エンドブレイカーの戦い⑧〜アマツカグラ演舞奉納作戦〜
巨大な二本の天津太刀を頂く「霊峰アマツ」を中心に広がり、地面から湧き出る温泉を生活の基盤として利用する東方の都市国家、アマツカグラ。
「マギラントに侵攻していたエリクシルの軍勢の一部が分かれ、アマツカグラに向かっていることが判明しました。マギラントとアマツカグラは隣国のため、恐らく途中まで行動を共にしていたのでしょう」
マギラントとアマツカグラが1枚の内に描かれている海図に軍勢の進路予想を書き込みながらルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は猟兵達に語りかける。
「その軍勢の襲来に備えて現在アマツカグラでは現地の神楽巫女達の主導の元、大規模な結界儀式が行われております」
アマツカグラの周りには「神火の結界」という物が張られている。
この結界は霊峰アマツにある檜舞台で「火那山津見神」に神楽舞と演武を捧げることでより一層激しく燃え上がり、押し寄せる敵だけを焼き尽くすという。
「とはいえ、アマツカグラの方々に我々が11の怪物を撤退させるまで踊り続けてもらうのは現実的な策ではありません」
いくらシフトを組んで交代制で行ったとしても神楽巫女も立派な人間、満足な食事や睡眠を取れなければ体は何かしらの不調を引き起こす。
そしてその不調は病気や怪我という形で発露し、それらの穴を埋めるために生じた歪みが更なるイレギュラーへと繋がっていくのだ。
「そこでその歪みが起こる前に皆様に入ってもらって、現地の方々に十分な休養を取ってもらおうと」
マギラントの隣国とはいえ、まだアマツカグラの周辺にエリクシルやモンスターの姿は見えておらず、猟兵側も緊迫した状況ではない。忙しくない今こそアマツカグラの人々には慌てず騒がずゆっくりと休んでいてもらいたい。
「舞や演武の形式にこれといった決まりは無いそうです」
そう言ってルウは檜舞台の写真を海図の上に乗せる。
比較的平らな地形の上に建てられた舞台には屋根がなく、巨人でも大立ち回りを演じられそうなほどの広さが取られていた。
「ただ決まりはないとはいえ、無感情で機械的に踊るだけでは火那山津見神の心に響かないかもしれません。この戦いに対する祈りや決意でも、踊ることに対する喜楽でも何でも構いません。皆様が出来る全力の演舞を披露してきてください!」
平岡祐樹
飯食ってる場合じゃねぇ! なお健康は犠牲になる物とする。
お疲れ様です、平岡祐樹です。
このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。
今案件にはシナリオギミック「神に捧げる舞または演武を披露し、神火の結界を強化する」がございます。
これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
第1章 冒険
『天津大神楽』
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POW : 武器を振るい、力強い演武を見せる
SPD : 高度な技を織り交ぜて舞い踊る
WIZ : 祈りを込めてたおやかに舞う
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リカルド・マスケラス
「楽しく踊るんだったら任せるっすよ〜」
そんな感じでエントリーする狐のお面。ノリはチャラいが、真面目にはやる
「さあ、我が神火を以て、祈りを捧げん」
忍者のアビリティ【神火分霊撃】でたくさんのフェアリー姿の炎の分身を生み出し、楽しそうに舞わせる
「高さの制限がないっすからね。縦横無尽に行くっすよ!」
高いところから低いところへなど立体的に交差させたりなどして盛り上げる
炎の分身ではあるが、舞台などに延焼はしないようにしている。
クライマックスでは分身を一体ずつ炎に戻し、静かに少しずつ消してしめやかに締める
「少しでも、結界の足しにはなってくれたら嬉しいっすねー」
「楽しく踊るんだったら任せるっすよ〜」
ノリノリで天津大神楽にエントリーする狐のお面、リカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)。
今回は単独行動の現地調達ではなく、いつも頼りにしている少女の側頭部にくっついていた。
「それにしても、お祭りみたいっすね」
有事に対する儀式にも関わらず舞台の周りには踊り子以外の客の姿があり、周囲には食べ物や遊戯の出店が立ち並んでいる。
「まだマスカレイドもエリクシルも来てませんから、楽しめるうちは楽しもうという感じです。火那山津見神様も粛々と鬼気迫る感じでやるよりもこちらの方が楽しんでくださると思いますし」
リカルドの呟きに受付役の巫女がはにかみながら答える。まあ同じ理由で「奈落」で大宴会を開いている自分達が何かを言えた義理ではなかろう。
直前の舞い手が降り、無人となった檜舞台に上がったリカルドは足元の感覚を確認してから印を結ぶ。普段の言動は軽薄でチャラい印象を受けるが、やることはしっかり真面目なのである。
「さあ、我が神火を以て、祈りを捧げん」
忍者として学んだ術からたくさんのフェアリーの形をした炎の分身が生み出され、楽しそうに宙を舞い始める。
月の光が主張せず控えめに照らす舞台の上でその姿はくっきりとしつつ、幻想的に見えた。
「高さの制限がないっすからね。縦横無尽に行くっすよ!」
物理的な制約がないことをいいことにリカルドは舞台の中央で回りつつ、フェアリー達を高いところから低いところへなど立体的に交差させたりなどして盛り上げていく。
とはいえその実態は炎であるため、檜舞台などに飛び散った火の粉から発火はしないように細心の注意は払い続けていた。
そしてクライマックスではフェアリー達を一体ずつ炎に戻し、静かに少しずつ消してしめやかに締めた。
まるで線香花火のようであったフェアリーの舞に、周囲から拍手が起こる。
「少しでも、結界の足しにはなってくれたら嬉しいっすねー」
向けられる賞賛を手を振ることで返したリカルドは次の番を待つ者のために長居することなく舞台を降りた。
大成功
🔵🔵🔵
イネス・オルティス
そうね奉納する舞はどんなものでも良いのかしら?
それなら私の故郷の隠れ里に伝わる槍の舞をやってみましょう
なぎ払い、串刺し、武器受けといった槍の型が組み合わされたダンスを奉納する
これはビキニアーマーの精霊やご先祖様に捧げる舞よ
そして一族の槍の使い方を学ぶための型でもある
今はこれを『火那山津見神』へ奉納するわ
恥ずかしさ耐性のあるイネスは、周りの視線を気にしません
そのため無意識に周りを誘惑してしまう事がありますが
イネスにそのつもりはありません
「そうね奉納する舞はどんなものでも良いのかしら?」
参加者を募る巫女へイネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)は改めて確認を行う。
「はい! 舞でなくとも歌でしたり演劇でしたり…… 火那山津見神に奉納するのに相応しい物でしたら何でも!」
「それなら私の故郷の隠れ里に伝わる槍の舞をやってみましょう」
そうしてイネスはなぎ払い、串刺し、武器受けといった槍の型が組み合わされた舞を披露した。
これこそイネスの村に代々伝わるビキニアーマーの精霊や先祖に捧げる舞であり、一族の槍の使い方を学ぶための型でもある。
粛々と、だが苛烈に振るわれる槍が空気を裂く音が静寂に包まれた檜舞台の上に響く。その迷いのない切先に同じように武芸を嗜む者は息を呑んで見守っていた。
ただ全員が全員同じ感想を抱いたかと言えばそんな訳がなく。
イネスが身につけている服はビキニアーマーと呼ばれる露出の多い鎧である。
イネスが生まれた村に住む者達にとってはこれが一人前だと認められた証であり正装であり、恥じる要素は全く無い。
しかし槍を振るうたびに揺れる胸、鎧の間から流れて散る汗、そして一歩踏み出すたびに中身が見えてしまいそうなチラリズムにだらしなく鼻の下を伸ばす者は、ここアマツカグラにもいた。
だがそんな隣にいる者がそんな邪な想いを抱いていることに巫女達を始めとする女性陣が気づかぬわけがなく、即座に鉄拳による制裁が振るわれた。
そんな暴力沙汰も祭りの花だと、心配に思うことも自分に向けられる視線に込められた感情を読み取ることもなくイネスは火那山津見神へ異国の舞を披露し続ける。
するとイネスのビキニアーマーが不意に光を放ち始めた。
「なんと神々しい……」
まるで真摯に武芸へ邁進する姿を祝福するような姿に、邪な想いを抱いてなかった老齢の武芸者は口を真一文字に結びながら思わず唸ってしまった。
成功
🔵🔵🔴
ミーガン・クイン
エンドブレイカーの戦い⑧〜
(此華咲夜若津姫、ね。
デビキンで出会って、その強大な姿に嫉妬して、憧れて、意地だけで挑んだりしたわ。
単純な大きさなら勝れるかもだけど、人類の魔女と呼ばれるくらい本当に大きな存在には、私はなれないのかもね)
…ふふっ♪
姫様に捧げるには大きさが足りないんじゃなぁい?
神火でも、宴の品でも、私の【拡大魔法】ででっかくしてあげる。
姫様に見合うものを用意してあげなきゃね♪
…大きいって、楽しいのよ♪
ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)はあるエンドブレイカーから気になる話を聞いていた。
曰く、火那山津見神は「奈落」に囚われていた此華咲夜若津姫のことである、と。
(此華咲夜若津姫、ね。デビキンで出会って、その強大な姿に嫉妬して、憧れて、意地だけで挑んだりしたわ。単純な大きさなら勝れるかもだけど、人類の魔女と呼ばれるくらい本当に大きな存在には、私はなれないのかもね)
そんなことを思いながら霊峰アマツをあてもなく散策していると、木の陰から鈴の音が聞こえてきた。
興味を抱いて覗き込むと古びた舞台の上で1人の巫女が熱心に舞を踊っていた。
「あなた、そこで何をしてるのかしら♪」
とりあえず幽霊の類では無さそうだと声をかければ、巫女は驚いた様子で舞を中断した。
「……火那山津見神様に捧げる神楽舞を行っておりました」
「神楽舞ならあっちでもやってるじゃない? なんでこんな人気のないボロボロの所でやってるのかしら?」
「あれは娯楽性を強め過ぎております。あんな煩雑としていては姫様に真摯に向き合うことは出来ぬかと」
巫女の間にも色々な主義主張があるのね、と思いつつミーガンはあちこちに穴の開いた舞台を覆い隠すように鬱蒼と茂った枝葉を見遣る。
「……ふふっ♪ でも姫様に捧げるには大きさが足りないんじゃなぁい?」
「おおきさ?」
予想外の指摘に巫女が目を白黒させる中、ミーガンは宙に魔法陣を描き始める。
「ええ、あなたの気持ちは立派だけどこんな空も見えないところで踊られても姫様は見つけられないわ。なら見つけられるように大きくなるしかない、気持ちだけじゃなくて体もね♪」
完成した魔法陣が光り出すとその下にいた2人の体はみるみる大きくなって足元の舞台を踏み潰し、背は周囲の木々より高くなる。
「神火でも、宴の品でも、私の【拡大魔法】ででっかくしてあげる。姫様に見合うものを用意してあげなきゃね♪」
すっかり小さくなった周囲の景色に困惑する巫女へミーガンは手を差し伸べる。
「大きいって、楽しいのよ♪ それを今から教えてア・ゲ・ル♡ ……さあ、踊り明かしましょう♪」
成功
🔵🔵🔴
大町・詩乃
【WIZ】
此華咲夜若津姫さんとはデビルキングワールドの戦争でお会いしましたが、
慈悲深く誇り高い方でした。
彼女が愛した人々やこの都市を護る為、私もお手伝いいたしましょう。
巫女の正装に身を包み、神楽鈴と檜扇を持って、往流坐葦牙神社の神楽舞(ダンス・破魔・浄化・祈り)を披露いたします。
願うは人々の安寧を、此華咲夜若津姫さんの安らかな眠りを、
そしてこの世界を滅ぼそうとする11の怪物との戦勝を。
火那山津見神さん、どうかお力をお貸しくださいね♪
慈愛に満ちた表情で人々と都市を見つめて、舞を奉納し続けますよ~。
「此華咲夜若津姫さんとはデビルキングワールドの戦争でお会いしましたが……慈悲深く誇り高い方でした」
かつては彼女の幽閉地として用いられ、今は猟兵達の大宴会場となっている奈落への入口を前に大町・詩乃(
阿斯訶備媛・f17458)はもう一年以上前になった邂逅を回想する。
その時に彼女が
仮面を屈服させながら愛おしそうに語っていた「ぼうや達」が住む地にまさか自分達が降り立ち、彼らと共闘することになろうとは。
「彼女が愛した人々やこの都市を護る為、私もお手伝いいたしましょう」
そうして詩乃は檜舞台へ繋がる登山道を上がっていく。
登山道と言えどもちゃんと舗装がされており、緩やかな斜面には日通し行われる舞に乗じた様々な屋台が立ち並ぶ。
あの巨体では人々に混ざって軒先に並んで買うなんてことは無かっただろうが、この営みをきっと彼女は山の上から微笑ましく眺めていたのだろう。
それらを越えた先で詩乃は巫女の正装に身を包み、神楽鈴と檜扇を持って、自身が祀られている往流坐葦牙神社に伝わる神楽舞を披露する。
神が他の神に踊りを披露するというのは何とも不思議な感覚がするが天宇受売命やシヴァなど先人ならぬ先神は割と多く、特段突飛なことではない。
その動きは決して派手ではないが、鈴が鳴る度に浄化と鎮魂の音色が辺りに響き、千早の薄衣がたなびく。
願うは人々の安寧を、今は亡き此華咲夜若津姫の安らかな眠りを、そしてこの世界を滅ぼそうとする11の怪物との戦勝を。
両膝をついた詩乃は神楽鈴から伸びる伸縮自在の五色の絹布をもう一方の手で掴みながら頭を下げる。
「火那山津見神さん、どうかお力をお貸しくださいね♪」
詩乃は顔を上げるときっとかつて此華咲夜若津姫が向けていたのと同じような慈愛に満ちた表情で人々と都市を見つめて、舞を奉納し続けた。
成功
🔵🔵🔴
真宮・奏
凶悪な侵略者から国を護る結界を強化する為に神楽巫女の皆さんは頑張っているんだね。ジャンルは違うんだけど、休まず踊り続けるのって凄く疲れるんだよ。
護る為の舞なら私も協力するよ。元々護る事が信条だし、踊りなら任せて!!
この国の神楽舞とは違うんだけど、精一杯の願いを込めて絢爛のクレドを踊るよ。このアマツカグラは豊かな自然と神様のご加護の元、人々が暮らしてる。人々の何気ない幸せな暮らしを火那山津見神様、大いなる力で守ってください。
この国におおいなる神火の護りを!!
檜舞台で踊るのは初めてだけど、私にできる精一杯の事を!!
「凶悪な侵略者から国を護る結界を強化する為に神楽巫女の皆さんは頑張っているんだね……」
ジャンルは違うが、休まず踊り続けることがどれだけ困難かを知っている真宮・奏(絢爛の星・f03210)は代わる代わる思い思いの奉納を行う巫女達や武芸者達の姿を見学する。
その出来は必ずしも素晴らしいと言える物ではなかったが……どれもこれも真摯に神に祈りを捧げる物であった。
「護る為の舞なら私も協力するよ。元々護る事が信条だし、踊りなら任せて!!」
思いがこもっていれば何でも構わないという言葉に甘えて、奏は檜舞台に上がる。
「人々の何気ない幸せな暮らしを火那山津見神様、大いなる力で守ってください」
檜舞台で踊るのは初めてだが自分にできる精一杯の事を、と奏は覚悟と願いを込めてこの国の神楽舞とは違う【絢爛のクレド】を踊り始めた。
今、このアマツカグラは豊かな自然と神様のご加護の元、多くの人々が暮らしてる。
だが今から約15年前、マスカレイドに
棘の具現たる薔薇を天峰アマツに咲かされたことでアマツカグラの人々は同族になるか死ぬかの2択を迫られ、都市国家としての滅亡を一度迎えた。
しかし僅かな隙をついて脱出した生き残りの証言によって現状を把握したエンドブレイカー達が世界の瞳を用いた転移手段を構築し、そこから一気にアマツカグラ本土へ流れ込んで戦ったことでマスカレイドの元から再独立を果たしたのだ。
その歴史を知っているからこそ、人々は神火の結界に祈りという名の薪を焚べる。もう二度と同じようなことを繰り返さないために。
そんな想いを知ってか知らずか、奏のステップはより軽快になり人々を鼓舞していく。
「この国におおいなる神火の護りを!!」
そして全力で踊り切った奏は天にいるはずの神と繋がろうとばかりに手を頭上高くに伸ばした体勢で止まると、肩で息をして玉のような汗をかきつつも満足気な表情を浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵