闇路の様なこの地に 一条の焔光を
●
それは唐突に鳴り響いた。
警報。否、報せるにはあまりにも遅く、警告の意味を成していない……ただの、絶望の響きだ。
空から降り注ぐ
小剣を先触れとして、それに導かれたデウスエクスはとある都市を滅ぼすべく、既に降下を完了している。
『レヴィアタン』――巨大な鯨の形をしたデウスエクスの戦艦は伊勢湾に着水。その余波で高波が起こるも、決戦都市と化した伊勢――『アマテラス』は霊的結界でその高波を防ぐ。
あの霊的結界は広域かつ大多数のヒトへ被害を及ぼす『モノ』を確実に止める。高波はもちろん、レヴィアタンも通れない。
しかし逆を言えば『小さなモノ』であればすり抜けるのだ。ならばこそレヴィアタンは直掩部隊である『エインヘリアル黒剣団』を差し向ける。
空を舞う黒き死の先触れ。
彼女たちは手にした剣でヒトの命を刈り取るべく、アマテラスへと殺到した。
●
「集まってくれたね。ホントありがとう。それじゃお姉さんが予知の内容伝えちゃうぞー」
人が集まってくれたのが嬉しかったのか、なんか楽し気なシャナミア・サニー(キャバリア工房の跡取り娘・f05676)がグリモアの光を虚空へと投射する。
そこに映し出されたのは、剣と魔法と兵器が飛び交う現代ファンタジー世界。
「『ケルベロスディバイド』の世界のことは皆知ってると思うけど」
一応補足する。
ケルベロスディバイドでは
特務機関DIVIDEに集結した超人『ケルベロス』たちが、宇宙からの侵略者『デウスエクス』から地球を防衛している。
なぜデウスエクスが地球を襲うかというと、彼らの生存に必要なエネルギー『グラビティ・チェイン』が地球でしか生成されないからだ。ゆえに彼らの襲撃は我々の食事と変わらない。ヒトを殺してエネルギーを奪うという、単純なプロセス。
「それに対して特務機関DIVIDEは自分の身っていうか地球を守っていたわけだけど……元々、対処療法っていうか、襲撃が『有って』から迎撃に動いていた」
だが猟兵が介入することによって、予知によって行動することが出来る。
「だから、今から行けば、この襲撃の被害をいつも以上に抑え込むことが出来るってわけ」
襲来するデウスエクスを撃破して、街の平和を守る。
「簡単なお仕事でしょ?」
●
「場所は日本。三重県は伊勢市……だったとこ」
シャナミアの言葉に首を傾げる一同。それを察してシャナミアが言葉を続ける。
「伊勢は今、『アマテラス』っていう決戦都市に変わったんだ」
決戦都市『アマテラス』、それが今の伊勢市の名前だ。
「まぁ伊勢って山もあるし海も近いし、川も通ってるしで地理的にも戦略的にも拠点構えるには最高なんだよね」
難点があるとすれば、決戦配備の砲台の数より神社の数の方が多いことくらいか。
「だからこそ、此処を落とせば敵も侵略が容易になる」
だから相手も手加減なく戦力を投入してくるはずだ。
「皆に頼みたいのは、まずエインヘリアル黒剣団の迎撃」
迎撃地点はお任せする。
というのは街の中に入ってきている個体もいるし、いまだ海上にいる個体もいるからだ。
大切なことはこれらは直掩部隊で本体ではないということ。
本体は海に浮かぶ戦艦『レヴィアタン』――ダモクレスの移動工場でもある、なのでこれを撃沈する必要がある。
「エインヘリアルを倒し切れば、レヴィアタンもしびれを切らして動いてくるから」
そこを叩いて今回の襲撃を失敗に終わらせるのがミッションの内容となる。
「終わったら、お伊勢さんの付近の復興支援もよろしく!」
簡単だがこの流れが今回のミッションになる。
「準備が終わったら送るよ。決戦配備とか自分の装備のメンテは向こうに行ってからで大丈夫だから!」
そう言ってシャナミアはグリモアを猟兵たちの前にかざすのであった。
●決戦都市『アマテラス』
伊勢神宮(外宮・内宮)を中心に改造・展開された決戦都市。名前は内宮の祭神『天照大御神』より。
この地が決戦都市に選ばれた理由は2つ。神秘的な理由と地理的な理由とによる。
(《神秘的な理由》)
元より伊勢には多くの神社があり、神道の力が強く宿っている。これらの神社を霊脈で繋ぎ、伊勢125社を中心として、強化術式を施すことによって、伊勢は神秘的なエネルギーの源となった。
アマテラスはこの神秘的エネルギーを戦略の要とする。
強化術式の中心である外宮・内宮を守る強力な神聖結界。近代兵器と並び配備されている霊的兵装(魔術増幅装置や霊力弾砲撃、隔壁の代わりとなる霊障壁)。
そして三重県の各地にある重要施設を守る小規模結界(これは霊脈を通じて神秘的エネルギーを送り、それを利用している)。
これらによって、三重県各地はアマテラスに戦力を集中させることが出来、そしてアマテラスは強力な決戦配備を行うことで三重県各地を守っているというwin-winの関係を築いている。
(《地理的な理由》)
伊勢は陸地と海に囲まれ、戦略的に有利な位置にある。
海からの攻撃にも陸地からの攻撃にも容易に対応できるため、軍事的な観点からも非常に優れた拠点である。
また元々自衛隊の駐屯地が県内に複数あったことも幸いした。
同じ伊勢市内に在った陸上自衛隊の駐屯地は今や、砲撃設備及び戦闘ロボの待機基地である。飛行場も有するため、ヘリやVTOL機ならここで補給や整備が可能だ。
滑走路を必要とする戦闘機や戦艦はアマテラスより直線距離で20kmほど離れた場所にある航空防衛基地を利用する。ここは航空自衛隊の駐屯地であったために、レーダーや迎撃ミサイルが配備されている。また周辺のゴルフ場が全て整地された上で、長大な滑走路を有する戦闘機や戦艦のドッグに改造されている。
そして古来より伊賀・名張の地に根付く『シノビ』の技術。これらは近代兵器と交わり、様々な毒やバイオガスの開発。そして工作員の育成へと繋がった。
治療に関しても、大学病院と赤十字病院が中心となって構成された医療ネットワークが人々の命を救う。
これらは神秘的な理由と密接な関係にあり、強固な防衛体制を構築するに至っている。
(《決戦都市として》)
伊勢がアマテラスに生まれ変わるにあたって、複数の変化が生まれている。
まず砲台山の復活。旧日本軍が砲台を設置していたという山はその姿を近代兵器を戴くことにより取り戻した。伊勢市内を見下ろす朝熊山など標高のある山はもれなく砲台・狙撃設備が調えられた。
伊勢神宮の中に在る神楽舞台は神秘的な力を高めるための設備へ改造された。一般公開され、『民衆を盛り上げる』ことによって強化術式をより高めることが出来るようになった。
広さが必要な場合はサンアリーナを利用する。神楽舞台と同じような術式が施されたこの施設は効果自体は弱いものの、大人数を抱えることで神楽舞台を越える効果を発揮する。
伊勢神宮の裏手にある朝熊山の中腹には対デウスエクス秘密研究所が建てられ、伊勢市内にある各施設は見た目を変えずに、優れた戦闘技術を持つ人材が育成するための訓練施設へと中身を変えている。
しかし、伊勢神宮にかかる祭事に関しては古来より今に至るまで変化することなく、神秘的エネルギーおよび人々の心を支える行事として残っている。
るちる
まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
KBかと思ったらKDだった件について。獣人戦線も出せてないけど、なんか設定出来ちゃったのでシナリオ出します!
●全体
3章構成の通常シナリオです。
リプレイとしては、純戦×2からの、のんびりまったり復興支援。戦闘はシリアスである必要はありません。コメディでも可。プレの雰囲気を改変することはありませんのでご安心を。
禁止事項:R18的な行為および公序良俗に反する行為。一般人を意図的に巻き込むor攻撃する行為。市街地を広域破壊する攻撃。ケルブレ世界からの持ち込み(地位や称号など。アイテム化UC化されてるものは除く)
●1章
集団戦『エインヘリアル黒剣団』との戦闘。
市街地・海岸エリア・海上での迎撃戦になります。詳細は断章にて。
●2章
ボス戦『レヴィアタン』と戦闘。
海岸エリア・海上での迎撃戦になります。詳細は断章にて。
●3章
日常『復興支援』となり、先の戦闘で壊れた街を直します。
時間的に複数日かけても大丈夫ですが、ケルブレの時の設定であった『ヒールで幻想的になるけど建物も直せる』はありませんので、ユーベルコードか地道に直すことになります。
●その他
『決戦配備』として決戦都市アマテラスから支援を受けられます。詳細はアマテラスの項から拾ってもらって可。断章でも具体例を書く予定。
また、各章の開始位置についてはグリモア猟兵が転送でサポートします(リプレイには出てきません)。そのため、1章は市街地で戦闘。2章は直接レヴィアタンに乗り込むといった動きもお手軽に可能です。
●
オープニングが公開後、1章の断章を追加します。翌日朝プレ受付開始と思っていただければ。2章以降も冒頭に状況説明を入れますのでその後プレ受付開始。プレ送信できる間は受付中と思ってください。プレ受付時間などはタグで案内します(ない場合は、空いているなら受付)
それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
第1章 集団戦
『エインヘリアル黒剣団』
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POW : 黒剣団一斉突撃
【黒剣を振るいながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【同じ部隊の黒剣団員】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : グラビトンスラッシュ
【黒剣】による近接攻撃の軌跡上に【漆黒の重力エネルギー塊】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。
WIZ : 黒剣蹂躙
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【黒剣】で包囲攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●希望が僕らを照らすようにして
「くそっ……!! 奴らの侵攻が速いッ!!」
決戦都市『アマテラス』の中枢。
特務機関DIVIDEの指令部と化した伊勢神宮の一画で指揮官が叫ぶ。
霊的結界では防げない、敵の侵入はイコール街の人々の死だ。もちろんこの地に滞在しているケルベロスを筆頭に、一般人である自警団や警官までもが住民の命を守る為に行動を開始している。
今はまだ一進一退……だが敵の数が増えるにつれて押し込まれていく。こちらのケルベロスたちはデウスエクスの襲撃を検知してから集うために、どうしても出遅れてしまう。その出遅れがあまりにも致命的なのだ。
それでもどうにか今日までしのいできた。……がそろそろ限界だ。人的資源があまりにも足りない。ヒトだけは……すぐに用意できないのだから。
「いかに設備があったところで……!」
悪態が指令部内に零れる。
決戦配備の効果は強力であるが、あくまで『支援』でしかない。能動的かつ効率的にデウスエクスを撃退するには、どこまでいってもケルベロスの力が必要なのだ。
だから、モニターの向こう側で行われるのは今日こそ、このアマテラスの絶望的な危機……ではなかった。
「……!!」
オペレーターが息を飲んだのが、その場に居る全員に伝わる。次に零れる言葉をそこに居る全員が察する……そう、絶望の。
「ケルベロス、多数!! 降下を確認しましたっ!!」
「なんだと!?」
オペレーターの声に応じる司令官の声は絶叫というほどに激しく、そして司令官がオペレーター席に駆け寄る。そこに在った光景は、紛れもなく
ケルベロスの到着。
「速すぎる、どうして……いや、そんなことはどうでもいいッ!!」
湧いてきた疑念を振り払って司令官が側にあったマイクを引っ掴む。
「指令部から各拠点へ! 決戦配備の最終チェック、至急もう一度だ!」
レイラインコール――霊脈を利用して言霊を強化する専用回線はどれだけ離れていても霊脈で繋がっている場所なら即座にその声と意思を伝えてくれる。
「ケルベロスが集結した! 気合を入れろ!」
レイラインコール越しに返ってくる歓声。それを聞いて司令官が叫ぶ。
「これより決戦都市『アマテラス』はデウスエクス撃退のため! ケルベロスを全力で支援する!!」
闇路のようなこの地を救う、
幾条もの焔光を。
人々は確かに見たのだ。
●対エインヘリアル黒剣団
エインヘリアルたちは空を飛んで襲来します。速度は鳩程度。そんなに速くないので捉えるのは容易です。
周囲に浮く黒剣でヒトを仕留めることを至上としているため、高高度は取らずに低空を飛翔します。
部隊は3つ。それぞれ大隊規模(つまり3つの大隊)です。
先行部隊は既にアマテラスの街に到達しています。襲撃を開始していますが、今のところ、地元の戦力が被害を抑えています(怪我人はいるが、死者はいない)
主力部隊は海岸線で待機しています。先行部隊が十分に現地戦力を減らしてから一気に攻めるつもりのようです。
最後に護衛部隊。レヴィアタンの指示で出撃していますが、いつでも戻れる位置をキープしているため、海上に位置しています。
エインヘリアルたちは強い敵を優先して攻撃してきます。そのため、現地に皆さんが到達するだけで囮となって引きつけることが出来、そのまま戦闘に持ち込むことが可能です。
プレイングでは全部に攻撃する必要は無く、どれか1部隊に集中するといいでしょう。その上で広域攻撃兵器でまとめて吹っ飛ばしてもいいです(禁止事項は『市街地を巻き込む』ことなので)
戦闘箇所は宮川流域(河口から宮川大橋付近まで)を中心に、その周囲となります。地理的な構造は現在の伊勢市と変わりないので参考にしてください。
市街地に関しては戦闘の余波で壊れても問題ありません(この世界では日常茶飯事なので)
建物ごとぶっ飛ばすとかも可。一般人は退避させてあげてください。
●
決戦配備
レイラインコールによって、決戦配備の発動要請は三重県各地の拠点に1秒も遅れることなく、通達されます。そのため、アマテラスにいながら遠く離れた航空防衛基地に要請を行うことが可能です。レイラインコールはアマテラス内かつケルベロスなら、いつでもどこでも使えます(受話器も不要)
<決戦配備・要請例>(これ以外の指示も可能です。プレで指定してください)
◆クラッシャーによる支援
・砲台山をはじめとした付近の山からの砲撃
(実弾・霊力弾・
霊纏砲弾)
(霊纏砲弾――実弾に霊力を纏わせたもの。いいとこ取りと思いきや、威力が他の2つより低い)
・陸上待機基地からの戦闘ロボの出撃
(戦闘ロボは歩行orローラーダッシュタイプの直立人型兵器となります。飛行不可)
(リモートレプリカントまたはその同系統UCの対象とすることが出来ます。Gビットしたい人はぜひ)
◆ディフェンダーによる支援
・霊障壁展開(隔壁やバリケードの代わりとなる霊的な壁)
アマテラス市内ならどこでも展開可能。ただし、お手軽に出したり引っ込めたりは出来ず、
一回出したら耐久値が無くなるまで出しっぱになります。枚数の制限は無し。
(耐久値ありの盾。耐久値が無くなるまではあらゆるものを押し留めます)
<アマテラスの霊力に馴染んでいる地元民のみは通り抜け可能>
◆ジャマーによる支援
・工作員or忍者派遣
直接攻撃以外の方法で、陽動や牽制、注意を引く等を行います。以下のアイテムを使って支援も可能。
・バイオガスや毒の散布
様々な効果の毒物で敵の能力を下げます。
・電子マキビシの散布あるいは放射
電流やハッキングウィルス、爆弾などを仕込んだマキビシ。尖っているので直接ダメージも有り。
足元にばらまくパターンとランチャーから直接叩き付けるパターンが可。
・戦闘員による戦闘ヘリ&近代兵器による空からの攻撃・陽動・奇襲
ガトリングガン等で空から直接攻撃を仕掛けます
◆キャスターによる支援
・神楽舞奉納orライブオンステージ
特定の施設で人々を盛り上げることで、神秘的エネルギーの増幅強化を行い、
アマテラス内で使用する魔術や超常現象の威力を底上げします。
・霊魔陣展開
魔法や魔術、陰陽術(五行含む)を使用した特定の効果を発動させる陣を発動させます。
あらかじめ陣を敷いておくため、移動している相手をピンポイントに狙うのは苦手。
広域へのデバフが中心になります。
例)金克木による禁陣――五行における木属性を禁じることで飛翔そのものを禁じる。
◆スナイパーによる支援
・長距離支援
航空防衛基地からの長距離ミサイルや超長距離ビームによる射撃を行います。
・狙撃
狙撃部隊によるアマテラス市内外からの狙撃によって、陽動や誘導、行動阻害を行います。
◆メディックによる支援
・30余年間、「地震が来るぞ」と言われ続けて小学校の頃から鍛えられた避難行動力による
早急な撤退避難が可能です。現場の指示もあらかじめBCPなどで決められているので迅速です。
・大学病院&赤十字病院による医療ネットワークで救護体制バッチリ
上野・修介
◎
調息、脱力、場と氣の流れを観据える。
「猟兵の上野・修介と申します」
先ずは司令部に接触し避難経路の確認と通信手段を確保。
「囮になって海岸へ誘い出します」
その間に避難誘導と対空砲撃の準備を依頼。
UC発動し自身の行動速度を底上げ。
広げた氣を触覚の延長として周囲の状況を把握。
姿を晒すように屋根伝いに移動しながら敵を誘導し避難経路から引き離す。
司令部と連絡を取り合い逐次状況確認。
追従してくる敵を少しづつ切り崩しながら誘導。
海岸まできたらUC範囲内の敵の氣の流れを阻害し行動鈍化。
「俺ごとで構いません。撃ってください」
自身を目印にして砲撃要請。
UCによる知覚強化で砲撃を回避しながら、態勢を崩した敵を殲滅。
●
永遠不滅の存在『デウスエクス』の襲来、そして虐殺。それは彼ら彼女らにとって単なる食事に近く、そして地球に住まう者にとっては悪夢のような現実である。
それを少しでも抑えるべく。
ユーベルコードの使える『ケルベロス』と
特務機関DIVIDEは戦い続けている。
一進一退……ですらない。どうにか首の皮一枚を繋ぐ戦いを続け……そしてこの世界はようやく猟兵たちを迎えるに至ったのだ。
●
『上野さん、聞こえますか? どうぞ』
ヘッドフォンやイヤホンがあるわけでもなく。しかし、その女性の声は明瞭に上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の耳に届いた。
「はい。聞こえています。ノイズも無いようです」
『レイラインコール、
回線接続、
完了。問題なく支援できそうです』
姿の見えぬオペレーターの声は心なしか軽やかだ。修介と話せているから、というよりは、自身もまた『この戦いに助力できる』という事実に対してだろう。
レイラインコール――単に呟けば広域に。誰かを思い浮かべて話せば指向性のある会話が可能な、『決戦都市アマテラス』特有の通信インターフェース。この地に降り立ったケルベロスならば特に意識せずとも、レイラインコールに声が乗るのだが、会話となると相手が必要となる為、難しい。
修介のサポートに入っている女性は、先ほど
特務機関DIVIDEの司令部へ彼が訪れた際に挨拶を交わしたスガハラという女性の現場オペレーターだ。
ほんの少し前。
「猟兵の上野・修介と申します」
「猟兵……ケルベロスではないのかね?」
デウスエクス『エインヘリアル黒剣団』が本格的に到達するその直前に、修介は
特務機関DIVIDEの司令部を訪れていた。
何事も顔合わせというものは必須ではないが必要であったりする。顔を知っているというだけで、芽生える意識もあるのだから。
司令官オキカゼと握手を交わしながら、修介は言葉を紡ぐ。
「そう、ですね。ケルベロスの中のグループのようなものと思っていただけたら」
そして、此処に訪れた目的――避難経路の確認と通信手段を確保を行う。
その際に『他人の名前を呼ぶ時間すら捨てて頂いて大丈夫ですので』とレイラインコールの相手とナビゲートの担当に名乗りをあげたのがスガハラだ。
その経緯を思い返しつつ、修介は現状に目を向ける。
場所は、伊勢神宮・外宮の周辺。
「敵の位置は?」
『少数ですが上野さんがいる付近まで入り込んできています』
スガハラの声を聞いて、修介は大きく息を――否、『氣』を吸い込む。周囲に漂う霊力は呼吸という儀式を得て、修介の体に満ちる『氣』と変化する。その『氣』を吐き出し、吸い込み、徐々に自身の体に満たしていく、呑み込んでいく。次にその『氣』を馴染ませるように力を抜いて――いつものように、いつも通りに、力を
脱いて、息を調え。
そして修介は、自身から今度は広げるようにして『氣』を自身の周囲に広げていく。その境地は【周天、或いは圏境】――さながら結界のように周囲を自身の『氣』で満たし、周囲を観据える。
「囮になって海岸へ誘い出します」
『ルート展開。市街地を突っ切って勢田川へ。そのまま河口に向かえば海です。派手にやるなら、家が多少壊れるのは気にしないで構いません!』
その声のままに、修介が地を蹴って跳び上がる。同時に周囲の『氣』の流れを加速させて、その気流に乗るようにして家の屋根の上に着地した修介はそのまま屋根伝いに疾走する。『氣』の流れで疾走を補助すれば減速することなく、空を駆けるがごとし。
その道すがら、視線の端に捉えたのは。
「まだ逃げ遅れている人がいます。無事です。避難誘導を」
そこに声を残すように呟く修介。
『了解。
決戦配備メディック、
要請受諾。支援隊『ツチノミヤ』、
座標送ります。装甲車、装甲バスの使用許可。一般の方の避難をフォロー……いえ、サンアリーナまで避難させてください!」
修介の一言を拾い上げたスガハラが次々と指示を送り出す。
『戦闘以外の雑事は全てお任せを。その代わり、デウスエクスの撃退をお願いします!』
「わかりました。対空砲撃の準備を」
『了解。
決戦配備クラッシャー、
要請受諾。対空砲撃は陸上待機基地に任せます。上野さんの進路、送ります。敵の意識が彼に集中するよう、援護射撃を。本命は上野さんが海岸に到達した時です!』
修介の意図通りに作戦を展開した
特務機関DIVIDEに耳だけを傾けながら、修介は眼前の敵――エインヘリアルに視線を遣る。
『ご武運を!』
スガハラと、そして司令部から聞こえてきた歓声を背に、修介はエインヘリアルへと肉薄した。
●
どこからともなく降ってくる砲撃。
それはダメージを食らうほどのものではなかったが、とにかく鬱陶しい攻撃だった。その攻撃に反応するようにして反転したエインヘリアルたちの視界に入ってきたのは――修介である。
元より姿を晒すように、派手に動き回っているのだ。
そのような相手を敵が見逃すはずもない。
(……よし)
自身に喰いついたことを確認して、避難経路から引き離すように速度を上げる修介。刻一刻と変わる状況を、広げた氣を触覚の延長のように扱って把握しつつ、先ほど教えてもらった経路に沿って移動する。川沿い、一般人の住居から引き離すには良い経路だ。
エインヘリアルも剣を振るって攻撃してくるも、修介の疾走の速度とクラッシャーの支援で思うように追い付けないようだ。
「……シッ!!」
時折、振り向きざまに拳を叩きつけて川の中へ叩き落し、また走る。目的の海岸まであと少し……勢田川の河口に在る三角州に到着した修介は自身を追いかけてくるエインヘリアルを迎え撃つべく反転。
(ここで……こうだ!)
【周天、或いは圏境】の境地は自身の加速だけが力ではない。『氣』の流れを変化させる。敵に作用するように、さらに速度を減速させるように。エインヘリアルたちは突然体が重くなったように思うだろう。足の止まった修介に対して行われた黒剣団一斉突撃は、思うように速度が上がらず、そのまま修介の周囲に墜落する。
「……!」
そのまま追撃しようとして、しかし修介は背後から迫る……すなわち、主力部隊の接近を察知する。だが、それも飛んで火にいる夏の虫。修介の操る『氣』の流れに行動を阻害されて、接近すら鈍化している。
「……今。俺ごとで構いません。撃ってください」
要請。戦闘中であるためか、返事は返ってこない。だが代わりに飛来するのは……四方八方からの砲撃。実弾、霊力弾、霊纏砲弾と、基地にある全弾をぶちかましたかのような砲弾の弾幕が修介の頭上を覆い尽くす。
「……いや」
それはちょっとやりすぎではなかろうか。修介でなければ逃げ場すら無い。否、修介だからこそ、クラッシャーも全力を放ってきたのかもしれないが。
降る砲弾。炸裂する火薬、弾け散る霊力、榴弾となって突き刺さる霊纏砲弾。出鼻をくじかれ、完全に動きが止まったエインヘリアルは。
この爆風の嵐の中ですら、『氣』の流れをコントロールすることで回避しつつ自在に動ける修介にとってはただの的だ。
「……ッ!!」
小さい呼気とともに放つ強烈な拳がエインヘリアルの体を貫く。留まることなく次のエインヘリアルへ拳を叩きつける修介。
いくら敵の数がいようとも、今の彼にとっては大した障害ではないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
斯波・嵩矩
◆キャスター希望
ギター&ボーカル担当で
楽しいライブセッションを行い
届く範囲全ての味方へ
超バフ支援効果を行き渡らせる
お手伝い願います
味方への攻撃は可能な限りかばう
蹂躙するなら俺にしといて
絶対倒れてはやらないけどね!
※アドリブ連携歓迎
※セッション協力大歓迎
※逆に俺が手伝えるライブあれば喜んで参加
愛機[Qilin]と共に
手描き楽譜いっぱい持ってきたから配るね
楽器無くても手拍子、掛け声、足タンタンだって俺の力になるよ
一緒に戦おう
決戦都市アマテラスすげー!かっこいい~!!
神秘と武装兵器の組み方が玄人技過ぎる~!俺こういうの大好きー!(※マニアの感想
コホン
さあ始めよう
和ロックで『片翼のアルカディア』!
♪さあ、舞い上がれ 片翼のアルカディア
新たな時代の 序章を刻め
決戦都市は維持するの大変なのに
希望を待ち続けてここに至った
きみたち一人一人が焔光だよ
♪未来さえ追い越して Just like a tale of daylight
始まる世界 夜明けの地平線へ
光束ねどこまでも繋がれ
この世界の夜明けを共に見よう
●
――本来。
決戦配備とはケルベロスを『支援』するもので、ケルベロスが『担当』するものではない。ユーベルコードを使う超人『ケルベロス』たちが集う
特務機関DIVIDEではあるが、その構成員の全てがケルベロスではないのだ。
デウスエクスと戦う力を持つケルベロスが最前線に赴き、その戦いを支えるのが決戦都市であり、
決戦配備。
その在り方を『
剣』としていたかの世界ではケルベロスたちの『役割』であったポジションは、このディバイドの世界では大きく在り方を変えている。
だから本来。
ケルベロスが『決戦配備に着く』ということは宝の持ち腐れなのだ。温存する余裕のない状況下で奥の手を温存しているようなもの。
されど。
それが全てではないのだ。
●
「
決戦配備『キャスター』、
要請」
「サンアリーナからアマテラス市内へのレイライン
経路、
正常です」
刻一刻と変化していく戦況に対して、
特務機関DIVIDEの司令部となっている伊勢神宮の一画でオペレーターの声が響く。
「本当に、あの術式が展開できるとお思いですか?」
疑問の声は副司令官から司令官に向けてのもの。
「わからん。だが、あの位置につくというのなら、これしか手はあるまい」
これまでの戦いでは無かった、異例のような今回。
だがアマテラスにも異例に対応する術は実はある。問題は……使えるかどうか、だ。
●
アマテラス市内の施設サンアリーナ。元は県営の施設だったものを
特務機関DIVIDEがアマテラスの機構として組み込んだものだ。
ここは主に
決戦配備の『キャスター』の活躍場所となる。以前からコンサートなどが開催されていたこの施設はキャスターととても相性がいいのだ。
今、メインアリーナのステージ上にいるのは斯波・嵩矩(永劫回帰・f36437)――猟兵である。この地ではケルベロスと認識されている彼が行おうとしているのはライブセッション。
その証拠に彼の周囲には楽器が置かれ、彼が担当するギター&ボーカル以外のパートは別の者(ディバイドの職員)が各々の楽器の前に陣取っている。
――楽しいライブセッションを行い、超バフ支援効果を行き渡らせる。
これが嵩矩の作戦だ。
「お手伝い願います」
愛機というか相棒というか。アコースティックギター『Realize Memory model[Qilin]』のチューニングをしながら振り返った嵩矩の言葉に、固唾を飲みながら頷きを返すライブメンバー。
手に馴染んだ『Qilin』が示す色は『黒鱗』『橙炎』『青雲』と己が象徴。ならばこそ、このギターをかき鳴らす時は真剣だ。
後、必要なのは……観客。ライブの盛り上がりが『キャスター』の効果に直結するならば、独りよがりのライブなど意味がない。
この地に生きる人々の活気こそが戦うケルベロスたちの支援となる。ゆえに。
「あ、きたきた」
メインアリーナに入ってきた一般人の人々を見て、嵩矩は破顔一笑する。『Qilin』を立て掛け、ステージから降りていった嵩矩はほんわかとした笑みを浮かべながら、観客となる一般人たちに話しかける。
「手描き楽譜いっぱい持ってきたから配るね」
有無を言わさず、腕の中に楽譜を押し込んでいく嵩矩。こういうところはアーティスト気質らしく、譲る気はないらしい。
「楽器無くても手拍子、掛け声、足タンタンだって俺の力になるよ」
ひとりひとり。顔を見て、笑みを見せて、そして話しかける。
今、サンアリーナの外、アマテラス市内ではそれこそ戦闘が行われているはずだ。それでも。このライブが皆の力になると信じて。
つい先ほどケルベロスに助けられ、この地へ避難してきた人々であっても『力になれる事』を示すために。
「一緒に戦おう」
嵩矩は力強く、想いを言葉に乗せて。
●
静寂。
ライブ開始前の、嵐の前の静けさというやつ。
ピックで弦を緩やかに弾きながらリズムを創り出す嵩矩。その脳裏にはこのアマテラスを訪れた時の感動がよぎっている。
『決戦都市アマテラスすげー! かっこいい~!!』とか『神秘と武装兵器の組み方が玄人技過ぎる~! 俺こういうの大好きー!』とか叫んでいたのは秘密にしておこう。マニアの感想とも言う。
まぁ、神将は封神台がある限り
死なないし。見た目通りの年齢だけを生きていたとは限らないが。その衣装と立ち居振る舞いを見る以上、銀の雨が降る世界にて神秘と現代の狭間を生きてきたであろうことは想像に難くない。
そんな嵩矩のツボに入ったアマテラス。
だからこそ、『守る』という意思もより強くなる。
やることはいつも通り、ただひとつ。
――うたうことだ。
「……コホン。さあ始めよう――和ロックで『片翼のアルカディア』!」
ライブの開始を告げる嵩矩の声がメインアリーナに響き渡る。
メロディに乗って嵩矩の歌声がメインアリーナを満たしていく。徐々に、徐々にその声が観客の心を揺さぶる。揺さぶられた心はエネルギーを生み出す……それは喜びという名の、生きる力。
曲調の盛り上がりに合わせて、人々の熱気も盛り上がっていく。
♪ Let us fly 震える心を 解き放つドアは ♪
♪ 遥か 遠い常闇のその先で 君を待ってる ♪
●
「……っ! 来ましたっ! 霊力急激上昇! 基準レベルファイブ!」
オペレーターの、悲鳴のような声が響く。それは『あり得なかったことがあり得た』奇跡に遭遇したという、驚愕と歓喜が入り混じったような声。
「行けるというのか……! 用意されながらも過去一度も発動できなかったこの大規模魔術陣が!」
司令官のオキカゼが叫びながら、モニターに視線を遣る。アマテラス市内全域を空から映すカメラの映像。そこには市内全域を範囲とした魔法陣が浮かび上がっている。
「『キャスター』レベル5大規模戦術魔術陣『ヤタノカガミ
』……!」
――そして。
アマテラス市内に突如『黒の羽根と桜の花弁』が降る。一箇所ではない、市内の各地に、どこと限定されるでもなく、どこにでも。
「全ケルベロスに通達! 目の前に現れた『黒の羽根と桜の花弁』は味方のもので問題なし。レイラインを通じて得られる
力も出所は一緒だ! 警戒することなく、遠慮なく使い倒せと!」
オキカゼの言葉をそのままオペレーターたちがケルベロスへと伝える。
大規模戦術魔術陣『ヤタノカガミ』――アマテラス市内に仕込まれている魔術のひとつで、アマテラスの霊力に馴染んだ者に絶対防御を施す、アマテラスに住まう者のための防御魔術。それがゆえに発動に必要な霊力の質と量が異常なほどに求められ、過去一度も発動できなかった魔術陣。
そしてこのヤタノカガミには副次効果がある。鏡は映し出すもの――すなわち、ユーベルコードの効果をアマテラス全域に展開することができるのだ。それが発動を重くしている原因とも言えるが。
ともあれ。
サンアリーナの熱気を伝えるがごとく、アマテラス市内に降るのは黒の羽根と桜の花弁。
●
続く。歌声が、熱狂が、生きる力が紡がれていく。
♪ さあ、舞い上がれ 片翼のアルカディア ♪
♪ 新たな
時代の 序章を刻め ♪
歌声の主は、嵩矩はただただ祈りのように歌声を紡ぐ。
(決戦都市は維持するの大変なのに……希望を待ち続けてここに至った。きみたち一人一人が『
焔光』だよ)
だからこそ、嵩矩の歌声はどこまでも響き渡る。
♪ 未来さえ追い越して Just like a tale of daylight ♪
♪ 始まる世界 夜明けの地平線へ ♪
――光束ねどこまでも繋がれ、この世界の夜明けを共に見よう。
その想いがメインアリーナを、アマテラス市内を埋め尽くす。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
先行部隊を撃退に行く
「赤十字から伊勢市駅(アマテラス駅?)、さらにここを抜かれれば外宮は目と鼻の先か、、、」
宮川大橋よりやや南側の市街地から駅にかけてをUCを用いて飛翔しエインへリヤルの先行部隊を探す。
己と同じく幾本もの剣を周囲に浮かべるエインへリヤルを見つけると随行大剣を展開し突撃する
敵UCには自身のUCの翼の刃と随行大剣による技能武器受け、自身の剣の技量で対処。
決戦配備は狙撃を申請
意識が逸れたタイミングでUCで接近し、技能切断を用いて斬りかかる
●
『エインヘリアル黒剣団』が押し寄せる決戦都市アマテラスの市内。
元々この地にいたケルベロスの奮闘に加えて、猟兵たちが戦線に加わることで戦況は徐々に押し返している。
そんな中、サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)は伊勢神宮の外宮から宮川大橋に至る経路を、上から戦況を把握に努めていた。その背には【剣鬼の刃翼】が展開されている。
「赤十字から伊勢市駅、さらにここを抜かれれば外宮は目と鼻の先か……」
赤十字病院はメディックの中心ともなる地点。強力な結界で守られているが、戦闘力があるわけではない。つまり素通りされていく前提だ。決戦都市化によって砲台などを取り付けられた伊勢市駅は最終ラインともいえるが、防衛ラインとしてはかなり心許ない。すなわち、ここに至るまでにエインヘリアルたちを倒さなければならない。
反転して大橋の方へ向かおうとするサクの眼前に、黒の羽根と桜の花弁が突如として降る。
「これは……」
『味方からの、というか、サンアリーナに居るケルベロスからの支援です! 害意のあるものじゃないのでそのまま利用してください!』
サクの耳に不意に聞こえてくる男の声。不審に思ったのが伝わったのか、相手は
特務機関DIVIDEの司令部のオペレーターだと告げてくる。
『敵、視界を奪われているせいか、動きが鈍っています。宮川大橋付近に集って態勢を立て直すような動きをしています』
「そうか。探す手間が省けたな」
改めて。無数の黒刃の羽で出来た翼を広げるサク。
「
決戦配備は狙撃を要請する。敵の注意を引いてくれ」
『
決戦配備『スナイパー』、
要請受託。了解しました。貴方の接近に合わせて狙撃部隊から攻撃開始します」
「頼む」
『ご武運を!』
飛翔するサク。空気抵抗を【剣鬼の刃翼】が切り裂いていく。仲間の猟兵のバフのせいか、その鋭さが普段よりも格段に良い。
「……ほう」
試しに加速する。ぐんっ、と普段よりも速度が出る。
(これならば……)
次の言葉は続かない。
何故なら、言葉より早く行動に移ったからだ。
見敵必殺。
お互いがそう動くなら、『先に見つけた方』が有利に働くのは必定。戦場に降る黒い羽根のために視界を遮られているエインヘリアルたちが先手を取れるはずもなく。
「……捉えた」
エインヘリアルを視界内に収めたサクは手にしている黒剣とは別に。背に収めていた随行大剣を複数解き放ち、展開。さらには。
「黒刃よ」
と告げれば、より大きく力強く広がった黒刃の翼から、黒刃の羽根が周囲に舞う。さながら艦隊のごとく。サクを中心に、空を思うままに飛翔する剣の群れ。
「行け」
旗艦から命令を下すように告げた言霊に、剣の群れが一斉にエインヘリアル目掛けて飛翔する。
視界を塞がれていてもさすがに攻撃を受ければ反応もする。
黒剣蹂躙、複数のエインヘリアルが一斉に空を複雑に飛ぶ黒剣の大群を展開すれば、空中で激突する双方の剣群。
しかし、先手を打った分、サクの黒刃が敵の群れに食い込む。迎撃が遅れたがために、エインヘリアル群の一部を食い破る黒刃。
だがどうやら数ではサクの方が不利らしい。大部分は黒剣の弾幕を突破できずに相殺され、さらに数の多さで黒刃の群れを飲み込む。
「……っ」
小さく舌打ちしながら、しかしサクは速度を緩めない。加速。風圧で黒剣を押し込み、同じ速度で飛翔する随行大剣たちが黒剣を弾き返す。さらに黒刃の翼でそのまま斬って叩き落し、それでも自身の身に迫る黒剣は黒剣『漆黒ノ魂滅』で両断する。
手数ならエインヘリアル、しかしサクと周囲に舞う刃たちも負けてはいない。さながら拮抗する戦況において、『支援』の手はそれをひっくり返す。
風を切る音。
それが『来る』とわかっていなければきっと聞き落としたであろう音が戦場を貫き、そしてエインヘリアルの1体を弾き飛ばす。
『……!?』
明らかなエインヘリアルたちの動揺。このタイミングまで我慢していたスナイパーの面々の狙撃が四方からエインヘリアルの群れに放たれる。
その一発一発は決定打にはなり得ない。ユーベルコードではないから。だが、姿なき狙撃者からの不意打ちを無視できるほど、戦場で戦う者たちは鈍感ではない。
戦士であるが故の危機管理が、サクに勝機をもたらす。
黒剣の群れの飛翔が一気に雑になる。エインヘリアルたちの意識がサクから逸れた証拠だ。
「……!」
戦場を舞う黒い羽根。その中で動揺を隠しきれないエインヘリアルたち。そこまで……一切の障害なく突き抜けるための『道』が見える。
「黒刃よ、、、翼となれ」
『ここだ』と。サクが再びユーベルコード【剣鬼の刃翼】を展開する。広がる黒刃の翼は間髪を入れず、空を駆ける。一直線にエインヘリアルたちの元へ。
「……っ」
小さく息を吸い込み、サクの両足が地面を掴まえる。眼前にはエインヘリアルたちの群れ。
――一閃。
まとめて。空気ですら一緒にして切断するかのごとき鋭い一閃。『漆黒ノ魂滅』の刀身が通った箇所が切断されていく。すなわち、エインヘリアルたちの群れを。
「……っ」
歩みは止めない。さらに踏み込んだサクの攻撃がエインヘリアルたちの群れを仕留めていく。
劣勢を感じたエインヘリアルたちが徐々に戦線を下げていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・リスパー
「ここが決戦都市アマテラス……!」
見知ったものとは異なる街並みに、思わず感嘆の声を上げます。
――ですが、今はそれどころではありませんね。
迫りくるデウスエクスを撃退しましょう。
私は砲台が設置された、伊勢市内の山に登り、敵の先行部隊に攻撃を仕掛けます。
「超伝導リニアカタパルト、発射準備完了――!
決戦配備要請!
クラッシャーの皆さんも同時攻撃をお願いします!」
アマテラス各地の山からの支援砲撃に合わせ、私も必殺の一撃を解き放ちます。
「敵を寄せ付けないように確実に撃ち落としていきますよ!
――接近されたら、私の運動神経では避けられませんからっ!」
防衛線を突破されたら陣地を放棄して戦略的撤退ですっ!
●
グリモア猟兵による転送。それは猟兵たちを戦場に送り届ける力にして、新たな地『ケルベロスディバイド』への誘いでもある。
「ここが決戦都市アマテラス……!」
アイ・リスパー(
電脳の天使・f07909)が思わず声をあげる。かつて、少なくとも2度ほど。UDCアースの『伊勢』を訪れたことがあるアイ。確かに別世界ではある。しかしあまりにも見知ったものとは異なる街並み。これが『決戦都市』化した影響となれば、思わず感嘆の声もあがるというもの。
好奇心旺盛(な上に活動的)なアイにしてみれば今すぐ市内探索と行きたいところだろう。というか、決戦都市化の影響以外にも、おっと駅前にこんなところが!?
しかし誘惑を振り払うようにアイは首を横に振る。
戦場に黒の羽根と桜の花弁が舞い始めたからだ。これがユーベルコードによるものと直感したアイは戦況が進んでいることを確認して頷く。
「――ですが、今はそれどころではありませんね。迫りくるデウスエクスを撃退しましょう」
見上げた先には砲台が設置された標高50mほどの、山というよりは小高い丘と言えるだろうか。『砲台山』と言われる地点。伊勢神宮内宮の後ろに控える朝熊山の10分の1ほどしかない高さの山ではあるが、ここはとある住民たちにとっては思い入れもあり、そして身近であるがゆえによく使われ、それがゆえに手入れも行き届いている。
遠くの親戚より近くの他人、とは違うけれどもそんな感じ。
「こっちだよケルベロス!!」
市内の住民の避難誘導を行っていた
決戦配備のヒトだろうか。アイの存在に気付いた女性のライダーが装甲バイクの後ろを指し示す。
「あ、ありがとうございますっ」
若干、息が上がりかけていたのはヒミツ。ありがたく後ろに乗って女性に抱き着けば安心する体の厚さ……じゃない、バイクが高らかに声をあげる。
「どこまで!?」
「あの砲台のある山まで!」
「砲台山だね! 了解! 飛ばすから口閉じてて! 舌かむよ!」
デウスエクスの襲撃によって無人と化しつつある街中はとても走りやすい。そして女性もバイクも『走る』のが快感のタイプらしい。
程なくして砲台山のふもとへ送り届けられるアイ。
「お願いね。私たちでは倒せないから……貴女たちが私たちの生命線なんだから!」
「わかりました。任せてください」
女性の言葉に胸を張って応えるアイ。女性の視線がアイの胸に注がれる。うむ、同じような胸の厚さ。アイの表情なのか仕草なのか体つきなのか。女性は親近感を漂わせた楽しそうな笑みを浮かべる。
「
決戦配備は適当に喋れば、レイラインコール越しに司令部が拾ってくれるよ。ケルベロスを運ぶくらいならメディックでも出来るから」
またね、と手を振って去っていく女性の背を見送って。
「よし、いきましょう!」
アイは砲台山のてっぺんへ。
「
決戦配備! く、クラッシャーを要請しますっ!」
頂上への道中、走りながら叫ぶアイ。
『決戦配備《ポジション》『スナイパー』、
要請受託しました』
「おおっ?!」
不意に聞こえてきた声に吃驚するアイ。きょろきょろ見渡しても付近にヒトはいない。砲撃が始まっている以上、上にはいるのだろうか、先ほどの音量がクリアに聞こえてくる距離には何もいない。
『吃驚させてしまいましたか。司令部オペレーターのスガハラと申します。ケルベロスのナビゲート担当のひとりです』
先ほどとはまた別の女性の声。どうやらケルベロスたちの声を拾って適切にさばく役目らしい。
『ケルベロスの皆さんの活躍で市内に入り込んでいた先行部隊の数は激減しています。しかしそれに取って代わるように主力部隊が勢田川沿いに侵攻してきています』
「数はどうですか?」
『河口付近で戦ってくれているケルベロスの方がいるのでだいぶ押しとどめているのですが……それでも完全には無理です。先行部隊を超える大群がまとまって』
「……!」
アイが息を飲むのと同時に、頂上へ到着する。そこには決戦というには頼りない数だが、しかし確実な練度で以て空を飛ぶエインヘリアルたちへ砲撃を叩き込んでいる、この地を守りたいという同志たちが先に居た。
「ケルベロス!? どうしてここに?」
人々の疑問。ケルベロスならばエインヘリアルたちの元へ行って戦ってほしい、という気持ちが、安全な後ろに逃げてきたのか、という負の感情が暗に広がる。
そんな中でも。アイは自分が為すべきことを為す。
瞳を閉じるアイ。脳裏……から接続するのは電脳空間。アイの力の源にして、様々な現象を引き起こすユーベルコードの源泉。
「電脳空間からリニアカタパルト展開」
「うおぉっ!?」
アイの言葉が構築するのは、見えない電子の世界ではなく、この世界に干渉して実現する現象だ。すなわち、砲台山のてっぺんに突如現れるリニアカタパルト。
ユーベルコード。その力を目の当たりにして、人々の疑念は期待へと変わる。
「再度というか、改めて!
決戦配備要請! クラッシャー!!」
「『……!!』」
司令部を通さずとも。ここには『共に戦う同志たち』がいる。その人々に告げるように、一人残さず伝えるように。アイが声を張り上げる。
『改めて。決戦配備《ポジション》『スナイパー』、
要請受託。砲台山ふくめて陸上待機基地および朝熊山の砲台に砲撃要請します!』
レイラインコールがスピーカーのようにその場にスガハラの声を響き渡らせる。それによって通信の指向性が整えられ。
「狙いは勢田川流域を押し寄せてくるエインヘリアルたち! 正確でなくても大丈夫です!」
アイが照準を指定する。
「『了解っ!!』」
レイラインコール越しに、そしてアイの周りにいる人々が高らかに声を掲げる。
決戦配備が完了する……と同時に、アイの準備も完了している。
「【超伝導リニアカタパルト】、発射準備完了――! クラッシャーの皆さんも同時攻撃をお願いします!」
「……てーーーーっ!!」
アイの号令。少女の体のどこから、というくらいの、裂帛の気合が入った号令。
それを聞いて奮い立たない戦士がいるだろうか。
「『てーっ!』」
アイの号令に応えるように、砲台山の砲台全機が火を噴く。それに合わせてアマテラス市内の砲台から次々と砲撃を放ち、エインヘリアルの群れを押し留める。
「……今です! 超伝導磁石の絶対零度への冷却確認。質量弾体を射出します!」
絶対零度へ冷却された超伝導リニアカタパルトから音速を越えて。ソニックブームをまき散らしながら弾丸が射出される。空を貫くようにして、否、実際に空気の層を突き破って、アイの
必殺の一撃がエインヘリアルたちの群れを喰い破る。
「手を止めるなっ! まだまだ続けーーっ!」
圧倒的なアイの一撃に崩壊したエインヘリアルたちの戦線に対して、追い打ちをかけるように砲撃を浴びせ続けるクラッシャーの面々。
「敵を寄せ付けないように確実に撃ち落としていきますよ! ――接近されたら、私の運動神経では避けられませんからっ!」
「『そっち!?』」
アイの言葉に、現地のみならずレイラインコール越しにもツッコミが入る。あのバイクで運んでくれた女性――シキブさんの声も混じっていたのは秘密である。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
新世界ケルベロスディバイド……宇宙の果てから次々と襲撃を、と聞くと世も末って感じだが
それでも対抗策を編み出している辺り、どこも逞しいというべきかね?
出来る限りの事をやりつつ、俺も情勢を確かめてみるとしよう
スナイパーに支援要請を出して、市街地防衛へ
支援内容は主に索敵と敵の誘導、敵の現在地への案内
スナイパーの案内に従ってバイク『八咫烏』を走らせ、敵の元へ移動
到着後はバイクから降りて、澪式・漆の型【居待】の構え
敵の突進にあわせて抜刀、先制攻撃。振るわれた剣を弾いて体勢を崩すか、狙えるなら直接攻撃を叩き込む
敵の隊列を崩しつつ、確実に削っていこう
近くの敵を倒したら、再度案内を受けて別の敵の元へと移動
●
『エインヘリアル黒剣団』が押し寄せる決戦都市アマテラスの市内。
「新世界ケルベロスディバイド……」
伊勢市駅前にあるホテルの上から市内を見下ろす夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)。遠く、というか海の方を見れば黒い点がちらほらと。
「宇宙の果てから次々と襲撃を、と聞くと世も末って感じだが、それでも対抗策を編み出している辺り、どこも逞しいというべきかね?」
ホテルの屋上から飛び降りる鏡介。高さがあろうとも猟兵たる彼にとってはたいした障害ではない。着地。
「出来る限りの事をやりつつ、俺も情勢を確かめてみるとしよう」
その時。
戦場に降る黒の羽根と桜の花弁。それを視認して鏡介は周囲への警戒を強める。
『味方からの、というか、サンアリーナに居るケルベロスからの支援ですよ!』
不意に聞こえてくる通信はアマテラス特有のレイラインコールによるもの。
『害意のあるものじゃないのでそのまま利用してください』
向こうからは鏡介が特定できているのだろう。不審に思ったその感情が伝わったのか、相手は
特務機関DIVIDEの司令部のオペレーターだと告げてくる。
『索敵などはこちらでします。狙撃部隊は逆探されると終わりますからね』
決戦配備につく者たちはユーベルコードを使えるわけではない。下手をすると一般人に毛が生えたレベルかもしれないのだ。そんなメンバーにあれもこれもやらせるよりは役割を分担する方が効率がいい。
「わかった。
決戦配備はスナイパーを要請する。敵を集めてくれ」
『了解。
決戦配備『スナイパー』、
要請受託。宮川流域から逸れてきている敵を誘導します』
そしてその誘導地点へとルートが示される。
『ご武運を!』
オペレーターの声を背に、鏡介が駆け寄るのは自身の愛機『八咫烏』。
直後、市内を疾走する排気音が響き渡る。
「あそこか」
遠くに見えるエインヘリアルたちの群れ。流石に追い込むほどまでのダメージを与えているわけではないが。決戦都市の配備はエインヘリアルたちを確実に一点へ導いていた。
しかしその一点へ先着するのは鏡介だ。
到着した後、すぐさまバイクから降りて、構えは――【澪式・漆の型【居待】】――視界に入った鏡介に向けて一斉突撃をしてくるエインヘリアルたちに対して先制攻撃を放つ。放たれた剣閃は範囲内にいるエインヘリアルたちをなぎ払う。
(仕留めきれずとも)
態勢を崩せれば重畳。態勢を崩したところへ追撃するように突撃すれば、敵の隊列が崩れて、戦況は鏡介に傾く。
乱戦になれば、誘い込まれたエインヘリアルたちの方が不利となる。何故なら地の利はこちらにある。
程なくして群れを仕留めきる鏡介。
「次の地点を」
『了解です』
レイラインコール越しに聞こえてくる声に導かれて、鏡介は次の戦場へと駆けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『レヴィアタン』
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POW : 巨鯨上陸
単純で重い【脚部ユニット】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : インビジブル・ワン
見えない【ステルス型ダモクレス】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ : ロールアウト
レベル×5体の、小型の戦闘用【新型ダモクレス】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●戦況
「戦闘音が……減った?」
それは決戦都市アマテラスの市内を走査していたオペレーターが思わずこぼした言葉であった。
「戦況! カメラをオンにしろ! 市内全てを確認するんだ!」
司令官オキカゼの声に待機状態に近かった司令部が一斉に動き出す。戦闘では役に立てなくとも。その想いがアマテラス市内をつぶさに確認していく。
「……! 敵エインヘリアル、撤退していきます!!」
「ケルベロス、無理のない範囲で追撃しています!」
「敵エインヘリアル、戦闘維持が困難な模様です!」
次々と入ってくる報告は、アマテラスにとって良い報告ばかりだ。だからこそ、オキカゼの心中には不安がよぎる。
「市内の様子は!?」
「市内、各地の破損が多数。ですが壊滅的な箇所は無く、報告に死者はいません!」
「怪我人も多数ですが、いずれも軽微。一番重くて骨折程度の模様です」
「ばかな……いや、信じないわけではないが……」
オキカゼの声は存在しないと思っていた幽霊が目の前に現れた時のような、本当に『あり得ない』といった感情だ。
そう、これまでこんなことは『なかった』。
どうにかデウスエクスの攻撃を耐え、しのぎ、消耗戦に持ち込まれながらもどうにか支援に来てくれたケルベロスたちの力で撃退へ持ち込んでいたのだ。
『今回もかろうじて生き延びた』――それがこれまでのアマテラスの戦績だ。どうにか決戦都市の機能を維持しながら、この地を中心になんとか生き延びてきたのだ。
だから。
こんなに戦闘が『早く終わった』こともないし、こんなに被害が『少なかった』事もない。それでも目の前に、その『現実』があることは紛れもない事実だ。
『勝利』――これまでに勝ち得なかった感情が司令部に駆け巡りかけたその瞬間。
「戦闘、終わっていません!」
オペレーターのスガハラの声が響く。
「敵エインヘリアルは戦闘が維持できず、完全に海上へ撤退!」
「代わりに……敵戦艦動きますっ!!」
「くっ……ここまで来て……!」
満ちかけた希望が再び絶望に塗りつぶされる。
それはそうだ。これまでの襲撃で『ここまで巨大』な敵はいなかった。
つまり……敵もまた『なかなか落ちない』アマテラスを今度こそ落とすために。強力な戦力を投入してきたと考えらえる。
『巨鯨』が――動く。
●巨鯨
形は巨大な鯨。デウスエクス『ダモクレス』の戦艦である『レヴィアタン』には意志のようなものが宿っている。すなわち、『グラビティ・チェーン』を得て持ち帰るという使命を果たす意志。
そのためにAIはデータを収集し、分析し、そして最適解を導き出し続ける。
今回の当戦艦の位置は海上。
――ならば当方戦力に飛行能力をつける。
敵拠点の結界は当戦艦の巨体を完全に排除する。
――ならば結界に排除されない艦隊戦力で制圧する。
――エインヘリアルは後方待機。
小剣を守らせる。
レヴィアタンの指示を受けて、鯨の巨体から無数の飛行型ダモクレスが発進してアマテラスへと押し寄せる。先ほどのエインヘリアル黒剣団の大群など児戯のような……それほどまでの大戦力が。
●司令部
「
決戦配備『スナイパー』発動! 少しでも数を減らせ!!」
オキカゼが
決戦配備を発動させる。十数秒の後、空から飛来するのは短距離弾道ミサイル。航空防衛基地から放たれたミサイル群が空飛ぶダモクレスの群れに直撃する……が。
「やはり多少削れる程度か!」
ユーベルコードではない攻撃はやはり効果が薄い。それでも少しは削れた……のだが。
「ダメです! 敵戦艦からまだ敵機が排出されています! 補充されました!」
「くっ……それでも続けろ!」
少しでも戦力を減らすために。ミサイルが立て続けに放たれ続ける。
「ケルベロスたちは!?」
「海岸に集結中。戦闘準備を整えているようです。しかし……」
スガハラが言い淀む。
「どうした?」
「……敵機群、海上で停滞。こちらに決定打が無いのを察知して、大規模戦力で一気に押しつぶす模様です」
「『……』」
司令部に落ちる沈黙。
敵の進軍が止まっているならそれは好機だ。こちらも準備を整える時間が出来るし、固まっているなら一網打尽も可能だ。
――攻撃が効くならば。
敵機群まで距離にして5kmほど。レヴィアタンでも7kmほどだろうか。
届かない距離ではない……が、クラッシャーによる砲撃だけでは敵機群を突破できない。かといって他の
決戦配備でも同様だろう。
とどのつまり、決定的な攻撃力がアマテラスには無いのだ。
だが。
(ケルベロスのユーベルコードなら、あるいは……!)
その想いがオキカゼに言葉を紡がせる。
「ケルベロスたちに攻撃を依頼しろ!」
「了解! 海岸に集まっているケルベロスに戦闘を要請しま……え?」
オキカゼの言葉を受けて叫んだスガハラが妙に間の抜けた声をあげる。
「どうした、次は何が起こった!?」
もうこれ以上は勘弁してくれ、とオキカゼが悲鳴をあげる。
その悲鳴を受けて、スガハラは妙に困った顔で振り向いた。
「あ、いえ、あの……消えました」
「え?」
「捕捉していたケルベロスの姿は消えて……えっと、
ロストです」
「『……』」
何言ってんだこの娘、って視線がスガハラに集中する。
「だって本当に消えているんですもん!! ほらっ!!」
「お前本当に何言って……はい?」
隣に座っていた男性オペレーター、キノがモニターを覗き込み、同じような声をあげた。
「あれぇ……なんか敵戦艦上で戦闘音がする……?」
「何が起こってるんだ?」
「そこまではレイライン届いてないから把握できないです」
単純に音響ソナーだからこそ感知できたっぽい。
そして別のオペレーターが叫ぶ。
「
決戦配備、
要請が届き始めました!!」
「ああもう! ケルベロスの戦闘を補助しろ! これまで通り! 変な要望来ても通してあげて!」
「『はーい』」
混乱の極みに陥った司令部のIQがだいぶ下がったそうな。
●決戦
レヴィアタンは疑問を抱いていた。
決戦都市アマテラスに当戦艦への有効攻撃は存在しない。そしてこれまでのケルベロスにここまで距離のある海上への攻撃手段はユーベルコードしか存在しなかったはずだ。ユーベルコードであればダモクレスの大群を盾にすれば容易に防げる。
つまり、今、当戦艦が取っている作戦は必勝の作戦である。
だが、今、自身の身の上に起こっているのはこれまでに体験したことのない事項だ。すなわち、未知の体験が発生して、状況が徐々に困難へと傾いていっている。
何故だ? 何が起こった?
いかにダモクレスのAIが優れていようとも
仮説が立てられない事項には対応しようがない。
今、レヴィアタンはまさにそのイレギュラー……猟兵たちに遭遇したのだ。
※シナリオ補足※
●対レヴィアタン
レヴィアタンは大湊海岸から7km程のところに停泊。その間に、飛行型ダモクレスの大群が配備されています。
この章の目的はレヴィアタンを撃沈する事になるため、ダモクレスの大群は(リプレイ上)無視しても大丈夫です。
(状況的には皆さん以外のケルベロスと決戦配備によって海岸で押し留めますので、レヴィアタンを撃沈した後に全員で倒します)
レヴィアタンの攻撃手段はユーベルコードの3つと護衛部隊。エインヘリアルはもう攻撃してきません。
護衛部隊はレヴィアタンの甲板に展開されている自走式カノン砲。一撃で破壊できます。
レヴィアタンのユーベルコード。
POWの場合、海上で脚部ユニットを展開。その場に叩きつけることで大津波と水柱を発生させて攻撃してきます(津波は霊的結界で止まるのでアマテラスのことは気にしなくて大丈夫)(叩きつける方向性があるので他の地域の海岸には津波は行かない模様)
SPD/WIZは攻撃してきた猟兵に対して攻撃を放ちます。新型ダモクレスは高機動飛行型。空飛ぶキャバリアを想定していただければ。
プレイングでは対レヴィアタンの戦闘で行動してください。戦闘開始位置はどこでも構いません。アマテラス市内なら既に到着済の状態から。グリモアの転送によってレヴィアタンに直接殴り込むなら転送完了後から始まります。
その他、キャバリアや戦闘機、戦艦を持ち込んでもオッケー。
戦闘箇所は大湊海岸から海に向けて。皆さんは陸に居ても海に居ても空に居ても問題ありません。
市街地に関しては戦闘の余波で壊れても問題ありません(この世界では日常茶飯事なので)
建物ごとぶっ飛ばすとかも可。一般人は前章で全員退避しました。
●
決戦配備
レイラインコールはアマテラス市内および三重県各地でしか使えなく、本来、海上では使えないのですが市内で戦っていたからでしょうか。猟兵たちの
要請は海上に出ても普通に届くようです。コールした猟兵の位置はなんとなくわかるみたいなので、砲撃や射撃の座標に指定することも可能です。
<決戦配備・要請例>(これ以外の指示も可能です。プレで指定してください)
◆クラッシャーによる支援
・砲台山をはじめとした付近の山からの砲撃
(実弾・霊力弾・
霊纏砲弾)(詳細は月明かりの書斎にて)
・海上艦隊からの砲撃
(レヴィアタンの進軍方向から外れた位置に展開しています。実弾・霊力弾・
霊纏砲弾で攻撃可能)
◆ディフェンダーによる支援(アマテラス市内のみ可能)
・霊障壁展開(隔壁やバリケードの代わりとなる霊的な壁)
アマテラス市内ならどこでも展開可能。ただし、お手軽に出したり引っ込めたりは出来ず、
一回出したら耐久値が無くなるまで出しっぱになります。枚数の制限は無し。
(耐久値ありの盾。耐久値が無くなるまではあらゆるものを押し留めます)
<アマテラスの霊力に馴染んでいる地元民のみは通り抜け可能>
◆ジャマーによる支援
・工作員or忍者派遣
直接攻撃以外の方法で、陽動や牽制、注意を引く等を行います。以下のアイテムを使って支援も可能。
・バイオガスや毒の散布
様々な効果の毒物で敵の能力を下げます。
・電子マキビシの散布あるいは放射
電流やハッキングウィルス、爆弾などを仕込んだマキビシ。尖っているので直接ダメージも有り。
足元にばらまくパターンとランチャーから直接叩き付けるパターンが可。
・戦闘員による戦闘ヘリ&近代兵器による空からの攻撃・陽動・奇襲
ガトリングガン等で空から直接攻撃を仕掛けます
◆キャスターによる支援
・神楽舞奉納orライブオンステージ
特定の施設で人々を盛り上げることで、神秘的エネルギーの増幅強化を行い、
アマテラス内で使用する魔術や超常現象の威力を底上げします。
・ソニックウェーブ照射
広域無差別な音響兵器で色んな器官を狂わせます。デバフ効果。海に向けてしか放てません。
◆スナイパーによる支援
・長距離支援
航空防衛基地からの長距離ミサイルや超長距離ビームによる射撃を行います。
◆メディックによる支援
・今回はあまり役に立ちません。
※シナリオ補足の補足※
●対レヴィアタン方針参考
レヴィアタンの撃沈=レヴィアタンの本体(船体や制御部、あるいは艦内のプラント)の破壊となります。
そのため、レヴィアタンへの直接的な攻撃が必要です。硬ったいですがユーベルコードを活用していけば十分に貫けます。『千丈の堤も蟻の一穴より崩れる』、皆さんの一撃一撃がレヴィアタンの撃沈へと繋がるのです。
そういうわけでダモクレス大群をどうにかしつつ、レヴィアタンにダメージを与えてください。
(作戦例)
・甲板まで乗り込んで船体を直接破壊する
・航空爆撃によって空から攻撃を仕掛ける
・アマテラス市内で
決戦配備の支援を受けつつ、長距離&超高威力の遠距離でダモクレス大群ごとなぎ払う
『ダモクレスの大群を盾にしたら防げる』発言等、レヴィアタンの想定はこれまでのケルベロスディバイド世界での戦闘をデータに構築されています。
(例)海岸線からのケルベロスディバイド世界のユーベルコード使用
そのため、その想定を上回るユーベルコード、ないしはユーベルコードの使い方であれば、レヴィアタンの想定を崩せます。
●レヴィアタンのPOWユーベルコード補足
『脚部ユニットを展開して海面に叩きつける』という動作を行う関係で、甲板上にいる場合、振り落とされたり、叩きつけた反動および衝撃でダメージを受ける可能性があります。津波や水柱も同様です。
夜刀神・鏡介
巨大戦艦に敵の大群……ちょっとした戦争の如き様相を呈してきたな
ここはこういうのが当たり前に出現する世界、か
レヴィアタンに乗り込んで直接戦闘
武器を神刀に持ち替えて封印を解除。陸の秘剣【緋洸閃】を発動
無数の緋い刀を降り注がせる事で、まずは甲板の兵器を破壊
ついでにステルス型は確かに見えないが、存在するなら攻撃は当たり得るだろう
だが、念のためジャマーに煙幕を撒いてもらおうか
不可視の仕組みは不明だし、静音機能くらいはあるのだろうが
しかし動くのに一切の痕跡を残さないという事はあるまい
行動すれば空気が動く、それを煙幕で可視化する事で動きを捉えて、叩き落とす
後はひたすら甲板に、残った刀を叩き込み破壊していこう
●
『
海岸線』から見える光景は絶望というにふさわしい。
眼前に集結する飛行型ダモクレスの大群は文字通り。空を覆い喰らい尽くさんと黒い点で埋め尽くしていく。
――数の暴力。
冗談であったなら笑い飛ばせるその言葉は、現実に目の当たりにするとただの事実と絶望を突きつけてくる無情の勢力だ。
だが、それでも。
希望はこの地に在る。
●
エインヘリアルたちを追い込み、撃退しつつ東進。追撃をかけるように海岸線へと出た夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が視線を沖へ……『レヴィアタン』へと遣る。
「巨大戦艦に敵の大群……ちょっとした戦争の如き様相を呈してきたな」
敵戦艦にして親玉レヴィアタンとの距離は直線にして7kmほど。だが、それでもその大きさは視認が容易なほど。
(ここはこういうのが当たり前に出現する世界、か)
思い、見据えながら。抜き放つは『神刀【無仭】』――森羅万象の悉くを斬る刃にして、『真に斬ると決めたもの』のみを断つ刃。
抜刀を合図として、鏡介の視界が歪み、次の瞬間。
海岸線から遠くにレヴィアタンを見据えていた光景が、眼下に『レヴィアタンの甲板』を捉える光景に『切り替わる』――グリモアの転送。グリモア猟兵が現地に居なくとも一発限りの転送くらいならどうにかなる。
「――神刀解放」
空中で神刀を振りかぶりながら、鏡介の口は
力を導く言葉を紡ぐ。
「斬り穿て、千の刃――陸の秘剣【緋洸閃】」
そのまま刃を振り下ろせば、乱れ飛ぶのは練り上げた神気によって形成した緋色の刀。雨のごとく降る刃が甲板に存在する護衛のための自走式カノン砲を一気に破壊、殲滅する。そして、それ以外にも……『見えない何か』を掠めて斬り裂いた感覚もある。
(存在するなら攻撃は当たり得るだろう)
見えないステルス型ダモクレス。情報としてはあるが、見えないことには把握も出来ない。
「
決戦配備、『ジャマー』を要請する。煙幕を撒いてくれ」
『
決戦配備『ジャマー』、
要請受託です。ヘリは近づけません。遠方から煙幕弾を数発撃ち込みます!』
オペレーターの言葉に無言の了承を返しつつ、一歩踏み込みつつ、かろうじて残っていた自走式カノン砲を真っ二つにする鏡介。
直後、ダモクレスの大群を飛び込めて撃ち込まれた煙幕弾が空中で炸裂、一帯に煙幕をまき散らす。
(不可視の仕組みは不明だし、静音機能くらいはあるのだろうが……)
思考はそのままに、体の動きは甲板への攻撃にシフト。甲板に軽く突き刺さっていた緋色の刀を引き抜き、今度は全力で突き入れる。
その瞬間、不自然に煙幕が動く。
「……!」
それを察知して回避する鏡介。
不可視の仕組みはわからずとも、動くのに一切の痕跡を残さないという事はあるまい。ダモクレスとて物質。行動すれば周りの空気が動く。
(それを煙幕で可視化する事で動きを捉える)
そうすれば叩き落とすことだって可能だ。次々と煙幕を貫いて迫ってくるステルス型ダモクレスを叩き斬りながら、その合間に緋色の刀を引き抜き、レヴィアタンそのものへ攻撃を加えていく鏡介。
「後はひたすら――攻撃を叩き込み破壊していこう」
煙幕を千々に切り裂いて。鏡介の刃がレヴィアタンに確実な傷を残していく。
大成功
🔵🔵🔵
上野・修介
◎
「司令部、聞こえますか?」
先ず『1点への集中砲火』を要請。
随伴ダモクレスによる防御をそこに集中させることで手薄になる個所を作る。
可能であれば併せて索敵妨害を掛けてこちらの動きを悟られないようにしてもらう。
「手薄になった箇所へ一直線に攻撃を叩き込める場所に誘導と、障壁展開の準備もお願い致します」
移動しながら最大限まで氣を錬り、内側でフル回転。
発射地点に到着したら自身の周囲から目標方向に向かって道を作るように障壁を展開要請。
障壁を砲身にして命中率向上と初速を速める。
着弾したらそのまま甲板上に居付いて外から『巨鯨』への攻撃を継続。
敵UCで振り落とされそうになったら流星錘をアンカーにして堪える。
●
敵戦艦にして決戦都市アマテラスに侵攻する旗艦『レヴィアタン』。その姿はいまだ健在。だがアマテラスや乗り込んだ猟兵の攻撃によって、少しずつ揺らいでいる。船体へのダメージによって物理的に揺らいでいるのもあるが、レヴィアタンのAIが導き出した作戦に『猟兵』の存在は見えてすらいない。
その事が。
いま、アマテラスに
希望を導く。
●
「司令部、聞こえますか?」
『はい。そこはまだレイラインの範囲ですから。音声および映像クリアですよ』
上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の声に、オペレーターのスガハラが間を置かず返事をしてくる。
修介が立っているのはアマテラスの海岸線。まだアマテラスの要であるレイラインの範囲内にある。
『観』据えた戦況。己の体の中に巡る『氣』の力と持てる手段の全て。それらを組み合わせて導き出した作戦を実行するには、アマテラスの
決戦配備が必要だ。
「随伴ダモクレスの大群に対して集中砲火を仕掛けてもらえますか?」
『と言いますと?』
「敵を防御に集中させたいです。出来るだけ1点に集中を」
『了解しました。
決戦配備『クラッシャー』と『スナイパー』の発動を要請します。標的、海上で停滞しているダモクレス敵機群。実弾をとにかく撃ち込んでください!!』
「それから索敵妨害を掛けることは可能ですか?」
『ジャマーの到着は無理ですが、チャフ弾を混ぜ込みます。完璧ではないですが、索敵を阻害する事が可能です』
「よろしくお願いします」
修介がそう告げた瞬間。アマテラス市内の各地から砲撃音が響く。ダモクレスの大群までは5kmほど。決定打にならないとはいえ、射程範囲ということなら確実な有効範囲だ。そして航空防衛基地より飛来するミサイルが散弾となって空から降り注ぐ。時折、光できらきらとしているのはチャフだろう。
激しい爆発と爆風。それによってダモクレスの大群が乱されていくのが修介の目でも捉えられるが、やはり決定打にはなっていない。補充はされていくし、何よりデウスエクスを破壊するにはやはりユーベルコードの存在が必要なのだ。
だからこそ、修介は自身がその『決め手』になるべく行動を開始する。
『あっ、どこへ!?』
その場から踵を返した修介に慌てて声をかけるスガハラ。『消えなくてよかったー』とか内心思っていたのは内緒である。
「ナビゲートお願いします」
そう言って修介が次に続けた言葉は次のようなもの。
決戦配備の攻撃によって隊列が乱れたダモクレス敵機群の、手薄になった箇所とアマテラス市内を一直線に繋ぐ――すなわち一直線に攻撃を叩き込める場所への誘導と。
「それから障壁展開の準備を」
『……ただ展開するだけで良いんです?』
「こっちでコントロールすることは可能ですか?」
『場所と強度は無理ですが、タイミングと角度くらいなら』
スガハラのナビゲートで市内を駆ける修介。何か『作戦』があることはスガハラに伝わったようで、それに対してもフォローをしてくれたようだ。
ならば後は。
「――」
息を吸い込む。否、取り込んでいるのは『氣』。呼吸は『常にする』ものだから。走りながらとて出来る。息を吸って息を吐く。空気だけではなく、この地に満ちる霊力を『氣』として練りながら、その力を最大限に、体の内側でフル回転させる。
到着。
修介が振り返る。
「――」
よく『観』える。ダモクレス敵機群もその先にあるレヴィアタンも。
「
決戦配備、『ディフェンダー』。お願いします」
『
要請、受諾《アセプト》。事前に聞いていたように『道』を展開します! 角度の微調整は上野さんで』
スガハラの声が響くと同時に、修介から目標方向――レヴィアタンに向かって障壁展開による『道』が出来上がる。
修介はそれを砲身にして――【撃ち貫く】!
障壁の目的は命中率向上と初速向上。理論としてはレールガンに近いかもしれない。だがそれもあって修介の思惑通りに、修介が弾き出されるようにして飛翔する。
増幅した『氣』を経絡からの収束放出することによっての飛翔。それは修介自身を
弾丸として。まずはダモクレスの大群、手薄になった箇所を容易に喰い破り。
そのままレヴィアタンの甲板へ『着弾』する!!
「……ッ!!」
その瞬間繰り出すのは拳。自身の重さとユーベルコードおよび障壁によるレールによる加速。それらを全て乗せた拳の一撃がレヴィアタンの甲板に叩き込まれる!
激しく損傷する甲板。
降ってきた『砲撃』に、反応出来てなかった自走式カノン砲がようやく動き始めるが……遅い。
「……シッ!」
小さな呼気とともに甲板を蹴った修介が肉薄。抉り込むように下から拳を叩き付け、一撃のもとカノン砲を破壊する。
自身への攻撃を察知してレヴィアタンが脚部を展開し、そのまま巨体を海面に叩きつけ、修介を振り落とそうとするが。
「……ふぅ」
予測済だ。甲板に流星錘を叩き込み、アンカーにして堪える。水の衝撃はユーベルコードなみのダメージとなるとしても、所詮は水だ。耐えれば……特に問題は無い。
流星錘を起点に体を回転させて、再び甲板に降り立つ……と同時に強烈な拳の一撃。
修介の攻撃は確実にレヴィアタンへダメージを蓄積させていく。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・リスパー
「そちらが巨大戦艦なら、こちらも戦艦です!
機動戦艦シェイクスピア、発進!」
戦艦をアマテラス上空に滞空させ、艦長席から指揮をとります。
敵巨大戦艦はアマテラスの沿岸――ですが、このシェイクスピアの主砲であれば十分に射程圏内です!
「シェイクスピア、主砲発射準備――
あわせてアマテラスにスナイパーによる決戦配備を要請!
長距離ミサイルの攻撃に合わせて主砲を発射します!」
機動戦艦の艦首にある大型荷電粒子砲のリミッターを解除して全力チャージ!
動力炉が焼き付いても構いません!
敵巨大戦艦に風穴を開けてあげましょう!
「アマテラス、長距離ミサイルの発射をお願いします!
ミサイル着弾に合わせて、艦首大型荷電粒子砲発射!」
●
洋上の敵戦艦『レヴィアタン』の上で戦火があがる。それはレヴィアタンから発射されたものではなく、レヴィアタンに叩き込まれているもの――猟兵たちが乗り込み、レヴィアタンに直接ダメージを与えている証左だ。
その攻撃は着実に艦体に不可逆の傷を与え、このまま続けば撃沈してしまうだろう。それは確実に近づいている。
だが。
海上で集結していた飛行型ダモクレスの大群がゆらりとひとつの方向へ揺れる……すなわち、アマテラス市内へ。
レヴィアタンとしては自身が撃沈する前にアマテラスの中枢さえ落とせれば、問題ないのだ。後はその巨体で蹂躙するか、自身が撃沈しても次のダモクレス勢力が落とせばいいだけの話。
「くっ……敵ダモクレス大群、動きます!」
アマテラス司令部の中に響く報告。その言葉に、
元のテンションへ戻される。
「クラッシャーとスナイパーに迎撃させろ! 少しでも敵機の数を減らすんだ!」
「続けてますってば!!」
司令官オキカゼの指示にオペレーターのスガハラが叫び返す。そう、レヴィアタンが動き始めた時からずっと続けている。しかし、決定打にはならない。猟兵の指示で1点集中&撃破したところでやはりそれは一時的なもの。延々と補充される工場――レヴィアタンの中にある機構を潰さない限り、やはり数の暴力は抑えきれそうにない。
(このままでは……)
アマテラスは落ちるだろう。この敵機群を防ぎきれる戦力は無い。所詮、戦いは数なのか……そんな思いがオキカゼの胸中によぎったその瞬間。
「アマテラス上空に反応! これは……え? 戦艦? 浮いてる?」
「……は?」
オペレーターのキノの言葉に、オキカゼの頭の上に『?』が乱舞する。
モニターに映っているのは銀の艦体。多少未来的だがどう見ても戦艦である。空に浮いているってことは空中戦艦というものなのだろうか。だがそんな『戦力』は『この世界には無い』はずだ。
はずだが……。
『そちらが巨大戦艦なら、こちらも戦艦です! 機動戦艦シェイクスピア、発進!』
通信越しに聞こえてきたアイ・リスパー(
電脳の天使・f07909)の声が司令部に響いた瞬間。
その『存在』がどういうものか、という疑念はなんかどうでもよくなったのである。
●
「そちらが巨大戦艦なら、こちらも戦艦です! 機動戦艦シェイクスピア、発進!」
アイが『自身の』保有戦艦、【ワダツミ級強襲揚陸艦】『機動戦艦シェイクスピア』の艦長室で号令を放つ。その言葉にシェイクスピアのAIが反応という名の返答を。アマテラス上空に鎮座するように、シェイクスピアはその艦体を戦闘態勢へと移行させていく。
ところで、猟兵には世界の加護がある。それにより『どんな外見でも現地の住民に違和感を与えない』。それは装備にも及ぶ。何故かと言えば装備に身を包んでいる間はそれを含めて、その猟兵本人だからだ。
すなわち。
『現地に無いテクノロジーであっても、疑念を抱かれることはない』。もちろん興味や研究の対象にはなるだろう。だが『あんなもの、この世界に無い』とはならない。
シェイクスピアはその典型だ。下手をすればレヴィアタンとタイマンを張れる性能があったとしても、それは疑念ではなく歓迎を以て受け入れられる。これこそが現地のケルベロスに無く、猟兵だけが持つアドバンテージなのだ。
だから、レヴィアタンすらもそのように認識する。シェイクスピアは現地勢力で、『
決戦都市アマテラスに当戦艦への有効攻撃は存在しない』。ゆえに敵機大群の侵攻は止まらないし、止める理由も無い。
――それはアイにとって、
とてもイージーな展開だ。
「敵ダモクレス群、依然接近。敵巨大戦艦はアマテラスの沿岸――ですが」
艦長席に座って視線はモニターを捉えつつ、手は滑るようにコンソールを操作していく。アイの周りに次々に現れるホロディスプレイ。それらを光速かつ的確に処理していくことでシェイクスピアの攻撃態勢を整える。
「このシェイクスピアの主砲であれば十分に射程圏内です!」
空に轟音を響かせて。
シェイクスピアの主砲がその姿を顕す。そのシークエンスが完了するか否かのタイミングでアイが叫ぶ。
「アマテラスにスナイパーによる決戦配備を要請! 長距離ミサイルの攻撃に合わせて主砲を発射します!」
『りょ、了解です。
決戦配備『スナイパー』、
要請受諾。航空防衛基地、回線を繋げます。ケルベロス・アイの指示で支援を!』
『了解っ!』
アマテラス上空にも伸びるレイライン越しに通信路が確立される。
「よろしくお願いします! 「シェイクスピア、主砲発射準備――開始!」
機動戦艦の艦首にある大型荷電粒子砲の砲口からエネルギーが漏れ始める。それは主砲のエネルギー充填からどうしても零れ出る余波。
「リミッター解除! 全エネルギーを集中して全力チャージを! 動力炉が焼き付いても構いません!」
アイの号令に、砲口から零れる光がより強く、より濃くなる。だが、そろそろ敵機がアマテラスの結界に取り付く……! こちらは臨界点までもう少し!
「アマテラス、長距離ミサイルの発射をお願いします! 目標、アマテラス沿岸!」
まずは目の前に迫る脅威を露払いする。アイの号令によって放たれる長距離ミサイル。
「シェイクスピア、カウントスタート! 20から!」
距離に合わせてアイのカウントダウン。
ダモクレスが結界に衝突する。わずかな時間、ヒトが蜘蛛の巣に引っかかって足を留める程度の時間を停滞させた後。結界を突破してアマテラス市内に襲い掛かろうとするダモクレス群を空からの鉄の雨が全力で押し留める。それでもなお、鉄の雨を抜けて市内に迫るダモクレス群。
だが――ミサイルが着弾したということは、アイ&シェイクスピアの準備が完了したことを示す。
「イチ……ゼロ!
【大型荷電粒子砲・全力射撃】! シェイクスピア、艦首大型荷電粒子砲発射っ!!!」
空を切り裂く極大威力の荷電粒子ビーム。シェイクスピアが持っている全てのエネルギーを放出するかのような光の一条がダモクレス群をまとめて飲み込んで消滅させていく。
その射線の先にいるのは――レヴィアタン。
味方は既に退避している。意識しなくても届けたい者に作戦が届く。レイラインコールの利点はここにある。
「敵巨大戦艦に風穴を開けてあげましょう!」
アイが艦長席から身を乗り出しながら叫べば、その気合を叩きつけるが如く、荷電粒子ビームがレヴィアタンの艦首に直撃する! その重厚な装甲でしばらくの間耐えていたレヴィアタン。
しかし、ビームの一撃は一発と見せかけて波状攻撃だ。耐えれば耐えるほどそのエネルギーを叩きつけられる。
「シェイクスピア! 全部持っていって構いません!」
アイの裂帛の気合。それに反応してシェイクスピアが残っていた『制御維持』系のエネルギーも攻撃へと回す。苛烈さを増す荷電粒子ビーム。せめぎ合うレヴィアタンの装甲。
そして。
レヴィアタン周辺全てを飲み込むほどの爆発と爆風が巻き起こり、周囲のダモクレスごと吹き飛ばす。
「やりましたか!?」
それはフラグっていう。
爆風がはれた後、その中から現れたレヴィアタンの姿は艦首を大きく破損。中の工場も半壊して生産能力を激減させている。
「やっ……あれぇぇぇぇぇぇぇ!? きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
歓声をあげようとしたアイ……の体が急激に落下する。
ほらー、『全部』っていうからー。
制御を失ったシェイクスピアが伊勢湾に不時着するのでした。
大成功
🔵🔵🔵
ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や
戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ
攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!
●
洋上を貫く一条の雷光――否、ヒトの科学が造り出した荷電粒子砲。それが空を覆うダモクレスの大群を飲み込み、さらにはその先に存在する敵戦艦『レヴィアタン』を貫く。
天の裁きではなく、それはヒトの手――この世の不条理に抗う意志によって、放たれた『生きる』という力の発露だ。
ケルベロス――猟兵たちによる迅速かつ決定的な打撃はついにレヴィアタンの艦体に巨大な穴を穿つ。
レヴィアタンの脅威はその巨体もさることながら、内部に保有するダモクレス製造工場によるところが大きい。敵デウスエクスがレヴィアタン1隻を派遣してきたのはそういう意味合いも大きいのだ。
だからこそ内部の工場破壊は脅威度の激減、しいてはデウスエクスの侵攻作戦の成功度を激減させることに繋がる。
そして明確な艦体の損失。これによってレヴィアタンの危機感が急激に上昇する。
もはや一刻の猶予も与えず、制圧する。
半壊しつつも残っている生産能力をフル回転させて、工場を稼働させる。それによって放たれる飛行型ダモクレスの群れは先ほどまでより明らかに数が少ない。
「おー。これならいけそうやなー」
その声は空高く。上から降ってきた。レヴィアタンにしてもダモクレスにしても上空を飛ぶヘリを探知していないわけではない。ただ、動きが無かったから放置していただけ。
――それが彼らの致命傷となる。
何故なら。そこには『助っ人』が乗っていたからだ。
「せやけど、いきなり敵戦艦に乗り込むて。どないなっとんこの世界」
ハードにも程があるだろう。ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)が『ううむ』と唸る。
銀の雨が降る世界――銀誓館学園の過去の戦いも作戦が大概無茶苦茶だったが、単独突撃とかはそんなになかったはず、はず。
それはこの世界特有の話なのか、あるいは猟兵になったから体験することなのか。
「……うん、わからん! しゃーない。こういう時はいつも通り、元気一杯で行こか!」
にぱっ、と元気一杯、明るい笑顔を浮かべて自身の掌に拳を打ち付けるウルスラ。
だが、その声はウルスラの背後から放たれた。
「あのね。ケルベロスだから大丈夫かもしれないけど。無理しなくてもいいのよ?」
心配してくれてるのは決戦都市アマテラスの
決戦配備要員。ヘリの中で一緒に行動していた『ジャマー』の人々だ。……ただなんていうか、その。子供を心配する大人の立場ムーブ。
「いや、ボク成人しとるんやけど」
「『えっ』」
「……」
気まずい雰囲気が流れる。ちょっと悲し気なウルスラに、めっちゃ申し訳ない表情のジャマーの人たち。
「大丈夫やよ。銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな」
「ギンセイカン? なにそれ?」
「あっ」
今度はウルスラが口元を押さえるターンでした。まぁ少し場が和んだところで?
「と、とにかく! 支援よろしゅう! ボク、突っ込むから!」
「了解! ガトリングガンと電子マキビシで支援しつつ、ルート確保するね」
その言葉を合図にして、作戦開始。
ガトリングガンの砲口が火を噴くと同時に、ウルスラが空へと身を躍らせる。
弾幕がダモクレスの進軍を鈍らせる。そこへまき散らされる電子マキビシが小爆発を次々と起こして視界を塞ぐ。ダモクレスのセンサーが暗視モードに切り替わるその前に。
「よっ、と」
ウルスラの両脚がダモクレスに着地する。
「いくでぇ!!」
そのダモクレスを最初の一歩の基点として。
ウルスラが空を舞う。【スカイステッパー】――空中すらも足場にして鋭く飛び回るウルスラはさながら乱反射する光のごとく。ダモクレスの間を稲妻のように駆け抜けて、そのついでに蹴撃でダモクレスを撃ち落としていくヒット&アウェイの極致。
ダモクレス群の中を突き進むためか、姿のみえないインビジブル・ワンもウルスラを捉えられない。
そのまま。
落雷のごとく、レヴィアタンへと降下するウルスラ。
「まずはぁ! これでどうやっ!」
空を足場に、
空を切り裂く蹴撃――【セロ・ディスタンシア】によるサイキックの斬撃波がレヴィアタンに直撃する。このユーベルコードは『強制的に彼我の相対距離を奪う』。相手が動かないほどの巨体なら? その効果によってウルスラが一瞬でレヴィアタンへと肉薄する。
至近距離、真にウルスラの蹴りの間合い。
ならば放つのは絶対の自信を込めたこの一撃。
「基本にして王道! 積み上げた努力と経験は決して裏切らへん!」
【真・クレセントファング奥義】!
ウルスラの極超音速連続蹴りがレヴィアタンの艦橋へと叩き込まれる。彼我の質量差など何の障害にもならない。何故ならその蹴りは鉄すら砕き、その軌跡に刻まれた三日月型の衝撃波が追撃のようにレヴィアタンへ食い込む。連続蹴りの一撃一撃が
致命傷で、さらに衝撃波がその傷を抉っていく。
いかな巨体、いかな鋼の身体とて、『生きている』ならばその中心がある。
その中心が崩れたならば?
その手応えを感じたウルスラが最後の一撃と言わんばかりに足を振り上げる!
「サッカーボールのシュートは必殺技や!」
脚の軌跡をコントロール。一点へと積み重ねた三日月型の衝撃波を蹴り抜くようにして。
渾身の【真・クレセントファング奥義】!
衝撃波がサッカーボールのように空気を貫き、必殺の一撃としてレヴィアタンへと抉り込まれ、広がったクレーターへウルスラの後ろ回し蹴りが炸裂する!
「やったか!?」
普段ならばフラグでしかないその言葉は、今この場においては終わりを告げる正しき宣告。
レヴィアタンから生命反応が消えていく。ダモクレスがただの鋼の塊と化していくその様を。
猟兵たちとアマテラスの司令部は息を飲んで見守るのであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『復興支援』
|
POW : 力仕事なら任せろ!
SPD : 細かな作業なら任せろ!
WIZ : ユーベルコードによる修復なら任せろ!
|
●状況報告
「戦闘……終了! 敵旗艦轟沈! 残ったデウスエクス群、撤退していきます!」
オペレーターのスガハラの声が司令部に響く。
直後、司令部に大歓声が巻き起こる。
決して少なくない被害がアマテラス内に出ている。街の破壊もそうだし、ケガ人も多数だ。しかし、死者はいない。
つまり、デウスエクスに搾取された『グラビティ・チェイン』は1gも無い。
「ここまでっ! ここまで被害が軽微であった戦いはこれまでに無いッ!!」
司令官であるオキカゼの声が歓喜に弾む。
そう、これは。決戦都市アマテラスにおいて歴史的な勝利を刻んだ瞬間であった。
だが、まだ終わりではない。
「歓喜のままに宴を開きたいところだが、まずは街の復旧を優先させる。いつも通りアマテラス総出で行うぞ。ケルベロスにも支援を要請してくれ」
「は、はいっ」
まだ終わってない、というのは戦闘ではなく、この戦いの後始末。すなわち、戦闘の痕跡を消して日常を取り戻す作業だ。
壊れた物は、モノは直せる。確かに前とまったく同じでは無い。ゆえにそこに宿った想いなども失われている。
けれども。ヒトの命、生命だけが不可逆なのだから。生命さえ無事ならばやり直すことができる。
そういう意味で。今日の勝利は確実に。アマテラスの歴史に刻むべき1ページなのだ。
※シナリオ補足※
3章では街の復旧作業がメインになります。
大きく行動パターンは3つ。POW/SPD/WIZの選択肢はパターンを選んだうえでのやり方になりますので参考程度に考えてください。
①街の復旧・修繕作業
②ケガ人の治療
③アマテラス市内のパトロール
やることに困ったら、司令部辺りにレイラインコールで聞いてみてください(お任せプレでオッケーです)
①デウスエクスとの戦闘、特にエインヘリアルが街中まで食い込んでいた関係で街の建造物や道路などのインフラが破壊されています。こういった部分の修繕作業をお願いします。
・壊された主な箇所。
宮川大橋(戦闘箇所であったため破損。放置しておくと今後大橋が落ちるかも)
大湊海岸(被害は無いですが、壊されたダモクレスの残骸が大量に流れ着いています)
伊勢市駅(目立っていたので攻撃が集中していました)
宮川流域北部(クラッシャー砲撃に対しての反撃によって街並みが破損)
その他、アマテラスの街中で戦闘があった箇所
②負傷者の治療にあたります。ケガ人は伊勢赤十字病院と真隣のミタス駐車場に作られた野戦病院に運び込まれています。そこでケガ人の治療を手伝ってください。
③残存している戦力や街中で邪魔している巨大な残骸などの調査・報告を行います。また街中に残されているケガ人を病院へ運び込みます。①と②の支援と思ってください。
<決戦配備・要請例>(これ以外の指示も可能です。プレで指定してください)
◆クラッシャー
・陸上待機基地からの戦闘ロボの出撃――高所作業や荷物運搬を担います
(戦闘ロボは歩行orローラーダッシュタイプの直立人型兵器となります。飛行不可)
(リモートレプリカントまたはその同系統UCの対象とすることが出来ます。Gビットしたい人はぜひ)
◆ディフェンダーによる支援
・霊障壁展開(隔壁やバリケードの代わりとなる霊的な壁)
アマテラス市内ならどこでも展開可能。アマテラスの霊力に馴染んでいる地元民のみは通り抜け可能。足場くらいにはなるかもしれません。
◆ジャマーによる支援
・工作員or忍者派遣
人力です。復旧作業を行っています。戦闘ヘリで上から作業指示とかしてくれます。
◆キャスターによる支援
・神楽舞奉納orライブオンステージ
特定の施設で人々を盛り上げることで、アマテラス市内の人々が疲れにくくなります。あと息抜きが出来て復旧作業の効率が上がります。
◆スナイパーによる支援
・人力です。復旧作業を行いますが、腕力があまりないのでパトロールの方を担当することが多いです。
◆メディックによる支援
・医師、ナース、医療関係者等の完全ネットワークにより、ケガ人の治療にあたります。
・避難誘導員はパトロールを担当することが多いです。
夜刀神・鏡介
決して少なくない被害だが、戦いの規模を考えれば寧ろよく守られたというべきか。流石の備えだな
……だが、この世界はこういう戦いをこれまで何度も繰り返してきたんだな
街の修復に使えるような技は持ってないし
応急処置くらいしかできない俺が病院に行っても仕方ない
『八咫烏』で街中を走り回って、各種調査報告をするとしよう
どこの調査が必要か、或いは集めた情報については司令部あたりと適宜連携して
バイクで入り込めない場所は歩きで見に行こう
適宜バイクのエンジンを切って、音と気配で逃げ遅れた人がいないかも探していく
怪我人を見つけた場合は一旦応急処置
動かしても良さそうなら関係者に引き渡し。動かさない方が良いなら救援要請だな
●
決戦都市『アマテラス』が平穏を取り戻す。デウスエクスの襲撃をしのいだアマテラスに戦闘の爪跡は深く、広く刻まれていたけれども。
それでもそこに満ちる活気はこれまでになく、明るく、活力に満ちていた。今日という日に歴史へと記した勝利は確かな希望となっているのだ。
「決して少なくない被害だが、戦いの規模を考えれば寧ろよく守られたというべきか。流石の備えだな」
そんな街の様子を見渡しながら。
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は呟くように言葉を紡ぐ。誰に聞かせるというでもなく、ただ単に口をついて出ただけの言葉。風に紛れて飛んでいくだけの呟きだ。
「……だが、この世界はこういう戦いをこれまで何度も繰り返してきたんだな」
そんな感想も。風の中に千々と消えていく。
「さて……」
気を取り直して。
鏡介が体を預けていたバイクへと向き直る。大型バイクの『八咫烏』。先の戦闘でも活躍した八咫烏に跨り、鏡介は視線を街の中へと遣る。
(街の修復に使えるような技は持ってないし、応急処置くらいしかできない俺が病院に行っても仕方ない)
ならば、と導き出した答えが『八咫烏で街中を走り回って、調査・報告を行う』というものであった。
仮に。敵ダモクレスが街中に潜んでいる、あるいは不時着などして帰還できなかったなどがあった場合。単独で撃破できるケルベロス、あるいは猟兵ならまだしも、一般人では被害が拡大するだけである。
だからこそ、メディックなどは大胆な行動が出来ない。
そこの部分を鏡介が補う。
「司令部。見てきて欲しい場所はあるかい?」
『でしたら、二見浦の辺りをお願いできませんか? 微妙に距離がありまして。纏まって動くには少し効率が悪いのです』
聞こえてくるオペレーターの声。
二見浦とは、と思っていたら地図が提示された。どうやら戦闘があった海岸線から南東へいった場所……夫婦岩のある付近らしい。
避難は完了しているはずだし、激しい戦闘は確認されていないが、しかし確実に戦闘に巻き込まれている地域でもある。
「了解した」
短く言葉を返して。
鏡介の八咫烏が激しい音を立てて疾走する。
「ここか」
まずは二見浦公園へ。避難場所になっているわけではないが、海が近いため、被害の程度を探るには良い
チェックポイントと言えるだろう。
バイクのエンジンを切って、神経を集中させる鏡介。音と気配で逃げ遅れた人がいないかも探していく。付近にそういう気配は無いようだ。
次に確認するのは物理的な被害状況……だが、こちらも損傷は軽微だ。戦闘が無かったわけではないが、やはり大部分は伊勢神宮――司令部を狙って行動していたようだ。
次々とポイントを変えて、その都度バイクのエンジンを切って、と鏡介の仕事は細やかに成されていく。
結果として。
JR線の線路から北。そして海に挟まれた三角地帯はエインヘリアルたちとしても通り道でしか無かったようで、建物の破壊も少々といったところで、ここは一番被害が少ないのかもしれない。
「司令部。聞こえているか?」
『はい。どうしましたか?』
レイラインコール越しにオペレーターを呼び出す鏡介。
「言われた地点は被害も少ない。建物も少し屋根が壊れている程度だな」
それは言外に『この地域は大きな補修をしなくてもとりあえず生活にダメージは無い』という報告だ。
『了解しました。ありがとうございます。こちらに戻ってきてください。簡単ですが軽食の準備が整いましたので、ぜひ』
「……ふっ」
どうすべきか一瞬悩んで。食事をもらう分には損しないだろう。
そんなことを考えつつ、鏡介はアマテラスの中心部へと移動していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
上野・修介
◎
「終わったか……」
大きく息を吐き、そして整え直す。
「……さて」
戦闘は終わったが、まだ仕事は終わっていない。
基本方針:③
先ず司令部に赴いて司令官とお世話になったオペレーターさん達に挨拶する。
「ありがとうございました。お陰で戦い易かったです。」
司令部で被害の調査状況を確認。
被害が大きい、或いはまだ調査が進んでいない地域に赴いて、残敵と瓦礫の倒壊等による二次被害を警戒しつつ状況調査。
UCを展開し拡大した氣を触覚の延長として用いて状況確認。
要救護者が入ればメデイックを要請。
道すがら撤去できそうな瓦礫が有れば軽く砕いておく。
●
決戦都市『アマテラス』――デウスエクスを撃退するために造られたこの街は、かつて無いほどの大規模襲撃を、無傷で切り抜けた。
こういうと語弊があるかもしれない。無傷というのは『グラビティ・チェイン』の観点からなので、ケガをしている人もいれば骨を折っている人もいる。街の中を見れば家の中がぐちゃぐちゃになっている人もいれば家が無くなっている人もいる。しかし。昨日まで一緒に笑い合っていた隣人がいない、という事態だけは防げたのだ。
これは大きい。とてつもなく大きい戦果だ。
その為か、アマテラス市内の士気はまだ高く維持されていて、復旧作業も心なしか素早いように思える。その活動を助けるべく、市内各地に散るケルベロスたち。
猟兵たちもまたその中へ混ざって、各々が得意とする作業へ赴いていく。
「終わったか……」
己が激戦を繰り広げていた海上を振り返って。上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は体から大きく息を吐き出す。レヴィアタンへの奇襲を行った後、続いて攻撃を仕掛ける仲間に合わせて修介も攻撃を叩き込み続けていたわけだが、さすがに荷電粒子砲の砲撃に対しては退避していた。周辺の海上に展開していた海上艦隊に乗り移った後、戦況を見守り……レヴィアタンの撃沈を確認して海岸線まで戻ってきたのである。
視線を遣った海上には平和が……訪れてなかった。え? と思わず修介をして眉を顰める事態だったが、どうやら海上に不時着したケルベロス――たぶん猟兵だろう、の艦らしい。海上運航において問題が起こりかけているようだが、単なるトラブルっぽいし。見なかったことにする。
踵を返してアマテラス市内へ視線を遣り。
「……」
呼吸を整え直す。普段していることをやるだけでも気分も体も落ち着いてくるもので。戦場に在った身が日常へと帰ってくる。
「……さて」
戦闘は終わったが、まだ仕事は終わっていない。
修介は改めて。アマテラス市内へと踏み出すのであった。
●
修介がまず向かったのは司令部。戦闘の前にも訪れていた修介はその活躍をモニター越しに確認されていたこともあって、先よりも好意的に迎え入れられた。
「ありがとうございますっっっ
!!!!!」
「……えっと」
こう、ちょっと人前で見せてはいけない顔で泣きながら握手(しかも力強くぶんぶん)してくるスガハラさんにさすがの修介も引き……じゃなくて、対応に困っているようだった。
だが。
「……ずび、ぐす」
聞こえてくる音の響きは悲しい時のソレと変わらずとも。スガハラの顔にあったのは喜びである。感謝である。
それを見て、対応に困っていた修介の表情も幾分か和らぎ。紡ぐべき言葉も、此処に届けに来た想いもするりと口をついて出る。
「ありがとうございました。お陰で戦い易かったです」
「……! はい、はいっ……!」
あーあ、また泣かせたー。そんな、笑い声が。暖かい気持ちが司令部に満ちるのであった。
落ち着いたところで。
「どうですか。被害は」
「はい。損傷は軽微……とは言えないです。さすがに街中でドンパチやらかしてますからね」
修介の言葉に
冷静になると有能な典型例がコンソールパネルを操作していく。眼前のモニターやホロディスプレイ等々。今、修介が『知りたい』と思っていた各所が映像として映し出される。
「調査については、バイク持ちのケルベロスさんとメディックの避難誘導員が担当してくれています。現状の街中はこの方たちが一番機動力を持っていますから」
そこからあがってくる報告もまた同じく表示。ひと通りアマテラス市内を巡り、パトロールした結果、残存敵の存在は確認されなかった。一安心である。
「修繕も進んでいます。壊れたのを直すのはまぁノウハウがあるので大丈夫かと思うのですが」
「……?」
なんとなくスガハラの語尾に違和感を感じて、首を傾げる修介。
「この地域。いえ、此処からすぐ近くなんですけどね」
表示されたのは伊勢市駅から伊勢赤十字病院までの区間。
残念ながらエインヘリアルの侵入を許してしまった関係で、この辺りにも建物の被害が出ている……が、伊勢赤十字病院がすぐ近くにあって交通の要所にもなっているのだ。
「瓦礫が思った以上に多くて。怪我人の搬送が思うようにいっていないんです」
サンアリーナからの二次搬送も今後増える。
道の確保はしっかりしておきたい。
「上野さんの戦い方なら最適かと、思うのですが」
若干上目遣いで。誘惑の意図など無く、何とか受けてくれないかなーっていうそういう仕草である。
「わかりました」
思わず微苦笑しながら。修介が地図を確認していく。
道を塞いでいる瓦礫や障害の排除。修介向きの仕事である。
【周天、或いは圏境】――周辺を己が領域と化しつつ、慌てずに、しかし素早く現地へ移動する。周辺に展開し拡大した『氣』が教えてくれるのは街の活気だ。触覚の延長として放たれている『氣』は街の健全さを教えてくれる。もちろん、怪我をしている者もいる。だが体に満ちる『氣』の充実さは。
思わず口元に笑みを浮かべながら走っていけば、目的の場所へと辿り着く。
ビルの上層部がごっそり落ちて道を塞いでいる。これを破壊、あるいは撤去するには相当な時間がかかるだろう。
ならば……砕く。
「応援に来ました。離れてください。砕きます」
『えっ?』という動揺が周囲の人々に走るが、あまり気にせずに。
残骸に対して至近距離でいつもの自然体の構え。呼吸を整える。『氣』を整える――調える。
【――崩す】、と。
放たれた修介の一撃がビルの残骸を細やかに突き崩す。
それによって街中には大歓声が響き渡るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・リスパー
③
「そんな、シェイクスピアが海のもずくに……」
『いえ、まだ撃沈はされていません。
ただ、主動力部の再起動には、一度、修理が必要です』
シェイクスピアの艦橋のモニタには、機動戦艦シェイクスピアの制御を任せているAIオベイロンの自己診断プログラムの結果が表示されています。
主動力部が真っ赤になった自己診断結果によると、現状、再浮上どころか自力航行すらできなさそうです。
なんとか伊勢湾から移動させ、修理しないといけません。
「えっ、このままだと船の通行の邪魔?
はいっ、すぐどけますっ!」
『とはいえ、自力では動けませんが』
「ああっ、そうでしたっ!」
えーと、レッカー車の連絡先は……
いやいや、レッカー車程度では巨大戦艦なんか動かせないですよね!?
「よし!困った時の決戦配備です!
クラッシャーを要請!
戦闘ロボをお願いします!」
レイラインコールでアマテラスに戦闘ロボの出撃を依頼します。
「えーと、伊勢湾に不時着してる機動戦艦を修理ドックまで曳航してもらえませんか?」
『アイ、決戦配備をそのように使ってもいいのでしょうか』
●
決戦都市アマテラスの復旧作業。
かの世界とは違い、破壊された建物や迎撃装備は
魔法一発というわけにはいかない。
だからこそ
決戦配備があるのだし、戦う力が無くとも街を支えんと一般人たちも多く残っている。
ケルベロスたちと
決戦配備の人々が決戦都市を守る者ならば、戦いの際は避難するだけの一般人は『戦闘以外』で決戦都市を支える者たちなのだ。
ゆえに決戦都市アマテラスは一丸となってデウスエクスに立ち向かう。この後始末もまたその戦いの一部なのだから。
●
というわけで、アマテラスから少し離れた伊勢湾の海上である。ちなみに『クラッシャー』を担っていた戦艦は既に退去している。そして代わりに通常の海上運航が戻ってきたわけだが。
そのルート上に銀色の大きな艦が横たわっていた。
アレは何だ?
アイ・リスパー(
電脳の天使・f07909)の機動戦艦『シェイクスピア』ですよ?
そんなわけでシェイクスピアの艦内である。
「そんな、シェイクスピアが海のもずくに……」
『いえ、まだ撃沈はされていません』
ちゃんと海上に浮いてるんだから、勝手に沈めないでいただきたい。っていうか、シェイクスピアは食べ物じゃありません。オベイロン(シェイクスピアの制御を任せているAIのこと)ちゃんとツッコんで!! あなたの主、ちょっとやらかしすぎですよ!!
そんな天の声(?)が伝わるわけもなく、オベイロンは冷静に艦内を走査していたらしい。
『ただ、主動力部の再起動には、一度、修理が必要です』
ぴぴぴぴぴっ、と艦橋のモニタに、オベイロンの自己診断プログラムの結果が表示されていく。っていうか全力で赤い。撃沈されてないってオベイロンが言っていたが、これが撃沈で無ければ奇跡といえよう。
死線のくぐり方が違う。
そして当の
艦長も慣れたもんである。
常人ならば見るのもおっかなびっくりになる全面赤のアラート画面を、『んー……』とじっくりしっかり読んでいく。そこ、主動力部の
チェック画面なんですが??
「現状、再浮上どころか自力航行すらできなさそうです」
『でしょうね』
「なんとか伊勢湾から移動させ、修理しないといけません」
『アイ、その前に重大な問題が発生しています』
オベイロンの言葉にアイが顔をあげる。っていうかオベイロンがこれ見よがしにアップにした画面へ視線を遣る。
『航行中の船から
リクエストが入っています』
「えっ、このままだと船の通行の邪魔?」
オベイロンが今まで押さえ込んでいたクレームを全力公開すると、艦橋に『はよせい。渋滞すんで?』と言わんばかりのアラートがびーびーと鳴り響く。
「はいっ、すぐどけますっ!」
『とはいえ、自力では動けませんが』
「ああっ、そうでしたっ!」
発進しようとしてツッコミを受けて、そして頭を抱えるアイ。
「えーと、レッカー車の連絡先は……」
『レッカー車程度では巨大戦艦は動かせないと思います。そもそも……海上なのですが?』
「あーーーーっ!?」
正しくデッドロック。アイに逃げ場無し……!
そして迫ってくるっていうか次々と後ろに待機列ができる船たち。激しい戦いの後なのでアイを責めるようなことはないが、真面目に困っているのも事実である。
このままでは後ろから押し出されるように追突されて、本当にシェイクスピアが海のもずく……じゃなかった、もくずになる5秒前!!
「よし! 困った時の決戦配備です! クラッシャーを要請! 戦闘ロボをお願いします!」
『いや、だから沈みますって』
レイラインコール越しにアマテラスへ戦闘ロボの出撃を依頼するアイを秒で斬り捨てるオベイロン。
海上です、海上なんです!!
「わーん!! だれかーーー!!」
レイラインコールで雑に助けを求めるアイ。
『あー……曳航しようか?』
「『……!!』」
神はいた……! いやさっき撤退していった戦艦なのだが。なんか予感がして戻ってきたらしい、優しい艦である。
「えーと、修理ドックまで曳航してもらえませんか?」
『アイ、
決戦配備をそのように使ってもいいのでしょうか』
『まぁ気にすんな。使えるものは何でも使えってことだ』
オベイロンのツッコミをアイではなく、戦艦の艦長が引き継いで笑い飛ばす。非戦闘時の
決戦配備など何の役に立とうか。こんなことでも役に立つなら、それはそれで喜ばしいことなのだ。
伊勢湾の運航ルールに従って、船のルートを避けて。もうついでに戦艦のドッグに持っていくことにしたらしい。戻ってきてくれた戦艦数隻で巨大戦艦を曳航していく光景はなかなかお目にかかれない、アマテラスの珍事としてこれまた歴史に刻まれるのである。
●
そんなこんなでドタバタしている
ケルベロスもいたわけだが。その喧騒すら今日という日には賑やかしとなる。
そんなアマテラスの1日の終わり。
まだ都市が機能を取り戻すまではしばらく時間がかかるだろう。勝利の宴はそこまでお預けだし、何なら宴を開く前にデウスエクスの再襲撃があってもおかしくない。
――それでも。
決戦都市アマテラスに満ちるのは、これまでに無いほどの明日への希望と期待。
猟兵の参戦で、ケルベロスディバイドの世界は確実に時代が動き始めたのである。
大成功
🔵🔵🔵