甦る伝説
●暗躍する影
「お疲れ様。中納言様の様態はどうだい?」
「どうもこうも、まだうわ言を呟きながら白目向いて泡吹いているよ」
秘書然のレディースーツ姿の女性がため息混じりにガチャリとドアを開けると、革張りのソファーに座っているまだあどけなさが残る顔立ちの青年が出迎えて労った。彼女の報告を受けてその姿を想像したのか、ルキウス・トラヴィスという名の男は栗毛色の髪に手を押し当てながら思わず込み上がってしまう笑いを堪えた。
「元はと言えばあんたが撒いた種だよ。後の始末はあたしは面倒見ないさね」
「ごめんごめん。後のケアは僕がしておくよ。それに、マリーのご機嫌もそれ相応に穴埋めするから……で、どう?」
「相変わらず調子の良い坊っちゃんだよ。ま、それで手打ちにしてやるさ……で、ありゃあ何だい?」
こうも昔の名前を続けてられていれば、いい加減訂正を求める気が薄れていく。それでも不意に耳元で囁かれるよりはマシだと、アクィラ・ルーベルもといマリー・マシュヴァーは苛立ちを隠すように彼と隣り合う形でソファーに座ると疑問を投げかけた。
「そうだね……さしずめ、伝説の巨神……ってところかな。この
日出国への赴任をお祖父様に強く希望したのも、その存在をこの目で確かめたかったのもあるからね?」
「存在ねぇ……。道楽で宮中の貴族連中から古文書を買い漁っていた頃からつくづく思ってたけど、金持ちの考えることは本当に分かりそうにないさ」
「そうかい? 現在語られる歴史と本当の過去の姿を照らし合わせる考古学は面白いよ」
「元海賊のあたしが言うのも何だが、御大層な正当性でもやってることは墓荒らしと変わらないと思うけどねぇ」
そう言われると流石に返す言葉が出ないのか、ルキウスの顔が若干曇ってしまう。マリーは何時ものお返しにアレコレ言ってやろうとするが、今はこの可愛さ余って小憎い御曹司から頭の中に語りかけてきた『あの正体』を知るのが先決だ。
「様々な文献を調べると、どうもこの国にも古代魔法帝国時代期の『古代プラント』があったとしたか思えない記述があってね。ここの人たちはキャバリアを『鬼』と畏れているのも、どうやら遠い昔に天子様の遠いご子孫が今の京に繋がる中央集権国家を樹立させるよりも以前。ジャイアントキャバリアを使役して絶大な支配力を誇っていた超古代文明の存在があったんだ。とは言っても、その存在を実証するための調査なんて、無断でやればこの国の人たちは黙っていないだろ? そこで商談を積み重ねて信用を作り、ようやく天子様直々の発掘調査許可を中納言様から得たという訳さ」
「坊っちゃんの好きな分野で早口になってるのは仕方ないけどさ、あたしが知りたいのはどうして中納言が卒倒したのかって話さ」
「おっと、失礼。レガリアとして人知を超えた力を持つ剣、勾玉、鏡……所謂三種の神器があってね。今では使われない言語で綴られた古文書では、今のそれじゃなくてキャバリア……つまり三種の神器ではなく三機の神機という可能性が浮かび上がったのさ。そして、今回の発掘で見つかったのは恐らくそのひとつ。この国では幻獣や神話の神々といった空想上の存在とされている"ニンジャ"の原型となったその名は……
爾雷彌」
ルキウスの口から伝説の巨神の名が語られたその時、天井裏から僅かであるが物音が聞こえた。ルキウスのボディーガードも兼ねているマリーがスリットの深いタイトスカートから拳銃を抜くや否や、雇用主の身を守るべく跳び跳ねながら天井裏に潜んでいる曲者めがけて引き金を引く。
「チッ! 逃しちまったようだね。さては
連中の間者かい!?」
「だろうね。おおよそ忍天狗の一派だろうけど……その、マリー。君の職務を果たしてくれたのにはとても感謝しているのだけど……」
「頭ァ! さっきの銃声は!?」
彼女が放った銃声がトリアイナの商館内に鳴り響けば、当然のように警備を務める元海賊時代の部下たちがルキウスの執務室へと雪崩れ込んだ。
「賊の侵入に決まってるだろ! ……なに鳩が豆鉄砲を食らったような顔でボサッと突っ立ってるんだい!?」
「あ、いえ……その」
「君は情熱的で美しく、可愛さもある女性だとは僕はよく知っている。だけど、流石にお日様が高く登っているこの時間では……ちょっとね?」
どこかくぐもったルキウスの言葉を受け、アクィラ・ルーベルは自身がどのような姿かを改めて認識した。というのも、彼女の今の体勢は雇い主であるルキウスの身体を覆う形で倒れ込んでおり……つまりは押し倒している状態であった。もごもごと胸を通して感じる違和感は恐らく彼の頭がそこに埋もれているということであって、旗から見れば男女が
茶茶くりっていると思われても?
「な、なにを勘違いしてんだい! あほたわけ!! さっさと捕まえに行くよ!」
怒りか恥じらいか。顔を真っ赤にしながらマリー・マシュヴァーであった女が部下を急かすが、賊はこの混乱に乗じて脱出してしまったのは言う間でもなかったのである。
●グリモアベースにて
「お集まり頂きありがとうございます。クロムキャバリアの極東に位置する日出国で、新たにオブリビオンマシンが引き起こす予知を観測しました」
グリモアベースに集結した猟兵を前に、秋月・信子(
魔弾の射手・f00732)が自らが視た予知を纏めた資料に目を通しながら状況を解説していく。
「今回の事案ですが、超古代の遺跡から『強大過ぎる力と乗り手を自ら選ぶ性質ゆえに封印されていた、古きキャバリア』……通称『巨神』が発見されました」
──巨神。それも遺跡から発掘された者となれば何とも物騒極まりない話である。
「巨神と呼ばれる古代文明の
遺物は、まるで乗り手を自身の手で選ぶかのように意思を持っていることからサイキックキャバリアの一種かと考えられます。発掘された機体は、現在は遺跡の発掘調査を主導していましたトリアイナ日出国支社の敷地内に移送済みで厳重に保管されているそうですが……その情報は既に反政府組織『鬼面党』に漏れてしまっているようで、オブリビオンマシンを従えて巨神を奪取しようと暗躍しているのが今回視た予知の概要となっています」
鬼面党と言えば、ハロウィンの夜に襲撃した排外主義の攘夷派である。仮に彼らが巨神と呼ばれる古のキャバリアを奪ったとすれば、それを異国のみならず自国にも仇なす存在となりえよう。
「今回の
依頼者も、日出国の支社長をお務めになられていますルキウス・トラヴィスさんからの物となっています。えぇっと……発掘したのは良いが正直僕たちの手に負える代物でなかったので
爾雷彌に乗り手として認められたら好きに使って良い、とのお言付けを預かっています。この国ではニンジャは空想上の存在でしかないので、後の事後処理はあちらでしてくれるそうです。まずは現地に向かいお話を伺ってください」
何とも無責任極まりない話でもあるが、過ぎたる力は国はおろか世界を滅ぼしかねない。それならば、神にも匹敵する一騎当千の最大戦力である
傭兵に任せるのが最良の判断ともなろう。
今回の騒動を鎮圧すべく信子が展開したグリモアのゲートを潜り、一同はクロムキャバリアの地へと降り立ったのである。
ノーマッド
きこえるか きこえるだろう
はるかな
轟き
ドーモ、ノーマッドです。
明らかに目覚めさせると、全宇宙どころか全世界も
虚無らせそうなヤベー存在でしか無い伝説の巨神。
悪い方向に流れても島国の地図が変わるぐらいで収まれば良いかなーという希望観測で、久々となるクロムキャバリアシナリオを送らせて頂きます。
●シナリオ概要
超古代の遺跡より「強大過ぎる力と乗り手を自ら選ぶ性質ゆえに封印されていた、古きキャバリア」……通称『巨神』が発見されました。ですが、強力過ぎる故に現地の誰にも乗りこなせないその機体を鹵獲しようとして、オブリビオンマシンの軍勢が襲来することも予知されています!
滅びをもたらすオブリビオンマシン乗りの手元に、強力なキャバリアの機体を渡らせる訳には行きません。そして幸い、猟兵であればこのキャバリアの操縦者に適合できる可能性もあるのです……!
第一章は【日常】フラグメントとなります。
封印されていた『巨神』が保管されている場所に赴いてオブリビオンマシン軍団の襲撃に備え、自身の愛機や経年劣化により完全でない『巨神』へのメンテナンスを通じて「交流」を試みます。
第二章は【集団戦】フラグメントとなります。
予知の通りに『巨神』を狙って襲来して来たオブリビオンマシンの群れを迎撃します。この章で猟兵ならではの優れた武功を上げたり、一般人を身を挺して守ったり……といった行動で『巨神』に気に入られたら……後々良いことがあるかも知れませんね?
第三章は【ボス戦】フラグメントとなります。
『巨神』を奪おうとするオブリビオンマシン軍団を率いるボスとの決戦となります。
二章と三章につきましては、状況が進展した際に逐次情報の開示を行いますので、こちらもご了承ください。
それでは、荒ぶる伝説の巨神の力にも負けない熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 日常
『整備日和』
|
POW : 各種武装の修理やメンテナンスを行う
SPD : アクチュエータやブースタ等、機体の動作に関わる部分の修理やメンテナンスを行う
WIZ : AIや火器管制システム等、機体の頭脳に相当する部分の修理やメンテナンスを行う
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
『お主らが
猟兵なる界を渡りる生命の埒外たる存在か。苦しゅうない、近う寄れ』
凄まじく張り詰めたアトモスフィアが漂う格納庫の奥から、荘厳なる声が聞こえた。不思議なことにそれは猟兵たちの頭へと直接送られる感覚であり、日出国トリアイナ支社の防衛を務める貴重な戦力である現地改修されたピースメーカーのハンガーが並ぶ薄暗い密室の奥で牢名主の如く鎮座するキャバリアが伝説の巨神か?
「あれが発掘された日出国護国三巨神の一柱……
爾雷彌さ」
秘書官めいた女性とともに巨神猟兵たちを案内した日出国支社長、ルキウス・トラヴィスが古式ゆかしい白装束のニンジャ然めいた巨神『爾雷彌《ジライヤ》』が絶えず放つ威圧的なオーラに怖じけることなく歩む。そして唐突に手を合わせてオジギしたではないか。
「ドーモ、ジライヤ=サン。ルキウス・トラヴィスです」
『ドーモ、ルキウス=サン。ニンジャ・ジライヤです。うむ、今の世では喪われた
礼儀を欠かさぬとは誠に殊勝な心掛けよ。ヌハハハハ!』
おお、見よ!
正座していた巨神が手を合わせてオジギしたかと思えば、今度は立ち上がったではないか!?
「驚いただろ? 勿論、パイロットなんて乗っていない。いや、乗ろうにもコックピットなんて物は存在しない。種も仕掛けもない完全に自律して、自分の意思を持っている。それがこの
巨神、爾雷彌なのさ」
そうであれば、発掘成果を確認しようとした中納言殿が泡を吹いて卒倒してしまうのも無理のない話だ。
『話はこの小僧から既に聞いている。ワシを手籠めにしようとは、まさに大胆不敵な奴らよ。本来であればサンシタ共をワシの手で葬り去りたいところであるが……これではな』
爾雷彌の動きはどこかぎこちなく、明らかに不調と見受けれる。問題はこの巨神を修理出来るかどうかではあるか……。
「その点は心配しないで欲しい。実は僕、ヘキサで古代魔法帝国時代の研究をしているティム教授の教え子でね。教授の元で学んだ発掘したキャバリアの再生復元技術で互換性ある部品の用意は出来るし、何なら当社が輸入した
工作機械でリミッター付きになるけど新造も可能さ。掘り出してしまった手間、執務は有能な秘書に任せれるから僕も手伝えれるけど、何分多忙な身だから全部手伝うことが出来るとは限らないけどね?」
何時何刻に鬼面党が爾雷彌を奪取しようと強襲するかは分からないが、巨神が放つ神気に当てられて正気を保つことが出来るのはこの場に居る者のみである。
目に見えないタイムリミットが迫る中、猟兵は自らの愛機のみならず巨神『爾雷彌』も整備せねばならない。幸いながらも巨神はこちらに協力的だが、謎めいたキャバリアに疑問を投げかければシツレイない限り答えてくれるだろう。
シル・ウィンディア
【SPD】
ええと、こんにちわ。初めましてっ!
シル・ウィンディアといいます。よろしくね、ジライヤさん。
そういってぺこりとご挨拶。
ええと、いにしえの挨拶はわからないのでこれでいいかな?
ジライヤさんの調子を見る為には…。
スーパーロボットっぽいけど、サイキックキャバリアの整備方法でも流用は効くかな?
まずは全体をしっかり見ていくよ。
古代魔法帝国なら魔法知識とかもつかえるかな?
ええと、整備はそこまで詳しくないから、ルキウスさんに助言をもらいながらだね。
アクチュエーター、バーニア、アポジモーターなどを中心に確認して部品取替えだね。
取り替えない部分もしっかり磨いてあげるっ!
綺麗にするだけで違うものだからね。
「ええと、こんにちわ。初めましてっ! シル・ウィンディアといいます。よろしくね、ジライヤさん」
巨神『
爾雷彌』が放つサイキックエナジーに思わず
気圧されそうになる中、シル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)は勇気を振り絞るようにペコリとオジギをしてアイサツをする。爾雷彌こそは通常サイズのキャバリアであるものの、直接正対して目と目を合わせれば体長5メートルほどの機体が実は数倍……いや数十倍はあるのではと錯覚してしまう。
『これはこれはご丁寧に。ドーモ、ジライヤです』
シルがオジギをして数秒も経たない内に、爾雷彌もまたアイサツを返した。不動なる明王めいた凄み中にどこか慈悲がある声を受けると、不思議なことにシルに重く伸し掛かっていたプレッシャーが霧散していく。彼女はおずおずと顔を上げると、爾雷彌からは先程のような重圧感は微塵にも感じれなくなっていた。
果たして今までのは恐怖心から生み出されるマヤカシであったのでだろうのか?
「そう萎縮することないよ。ちょっと強面だけど、実は優しいおじさんだと思えばいいのさ」
ルキウスが朗らかに笑ってみせるが、そう言えばこの人は猟兵ではないにも関わらずに爾雷彌を前にして平然としている。これも商人ならではの肝が座った胆力が為せるワザであるのかどうかは定かではないが、アイサツを切っ掛けに相手への好意や積極性を感じさせて新たなコミュニケーションへと繋がっていく一種の心的な同調なのだろう。
『如何にも、ワシとて別に人を取って喰ったりせぬからな。しかし、気をつけられよ。このルキウス殿は人誑しの才もさることながら、女たらしの才もある御仁ぞ。甘い言葉に惑わされ、取って食われたりしないようにな?』
「ええ!? ルキウスさんってそんな方だったのっ!?」
爾雷彌から出た思わぬ言葉を受け、思わずシルはルキウスを怪訝な目で見やった。
「いや、確かに僕は誰にでも等しく接するけど、これだけは言わせてくれ。今はひとりの女性に夢中で浮気なんてもっての他だって」
『ヌハハハハ、そうであったな。お主は筋金入りの年上好きであったからの!』
まるで巨神の威厳の欠片もない中学生同士がするような会話であるが、それが却って巨神への畏怖を何処かに吹き飛ばしてしまう。そうであれば、メンテナンスも緊張せずシルが普段メンテナンスを行っている
サイキックキャバリアに接するように出来よう。
実際に爾雷彌のメンテナンスハッチを開けて不調な箇所を確認すると、微かにだが魔力の乱れが感じれる箇所を見つけることが出来た。古代魔法帝国時代期に建造されただけあって何処かオーパーツめいたスーパーロボットみを感じさせる部品ばかりではあるが、そこはキャバリア考古学に通じたルキウスの出番である。シルが交換箇所を指摘すれば手慣れた動きで部品を取り外し、トリアイナ日出国支社が各国から輸入代行を行っているキャバリアの部品と合うか照合したり無ければ全自動工作機械で代用パーツを新造していく。尤も、彼女が担当した箇所は姿勢制御用の推進装置系であったので、アクチュエーター、バーニア、アポジモーター等の既存部品で代用できる物が多く、その分時間の短縮を図れてもある。この分であれば、オブリビオンマシンによる巨神奪取にまで間に合うかもしれない。
「ルキウスさんはジライヤさんに認められていそうだけど、お乗りにならないの?」
そうすれば、会話の余裕も生まれるという物。シルは格納庫に入ってから抱いていた疑問を工作機の端末を操作するルキウスへ率直に投げつける。
「確かに彼を遺跡から掘り出して以降、アレコレと話をしたりして良好な関係を築いている点では間違いないね。けど、それだけじゃ駄目そうなんだ。『お主を気に入っているがワシを御するに値するカラテが培われておらん』とか言われて、フラレちゃったさ」
「カラテ……そう言えば、ジライヤさんにはコックピットが無いけど、どうやって操縦するの?」
「その点は僕にもまだはっきりと分かっていなくてね。古代魔法帝国時代の文明が創り出した超高度な情報集積回路と情報処理システムを併せ持つ額部分に埋め込まれた謎の無限情報サーキット結晶体が爾雷彌の頭脳。そして、エネルギーインゴットに依存しない無限のエネルギー元ってだけしか判明していないのが正直な感想さ。僕がいくら聞いたって『時が来れば教えよう』ってはぐらかされてばかりだよ」
一見すれば完全無人の自律型古代キャバリアである爾雷彌。だが、その謎は依然としてまだ残されており、その真相は直にオブリビオンマシンとのイクサにおいて判明するのであろう。
「なら、余った時間でしっかり綺麗に磨いてあげるっ! 綺麗にするだけで違うものだからね」
『これはかたじけない。武人たるもの、戦化粧の身支度も肝心であるからの』
巨神・爾雷彌はどこか申し訳無さそうにもその姿を慈しむように、無機質なカメラアイでせっせと自分のボディを磨き上げるシルの姿をしっかりと映すのであった。
成功
🔵🔵🔴
カシム・ディーン
UC「疾駆する者」常時発動中
あー…巨神つっても他のキャバリアとサイズはかわらねーのか
「クロムキャバリアのキャバリアの規格の基本は昔から連綿と続いているんだぞご主人サマ☆そしてメルシーもジャパニアの創世神なんだぞ☆」
張り合ってるんじゃねーよおめーはよー!?
「でも微妙に親近感湧くんだよジライヤ君にはね☆という訳で…ドーモ、ジライヤ=サン。メルクリウスです。」(アイサツする
キャバリア!
【情報収集・視力・戦闘知識】
ジライヤの状態を分析
経年劣化か…?
「之だけの機体ならそれだけじゃないと思うけどね☆」
UC発動
ナノマシンによる修復を試みる
魔力による干渉も行ってみる
「メルシーも手伝うよ☆」
「あー…巨神つっても他のキャバリアとサイズはかわらねーのか」
──
巨神。
その名を聞けば、誰もが天を衝くまでに聳え立つ途方もない大きさの神を思い浮かべよう。しかし、眼の前に座している
巨神は現代での共通規格でもある大きさでしかなかった。各地で相次いで姿を見せている巨神の一報を耳にしていたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、年頃の少年の一端を見せて期待に胸を膨らませていたがそうでなかったことに口を尖らせながら落胆の色を浮かばせていた。
「クロムキャバリアのキャバリアの規格の基本は昔から連綿と続いているんだぞ、ご主人サマ☆ そして、メルシーもジャパニアの創世神なんだぞ☆」
「張り合ってるんじゃねーよ、おめーはよー!?」
そんな彼の傍らでエヘンと胸を張る銀髪の少女の名は、界導神機『メルクリウス』。意志を持ち境界と旅を司る神機であるが、端末とも言うべき人間の姿に変えれるという特異なゃバリアである。
そして、悠久の時をこの目で見続けてきた歴史の証人でもある彼女が言うように、何故か多少の変動はあるがキャバリア規格は今も昔もさほど変わっていない。一部例外の超巨大な決戦兵器地味たモノよりも、汎用性に富んだ物が重用されるという証なのだろう。尤も、体高5メートルほどであっても今はともかく昔であれば、巨神だの大魔神だのと崇められる可能性も否定は出来ないのだが。
「でも、微妙に親近感湧くんだよ……ジライヤ君にはね☆ という訳で……ドーモ、ジライヤ=サン。メルクリウスです」
『ドーモ、メルクリウス=サンにカシム=サン。ジライヤです。まぁ、何じゃ。ワシが言うのもなんじゃが、高い機動性を発揮させようとここまで
小型化されておるが、他の地の巨神に引けを取ること無くブイブイ言わせておったぞ』
丁寧にアイサツとオジギを返した
爾雷彌が、同じ時代を送ったであろうメルクリウスと同じ仕草を返してエヘンと胸を張ってみせた。
確かに、諜報活動と機動性を重視させたニンジャ型キャバリアの実例を鑑みるに、いたずらに巨大化させればその特性を殺しかねない。そうともなれば、この爾雷彌は現代との共通サイズであるものの、出力は超巨大キャバリアとほぼ同格ということになる。太古の人々はそんな姿に巨神と畏怖して慄いたとなれば理解出来よう。
「しかし、経年劣化ですか……」
人間が乗ることが叶わない自律型で、それにニンジャキャバリアであればもっと動きが滑らかであるはずだが、爾雷彌の動きは目に見えて何処かぎこちない。それでも発掘された直後よりは多少マシになったとルキウスが語っていたが、カシムは問題点がそこではないのではと訝しむ。
「それを言ったら、メルシーもギクシャクしてておかしくないけど……之だけの機体ならそれだけじゃないと思うけどね☆ ご主人サマ、ナノらせてみる?」
「そうだな。もしかしたら……そのもしかしたらかもしれねーし」
『ほう、ナノらせるとは?』
聞き慣れない言葉に関心を持ったのか、心なしか爾雷彌の
双眼に光が灯ったかのように見えた。お互いに顔を近づけながらコソコソ話をしていたふたりを興味深そうに見下ろしていたが、そんな巨神にカシムは指を差して宣言する。
「お任せ下さい。こうするのですよ」
年頃の男の子がカッコつけるような仕草でギュッと顔を引き締めれば、カシムの瞳の奥底にユーベルコードが顕現する現れである煌めきが灯る。
「アポロンソウル……リンク開始。ナノマシンシステム『アスクレピオス』起動……! 太陽神の子よ……万物を癒せ
……!!」
すると、彼の傍らで同じように爾雷彌を見上げていたメルクリウスの身体が仄かに発光してホタルめいた光球がゆっくりと浮かび上がってくる。嘗て倒した輝光神機より奪ったユニットから齎される権能、アポロンソウル。それからユーベルコード『
対病根絶機構『医術の神の子』を介することで精製される治療型ナノマシンが爾雷彌の身体を包み込み、診断機能で得られたデータがメルクリウスの元へと送られていく。
「……うん。ご主人サマ、やっぱり"
無茶のし過ぎ"みたいだね☆」
「やっぱりかー。じーさん、相当な無茶してきたんだろ?」
思い当たる節がありすぎるのか、爾雷彌はメンポに指を当てながら目を泳がせている。ひとつひとつは僅かな
歪みであったとしても、塵も積もればなんとやら。フレーム全体に渡って広がる目に見えない微細な亀裂が動作不良を引き起こしていた原因のひとつであったことがナノマシンによって判明した。
こうなればフレーム全体の交換しかないのだが、爾雷彌は高度な自律型キャバリアである上にその建造方法は遥か大昔より失伝している。もはやあとは緩やかな自壊を待つのみであるが……今は違う!
治療型ナノマシンが微細な亀裂に入り込むと内部から修繕を始め、フレームを本来の姿にへと蘇らているのだ!
『当世の言葉では腕の立つ名医のことをスーパードクター、と呼んでおったか? カシム殿の見解はまさしくスーパードクターにおいて他ならない。オミソレシマシタ』
「ふふん、そうでもないですよ?」
部品交換では改善されなかった稼働性の改善に感銘している爾雷彌にそう言われてしまえば、満更でもないとばかりにカシムは鼻高々である。
「ご主人サマ、スゴーイ☆ でも、実際に治しているのはメルシーだから……メルシーはスーパードクターなご主人サマよりもっと凄いウルトラドクターだよ☆」
「うぐぐ……反論できねー」
『ヌハハハハ! これはカシム殿、一本取られましたな?』
実際にナノマシンによる診察と治療を行っているのはメルクリウスに他ならない。この場合はどうなるものかと難しい顔を浮かべて考えているカシムの姿がよほど滑稽だったのか、爾雷彌の電子音めいた笑い声が格納庫に響いたのであった。
成功
🔵🔵🔴
シル・ウィンディア
ええと、機体動作の部分はさっきので行けるっぽいから今度はこっちかな?
ジライヤさん、システム的なところを見させてもらってもいいかな?
さっき、魔力の乱れを感じたってことは魔法動力も使われてそうだね。
ふふふ、こう見えてもわたしは魔法使いさんですっ!
ん-、もしかしたら、魔力の淀みとか循環がうまく行ってない可能性もありそうだなぁ…。
それなら、魔力溜めの原理で、ジライヤさんのよどんでいる魔力をわたしの方へチャージ
そして、エレメンタルドライブ・ネレイドでジライヤさんへ回復を行ってみるよ。
どうかな?視界とかクリアになったかな?
少しでも楽になってくれたらいいんだけどなぁ…
テラ・ウィンディア
UC常時発動
シルも助けに来たらしいからな
おれも手伝いに来たぞ!
「…テ、テラ…その…ジライヤさんに選ばれる為に来たとかは…?」
何言ってるんだ?おれはジライヤさんの状態見に来ただけだぞ?
「そうでしたか…(ほっ」
取り合えず挨拶だな!何だかサイバーザナドゥっぽいぞ!
ドーモ、ジライヤ=サン、テラ・ウィディアです。
「ドーモ、ジライヤ=サン、ヘカテイアです。」
ヘカテは何かわかるか?
「元々神として祭られた人なら…魔術の方面で分かる事があるかもしれません」
精霊魔術と神聖魔術の観点…サイキックエナジーの流れを分析
動きに支障が出てる所を看破
後はそこの調整を手伝うぞ
余裕があればお掃除するぞ
ジライヤさんは自分で戦える?
「よぉ、シル! おれも手伝いに来たぞ!」
格納庫に元気ハツラツな聞き覚えのある少女の声が響くと、
爾雷彌の装甲をある程度磨き終えて休憩中であったシルが声の主へと振り向いた。
「まぁ、テラ。あなたも此処に?」
彼女の名はテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)。シルとは二卵性双子の妹の方で、落ち着いている彼女とは対象的に勝ち気で威風堂々とした謂わばオレっ娘だ。
『ふむ……もしやシル殿の血縁者、妹君と母君であらせられるか?』
新たな猟兵のエントリーに爾雷彌は興味深そうにカメラアイを向けた先、テラの背後にはもうひとりの女性が佇んでいる。テラに関しては二卵性双子ならではのよく似た顔立ちで判別できたのであろうが、彼女たちと歳が大きく離れている容姿と何処か心配そうな顔を浮かべている姿を母と認識したのか。その問いにシルは首を横に振って答えた。
「テラは正解だけど、あの人はお母さんじゃないわ。テラの……そうね、
神機の人間態かな?」
『なんと、それは面妖な!?』
爾雷彌が驚くのも無理はない。彼のセンサーですらキャバリア反応を感知せずに人間と判別であれな尚更だろう。
「……テ、テラ……その……ジライヤさんに選ばれる為に来たとかは……?」
「何言ってるんだ? おれはシルの手伝いとジライヤさんの状態を見に来ただけだぞ?」
「そ、そうでしたか……」
この場に居る猟兵のうち、誰かが伝説の巨神『爾雷彌』の新たな登場者になるかもしれない。つまるところ、ヘカテイアは自分から爾雷彌へと乗り換えられると心配していた訳なのだが、主の反応を見る限り杞憂に過ぎなかったと分かるや否やホッと胸を撫で下ろしたのであった。
「さ、アイサツだアイサツ。サイバーザナドゥみたいな作法なら慣れてるぜ。ドーモ、ジライヤ=サン、テラ・ウィディアです」
「ど、ドーモ……ジライヤ=サン、へカティアです」
遥か遠き昔、平安と呼ばれていた時代に大陸より伝来したが今では廃れて久しい拱手めいた手を合わせてオジギするという古代の作法。郷に入っては郷に従えとばかりに、テラとへカティアは畏まってオジギする。
『ドーモ、テラ=サンにヘカティア=サン。ジライヤです。しかし、人間に姿を変えれるとは羨ましい限りじゃのう』
日出国に伝わる御伽噺に出てくるニンジャは様々なモノに化けるという神秘を披露する話が多く伝わっているが、実際のところそ伝承の原型となった巨神の反応を見る限りそうでもないようである。
「それでシル、ジライヤさんはどの辺まで直ったんだ?」
「そうね……概ね代用が効く部品の交換は終わった感じかな? けど、ブラックボックスになってる部品も結構多いし、そこで乱れている魔力とよく似ているサイキックエネルギー流動のシステム的な改善をしようかなって」
「ふぅん、ヘカテは何かわかるか?」
一見すると動作は先程より滑らかとなっているが、今現在のところはサイキックエナジーの出力が戦闘域にまで上がりきれていないらしい。シルから爾雷彌の現状を聞いたテラが傍で控えているヘカテイアに意見を求めると、彼女は指を顎先にあてながらそうですねと応える。
「元々神として祭られた人なら……魔術の方面で分かる事があるかもしれません」
高度な科学は魔術であると言われるが、その逆も然りで魔術は高度な科学でもある。だが、魔術の粋にまで高められた現代科学と言えども全てを解明できるとは限らない。機械文明が発達したクロムキャバリアにおいて未だ近代化されていない極東の島国という環境において、ここまで修復できれば上出来であるのだろうがそれでは何かあった場合に敵の手に落ちてしまうという可能性も孕んでいる。
「ふたりとも忘れていない? こう見えてもわたしは魔法使いさんなのですっ!」
「おれも精霊魔術はシルほどじゃないけど、神聖魔術に関しては負けてねぇからな。それに、ヘカテのサポートも加われば百人力だしな!」
『おお! それは心強い!!』
かくしてふたりと一機によるサイキックエナジー関連を司るブラックボックス部分の修理が始まった。分解せずにでの施術であるが、シルによって磨かれた装甲に手を触れれば微弱なサイキックエナジーが魔力の感覚に置き換えられて大凡は手に取って分かる。
「シル、どうだ?」
「んー……もしかしたら、魔力の淀みとか循環がうまく行ってない可能性もありそうだなぁ……」
「おれもそうじゃないかなって感じたから、その辺を改善してみようぜ」
全ては感覚のみだが、永い年月を稼働できる状態で休眠していたとなれば、魔法動力でサイキックエナジーの乱れが生じているという可能性は大いにあり得る。ならば、その乱れを通常状態に戻せば良いだけのこと。
「テラ、ヘカテイア、ジライヤさんの淀んでいる魔力をわたしの方へ送って!」
「それなら……テラ! 私に魔力を回してください!」
「いいぜ、ヘカテ! 一つ連携と往こうか!」
三つの心が一つとなるように、シル、テラ、ヘカテイアの身体からユーベルコードが顕現する表れである魔光によって包まれた。
原理はこうだ。まずはテラとヘカテイアが自らのユーベルコードによってブラックボックス内での魔力の乱れを重力で圧縮させるかのように溜める。次にそれを対極に位置するシルへと繋がれた魔力のバイパスを通して送り、渦巻が荒れ狂う激流のようになったサイキックエナジーを穏やかな流れの静水へと置き換えて送り返すという荒療治以外の何物でもない。当然ながらひとつでも間違えればシル、テラ、ヘカテイアは元より爾雷彌自身もただでは済まされないが、一縷の望みを託して彼は彼女らを信じて身を任せている。
「「「せぇ……の
!!」」」
──ドワォ!!
途方もないサイキックエナジーの塊が一瞬の内に弾け、衝撃波となって格納庫内を直下型地震が起きたかのように大きくも短く揺らした。
『うむ……流石のワシも堪えたが……これは……』
「どうかな? 視界とかクリアになったかな?」
心配そうに見上げるシルに答える形で、爾雷彌は無言のまま頷く。
「これでジライヤさんは自分で戦えるかな?」
『心配無用。サンシタ相手のみならず、遥か昔に三機がかりで打倒した悪鬼も今のワシにかかれば単独で打ち倒せそう。ハァアアアアアアアアッ!!』
その力をご覧しようとばかりに、爾雷彌が正常値に戻ったサイキックエナジーを
戦闘域にまで高めたその時、再び地響きが格納庫内に響き渡った。揺れも先程に彼女たちがユーベルコードをぶつけ合った時に生じた物よりも遥かに激しく、ハンガーでしっかりと固定されて収められているトリアイナ支社警備隊のピースメイカーが外れて倒れるまでだ。
「ちょ、ちょっとジライヤさん! 分かった、分かったから!!」
『……あいや、これは失礼仕った。いや、何分久しぶりすぎる感覚にワシも思わず大いに感動して……ついのう?』
テラの機転で何とか我に帰った爾雷彌が、申し訳無さそうにちょんちょんと人差し指を合わせながらバツが悪そうに反省の意を示そうと正座する。
何はともあれ、通常サイズのキャバリアであるものの、その破壊力は超弩級キャバリアに匹敵するものであることが遂に判明した。問題は荒ぶる自然の破壊力その物である
巨神を御する猟兵は果たして居るのか……であるが、生命の埒外たる存在の猟兵であるならば制御できる可能性はある。
それにルキウスが申し出た通り、これは確かに人の手には余り過ぎる力だ。幸いにも自律型キャバリアというだけあって、自らが倒したキャバリアを元の位置に戻している常識を爾雷彌が持っていることだが、オブリビオンマシンを操る人間の手に渡れば彼もオブリビオンマシンと化しよう。もしそうなれば……良くてもこの島国がクロムキャバリアの地図から消えてしまうかもしれない。
「……いい、テラ。悪い人からジライヤさんを奪われないようにしようね?」
「お、おう……シル。あそこまで直しちまったのはオレたちだし、絶対に奪われてなるもんか!」
細々しい後片付けに追われるエルフの姉妹も固く誓い合う中、予知された襲撃の時間は刻々と迫りつつあったのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メディア・フィール
SPD選択
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
伝説のニンジャ・キャバリアに敬意を表し、ニュービー猟兵としての礼節をわきまえ、アイサツし、整備しながら他の三種の神機の二機についても尋ねます。しかし、あまりしつこいとスゴイシツレイなので、そこは控えます。また、思わず歌ってしまった鼻歌が、古事記にも書いていない伝説めいたジライヤの戦いをインディケートしていて、彼の琴線にタッチするかもしれません。
「この宇宙を抱きとめる、そんな大きな心が欲しい~♪」
「誰も皆輝いてる、そんな幸せな未来も欲しい~♪」
「戦うさ、ボクの弱さと若さをうならせて~♪」
「風になれ、炎に変われ、ファイティング忍者~♪」
(これが……伝説の巨神の力……ッ!)
猟兵たちによる整備によって、遂に
爾雷彌は本来の性能を取り戻しつつあった。その最中に見せたサイキックエナジーの高まりに触発されて起きたであろう地響きの凄まじさに、メディア・フィール(人間の
姫武闘勇者・f37585)は戦慄した。
恐らく先程の揺れはほんの一端に過ぎず、荒ぶる自然の力を体現させたかのような
神通力はルキウスが所有する古文書にも克明と記載されている。日出国に伝わるコトワザには、世間で人々が恐れるものを順に並べたという意味の『地震雷火事ニンジャ』というのが古きより伝わっている。最近は鬼と形象されるジャイアントキャバリアが実在もせぬニンジャから置き換わりつつあるが、古代の人々は悪鬼羅刹を討滅さんと荒ぶる爾雷彌たちの姿を見て畏怖を覚えたに違いない。
「ドーモ、ジライヤ=サン。メディア・フィールです」
もしそうであれば、メディアは伝説のニンジャ・キャバリアに敬意を表す形で深々とアイサツをするしかない。
『ドーモ、メディア=サン。ニンジャ・ジライヤです。ささ、アイサツは手短にするとして、こちらを持ってくだされ』
爾雷彌は手短にアイサツを返したが、それもこれも自身が招いた地震の後片付けに追われていてのことであった。不幸中の幸いか震源は彼地震であったために被害はトリアイナ支社の企業城下町にまで及んでいないものの、トリアイナ支社敷地内の被害が目に見えるものである。とりわけ彼の整備を行っていたキャバリア格納庫内でキャバリアが倒れるまでにシッチャカメッチャカとなってしまったのであれば、そのケジメをつけるべく巨神自身が後片付けをしているという状況となってしまった。
日々の鍛錬で身体を鍛えているメディアでも鉄の塊を持ち上げることは流石に厳しいとのことから、自身のキャバリアであるネオンに乗り込んで爾雷彌の手伝いをしているという次第である。
『うむ、大方片付いたようじゃの。ワシが招いた不手際の手助け、誠に忝ない。礼としてなんじゃが、一段落がてら何か聞きたい事柄があれば何なりと申すが良い』
「それじゃあ……ジライヤさんを含めて神機が三機あると聞いたけど、他の二機の名前と場所は教えて貰えるだろうか?」
『ああ、
雄呂血丸に
緤手のことか。そうじゃな……話は長くなるが彼奴らとの出会いは……』
ふんふんと相槌を打ちながら爾雷彌の思い出話をコックピット越しで耳を傾けるメディアであったが、後にそれを聞いた自身を呪ったでだろう。というのも、話の内容はお年寄りにありがちな長話以外の何物でもなく、脱線と冗長を繰り返しながら半刻が経とうとしているが未だに雄呂血丸と緤手が眠っている場所については出てくる気配が微塵もない。
『そこでワシは申した。助太刀無用、ワシのみで悪鬼を打倒さんとカラテを……』
「えーと……それで、雄呂血丸=サンと緤手=サンは今何処に?」
このままでは埒が明かない。メディアは会話の主導権をこちらで握るしか無いと切り出して、二機の居場所を爾雷彌に問う。
『おお、スマンスマン。ふたりの眠ってる場所なのじゃが……ワシも知らん』
ナムアミダブツ、なんたることか!
今までの相槌を打ちながら取りとめない話を聞いていた時間は無駄であった以外の何物でもないのだが、これにも列記とした理由があってのことと爾雷彌は語る。
『そもそも悪鬼を討つために我らは建造された。じゃが、天下泰平の世となればワシらの存在自体が乱れさせる火元となろう。そして、仮にワシがふたりの居場所を知っていた場合、件のキャバリアを自らの支配下に置くオブリビオンマシンの手に渡ればどうなる?』
「あ……そうか。ジライヤさんから得た情報で他の巨神も……」
『左様。それと仮に知っていたとしても、代々に渡り守り人を行う者の手によって何処かに移設されている可能性も拭えん。まぁ、ワシの場合は守り人の血脈が絶えたのか、眠っていた古墳が木々で荒れ放題となっておったり、よく分からなんが祟りがあるとかで地元の連中から恐れられておったようじゃがの。ヌハハハハ!』
話によれば、爾雷彌が安置されていた遺跡があった場所はかつて『
出手之国』と呼ばれていたとのこと。かつて自身を建造した一族の地で眠りに付いたのであれば、二機が建造された過去の地を辿れば自ずと見つかるであろう。だが、この日出国は武家社会の頂点に君臨する将軍をトップとした東、古きから政治を司ってきた公家と帝として長年に渡り君臨し続けていた天子をトップとした西とで分断されている。両者は依然として日出国を二分とさせている
関ケ線で睨み合いを続けており、政治的交流はおろか経済的交流も閉ざしているという現状である。
爾雷彌は西国に眠っていたが、東国は霊験あらたかな霊地が数多くあるとのことで雄呂血丸と緤手はそこで眠っている可能性は高いと巨神は締めくくる。
『さて、長話となってしもうたし、そろそろ片付けを再開せねばの。お、そうじゃ。メディア殿よ、先程釣られてワシも歌ってしまった鼻歌に即興でも良いので歌詞を付けてくれまいか? 中々と小気味が良く、まるでイクサを行っている気に浸れるアレじゃよ』
「あ、ハイ! よろこんで!」
──この宇宙を~抱きとめる、そんな大きな心が欲っしい~♪
──誰も皆輝いてる、そんな幸せな未来も欲っしい~♪
──戦うさ、ボクの弱さと~♪
──若さを~カラテをうならせて~♪
──ジライヤ、風になれ~♪
──ジライヤ、炎に変われ~♪
──ファイティ~ングニ~ンジャ、ジライヤ~、ジライヤ~♪
成功
🔵🔵🔴
空亡・劔
(人が居なくなってるタイミングで…ふわりと現れる少女一人
…此処がクロムキャバリア…とても…とても恐ろしい所ね
人類自体が…「人類の脅威」になりえる世界なのね…
あんたが爾雷彌?ええと…確か特別な挨拶が必要なんだっけ?
では…どうも爾雷彌さん!
あたしは空亡劔!(自称)最強の大妖怪よ!
あんたも道具の神の一種なのよね?(爾雷彌の周りをくるくる
あんたは自分でも戦えるの…?
…あんたは人類を護る神…なの?
なら…特別に…「あたしを使う事」を許可するわ!
UC発動!
キャバリアサイズの魔刀となって目の前に降臨!
爾雷彌が掴めば意識のリンクを試みる
あんたもさっきから念話の会話ができてるんだから…合わせられるはずよ
身体の状態を分析
負担がかかってる部分があるなら【念動力】でフォロー
脆くなってる部分は【結界術】で補強
可能な限り経年劣化や脆くなってる部分の修復を試みる
…動かすわよ?
カラテってのは良く分からないけど…あたしもまた最強の大妖怪にして最強の剣
武というものには其れなりに通じているわよ?
周囲を傷つけぬよう演武を行う
──そんな騒々しい一日も刻々時間が過ぎ、遂に夜の帳が降りた。
巨神を奪取せんとする反体制勢力『鬼面党』が襲撃すると予知されたのは夜半過ぎ、丑三つ時前後である。夜空に浮かんだ月夜を見上げれば雲で隠れ始めており、忍び主体の鬼面党一派である『忍天狗』が襲撃するにはもってこいであるとも言えよう。
猟兵とトリアイナ支社の警備隊が格納庫外で襲撃に備えて待ち伏せている最中、まだ万全とは言い難いがが実戦するには支障がないまでの整備がなされた古代キャバリア・
爾雷彌は意識を集中させていた。神社の神殿めいた格納庫内は網の目のように張り巡らされた警備システムによって人の影は無く、静寂に包まれた格納庫内で聞こえるのはゆっくりと深い呼吸音めいた爾雷彌の排気音だけが響いていた……かのように思えた。
『スゥーハァー、スゥーハァー……何奴か?』
正座の姿勢のままで爾雷彌のツインアイが音もなく光が灯る。猟兵による整備の賜物で今まではボヤケていた視界は透明感溢れるものとなっており、新調されたセンサーが靄のような揺らぎをしかと見定めた。
『……ほほう、なるほど。
妖の類か』
「──流石ね。あんたが爾雷彌? ええと……確か特別な挨拶が必要なんだっけ?」
靄がより揺らぐと人の形を型どり始め、汝の正体見たりと指摘されて姿を表したるはかつて魔剣のヤドリガミであった妖怪、空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)であった。
「では……どうも爾雷彌さん! あたしは空亡劔! (自称)最強の大妖怪よ!」
イタズラがバレてしまった悪童のように愛想笑いをしながら劔が両手を合わせてアイサツすれば、爾雷彌も名乗りと共に深々とオジギを返す。
『ドーモ、空亡サン。ニンジャ・ジライヤです。もしや、今来たのであるな?』
「あはは……それもお見通しなのね。そうよ、妖怪らしく陰の気が強く満ちた草木も眠る丑三つ時が一番調子が良いですもの」
そう言うと、劔は興味津々な様子で爾雷彌の周囲を何度も回り始める。と言うのも、彼女はこの世界……クロムキャバリアに訪れたのは初めてであったからだ。数々の猟兵がキャバリアと呼ばれる機動兵器を所有して乗っているのは知っているが、実際にこの世界の空気や在り方を肌で感じるのとは別だ。隅々まで磨き直され整備が行き届いた新品同様の輝きを放つ装甲に映し出される自分の顔を眺めながら、ぽつりと言葉を投げかける。
「あんたも道具の神の一種なのよね?」
『道具の神、と申せばそうなろう。じゃが、神に匹敵する力はあれどワシ自身は神と驕っておらん。使い方をひとつ間違えれば神は悪魔となるからの……ワシが封印されたのも、鬼共を殲滅し終えれば力を求める為政者に悪用されるのを避けるためじゃったからな』
爾雷彌はこのように語るが、無機質で機械的な声のどこかに哀愁を感じされる語り口であった。
(人類自体が……「人類の脅威」になりえる世界なら、今と昔は変わらないって辺りなのかしら?)
人の世は戦の歴史だ。それは長い歳月を経てヤドリガミへと至り妖怪と成った
魔剣もまた、嘗ての持ち主の手から離れて数多の持ち主に手に渡り続けてきたからこそ理解できる。如何なる名高い名刀と言えども、使い道を誤れば生き血を啜る妖刀へと成り果てるのだから。
「あんたは自分でも戦えるの……? あんたは人類を護る神……なの?」
矢継ぎ早に放たれる劔の問いに爾雷彌が沈黙するが、暫しの時が流れれば重い口を開くように念話を持ってして直に返した。
『ワシらは自律機能があるので、自らの意志により戦う事は可能じゃ。しかし、機械というモノは設計された通りの出力までしか力を発揮できぬもの。そこへ人の想いと意志が加われば百人力なのじゃが……先も申した通り、使い方次第で人を生かす道具にも殺す道具にもなってしまう。本来は人の世を滅ぼそうとする鬼を殲滅する目的で建造されたが、鬼を討ち滅ぼせば人は新たな鬼を探し求める。絶対的な力を求める為政者らに恐れた嘗ての操者と関係者らの手により、真の悪鬼から人の世を護る守護神のままで居たいワシらの願いと合致して長きの眠りに付いた。願わくば、ワシらの力を必要としない世が続く事を願ってな?』
古代に彼らが戦った鬼とは一体如何なる存在か?
この事についても聞きたいと思った劔であったが、この疑問は一旦胸の中に閉まって置く。一見するとおどけているようにも思えたが、この自らの意志を持っている古代キャバリアは自分たち猟兵を試しているようにも思えたからだ。真に自らの力を預ける新たな操者として相応しいか……をだ。
──なら……特別に……「あたしを使う事」を許可するわ!
カッ!!
『むっ、コレは……?』
人間の善性を見定めようとしているならば……人を殺める道具として創造された自らの身をもって証明するまで。
ユーベルコードが顕現する光で格納庫内は白光に染まるが、この光が収まればそこには劔は消えていた。代わりとして宙に浮かぶは、透き通った刀身であるキャバリアサイズの魔刀……即ち自らのユーベルコードとして真体である対「神」超特効大魔剣「空亡」へと姿を変えた彼女自身だ。
「……このひととき……あんたにあたしを使う事を……許してやるわ! 上手くやって見せなさい!」
『グッグッグ……小娘めが、言いよるわ!』
売り言葉に買い言葉とは、正にこのことか。だが、爾雷彌は耳障りの良い言葉を並び立てるよりも腹を割って対話を試みる彼女の心意気に感銘を受けたのか、空亡を何の躊躇いもなく掴み取った。
その刹那、爾雷彌の回路を介して
電子頭脳の内に劔の意識が
同調しようと流入するが、それを意ともせず爾雷彌は受け入れる。
「てっきり拒絶されるものかと思ったけど、案外簡単に受け入れるのね?」
『ムハハハ! 我が操者となれば同じこと。今は操縦権はワシにある故に、当世ではサービスと呼ばれておる体験試乗みたいなものよ』
互いに会話チャンネルを合わせた通信をし合うかのような念話で会話しているため、仮にこの場に誰が居ようとも爾雷彌がこれから始まるイクサに備えてウォーミングアップをしているようにしか見えないであろう。
既に猟兵たちの手によって稼働状態となっている爾雷彌は、機械であるのが嘘のような軽やかな身のこなしで演武を舞っている。ヒュンヒュンと空を斬り裂く刀風が格納庫内に鳴り響く中、まるで自分自身が爾雷彌を動かしている錯覚を覚えてしまう。何せ自分の目が爾雷彌視点から視えるのだ。これなら古代の人々らが巨神と讃えたのも理解できよう。
「カラテってのは良く分からないけど……あたしもまた最強の大妖怪にして最強の剣。武というものには其れなりに通じてるから、中々やるじゃない? 良いものを見せて貰ったサービスをしてくれたお返しに、こちらもサービスしておいたわ」
『むぅ……心なしか先程よりも身体が軽い。修復しきれて居ない部分を修繕してくれたとは、誠にかたじけない次第じゃ』
自らの意識と同調したからこそ解る身体の不調であり、これまでの整備では見落とされていた細やかな部材の
破断が魔刀の妖力によって完全に修復がされた。これによって、より万全な状態に近づけたと言ったところだろう。
そんなやり取りが終えたると同時に、格納庫が静かに揺れた。
『遂に来たか……』
揺れの規模を察するに、この近くでキャバリアサイズの爆発によるものか?
そうすれば、自ずとして爾雷彌自身を奪取に来た狼藉者どもが襲撃し始めたという答えが出る。
「そうね。このままここに閉じ籠もってるつもり?」
『戯言を。ワシはこの目で直に確かめると申しておろう……。それに長年に渡り眠っておったのでの。ワシを力づくで奪おうとした所業の過ちと後悔、しかと身体の髄まで覚えさせてやろう』
格納庫から音もなく飛び出て、月夜の下で魔刀を携えながら爾雷彌が疾走る。
猟兵と呼ばれる存在が新たな操者として相応しいか見定めるべく、自らの意志を持つニンジャキャバリアは月まで届かんとばかりに跳躍する。
そんな彼らの姿を、ルキウスは言葉を掛けずに見送っていたのであった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『RW-62M『霧影』』
|
POW : RS-H/MC-21『ファイアブレス』機関砲
【巻物を咥えた忍者を思わせる頭部】を向けた対象に、【口部に内蔵した機関砲】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : RS/ACD-03『ジライヤ』対鉄鋼騎兵クナイ
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【追尾機能を備えたクナイ型成形炸薬弾の投擲】で包囲攻撃する。
WIZ : EP-B/WC-04『ヴェイグシャドウ』波動迷彩
【嗅覚以外での探知を困難にする透明化状態】に変形し、自身の【稼働可能時間】を代償に、自身の【ステルス能力と武器『対鉄鋼騎兵カタナ』】を強化する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
「ザッケンナコラーッ!!」
𝑩𝑳𝑨𝑴! 𝑩𝑳𝑨𝑴! 𝑩𝑳𝑨𝑴!
怒気が込められたヤクザスラングと同時に重厚な炸裂音が草木も眠るウシミツ・アワーに響き渡る。
トラヴィス家の御曹司たるルキウス・トラヴィスの護りの要として、特別な改修が施された量産型キャバリア『ピースメーカー』。そのパイロットらが被っているヘルメットには試験的な脳波検知システムが搭載されており、コックピットの操縦桿を操作するよりも速く思考とのダイレクトリンクによる正確かつ迅速な照準と高次元の機動性を可能としていた。
文字通り人間を辞める非人道的な改造手術に頼らず、キャバリアの操縦に特化させたアンサーヒューマン並みの反応力をただの人間に齎すという新技術。年端も行かぬ少年兵でさえも熟練パイロット並みの技量に底上げするものであるが、それが百戦錬磨の兵が操作すればまさしく鬼に金棒とはこのことであった。
『イヤーッ!!』
𝑩𝑨𝑵𝑮! 𝑩𝑨𝑵𝑮! 𝑩𝑨𝑵𝑮!
おお! なんたることか!?
論理制御されたハンディマシンガンの正確無比で回避不可能な弾幕密度が、闇夜を切り裂いた閃光と炸裂によって迎撃されたではないか!
「グワーッ! 目が、目が!?」
思わぬ奇策に強化型ピースメーカーの暗視モノアイから得られる画面が白く焼け、またパイロット自身も増幅された眩い光に思わず怯んだ間隙を縫うように爆炎から機影が突出する。
──量産型キャバリア「RW-62『霧影』。
忍者のような外見に違わず高機動戦闘を得意とし、各種迷彩と特殊な粒子で音も無く肉眼からすら消える様は正しく霧の影。強化型ピースメーカーに補足されてしまい無用の長物となった波動迷彩を乗り手であるの鬼面党ニンジャクラン天狗党員が解除すると、背面に据え付けたRX無敵ニンジャソードを抜刀すれば人間同様の滑らかで機敏なる疾さによる一閃。コックピット共々にエネルギーインゴット・ジェネレーターが両断されれば、強化型ピースメーカーは爆破四散するのみ。
『グワーハッハッハッハ! ガイシューイッショク!!』
このワザマエにもカラクリは当然ある。彼らの脊髄には非人道的な違法生体インプラントが埋め込まれており、これによりあたかも自分自身の体を実際に動かしているようなトレースシステムを生み出していた。勿論そのようなパイロットの神経と機体のシステムを文字通りに直結させるサイバネ手術は危険極まりなく、施術成功後も使用者に掛かる負担が大きく身体機能への後遺症も数多い。キャバリア先進国ではその問題が克服出来なかったことによって問題提起されて廃れた技術だが、極東の島国たる日の出国では知れたことではない。
ましてや、この違法生体インプラントを埋め込む1回の施術にすら耐えられない者も多い中、彼らはふたつも埋め込んでいる。これもひとえに幼少の時からニンジャの厳しい修行を積んでいる精神力を持った天狗党ニンジャだからこそ為せる技であるのだが、オブリビオンマシンの影響かはたまた施術の影響で何らかの高揚感が得られてるせいか妙な言い回しになっている。それでもその効果は多大なるものであり、これなら発掘された巨神を奪い操縦することも可能であると言えよう。
「グッグッグッ……かのような外法を持ってしてワシを従えようとは、随分と舐められたものよ」
『ドーモ、ジライヤ=サン。大人しく我々が奪いに来るのを待っていれば良いものを、むざむざ出てくるとはアブハチ取らずよ!』
「ドーモ、天狗党の皆さん。うるさい貴様らがやかましく暴れていると、おちおちと眠れないものでな?」
突如現れた伝説の巨神、
爾雷彌に臆することなく天狗党員らはニンジャの作法であるアイサツを交わし合う。激しく燃え盛るピースメーカーの残骸から溢れ出す炎が両雄を妖しく照らし、一触触発のアトモスフィアが周囲を包んでいく。
『痴れたこと。頭に報告するまでもなく、我らが日出国護国三巨神の一柱を確保したとなればキンボシ! キンボシ・オオキイだ!! 下忍から上忍に成り上がるボーナスチャンスよ!』
「つまらぬモノに頼り、カラテを怠るサンシタが。しかし、ワシもまだまだ本調子ではないのでな? ワシも多少なりの手助けはしてやるが、まずは小奴らを倒してからよ!」
そう、猟兵である。
先程の爆発を聞き取って、数多くのキャバリアサイズや人間サイズの反応が集まりつつある。爾雷彌としても自身の新たな乗り手を見定める試験も兼ねた一大乱戦が、今ここに起ころうとしたのであった。
シル・ウィンディア
…ええと、このノリでくるんだね、敵も。
挨拶ってどうするんだっけ…
ドーモ、天狗党の皆さん。猟兵ですっ!
ぺこりとお辞儀してっと…。
…これでいいんだよね?
さて、爾雷彌さんを渡すわけにはいかないから、ここでストップしてもらうよ?
小さい女の子だからって舐めないでねっ!
推力移動で陸戦モード。
連射モードのランチャーで牽制しながら、ツインキャノンで丁寧に撃ち抜いていくよ。
中距離を保ちつつ射撃機と思わせつつ…。
近寄ってきたらバルカンで腕部を撃ち抜きつつ、よろけを取ったらセイバーで切断っ!
セイバーが受け止められても、回転して左腕部のビームダガーモードのビームガンで切り裂くね。
纏めてならUCで派手に撃ち抜くよっ!
「……ええと、このノリでくるんだね、敵も」
爾雷彌とオブリビオンマシンが丁寧にアイサツを交わしている様子をバーニアを吹かせながら小さく飛び上がったレゼール・ブルー・リーゼより俯瞰していたシルであったが、これが日出国におけるニンジャの作法とあれば利用するのも手だろう。
『ヌゥ!? 何奴!!』
爾雷彌に注意を向けられた忍天狗らが操るキャバリア、RW-62M『霧影』らが夜空を切り裂くバーニアの残光に気づいて
頭を振り上げる。さながら人のような滑らかな動きを見せたのに辺り、先程に爾雷彌が指摘した通り人体の神経系統と機体をリンクさせてという操作系統なのが窺えよう。
(この状態でまたステルス状態にされたら面倒だし……よぉし!)
そうと決まればレゼール・ブルー・リーゼの推力を地上モードに切り替えて急降下させる中、シルは外部無線を外部スピーカー経由で伝えながらとある動きを手動で行ってみせる。
「ドーモ、忍天狗の皆さん。猟兵ですっ!」
両手を合わせたお辞儀モーション、そうニンジャのアイサツだ。
コレを受けたらばアイサツを返さねば物凄くシツレイ極まりなく、断ればニンジャの風上にも置かないサンシタ以下ともなる。ニンジャとして自らの誇りと名誉を尊ぶ彼らとしては、アイサツをされたら返さねばならない掟は身体の髄にまで染み込んでいる。
『ドーモ、猟兵=サン!』
狙い通り、各機がアイサツを返した。それぞれが自らのニンジャネームを名乗り返したの同時に、無防備同然になった彼らに強襲を図るべくシルはバーニアを加速させながら着地させる。それに合わせて前もってチャージしていたBS-Sツインキャノン『グレル・テンペスタ』を展開させると、四大精霊の魔力を帯びた眩い光『エレメンタル・ファランクス』が忍天狗の下忍が操るオブリビオンマシンを瞬く間に飲み込んでいく。
『ドワーッ!?』
「さて、爾雷彌さんを渡すわけにはいかないから、ここでストップしてもらうよ? 小さい女の子だからって舐めないでねっ!」
アイサツされたらアイサツを返す。だが、アイサツを返されたら即座に反撃に転じねばならない。ニンジャにとってそんな当たり前な動きを即座に取れなかった辺り、爾雷彌が指摘した通りの下忍において他ならないのであろう。ニンジャのイクサは互いに向かい合い丁寧なアイサツと共に始めるのが常ではあるが、アイサツをする前のアンブッシュ攻撃と準備もまた認められているのだ。
『オノレー! だが、砲撃を主体が主体ならば取り付けば良いものよ!!』
砲撃の余波でステルス機構に支障が出たのか、カタナのみを抜いて霧影は跳躍する。シルはレゼール・ブルー・リーゼに近づかせまいと二射目を放つが、修行で鍛えられたニンジャ動体視力をもってすれば腐ってもニンジャな彼らとしては、弾筋を見極めることなど造作もない。操縦桿の操作では到底生み出すことが出来ない機敏さでレゼール・ブルー・リーゼは追い詰められつつあったが、一定の距離を詰められたのに合わせてシルは反撃に転じるべくバーニアの推進力を霧影側に切り替えた。
「騙してごめんね? レゼール・ブルー・リーゼは射撃だけが能じゃないんだよ!」
BS-B頭部ビームバルカン『エリソン・バール改』からツブテのような速射がカタナを振り上げる腕を確かに撃ち抜き、神経系統を同調させていることから伝わる痛みに霧影の操縦者は激しく狼狽した。それによって生まれた僅かな隙を見逃さまいと、星の輝きの如く煌めく光刃剣のBXビームセイバー『エトワール・ブリヨント』が推力に任せて胴体を両断させる。
「うむ、確かなワザマエよ」
シルの活躍ぶりを確かに見届けた爾雷彌はいざと言う時に備えて助力する構えで居たようだが、それはただの杞憂であった。彼ら猟兵の力量を見定めるつつ、月を背にしながら彼らの戦いぶりをしめやかに称えていた。
大成功
🔵🔵🔵
メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
SPD選択
「ドーモ、天狗党の皆さん。メディア・フィールです」
アイサツは大事。しかし、そこに隙ができるのもジメイのリージョン。
アイサツを終えた瞬間に囲まれて集中攻撃を受けるメディア。まさにアッキ・ラセツのショギョウ! しかし、囲んで棒で殴るのは古来よりの兵法の常道である。古代記にもそう書いてある。
しかし、メディアは古代超人に伝わるミートのカーテンで乗り切ったのだ! 当然、激しく動き回った敵のほうが先にスシが切れる。そこに他の猟兵達が反撃に出た。その連係、その絆はあたかも鉄の血で固まった華、アイアン・フラワーが如しであった。
「ドーモ、忍天狗の皆さん。メディア・フィールです」
『ドーモ、メディア・フィールさん』
その一方、メディアもまた忍天狗の雑忍らが操るRW-62M『霧影』の一団と正対し、アイサツを交わしていた。それぞれがニンジャネームを名乗り上げる中、ネオンに搭乗するメディアはその終わりを張り詰めた緊張が漂うアトモスフィアで待っていた。
だが、それが誤りであったと彼女は痛いほど身をもって痛感する。なんせ最後のひとりが名乗り終えた瞬間、申し合わせたかのように霧影らからクナイ型成形炸薬弾が一斉投擲されたのだ。爆炎でモニターが覆われてしまうが、その間隙を縫うように嬲り殺しにでもするかのように霧影の一糸乱れぬ連携攻撃がメディアに襲いかかったのだ。
「ぐぅ……! 卑怯だぞ!!」
『グワーッハッハッハ! 卑怯もラッキョウもあるものか! 死ね! 死ねい、
猟兵!!』
確かにアイサツは大事だが、そこに隙ができるのもジメイのリージョン。アイサツを終えた瞬間に受けた集中攻撃はまさにアッキ・ラセツのショギョウ!
しかし、囲んで棒で殴るのは古来よりの兵法の常道である。
古代記にもそう書いてある。
だが、彼らは見誤っていた。通常の相手ならジワジワと締め上げるのは妥当であるが、生命の埒外たる存在の猟兵相手にそんな遊びが破滅を導くことになるということを……。
「このぉ!!」
怒髪天を衝く怒りに任せ、メディアの瞳の奥底にユーベルコードの煌めきが灯る。ネオンの装甲の隙間から黒々とした暗黒の炎が噴き上がり、文字通りに纏わり付いてくる炎に霧影らの攻撃は若干緩む。
メディアは古代超人に伝わるミートのカーテンで乗り切ったのだ!
だが当然、激しく動き回った敵のほうが先にスシが切れる。様子を伺う忍天狗らが操る霧影に何かが飛来する。風車を模したかのような手裏剣だ!
「すまぬな。あまりにも痛々しく、つい手を出してしまったわ」
爾雷彌である。猟兵の力量をその目で確かめるべく戦いぶりを観戦していた彼が苦戦するメディアに助力したのだ。
『オノレー! 手出し無用の筈では!?』
「何時ワシがそんな世迷言を言ったか?」
激しく狼狽する霧影に構うことなく、爾雷彌は軽く彼らをいなしていく。
「さぁ、メディア殿よ。一機一機構っていてもしょうがない……むぅ、アレをやるかぁ!!」
何を考えたのか、爾雷彌はネオンから噴き上がる黒炎をその身に纏わせ、頭部だけを残して巨大な火球となる。
「打てぇい! メディア殿!!」
「はいいいー!!」
何をすべきか察したメディアは自らの拳で叩きだし、爾雷彌の身体が巨大な砲弾となって霧影の一団を薙ぎ払っていく。
「ムハハハ! これぞ忍法、超級羅王幻影弾よ!!」
「すごい……これが、これが。巨神の力か!」
その連係、その絆はあたかも鉄の血で固まった華……アイアン・フラワーが如しであった。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
ぁあん?此奴らのノリ…サイバーザナドゥじゃねぇか
「ジャパニアでもこんな感じだぞ☆」
此奴らの祖先って結局日本に憧れた欧米人じゃねーの…?
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵忍者の位置と動きの癖
迷彩技術の看破
【属性攻撃・迷彩】
そいつがおめーら忍者の特権と思うんじゃねーぞ?
「何時ものあれだね☆」
UC発動
光水属性を機体と竜達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源や匂いと音も隠蔽
同時に立体映像でブンシンジツだ
【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
上空を飛び回り念動光弾を乱射して蹂躙
その動きを止めた後
【二回攻撃・切断・捕食・盗み攻撃・盗み】
竜達が群がり四肢に食らいついて分解
資源強奪
一応乗り手は不殺徹底
『グワーッ!?』
『ヤラレター!』
猟兵と
爾雷彌が放った超級の合体攻撃を受け、盛大に爆破四散するRW-62M『霧影』。共通通信チャンネルからは過激的な異人排他主義を唱える鬼面党一派『忍天狗』の阿鼻叫喚な叫びが鳴り響くが、よく見るとオブリビオンマシンの残骸から這々の体で脱出した天狗のお面を被った忍び装束姿の姿が見える。
どう足掻いてもパイロットは助からないだろうという派手な技であったが、きちんとコックピットブロックは無事で済ませている所を見ると爾雷彌の確かなるワザマエは窺えよう。
「ぁあん? 此奴らのノリ……サイバーザナドゥじゃねぇか」
だが、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)にとってそれよりも何処かで見聞きした既視感が強かった。独特な言葉使いとイントネーション、企業、ニンジャ……そう、確かにこれらはサイバーザナドゥでは
日常茶飯事な光景そのものだ。
「ジャパニアでもこんな感じだぞ☆」
そんな疑念を抱く
契約者の雑念を払拭するように、今は本来の姿と戻っている機神メルクリウスの端末であるニワトリ状のナマモノがカシムの頭の上で甲高い声を鳴らす。
──科学小国家ジャパニア。
ここ日出国とは遠く離れた小国家であるが、確かに彼らが喋っている言葉はジャパニアとその周辺国で広く使われているコリファ語とよく似ている。
「此奴らの祖先って結局日本に憧れた欧米人じゃねーの……?」
カシムはそれらとの関係性を訝しむが、ただ言葉がよく似ているからだけでは情報が乏しい。何せまったく別な意味合いでも発音が同じ言葉などゴマンとあるからだ。
『ええい! このままヤラレっ放しでは、頭にオシオキされてしまう!!』
劣勢に立たされた忍天狗の雑忍らは鬼神の如く蹂躙する爾雷彌に構っていては損害が多くなると僅か1秒で判断すると、ターゲットを猟兵に改めて狙い据える。彼らの頭目はやたらめったらと手練な朱いキャバリアに足止めされているが、それをいなすのも時間の問題。しかし、この有様を見られればどうなるであろう。そんな恐怖心が雑忍らを突き動かし、低空飛行するメルクリウスへと対鉄鋼騎兵クナイを投擲すれば持ち手に仕込まれた
噴射筒が点火する。
「ちっ! 自動追尾機能付きかよ!!」
RS/ACD-03『ジライヤ』対鉄鋼騎兵クナイ。楔形の刀身に炸薬が仕込まれ、その持ち手には推進機が仕込まれている霧影の得物である。複雑な幾何学模様を描きながら煙を噴き上げる様はさながらサーカスめいた派手さを呈しているが、今はそれに見とれている暇などカシムにはない。
しかも、彼らの一部は姿を隠し始めているせいか、何処から新たな対鉄鋼騎兵クナイが放たれるか分からない状態でもあった。
「そいつがおめーら忍者の特権と思うんじゃねーぞ?」
「何時ものあれだね☆」
カシムが被っている半仮面に埋め込まれている宝石が妖しく光ると、ユーベルコードがメルクリウスの周域に展開された。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ!」
小型のダイウルゴスがコウモリめいて羽ばたきながらメルクリウスを覆い隠した……かと思えば、それらは闇夜に消え去り界導神機の姿すらも影も形もないではないか!
『なっ……消えただと!?』
センサーの反応すらも消え失せて雑忍らは酷く狼狽するが、程なく彼らはさらなる混乱に巻き込まれてしまう。
『アバー!?』
上空から幾重による念動光弾が、姿見えぬ存在からの噛み砕きが霧影らに襲いかかったのだ。それもこれも賢者の石で構成されたメルクリウスだからこそ為せる技であり、科学的な迷彩ではなく魔術的な迷彩によりカシムらの姿は隠蔽されているのだ。
対鉄鋼騎兵クナイもターゲットが消失したことで目標を見失って、安全装置による自動爆破装置により爆破四散。それを確認すれば、僅かな熱源を魔術的な機構によって増幅された熱を狙ってカシムと
群竜が襲いかかる。
「これでフィニッシュだ!!」
最後のトドメにと、メルクリウスは再び姿を現すとブンシンジュツめいた立体映像を伴い、霧影らのコックピットを外しながら蹂躙するのであった。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
機神搭乗
ヘカテー!忍大丈夫ですよ者だ!忍者だぞ!
「そういえば忍者アニメ見てましたねテラ?素早い相手なので気を付けるのですよ?」
大丈夫だ!動きは見切って見せるぞ!
じらいやも無理はするなよ!
【戦闘知識】
敵忍者の動きや立ち回りを捕捉
【属性攻撃】
炎を機体に付与
中の人は殺しちゃいけないよな…?
【弾幕・重量攻撃・貫通攻撃・空中戦・武器受け・第六感・オーラ防御・残像】
ガンドライド
ドリルビット展開
飛び回りながら残像を残しながら重力弾の弾幕展開
同時にドリルビットで貫通
但し人は絶対に狙わず不殺徹底
UC発動!(手加減
重力波砲で重量をかけて動きを止めるぞ
【二回攻撃・串刺し・切断】
切り刻み槍でついて機体無力化だ!!
「ヘカテー! 忍大丈夫ですよ者だ! 忍者だぞ!」
何処か興奮した様子で、モニターにサイズアップされる霧影らの姿に目を輝かせているテラ。先程までお付きの侍女然めいていたへカテイアは
本来の姿である三界神機『ヘカテイア』となっても、なおも穏やかで落ち着きながら主を窘める。
「そういえば忍者アニメ見てましたねテラ? 素早い相手なので気を付けるのですよ?」
「大丈夫だ! 動きは見切って見せるぞ!」
ユーベルコード顔負けの荒唐無稽な忍法を駆使する人気少年誌漫画のアニメだが、これはアニメじゃなく本当のことだ。お遊びでなく命のやり取りであることを重々承知とテラは宣言し、機体から分離した3つの砲身を持つ小型浮遊自走砲台群『ガンドライド』に加えて一対の小型ドリル型ビット『エンプーサ&モルモー』も従えながら強襲する。
『コヤツ、我らの戦い方を熟知しているだと……ッ!?』
初見殺しとも言える忍びの極意たる敵を翻弄する動きは、忍者アニメを毎週きっちり履修しているテラにとって見え透いた手。寧ろ、ヘカテイアを起点にして縦横無尽と飛び交うビット群の機動を前に、彼らが逆に翻弄されていると言ったところか。
『オノレ! イヤーッ!!』
何でも良く斬れるカタナを振るにも爆裂するクナイを投擲するにも、蜂の群れめいて集団戦を持ち込んでくるヘカテイアのビット群。それに苛立ちを覚えた忍天狗の構成員は、含み針ならぬ含みマシンガンが仕込まえた頭部で追いながら対応するしか手立てはなかった。
「くっそー! ヘカテ、やっぱり本物の忍者はすばしっこいぞ!!」
「ほら、言わんこっちゃない」
だが、それはテラも同然である。腐っても鯛、猟兵でなくても忍者。やはりアニメじゃない現実の忍者は伊達でなく、俊敏な機動性をもってして残像を描いていくビットによる重力弾の砲撃や突撃を機敏にして紙一重に躱していく。コックピット諸共なら簡単なのだが、人は絶対に狙わずの不殺徹底を終止すればするほど戦いは平行線を辿っていく。
『なんじゃ、見ているだけでも歯がゆいの。ワシが助け舟を出すか?』
機体の通信系に
爾雷彌からの無線が入る。願ってもない申し出だが、テラは助力を即断にして断る。
「じらいやはそこで見てろ! また壊れちゃ元も子もないからな!」
確かに、経年劣化が激しかった爾雷彌は猟兵たちにメンテナンスによって戦えるまでの範疇にまで修繕された。が、年寄りの冷水というコトワザがある通りに無茶は厳禁であって、無茶のし過ぎで前後不覚となって回収されては本末転倒にも程がある。
「そ、そうか……ならば、仕方あるまい!」
ぐうの音も出ないまでの正論に何処かしょんぼり気味に応える爾雷彌であったが、彼の期待に応えるべくテラの瞳の奥底にユーベルコードの煌めきが灯って静かに揺らめく。
「大地の力……存在の維持を司る力……星の力……。我が手に集いて我が敵を滅せよ……グラビティ・ブラスト……往けぇ!!」
突き出した拳から重力波の揺らめきが空間を振動させ、霧影らを容赦なく飲み込んでいく。だが、出力は通常よりも最小限に絞ることで機体は圧潰するどころか、搭乗するパイロットの身動きを封じる程度にまで落とされている。
『な、何だこれは!? 全く動けん!!』
駆動系の細部に至るまで重力の負荷がかかれば、いくら違法インプラントによって生身の身体の如し俊敏な操作が可能とあっても満足に動くこともままならない。だが、それらが解けるのも時間の問題に過ぎず、ビット群を従えたヘカテイアは自身の機体を
炎に包み込んで紅龍槍『廣利王』を顕現させると一気呵成に斬り込んでいく。
「うりゃうりゃうりゃー!!」
元気に満ちたシャウトと共に砲撃に突撃と一陣の風となったヘカテイアが霧影の過ぎた後には、ダルマめいて四肢はおろか頭部も破壊された残骸のみが転がっていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
空亡・劔
神殺しの大魔剣継続発動中
爾雷彌に掴ませ使わせる
爾雷彌…あんたがあたしを試すのであれば
あたしもあんたを試させてもらうわよ
あんたがあたしを振るい
人類の脅威に抗えるかを!
え?挨拶?
お行儀がいいのね…では名乗らせて貰うわ!
あたしは空亡劔!最強の大妖怪にして百鬼夜行を統べる者!
そして最強の神殺しの大魔剣よ!!
【天候操作】で吹雪を起こさせて貰うわよ!
念話で意識をリンク
【属性攻撃】で氷を纏って強化
……緊張するわね
人間を相手にするのは
あたしは神殺しの大妖怪にして人類の脅威を粉砕する者
故にあたし自身は人間を傷つけられない
爾雷彌…あんたはその宿業…背負えるかしら?
【結界術】を広範囲に展開!敵の位置を正確に捕捉しつつ結界に閉じ込めその動きを封じる!
【戦闘知識】で敵忍者の能力を把握して爾雷彌の身を駆りて襲い掛かり
【念動力】で人間の位置を把握
けして人を傷つけぬ刃を以て手足を切断して無力化する!
あたしは最強の大妖怪にして最強の魔剣!
人類の脅威たる
機械の神もまた切り捨てて見せる!
(大方は片付いたようじゃが……)
草木はおろかまだ雄鶏も寝静まるウシミツ・アワーに轟く、豪雷の如し戦闘音は次第に収まりつつある。しかし、だいぶ数を減らしたとは言え忍天狗一党が駆る霧影はなおも健在であり、その内である三機が
爾雷彌の機動性に追従して執拗に追い詰める。
『ドーモ、ジライヤ=サン。嘴丸です!』
『ドーモ、ジライヤ=サン。爪丸です!』
『ドーモ、ジライヤ=サン。羽丸です!』
猟兵にかかればサンシタな雑忍集団であったが、そのワザマエは玉石混交で千差万別。
下忍と言えども実力では
上忍に迫るものであった。
『『『三忍合わせ、
三羽鴉です
!!』』』
(流石に手練れを三人同時となれば、まだキツイかのう……)
遂に三方手裏剣めいた形で爾雷彌は三羽鴉に囲まれるが、その時背中に背負った剣が電子頭脳に直接語りかける。
「三羽鴉? 三バカの間違いじゃなくて?」
倉庫での邂逅以来、神殺しの大魔剣と化していた劔である。ヤドリガミの権能によって巨大な剣となっているが、念話を通して爾雷彌と意思疎通を図っていた。
(ホッ! 中々上手いことを言いよるわい)
「爾雷彌…あんたがあたしを試すのであれば、あたしもあんたを試させてもらうわよ。あんたがあたしを振るい、人類の脅威に抗えるかを!」
(無論、望むところよ……じゃが、その前にアレをせんとの)
「え? 挨拶? お行儀がいいのね……では、名乗らせて貰うわ!」
三羽鴉らは名乗りのアイサツを行っている。ここでアイサツを返さねば、ニンジャとしてスゴクシツレイでミットモナイ。彼らが両掌を合わせながら不動の姿勢で待っているのも、爾雷彌の返事を待ってのこと。
日出国では『アイサツは先手必勝だが先手を取られても相手より高得点のアイサツを返す』というコトワザが古くから言い伝えられている。サムライがやあやあ吾こそはと名乗りを上げるのと同じで、暗殺を主たるとするニンジャも同様に名乗りを上げねば名誉とはならない。
『グハハハ! 我ら三羽鴉に恐れ慄いてダンマリしてるぜェ、兄者!』
『一向にアイサツが来ないとなれば、先手必勝で三羽烏が捕らえて……』
『待て。爪丸、羽丸。奴めがアイサツしようとするぞ!』
「ドーモ、三羽鴉=サン。ジライヤです。そして……」
「あたしは空亡劔! 最強の大妖怪にして百鬼夜行を統べる者! そして最強の神殺しの大魔剣よ!!」
爾雷彌の会話機能を通じて劔の
名乗りが高らかと告げられ、思わぬ返礼に三羽鴉らは驚愕を禁じ得なかった。
『なッ……! 既に乗人しているだと!?』
これによって一触触発な空気に綻びが生まれ、そんな僅かな隙を逃さまいと爾雷彌は合わせた両掌の
指を組んでしめやかに印を結ぶ。
すると、おお……なんたることか。真夜中でも梅雨の湿度で蒸し暑い空気が急激に冷ややかなものとなり、冷風が四機の周辺を渦巻き出す。次第に風の勢いは増していき、旋風の域にまで達すると吹雪が舞い起こって視界が
白一色になったではないか!
『ぐゥ……しまった! ジツか!?』
『これでは我らが三位一体の連携殺法、
三重連撃が……ッ!』
「……やっぱり、あいつら三人で一人前じゃないの?」
爾雷彌の機体を通して自らの神通力を発露させた劔は、三羽鴉らの激しい狼狽っぷりに呆れてしまう。
「だからこそ、侮れないものであったがの」
現に爾雷彌は彼らの息のあった連携攻撃に手を焼かされていたのも事実であり、劔の助力によって各個撃破の機会が整った。
「……緊張するわね、人間を相手にするのは……。あたしは神殺しの大妖怪にして人類の脅威を粉砕する者、故にあたし自身は人間を傷つけられない。爾雷彌……あんたはその宿業……背負えるかしら?」
吹雪の勢いを衰えさせぬべく、三羽鴉を逃さぬべく、邪魔が入らないようにすべく広範囲に及ぶ結界が展開される。センサーも霞んでしまう猛吹雪の中、対「神」超特効大魔剣「空亡」の真体となった劔を抜刀した爾雷彌はしめやかに握り締めながら応えた。
「……無論。我は人の世に仇をなす悪鬼を殲滅すべく建造された身。鬼は滅びようとも、護るべき人の心に巣食った悪鬼羅刹のみを討ち果たしてみせよう」
『ええい、何をごちゃごちゃと! 爪丸、羽丸、三重連撃を仕掛けるぞ!!』
痺れを切らした嘴丸の号令の元で三機の霧影らは同時に跳躍して中心部に居る爾雷彌への強襲を図った。跳躍力に優れた羽丸機は頭上を、突進力に優れた爪丸機は一直線に、状況判断に優れた嘴丸はその間となる空間を錐揉み状に回転しながらの三次元攻撃……それが
三重連撃だ!
『イヤーッ!!』
嘴丸機が口部に内蔵した機関砲を含み針めいて牽制すれば、空亡を構えた爾雷彌は刀身を盾として防御を図る。
『ドスコーイ!!』
『ケェー!!』
その直後、スモトリめいたシャウトと猛禽類めいたシャウトが背後と頭上から聞こえてくる。突進を躱そうとすれば頭上と中段からの攻撃が、頭上からの突き刺しを回避しようとすれば突進と中段と攻撃が襲いかかる、まさに必殺の連携殺法。
しかし、その手の内は既にふたりはしかと把握済みだ。
「爾雷彌、少し身体を借りるわよ!」
「承知」
空亡を通して劔の意識が爾雷彌へと移り、視界がキャバリア基準の物となる。そして彼女は、自らの真体を振るう。
「やぁ!!」
防御していた態勢から振るわれた刀身から発した斬撃波は、いち早くこちらへ接敵する爪丸機の脚部を両断せしめる。勢い余って突撃の勢いに任せ、両脚が失われた霧影が転がる一方でまだ二機は健在だ。
『モラッタゾー!』
増設された
噴射筒による機体制御で軌道修正した羽丸機が、上空からアンブッシュする!
「……ひとつ、人の世の生き血を啜り」
一時的にとは言え劔に身を委ねている爾雷彌はそのような口上を呟きながら、
骸同然となっても突撃の勢いが止まらない爪丸機を足場として跳躍!
嘴丸が放った機関砲は先程まで爾雷彌が居た場所に虚しく土煙を上げてしまい、疾風の如し彼の機体速度に目が追いつけず居た。
『俺を踏み台に……グワーッ!?』
足場とさせられた爪丸機は嘴丸機が放った機関砲でオーバーフレームが蜂の巣となって爆破四散!
『つ、爪丸ー!?』
自らが僚機にフレンドリーファイアしてしまったことに司令塔たる嘴丸が激しく動揺するが、その間にも爾雷彌と劔が繰り出す一刃は月光を反射させながら紫電の煌めきとともに羽丸機の両手両足をしめやかに両断。
「……ふたつ、不埒な悪行三昧」
四肢を喪って制御がままならず噴射筒が暴走する羽丸機に取り付いた劔は、爾雷彌の重心を僅かに傾けることで軌道の修正を図って嘴丸機に強襲!
墜落機めいて急降下する羽丸機から離れれば、減速することも出来ずに加速を止めれない羽丸機が先に地面へと激しく激突!
『は、羽丸ー!?』
「余所見は厳禁よ!」
瞬く間に弟ふたりがやられた嘴丸が頭部を上げれば、そこには大魔剣を振りかざす爾雷彌の姿があった。嘴丸機の霧影はなすすべもなく袈裟斬りと相成り、両断された動力部がある方の残骸が爆破四散した爆風から爾雷彌はしめやかに着地。
「……みっつ、醜い浮き世の鬼を退治てくれよう。……とな」
「退治したのはあたし何だけどね? というか、何? その口上」
「うむ。当世の知識を得るため、記録媒体に録画された芝居を色々とな?」
劔の意識が空亡へと戻る中、爾雷彌は収まりつつある吹雪に紛れて這々の体で逃れる三人の影を見やる。天狗の面を被っているので素顔こそは分からないが、打ち捨てられた霧影のコックピットハッチが開けられているところを見ると、あの三羽鴉と見て間違いないだろう。
「ふむ、有言実行と相成って重畳重畳。ワッハッハッハ!」
「そうですもの。なんたってあたしは最強の大妖怪にして最強の魔剣だもの!」
殆の霧影らは撃破され、残るは忍天狗の頭目のみ。
彼らの言葉が正しければ手練れのパイロットによって未だに足止めされているところだが、早急に急がねばそのパイロットもやられてしまうのは時間の問題だ。
「さ、長居は無用。我らも急ごう」
「ええ、人類の脅威たる
機械の神もまた切り捨てて見せるわよ!」
「ムハハハ! 誠に豪気な御仁よ!」
燻る残り火を後に、劔を再び背負った爾雷彌は音もなく原野を疾走するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『シャドウブレイダー『紅朧』』
|
POW : 電磁抜刀・金剛崩し
自身の【装備する「RX-電磁斬艦刀」✕2の刀身】が輝く間、【「RX-電磁斬艦刀」✕2】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD : スーパーステルスシステム
【あらゆるレーダー探知を無効化する特殊装甲】【無音高速移動を可能とするEP遮音ユニット】【機体を低視認化させる光学迷彩システム】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : キャバリア変化・霞鳥
自身の【キャバリアを変形させ鳥獣型マシンの姿 】になり、【空中戦を得意とする戦闘形態へ移行する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
「ちぃ! このあたしもヤキが回っちまったかね……」
通常のピースメーカーより軽量化が図られ、脚部が逆関節形に乾燥された紅のキャバリア『高機動型ピースメーカー』。自らの愛機が無惨に片腕が切り落とされたことを告げる警告音に、パイロットであるアクィラ・ルーベルは忌々しく舌打ちした。
『グハハハ! 女、散々手こずらせおって!!』
発掘された伝説の巨神『
爾雷彌』。それを奪わんと強襲を図った鬼面党の忍天狗クラン頭目が、勝ち誇った素振りで悠々とオブリビオンマシン『紅朧』を腕組しながらかく座したアクィラ機を見下ろした。
「覚悟ならとうに出来ているよ……ひと思いにやりな!」
『ふん! 貴様には惨めに生き永らえて貰おう。我らの調べによれば、お前はジライヤを発掘した異人の
情人。人質としてジライヤとの交換を申し込むのもヨシ、見せしめとして惨めに可愛がるのもヨシ! まさに勝者の特権よ、グハハハハ!!』
コックピットにまで響く下卑た嗤い声に、流石のアクィラも反吐が出るというとはこの事かと思えてしまうまでだった。
(かくなる上は……仕方ないかねぇ)
視線の先には厳重なカバーが施された機密保持用の自爆スイッチがある。例え破壊は出来ずとも一矢報いることは可能であり、自らが虜囚の辱めを受けて爾雷彌がコイツらの手に渡ってしまうよりはマシというもの。
意を決し、拳を振り上げて自爆スイッチを叩き押そうとしたその時……何処から紅朧めがけて手裏剣が投げ放たれた。
『だ、誰だ!?』
紙一重でアンブッシュを躱した紅朧だったが、手裏剣が投げられた先を追っていけば満月を背にしてふたりを見下ろすキャバリアの姿があった。
「神聖なるイクサの狭間に己が醜い欲望を満たさんとする者よ……その行いを恥じと知れッ! 人、それを……『外道』と言う!」
『貴様は……ッ!?』
「お主らに名乗る名前はない! と言っておきたいところじゃが、アイサツだけはしておこう。ドーモ、ジライヤです」
一触触発の重い空気が両者の間に漂う中、既のところで自爆スイッチを作動せずに済んだアクィラは固唾を飲んで見守るしかなかった。
『なるほど。となれば、我が手勢は果てたか。ドーモ、ジライヤ=サン。シャドウブレイダーです』
ニンジャの不文律と言えるアイサツの儀式が、心なしかサツバツとした場の空気を解きほぐすが、それも一瞬の間に過ぎない。自らのニンジャネームを名乗った首魁シャドウブレイダー。物怖じしないその姿勢には、よほどの自信があると見受けられる。
「さて、ワシとて事を荒立てるのをヨシとはせぬ。このまま引くのであれば、特別に見逃してもよいぞ?」
『ググググ……何を世迷言を。既に我が下忍らはオブツダンと成り果てた。引けば奴らに顔向け出来んものよ……キエーッ!!』
形だけでも和をもって事を穏便に済まそうとした爾雷彌の申し出など、オブリビオンマシンに魅入られて心を鬼へと成り果てた者の耳に入るまでもない。並ならぬ修業によって培われたニンジャフォースがシャドウブレイダーの身体から解き放たれ、それをオブリビオンマシン『紅朧』のボディから悪しき波動となって呑み込んでいく。
「ぬぅ……これは」
『グハハハハ、流石のジライヤも驚いたか! これこそ我が秘技のニンポ、"
拝波禍"である!!』
体高5メートルほどであったオブリビオンマシンが、さも地下帝国が繰り出す巨大キャバリアサイズにまで巨大化した。それはマヤカシなどという幻術ではなく、質量を伴った現実に存在する物である。
だが、爾雷彌は動じる素振りもなく各猟兵らに通信を送る。
「此奴は恐ろしく強い妖気を放つ鬼じゃ。如何にお主らが生命の埒外たる存在であろうとも苦戦は必定……ならば、今こそ我が身をお主らに貸し与えよう!!」
圧倒的な巨体で見下ろす紅朧を目前に爾雷彌は印を結び、サイキックキャバリアならではの神通力を今ここに発露する。
「超力合身!!」
するとどうであろう。猟兵たちの意識は急に途切れ、気が付けば巨大化を果たした紅朧が目前に佇んでいるではないか!?
そして猟兵たちは改めて気づくであろう……自らの身体が爾雷彌となっていることを。
(本来はひとりだけなんじゃが、何せ久しぶりの合身であったのでな。ワシとて悪鬼の殲滅を目的に建造された身、既に身も心も鬼へと成り果てた奴に靡く道理などありゃせん。まずはこれで仮契約は完了と言ったところで……わしの身体、お主らに貸すぞ!!)
それぞれの精神が入り乱れる中であるが、爾雷彌の身体と精神体となった操縦者とリンク出来るのはひとりだけ。要所要所に切り替えれさえすれば操縦者を交代できるようで、何なら二重人格者さながらに機転を利かせた交代も可能と言うところか。
(そして、お主らとワシの力をもってしても奴は強力な相手じゃ。そこで今こそ、ワシが『伝説の巨神』と呼ばれるまでに至ったであろう謂れを示そう。意識を集中させ呼べ、我が下僕の忍機獣『
頑魔の名を! そして叫べ、『超忍合身』のジツを!! さすればお主らで言うワシの真の姿を再び現そうぞ!!)
理解が追いつかない状況の中、今は爾雷彌の言葉を信じるしかない。
互いにニンジャフォースを高まる中、月下の決戦が始まろうとする……!
ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!
普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?
騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!
基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!
仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!
ベルトルト・トイフェル(サポート)
よっ!イイモンやろうか?ほら、爆弾!耳を澄ましてみな?チクタクチクタクさぁ、カウントダウンだ!3……2……1……Bom!ああ、悪ぃ、悪ぃ、冗談だよ!元から時計なんてついてなかっただろ。怒るなって、アイタタッ!
😑いつもふざけた態度の爆弾魔。
😵💫爆弾を投げて敵に斬られると「オレの爆弾ちゅぁんがぁ〜!」と嘘泣きをするタイプ。
🥳たまにダイナマイトを食べている。甘いらしい。
🤪顔の模様と髭は毎日ペンで書いている。
🤔正体はアリスラビリンスの喋る爆弾。真の姿はひょろりと背の高い帽子を被った3つの頭を持つ人外である。
「何だ!? 何が起きてる!? ……これは……? 何だ……ひょっとして……私が……キャバリアそのものになってる~!!?」
(ええい、喧しい! 気持ちは分からんでもないが、潔く状況を受け入れい!!)
ベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)の驚きは至極同然の物だ。なんせ今まで暗黒騎士風な外装のクロムキャバリア『パロメデス』に乗っていたのに、どこからともなく発生した光に包まれるや否や自らの意識は
爾雷彌へと吸い込まれてしまったのだ。ましてや腕を握ろうとすれば爾雷彌の機体が自らの意志通りに動き、あたかも自分自身が巨大化してしまった錯覚を覚えてしまうところだ。
「へぇ、面白いことになってきたじゃないか。おい早くオレと代われよ」
ベルトの頭の中へ直に語りかけられているかのように、ベルトルト・トイフェル(愉快犯の爆弾魔・f39863)の飄々とした語り口が耳元で聞こえた気がする。
それだけではない、意識を研ぎ澄まして耳を澄ませばまだまだ色んな猟兵の声が聞こえてくる。爾雷彌が言った通りに本来はひとりだけの精神体が座することなのだろうが、今回は臨機応変の対応を取った結果のイレギュラーなケースという訳か。自分と他者の精神が融合しないだけでもまだマシと思えば、それはそれで面白いとベルトルトはくつくつと嘲笑った。
『ガハハハ! イクサの最中であるというのに、まるでカカシのように棒立ちではないかジライヤ=サン』
怪しげな
ジツで巨大化を果たしたオブリビオンマシン『紅朧』を操るシャドウブレイダーが高らかに笑い、背中に背負ったRX-電磁斬艦刀を抜刀するや否や刀身を眩く輝かせながらふたりと一機めがけて振り落とされる!
「おい、来るぞ。早く躱せって」
「言われんでも分かっておるわ!」
外野からの野次を受けながらも、ベルトはまだ不慣れな同化中の爾雷彌を跳躍させて高らかに飛び上がる。そして、迫りつつあった巨大なRX-電磁斬艦刀の刀身の峰を足場として再び高く飛び上がった。
「だいぶ感覚が分かってきたぞ。爾雷彌殿、何か武器はござらんか?」
今の状態では忍機獣『
頑魔』を呼び出す隙などはない。ならば、それを呼び出せる隙を作り出すまで。
(残念じゃが、当機はカラテ主体故に
手裏剣ぐらいしかないの)
だが、現実は非情である。圧倒的なキャバリア・カラテを駆使する爾雷彌にとって、刀や射撃武器などの得物は余計な物。仮に現在の操縦者であるベルトの意志により武器を手にするとなれば、遠く離れたかく座して主を喪っているパロメデスの兵装を回収するしかない。
「手裏剣ね。いいじゃねぇか、それで十分だぜ」
だが、ベルトルトには妙案があった。手裏剣さえあれば良いとなれば、ここは彼に任せるのが妥当とも言えよう。
「では、チェンジ! チェンジだ!!」
「あいよ、任されたぜ。へぇ、コイツがキャバリアになるって感触か。面白いもんだ」
爾雷彌の操縦者が交代されれば、爾雷彌のニンジャフォースが迸って手裏剣の形状となっていく。それらをナイフ投げの要領でベルトルトは手裏剣をオブリビオンマシンの頭部目掛けて投擲した。
『手裏剣か? 小賢しい真似をと言いたいが、
拝波禍を遂げた紅朧にそのような爪楊枝に等しい手裏剣など……』
確かに巨大化した紅朧と爾雷彌とのサイズ差は限りなく大きい。であるが、この差をどうにかするというのが猟兵が駆使するユーベルコードというものである。
「ただの手裏剣? 冗談はよしてくれ、耳を澄ましてみな? チクタクチクタクさぁ、カウントダウンだ! 3……2……1……Bom!」
そう、ほんのちょっとの仕掛けをしてみせるのが、この愉快犯の爆弾魔が成す所業だ。手裏剣をニンジャフォースから作り出す過程で、ベルトルトは自らのユーベルコード『ガジェットショータイム』を発動させていた。
これにより手裏剣には爆破機能が備えられ、オブリビオンマシンに命中すればサイズに見合わない大爆発が起こる。
『グゥウウ!? 貴様! そのような音など聞こえなかったぞ!?』
「あ、悪ぃ、悪ぃ、冗談だよ! 元から時計なんてついてなかっただろ。怒るなって」
そして、このブラフ。無いものをあるもののように語ることで、シャドウブレイダーの注意力はベルトルトが語った言葉についつい従ってしまった。だが、一向にそのような音が聞こえないと訝しんでこれだ。汚いなさすが愉快犯の爆弾魔きたない。
(手段は良い。騙された方が悪いのじゃよ)
自らの身体を預けながら彼らの戦いぶりを直に観戦している爾雷彌はそう語る。巨大化したオブリビオンマシンの身体は傾き、戦局も僅かながらではあるがこちらへと傾きつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
キノ・コバルトリュフ
エリンギ!今日は楽しくハイキング!!
シメジ、なんだか周りが騒がしいね。
でも、キノたちは気にしなーい。
キノ?スピちゃんどこに行ったのかな?
シイタケ、おいしいお菓子とか用意したのに。
帰ってきた、どこに行ってたの?
軽く運動でもしてきたのかな?
マイタケ、それじゃあ、いただきます。
ロビン・バイゼ(サポート)
「困っている人を助けたい」と強く願う少年。
時には自身を犠牲にしてでも助けようとします。
アイテム・技能・UCは状況に応じて好きなものを使わせて構いませんが、拷問具や拷問系UC・咎力封じは基本ヴァンパイア・闇の種族にしか使いません(逆に両者に対してはよく使用)
絵を描くのが好き。でも描く絵はピカソや岡本太郎のような抽象画。だいたい何描いてあるか分かりません。
基本無表情。何があっても表情変わりませんが、芸術的なもの・博物館・拷問具を見ると瞳が輝きます。
「…」や「、」多めの喋り方。
好きに使ってください。よろしくお願いします。
台詞例
「……びっくり、した」
「……すごい」
「……少しは、役に……立てた、かな」
『ぐぬぬ……かくなる上は! キョエー!!』
圧倒的な巨体となったことで力ではこちらに利があるが状況が芳しくないと、速やかな状況判断を下したシャドウブレイダーは奇声めいたシャウトを吠える。
「キノッ!? 姿が鳥さんに変わったキノ!」
キノ・コバルトリュフ(
キノコつむりの星霊術士・f39074)が驚きの色を隠せないのも無理はない。何せ人型だったオブリビオンマシン『紅朧』は瞬く間に鳥獣型マシンの姿となり、
爾雷彌と精神体となって彼の機体に宿っている猟兵たちの頭上に聳えているのだ。
『グハハハ、見たか! これこそ
忍法キャバリア変化・ジツ、その名も霞鳥!!』
説明しよう!
ジツとは地水火風の精霊とコネクトして操ることで、その時不思議なことが起こったな現象を引き起こすフーリンカザン……即ちユーベルコードである!
猟兵やオブリビオンが当たり前のように使うユーベルコードだが、ニンジャは過酷な訓練をすることで同様の神秘を体得するのだ。ましてやオブリビオンマシンが与える本来のユーベルコードと合わせれば、まさにジツにユーベルコードを100倍かけた算数な鬼に金棒だ。
「ナメコ……スピちゃんはどこ? 今まで気配は直ぐ側にあったのに……」
キノは同じく精神体となって爾雷彌の中に吸い込まれた星霊スピカの気配が何時の間にか消えていたのに戸惑うが、僅かな隙を見せるだけでも勝敗を決するニンジャのイクサにおいてはそのような余所見など命取りにおいて他ならない。
『ウカツめ! キョエー!!』
(ぬぅ! 来るぞ!!)
キノの精神体に爾雷彌が危機が迫っていると叫ぶが、霞鳥となった紅朧は地獄に向かってダイブするかのように急降下。脚には鋭い猛禽の爪めいたRX-電磁斬艦刀が刀身を赤熱化させながら構えられ、今まさに爾雷彌を力づくで奪わんとする斬撃が下されようとしたその時、何者かが叫んだ。
「……危ない」
その声は、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)の物であった。キノと同様に爾雷彌の広範囲に渡る超力合身によって、彼もまた爾雷彌に取り込まれてしまった。だが、精神体になったとしても、「困っている人を助けたい」と強く願う少年の心は何一つ変わらない。爾雷彌自身もそれを感じ取ってか、操縦権をキノからロビンへと切り替えたのであった。
「シメジ、ありがとー」
(まずは間一髪と言ったところじゃったが……再び奴めが来るぞ!)
「分かってる……今度、こそは……」
ロビンは再び上空へと舞い上がった紅朧を目で追いながら、タイミングを合わせようとユーベルコードの煌めきを瞳の奥底に湛え始める。
だが、こちらには対空装備はニンジャフォースにより生成される
手裏剣しかない。それを先程の戦いで確認済みであるシャドウブレイダーは、悠々と上空を旋回しながら地上で立ちすくむ獲物を見下ろしていた。
『キョエー!!』
再び甲高い鳥の嘶きめいたシャウトと共に、オブリビオンマシンは急降下。今度は躱せさせまいと秘剣『金剛崩し』の構えを行う彼であったが、その時カメラアイがあるものによって遮られてしまった。
『な、なんだ!? この毛玉は!!』
夜の中でもほのかに青く発光するそれは、キノが探していた星霊スピカであった。風圧を一身に受けながらも踊るように身を捩らせたり、はたまたペロペロとカメラアイを保護する硬質ガラスを舐めては視界を曇らせたりとの妨害行動の数々。視界が遮られているこの状況ままでは、逆にこちらが地面に激突してしまう。
『グヌヌヌ……仕方あるまい!!』
まずは態勢を取り直して仕切り直すしか無い。この忌々しい青い毛玉を振り落とさねばと
噴射筒の逆噴射で減速を図るが、それが命取りになるとは露にも思わずであった。
(小僧、今ぞ!)
「言われなくても……分かって、る!」
ナムアミダブツ!
注視していたからこそ察知できた兆候と急に起こった謎の減速によって、ロビンの精神体を通して爾雷彌の白き装甲がユーベルコードの顕現を示す輝きを放った。
『な、なんだこの光は……グワーッ!?』
毛玉の隙間から見える光に警戒したシャドウブレイダーであったが、時既に遅し。ロビンのユーベルコード『絵筆は剣よりも強し』によって顕現した巨大化した紅朧よりも遥かに巨大な絵筆によって、ハエたたきめいた強烈な
叩きが機体に襲いかかる!
「あ、ここに居た。どこに行ってたの?」
その瞬間、何時の間にか実体化していた星霊スピカは再び精神体化してキノの元に戻って来ていた。そして機体の制動を失い、錐揉み状に回転しながら紅朧は地形をえぐるほどの衝撃を受けながら惨めにも墜落したのであった。
「……少しは、役に……立てた、かな」
(少しどころではない、キンボシオオキイの大戦果ぞ。よくやった小僧!)
そう褒められれば、感情の起伏が乏しい少年の心にどこかむず痒くも誇らしく気持ちが芽生えてくる。
『何たる不覚……だが、まだ終わっておらんぞ!』
墜落によって確かにダメージを与えたが、未だに闘争心に陰りを見せないオブリビオンマシンが人型と戻って立ち上がる。
「マイタケ、余所見は駄目だよ?」
かくして巨大化したオブリビオンマシンと小さき巨神との戦いは折返し地点へと差し掛かったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
POW選択
以下、ほぼ推測交じりの妄言なので、全改変もOKです。
【竜闘死連撃】と【2回攻撃】を組み合わせた
殺法で、相手の攻撃を捌こうとします。それでも二刀流×9回の攻撃の半分も捌けず苦戦するでしょうが。
隙を図って
玩魔の名を呼べば、魑魅魍魎の巨大妖怪でさえ
一飲みしてしまいそうな、巨大なカエルが現れるでしょう。そして、『超忍合体』することで、因果時空の彼方へ世界をも吹き飛ばせるとされた伝説巨神の
伊達のちからの断片を身にまといます。かつて、とあるサムライエンパイアの武将にも舞い降りたとされる強大な力です。
カシム・ディーン
共闘希望
よし
それじゃジライヤに精神融ご
「やだやだー!!」
幸運の神発動!
超力合身阻止!(!?
お前何やってんの!?
「ご主人サマがメルシー以外のロボに乗るなんてNTR案件なんてさせないぞ☆」
面倒くせー奴だなてめー!?
「それにご主人サマはニンジャじゃなくて…シーフでしょ☆」
…仕方ねー!
機神搭乗
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きと構造を冷徹に把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
攪乱が忍者だけと思うなよ?
【念動力・空中戦・弾幕】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込む
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣での連続斬撃で切り刻み武装諸々を強奪し尽くす!
空亡・劔
成程…あれが人類の脅威という訳ね?
超力合身すれば同時にUCも発動させる!
成程…あんたはあたしにその身体を貸すわけね?
うん…さっき通りね!
ああ…名乗るのだったわね
あたしは空亡劔!
最強の大妖怪にして百鬼夜行の主よ!
あんたが乗ってるのは人類の脅威!故にこのあたしがその脅威を切り捨てる!
ええと…呼べばいいのね!来なさい!忍機獣『
頑魔』!!
【天候操作】で大吹雪を引き起こすわよ!
【結界術】で爾雷彌の防御強化!
【見切り】【残像】で残像を残して翻弄するわ!
あれね…分身の術ね!
あたし自身を振るい切り結ぶ!
あんたの剣…斬艦刀も中々の業物のようだけど
この「あたし」に及ぶべくもなし!
基本的にコックピットは「狙えない」のでそれ以外に猛攻
【属性攻撃】で空亡に氷を付与して吹雪との相乗効果で強化
ちゃっぷいんだけどね!
【二回攻撃】【切断】による連続斬撃で切り刻む
必要時は【念動力】で僅かでも動きを止めさせてもらうわ
教えてあげるわ
あんたが乗っているそのロボットは人類の脅威!
ええと…オタッシャしなさい!…かしら?
テラ・ウィンディア
爾雷彌に乗る人と共闘希望
うん、おれは遠慮するぞ!さっきからヘカテにゃんがもだもだしてるからな!
「テ、テラぁ…!」
という訳だ!行くぞヘカテ!
「…はい!」
…乗り手は死なせちゃいけないよな
それなら…!
UC発動
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け・スナイパー・オーラ防御】
高速で飛び回りながら残像を残し回避に努め避けきれないのはオーラ展開と共に剣で受け止め弾くぞ!
【属性攻撃・弾幕・重量攻撃・貫通攻撃】
ガンドライド
ドリルビット展開!
重力弾と火炎弾の弾幕展開してその動きを妨害してドリル攻撃で突撃!
【二回攻撃・切断・串刺し・早業】
剣による連続斬撃で切り刻み刻んだ部分を槍で貫きダメージを蓄積させる
「今だ! 忍機獣……」
『させぬわッ!!』
メディアはこのチャンスを逃さまいと同化した
爾雷彌を通して意識を集中させようとしたが、人型形態へと戻ったオブリビオンマシン紅朧が
手裏剣を放ってこれを阻止しようとする。
「随分としつこいわね、もう!」
虚を突かれたメディアであったが、即座に劔と操縦権が切り替われば背中に背負っているもぬけの殻同然となった対「神」超特効大魔剣「空亡」を抜刀して切り払う。
だが、それと同時に紅朧の巨体が大きく揺れた。何者かの支援攻撃である。
(これは……カシム殿にテラ殿か!?)
「ご名答。精神融合で引っ張られかけたら、
メルシーにヤキモチ焼かれてな?」
「ご主人サマがメルシー以外のロボに乗るなんてNTR案件なんてさせないぞ☆」
ユーベルコードによって加速が止まない界導神機『メルクリウス』が、BX鎌剣『ハルペー』をもってして巨大な手裏剣を切り落として行く。それに追従するかのように、重力弾と火炎弾の弾幕と共にドリルビットが紅朧の動きを制する。
「うん、おれも遠慮したぞ! さっきからヘカテにゃんがもだもだしてるからな!」
「テ、テラぁ……!」
同様に自らの意志を有する
神機たるヘカテイアと契約済みのテラも、自らの愛機から離れること無く超重力フィールドに見を包ませながら一体化を拒んでいたのであった。だが、ふたりがこうして自らのキャバリアから離れない選択が取ったからこそ、千載一遇のチャンスが舞い戻った。
「メディア!」
「うん、分かってる。忍機獣……
頑魔招来」!!」
この言葉を鍵として、急激に高まるニンジャフォースで大地が大きく揺れた。地震かと思えばそうではない。何故ながら、巨大は大蝦蟇めいたロボット……長い眠りについていた忍機獣『頑魔』が主の呼びかけに応じて再起動を果たしたことによるものだから。
大地を割りながら再び当世に現れたそれは並みのキャバリアを丸呑みするまでの巨大さを誇り、その背中に爾雷彌が飛び移って乗れてしまえるほどであった。
『やはり伝承通りに忍機獣を……すると!』
(さぁ、今こそ超忍合身じゃ!)
「言われなくても分かってる! 超忍……」
「合身!」
「ゲコォオオオオッ!」
頑魔が月を仰ぎながら吠え立ち、爾雷彌の機体から竜巻状のニンジャフォースが放たれる。外側からは一体どのようになっているのか伺うことは出来ないが、爾雷彌と一体化しているメディアと劔はその光景を目の当たりにしていた。
蝦蟇型メカの頑魔の装甲に亀裂が走り、展開されるは人型の身体。それに合わせて爾雷彌自身も腕や脚が折り畳まれるが、不思議なことに一体化している筈のメディアと劔には自身の身体はそのように動いているとは微塵とも感じることはない。
ただひとつ確かなことは、次々と接合されるたびに身体の感覚が蘇ると同時に力が湧き出るような感覚が伝わるといったところであった。
(見よ! これぞワシの真の姿、その名も……巨神『真・爾雷彌』!!)
ニンジャフォースの嵐が止めば、そこに佇むのは鈍く光る
鉄の巨神。細身であった爾雷彌とは打って変わり、全体的にマッシヴとなったと言い得る大具足。殆どが忍機獣と呼ばれるサポートメカの物であるが、その名残が胸に残っている頑魔の頭部のみと言っていいだろう。
『遂に巨神が目覚めてしまったという事になったか……しかし! この紅朧ならば!!』
ヤブレカブレとなったシャドウブレイダーが、外法のジツをもってして真・爾雷彌と同サイズにまで巨大化させた紅朧を疾走らせる。いくら伝説の巨神とは言え、情報によれば経年劣化によって最盛期を誇った過去より性能は落ちているはず。最新機たるこの紅朧、それに磨きに磨いた自身のカラテに掛かれば、そのような過去の遺物など……。
「破ァッ!!」
──打ち破れるはず。
そうあって欲しいというシャドウブレイダーの願いも叶わず、自身が放った拳とメディアが放った拳が激しくぶつかり合えば結果は歴然。猟兵と一体化を果たした巨神の剛拳が最新科学を駆使したキャバリアの装甲を容赦なく砕き、それに伴う衝撃は拳のみならず腕のみを破壊するまでの圧倒的な力の差を見せつけた。
『グワーッ!?』
力の差は歴然だったが、シャドウブレイダーは神経接続されてあたかも自身の腕が消し飛んだと錯覚していまうまでの激痛に耐える。まだ残った左腕がRX-電磁斬艦刀を掴み取って、ドスダガーめいた態勢で一矢報いようと強襲する。
「成程……あれが人類の脅威という訳ね?」
(左様。遠い昔、あれと同じく人間を辞めた鬼と呼ばれる存在を駆逐するためにワシらは建造された。果たしてオブリビオンマシンたる存在は鬼と同じかは定かではないが、同類であるならば助力を惜しまぬぞ)
「頼もしい限りね。あんたの剣……斬艦刀も中々の業物のようだけど、この『あたし』
に及ぶべくもなし!」
超忍合身の際に真・爾雷彌が扱えるサイズにまで併せて巨大化を遂げた空亡を鷹揚と抜刀するが、それも間に合わぬ疾さで紅朧は巨神の首めがけて跳躍しながら刃を振るう。
『貰ったぞ!!』
確かに巨神の素っ首を撥ねたはずだった。だが、それは残像。ニンジャフォースが残したマヤカシに過ぎない。
『なっ
……!?』
その時、シャドウブレイダーはようやく気づいた。満月の明かりに照らされて映し出された巨大な影の存在を。上空を仰げば、何時の間にか真・爾雷彌はカエルめいた跳躍力で頭上を取っている。あの巨体で見えない疾さと高さをと慄くシャドウブレイダーに、刃が落とされた。
「教えてあげるわ……あんたが乗っているそのロボットは人類の脅威! ええと……オタッシャしなさい!!」
僅かにコックピットを反らした袈裟斬りで、動力部側と紅朧の体躯を二分させれば爆破四散。残ったコックピット側はオブリビオンマシンの破滅的な意志が骸の海へと還った後に元のサイズへと戻っていく。
(ほう、ワシなら乗者諸共とカイシャクしておったが活人させおったか)
「当然よ。さっき言ったでしょ? 私は最強の大妖怪で神殺しの大魔剣。人の血を啜る妖刀なんか願い下げって」
(そうじゃったかの。ワッハッハッハ!)
「まったく、調子良い爺さんだぜ」
「ほんとだな!」
猟兵達が思い思いの言葉を送っていたが、気づけば既に刻限は夜明け前。
登る朝日の輝きが真・爾雷彌を照らし出す中、聞き覚えのある声の通信が届く。
「どうやら、皆と打ち解けたみたいで何よりだね爾雷彌」
(おお、ルキウス殿か。改めてじゃが、世話になり申した)
「こちらこそ、マリーの危機を救ってくれて感謝するよ。で、行くんだね?」
(まぁ、そうなのじゃが……誰に付き従うか、ちと迷っての)
巨神としてはこの場に居る者全ての力となりたいところであるが、今回のように複数の精神体を搭乗させたのは状況判断による異例中の異例である。それが誰を自らの乗者とするか迷わせていた。
「そうだね……じゃあ、これでどうだろ。個にして全、
猟兵側の求めに応じてその都度助けに応じるとか」
(あー……ユーベルコードなる召喚術を応用したものであるか。それならまぁ、可能ではあるのう)
つまり、個人ではなく猟兵全体の共有財産な戦力として力を貸すと言うことである。仮に自身の機体が誰かの元にあるとしても、いざとなればどこぞの経験値泥棒ニンジャの如く颯爽と参陣できると。
(という訳で、お主ら全員に付いていくことと相成った。今後ともヨロシク頼むぞ。……して、ルキウス殿よ。マリー殿との婚礼には是非ともお呼びくだされよ? ぬしらのやや子は嘸かし可愛いものであろうからな、ヌハハハ!)
「あー、うん。その時は勿論……ちょ、マリー! まだ安静にしてなきゃ……暴れないで……!」
(ガハハハ、仲睦まじい限りよ。さて、別れは済んだ。我らも旅立とう)
しかし、爾雷彌にはまだ気がかりなことがあった。
それはこの日出国に眠る残りニ体の巨神、『雄呂血丸』に『緤手』の行方である。残念ながら彼のメモリーには彼らの所在は残されておらず、今回のようにオブリビオンマシンに魅入られた不埒な輩が眠りについている遺跡を暴く可能性は否めない。
だが、爾雷彌は語る。そのような時には、頼りになるお主らの出番であると。
日の出と共に真・爾雷彌の姿は霞のように消え去り、しめやかに猟兵と共にグリモアベースへと帰還したのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵