闇の救済者戦争㉑〜Trample/生を弄びし者
●勝利は熱き命燃やせし者に
「御機嫌よう。闇の救済者戦争もいよいよ最終局面、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(望暁のレコンキスタ・f21100)は一礼で出迎えた。
究極禁獣ケルベロス・フェノメノンの撃破、歓喜のデスギガスの撤退。
フォーミュラである祈りの双子を含むダークセイヴァーの支配者“五卿六眼”との戦闘も始まり、状況は最後の正念場に差し掛かっていると言っていい。
「今回予知したのは五卿六眼の一柱、腐敗の王との戦い。その側面の一つだ」
腐敗の王はダークセイヴァーに於いて生と死の循環を操る存在。
この世界で死亡した者が魂人に転生し、終わらない地獄に苛まれ続ける元凶である。
「これから向かう戦場で待ち受ける腐敗の王は「生の循環」を加速させて襲い掛かってくる。影響は無尽蔵の強化だけど、これはアタシたち猟兵にも適応されるみたいだ」
この強化の影響は非常に大きく、真っ向から立ち向かう事は困難を極める。
自らも魂を熱く燃え上がらせる事で初めて戦いのスタートラインに立てるのだとグリモア猟兵は告げた。
「それともう一点。腐敗の王の“欠落”は健在なせいか、この戦いで完全に滅ぼすには未だ至らない。ただ、倒すごとに「生と死の循環」を奪い返す事が出来る――具体的にはダークセイヴァーの住民が命を落とした時、魂人として生まれ変わる事なく死ねるようになるみたいだ」
解放された魂が消えてしまうのか、他の世界に生まれ変わるのかは分からない。
だが、少なくとも闇の種族に虐げられる生贄として囚われ続ける魂を減らす事は決して無意味ではないだろう。
「危険な戦いが続くけれど……キミたちの勝利と、無事の帰還を祈っているよ」
祈りの言葉で締め括れば、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
闇の救済者戦争、今回は五卿六眼の一人「腐敗の王」とのボス戦闘になります。
二正面戦闘っぽくお届けする今回のシナリオですが、『闇の救済者戦争㉑〜Oppression/死を奪いし者』と重複しての参加も特に問題はありません。
プレイングボーナスは「己の魂を熱く燃やし、「生の循環」で超パワーアップする」事。
欠落が健在な為か腐敗の王は滅ぼせませんが、倒す毎に生と死の循環が解放されていきます。
具体的には、ダークセイヴァーの人々が死んだ時、
「成功シナリオ数×3%」の確率で、そのまま死ぬ事ができるようになります。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『五卿六眼『腐敗の王』』
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POW : フレイムビースト
自身の【全身】を【熱き魂の炎】化して攻撃し、ダメージと【装備焼却】の状態異常を与える。
SPD : オブリビオンソード
【腐敗による「消滅と忘却の宿命」】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【ユーベルコード知識忘却】の状態異常を与える。
WIZ : 死の循環
【この世界を司る「世界法則」そのもの】から、戦場全体に「敵味方を識別する【死の循環】」を放ち、ダメージと【肉体腐敗】の状態異常を与える。
👑11
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●灼熱の蹂躙者
そこは熱く、苛烈な炎の領域だった。
現象としての炎ではない。「生の循環」の加速が本物の炎のように燃え上がりこの領域を焦がしている。
立ちはだかるは己が半身を燃え盛らせた領域の主。
「来たか! 死をも厭わず俺に挑みに来たか、猟兵達よ! ならば正々堂々とお相手しよう!」
暑苦しい程に響き渡る大音声。
叫びに呼応するように腐敗の王の半身は更に燃え盛り、その力を天井知らずに跳ね上げていく。
「その魂が猶も奮い立つと言うのなら! 俺に見せてくれ!今度の猟兵達が、果たしてどこまで戦えるのかをッ!」
――死闘の幕が上がる。
夜刀神・鏡介
生と死を歪めているとはいえ、それが幸せな転生であれば何も言う事はない
だが、魂人への転生が一般的に幸せな事だとは、どうしても思えない
戦争の趨勢に影響がないとはいえ、循環を正せるならば。戦う価値は十分にあるだろう
気合いを込めて、勢いよく神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化しつつ、敵と相対
普段はどちらかというと防御重視しつつカウンターを入れる戦い方だが、今回は攻撃重視でいく
もちろん相手の攻撃をすべて受けるなんてのは自殺行為
明らかに危険な攻撃については直感含めて察知して、避けるか受け流すかで凌ぎつつ、あとは全力の攻撃
最後の一撃は渾身の振り下ろし。参の型【天火:猛】で決める
●猛るは神気臨界の剛刃
「生と死を歪めているとはいえ、それが幸せな転生であれば何も言う事はない」
「ほう? ならば問おう、何故お前はこの戦場に立つ!」
「……そんなの決まってる」
敵はその悪趣味を自覚していないのか、それとも分かった上で焚き付けているのか。
いずれにせよ向けられた問いへの答えは明瞭だ。
指に代わり異形の剣の切っ先を突きつける腐敗の王を、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は正面から見返す。
「魂人への転生が一般的に幸せな事だとは、どうしても思えない。……戦争の趨勢に影響がないとはいえ、循環を正せるならば。戦う価値は十分にあるだろう」
死した後もダークセイヴァーの上層へと転生させられ、闇の種族によって虐げられ続ける。
生死の理を歪めてまで強いようとする過酷な運命を砕く為なら、この刃を振るう理由には十分すぎる。
「ククッ……そうか。そうか!
好いぞ六番目の猟兵ッ! そうだ、此処で俺に一矢報いたとて大局に影響は無い。だが、承知の上で“生と死の循環”を取り戻す為に挑んでくるか! いいだろう、掛かってくるがいいッ!!」
「言われるまでもない。全力だ――神刀解放! 推して参る!」
封じの白鞘より抜き払うは神刀【無仭】。
その魂の昂りに呼応する無形の神気が戦場の灼熱を圧して迸り、鏡介もまた一陣の風となり疾走する。
「打って出るか、その意気や好し! 俺も真っ向からお相手しようッ!」
「普段はどちらかというと防御重視なんだが、な……!」
腐敗の王の腕そのものと一体化したような異形の巨剣、しかし反応速度は鈍重とは寧ろ対極。
【フレイムビースト】――腐敗の王の半身を燃やす魂の炎は全身にまで燃え広がり、瞬時にして肉薄してきた鏡介を迎え撃つ。
「流石に……これを受けるのは自殺行為だな」
「ああ、この程度で終わってくれるなよ猟兵! 技を尽くし、策を弄し、己の全てを燃やすがいい!」
まともに受ければ神気、神刀でさえ焼き払わんとする理外の絶炎。
故に、ただ受けるのではなく受け流す。
接触は最小限。高めた神気で炎を抑え、無涯の神腕と力を解き放つ瞬間を重ね――
「――此処、だ……ッ!」
「これを凌ぐか! 大した業だ……!」
敵の勢いをも利用し、斜めに力を加える事で押し退けるように軌道を逸らす。
交錯を制し抉じ開けた一瞬、脚に纏う無依の神気による爆発的な加速が追撃を許さず一息に懐にまで飛び込んで。
「叩き斬る!」
「まだだッ! まだ一本取らせてはやれんなァッ!」
異形の剣の死角たる超至近距離、しかし腐敗の王がその身に纏う魂の炎と鋭利な棘角は猶もギラついた闘争本能の儘に獲物を狙う。
――この程度であれば、耐えられる。
被弾も厭わない苛烈な連撃は相手に巨剣の間合いを取り戻させない為の計算と表裏一体。
宙に舞った血華は炎の熱で即座に燃え散り、しかし腐敗の王もまた魂を熱く燃やす鏡介の連撃を受けて揺るがずにはいられない。
遂に体勢が崩れる。見逃す筈も無い。
「猛れ、剛刃一閃――参の型! 【
天火:
猛】ッ!!」
「グゥッ……見事……!」
防御を打ち砕き叩き斬る剛力の剣技、その一閃。
遂に大上段より繰り出す渾身の一撃は、五卿六眼が一角をも砕く決定打となって振り抜かれた。
成功
🔵🔵🔴
セシリー・アリッサム
今度の猟兵……? そう
あなたにとって、これが最初では無いのね
つまり、
世界をこういう風にしたのは
かつてのあなた達だった、って事?
だったら見せてあげるわ
虐げられてきた魂の痛みを――あなたにも味わわせてあげる!
全身から地獄の蒼炎を放ち
飛翔
近付けば貫かれる……ならば距離を取るだけ
地獄の炎を浴びて目覚めたの
もう聖女なんかじゃない、ただ一つの
復讐の炎に!
音速を超える速さで攻撃を躱しながら
高速全力多重詠唱で焼却属性の浄化の蒼炎を浴びせ続ける!
わたしの魂に呼応して蒼炎は燃え続ける
覚悟はいいかしら?
一方的に弄ばれる恐さ、教えてあげる!
●報復の蒼き獄炎
「今度の猟兵……?」
腐敗の王の物言いを聞き咎めたセシリー・アリッサム(焼き焦がすもの・f19071)は小さく眉を顰める。
「そう。あなたにとって、これが最初では無いのね」
その科白の意味するところは未だ謎めいているが、しかし汲み取れる情報もある。
声は剣呑に抑揚を失い、静かながらも刃物のように鋭い怒りを揺らめかせて。
「つまり――
世界をこういう風にしたのは。かつてのあなた達だった、って事?」
「フッ、生憎だが今の俺では、そして今のお前には答えをくれてはやれんな!」
弾劾にも似た視線を正面から受け、五卿六眼の一角を占めるオブリビオンは動じる素振り一つ見せはしない。
思わせぶりな単語を口にしながら、その真意を語る気は無いのだと一笑に付すように。
「知りたくば進み続けるがいい、これまでそうしてきたように! お前に、お前たちに出来るものならなァッ!」
「……だったら見せてあげるわ」
闘志を迸らせる腐敗の王に対し、返すセシリーの声は底冷えのするように冷たく。
いずれにせよ違いは無いのだ。
五卿六眼、闇の種族、オブリビオン。
この世界の人々を苦しめてきた元凶、その首魁の一角。
「虐げられてきた魂の痛みを――あなたにも味わわせてあげる!」
蒼炎が爆ぜる。
【
舞蒼炎刃】の獄炎を身に纏い、宙に身を躍らせた少女は加速する。
「地獄の炎を浴びて目覚めたの。もう聖女なんかじゃない、ただ一つの
復讐の炎に!」
「威勢は良いが逃げ腰ではこの俺から逃れるには――ぬゥッ!」
“生の循環”の加速は魂を燃え上がらせる者に無尽蔵とも言える絶大な強化をもたらす。
セシリーを【オブリビオンソード】の間合いに捉えんと踏み込み、しかし蒼炎に押し留められたのは腐敗の王の方。
「何を勘違いしているのかしら。あなたにも味わわせてあげると、そう言ったわ」
アウトレンジからの一方的な蹂躙は安全性や堅実を意図してのものではない。
【舞蒼炎刃】は圧倒的な速度強化・威力強化と引き換えに受ける負傷も増大するリスクを負う。
例えば敵の操る火炎やユーベルコードに依らない斬撃の類であっても場合によっては致命傷になり得るだろう。
「そうか!
俺への報復、故にこそか猟兵ッ!」
「覚悟はいい? この蒼炎はわたしの魂に呼応して燃え続ける――」
蹂躙してきた者は同じように蹂躙される事が応報であると。
加速する“生の循環”を受け、地獄の蒼炎は今こそ復讐を果たさんと燃え上がる。
「一方的に弄ばれる恐さ、教えてあげる!」
「認めよう……! その復讐、この俺をして脅威たり得ると……!」
蒼炎の勢いは留まるところを知らず、全霊の詠唱を重ねるごとに猛り狂う。
防御に一手を割かれ、二手ぶん押し込まれ、いつしか手詰まりとなり、防戦一方の上から猶も攻め立てる。
それは腐敗の王が燃やす魂の炎を、それ以上に燃え盛る復讐の炎が喰らい尽くす様にも似て。
「グ、オオオォォッ……!」
「焼き尽す……ッ!!」
遂には宣告通り。浄化の蒼炎は抵抗も許さず、腐敗の王を徹底的に焼滅せしめるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シキ・ジルモント
魂人の存在が明らかになり、故郷であるダークセイヴァーで死んだ者が玩具にされていると知った時の怒りは
元凶の五卿六眼と戦っていくらか鎮まっただろうか
…いや、まだだ
奴が存在する限り消える事は無いのかもしれない
狼の姿に変じてユーベルコード発動
距離を取り腐敗の王へ向けて咆哮による攻撃をぶつける
敵の武器である剣も炎も、間合いを取れば視認して回避に繋げられる
腐敗は避けられないなら回避をはなから考えず攻撃に専念
咆哮でダメージが入れば距離を詰めて、爪や牙による追撃も考慮する
怒りのまま叫ぶように咆哮を重ねて自身を奮い立たせる
この怒りが魂を燃やし、奴を焼く熱となるなら
今は形振りを構わず、冷静さを取り払っても構わない
●怒れる銀狼の咆哮
魂人への転生。
シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)の故郷ダークセイヴァーで死んだ者は上層へと生まれ変わり、死した後さえも闇の種族の玩具にされ続けるという残酷な運命を知った時の怒りたるや。
元凶となった五卿六眼との戦闘を経て、幾らか鎮まりもしただろうか。
(……いや、まだだ)
普段は冷静であれと努めている自身の、胸の内に燃える激情を自覚する。
腐敗の王、“生と死の循環”を奪ったオブリビオン。
「お前が存在する限り……消える事は無いのかもしれないな」
「それでいい!
俺と
お前たちは相容れる事無き不倶戴天ッ! その敵意がお前の炎ならば、より強く! より熱く! 燃え上がらせてみせろォッ!!」
『言われる迄も無い――ッ!』
腐敗の王の口上に応じるは銀狼へと変じたシキの【バトルクライ】。
味方には昂揚を、敵には畏怖を与える咆哮が物理的な衝撃波さえ伴い叩きつけられる。
千度放っても足りない魂の叫びは立て続けに腐敗の王を打ち据え、迎撃に振るわれる異形の巨剣も魂の炎も、十分に間合いを取り警戒すればシキに躱せぬものではない。
「
好いぞ! それがお前の怒りか、お前の力の根源かッ!」
『履き違えるな。これは俺だけの怒りではない――そして――俺たちの怒りは、こんなものではない!』
「言うではないか! ならば俺を俺たらしめる権能を馳走してやろう! 超えられるか人狼ッ!!」
【死の循環】が巡る。加速する。或いはシキは世界法則の蹂躙される“音”を聴いただろうか。
形あるものは崩れ、命あるものは終わりへと向かう……死の概念そのものが逃げ場なく戦場を満たす。
『超えられるか? 愚問だな』
超えに来たのだ。不可避の権能とて臆する理由は無く、不可避であるならば踏み込まない理由が無い。
銀狼の俊敏は攻め手に於いても遺憾なく発揮され、却ってその身が傷つく程に激しさを増すようで。
元より魂の熱量が全てを凌駕する領域での戦闘だ。
たとえ肉体が朽ちゆこうとも、より苛烈にオブリビオンを抉る銀狼の爪牙は燃え上がる闘志の現れ。
この力のせいで。
お前たちのせいで、同胞の味わった苦しみはどれ程のものか。
この世界に生きてきた、どれ程の罪無き人々が血と涙を流す事になったのか。
それが当然と言うような面をして、この痛みを、苦しみを、人々に強い続けるというのか。
――許せる筈が無い。許せるものかと叫び、吼え猛る。
この怒りが眼前の
元凶を焼く熱となるなら、自らを律している冷静さをかなぐり捨ててもいいと思う程に。
この怒りが力となるなら、滅ぼせぬものなど無いとさえ思える程に。
「ガハッ……! いいだろう、お前たちの怒り、お前たちの叫び! 全てぶつけて来るがいい……ッ!」
『黙れ。消えろ。お前を幾万幾億砕こうが、俺たちの痛みを贖うには程遠い。故に消えろ、疾く消え失せろ――!』
引き裂き、打ち砕き、叩き潰す――激情と共に刻み付けられたのは一つの事実。
踏み躙られてきた
ダークセイヴァーの怒りは、その一握りさえ五卿六眼を捻じ伏せて余りあるという事。
猶も続く闇の世界の支配者との戦いに掲げる、叛逆の号砲である。
成功
🔵🔵🔴
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「循環を回すためにもお前と戦う!
なにより!人の命を弄んでおきながら熱血気取ってんじゃねえ!」
[勇気]と魂を燃やして全速力で駆け抜ける
拳を握りしめて腐敗の王を殴りつける
相手がどれだけ強大だろうと関係ない
[気合い]と[根性]で押し通る!
「テメエがどんな存在だろうと!オレは戦う!
オレは無敵のヒーロー!ブレイザインだ!!」
燃やせ!燃やせ!!燃やせ!!![限界突破]しろ!!
腐敗の王に接敵してUCを発動
「ファイナル・ブレイジング・ブラスター!」
超巨大な砲撃を腐敗の王に放つ!
滅ぼせないから形は残るだろう
だが!だからこそ拳を握り!
「歯ァ食いしばれ!!」
ケジメの拳を顔面に叩き込む!
●無限に燃え盛るは正義の光焔
「循環を回すためにもお前と戦う! なにより――!!」
深紅の太陽が流星の如き軌跡を描いた。
正面突破、ただ愚直に腐敗の王へと挑みかかる空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の魂は激しく燃え盛っている。
「――人の命を弄んでおきながら熱血気取ってんじゃねえ!!!」
「グゥッ……!
好い熱だ! それがお前の正義かッ!」
オブリビオンの右腕と半ば一体化したような異形の巨剣と清導の拳が真っ向からぶつかり合う。
激突の余波は空間を揺るがし、更に苛烈に火花を散らす両者のボルテージはどこまでも高まっていく。
“生の循環”を加速させ魂の炎を燃やす腐敗の王の猛攻は、本来最初の一撃の時点で超鋼真紅の機械鎧ごと肉体を打ち砕いて余りある圧倒的な暴力の顕現。
だが、時に反撃をその身に受けてさえ清導は一歩も退く事なく燃え盛る拳を叩き込む。
凄まじい存在感を放つ超越者の身体が、その一撃を受けるたびに確かに揺らぐ。
「テメエがどんな存在だろうと! オレは戦う!」
叫ぶ。清導の魂が熱く燃え上がる。
このオブリビオンの所業で、人々がどれ程の苦しみを味わう事になったか。
どれ程の人々が理不尽に涙を流したのか。
討つべき巨悪を前にして、ヒーローが屈する事など決してありはしない。
「オレは無敵のヒーロー! ブレイザインだ!!」
「面白い! 未だ“欠落”の健在たる俺の前で無敵と言ったか、猟兵ッ!」
その半身の炎は全身へと燃え広がり、【フレイムビースト】と化した腐敗の王が放つ灼熱は空間をも焼き焦がす。
これでは追撃を見舞う為に更に踏み込む事は至難――否。
魂の熱量が全てを凌駕するこの領域に於いて、今の清導を相手にしては虚仮威しでしかない。
「燃やせ! 燃やせ!! 燃やせ!!! 限界を超えて燃え上がれ! アンリミテッド ウィルッ!!」
吼える清導の闘志に呼応するは不屈の光焔。
【フレイムビースト】と拮抗し、徐々に焼き焦がされながらも猶も眩い輝きと共に燃え上がる。
「ファイナル・ブレイジングドライブ!! この力、使いこなしてみせるぜ!!!」
「ぬぅッ……!」
潜在能力を覚醒させた清導が変身を遂げ、機械鎧の胸部装甲に莫大なエネルギーが収束――【
決着変身!】
「コレこそが!! ファイナル・ブレイザインだ!!」
清導と超鋼真紅の雄叫びが重なり響く。
戦場を紅蓮に染め上げるは極大威力を誇る特大の二連火焔砲。
そして。
「ファイナル・ブレイジング・ブラスタァァァァッッ!!!」
迎え撃たんとしたオブリビオンソードの一閃と激突し極大・特大の火焔を超えて光焔へと至るは第三の砲撃。
腐敗の王の姿は輝きの中に呑み込まれ、しかし未だ“欠落”の健在な五卿六眼の肉体は未だ形を保っている。
「まだ此処では滅ぼせないか……だが! だからこそ!」
規格外の潜在能力を解き放った事で極限にまで高まった力を一点に集中、拳を握りしめ更に踏み込む。
三連の砲撃を受け隙を晒したオブリビオン、狙うはその顔面。
「コイツはケジメの拳だ――歯ァ食いしばれッ!!」
「グ、オオ……ッ!?」
真っ直ぐに叩き込み、振り抜き、殴り飛ばす。
燃える鉄拳は奪われた“生と死の循環”を取り戻す、その決定打の一つとなり蹂躙者を吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
ロー・シルバーマン
魂を燃やす、向こうを上回る強い意志を強く念じる事ができれば行けるか…?
ずっと生と死の循環を止めてきた存在…ふむ。
魂の炎を燃やす腐敗の王の攻撃を野生の勘で見切り躱しつつアサルトライフルの銃弾で牽制。
敵の姿を見ながら思うのは長き人生で出会い死に別れた人達。
あの善き人らが永遠の地獄を味わい続ける事になっているかもしれない、元凶。
…絶対に殺す。
後の事は考えぬ。沸き起こる義憤を強く強くイメージし、魂の炎を燃やし猟銃の弾丸をUCでぶち込むぞ!
武器が焼けたら結界術に切り替え、身体をすっぽり覆う程度のサイズの結界を魂の炎の力を借りて練り上げ閉じ込めその上でその中を浄化しダメージを刻む!
※アドリブ絡み等お任せ
●不浄を裁く殺意の引鉄
「魂を燃やす、向こうを上回る強い意志を強く念じる事ができれば行けるか……?」
ロー・シルバーマン(狛犬は一人月に吼え・f26164)という猟兵は温厚な好々爺である。
「時の流れに呑まれ朽ちゆく者よ! 見せてくれ、お前の魂が俺に抗い得るものかをッ!」
「ずっと生と死の循環を止めてきた存在……ふむ」
腐敗の王は半身に飽き足りず全身を魂の炎で燃え上がらせ【フレイムビースト】へと変貌。
ローは咄嗟にアサルトライフルで牽制し、鋭敏な野生の勘を頼みに初撃を躱す。
悪鬼の如く炎を揺らめかすオブリビオンを油断なく見据えながら、思うのは長き人生で出会い死に別れた人達。
あの善き人らが永遠の地獄を味わい続ける事になっているかもしれない、元凶。
「……絶対に殺す」
普段の彼とは別人のような唸りが零れた。
度し難いという言葉でさえ生温い。
このダークセイヴァーで幾度もの離別を経験してきたローにとっては猶更、その所業は到底許せるものではない。
火の付いた義憤を加速する“生の循環”が力に変え、猟銃に込められた弾丸からは放つ前から浄化の輝きが滲む程。
「――そこじゃ」
「ぬゥッ……!」
放つは着弾部位を破壊する【
一発の銃弾】。
それは迎撃に振るわれたオブリビオンソードを打ち砕き、しかし後先を度外視した猛撃の代償は燃え盛る迎撃。
弾丸とほぼ同時に交錯した斬撃は掠めただけでもローの猟銃を焼き焦がし、攻防は半ば差し違えの様相を呈する。
「大した殺意だ! だが、事を急いたな老兵ッ!」
「この程度では終わらぬと。ああ、そいつはわしの科白じゃよ」
「なにィッ!?」
大役を果たした猟銃を手放し、澄んだ拍手の音を響かせる。
異形の剣と半ば融合した片手を吹き飛ばされ、猶も突進しようとした腐敗の王の初動を抑えたのは清浄の結界。
「いま撃ち込んだのは浄化の弾丸よ。霊体、それもお主のような悪霊には堪えるであろう?」
唱えるは旧き祝詞。
不浄を祓う浄化の力がオブリビオンを縛り、魂の炎さえ貫いて焼き焦がす。
主要武装たる巨剣は砕いた。加速の勢いに乗る前に脚を封じた。
獲物を狩る猟兵としての、これが本命。逃がしはしない。
「グオオッ……! この俺を、捕えるだと……ッ!」
「熱く燃える魂が肝要と言うなら後れを取りはせん。足りんなら命でもくれてやろう――此処で仕留めるぞ」
その気迫は覚悟の現れ、虎ならぬ狼の尾を踏んだ報い。
闇の種族の暴虐に晒される命を一つでも減らす為に、殺せる限り殺し尽くすという羅刹の執念。
閉じられた結界の内部を、轟くような断末魔が震わせた。
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
正々堂々?何を勘違いしているのです、腐った生ゴミが
これは戦いなどではなくただのゴミ掃除にすぎません
私こそは希望の依り代にして希望の繋ぎ手
その私の前で魂人の方々の希望と絶望を弄んだあなたは
ただで死ねると思わぬことです
怒ってはいませんよ、そんな価値さえありません
私が心底から抱いているこの激しい感情は
下劣な存在への限界のない徹底的な
──侮蔑です
呪詛に満ちた結界で空間そのものを歪め攻撃の軌跡を僅かに逸らし
さらにオーラを纏わりつかせ剣速を鈍らせて
心眼と見切りで回避
UCは知識で振るうものではなく魂の奥底から湧き出てくるもの
そんなことさえ知らぬ愚か者
事象と時空と物理法則と因果もろとも捩じ切ってあげましょう
●黒き悪夢の裁き
「正々堂々? 何を勘違いしているのです、腐った生ゴミが」
悠然と佇む腐敗の王を前に言い放つ黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)の語気は抜身の刃物のように鋭く。
魂の炎が放つ灼熱に満たされた戦場に於いて猶、絶対零度の眼差しがオブリビオンを見据える。
「然り。肉は腐るもの、命など
塵に等しきものッ! なればこそ、この世界は――」
「これは戦いなどではなくただのゴミ掃除にすぎません。そしてゴミはあなた一人だけです」
煩わしい口上に付き合う事なく切り捨てる。
元より言葉を交わすつもりもない。眼前の相手に対し、魅夜は初めからその価値を見出していない。
淡々と紡ぐ言葉は一方的な通告。
「私こそは希望の依り代にして希望の繋ぎ手。その私の前で魂人の方々の希望と絶望を弄んだあなたは」
指を突き付け、断じる。
「ただで死ねると思わぬことです」
「ククッ、大層な自負である事だ! 己の領分を侵された怒りか? いいだろう、その熱の程を示してみせろッ!」
「怒ってはいませんよ、そんな価値さえありません」
迫る【オブリビオンソード】の穿撃に対するは呪詛に満ちた黒き呪いの結界。
腐敗による「消滅と忘却の宿命」を込められた一撃は馬鹿正直に正面から止められる類のものではない。
故に空間そのものを歪める事で攻撃の軌跡を僅かに逸らし、更に重ねたオーラの護りによる阻害を以て強引に見切るだけの隙を抉じ開け……躱しきる。
「私が心底から抱いているこの激しい感情は。下劣な存在への限界のない徹底的な──侮蔑です」
残酷に、冷徹に、その魂は冷めきっている。この外道は一切の憐憫、理解に値しないと。
苛辣に、凄烈に、その魂は燃え盛っている。この邪悪に一切の容赦、酌量は無用であると。
「我が剣を凌ぐか! いいだろう、何であれ認めよう! 俺に抗うに相応しい魂の持ち主であるとッ!」
「話になりませんね」
唾棄すべき傲慢と無理解。炎と共に撒き散らされるノイズに眉を顰め、終止符を打つべく真の姿を呼び起こす。
「終わりです。森羅万象我が意のままにひれ伏さん、悪夢の名のもとに滅びゆけ」
【
舞い狂え悪夢、崩壊せよ世の理】――万物事象と非生命体を侵食する
魅夜の本性。
腐敗の王の“欠落”は未だ健在。此度の作戦目標はこの五卿六眼から“生と死の循環”を取り戻す事であり、完全に滅ぼす事の出来る段階ではない。
関係無い、と殺意を込める。
宣告は既に済ませた。いま自分と相対したこの腐敗の王は完膚なきまでに破壊し尽くすのだと、魅夜は自身の権能を行使する。
「面白い! その敵意、いやさ侮蔑がどこまで届くかッ! 試してみるが、」
「ユーベルコードは知識で振るうものではなく魂の奥底から湧き出てくるもの……そんなことさえ知らぬ愚か者」
嘆息一つ。
ふつり、とつまらないテレビの電源を切るように、留まるところを知らない科白ごと寸断する。
なんら特別な事ではない。
魂と力を重ねる事など、今更意識するまでもなく熟知している。
「事象と時空と物理法則と因果。もろとも捩じ切ってあげましょう」
存在を構築する要素悉くを捩じ切られ、痕跡一つ残さずオブリビオンは消え失せて。
静寂に包まれた戦場に感慨も無く一瞥を残し、魅夜は身を翻すのだった。
―― 五卿六眼『腐敗の王』、撃破 ――
成功
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