闇の救済者戦争⑱〜Loar of Inferno
●其は地獄、全てを打ち砕くもの
「御機嫌よう。佳境を迎えつつある闇の救済者戦争、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(望暁のレコンキスタ・f21100)は一礼で出迎えた。
オブリビオン・フォーミュラである祈りの双子や絶対的な無敵性を示してきた究極禁獣にも王手の掛かった現状、“欠落”の破壊により無敵性を失った禁獣との戦いを予知したのだとカタリナは告げる。
「敵は禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。数百mの巨体の強靭は勿論、無尽蔵の魔力と呪詛にオーバーテクノロジーの機械兵器……山みたいな身体に武装やら技術やらを山積みした怪物さ」
弱点である“欠落”を破壊されたが故に不滅の特性こそ喪失しているが、それを差し引いたところで禁獣は未だ圧倒的な戦闘力を誇る。
だが、今回の戦いには更にそれらの要素以上の脅威が存在するのだとグリモア猟兵は続けた。
「ケルベロス・フェノメノンが体内に有する『殺戮の呪詛』。これが解き放たれた事で、戦場全域が呼吸するだけでも死の呪いに蝕まれる魔境に変わっているんだ」
技術や概念、ユーベルコードを以てしても覆しようのない
法則理の強制。
この世の終わりのような脅威を前に、抗う鍵が一つあると有翼の人狼は指を立てる。
「強い意思や願い、想いを込めた『魂の叫び』が『殺戮の呪詛』を跳ね除け、振り払う唯一の手段になる。おそらく殺戮の呪詛そのものがケルベロス・フェノメノンの“叫び”なんだろうね」
もちろん文字通り大声を張り上げるという意味ではない。
それも確実な表現の一つではあるが、重要なのは禁獣に挑む猟兵たち一人一人の根幹、
存在意義を以て立ち向かう事だとカタリナは続けた。
「敵は途方もなく強大だけど、これを打ち倒せるのはキミたちだけだ。……どうか勝利と、無事の帰還を」
仮に今も吸血鬼の脅威に抗っている闇の救済者たちや上層に生きる魂人たちが禁獣の脅威に晒されてしまえば、或いは彼らが存在したという痕跡一つさえ残らないだろう。鏖殺の災厄を打ち破れるのは猟兵だけだ。
祈りの言葉で締め括れば、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
闇の救済者戦争、今回お送りするシナリオはVS大怪獣決戦。
敵はなんと数百m。でかい!
これは体内に乗り込んでコアを破壊すれば即死する系のギミックボスでは。しない? ジーザス。
プレイングボーナスは「魂の叫び」を放ち、死の呪いを跳ね除ける事。
また、この戦場を制圧すると無数の
小剣が残り、これを獲得する事で戦後に調査依頼が発生します。
ただし先に禁獣『デスギガス』が制圧されるとケルベロス・フェノメノンは姿を消してしまうようです。
参考までにご留意ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』
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POW : グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD : インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ : サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。
👑11
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●この門をくぐる者、一切の希望を捨てよ
「――我らが
惑星には、何人たりとも近付かせぬ」
それは極めて純粋な拒絶だった。
「六番目の猟兵達よ。いずれ、『
重力の鎖』は貴様らを導くだろう」
そして、それは猟兵を
惑星に近づく脅威として認識していた。
「ならば――ならばその前に! ここで殲滅してくれるッ!!」
故に相互理解など不可能。
猟兵が無尽蔵の生命力を殺し尽くすか、禁獣が殺戮の呪詛に全てを呑み込むか。
これは戦争だ。
死の呪いに満ちた殲獄の魔境に、禁獣の咆哮が轟く。
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
鍵となるのは魂の叫びって話だ
[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁で身を守りつつ全霊を込めて叫ぶぜ
「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
大事な人がいる。シンプルでありがちな理由だがこの意思は何よりも強い
かつて小剣に願いを込めて叫んだ他の世界の誰かのように願いを込めて打ち砕く
「さぁ、皆で戦おう。その痛み、この俺が受け取った」
奴に直接触れないよう[心眼]で動きを[見切り]ながらUCを繰り出す
ソードビットを一直線に束ねて刃を形成
この地に蔓延する痛みを束ねて生み出された焔の太刀、それを一直線に振り下ろす
「さよならだ」
●焼き尽くせ、痛みを超えて
「話には聞いてたが、こいつはヤバいな……!」
喉が干上がる程の灼熱、心身を蝕む呪詛。
禁獣は未だ此方に気付いてもいないというのに、この戦場に無策で臨めば猟兵でさえそう長くは保たないだろう。
特に隔絶しているのが殺戮の呪詛であり、確かに機能している筈の多重障壁をも貫こうとする脅威に久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は己の根幹を燃え立たせる。
「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くためにッ!」
最愛の相手の輝くような笑顔を思い描く。
大事な人と共に生きる未来の為に……シンプルでありがちな理由だろう。
それこそ遥翔が立ち向かう理由。
たとえ死の呪いに命を喰らわれようと、必ず打ち克ち生きるという何よりも強い意思。
――かつて
小剣に願いを込めて叫んだ、他の世界の誰かのように――
願いを込めた「魂の叫び」は、押し寄せる殺戮の呪詛と拮抗。
その侵蝕を食い止め、押し返す。
「やはり――やはり超えてくるか六番目の猟兵! なればこそ打ち砕くッ!」
気付かれた。
地獄と化した戦場、全てを拒絶する殺戮の呪詛に抗う
者の存在をケルベロス・フェノメノンは許さない。
背負ったミサイルの一斉掃射は辺り一面を更地に変えんとする程で、悪夢のような加速を見せる巨躯から繰り出された獣爪の薙ぎ払いはまともに受ければシミ一つさえ残らないだろう。
意思持つ災害と称するほか無い暴力の嵐を前に、白紅の
戦騎は臆する事なく切り込んでいく。
退いた先に勝機は無い。展開した多重障壁で攻撃の余波から身を守り、研ぎ澄まされた心眼で活路を切り開く。
「さぁ、皆で戦おう。その痛み、この俺が受け取った」
遥翔は“知っていた”のか、それとも“感じ取った”のか。
黒炎纏う
機神太刀の先に束ねられたソードビットを軸と為し、焔の大太刀が紅蓮に燃え盛る。
「痛みを超えて束ねたるは原初の真焔――」
原初の焔を束ねた一刀、それは仲間の受けた“痛み”に比例して力を増すユーベルコード。
悲鳴を上げていたのはケルベロス・フェノメノンにより地獄に変えられたこの
戦場そのもの。
この地に蔓延する痛みを束ねて生み出された【
因果を灼く真焔の太刀】は禁獣の巨躯をも斬り裂く程に強大に。
「焼き尽くせ! リベリオン・ブレイド――――ッ!!」
斬撃、鎔断、誘爆。
三ツ首の咆哮が轟き、因果をも焼却する焔の斬撃を受けた山のような巨躯は地鳴りと共に崩れ落ちて。
「さよならだ」
荒ぶる災禍をも乗り越えて青年は進む。
共に生きる未来へと。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
魂の叫び
「俺はこの世界の為に戦う。
これ以上人々が涙を流さないで済むように。
無為に命を落とす事の無い世界になるように。」
魂の叫びを胸に抱きながら真羅天掌を発動し
浄化属性の大雨を発生させる。
雨で地獄の炎や敵の呪詛と魔力を浄化させながら
冥理影玉で呪詛を打ち消して【呪詛耐性】を得る。
雨に紛れながら敵の動きと武装を【見切り】ながら
武器の届きにくい死角に回り込む様に動いて敵に接近。
死角に入り込んだら補足される前に
至近距離からデモニックロッドから闇の魔弾を撃ち込んで
敵が此方の位置に気付き攻撃してくる前に移動。
移動攻撃しながら敵の装甲の弱い部分を探し
それを発見出来たら【全力魔法】で魔弾を撃ちこむ。
●それは祈りにも似て、されど祈りに非ず
――自らの苦痛に。或いは悲劇に襲われた誰かを想って、涙を流す人々を見てきた。
――オブリビオンの暴虐によって、塵芥のように命を奪われた人々を見てきた。
「……大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯……」
この世界ではあまりにありふれた光景が、荒れ狂う殺戮の呪詛の中に在って猶もフォルク・リア(黄泉への導・f05375)の力となる。
これ以上人々が涙を流さないで済むように。
無為に命を落とす事の無い世界になるように。
この世界の為に――それがフォルクの魂の叫び。この戦場に立つ理由。
「……人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
「六番目の猟兵……! 我が殲滅に抗うかッ!!」
ユーベルコード【真羅天掌】――属性と自然現象を合成させる絶技が一つ。
魂の叫びを込めて降り注ぐ浄化の雨は消えない筈の地獄の炎をも抑え込み、猛り狂う三ツ首の知覚からフォルク自身の姿を隔て隠す。
接近のリスクは承知の上。
だが、この地獄の権化を討ち果たすには避けて通れない事もフォルクは理解していた。
「貪喰を許す。我が魔力、彼の生命を喰らい、以て災禍を滅ぼすに足る魔弾と為さしめよ」
「小賢しい……!」
呪われし黒杖に喰らわせるのはフォルク自身の魔力であり、叩き込んだ闇の魔弾の手応えから見切りを補強すると共に反撃に先んじて離脱。
単純な構造の問題だ。火力、装甲、可動域……これらを全方位に対し均一にする事こそ非合理であり、故に――たとえ相対的なものだとしても――付け入る死角や狙うべき急所、少なくとも他より与しやすい部位は必ず存在する。
ケルベロス・フェノメノンとてその事は理解している。
圧倒的な武力を以て殲滅を果たさんとする禁獣、その猛威を掻い潜り致命の一点を探るフォルク。
両者の攻防は根競べの様相を呈し、天秤は拮抗すればこそ小回りの利くフォルクの方に分があった。
「例外は無い! 我らが
惑星に近づくものは全て、全て打ち砕く――たとえ悪となり邪となろうともッ!!」
「否だ。砕かせはしない。それが呪詛であるならば……冥理影玉。
蝕みて死を拒め」
【サイコフォース・フェノメノン】――規格外の呪詛と魔力を圧縮した、地形を一変させる砲撃の如き暴虐。
同じユーベルコードという土俵に立って漸く抗し得るかという理外の脅威を、しかしフォルクは
闇の宝珠を駆使する事で捌ききってみせた。
立ち回りで直撃を避け、呪詛を打ち消す力で以て余波を受け流す……浄化の雨による威力の減衰、そして重ねてきた呪術の探究への自負と矜持が極限状況にあって不可能を覆したその一瞬。
か細い糸の繋がるような刹那の勝機を逃がしはしない。
「在るべき世界の明日のために」
この世界の明日が、より善いものとなるように。
祈りではない。
フォルクは聖職者ではなく研究者であり、それは自ら掴み取る目標に他ならない。
捉えた装甲の弱所、砲撃を凌いだ直後の千載一遇に全身全霊を注ぎ込む。
「――お前と言う“悪”を、乗り越える」
漆黒の魔弾は闇を貫く流星となり……禁獣の巨躯、見事その心臓までも貫いて駆け抜けた。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
善悪なんて見方によって変わるものだろし、それがなくとも自分が純粋な善の存在だなんて言える程に面の皮が厚くない
とはいえ、こうも一方的に否定されるのは些か思う所があるというか
唯一つの思いを込めて叫ぶ、俺は、俺達はこの先へと進む!その為にお前を乗り越える
神刀の封印を解除、蒼く輝く神気によって身体能力を強化して、廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】を発動
素早く戦場を駆け巡ることで奴の兵器から放たれる弾丸を掻い潜り、斬撃波で叩き落としてケルベロスの足元へと潜り込む
敵は巨体だ、兵器は幾らか狙いづらくなる筈……もちろん踏まれるような別の危険はあるので、あくまで警戒は怠らず
足元や腹部など、狙えそうな部位に攻撃を叩き込もう
●繚乱、唯一つの思いを刻み
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は善悪など視点の違いで移ろうものだと知っている。
まして自分が純粋な善の存在だなんて言える程に面の皮が厚くもない。
とはいえ。
「……こうも一方的に否定されるのは、些か思う所があるというか」
埋めようの無い絶対的な断絶。
どちらかが死に果てるまで、死に果ててさえも微塵の理解も関心も抱く事は無いであろう我執。
嵐の如く殺戮の呪詛が吹き荒れる中、棘のように疼いた反骨心を溜息交じりに吐き出して。
一呼吸。冷たく染み込むような死の呪いにも揺らがない唯一つの思いを叫ぶ。
「俺は、俺達はこの先へと進む! その為にお前を乗り越える――神刀解放ッ!」
「させるものか! 貴様らの道、貴様らの命、その悉くを此処に絶つ!!」
地獄が燃え盛る。
山の如き巨躯の背負った数多の砲門が一斉に火を噴き、天蓋の崩落を思わせる程の爆撃が戦場を廃墟の様相さえ通り越して“無”の次元にまで塗り潰していく。
「駆けて刻め、蒼き爪痕――廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】」
その身に纏うは蒼き神気。
地獄を乗り越えると吼え、意思を現実にする為に命を懸けてこの戦場に居る。
魂の叫びを賭した斬撃は爆風を一閃に分かち、蒼鷹の軌跡を残し疾駆する鏡介の速度はまさに神速。
「とんでもないサイズに過剰な程の兵器。これくらい懐まで潜り込んでやれば、幾らか狙いづらくはなるだろ?」
「浅薄ッ!」
「だけど、効果はあるみたいだな」
“地獄”に追いつかれる事の無いよう駆け抜け、そして駆け抜け様に無数の型からの最適解を選び斬撃を放つ。
一撃で足りなければ十、十で足りなければ百、百で足りなければ千。
思いは唯一つであるが故に色褪せる事は無く、神気と共に燃え盛り続ける魂の叫びを斬撃に乗せて叩き込む。
ケルベロス・フェノメノンの山の如き巨体が揺らぎ、遂には。
繰り返し重ねた斬撃は禁獣の芯にまで至り、果てなき先を切り拓く証と為すのだった。
大成功
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カイム・クローバー
――へぇ、お喋りするワンちゃんか。
図体はデカくて、喋れるお利口さんだ。それに――重力の鎖?
(鼻で笑う)生憎と俺はお勉強が嫌いでね。ついでに言えば導かれるってのも御免なのさ。
俺の
道は俺の手で切り拓く。【覚悟】はとっくに決まってる。
(銃口を向ける)
触れなきゃいい。理屈はそれだけさ。
迫るオーバーテクノロジーの機械兵器。笑わせるぜ。紫雷の銃弾を機械兵器に撃ち込んで内部爆発。
背に積んでるのはミサイルの山か?数発銃弾を【クイックドロウ】で叩き込んでやれば、大量に積んでる機械兵器の連鎖爆発が狙えそうだ。
火薬の匂い、燃え盛る炎、爆炎。呪詛っつー、汚い病原菌モドキがこれだけで消毒できないのは残念だが…綺麗な花火は見頃だろうぜ。
この花火は俺流の狼煙。
今も戦う猟兵達に。んで、希望を捨てない有翼の美人への
狼煙のようなモンさ。
あの図体だ。これだけで消し飛びはしないだろう。が、ダメージは期待できる。
これで勝ったと思うなよって?
ハッ、思っちゃ――悪いかよ?
(ジャンプして空中からUCで斬り伏せる)
●未来へと捧ぐ狼煙
「――へぇ、お喋りするワンちゃんか」
殺戮の呪詛が吹き荒れる戦場、禁獣の眼前へとカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は無造作に歩み出た。
猛り狂う憤怒を宿したケルベロス・フェノメノンの無数の瞳が猟兵を睥睨する。
「図体はデカくて、喋れるお利口さんだ。それに――
重力の鎖?」
禁獣の語っていた言葉を口にし、ハッと鼻で笑ってみせる。
体躯は長身と言えど矮小な人間の範疇、踏み付け一つで圧壊するだろう。それ以前に死の呪いによって手を下すまでもなく朽ち果てていく筈だ。
命知らずとしか言えない所作は禁獣にとって不可解な、警戒に値する要素の塊として映るに十分だったらしい。
魂胆を暴こうとするような視線、威圧的な唸り声も意に介さずカイムは肩など竦めてみせて。
「生憎と俺はお勉強が嫌いでね。ついでに言えば導かれるってのも御免なのさ」
清聴に免じて疑問の一つくらいには答えをくれてやってもいいだろう。
気取った仕草で二丁銃をガンスピン、その銃口を突き付ける。
「俺の
道は俺の手で切り拓く」
何が相手だろうと自分の往く道を決めさせはしないという
覚悟。
どれ程の呪詛を叩きつけられようと、その信念は揺るぎはしない。
「遺言は十分か。ならばその道、我らが
惑星へと至る前に此処で断つッ!」
「触れれば終わりなら、触れなきゃいい。理屈はそれだけさ」
大地揺るがす一撃をバックステップで回避、衝撃波に逆らわず受け流したカイムに追い縋るは無尽の機械兵器。
「笑わせるぜ。そんなモンで捕まえられるかよ!」
双魔銃の咆哮、迎え撃つは邪神の異能に由来する紫雷を宿した銃弾――規格外はお互い様。
オーバーテクノロジー
如きに捻じ伏せられる程ヤワではないと嘯き、禁獣の背負った大仰な砲台に目を付ける。
銃撃の威力を悟った禁獣の解析と対応に先んじてクイックドロウ、一目で見切った弱所へと追撃の紫雷弾を叩き込めば機械兵器は次々と連鎖爆発を引き起こす。
「呪詛っつー、汚い病原菌モドキがこれだけで消毒できないのは残念だが……綺麗な花火は見頃だろうぜ」
「この力……ただの人間と見誤ったか……ッ!」
「人間だよ。ま、確かに“ただの”って言うには男前が過ぎるけどな?」
立ち込める火薬の匂い、相次ぐ爆炎。
鋼鉄の外装は強烈な紫雷に撃ち抜かれ、自身の超火力をその身で受ける事になった禁獣の傷は浅いものではない。
「この花火は俺流の狼煙。今も戦う猟兵達に。んで、希望を捨てない有翼の美人への
狼煙のようなモンさ」
戦場は違えど見えるだろう。
これはどんなオブリビオンが相手だろうと、究極を冠する禁獣だろうと恐れるに足りないという叛逆の証。
「未だ――地獄の火は、未だ絶えず! 殲滅は、終わらん! 終わらせる、ものか……ッ!」
「なんだ、これで勝ったと思うなよって?」
跳躍、身一つになろうとも寧ろ更に激昂するケルベロス・フェノメノンを頭上から見下ろす。
その手には黒銀の炎を従えし神殺しの魔剣。
「ハッ、思っちゃ――悪いかよ?」
最後の最後まで油断無く、振り下ろすは全力を込めた【骸割り】。切断の理を持つユーベルコード。
叩き斬る――!
大成功
🔵🔵🔵
バーン・マーディ
…ケルベロス…我が魂が叫ぶ
貴様を許してはならぬと
ケルベロス…遠い世界の我は恐らくは…貴様と同じ名称の者達に…殺された事があるのだろう
我はバーン・マーディ…そして…またの名を…対神組織「デュランダル」が首魁…マーディロードなり!
魂の叫び
悪には悪の正義がある
貴様が悪を名乗るのもまた正義があるからだ
そして我もまたそうだ
不条理に悪とされた者を守護る…それが我の…悪の神たる在り方よ!
【戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖を冷徹に分析
【属性攻撃・オーラ防御】
炎のオーラを己に展開
【二回攻撃・怪力・カウンター・武器受け・生命力吸収】
敵の攻撃は車輪剣で受け止め即座にパージ
UC発動!
魔剣にて叛逆の一撃を叩き込む!
●
悪を掲げし者たち
「……ケルベロス……」
バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)の視線が仇敵を見据える。
それはオブリビオンと猟兵という立ち位置に由来する因縁
ではない。
「遠い世界の我は恐らくは……貴様と同じ名称の者達に……殺された事があるのだろう」
許してはならないと魂が叫ぶ。
遠く世界を隔てようとも消えぬもの、忘れ得ぬものがあるのだと。
「我はバーン・マーディ……そして……またの名を……対神組織「デュランダル」が首魁……マーディロードなり!」
「我が前にて名乗りを上げるか! 例外は無い、許しはしない! 悪となりて邪となりて――我らが惑星に到達する可能性のある者は、全て打ち砕くッ!」
神へと至った男の厳かな宣言に、まるで応じるようにケルベロス・フェノメノンが咆哮する。
吹き荒れる殺戮の呪詛の中でもその身は揺るがない。
掲げた
悪は巌のように重く、炎のように熱く。
「悪には悪の正義がある」
背負った無数の砲門からの爆撃。神気より成る炎の障壁、その堅固を以て受け流しに徹すれば捌けぬものではない。
「貴様が悪を名乗るのもまた正義があるからだ」
呪詛の手となり追い縋る尾の先端、不規則な動きを見切り更に踏み込む。
圧倒的な暴威を最高効率で運用する禁獣の殲滅論理。必殺の一手を叩き込む為に、その一挙手一投足を見極める。
「そして我もまたそうだ」
正義の反対は別の正義だと語られる事がある。
悪を掲げるという事は即ち、誰かの正義を打ち砕いてでも自らの正義を貫くという覚悟を持つ事。
故にこそ、禁獣の
殺戮の呪詛に立ち向かう
正義を持つ者だけがこの戦場に立つ事を許される。
「不条理に悪とされた者を守護る……それが我の……悪の神たる在り方よ!」
「なれば力を以て為すがいい! 我は一切諸共に殺し尽くすまでッ!!」
【グラビティブレイク・フェノメノン】――触れたものを超重力に呑み込む力を帯びた巨腕の振り下ろし。
神話の如き暴力に相対するもまた悪の神にして対神組織を率いた首魁。
「その力……その弾圧に今こそ叛逆しよう」
無双の剛力と卓越した技量を以て、あろうことかバーンは正面からその一撃を受け止めてみせた。
拮抗は一瞬、元よりケルベロス・フェノメノンのユーベルコードは防御を許す性質をしていない。
超重力の枷に囚われる寸前、車輪剣を手放し禍々しき魔剣へと持ち替える。
「味わえ――」
射程圏。究極禁獣の膂力をも上乗せした全身全霊の【大いなる叛逆】が牙を剥く。
「――それが貴様の咎である!」
“Durandal MardyLord”の銘を打たれたその
刃。もはや聖剣とは呼べぬ禍々しき魔剣。
究極禁獣を骸の海へと葬り、纏う覇気と神気は今も猶力強く。
大成功
🔵🔵🔵
セシリー・アリッサム
きっと、わたし達みたいに色んな悪意に苦しめられたのでしょう
自らの正義を歪められる程に、熱く、激しく、責め苦を味わったのでしょう
あなたの地獄がどれほどでも
それがこの世界を燃やしていい理由にはならない
絶対に、絶対に諦めないって決めたから
己を鼓舞し祈りを捧げ叫ぶ
山の様に巨大な暴力だとしても恐れないわ
恐怖は過去に置いてきた
この胸の篝火は覚悟だけ
空を飛び呪詛と魔力の塊を避けながら高速全力無酸素多重詠唱
破魔と焼却の
蒼炎を放って禁獣の炎に対抗する
それで燃え広がった炎を浴びせたら――骸収逸蝕
理解も救済もいらない
わたしの世界はわたしの力で獲り返してみせる
あなたの
番犬の力ごと奪って!
●それは可能性の炎
「……きっと、わたし達みたいに色んな悪意に苦しめられたのでしょう」
灼熱に満たされ、殺戮の呪詛が荒れ狂う地獄の如き戦場。
邪悪に堕ちる事も厭わず吼える禁獣を、セシリー・アリッサム(焼き焦がすもの・f19071)は静かに見据える。
「自らの正義を歪められる程に、熱く、激しく、責め苦を味わったのでしょう」
そう――ケルベロス・フェノメノンはこの世界を支配する吸血鬼たちとは違う。
そこに人々を苦しめようとする悪意はない。眼中にさえ無い。ただ、必死なだけだ。
だとしても。
「あなたの地獄がどれほどでも。それがこの世界を燃やしていい理由にはならない」
「我が呪詛に、我が叫びに抗うか! 六番目の猟兵ッ!」
少女の体躯より猶も巨大な獣の眼がセシリーを捉える。
セシリーを滅ぼすべき“
敵”と認識した禁獣の咆哮は幾千の雷が轟くよう。
負けない。諦めない、恐れるものかと魂の叫びを解き放つ。
「絶対に、絶対に諦めないって決めたから……!」
山の様に巨大な暴力だとしても恐れはしない。
恐怖は過去に置いてきた――この胸の篝火は覚悟だけ。
着弾した【 サイコフォース・フェノメノン】は超広域を焼き払い地獄に変える呪詛と魔力の混合砲撃。
セシリーは飛翔する事で禁獣の上空を取って着弾点からの距離を引き離し、灼熱の影響を最小限にまで抑制する。
砲撃を避け続ける事が叶う間に、燃え続ける地獄の炎によって力を奪い尽くされる前に。
逸る心を抑え、最大限の魔力を込めて幾重にも詠唱を重ねる。
「理解も救済もいらない。わたしの世界はわたしの力で獲り返してみせる」
少女の激情のままに紡がれるのもまた地獄の蒼炎。
魔を焼き払う蒼炎は迎え火となり、ケルベロス・フェノメノンの巨躯にまで燃え広がる。
「この炎、この呪いは――貴様、よもや――ッ!」
「【
骸収逸蝕】……あなたの
番犬の力ごと、奪って!」
込められたのは死霊術士としてオブリビオンを支配する呪い、対象を完全に掌握するまで焼き尽くす炎。
世界の理を覆す為ではなく、歪められた過去を正す為の奇跡。
紅蓮と蒼炎、美しい程に凄絶な地獄の炎が喰らい合う。どちらが先に燃え尽きるか、互いの魂を懸けた最後の激突。
一瞬のようにも、永遠のようにも感じられた相克の果て。その結末。
――
番犬の猛りを鎮め、その巨躯を抱いた蒼炎は慰撫するように。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
ぉおおおおおお!!!!
裂帛の【気合い】を込めた雄叫びをあげながら吶喊
手に携えるは破邪の聖槍――悪を穿ち、邪を破り、魔を切り裂く至高の聖具
地獄だと? そんなものは見飽きている!
我らはそれ(地獄)を打ち砕かんがために戦い抜いてきたのだ!
貴様が天に蓋をし、明日の光を遮るというのなら! その無尽の生命ごと突き穿つ!
【気合い】と【根性】に呼応して、【聖槍が覚醒する】
無窮の極光が手を焼こうとも意に介することなく、【怪力】を以って打ち振るい、天地を揺るがす【衝撃波】を起こして地獄を【吹き飛ばす】
毎秒ごとに【限界を突破】し、極限の【集中力】で研ぎ澄まされた、至高の一閃を放つ(急所突き・串刺し・ランスチャージ)
●我ら、地獄を打ち砕く者
「ぉおおおおおお
!!!!」
――流星が駆けた。
迸る裂帛の気合、雄叫びと共に穿ち貫くオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が携えしは破邪の聖槍――悪を穿ち、邪を破り、魔を切り裂く至高の聖具。
憤怒の炎を眼に宿し睨み据える究極禁獣を、勝るとも劣らぬ激情と共に睨み返す。
「地獄だと? そんなものは見飽きている!」
一閃。黄金の穂先は無数の追尾弾頭を斬り伏せ、更に返す一閃で爆風さえも寄せ付けない。
「我らは
地獄を打ち砕かんがために戦い抜いてきたのだ!」
一撃。蟷螂之斧を思わせる馬鹿げた体格差を覆し、振り下ろした聖槍は禁獣の爪牙と真っ向からぶつかり合う。
追撃――目を疑うような光景。比喩でなく山にも迫る究極禁獣の巨躯が、あろうことか押し返される。
「許すものか……! 我らが
惑星に近付く者は、全て……ッ」
「覚醒せよ、我が聖槍。無窮の神威を今ここに――!」
ジャイアントキリングという言葉でもまだ生温い、奇跡の対価が並である筈が無い。
須臾ほどの躊躇いもなく【
聖槍覚醒】の
封印を更に解き放つ。
無窮の極光は聖槍を握る手からオリヴィア自身をも焼き焦がし、力の反動は総身を砕かんばかりに苛む。
だが、止まらない。止められはしない。
たとえその身が砕け散ろうとも燃え盛る魂の叫びが、猶も苛烈にオリヴィアを突き動かす。
「たとえ貴様が……貴様らが、何であろうと! 焼き尽くす――殲滅してくれる……ッ!」
「貴様が天に蓋をし、明日の光を遮るというのなら! その無尽の生命ごと突き穿つ!」
禁獣の巨躯に背負われた膨大な兵器の
全弾射撃、この世の終わりのような災厄は天地をも揺るがす衝撃波に吹き飛ばされる。
限界を遥か彼方へ置き去りに、その身が遂に燃え尽きる寸前――極光が最も輝きを増す刹那。
放たれた至高の一閃は、ケルベロス・フェノメノンを完膚なきまでに打ち砕いた。
―― 禁獣『ケルベロス・フェノメノン』、撃破 ――
大成功
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