理を蝕む万聖節前夜の物語
「冷たい風が暗闇と
灯を連れてくる。そんな季節がやって参りました。心置きなくゾッとするような一夜をお過ごしくださいね――という訳で一足早いハロウィンのお時間です」
グリモアベースに猟兵達が足を運ぶと、申し分程度にハロウィン風に装飾された其処で猟兵達が訪れるのを待っていたグリモア猟兵、星凪・ルイナ(空想図書館司書補佐・f40157)がどこか嬉しそうに口上を述べる。
「――まぁ、現実問題として由々しき事態なんだけどね。ケルベロスディバイドで危惧されていた通りに『ハロウィンの魔力』を狙って十二剣神『大祭祀ハロウィン』がついに動き出したみたいだね。大祭祀ハロウィンの狙いはケルベロスディバイド世界の地球に『ハロウィンの楔』を打ち込み世界中を「ハロウィン化」させる事……ハロウィン化っていうのは世界が「万物が存在する状態」――まぁ、よく分かんないけどカオスな状態になっちゃうって事みたいだね。このカオスに飲み込まれれば何者だろうと……例え猟兵だとしても間違いなく無事じゃ済まない事になる。だけどそれに対しての策が一つ。それは猟兵達が仮装する事によって「あらゆる世界の概念が同時に存在する状況」を作り出してハロウィン化に抗う事。何でもいいからバラエティに富んだいろんな仮装を身に纏えばハロウィン化から身を守れるって訳だね」
ルイナは事件の説明を続けながら用意されたホワイトボードに貼られた複数枚の引き延ばされた写真を指し示す。そこに映っているのは平地に築かれた中規模の決戦都市だ。『大祭祀ハロウィン』の命により決戦都市を陥落させるべく襲来するデウスエクス軍団から決戦都市を防衛するのが猟兵達の目的だ。また、『大祭祀ハロウィン』そのものの襲撃も予知されており、これを撃破しなければ都市の防衛は不可能だろう。
「という訳でキミ達に相手して貰う事になるのは尖兵として送り込まれてきた『断片竜ページドラゴン』軍団。全身が魔導書の頁で構成されたドラゴン……のようなもの。魔術書のドラゴンだなんてすごく素敵……というのは置いておいて、知識や情報の収集・略奪に特化した相手みたいだね。その関係か攻撃の主軸は極めて強力な魔術という事で流石の猟兵でも苦戦は必須……だけど、此処は決戦都市。既に
決戦配備の配置は完了してるからこれを活用すれば勝てない相手ではないね」
そう言って開かれた都市の見取り図にはあちこちに決戦配備の印が付けられている。それは都市の全域に及んでおり、どの場所に居ようとも決戦配備の支援を得る事は可能だろう。一通りの説明を終えたルイナの視線が猟兵達に向けられる。
「問題はデウスエクス軍団を撃破した後に姿を現す『大祭祀ハロウィン』だね。流石に真っ向勝負だと厳しい戦いになるのは避けられない筈。だけど
決戦配備を駆使すれば活路は開ける筈。--それにこの物語の主役はキミ達なんだからきっと勝てるよ。……という訳で事態は一刻を争う事だし早速転移を始めるね」
ルイナが手に持った本を開くと、グリモアベース内に僅かな風が奔った。
「あなたのハロウィンが驚きと笑顔でいっぱいでありますように――」
鏡花
ハロウィン最高と言いなさい。という訳でいつもお世話になっております鏡花です。
せっかくの季節物シナリオなので皆さんの良い思い出になるようなシナリオになるように
私自身楽しみながら書かせて頂きたいと思っています!
●シナリオクリア条件
『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』の撃破
●1章(集団戦)・2章(ボス戦)
どちらもハロウィン化の進む都市での戦闘となる為、其れ等から身を護る為に
仮装として戦う事が前提となります。仮装については私服を仮装と言い張って頂いても問題ありません。
とにかくカオスなハロウィンを楽しんだ者勝ちです。
両章とも【仮装して戦う】【決戦配備を駆使する】等の行動でプレイングボーナスが発生します。
という訳で皆さんのハロウィンなプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『断片竜ページドラゴン』
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POW : 飛び舞う断片の竜
対象の攻撃を軽減する【全身がバラバラに舞い散る魔導書の頁】に変身しつつ、【自身を構築する魔導書の頁に記述された魔術】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 叡智を略奪する竜牙兵
自身が【知識欲】を感じると、レベル×1体の【知識や情報を略奪する竜牙兵】が召喚される。知識や情報を略奪する竜牙兵は知識欲を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : カオスドラゴンブレス
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【自身を構成する全頁の魔術を合成した禁術】属性の【ドラゴンブレス】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
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天道・あや
2020年の仮装を着用
うーむ、良く分かんないけど、一年中ハロウィンになるのは……なるのは……ちょっと困る!
仮装よし!ポジションよし!あたしよし!
という訳でちょっくらその企み、阻止させて貰いまショータイム!
ふむ、まず最初はドラゴンがお相手と! 紙で出来るてるとはこれまた摩訶不思議、ハロウィンらしいドラゴンだ事で!(?)
しっかし、ドラゴンかー。ドラゴンと戦うのは久しぶりだなー
ドラゴンと言えばその大きさと攻撃力!
頑丈なあたしでも直撃を受けまくったら流石に……ヤバイ!
という訳で決戦配備はディフェンダーを利用させて貰います!
障壁やバリケード間を【ジャンプ、ダッシュ】で移動しながら敵に接近してUC発動!
万聖節前夜――十二剣神『大祭祀ハロウィン』の襲来により一足早く訪れた其れはとある決戦都市をハロウィン色に染め上げた。道路にはカボチャが溢れかえり、昼とも夜とも言い表せないオレンジ色と紫色が混濁した空にはベッドシートのようなゴースト達が縦横無尽に飛び回っている。日常と非日常が混ざり合い、ハロウィン化の進む街の中に天道・あや(
スタァーライト・f12190)は立っていた。
「うーむ……よく分かんないけど、一年中ハロウィンになるのは……なるのは……ちょっと困る!」
そのハロウィンの混沌に満ちた異様な光景に困惑するあやだったが、このハロウィンに飲まれまいと気合を入れる。混沌が這いずるようにあやに向かって魔の手を伸ばす――だが、それはあやに触れる事は無かった。何故ならば――
「仮装よし!ポジションよし!あたしよし!――という訳でちょっくらその企み、阻止させて貰いまショータイム!」
黄昏のスポットライトをその身に浴びて、高らかに声を上げるのは詩人か銃士か怪盗か。紅き外套を翻し、帽子の羽根が風に靡けば、パンプキンマイクを片手にマスカレイドマスクから紫色の双眸が星を煌めかせる。星は星でも今宵の彼女はトリックスター。ハロウィンの混沌の中でさえ彼女は一際眩しく輝いていた。
そんなあやの前に立ち塞がるのは『断片竜ページドラゴン』。膨大な数の頁が統制のとれた魚群のように数多のドラゴンの形を成し、其れ等が街中を飛び交う様は恐ろし気でもあり、奇妙とも不思議とも思える感情が沸き上がるのはまさにこのハロウィンの混沌を体現するに相応しい光景だ。
「ふむ、まず最初はドラゴンがお相手と! 紙で出来てるとはこれまた摩訶不思議、ハロウィンらしいドラゴンだ事で!」
断片竜の大群を前にハロウィンの雰囲気をこれでもかと浴びるあやは目の前のドラゴンに一種の懐かしさを感じていた。かつてのドラゴンとの戦いの記憶に想いを馳せれば、思い起こさせるのはその圧倒的な体躯と攻撃力。頑丈さには自信のあるあやを以てしても正面からその攻撃を受け止め耐え抜く事は至難の技だろう。つまり、今回の戦いはたった一度の被弾が致命的になる修羅の道――だが、あやにはとっておきの切り札がある。それは――
――――
決戦配備【ディフェンダー】――――
「さぁ!皆さん!やっちゃってくださーい!」
あやが高らかに叫べば、それに呼応するように都市のあちこちから歓声にも似た
鬨の声が響き渡る。
「Aチーム了解! 隔壁展開を開始します!」
「こちらBチーム! バリケートの設置は済んでるぜ!」
「うぉぉぉぉ!あやちゃーん!ライブ楽しみにしてるぞーー!」
「Dチーム、支援の準備は整っている。いつでも大丈夫だ」
あやの要請を受けて都市全域に展開していた特務機関DIVIDEの隊員、自ら志願した市民達の手により瞬く間に隔壁とバリケードが展開される。それに反応するように断片竜ページドラゴン――その群れが一斉にあやへ向かって咆哮する。大気を揺るがす咆哮、然し、あやは怯む事無く軽い足取りで断片竜の群れへと向かって走り出した。
「こんなに期待されちゃったらもう頑張るしかないねーみんなの声援が力になる……!さぁ、行くよ!」
紅の外套を靡かせて、風のように街を駆け抜けて行く。あやを迎え撃つべく断片竜達の体を構成する頁が妖しく光を帯びれば、其処に記された魔術が文字通り、暴雨の如くあやに向かって降り注ぐ。火球を、雷撃を、氷槍をあやは右へ左へバリケードや隔壁を渡り繋いで避けていく。その苛烈な攻撃に時折、耐え切れずに崩れるバリケードもあったが、あやは軽業師のような華麗な身のこなしで崩壊するバリケードの上を飛び越え危機を難なく回避する。傍から見ればその姿はまさに物語の怪盗そのものだ――断片竜の猛攻も、構築されたバリケードも、もしかすればこのハロウィン化現象すらも今のあやにとっては『
万聖節前夜の物語』という舞台の一種の演出のようだった。そして、猛攻を潜り抜けたあやはそのままの勢いに断片竜達の目の前へと飛び出した――
「ハロウィン化?そんなよく分からないものに私達は負けない!だから行くよ!あたしの歌と想い!世界に響け!!」
パンプキンマイクを構え、マスカレイドマスクから覗かせる瞳の星がキラリと煌めく。想いの込められたその歌は混沌のハロウィンを打ち消すべく響き渡る。込められた想いは力となり世界に伝わり断片竜ページドラゴン達へと伝藩すると、その体は瞬く間に崩れ落ちて無数の頁となって散っていく。果敢にも断片竜達の懐に飛び込んだその行動は周囲一帯の断片竜の一掃の一手となったのだ。
「夢と未来照らす一番星、ここに参上!……なんてね!」
その活躍に湧き上がる人々の歓声に、空を漂うゴースト達の楽しそうな笑い声が木霊する。楽しく愉快なハロウィンはまだまだ終わらない――
大成功
🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド
◎
ハロウィン目前なのに悪戯とは!気が早い奴!も少し我慢なさいよ!
そんな悪い奴はこのベルト・ラムバルドがお仕置きしちゃうぞ!
…け、決して浮かれてる訳じゃないぞ!ゆくぞ~!
ヒト型用軍服を着て軍人になりきる!威厳があるだろ?
ともかく愛機のキャバリアに乗って空中機動で突撃!
紙で出来た竜だと!?勤勉な奴!何であれ竜なら容赦せんがな!
決戦配備はクラッシャー!砲撃で竜牙兵どもを蹴散らしながら
二刀の剣を振るい竜牙兵と敵を斬り付けて攻撃する!
紙だから斬り付けても効かないか…ならば…!
UCで武器を召喚!BSフレイムランチャー!キャバリア用火炎放射器か!
こいつで紙の竜を焼き払う!焚書だ!知識もろとも灰になれー!!!
「ハロウィン目前なのに悪戯とは!気が早い奴!も少し我慢なさいよ!そんな悪い奴はこのベルト・ラムバルドがお仕置きしちゃうぞ!」
ハロウィン化が進みカボチャのランタンの灯りとベッドシートのようなゴーストに満ち溢れ、果てには魔術書の頁で構成されたドラゴンが跋扈する風景が広がる決戦都市を前にベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)は思わず声を上げた。十二剣神『大祭祀ハロウィン』との戦いに気がはやっているのか、それともこの頓智気なハロウィンの雰囲気に感化されたのかベルトの声はどこか興奮気味だった。
「……け、決して浮かれてる訳じゃないぞ!ゆくぞ~!」
自分自身に言い聞かせるように頭を振ると、気を取り直して目前の敵を見据える。異様な雰囲気と熱気に包まれて、ハロウィン化が進んでいく光景は見る者全てに伝播する混沌そのものであったが、暗黒騎士たるベルトに万が一にも抜かりは無い。ハロウィンの混沌に対抗すべく彼が選んだ仮装は、名誉と威厳を兼ね備えた誉ある軍人の姿。威光を放つ大勲章をその胸に輝かせ、厳かな
外套を翻し戦場に立つその姿はまるで後光が差すようにも思われた。
「どうだこの姿!威厳があるだろ〜?これよりこの私、ベルト・ラムバルドが指揮を執る!全隊、私の
麾下に入れーい!」
まるで軍人そのもののように振る舞いベルトが声を上げれば周囲の特務機関の隊員達も揚々として呼応する。
「了解!これより我が隊は貴殿の指示に従う!」
「言われなくてもお供させて頂きますぜ大将!」
「各隊へ告ぐ!ベルト隊に続け!繰り返す!ベルト隊に続け!」
ハロウィンの不可思議な熱に浮かされて特務機関もノリノリでベルトに従い、それによって調子に乗った彼は最高潮のテンションで愛機のキャバリア『パロメデス』へと颯爽と乗り込みその操縦桿を握る。
「いいぞいいぞ!盛り上がってきたじゃあないか!先陣を切らずに何が大将か!私が前線を抉じ開ける!出陣だ!」
『パロメデス』の戦闘システムが起動し、その巨躯が軽々と宙へ浮かび上がれば空中機動システムを駆使し、瞬く間に加速させると市街のビルとビルの間を翔け抜けて行く。カボチャのランタンとゴーストが自由気ままに浮かぶ奇妙な空間の先にはハロウィンに相応しい骸骨の兵士、竜牙兵と其れ等を使役する大祭祀ハロウィンの尖兵――断片竜ページドラゴンが都市を陥落せんと行進を続けていた。
「あの珍妙な姿――紙で出来た竜だと!?なんて勤勉な奴!見習わねば!然し、なんであれ竜なら容赦せん!骸骨もろとも蹴散らしてくれるわ!総員構え!奴らに目に物見せてやれーい!」
「了解!――目標補足。射線良し――」
「よく狙え!大将殿に当てるなよ!フリじゃないからな!」
「心配すんな、分かってるさ。という訳でベルト殿。ちゃんと避けて下さいよ?」
「こらこらキミ達!通信で全部聞こえているぞ!少しは私に当てない努力をしなさいよ!?」
「撃てーッ!!」
――――
決戦配備【クラッシャー】――――
通信システムにより発令されたベルトの号令により、決戦都市全域に配備された砲台が一斉に炎を吐いた。暴雨のような砲撃は時折、『パロメデス』を掠めてその前方を行進する敵の群れに幾つもの爆炎を咲かせ、轟音を響かせた。
「お……おお!素晴らしい!私も負けてられないな!」
ベルトの指揮により発令された
決戦配備は見事に成功し、多数の敵を薙ぎ払う戦果を上げた。その様にベルトが感嘆を零していると、黒煙を吹き上げる炎の中から無事だった竜牙兵の群れが飛び出してきた。その矛が『パロメデス』の装甲に達するその直前。『パロメデス』は駆動音を響かせその体躯を翻しその矛先を逸らすと、回転の勢いのままに構えた二刀を振るい竜牙兵を薙ぎ払った。砕け散る竜牙兵のその先には態勢を整えようとする断片竜の姿があった。この機を逃すまいと振るわれたベルトの剣は確かにその頁を切り裂いた――だが、所詮はその体を構成する大量の頁の一部に過ぎず手応えは感じられなかった。
「斬りつけるだけでは埒が明かないか……!――ならば!」
操作するベルトに呼応するように『パロメデス』が空に向かって手を伸ばす。
「神でもいい…なんだったら悪魔でもいい…!私に力を…奴らを倒す力を…このベルト・ラムバルドに寄越せッ!!!」
――ブレイブクラフト。仇なす敵を倒すという願いの叫びが形を作る。『パロメデス』が掲げる手の上部の空間が歪んだかと思えば微量な電磁波を唸らせながら巨大な重火器。BSフレイムランチャーが出現した。それはキャバリア用火炎放射器――ベルトは成すべき事を即座に理解し、ニヤリと口角を上げるとそれを掴み取り、断片竜の群れへと標準を合わせた。
「炎なら魔術書とは言えひとたまりもあるまい!物騒な書物は焚書だ!知識もろとも灰になれー!!!」
薄暗いハロウィンの夜を一際激しい灯りが照らす。轟々と燃え盛る紅蓮は瞬く間に断片竜の群れを飲み込んだ。紙の頁の上を炎が踊れば灰の欠片となってハロウィンの夜へと掻き消えていく。断片竜の群れはその炎の前に成すすべなく飲み込まれ、ハロウィンを賑やかす灯りの一つとなった。
「そら見たか!この戦い、我々の勝利だ!」
愉快で恐ろしい
万聖節前夜の空にベルトの声が高らかに響き渡った。
大成功
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ルク・フッシー
仮装ついでに、異世界のウィザードはどんな服を着てるのかと気になって、調べてみたんですが…機能的というか、隠密?みたいで興味深いですね
仮装:漆黒のパーカーにおもちゃのパソコン、現代社会の
魔術師≒ハッカー風の衣服
相手のユーベルコードは…別系統の魔法を強制的に合成し、禁術級の火力を発生させるようですね
決戦配備、ディフェンダー要請!防壁などを囮に、隠れて相手をスケッチします
…なるほど、なるほど。無理やり合成して発生する反発力も利用するんですね
では早速、実践してみましょう!鹵獲魔術、カオスドラゴンブレス!
猟兵・特務機関DIVIDの連合と大祭祀ハロウィンの尖兵達との戦いが始まり一足早いハロウィンの夜はますますその混沌を加速させていく。都市を彩るカボチャのランタンの灯火は全ての境界を曖昧にして見る者をハロウィンの狂気に落として行く。そんなハロウィンが浸食する都市の一角で夜に溶け込む黒いフードが頭を覗かせていた。
「さて……仮装ついでに異世界の魔術師の服を調べてみたんですが、動きやすくていいですね。それに隠密性……と言うべきでしょうか?身を隠すのにも適していてとても興味深いです」
黒いフードからつるつるすべすべとした緑の鱗を覗かせるのはルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)。彼が選んだ仮装は予てから興味があったアルダワ魔法学園の
魔術師とは異なる異世界の
魔術師――魔力の代わりに電子の力を駆使して思うがままに電子の世界を構築するハッカーだ。絵を好み、世界を塗り替え理想の世界を創造するゴットペインターであるルクとはある種では近いものがあるのかも知れない。
ハロウィンに溶け込む漆黒のパーカーに身を包み、深々と被ったフードから覗かせる緑の瞳に映る光景は戦いが激化し、竜の咆哮が響き渡る混沌とした風景。元々戦いを好まないルクにとって恐ろしい事この上ない状況であり、仮装の小物として持ち込んだ玩具のノートパソコンを抱える腕にも思わず力が入る。然し、何かを守る為ならどんな恐怖にも立ち迎える――ルク・フッシーはそんな人物だ。彼は意を決して『断片竜ページドラゴン』が飛び交う市街へと飛び出していく。
「やっぱり戦いは怖いです――だけど、この街の……世界の皆さんを守るために頑張ります!――
決戦配備!【ディフェンダー】要請!皆さん、よろしくお願いします!」
電子の魔術師の仮装に合わせて用意していた無線にそう告げれば、付近に待機していた特務機関DIVIDE隊員から即座に返答が返ってくる。
「要請を承った!デウスエクスの進軍経路に合わせて障壁を展開する!」
「こんな頓智気な事、さっさと終わらせてくれ!頼んだぞ!」
「ありがとうございます……!行きます!」
合図に合わせて断片竜の群れが行進する大通りに障壁が展開され、点在するバリケードの機能が解放される。ルクは大通りに向かって駆け出し、バリケードの一つへと転がり込むように飛び込むと、まずは断片竜の様子を確認しようと物陰から前線を覗き込む。断片竜は進軍を突如出現した障壁に阻まれた事により、怒り狂うようにして障壁へと猛攻を仕掛けていた。断片竜を構成する頁が輝き、無理やり掛け合わされた魔術が拒絶反応を起こして暴走する。それすらも利用する禁術をブレスとして放ち障壁へと浴びせれば想像を絶する轟音と閃光がハロウィンの空へと伝播した。
「相手のユーベルコードは……別系統の魔法を強制的に合成し、禁術級の火力を発生させるのですか……なるほど、なるほど。無理やり合成して発生する反発力も利用するんですね」
ルクは断片竜の仕草からその繰り出される猛攻まで事細かに観察し、素早くスケッチブックに書き留めていく。更には断片竜の扱うユーベルコードの仕組みを読み取るとそれを独自に解釈して呪文へと変換させ記憶していく。最後の一筆を終えるとルクは胸に手を当てて深く深呼吸をした。そうして小さく「大丈夫……きっとやれる……」と呟くと、バリケードから飛び出して暴れる断片竜の群れを力強く真っすぐに見据えた。
「では早速、実践してみましょう!
鹵獲魔術、カオスドラゴンブレス!」
敵のユーベルコードを描き留め己の技として使用するルクの技――ルクの想像を以て、相手の技を創造する。漆黒のパーカーに身を纏い、自由自在に世界を描き変える
魔術師であり
魔術師であるその姿はまさにこの混沌としたハロウィンの夜に相応しい。スケッチブックの頁がパラパラと捲れるとそこに描かれた断片竜の姿がまるで生きているかのように動き出し、書き留められた呪文が眩く輝くと同時に極限まで圧縮された魔力の塊――オリジナルと同じ、もしくはそれ以上の火力の『カオスドラゴンブレス』が撃ち放たれた。多種系統の魔法を混ぜ合わせたそれは断片竜の群れへ向かって直進するとその手前で拡散し色鮮やかな軌道を描いてハロウィンの夜を彩っていく。まるで虹の橋を思わせるカラフルな光線は断片竜達を次々と撃ち抜き、激しく燃え上がらせ地面へと叩き落す事に成功した。
「こちら観測班!メインストリートのデウスエクスの掃討を確認!作戦は成功!作戦は成功です!」
無線から報告が届けば、それに続くように歓喜の声があちこちから響き渡る。その声を聴いてルクはホッと息を吐いて胸を撫で降ろした。
「よかった……なんとかなりましたか……」
猟兵達と特務機関DIVIDEの善戦により都市のハロウィン化はなんとか凌がれている。然し、まだまだハロウィンの喧噪が止む兆しは見えない。――
万聖節前夜の物語は終わらない。
大成功
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夜刀神・鏡介
近年の様子を見るにハロウィンが混沌としている、というのは否定できないが
さておき、世界を混沌に落とす訳にはいくまいよ
魔術師風のローブと帽子を身に纏い、利剣を抜いて敵と相対
クラッシャーに支援要請。戦闘ロボを用意してもらって、舞い散る魔導書の頁に向けて銃火器で攻撃してもらう
俺は巻き込まれないように注意しつつ、撃ち漏らした頁にダッシュで接近して攻撃を仕掛けていく
記された魔術による攻撃という事は、無数の攻撃手段を持っているということ
だが、頁が傷付けば術に不備が起きる事も考えられる
止めを刺すにはきちんと斬り裂くなりする必要があるだろうが、頁の数が数だ
まずは着実に戦闘力を削ぎ、余裕を作ったところで止めだ
夜の帳は既に落ち、ハロウィンの喧噪は更に増していく。仄かな甘い香りと微熱を帯びた風をその身に受け漆黒の
外套を翻し混沌の都市へと足を踏み入れた夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は携えた刀の柄に手を重ねながら息を零した。
「近年の様子を見るにハロウィンが混沌としている、というのは否定できないが――さておき、世界を混沌に落とす訳にはいくまいよ」
一歩、二歩と靴底の音を夜に響かせながら進む鏡介は裾のゆったりとした漆黒のローブに、鍔の広い三角帽子とまるで
魔術師を想起させる出で立ちで都市を取り巻くハロウィンの混沌を払い除けながら前線を目指していく。尤も、刀を携え凛と歩むその姿は魔術師というよりかは魔法剣士と形容した方が正しいだろう。ハロウィンの喧噪を聞きながら暫く歩いた鏡介は程なくして大通りへと辿り着いた。他の区域で始まっている戦闘の余波が既に届いているのか、カボチャのランタンの灯りでやけに明るく浮かび上がる大通りには竜の形をした魔導書の頁が空を回遊する鳥の群れのように舞い踊ってる。その様を見た鏡介が静かに帯刀した利剣【清祓】を抜けばその刀身が淡紅色に輝いた。
「こちら鏡介だ。これより接敵する――
決戦配備【クラッシャー】の発令を頼む。支援してくれ――奴らに魔法を見せてやるとしよう」
「こちらDIVID。了解した。これより
決戦配備を発令する。――アサルトチーム出撃せよ」
「アサルトチーム了解!無人機による一斉掃射を開始する!巻き込まれないでくれよな!」
鏡介の発した作戦開始の合図が瞬く間に区域のDIVID隊員達へと伝令されると、『断片竜ページドラゴン』の群れが布陣する大通りを中心に、地上からビルの屋上までの各所に重武装の人型無人兵器が出現した。その無人機に備え付けられた大型機銃、ミサイルパッド、掃射機銃――ありとあらゆる武装の標準が既に大通りを飛び交う頁の群れへと向けられている。
「ありったけの弾薬をぶち込んでやれ!GO!GO!GO!」
無線に入った誰かの叫び声に呼応するように人型無人兵器の重火器が一斉に火を噴いた。文字通りに弾丸は雨のように断片竜へと降り注ぎ、その頁を撃ち抜き爆破させていく。断片竜達もその攻撃に即座に反応し、反撃として魔術を打ち返せば大通りは瞬く間に敵味方の攻撃が入り乱れる暴風域と化した。その凄まじい光景を前に鏡介は呼吸を一つ。嵐の中でさえ乱れぬように心を鎮め、【清祓】を構える。
「巻き込まれる訳にはいかないな――行くぞ」
姿勢を低く、乱れ飛ぶ頁の群れをその瞳に見据えて戦場を駆ける。時折、飛び交う攻撃が体を掠めそうになるが鏡介は最低限の動きで体を捻って其れを躱すと速度を殺すどころかその回転力を利用し更に加速し頁の群れへと飛び込んでいく。人型無人兵器の攻撃から免れた頁の一団が側面から人型無人兵器を破壊せんと地表付近に姿を現すと鏡介はそれを見逃さなかった。
「――跳ねて、重ねて堕とす――壱の型【飛燕:重】」
飛び込みざまに切り上げられた刃が淡紅色の弧を描くと頁の群れを切り裂いた。その勢いのままに鏡介は地面を蹴り付け体を跳躍させると宙で体を反転させ、返す刃からの切り落としで頁の群れを一閃、それを切り裂くだけでは無く、生じたその爆発的な風圧で頁らをバラバラに吹き飛ばす。その強襲に気が付いた頁の群れは目標を鏡介に定め、頁に描かれた呪文が光を帯びる。数多の魔術が鏡介を追撃する――筈だったのだが、その攻撃の一部は不発に終わった。先の鏡介の攻撃により頁が損傷していた為、詠唱が不完全になったのだ。
「残念だったな、その程度で俺は止められん」
かろうじて放たれた魔術の一斉掃射を鏡介はいとも簡単に避けて見せた。攻撃の軌道を読み、ギリギリまで引き付けて体を逸らし攻撃を避けるとそのまま刀を振り払い一閃。次の攻撃の準備が整わない頁の群れを後目に一気に距離を詰めると更に連撃を加えていく。まるで剣舞のような鮮やかさに、引き裂かれた頁の破片が紙吹雪のように煌めいてそれは一種のハロウィンショーのようにさえ思える程だ。敵味方の攻防が激化する中、鏡介の攻撃の手は緩む事無く、確実に頁の数を減らしていく。大幅にその数を減らし、残った頁にも傷を受けた断片竜は態勢を整えようと攻撃の手を止め、上空へ退避しようと大きく翼を振るう。然し、その胸元には既に鏡介が飛び込んでいた。
「終わらせてもらう――」
飛び込んだ勢いを利用し、刀を張り払う――そのまま切り上げ、切り落とし、一閃する。刹那に浴びせられた連撃が瞬く間に断片竜の頁を切り刻み、両断すると断片竜は雄叫びを上げ――そしてその頁はバラバラになって崩れ落ちた。人型無人兵器の猛攻によりデウスエクスの軍団は大打撃を受け、更に地上侵攻を試みた断片竜は鏡介の手により壊滅させられた。作戦開始からまだそんなに時間が経っていないにも関わらずに大祭祀ハロウィンの軍勢は総崩れに陥る事となり、付近からは既にDIVID隊員達の歓声が上がっている。その様子に鏡介は周囲を警戒しながらも一先ず刀を収める――すると、その瞬間に緊急通信が響き渡った。
「大祭祀ハロウィン強襲!繰り返す!大祭祀ハロウィン強襲!至急応戦せよ!」
大祭祀ハロウィンの出現を告げるその無線に鏡介は静かに息を零した。
「来たか、大祭祀ハロウィン――」
鏡介が空を見上げると、奇妙な色合いの混じるハロウィンの空には綺麗で不気味な――歪んだ月が浮かんでいた。
大成功
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第2章 ボス戦
『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』
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POW : そして世界はハロウィンと化す
【ハロウィン化した世界】を見せた対象全員に「【オマエのハロウィンを見せてみろ!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【ハロウィンによる肉体変化に抗う力】が半減する。
SPD : トリック・オア・ハロウィン
【食べた者をハロウィン化する毒菓子】を給仕している間、戦場にいる食べた者をハロウィン化する毒菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ : 真理を識る大祭祀ハロウィンの視線
視界内の対象1体の精神を【真実の部屋ハロウィン】に追放する。精神が帰還するまで、対象の肉体は動けないが無敵になる。
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「ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!!!よくもオレサマのカワイイ、デウスエクス達をぶち殺してくれやがったな!」
喧噪に包まれた都市の空に巨大で歪んだ月を背景に悍ましい影が浮かんでる。その正体は『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』。この一連の事件――『全世界同時攻撃』の首謀者だ。自ら地球に『ハロウィンの楔』を打ち込みに現れた『大祭祀ハロウィン』は決戦都市で戦いを繰り広げている特務機関DIVIDEと第六の猟兵達へ改めて声高らかに宣戦布告をする。
「という訳でオレサマが直々にお前らの相手をさせて頂く!さぁ!止めて見せろ正義の味方共!大祭祀ハロウィンいざ押して参る!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!!!まだまだ愉快なハロウィンは終わらせんぞ!!」
ハロウィンが彩る決戦都市の夜に戦いを告げるその声が何処までも遠くに響き渡り、
万聖節前夜の物語の
最後の頁が開かれた――
天道・あや
うむ、改めて見ると…デカい!流石は宇宙のカボチャだ(?)!
成る程、こんなに大きいならそりゃハロウィンも終わらせたくはないよねー。でも、祭りとライブは終わりがあるから……いい!
だから、ーー終わらせて貰うぜ?
大祭祀ハロウィンよし!決戦都市よし!あたしよし!
そんじゃ、本日ラスト一曲、行きまショータイムッ!
と、意気込んだはいいけど、いきなり敵の攻撃で転送?させられたぜ
こっから出るには…よし!とりあえず歌いながら歩いてればその内出られるでしょ!
それに戻る頃にはライブ会場も設置出来てるだろうしね!(決戦配備キャスターに予め伝えておいた)
という訳で歌いながら此処から出て、そのままステージで歌い続けるぜ!
愉快なハロウィンの夜――そこに浮かぶは歪な月と巨大な影――それこそが『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』だ。高笑いを夜空に響かせ、地上へ降り立とうとする巨大な
カボチャの怪物と形容するに相応しいそれを天道・あや (
スタァーライト・f12190)は見上げていた。
「うむ、改めて見ると…デカい!流石は宇宙のカボチャだ
(?)!」
そんな混沌の権化とも言うべき大祭祀ハロウィンを前にしてもあやは怯むことなくその巨影をしげしげと見つめたまま正直な感想を零す。なるほど、これはまさにハロウィンそのものだと言っても過言では無い。だとすればこのハロウィンを終わらせたくないと思うのはきっと道理なのだろう――然し、あやはそれを否定する。――祭りもライブも終わりがあるからこそ一際眩しく輝くのだ。
「だから――終わらせて貰うぜ?」
紅き
外套を翻し、羽根つき帽子を指で弾くと大祭祀ハロウィンの姿をその仮面越しの紫の双眸に映し出し、真っすぐ伸ばした指を力強く突き付ける。
「大祭祀ハロウィンよし!決戦都市よし!あたしよし!そんじゃ、本日ラスト一曲、行きまショータイムッ!」
趣旨返しと言わんばかりに夜空に響いたあやの宣言を大祭祀ハロウィンは意気揚々として聞き届け、そしてその巨体を震わせた。
「ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!その意気やヨシ!オレサマが本当のハロウィンというものを貴様に教えてやろう!さぁ行くぞ小娘!この真実の部屋ハロウィンを打ち破りオレサマに挑んでくるが良い!」
大気が揺らぎ、大祭祀ハロウィンの体がまるでランタンの灯りのように揺らぐ。三日月のような口がグニャリと曲がり、その顔があやに向けられたその瞬間、あやの視界がぐらりと揺れた。世界に怪しい灯火が幾つも灯り、溶け合うように滲んでいく。全ての境界が曖昧のその世界こそが真実の部屋ハロウィン。気が付けばあやはその世界に1人取り残されていた。大祭祀ハロウィンはその絶大なハロウィンの魔力によってあやの精神を真実の部屋へと追放したのだ。
「おっとっとぉ?せっかくバッチリキメたのにいきなり転送されたぜ?」
突然放り込まれた奇妙な世界に困惑し、きょろきょろと辺りを見渡しても真理の部屋には意味あるものなど何も無く全てが存在するばかりだ。愉快で悍ましい音楽が絶え間なく響き渡り、
全てを理解してしまうのも時間の問題だ――それでもあやはその歩みを止めなかった。
「こっから出るには……よし!取り敢えず歌いながら歩いてればそのうち出られるでしょ!」
混沌の中においてもあやは狂気に抗いまだ見ぬ未来へ歩んでいく。反響するハロウィンの音楽さえ舞台演出と言わんばかりに歌いながら遠く瞬く星を目指して進んでいく。
その頃、現実世界では大祭祀ハロウィンの攻撃によるあやの転送に特務機関DIVIDの間に動揺が広がっていた。だが、まだ彼らの中の一番星は消えていない。
「今はとにかく彼女の帰還を信じて耐えるしかない!彼女の指示通りに作戦を継続する!」
「そうだ!俺達の星は消えちゃいねぇ!此処は絶対に守り抜いてやる!」
あやが予め伝えていた
決戦配備【キャスター】。あやが最高のパフォーマンスを発揮出来るよう力の増幅術式を兼ね備えたライブ会場。大祭祀ハロウィンの攻撃に曝されながらも特務機関DIVIDは徹底抗戦の構えでその設立を急ピッチで進めて行く。
「素晴らしい抗戦だ!だが残念ながらここまでだ!気の短いオレサマはもう我慢ならん!小娘が戻って来る前に引導を渡してやろう!」
ライブ会場の設立は成功した――だが、天道あやは戻らない。もはやこれまでかと誰かが息を漏らしたその時だった。
「私が夢の国から再登場!お待たせしましたショータイムッ!」
そんな掛け声と共に長方形のステージを取り囲むように火花が吹き上がり、七色のライトがステージを照らす。そこに紅い
外套に身を包んだあやが歌いながら姿を現した。
「Nicefuture!Sweetdream!夢は素晴らしい!未来には無限の可能性が!だから一緒に行こう!!手を繋いで!一緒に一歩、二歩、三歩!夢と未来が私達を待っている!」
歌に合わせてステップを踏み、大きく腕を振ればそれに合わせて色とりどりの花火が打ち上がり煌びやかな星型が空を彩ると、あやの一挙手一投足に合わせてステージ上を機械仕掛けの流星が星屑を散らしながら駆け回る。軽快な音楽と共に繰り出されるあやの軽やかなダンスに飛び交うゴースト達もつられて踊り出す。これは夢か幻か――混沌の夜に煌めいた
一番星は見る者全てを魅了する。特務機関DIVIDの隊員達も――デウスエクス達も――大祭祀ハロウィンでさえその歌と踊りに視線を奪われた。
「おのれおのれ!やるではないか小娘め!真実の部屋ハロウィンを抜け出しただけでは飽き足らずにそんな愉快な催しを盛大に披露するとは誠にありがとうございます!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!勝手にハロウィンを盛り上げやがってオレサマとした事がうっかり見惚れてしまったぞ!」
その歌は曖昧に溶ける世界を定義して、その心に夢と未来を形作る。ハロウィンの妖しく煙る狂気は輝かしい希望へと描き変えられ、大祭祀ハロウィンは苦しそうに悶えると、楽し気に狂ったように笑いだす。まだ健在であるものの大祭祀ハロウィンが大打撃を受けたのは誰の目で見ても明らかだ。あやはそんな大祭祀ハロウィンに笑顔を向けると勢いよく腕を空に突き上げポーズを決める。
「可笑しなハロウィンの中でだって私は未来と夢を照らせる
星になる!」
指し示されたその先ではハロウィンの夜に一際明るい星が瞬いていた――
大成功
🔵🔵🔵
ルク・フッシー
と、とんでもない相手です!生半可な魔法は通用しなさそうです…
リスクをとってでも、超強力な魔法で攻撃しないと!
だってそうしないと、人々の大切な街が破壊されてしまいます!守らないと!
戦いの前に特務機関の人に連絡、ボクの精神が追放された直後に、ディフェンダー支援を行ってもらいます
ボクが戻るまで、少しでも町の被害を押さえないと!
狙いは、肉体を無敵にして、精神の状態で魔法を詠唱すること
さっき鹵獲したカオスドラゴンブレスなら、理論上無限に威力を上げられます
真実の部屋ハロウィンがどんな場所なのか想像がつきませんが、頑張って帰還しないと!
全力でチャージしたカオスドラゴンブレスで、一気に攻撃します!
愉快で不気味なハロウィンの夜に『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』の狂ったような笑い声が響き渡る。猟兵・特務機関DIVID連合の猛攻に曝されながらも悠々と理解不能な講釈を垂らしながら都市をハロウィンで満たすべく胎動するそれは狂気そのもの――ルク・フッシー (ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)は思わず立ち止まってその巨影を見上げた。
「と、とんでもない相手です!生半可な魔法は通用しなさそうです!リスクをとってでも、超強力な魔法で攻撃しないと!」
心臓は早鐘を打ち、まるで氷水を浴びせ掛けられたかのように体が竦む。涙が滲み、後ろを振り返って走り出しそうになる――だが、ルクはそうはしなかった。――彼には守るべきものがあったから。
「――だってそうしないと、人々の大切な街が破壊されてしまいます!――守らないと!」
勇気を奮い立たせ、ルクは大祭祀ハロウィンへと対峙する。漆黒のフードを深く被り、そこから覗く翠の瞳は揺れている。それでもルクは震える体を必死に抑えて立ち向かう。
「ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!なんだオマエ?震えているじゃないか?それでこのオレサマを倒せると思っているのなら笑止千万!雨あられ!――だが、このオレサマの前に立ち塞がった事は褒めて遣わそう!褒美に真実の部屋ハロウィンへと招待してやる!足掻いて見せよ正義の味方!」
三日月のような口が悍ましく揺れ動き、狂気の視線がルクへと突き刺さる。その瞬間に視界は歪み、思考は霞が掛かったようにぼやけていく。――然し、これは想定通りだ。ルクは大祭祀ハロウィンのこの攻撃を見越して先んじて手を打っておいた。この後の事は特務機関DIVIDへ託してある。――後はルク自身がこの狂気に打ち勝つ。それだけだ。
「ボクは必ず帰ります――!皆さん――!それまでの間、どうかよろしくお願いします――!」
その言葉を最後にルクの精神は真実の部屋ハロウィンへと追放され、空っぽとなったその体が崩れ落ちる――寸前にDIVIDの隊員がその体を支えた。
「こちらチームB。ルク殿の保護に成功した。――ルク殿の伝言を遂行する」
「指令部了解。――これより決戦配備【ディフェンダー】を発令する。全部隊、必ず街を守り切るぞ」
「――了解!!」
ルクの伝言通りに決戦配備が発令する。ルクが帰還するまでの間、少しでも都市の被害を抑えるべく。侵攻を食い止めるべく、大祭祀ハロウィンを囲うように障壁が展開され、地上に構築されたバリケードを主軸に守備隊がゲリラ戦を仕掛け、砲撃の波状攻撃を仕掛ければ大祭祀ハロウィンはその三日月状の口を更に鋭利に歪め、反撃とばかりに魔法を放ち爆炎を巻き起こした。――それからどれ程の時間が過ぎたのだろう。いや、まだ数分も経っていないのかもしれない。時間の感覚さえも曖昧に溶けた真実の部屋ハロウィンをルクはたった一人で歩いていた。愉快に狂った音楽に、脳内に響くような不気味な笑い声――少しでも気を緩めればきっと狂ってしまうだろう。そんな中でもルクは決して思考をやめる事は無かった。大祭祀ハロウィンを打ち倒すその一手。それを導にルクは進んでいく。
「うう……怖いというかなんというか……言葉では言い表しずらい場所です……。だけど立ち止まってはいられません。早くみんなの場所に戻らないと……おや?あれは……」
永遠に続くように思われた混沌の回路のその先――淡い光が零れている。それば空間にポツンと佇む扉であり、半開きとなったその向こうには先ほどまでルクが居た決戦都市の風景が映っている。ルクはこの扉を潜れば元の世界に戻れる事を直感的に確信する。そして大祭祀ハロウィンへ一矢報いる為に意を決して足を踏み出した。
「ボクの考えが正しければ――いや……!とにかくやらないと……!」
扉を潜れば視界が白く塗り潰される――間もなく霧が晴れれば目の前に広がるのは戦火の都市。鳴動する大祭祀ハロウィン。半壊した障壁。疲弊した人々――間に合った。視界の端に映る動かない自分の体――この作戦は殆ど賭けだ。だが、ルク自身が言った通りに大祭祀ハロウィンを相手取るにはリスクを取らねば勝機は見いだせない。ルクは先の戦いで鹵獲したカオスドラゴンブレスを詠唱する。――これはチャンスだ。精神が肉体を離れ、無敵と化している状態であれば肉体の負担を無視して魔法を発動する事が可能だ。つまり、理論上は無限にその出力を引き上げる事が可能になる筈だ。――もちろん、危険極まりない行為である事に変わらない以上は何が起きるか分からない。だからこその賭けだ――それでも、もうルクは躊躇はしない。全ては大切なものを守る為――
「行きますよ!――
鹵獲描画!カオスドラゴンブレスッ!」
――風が凪いだ。音が消えた。その瞬間、まるで時が止まったかのように世界が制止した。
――刹那。閃光。何かが弾ける音を合図に世界が動き出す。ハロウィンの夜に落ちる影を根こそぎ奪い去るように激しい光を纏った魔力の塊が轟音を響かせ、空間すら歪ませながら大祭祀ハロウィンへと直進する。それに気が付いた大祭祀ハロウィンはそれを正面から受け止める――だが、その威力を殺し切る事は出来なかった。魔力の塊はジリジリと大祭祀ハロウィンを後退させたのちに炸裂し、都市全域に色鮮やかなほうき星を奔らせた。大祭祀ハロウィンを倒すにはまだ至らない――だが大祭祀ハロウィンはぐらりとその巨体を揺らし、そして地表へと降り立った。
「ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!正気かオマエ!身の危険も顧みずこんな威力の攻撃をブチかますなんてどうかしてるぞ!流石のオレサマも今のはキイたぞ!そのイカレ具合は名誉ハロウィンにノミネートだ!小さき猟兵見事なり!」
全力の一撃を放ち、漸く精神を取り戻した肉体を起こすルクの瞳に映った空には歪な月がカンテラのように燦々と輝いていた――
大成功
🔵🔵🔵
神城・瞬
最近のハロウィンは色々混じって混沌化している事は否定しませんが、元々は収穫祭であり慰霊の祭りです。季節の祭りが世界の全てになる滅茶苦茶な状況は阻止しませんとね。
今回は気合いを入れて騎士の仮装をして挑みます。仮装対象になり切るハロウィンの風習に従って決戦配備ディフェンダーで【オーラ防御】【第六感】【心眼】で全て受け切る気合いで踏ん張ります。
いつもは仕込みの結界を展開するところですが、今は騎士ですから無用ですね。むしろ【高速詠唱】【全力魔法】【限界突破】で全力の月白の闘気で攻撃します。
世界は異なる文化が並び立ってこそ成り立つもの。貴方の企ては断固阻止します!!
ハロウィンは嗤い声と絶叫で彩られ、愉しげな爆音が遠くで木霊する。昏く深い夜空には終わらないハロウィンパレードを歪な月が冷めた様子で見下ろしている。
「最近のハロウィンは色々混じって混沌化している事は否定しませんが、元々は収穫祭であり慰霊の祭りです――ですが」
神城・瞬(清光の月・f06558)は本来のハロウィン――収穫と慰霊の祭りと、目の前で繰り広げられる狂気の奇祭を比べて静かに息を吐く。吐いた息が白い靄となって空に溶けていく――そこでは大祭祀ハロウィンがその体を愉快そうに揺らしている。
「季節の祭りが世界の全てとなる――そんな目茶苦茶な状況は阻止しませんとね」
「ならば止めて見せよ猟兵よ!オレサマこそがハロウィンで世界は全てハロウィンなのだ!ハロウィンなくしてハロウィンに非ず!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!オマエのハロウィンを見せてみろ!」
宵闇に笑い声を響かせる大祭祀ハロウィンを瞬はその双眸に捉えたまま六花の杖を構える。
「もちろんです。今宵の私は誇り高き月読の騎士。騎士の矜持に則って正々堂々、貴方のハロウィンを打ち破ってみせましょう」
月明かりを帯びて淡く白銀に輝くプレートメイルに身を包み。羽織る
外套には月読の紋章が揺れている。どんな強敵だろうと恐れはしない。護るべき者達の為に武器をとって立ち向かう。今宵、ハロウィンの地に瞬は騎士として降り立った。宣戦布告と共に大祭祀ハロウィンに突き付けられた結晶のような杖が月光の下で煌めいた。
「そんなにもハロウィンに相応しい格好をしよって生意気な!オレサマのハロウィンに正面から立ち向かおうなどとはその気概は買うとしよう!さぁ!どちらが真のハロウィンがいざ尋常に勝負だ!」
大祭祀が大腕を振るえば大気が震え、流星郡のような夥しい数の魔弾が瞬を目掛けて降り注ぐ。対する瞬は退く素振りなど一切見せずに盾を構えて自ら流星郡に向かって飛び込んでいく。いつもであれば仕込みの結界を展開する所だが今の瞬には無用のもの。騎士の誇りに掛けて道を切り開くのみだ。
「全て受け止め凌いでみせる……!行きます!
決戦配備【ディフェンダー】!」
瞬の合図に呼応して都市の増幅術式装置が一斉に作動する。装置から放出された魔力パルスが瞬の肉体を活性化させ活力を漲らせる。魔弾が大きく弧を描き、側面を突くように瞬を強襲する――が、精神を研ぎ澄ませた瞬はその軌道を読み切り寸前で魔弾を躱すと、それに続いて強襲してきた魔弾をオーラを籠めた盾で弾いて掻き消した。
「ええい、ちょこざいな!ちょこざい過ぎて興奮してきてしまったぞ!さぁハロウィンも最高潮!全て交わり真理に辿り着くまで盛り上がろうではないか!張り切って推して参る!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!さぁ止めてみろ!」
「言ってる意味は分かりませんが、止めろと言うのであれば止めるまで。全身全霊を以てお相手しましょう」
杖を剣のように突き出せば、大祭祀ハロウィンのジャック・オー・ランタンのような体の大口にハロウィンの魔力が流れ込み怪しく光を放ち始める。大技が来る――瞬はそう確信しながらも敢えて正面から立ち向かう。地面を蹴りつけ駆け出せば
外套が大きくはためきプレートメイルの擦れる金属音が小さく響く。混沌を帯びた夜の風を切り裂き、瞬は素早く詠唱しながら駆け抜ける。今、この瞬間だけで良い。限界を超えて己の魔力が高まるのを感じた――その瞬間に大祭祀ハロウィンが放った巨大な魔法球が瞬へと肉薄する――
「僕も男としての意地がある!!」
魔法球が瞬に触れるその瞬間。極限まで高められた闘気――月白の闘気が炸裂した。強烈な風が巻き起こり周囲の音が掻き消える――風が凪ぎ、音が戻った世界には既に大祭祀ハロウィンの放った魔法球は忽然とその姿を消していた。
「オレサマの魔法を相殺しやがっただと!?どうやら本気でオレサマの邪魔をしたいようだなぁ?ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!これはいよいよもって本気でキサマを排除せねばならんようだ!」
「世界は異なる文化が並び立ってこそ成り立つもの。貴方の企ては断固阻止します!」
狂気の笑い声を上げながら大祭祀ハロウィンが魔弾の暴雨を瞬へ浴びせ掛ければ、迫り来る魔弾を盾で弾き、闘気で打ち消し応戦する。その攻防は暫くの間続き、まるで星が瞬くように何度も何度も地上が閃光に包まれる。刹那、繰り広げられる激闘の中で大祭祀ハロウィンが僅かな隙を見せる。――この時を待っていた。神城・瞬はこの激しい戦いの中でも冷静に戦況を見定めて、この瞬間だけを待ち続けていたのだ。甲冑が月灯りの下で銀色に煌めく。その煌めきがふわりと大祭祀ハロウィンの胸元に飛び込んだかと思えば、全身全力を込めた闘気がその体に叩きこまれた。
「うぐあぁぁぁぁぁ!眠気が醒める衝撃だ!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!思わず笑ってしまう程の激痛だッ!おのれハロウィンの騎士よ見事なり……ッ!」
大祭祀ハロウィンの体がグラリと大きく揺れ、大きな地響きと共に態勢を崩す。もう既にかなりのダメージを負っているのは明らかだ。然し、それでも今なお狂気の笑みを浮かべ愉快そうに嗤っている。そんな大祭祀ハロウィンに月読の騎士は杖を突き付けた。
「だから言ったでしょう。必ず止めると」
万聖節前夜――月下の章――物語は終焉に向かって進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵
ベルト・ラムバルド
◎
テンションが高い!…ここまで高いと逆に引くな~
…いやいや引いてどうする!このベルト・ラムバルドは騎士だが今だけは軍人!
あの万年ハロウィン頭を懲らしめてやる!行くぞ~!
キャバリアで出撃!…私のハロウィン?軍服じゃあ足りない?もっと目立たないと駄目ぇ?
『ディスイズハロウィ~~~ン!この私めがぶち転がしてやりましてよ~!』
わぁ急に変身するな!?それに魔女の恰好してるし~!私より目立つな~!
え?あ?効いてる?…よっしゃ突撃~!
決戦配備はジャマー!戦闘ヘリ…あ?かぼちゃの気球!?…まぁ気球を配備して奇襲
そしてその隙にサークランサー…箒になってる!…箒をぶん回し串刺しにしてやる~!
ヂスイズハロウィーン!
「オレサマのテンションも疲労も最高潮!だが、まだまだハロウィンは終わらないし止まらない!さぁ、猟兵達よ目に物を見せてやろう!本気のハロウィンを記憶と記録に焼き付けろ!」
ハロウィン化の影響でテーマパークのパレードのように飾り立てられた市内の真ん中で大祭祀ハロウィンは狂ったように嗤い声を響かせる。ベルトはその様子を見て顔を引き攣らせていた。
「思っていたよりもテンションが高い!もはやテンションが高いで済ませられるのかは疑問だが流石の私もここまで高いと逆に引くな~」
その奇行にドン引きするベルトだったが、狂気のままに好き放題暴れる大祭祀ハロウィンの姿を見て、ハッとしぶんぶんと頭を振った。
「……いやいや!引いてどうする!このベルト・ラムバルドは騎士だが今だけは軍人!あの万年ハロウィン頭を懲らしめてやる!行くぞ~!」
ベルトは意気揚々と愛機のキャバリア『パロメデス』へ乗り込むと匠な操縦桿捌きで鬼火のように浮かぶジャック・オー・ランタンの隙間を縫うように空中機動を駆使して大祭祀ハロウィンの前へと躍り出る。
「来たな猟兵よ!オマエもオレサマの邪魔をするつもりなら相手してやろう!なーにが軍人だ!それに乗ってたら見えづらくてかなわんわ!もっとオマエの全力のハロウィンを見せてみよ!」
「な、なに〜!?私のハロウィン?軍服だけじゃあお気に召さない?もっと目立たないと駄目ぇ?そうなると後は私の華麗なる美技で魅了しちゃうしかないか〜!?」
大祭祀ハロウィンの無茶振りにベルトが頭を抱えているとぽんっというポップな音と共に七色のリボンテープが飛び散って『パロメデス』の周囲が煙幕に包まれる――
『ディスイズハロウィ〜〜〜ン!この私めがぶち転がしてやりましてよ〜!』
煙幕が晴れたそこには――金髪の縦ロール状のツインテールを靡かせ口に手を当てて高貴に高笑いする紛う事無きお嬢様――型の姿に変身した『パロメデス』が立っていた。しかも三角帽子とやたら絢爛なローブという魔女風味のハロウィン仕様となっている。キャバリアお嬢様――パロミ・デス代が優雅に空を翔ける。即ちキャバ嬢飛翔――ハロウィンの夜に今宵も参上。その高貴なオーラが周囲の敵を圧倒する。
「わぁ〜!勝手に変身するな~!それに魔女の格好してるし〜!少しは自重しなさいよ!そっちがそんなに私より目立ってたら奴を私の美技に酔わす作戦が台無しじゃないか〜!」
『オーホッホッホ!今宵の私は泣く子も喜ぶハロウィン仕様。新鮮なハロウィン成分を産地直送でしてよ〜』
「やめてくれよ〜恥ずかしい〜!」
ハロウィンの混沌にも負けぬ一人と一機の珍妙なやり取り――これにはハロウィンの神も微笑んだ。
「ぐおおおおおおお!?オレサマのハロウィンが押されるとは……ッ!これがオマエの真のハロウィンだと言うのかッ!?な、なんたる麗しき混沌……称賛を送るほかあるまい……!」
「え?何?一体何なの?何言ってるか全然分からないけどなんか苦しんでるし動きも鈍ってる……え?効いてる?効いちゃってるの?これが?……よっしゃ!今が好機だ!突撃〜!」
押し寄せる混沌にベルトは頭痛を覚えるが、誇り高き軍人は決して好機を逃さない。お嬢様の壮絶なハロウィンパワーにより悶え苦しみ悦び嗤う大祭祀ハロウィンを見て気を取り直して攻撃へと移行する。
「こちらDIVID。制空権を確保した。いつでも指示をどうぞ」
「良いタイミングだ!これより大祭祀ハロウィンへ攻撃を開始する!各機、奴を撹乱させろ〜!」
「了解――
決戦配備【ジャマー】始動。出撃する」
ベルトの号令を合図に戦闘ヘリの編隊がハロウィンの喧騒を切り裂くようにプロペラ音を響かせる――事は無く。ビルの建ち並ぶ合間からポップなデザインのカボチャの気球がふわりと浮かび上がった。それが吊り下げるは鈍色の砲塔――それらが一斉に炎を上げて、砲撃の嵐が大祭祀ハロウィンに浴びせ掛けられる。完全に不意を突いた奇襲が功を奏し、その体を大きく揺るがせた。
「……あ?かぼちゃの気球!?戦闘ヘリじゃなくて!?」
「せっかくだからハロウィン仕様にしときやしたぜベルトの旦那!どうです?良い雰囲気でしょう?」
「そんなわざわざ気を利かせてくれちゃって!?それはどうもありがとうね!……よーし、この隙に決めてやるぞ~」
態勢を崩した大祭祀ハロウィンに更なる重い一撃を加えようとベルトはキャバリア用巨大槍RBXSサークランサーをパロミ・デス代に構えさせる――筈だったのだがその手には巨大な箒が握られていた。
「え~!?箒になってる!?」
『今宵はハロウィン仕様だと言ったでございましょう?こういう配慮も欠かさないのがお嬢様の秘訣ですわ~!お褒めになって~!』
「ええい!こうなったら箒をぶん回し串刺しにしてやる~!ヂスイズハロウィーン!」
やけくそ気味に叫ぶベルトではあったが、その操作の練度は非常に高く。的確に大祭祀ハロウィンの懐に飛び込むや否や箒を振り回し、その遠心力を利用し箒を突き出しその体を完全に捉えて貫いた。攻撃を受け止めきれない大祭祀ハロウィンはその体を貫かれたまま大きく後ろに後退し、ついにはそのまま崩れ落ち体を地に着けさせる事に成功した。
「ぐ……おおおおッ!おのれおのれおのれ~!この地球にこんなふざけた……もとい、ハロウィンパワーに満ちた奴がいたとはオレサマ一生の不覚!これには全オレサマが震撼して涙するぞ!天晴なり!」
「そうだろう、そうだろう?この私、ベルト・ラムバルドの名をしっかり心に刻んでから帰り給えよ!」
歪な月が満ち、
万聖節前夜の物語はついに終章へと辿り着く。星の綺麗な夜には賑やかな祭りの音と――ついでにベルトの高笑いが響き渡っていた。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
こいつが今回の首魁……わざわざ襲撃を宣言していた辺り妙に義理堅いというべきか
ま、止めろと言われたからな。望み通りに止めさせてもらうさ
大祭祀ハロウィンのUC。毒と分かって食べるのは論外だが、行動速度を落とされてはまともな戦いにならない
対策として敵が動く前に斬り込むのが理想だが、実際はそう上手くはいくまい
速度低下を前提に、予めスナイパーに遠距離攻撃を依頼しておく事で敵の給仕を妨害してもらう
此方の行動速度を落とすのは給仕している間のみ
つまり奴が給仕していなければ、出されたものを無視しても影響はないという事だ
自由に動けるようになったら一気に距離を詰めて利剣で攻撃
次にUCを使うような隙は与えない
夜が更けて漆黒の天蓋には星々が瞬き、歪な月は燦々と月明かりを狂気のハロウィンへと降り注いでいる。ハロウィンの賑やかな音色に混じって響くは大祭祀ハロウィンの嗤い声。数々の猛攻に曝されながらもその狂気と混沌でハロウィンを盛り上げ続ける大祭祀ハロウィンの目前へと夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は静かに歩み出た。
「こいつが今回の首魁……わざわざ襲撃を宣言していた辺り妙に義理堅いというべきか。ま、止めろと言われたからな。望み通りに止めさせてもらうさ」
鏡介の視線が大祭祀ハロウィンに向けられ、その視線が交差すると大祭祀ハロウィンの三日月のように裂けた口が更に異様に曲がった。
「誰かと思えばオマエはオレサマの可愛い魔術書達を切り刻んでくれやがった猟兵ではないか。せっかくのハロウィンなのだからお硬い事言わずに愉しもうぜぇ?」
大祭祀ハロウィンが踊るように身体を揺らし、ハロウィン化の影響で具現化したゴースト達を引き連れて宙で回れば数多の菓子が湧き出しそれを鏡介の前へと差し出した。
「トリック・オア・ハロウィン!ハロウィンになるチャンスを差し上げよう!さぁ、喰らえ!さもなくば死ね!選択の時だ!」
目の前には色とりどりの――毒々しい色合いをしたカボチャを模ったクッキーやらケーキやらが並んでいる。口にすればハロウィン化が進む毒菓子と分かっていて食すなど論外――然し、拒めばその代償として極めて重い制約を課せられるのも明白だ。
(さて……奴が動く前に斬り込めればそれに越した事は無かったが……覚悟を決めるとするか)
どちらも死に直結する理不尽な二択を迫られる鏡介を前に悠々と紅茶を底の抜けたティーカップに注ぎながら嗤う大祭祀ハロウィン。そんな中で鏡介が選んだ選択は――
「俺はどちらも選ばない。答えは――歩む道は俺自身で切り開いてやる」
「良くぞ言った!素晴らしい狂気だ!お望み通りぶっ殺してやろう!オレサマの素敵なお誘いを丁重にお断りした事をジワジワと後悔させてやる!」
差し出された毒菓子を阻んだその瞬間。大祭祀ハロウィンは歓喜と怒りが入り混じった咆哮のようにけたたましく嗤い声を上げる。濁流のようにハロウィンの魔力が溢れ出し、夥しい数のハロウィンの怪物を形作った。瞬く間に怪物に囲まれた鏡介はとっさに刀を引き抜き応戦しようとする――が、体が思ったように動かない。厳密に言えば、著しく体の動きが鈍っているのだ。それは凡そ通常時の5分の1。それこそが大祭祀ハロウィンのトリック――代償だ。普段であればこの程度の怪物など囲まれていようと難なく切り抜けられる筈だった。然し、こうも動きが鈍っていては反応する事が出来ない。怪物達の鎌のような鋭い爪が鏡介の肉体を切り裂く――その直前に、無線機にノイズが奔った。
「――間に合ったようだな」
遠く鳴り響く銃声――怪物達の頭が弾け、紅い花を咲かせれば次々と倒れ伏していく怪物達に驚嘆する大祭祀ハロウィンの身体に無数の弾丸が撃ち込まれ、思わず落としたティーカップが地面に落ちて砕けて消えた。
「――着弾確認。作戦を完了した。これより残党の排除に移行する」
「さぁ、指示の通りにやり遂げたぞ。後はキミの番だ。若き猟兵よ」
――
決戦配備【スナイパー】
遥か遠く。作戦区域を一望できるビルの屋上に待機していた狙撃部隊のライフルが怪物の群れを撃ち抜き鏡介の窮地を救った。それだけでは無い。その弾丸は大祭祀ハロウィンの給仕を妨害し中断させた。――給仕が中断した以上、もはや制約はなんの意味も持たない。全てを見越した鏡介の作戦は見事に的中し、体の自由を取り戻す事に成功した。
「さぁ、次はこっちから行かせてもらうぞ――大祭祀ハロウィン!」
その姿はまさに黒い風――怪物が横たわる通りを駆け抜け、鏡介はその懐に飛び込んで行く。流れるような動きで利剣【清祓】を抜き放てば、まるで桃花が散るように淡紅の輝きが弧を描く。
「響け剣戟、一切を逃さずに――陸の型【爪嵐:響】」
これまでの大祭祀ハロウィンの言動、その思考や癖を読み取り的確に刀を凪ぐ――狙い定められたその攻撃は寸前の所で巨木のような大腕に防がれるが、薙ぎ払った刀の軌道を体の回転に乗せ逸らすと上から切り落とし、更に返す刃の連撃で休む暇など与えない。大祭祀ハロウィンも負けじと応戦し、数多の植物の蔓を鏡介に向かって伸ばす。四方八方から迫る蔓――鏡介はその1つ1つの軌道を読んで躱し、避けられないと判断したものは即座に切り落とす。ハロウィンの音色に合わせて繰り広げられる攻防――撃ち合う剣戟が火花を散らし夜の都市を彩っていく。
「ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!オレサマの動きについてくるなんてムカつく野郎だ!惚れ惚れしてしまうぞ!だーが、オレサマにはまだやるべき事が残っているからお遊びはここいらで御開きだ!さぁ、次で終らせてやるぞ猟兵よ!」
「――ああ、望み通り終わらせてやる」
一瞬の静寂。2人の視線が混じり合う――刹那、同時に攻撃が放たれる。全力を以て放たれた大祭祀ハロウィンの一撃。何人たりとも逃れられぬ絶対的なその一撃――その決定的な隙を鏡介は見逃さなかった。迫り来る大腕に刀を突き立て、それに沿うように駆け、そして振り抜く――大腕を両断したその淡紅色の刀身はその勢いのままに大祭祀ハロウィンの身体へと到達し切り裂いた。――その瞬間、その身体からハロウィンの魔力が濁流のように噴出した。蓄積されたダメージについに耐え切れなくなった大祭祀ハロウィンの身体は色鮮やかな爆炎と共に崩れていく。
「お……ッ!ぐおぉおおおおおお!!分身体とは言え、このオレサマがやられるだと……ッ!おのれ猟兵見事なり!だが、オレサマを倒したとて第二第三のハロウィンが必ずオマエラの元に現れるだろう!首を洗って待っているが良い!ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!ハッピーハロウィーン!!」
――絶叫。――憤怒。――歓喜と狂気。けたたましい嗤い声と共に大祭祀ハロウィンは爆散し、世界は鮮やかな光に包まれる。――後に残ったのは静寂。光が消え去った後にはまるで夢から醒めたようにハロウィン化していた都市は元の姿を取り戻し、大祭祀ハロウィンの姿は跡形も無くなっていた。
「――なんであれ。祭りの終わりというのは寂しいものだな」
静寂の底で、鏡介は静かに空を見上げる。漆黒の空には唯々、星が瞬いて月がぼんやりと浮かんでいるだけだ。――こうして、猟兵達の活躍によって狂気のハロウィンは過ぎ去った。
万聖節前夜の物語はついに終わりを迎えたのだ。――だが、猟兵達の物語はまだ終わらない。――その旅路に幸運があらんことを。――あなたのハロウィンが驚きと笑顔でいっぱいでありますように。
大成功
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