闇の救済者戦争⑱〜オムネス・プロ・サーベラス
●剣には殲の名を
数百メートルにも及ぶ巨体。
それは三つ首の獣。
一目見れば分かるだろう。それが強靭な肉体を持っていることを。無尽蔵の魔力と呪詛を持ち得ていることを。そして、体内にありとあらゆる軍事兵器を有していることを。
その獣の名は禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。
『祈りの双子』によって封印を解かれた『究極禁獣』の一体。
「我等が
惑星に、何人たりとも近づけさせぬ」
三つ首より響く声。
それは禁獣領域に向かった猟兵達の耳に届くことだろう。
「例え其の者に悪心無くとも、熱き血潮の勇者であっても! 悪となりて邪となりて、我等が惑星に到達する可能性のある者は、全て打ち砕く!」
強烈な意志に満ちている。
言葉通り『ケルベロス・フェノメノン』は己に近づく者を全て『我等が惑星』に近づく者として認識しているのだろう。
身に宿したオーバーテクノロジーの機械兵器が展開する。
「無論、貴様らもだ。六番目の猟兵達よ!」
そう、『ケルベロス・フェノメノン』にとって猟兵もまた悪心宿す可能性のあるものでる。例え、それが世界を救う戦士であったとしても、一欠片も悪性を抱かぬ者はなく。そして、同時に善性だけであるものもまた存在しないことを示す。
生命は良心を持つ。
悪性と善性の狭間にて揺らぐもの。
それを良心と呼ぶのならば、世界に悲鳴に応えるのもまた良心であったことだろう。
だからこそ『ケルベロス・フェノメノン』は許しがたいものを見るように睥睨する。
「いずれ、
『重力の鎖』は貴様らを導くだろう」
変えようのない運命であり、定めであり、路であるのかもしれない。
けれど、『ケルベロス・フェノメノン』は認めない。
良心という名の悪性と善性に揺れるものを持つ者たちを認めない。
わずかにでも悪性に傾く可能性を持ち得ているのならば、それは己の使命に相対する者である証であるがゆえに。
そう、故に。
「その前に、ここで殲滅してくれる――!」
●闇の救済者戦争
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。遂に『祈りの双子』によって封印を解かれた『究極禁獣』の一体、『ケルベロス・フェノメノン』との戦端が開かれました」
『ケルベロス・フェノメノン』は数百メートルの巨体を持つ獣である。
三つ首の獣であると同時にありとあらゆる軍事兵器を内包し、魔力と呪詛を満たした存在。
その力は強大そのものであり、また本来無敵である禁獣は、あらゆる武器、あらゆるユーベルコードを受け付けない。
例え、その無敵能力を失ったとしても、無尽蔵たる生命力を持つ敵であることは変わらない。
「確かに勝ち目は限りなくゼロに近いでしょう。。ですが、私の予知は
『小剣』の存在を見ました」
ナイアルテの言葉に猟兵たちはどういうことだと思うだろう。
彼女が見た予知の光景。
それは『ケルベロス・フェノメノン』が猟兵達に攻撃を仕掛けた際、時折体内から人お振りの『小剣』を落下させているのだという。
ありとあらゆる軍事兵器を内包する『ケルベロス・フェノメノン』であれば、それが攻撃であるようにも感じられるが、実際には違う。
「この『小剣』こそが限りなくゼロに近い勝機を引き上げてくれるのです」
落ちた『小剣』は武器として使えないように見える。
しかし、この『小剣』を拾い、ユーベルコードを放つことで、其の力は大幅にふくれ上がる。
『小剣』自体がユーベルコード増幅装置の役割を持っているのかもしれない。
「如何なる理由からかはわかりません。ですが、『小剣』により増幅したユーベルコードを叩き続けることができれば、『ケルベロス・フェノメノン』を倒すことができるかもしれません……」
それはか細い希望のようにも思えたことだろう。
不確実な賭けであるようにも思える。
「……ですが、今はこの『小剣』に賭ける他ありません」
ナイアルテは猟兵たちを送り出す。
これまで何度も猟兵達に限りなく勝機の薄い戦いに送り出してきたことだろう。其の度に彼女は不安な顔をしていた。
けれど、彼女の瞳は揺れては居ない。
己が不安になることは、即ち猟兵達の心を推すことにはならないのだと学んだからだろう。
だからこそ、彼女は頭を下げ、猟兵たちを笑顔で送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『闇の救済者戦争』の戦争シナリオとなります。
無敵の禁獣『ケルベロス・フェノメノン』との戦いになります。
『ケルベロス・フェノメノン』を滅ぼすか否かにかかわらず、この戦場を制圧すると、光り輝く大量の『小剣』が残ります。
これはどうやら『どこかの世界』につながる力を秘めているようです。戦後調査が行われる際に貸与してくれれば、各自持ち帰るのは自由です。
この『小剣』こそが『ケルベロス・フェノメノン』との戦いの勝利の鍵であると言えるでしょう。
通常の攻撃、ユーベルコードを『ケルベロス・フェノメノン』は受け付けません。例え、無敵能力を失っていても、溢れる生命力のため打倒できないでしょう。
ですが、『ケルベロス・フェノメノン』の攻撃の際に落ちる『小剣』を手にすることができれば、増幅されたユーベルコードによって、一縷の望みへとつながることでしょう。
この『小剣』は『ケルベロス・フェノメノン』が攻撃した際に体内から落ちるので、実質的に先制攻撃に耐える必要があるでしょう。
プレイングボーナス……小剣を拾い、ユーベルコードを増幅する。
それでは、『鮮血の洪水』を防ぎ、己の弱点をひた隠しにしようとする闇の種族を打倒する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』
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POW : グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD : インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ : サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。
👑11
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リーベ・ヴァンパイア
……一振の可能性に賭けろか。
……成る程、それが必要なら、それに賭けてみるとしよう。
まずは近寄らなければだな。盾を展開しながら【ダッシュ、盾受け、ジャストガード】で接近する。
(……成る程、これは確かに凄まじい重力だ。……だが【覚悟】は出来ている。耐えて進むだけだ)
……分かってはいたが、デカいな。此処までデカい相手はクェーサービースト以来かもしれんな。
ーーだが、それだけだ。どれだけ大きかろうと必要なら倒すのみだ。
(落ちてくる剣を鎖で回収し、剣を放り投げ、目の前に落下してくるタイミングで【Blood blow】を放つ)
確かに俺達の心は揺らいでいる。
ーーだが、それが生きると言う事で生きる上で必要な事だ
見上げるほどの巨体。
三つ首の獣。
身に宿した軍事兵器はありとあらゆる爆薬と炸薬とでもって膨大なる爆風を巻き起こす。視界が全て光と黒煙とに塞がれて尚、リーベ・ヴァンパイア( Notwendigkeit ・f37208)は希望を見た。
いや、一縷の可能性というやつであったのかもしれない。
近寄らなければ、己のユーベルコードは、あの三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』には届かない。
しかし、荒ぶ爆風は彼を近寄らせないものであったことだろう。
「我等が惑星には近づけはさせぬ。貴様らに例え、今は悪心なくとも、いずれ悪心を抱く可能性が万が一にもあるというのならば、ここで貴様らを滅ぼす」
『ケルベロス・フェノメノン』のユーベルコードが煌めく。
身に降りかかる重力。
その強烈な重さにリーベの明日が止まる。
盾を展開し、爆風は防げた。
だが、それでも身に降り注ぐ重力の凄まじさは如何ともし難いものがあった。
「(……成る程、これはたしかに凄まじい重力だ)」
だが、とリーベは面を上げる。
見据えるは巨躯。
そして、爆風のさなかに降り注ぐは『小剣』。
あれこそがこの戦いにおける僅かな可能性。一縷の望みというものであったのならば。
「……一振りの可能性に賭けろか」
笑む。
確かに窮地。
されど、窮地であれど、未だ己は地に足をつけているというのならば、諦めるという可能性は一つもないことを彼は知る。
「……成る程、それが必要なら、それに賭けてみるとしよう」
凄まじい重力に耐えながらリーベは手を伸ばす。
あの輝く『小剣』。
あれこそが己の勝機。ただ一つ残されたものである。
伸ばした手を爆風が吹き飛ばす。弾けるようにしてリーベの腕が血に塗れ、深々と傷が刻まれる。
「させぬ。我等の惑星には、貴様ら猟兵の一欠片とて近づけさせぬ」
「……すでに覚悟はできている」
痛みにも、苦しみにも。
全てに覚悟はできている。ならば、リーベは脚を踏み出す。己を押しつぶさんとする呪力の鉄槌の中、彼が放つ鎖が『小剣』を絡め取る。
だが、再び爆風が『小剣』を弾き飛ばす。
宙に円を描くようにして『小剣』が舞い上がる。
だが、リーベは前を見ていた。絶望はない。あるのは己が穿つ敵のみ。
そう、巨躯たる三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』。
「……わかっていたが、デカいな。此処までデカい相手は『クェーサービースト』以来かもしれな――だが」
それだけだ、とリーベの瞳がユーベルコードに輝く。
己の頭上には円を描きながら落下する『小剣』。
あの『小剣』こそが鍵。己達のユーベルコードを増幅させる不可思議な力。出どころはしらない。由来もしらない。
如何にして、そうであるのかも判明しない。
だが、この勝機を逃すわけにはいかないのだ。
身に降りかかる重力を振り払うように脚を踏み込む。大地に撃ち込んだ脚が、反発する力を得て重力を振りほどき、己の基幹を駆け抜け、リーベの拳へと至る。
それは己の掌から迸る一撃。
体内で爆発的に加速した血流が、一気に掌から血を噴出させる。
「――打ち込む!」
振りかぶった掌底の一撃がユーベルコードの輝きを伴って放たれる。
血によって押し出されるBlood blow(チノイチゲキ)たる一撃は、『小剣』を介して増幅され、『ケルベロス・フェノメノン』へと叩き込まれる。
「確かに俺達の心は揺らいでいる」
悪性と善性を持つがゆえに揺れ動く。
時に悪と。時に善と。
だがしかし、それは、とリーベは思うのだ。
「――だが、それが生きるという事で、生きる上で必要なことだ」
全てが悪に染まることも。全てが善に変わることも。
いずれもが表裏一体。
ならばこそ、人には心が宿るのだ。揺れ動くが故に、見せる輝きを知るからこそ、リーベは優しさという名の良心を抱え、血の杭の一撃をもって『ケルベロス・フェノメノン』を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎!
ヒャッハー!
フェノメノンに対抗するにはカオスをぶつけマース!
重力も兵器も呪詛も、あらゆる地獄を塗りつぶしマショー!
敵の攻撃に接触しないよう警戒して、滑走靴による空中機動で翻弄しマース!
激しい攻撃の最中に落ちてくる『小剣』を手にした時、混沌魔法が輝きマース!
「カオスメモリ、ロゴスイグニッション!」
カオスヘッダーによるバルタンの大量増殖!
ワタシたちのグレネードランチャーをはじめとする射撃武器で、ケルベロスの肉体に触れない遠距離攻撃の絨毯爆撃を展開しマース!
ダメージを受けたバルタンは再び変身して負傷の回復とカオスヘッダー再使用で、どんどん増えていきマース!
これが猟兵の力デース!
「ヒャハー!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)はご機嫌だった。
いや、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の強大な力を前にすれば、それは張り子の虎であるようにも思えたことだろう。
第三者から見れば、という注釈を付け加えねばならぬのは、彼女は本気で『ケルベロス・フェノメノン』に打ち勝とうとしているからである。
彼女にとって、めの前の『フェノメノン』は現象そのもの。
残影でしかない。
どちらが張り子の虎であるかなどバルタンにとっては言うまでもないことであった。
故に、どんな状況でもあっても彼女は己のテンションを上げることを忘れない。そうすることが己であるということを示すように彼女は荒ぶ爆風の中を走る。
爆風は衝撃波となってバルタンを襲い、その身に重力の枷を施すように彼女の体を大地に縫い留めるように伸し掛かる。
凄まじい重力。
「すんごい重力デース!」
軋む体。
元よりバルタンは敵の攻撃に接触しないように、と警戒していた。
警戒していてなお、これである。
そもそもが禁獣『ケルベロス・フェノメノン』にはありとあらゆる軍事兵器を内包されている。
放たれた爆風の元であるミサイルもまたそうであろう。
的をしぼるのではなく、広範囲に爆風を放つミサイル。それくらいは『ケルベロス・フェノメノン』が持ち得ているだろう。
「我等は滅ぼす。我等に敵対するものを。悪心持つ者を。例え、今は熱き血潮持つ勇者であったとしても、わずかでも悪性を持つのならば、それは滅ぼす対象であるがゆえに」
『ケルベロス・フェノメノン』のユーベルコードはありとあらゆるものの重力を制御する。奪うことも、与えることも、『ケルベロス・フェノメノン』に取っては容易いことであった。
だが、バルタンは笑う。
「なら、それに対抗するためには! カオスをぶつけマース! 例え、その身に重力を! 兵器を! 呪詛を! 宿しているのだとしても! あらゆる地獄を塗りつぶしマショー!」
爆風のさなかに落ちてきた『小剣』をバルタンは手に取る。
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「カオスメモリ、ロゴスイグニッション!」
模倣様式・混沌魔法(イミテーションスタイル・スーパーカオスマジシャン)。
それが彼女のユーベルコードの名。
カオスを具現させる混沌魔術師としての姿に返信したバルタンは、混沌魔法『カオスヘッダー』によって己を増殖させる。
倍々に増えていく混沌魔法。
嘗て、スーパーカオスドラゴンが用いた混沌魔法である。己を増殖させる混沌そのもの。それをバルタンは用いているのだ。
だが『カオスヘッダー』の弱点は言うまでもなく、全てのバルタンが同一存在であるということ。
一体でも倒されてしまえば、それは増殖した他のバルタンさえも同時に消滅してしまうというもの。
だからこそ、『小剣』をもって彼女はユーベルコードの力を増幅させる。
「一気呵成にいきマース!」
塗りつぶす、と言ったのは、語弊がある。
バルタンたちが一気に増殖する。圧倒的なスピードで戦場塗り替えるような巨大なバルタンたちが、その身に宿したグレネードランチャーを始めとする膨大な射撃武器によって一気に苛烈なる火線を解き放つ。
ありとあらゆる軍事兵器を内包する『ケルベロス・フェノメノン』と圧倒的な数でもって塗りつぶすバルタンの火力。
それが激突し、戦場は爆風の嵐に塗りつぶされていく。
「ヒャッハー! これがカオスってものデース! どんな地獄も混沌の前には、いえ、火力の前には等しく塗りつぶされるのデース!」
吹き荒れる火力。
爆発と爆風が遊ぶ仲、バルタンは笑う。
時間が経てば経つほどにバルタンは増殖していく。それは無限の火力を秘めていると言っても過言ではない。
故にバルタンは高らかに告げるのだ。
「これが猟兵の力デース――!」
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
【SPD】
いよいよ
ケルベロス・フェノメノンさん
とも
対決に…
『強大な力…貴方が何処から来られたのか…けど…退く訳には…!』
翼で飛翔
【空中機動】等
【空中戦】も行い
立体的に立回り
ヴォーパルソードを手に
【ハートのA】達も展開
敵の攻撃等を
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避行動し
敵が落とした
「小剣」
を拾い
『この「小剣」が…どんなお力を持ってるのか…けど、世界を護る為に…使わせて貰います!』
【ハートのA】の
【誘導弾】の【一斉発射】で
牽制しつつ
小剣で増幅した
UCを発動
光焔の奔流を伴う斬撃を
放ち攻撃
戦後
「小剣」は
持ち帰り
有事の際には
貸与し
お役立てます
禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の体内から溢れるようにして突き出すは、軍事兵器。
巨大な砲身も、ミサイルの満載されたコンテナも。
ありとあらゆるものが『ケルベロス・フェノメノン』に内包されている。
枯渇することはありえない。
「我等が呪詛。我等が魔力。尽きることを期待することは愚かである。我等は貴様らを此処で滅ぼす。我等が惑星にはたどり着かせぬ」
咆哮と共に火線が戦場に引かれる。
明滅する爆風。
吹き荒ぶ猛烈な衝撃波は、地獄へと変容し、戦場へを穿ち続ける。
「強大な力……貴方が何処から来られたのか……」
アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は目の前に迫る強大な力の塊を前に涙を浮かべそうになっていた。
目の前の『ケルベロス・フェノメノン』は膨大な魔力と呪詛を持っている。
あれだけの呪詛を持つ存在をアリスは見たことがなかったかもしれない。相対しているだけでわかる。あれは、呪詛の塊だ。
溢れる生命力は禁獣の無敵能力を排除して尚、倒し切ることができないのではないかと思わせるほどであった。
翼を広げ、アリスは荒ぶ衝撃波が己が身を打つ痛みに耐える。
立体的に立ち回って尚、戦場を埋め尽くす衝撃波は絶えることはなかった。何処をどうとんでも衝撃波がアリスの体を打ち、その身に地獄と化した力が突き刺さるのだ。
「……けど……退く訳には……!」
手にしたヴォーパルソードと宝石のハートすらも、『ケルベロス・フェノメノン』には届かない。それほどまでの敵なのだ。
だが、それでもアリスは飛ぶ。
翼を羽撃かせ、己に迫る衝撃波の痛みに耐えながら『ケルベロス・フェノメノン』の体から落ちる一振りの『小剣』の輝きを目指す。
「退く必要はない。我等が貴様らを滅ぼすが故に」
睥睨するは、三つ首。
其の無數の眼は呪詛に塗れていた。怖気が走る。圧倒的な呪詛。量の問題ではない。質ですらない。
只々純粋な呪詛がアリスの体を射抜く。
けれど、アリスはジュエルハートたちを一斉に『ケルベロス・フェノメノン』に放ち、牽制とする。
それだけの意志はまだあったのだ。
だが、それでもあらゆる攻撃が意味をなさなかった。『ケルベロス・フェノメノン』の強大さは言うまでもない。
あらゆるユーベルコード、攻撃が通用しない。
けれど。
「……この『小剣』があれば……!」
伸ばした先にあるのは可能性か、それとも希望か。
どちらかであったかもしれないし、どちらでもなかったのかもしれない。
けれど、アリスは手にした『小剣』と己のヴォーパルソードを重ねる。
森羅万象。
其の全てを絶ち切るのが己のヴォーパルソードである。
「――是は……不思議の国の不思議な戦い――受けて下さい、ヴォーパルの剣閃……!」
アリスの瞳がユーベルコードに輝く。
同時に『小剣』もまた輝きを増幅させていく。
ただのユーベルコードでは『ケルベロス・フェノメノン』を傷つけることはできない。けれど、手にした『小剣』によって増幅した光焔の奔流は通常のユーベルコードのそれを超えていた。
アリスセイバー・ヴォーパルソードへと変じた巨大な刀身。
その斬撃の一撃が振り下ろされ、『ケルベロス・フェノメノン』の巨躯を切り裂く。アリスはその一撃に全てを賭した。
なぜなら、あらゆる攻撃が『ケルベロス・フェノメノン』には通用しないからだ。
唯一、届きうるのは『小剣』によって増幅されたユーベルコードのみ。
「……すごい……これが、『小剣』の力……でも、これなら……!」
故に彼女は己の渾身たる力を込め、その光焔の斬撃をもって『ケルベロス・フェノメノン』の巨躯を傾がせるほどの一撃へと変え、手にした『小剣』と共に、其の翼を羽撃かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
やってない事で滅ぼされるのは、理不尽この上ないんだけどな…
けどまあ、クエーサービーストを考えればまだ常識的なサイズ差か!
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
敵の射線を確認、初撃は全力で回避して威力と爆風の範囲を『情報収集』
以降は収集した情報を元に弾丸に『斬撃波』を当て、軌道をズラし対処
『オーラ防御』でシールドを展開し爆風を散らして此方に届く物を最小限に
動けるなら多少の爆風は駄賃だよ
小剣を見付けたらそれに向かって一気に駆け寄ろう
『念動力』の有効距離に入ったら一気にそれで引き寄せる!
この一撃受けて貰おうか
【雷鳴・解放】起動
高速移動で側面を取り渾身の斬撃を飛ばして一撃喰らわせる!
禁獣『ケルベロス・フェノメノン』は、己達の惑星に到達する可能性を秘めた者を滅ぼすと言った。
だがしかし、猟兵たちにとって、それは預かり知らぬことであった。
如何なる行き違いがあるのか。
いや、そもそも行き違いなど存在していないのか。
其のいずれも確かめる術はまだなく。故に、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は理不尽さを感じていた。
「やってないことで滅ぼされるのは、理不尽この上ないんだけどな……」
見上げるは巨躯。
数百メートルはあろうかという三つ首の獣。
それが『ケルベロス・フェノメノン』である。その身に内包したありとあらゆる軍事兵器が猟兵達に牙をむく。
ミサイルコンテナから放たれた火線が戦場に爆風と衝撃波をもたらす。
穿たれた大地は炎燃え盛る地獄の如き様相へと変貌していく。
「けどまあ、クェーサービーストを考えればまだ常識的なサイズ差か!」
惑星ロボと相対する宇宙怪獣。
あの規格外なるサイズとも戦ってきた猟兵である玲にとって、『ケルベロス・フェノメノン』はまだ彼女の常識の範囲であったが、その苛烈なる攻撃能力は群を抜いている。
まるで全てが呪詛であるかのように放たれる火力の尽くが、凄まじい炎を噴出させている。
「滅びよ、猟兵。我等の惑星へは到達させぬ。悪心抱く心を。悪性と善性を持つが故に良心と呼ぶ、それを宿すならば」
「だからって滅ぼされちゃあ困るんだよね!」
抜き払った蒼き刀身の模造神器。
煌めく刀身が映すは炎。
煉獄の如き炎を刀身に写し、玲は他の猟兵たちへと放たれた攻撃の軌跡を見つめrう。初撃はなんとしても躱さなければならない。
そのためには、あの軍事兵器の効果の程、そして範囲を見定めねばならない。
「どれだけ火力が凄いって言ったってさ!」
爆風をギリギリの所で玲は躱す。他の猟兵たちが戦った軌跡。それを彼女は見ていた。
確かに『ケルベロス・フェノメノン』の火力は凄まじい。
こちらを狙う精度もある。
範囲だって逃れようと思って逃れられるものではない。物量共に最大とも言えるだろう。だからこそ、玲は苛烈なるミサイルの雨の中を、その爆風が収まる直前にオーラを張り巡らせて走る。
オーラを砕く地獄の炎。
だが、その炎の中から玲は飛び出す。
手にしていたのは『小剣』。
『ケルベロス・フェノメノン』がこちらへと攻撃を放つ度に体内から溢れるようにして落ちたそれを彼女は手にしていた。
「これくらいの傷は行き掛けの駄賃ってね!」
彼女と『小剣』の距離は離れていた。
だが、彼女は念動力によって見つけた『小剣』を手繰り寄せ、その手の内に収めていたのだ。
「無駄だ。我等には」
「ユーベルコードやら諸々効かないって言うんでしょ。けどさ! やってみなくちゃわかんないよね! 何事も試してみないことには!」
振るい上げた『小剣』がニ刀の模造神器の中心に浮かぶ。
ユーベルコードが煌めき、『小剣』によって増幅していく。煌めきは極大に。そして、湛えられた稲妻の輝きもまた空を埋め尽くさんばかりに膨れ上がっている。
雷の疑似UDCの開放。
模造神器に宿した、玲が創り出した邪神の力は『小剣』によって増幅し、その力を解き放つ。
「雷鳴・解放(ライトニング・リリース)――この一撃、受けてもらおうか」
それは雷光のように。
稲妻のように走り抜ける蒼き残光。
振るわれたニ刀の斬撃が巨大な斬撃波となって『ケルベロス・フェノメノン』を側面から襲う。
渾身の斬撃は『ケルベロス・フェノメノン』の巨体をぐらつかせ、その巨体に巨大なる十字傷を刻み込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
無敵の禁獣を滅ぼす手段があるのなら
それを選ばない手はありませんね
相手の動きをよく観察し
攻撃の兆候等が見られれば
横に跳び退く
身を屈める等して回避行動を
兆候が無くとも魔力の塊が放たれた時点で
相手から距離を取ります
地獄の炎には触れないよう注意
小剣が落ちたらすぐに拾い上げ
ヤドリギの織姫を使用します
刃物の扱いは苦手ですが
攻撃の放射口と思えば何とか…
小剣を杖のように使用し
植物の槍で攻撃
反撃や新たな攻撃が来そうな時は
すぐに範囲外まで距離を取ります
負傷した際は生命の実で治療
一箇所に留まらないよう注意し
動き回りながら槍での攻撃を継続します
相手が他と違った反応を示す部位があれば
そこを集中して攻撃
体力を削り取ります
禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の体内より溢れる『小剣』。
その正体は知れず。
だが、元来無敵たる禁獣を打ち倒す可能性があるのもまた、その『小剣』なのである。『ケルベロス・フェノメノン』には通常のユーベルコードと攻撃は通用しない。
「ですが、『小剣』を手にさえすれば」
神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は、そこに勝機を見出す。
どれだけ『ケルベロス・フェノメノン』が強大な存在出会ったとしても、猟兵たちはこの世界を破滅へと導くことを是としない。
それを示すように猟兵達の増幅されたユーベルコードが三つ首の獣たる『ケルベロス・フェノメノン』の巨体を傾がせる。
刻まれる十字傷。
鮮血が迸るように呪詛が、魔力が戦場に満ちては霧散していく様を薙人は見ただろう。
「巨体故に……いえ、これは内包する魔力と呪詛が大きいからこその範囲攻撃」
薙人は己に迫る呪詛と魔力の塊の如き砲弾を見上げる。
横に飛び退いたところで間に合わないだろう。
だが、それでも懸命に走る。敵の砲撃は広範囲に渡る。巨体であるがゆえに地上にある猟兵たちは這う蟻のようにさえ思えたことだろう。
そんな猟兵たちを火力で持って追い詰めることは容易でしかなかった。
けれど、それで薙人が諦める理由にはならなかった。
目の前に広がるのは地獄のごとき炎の戦場。
何処を見て、炎が立ち上っている。これが地獄であるというのならば、まさにその通りであろうと薙人は思った。
「こんな地獄が、世界には広がっている」
過去の記憶が思い出せなくても。
それでも薙人の中には一つのことがある。大事な人。その記憶さえも、この地獄の炎は奪おうとしている。
炎の中に投げ込まれれば、その記憶持つ己も滅びてしまうだろう。
それは嫌だと思う。
だからこそ、薙人は己の手でもって『小剣』を拾い上げ、握りしめる。
『小剣』が薙人の瞳に輝くユーベルコードの光を増幅していく。
ヤドリギの織姫。
己を守るようにして覆うはヤドリギで編んだローブ。
地獄の炎すら寄せ付けぬ強く気高い力。
「その炎がいずれ世界のすべてを覆うというのならば、私は」
膨れ上がったユーベルコードの輝きは、織り成すようにヤドリギの枝を捻るようにして巨大な槍を形成させる。
「貴様ら猟兵を我等が惑星へと到達はさせぬ。いずれ地獄が全てを飲み込むというのならば、それは悪性と善性をもつ者たちによってもたらされるであろうから」
故に、と『ケルベロス・フェノメノン』の放つ凄まじき呪詛と魔力が薙人に降り注ぐ。
「それでも『ケルベロス・フェノメノン』、あなたが存在する以上、地獄の如き光景が広がっていく。だというのなら」
私は、穿ち、退けねばならぬと心が叫ぶ。同時に薙人は膨れ上がった巨大な植物の槍を投げ放つ。
投擲の一撃は地獄の炎さえ穿ちながら『ケルベロス・フェノメノン』の巨体へと叩き込まれる。
それは他の猟兵地が与えた傷跡に狙いを絞って、撃ち込まれ、その無限にも思える生命力を削るように穿たれるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
レナータ・バルダーヌ
ケルベロスさんにも正義があるとしても、かかる火の粉は払わなければなりません。
でも、その前に……わたしたちが「翼圧症」と呼んでいる病気。
あなたに関係しているみたいですけど、どうすれば治るのか知らないでしょうか?
サイバーウイング「カノン」の各スラスターの出力と推進方向を独立操作し、変則的な【空中機動】で敵の攻撃を回避しながら、【念動力】で小剣を回収します。
重力操作を受けても小剣を当てられる目算が立てば、サイキック【オーラで防御】しても構わないでしょう。
重くなった場合を考慮すると、敵の真上から狙ったほうがいいですね。
敵の体に小剣を突き立てると同時に、刃を介して【A.A.ラディエーション】を放ちます。
全身から無數の翼が生える。
それを『翼圧症』と呼ぶ。どういうわけか『元オラトリオの魂人』にしか発症せず、発症した魂人たちはもれなく『ケルベロス・フェノメノン』を目指そうとする。
本能的に。
無意識に『神殺しの獣』を殺さねばならないと、彼等はそう思っている。
何故なのかはわからない。
けれど、レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は思う。
あれは病であり、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』に関連しているであろうことは確実であると。
確かに『ケルベロス・フェノメノン』が何かを守ろうとしていることはわかる。
それが正義と呼ばれるのならばそうなのだろう。
けれど、自分たちだって譲れぬものはある。
「かかる火の粉は払わねばなりません。『翼圧症』、あれはあなたに関係しているみたいですけど、どうすれば治るのか知らないでしょうか?」
レナータは無駄と知りながらも、迫る業火を前に飛翔し、数百メートルはあろうかという巨躯、その三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』へと問いかける。
その問いかけに対する返答は、ミサイルと砲撃であった。
凄まじいまでの呪詛と魔力。
拒絶の意志をレナータは感じたことだろう。
「語ることなどない。何もない。貴様ら猟兵たちは、必ずや『重力の鎖』を伝って我等が惑星に到達するだろう。故に滅ぼす。ただそれだけである」
『ケルベロス・フェノメノン』の咆哮と共にミサイルがレナータを襲う。
サイバーウィングのスラスターを噴射させ、迫るミサイルを躱しながら変則的にレナータは飛ぶ。
だが、爆風の衝撃が彼女を捉え、その体を大地へと失墜させる。
重力。
身に感じたのは、それであった。
「衝撃波でも……!」
「滅びよ。我等が滅ぼす。我等が惑星に迫る者の全てを!」
咆哮と共に迫るミサイルの雨。
それをレナータは見ただろう。確かに強大な敵だ。身に伸し掛かる重力は、レナータを自重でもって押しつぶそうとしている。
だが、それでもサイバーウィングの出力を限界まで引き上げる。
大地を蹴って、飛ぶ。
身に伸し掛かる重力に骨身が砕けそうになる。けれど、それでもレナータは飛ぶ。身が砕けようが、翼がもがれようが、関係ない。
彼女は為すと決めたのだ。
あの『翼圧症』に苦しむ魂人たちを救うために。そのために彼女は『ケルベロス・フェノメノン』を目指す。
数百メートルの巨躯を誇る獣の頭上を取るのは困難を極めた。
ミサイルの爆風が身を打ち、彼女の体を空高くへと舞い上げる。しかし、それでもレナータは手にした『小剣』を振りかぶる。
目指すは『ケルベロス・フェノメノン』の頭蓋。
巨大なる三つ首。
その一つに狙いを付け、彼女の瞳はユーベルコードに煌めく。
「痛めつける側は苦手なので、手加減できませんよ?」
膨れ上がったユーベルコードの煌めきと共にレナータは『小剣』の切っ先を叩き込む。
撃ち込んだ『小剣』から流れ込むは、念動力。
それは『ケルベロス・フェノメノン』の内部にて無軌道に走り回り、その増幅された力をほとばしらせる。
暴れ狂うような念動力。
それは強靭なる体躯を持っていたとしても、その内部に内包した呪詛と魔力をも巻き込みながら、強靭な外皮を引き裂くように弾ける。
「『神殺しの獣』……どうしてそれを殺さなければならないのか……その理由はわたしたちにもわかりません。ですが」
目の前で苦しんでいる者を捨て置くことなどレナータにはできようはずもない。
「今苦しんでいる人達のために!」
だからこそ、渾身の力を『ケルベロス・フェノメノン』に叩き込み、三つ首の一つ、その頭蓋を内部から破壊するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
無敵能力が失われたとはいえ未だ圧倒的な相手、小剣を回収するまでは[残像]による回避に専念する
蓄積された[戦闘知識]と研ぎ澄まされた[心眼][第六感]で敵の機械兵器による攻撃や爆風を避けながら小剣の落下を[見切り]、右掌に回収だ
ここからは小剣で増幅したUCで反撃
神殺しの刃、全てを焼き斬る焔の太刀を小剣でさらに増幅、その巨体を[焼却]する!
「この一太刀で沈め!」
回収できそうなら小剣はそのまま回収しよう
念動力のうねる強大な力が三つ首の獣、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の内部で炸裂し、頭部の一つを内側から引き裂く。
溢れ出る呪詛と魔力。
それが『ケルベロス・フェノメノン』の力の元であり、また同時に膨大な生命力であったことだろう。
「滅ぼす。我等が惑星にたどり着く可能性を秘めた者は、全て、須らく、排除する」
『ケルベロス・フェノメノン』の咆哮が迸る。
吹き荒れるようにして体内に内包した軍事兵器、そのミサイルコンテナが炸裂するようにして膨大な数のミサイルを解き放つ。
そのミサイルの爆風と衝撃波は躱しきれるものではなかった。
炸裂したミサイルの爆風を受けた装甲が地獄の炎によって揺らめくのを、久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は己の乗騎『イグニシオン』のコクピットの中から見る。
地獄の炎。
そうとしか表現できない猛烈なる炎。
苛烈そのものとも言える勢いで燃える装甲を排しながら『イグニシオン』は戦場を飛ぶ。
残像を生み出すほどの速度。
それほどの速度で持っても『ケルベロス・フェノメノン』の膨大な火力を振り切ることはできなかった。
「無敵能力が失われたとは言え、未だ圧倒的な相手には違いない!」
侮ってはいなかった。
だが、この『イグニシオン』の速度ならば振り切ることができると思っていた。
けれど、それ以上に『ケルベロス・フェノメノン』の火力は凄まじかった。ありとあらゆる軍事兵器を内包する、という言葉は偽りではなかった。
爆風や衝撃波。
それだけでも『ケルベロス・フェノメノン』の放つ地獄は『イグニシオン』の装甲を約のだ。
「とは言え、これは……!」
油断も慢心もなかった。
それでもなお、己の中にある戦闘の知識を総動員する。
心眼、第六感。
ありとあらゆるものを動員して尚、致命傷に至らぬ、ということだけ。だが、そこにこそ遥翔は勝機を見出す。
煌めくように爆風の最中に落下するものを彼は見た。
「あれか!」
『小剣』。
それはあらゆる攻撃とユーベルコードをも寄せ付けぬ『ケルベロス・フェノメノン』に唯一届かせる事のできるもの。
『小剣』は言葉通り小さなものだった。
人間が使うものであるから、当然であったが、『イグニシオン』はマニュピレーターでそれを掴む。
握り込むマニュピレーターの内部で光が発露する。
「厄災の枝、黄昏の剣(ラグナブリンガー・レーヴァテイン)――神をも滅する厄災の焔――原初駆動(イグニッション)、レーヴァテイン!!」
煌めくユーベルコード。
それは『イグニシオン』の握りしめた『小剣』を起点に輝きを発露する。
増幅された刀身。
それは神殺しの焔。
黄金に煌めく刀身は『小剣』を経て、さらなる長大な刀身へと成長していく。
「この一太刀で沈め!」
振るう一撃は黄金の巨大な斬撃となって『ケルベロス・フェノメノン』の砕けた頭蓋を切り裂く。
無敵たる禁獣へと届くかもわからない。
けれど、それでも『イグニシオン』は形成された神殺しの焔たる黄金の刀身を振り抜く。
届け、と念じるように。
満ちる戦場の呪詛を振り払うように。
その黄金の輝きは、常闇の世界にて人々が望んだ夜明けのように強烈な輝きを見せ、『ケルベロス・フェノメノン』を吹き飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
サク・ベルンカステル
小剣を得るには重力攻撃を受ける必要があるか、、、
ならば、と機械兵器の攻撃を【見切り】で掻い潜り時には随行大剣で【武器受け】することで近接し随行大剣にて直接攻撃をする。
重力を乱され随行大剣の挙動が乱れるもケルベロスより落ちた小剣を拾い上げ手に持つ黒剣を腰だめに構える
裂帛の気合いと共に黒剣が振られUC虚空破断が発動し、小剣により増幅された空間切断がケルベロス・フェノメノンに迫る
黄金の斬撃が戦場を照らす。
夜明けの如き光景。
されど、常闇の世界ダークセイヴァーに夜明けはない。あるのは月光のみ。なぜなら、この世界は積層世界。
空は天井。
月光はいかにしてか其処に浮かび、ただ仄かな明かりを灯すのみ。
故に、これはユーベルコードの煌めきであり、同時に生命の輝きであるとも言えただろう。
「勝機は僅か。だがしかし、その勝機を得るためには敵の攻撃を如何にしてか凌がねばならぬ、か」
サク・ベルンカステル(幾本もの刃を背負いし剣鬼・f40103)は、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』が放つ膨大な数の火器より放たれるミサイルの爆風を受けながら進む。
見切りは意味を成さないかもしれない。
強烈な爆風は衝撃波となって身を打つだろう。そうした端から身が重力によって押しつぶされそうになる。
「我等が惑星には何人たりとて近づかせはさせぬ」
咆哮が轟く。
見上げるは巨躯。
三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』の頭部の一つは切り落とされている。だが、しかし、かの獣は未だ健在であった。
どれほどの生命力をもつのならば、あのような芸当ができるのだろうかと思う。
正しく超常の存在と呼ぶに相応しいだろう。
だが、サクは身に伸し掛かる重力を振り払うようにして進む。
ミサイルが雨のように降り注ぐ。
それを随行大剣と手にした大剣で切り払う。だが、爆風が身を打つ度に押しかかる重力がさらに強くなっていくのを感じただろう。
「だが……!」
「潰れろ、猟兵。我が惑星へといずれ到達するのだとしても、此処で滅ぼす」
一歩も動けない。
けれど、サクは手にする。
『ケルベロス・フェノメノン』は猟兵にユーベルコードを放つ度に体内から『小剣』を取り落とす。
それが一体なんであるのかはわからない。
けれど、確かなことが一つだけある。
「これが勝機であるというのならば……!」
随行大剣の挙動が重力によって乱れる。
爆風がさらに迫る。ミサイルはいずれも直撃こそしていないものの、切り裂いた一撃で爆風が吹き荒れ続けている。
痛みが体に走る。
だが、それでもサクの瞳はユーベルコードに輝く。
確かに一歩も動けない。
けれど、己のユーベルコードは空間という概念そのものを切り裂く。
故に名を。
「虚空破断(コクウハダン)!」
裂帛の気合が戦場に響き渡る。
一歩も動けないのならば、己の斬撃を飛ばす。否、飛ばすことすらしない。
目の前の空間を切断して届かせる。
距離すら、空間すら無視する斬撃。
サクの瞳にあるのは傷ついた巨大な禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。呪詛と魔力の塊。
何をそんなに憎むのか。
憎しみの理由すら忘れたかのような咆哮が轟く最中、サクの手で『小剣』がユーベルコードを増幅させ、かの巨体に届けるのだ。
「空間を断つだと」
「そうだ、これこそが俺が到達したユーベルコードの領域。空間そのものを斬るのならば、距離は関係ない」
その一撃は確かに『ケルベロス・フェノメノン』の胴を薙ぎ払い、凄まじい裂傷の痕を刻み込む。
これこそが己が信じた路の先にあるものであると示すように、サクの刃はユーベルコードの光を湛えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「まずは小剣を拾わねえとな!」
[ダッシュ]と[ジャンプ]を駆使し、[気合い]で攻撃を躱し続ける
万が一のために[オーラ防御]を展開して防御UP
小剣を拾ったらUC発動
「燃やすぜ魂!
いくぞケルベロス!
お前が何を思ったとしても、
それがこの世界に破滅を呼ぶのなら!
オレはそれを全力で止める!」
小剣を起点に巨大な炎剣を創造
意志と[勇気]を薪にして
ケルベロス以上の大きさまで急成長した
「超必殺!バーニング・オーバーロード !!」
超極大の熱量を秘めた刃が振り下ろされる
ケルベロスの反撃も飲み込みながら、炎は迫る
「いけぇええ!!!」
そして、そのままケルベロスを一刀両断したのだ!
無數の斬撃が戦場に煌めいていた。
猟兵たちのユーベルコードだと空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は確信していた。
どれだけ強大な敵であっても猟兵たちはこれまで打倒してきた。
何故か、など今更問う必要もない。
これは繋ぐ戦いだからだ。紡ぐ戦いだからこそ、己たちよりも強大な敵を打倒しうるのだと清導は理解していた。
「なら、まずは!」
彼の真紅の機械鎧が戦場を走る。
迫る爆風を躱す。
猛烈なる火力は、漸くにして陰りを見せていた。ここまで多くの猟兵達が戦い抜いたからこそ、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』は消耗しているのだ。
そして、勝利の鍵は。
「『小剣』!」
「未だ我等の障害となるか、猟兵」
咆哮が轟く。
爆風が荒ぶ。機械鎧を打ち据える衝撃波と共に清導は己の体が急激に重くなったのを悟るだろう。
これが『ケルベロス・フェノメノン』のユーベルコード。
重力を操る力。
衝撃波であっても、己の体の重力を操るスイッチとなるのを清導は理解する。だからこそ、彼はかわそうとしていたのだが、オーラの防御すら突き抜けてくる。
全てが万能とはいえない。
けれど、それでも清導の手には『小剣』があった。
「これが勝利の鍵! なら、燃やすぜ魂!」
ユーベルコードの輝きが満ちる。
腕に満ちるは炎。
紅蓮を思わせる炎は、収束され、手にした『小剣』と共に輝きを増していく。
「いくぞ、ケルベロス! お前が何を思ったとしても、それがこの世界に破滅を呼ぶのなら! オレはそれを全力で止める!」
「熱き血潮の勇者であろうとも。善性満ちる聖者であろうとも。心に悪心の一点があるかぎり、我等が惑星には近づけさせはせぬ。それが我等の!」
「ブレイザイン・バーニングモード!! さあ、いつもより燃えていくぜぇええ!!!」
ふくれ上がる炎が、己の心を示しているようであった。
清導のユーベルコードは心の熱さに比例して温度を上昇させる炎を生み出す。
生み出された炎は『小剣』によってさらに膨れ上がっていく。
数百メートルはあろうかという体躯を持つ『ケルベロス・フェノメノン』さえも凌駕するほどの巨大な炎の刀身。
これまで多くの猟兵たちがなしてきた。
打撃を与え、斬撃を加え、多くの血潮が流れた。
けれど、それでもこの世界の破滅をなしめないという意志が凌駕する。
「いけぇえええ!!!」
清導の咆哮が、『ケルベロス・フェノメノン』の咆哮を凌駕する。
一撃は常闇の世界の天井を切り裂きながら振り下ろされる。すでに一つの首を喪った『ケルベロス・フェノメノン』は身に内包した軍事兵器で炎の刀身を砕こうとしただろう。
ともすれば、自重で潰れかねないほどの重力でもって清導の体を押しつぶそうとしただろう。
けれど、それらの全てを振り切って清導は炎の刀身を振り抜く。
巨躯に激突して火花を散らす。
その一撃は『ケルベロス・フェノメノン』の胴を強烈に打ち据え、巨体を吹き飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
さてー、まあまずは攻撃をどうにかせねば。
陰海月に乗って、風結界を展開。さらに、呪詛と魔力の塊は結界化した四天霊障で包み、呪詛耐性からの封印を。
まあ、炎が来ても…風で遮りますので。
陰海月「ぷっきゅ!」(小剣キャッチ!)
…陰海月語を翻訳します…
そしてここからはぼくの番!
UC使って、おじーちゃんは中にいてもらうんだ。
そして…極彩色光珠をポイポイ投げるんだ!増幅したし、眩しいよ!
体が大きいと当てやすいね!
大丈夫だよ、おじーちゃん!ぼくだって、負けてられないんだもん!
『小剣』によって増幅されたユーベルコードの明滅が戦場を照らす。
凄まじい戦いであったと言えるだろう。
常闇の世界に光が満ちている。
明滅すれど、その輝きは明日の生命を救うための戦いであった。多くの血潮がダークセイヴァーの世界には流れすぎていた。
誰も彼もが傷ついた。
誰もが生命を喪った。生命を失って尚、その生命を弄ばれている。
許せることではない。
巡らぬ生命は、ただ淀んでいくだけだ。
痛みに、苦しみに、哀しみに、あらゆる生命は淀んでいく。だからこそ、悪霊たる己たちはと思う。
「強烈すぎますねー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は『陰海月』に乗り、戦場を埋め尽くす爆風と地獄の炎を見下ろす。
それほどまでに強烈な呪詛で満ちているのだ。
あの三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』は呪詛と魔力の塊だ。一体どれだけの呪詛と魔力があれば、あのような姿になるのかと思わざるを得ない。
地獄を体現するかのような強烈な攻勢。
「我等の惑星にはたどり着かせぬ。ただ一人の猟兵たりとて、許さぬ」
風の結界は『ケルベロス・フェノメノン』の身に内包した兵器を前にして意味はあなかった。
呪詛への耐性あれど、その呪詛は濃度が違う。
四人分の呪詛を束ねたとて到底及ばぬほどの濃縮された呪詛。それが『ケルベロス・フェノメノン』より放たれているのだ。
遮れない。
それほどまでの強烈な攻勢を前に『疾き者』は眉根をひそめる。
「ぷっきゅ!」
だが、そんな劣勢にありて『陰海月』は触腕を伸ばし、『小剣』を手に取る。
ユーベルコードが増幅していく。
「『陰海月』、あなた……」
「ぷっきゅ!」
言わずともわかっている。
『疾き者』は『陰海月』とユーベルコードに寄って合体する。ゲーミングカラーに煌めく体。四悪霊の呪詛は、『ケルベロス・フェノメノン』のそれには及ばない。
されど、『小剣』を得ることによって増幅したユーベルコードの輝きは、一層に常闇の世界を照らすのだ。
「ぷっきゅい!」
体を覆う『陰海月』の体。まばゆいほどに煌めく光がある。
呪詛は確かに己達の体にあるもの。
溢れるもの。
オブリビオンに対する呪詛は尽きることはない。怨嗟は怨嗟を呼び込む。わかっていることだ。
けれど、『陰海月』は違う。
「……わかっていますよ。負けていられないということは」
大丈夫だと言うように『陰海月』が四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)たる光珠を『ケルベロス・フェノメノン』へと投げ放つ。
確かに戻りえぬのが生命である。
回帰しない。
戻ってはこない。時が逆巻くことのないように、生命もまた戻ってこない。ならばこそ、己達の呪詛は、今を生きる者たちのためにこそ使われるべきである。
故に、煌めく輝きは色とりどりの可能性に満ちているとも言えるだろう。
「1680万色よりも多く煌めくものですからー」
だから、と『小剣』はさらにユーベルコードの輝きを満たし、『ケルベロス・フェノメノン』を光珠の乱舞でもって打ち据え、広がる地獄を照らすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
烏護・ハル
膨大な生命力と破壊力の塊。
無敵能力を失ってさえ、こんな。
……でも、戦わなきゃ。
ちっぽけだとしても、希望があるなら。
縋ってやろうじゃないの。
UCで片脚を狐火変化。
召喚した式神さんたちと高速、多重詠唱。
防御結界を纏い、攻撃を掻い潜りながら飛翔、接近する。
捌き切れなくても激痛に耐えて進み続ける。
……痛い、熱い、苦しい。
でも止まっちゃダメだ……!
式神さん、もう少し、あと少しでいいから、力貸して……!
小剣を確保したら、高速、多重詠唱で呪殺弾の発射態勢に。
小剣で増幅した魔力を全て充填した呪殺弾を撃ち込む。
憎悪、殺意……どれも規格外。
でも、負けらんないのよ!
勝たなきゃいけないの!
護るって、決めたんだから‼︎
光が満ちている。
それはユーベルコードの明滅。猟兵たちと禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の放つ攻勢が激突して見せる火花のような輝き。
されど、常闇の世界ダークセイヴァーにおいてはまばゆい光であったことだろう。
夜明けであると思うほどの輝き。
その中心にある三つ首の巨躯を烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は見上げる。すでに三つ首の一つは寸断されている。
そして、その巨躯に刻まれた傷跡は猟兵達の苛烈な攻勢を示していた。
「それでも、まだこんなに……!」
ハルを襲う無數のミサイル。
内包した兵器は底を突くことはなかった。無尽蔵とも言える兵器の火力にハルは爆風に見を煽られながら前を向く。
これでも無敵能力を失っているはずなのだ。
だというのに、これほどまでに強烈な生命力の発露と破壊の力をほとばしらせている。
恐ろしいと思う。
「……でも、戦わなきゃ」
そう、彼女の瞳には希望の光がある。
確かにか細い希望であると言えるだろう。僅かな勝機であるとも言える。けれど、ハルは己を襲うミサイルの爆風の中を傷つきながら進む。
あの光。
『ケルベロス・フェノメノン』がこちらに攻勢を仕掛ける度に体内より落ちる『小剣』。あれこそがハルの求めるものだった。
「どれだけ小さき生命であっても悪心を抱く。ならば、我等はそれを排除せねばならぬ。いかに猟兵、お前たちが重力の鎖に導かれるのだとしてもだ!」
咆哮と共に炸裂する爆風。
ハルの体は強かに打ち据えられる。
けれど、彼女は立ち上がり、その手に『小剣』を握りしめていた。
「ちっぽけだとしても、希望があるなら」
縋る。
いや、掴むのだ。
彼女の手にした『小剣』はユーベルコードの輝きを増幅させていく。
わかっている。
体中が痛い。苦しい。熱い。
どうしようもないし、どうして自分がこんな目にあっているのかなんて考えてしまう。当然だ。
誰だって痛みに強いわけではない。
特別強いわけでもない。
「それでもさ! 止まっちゃだめだってことはわかるんだから……! 式神さん!」
ハルの瞳がユーベルコードに煌めいて、戦場を照らす。
猛烈な輝き。
霊符より満ちる力が、狐火をほとばしらせる。
凄まじい勢いで噴出する狐火が輪を描きながら回転していく。ハルの手にした『小剣』の切っ先から膨れ上がっていく呪殺弾が解き放たれる。
増幅された狐火を用いた弾丸は、猛烈な勢いで持って『ケルベロス・フェノメノン』へと迸る。
「憎悪、殺意……どれも規格外」
わかっている。
あれなるは、まるで星1つの呪詛そのものだ。規格外と、称した自分でもわかっていることだったけれど。
「でも、負けらんないのよ! 勝たなきゃいけないの!」
ハルは思う。
己の背にあるものを。
己が此処で膝を折ったのならば、己の背後にある生命がどうなるかを。故に彼女は振り返らない。見返りがほしいわけではない。
ただ、ひたすらに。
「護るって、決めたんだから!!」
紡がれたものがある。己の手の中にある。それがどれだけ尊く大切なものであるかを彼女は知ったからこそ、迸る弾丸を『ケルベロス・フェノメノン』に打ち込み、その巨躯を穿つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「敵から現れる正体不明の武器。
勝利を懸けるには些か心許ないが、
それが最善手なら全霊で臨むだけだ。」
小剣を落とす瞬間を見逃さない様に注視し
敵が放つ呪詛と魔力の塊に対しては【オーラ防御】と
冥理影玉の呪詛を打ち消す力【呪詛耐性】で耐えながら
地獄の炎を防御するためにスカイロッドから自分より外側に
噴き出す空圧を放ちつつ龍翼の翔靴で小剣に向って駆けよる。
小剣を手に取りALL OUTを発動
空中に飛翔し炎の範囲外に逃れ
ユーベルコードで増幅した魔力、呪力を【全力魔法】
として小剣に注ぎ込みそのまま落下の勢いに任せ
刺突攻撃を行う。
「俺は命の持つ可能性を、未来を信じている。
だから俺はお前を受け入れる訳にはいかない。」
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は多くの輝きを見た。
戦場に輝くユーベルコード。
それは猟兵達の放つユーベルコードであり、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の放つユーベルコードであった。
輝きは激突し、火花を散らす。
戦場たる常闇の世界は、その輝きに寄って照らされる。
これまで月明かりしか輝きと呼べるものはなかったこの世界に。戦いの光とは言え、光が満ちている。
フードの奥からまばゆい輝きを見つめ、フォルクは『小剣』に手を伸ばす。
すでに三つ首の獣『ケルベロス・フェノメノン』の首は一つ寸断され、胴には無數の傷跡が刻まれ、穿たれた痕が残っている。
「小康状態……と言うべきか。だが、ここから突き崩す」
フォルクは『ケルベロス・フェノメノン』の解き放つ猛烈な勢いのミサイルの雨と爆風、そして大地に刻まれる地獄の炎の最中を駆け抜ける。
『ケルベロス・フェノメノン』は恐るべき存在だ。
無敵能力の核たる『欠落』を失ってなお、溢れる生命力でもって猟兵たちをあいてどっている。通常のユーベルコードでは到底届かない。
だが、『小剣』があれば違う。
これまで猟兵達のユーベルコードがあったからこそ、フォルクは『小剣』を手に取ることができた。
飛翔する。
大地を蹴り、地獄の炎が己の足を捕らえてなお飛ぶ。
「悪心抱く可能性のある生命全てを滅ぼす。何人たりとて我等が惑星には近づけさせぬ。例え、貴様ら猟兵が重力の鎖を手繰るのだとしてもだ!」
咆哮が轟く。
「勝利を懸けるには些か心許ないが、それが最善手なら全霊で臨むだけだ」
フォルクの瞳がユーベルコードに輝く。
己の体を霊力覚醒体へと変貌させる。
背に広がるは冥府の気をまとった黒翼。
高く、高く飛ぶための翼は数百メートルあろうかという巨躯を持つ『ケルベロス・フェノメノン』の頭上を捉える。
「我が身に宿りし魔性、今此処に全て解き放ち。剣を成し盾を成し、黒き冥府の翼すら従え。如何なる敵をも討ち果たす無双の力と成さん……」
ALL OUT(オールアウト)。
その輝きは『小剣』を得て、なお膨れ上がっていく。
満ちる呪詛。
対するは惑星一つ丸ごとの呪詛の如き塊。
「俺は」
フォルクは見下ろす。
手にした『小剣』が満たす力は、己の呪力の全てを込めたもの。それがさらに膨れ上がっていく。制御領域はとうに過ぎている。
だが、しかしフォルクは力を束ねていく。
「生命の持つ可能性を、未来を信じている。だから、俺はお前を受け入れる訳にはいかない」
『ケルベロス・フェノメノン』は悪性と善性とに揺れる良心をこそ、悪心であると言う。揺れ動くことを否定する。完全なるを求める。
それは当然のことのように思える。
けれど、画一的であるとも言えるだろう。
完璧なる完全。
それよりも、フォルクは不完全であるからこそ完璧であることを思う。それが人の心であり、可能性である。
揺らぎ続けるからこそ、振れ幅というのだ。
「だから、これは俺の意志だ」
振るう呪力の塊は『小剣』と共に『ケルベロス・フェノメノン』の体へと叩き込まれ、その力を破壊へと変えて、ほとばしらせる――。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
何人も近づけまいとする意志。
それこそが我々を呼び寄せるのだから皮肉なものだ。
まあ、自覚している様に遅いか早いかの違いに過ぎないので辿り着く前に殲滅するというのは理解できる。達成が不可能であることを除けばだがね。
『真紅の魔神』を発動。
小剣をドロップするまでは回避を優先。(第六感×瞬間思考力×見切り)
光を超えた速度で躱していきましょう。
『小剣』を拾ったら『真紅の魔神』の効果を増幅。
『魔王眼』を輝かせて増幅された『超光速の速度』×『惑星破壊級の怪力』=破壊力で『オーラセイバー』を振るって究極禁獣を叩き斬りましょう。
禁獣『ケルベロス・フェノメノン』は言う。
己達の惑星に悪心抱くものを近づけはさせないと。その宣言は、わからなくもないと、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は思う。
「我等が惑星には、悪心を近づけさせはせぬ」
強烈なる意志。
そこに如何なる思惑があるのかなど語るべくもない。
対する己達は猟兵であり、『ケルベロス・フェノメノン』は猟兵であっても殲滅せんとしている。ふくれ上がる呪詛と生命力は惑星一つにも匹敵するものであったことだろう。
放たれるミサイルの火力は、まさにそう表現するのに値するほどに強烈にして苛烈であった体。
「何人も近づけまいとする意志。それこそが我々を呼び寄せるのだから皮肉なものだ」
「語るな、猟兵。我等には意味がない。どの道貴様らは重力の鎖をたどるであろう。ならば、その前に滅ぼす」
「理解できる、が」
シーザーは吹き荒れる爆風の中を飛ぶ。
衝撃波がオーラに激突して砕け、身を捉える重力によって彼の体が大地に落ちる。
やはり尋常ではない。
だが、シーザーは笑む。
「その目標は分かる。だが、達成が不可能であるということを除けばだがね」
彼の手には『小剣』があった。
受けた重力操作によって彼の体は押し潰れそうなほどの圧力を受けている。だが、彼は『小剣』を手にしたまま、ユーベルコードの輝きを満たす。
それは、己を強化するユーベルコード。
超高速の速度。
惑星破壊級の怪力。
完全防御の魔力障壁。
この三つが今やシーザーの体に満たされている。増幅された『小剣』があるからこそ、通常の力を発露できていると言ってもいい。
そうでなければ。
「この重力の檻から抜け出すこともできまいからね」
シーザーは真紅の魔神(シンクノマジン)たる所以を示すように重力を物ともせずに飛翔し、『ケルベロス・フェノメノン』へと迫る。
「重力は光を捉える。だが、しかしね。超光速ともなればどうだろう?」
光さえ捉えるのが超重力。
されど、己の身に伸し掛かる重力は其処まで至ってはいない。
ならば、彼の膂力が速度と掛け合わされ、迫る爆風を寄せ付けぬ障壁もろともに、手にしたオーラセイバーを煌めかせる。
「これが増幅させるユーベルコードならば、君の体には傷がつく。これまで多くの猟兵がそうしたように、私も倣おう」
「殺し殲す! 完璧なる善性を宿さぬ者!」
「それは完全なる悪性と何ら変わらぬよ。ならば、君を此処で砕くとしよう」
振るう一撃が『ケルベロス・フェノメノン』の体を強かに打ち据える。
数百メートルもあろうかという巨躯を打ち据える一撃は、衝撃波を戦場にほとばしらせる。強烈な突風が戦場に荒び、ついに『ケルベロス・フェノメノン』の巨体が大地へと叩きつけられた。
多くの傷があった。
多くの血が流れた。
多くの生命力がこぼれ、そして『小剣』が猟兵達の手にある。
「ほら、言っただろう。君の目標は、達成できない。わからないでもないが、不可能を前に君は超えられるか」
シーザーは『小剣』の輝きによって増幅されたオーラセイバーの一撃を大地に傾ぐ『ケルベロス・フェノメノン』へと叩きつけ、その火花散るような強烈なる轟音を響かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
「ケルベロス」に「グラディウス」……
何故か呼ばれた気がした、です
無数の機械兵器による弾幕……上等、です
エル・セプス、ドライブ最大稼働、空中を高速で飛行しながら『Dアヴェンジャー』のガム弾で相手の攻撃の一部を迎撃するです、勿論爆発させるとまずい軌道の弾は迎撃せず回避するです。平気です、落ち着けばある程度見極めはつく、です。冷静さは大事、です
小剣が落ちたら『ケルベロスファング』を飛ばし引っかけて回収し、手に取ったらそのままUC、です
全機関
限界突破出力、闇夜を切り裂き、流星となって飛ぶです、エル・セプス……!
【シューティングスター・アクセラレーション】、です……!!
『ケルベロス・フェノメノン』。
それは現象と呼ばれる残影か残光であったことだろう。
名前には意味がある。
ならば、ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は己の飛空艇に配された武装の名を思う。
「『ケルベロス』に『グラディウス』……何故でしょう。呼ばれた気がした、です」
無関係であるかどうかはわからない。
けれど、それでも何か縁のようなものをヴィクトリアは思わずにはいられない。
飛空艇の天使核が炉となって出力を上げていく。
目指す先にあるのは、数百メートルの巨躯を持つ禁獣『ケルベロス・フェノメノン』。
すでに猟兵達の攻勢によって三つ首の一つは寸断され、その胴体たる体には無數の斬撃と穿たれた痕がある。
「悪心抱く者は、何人たりとて許してはおけぬ。存在を、その生命を、滅ぼし殲すまでは!」
咆哮が轟き、ミサイルが雨のようにヴィクトリアへと迫る。
「……上等、です」
飛空艇の出力はサブドライブも含め、すでに限界点を越えている。凄まじい速度で飛翔しながら、ヴィクトリアはガトリング砲の砲身が回転する音を聞く。
放たれるガム弾は、迫るミサイルへと撃ち込まれ、その爆発を展開したガムの中へとお包み込んでいく。
爆風さえも敵の強烈な攻撃の一つになるというのならば、爆発をそもそも広範囲に広げさせないことが肝要であった。
それをヴィクトリアは理解していたからこそ、撃ち落とすのではなく、撃ち包み込むことにしたのだ。
「ものすごい数、です。でも……冷静さを欠くことがなければ、落ち着けば」
見えるものがある。
いくらこちらの弾丸が包み込むガム弾であるとしても、迫る『ケルベロス・フェノメノン』の放つミサイルは無尽蔵だ。弾切れを期待するだけ無駄である。
だからこそ、ヴィクトリアは己の飛空艇と共に『ケルベロス・フェノメノン』へとひた走るように飛ぶ。
「見えてくるものもある、です」
『ケルベロス・フェノメノン』の体内から溢れるようにして大地に落ちていく『小剣』をヴィクトリアは飛空艇の速度で飛び、フックショットによって掴み、引き寄せる。
手にする『小剣』は何処か不思議な感覚を掌に教えてくれる。
煌めくユーベルコードの輝き。
「これが……」
炉の出力が安定していく。それだけではない。限界値をさらに越えていく。越えているのに安定している。炉が暴走しているわけではない。
「なら、行ける、です。全機関
限界突破出力」
煌めくユーベルコードが幾重にも輪となってヴィクトリアの飛空艇『エル・セプス』を包み込む。
明滅する光は、炉の出力を限界以上に引き上げ、障壁を展開する。膨れ上がった障壁は放たれるミサイルすらも防ぎ、さらに星型の魔法弾がミサイルを撃ち落とし、爆発に戦場を満たしていく。
「闇夜を切り裂き、流星となって飛ぶです、『エル・セプス
』……!」
ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
それは星の輝き。
天に瞬く星ではなく。
空を駆ける星そのものとなってヴィクトリアは『エル・セプス』と共に『ケルベロス・フェノメノン』の体を貫く一矢となって飛び込み、その巨体を穿つ。
「これが、私の全速力……シューティングスター・アクセラレーション、です
……!!」
防壁も。
呪詛も。
生命力も。
何もかも撃ち抜く流星の一撃は、墜ちることなく、ただひたすらに闇夜を切り裂く一条となって戦場を飛ぶ――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
ディスポーザブル02操縦。
人工魔眼の【第六感】【動体視力】で攻撃認識、
【瞬間思考力】で回避先を算出し空中浮遊、空中機動により、
呪詛と魔力の塊、機械兵器の【弾幕】攻撃を掻い潜り、
灼熱光剣ブースター【推力移動】
高速飛翔で地獄の炎の範囲外へ移動しながら、
落ちる『小剣』を02で掴み取る!
自分が悪性か、だろうな!ああ知っているとも!!
心に平和を持てない自分がどうしようもない
悪性である事など!!
それでも!『この手に破壊を!』
02から飛び出し、
02と、02が持つ小剣を纏めて一振りの『機械大剣』に変えてなぎ払い、
02の機能
重力波重量攻撃を剣から発し、
敵の攻撃を【吹き飛ばし】撃ち返す!
壊して…壊して壊して壊し続けたその先に!!
【追撃】メガスラスターで推力移動!近付きながら、機械大剣に、ユーベルコードを通じて己の【闘争心】を流し込め、剣の機能、灼熱光剣を解放!
ケルベロス・フェノメノンを断ち!その巨体を焼き壊す!!
求めた筈の『何か』があると!!信じるが為に!!!!
いくつもの煌めきがあった。
戦場に輝くは生命の光。ユーベルコードの輝きは、常闇の世界ダークセイバーを照らす。空はなく、天井しかない世界において、それは夜明けと思えるほどの強烈な光であったことだろう。
願わくば、それが真になりますように。
そう願うよりも速く、鋼鉄の巨人が戦場を疾駆する。
吹き荒れるようなミサイルの雨。
禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の咆哮が轟く。
三つ首の獣の威容は数百メートルを超える。それほどまでの威容でありながら、すでに首の一つは寸断され、その身に刻まれた傷跡は無數。
されど、未だ禁獣たる所以を示すように『ケルベロス・フェノメノン』の咆哮は健在を示すように轟くのだ。
「近づくな」
それは拒絶の意志。
「我等が惑星に悪性もつ者は近づけさせはしない」
「自分が悪性か」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は鋼鉄の巨人――『ディスポーザブル02』のコクピットの中で叫ぶ。
だろうな、と。
わかっていると。知っていると。己が悪霊であることに無自覚であれど、しかし己の中に悪性があることを自覚する。
『戦いに際しては心に平和を』
いつか聞いた言葉が胸に響く。
「心に平和を持てない自分がどうしようもない
悪性であることなど!!」
わかっているのだ。知っているのだ。
だからこそ叫ぶ。
「それでも!『この手に破壊を!」
鋼鉄の巨人を穿つミサイル。地獄の炎が機体に突き刺さり、内部フレームから破壊していく。
呪詛と魔力の塊。
まるで惑星一つ分はあろうかというほどの総量。
これほどまでに増幅されたユーベルコードの打撃を受けて尚、底が見えない。これが禁獣。これが『ケルベロス・フェノメノン』。
だが、本当に呪詛と魔力だけなのだろうか。
人の心に悪性あれど、しかして善性が宿るように。相反する二つ。一欠片とて、必ず対なるものを持つのならば、小枝子は見ただろう。
『ケルベロス・フェノメノン』の体内からこぼれた『小剣』の輝きを。
「させぬ。我等が前にして破壊は破滅を呼び込む。如何なる善性でそれを使うのだとしても、それは必ず悪性に傾く」
だが、小枝子は聞く耳を持たなかった。
『ディスポーザブル02』のコクピットから小枝子は飛び出す。もう機体は使い物にならない。地獄の炎に包まれた機体は、それだけでもう機体としての意味をなくしていた。
だが、けれど小枝子は思う。
悪性と善性とを持つからこそ良心が生まれる。
悪しき心があるからこそ、善きものになろうとする心が生まれる。確かに己は破壊しかできない。
けれど、破壊しかできぬからといって守れぬ道理はない。
「壊して……壊して壊して!!」
伸ばす先にある『小剣』を小枝子は掴む。瞬間、『ディスポーザブル02』の躯体がねじれるようにして凝縮されていく。
ふくれ上がるユーベルコードの輝き。
『小剣』を介して小枝子のユーベルコードが増幅されているのだ。
「壊し続けたその先に!!」
何を見るのだと告げる言葉が響く。
小枝子は語るまでもないと瞳で告げる。目の前にあるのは『ケルベロス・フェノメノン』。呪詛と魔力の塊。絶望に満ちたが故に、破滅をもたらす者を遠ざけようとする過去の化身にして現象。
吹き荒れる光は、機械大剣(キャバリアブレイド)。
長大な刀身。
振るう斬撃で持って地獄の炎を吹き飛ばし、小枝子の瞳は『ケルベロス・フェノメノン』を見据えた。
煌めく。
そう、光は闇無くば輝かない。故に、この常闇の世界において小枝子のユーベルコードは強大なまで膨れ上がり、展開した機械大剣の刀身より重力の塊の一撃を『ケルベロス・フェノメノン』へと叩きつける。
「求めた筈の『何か』があると!! 信じるが為に
!!!!!」
ただ、それだけなのだ。
破壊の先に何が待っているかなどわからない。
もっと悪い未来かもしれない。
けれど、進まねばならない。時に取り残されぬために。悪性と善性とに揺らめき続けるが故に。光と闇があるように。
ただ自然に生きることをやめない。
「誰に何を命ぜられるでもなく! 自分は!」
破壊するのだと言うように重力の奔流を解き放ち、灼熱の光放つ刀身でもって『ケルベロス・フェノメノン』を切り裂く。
「破壊をする――!」
大成功
🔵🔵🔵
ギヨーム・エペー
……デカいな!! そうか、一欠片でも悪になり得る可能性があるなら認めねえってか。上に立つ者ならばその芽を踏み付け成長を促すのもまた一つの手。しかし汝は全を無に帰すと言うか!!
先ずは回避を意識しながら短剣を掴みに向かう。降り注ぐ攻撃を見切り、己が足を駆使して駆け上がる! 時には氷槍を足場にしよう
それでも強大な肉体には触れざるを得ない。だが重力が、なんだ! 地に足を付けて張れ、空を踏み込みものとせよ! 大地も深海も宇宙もわしは掴んだ感覚を覚えている、翻弄されても混乱はしねえさ。重力の波を掴んで乗りこなす。乗りこなしてみせる。沈没が怖くてサーフィンできるか? 否! 恐れるのは失敗を恐れて挑戦しない事だ!!
学習する生きものなんだよわしは。それに雑草は死なないんだぜ? チャンスがあると解ってるんだ。じゃあ何度でも我が物にしようと醜悪にも悪戯にも手を伸ばす!
牙を剥こう。牙を見せよう。牙を突き立てよう!!! この刃は汝を退く為に有り、この寿は汝を倒す為に有る!! 寿命も血潮も小剣に込めて打ん殴る!!
その巨躯は見上げるほどであった。
巨大ななることを恐怖を生み出すものであったことだろう。全体を把握できぬほどの巨体より放たれる無數のミサイル。
それは禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の体内に内包されていた軍事兵器。
蓄えられた火力は、その身に宿した呪詛と魔力とによって生み出されている。これまで猟兵たちを追い詰め、さらに身に打撃を無數に受けて尚、底が見えようとはしていなかった。
まるで底が知れない。
言う慣れば惑星の生命全てを相手取っているようにさえギヨーム・エペー(Brouillard glacé calme・f20226)には思えたことだろう。
「……デカいな!!」
だが、ただ巨大なだけでは、ここまで恐怖を覚えることもないだろう。
それにギヨームは恐怖を知って尚、それに立ち向かうことのできる存在である。彼にとって、恐怖とは乗り越えるべきものであり、また笑って立ち向かうものであった。
「関係ない。我等は我等が脅威となる悪心抱く者を滅するのみ」
放たれるミサイルの爆風が、衝撃波がギヨームを襲う。
すでに三つ首の獣たる象徴の首の一つは寸断されている。だが、それでもなお迫る力に陰りは一切みえない。
「貴様らは一欠片の悪心を持つもの。いずれ重力の鎖に導かれるのだとしても、我等はそれを阻み、ここで貴様らを滅する」
「そうか、一欠片でも悪になり得る可能性があるなら認めねぇってか」
ギヨームは降り注ぐミサイルの爆風の中を走る。
衝撃波が身を撃ち、重力がギヨームの体を押しつぶさんと凄まじい力を発露する。
肉体が軋む。
重い。脚が止まる。けれど、ギヨームはそれでも前を剥く。
「っ……! だが、これが、なんだ!」
そう、ギヨームは知っている。
知っているということは、それを乗り越えるためのすべを知ることでもある。
ギヨームは空を知っている。
大地も、深海も、宇宙も。
すべて知っている。見た、触れた、経験した。それらの全てが今のギヨームの足を止めさせはしない。
身に降り注ぐ重力は、ただそれだけで己を押しつぶそうとしている。
「なんのこれしき! わしの体をどれだけ重くしようとっもな! 乗りこなして見せる。掴む!」
ギヨームは咆哮する。
確かに『ケルベロス・フェノメノン』のやり方は正しいのだろう。
あらゆる万難を排して、その道を歩むことの正しさを否定はできない。けれど、それは成長無き路であると言わざるを得ない。
何故ならば、生命にとって挫折とは水であるからだ。
それがあるからこそ成長することができる。
だが、『ケルベロス・フェノメノン』のやり方は、全てを無に帰すやり方だ。
学習の機会さえ奪い、成長の余地を殺し、ただひたすらに悪心なく真白の世界を目指す
それは正しく思える。
それが良いことのように思える。
だがさいかし。
「沈没が怖くてサーフィンできるか? 否! 恐れるのは失敗を恐れて挑戦しないことだ!!」
前に踏み出すこともできないで、如何にして転ぶことができるだろうか。ころんだのならば、立ち上がるすべを探すべきだ。
そして、如何にして速く立ち上がるかを伝えれば良い。
どうすれば立ち上がり、傷の痛みに耐えられるのかを知れば良い。
成長とは痛みを得なえれば起こり得ないものである。
人の、生命の、連綿たるはそうして紡がれてきたのだ。進化とも言っていいだろう。
だからこそ、ギヨームは重力降りしきる中をかき分けるようにして『小剣』に手を伸ばす。
『ケルベロス・フェノメノン』の体内からこぼれ落ちたそれは、確かに呪詛と魔力の塊であるかの獣から落ちたものである。
けれど、同時に猟兵達の勝機にもなり得るだろう。
ユーベルコードを増幅させる何か。
理解はできない。
だが、がむしゃらに手を伸ばした先にあったのが、それであったというのならば、ギヨームは違えない。
「学習する生き物なんだよわしは。それに雑草は死なないんだぜ?」
「しつこい。我等が滅するは、悪心抱くもの。故に」
ふくれ上がる重力。
だが、ギヨームの瞳はユーベルコードに輝いていた。
氷魔すら焼べる冷炎。
それが迸る。
紫の瞳は『ケルベロス・フェノメノン』を見据えていた。狂気が身に満ちていく。己の体が重力に負け、砕けても構わなかった。
砕けるのならば、即時再生すればいい。
おのれは吸血鬼。
それを自覚するだけでいい。己が如何なる存在化。己の手足がどれほどまでに届くのか。己の力がどこまで響くのか。己の瞳がどこまで見通すことができるのか。
それを知るだけで、ギヨームの力は手にした『小剣』によって膨れ上がり、その力を発露する。
「この刃は汝を退く為に有り、この寿は汝を倒すために有る!!」
力が寿命を削っていく。
けれど、構うことはなかっった。
これまで醜悪に、悪戯に、されど懸命に伸ばした勝機がある。すでに己はそれに手をかけ、握りしめているのならば。
己の血潮を『小剣』によって握りしめる。
爆発的に増大した力による斬撃の一撃。
それは己の力の全てを賭した一撃であり、斬撃は『ケルベロス・フェノメノン』の残されたニつの頭部、その一つを切り裂き、両断するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
乙葉・あいね
むむむむー!
怪しげな小剣、とっても気になりますけど、それよりもあのワンちゃんを何とかしなきゃなのです!
周囲に「この世界で一般的な剣」の形の『魔剣の影』をたくさん呼び出して射出、相手の攻撃を迎撃します!
勿論、足は止めないで動き回って、迎撃しきれない分は軌道を見切り、残像も織り交ぜてよけるのです!
小剣が落ちてきたら頑張って近づいて回収してー……
ほえー、不思議な剣なのです。この世界とも違う、どこか異界の気配がします!
では!小剣に炎の力……とある魔剣の力を籠めて、UC!
【越界焔刀ればてぃーんすとらいく】!
天の頂から地獄の底まで、今の私ならどこまでも全部切り捨てちゃえる気がするのです!えーい!!
煌めく血潮の一撃が斬撃となって禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の首を落とす。
その光景は凄まじいものであった。
数百メートルはあろうかという巨躯。その三つ首の獣の首の一つが両断される。すでに二つの首を喪った獣は、痛みに喘ぐでもなく、怒りの咆哮を轟かせるのみであった。
「我等が惑星には近づけさせぬ。我等が前に立つ者に、僅かでも悪心あるのならば。悪性と善性とに揺らぐ両親を持つものならば! 我等は貴様らを滅ぼすのみ」
吹き荒れるミサイルの雨。
爆風と衝撃波が荒び、戦場は再び地獄へ変貌する。
その最中に乙葉・あいね(白と黒の刃・f26701)は飛び出す。
わかっていたことだ。
敵は強大。されど、これまで猟兵達の叩き込んできたユーベルコードは『ケルベロス・フェノメノン』を追い詰めていた。
あの二つの首が落ちたのが証拠だ。
決して勝てない相手ではない。
そのためには。
「むむむむー! あの怪しげな『小剣』、とっても気になっていましたけど、やはりあれがユーベルコードを増幅させているのです!」
あのワンちゃんこと『ケルベロス・フェノメノン』は通常の攻撃やユーベルコードでは通用しない。
ならば、あの攻撃の後に体内より墜ちる『小剣』こそが勝機。
故にあいねは魔剣の影を呼び出し、撃ち出す。
ミサイルの雨を撃ち落とすために生み出した影の剣は次々と空中で爆散し、ミサイルの爆風をあいねの体へと叩き込む。
迎撃してもなお、己の体を打つ衝撃波の凄まじさにあいねは息を切らす。
「でも、平気なのです、へっちゃらなのです」
だって、とあいねは走る。
自身はヤドリガミである。その由来はサムライエンパイアにまで遡ることができる。白黒一対の刀。
それが己の本体である。
サムライエンパイアにまで起源を遡ることができると言ったが、それ以前のことは彼女自身にもわからない。
彼女が猟兵となったことも。
己の起源も。
それを知りたいと思うからこそ、彼女は落ちた『小剣』に手を伸ばす。
爆風が迫る最中、彼女の眼前に魔剣の影が飛び出し、衝撃を殺す。痛みが走ることは仕方のないことだ。
戦いというのはいつだってそういうもの。
無傷で終われることのほうが少ない。だからこそ、あいねは手にした『小剣』の輝きを見つめ、見惚れるように思う。
「呪詛と魔力の塊たる獣から落ちた一振り……ほえー、不思議な剣なのです」
この世界とは由来を異なるもの。
そうであるようにあいねは思えた。どこか異界の気配を感じる。それはともすれば己と同じ境遇であるように思えたが、しかしあいねは『小剣』を掲げる。
煌めくユーベルコードの光が膨れ上がっていく。
己の魔力を流し込み、蒼き炎が『小剣』を包み込んでいく。
「あなたは障害なのです。あなたはわたしたちを排除しなければならない異物、悪心と見ているでしょう。ですが!」
今の己ならばできるという確信があった。
あいねは思う。己の剣は天の頂から地獄の底まで届かせることのできる刃。
あらゆる障害を、障壁を、全て斬り捨てることのできる一振りの刃。ふくれ上がるユーベルコードの輝きと共にあいねは『小剣』を振るう。
「越界焔刀ればてぃーんすとらいく(レヴァティーン・ストライク)!!」
どんなに地獄の炎が迫るのだとしても。ミサイルの雨が降り注ぐのだとしても。
全てを切り裂く斬撃は、炎を纏い、『ケルベロス・フェノメノン』の体を切り裂く。
溢れる呪詛と魔力。
それはまるで惑星一つの生命を斬り捨てるように、あいねは蒼き炎を振り抜くのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
……ユーベルコードを増幅する小剣ね…ふむ…形に意味があるのかな…
…ま、手に入れてから考えるか…
飛行式箒【リントブルム】に乗って飛行しつつ呪詛と魔力の塊を回避…
…地獄の炎は消えないにしても復元浄化術式【ハラエド】で勢いを弱めて…
…戦いの最中に落下した小剣を術式組紐【アリアドネ】で回収してしまおう…
…そして【夜空染め咲く星の華】発動……周囲に仕込んでおいた遅発連動術式【クロノス】から障壁術式を起動…その中に閉じ込めて光柱を叩き込むとしようか…
…確かに威力が増幅されているね…「どこかの世界」に繋がる力と関係があるのかな…戦争が一段落付いたら調査しよう…
「……ユーベルコードを増幅する『小剣』ね……」
ふむ、と戦場に煌めくユーベルコードの輝きをみやり、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、目の前で明滅する光景に理解を深めていく。
彼女にとって、かの現象は如何なるものに写っただろうか。
身に膨大な呪詛と魔力を宿した塊。
それが獣の形を取っている、という風にも思えたことだろう。
三つ首の巨躯は、すでに多くの猟兵達の増幅されたユーベルコードを叩き込まれ、二つの首を落とされている。
体躯には無數の傷跡が刻まれ、攻撃の度に体内から『小剣』を落としている。
それは、不可思議な力を持っていた。
ユーベルコードを増幅させる力。それは猟兵たちにとって勝機そのものであった。それがなければ、例え無敵能力を喪った『ケルベロス・フェノメノン』とて、ユーベルコードを届かせることはできなかった。
「……ふむ……形に意味があるのかな……」
とは言え、理解を深めるには実物がなければならない。
推測するのはここまでだと言うようにメンカルは飛行式箒にまたがり、迫る呪詛と魔力の塊たるミサイルの暴風雨の中を飛ぶ。
炸裂する衝撃波は、それだけで身を強烈に打ち据え、さらに地獄の炎が己に迫る。
「……まるで惑星一つを相手取っているようにさえ思えてしまうな……一体、どれだけの魔力を身にやどしているっていうんだろう……」
復元浄化術式『ハラエド』によって浄化するも、勢いが弱まる程度にしか効果を発しない。
それほどまでに『ケルベロス・フェノメノン』は消耗してなお、ここまでの戦いを猟兵達に強いている。
「我等が前に悪性抱くものは滅ぼすのみ。今は善性を発露していたとしても、一欠片の悪性を宿す良心を持つならば、我等の惑星にはたどり着かせはせぬ」
咆哮が轟き、さらにメンカルへとミサイルが迫る。
だが、メンカルの手には『小剣』があった。
多くの猟兵たちとの戦いによって、その体内から落下した一振りを術式組紐でもって引き寄せ、回収していたのだ。
「……これが、そうか。なら」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
詠唱は歌うように。
彼女の瞳の光は膨れ上がり、また同時に『ケルベロス・フェノメノン』からただただ彼女が逃げ回っていたわけではないことを知らしめる。
彼女はミサイルの雨を躱しながら、予め仕掛けていた遅発連動術式『クロノス』を起動させる。
瞬間、それは障壁となって『ケルベロス・フェノメノン』を取り囲む。
「この程度で我等を!」
確かにそうだろう。『ケルベロス・フェノメノン』の言うとおりだ。僅かな時間しか障壁の中に留めてはおけない。
だが、それでいい。
「天の耀きよ、咲け、放て。汝は光芒、汝は落輝。魔女が望むは闇夜を穿つ星月の矢」
詠唱が終わった瞬間、空より飛来するは数多の星の力を宿した光柱。
『ケルベロス・フェノメノン』が惑星一つの呪詛と魔力を有しているのならば、メンカルは数多の星の輝きを持って、これを穿つ。
膨れ上がったユーベルコードの力は、極大なる光の柱でもって『ケルベロス・フェノメノン』の肉体を打ち据える。
強烈な衝撃が迸り、『ケルベロス・フェノメノン』の躯体が軋み始める。
常闇の世界にありて、戦場を白く染め上げる程の力。
明らかに『小剣』を手にしたことによる作用であると理解できるだろう。それが如何なる力に由来しているのかはわからない。
けれど、今確実なことが一つ有る。
「夜空染め咲く星の華(ダイ・ザ・スカイ)は、禁獣『ケルベロス・フェノメノン』……お前を穿つ」
吹き荒れる力は光の柱に収束し、槍のように鋭き一撃となって『ケルベロス・フェノメノン』の駆体を抉るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
最近本当にサイズ感バグってませんか?
いち猟兵が戦う大きさではないと思うのですが
ですが、揺れ動く良心の、ヒトの可能性を否定するのならば
押し通るのが
メイドの役目
細い糸とて勝機があるのなら
メイド、参ります!
重力操作はかなり厄介ですね
どうしても後手に回ってしまう
なら【メイドズ・ホワイト】
スピードと反応速度で出来る限りかく乱していくしか!
とはいえ回避しきれませんか!
重力操作は受け身(受け流し)とオーラ防御でどうにか凌ぎましょう
完全なる善性も
完全なる悪性も未来をひとつに定めがちですねえ
揺れ動くからこそ……ヒトのこの手は囚獄の奈落から未来に手が届く!
ええ、この手に
小剣を掴み取る!
ふふ、偶然ですが……『グラディウス』とは
良く手に馴染む気がします
小剣に天使核をコネクト
この『
小剣』を基点に発動します!
【
トニトゥルス・ルークス・グラディウス】!!
この一撃は貴方のような巨大な悪性を討つために得た力
思う存分、その身で味わってください!!
異様なる巨体。
それが禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の駆体である。その巨大さは言うまでもない。
だが、それでも亮平たちのユーベルコードは煌めき、その力でもって三つ首の獣の首を二つ落とし、駆体を抉る。
傷跡の苛烈さは言うまでもない。
だが、そこまで消耗させてなお、『ケルベロス・フェノメノン』のちからは衰えを見せていなかった。
放たれる衝撃。
ミサイルの雨。爆風が、衝撃が、猟兵たちの身を穿つように放たれ続けている。
無尽蔵、と言うのならば、このようなことを言うのだろう。それほどまでに『ケルベロス・フェノメノン』の体内に存在する呪詛と魔力は底が尽きない。
「いち猟兵が戦う大きさではないと思うのですが」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思わず呻く。確かに猟兵は強大な敵と戦う事が多い。
大陸一つ。
惑星一つ。
それを凌駕するほどの巨大な存在とも相対してきた。
だからこそ、ステラはサイズ感がバグっていると思ったし、それと相対しなければならない己の運命を呪ったかもしれない。
だが、其れに勝るものが彼女の中にある。
「ですが、揺れ動く良心の、ヒトの可能性を否定するのならば」
「我等が否定するは悪性。悪心抱く心を持つものを滅するのみ。我等を退けたくば、完全なる善性を持って相対すべきなのだ」
「それを否定だというのです。ヒトの可能性は!」
ステラは爆風の中を走る。
身を穿つ一撃は、ただそれだけで彼女の体を重力で持って押し留め、大地に縫い留めるであろう。
だが、彼女は立ち上がる。
身動き取れぬ程の重力に苛まれながら、しかして爆風の中に飲み込まれる。
痛みが走る。
猛烈な苦しみが体を駆け抜けていく。
だが、それでもステラの瞳にはユーベルコードの輝きがあった。
「それでも押し通るのが
メイドの役目。細い糸とて勝機があるのなら」
彼女の手には『小剣』があった。
『ケルベロス・フェノメノン』の体内から溢れるようにして墜ちる正体不明たる『小剣』はユーベルコードを増幅させる。
通常のユーベルコードでは『ケルベロス・フェノメノン』に通用しない。
故に、この『小剣』が必要であったのだ。
「
メイド、参ります!」
すでにこの手には
『小剣』は掴み取られている。
いつだってそうだ。
己が『主人さま』と定める者は、揺れ動き続けていた。
確かに彼は勝利を得る才能に恵まれていたことだろう。だが、それだけだ。勝利を得た後、彼が誠に欲する者は何一つ得られはしなかった。
失って、失って、失い続けて。
それでも尚前に進む意志があるからこそ、ステラは星を追うようにしてたどる。
「
完全なる善性も
完全なる悪性も未来を一つに定めがちですねえ……」
手にした『小剣』の輝きをステラは見るだろう。
確かにヒトは完全たるを求める。
一点の曇りなきを求める。
だが、それが誤ちであるとは言わないだろう。不完全であるからこそ完全を夢見る。それは生命として完璧である。
「揺れ動くからこそ……ヒトのこの手は因獄の奈落から未来に手が届く!」
振りかぶる。
手にした『小剣』と己の心臓たる天使核が接続される。
猛烈なるエネルギーが増幅されたユーベルコードに寄って吸い上げられ、迸る雷の剣となって顕現する。
これは偶然であろうか。
それとも必然であろうか。
いずれにせよ運命は己の手の中にある。
揺れ動き、定まらぬからこそ可能性というのならば、ステラの手の中にある剣は可能性の具現。
「
トニトゥルス・ルークス・グラディウス!!」
振りかぶる光は、極大にまで膨れ上がっている。
ステラの瞳は輝く。
己が追う背中は、本当に未来に有るのかさえもわからない。けれど、それでも己が定めたものは揺らがない。
あれは起点であると同時に基点でも有るがゆえに。
「この一撃は貴方のような巨大な悪性を討つために得た力。思う存分、その身で味わってください!」
振りかぶった雷光の一撃が『ケルベロス・フェノメノン』へと叩き込まれる。
空を、天を染め上げる雷光。
その一撃は天をえぐりながら『ケルベロス・フェノメノン』の巨体を切り裂き、巨大なる傷跡を刻むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー!
それじゃボクが悪意ある存在みたいじゃないか!失礼しちゃうなー
ところでキミのおうちはどっちの方角?
ああ、あっちだね!と【第六感】で方角を差すとか、どんなところか、とかを感じたままで話して動揺を誘ってこう!
フッフッフ!
●例の当たらなければ
重力は面白そうだけど当たらなければ!と【第六感】回避!
そして…ボクの【第六感】によれば…っとぽんっとちょうど手の上に落ちる小剣をキャッチ!
これどーっかで見たことある気がするー
これは勘じゃなくて記憶!
ま、あとで調べよっと!
いっくよー!!UC『神撃』でドーーーーンッ!!
出会いっていうの運命だよ
どう避けるかじゃなく、どう立ち向かうかだよ
巨大な雷光の剣が見せた光の軌跡はそのままに禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の巨体に叩き込まれ、それを傷跡に変えた。
猛烈な光の奔流の中、『ケルベロス・フェノメノン』が咆哮する。
身に内包した軍事兵器の全てを開放し、圧倒的な火力が戦場に吹き荒れる。
「認めぬ。悪心抱くものを。悪性を持つものを。善性もちながら、一欠片とて持つものは、須らく滅ぼす」
咆哮は轟音と爆裂たる炎となって戦場をなめていく。
その最中を走る者があった。
「んもー! それじゃボクが悪意ある存在みたいじゃないか! 失礼しちゃうなー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は憤慨するように拳を突き上げ、迫るミサイルの一撃を衝撃波でもって吹き飛ばす。
爆風が吹き荒れる最中を走るのは、敵のユーベルコードの効果を受けるものであったが、しかして彼は止まらない。
「ところでキミのおうちはどっちの方角?」
『ケルベロス・フェノメノン』は『我等の惑星』と言っていた。
それが余程大事なものなのか。
それとも、それを使命としているのか。
いずれにしたって、自分たち猟兵を近づけさせぬというのであれば、それこそが敵の動揺を誘うものであろうとロニは思っていたのだ。
だが、その答えは苛烈なる猛攻によって妨げられる。
火力は消耗すれど、衰えることはなかった。猛烈な勢いで迫る炎。そのさなかをロニは己の第六感を頼りに走る。
いや、わかっていたことだ。
虫の知らせのように彼は爆風に飲み込まれる。
身を苛む重力は肉体を大地に押し付けるようにのしかかり、骨身をきしませる。だが、同時に彼の第六感は告げる。
「ここでー……キャッチ! ほらね!」
ロニが伸し掛かる重力に負けじと伸ばした手に『小剣』が落ちてくる。
それは『ケルベロス・フェノメノン』の体内よりこぼれ落ちた『小剣』。
呪詛と魔力の塊たる『ケルベロス・フェノメノン』から何故、これが落ちてくるのかはわからない。
「これどーっかで見たことある気がするー!」
手にした『小剣』が煌めく。
ユーベルコードの光を増幅させ、ロニの力を膨れ上がらせていく。
「これは勘じゃなくて記憶! ま、あとで調べよっと! それじゃ、いっくよー!」
振るう拳は重力に負けることはない。
振りかぶった拳は光に満ちていた。
信心なき者にさえ神々しさを見せる輝き。
神撃(ゴッドブロー)たる一撃は、強烈な衝撃となって『ケルベロス・フェノメノン』の体を打ち据える。
吹き飛ぶ巨体がダークセイバー世界の天にぶち当たり、亀裂を走らせ、また大地に墜ちる。
そのさまをロニは見やるだろう。
「出会いっていうの運命だよ」
悪性を抱くものを寄せ付けないために滅ぼすと『ケルベロス・フェノメノン』は言った。
わからないでもない。
悪しき者を遠ざけたいと思うのは当然のことだろう。
誰だって脅威には近づきたくない。運命であるという言葉で片付けたいとは思えないだろう。
でも、とロニは笑って言うのだ。
「それってどう避けるかじゃなく、どう立ち向かうかだよ」
ただそれだけでいいのだというようにロニは煌めく『小剣』の輝きと共に墜ちる『ケルベロス・フェノメノン』の立てる震動を感じるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ゾーヤ・ヴィルコラカ
禁獣ケルベロス・フェノメノン……なんて巨体なの。話には聞いていたけれど、直接となるとちょっと圧倒されちゃうわね。でも、欠落を失った今がチャンス、必ずここで倒すわ!
まずはともかく小剣に向かって〈ダッシュ〉、多少の怪我に構わず彼の攻撃を〈スライディング〉や〈結界術〉で強化した〈盾受け〉を駆使して接近するわ。拾えたら【UC:絶対零度の眼差し】(WIZ)を発動よ! いつもより威力も攻撃速度もパワーアップしてるから、息つく間も無いほど降り注がせるわね。
近づくすべてを恐れ拒絶するあなたに、この世界も、わたしたちも、負けるわけにはいかないの! さぁ、骸の海に還りなさいな!
(アドリブ負傷等々大歓迎です)
どんな強大な敵もいつかは失墜する。
どれだけその身に膨大な呪詛と魔力を宿しているのだとしても。それでもいつかは滅びるのだ。
ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)は巨躯たる威容を持つ禁獣『ケルベロス・フェノメノン』の姿を見やる。
話に聞いて知ってはいた。
なんたる巨体であろうか。
聞くことと直接見るのとでは、これほどまでに感じる重圧が違うのかと思えるほどの圧倒的な力。
力の塊と言っても良い。
まるで惑星一つを相手取っているようにさえゾーヤには思えたことだろう。
「でも……!」
そう、それでもゾーヤは前に脚を踏み出す。
いくつものユーベルコードの輝きが見せる軌跡を彼女の緑の瞳は映してきた。
「『欠落』を喪った今がチャンスなのは、言うまでもないわね! だから、必ずここで倒すわ!」
恐れも。
不安も。
何もかも彼女は飲み込んで足を踏み出し、走る。目指すのはか細い勝機たる『小剣』。かの『ケルベロス・フェノメノン』の体内から溢れる『小剣』こそが、『欠落』失ってなお、通常のユーベルコード、攻撃を寄せ付けない『ケルベロス・フェノメノン』を唯一傷つける可能性のある力。
あれがなければ、まともな戦いにさえならない。
だが、それをさせぬとと『ケルベロス・フェノメノン』の体内からミサイルの雨が降り注ぐ。
呪詛と魔力の塊。
吹き荒れる爆発と衝撃波がゾーヤの体を打つ。
痛みが、血潮が体中から噴出するように流れる。
結界術も役には立たない。簡単に砕かれてしまう。痛みに目眩がする。血を喪い過ぎたと理解できる。
「何故、前に踏み出す。貴様らのやることは理解できない。完全なる悪性でもなく。完全なる善性でもない。揺れ動くしかない貴様らが何故、そうまでして脚を踏み出す」
己のためでもなく。
何かを得られるものでもなく。
称賛も、感謝も乏しいものであろう。なのに、それでもゾーヤは前に進む。
「そんなの決まっているのよ」
感謝なくとも。
誰かに請われるのではなくとも。
悪性あろうとも。善性あろうとも。揺れ動く良心がある限り、ゾーヤは前に進む。
明けぬ夜に泣く者たちがいるのならば、ゾーヤは足を踏み出し、その手に『小剣』を掴む。
大地に突き刺さったそれを引き抜いた瞬間、ゾーヤの面が上がる。
その瞳はユーベルコードに輝いていた。
同時に、強烈なる意志を『ケルベロス・フェノメノン』へと放っていた。
「近づくすべてを恐れ、拒絶するあなたに」
それは正しい反応であると思える。
己を害する者を。己が守ろうとするものに近づく者を。
拒むということは護るということ。
「この世界も、わたしたちも、負けるわけにはいかないの!」
けれど、それは自ら一人の個であるのならば通じることだ。
ゾーヤは知っている。
この世界には多くが有る。個だけでは到底なし得ないものがあふれている。誰かと誰かの距離を埋めるものは一体なんであろうか。
わからない。
けれど、それでもと願う心があるからこそ、誰かの隣にゆくのだろう。
人は一人では生きてはいけないものだから。
だからこそ、ゾーヤの瞳は『小剣』によって膨れ上がった力の発露を見せる。
絶対零度の眼差し(コキュートス・アイズ)。
それは瞬時に『ケルベロス・フェノメノン』の頭上に氷塊を生み出す。
地には地獄の炎が満ち、されど、天には氷塊が生み出される。対極にあるのもの。理解を拒む炎を氷結させるユーベルコードの輝きが『ケルベロス・フェノメノン』へと襲いかかる。
「さぁ、骸の海へ還りなさいな! 咎人さん!」
墜ちる氷塊が『ケルベロス・フェノメノン』の巨体を押しつぶし、その巨体を霧散させる。
最期の一撃。
それを見舞ったゾーヤは緑色の瞳で砕ける氷塊と消えゆく地獄の炎を見やる。
「拒絶は、誰かを理解したいという心の顕れ。咎人さん、あなたもきっと誰かを理解したかったのよ。それをあなた自身が理解すべきだったのだわ」
ゾーヤは消えゆく戦いの傷跡を背に、獣の咆哮の残滓こびりつく耳に吹き込む風の音を聞くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵