エンドブレイカーの戦い⑭〜疾風のゼファー、再び
「エンドブレイカーの戦いへの参戦に感謝します。リムは戦況を報告します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は現在の戦況を語り始めた。
「皆様の活躍によって11の怪物の攻略・撃破は進んでいます。今回皆様に依頼するのは、残る怪物の1体である『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の撃破です」
それは11の怪物「ウシュムガル」と、かつてキマイラフューチャーで猟兵に撃破されたオブリビオン「スピード怪人『ウインドゼファー』」が、何やら複雑な経緯を経て合体した姿だ。どうやらウインドゼファーには別の世界での"前世"があったらしく、この世界では「革命聖女ゼファー」の名で知られている。
「ウシュムガルと合体したウインドゼファーは、復興した都市国家『天翔回廊ヘイズワース』を占領しています。彼女の目的は怪人時代の友である『ラビットバニー』と『エイプモンキー』、両名の蘇生のようです」
キマイラフューチャーでの戦争を経験した猟兵なら、その名前に覚えもあるだろう。マニアック怪人『エイプモンキー』、カワイイ怪人『ラビットバニー』、いずれも怪人軍団の幹部として知られた強者である。あまりにも強大すぎるが故に、ウシュムガルの力をもってしても蘇生は叶わなかったらしい。
「ゼファーは友を復活させるエネルギーを求めて、他の『11の怪物』とエリクシルの掌握を図っています。かつては『革命聖女』として平和を望んでいた彼女ですが、もはやこの世界の未来は眼中にないようです」
大地母神が殺され、猟兵がこの世界から放逐されれば、ゼファーの目的を邪魔する者もいなくなる。幾度もの生と死を経験してこの世界に舞い戻ってきたゼファーは、友情という名のエゴのために行動する世界の破壊者となった。仮に思う所があったとしても、倒す他に道はない。
「ウシュムガル・ザ・ウインドゼファーの最大の武器は『スピード』です」
戦闘になれば、彼女は猟兵を駆逐する為に全ての守りを捨て、代わりに何者にも負けない超スピードで襲い掛かってくる。この状態だと猟兵のあらゆる攻撃は彼女に対して致命傷となり得るが、そのスピードから必ず先制して放たれる攻撃は、言うまでもなく超威力を誇る。
「加えて生半可な方法では、こちらの攻撃は一撃当てることすら困難。彼女のスピードに対応する手段を講じない限り、勝算は低いでしょう」
怪人幹部の中ではもっとも弱いと称するウインドゼファーだが、スピード怪人と呼ばれた速さは健在どころか磨きがかかっている。それでも速さに特化しているぶん防御に隙があるのが幸いだ――あらゆる対策を講じて、とにかく「一撃」でも当てることができれば逆転もあり得る。
「大地母神暗殺を阻止するために、倒さなくてはならない怪物は5体。どうかあと少し、皆様の力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、都市国家『天翔回廊ヘイズワース』に猟兵を送り出す。
疾風のゼファー、革命聖女、スピード怪人、11の怪物――多くの名を冠しながら、幾度もの戦いと生死を駆け抜けてきた女の、ここが終着点になるか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回の依頼は11の怪物の一体『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の撃破です。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……敵の「超スピード」と先制攻撃に対処する。
猟兵との戦闘に入ったウインドゼファーは、圧倒的なスピードで望みを阻む者を粉砕しようとします。
複雑に入り組んだ都市国家内でも、彼女の超スピードは一切衰えません。この速度から繰り出される先制攻撃は非常に脅威です。また、こちらの攻撃は当てることも困難でしょう。
ですが速さと引き換えに防御を捨てているため、当てることさえできればどんな攻撃も大ダメージになり得ます。いかにして彼女のスピードに対処するかが重要なシナリオです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』
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POW : アクセラレイト・デザイア
全身を【エリクシルの輝き】で覆い、自身の【誰に邪魔はさせないという意志の強さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : ゼファー・タイフーン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【嗤う剣ダイアモード】から【勢いを増し続ける竜巻】を放つ。
WIZ : 嘲笑せし斬風
【嗤う剣ダイアモードから放たれる衝撃波】を【スピード怪人の加速能力】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
イラスト:藤本キシノ
👑11
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真宮・律
ゼファー、アンタが大事な友達の為に悪事を働くという思いは分からないでもない。俺は家族の為ならどんな事でもするという決意のように。
でも、その為に世界の破壊を為すのは許容できない。ああ、これは俺のエゴだ。どちらが勝るか、勝負だ。
確かにスピードは脅威だな・・・【勝負勘】【集中力】【瞬間思考力】を総動員して敵の動きを観察。【残像】【心眼】を使用して衝撃波を避ける。スピードが速いとはいえ、敵は単体だ。良く見れば視認できるはずだ。
たとえ攻撃が直撃しても陽炎の揺らぎが発動してれば喰らったダメージの分攻撃の威力が上がる。【重量攻撃】【切断】で全力の攻撃を叩き込んでやる!!
「ゼファー、アンタが大事な友達の為に悪事を働くという思いは分からないでもない。俺は家族の為ならどんな事でもするという決意のように」
幾度の生と死を経て故郷に帰還しながら、友を復活させるために故郷の犠牲を選んだ『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』。その覚悟は並々ならぬものだと、真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)も理解していた。目的を果たすまでにどんな障害が立ち塞がろうとも、彼女は決して止まらないだろう。
「でも、その為に世界の破壊を為すのは許容できない。ああ、これは俺のエゴだ。どちらが勝るか、勝負だ」
「いいでしょう。私はこの世界から貴方達を放逐し、友達を蘇らせる。ただ自らのエゴによって!」
律が赤銅の両手剣「クレプスキュル」を抜くと、ウインドゼファーも「嗤う剣ダイアモード」を構える。誰かの為、そして何よりも自らのエゴのために戦うと決めた両者の道は、もはや激突する他になかった。一方を押しのけてでも己の道を貫く、その覚悟はもはや問うまでもない。
「行きます!」
『ヒャヒャヒャ、派手にやろうぜえ!!!』
先手を取ったのはやはりウインドゼファー。かつてスピード怪人と呼ばれた女が、自らの防御を捨てて速度に特化すれば、追い越せる者など存在しない。嗤う剣ダイアモードがその衝動を後押しすることで、今の彼女は神速の領域まで到達していた。
「確かにスピードは脅威だな……」
律にあれと速さ比べをする気はさらさら無い。勝負勘と集中力、それに瞬間思考力を総動員して敵の動きを観察し、回避のタイミングを見極める。いくらスピードが速いとはいえ敵は単体だ。よくよく注意すれば視認はできるはずだ。
「もらった……!」
ウインドゼファーの斬撃が【嘲笑せし斬風】を伴って標的を断つ。が、そこに立っていたのは律の残像だけだった。
刹那の差で神速の攻撃を見切り、心眼による回避に成功した律。だがそれは首の皮一枚と言ったところ。ほんの少し掠めただけで、彼の脇腹からは血が吹き出していた。
「これでいい」
だが、彼は避けきれなかった事を悲観してはいなかった。攻撃を受けながらも【陽炎の揺らぎ】を発動したことで、彼の全身は陽炎に包まれ、喰らったダメージに比例して戦闘力が増強される。どんなに危険な一撃を受けても、生きてさえいれば逆転の目はあるのだ。
「敵の攻撃も利用する。それが傭兵だ」
あとは、こちらの攻撃をどう当てるか。ゼファーのスピードは当然回避にも有効だが、観察に徹するうちに目が慣れてきた。暴風と共に疾走する相手の移動先を読み、「当てる」と言うより「置く」感覚で、己の全力を叩き込む――。
「捉えたぞ!!」
「……ッ!!」
重量を活かした渾身の斬撃から、ウインドゼファーは咄嗟に身を捻るが、回避しきれないのはこちらも同じだった。
防御を捨てたその身では、たとえ直撃を避けられたとしてもダメージは甚大。仮面の奥に隠された彼女の表情が、苦痛で歪んだように律は感じた。
大成功
🔵🔵🔵

オルフェウス・シフウミヤ
※アドリブ大歓迎
ふむ、「超スピード」と先制攻撃に対処する…ですか。いいでしょう、スピード対決なら望むところです。
煌銀眼を瞬間思考力と戦闘演算と合わせて発動。非常に遅い世界で常に最適解を選択。
敵の超スピードと先制攻撃はBNCで攻撃力、瞬発力、攻撃速度、移動速度、反応速度を大幅に増強して限界突破した黒雷疾走の雷速で見切り、覚悟、気合い、根性で回避します。
敵が飛翔してるなら、こちらもします。限界突破した
雷天使 雷閃悪滅で三対六枚の翼の雷天使になり限界突破した雷速で飛翔して稲妻の次元を貫く光線を撃ち続けます。何度でも撃ちましょう。
それでは高速戦闘といきましょうか。
「ふむ、『超スピード』と先制攻撃に対処する……ですか。いいでしょう、スピード対決なら望むところです」
今度の敵はスピード怪人改め11の怪物『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』。速さに自信のあるオルフェウス・シフウミヤ(
冥府の吟遊詩人の系譜・f40711)としては、断じて負けられない相手だった。その右眼に宿った「
煌銀眼」を起動し、すでに臨戦態勢である。
「ラビットバニーとエイプモンキーに比べれば弱い私ですが……スピードだけは自信があります」
一方のウインドゼファーも譲る気は無いようで、突風を巻き起こしながら縦横無尽に都市国家を翔ける。防御を捨てスピードに特化することで得られる殺人的な加速。かつてキマイラフューチャーで猟兵と戦った時を上回る、さらなる速度の高みに彼女はいた。
「なるほど、口にするだけの事はあるようです」
煌銀眼を発動中のオルフェウスは瞬間同時並列思考が可能が可能となり、戦場全てをスローモーションで認識する。
だが、その中でもウインドゼファーだけは高速移動を続けていた。強化された戦闘演算と合わせても完全には捉えきれないほど、相手の動きが速すぎるのだ。
「ダイアモード、やりなさい!」
『ヒャヒャヒャ、いいぜえ!』
そのスピードを保ったままゼファーが「嗤う剣ダイアモード」を振るうと、【ゼファー・タイフーン】が放たれる。
触れればタダでは済まないと悟ったオルフェウスは人造神経細胞「
BNC」の機能をフル稼働させ、瞬発力と移動・反応速度を大幅に強化。さらに「
黒雷疾走」まで起動し、限界を超えた速度で回避運動を行う。
「それでは高速戦闘といきましょうか」
相手が疾風ならこちらは稲妻だ。限界を突破して雷速の領域に到達したオルフェウスは、煌銀眼が選択した最適解に基づいて攻撃を躱す。それでも勢いを増し続ける竜巻を避けるのは困難を極めたが、彼女にもここで負けられない覚悟と気合い、根性があるのだ。
「雷奏せよ、我が身はこれより雷天使。悪に蹂躙されし者の悲哀の涙が頬を伝う、ならば弱者の為に悪滅一切慈悲はなし、強者を蹂躙しよう」
彼女が真に"追いつきたい"相手は他にいる。その想いを秘めながら紡いだ詠唱が【雷天使 雷閃悪滅】を発動する。
三対六枚の翼を生やし、雷天使と化したオルフェウスは、これまでより一段増したスピードで重力の軛を断ち切り、敵と同じ高みまで飛び上がった。
「敵が飛翔してるなら、こちらもします」
「来なさい……!」
相手が飛ぼうが飛ぶまいが、ウインドゼファーの武器は変わらぬ速さ。再び飛んできた竜巻に対して、オルフェウスは稲妻の光線で応戦する。翼から収束・拡散して放たれる黒き稲妻は、次元すら貫いて悪しき者を滅する裁きの光だ。
「私に限界なんてありません」
「ッ……やりますね!」
一撃で届かなければ、何度でも撃ち続ける。己の限界を超え続け、敵に食らいつく執念じみた気合は、ついに標的を捉えた。黒雷の光線に射抜かれたウィンドゼファーは苦しげな声を漏らしながら、大きく速度と高度を落とした――。
大成功
🔵🔵🔵
播州・クロリア
死んだ者は蘇らない。それを打ち砕こうとする気概はわからなくもないですが
他者を犠牲にしてでもというのは決して許されるものではありません
一度オブリビオンになったものは思想が歪んでしまうのでしょうか?
(直立し左足、右足の順に大地を踏みしめるように力強く足を繰り出し、左腕、右腕の順に押しのけるように勢いよく腕を伸ばすと{岩石の旋律}で『ダンス』を始める)
回避したところで逃げられないでしょうし
{蜂蜜色の陽炎}で『オーラ防御』を行い、障壁を砕かれた方向に向けて『衝撃波』を放つことで敵の攻撃を相殺しましょう
そしてUC【蠱の宴】を発動し敵のスピードを殺してから敵に向けて『斬撃波』を放つなどして反撃するとします
「死んだ者は蘇らない。それを打ち砕こうとする気概はわからなくもないですが、他者を犠牲にしてでもというのは決して許されるものではありません」
信念の強さや目的の是非を置くとしても、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』が採った選択は播州・クロリア(踊る蟲・f23522)にとって認められるものではなかった。この世の全てよりも友の復活を優先する、そのエゴは明らかに異常だ。
「一度オブリビオンになったものは思想が歪んでしまうのでしょうか?」
「さて、私にも分かりません。一体私がどこで変わってしまったのか……」
革命の聖女から怪人へ。幾度もの生と死を経て、長い人生経験を積んだゼファーの思想が若き頃より変化しているのは確かだろう。だが、どの段階で致命的に歪んでしまったのかは分からない。少なくとも確かなのは、彼女はもはや考えを変える気はない、ということだ。
「行きます。止められるものなら、止めてみせなさい」
それ1つに特化した圧倒的スピードをもって、ウインドゼファーは【ゼファー・タイフーン】を発動。目で追うことも困難な速度で都市国家を飛び回りながら、剣のひと振りで巨大な竜巻を放つ。これに対してクロリアは避けようという素振りも見せず、最初に転送された位置から動いていなかった。
「回避したところで逃げられないでしょうし」
直立し左足、右足の順に大地を踏みしめるように力強く足を繰り出し、左腕、右腕の順に押しのけるように勢いよく腕を伸ばす。始まるのは「岩石の旋律」を生み出すダンス、大地のうねりに押し潰されながらも、堅牢に雄々しく在り続ける岩石を表現した舞踊だ。
「なんの真似かは知りませんが……全力で潰します!」
戦場で突然踊りだす意図を読みかねるウインドゼファーだが、ここで攻撃を躊躇する理由もない。放たれてからも勢いを増し続ける竜巻は、もはや本人にも止められない風速となって標的に直撃する――その瞬間、クロリアの体を蜂蜜色の靄が包んだ。
「耐えてみせましょう」
この靄は彼女のダンスへの執着と欲望から生まれたオーラが具現化したもの。岩石の旋律の性質を受け継いだそれは強固な障壁となり竜巻を受け止める。何もかも吹き飛ばさんとする風も、大地にどっしりと佇む岩を動かせはしない。
「固い……それでも……!」
ウインドゼファーはなおも自らの剣で風を吹かせ、岩石の護りさえも突破せんとする。それにより勢いをさらに増した竜巻はついにオーラの障壁を砕くが、クロリアは即座にその方向へ手から衝撃波を放ち、漏れてきた風を相殺する。
「……! まさか、本当に耐えたとは……!」
「楽しんでますか? 私は楽しいです」
驚愕を態度に現すウインドゼファーに、クロリアは踊りを継続したまま尋ねる。彼女の力の源泉はダンスを楽しむ心にこそあり、【蠱の宴】はその法則を他者にも強制する。友のために執心するゼファーに、楽しむ余裕など無いことは明白だった。
「では、反撃するとします」
「か、体が動かな……くぅッ!!?」
ユーベルコードの作用により5分の1まで減速させられるウインドゼファー。その隙を逃さずクロリアは踊りながら脚を跳ね上げ、斬撃波を放つ。速度と引き換えに防御を犠牲にした相手にとって、それは致命的な一撃であり――エリクシルと融合した装甲が砕け、怪人の体躯は巨岩に跳ね返されるように吹き飛んだ。
大成功
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鏡島・嵐
速さって武器をとことんまで突き詰めた究極の姿ってわけか。
猟兵の中にもそういう奴はちらほらいるだろうけど……こいつは別格通り越して破格だな。
いつものことだけど、凄く怖ぇ。スピードじゃまるで勝てる気しねえし、勝算があるのかないのかも正直、わかんねえ。
……だけど、譲れねえモンがあるのはこっちも同じだ。
だったら、やれるだけやるだけだ……!
勝算があるとしたら、持って生まれた勘の良さ。
まずは〈第六感〉を活かして、先制攻撃をいなす。防ぎきれねえ分は〈オーラ防御〉でなんとかする。
〈逃げ足〉も活かして敵の猛攻をかいくぐりつつUC起動。極限まで〈第六感〉を研ぎ澄ませて、〈スナイパー〉ばりの一撃を。
──そこだッ!!
「速さって武器をとことんまで突き詰めた究極の姿ってわけか。猟兵の中にもそういう奴はちらほらいるだろうけど……こいつは別格通り越して破格だな」
スピード怪人と呼ばれていた頃からさらに速さに磨きをかけた『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』と対峙し、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は戦慄を禁じ得ない。防御力の喪失という代償を差し引いても、十分お釣りがくるほどの力を奴は手にしている。
(いつものことだけど、凄く怖ぇ。スピードじゃまるで勝てる気しねえし、勝算があるのかないのかも正直、わかんねえ)
何度死線をすり抜けても慣れない戦いへの恐怖。己の非力さを悲観し、敵の強大さに竦む、それが彼の弱さであり、強さでもあった。今回こそ本当に死ぬかもしれないという絶望と向き合いながら、彼はいつだって「だけど」と呟く。
「……だけど、譲れねえモンがあるのはこっちも同じだ。だったら、やれるだけやるだけだ……!」
「ええ、その通り。想いを貫けるのは、勝者だけなのですから!」
覚悟を決めて視線を逸らさぬ、嵐のなけなしの勇気をウインドゼファーも認め、全力全速をもって粉砕せんとする。
【ゼファー・タイフーン】を発動した彼女のスピードは分かっていてもなお、常人の目で追えるものではなく。嵐に勝算があるとすれば、持って生まれた勘の良さしかない。
「危ねえ……っ!」
剣から放たれる竜巻の前兆を、第六感を活かしていなす。防ぎきれない分はオーラで防御を固め、少しでもダメージの軽減を図る。それでも万全とは到底言えないが、五体が残っていれば上等だ。とにかく奴に一撃当てるまでは倒れる訳にはいかない。
「占いの真似事なんてガラじゃねえけど……茨の迷宮、百歳の夢、其を切り拓く導を此処に!」
死線で鍛えられた逃げ足も活かして敵の猛攻をかいくぐりながら、嵐は【残されし十二番目の贈り物】を発動する。
祖母から学んだ占いの技を、我流にアレンジしたユーベルコード。それは彼の第六感をより高いレベルまで強化し、敵の動きを予測する助けとなる。
「遅い……しかし当たらない。大したものです!」
縦横無尽に都市国家を翔けるウインドゼファーから見れば、嵐の動きは地べたを逃げ惑うトカゲのようなもの。それでも致命傷だけは辛くも避けられている事実は、彼女の警戒心を刺激した。ここで確実に仕留めて置かなければ、あの者の牙は自分に届きかねないと。
「これで終わりです!」
ウインドゼファーの力によって勢いを増した竜巻が、戦場もろとも呑み込まん勢いで迫る。もはやどこにも避けられないと悟った嵐は、立ち竦みそうになる脚を必死に動かし、直感に従って前に進んだ。風の勢いに逆らうのではなく、巻き込まれるように――気流に沿って空に舞い上がった彼は、ついに敵を射程距離に捉える。
「──そこだッ!!」
極限まで研ぎ澄ませた第六感のままに、お手製のスリングショットを撃つ。目で追って当てるのではない、ただ感じるがままに放たれた弾丸は、まるで吸い込まれるように、飛翔するウインドゼファーの未来位置とピタリと重なった。
「ッ……! 見事、です……!」
全てをスピードに特化させたウインドゼファーの防御は、極めて脆い。弾丸一発で大きなダメージを負った彼女は、体勢を崩してよろめきながら地上に落ちていく。その声色には仮面でも隠しきれない悔しさと、譲れないものを貫いた勇士への勝算が含まれていた――。
大成功
🔵🔵🔵
文月・統哉
亡き友を思うその気持ち、分からなくはない
俺も大切な親友を失ったから
でも、それでも、世界を破滅に導く行為を実行させる訳にはいかないから
倒しに行く、全力で
先制攻撃を如何に凌ぎ切るかが重要だ
放たれた竜巻の軌道を[見切り]
[ダッシュ]で逃げながら
風の[属性攻撃]をぶつけて軌道を逸らし、直撃を回避する
凄まじい勢いだろうが、倒れず凌げれば十分だ
反撃に転じるべく『絶望の福音』のUCを発動させる
どれだけ速さがあろうとも、その到達点が分かれば問題ない
10秒先に彼女が飛び込む空間に
視認し難いワイヤー武器を[罠使い]で展開する
ワイヤーは静止していようとも
飛び込む速さが超スピードであればこそ
ダメージも大きくなるだろう
「亡き友を思うその気持ち、分からなくはない。俺も大切な親友を失ったから」
オブリビオンとなり、11の怪物と融合してもまだ友を蘇らせたいと願うのなら、その友情は紛れもない本心だろう。
かつて災魔と化した親友を倒した時、文月・統哉(着ぐるみ探偵・f08510)は辛くとも後悔はしないと決めた。だから同じ選択をすることは無いが、想いの強さは理解できる。
「でも、それでも、世界を破滅に導く行為を実行させる訳にはいかないから」
ここで彼女の野望を見過ごせば猟兵達は放逐され、エンドブレイカーの世界はエリクシルに支配されることになる。
どんなに純粋な願いであろうとも、無数の犠牲によって成り立つのなら、それを阻止するのが猟兵としての使命だ。
「倒しに行く、全力で」
「誰にも、邪魔は、させないッ!」
決意を固める統哉と同様、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』も退く気はない。障害は全て自らのスピードで振り切るまでと、驚異的な加速で都市国家を翔ける。その手に携えた「嗤う剣ダイアモード」を振るえば、激しい竜巻が戦場に吹き荒れた。
(先制攻撃を如何に凌ぎ切るかが重要だ)
この【ゼファー・タイフーン】に巻き込まれぬよう、統哉は軌道を予測して回避行動を取りながら風の魔法を放つ。
魔法学園仕込みの風撃をぶつけられた竜巻は軌道を逸らすが、それだけで勢いは止まらない。またこちらに向かってくる前に、ダッシュでその場を退避する。
(凄まじい勢いだろうが、倒れず凌げれば十分だ)
躱しきれなかった風圧が刃のように統哉を切り裂き、衝撃は体の芯まで響く。スピードを威力に転換したウインドゼファーの攻撃は、思ったとおり簡単に防ぎきれるようなものではなかった。それでも、まだ彼の脚は繋がっているし、戦意は欠片も衰えていない。
「ここからが反撃だ」
先制攻撃に耐えきった統哉が発動するのは【絶望の福音】。10秒先の未来を予測し、危機を回避するためのユーベルコードだが――応用すれば攻撃にも使える。こと五感ではとても動きを捉えられないような敵を相手にする場合には。
(どれだけ速さがあろうとも、その到達点が分かれば問題ない)
なおも襲い掛かる竜巻から逃げるふりをしながら、統哉は「クロネコワイヤー」を展開する。【絶望の福音】で見た10秒先の未来で、ウインドゼファーが飛び込む空間に罠を張るのだ。このワイヤーは頑丈かつ軽量で、なおかつ視認し辛い点がこの作戦にうってつけだった。
「逃しません
……!!」
なかなか獲物を仕留めきれずに業を煮やしたか、ウインドゼファーが自ら剣を構えて飛び込んでくる。まさに統哉が見た通りのコースで。本来なら彼女の全速力はそのまま標的を真っ二つにするはずだったが――その未来は変わった。
「ワイヤーは静止していようとも、飛び込む速さが超スピードであればこそ、ダメージも大きくなるだろう」
「なッ、しまった……ぐあッ
!!!!」
自分自身のスピードが仇となって、ワイヤートラップに衝突したウインドゼファーは深々とその身を切り裂かれる。
速さと引き換えに防御を捨てた彼女には、今ので相当の痛手だろう。会心の一撃を食らわせた統哉の表情に油断はなく、即座にワイヤーを回収すると次の罠を仕掛けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
…ウィンドゼファー
おれはあんたがあの世界より前どんな戦いをしていたかは知らない
だけど…それでもおれはあんたが凄い人だって事は知っているよ
ラビットバニーも…エイプモンキーも物凄い強敵だった
あんたの願いはきっと悪ではない…それでも戦わないといけないって…辛いなぁ
対先制
【戦闘知識・オーラ防御・武器受け・残像・空中戦】
オーラを広範囲に展開し攻撃を察知
太刀と剣で最小の動きで受け流す
致命だけは避ける!
現時点で速さじゃ勝てないからな!
【二回攻撃・切断・早業・串刺し・重量攻撃・属性攻撃・弾幕・空中戦】
UC発動
迅雷同時発動
超高速戦闘開始
ガンドライド
ドリルビット展開
重力弾の弾幕を展開し
位置を限定して連続斬撃!!
「……ウィンドゼファー。おれはあんたがあの世界より前どんな戦いをしていたかは知らない」
キマイラフューチャーの命運を賭けた戦いで、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は怪人幹部だった頃のウインドゼファーと戦った。聞くところによれば前世はエンドブレイカー世界の人間であり、かつてはマスカレイドと
万能宝石を巡る壮絶な戦いを繰り広げたというが――それは彼女の知る事ではない。
「だけど……それでもおれはあんたが凄い人だって事は知っているよ。ラビットバニーも……エイプモンキーも物凄い強敵だった」
猟兵としては倒さなければならぬ敵だったが、彼ら三幹部の間には友情と絆があったのだろう。エリクシルとの融合により一人だけ復活したウインドゼファーが、他二人の蘇生も望むほどに。それはエゴかもしれないが、友を想う気持ちだけは純粋だった。
「あんたの願いはきっと悪ではない……それでも戦わないといけないって……辛いなぁ」
「ですが、黙って見ている気はないのでしょう。なら道は決まっています」
割り切れない感情を胸に抱えながらも、ここに来た以上テラの覚悟は決まっている。そして『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』も自らの願いを阻む者に容赦はしない。怪人時代からさらに磨きのかかったスピードを武器にして、真っ向から勝負を挑んでくる。
「私は私のエゴでこの世界を壊す。誰にも、邪魔は、させないッ!」
意志と願望の強さに応えるエリクシルの輝きが、戦闘能力をさらに向上させる。この【アクセラレイト・デザイア】状態の彼女の先制攻撃は、下手に直撃すれば一撃で戦闘不能だ。かつてのウインドゼファーを知るテラの額に、一筋の冷や汗がつたう。
「致命だけは避ける! 現時点で速さじゃ勝てないからな!」
テラはオーラをレーダーのように広範囲に展開して、攻撃を察知すると「錆鞘之太刀」と星刃剣「グランディア」を構える。あのスピードをまともに避けるのは至難の業だ――だったら最小限の動きで、攻撃を受け流すのに集中する。
「……っ!」
彼女もバトルオブフラワーズの頃より確実に強くなっている。敵の衝突に対して弾かれるように空中に飛び上がり、衝撃とダメージを逃がす。それでも武器を握る手がビリビリと痺れたが、なんとか最初の一撃をいなすことはできた。
「グランディアよ……全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ……! グラビティフィールド……展開!」
追撃が来る前にテラは【モード・グランディア】を発動。闘争心をふり絞って星刃剣に秘められた魔力を引き出し、全身を超重力フィールドで覆う。さらに【重力闘法『迅雷』】の同時発動によって自身の重力を制御すれば、ウインドゼファーに勝れずとも追随できるスピードが手に入る。
「星よ……大地よ……その力を我が身に示せっ……!」
「来ますか……受けて立ちます!」
重力と疾風をまとった二人による、何者も入る暇もない超高速戦闘。どちらも心の強さで戦闘力を高めているため、容易に優劣はつかない。かたや友を蘇らせるため、かたやこの世界を護るため――譲れない想いが空に火花を散らす。
「ガンドライド、ドリルビット展開!」
「くっ……!」
均衡を動かしたのは、テラの展開した自律浮遊砲台「ガンドライド」と、ドリルビット「エンプーサ&モルモー」の援護攻撃だった。四方八方から飛来するビットと重力弾の弾幕が、ウインドゼファーの機動を制限し位置を限定する。
「そこだっ!」
「ぐ、あっ
……!!」
間髪入れずに放たれた二刀流の連続斬撃は、ついにウインドゼファーを捉える。速度に特化したぶん脆くなっていた装甲を、星の宝剣と無銘の太刀はやすやすと切り裂き。刀身より伝わってくる鈍い手応えに、テラは思わず顔をしかめながらも、力は緩めなかった――。
大成功
🔵🔵🔵

戒道・蔵乃祐
形勢は既に決し、11の怪物が勝利する可能性は潰えました
しかし、それでも
貴女が望みを諦める理由にはなり得ないのでしょう
嘗ての革命聖女は
虐げられる者達の願望を代弁する生きた旗印であり、圧政に反抗する象徴そのものであったと聞きました
エリクシルがひとつの願いを歪め、数多の人々に災禍を齎す謂れの無い暴虐だとしても
生まれ変わった今の貴女は、其れを理解した上で尚
決して躊躇う事はない
その荒ぶる戈を止める
それが我々の役目なのでしょう
◆熱力学第一法則
その執念が、付け入る隙になる
金丹仙薬のドーピング+限界突破
無限の再生力での武器受け+激痛耐性
心眼+見切りで結界に誘い込み、諸共に焼却する念動力
自身は火炎耐性で食い縛る
「形勢は既に決し、11の怪物が勝利する可能性は潰えました」
このエンドブレイカー世界各地で起きていた戦闘は終息に向かい、各方面で猟兵勝利の報告が上がっているのを戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は知っていた。11の怪物の計画だった『大地母神暗殺』が成功する可能性は極めて低い。それはつまり、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』個人の目的も果たせないことを意味していた。
「しかし、それでも。貴女が望みを諦める理由にはなり得ないのでしょう」
「当然です」
蔵乃祐の問いかけにウインドゼファーは即答した。たとえ一縷の望みであっても、この世界に残されたエリクシルをかき集めてでも、彼女は友を蘇らそうとするだろう。そのために生じる犠牲など顧みもせずに。かつての自分が救おうとした人々が死ぬことになったとしても。
「嘗ての革命聖女は、虐げられる者達の願望を代弁する生きた旗印であり、圧政に反抗する象徴そのものであったと聞きました」
ラッドシティの『革命聖女ゼファー』と言えば、かつては名の知れた英雄の一人だった。疾風のごとく戦場に現れ、弱き者を助ける革命の乙女。現在のウインドゼファーにも前世の記憶は残っているようだが――姿形だけではなく、心すらも当時とはまるで別人と化している。
「エリクシルがひとつの願いを歪め、数多の人々に災禍を齎す謂れの無い暴虐だとしても。生まれ変わった今の貴女は、其れを理解した上で尚、決して躊躇う事はない」
「ええ」
かつてマスカレイドと化した際に用いた『嗤う剣ダイアモード』を再び構え、ウインドゼファーは疾風を身に纏う。
もはや言葉で説得できる段階はとうに過ぎている。ならば猟兵として蔵乃祐がここで為すべき使命は一つしか無い。
「その荒ぶる戈を止める。それが我々の役目なのでしょう」
「止められはしません。絶対に!」
ウインドゼファーがダイアモードを振るうと、生じた衝撃波がスピード怪人の能力で加速され、神速の一撃となる。
この先制攻撃を通常の装甲で防ぐことは不可能だ。まるで彼女の決意と執念を具現化したように、【嘲笑せし斬風】はあらゆる障害を突破する。
(その執念が、付け入る隙になる)
蔵乃祐は事前に「金丹仙薬」を飲み、肉体の限界を超えて限定的な不老不死に到っていた。一時的とはいえ無限に等しい再生力を得た彼は、嘲笑せし斬風を真っ向から受け止める。切り裂かれ肉が削げ血飛沫が吹き出しても、その体躯は一歩も後ろに下がらない。
「今の一撃を耐えますか……なら、何度でも!」
完全な不死など存在しない。再生を上回るスピードで切り刻むまでだと、ウインドゼファーは追撃を仕掛けてくる。
だが、そう来ることは蔵乃祐の想定通りでもあった。あの速度にまともに追いつける手段が存在しない以上、敵から来てもらうしかない。心眼をもって行動を予測し、こちらの攻撃ポイントに誘い込むのだ。
「来ましたね」
「なっ、これは……!」
ウインドゼファーが蔵乃祐と肉薄したその地点には、すでに【熱力学第一法則】を発動する結界術が張られていた。
術者もろとも敵を内部に閉じ込めた結界は、地獄の業火が如き念動力の熱を発する。範囲内の全てを焼却するまで、この術が解けることはない。
「地獄では蛆が尽きることも、火が消えることもない」
「ッ、まだ、私は死ぬ訳には……ッ!!!」
もともと食いしばる覚悟を決めて火炎耐性も備えている蔵乃祐と違って、速度に特化したウインドゼファーは脆い。
結界の出口を探す間にも、地獄の火はあっという間に彼女の身体を焼き焦がしていき――己が未練と執着で火達磨になりながら駆けずり回るその姿は、業深き咎人にふさわしき有様だった。
大成功
🔵🔵🔵

アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士
属性攻撃…刹那の無限回転発動
錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾と結界術を展開する特殊弾を錬成
罠使い…蟲達に利用してワイヤートラップを展開
蟲使い…迷彩蟲を呼び出しワイヤートラップを展開
迷彩…蟲に展開
クイックドロウ…弾丸を素早く放つ
…今よ
こっそりと迷彩蟲を呼び出しとあるポイントにワイヤートラップを仕掛ける為に放つ
新錬金術よ!
敵の先制攻撃に対しては特殊弾を素早く放ち竜巻の前に結界術が展開して瞬間に錬成弾を放ち攻撃を相殺する
敵が足止めされている間に例のポイントに誘い出し敵がワイヤーに切り裂かれて一瞬動きが止まる
私の…新技よ!
指定UCの効果で原子回忌帰・アテルマディナを発動し指定UCで攻撃

東・慶喜
チーム錬金術士
属性攻撃…刹那の無限回転発動
結界術…普通は間に合わないだろうけど無いよりマシ
薬品調合と錬金術…電撃と爆撃の特殊弾を調合する
視力…敵の位置を把握する為にしっかりと見る
推力移動…自身に乗るバイクに付与する
作戦は分かったで…時間稼ぎをすればええんやな?
アルマにヘルメットを渡し俺も装着した
その後二人乗りのバイクに乗ってとあるポイントへ向かう
くそ!速い!
敵のUCに対してはアルマより先に特殊弾を放つが回避されるがアルマの特殊弾はヒットした
行け!ドライライオット!
とあるポイントに誘い出して敵の動きが一瞬止まると同時に刹那の無限回転をかけた銃から弾丸を放ちドライライオットを呼び出し敵を殴り飛した
「作戦は分かったで……時間稼ぎをすればええんやな?」
「ええ。準備ができれば何とかしてみせるわ」
11の怪物きっての超スピードを誇る『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』に勝つために、東・慶喜(無能の錬金術士の相棒・f40772)とアルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)は作戦を練っていた。まともに戦えば攻撃を当てることも避けることも困難な強敵だが、アルマにはどうやら秘策があるらしい。
「よっしゃ、やったるわ!」
時間稼ぎ役を請け負った慶喜はアルマにヘルメットを渡し、自分も装着すると二人乗りの黒いロードバイクに跨る。
いつだって彼女は自信にあふれているが、決して不可能なことは口にしない。勝算があると言うのなら、一秒でも長く時間を稼いでみせよう。
「何人で来ようとも……誰にも、邪魔は、させないッ!」
二人の接近に気付いたウインドゼファーは【ゼファー・タイフーン】を発動。都市国家内を自在に飛び回りながら、嗤う剣ダイアモードより超高速の竜巻を放つ。どんな作戦を立てたにせよ、まずはこの先制攻撃を凌がなければ仲良くあの世行きだ。
「くそ! 速い!」
慶喜は片手でバイクのハンドルを操りつつ、事前に調合してきた特殊弾を錬成銃「テスタロッサ」から放つが、敵を掠めもしない。当たれば電撃と爆撃を発生させる代物だが、当たらなければなんの意味もない。その間にも竜巻は勢いを増して二人の元に迫っていた。
「新錬金術よ!」
その時、座席後部から身を乗り出したアルマが錬成刃銃『ディアブロ』のトリガーを二度引く。放たれるのはこちらも本人が錬金術で作った特殊弾であり、刹那の無限回転をかけて強化してある。一発目は結界を展開して竜巻の進路を阻み、ニ発目は凍結とマヒの作用で風の勢いを相殺する。
「なかなかやりますね……ですが!」
初手を凌がれはしたものの、ウインドゼファー本人のスピードは止まらない。「ヒャヒャヒャ!」と嗤う剣を振りかざして暴風と斬撃波を操り、容赦のない追撃を仕掛けてくる。一瞬でも足を止めたら一巻の終わりだと、慶喜はバイクのギアを上げた。
「こりゃ時間稼ぎするのも一苦労や……!」
推力を強化したバイクの機動性能と、無いよりはマシ程度の気持ちで張った結界を頼りに、慶喜はウインドゼファーの攻撃を避けつつ牽制射撃を行う。傍目には闇雲に逃げ回っているように見えるが、実際のところ彼には明確な目的地があった。
「……今よ」
彼が時間を稼いでいる間に、アルマはこっそりと迷彩蟲を呼び出し、とあるポイントにワイヤートラップを仕掛けさせる。ここに敵を誘導するのが彼女達の作戦だ。普通にやっても攻撃が当たらないのなら、何とかして相手の動きが止まる瞬間を作るしかない。
「逃げ切れると思いますか!」
様々な特性を秘めた錬金弾のせいで多少足止めされたものの、それを吹き散らしたウインドゼファーはさらに速度を上げて標的を追いかける。開いていた距離もあっという間に縮まり、再度の【ゼファー・タイフーン】によって二人が吹き飛ばされるのも目前か、と思われたその時――。
「っ?! これは……!」
「かかったな!」「かかったわね!」
蟲の張ったワイヤーに切り裂かれ、ウインドゼファーはつんのめるように動きを止める。間一髪ではあったものの、目的のポイントまで敵を誘い出した慶喜とアルマは笑みを浮かべ、この一瞬のチャンスを逃すまいと反撃に転じた。
「行け! ドライライオット!」
慶喜の呼び声に応えて現れたのは、氷と雷を纏った巨大な鎧姿の魔神――その名を【凍結魔神ドライライオット】。
彼は慶喜の放った刹那の無限回転弾の軌道に合わせてウインドゼファーに襲いかかり、次元と因果を越える連撃を叩きつけた。
「が、は……ッ!!!」
自慢のスピードを殺されたウインドゼファーには、防御力の低さという弱点だけが残る。強烈な拳に殴り飛ばされた彼女は、血反吐を吐きながら体勢を立て直そうとするが、それより先にもう一人、攻撃態勢に入っている猟兵がいる。
「私の……新技よ!」
【原子回忌帰・骸海龍アテルマディナ】の力と合体し、骸海龍へと変身を遂げたアルマが、新たなるユーベルコード【骸海龍奥義・影龍乱舞】を発動する。高らかなる宣言と共に彼女の影より出現したのは、一頭の巨大な龍。その爪はひと振りで神速の域に達し、運命を破壊し、概念さえ引き裂く、無双の一撃。
「そん、な……がはぁッ!!!」
回避のためのスピードを取り戻す暇もなく、影龍龍乱舞を受けたウインドゼファーの身体は地面に叩きつけられる。
衝撃によって陥没した地面に、流れた血が染みていく。友を生き返らせんとする執念に止まる気配はなくとも、その生命と肉体には終焉の時がじりじりと迫りつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
佐伯・晶
これも再生怪人っていうのかなぁ
友のためって響きだけなら
悪い話でも無いんだけど
オブビリオンだからどうしようもないね
阻止させて貰うよ
まずは先制攻撃をどうにかしないと
竜巻の速度まで超スピードではないだろうから
距離をとって回避しよう
ワイヤーガンや空中浮遊等
使えるものは利用しよう
視界外から放たれても音がするから
全く気付かない事は無いと思うよ
飛んでくる瓦礫とかは神気で防御
直接攻撃してくるなら神気に突っ込む事になるから
そのまま攻撃できるしね
初撃を凌いだら静寂領域を使用
超スピードで避けるなら
戦場を神気で覆ってしまおう
逃げる場所を無くせば
避けようが無くなるからね
彫像化の状態異常なら
移動を妨害できるし一石二鳥だね
「これも再生怪人っていうのかなぁ」
かつてヒーローに倒された怪人が、パワーアップして再び現れる。特撮番組などではよくあるシチュエーションだ。
そういうのは大概肩書きの割にあっさり倒されたりするものだが、今目の前にいる『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』もそうとは限らないと、佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はもちろん承知していた。
「友のためって響きだけなら悪い話でも無いんだけど、オブビリオンだからどうしようもないね。阻止させて貰うよ」
「どんな存在に成り果てようと、私は必ずあの二人を蘇らせる……誰にも、邪魔は、させないッ!」
友情で世界を破滅させようとする悪の怪人にきっぱりと晶が告げると、ウインドゼファーも徹底抗戦の構えを取る。
理解など端から求めてはいない、それがエゴだということは分かっている。それでも、もう止まれないのだと言わんばかりに、復活のスピード怪人は吼えた。
(まずは先制攻撃をどうにかしないと)
全てを賭けた超スピードに到達したウインドゼファーから、先手を取ることは不可能。敵の手にある「嗤う剣ダイアモード」から【ゼファー・タイフーン】が放たれるのを見ると、彼女は明後日の方角にワイヤーガンの銃口を向けた。
(竜巻の速度まで超スピードではないだろうから、距離をとって回避しよう)
射出されたフック付きワイヤーが壁に引っかかると、巻き取りの力を利用して晶は竜巻から緊急退避。複雑に入り組んだ都市国家の構造と、彼女のワイヤーアクションは相性が良さそうだ。もっとも敵にとって都市国家は慣れ親しんだ庭のようなもの、超スピードで移動しながら一度も衝突を起こしていない点からも油断はできない。
「逃しませんッ!」
ウインドゼファーはなおも勢いを増す竜巻を操って、遠ざかる標的に追撃をかける。晶もワイヤーに加えて邪神の力を使った空中浮遊など、使えるものはなんでも利用して回避を続ける。スピードで視界外に回り込まれても風の音がするので、まったく気付かない事はないのが幸いだ。
「逃げるつもりはないよ」
竜巻に巻き上げられた瓦礫が飛んできても、晶は落ち着いて神気でガードする。彼女と融合した邪神は"停滞"を司る存在であり、そのオーラに触れた物は生物・非生物問わず動きが鈍る。もし敵が直接攻撃しようと突っ込んでくれば、防御と同時に攻撃もこなせるわけだ――敵もそれを知ってか知らずか、下手に攻め切れないでいる。
「さあ、優しい微睡みにご招待するよ」
初撃を凌ぎきって敵の攻勢が鈍ったところで、晶は【静寂領域】を発動。身に纏ったオーラを周囲に広げるように、戦場を神気で覆ってしまう。その瞬間、あれだけ煩かった風の音は遠ざかり、冷たささえ感じるような静謐が満ちる。
「逃げる場所を無くせば、避けようが無くなるからね」
「こ、これは……ッ?!」
超スピードで避けられるのなら、戦場全体を巻き込んでしまえばいい――今、この場所は神域と同じ環境と化した。
森羅万象に停滞をもたらす神気を浴びせられ、ウインドゼファーの体は四肢の末端から彫像のように固まっていく。
「彫像化の状態異常なら、移動を妨害できるし一石二鳥だね」
「ッ……まずい!」
異常が進行する前にウインドゼファーは術者を仕留めようとするが、神域の中でその主を弑するのは容易ではない。
大幅に減速した怪人とは対照的に変わらぬ機敏さで、晶は猛追を躱しながら神気を振りまく。防御を捨てたことで状態異常への耐性も下がっていたのか、肉体の彫像化は恐ろしいほどの深度で進みつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵

桃枝・重吾
アドリブ絡み歓迎
◼️心情(素は緩い口調、普段人前では社会人なのでしっかり目)
んー、
人生いろいろだからね~
昔大事なものでももっと大事なものが出来るとかは良くあるけどね、
昔の大事はわからないかもだけど、止めないとね
◼️カーチェイス
先制攻撃はスパロボ(スペースデコトラ星降丸はスパロボですが、デコトラです)の頑丈さで耐える。
星降耐えて!
後は、UCで星降のナビで普通に運転!
お届け物はゼファーさんに終わりを。
壁や宙や町中なんて普段から宇宙を駆ける星降にはただの公道と同じこと!
後はひたすら速度をあげつつ、そのうち追い付く(重吾はいつも普通に走行して宇宙速度に到達しますが町中の安全を考え急加速は控えています)
「んー、人生いろいろだからね~」
一生の内にもヒトは様々な体験をする。ましてそれが何生分ともなれば大きな変化もあるだろうと桃枝・重吾(
スペースデコトラ使いXL・f14213)は思う。今目の前にいる『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は、きっと生前や前世とはもう別物で、守りたいものが変わってしまったのだろう。
「昔大事なものでももっと大事なものが出来るとかは良くあるけどね、昔の大事はわからないかもだけど、止めないとね」
個人的な恨みがある訳ではないが、この世界には沢山の誰かの「いつも」がある。そいつを支えて守るのが彼の仕事だ。もはや彼女にとって大事でなくなってしまったものを、縁はなくとも代わりに救おう。穏やかな佇まいのまま、男は静かにハンドルを握った。
「あの車両は……ただのトラックではなさそうですね」
重吾が操縦するスペースデコトラ『星降丸』が近付いてくるのを確認すると、ウインドゼファーは即座に加速を再開した。どんな障害がやって来ようと、すべて己のスピードで突破する。誰にも邪魔はさせないという強い意志が、彼女をさらなる速度の世界に連れて行く。
『ギャハハハ! 面白くなってきたぜえ!』
その手に携えられた『嗤う剣ダイアモード』が哄笑すると、刃から激しい竜巻が吹き荒れる。まるで本体に追随するかのように勢いを増し続ける【ゼファー・タイフーン】だ。ただのデコトラではまともな走行はおろか、吹き飛ばされずにいる事さえ困難だ。
「星降耐えて!」
しかしウインドゼファーも予想した通り、重吾のデコトラはただのデコトラではなかった。貴方の荷物を安心安全何処へでもをモットーに、宇宙を駆けるデコトラ型後方支援兼輸送機コアユニット。未開宙域の宇宙嵐すら耐え抜く車体が、竜巻程度で壊せるものか。
(後は、普通に運転!)
重吾がやっているのは戦闘ではない。デコトラに搭載されたAI「星降丸」のナビにそって、いつものように「操縦」と「運送」をするだけだ。進路上にどんな障害があろうと、どんな攻撃を受けようと、【スペースデコトラ運転手は止まる気が無い模様だ】。走行に没頭中、かのデコトラは外部からの攻撃を一切遮断し生命維持を保障する。
「壁や宙や町中なんて、普段から宇宙を駆ける星降にはただの公道と同じこと!」
複雑に入り組んだ都市国家の領域を、デカくてハデなデコトラで走行するなんて普通は不可能だ。そう、普通なら。
まさに宇宙的、としか言いようのない別次元のドラテクと車両性能で、事故らないのがおかしいような機動をして、減速するどころかスピードを増していく。
「止まらない……止められない?!」
その加速は徐々にだがウインドゼファーのスピードに迫りつつある。彼女がぶつける竜巻の向かい風も妨害になり得ていないのだ。寧ろ、これでも重吾は加減しているくらいである――いつもなら普通に走行して宇宙速度に到達するところを、町中の安全を考えて急加速は控えているのだから。
「お届け物だよ、ゼファーさん」
重吾が届けるのは、幾度もの生と死を経た人間に捧げる「終わり」。ウインドゼファーという目的地に向かって爆走を続けたデコトラは、やがて相手のスピードに追いつき、追い越し、ノーブレーキの末路として当然の結末を迎える。
「がッ
……!!!!」
至極シンプルな速度と質量による暴力。跳ね飛ばされたウインドゼファーの身体は軽々と宙を舞い、都市国家の天井に叩きつけられた。スピードと引き換えに防御力を捨てていた彼女にこれは痛かろう。その苦しみが長くは続かないことを祈って、重吾はデコトラと共に駆け抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵

リュカシオン・カーネーション
やべぇな…この速さ!
❛ヤバいのだわ!ヤバいのだわ!反撃出来ないのだわ!❜
『シオンさん!防御を固めましょう!』
シエルが焦っており、アロナちゃんが敵の速さに対して対策を考えてくれた
まずは駄目元で攻撃だ!
しっかり敵を見ながらクイックドロウの要領でアズリエルから斬撃波を放ち敵に攻撃するのが回避されるのと同時に推力移動で敵に近づいてオーラ防御で防御する
隙あり!
『行きますよ!』
オーラ防御で敵が一瞬止まった隙にウチが衝撃波を敵に叩き込みアロナちゃんが炎と水と風の魔法を敵にぶつけて攻撃
❛行くのだわ!シオン!❜
おっしゃ!行くぜ!反魂輪廻の槍!
シエルが合図をしてUCを発動し敵に神罰を纏った虹炎の槍を投げて敵に追撃
「やべぇな……この速さ!」
キマイラフューチャーの怪人と11の怪物が合体した『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』。そのスピードはリュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)の想像を超えていた。縦横無尽に都市国家を駆け回る相手を必死に目で追って、吹き荒ぶ風に吹き飛ばされないようにするので精一杯だ。
『ヤバいのだわ! ヤバいのだわ! 反撃出来ないのだわ!』
『シオンさん! 防御を固めましょう!』
同行する「虹炎神アルカンシエル」も焦っており、「精霊王アロナフィナ」は対策を考える。あれほどの速さを実現するためには、防御力を相当犠牲にしているはず。だから一撃でも当てられれば勝算はあるのだが――その一撃を当てるビジョンが、果てしなく遠く感じる。
「まずは駄目元で攻撃だ!」
リュカシオンは暴風のなかで「天災邪神鎌龍アズリエル」を振りかぶり、クイックドロウの要領で斬撃波を飛ばす。
だが本人にも分かっているだろう、こんな攻撃では捉えられないと。【アクセラレイト・デザイア】を発動したウインドゼファーのスピードは、意志の強さに比例してさらに高まっている。
「どこを狙っているのですか……!」
「だったら!」
斬撃波を回避させるのと同時に、リュカシオンは魔力を推進力に変えて前に飛び出す。ウインドゼファーの速度には及ばないが、回避後の機動を読んで距離を詰めることはできた。遠距離攻撃が当たらないなら接近戦しかない――当然ではあるが危険な勝負だ。
「なら、この手で斬り捨てるまで!」
『ヒャヒャヒャ!』
ウインドゼファーの『嗤う剣ダイアモード』が、耳障りな笑い声とともに振り下ろされる。エリクシルの輝きを帯びた斬撃は回避不可能のスピードに到達しており、リュカシオンに残された選択肢は防御しかない。身に纏う「虹神炎覇気」のオーラを全て防御に使って、全力で耐える。
「ぐっ……!」
速度とはすなわち威力でもあり、何者をも突破する暴力である。どうにか歯を食いしばって耐えたリュカシオンではあったが、その身体にはオーラを抜けてきた斬傷が刻まれている。分かっていてもヤバいと改めて実感する――だが、それでもここで耐えることに意味はあった。
「隙あり!」
「な……ッ!!」
攻撃を防がれたことで敵が止まった一瞬の隙に、リュカシオンは衝撃波を放つ。至近距離から叩き込まれた攻撃なら超スピードでも避けきれまい。驚きの声とともにウインドゼファーが吹き飛ばされた直後、待機していたメンバーが追撃を開始する。
『行きますよ!』
「くっ、次から次へ……!」
精霊王たるアロナフィナが操るのは炎と水と風。三種の属性の魔法が敵を攻め立て、体勢を立て直す暇を与えない。
ウインドゼファーが必死に逃げている間に、リュカシオンは前線から後退し、アルカンシエルとの合流を果たした。
『行くのだわ! シオン!』
「おっしゃ! 行くぜ! 反魂輪廻の槍!」
アルカンシエルの合図で発動するユーベルコードの名は、【虹炎の神・レーヴ・アルカンシエル"反魂輪廻の槍"】。
あらゆる耐性や無敵を剥奪し、反射も吸収も許さない、神罰の力を纏った虹炎の槍が、11の怪物に投げ放たれる。
「ッ――
……!!!!」
アロナフィナの魔法により追い詰められたウインドゼファーへと、反魂輪廻の槍はまっすぐに突き刺さり。分解と再成を司る神炎の権能をもって、魂すらも焼き尽くさんとする。三者の連携によって成し遂げられたこの一撃に、敵は言葉にならない悲鳴を上げ――戦いの終わりが迫る、確かな手応えを一同は感じていた。
大成功
🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
スカイダンサーの本場、キマイラフューチャーでの戦争じゃタイミングが合わなかったからね
そういう意味では僥倖かな。最速対決、望むところだ!
情報の処理能力に判断力、対応力。
速度にも色々ある
《第六感》の直感と《戦闘知識》の理論を併用し《見切り》先読み、
《ダンス+空中戦》技術を活かし攻撃を躱すよ
竜巻からは距離を取り《オーラ防御》纏って影響を《受け流し》対処
【天災輪舞】とオーバーロード併用し加速
蒼雷に装備[第六神権]の空間破壊能力も重ね宿した羽の
《神罰+属性攻撃+追跡+誘導弾+制圧射撃+蹂躙+弾幕》
逃げ場を奪う包囲弾幕で攻め立てる
接近戦にも《早業+怪力》、ダガーの変じた大剣と体術で対応するよ
散らした雷羽は《ハッキング+竜脈使い》の要領で
《目立たない》よう《魔力溜め+エネルギー充填》する決着の布石
機が熟せば《封印を解く》事で力を《
略奪》し速度の《限界突破》
大剣の一閃を叩き込む
どんな事情があれオブリビオンは世界の敵として歪められた過去の亡霊だ
冥途の土産話が出来たならお帰り願おう…!
「スカイダンサーの本場、キマイラフューチャーでの戦争じゃタイミングが合わなかったからね」
惑星がまっぷたつに割れる大事件からはや余念。11の怪物として復活を遂げたスピード怪人「ウインドゼファー」を見て、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は笑みを浮かべる。交戦経験はないものの、怪人幹部だった頃の彼女の強さは他の猟兵からも伝え聞いている。
「そういう意味では僥倖かな。最速対決、望むところだ!」
「いいでしょう……ですが、勝つのは私です!」
スピードに関してはカタリナも少々自信がある。そして勝負を挑まれては『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』にもプライドがある。全ての守りを捨てて到達した超スピード、追いつけるものならやってみせるがいいと、全速力で襲い掛かってきた。
(情報の処理能力に判断力、対応力。
速度にも色々ある)
純粋な物理的速度においては、流石にウインドゼファーに対抗するのは難しいだろう。カタリナの持ち味は第六感の直感と戦闘知識の理論を併用した、思考と先読みの速さだ。これを最大限駆使して相手が動きだす前に行動を見切り、回避を行うのだ。
「反応速度なら、アタシのほうが上だ!」
「ほう……なかなか、やりますね!」
煌めく双翼で空を舞い、ダンス技術を活かした身のこなしで『嗤う剣ダイアモード』の斬撃を躱す。同時に放たれる【ゼファー・タイフーン】は、勢いに呑まれる前に距離を取って対処する。予め風除けのオーラを纏っていたお陰で、風圧の影響は最小限に抑えられていた。
「ふ、ふふ、あはははははっ! さぁ、最っ高のパフォーマンスで魅せてあげるよ!」
荒々しい風を感じるうちに気分も昂ぶってきたカタリナは、【天災輪舞】とオーバーロードの併用により加速する。
真の姿を顕した彼女を神殺しの蒼雷が包み、移動速度を大幅に強化。さらに蒼雷を纏った翼は「第六神権」の空間破壊能力と重なって、触れたものを焼き焦がす羽の散弾を放射する。
「面白い……!」
降りしきる羽弾幕の狙いが、こちらの逃げ場を奪うことだと察したウインドゼファーは、包囲される前に接近する道を選んだ。颶風を巻き起こしながら目にも止まらぬスピードで間合いを詰め、嗤う剣による白兵戦を挑む。カタリナも魔神の権能でダガーを大剣に変化させ、これに応じる構えを取った。
「負けられない
理由が、私にはあるのです!」
「それは、こっちも同じ事さ!」
烈風を帯びた斬撃を振るうウインドゼファーに、剣技と体術の複合で受けるカタリナ。激しく火花を散らしながら、両者ともスピードを落とす様子は一切ない。どちらかが足を止めた瞬間、この均衡が崩れると分かっているからこそ、譲る訳にはいかなかった。
「そろそろかな……いくよ!」
拮抗を破ったのはカタリナが撒いた布石。弾幕として散らした雷羽は、彼女達が攻防を繰り広げている間にも密かに都市国家の地脈から魔力を充填していた。機が熟せばその封印は一斉に解け、集めたエネルギーは本体に回収される。彼女はその全てを、自身の速度強化に充てた。
「なッ……まだ、速くなるとは?!」
限界を突破したカタリナの加速は、この瞬間だけウインドゼファーのスピードを超えた。驚愕を示す怪人の"前"を、ついに取った閃風の舞手。彼女は残された全ての魔力を大剣に込めて、刀身に蒼雷を纏わせながら大きく振りかぶる。
「どんな事情があれオブリビオンは世界の敵として歪められた過去の亡霊だ。冥途の土産話が出来たならお帰り願おう……!」
友の復活も、これ以上の暴挙も、許す訳にはいかない。断固たる意志のもと振り下ろされた一閃が、怪人を捉える。
スピード勝負のために限界まで防御を切り詰めた状態で、叩き込まれたその刃は深々と刺さる。それは確かに致命傷と言える手応えだった。
「モンキー……バニー……私は、まだ……」
真っ赤な血飛沫を撒き散らしながら、ウインドゼファーの身体は慣性に従って墜落していく。ひび割れた仮面の奥から紡がれるのは無念と執念の言葉。立ち上がる力などもう殆ど残ってはいないだろうが――彼奴の暴走を止めるには、もう一押しが必要なようだと、カタリナは構えを解かなかった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
今日の藍ちゃんくんはゼファーのお嬢さんに馴染み深い時代のキマフュがキマフュと呼ばれる前のファッションにゼファーさんやモンキーさん、バニーさんの要素を取り入れたお洋服なのでっす!
自信作なのでっすよー!
郷愁を感じてくださればそれでよっし。
大切な思い出に土足で踏み込まれたとお怒りならそれもまた良しなのでっす!
郷愁でも怒りでも、今この時お嬢さんが強く抱いてるのは邪魔はさせないという意志とは別の意思なのでっす。
その一瞬、お嬢さんの速度なら何千回と行動できたはずのその黄金の一瞬に、藍ちゃんくんもまた友情パワーなUC起動なのでっすよー!
今この時だけは藍ちゃんくんのほうが速いのでっす!
文明も、お嬢さん達が滅んで尚、遺り続けたもの。
なんかすごいもの、かっこいいもの、いかすものとしてキマイラさん達に受け継がれたもの!
それを文化とを呼ぶのでっす!
お嬢さんとモンキーさんとバニーさんと他にも様々な人類さん達が築き上げた時代と青春の結晶だからこそお嬢さんにも届く服となり歌となるのでっす!
「藍ちゃんくんでっすよー!」
今日も明るくハイテンションな名乗りで、都市国家『天翔回廊ヘイズワース』にやって来たのは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。普段から凝った女物の衣裳を着ている彼だが、本日のそれは一風変わっていた。
「……その服は……」
「今日の藍ちゃんくんはゼファーのお嬢さんに馴染み深い時代の、キマフュがキマフュと呼ばれる前のファッションにゼファーさんやモンキーさん、バニーさんの要素を取り入れたお洋服なのでっす!」
説明されるまでもなく、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』もすぐに気付いた。限られた情報から当時の服飾を再現し、さらに彼女が蘇らせたいと願う親友二人の意匠まで盛り込むのは骨だったろう。その上で纏まったデザインになっているのは、藍のセンスの賜物と言う他ない。
「自信作なのでっすよー!」
郷愁を感じてくださればそれでよし。大切な思い出に土足で踏み込まれたとお怒りならそれもまた良しと、藍は全てを覚悟の上でこのファッションを着てきた。ウインドゼファーの心を強く揺さぶることができるのなら、彼はどちらでも構わなかったのだ。
「嗚呼……この気持ちは……言葉にできそうに、ありません……!」
仮面のせいで表情こそ分からないが、藍の服装を見たウインドゼファーは激しい衝動に駆られていた。怒りや郷愁という簡単な表現では収まらない、ただ立ち止まってはいられないという強い想いが彼女を動かす。だが、それと同時に彼女が身に宿したエリクシルからは、輝きが失われつつあった。
(郷愁でも怒りでも、今この時お嬢さんが強く抱いてるのは邪魔はさせないという意志とは別の意思なのでっす)
ウインドゼファーの戦闘力を高める【アクセラレイト・デザイア】に必要なのは、誰にも邪魔させない強固な意志。
その意志を忘れた一瞬、ウインドゼファーの速度なら何千回と行動できたはずのその黄金の一瞬に、藍もまた友から受け取った力を使う。
「友情パワーなユーベルコード起動なのでっすよー!」
「なッ
……?!」
敵が繰り出した『嗤う剣ダイアモード』の斬撃は、藍を捉えることができなかった。幸福を運ぶ青い鳥の守護が彼の身を包み、スピードを飛躍的に高めて避けたのだ。一瞬であれ自分が標的の速度を"捉え損ねた"事実に、ウインドゼファーは驚きを隠せない。
「今この時だけは藍ちゃんくんのほうが速いのでっす!」
ウインドゼファーが「誰にも、邪魔は、させない」というエゴで自らを強化するなら、藍は音楽と文化を愛する思いの強さで強化する。それが【¡Aquí hay Ai!】の特性だった。彼が今回、多分に「文化的」な服装で戦場にやって来たもも、このユーベルコードの効果を最大限発揮するためである。
「文明も、お嬢さん達が滅んで尚、遺り続けたもの。なんかすごいもの、かっこいいもの、いかすものとしてキマイラさん達に受け継がれたもの! それを文化とを呼ぶのでっす!」
時代や種族すら超えた文化への愛情とリスペクトが、藍に空を翔ける力を与え、11の怪物にも負けない速度を生む。
ウインドゼファーが「馬鹿な……!」と信じられずにいても、事実として追いつけない。彼女が振るった剣は一度も届かず、ただ虚しい嗤い声を響かせるだけだった。
「なぜです……! なぜ、貴方のほうが速い……!」
全てを捨て、かつての故郷さえ踏みにじる覚悟をもって、誰にも追いつけないスピードを手に入れたはずだった。全ては友達を復活させる、ただひとつの願いのために。しかし今、ウインドゼファーよりも速く、そして華麗に戦場を翔ける者がいる。その理由がわからぬ彼女に、藍は高らかに答えた。
「お嬢さんとモンキーさんとバニーさんと他にも様々な人類さん達が築き上げた時代と青春の結晶だからこそ、お嬢さんにも届く服となり歌となるのでっす!」
在りし日の三怪人や滅びる前の人類が、このデザインにどんな想いを込めたのか。衣裳製作にあたって彼はできる限りその理解に努めたつもりだ。きっとその時代は、現代のキマイラフューチャーにも負けないくらい輝いていたはずだから――敬愛をもって、強く、高く、飛べる。
「望まれたなら、いつだってすぐ其処に!」
惜しみない敬意と愛情のままに歌い舞う藍の姿は、まさに「天翔回廊」という都市の名にふさわしく。都市国家全体がステージであるかのように、自由自在に飛び回る。そんな彼を追いかけるうちに、ウインドゼファーの心は揺れる。
「……かないません、ね。私達の、あの時代を、持ち出されてしまっては」
満身創痍の怪人にとどめを刺したのは、肉体ではなく精神に響く衝撃だった。嘆息と共に敗北を認めた途端に彼女は失速し、身体は崩壊を始める。限界を超えたスピードの果て、その先の届かなかったものを、眩しげに見つめながら。
「届きません、でしたか……残念です、モンキー、バニー……」
もう一度友に会いたい。ただ一つのエゴのために11の怪物さえ取り込んだ、ひとりの女が躯の海へと還っていく。
猟兵達の奮戦は、幾度の転生を経た『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』に引導を渡し、エンドブレイカーの戦いをまた1歩勝利に近づけたのであった。
大成功
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