エンドブレイカーの戦い⑱〜蒼天回帰
●第四節・再演
『11の怪物』の一柱『クサリク』は問う。
「グゴゴゴ……貴様は何者だ……そして、何処から現れた!」
その問いかけに『クサリク』に融合した何者かは答える。
「僕の名は『アウィン』。はじまりのエンドブレイカー・アウィン! お前を足止めする為、妻たちと共に蘇ったのです」
「馬鹿な……オブリビオンでもない者が、どうやって蘇り、我と融合したというのだ!? エンドブレイカーといえど、そんな力は無い筈だ!」
『11の怪物』、『クサリク』は驚愕し、今一度問う。
『クサリク』の言う通りであった。
生命の埒外たる猟兵。
その猟兵に目覚めたエンドブレイカーでさえ、そのような力は持ち合わせていなかった。だというのに、『アウィン』を名乗る存在はオブリビオンでもないのに蘇り、あまつさえは『11の怪物』に無理矢理融合を果たし、この大地を殺す大量の『エリクシル』の放出を留めてさえいるのだ。
あまりにも想定外の出来事に『クサリク』は動揺する。
あってはならないことだ。
おおよそ、理の範疇にはない。まるで理の埒外たる存在そのもの。
どう考えても、過去如何なる事例をひっくり返したとて、オブリビオンでもないものが蘇ることなどありえないはずだった。
なのに、何故。
その問いかけじみた言葉に『アウィン』は答える。
あの日、あの時、勇者『ラズワルド』に問いかけた幼き日のように。
「それを決めたのは、誰なのですか?」
その言葉こそがエンドブレイカーたる所以。
終焉を破壊する者。
定められた終焉さえも破壊して見せる者。故に、彼はエンドブレイカーの始祖であるのだ。
『クサリク』は気がついたのだ。
己の中に融合した存在の異常さを。
この存在こそ、己は最大に警戒しなければならなかった。
だが、理の外に居るものをどのようにして警戒すればよかったのだろうか。あまりにも理不尽。その存在を認識した瞬間に『クサリク』は敗北を決定づけられたのだ。
あまりのことに叫ぶ。
恐怖からか、それとも忌避からか。
何れにせよ、『クサリク』には叫ぶことしかできない。
「……理屈も道理も通らぬ化け物め! 貴様の|意志《ガッツ》を食らいつくし、消滅させてくれよう!」
「確かに僕にはお前を倒す力はない。あの日から依然、僕には『それ』がない」
「ならば、貴様はただ問題を先送りにしただけに過ぎない!」
「ええ、ですが、僕は成功しました。やり遂げたのです。此度もやり遂げるでしょう。何故なら」
『アウィン』は『クサリク』と融合を果たしながら、空に煌めく転移の光を見る。
それは猟兵たちの到来を知らせる輝きだった――。
●エンドブレイカーの戦い
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『楽園組曲ハーティタウン』において蠢く『11の怪物』の一柱、『クサリク』の存在が予知されました」
『11の怪物』、『クサリク』――それは、体内に大量の『エリクシル』を保有する『エリクシルの門番』と呼ばれる存在である。
本来であれば、『クサリク』は体内の『エリクシル』を一斉に放出し、エンドブレイカー! 世界の大地である『大地母神』を一気に抹殺する予定であった。
それは悲劇のエンディングと言うほか無い。
グリモア猟兵であっても予知することのできなかった悲劇。しかし、そのエンディングを予知したものが、たった一人だけ存在したのである。
「はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。彼はすべてのエンドブレイカーの始祖であると言われています。彼は、その悲劇のエンディングを予知し、終焉を終焉させる意志……すなわち『ガッツ』により、この世界のあらゆる理を無視し、強引に蘇った上に……『クサリク』と無理矢理融合することによって、『エリクシル』の放出を食い止めているのです」
その言葉に猟兵達は絶句するしかなかっただろう。
エンドブレイカーの始祖『アウィン』は、確かに既に故人である。
にも関わらず、オブリビオンではない。
如何なる道理によって、それがなし得るのか誰も知る者はいなかったが、しかし、『クサリク』の目論見を阻んでいることは間違いない。
「ですが、『アウィン』さんには戦う力がありません」
つまり、大きく弱体化された『クサリク』を打倒することができるのは、猟兵たちしかいないのである。
「『クサリク』は『アウィン』さんと融合していることで、本来の力を発揮できていません。しかしながら、今だ恐るべき能力を有しています。『アウィン』さんの隙を突くことでしかユーベルコードを使用することはできませんが、真っ向勝負で打倒できる可能性があることは大きいはずです」
ナイアルテは、猟兵たちに説く。
これこそが絶好なる機会。
しかし、『クサリク』を打倒するということは『アウィン』諸共に倒すということでもある。それを憂う者だっているだろう。
「ですが、道理を越えた存在である『アウィン』さんを救う方法は存在していません。それに予知ではありますが、彼は『自分たちのことは気にしないで戦って』と、告げています」
守る必要なく。
救う必要もない。
ただ、お互いが『クサリク』を打倒する、悲劇のエンディングを打ち砕くという目的のために一致しているのだ。
故にナイアルテは頷く。
「終焉を識ってなお、意志を、希望を持つ皆さんならば」
きっと世界に青空を取り戻すことができるはずだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『エンドブレイカーの戦い』の戦争シナリオとなります。
『楽園組曲ハーティタウン』にて蠢いていた『11の怪物』の一柱、『クサリク』でしたが、今やエンドブレイカーの始祖『アウィン』と無理矢理融合されることで力を大きく減退させられています。
本来ならば、大量の『エリクシル』を保有しているため、これを放出することで大地たる『大地母神』を抹殺するはずでしたが、『アウィン』に阻まれていいます。
『クサリク』は、そのため大きく力を制限されています。
この勝機を逃さず、倒しきりましょう。
プレイングボーナス……真っ向勝負で倒す。
それでは、エンドブレイカー! 世界から猟兵たちを放逐せんとする『11の怪物』と対決する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『クサリク・ジ・エンドブレイカー』
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POW : ライフイレイザー
自身の【体表面に露出させたエリクシル 】から極大威力の【知的生命体抹殺光線】を放つ。使用後は【アウィンがガッツで動きを封じた】状態となり、一定時間行動できない。
SPD : バビロニアンドラゴン
【エリクシルの巨竜 】を召喚する。騎乗すると【アウィンが僅かな隙を作る時以外は無敵】状態となり、【万物破壊】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
WIZ : エンドブレイカーブレイカー
【自身の体内 】から、対象の【アウィンの力を弱めエリクシル軍団を放つ】という願いを叶える【アウィン殺しの槍】を創造する。[アウィン殺しの槍]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:波留川
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
風車・拳正
……すげえな、アンタ達の| 覚悟 《 犠牲 》。……ああ、なら、遠慮なくやらせて貰うぜ…!(それに応えるために最初から全力で)
ーーショック・ザ・ビッグバン!!(両腕に纏った装甲の両拳を眼前で叩いて、前へと踏み出す)
クサリクの攻撃を拳で受け止めて、抵抗する
(確実に勝つ為、始祖アウィン達に報いる為には避けて、チャンスを待った方が確実だ)(……だけどよ)
ーー未来の為に甦って助けてくれてるアンタ達の前で、そんな手は俺には取れねぇ……!
それに! 決めたんだよ俺は! 俺は前に進む
ーー進むだけだってなぁ!!(UCを発動させた拳をただ前へと突き出して進む【覚悟、激痛耐性、衝撃波】)
うおお、届…けぇぇぇー!!
それは驚嘆に値すべき光景であった。
『11の怪物』は、紛うことなき脅威であった。
だというのに、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』は、その強靭な|意志《ガッツ》のみにおいて無理矢理に融合し、恐らくエンドブレイカーの戦いにおいて最大の脅威であった『エリクシルの門番』たる『クサリク』の力を大きく減退させていたのだ。
その代償は少なくはない。
蘇った彼は己の生命を賭してでも『クサリク』を留め続けている。
「さあ、僕たちには構わず」
その言葉に風車・拳正(衝撃の鉄拳・f41386)は思わず呻く。
「……すげえな、アンタ達の|覚悟《犠牲》」
心が震える。
己の生命を賭してでも、誰かのためにと戦う者の維持を見た気分だった。ならば、その維持に、覚悟に、意志に、報いなければならない。
故に拳正は覚悟を決める。
「……ああ、なら、遠慮なくやらせて貰うぜ……!」
「巫山戯るな! この程度で我が! この我が!!」
『クサリク』の体表より現れた無数の『エリクシル』が煌めく。
それは圧倒的な破壊光線となってほとばしり、迫る拳正を打ちのめす。
だが、それは誤ちである。拳正のはなった拳が破壊光線を真っ向から受け止め、打ちのめしている。散る光線の残滓の中を、ユーベルコードに煌めく彼の瞳が真っ直ぐに見据えている。
確かに、その破壊光線は躱すべきだった。
身を焼く光線の一撃。
それは拳正の突き出した拳を焼け爛れさせる。
強烈な痛みが走る。だが、それでも彼は思ったのだ。チャンスをまつのが確実だと。けれど、そう、けれど、だ。
「アンタ達は、未来の為に蘇ってまで、決死の覚悟を見せてくれた! なら、俺はそんなアンタ達の前で情けない様を見せるわけにはいけねぇ!」
裂帛の気合と共に彼は前に踏み出す。
放たれた破壊光線は一射のみ。
それは『アウィン』によって『クサリク』が行動を封じられているせいだ。
強烈な一撃で拳正を仕留めきれなかった時点で『クサリク』は、目の前の覚悟に敗北を喫したのだ。
「グゴゴゴ……! 忌々しい化け物め!」
「確かに僕はお前の動きを止めている。だが、お前が言った通り、僕にはお前を滅ぼす力はない。だけど」
「ああ、そのために俺がいる」
決めたのだ。
己は前に進むのだと。如何なる障害が眼の前に立ち塞がるのだとしても、決して止まらぬと。
嘗て、滅びを前に、終焉を前にしてもなお、その終焉を終焉させる意志でもって立ち止まらなかったエンドブレイカーの始祖がいたように。
己もまた諦観の先を征く。
己の拳で。
正しきを為すためにこそ、拳を振るうと決めたのだ。
煌めくユーベルコード。
瞳に見据えるは、赤き宝石の巨体。
「――決めたんだよ、俺は! 進むだけだってなぁ!!」
振るう拳の一撃が衝撃波を伴いながら『クサリク』の赤い宝石の巨体を砕く。散る破片は拳正の拳を、腕を傷つける。
けれど、止まらない。
「うおおお、届……けぇぇぇ――!!」
裂帛の気合と共に放たれた拳は、『クサリク』の体を砕きながら必殺の一撃を叩き込んだことを証明するように、巨体を空へと舞い上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
イリスフィーナ・シェフィールド
抹殺光線の次はドラゴン召喚ですか、何でもござれですわね。
まぁ、わたくしたち猟兵もそれは同じでしょうが。
ドラゴン退治といえばヒーローのお約束、打ち倒して差し上げますわ。
……とはいってもアウィン様が隙を作ってくれるまでは無敵なのですよね。
アカシック・ヴィジョンで相手の攻撃を予想して隙ができたときに即座に反撃を叩き込めるよう備えましょう。
隙ができましたら全力の一撃を叩き込みますわ。
「グゴゴゴ……なんたる忌々しい力! エンドブレイカーの領域を超えている! このような力など我は知らぬ!」
『11の怪物』、『クサリク』は咆哮する。
己の体に無理矢理に融合を果たした、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。
彼の力は正しく道理を超えたものであった。
終焉を終焉させる力を持つのがエンドブレイカーであるというのならば、『クサリク』がもたらさんとしていた悲劇もまた壊さねばならぬエンディングであり、終焉である。
だというのならば、その理外たる力を持って、オブリビオンでもなく、ただひたすらに人としての力――|意志《ガッツ》でもって立ち向かってくる存在に『クサリク』は恐怖しただろう。
故に、その恐怖を振り払う為に彼は己の体内から巨大な竜を生み出す。
それは彼に無敵たる力をまとわせるものであった。
「抹殺光線の次はドラゴン召喚ですか、何でもござれですわね」
イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼スーパーヒロイン・f39772)はしかし、息を吐き出す間もなく戦場に飛び出す。
理外。埒外。
そのような言葉でくくられるのならば、猟兵も大概であったことだろう。
それはイリスフィーナもまた自覚するところであった。
しかし、世界の危機にあって立ち上がるのが猟兵である。それがヒーローであるというのならば、ドラゴン退治など最たるものであろう。
故に彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「お約束の通り、打倒して差し上げますわ」
「猟兵の方、今より」
「ええ、おまかせ致しますわ。その無敵たる力が喪われる一瞬で勝負を決めてみせましょう!」
『アウィン』の言葉にイリスフィーナは頷く。
飛翔して迫る『クサリク』の巨体。エリクシルの巨竜と共に迫る『クサリク』の力は圧倒的だった。
これが『エリクシルの門番』と言われる存在の力。
あらゆる願いを叶える万能宝石を体内に宿した恐るべき敵。
しかし、イリスフィーナは恐れるに値はしないと思っていた。
『アウィン』が力を削ぎ落としてくれているからではない。
己の瞳にもまた意志が宿っているからだ。必ず倒す。世界を破滅に導く存在を赦してはおけない。ただ、それだけの意志のために彼女は戦場に立っている。
そして、彼女の瞳は、バットエンドを回避するために金色に輝く。
そう、それこそが、アカシック・ヴィジョン。
全てを見通す未来視の力。
迫る『エリクシルの巨竜』と『クサリク』の攻撃をイリスフィーナは躱す。未来を身通すが故に、迫る攻撃の軌跡を知る。
予測し、回避する。
単純な力であるが、イリスフィーナの此れまでの経験こそがあればこそであった。
どれだけ攻撃の軌跡が見えているのだとしても、それを躱すだけの技量を保たぬのならば、力は宝の持ち腐れだ。
だが、イリスフィーナはこれまで数多経験してきた戦いによって、己よりも巨大な敵との戦いを心得ているのだ。
「グゴゴゴ……! 何故だ、何故当たらぬ!」
「見えているからですわ! 簡単なことです!」
瞬間、イリスフィーナの未来視は見ただろう。『アウィン』によって、一切の動きが停止する瞬間を。
それは同時に『アウィン』の叫びと共に訪れた。
「この瞬間を待っていましたわっ! これがわたくしの一撃! 全力の! 終焉を終焉させる|意志《ガッツ》に報いる為の一撃ですわっ!」
黄金のオーラを纏う拳の一撃が『クサリク』の脳天を叩き割るように打ち込まれ、赤い宝石の破片と共にイリスフィーナは直上よりの一撃で持って打倒するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シリルーン・アーンスランド
尊いお志に心からの感謝と敬意を捧げたく存じます
わたくしも『護』を背に戦う者なればこそ
「必ずや撃破を…そして」
勇敢なる皆さまの勲を
「世界を越えお伝えを、必ずや」
どうあれ一撃は喰らいましょう
ですが全霊を以て受け流します
「わたくしにも覚悟がございますれば!」
しのぎ切りメガリス・さまよえる舵輪詠唱
懐かしきロボさまにまみえますのが戦場ばかりなのは
心苦しゅうございますがいつも通り一礼を
「ロボさま、あれなる世界の敵の粉砕をお手伝い下さいませ!」
チャージの間はロボさまの前に立ちお護りと
我が手にて些かなりとも攻撃を
「アウィンさま奥方さま…御身をお助けできぬ事お許しを」
撃破叶いましたらせめて祈りを捧げたく存じます
過去より来たるはオブリビオンのみに非ず。
それを示してみせたのは理外の存在、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』であった。
終焉を終焉させるという|意志《ガッツ》。
それのみを頼りに彼は愛する妻たちと共に『11の怪物』たる『クサリク』へと無理矢理融合し、『エリクシルの門番』たる力を削ぎ落としたのだ。
「ありえぬ! この我が、たかが人間に! オブリビオンでもない者に融合され、あまつさえは目論見を阻止されるなどあってはならぬ……!」
咆哮する『クサリク』の言葉も尤もだった。
あってはならぬ事態だった。
しかし、『アウィン』は言う。
「それを決めたのは、誰なのですか」
「黙れ!!」
体内より生成されるは『アウィン』殺しの槍。
それを『クサリク』は己の体内へと突き立てる。瞬間、あふれるようにして『エリクシルの軍団』が体内より飛び出す。
「貴様の|意志《ガッツ》をくらい尽くしてくれる!」
「いいえ、この程度で尊いお志を持つ方が屈するわけがございません」
その声は『クサリク』の意識の外から飛び込んでくるものであり、同時に『アウィン』の求めた者の声であった。
「はじまりのエンドブレイカー『アウィン』様。心からの感謝と敬意を捧げたく存じます」
シリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)は戦場に飛び込む。
転移の光と共に、ただひたすらに『クサリク』へと走るのだ。
「わたくしも『護』を背に戦う者なればこそ。必ずや撃破を……そして」
勇者たちの勲を世界を超えて伝えなければならないと彼女は決意する。
迫る『エリクシル』の軍団が放つ一撃はシリルーンにとって苛烈なものであった。痛みが走る。受け流そうにも強烈な一撃は、彼女の体を吹き飛ばす。
けれど、彼女は前を向く。
その瞳に悲劇のエンディングは映らない。
それを『アウィン』は認める。
「無駄なことを! 貴様らの滅びは定められている! この我が!」
「わたくしにも覚悟がございますれば!」
痛みに喘ぎながらもシリルーンは、その瞳をユーベルコードに輝かせ、抱えたメガリス・さまよえる舵輪(メガリス・サマヨエルダリン)を掲げる。
「キャプテンさま……ハナさま! みなさま! どうか御力をお貸し下さいませ!」
『エリクシル』の軍団の波を割るようにして空より開いするのは、巨大なメガリスロボットの姿であった。
電撃迸る姿。その威容をシリルーンは誇らしげに見上げ、一礼する。
戦いの場でしか相まみえることのできぬ存在に心苦しいという気持ちはあるが、しかし、彼女は礼儀を欠かさない。
いつも通りの一礼こそが、最大の敬意であるからだ。
「ロボさま、あれなる世界の敵の粉砕をお手伝い下さいませ!」
その言葉と共に迸る雷撃が巨大メガリスロボットの躯体へと溜め込まれていく。
「一撃で我をどうにかできると思うな!」
「僕らが抑え込みます。どうか、その一撃を!」
自分たちのことを気にするな、と『アウィン』は言った。再び滅びることへの躊躇いなど、終焉を終焉させるに阻むものではないと知らしめる強靭な意志をシリルーンは感じ取り、瞳を伏せる。
「『アウィン』さま、奥方さま……御身をお助けできぬ事をお許しを」
その言葉に『アウィン』たちは微笑む。
何も気にすることはないのだと示すように、雷光のほとばしりの最中にシリルーンは彼らの言葉を聞くだろう。
「終焉を終焉させる。悲劇のエンディングは破壊する。それで、僕らの子孫が健やかに生きることができるのなら」
幾度でも己達は蘇って来るだろうと示す。
それこそが|意志《ガッツ》であると言うように煌めく瞳をシリルーンは見ただろう。
その輝きに報いるために、放たれた雷光の一撃が『クサリク』の巨体を穿ち、赤い宝石の破片を飛び散らせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
マウザー・ハイネン
…戦闘能力がない事以外は埒外にも程がありますね、始祖様は。
EBなら何の瞳をどのように視て終焉を…それすらも道理を越えて感知されたのでしょうが。
いずれにせよ全力でクサリクを打倒させて頂きます。
彼と奥方に恥じぬ戦いを。
光線は露出したエリクシルの輝きを見て発射タイミングを予測、心眼と勘で危険範囲を見切ります。
直撃さえ避けられれば良し、とにかく光線が止むまでは召喚した星霊ノソリンに乗って回避しましょう。
隙が生じたら攻めに。
速度を上げつつ氷槍構えUC起動、あの悪しきエリクシルへと破魔の力を宿した一撃を全力で叩き込みます。
ラズワルドは今も無事生きてます…できればそう伝えたいですね。
※アドリブ絡み等お任せ
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』は元より戦闘能力を有していない。
それは過去の伝説を紐解いてみても事実である。
しかし、彼の発した言葉が発端となって終焉を終焉させる力……すなわち、悲劇のエンディングを見つめ、それを破壊するエンドブレイカーが生まれるに至った。
その道程は容易いものではなかっただろう。
そして、|意志《ガッツ》はあらゆる理不尽に、あるゆる悲劇にあらがってみせた。
死した後でさえ、オブリビオンとしてではなくエンドブレイカーとして蘇り『11の怪物』ですら無理矢理に抑え込む。
「それを決めたのは、誰なのですか」
その言葉が響く。
如何なる力も抑え込む。『クサリク』の体表に浮かぶ『エリクシル』が煌めく。
「知ったことか! 貴様の意志は猟兵の到来に支えられている! ならば、我は猟兵共を尽く滅ぼしてくれる! そして、貴様の|意志《ガッツ》せもくらい尽くしてくれる!」
放たれる破壊光線の明滅の最中をマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は走る。
迫る破壊光線の一撃は強烈にして苛烈。
されど、彼女は心眼でもって見据える。
「……戦闘能力がないこと意外は埒外にも程がありますね、始祖様は」
そう、正しく埒外。
生命の埒外となった己でさえも理解の及ばぬ力を『アウィン』は示してみせた。
エンドブレイカーであれば、他者の瞳に映る悲劇のエンディングを見る事ができる。だが、『アウィン』は誰の瞳を見たというのだろう。
「いずれにせよ、全力で打倒させていだきます。あなたと奥方に恥じぬ戦いを」
破壊光線の余波が肌を焼く。
体表の水分を根こそぎ奪っていく光の一撃を受けながらも、マウザーは致命傷を裂けて飛ぶ。
「ぬぅぅぅ! 忌々しい化け物め!」
その言葉は、マウザーに向けられたものではなかった。
『クサリク』の体に無理矢理に融合を果たし、その動きを拘束する『アウィン』に対する言葉だった。
それは謗る言葉であり、真実でもあった。
ただ一つの言葉を寄す処にして、悲劇を否定する力。
オブリビオンですらない。
なのに、死を克服してみせた力。
「知的生命体を喰らうだけの存在にはわからないのでしょう。人が、生命紡ぐことの意味を。始祖様の力は、ただ終焉を砕くのみにあらず。今代において己が成さしめなくとも、次代につなぐこと。それを為すことの意味を知らぬものには!」
マウザーの瞳がユーベルコードに輝く。
手にした槍に魔塔は絶対零度の冷気。
その切っ先が『クサリク』へと向けられる。
「その忌まわしき護りを砕きます」
展開する魔法陣。
それは穂先よりほとばしり、『クサリク』の護りの全てを貫通する力、ルーンとなって発露する。
「あなたが繋いだ明日は、今に続いています、始祖様。そして、『ラズワルド』も今を生きています。それを」
あなたに伝えたかったのだというようにマウザーは槍の穂先を『クサリク』へと叩きつける。
大海嘯砕き(ワタツミヲクダク)たる一撃が『クサリク』の体を砕く。
それは融合果たした『アウィン』の体をも貫く一撃であったことだろう。
届く言葉に『アウィン』は笑む。
「やはり、僕の疑問は間違ってはいなかった。ありがとう、我が子孫。エンドブレイカー」
その言葉を胸にマウザーは砕け散る赤い破片の煌めくさまを見やる――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
ふむ、その覚悟に準じることこそ、アウィン殿への手向けとなろうよ!
というわけで、いくぞ霹靂。
わしにとって、真っ向勝負とは得手での!
避けるのは霹靂に任せとるが…突撃タイミングはわしが。
微かな隙を逃さず、それを戦闘知識からくる第六感で見て、感じ取り…。
そこへ、突撃である!勢いを乗せた黒燭炎の一撃をくらうがよい!
まあ、少しくらいズレても…『無敵』という防護は無駄に終わるのだが。
※
霹靂「クエッ…クエ」
負けるもんか!空中戦の要領で見切って避けての…合図だ突撃!
「今です、猟兵の皆さん! 僕らのことは気にしないで戦ってください!」
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』の声が響く。
戦場に溢れ返るは『11の怪物』の体表を穿つことによって生まれた赤い宝石『エリクシル』の破片。
しかし、その破片と共に『クサリク』は己の体内から『エリクシルの巨竜』を呼び寄せ、騎乗する。
咆哮が轟く。
「させるものか! 化け物! 貴様のような存在、認めてなるものか!」
膨れ上がる力は、正しく無敵。
万物を破壊する衝撃波が吹きすさぶ。
正しく怪物。
『クサリク』は掛け値なしの強敵であった。
しかし、猟兵達は知っている。
「『アウィン』殿、その覚悟に準じよう。それこそ、あなたへの手向けとなるであろうよ! 征くぞ、『霹靂』!」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』の言葉と共に戦場にヒポグリフ『霹靂』が駆け抜ける。
飛ぶ彼らに放たれる衝撃波は凄まじいものばかりであった。
苛烈な攻勢。
それに加え、『クサリク』は今、無敵の状態にある。
『アウィン』の助けがなければ、その無敵性の隙を突くことすらできないだろう。
とは言え、真っ向から戦うことは何も難しいことではない。
できないわけではないのだ。何故なら、猟兵達が既に示している。どれだけ強大な存在であったとしても『アウィン』が抑えているのならば、己達でも戦うことができるのだと。
「貴様の拠り所となっている猟兵共をひとり残らず滅ぼして、その意志をへし折ってくれる!」
「無駄よ。理の埒外と生命の埒外が揃っておるのだ……!」
「吠えるな、猟兵!」
放たれる衝撃波が『侵す者』と『霹靂』の体を打ち据える。
破壊をもたらす力は、己達の存在そのものをずたずたに引き裂くようだった。痛みが走る。けれど、それでも前を見据える。
悲劇から目をそらさぬこと。
決定づけられた終焉をこそ、否定するのならば、その終焉を見据え、覆す意志を持たねばならない。
故に『侵す者』たちは吠える。
「『アウィン』殿!」
「ええ、今です!」
その言葉に応えるようにして『アウィン』が『クサリク』の体を縛り付ける。無理矢理融合することによって、わずかだが『クサリク』の巨体の動きを止めるのだ。
しかし、無敵性の加護が十分に喪われた訳では無い。
「構わぬよ。わしらの前に、防護など無駄よ!」
煌めくユーベルコードの光。
それは手にした槍の穂先が『クサリク』の体へと叩き込まれる。
体表の『エリクシル』を砕きながら、その真芯を捉えるかのような一撃に『クサリク』は絶叫する。
「何故だ! 何故我の無敵性を貫く!? これもあの化け物の力か!」
「いいや、違うのよな。これが! 我らの力よ! 無敵などを誇る事自体無駄と知るがよい!」
それは、四更・火(シコウ・カ)。
無敵をこそ打ち破るユーベルコード。
あらゆる防護を無視する力。
故に、『侵す者』の槍の一撃は『クサリク』の体を貫き、『アウィン』の志に応えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ハロ・シエラ
私の知らない方法で、知らない方々が味方してくれている……分からない事だらけですが、とにかく今しかありません。
力と命をお借りしますよ、知らない方々!
しかし、大きな竜が出て来るとなると厄介ですね。
どうせ無敵なら無駄な攻撃は控えましょう。
レイピアを鞘に収めたまま敵に近付き、アウィンと言う方々とそのご家族が隙を作って下さるのを待ちます。
とは言え敵は速い。
色々な【属性攻撃】を放つなどして攻めあぐねているふりをし、上手く【おびき寄せ】つつ【騙し討ち】を狙います。
攻撃を回避するのも重要ですね。
首尾よく私の間合いで隙を見せたなら、ユーベルコードの0秒攻撃で一撃入れてやりましょう。
このチャンス、逃しません!
『11の怪物』、『クサリク』と融合を無理矢理果たし、その力を大きく減じている存在がいる。
その名を『アウィン』。
はじまりのエンドブレイカーである。彼の力は理外そのものだった。
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)にとっても、それは恐るべき事実であったが、しかし心強いものであった。
例え、自分の知らない方法と知らない存在が味方してくれる。
何一つわからなくても、ありがたいと思う。
「力と生命をお借りしますよ、知らない方々!」
猟兵である己がやるべきことはだた一つ。
そう、『11の怪物』を打倒し世界を救うこと。
「頼みます、猟兵の方。『クサリク』の無敵性を無効化できるのは僅かな時だけ……可能ですか!」
『アウィン』の言葉にハロは頷く。
「できるできないではないのです。やるのです。そうでしょう?」
「……そうですね。ならば!」
「ええ! 征きます!」
ハロは戦場を走る。己に迫る『クサリク』の放つ『エリクシルの巨竜』の破壊の衝撃波を彼女は身に受ける。
躱すのも難しい。
やはり『クサリク』は恐るべき敵である。
『アウィン』に力を減ぜられてなお、これだけの力を有している。
加えて無敵性を有しているのだ。
「ハハハッ! 化け物が頼りにする猟兵とて、この有様だ! 攻めあぐねている。時間だけが浪費していくのだと識りながら、そうするしかないのだ!」
勝ち誇る『クサリク』の言葉が響く。
しかし、ハロはまっていた。
僅かな瞬間。
『アウィン』が生み出せる無敵性の隙は、本当にわずかだった。けれど、ハロは己がその僅かな隙を突くことができることを知っている。
できないわけがない。
己は猟兵なのだ。
名も知らぬ者が生命を掛けているのだ。
ならば、その生命を賭けて生み出した一瞬を見逃す訳がない。
煌めくハロの瞳がそれを捉えた。瞬間、彼女の手にしたレイピアは鞘より抜き払われる。
それを『クサリク』は認めただろう。
だが、次の瞬間、ハロの一撃は『クサリク』の体を貫いていた。
「なっ……なんだと!? 我は確かに見たはずだ! 貴様が刃を抜いた瞬間を、だというのに、何故既に我の体に刃が突き立てられている!?」
「これが私のユーベルコード。名も知らぬ方が生み出した一瞬の隙。そのチャンスを逃すわけがないのです」
ハロは突き立てたレイピアの一撃を持って、『クサリク』の赤き宝石に覆われた体を砕く。
亀裂が走る。
穿たれるは点。
されど、これまで猟兵達が叩き込んできた攻撃が穿った穴とつながる。点と点が繋がり、線となるように。
彼女の一撃は楔。
「そうやって人は繋いでいくのです。単体で世界一つを滅ぼし、己の欲望だけに囚われた者に、わたしたちが負けるわけがない」
ハロは砕けていく巨竜を見やり、『クサリク』を更に追い込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
……そこまでするんかって思う。
そんだけの覚悟があるなら、なるほど“|終焉を破壊する者《エンドブレイカー》”って称号は伊達じゃねえんだな。
……凄ぇ怖いし、凄ぇ悲しい。
戦うことは、怖い。
それほどの献身をしてくれる人に、こんな形でしか報いられないのが、悲しい。
滂沱と涙を流しながら。恐怖と申し訳なさに打ちひしがれながら。
〈覚悟〉を決めて、対峙する。
……せめて、その献身が無駄にならないようにしねえとな……!
チャンスは一瞬。アウィンさんがアイツの動きを封じてくれる、その瞬間を信じて待つ。
おっかない光線が飛んでくるけれど、〈第六感〉を活かして〈見切る〉なり、〈オーラ防御〉で弾き返すなり。
向こうの攻撃を全霊で凌ぎきった瞬間。
それが逆に、おれらの好機。
ちっこい針の一刺しだけど、齎す苦痛は、どれほど強大な存在でも縫い留める。
続けざまに〈限界突破〉した一撃を、スリングショットから。
(一撃の瞬間、真の姿を解放。
目力が上がる以外、何も変化はないけれど。その双眸は黄金の如く)
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812) にとって、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』たちの行動は、あまりにも凄まじいものであった。
己の生命を賭す行為。
自らを省みず、死よりも蘇って見せる力。
『11の怪物』と呼ばれる強大な存在にさえあらがって見せる|意志《ガッツ》。
その苛烈なる輝きを前にして、そこまでするのかと思うのだ。
だが、同時に腑に落ちる想いであった。
「それだけの覚悟があるなら、なるほど“|終焉を破壊する者《エンドブレイカー》”って称号は伊達じゃねえんだな」
それは恐ろしいことだ。
そして、同時に悲しいことだった。
嵐にとって、それはあまりにも献身が過ぎるものであった。しかし、嵐が最も悲しいと思ったのは、それほどの献身をなしてくれる者たちに対して、彼ら毎『クサリク』を打倒することでしか報いることがデキないことに対してだった。
涙が溢れる。
恐怖と申し訳無さが嵐の中に渦巻く。
「君の涙は君に何もしてはくれない。君に何も。けれど」
『アウィン』は『クサリク』に融合しながら、告げる。
涙流す嵐に言うのだ。
「誰かを思って、僕らのことを思って涙してくれることはわかっています。涙は何ももたらさない。けれど、誰かを思って泣く君は」
覚悟があるのだろう、と。
その言葉に嵐は涙を振り払って、その瞳にユーベルコードを輝かせる。
「しゃらくさい真似を! 貴様の心の拠り所たる猟兵の何たる小さきことか! 愚かしくも他者を頼りにするなど!」
『クサリク』の体表より放たれる破壊光線の明滅がほとばしり、嵐を襲う。
しかし、それを嵐は受け止め、さらに前に進む。
弾き飛ばそうとしたオーラが砕け、己の身を焼く。
けれど、嵐は前に進む。
立ち止まらなかった。立ち止まってなど居られなかった。そうだ。己は前に進む。己の涙の意味を嵐は知っている。
「そうだよ。どれだけ涙を流しても、それでも前を向く強さを君は既に持っている」
故に、と『アウィン』は微笑む。
彼の力が破壊光線を解き放った『クサリク』の体を縛る。
巨体が震えるようにして咆哮する。それだけしかできないのだ。あらゆる行動ができなkなっている。
『クサリク』の忌々しげな咆哮ばかりが轟く。
それを嵐は恐ろしいとは思わなかった。
「こんなちっぽけな俺だけれど……せめて、その献身が無駄にならないようにしねえとって、それだけはわかる!」
嵐は前に進む。
今という好機を生み出してくれたのは『アウィン』の力、その献身があればこそである。
例え、己の一撃が針の如きか細く小さな一撃であったとしても。
長年己が使い込んだ、その想いが籠められた針の一指し。
針の一刺、鬼をも泣かす(ペインエディター・ペインブレイカー)こともあるのだと示すユーベルコードの一撃が『クサリク』の体へと叩き込まれる。
それは『クサリク』の体を砕くことはなかった。
「ハハハッ! なんだ、その一撃は、我に届くどころか、傷の一つさえ……」
だが、次の瞬間、その巨体が揺れる。
そう、嵐の一撃は『クサリク』が抱える異常を走り抜ける。
「これは……なんだ? これは」
「麦藁の鞘、古き縫い針、其は魔を退ける霊刀の如し、ってな!」
見開く瞳の力強さを『アウィン』は見ただろう。
涙は乾いている。
故に、行け、と小さく呟いた。
嵐の手にしたスリングショットが引き絞られる。限界を超えた膂力によって引き絞られ、放たれた一射は『クサリク』の体を貫く。
『クサリク』は見た。
黄金の双眸は紛うことなく己を貫くためだけに煌めき、己に齎した苦痛こそ、己自信を縫い留めるための方策に過ぎなかったのだと。
「この我を痛みで縫い留めるなど……おのれえぇぇぇ!!」
咆哮が轟き、嵐の一射は『クサリク』の巨体に走った亀裂をさらに深く、大きくしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シュプリムント・メーベルナッハ
──うん、来たよ、アウィンさん。
あなたが食い止めてくれた終焉を、終焉させるために!
あの日、大魔女を倒したエンドブレイカーの一人として、猟兵として!
黒旋風を発動して、真っ向から敵に接近。
敵の攻撃は旋風に呪力を注いだ【オーラ防御】で凌ぐ。
近づいたら呪蛇鎌でひたすらに【切断】。
旋風の呪詛で腐食する敵の身体を斬り刻み解体していく。
敵がアウィン殺しの槍を創造するなら【斬撃波】で破壊してアウィンさんへの攻撃を妨害。
攻撃の手は緩めないけど、アウィンさんへの気遣いは忘れずに。
ここまでして未来を救いに来てくれたこと、嬉しくもあるし申し訳なくもあるし…
でも、確かなのは。
その意思には、絶対に応えてみせるってコト!
エンドブレイカー! 世界において『アウィン』の伝説は知られるところのものだった。
ステンドグラスを見上げた日をシュプリムント・メーベルナッハ(穢死檻の巫女・f38888)は覚ええいるのかもしれない。
「――うん、来たよ。『アウィン』さん」
彼女は『11の怪物』、『クサリク』と融合を果たした『アウィン』を見上げて呟く。
彼がいなければ、今はない。
エンドブレイカーの力に目覚める人類も存在していなかった。
彼が始まりなのだ。彼が始めたことであり、自分たちがそれを成就させたのだ。大魔女を打倒したのだ。
その一人のエンドブレイカーとして、猟兵として。
「あなたが食い止めてくれた終焉を、終焉させるために!」
此度もまた『アウィン』は滅びのエンディングを防いでくれた。
『クサリク』の存在は、この世界にとって甚大なる被害をもたらすものだった。
体内に大量に保有する『エリクシル』による大地の破壊。
グリモア猟兵にさえ感知できなかった悲劇。
それをこうして阻んでくれたのだ。死より蘇り、生命を賭してまで阻んでくれたのだ。ならば、シュプリムントはそれに答えなければならない。
「何が終焉を終焉させる、だ! 巫山戯るな! そのような幼子の戯れめいた言葉で我を……!」
「破壊するのです。それがエンドブレイカー、猟兵というものなのですから」
「黙れ!」
『クサリク』の体内より現れるはエリクシルの槍。
それは『アウィン』を殺す、という願いを受けた槍だった。その槍を己の体内へと叩き込むことによって『アウィン』の拘束を振りほどこうとしているのだろう。
掲げた槍の切っ先が打ち込まれようとした瞬間にシュプリムントは、その手にした大鎌でもって『アウィン』殺しの槍の切っ先を切断して見せていた。
「させないよ! それは、絶対に!」
「貴様……!」
「だって、ここまでして未来を救いに来てくれたこと!」
それを己は忘れない。嬉しいと思うと同時に申し訳ないとも思う。
けれど、シュプリムントは絶対にしなければならないことを自覚している。応えなければならない。
始祖たる『アウィン』の絶望を砕き、終焉を、悲劇を否定し続ける意志に。
「だから、『クサリク』、君は、ここで!」
手にした大鎌が生み出す黒き呪いの旋風が吹き荒れる。
呪詛に寄る『クサリク』の体表に浮かぶ『エリクシル』の腐食。それをなしながら、シュプリムントは、黒旋風(シュヴァルツ・ヴィルヴェル)そのものとなって巨体の上を走る。
猟兵達がこれまで穿ってきた一撃。
それらを繋げ、亀裂走る体表にさらに傷を刻むのだ。
例え、己一人では打倒できないのだとしても。かつて、『11の怪物』の一体さえもエンドブレイカーたちは打倒してきたのだ。
負けるわけにはいかない。
今、己が背負っているのは、世界の命運。
そして、何よりも。
「僕たちの意志を繋いでくれるのか」
「当然! 絶対に応えてみせるから! だから、見ていて!」
シュプリムントはユーベルコード煌めく瞳と共に『クサリク』の巨体を大鎌で持って霧崎続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「アンタが繋いでくれた未来、確かに受け取った!
だからこそ、オレも全身全霊で応えよう!!」
拳を強く握りしめ、強い眼差しをアウィンに向ける
「今がその時だ…。今こそオレは全てを守護るヒーローとなる!」
静かに、しかし圧倒的な[存在感]を放つ
世界を傷つけず、世界を害する悪を討つ
その名を―
「シン・ブレイザイン。来な、クサリク。今のオレ達は強いぞ?」
見た目の変化は少ない。しかし、確実に彼らは『変身』した
抹殺光線を[オーラ防御]で防ぎきり、
アウィン達が抑えてくれている内に接敵
「コイツで決める。
シン必殺!シン・ブレイジング・パァァンチ!」
その拳はクサリクごと天を裂いて青空を望ませた
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。
彼がいなければ、エンドブレイカー世界の大地は、取り返しのつかない事態へと叩き込まれていたことだろう。
体内に大量のエリクシルを保有する『11の怪物』、『クサリク』。
その躰へとオブリビオンでもないのに死より蘇り、その力を大きく減じて見せているのが『アウィン』である。
彼は悲劇のエンディングを、今まさに防いだのだ。
だが、彼にエンディングを砕く力はない。
終焉を知りながら、終焉を止めることはできても、『クサリク』の言葉通り、先送りにしただけに過ぎないのだろう。
けれど、嘗ての勇者たちが敗北が決定しながらも永久に戦うことを消めたように『アウィン』もまた己の生命を賭しての先送りをしてみせたのだ。
「アンタが繋いでくれた未来、確かに受け取った!」
その意志を受け継ぐようにして、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は破壊光線荒ぶ戦場に飛び込む。
応えなければならない。
その意志に。
全身全霊を持って。
「今がその時だ……今こそオレは全てを守護るヒーローとなる!」
握りしめた拳。
力強い眼差しを『クサリク』と融合した『アウィン』へと向ける。そして、宣言したのだ。
「シン・超変身!!(シン・ブレイザイン)」
煌めくユーベルコード。
己の体を打ち据える破壊光線の一撃が凄まじ痛みをもたらす。だが、それでも清導は倒れなかった。
|意志《ガッツ》一つで、延々と『クサリク』と死を決定づけられた融合を果たす者が見ているのだ。
情けない姿は見せられない。
倒れない。
その不退転の決意と共に彼は誓いを立てる。
全てを守護るヒーロー。
その名は。
「シン・ブレイザイン!」
「何が……!」
真の姿。
それが清導が為したユーベルコードの力だった。砕けるオーラの防御。しかし、そのオーラの破片の中を赤い鎧を纏ったシン・ブレイザインが駆け抜ける。
「来な、『クサリク』。今のオレ達は強いぞ?」
「ほざけ、人間風情が!」
再び放たれようとした破壊光線。
されど、それはいつまで経っても放たれることはなかった。『アウィン』による拘束が『クサリク』の体を留めているのだ。
「今だよ、シン・ブレイザイン!」
「ああ! コイツで決める! シン必殺! シン・ブレイジング・パァァンチ!」
放つ拳の一撃が、これまで猟兵たちによって刻まれてきたユーベルコードの軌跡なぞるようにして衝撃を走らせる。
その苛烈な一撃は真紅の装甲より放たれ、青空を見せるように赤き宝石を砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
始祖殿の覚悟、確かに見た
あとは子孫たる我らが応える時だろう
真っ向勝負、望むところだな!
クサリクの極大威力の光線に警戒を
第六感を生かして見切り、その上で覇気を放出して
狙いを反らし直撃を避けるさ
使用後は行動できないクサリクに一気に攻めかかる
さぁ始祖殿に今の私達
猟兵としても戦い続ける子孫の力をお見せしよう
ダメージで止まることはなく気合で剣を振るい続ける
人々を守る戦いならば、エンドブレイカーは倒れない
そして勝利の先に人々の笑顔があるなら猟兵は負けないのさ!
今こそ輝け私の究極の光
《真・断罪閃光剣》で両断を狙うよ
アウィン、貴方達が託したものは、
確かに我々が受け取った!
誇りに想い――これからも歩んでいくとも
覚悟を見た。
己の生命を賭して、次へとつなぐという|意志《ガッツ》。
それによって、今の己達があるということをアンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は知っている。
遥か昔の、あの日。
彼がつぶやかなければ、今はなかった。
「始祖殿の覚悟、確かに見た。後は子孫たる我らが応える時だろう」
アンゼリカの瞳が意志に輝く。
それは、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』より受け継いだ意志の輝きそのものであった。
「僕のしたことは間違いではなかった。僕の意志は、終焉を終焉させるという意志は、繋がれていた。なら、二度目の死など恐れることはない。僕は正しいことをしたんだと誇れる」
故に、と『アウィン』は融合を果たした『クサリク』の体を縛る。
しかし、その縛りを振りほどくようにして『クサリク』より放たれるは、破壊光線であった。あらゆるものを破壊する赤い宝石より放たれる苛烈なる一撃は、幾度となく猟兵たちを苦しめてなお、さらに迫っていた。
「真っ向勝負! 望むところだな!」
アンゼリカの放つ覇気が破壊光線を逸し、しかし、その苛烈なる熱量でもっ彼女の体を焼く。
走る痛みにアンゼリカの表情が苦悶に変わる。
だが、それでもアンゼリカは前を見ていた。
「始祖殿!」
そう、破壊光線を放った後、再び『クサリク』は『アウィン』によって動きを封じられる。行動できなくなった巨体には数多の亀裂が走っている。
押し込むのならば、今しかない。
「今の私達、猟兵として戦い続ける子孫の力をお見せしよう!」
痛みが走る傷跡など、アンゼリカは気にも止めなかった。
人々を護るための戦いならば、エンドブレイカーは倒れない。
この世界を守らんとする意志がある限り、その不屈たる意志の源、その源流が今まさに己達の前にあるのだ。
負けてなど居られない。
そして、とアンゼリカは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「そして、勝利の先に人々の笑顔があるなら、猟兵は負けないのさ!」
掲げた剣。
それが満たすは、究極の光。
己の中にある光。
峻烈なる裁きの光を宿した剣が極大なる刃となって天を貫く。
「グゴゴゴ……! 離せっ、化け物め! 貴様はわかっているのか! 我と融合したということは、我が滅びれば、貴様も死ぬということだ!」
「構わない。そのために僕は死さえも退けて今此処に在るのだから」
『アウィン』の言葉に『クサリク』は焦りを見せる。
逃れなければ。
その思いを絶ち切るようにアンゼリカの真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)たる一撃が『クサリク』の巨体へと叩き込まれる。
「『アウィン』、貴方達が託したものは、確かに割れ哀れが受け取った!」
受け継ぎ、紡ぎ、こうして今眼の前に立っている。
輝く光の刃を振り抜いたアンゼリカは誇らしげに宣言するのだ。
嘗てあった不屈の意志。
そこにあった誇りと想い。
「道のりは厳しいけれど、それでも」
「これからも歩んでいくとも」
それがエンドブレイカーであり、猟兵である己であるのだからとアンゼリカは光の奔流の最中に笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ウルザ・ルーナマリア
あの人間がおれ達エンドブレイカーの始祖…遠いお爺ちゃんになるのかな?
強くはないって言ってたけど強いの方向性が埒外っていうか…そこまでできる気しねーけど、恥じるような戦いはしたくねーな。
全力でぶっ倒すぜ!
まずは全力で抹殺光線を回避。
どう考えてもやべーし、とにかく走って野生の勘に従って避けまくる!
それだけでもアレだから光線途切れたタイミングで銛を向けてUC起動!
氷網で縛ってその場に固定してやるぜ。
そしてアウィンが止めてくれたなら思いっきり攻める!
赤いエリクシルに斧槍思いっきり叩き込んで銛でぶち抜いて砕いてやるぞ。
おれだってエンドブレイカーなんだからな!とアウィンに叫んだり。
※アドリブ絡み等お任せ
『11の怪物』である『クサリク』と融合を果たした『アウィン』と呼ばれる少年。
その姿を認め、ウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)はなんとも言い難い顔をしていた。
「あの人間がおれ達エンドブレイカーの始祖……遠いおじいちゃんになるのかな?」
確証は持てない。
けれど、はじまりのエンドブレイカーと呼ばれるのならば、それは正しいことなのだろう。
「そうだよ。僕が、君たちの始祖。大げさに言うと、そんなことなのかもしれないね」
声が響く。
「黙れ! 化け物め、貴様のような存在が許されて言い訳がない!」
ユーベルコードの明滅が巻き起こり、その赤き巨体に亀裂が無数に走っている。それは猟兵達のユーベルコードを受けた証。
そして、融合を果たした『アウィン』の決死の覚悟の現れであったことだろう。
ウルザは、その様を見やり思う。
吹き荒れる破壊光線の嵐。
勢いが落ちている。
だが、余波だけで己の体毛をやきこがすほどの威力がある。
ジリジリと毛皮の奥にまで熱が入り込み、痛みを生み出す。苦痛に表情を歪めながら、しかし、ウルザは気力を振り絞る。
確かに『アウィン』は強くない。
戦う力を持っていない。
恐らく、自分と戦っても勝つことはないだろう。
けれど、自分が勝てるとも思えなかった。不屈の|意志《ガッツ》。それこそが『アウィン』を理外の存在であることの証明だった。
「そんな人を前にして、恥じるような戦いはしたくねーんだよ!」
己の身に流れる野生の、それこそ動物的な勘を持ってウルザは致命傷を裂けながら走る。戦場に吹き荒れる破壊光線は、確かに苛烈だったが、それは長く続かない。
『アウィン』が『クサリク』の体を縛るからだ。
「やってくれるぜ、お爺ちゃん!」
ウルザの瞳がユーベルコードに輝く。
己の手にした三叉銛の一撃が『クサリク』の巨体へと叩き込まれ、氷網でもって、その場に固定される。
元より『アウィン』によって行動を封じられているのだ。
最早、『クサリク』は身じろぎの一つさえできなくなっているだろう。
「我を捕らえるなど!!」
「おれだってエンドぶりレイカーなんだからな!」
ウルザは叫ぶ。
そう、己の身がバルバであったとしても、関係ない。
己の瞳には悲劇のエンディングが写り、そして、それを破壊する力が宿っている。世界すらまたぐ猟兵としての力も持っている。
ならば、その手にした斧槍を握りしめて、示すのだ。
脈々と紡がれてきた血の歴史。
過去を大きく遡っていけば、きっと『アウィン』に己もまた突き当たるのだろう。
「足止めの一投(シタゴシラエ)は終えたぜ! ならよ!」
斧槍の切っ先から放たれた凍てつく冷気は、『クサリク』の体を包み込み、さらに氷の網は巨体に食い込む。
突き刺さる氷の網は『クサリク』がもがけば藻掻くほどに食い込み、その『エリクシル』の体を砕いていくだろう。
軋む音を聞きながら、ウルザは、その体内に融合している『アウィン』へと拳を掲げてみせる。
「あんたのおかげだ。此処まで戦えたのは。だから!」
後は任せろよ、とウルザは咆哮し、己の祖先へと敬意を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
蜂須賀・美緒
始まりのエンドブレイカーには不可能はないってことかな!?
アタシらの味方でホントよかったわ!
ほんじゃあアウィンさんと奥さん達がくれたチャンスを逃がさないためにも
絶対必勝のUC【E.B.V】を実行開始よ!
(敵に真正面から突撃すると同時に{侵食蜂針}を地面に向けて投擲し、刺さった場所から『ハッキング』を行いプログラムコードに変えていく)
迎撃がきたわね!って、ビームでっか!ならプログラムコード化した地面に潜って回避よ!
そこから敵に飛びかかって{アドミンパワー}を纏わせた飛び蹴りを叩きこんでやるわ!
そして最後はいつもの決めポーズ!ビー…ハイヴ!(腕をクロスして決めポーズ)で〆るわよ!
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。
その力は理外そのものだった。
『11の怪物』の一柱『クサリク』をして化け物と言わしめた道理通らぬ存在。
オブリビオンでもないのに死を克服して蘇り、あまつさえは『クサリク』と無理矢理に融合を果たして、その力を大きく減退させているのだから、化け物とは控えめな表現であるように思えたかも知れない。
少なくとも、蜂須賀・美緒(BeeHive・f24547)にとって、『アウィン』が猟兵の味方である、という事実は心底胸をなでおろすものであった。
「はじまりのエンドブレイカーには不可能はないってことかな!?」
「いいえ、僕には『クサリク』を止めることはできても、倒すことはできません。だから、貴方達の力が必要なんです、猟兵の皆さん」
『アウィン』の声が響く。
亀裂が無数に走った『クサリク』の巨体。
その巨体が体を許すようにして『アウィン』の隙を突いて、破壊光線を解き放っったのだ。
「無駄だ! 貴様の|意志《ガッツ》さえも喰らい尽くして、猟兵を滅ぼす! それこそが!」
「大口叩いたわね! けど、『アウィン』さんと奥さん達がくれたチャンスは逃さないってね! 絶対必勝のE.B.V(エグゼキュート・バッチ・オブ・ヴィクトリー)! 実行開始よ!」
美緒は破壊光線の乱舞する戦場を一直線に突っ切るようにして走る。
破壊光線の熱、その余波は凄まじく、かすめただけで美緒の体が吹き飛ぶほどの威力を持っていた。
だが、彼女はオーラを針状に変え、大地へと放つ。
それはハッキングを行う際のアクセスポイント。
つまり世界というテクスチャそのものを書き換えるための起点となるのだ。地面はテクスチャ。なら、コードを変えれば、一枚めくることだってできる。
破壊光線の一撃を美緒はたまらず地面へと潜り込むことによって躱し、さらに別の地面から飛び出sう。
「ビームでっか! ほんと困るわよね、そういうの! 規格外っていうのは!」
「黙れ! 貴様ら生命の埒外に物申される謂れなどない! ぐっ……邪魔を!」
『クサリク』の体が軋むようにして動きを止める。
破壊光線を放った後、『クサリク』の体を『アウィン』が捉え、封じているのだ。身動きすらできなくなった『クサリク』の巨体を見上げながら、美緒は己に自己修復と戦闘力増強パッチを実行する。
これまで彼女の瞳はユーベルコードに輝いていた。
パッチを当て、時間を稼ぎ、破壊光線をかいくぐった。
それは時間を経れば経るほどに増強されていくのだ。
積み重ねたものが、物を言う戦場であるのならば、美緒のユーベルコードは自動化されたものである。効率と最適化。
得られた力は強大そのもの。
みなぎるオーラと共に美緒は動きを止めた『クサリク』の巨体へと駆け上がっていく。
確かに彼女の力はパッチでもって強化されている。
だが、その動きは単調なものとなってしまうのだ。
「でも、『アウィン』さんに動きを封じられているのなら、意味はないわよね! くらなさいな!」
叩き込まれるオーラ纏った蹴撃の一撃が『クサリク』の巨体を砕きながら破片を撒き散らす。
赤い破片が舞い散る中、美緒は大地に着地し、いつもの決めポーズを取るのだ。
「ビー……ハイヴ!」
腕を交錯させたポーズ。
その示す意味は、『クサリク』の敗北そのもの。
如何に強大な存在であっても、強固な意志一つで転がる岩のように転落していく運命なのだ。
故に美緒は交錯させた腕でもって、その未来を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、すごいのでっす!
アウィンさん、完全にクサリクさんを圧倒してるのでっす!
11の怪物が怯えてるのでっす!
これはもうアウィンさん祭りを開催するしか無いのでっす!
今日の藍ちゃんくんのステージの特別ゲストはアウィンさんでっすよー!
というわけでこれでもかとアウィンさん仕様なステージ召喚なのでっす!
アウィンさんステンドグラスがとっても綺麗なのでっす!
超巨大スクリーンにもアウィンさんがドドーンっと映され、アウィンさんをスポットライトが照らしてるのでっす!
奥様達は愛する夫の勇姿に黄色い歓声待ったなし!
アウィンさんは照れるでっしょうかー?
クサリクさんはめちゃくちゃ堪ったものではないでっしょねー!
恐怖の象徴アウィンさんグッズが溢れてるのでっすから!
藍ちゃんくんそっちのけでステージを壊しまわるのではー?
良いのでっすかー、無駄に時間を費やしてしまって。
アウィンさん自身から意識を逸してしまって!
ここぞとばかりに作ってくれた隙でギミック起動、アウィンさんステージごと突撃なのでっす!
戦場に明滅するユーベルコードの数々。
それは『11の怪物』、『クサリク』の体に亀裂を走らせる。
動く度に軋む音が聞こえてくる。それは、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』による『クサリク』の体、その行動を封じるが故であろう。
「グゴゴ……! 馬鹿な、この我が此処まで追い込まれるだと? 猟兵ごときに! この我が!」
「『クサリク』! 他者を見下すことしかできない存在が、人のつなぐ未来を阻むなど!」
「化け物め……! 道理も理屈も通らぬ!」
彼らの攻防は一進一退に見えて、確実に猟兵の介入によって如実に『アウィン』の側へと傾いている。
「藍ちゃんくんでっすよー! あやー、すっごいのでっす!」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、その光景に驚嘆する。
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』は猟兵ではない。オブリビオンでもない。
ただの人。
なのに、彼は|意志《ガッツ》のみで『11の怪物』に無理矢理融合を果たし、蘇ってさえいたのだ。
『クサリク』の怯えは当然であろう。
己が絶対と思う理の外より現れ、己の体を、その行動を縛るのだから。
「これはもう『アウィン』さん祭を開催するしかないのでっす!」
藍の瞳がユーベルコードに煌めく。
「巫山戯るな!」
『クサリク』の咆哮と共にエリクシルの巨竜が出現し、その下半身と合体する。
怒りの咆哮。
巨竜の力は尋常ならざるものであったが、しかし『アウィン』の力はそれを上回る。如何に無敵性を有していても融合した『アウィン』が隙を作り出すのだ。
「無駄です。お前の動きはすでにわかっている。巨竜による無敵性。それを盾にするつもりなら!」
「グゴゴゴ……! 体が……! 支配権が、奪われる……!」
「あやー!『アウィン』さん、今日の藍ちゃんくんのステージの特別ゲストとしてお招きしてもよろしいでっすかー!?」
「ゲスト……とは?」
「こういうことなのでっす! 藍ちゃんくん、ショーッタアイッム!(アイチャンクン・スペシャルステーッジ)」
ユーベルコードに輝く藍の瞳と共に戦場に現れるのは、ステンドグラスきらびやかなステージ。
それは嘗てエンドブレイカー世界に伝説として語られる一幕。
失われた一節さえも復元されたステンドグラスの輝きが戦場を埋め尽くする。
「なんだ、これは……!」
「これは……僕たちの旅路……!」
「そうなのでっす! 御覧ください! 超巨大スクリーンにも『アウィン』さんがドドーンっと! スポットライト・カモンッ!」
藍の指が打ち鳴らされた瞬間、『クサリク』に融合した『アウィン』へとスポットライトが向けられる。
眩い輝きはステンドグラスの輝きを受けて、さらにきらびやかに。
さらには『アウィン』の奥方たちの黄色い歓声が響き渡る。
それだけで数多の妻を娶り、エンドブレイカーが増える礎となった『アウィン』の人徳めいたものを感じる事ができただろう。
「こ、これはなんとも……!」
「あやー、『アウィン』さん、照れていらっしゃるのでっすー!」
「貴様ら、巫山戯るのも大概しろ! これが一体何だというのだ!」
エリクシルの巨竜がステージを破壊しようとする。
しかし、藍は笑むのだ。
いつものように笑む。
どれだけ無敵性を誇るのだとしても、理外の存在を前にして恐れおののく精神性があるのならば。
「良いのでっすかーそれは無駄な時間って感じでっすけどー! 『アウィン』さん自信から意識を逸してしまって!」
「何を言って……」
「怖がっているのでっすよねー? 自分の常識の範囲内にないものに。そんなものに融合されているっていう事実がー! だから、ステージを壊そうとしたのでっす!『アウィン』さんから目をそらすために! そうすることで自分の優位性を保とうとしたのでっす!」
藍は微笑み続けた。
それこそが、この恐るべき敵に対する最大の手段であると知っているからだ。
「『アウィン』さん、ありがとうございまっす! ギミック起動!」
その言葉と共に藍の作り出した『アウィン』特別ゲストステージが、ステンドグラスの破片を撒き散らしながら変形し、鉄槌のように巨大な塊となって『クサリク』の巨体へと振り下ろされる。
その一撃は凄まじいものだった。
例え、無敵性を誇るのだとしても『アウィン』が隙を生み出してくれる。
その一瞬にこそ叩き込まれる一撃は『クサリク』の体表に生まれたエリクシルさえも砕きながら、その巨体を大地へと失墜させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
厳・範
お爺。花雪を乗せたまま、半人半獣形態できた
さて、己の身命を賭しての行動か…何ともまあ、とてつもない覚悟よな。
花雪「お爺さま、ここは」
うむ、応えねばなるまいよ。いくぞ、花雪(UC使用)
花雪「はい!(手綱な八卦衣にしっかり掴まる)」
というわけでな…全速力での疾走である。
ただ、性質上…轢く必要がある。そのため、まっすぐ突撃するのだが、その時にカウンターのように攻撃を受けやすい。
なれば、それをも利用して…その攻撃を避けよう。直角に曲がる(麒麟なので)
花雪「そして、動けなくなったところに…本命の突撃ですね!私が乗ってるので、倍です!」
うむ。更に追加攻撃で、手をくわえた雷公鞭を振るうのもよかろうよ。
ステンドグラスとエリクシルの破片が舞い散る戦場の最中を半人半獣の厳・範(老當益壮・f32809)が駆け抜ける。
「……なんともまあ、とてつもない覚悟よな」
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。
彼は死すら乗り越えて、今此処に在る。
それは悲劇のエンディングを破壊するためである。避けようのなかった結末さえ、それが悲劇であるのならば、破壊してみせるという|意志《ガッツ》。
それだけで彼は愛する妻と共に己の生命さえも賭けて見せるのだ。
その覚悟というものは今を生きる範においても、途方もない覚悟であると思えるものであった。
「お爺さま、ここは」
背に載せた宝貝人形『花雪』が言う。
その言葉に籠められた意志に範は頷く。
応えなければならない。
「ああ、あの御仁に応えねばならぬよな。いくぞ、『花雪』」
「はい!」
二人は戦場を駆け抜ける。
破壊光線が明滅する。あらゆるものを寄せ付けぬと言わんばかりの苛烈なる嵐めいた光線は二人を阻むだろう。
熱波が荒ぶ。
体を焼き尽くすほどの強烈な熱量。衝撃波が身を打つ。
だが、範は止まらない。
「この程度で止まる猟兵などいないと知れ」
「黙れ! 貴様らは我が滅ぼす! 貴様らの滅びこそ、この怪物の心を折るただ一つの方策!」
『クサリク』は己に融合した『アウィン』を化け物と言った。
理屈も道理も通らぬ不条理の塊。
オブリビオンでもないのに死を乗り越えて、融合を果たすと言った常識外の存在。
それをただ一つの意志のみでなし得ているという事実。
「雷霆(ライテイ)は捉えられぬ」
範の瞳がユーベルコードに輝く。
己の本性。
黒麒麟へと変貌し、雷雲を纏いながら破壊光線の嵐の中を駆け抜ける。その凄まじき疾駆は、直角に駆け抜け、迫る破壊光線の一撃すら躱すのだ。
ただ、それは直撃を受けない、という意味でしか無い。
余波の衝撃波が体を打つ。
「お爺さま!」
「うむ!『アウィン』殿、ご助力感謝いたす!」
破壊光線の嵐が止む。
それは『アウィン』が『クサリク』の体を縛ったせいだろう。破壊光線は確かに強烈にして苛烈だったが、『アウィン』によって拘束される。
その隙をこそ範は見逃さなかった。
己のユーベルコードは『花雪』を載せることによって、突撃の一撃がさらに重さを増す。
「意志を見誤ったな、『11の怪物』。ただ一つの意思だけで、此処まで貴様たちを追い込むことができる。その証左、受けるがよい」
突撃の一撃は巨大な質量をぶつけたように『クサリク』の体を轢き潰す。
砕ける赤い宝石の煌めきが舞い散る最中、雷が迸る。
それはたった一人の強靭な意志。
その覚悟に報いる為に放たれた手向けの如き豪雷だった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
あの、ステラさん、勇者としてはですね、シリアスとえっちは守備範囲外といいますか。
なんでどっちも揃ってそうなとこきちゃったんですかー。
ほらほらほら、ぶつぶつがこんなに! 早くおくすりくださいよぅ(ぽりぽり
え? 蕁麻疹出してる場合じゃない?
わ、わかりますけど、このままだと演奏に支障がで痛ぁ!?
今回はコメディなしって……わたしいつも真剣なんですがー!
わかりましたよぅ。
それじゃ【Canon】でいいで痛ぁ!?
あ、あぅ。そ、それじゃ、音叉剣でいいですか?
了解です、それではー!
えっと、音叉、どこいきましたっけ……えっと、えーっと……。
最近使ってなかったから、(心の)奥にしまっちゃったんですよー。
ステラ・タタリクス
【ステルク】
エンドブレイカーの祖、アウィン様
なんという理不尽の塊
まさしく勇者と呼ぶに相応しい方ですね
ですが、だからこそ|光《未来》が見える!
……あの、ルクス様?
ここ、|光の勇者《ルクス様》の見せ場として
最高のシーンなんですけど?
何故に蕁麻疹出してますか
私のシリアス返してください
はい、真面目に戦う
演奏は禁止!
ご飯抜きますよ!
さて私もこの一撃に賭けるとしましょう
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】
アウィン様、その『一瞬』を譲って頂きたく
私の|生命《ブレイド》、耐えられるものなら耐えてみなさい!
さぁルクス様トドメはお任せ……何してますかこの勇者は!
奏魔法以外も準備しておきなさい!
「エンドブレイカーの祖、『アウィン』様。なんという理不尽の塊」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、はじまりのエンドブレイカー『アウィン』の力を目の当たりにする。
『11の怪物』、『クサリク』にオブリビオンでもないのに無理矢理融合を果たし、動きを止めるだけにとどまらず、そn力を大きく減退させている。
戦場に降り注ぐ破壊光線は確かに強烈だった。
余波の衝撃波だけでも肌を焼き尽くすほどの苛烈さ。
その痛みは『クサリク』が掛け値なしの強敵であることを示していた。
だが、それを大きく減退させているのだ、あの『アウィン』は。
ただ一つの|意志《ガッツ》のみを頼りにして。
「まさしく勇者と呼ぶに相応しい方ですね。ですが、だからこ|光《未来》が見える!」
ステラは拳を握りしめる。
勇者というのならば、こちらにも勇者がいる。
光の勇者が。
そう、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)が。
しかし、振り返ったステラが見たのは全身に蕁麻疹の発疹が現れる勇者の姿だった。
「あの、ステラさん、勇者としてはですね、シリアスとえっちは守備範囲外といいますか。なんでどっちも揃ってそうなとこにきちゃったんですかー!」
「……」
ステラはそんなルクスの様子を見て、まじかよ、と思った。
ここは光の勇者としての見せ場である。むしろ、独壇場ではないのか。最高のシーンだと思うのだが。
なのに、なんで蕁麻疹出しているのだろうか。
シリアスアレルギーとは言っても、空気読めないのだろうか。
「ほらほらほら、ぶつぶつがこんなに! 早くおくすりくださいよぅ」
ぽりぽりしながらルクスが涙目に成っている。
「私のシリアス返して下さい」
「えっ! だって、わたしシリアスアレルギーなんですけど」
「真面目に戦いましょう。勇者」
「こういうときだけ勇者って持ち出すのずるくないですか? わかりますけど、このままだと演奏にも支障がで痛ぁ!?」
スリッパがルクスの後頭部に飛ぶ。
それはステラが自らのシリアスをなげうった瞬間だった。
コメディの始まりである。コントって言っても良い。
「演奏は禁止! ご飯抜きますよ!」
「なんですかぁ!」
「今回はコメディなし!」
「わたしいつも真剣なんですがー!」
破壊光線が荒ぶ最中を二人は駆け抜ける。やってることはコントである。コメディである。当人たちがどういうのだとしても、だ。
「わかりましたよぅ。それじゃあ、えんそ……痛ぁ!?」
「だから、演奏はなし!」
スリッパ再びである。
「あ、あうぅ。そ、それじゃ、音叉剣でいいですか?」
「早くする」
「は、はいぃ……! え、ええと、音叉ってどこでしたっけ……えっと、えーっと……」
ルクスは音叉剣を取り出すためにポッケやらザックやらあちこちを弄る。
どこかの青い猫型アンドロイドみたいなあれである。劇場版でよくやる所作である。テンパると異次元ポッケの中をひっくり返すあれ。
もうどうあがいてもシリアスには程遠いことをステラは覚悟した。
「ありました! テレレレッテレー世界調律(セカイチョウリツ)ー!」
音叉が鳴り響く。
瞬間、破壊光線と波動がぶつかりあい、相殺される。そして、破壊光線を放ちきった『クサリク』の体が止まる。
『アウィン』が動きを止めたのだろう。
この瞬間をステラは見逃さなかった。
「この一撃に賭けるとしましょう。トニトゥルス・ルークス・グラディウス!」
天使核の直結した迸る雷光の剣をステラは掲げる。
天を貫かんとするほどに迸る雷光は、刀身となってステラは振りかぶる。
「私の|生命《ブレイド》、耐えられるものなら耐えてみせなさい!」
振るう一撃が雷光そのものとなって『クサリク』の体へと振り落とされ、その斬撃は光と共に赤い宝石を砕く。
飛び散る破片は血潮のようであったことだろう。
しかし、それでもまだ届かない。
「さあ、ルクス様、トドメ……」
「えーと、音叉の次は、と……あ」
ルクスは音叉剣の役目を終えた後、しれっと演奏しようとしていた所をステラに見咎められる。
その後、どうなったかなど言うまでもない。
シリアスなど絶対にさせないウーマン。それが勇者ルクスなのである。多分――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
くく、感謝するぞアウィンとやら、貴様のお陰でにくきエリクシルの親玉、しかもエリクシルの門番とかいうそれっぽいやつを葬るチャンスを得られたのだからな!
さて。実は単純攻撃系UCって少ないのであるよな……ここは寧ろUCでの攻撃は捨てた方が……む?アウィン殺しの槍だと?いやいやそんなのやらせるわけがなかろう!
奴のUCを確認後即座にこっちもUC、来るがよいワルレーン!そして放て、「緑涙ノ大津波」を!!
ただし奪うのはその無粋な槍だけでよいぞ。真っ向勝負とのことだからな!
槍を奴の目の前で圧し折り、更にワルルンガーをその上に呼び出して踏み潰し処分、そしてワルルンガーパンチの暴力で真正面から奴を殴り飛ばすぞ!
「このままでは……! 我が、滅びる!『エリクシルの門番』なる我が……! 何もできぬままに滅びてしまう!」
『11の怪物』、『クサリク』は体内に無数のエリクシルを有する『エリクシルの門番』と呼ばれる怪物だった。
体内に有したエリクシルを一気に放出することによって大地母神を抹殺する。
そのはずだったのだ。
グリモア猟兵にすら感知されぬ悲劇。
しかし、その悲劇を止めたのは、ただ一人の人間だった。
「はじまりのエンドブレイカー、『アウィン』とやら、感謝するぞ!」
ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は、戦場に散る赤い宝石の破片を蹴飛ばしながら飛翔する。
彼女の瞳に映っているのは『クサリク』と無理矢理に融合を果たした『アウィン』の姿だった。
ただ一つの意志のみにおいて怪物を圧倒する理不尽と不条理、そして理外たる力が、ワルルーナの仇敵たる『クサリク』を抑え込んでいるのだ。
「貴様のおかげで憎きエリクシルの親玉、しかも『エリクシルの門番』とかいうそれっぽいやつを葬るチャンスを得られたのだからな!」
彼女にとってエリクシルとは同業他社。それも悪徳業者である。
願いは叶えても歪めて叶える。
願いの力だけを欲する同業他社にワルルーナは怒髪天を衝く勢いで怒っていたのだ。
「黙れ! 貴様ら猟兵を滅ぼし、この化け物の心を折る!」
エリクシルの槍が『クサリク』の眼前に生み出される。
その切っ先はワルルーナではなく、『クサリク』に融合した『アウィン』を狙っていた。
そう、その槍は『アウィン』殺しという願望を叶えるための力。
「やらせるわけがなかろう!」
ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝く。
「来るがよい、ワルレーン!」
「は、はいぃ……!」
ワルルーナの言葉と共に召喚されるは翼持つ人魚、第2の獣ワルレーン/緑涙ノ大津波(ワルレーン・ティアーフラッド)そのものであった。
吹き荒れる雨と津波。
それは『クサリク』の手にした槍へと降り注ぎ、その能力を奪い取るのだ。
「なっ……!」
「馬鹿め、そのような願いを成就させるものか!」
ワルルーナは、奪った槍を砕く。
使うまでもない。ワルルーナにとって、敵は不倶戴天の敵。
滅ぼさなければならない。
歪な願いを叶える力など、害悪そのもの。百害あって一利なし。故に彼女は真っ向から『クサリク』へと飛ぶ。
「ワルルンガー!」
ワルルーナは『クサリク』の巨体を押し留めながら、招来させた機動魔王城『ワルルンガーΣ』の大質量でもって『クサリク』を踏み潰す。
さらにワルルーナは飛翔し、『ワルルンガーΣ』の肩へと降り立つ。
「無駄な、ことを!」
『ワルルンガーΣ』の巨体を押しのけながら、『クサリク』は咆哮する。
「無駄です、『クサリク』! お前の動きは僕が!」
「ありがたいな、『アウィン』とやら! 貴様の意志、その強靭さ、それに我は敬意を示そう! 故に、受けるがよい、『クサリク』! これが!」
ワルルーナは咆哮する。
それに応えるように「ワルルンガーΣ』の巨腕が振るい挙げられる。
「願いには誠実でなくてはならなぬ! それを忘れた怪物に、同業他社を名乗る視覚など無いわ!!」
その一撃は、鉄槌。
知的生命体を喰らうためだけに願いを歪める者へと鉄槌。砕く一撃はワルルーナの裂帛たる気合と共に放たれ、その巨体を砕く――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡みも歓迎!
無法!仕様外!発注してない機能!
んもー困るなーそういうのー帳尻合わせの獣が生まれちゃうよー
でもそういう帳尻合わせの帳尻合わせをするのもボクらの仕事かー
世界がわやになるよりはましだしね!ありがとうじゃあ遠慮なくー!
●当たらなければ
ボクの【第六感】によればこう身を捻ってかわせばここがギリ安全地帯!
あちょっと鼻血出た!
はーいじゃあみんな歯を食いしばってー
ちょっと痛いからね!
UC『神撃』でドーーーンッ!!
ほんとごくろうさまだね!
ほんと猟兵のみんなといい、キミたちってボクたちの想像を超えてるよ
賞賛と、感謝に値するよ
ありがとうね
じゃあまたどこかでー!ばいばーい!
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』の力は規格外であるように思えた。
『11の怪物』の一柱『クサリク』の力も規格外であったが、しかし、その理外にある力は言いようのないものだった。
曰く|意志《ガッツ》。
悲劇のエンディングを許さぬ揺るぎない意志。
それのみにおいて『アウィン』は死さえ乗り越えて蘇り、さらには『クサリク』に無理矢理融合を果たすことによって、その力を大きく減退させていたのだ。
「無法! 仕様外! 発注してない機能! んもー困るなーそういうのー」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の言葉は『クサリク』の心の内を代弁するかのようなものであった。
あまりにも理外。
化け物、と『クサリク』が『アウィン』を評したのもまた頷けるものであった。
「帳尻合わせの獣が生まれちゃうよー! でもそういう帳尻合わせの帳尻合わせをするのもボクらの仕事かー」
「僕には戦う力がないですから。それは申し訳ないと思っていますよ、猟兵」
『アウィン』の言葉と共に放たれる破壊光線。
それは嵐のように吹き荒れ、『クサリク』の咆哮と共にロニを襲う。
第六感でもって直撃は躱すことができても、余波の衝撃波がロニの体を吹き飛ばす。
「うわー、ちょっと鼻血出た!」
ギリギリ安全地帯かなって思ったところは、ギリギリセウトであった。
吹き荒れる衝撃波の波を躱すようにしてロニは空中に舞い上がって『クサリク』の巨体を見下ろす。
これまで叩き込まれてきた猟兵達のユーベルコードの傷跡であろう。
無数に刻まれた痕が残されている。
それを覆う暇すらないのだろう。余裕が無い、ということは消耗しているということだった。
「世界がやわになるよりはマシだから、キミの戦いに遠慮なく乗っからせてもらうよ!」
「ええ、僕たちのことは気にしないで」
「はーい、じゃあみんな歯を食いしばってー! ちょっと痛いからね!」
破壊光線が荒ぶ最中、しかし、それは無限ではない。
放ちきった光線は突如として霧散するようにしてかき消える。それは『クサリク』の体を無理矢理に融合させた『アウィン』が生み出した一瞬の隙。
完全に行動不能となった体が軋む。
「グゴゴゴ……! これだけの時を経ても、今だ折れぬか、その|意志《ガッツ》は!」
「はい、ド――ンッ!!」
ロニの拳が煌めく。
ユーベルコードの輝きを受けて放たれる神撃(ゴッドブロー)。
それは『クサリク』の巨体を穿ち、くだきながら、更に振り抜かれる。
「ほんとごくろうさまだね! ほんと猟兵のみんなといい、キミたちってボクたちの想像を超えてくるよ」
ロニはそう言いながら、どこか誇らしげだった。
人間の意志。
ただ一つの意志が『11の怪物』さえ凌駕してみせる。
「賞賛と、感謝に値するよ。ありがとうね」
ロニは『アウィン』にそう告げる。
最早、その瞳に悲劇のエンディングは映っていない。またどこかで、とロニは手をふる。
「ばいばーい!」
彼らが再び蘇ることがあるのならば、恐らく悲劇のエンディングが誰かの瞳に映ったときだけだろう。
それを思い、ロニは手を振って応えるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
アウィン……彼は確かに、直接敵を打破する力を持っていないのかもしれない
だが、彼の行いもまた立派な戦いだろう。そして、それを引き継ぐのが俺達の役目だな
神刀の封印を解除。神気を纏う事で身体能力を強化して、クサリクの元へと一気に接近
下手に距離を取るよりも、至近距離で立ち回る方が抹殺光線とやらへの対処がしやすいだろう
エリクシルが露出したなら、その部位からは狙えないであろう角度へ移動して撃たせないようにする
とはいえ、同じ動きが続けば敵も動きに対応してくる筈。移動先を狙って撃たれる可能性を考慮して、移動先で更に回避だ
そして光線を撃てばアウィンが動きを封じてくれる。この隙に力を溜めて澪式・絶技【無畏】で斬る
振るわれる猟兵の一撃に『11の怪物』の一柱『クサリク』の体が砕ける。
しかし、今だ消滅していない。
吹き荒れるようにして体表より放たれる破壊光線が嵐のように戦場を埋め尽くす。
「このままで、このままで、終われるものか! この我が!」
「いいえ、終わらせます!」
強靭な|意志《ガッツ》のみで、死すら乗り越え蘇り、『クサリク』に無理矢理融合し、力を減退させる少年。はじまりのエンドブレイカー『アウィン』が叫ぶ。
その叫びに応えるようにして、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は戦場を走る。
神刀の封印を解除し、神気を纏うことで身体能力を強化して飛び込むのだ。
破壊光線の余波、その衝撃波と熱量だけで鏡介の体は痛みを訴える。
しかし、それを彼は振り払う。
「『アウィン』……」
はじまりのエンドブレイカーを思う。
死を乗り越え、死さえいとわずに未来のために事を為さんとする強靭なる意志。
それだけを武器にあの怪物を抑え込んでいる。
その意志に己は応えなければならないと思う。立派だと思う。戦う力がなくとも、それでも、と彼は戦い続けている。抗い続けている。
悲劇のエンディングが瞳に映るのだとしても、諦観に塗れることなく前に進む。
それを引き継ぐのが、己達の役目であると鏡介は走る。
「僕たちのことは気にしないで」
「……黙れ! 化け物め! 貴様が人間のような言葉を!」
『アウィン』の言葉に『クサリク』が毒づく。
追い詰められているのだ。これまで多くの猟兵達のユーベルコードが戦場にきらめいていた。その度に『クサリク』の体は亀裂が走り、穿たれ、点と点をつなぐようにして追い詰めていたのだ。
動きが緩慢になっている。
そして、破壊光線が放たれ切った瞬間、その巨体が軋む。
「ぐ、おおおおっ! 邪魔をするな! この我の! この『クサリク』の!!」
「いいえ、このまま動きを止めます。お前は今日此処で、僕達と共に滅びるのです!」
「『アウィン』、あなたの役目は俺たちが引き継ぐ。だから」
ユーベルコードに輝く瞳。
その瞳を『アウィン』は見ただろう。
そこに悲劇のエンディングはない。
あるのは、未来だ。
滅ぼされる未来ではない未来。それを見つめ『アウィン』は微笑んだ。
「任せました」
「ああ! 我が太刀は悉くを打ち砕く――」
澪式・絶技【無畏】(レイシキ・ゼツギ・ムイ)。
上段に構えた神刀の斬撃は、高密度に圧縮された魔の神気を纏い、気合一閃と共に放たれた一撃となって『クサリク』の巨体を切り裂く。
これまで猟兵達が紡いできた一撃。
それらが全て結実し、『クサリク』の巨体に刻まれた亀裂を全てつなぎ、明滅と共に砕くのだ。
「お、オオオオオッ! この我が、滅びる! 滅び、などっ!」
「終わりだ。お前のもたらす悲劇のエンディングは、俺たちが破壊した」
鏡介は砕けゆく『クサリク』の巨体を見やる。
そこには『アウィン』達の姿もあっただろう。霧散するように消えていく体。鏡介たち、猟兵を見やる『アウィン』は満足げだった。
己の意志は何一つ間違っていなかったと告げる瞳は、鏡介たちにも悲劇など欠片とて残っていない事を示していた。
願いを叶える宝石はいらない。
ただ一つの|意志《ガッツ》さえあればいい。
赤い宝石覆う空は消え去り、世界には青空が戻っていた――。
大成功
🔵🔵🔵