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闇の救済者戦争⑱〜願い叫ぶは未来を掴む鍵~

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #闇の救済者戦争 #禁獣『ケルベロス・フェノメノン』


●点・錬・舌・発
「口にする、いや、実際に喋らなくて良いのだがね。ともあれ明確な言葉にする、というのは色々と大きいのだよ」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、まず目標を定め、イメージを練り上げ、その上で舌として発する、行動の手順を語り出した。
 漠然と思うよりも、明確な言葉にしてしまえば、より大きな燃料ともなる時もあらば、己を縛る鎖となるのかもしれないが。

「そういう訳だから、私はここで改めて語ろうか。舞台はダークセイヴァーが上層、禁じられた地獄の番犬が齎す死の宿命さだめを打ち破りに行って貰いたい」

 祈りの双子によって解き放たれた「究極禁獣」が一体の領域に辿り着いたのだ。
 そしてグリモアが輝きを見せて映し出すものは、見上げる程という言葉すらチープになる圧倒的な巨体を持った三つ首の獣。
 それこそが相手にするケルベロス・フェノメノンなる禁獣であるが――。
「単純に強い。まあ諸君らの中には、それ以上の体躯の相手に立ち向かった者もいるだろうが、まあとにかく侮れないことは違いない」
 単純に数百メートルを超える巨体というだけでも恐ろしいものがあるが、その中に無尽蔵の魔力とオーバーテクノロジーの兵器、ありとあらゆる軍事兵器を搭載したともなれば、ただただ戦うだけでも苦労は免れないだろう。

「それも然ることながらだけれど、本当に厄介なのは彼(?)の放つ【呪い】さ」
 ――曰く、ケルベロス・フェノメノンが体内に有している膨大な呪いが戦場にくまなく解き放たれ、ただ呼吸するだけでもその呪いが心身を蝕むのだという。
 そしてその強度は並大抵のものではなく、如何なる猟兵であろうとも命の危険がある、恐ろしく強い呪いだとも。
 しかしどうにもならない状況なら態々予知はしない、それを分かり切っている猟兵が覆す手はあるのかと問えば、スフィーエは頷いた。
「その通り。覆す手段、それは……君達の、心からの叫びだ」
 願い、欲望――それは即ち未来、生きることに属する力である。
 それを言葉とし、心から強く叫ぶことシャウトによって、蔓延する呪いを打ち破ることが出来るのだという。

「御大層な願いでなくてもいい。兎に角、君達が心から強く思い、願っていれば……それを言葉にして目一杯に叫ぶ。それでいい」
 例えそれが、楽しみに取っておいた冷蔵庫のプリンを食べたい、明日発売の新刊を買いたいなどの俗なものであっても――心から強く願い、己の生を繋ぐ鎖となるならば立派な魂の叫びにもなろう。
 死の宿命さだめを与える呪いが相手ならば、兎にも角にも自分が強く願うこと――それによって己の生を繋ぎ、地獄の番犬に立ち向かう力が得られるのだ。
「さて、叫ぶ内容は決まったかな? 急かしはしない。急いて死に向かわれたら、私の希望が無くなってしまうからね」
 定め、そして言葉とし叫ぶ準備を整えてから――いつもの冗談めかした笑みに、密やかに本心を交え。
 グリモアの薄金の輝きが、地獄にと続く門を開いていくのであった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 本気で願えばどんな願いだって強い願いとなるわけです。
 あれこれ理屈をつけたラスボスの願いを、単純な感情で打ち破るってエモいですよね。別に何かを指している訳でもないですが。

 ということで、何処かで聞き覚えのあるような無いような、かもしれませんが「ケルベロス・フェノメノン」との戦いとなります。
 戦場はケルベロス・フェノメノンの放つ呪詛が蔓延しており、ただ呼吸するだけでも命の危険がある危険区域です。
 呪いを跳ねのけるには、皆様の心からの願いや欲望を叫ぶしかありません。
 OPでも書いたように、本心で強く思って願っているならば、どのようなものでも構いません。とにかく、魂の叫びを見せてくださいませ。

●プレイングボーナス
 「魂の叫び」を放ち、死の呪いを跳ね除ける。

 プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 ボス戦 『禁獣『ケルベロス・フェノメノン』』

POW   :    グラビティブレイク・フェノメノン
【自身の肉体または武装】に触れた対象の【肉体を地表にとどめている重力】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    インフェルノファクター・フェノメノン
命中した【機械兵器】の【弾丸や爆風】が【炎の如く燃え盛る『地獄』】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    サイコフォース・フェノメノン
着弾点からレベルm半径内を爆破する【呪詛と魔力の塊】を放つ。着弾後、範囲内に【消えざる『地獄』の炎】が現れ継続ダメージを与える。
👑11
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御梅乃・藍斗
アドリブ、連携歓迎

重力の鎖を打ち込まれたはずの化け物
確かに究極の禁獣でしょうね
それでも立ちはだかるならやることはひとつです
指定UC発動、もう一度その身を地獄へ鎖してしまえ
【捕縛】【傷口をえぐる】【投擲】で降らせる檻の精度とダメージを増します

死の呪いがなんだっていうんだ
もうこれ以上、誰かから与えられたお仕着せの運命に弄ばれるなんてうんざりなんですよ
声の限りに叫ぼう

「僕は、僕の生を! 僕の罪とともに! 生きます!!」

【覚悟】なんてとうに決まっているんです
狂気にも激痛にも耐えてみせる
僕は僕の本願を果たしてからそちら地獄へ向かいます
ありえざるべき存在は一足お先に――お還りください



●宿命の檻
「我等が惑星ほしには、何人たりとも近づかせぬ。因果を手繰る鎖が導くその前に、ここで果てよ。我が鎖を与えよう。等しき死の宿命さだめを」
 戦場に足を踏み入れた途端、山、否、山の如き巨大な威容を放つ三つ首の化物の声が悍ましく響き渡る。
 御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)は禁獣の圧倒的な覇気に、思わず生唾を飲み込むと、途端に胸を掻きむしった。
「ッ、カハッ……!」
 意識した呼吸などしていない――無意識下、生物ならば誰もが行う微妙な息のやり取りにも関わらず、容赦なく場に満ちる呪詛は藍斗の身を蝕む。
 それでもここで挫けてはいられない、死の呪いに抗うべく、藍斗は胸の前で拳を握ると。
「僕は、僕の生を!」
 ――死の呪いは身体だけではなく、心をも容赦なく蝕んでいく。
 悍ましい呪いが頭の中で重低音を響かせるように囁くのだ、今更生きるのか、お前に生きる意味も、価値もあるのかと。
「僕の罪とともに!」
 それでも、叫ぶのだ。
 帰る場所、帰りを待つ者を失い、それが己の咎であろうとも。
 その咎が自らを苛め続ける楔となろうとも、その楔を抱えて歩みを止めぬ決意を、今此処に示すように。
「生きます!!」
 確かな叫びが響き渡り、場を濁らせていたかのような何かが揺らぎ、薄れ消え去っていくようにも見えた。
 最早死の呪いが――例え強大な呪いは絶え間なく心を蝕む毒となって襲い掛かろうとも、言葉にし口に出した思いは、死を遠ざける。もう、死の誘惑には屈しない。
 震えた空気の中、死の呪いを跳ねのけ己を睨みつける矮小な存在藍斗へと、禁獣は戦意を認め、手を伸ばすが、藍斗はそれを軽く後方に跳躍して躱し。
「僕の前に立ちはだかるなら、やることはひとつ」
 敵は確かに強大、重力の鎖を打ち込まれた禁獣というだけあって、死の呪いを跳ねのけて尚、その圧倒的な存在感と覇気は恐ろしい。
 されど――倒す。その為に死の呪いを跳ねのけ、覚悟を此処に示したのだから。
 収容よりも、速やかな駆逐を。
 見上げるほどのそれを強く睨みつけ、戦場に幾百もの鋭利な鉄格子が降り注ぐ。
 禁じられた獣を納めるケージのようでいて、それよりも苛烈な処刑し納めるが如く、容赦なく獣の傷口をも抉り、檻に閉ざしていく。
「ありえざるべき存在は一足お先に――お還りください」
 必ず、自分は自分の本願を果たしてからそちら地獄へと向かうから。
 とうに決まっている覚悟を改めて示すように、重力の鎖にと改めて獣を落すように鉄格子が更に更に降り注いでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
イグニシオンに[騎乗]しての[空中戦]
鍵となるのは魂の叫びって話だ
[オーラ防御]と[結界術]による多重障壁で身を守りつつ、全霊を込めて叫ぶぜ

「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
大事な人がいる。シンプルでありがちな理由だがこの意思は何よりも強い
かつて小剣に願いを込めて叫んだ他の世界の誰かのように願いを込めて打ち砕く
「宿命なんて、乗り越えるためにある!」

奴に直接触れないよう[心眼]でしっかり動きを[見切り]ながら攻撃
焔の太刀と焔の波動による波状攻撃で攻め立て、ここぞのタイミングを見極めてUC
最強最大の攻撃をぶっぱなし、倒し切れなきゃそのまま真下に戦線離脱
後は任せるぜ



●単純故に覆し難い理由
 キャバリアのコンソールに映る、この戦場を満たす呪詛の瘴気は明らかな危険区域レッドゾーンを訴えていた。
 キャバリアの周囲に障壁を張り巡らせ、侵入を防いでも呪詛の威力は半端ではなく、砂糖菓子のように容易く崩れていく。
「俺には! 大事な人がいるッ!」
 ならば一刻も早く、魂の叫びを響かそうか――久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)はコックピットの中、深呼吸の後に高らかに、拡声器を通じての声を響かせた。
 頭の中にイメージするのは、他ならぬ最愛の人ソラ――その人を置いて死にたくはない、単純にして何よりも強い想いを示すように叫ぶ。
「その人と添い遂げていく為にッ! ここで死ぬわけには、いかないんだッ!」
 拡声器によって広げられた声が、耳をつんざく程に響きを残す。
 思い描く、添い遂げ幸福な未来を築く道筋を生きて迎える為に――何よりも彼女を置いて死にたくない、悲しませたくないという確かな強い想いが、死の呪詛を払いのける。
「輝けイグニシオン、俺達の未来を守り抜くために!」
 それはかつて、小剣グラディウスを手に願いを込めて叫んだ、何処かの世界の誰かのように力強く――呪詛を払いのけた遥翔の声に幾許かの沈黙の後、禁獣が口を開いた。
「――ならばその未来を“押し潰そう”か。重量の鎖に捕らえ、死の宿命終焉を与えよう」
「なにが宿命だ!」
 禁獣が悍ましく言葉を告げ、遥翔をキャバリア諸共押し潰さんと手を伸ばす。
 単純な体格差の質量と、触れた者に容赦なく重力の楔を打ち込むそれを、しっかりと見極め、横跳びに躱し。
 漆黒の刀身を持ち炎を盛らせる太刀を持って踏み込み、擦れ違い様に一閃――長大な太刀の鋭く重たい斬撃と、流し込まれる炎が禁獣の身をいていく。
 無論、想定される反撃も、また禁獣の放つ重力に囚われぬように適切に動きを見切り乍ら、何度か叩き込んだ太刀と焔の波動による波状攻撃に、禁獣が怯めば。
「宿命なんて、乗り越えるためにある!」
 ――決めるとしたら、今。
 死の宿命を乗り越えることを、今示すようにキャバリアの掌を開き、それを力強く突き出して。
原初励起イグニッション。今の俺の全力を以て焼き尽くす」
 収束する、青く黒い業火。
 示したる魂の叫びが、そのまま、否、ある意味それ以上の熱量と化したかのように、突き出された掌の前で渦を巻き激しい熱気が周囲を揺るがせる。
「――イグナイト・ノヴァ!!」
 放たれる焔の波動砲――場に満ち溢れた呪詛諸共、全てを焼き尽くすように、熱く、激しく盛り解き放たれて。
 それは数百メートルにも及ぶ禁獣の身体すらも容易く包み込み、かの獣の身を焼き包んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
超強火力愛妻家

いつか陽織(亡き妻)に、胸をはって会うその日まで!(=成仏する日)わしは歩みを止めることなどない!!
それこそ、わしが戦う理由の一つだからな!

とにかく、その機械兵器?とやらの攻撃に当たるわけにはいかんな!
弾丸は視力によりよく見切り回避。飛ぶ方向はわかるからな。
爆風は、中の『疾き者』が逆風結界で防いでくれておる。

そして、UCにて攻撃をしよう。はは、呪詛まく相手に呪詛とは、愉快な!
だが、それに加えて黒燭炎による突きの攻撃をな。早業でのダッシュの勢いもつけていこうか!



●呪詛とまじないを分けたるもの
 ――呪いを振り撒くもの悪霊に呪詛など、何とも愉快な話ではないか。
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)――正確には、内に潜む【火】が人格、『侵す者』――は口角を釣り上げた。
「何故に抗う。何故に……滅びに身を委ねぬ?」
 場に満ち溢れた呪詛により、何もしなければ死――更に言えば「霊」として死の安らぎがあるだろうにと、禁獣は戸惑いを交え問いかけた。
「知れたことよ!」
 侵す者は場の呪詛に、一切の怯みも苦しみも顔に表すこともなく、只管に豪快に笑ってのけては、力強く己の胸を叩いた。
「いつか陽織亡き妻に、胸をはって会うその日まで! わしは歩みを止めることなどない!!」
 確かに――亡き妻に会いたくないか、と言われれば間違いなく会いたい、と言える。
 そして死人は死人として、いつか何処かで在るべき所に逝くが宿命さだめなのかもしれない――が。
 ここで安易に死の誘惑に屈するのは、最愛の妻に顔向け出来ると、言えるのだろうか?
「それこそ、わしが戦う理由の一つだからな!」
 答えは否。だからその時まで、再会成仏する時まで、懸命に、死力を尽くし燃え盛ろう。
 豪快に笑って言ってのけた侵す者の周囲には、最早昇天の誘惑は寄り付かず。
「――そうか。愛と義を以て歩む者よ。敬意は表そう。されど我等が惑星ほしに近づけさせるわけにはいかぬ。滅ぶが良い」
 言うが早いか、禁獣は身体に幾つもに埋め込まれた兵器より、銃弾、ミサイル――おおよそ思いつく限りの大火力を解き放った。
「おおっ!?」
 されど飛んでやってくる物騒なものには変わらず、過度に恐れることもなく、飛来するミサイルや銃弾の軌道を見切り、適切に躱していく。
 着弾する破壊兵器の地面を陥没させる勢いには感服するも、さりとてそれに恐れは見せず、果敢に踏み込みながら攻撃の合間を潜り抜ける。
 弾丸の直撃を避けても、爆風が襲っては来るが――そこは同居者疾き者の張る結界が防いでくれる。
「はは、愉快、愉快――!」
 まずは一手、解き放つは四悪霊馬県義透が圧縮した呪詛、敵への贈り物。
 行き先を違えぬ呪詛の凝縮された一発が盛大に爆ぜ、禁獣の巨躯を怯ませながら、その生命力を侵す者へと記憶させる
 そのまま侵す者は黒い槍をその手に力強く駆け出し、踏み込んでは覚え込んだ生命力の導きに――風に乗り炎が導かれ盛るかのように、間髪を入れずに深々と槍を禁獣の身体へと突き立てる!
「グォォォッ?!」
 呪詛によって映した生命力の導きに従い、より正確に、そして力強く突き刺された槍の痛みに苦痛の雄叫びを上げる禁獣へと。
 黒く濁った炎が、獣の身体に次々と燃え移り、天をも焦がす火柱と成りて獣の身を貫いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アトシュ・スカーレット
【SPD】
魂の叫びの途中で真の姿に変わります
異端の神々としての姿です(設定資料参照)

くっそ、オレ相手に呪いをかけようなんざ、商売敵かっつーの!
…と言っても、無効化したくても、今回はできないけどな
取り敢えず…ずっと思ってたことを叫ぶか

「……ふざけんな」
「いい加減にしろ!!世界どいつオブリビオンこいつも!!なんで理不尽ばかり強いるんだよ!この世界で生きてる人たちが何をした!!今を必死に生きてるだけだろうが!!!」
「あの人達はみんな!!この絶望から救うべき人達だ!オレたちが救うと決めた人達だ!」
「だから…オレたち猟兵は!テメェらなんかに負けるわけにはいかねぇんだよ!」
(ここで真の姿に変わります)

この姿だとなんか浮く(空中浮遊)んだよな…
UCを起動させて、奴さんの攻撃は【見切り/残像/空中機動】で避けていくぞ

呪いの棘を剣型に具現化させて、【呪詛/禁呪/属性攻撃(腐敗)/武器を投げつける/カウンター】で攻撃していくぞ!

アドリブ、共闘大歓迎



●破滅の絶望を存続の希望へと
 毒蛇が己の毒で死なぬように、呪いを扱うのならば呪いに対して簡単に呪われないというのはある種の当然である。
 それでいて尚、近づくことすらも困難で、真面にそれを取り入れてしまえば心身を千々に切り裂かれてしまいそうな呪詛を感じられて。
「くっそ」
 商売敵かっての――アトシュ・スカーレット(神擬の人擬・f00811)が悪態をついてしまうのも、無理からぬことだった。
 態々に手を下すまでもないと判断しているのか、禁獣は彼からすれば米粒一つに過ぎないようなアトシュを見下ろしながら――
「大人しく、死の呪いに屈せよ。死は安らぎ。重力の鎖に抱かれ縛られて眠るが良い。それこそが我が汝に、か弱き者共に与えうるせめてもの慈悲」
 ――故に態々に埋め込まれた超兵器の数々を使うまでもなく。
 この場の猟兵も、そして猟兵達が守るべきものである、闇の世界の弱き民ですらも全て飲み込み破滅させるという声に。
「……ふざけんな」
 ――何かが、切れる音がした。
「いい加減にしろ!! 世界どいつオブリビオンこいつも!!」
 呪いを跳ねのける為という目的よりも早く、この言葉は腹の奥から引き起こされる。
 界を渡り歩き、そして今ここにいる闇の世にも多く見てきた。
「なんで理不尽ばかり強いるんだよ! この世界で生きてる人たちが何をした!! 今を必死に生きてるだけだろうが!!!」
 ――だからこそ、この心の奥底にある救いを齎さずにいられない本能は、強く強く叫ばせる。
 理不尽を許すな。
 懸命に生きる者への蹂躙を許すなと。
「あの人達はみんな!! この絶望から救うべき人達だ! オレたちが救うと決めた人達だ!」
 救うと決めたからには、ここで死の誘惑に屈する訳にも、そしてまた禁じられた獣に潰えるのも、我慢ならない。故に掌を心臓に当て。
「だから……オレたち猟兵は!」
 ――力強く、一歩を踏み出す。
 それと同時に、アトシュの身体が暗い靄へと包まれていき――
「テメェらなんかに負けるわけにはいかねぇんだよ!」
 其処に現れ出でたものは、一つの錫杖を手に持つ存在。
 暗いヴェールのような衣装に身を包み、夜と異端を化身したかのような、目の前の禁獣にも劣らぬ「神」の威容。
 微かに地の重力より放たれ浮きながら、金銀の異なる虹彩が禁獣を見据えていた。
「それでも……」
 アトシュの、猟兵達の言葉に何か思うところでもあったのか、無感情な、だからこその強き意志を伺わせるような声が返る。
 そして突如として、急激に何かが弾け飛ぶかのように、禁獣の背に生え揃った数多の超兵器の数々が一斉に弾を構えた。
「我は至らせぬ! 我は我の救うべきものの為に! 重力の鎖を以て、絶望みらいへと堕ちよ!」
 解き放たれるのは、絨毯の如く覆うように巡る弾丸、爆薬の嵐――爆風が地獄の業火とすらも化す、焦熱地獄に周囲を変える攻撃。
 烈しい気合の雄叫びと共に放たれたそれを、アトシュは吐き捨てるように。
「そうかよ」
 二つ異なる虹彩をしていた眼が揃うように、青味がかった銀色へと変わる。
 十秒。
 その先の未来、無策であらば超兵器の圧倒的な蹂躙に潰える未来がその眼に映る。
 映るならば回避すれば良い。
 着弾よりも先に、その地点から逃げ、爆風が地獄の業火と化しても及ぶより先に及ばぬ場所へと一直線に。
 隙間なく埋め込まれようとする弾幕が、隙間を無くす前に隙間を縫うように飛び、悉くの攻撃を躱し抜き。
「なら……その絶望みらいを塗り替える!!」
 人を呪わば穴二つ――戦場に呪詛を広げるならば、呪いによって潰えるもまた道理。
 アトシュの持つ膨大なソーンを剣の形と為し、それが真っ直ぐに投げ放たれれば――強大な筈の巨躯が、徐々に腐り落ちていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

禁獣!?ケルベロス…地獄の番犬め!
このベルト・ラムバルドが神話の英雄が如く功業を立ててやる!

…なんという寒気!これが呪詛か!?
…恐れるな私…ここに御守りがある…愛しき彼女がくれた御守りだ!
そうだとも!
あのデッカイワンコをきゃいんと鳴かせて彼女の御顔と豊かな肉体セクシーボディをこの眼で見たいんだよ!
これぞ愛の力だー!

キャバリアで突撃!
呪いなんざ呪詛耐性と覇気で吹き飛ばす!
空中機動で飛び回り敵の重力なんぞ高・低重力適応で突破する!
あの二刀の剣で二つの首を切り捨て
最後の首にサークランサー突き刺して零距離射撃荷電粒子ビームをお見舞いしてやる!
巨人殺しだ!尻尾まいて地獄に帰れってんだ!



●愛の炎といえば聞こえは良いが
 キャバリアの体躯を以てしても、見上げるというだけで済まされない圧倒的な巨躯。
 全身から発せられる呪詛と、身体に備わった兵器の数々がこの禁獣の力を否応なしに証明していた。
 これが地獄の番犬ケルベロスか、いや、それよりも――
「……なんという寒気! これが呪詛か!?」
 唯でさえ禁獣の威容の恐ろしきに加え、呪詛も加えてとなると――だが倒せば神話の英雄が如きだ。このベルト・ラムバルド(自称、光明の宇宙暗黒騎士・f36452)が功業を立ててくれようと、改めての決意をし。
「恐れるな私……そうだ、私にはこれ・・がある!」
 まずは呪詛を跳ねのける――その為にベルトが懐から取り出した、とある物とは。
「はぁぁぁっ……想い重たく、されど我が心満ち……ふぉぉおっ!」
 何を隠そう、愛しのマドンナの手製のお守り髪の毛を織り込んだ呪物だ。
 とても重たい想いの籠った逸品だ。見ているだけで胸がきゅっと締め付けられ動悸を招くものがあるが、だがそれがいい。
 彼女の存在を、匂いを、強く感じる――ああ、一刻も早くこの巨獣を打ち倒し、その豊満な肉体セクシーボディをその眼で見たいと。
「……」
 キャバリア越しにも感じる、何やら桃色めいた気配が腹立たしいことに呪詛を跳ねのける光景が見える。
 無性に苛立つ何かを覚えながらも、禁獣は一思いに叩き潰しにかかるが、呆気なく躱されて。
「これぞ愛の力だー!」
「煩悩の間違いだろう」
「ちっがーう!!」
 愛の力だ。誰が何と言おうと、燃え上がるような愛の心バーニング・ハートなのだ。
 この重く籠った思いの力がキャバリアを飛ばす。
 重力の軛になど捕らわれずに、鬱陶しい羽虫のように禁獣の周囲を飛び回りながら、二刀を構え――刃をその身に走らせる。
「ワンちゃん。こんなデカいんじゃあ、自分より大きな相手って、したことないだろう?」
「誰がワンちゃんだ」
「だから分からないだろうが……自分より強くて大きくて偉そうな敵を倒したら気分がスカッとするッ!」
 首を瞬く間に深く斬り裂かれ、二つの首より苦し気な息を漏らしつつ、残る一つ首にもまた深く槍を穿たれながらも、ベルトの言に淡々と突っ込みを入れる。
 されど淡々としたそんな突っ込みも華麗にスルーしては、コックピットの中でベルトは――堪らなく悪い笑顔を浮かべていた。
「つまり今がその時だ!」
 突き立てた槍より迸る稲光。
 エネルギーを極限以上120%に籠めたそれが今、解き放たれる。
巨人殺しジャイアント・キラーだ! 喰らえッ!!!」
 相手が強く、大きく、偉さそうであればあるほどに威力を強く発揮する大物狩りの加護を以て、迸る荷電粒子の熱量を何処までも高め。
 閃光に包まれ全身より噴き上げる白煙の膨大なることが、場を覆い尽す中でベルトは禁獣へと吐き捨てるように告げた。
「尻尾まいて地獄に帰れってんだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
完全に悪い方でもないように見えるので、話し合いができそうにないのは残念です。
ケルベロスさんにも譲れないものがあるのでしたら。
「正々堂々戦いましょう……わたしは、わたしが護りたいもののために!」

機械翼「カノン」の各スラスターの出力と推進方向を独立操作し、変則的な【空中機動】で敵の攻撃を回避。
躱しきれない場合はサイキック【オーラ】で防御します。
こちらの攻め手は【Ψ:M.エリミネーター】、スラスター6基すべてを変形させての一斉射撃ですけど、立ち回りはその時の重力次第ですね。
重力が軽ければ、回避重視で空中機動を続けながら変形と攻撃を繰り返します。
逆に重ければ、着陸して防御を固め固定砲台といきましょう。



●相容れぬ守りたいもの
 数多の必殺の奥義を受け続けて尚、生命の威容を衰えさせない禁獣が、その命の炎を燃やし尽くすかのように戦場に黒い靄を満たす。
「行かせぬ……! 我が身滅ぼうとも、例え善であろうとも……我等が惑星ほしは……必ず……!」
 ――彼も彼なりに、守りたいものがあるのだろう。
 そのやり方はどうあれ、立ちはだかる威容と語られる言葉に――この身を蝕む呪詛すらも、彼の心の悲痛を何処か感じられた。
「あなたにも、譲れないものがあるのですね」
 もしかしたら完全な悪ではないのかもしれない、しかし対話の道は明らかに閉ざされているのが、ありありと感じられる闘志と呪詛からも分かる。
 呼吸すらも命に関わる中で、レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は敢て言葉を発してみせた。
「……無論ッ!」
 ――嗚呼、嗚呼。巡り合わせの因果とはかくも嫌なものか。
 されど――このまま死の呪いに屈し、彼に全てを譲る選択肢というのも、またレナータには存在はしていない、故に彼女は大きく息を吸い、そして吸い込んだ呪詛諸共吐き出すように叫ぶ。
「正々堂々戦いましょう……わたしは、わたしが護りたいもののために!」
「ならば我は、我が守るべき惑星ほしのために!」
 ――勝負!
 敢て言葉に出さずとも、互いに交わした言葉が決闘の始まりを告げる落とされたコインのように。
 確かに決めた決意の下に、呪詛を払いのけた天使と、呪詛の代わりに闘志を昂らせた禁獣が相対する。
 レナータが背の地獄と化した翼を燃料に盛るバックパックのスラスターを噴き上げれば、それと同時に、力強く禁獣の前肢が打ち下ろされる。
 数百メートルを数える超巨大な肉体の質量はそれだけで戦場を制圧する兵器に相応しく、全力でスラスターを噴き上げ、それぞれのスラスターを独立させるように変則的に軌道を操作しても尚、避けるのは難しく。
 寸での所で過ぎ去ったそれを、全身の力を振り絞る勢いのオーラで漸くに防いでも――僅かに触れたのを皮切りに。
「あっ……!」
「押し潰れろ六番目の猟兵よッ! 重力の鎖が堕とす破滅への碇だッ!」
 重力の鎖は完全にレナータを捉えていた。
 堪らずに飛行を諦め、地に降りるレナータへと、禁獣はより強い重力を重ねていき彼女を圧殺しようとする。
 全身の身体と、背中のユニットが悲鳴を上げていくのを感じつつも、レナータは確りと地面を踏みしめる――圧される重力により己の足が沈もうとも、それも厭わずに。
「……それでも……」
 どうせ動けぬならば、スラスターを砲へと変形させる過程で、機動力を捨て去り防御を固め。
 己を圧する重力の傘に対して抗う力を得――全ての砲を、ここに禁獣へと突き付けた。
負ける潰れるわけには、いきませんッ!! この装備の真価、見せて差し上げます!」
 六門の砲より一斉に放たれた灼熱の閃光が、次々と禁獣へと突き刺さる。
 互いに声なき声で叫び、重力の圧と熱線をぶつけ合い――やがて、泥仕合と言って良い打ち合いを制した天使が力強く立つのは、遠からぬことだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

死地に堂々と二人で征く

即消し炭にされそうな相手と思うけど
対処の仕方が分かってるなら
絶命の罠も乗り越えられる
不可能事を可能に出来るのが魂の叫びなら
俺の言葉はもう決まってる

一瞬だけ技能で防御し全霊を籠め叫ぼう
「護るべきを護り!」
敵をしっかりと見据え
「力無き者たちの盾となる!」
俺を導いてくれた二つの結社
「それが今も変わらない俺の誓いだ!」

言い切るともう呪いは感じない
即時UC『護の誓い』詠唱
即座に俺は、そして同じUCを選んだ陸井も
大人の能力者の全盛期の姿を取り戻す

叫んだ通りの誓いで俺達の戦いは始まる
一歩も引かず戦い続ける限り敗北はない
「陸井と一緒なら何も恐れるものはないさ」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と参加

呼吸するだけで蝕む呪いって言うのも厄介だな
けど、それでも前へ、目の前の敵を倒し切る為に

俺にとってその言葉は
俺が歩む力になるように
時には仲間達が目にして志せるように
更には、護るべき人達が背の文字を見て安心できるように
身に纏う文字だと思っている
「だけど…心から願い、己の生を繋ぐ言葉なら」

敵と呪いに相対し、武器を構えて
強く思いを込めて叫ぶ
「世界を、仲間を、護るべき人達を。俺は、護る!」
叫びながら【護の誓い】を使用
イグニッションカードを使用したあの頃の
全力の力を扱える姿に変身して戦う

この思いも誓いも全て、全力の力にして相棒と戦う
「それに何より…独りじゃないから、戦える」



全盛解放イグニッション
 ここから先に入るものは、一切の生きる望みを捨てよ――そんな言葉すらも頭の中に響かせられるような、濃密な呪詛が行く手を阻んでいた。
 意識して息を止めていて尚、自然と呼吸器に入り込む分ですらも、耐え難い吐気、身体の内側に突き刺された何かが暴れ回るような耐え難い苦痛を齎してくる。
(呼吸するだけで蝕む呪いって言うのも厄介だな)
 言葉を発するのは今ではない。故に目線だけで、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は隣を堂々と行く葛城・時人(光望護花・f35294)に訴えた。
 陸井の目線で訴えた言葉を知ったか知らずか、ただ陸井を一瞥してから、改めて時人は前を向き、一歩一歩、確り地を踏み抜く勢いで歩みを止めず。
 この呪詛を乗り越えて尚、立ちはだかるは自分達など塵芥に過ぎないのではないかと思わせる、圧倒的では留まらぬ巨躯を誇る相手。
 それでも――前へ、前へ。
 死の呪いを跳ねのけ、目の前の相手を討つ。確かな信念の下に死の呪いが徐々に身体を蝕む苦痛をも厭わずに進むのだ。
「……」
 そんな彼等を禁獣は手を出すでもなく、ただ悠然と見下ろす――死の呪いに屈するのならば、態々手を下すまでもないと思っているのだろうか。
 それならばそれで良い――時人はここが決める時機チャンスであると決めると、体内から力を振り絞り張り巡らせた結界で陸井と共に己の身体を包む。
「だけど……心から願い、己の生を繋ぐ言葉なら」
 呪詛の侵略が一時止まり、漸くに生の声を発することが出来れば、陸井は時人に告げる――今こそ此処に示す時だと。
「……行こう」
「ああ」
 陸井が時人の背を促すように軽く叩けば、時人は頷き、そして改めて禁獣へと二人揃って目を向けて。
 そしてそれぞれ、腹いっぱいに空気を取り込む。呪詛を阻んでいる状況もあと僅か、それまでの猶予を全て、この魂の叫びに費やすように。
「護るべきを護り!」
 口火を切ったのは時人、吸い込んだ空気を一気に吐き出すかのように誓いの言葉を、ここに示していく。
「力無き者たちの盾となる!」
 敵は強大、見ているだけで押し潰されそうな覇気にも恐れず、共に立つ友の存在も支えに、誓う言葉を只管に。
「それが今も変わらない俺の誓いだ!」
 ――あの日から。家族を惨殺されたあの日から戦い続けてきた信念。
 己を導いてきてくれた二つの結社、己を象ってきた今までの縁への感謝、傷つけてきた者への謝罪、その全てを背負って、彼はここに誓い立つ。
 その一方で、短刀銃を取り出し、銃口を確りと禁獣へと突きつけ、陸井は一歩を更に踏み出していった。
 高らかな叫びを示す時人に、彼は己の背を――その背に雄渾に描かれた、かけがえのない誓いの一文字を示すように。
 ――この言葉は自分が歩む力となるように、時には仲間達が、実際に背中で示している友が目にして志せるように。
 その言葉で為すべき者が、この字を見ることで安心できるように。
 身に纏う――着流しに凛と刻まれたそれを文字通りに身に纏うものとして。
「世界を、仲間を、護るべき人達を。俺は、護る!」
 一つ一つ区切る。
 それを為すべき対象を、それを為す自分の存在を、そして為すべきことを――只管に力強く叫ぶ。
「この字にかけて!」
 故に改めて陸井は禁獣へも、その背を――彼にとっての誓いの一文字、着流しの背に大きく描かれた【護】の一文字を強く、示す。
「団是にかけて!」
 そしてまた時人も同様に、確かな正しいものを示すように誓いを叫べば、その言葉をトリガーに彼等の内側より激しい闘気が渦を巻く。
 ――叫ぶ一時を稼いでいてくれていた障壁はとうに崩れている。
 だが場を満たしていた呪詛が最早彼等の心身を侵すことはなく、そしてまた彼等が戦いに挑むにもまた最早迷いなど存在しない。
「勇気ある者よ、護る志に溢れた者よ」
 彼等の示した誓いの言葉に漸くに重々しく禁獣が口を開いた。
「されど汝らが涅槃にも満たぬ可能性と言えど、我等が惑星ほしに邪悪として到るもの捨て置けず――滅べ」
 解き放たれる最新鋭の超兵器の数々、ミサイルが飛び交い爆風が地獄の業火と化し彼等を襲うも、一瞬で飛びのくと同時、懐より一枚のカードを彼等は取り出した。
 そして彼等は――この言葉を叫ぶ。

「「――イグニッション!!」」

 懐より取り出されたカードが輝き、超兵器の放った爆風が晴らされる。
 其処に在ったのは、全くの無傷に燦然と立つ二人の能力者――銀降る雨に誓う世界で戦ってきた能力者の、最盛期たる姿が、体躯で圧倒的に劣ろうとも、その覇気たるや決して禁獣に勝るとも劣らぬ姿にて相対する。
「それに何より……独りじゃないから、戦える」
「陸井と一緒なら何も恐れるものはないさ」
 改めて二人、隣共に並び立ち、それぞれ得物を構え禁獣を見据え――同時に誓う。
「「護ろう、この世界を」」
 片や錫杖をその手に、白き羽の煌めく神の御使いが如き燐光を放つ蟲を。
 片や短刀銃をその手に、四つの龍を連ならせた印字を浮かべ滅する弾を。
 例え禁獣が彼等を息吹一つで吹き飛ばす勢いを以て、凶悪な超兵器の数々をぶちまけようとも彼等の行く手を阻むことは能わずに。
 ――彼等二人の放つ能力者の矜持アビリティが禁獣を深く、強く貫くのは、誰もが疑わぬことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
あぁ、あぁ!!!こんなにも!こんなにも呪いが、呪詛が濃く!!!
どれほど、お前はどれほどの呪詛をため込んでいるのですか、ケルベロス・フェノメノン!!
これほどの死を、呪詛を、目の当たりにして、あぁ、我が心は震え、蝕む!!
これほどの呪詛は、もはや“お宝”です!!
我が身にため込まれている呪詛に勝るほどの、この死は!!呪いおたからです!!!
あぁ、欲しい―――強欲なるこの身、たかだか呪詛のひとつに、これほどまでに、私は今!!!焦がれている!!!

死の呪いを打ち破る叫び
それは、“死の呪いへの渇望”
強烈な死を目の当たりにした震え
これは臆病風でも武者震いでも無い
歓喜の震えだ

この呪詛も、我がモノに
【死霊の海賊】を解放
内に溜まっている数多の呪詛毒、『Curse Of Tomb』と『Dead or Die』を可視化できるほどに具現化し、戦場に散布しつつマントとして纏う
現在進行形で呪詛を取り込みつつ、己を強化しつつ、その身でケルベロスへ挑む
様々な呪詛を与えながら、呪詛で己の身体を強化しながら



●捲られた札が嗤うように踊る
 ――息を吸って吐くだけで、命に関わる呪いと警告されていたのにも関わらず。
 この場に足を踏み入れた一人の猟兵は、敢えて息を吸ってその呪詛を取り込んでしまっていた。
「ッ……ぁ……」
 案の定というべきか、呪詛に蝕まれその身体がぐらついていく。
 シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海グリードオーシャン・f03214)の様相に、態々に手を下すでもないと興味を無くし、禁獣は意識を彼女から外す。
 しかし――
「こんなにも……こんなにも濃く! どれほど、お前はどれほどの呪詛をため込んでいるのですか、ケルベロス・フェノメノン!!」
 ――向けられた声と、浮かべられた表情はまるで。
 恋焦がれた存在ものに漸くに出会え、そして手が届きそうになっているかのような、何処までもそれを愛おしむものではないか。
 外れかけていた意識がシノギへと強制的に向けられ、禁獣は危機感を覚える――何しろ。
「あああぁ、ぁあ、あぁぁぁっ!!」
 自らの身体を抱き、細かく忙しなく身を打ち震わせている姿。
 間違いなく死の呪いが身体は蝕んでいるのだろうが、その心までは――まるで蝕まれていないどころか、歓喜に打ち震え逆に糧となっているかのようにも思えた。
 故に禁獣は、これはただ侮ってはならない何かを感じては、分かりやすく一歩を引いて――そしてシノギは歓喜の声を紡ぐ。
「あぁ、我が心は震え、蝕む! これほどの呪詛は……」
 これまでも、数多の呪いおたからは溜め込んできたつもりだった。
 決して一朝一夕に非ずの呪いおたから。その数も膨大と呼べるはずだったのに。
 なのに、なのに、なのに!
 この戦場に綿密に繰り広げられていく、耐え難い呪いは、こう叫ぶ他ない――!

「お宝です!!」

 ――嗚呼、逆にこうした叫びで跳ねのけてしまったのが、寧ろ惜しくも思える程に。
 だが生きてそれを味わいたいという、強い欲望が、死を跳ねのけ喰らう覇気を与えてくれる。
「欲しい!! ああ、欲しい欲しい欲しいィィィィーーーーッ!!」
 これほどまでに焦れてる。
 たかだか呪詛の一つに焦れている――だからこそ奪いにいくのだ、海賊らしく。
 漆黒の海賊コートを纏い、死霊の海賊を統べる女王と化しては、蓄積し続けてきた亡霊オブリビオンの呪詛を、宝の呪詛を、組み合わせた呪毒を広げていく。
 目にハッキリと見える程に濃密に、禁獣の放つ呪詛すらも取り込み、押し返すほどに濃密なそれが容易くに巨躯を蝕み、砂糖菓子が崩れるかのように巨躯を崩していく。
 一歩は後れてもこれ以上は――シノギへと目掛け、備わった兵器の数々を向けんとしたが、彼女の叫びが禁獣の身を震わせる。
「私が、私達が、憎たらしいですかケルベロス・フェノメノン。呪詛を喰らい、お前を踏み越えお前が守ろうとするものに到ろうとする私が、私達が!!」
「ッ……!」
 禁獣が広げる地獄すらも、まるで天上の楽園であると示すかのように。
 シノギの身体から広げられ続ける呪詛が、逆に禁獣の放つ近代兵器の爆風と、それが齎す地獄の業火すらも蝕み、腐り落としていく。
「憎らしければ憎みなさい。そうなったお前を倒す事で、私はまた一つ強くなります」
 ほら、このように――嬉々として嗾けられた呪詛が、ずぶり、ずぶり、ずぶりと。
 まるで愛しき恋人か友人に熱い抱擁を交わすかのように、泥沼に陥るかのように突き刺さり、自らの身をも斬り込ませ、禁獣を容赦なく打ち据え続ける。
 死に到る呪詛をその間も何度も喰らい、何処までも何処までも、喰えば喰うほどに己を高めていくのを感じながら――
「――最高の……“祝福”を、ありがとう」
 なんと満たされることか――全てを喰らい尽くし、これ以上と無い程に満ち溢れる祝福の手応えを此処に感じ。
 死の呪いに全てを奪っていた地獄の番犬は、その死を逆に奪われる末路と相成っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月18日


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#ダークセイヴァー
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#ダークセイヴァー上層
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#闇の救済者戦争
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#禁獣『ケルベロス・フェノメノン』


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト