草映えるハロウィンパレード
ケルベロスディバイドのお祭りは「季節の魔力」という特殊な力を生み出す。
「桜の季節のお花見」や「神社の縁日」、「十五夜のお月見」などなどトリガーとなる行事は違えど、人が集まれば集まるほどその魔力は大きくなっていくのは共通で、それを使った魔術は世界をひっくり返すほどの力を生み出すとも言われている。
それは毎年10月31日に行われる夜の祭り、ハロウィンも例に漏れない。
「今回皆様に集まっていただいたのは近日開催されるハロウィンパレードにて、十二剣神『大祭祀ハロウィン』傘下のデウスエクスの企みを未然に防いでいただくためです」
ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はそう言いつつ、夜の道路を通行止めにして行われるハロウィンにまつわるお祭りの宣伝チラシを猟兵達に回していった。
本来は31日に行われるハロウィンだが、当日が平日だからという理由で休日に前倒しで行ったり別のイベントと抱き合わせて一まとめにやったりする地域や団体は割と多い。このお祭りもそのうちの1つだった。
このパレードで季節の魔力を参加していた人々のグラビティ・チェインもろとも奪い取り「季節の魔法」と呼ばれる極大魔術を発動することがハロウィンの狙い。
そしてそれを実現するために、ハロウィンは仮装した人々の中に自分の配下たるデウスエクス・攻性植物を紛れ込ませたという。
「季節の魔法を使わせてしまえばケルベロスディバイドはたちまちカタストロフの危機に陥りかねません。なのでこのお祭りに参加しているデウスエクス達を早急に駆逐してきてください……と言いたいところなのですが」
警備員と通りがかった一般人以外は皆何らかの仮装をしており一目で人間が植物かの見た目はつけにくく、ハロウィンも容易に見破られてしまうような外見のデウスエクスは配備してこない。
そのため何の指標もなければ誤射が容易に起こり得る、決戦配備も万全に機能出来ない状況になることが予想される。
「この状況を打破するには、季節の魔力のある『性質』を使ってデウスエクス達を誘い出す手が有効だと思われます」
季節の魔力は『よりお祭りが盛り上がるほど高まる』という性質を持ち、他の人々よりお祭りを楽しんでいる者の周りでは局地的に高まる傾向もある。
つまり猟兵がこの祭りに参加して楽しめば楽しむほど、より多くの魔力を求めるデウスエクスを自分の元に誘い出すことが出来るということだ。
「デウスエクスの居所さえ解れば、皆様も決戦配備も何の憂いもなく動けると思います。なので皆様、ハロウィンを存分に楽しむことでハロウィンの計画を打破してきてください。以上、よろしくお願いします!」
平岡祐樹
去年、この時期にしかこの内容は出せないな……と作って待っていたら大将ご本人様が出てきたでござるの巻。
でも勿体無いから1年後まで待ってました。
お疲れ様です、平岡祐樹です。
今案件にはシナリオギミック「『
決戦配備』の発動を要請する」がございます。
プレイング中に「決戦配備」「ポジション」「クラッシャー」等と書かれていた場合、猟兵とは別に指名された部隊の描写が発生し、敵との戦いが有利になることがあります。ご一考くださいませ。
第1章 日常
『ストリートステージ』
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POW : 豪快なパフォーマンスを披露する、色々な芸を見て回る
SPD : 軽快なパフォーマンスを披露する、パフォーマー同士で教え合う
WIZ : 繊細なパフォーマンスを披露する、夢のような空間に浸る
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天王寺・ミルキー
ハロウィーンなのね。
とはいえ、たしか、こちらのデウスエクスは倒しても復活するって話だったと思うけど、あのハロウィンは超大物だから復活に時間かかっているのかしらね??
馬の着ぐるみ付けて色々と楽しんでいこうかしら??
人の姿した植物ね…青臭くないかしらね??
「ハロウィーンなのね」
ケルベロスブレイドからヘリコプターに乗ってケルベロスディバイドに降り立った天王寺・ミルキー(文字通りのカウガール・f41497)は世間がイメージする馬のマスコットの着ぐるみを被って会場を散策する。
あちこちに開かれた屋台ではお化けをモチーフにした食べ物がこれでもかと売られ、道行く人々はまさかこの中にデウスエクスが混ざっているとは思いもせず、無邪気に祭りを楽しんでいた。
「トリックオアトリート! お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」
「それは大変、これで見逃してくれるかしら??」
この催しのスタッフだと勘違いしたのか、様々な仮装に身を包む子供達が声をかけてくる。
念のため小脇に抱えていた籠に入れていたミルク味のキャンディを1つずつ配れば、受け取った子供達は粘る事なく蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
「とはいえ、たしか、こちらのデウスエクスは倒しても復活するって話だったと思うけど、あのハロウィンは超大物だから復活に時間かかっているのかしらね??」
「グラビティ」を操り、心臓に重力の鎖を叩き込む事で不死のデウスエクスに「死」を与えてきたケルベロスであるミルキーにとって「因縁のある者」の手にかかるまで何度でも蘇ってくる相手というのは正直あまり想像がつかない。
だがその親玉の1人であるハロウィンは去年猟兵達に返り討ちに遭った以来公の場に姿を現してないという。ひょっとしたら今回季節の魔法エネルギーを集めているのは何か重大な事件を引き起こすためではなく、彼の体を治すためなのかもしれない。
「それにしても人の姿をした植物ね……青臭くないかしらね??」
攻性植物自体は故郷で何度も見たことがあるが、人の姿に似た見た目の物については覚えがない。
それでもミルキーは着ぐるみの先端にある通気孔から普段食べている青草と似た匂いがしてこないか鼻を動かした。
大成功
🔵🔵🔵
ハル・エーヴィヒカイト
ハロウィンか。ふむ、ならば仮装をしてパフォーマンスをすることで季節の魔力を高めればいいか
以前に用意したこのSDキャバリア着ぐるみをまとって剣の舞のパフォーマンスを繰り出そう
この見た目だが動きには何の影響もない。十全に剣を振るうことが出来る
敵がいないこの場ではただ癒しの魔力が満ちるだけのUCだが逆に都合もいいだろう
[心眼]で敵が現れないか常に警戒をしながら、剣の領域を使った派手な剣舞で場を盛り上げていこう
「ハロウィンか」
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は顎に手をやり、ほんの少し熟慮する。
「ふむ、ならば仮装をしてパフォーマンスをすることで季節の魔力を高めればいいか」
そうしてハルは昨年用意したSDキャバリア着ぐるみを引っ張り出してまとい、吹き晒しの特設ステージに上がった。
そもそも催し物の予定がない時間とあってステージ前に並べられた仮設の席には休憩がてら座る人の姿がちらほらとある程度で、突然現れたハルに気づくと怪訝な視線を向け始める。ヤンチャ盛りの子供の体躯ではないし、次のイベントの予行にしては早過ぎたからだ。
だが別に他人に見られていようがいまいが別に重要なことではない。他の人々よりお祭りを楽しんでいれば、季節の魔力は局地的に高まるのだから。
『我が眼前に集え世界。咲き踊れ狂乱の刃、
碧月光華』
ハルは両手で抱えていた、デフォルメされた大剣による舞のパフォーマンスを開始する。
いかにも可動域が狭そうなこの見た目だが動きには何の影響もなく、無数の刀剣を内包した領域の中で十全に剣を振るうことが出来る。また事前に許可を得てから来たので警備員や会場のスタッフが血相を変えて飛んでくる事はない。
ハルは突然の演目を前に上がる歓声を聞きつつ、心眼で敵が現れないか常に警戒をする。
この場に
敵が紛れ込んでいれば領域に内包された、花のように咲き誇る刃が一斉に飛び出して八つ裂きにするところだが、今のところそういった挙動は見られない。そのためただ癒しの魔力が満ちるだけのユーベルコードになってしまっているが、これはこれで都合がいいだろう。この場に現れないということは敵の罠だと察知して一般の客から距離を取ったということなのだから。
歓声につられて何事かと見に来た者達による驚嘆の声に応えるように、ハルは剣の領域を使った派手な剣舞で場を盛り上げ続けた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『マソウショウジョモドキ』
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POW : ☆マジカル☆クルクル☆クルウルク☆
【魔法陣から召喚した攻性植物の塊】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【触手や蔦や根で拘束】した部位の使用をレベル秒間封じる。
SPD : ☆マジカル☆ネルネル☆ネルガルス☆
【魔法陣】からレベル×6体の【可愛らしい外見の攻性植物】を召喚する。[可愛らしい外見の攻性植物]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。
WIZ : ☆くるうるく☆ゆぐどらす☆なうぐりふ☆
敵のユーベルコードを【ステッキ】に呪文として記録し、戦闘終了まで詠唱で使用可能。敵を倒せば戦闘後も永続。
👑11
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このお祭りに生み出されている季節の偏りが生まれ始めていることに、デウスエクス達は気づいていた。
だがその中心には招かれざる客の姿があることも、送り出した尖兵からの報告によって把握していた。
このまま踵を返して次のイベントを狙うか、それとも玉砕覚悟で突入して自らの身を犠牲にして少しでも上質な魔力を確保するのか。
2択を迫られたデウスエクス達は偶然近くにいた仲間とアイコンタクトを取って頷き合い、それぞれ選んだ択に従って動き出した。
天王寺・ミルキー
はい、出てきたわね。
え?魔法少女??
来たんなら、リボルバーに集中してUC使用するわね。
その間にミルクタンクハンマーを準備、リボルバーで数体の敵の足を撃った後で順番にハンマーでぺしゃんこにする。
「植物だし、念のために燃やしちゃうのね」
人気のない場所へ歩を進めるデウスエクスの前に、馬の着ぐるみが立ち塞がる。
「はい、出てきたわね」
屋台で作られる料理や他の客から離れたことで、元来の青臭さが鼻腔をくすぐる。
敵意を持ってリボルバーを携えたミルキーの姿にデウスエクスは舌打ちすると先端が常に発光している杖を前に突き出した。
『☆マジカル☆ネルネル☆ネルガルス☆』
発光部から緑色の魔法陣が展開され、可愛らしい見た目の攻性植物が何十体も飛び出してくる。
「え? 魔法少女??」
まさか見た目通りの行動をしてくると思ってなかったミルキーは目を丸くしつつも落ち着いて迫り来る攻性植物へ集中する。いくらマスコットじみた見た目だからといって、故郷の種との生体とそこまで違いはないだろう。
ミルキーはスローモーションで近づいてくる攻性植物へ次々に弾丸をお見舞いする。弾丸が一発当たると攻性植物は弾け飛び、中から飛び散った血めいた汁が後に続いていた物達の視界を塞ぐ。
そうして攻勢が鈍った間にミルキーはミルクタンクハンマーを準備すると、逃走を図ろうとしていたデウスエクスの足を素早く再装填を終えたリボルバーで撃ち抜いた。
デウスエクスが悲鳴もなく転び、手から杖が離れる。ミルキーは再び弾倉が空になったリボルバーを捨てると足で蹴り上げたハンマーを掴んだ。
集中の対象が変わったことでゆっくりと近づいているように見えていた残りの攻性植物達が本来のスピードで押し寄せてくる。
しかしミルキーはハンマーを振り回して一気に薙ぎ払うと形を保ちながら地面に転がった物達をぺしゃんこにしていく。
振り下ろすたびに汁が飛び散り、着ぐるみに付着する。だが種子の類さえついてなければ後で洗濯すれば何とかなる。
そうしてまるで銀杏で埋め尽くされたイチョウの並木道の如く、大量の攻性植物の残骸で埋め尽くされた道をミルキーは踏み締めて、デウスエクスを見下ろす。
デウスエクスは遠くに落ちた杖を求めて、落ち葉が比較的少ない歩道を這いつくばっていた。
「よいしょっと」
デウスエクスの頭部がミルクタンクで潰れて、植物特有の匂いがさらに強まる。
「植物だし、念のために燃やしちゃうのね」
一仕事を終えたミルキーは休憩を挟まず、焼却処理を始め出した。
大成功
🔵🔵🔵
ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携○
デウスエクスが誘い出されてきたか。ならば蹂躙の時間だ
着ぐるみを脱ぐ時間はなかったが問題ない
このままでも十全な戦闘が可能だからね
UCを発動
[心眼]で戦場にいる敵の位置を把握
高速で飛び回りながらすれ違いざまにデウスエクスを斬り裂いていく
こちらを追尾してくる攻性植物は[念動力]で刀剣を後方に[乱れ撃ち]、撃ち落としていこう
勿論周囲に被害が出ないように気をつけて、射出済みの刀剣は[結界術]の中に収納していく
舞を終えてステージから降りたハルは拍手を送る観客達を一瞥し、その奥で立ち去ろうとしているデウスエクスを偶然見つけた。
「デウスエクスが誘い出されてきたか」
楽しむ人が集まるところに季節の魔力ありとはいえど、自分達がいることに気づいたデウスエクスが撤退するのは想定内であった。
ハルは心眼で人混みの中に紛れている残りのデウスエクスの位置を把握する。
「ならば蹂躙の時間だ」
着ぐるみを脱ぐ時間はないが問題はない。
「このままでも十全な戦闘が可能だからね」
そう呟いてハルは駆け寄ってくる子供達の包囲に捕まってじゃれつかれる前に高速で突破した。
そしてそのまま背を向けているデウスエクスに肉薄し、その扮装を切り裂く。
表に出ている部分は潜り込むための化粧をしてきたようだが、服の下までは塗ってきていなかったようで元来の緑色の肌が露わになった。
そしてデウスエクスが被害者を装った悲鳴を上げる前に嵐のような刃羽の弾幕を叩き込むことで八つ裂きにした。
あっという間にみじん切りにされた仲間の体がその場で山となったのを見たデウスエクスが魔法陣を展開して攻性植物の大群を召喚する。
そのエネルギーを背中越しに感じ取ったハルは念動力で刀剣を乱れ撃ち、片っ端から撃ち落とした。
「デウスエクスに再利用されたら面倒だからね」
攻性植物を討ち取った後の、木の幹や地面に突き刺さった刀剣は誰かに抜かれる前に結界術の中に収納していった。
それはデウスエクスだけでなく破滅願望のある一般人に引き抜かれて刃傷沙汰を起こされることはあまり好ましくないからだ。
デウスエクスは一般客を盾にするように立ち回っているが、ハルもまた周囲に被害が出ないように細心の注意を払っている。
しかし先程まで隣にいた見ず知らずの人物が一瞬で塵芥となり、謎の植物と長物が空中で飛び交う様に何も知らなかった一般客はパニック状態に陥って我先に会場を出ようと駆け出して行った。
成功
🔵🔵🔴
柄倉・清春(サポート)
喫茶店で働く傍らに暗殺業を営む男
今は特務機関DIVIDEに所属しており二足ならぬ三足の草鞋を履く
強面だが粗暴なわけではなく日常生活では気さく
殺しの関わる仕事の時は途端冷徹になる
暗器を交えた肉弾戦と中距離からの牽制・奇襲を好む
戦いに流儀を持ち込まないのが流儀
搦め手、揺さぶり、闇討ち、あらゆる手段を用いる
生物の急所を熟知しており、異形と戦う際も経験則に基づき攻撃箇所を決める
身に宿した悪魔の力は奥の手
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためなら汚れ役を担う事も
自身が性的な行為を行うのはNG
「やれやれ、猟兵が派遣されたとは聞いていたが……派手にやっているようだな」
ハロウィンの会場から飛び出してきた人々が車に轢かれるなどの二次被害に巻き込まれないよう、メディック隊と共に駆けつけた柄倉・清春(悪食子爵・f33749)は舌を巻く。
足首を挫いた者が隊員によって運ばれていくのを尻目に、清春はその混乱の中にデウスエクスが紛れ込んでいないか目を細めて注意深く観察する。
そして、スカートの下に僅かながら緑色の肌が覗いた者を発見した。
「どうする?」
『いったん目印をつけて逃がしましょう、ひょっとしたら近くに拠点があるかもしれないですから。あとこの混乱の中だと流れ弾が当たる可能性も高いですし』
本部からの意向を受け、清春は
影の追跡者を召喚してデウスエクスの影に添わせる。デウスエクスはその存在に気づけなかったのか、気づいていても周りの人々と同じ行動を取ることを優先したのか、ひたすらに走り続けてメディック隊の不完全な包囲を突破した。
そして人気のない裏路地に逃げ込むと自らの掌に溜まった季節の魔力の総量を確認して、ニンマリと笑みを浮かべる。
その表情のまま頭部は、音も無く背後に忍び寄った清春の手によって刈り取られた。
「いっ、いつの間にぃ!?」
「知ってるか? 人って普通は頭と首が離れたら普通は声を出せなくなるんだぞ?」
頭部を奪われ、慌てて杖を取り出す胴体を清春は豪快に蹴り飛ばした。
成功
🔵🔵🔴
エリザベス・ナイツ
アドリブ/連携〇
◆心情
私も仮装で戦闘に挑みたいのだけれど、早着替えは少し難しそう…ね?
今回は動きやすいこちらの格好でお相手させていただくわ?
◆敵UCへの対策
【武器に魔法を纏った】星剣ノーザンクロスで、召喚された攻性植物を切り裂いていきます。【オーラ防御】を駆使しつつ、苦手な剣術をフォロー。
戦いながら、人気の少ない小道へと敵を誘導します。
人がいる場合は人払いを。その上で、相手を風下においてUCを発動させます。
◆UC発動後
これだけ細道なら相手は数の有利を活かせない――。
…剣技は得意ではないけれど、弱っている相手なら、それなりに戦えるはずよね?
「私も仮装で戦闘に挑みたいのだけれど、早着替えは少し難しそう……ね?」
英国の出身であるエリザベス・ナイツ(もう一つの月・f40801)にとっては今身につけているシスター服は仮想の範疇ではなかったらしく、同じような服を着て逃げる日本人とは逆の方へ進んでいく。
「今回は動きやすいこちらの格好でお相手させていただくわ?」
そして人々を追い立てる見た目だけは可愛らしい攻性植物を魔法を纏わせた星剣ノーザンクロスで切り裂いた。
「まだまだまだまだ! ☆マジカル☆ネルネル☆ネルガルス☆』」
ここまでの騒ぎになったらもう取り繕う必要はないと判断したのか、デウスエクスは今いる客から限界まで搾り取ろうと攻性植物をさらに召喚していく。
普段は専ら傷病者の治療に就いているエリザベスはその物量にだんだん押し込まれていくが、オーラによる防壁を張ることで傷を負うことだけは回避していた。
『さぁ、酔いなさい。眠りなさい?』
エリザベスは抵抗しつつも徐々に人々の逃げた方向とは別の道へ後退し出す。その様子にこちらが優勢だと信じて疑わないデウスエクスは容赦なく追加の攻性植物達を差し向けた。
しかし上機嫌なデウスエクスとは対照的に、攻性植物達はエリザベスを追えば追うほど段々と萎み出し、動きを鈍らせていった。
「……剣技は得意ではないけれど、弱っている相手なら、それなりに戦えるはずよね?」
一際人気の少ない小道に辿り着いたところでエリザベスは振り返る。
これだけ細道なら相手は数の有利を活かせない――。その狙いは正しく、広々とした会場では全方位から飛びかかれていた攻性植物達は狭い通路の中では一方向からしか襲い掛かれなかった。
刃を上に突き出される危険性を犯して無理矢理エリザベスの上を飛び越して反転し、挟み撃ちにする手はあったが見えない風の動きの中に含まれていた神経性猛毒によってすでに虫の息になっていた攻性植物達にはそれを実行するだけの余力は残っておらず、ただただ各個撃破されていった。
成功
🔵🔵🔴
キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。
「まずいまずいまずい……!」
どれだけ燃やされようが切り刻まれようが、
自分達が死ぬことはない。しかしここでやられればせっかく集めた季節の魔力が水の泡になってしまう。
魔力を抱え、焦りながら遁走していたデウスエクスは砂利道から突然生えてきた青いキノコに足を取られて転倒した。
「キノキノ、キノが来たからには絶対に逃してあげないよ!」
蹴られた衝撃でずれた帽子の傘の位置を直しながらキノ・コバルトリュフ(
キノコつむりの星霊術士・f39074)が地中から飛び出してくる。
『☆くるうるく☆ゆぐどらす☆なうぐりふ☆』
デウスエクスが歯を食い縛りながら呪文を唱えると体が腰ぐらいまで地中に沈み出した。
デウスエクスは一瞬泡を食うが、反射的にバタつかせた足の方向へ進めたことに気づくとキノから何をトレースしたのかを理解して一気に加速した。
『キノキノ!足の早さじゃ負けないよ』
キノも再び地面に潜ってデウスエクスを追いかける。だがその距離はスタートの差で中々縮まらない。
「マツタケ! キノには星霊の仲間がいるからね!」
しかし逃げた先にはすでにキノのお友達である星霊達が待ち構えていた。
全身を沈めて地中を移動できないことに歯噛みしながらデウスエクスはUターンしてキノの不意をついて反対方向へ抜け出そうとする。
「シメジ!? でもキノが苦戦はありえない!」
だが突然反転して突っ込んできたデウスエクスに驚きながらもキノは原木を突き出す。
デウスエクスは正面からそれにぶつかり、その勢いのまま後頭部を石畳に激突して伸びた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『『ハロウィンの魔草少女』橙山・南瓜』
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POW : ハロウィンボム
【ハロウィンの季節の魔力】から【作り出した特大のハロウィンボム】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD : ハロウィンキャレイジ
【南瓜の爆車】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をハロウィンの魔力で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : ハロウィンボムモドキ
偽物の【ハロウィンボムの夜空】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【何度でも自爆できるハロウィンボムモドキ】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。
👑11
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「タスケテ! ボク、デウスエクスカラニゲテキタンダ!」
「何ですって!?」
ハロウィンパレードに遊びに来ていた橙山南瓜は猟兵とDIVIDEの包囲網から逃れてきた攻性植物に助けを求められていた。
「コノママジャミンナモヤサレチャウ! ボクノチカラヲキミニタクスカライッショニタタカッテ!」
「分かった! 私はどうすればいいの!」
魔法少女に憧れていた南瓜は攻性植物の訴えを全く怪しむことなく快諾してしまう。
「ウデヲダシテ! ソコニボクガカミツイテ、チカラヲソソギコムカラ!」
「分かった!」
そしてハロウィンの魔草少女となった南瓜は、猟兵とDIVIDEの前に躍り出て堂々と言い放った。
「ハロウィンを楽しむお客さんをいじめるなんて許さないわデウスエクス! この私が成敗してあげるから覚悟しなさい!」
柄倉・清春(サポート)
喫茶店で働く傍らに暗殺業を営む男
今は特務機関DIVIDEに所属しており二足ならぬ三足の草鞋を履く
強面だが粗暴なわけではなく日常生活では気さく
殺しの関わる仕事の時は途端冷徹になる
暗器を交えた肉弾戦と中距離からの牽制・奇襲を好む
戦いに流儀を持ち込まないのが流儀
搦め手、揺さぶり、闇討ち、あらゆる手段を用いる
生物の急所を熟知しており、異形と戦う際も経験則に基づき攻撃箇所を決める
身に宿した悪魔の力は奥の手
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用
多少の怪我は厭わず行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
依頼の成功のためなら汚れ役を担う事も
自身が性的な行為を行うのはNG
突然の乱入者に清春とDIVIDEの面々は互いの顔を見合わせた。
確かに人間みたいな見た目をしているデウスエクスではあった。しかし戦いの中でその変装は剥がれ、本来の緑色の肌が露出し始めている。にも関わらず「一般市民を虐めている」とはどこを見て言っているのだろうか。
「……とにかく、あの攻性植物も排除しないとな」
半ば呆れている清春の視線は南瓜の左肩に噛みついている攻性植物に向けられた。
「いっけぇ【ハロウィンキャレイジ】!!」
南瓜によって召喚された、爆弾を大量に載せた南瓜型の四輪車が突っ込んでくる。
魔法少女らしからぬ物理攻撃に、ディフェンダー隊の面々が吹き飛ばされる。DIVIDEを助けるつもりで車を突入させた南瓜は目をひん剥かせて叫んだ。
「DIVIDEが止めたら意味ないじゃん!? 何を考えてるの! 邪魔しないで!」
「キットデウスエクスニアヤツラレテイルンダ!」
どの面下げて言っているのだと思わせる台詞を攻性植物が吐く。しかしそれが真実だと固く信じている南瓜は表情をきりりと引き締めた。
「ココログルシイケド、イマハイッショニタオスシカナイカモ……」
「分かった……ごめんなさい!」
そして新たな車が続々と呼び出される。その影に隠れて近づいていた清春は南瓜の背後にまで回り込むと氷点下の声色で吐き捨てた。
「邪魔はお前の方だ、馬鹿者が」
デウスエクスに操られているだけかもしれない人間に傷をつけたら後々問題になる。故に清春はダガーの切先を左肩の攻性植物に突き刺す。
だが一撃では硬い外皮に傷はつけても中身には達しない。攻性植物の断末魔を耳元で聞かされた南瓜は慌てて後ろを向いてステッキを振り回し、清春を追い払った。
成功
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ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携○
デウスエクス……確かにこの姿だとそう誤認されても仕方ないか
いや、攻性植物に侵食されているせいかもしれない
奴だけを祓えないかどうか試してみるしかないだろう
引き続き着ぐるみの姿で戦闘
奴の南瓜爆弾を[心眼]で[見切り]、[念動力]で射出した刀剣で[受け流し]、直撃を避ける
さらにハロウィンの魔力で満たされた戦場はUCと共に展開した[結界術]によって[破魔]の力で上書きし、相手のバフ解除あるいは軽減を試みよう
そしてこちらからはUCによる攻撃
姉より受け継いだ刃、戦う力と意思だけを断ち斬る剣
この白刃を以て彼女にとりついた攻性植物と彼女の中の悪しき力だけを斬る
「デウスエクス……」
自分の仮装が目の前の敵よりもデウスエクスみたいだと断言されたように感じたハルは着ぐるみの中で思わず固まった。
「……確かにこの姿だとそう誤認されても仕方ないか。いや、攻性植物に侵食されているせいかもしれない」
だがすぐにさもありなんと立ち直ると少女の肩に噛みついている攻性植物
だけを祓えないかどうか試すべく、柄を持つ手の力を強めた。
次から次へと突っ込んでくる爆弾を大量に載せた四輪車の波を心眼で見切り、念動力で射出した刀剣で受け流すことで普段より横幅の大きい体への直撃を避ける。
しかしはるか後方で爆発が連鎖的に起きる度に、季節の魔法とはまた別種の魔力が会場中に満ち満ちていき始める。すると清春のダガーによって傷つけられた攻性植物の外皮が綺麗な見た目に戻った。
「なるほど、攻防一体の技なのか」
ディフェンダー隊が正面から受け止めた時にはこの魔力の発露は起きなかった。だがそれを恐れるがあまりに自ら爆弾へ飛び込む気は更々ない。
『我が内なる刃は集う。これは望みを繋ぐ刃、命を活かす祈りの剣!
白翼千華!』
内なる世界と共に展開された結界術に含まれた破魔の力がハロウィンの魔力を上から塗り潰していく。
「姉より受け継いだ刃、戦う力と意思だけを断ち斬る剣……この白刃を以て彼女にとりついた攻性植物と彼女の中の悪しき力だけを斬る」
そして同時に空中に展開された燕の翼のような無数の白刃が南瓜目掛けて降り注いだ。
「ちょっ、これ、多すぎない!?」
「ヒギャー!」
あまりの物量を前に南瓜は悲鳴まじりに刃の雨の間を逃げ回る。だが当然避けられるはずもなく、攻性植物の脳天や魔草少女のコスチュームに深々と突き刺さっていった。
大成功
🔵🔵🔵
エリザベス・ナイツ
アド〇、連携〇
◆心情
攻性植物が、女の子の体を乗ったという事…?
星剣"ノーザンクロス"の震えは、きっと私の心の動揺を現しているんだよね。
でも…戦う。
可能なら彼女を救う。無理でも…デウスエクスを私は斬る。
それがケルベロスとしての私の責務なのだから。
◆行動
ハロウィンボムに対しては、オーラ防御で少しでも被害を減らせるように。一般人に被害でそうな場合は、爆風覚悟で、星剣"ノーザンクロス"で直接ハロウィンボムを一刀両断、被害を減らします。
ユーベルコード発動と同時に、寄生場所と思われる右手を狙って剣戟を繰り出します。
――あなたが本当になりたい魔法少女になれますように。あなたから、攻性植物だけを取り除きたい
「攻性植物が、女の子の体を乗っ取ったという事……?」
右手に握りしめていた星剣が震え出す。それはきっとエリザベスの心の動揺を現していた。
「でも……戦う」
可能なら彼女を救う。例え無理でも……デウスエクスを私は斬る。それがケルベロスとしての私の責務だと、エリザベスは潤む瞳で前を見据えた。
降り注ぐ刃を受け止める屋根を作るかのように南瓜はハロウィンボムをいくつも作り出しては星が出てきた空に浮かべる。
そして刃に当たった瞬間に爆発が起き、飛び出してきた大量のお菓子に押し出される形で周囲にあった刃の行先が逸らされる。
その切先がDIVIDEの面々や興味本位で集まった野次馬に当たる前に、エリザベスはオーラの防壁を張った。
幸いにもあのハロウィンボムの派手な爆発はエフェクトだけで殺傷能力はないようだ。だが本当に爆発する物が出てくる可能性は捨て切れない。
『剣鳴る間に、地に伏して――。揺蕩う華を今ぞ、摘む――。白く砕け、散り、消える。』
本物が紛れ込む前に止めなくては、とエリザベスはアラビアンを感じさせるスパンコールのドレスに一瞬で着替えると魔術光子を纏いながら迷いなく突貫する。
あまりの速さに息を飲んだ南瓜は盾の代わりか、自分の姿を隠すようにハロウィンボムを配置する。
……あれが本物だろうと、偽物だろうと、関係ない。エリザベスは爆風を受ける覚悟で、星剣で直接ハロウィンボムを一刀両断しながら突っ込む。
弾け飛んだのは———お菓子だった。
「――あなたが本当になりたい魔法少女になれますように。あなたから、攻性植物だけを取り除きたい」
風に乗って南瓜の前に躍り出たエリザベスは左肩の攻性植物をブラフだと判断し、黒くて大きな手袋で覆われた右手を狙って剣戟を繰り出した。
大成功
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キノ・コバルトリュフ
マッシュルーム!みんな出ておいで!総力戦だよ!!
キノキノ、みんながいて心強いね。
シメジ?何体か足りないような?
急用があってこれなかったの?
エノキ、仕方ないね。
マイタケ、来てくれたみんなで楽しんじゃおう!
南瓜の四輪車がコントロールを失って意図も狙いも関係なく突っ込んで横転し、顔の形に彫られた穴から光が発せられて大爆発を起こす。
「マッシュルーム! みんな出ておいで! 総力戦だよ!!」
爆風で飛びそうになった頭の傘を押さえながらキノが叫べば、デウスエクスを捕まえるために方々に散っていた星霊達が一斉に集結した。
指示を出さずとも星霊達は側面にぶつかって軌道を逸らしたり何もないところで着火させたりと被害が最小限に止めるように立ち回っていく。
だが車が爆散すると共にハロウィンの魔力は広がっていく。その力を得た南瓜はつけられた痛みを堪えながらステッキを構えた。
「私が止めなきゃ……! 止めなきゃ、みんなが酷い目にあうんだからっ……!」
志は立派かもしれない。だが最初のボタンがかけ違えた状態のままではただの自己満足でしかなく、間違っていたことを受け入れず自分が正しいのだと押し通そうとするのは害悪でしかない。
「シメジ? ちゃんと言ってたっけ?」
今更不安になるが、もうここまで来たら後戻りは出来ない。お互いに。
魔力の奔流の余波に攻性植物は吹き飛ばされまいと南瓜の肩に必死に噛み付き、血が滲み出す。
だがそれが攻撃として放たれることはなく、南瓜は紐が切れた操り人形のように倒れてしまった。
「クソッ、ツカエナイヤローガ!」
攻性植物は悪態をつきながら南瓜から離れると、数秒も経たずに何かにぶつかる。
見上げた先で最期に見たのは、女の子を騙して操った末に捨てた下衆に対する怒りの炎を全身から発する鳥が羽を大きく振る姿だった。
「毒による気絶ですね、すぐに手当てをしましょう」
元の姿に戻った南瓜をメディック隊が救助に入る。毒と聞いたキノは胞子をばら撒く自分の頭に視線をやり、また位置を軽く直した。
大成功
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