、字面ではまだ随分余裕のありそうな声が、必死に喉の奥から響いてきた。
ひゅう、ひゅう、北風の様な冷気の呼吸音。
肺も凍り付いているというのに冷たく凍てついた感覚が全身に回りながらも、どういう訳かテフラは生きていた。
しかし指先までも凍てついたその状態では口から冷たい風を出す事以外何もできない。
ただただ、氷の美女こん子にされるがまま抱きしめられ、そのしなやかな、硬い氷人形となってしまった肢体を冷たい指先でなぞり這い回されるだけの状態となっていた。
まだ戦闘前である。
「つ……つめたすぎ……ますすす……こんな時にコキュートスが来たらた、たたた大変な事に……」
「テフラさん」
こん子はじっとテフラと目を合わせて見つめ続ける。
「テフラさんはずっとこん子だけを見て頂ければいいのです。他の皆は全部凍って、誰にも邪魔されない世界になってしまえばいいのです。」
その眼はとても冷たかった。
見返すテフラの眼も芯まで凍っていて冷たかった。
「(み、みんな凍って
……!?)」
がたん、とテフラの氷像が揺れる。
その光景を見たい、とでも思ってしまったのだろう。
心なしか驚いたまま凍り付いている表情がどことなく微笑まし気にも見える様な気がしてきた。
「テフラさん?」
その様子を見て更にこん子の冷気が強くなる。
テフラの身体を覆う氷が徐々に厚みを帯び、硬く冷たくなっていく。
「(ひ、ひええええー
!!?)」
どういう訳か五感が残っているテフラは、凍った体でその冷気を芯の芯まで味わっていく。
最早言葉すらひり出す事が出来ていない。完全な氷像状態である。
「……なんだかすごい冷気が……誰……?もっともっと寒く寒く凍えませんか……?」
そんなやり取りをしている間に、遂に災魔が氷像群の影から現れた。
ものすごい冷気がぶわりとテフラとこん子を襲う。
「ああ、いいやり取りをしてる……わたしも混ぜて頂けると……」
更にぶわりと、絶対零度の猛吹雪が二人を襲う。
「(ひゃああぁぁぁぁ
……!)」
テフラは厚い雪に覆われて凍り付いていく。
こん子はそれを意にも介さず、更にテフラに冷気を込めて凍らせていく。
積もった雪がこん子の手に触れると、あっという間に雪が氷の塊と化していく。
吹雪を放つ間に、災魔が二人に近づいて、一緒にハグをしようとする。
「(ひゃあぁぁあ!コキュートスまで!つ、つめたいいぃぃ!)」
「だめです!テフラさんは私のもの。私のものなのです……!」
更に強く抱きしめるこん子。
ぎゅむぎゅむとくんずほぐれつ、氷の世界の中で抱き合う3人。
その内の1人は完全に凍り付いて尚極寒の冷気を感じ続けている、生命の危機を感じる状態となっているが。
災魔は更に冷気を操って、絶対零度の檻を形成すると、3人共に氷漬けになろうとする。
「もう我慢できません……!誰にも溶かせない、壊れない絶対零度の氷の中で、みんなで一緒に寒くなりましょう……!」
「アイシング・フリーズ・フェアリーさん……!」
氷狐と化したこん子すらも氷に閉じ込めようとする圧倒的な冷気に、対抗してこん子は、体内に居る氷妖精達の冷気を解放した。
「ひゃ……ぁ!」
一瞬で世界が凍り付く。
触れるだけで瞬く間に凍り付く冷気が、氷洞中に解放され、爆発的に放たれた。
その瞬間こん子とテフラの周りに厚い氷壁が幾度も生成される。
「(……………………)」
災魔は一瞬でその氷壁に閉じ込められ、更に押し寄せる冷気の風の勢いで、ゴゴゴと、二人から引き離される様に吹き飛んでいく。いった。
何もかもが凍てついている氷洞の世界。
その中心で兎の男の娘を、ずっとずっと抱きしめ続けている妖狐がいた。
氷の妖精と融合した氷妖狐な彼女は、うっとりと、いつまでもテフラを見続け、触れ続け、その冷気で凍らせ続けている。
大きくなったしっとりと柔らかい氷の胸が彼氏の身体に押し付けられる。
それすらも冷たいと感じながら、しかし幸せそうに、ずっとずっとその兎の男の娘は凍てつき続けていたのだった。
「テフラさんは誰にも渡さないのです…」
うっとりとした目で、こん子は氷像テフラを、いつまでもいつまでも愛おしそうに撫で続けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
四王天・燦
【玖式】で炎の鎧を作るぜ
炎は千度を超える
-273℃と相殺しても暑くて汗が出るくらいだ
アタシが欲しけりゃ凍らせてみな
炎の鎧に付随する篭手を装着したままグラップルで掴むよ
防寒具を焼却したり氷の力を削いで退去勧告だ
大火傷させないよう配慮します
一転、溶けた氷(=水)や持続的な冷気で次第に鎧が鎮火しちまう
焦った所で手遅れ
汗で体温を失い、意識も朦朧
冷たい…痛い…眠い…
氷珠の涙を零して立ち尽くし、迫るビームに目を見張り怯えながら凍り付く
復活しないよう分厚い氷棺に封じられるよ
肌は蒼白に染まり
心の炎が消え、魂まで絶対零度の夢に囚われる
体が軋む…固い…寒い…
※単騎希望。美しく氷漬けにしてください。アイスの感想所望
●
まず燦は炎の鎧を作った。その炎は千度を超える。
「
-273℃と相殺しても暑くて汗が出るくらいだ。アタシが欲しけりゃ凍らせてみな」
氷の洞窟の中、氷像が立ち並ぶ世界で出くわした災魔に、燦は挑発するように手を招いてそう言った。
沸き立つ陽炎が周囲の氷をじわじわと溶かしながら、狐火の力を纏う燦は立つ。
「あなたも私の氷のコレクションに加わりに来たんだ……かわいい」
言い終わる前に燦は炎を纏って飛び掛かり、生成した炎の鎧に付随する篭手を装着したまま災魔を掴みにかかった。
「至近距離だぜ。」
抱きしめるように掴んだまま放さず、篭手からの炎を解放。
災魔と燦は全身火だるまになり、氷の世界で激しく燃え上がり、煮えたぎる様に溶けていく。
「あっ、あああぁぁ……!」
あまりの熱さに災魔の装う防寒具は焼き消え、氷を溶かしていく。
露出の高い状態で驚き苦しむ災魔。
そのまま災魔の全身を焼き尽くさんとしていた。が。
数秒後、状況は一転する。
「……あれ?……何?なんだこりゃ……炎が、弱まって」
「そう……だね……氷は一度溶けても水になる……から……また冷やせば元通り……どころかもっと寒くなる……」
水だ。水と冷気だ。
溶けた氷から湧き上がった水、溶かした傍から持続的に冷やし続けて来る冷気。
この二つが千度を超える熱の炎をどんどんと鎮火していったのだ。
炎の温度に上限は無く、氷点下には下限があるが、冷やす速度でいえばこちらも下限は無い。
降りかかる雨の如き水と、周囲の絶対零度の冷気によって、次第に燦の鎧は鎮火してしまった。
「はふぅぅ……」
災魔は冷気を操って、新しい防寒着を着こなす。
雪で出来た、とても寒そうな寒冷の防寒着だ。
更に至近距離、掴まれている状況が仇となった。
そのまま燦をどんどんと極寒の冷気で冷やしていく。
「あっ……うあ……ぁ……」
燦は先の熱さによる気温差でぶわりと噴き出た汗で体温をも失い、意識も朦朧とする。
「(冷たい…痛い…眠い…)」
そのまま一気に下がっていく気温に、雪山よりも寒い状態によるショックを起こす。
燦の鎧の炎は最早全て消えた。
更に極度の冷気で、篭手と胸、股以外の鎧が爆ぜ、崩れ去ってしまう。
「ふぅぅぅぅ……」
想像を絶する寒さの冷気を吹きつけられ、まず樹氷の如く凍り付いた燦。
ばき、ばき、ぱき、ぱき、身体が凍てついた氷で軋む。
炎を出せば助かるかもしれないが、既に余りの寒さで心が凍てつき、戦闘不能となっている。
「(体が軋む…固い…寒い…)」
ぽろり、ぽろり、寒さで感情さえも分からなくなった燦は氷珠の涙を零して立ち尽くす。
「もっともっと寒く凍り付いた姿が理想……仕上げに入る……から……動かないでくださいね……!」
渾身の冷気を手に込めて、放たれた冷凍ビーム。
迫り来る絶対零度の光線に、目を見張り怯えた表情で、一切の抵抗も許さずに直撃。
バキキキ、と、みるみるうちに全身が凍り付く。凍り付いていく。
顔も冷たい氷で覆われ、全身が更に厚い氷で覆われ、その様相はまるで今の災魔の様な、氷で出来た厚着を着込んだ妖狐の女性の様である。
「ううん……これだけじゃ足りない……私を溶かそうとしたもの……二度と溶けない様、何度も何度も凍らせるね……!」
更に迫り来る冷凍ビーム。
回避する事も出来ぬまま、その身に冷気を浴びて凍り付いていく。
更に迫り来る冷凍ビーム。
おびえる表情を変える事も出来ぬまま、その身に冷気を浴びて凍り付いていく。
更に迫り来る冷凍ビーム。
パキキと雪の結晶が零れ落ちていく中、何度も何度も氷の層をその身体に形成されていく。
ふう、と、災魔が一息ついた頃。
氷の洞窟には、とてもとてもガチガチのカチンコチンに凍り付いた、一つの分厚い氷の棺が出来上がった。
肌は蒼白に染まり、心の炎が消え、魂まで絶対零度の夢に囚われた、一人の妖狐の女性の氷塊。
露出の多い、胸と股と手脚に最低限の炎……の形をした氷の鎧。それ以外には何もつけていない状態。
その上から、透き通る氷で出来た、獣耳フード付き尾出し機能の付いた厚着を着せられた状態。
短髪でおびえた顔をしながら全てを受け入れるかのような体勢をして、氷の中で宙に浮いているかのようにその様相を固定されている。
きらきらと、ほんの少し射す光が氷に反射して、美しい輝きを生み出している。
その中で光と共に生み出されたダイヤモンドダストの様な雪結晶が、絶えず氷棺の周りに舞い踊る。
「ああ……私のとっても素敵なアイスちゃんが出来上がりました……♪」
最早ただの氷のオブジェとなった燦のもとへと、静かに歩いて、顔を近づける災魔。
冷たく微笑んでその表情を見据える。
「そうしてとっても寒く寒く凍り付いた姿、いつまでも見飽きません……今でも氷でもこもこの厚着をしていますが……良ければもっと氷の厚着をして頂ければ……」
そう言って手を当てた災魔が、更に冷気を込めていく。
何度も何度も、幾度も幾度も、強烈な冷気に当てられる。
絶対零度の白い吐息が顔にかかる。
氷で出来た厚着の手が、ぽんと凍てついた燦の氷の表情に当てられ、霜を降ろす様に撫でられる。
撫でられた位置から更に霜が降りていく。
燦は幾度となく、災魔に愛でられる絶氷のオブジェと化したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
茨天・斗鬼
(アドリブ大歓迎 固め希望 SPD判定)
ちょっと出遅れたけど応援に参上!って寒い!(兎にも角にも駆けつけたので防寒対策してなかったヒーロー)
ううっ寒いけどアイツを止めないといけないんだよね……
めっちゃガタガタ震えてる私を見て氷像にしようとしてくるけどそんなのはゴメンだよ!
と意気込んでみたけどやっぱりこの寒さは辛いよ……
あちらさんはこっちの格好を見て珍しい薄着の格好の氷像にしたいって言ってるし……
なんとか戦おうとするけど寒さで全然身体はついてこない
寒さに震えながらパンチやキックで攻撃してもいつものキレも無くあっさりかわされちゃうし
逆にそのまま相手に追い詰められちゃう
そのままトドメと撃たれたビームが直撃するとそれまでとは段違いの寒さが襲いかかる
寒さで歪んだ表情のまま一瞬でカチコチに固まっちゃう私の身体
彼女好みの寒さに凍える姿な氷像となってしまった私
そのままコレクションにされちゃうんだ……
●
「はっ!」
突如洞窟の氷壁を破壊して飛んできた影がいた。
「ちょっと出遅れたけど応援に参上!」
オレンジがかった銀髪に橙の角を生やした、ヒーローズアースの少女、大鬼の血を受け継ぐスーパーヒロイン。
彼女の名は茨天・斗鬼(オウガガール・f39676)。
「このオウガガール、茨天・斗鬼が!これ以上の狼藉は許さないよ!……って寒い!」
格好良く名乗りを上げるも、がちがちと歯を震わせる。
斗鬼は兎にも角にも駆けつけたので何も防寒対策していなかった。
従って今の姿はボディラインが良く見える黒と銀のタイツ式ヒーローコスチュームの状態である。
「はあっ……でもこんな寒さ、オウガガールの怪力の前では何も意味をなさないのを教えてあげる!」
凍える世界に映る視界が白くぶれているのを認識するが、泣き言は言えない。
斗鬼はこの騒動の根源たる災魔、この洞窟に渦巻く冷気の主、アイス・コキュートスへと駆けだした。
「ぁぁ……とっても綺麗な身体……綺麗な氷に閉じ込めたらどんな顔をするのかな……私……私寒く……できます……ヒーローさんの氷漬け……見たいなぁ……!」
「ううっ寒いけどアイツを止めないといけないんだよね……」
同時に迫り来る災魔。
弱気になった声のままだが、力強く氷の地を踏みしめ、構える。
「凍えた末に氷漬けとか、そんなのはゴメンだよ!」
大鬼由来の力強き拳を災魔に放つ!
それを咄嗟に作り出した氷の壁でガードする災魔。
その氷の壁を大鬼由来の力強き蹴りで押し込む!
災魔は防御や回避に出遅れ、半身が押し滑る氷壁にめり込み吹き飛ぶ。
斗鬼もまた蹴りの反動で飛び退いて間合いを作る。
「だ、だめだ、いつもより技のキレがない」
いつもの斗鬼なら氷壁も破壊できるし蹴った勢いではじかれる様に飛び退いたりはしない。
がちがちと震えるその顔に薄白い霜が降りていく。
「もっとです。もっともっと、止まった所を見てみたいです……っ」
災魔が溢れんばかりの、冷凍ガスの様な冷気の波を全身から放ってきた。
「う、わっ!?オ、オウガガールの力にはそんなもののの……!」
筋肉と怪力でその冷気の奔流に耐えながら進撃しようとする斗鬼。
だが、あっという間に身体の表面が薄青白い氷で彩られ、硬く固まって行こうとしている事に気づくと、本能で飛び退いてしまう。
「意気込んでみたけどやっぱりこの寒さは辛いよ……」
ぜぇ、はぁ、と。
あまりに想像を絶する寒さが止んだところを突くつもりで、斗鬼は間合いとやり過ごす場所を見つける為に後退する。
しかし。
「あっ……!」
いつの間にか背後には分厚い氷壁。
その氷の中には絶望と寒さに顔を歪ませ、ひどく手を胸に寄せたまま時を止めて凍り付いた、アルダワの人間達の氷漬けとなった姿が見える。
「ひ、ひええ!こ、こうはなりたくないよ!どこかに逃げる道を……!そうだこの氷を砕けば……!」
斗鬼は意を決して、怪力によるごり押しのパンチの連打を氷に放つ。
だが氷はびくともしない。
あちらこちらで炎が上がっても溶けもしなかった氷は、災魔の不思議な力によって災魔が倒れるまで溶けも壊れもしないのだ。
「あ……ひ……!」
手詰まり。
どうにもできない状況に寒く怯える斗鬼へと、ゆっくり、凍てつく厚着をした女の子、災魔がやってくる。
「いつもは寒そうなもこもこの厚着の人ばっかり氷のコレクションに加えてるけど……」
「や……やめて!おねがい!」
災魔が手をかざすと、圧縮された絶対冷気の真白いビームが斗鬼の足元に着撃。
一瞬にして氷の地面に足が張り付く。もう逃げられない。
「あなたは珍しい薄着の恰好の氷像が素敵だと思います……こんな極寒の世界にそんなうっすらとした人間のままの素体で凍り付いてしまったら……どれだけ寒く凍えてくれるのでしょう……」
先程より強力な冷気が災魔の手に集まる。
「とどめです……っ。氷漬けになってくださいっ!」
「い、や――」
渾身の冷凍ビームが直撃する。
それまでとは段違いの寒さが斗鬼の全身を駆け巡り、痛いとも、寒いとも感じる前にその姿を完全に静止させる。
斗鬼は寒さで歪んだ表情のまま、一瞬でカチコチの氷に全身固められてしまったのであった。
「素敵です……とても素敵……みんなさむさむな氷になってしまいました……」
災魔は氷の広場に運んだ、今回の『収穫』に、ゆっくりと手を触れ、愛でる。
ボディラインのくっきりついた、美しく輝く姿の斗鬼の氷像。
表面が完全に、全身を覆う薄い氷で閉ざされた姿。
それは等身大の氷の彫刻と言ってもいいくらいの美しさであり、内包される極度の冷気は、斗鬼の動く意思を微塵も残す事なく静止させていた。
この氷像が動く事は無い。最早ただの氷である。
すらり、分厚い手袋で、ボディラインを撫でられ、薄くかかった霜が落ちていく。
災魔である彼女好みの、寒さに凍える姿な氷像となってしまった斗鬼。
その凍てつき歪んだ表情の目元には、宝石の様な氷の涙が浮かんでいた。
●
こうして何人かの猟兵を凍てつかせ、ボロボロになりながらも氷洞に佇む災魔。
そこに大量の羊毛が押し寄せる。
「ふふふ……こんなに固く凍って可愛……えっ?」
それは先程手なづけられたウェザーシープの群れである。
その感情は怒りながらも、いつの間にそうできるようになったのか、【天候操作】を完全にコントロールした、烈火の大日照りを放っていた。
「や、やめ、て、雪は日差しに弱、い……あっ……」
もう既にこれまでの戦闘でボロボロの大ダメージを受けていた災魔は、とどめと言わんばかりに、大量の羊達による猛暑をも超える日の光を浴びた事によって、たちまち全身が溶けていく。
氷で出来た防寒着も体も、嘘の様に氷の様に溶けていき、遂には消滅してしまう。
以てオブリビオンの討伐は成ったのであった。
かくして、この洞窟は再びウェザーシープ達の住処となり、洞窟には安堵した羊達の群れで毎日湧きかえる様になった。
しかし、災魔は余程冷やし続けたのであろう。彼女が凍らせていった氷は未だ溶ける兆候を見せない。
だが凍っていた人達や猟兵も、ここには今ウェザーシープ達がいる。
洞窟なのに何時でも明るく日差しを照らすようになったこの地であるならば、時が経てばやがて溶ける事だろう。
それが何時になるかは分からないが……。
大成功
🔵🔵🔵