エンドブレイカーの戦い⑨〜天槍は全てを貫く
●石壁の街の攻防戦
猪のような亜人が、群れを成してやって来る。
言葉の響きだけなら、日常茶飯事だ。
だが、世界を揺るがす
大戦とあっては、話が違う。
群れの規模は大隊の如く、都市国家ひとつを丸呑みせんという勢い。
迎え撃つは、山斬烈槍ランスブルグが誇る騎士たち。
第三階層『石壁の街』、第二階層『鉄壁街』、そして第一階層『玉壁街』。
それらを常日頃から護ってきた城塞騎士や天誓騎士たちが一堂に会して、襲撃を受けた石壁の街を、まさに身を盾にして守っている状態だ。
敵の数は、恐ろしく多い。
だが、ランスブルグの騎士――とりわけ女王直属の『天槍騎士団』はランスブルグ最強の戦力。
埒外の力持つ猟兵たちが、彼らと手を取り合えば、必ず――。
●グリモアベースにて
「エンドブレイカー世界に、未曾有の危機が訪れました。皆さんのお力をお貸し下さい」
軍服姿の魔想紋章士・ディルアーク・クライン(
破軍星・f38905)が、軍帽を脱いで一礼し、集まった猟兵たちに状況の説明を始めた。
「僕が予知したのは、僕の故郷でもある『山斬烈槍ランスブルグ』という山岳地帯の都市国家での戦いです。この都市は大きく分けて三つの階層に分かれているのですが、その中でも最も大きな階層でもある最下層『石壁の街』が、ボアヘッドの大軍勢に襲われていますので、それを何とか蹴散らしていただきたいのです」
ディルアークが羊皮紙を一枚、二枚と宙に浮かせれば、猟兵たちは都市国家の大まかな構造と『ボアヘッド』と呼ばれた『敵』の姿を知ることとなる。
バルバと呼ばれる凶悪な亜人の一種で、イノシシが人のカタチを取るとこういう風になるのだろうと思われる絵姿が描かれていた。
「牙を巨大化させたり、接近戦からの投げ技、それに知性を低下させる領域の展開などを得意としています。そして何より、現地の騎士たちが総出で相手をしてもなお数が多くてキリがありません」
三枚目の羊皮紙が浮かんだ。燃える炎の剣を携えた、威風堂々とした騎士の姿があった。
「騎士たちの中でも特に『天槍騎士団』と呼ばれる、女王個人が所有する最強の兵力で、普段は玉壁街の守護を担っている手練たちとの連携を、強くお勧めします!」
天槍騎士団のことを語るディルアークの目の輝きはすごいものだった。故郷を護る最強の戦力とあっては、憧れずには居られないのか。
「僕たちエンドブレイカーから見ても明らかに埒外の力を宿した猟兵の皆さんが、都市国家最強の騎士団と共闘する……これはもう、勝ったも同然です」
どんなに敵の数が多かろうが、最強と最強の組み合わせならば、速やかに一掃できることだろうと、ディルアークは信じて疑わない目をしていた。
「今回、僕が共闘できないのは残念ですが、転移を引き受けながら皆さんの活躍を見守っていますね。準備ができた方から仰って下さい、早速ですが現地に送り届けますので!」
そう言って、ディルアークは愛用の魔導書を開く。
門をモチーフにした紋章のグリモアが光り輝き、猟兵たちを戦地へと誘う。
いざ、山斬烈槍ランスブルグへと――!
かやぬま
エンドブレイカー!世界の戦いと聞いて!
初めまして、あるいはお世話になっております、かやぬまです。
山斬烈槍ランスブルグでの大規模戦闘のご案内です。
●プレイングボーナス
『天槍騎士団と連携して戦う』
フレイムソードの天誓騎士をイメージしてオープニングを書きましたが、それ以外の兵種も勿論います。
集団戦が得意な、あなただけの天槍騎士団員を連れてきてもいいですよ!
「こういう騎士とこういう連携をして戦いたい」という、自由な発想でプレイングを送って下さって大丈夫です。
(騎士と言っても称号が騎士なだけで、魔法の使い手なども勿論存在すると思います)
●プレイングの受付について
早期完結優先で参ります、断章はありません。
今回は【成功判定でシナリオクリアの見込みが立つ人数=6名様ほど】を目安に書かせていただければと思います。
プレイングの内容に問題がなくても、キャパオーバーで不採用になってしまう可能性もあり得ますこと、申し訳ありませんがご了承いただければ幸いです。
プレイングの受付は【シナリオが公開された日の朝8:31から】でお願いします。
受付終了の際は、改めてタグとMSページでご案内致します。
また、省略記号や団体様向けタグを設けております。
◎:アドリブ歓迎。
×:ソロ描写希望。
団体様:【呼び名+(fで始まるID)】または【団体名+人数】をプレイング冒頭に記載して下さい。
お手数ですが、プレイングの送信前にMSページの諸注意にもお目通し下さいますと助かります。
それでは、よろしくお願い致します! 頑張って参りましょう!
第1章 集団戦
『ボアヘッド』
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POW : ボアクラッシュ
自身の【牙】を【長大】化して攻撃し、ダメージと【大量出血】の状態異常を与える。
SPD : 剛鬼投げ
【接近して敵を掴んで】から【投げ技】を放ち、【抑え込み】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 集落形成
レベルm半径内を【バルバの集落】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【凶暴性】が強化され、【知性】が弱体化される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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朱酉・逢真
◎
心情)イノシシのバルバか。亜人扱いされてないだけマシか…ヤいずれにせよ敵対してンだから関係ないか。敵はどンな名前がついてようと敵だモンなァ。ヒト同士でだって敵になるンだからさ…マアいいや。俺ァ前に出るよりサポのが得意だからな。前衛がいるってなァありがてェことさ。
行動)俺は服も
宿も病毒の塊、触れられっと仲間がくたばっちまう。だから《
黯》の中に潜っていよう。寒冷を力に変える騎士はいるかね? 極上の冷気を用意しよう。遠隔で使える部下も3頭いるよ。さァ、後は頑張っとくれ。進む道を作るのは、いつだっていまを生きる者だろう。神なンて不確かで無責任な者じゃアない。
●ニンゲンとかみさま、そしてバルバ
戦場の最前線に転移を受けて、状況を目の当たりにした朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は思う。
(「イノシシのバルバか。亜人扱いされてないだけマシか……」)
中途半端に虐げられるのではなく、完全に敵対している関係。
それでも最近は猟兵に覚醒するものも存在するというから、この世界にも着実に変化は訪れていると言えよう。
だが、今、眼前に迫るバルバは間違いなく害を為すものだ。
(「ヤ、いずれにせよ敵対してンだから関係ないか」)
逢真からしてみれば、敵はどんな名前がついていようと敵だし、ヒト同士でだって敵にもなるのだから。
「……マアいいや。俺ァ前に出るより
サポのが得意だからな」
前衛を担う天槍騎士団が居てくれるのは、ありがたいというものだった。
「猟兵殿、ご助力恐れ入ります!」
「あ、アー。俺は服も
宿も病毒の塊、触れられっと仲間がくたばっちまう」
「そ、そうなのですか?」
挨拶に来た騎士団員のひとりを制止すると、逢真はやおら足元に落ちた影の中に
落ちた。
「!?」
「だから、『
黯』の中に潜っていよう」
とぷん、と揺らぐ影の中から、逢真は騎士団員に声をかける。
「寒冷を力に変える騎士はいるかね?」
「あっ、はい、私めに多少心得がございますれば」
「そうかい。じゃァ、極上の冷気を用意しよう。遠隔で使える部下も三頭いるよ」
逢真が『
黯』の中から声を出すさまは、天下の天槍騎士団たちをして畏怖の対象とせしめた。それはそうだろう――逢真はヒトならざるモノ、かみさまなのだから。
超常【
前兆の冬禍】で生じた、剣を咥えた三匹の大狼が、冷気使いの騎士を守るように寄り添う。恐ろしくも頼もしい存在であった。
「猟兵殿」
冷気使いの騎士は、影に触れぬようその場に一度ひざまずくと、礼を述べた。
「私はこの寒さの中でこそ
細剣を振るい力を発揮する騎士です。時に仲間を巻き込んでしまうが故に、いつも孤独に戦って参りました。ですが」
今は、三頭の大狼が傍に居る。
「そのお力、ありがたく拝借しましょう。必ずや、敵を蹴散らして参ります」
「あァ、後は頑張っとくれ」
神々の黄昏の前兆。連続した三度の冬。それさえも味方につけて。
「進む道を作るのは、いつだっていまを生きる者だろう。
神なんて不確かで無責任な者じゃアない」
戦友を連れ、吹雪を巻き起こしながらバルバの群れを蹴散らしていく騎士団員を見守りながら、逢真は影の中でそう独り言ちた。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
×
天槍騎士団の皆さんとご一緒出来るとは
大変な状況ですが
光栄でもありますね
フレイムソードの天誓騎士さんと協力させて頂きましょう
主な攻撃は騎士団の皆さんに担って頂き
私はやや後方で支援を
可能な限り多くの騎士達を範囲に入れるようにして
白燐桜花合奏を使用
負傷した方が確実に範囲に入るよう
立ち位置は都度調整します
騎士が攻撃を受けそうになる・
危険が迫っている等の時は
演奏を一時的に止め
声を上げ注意喚起を
集落形成時は残花の出番ですね
知性が弱体化されても
蟲笛を吹く事くらいは出来る筈
残花を呼び出しバルバを素早く殲滅します
私の凶暴性が強化されているのなら
残花もまた同じでしょう
食らい尽くされて下さい
集落崩壊後はUC再使用
●白燐蟲、大活躍
天槍騎士団の多くを占めるのは、フレイムソード使いの天誓騎士だ。
神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は、そんな彼らとの共闘を望んだ。
「天槍騎士団の皆さんとご一緒できるとは、大変な状況ですが、光栄でもありますね」
薙人がそう言えば、騎士団員たちは口々に返礼を告げる。
「とんでもない、こちらこそ猟兵の方との共闘が叶うとは、有難いことです」
騎士団員たちの反応に少々くすぐったい思いをしながら、薙人は作戦を提案する。
「主な攻撃は騎士団の皆さんに担っていただき、私はやや後方で支援を」
愛用の蟲笛を取り出しながら一礼すれば、騎士団員たちは力強く頷いた。
「皆、今の我々には猟兵殿の加護がある! 恐れるな! 進め!」
「「「応!」」」
迫るボアヘッドの大群を押し返さんと、騎士団員たちが燃える得物を振るって次々に切り込んでいく。
敵は所詮烏合の衆、だがこうも数が多くては天誓騎士側の負傷も免れない。
そこをフォローアップするのが、薙人の役割であった。
「皆さん、頑張って下さい――行きます、【
白燐桜花合奏】」
可能な限り多くの騎士たちを範囲に入れるように立ち位置を定めながら、薙人は超常を発現させる。
奏でる蟲笛は美しい音色で響き渡り、喚び出された白燐蟲の群れは騎士たちが負った傷を瞬く間に癒やしていく。
「おお……傷が癒えていく……」
「猟兵殿のおかげだな! 引き続き油断なく行くぞ!」
「ありがとうございます、猟兵殿!」
僅かな傷でも、積もり積もれば大事になる。
それを未然に防いでくれる薙人の回復術は、騎士たちの大きな助けとなった。
天誓騎士たちの勢いが増せば増すほどに、ボアヘッドの大群は蹴散らされていく。
彼らに決して油断はなかったのだろう、しかし勢い余って一部が突出して群れの中に突き進んでしまう結果となったが、騎士たちは眼前の敵に夢中で気がつかない――!
「気をつけて下さい! このままでは囲まれてしまいます!」
そこで薙人が一旦蟲笛から口を離し、声を上げて注意を促した。
「おっと、危ない!」
「我らとしたことが、お恥ずかしい……っと!」
薙人の声を聞いた騎士団員たちは、即座に陣形を組み直し、危機を未然に回避する。
騎士団と猟兵の共闘は、確実に功を奏していた。
『――』
戦況がこちらに優位に進んでいると思われたその時、ボアヘッドたちが謎の声を上げた。
ぐらり。
その場の誰もが、視界が歪むような感覚を覚えた。
明瞭な思考が失われ、代わりに燃えるような闘志が沸き起こる――。
「うおおおおお!」
「せやああああ!」
互いに互いをかばい合いながら戦っていたはずの天槍騎士団たちが、てんでばらばらに、やみくもに炎剣を振るい始めたのだ。
「く……っ」
薙人も、頭の中に靄がかかったような感覚に囚われる。
だが、その状況さえも薙人は味方につけた。
「残花」
そう呟くと、再び蟲笛を吹き始める。
乱戦状況になりつつある戦場に、丸くてころころした白燐蟲の群れが迫り、見た目の愛らしさに反した凶暴性でボアヘッド共を次々と食い殺していく。
(「食らい尽くされて下さい」)
知性の弱体化を受けても、蟲笛を吹くことはできるはず。
そうあらかじめ備えていた、薙人の勝ちであった。
こうして騎士と猟兵の連合軍側が圧倒した結果、バルバの集落形成術は崩壊した。
秩序を取り戻した騎士団員たちと薙人は、再び共同戦線で押し返しに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵

マウザー・ハイネン
◎
…それはフラグ、というのでは?
いえ、信頼と期待に応えてへし折れとの激励ですね頑張ります。
天槍騎士団の方々には手短に礼を失せぬようご挨拶。
吹雪を招きますのでご注意を、と伝えてから氷細剣を地に刺してUC起動。
敵の機動力は厄介ですので騎士の方が攻めやすいように四肢を凍らせます。
元気な個体は騎士槍で受け流しつつカウンターを叩き込み、瀕死は吹雪で一気に体力削り取りましょう。
…連携戦術、天槍騎士団は凄まじいですね。
たゆまぬ鍛錬で体得した技術は精神汚染にも負けない…遊撃の忍者の方も騎士でしょうか。
上手く逃げ場を封じていますね。
これは私も負けていられません。
高揚する凶暴性…狂気を鎮めつつ突出せぬよう攻撃を。
●氷雪の円舞曲
「……それは『フラグ』というのでは?」
マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は、出立前のグリモア猟兵の様子を思い出しながらそう呟く。
「いえ、信頼と期待に応えてへし折れとの激励ですね、頑張ります」
しかし、すぐマウザーなりにそう解釈して、いざ戦地へと赴いた。
「猟兵殿、お力添え非常に有難く存じます!」
「いえ、こちらこそ名高き天槍騎士団の皆様との共闘、光栄に思います」
騎士団員の声に、マウザーは手短ながら礼を失しない挨拶で返すと、すぐに
氷細剣を抜き放ち、切っ先をボアヘッドの大群へと向けた。
「吹雪を招きますので、ご注意を――【
氷獄の吹雪と共に希望は来たれり】」
そう言って、マウザーはアイスレイピアを地面に突き刺す!
『グ、グオオオ
……!?』
氷細剣を媒介にして、地面を這うように吹雪が吹き荒れ、迫る来るボアヘッド共の四肢を凍らせていく。
「敵の機動力は厄介ですので、皆さんが攻めやすいようにしておきました」
「おお、これはお見事」
だが、流石に全てを凍てつかせることは叶わず、それでも元気な個体に対してはマウザー自らが相手をすることにした。
騎士槍で攻撃を受け流しつつカウンターを叩き込む。
死に損ないの連中は再び巻き起こした吹雪で一網打尽。
まさに、獅子奮迅の活躍であった。
(「……連携戦術、天槍騎士団は凄まじいですね」)
自らも得物を振るいながら、横目で騎士団員たちの戦ぶりを見ていたマウザーは心から感心する。主力である騎士たちが切り込んでいく後方から、術士たちが回復で援護する。
それは、かつてマウザーがエンドブレイカーとして仲間たちと幾多の都市国家を守るために戦った記憶を想起させるものでもあったろう。
「気をつけろ、集落形成術が来るぞ!」
「任せておけ、二度は喰らわん!」
先程、一度ボアヘッドの狂気に触れた騎士団員たちは同じ轍を踏まない。
それは、たゆまぬ鍛錬で体得した技術によっての対精神汚染能力とも言えよう。
(「遊撃の忍者の方も騎士でしょうか、上手く逃げ場を封じていますね」)
――これが、ランスブルグが誇る最強の騎士団。
成程、あのグリモア猟兵が目を輝かせる訳だと、マウザーは口元だけで微笑う。
「これは、私も負けていられません」
ボアヘッドの攻撃で高揚する凶暴性――狂気を理性で押しとどめながら、一人突出してしまわぬように、青空の下ナイトランスを振るうマウザー。
舞い散る吹雪がきらきらと煌めいて、まるで踊りを踊っているよう。
マウザーが騎士団を眩しく見ていたのと同じく、騎士団員たちもまた、戦の傍らでマウザーを眩しく見ていたという。
大成功
🔵🔵🔵
御桜・八重
◎
ランスブルグの春祭りは楽しかったなー
「こんにちは!」
天槍騎士団の人を見つけたらまずご挨拶。
そして作戦を提案します。
「実は……」
「さあ、かかって来―い!」
バルバを挑発。ちょこまか逃げ回りながら
一固まりになるよう誘導。
でも多勢に無勢。捕まって抑え込まれちゃう……
「かかった!」
花よ導け、道開け!と不敵に笑って詠唱すれば、
ザアッと巻き起こった桜吹雪が視界を閉ざす。
収まった時、気づけばグルリと周りを囲む天槍騎士団!
桜吹雪に巻き込んだ者を味方のところに転移させるUCで
バルバを天槍騎士団の包囲網に放り込んだのでした。
どさくさに紛れて脱出。
さーて、わたしも暴れるゾ。
こんな素敵な街を壊させやしないんだからね!
●石壁の街に桜舞う
御桜・八重(桜巫女・f23090)にとって、ここ山斬烈槍ランスブルグは思い出の土地の一つでもあった。
(「ランスブルグの春祭りは楽しかったなー」)
あの時は今戦場となっている『石壁の街』のひとつ上の階層で事件が起きたが、そんなことは関係なく、八重にとっては『素敵な都市国家』という認識で間違いなかった。
――護らねば。
桜の巫女は世界を渡り、今、戦場へと舞い降りる!
「こんにちは!」
目についた天槍騎士団のひとりに元気良く挨拶をすると、騎士団員は振り返り気さくに挨拶を返してくれた。
「やあ、貴殿も猟兵のひとりだね? 歓迎するよ、此度はよろしく頼む」
恐らくは、騎士団の中でも戦歴が長い人物なのだろう。こうして八重と挨拶を交わしている間にも、的確に周囲に指示を出してボアヘッド共の波を押し返している。
「あの、実は……」
この人物にならば話は早いと、八重は持参したある『作戦』を切り出した。
「……ふむ、一度は貴殿を危険な目に晒さねばならぬのは心苦しいが……」
「お願いします! 力を合わせれば、絶対上手く行きますから!」
一度は難色を示した騎士も、最後は八重の熱意に負け、笑った。
「承知した――全員、後退戦術! 猟兵殿が前に出る!」
「「「応!」」」
じりじりと、わざと押されるように戦線を下げていく騎士団員たちと入れ替わるように、八重がボアヘッドの群れの中に単身飛び込んでいく。
「さあ、かかって来ーい!」
ボアヘッドを挑発し、ちょこまかと逃げ回りながら、敵が一塊になるように上手く誘導する八重。
しかし次第に退路を塞がれ、周りには無数のボアヘッドが。
「……!」
遂には寄ってたかって取り押さえられてしまった。
哀れ、このまま凶悪な牙の餌食となってしまうのか!?
「かかった! 『花よ導け、道開け』!」
ユーベルコード【
桜小路】が発動した瞬間、ボアヘッド共は不敵に笑う八重を見たに違いない。
そして、それはすぐにザアッと巻き起こった桜吹雪にかき消される。
「猟兵殿!」
桜吹雪が収まった時、八重とそれを取り囲んでいたボアヘッド共は、天槍騎士団の包囲網の中に居た。
桜吹雪に巻き込んだ者を味方の元へ転移させる超常の、全ては布石だったのだ。
「かかれーっ! 一匹も逃すな!」
あとは退路を断たれたボアヘッド共を一網打尽にするだけ。
どさくさに紛れて八重も脱出し、一緒に大暴れ。
「こんな素敵な街を、壊させやしないんだからね!」
「ありがとう、猟兵殿。全てが片付いたら、今度はゆっくり遊びに来て下さいね」
騎士団員から感謝の言葉を述べられ、エヘヘとなる八重であった。
成功
🔵🔵🔴
レプリカ・レグナント
敵は知性があるとは言え所詮は豚畜生よ、自慢の戦斧ではなく畜生らしく牙を伸ばしての突撃とはな
滅びの果てよりきたれ、我が亡国の軍勢よ
さあ往くぞ天槍騎士団の諸君そして我が軍勢よ
まずは火竜の灼熱の炎を奴等の最前列の部隊に直撃させよ
最前列が止まれば敵の進行速度そのものも停止する
我が軍勢はこのまま突撃し最前列を突き抜け敵を分断する
天槍騎士団は左右に別れ分断した敵軍を挟撃せよ
伸ばした牙は正面だと厄介だが脇腹を狙えば恐れる事はない、精強な諸君ならば造作もなかろう
正面を突破する我等にしても灼熱の炎を諸に受けては顔上げ牙を突き刺すなど不可能
獣に覚悟無く故に痛みを耐えることはない
人の強さは数ではない揺るがぬ覚悟だ!
●誇り高きもの
「敵は知性があるとは言え所詮は豚畜生よ、自慢の戦斧ではなく畜生らしく牙を伸ばしての突撃とはな」
初手から超常【
忘却の軍勢】で自身を強化したレプリカ・レグナント(傾国参謀・f32620)は、軍師らしく冷徹に敵であるボアヘッドを分析する。
「おお、何という屈強な軍勢……」
「これが猟兵殿のお力ということか……」
レプリカが滅びの果てより喚び出した亡国の軍勢は、天槍騎士団に少なからぬ衝撃を与えたらしい。それほどまでの偉容であった。
「さあ往くぞ天槍騎士団の諸君、そして我が軍勢よ」
そう告げると、レプリカはまず従えた灼熱の炎を吐く火竜をひと撫でし、眼前のボアヘッドの大群をキッと見据えた。
「やれ!」
レプリカの合図に従い、火竜が灼熱の炎を吐いてボアヘッド共の最前列の部隊に直撃させる。さすれば当然、敵の進行速度そのものも停止するというもの。
「良いか! 我が軍勢はこのまま突撃し最前列を突き抜け敵を分断する! 天槍騎士団は左右に別れ、分断した敵軍を挟撃せよ!」
「猟兵殿、御身が危険ではありませんか!?」
レプリカの身を案じた騎士団員が問えば、傾国参謀は不敵に笑った。
「伸ばした牙は正面だと厄介だが、脇腹を狙えば恐れる事はない。精強な諸君ならば造作もなかろう」
「そ、そんな……我々を案じて
……!?」
気を遣われていたのはむしろ自分たちの方だと知って、恐れ入る騎士団員たち。
「正面を突破する我等にしても、灼熱の炎を諸に受けては顔上げ牙を突き刺すなど不可能。獣に覚悟無く、故に痛みを耐えることはない!」
自信に満ち溢れたレプリカが再び指示を出せば、言った通りただ焼かれるだけの哀れな獣と化すボアヘッド共の姿があった。
「見よ! 人の強さは数ではない、揺るがぬ覚悟だ!」
それはまるで天槍騎士団の主・女王ジョナ一世をも思わせるカリスマ性であった。
成功
🔵🔵🔴
ソフィア・アンバーロン
◎WIZ
うわぁ…これじゃぁバルバの集落だよう
よぉーし、早速バルバをさっそく蹴散らすぞぉ!
敵バルバがたくさん居る方向に立って…
こっちだよう♪さぁ倒せるもんならいらっしゃーい♪
バルバ達を挑発してみよう
向かってくるバルバ達や集落のバルバ達にユーベルコードを使うんだよう
さぁ、お食べ♪
個々からは騎士様たちとシルヴィア(星霊)と一緒に狩りと行きましょう
新しいバルバが来るだろうから定期的にユーベルコードを使うよ
魔鍵に貫通攻撃をつけて殴ったり
影縛りを使って動きを邪魔したり
呪殺弾を撃ち込んだり、シルヴィア(星霊)と騎士様達で殴りつけるよ
弱体化してきたぞぉ!
殴れ殴れぇ!
●最後は腕力がモノを言う
ボアヘッド共の数は、一時期絶望的とも思われていた所から、猟兵たちと天槍騎士団たちとの共闘と奮戦とで、あとひと息で完全に殲滅できる所まで減らすことができた。
だが、最後の悪あがきと言うべきか、ボアヘッド共は最後まで戦場を己の集落と化して。少しでも自分たちが有利に戦えるように凶暴化して牙を振るっていた。
「うわぁ……これじゃぁバルバの集落だよう」
ソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)自身も知性低下の影響を受けてしまいそうになりながらも、必死に堪えて愛用の魔鍵を握りしめる。
「よぉーし、早速バルバを蹴散らすぞぉ!」
意気込みながらボアヘッドの群れが一番厚い方向に立つと――。
「こっちだよう♪ さぁ、倒せるもんならいらっしゃーい♪」
『フンガー!!!』
ソフィアの愛らしい挑発にまんまと乗せられて、ボアヘッド共がムギャオとなって迫り来る。
「猟兵殿、危ない!」
天槍騎士団の面々が助太刀に入ろうとするのをそっと後ろ手で制止して、ソフィアは魔鍵を虚空に突き立てた。
「言う事聞いてね。さぁ『お食べ』♪」
発動したユーベルコードは【
ロッキングアンドイロウシェン】。
かつてKO効果と呼ばれていた状態異常『封印』と『侵食』を付与し、ボアヘッド共の動きを止める!
「騎士様たち、ここからはシルヴィアと一緒に『狩り』と行きましょう」
「お……応!」
動きが止まった敵相手には、何ら苦戦することもない。
バッサバッサと斬り捨てて、残党狩りは順調に進んでいく。
ソフィアも魔鍵に貫通攻撃の力を付与して殴りかかったり、まだ動く敵には魔鍵を打ち込んで影縛りで動きを阻害したり、呪殺弾を撃ち込んだりと、獅子奮迅の大活躍。
「見て下さい、あれだけの数だったバルバが……」
「ああ、あともうひと息だ!」
星霊スピカ――シルヴィアもソフィアと一緒になってぺちぺちとボアヘッドを殴る。
「弱体化してきたぞぉ! 殴れ殴れぇ!!」
何というか、とにかくもう最後の方は天槍騎士団総出でボコスカ殴り、ソフィアとシルヴィアがそれに息を合わせて大乱戦となり――。
「か……」
「勝ったぞおおおお!」
「やったあああああ!」
ソフィアとシルヴィア、そして天槍騎士団が、一丸となって最後は殴り倒すという結末で、山斬烈槍ランスブルグの危機はひとまず去ったのであった。めでたしめでたし!
大成功
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