闇の救済者戦争⑭〜剥ぐモノ、守るモノ
「うふふふふ、ふふふふふ」
裸の女は笑う、笑い続ける。
痴愚神のように、ゆらりゆらりと舞い続ける。
……いや、それは本当に踊りなのか? 身を揺らすことを、近しいもので形容しているだけなのではないのか?
そう、意味などない。理由などない。あったとしても誰にも理解できない。それは本人にすら。
そして彼女を一目見たら、誰もがその艶やかな姿態に目を奪われることだろう。老若男女を問わず昂奮させられてしまうだろう。
――もし、次の瞬間にまだ生きていれば、だが。
「いやはや、あの無敵のぼよんぼよんにも弱点はあったのだな」
グリモアベースにて。腕を組みながらオーバーな仕草で御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はうんうんと頷く。
「はっはっは、さて闇の救済者戦争で次にお主らに遂行してもらいたいのは、かの禁獣『歓喜のデスギガス』の討伐に連なる、その前段階の作戦だ」
今回の作戦は、歓喜のデスギガスの『欠落』を守護する番人の討伐となる。
「無敵であると考えられていた
ぼよんぼよんだが、奴も自らの身体部位を抉って造った『欠落』があった。つまり、その物品を破壊できれば、弱体化させることになる」
もちろん、それでもデスギガスは容易に倒せはしないだろう。それでもできることはすべて試すべきだ。
「さて、番人についてだが、ある意味当然ながら
ぼよんぼよんによって強化させられた者たちだ」
かつて、第五の貴族の中には稀に『一度倒しても別の紋章・別の姿を持ってまた現れる者』がいた。彼らは実はデスギガスによって『不死の紋章』を植え付けられ、死ねない存在に改造されていたのだそうだ。
「いや~、いかにも禁じ手ド真ん中という効果の紋章ではないか! ……だがのう、今回お主らが戦うのはそいつらではなくてな。そんなマッドな改造をやっている
ぼよんぼよんが、それよりも以前に試みていたことがある。
――それが、『タロット』の付与だ」
真剣な声色で菘が告げるも、猟兵たちは首を捻る。猟兵の多くがタロットがどういうものかを理解している。だがそれが強化にどう繋がるのかという関連性は、今一つピンとこない。
「すまんのう、実は妾も詳細はよく分からんのだ。ただ、お主らの想像するものとはやはり毛色が異なり、ここでのタロットとは『超強大な戦闘存在』らしい。
で、ダクセ上層の闇の種族ですら、タロットの真の力には抗えず呑み込まれてしまった」
理性を失くした闇の種族は、今や『己に近付く者へと、自動的かつ無差別に先制攻撃を放つ戦闘存在』と変じてしまっている。
「とはいえそれでも、欠落を守れという命令だけは律儀に守っているようでな。ゆえに、お主らにはこの迎撃装置を打倒してもらいたい」
猟兵たちが今回交戦するのは、裸身の魔女『アラディア・スカイクラッド』という存在となる。
「なんとゆーか、露出が多いというか裸に近い恰好の魔女だな。実にけしからん!」
特に誰も指摘はしないが、他人をどうこう言えないような
露出度の高い服装をしている菘に、憤る権利は果たしてあるのかという疑問点はともかく。
「当たり前だが見惚れているような余裕などない、決して隙なんて作るなよ? 攻撃方法もそっち関連のようだ。本来であればエロい方向で厄介だったかもしれん敵だが、そこに今回の無差別先制攻撃という特性が加わると……どうなるだろうな?」
対処をミスると、防具を失い防御力が激減した状態での戦闘継続という、極めて危険な状況に陥りかねないというということだ。理性も知性も失われ会話は不可能、ただ暴れるだけの存在だが、そもそもが強大な闇の種族であることを忘れてはならない。
「ただ漫然と防御するだとか回避する、という単純な方針だけではおそらく対策は足りん。もっと頭を働かせ、身体を動かし、全力を尽くしてくれ!
……さて、それでは気合は入れたかのう? 難しい作戦ではあるが、成功を信じておるぞ!」
高笑いとともに菘のグリモアが輝き、猟兵たちは死地へと転送されていくのだった。
雨森
OPをご覧いただきありがとうございます。雨森です。
デスギガスの『欠落』を守護する、謎の『タロット』で強化された番人を倒しましょう。戦闘に入ると同時に自動的に先制攻撃を放ってきます。
今回は闇の救済者戦争、やや難のボス戦となります。
お色気系統の敵ですが、今回は純戦であり相応の判定を行います。
プレイングボーナス:敵の無差別先制攻撃に対処する。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『裸身の魔女『アラディア・スカイクラッド』』
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POW : 裸の刃
自身が装備する【赤いナイフ】から【飛ぶ斬撃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【服破り】の状態異常を与える。
SPD : 裸の鎧
【赤いナイフから飛ぶ斬撃】を放ち、命中した敵を【着ている服や鎧が見えなくなるオーラ】に包み継続ダメージを与える。自身が【体表の80%以上を露出】していると威力アップ。
WIZ : 裸の呪い
指定した対象を【裸】にする。対象が[裸]でないならば、死角から【裸の悪霊達】を召喚して対象に粘着させる。
👑11
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セシル・バーナード
あはは、ぼく向きの依頼だね、これ。
裸の呪い? いいよ。「恥ずかしさ耐性」あるし、好きなように全裸にしてくれていい。淫靡に自分の身体をまさぐって、「誘惑」したくなるね。むしろ味方の目を惹いちゃうかな?
ま、身体だけじゃ意味が無いから、さっさと討滅しよう。
「全力魔法」「暗殺」「衝撃波」で雷球乱舞。雷霆珠展開、全方位一斉攻撃! 特に脚の急所を狙うよ。
さあ、いつまで耐えられるかな? 理性が無いとはいえ、豊満な美女が打ちのめされてるところを見てると、どことは言わないけど滾ってくるよ。皆もそうじゃない?
うーん、マッパで帰ってもいいんだけど、皆が困るだろうしなぁ。腰布に出来そうなもの、その辺に落ちてない?
乙藤・紲奈
アドリブ、共闘歓迎
「あらあら、破廉恥な敵さんやねぇ。」
そう言って精霊による【全力魔法】で初撃を防ぐ。
(無差別攻撃は嫌やわぁ。怪我する人増えるし、あんま長引かせたないわ。)
薙刀を器用に振るい攻撃をいなしながら敵に接近して攻撃する。
他猟兵の様子を見ながら怪我をしている様なら治療する。
サマエル・マーシャー
脱がされるのが厄介だというなら自分から脱げばいいのです。
私の服はホログラムが実体化した変幻自在のホロドレス。
つまり、実体化を解けば一瞬で裸になれます。※【早着替え】
敵が私を裸にする呪いを放った瞬間に自分から裸になることで呪いの副次効果である悪霊召喚の発動を阻止。
(裸になった後は結界術でバリアを張って多少の防御力を確保)
更に、私のUCは視線を向けると敵を光で攻撃するもの。
攻撃の出も攻撃自体の速度もかなり速いです。それでも敵の強大な先制攻撃より速いということはないのでしょうが、敵の呪いをスカした直後ぐらいには攻撃ができるはず。次撃を放ってくる前に死の光で救済を執行します。
(死の光により色々隠れる)
「うふふふ、ふふふふふ!」
猟兵たちが戦場に降り立った瞬間、彼らの耳に聞こえてきたのは空っぽの笑い声だった。
果たしてどこから、などと探る余裕はない。次に何が起こるかは誰もが承知していて、だからこそ三者三様で即座に対応を取った。裸にするというと冗談のようだが、『防具を強制的に外される』と解釈すればあまりにも危険な攻撃ともなるのだ。
「あらあら、破廉恥な敵さんやねぇ」
最も攻撃的な方法で対処したのは乙藤・紲奈(Dr.Wisteria・f40419)だ。
迫る呪詛に対して落ち着いた態度で、喚び出した精霊の力をぶつけて迎撃する。
「あらら」
結果として相殺しきれなかった部分もあり、手足の辺りの防具は脱げてしまったが、大きな痛手ではない。
一方、サマエル・マーシャー(
電脳異端天使・f40407)はトリッキーな手段で呪いを回避していた。
裸の呪いがサマエルの身に到達し、サマエルの着衣――スクール水着にセーラー服、オーバーニー――が消失する。しかし、それは呪いを受けたからではない。
「脱がされるのが厄介だというなら、自分から脱げばいいのです」
そもそもサマエルの服は変幻自在のホロドレス、つまりホログラムが実体化したもの。裸になる呪いが来た瞬間に自分から裸になることで、呪いを回避したのだ。
その上で身体にバリアを張り、申し訳程度には継戦可能な防御力を確保する。
「あはは、ぼく向きの依頼だね、これ」
そしてセシル・バーナード(サイレーン・f01207)は完全に割り切り、堂々と呪いを受けて全裸となった。別に人前で裸になることに躊躇いはない――もちろん、だからこそ時と場合はちゃんと考慮する――のであれば、さして脅威でもない。
「あら、ええ身体をしてはりますな」
「とても逞しい、いいことです」
「ふふ、ありがとう」
そしてこの場で共に戦っている女子二人は、男の裸を見て狼狽するタイプでもなく。淫靡に己の身体をまさぐりながら、セシルは誉め言葉に喜ぶのであった。それとサマエルも、セシルからの視線を特に気にしていないし、裸である事を恥じらってはいない。
「うふふふふ!」
「ま、身体だけじゃ意味が無いから、さっさと討滅しよう。雷霆珠、展開!」
「そうどすなあ。怪我する人増えるし、あんま長引かせたないわ」
薙刀を器用に構えて接近、笑い続けるアラディアに向けて薙刀を振るう紲奈。
一閃を跳んで避けようとするアラディアの足に、狙いすましたセシルの雷球群が直撃する。
――バンッ! バチバチバチッ!
「ぐうっ! うふふふふ……」
アラディアの狂笑はなおも止まらず。しかし足へと集中的に攻撃を食らい動きが鈍ったところに、彼女の裸身が光によって眩しく照らされる。
「……!?」
唐突に、力が抜けたかのようにがくんと身を落とすアラディア。初めてその表情から笑みが消える。
「天の国へと導いてあげましょう」
それは導きの光、サマエルの眼差しであった。偽りの救世主は狂った魔女を救済する。死によって。
高速で動く相手を想定した、迅速なる攻撃手段だ。動きが悪くなった瞬間であればさすがに視線を外す道理などない。
「ありがとう。それじゃ追撃していこうかな」
未だ理由も分からず地に伏すアラディアに対して、セシルは無慈悲に攻撃を重ねる。女性相手とはいえ敵は敵、百を優に超える数の雷霆珠による、遠慮なしの全力全方位一斉雷撃。
閃光の中で、アラディアが激しく身悶える。その口から発せられているのは、果たして悲鳴か笑いか。
「さあ、いつまで耐えられるかな?
理性が無いとはいえ、豊満な美女が打ちのめされてるところを見てると、どことは言わないけど滾ってくるよ。皆もそうじゃない?」
「それを愛と見做すのであれば」
「私にはあんまり分からんかなあ、てか怪我は大丈夫どすえ?」
……残念ながら、女子二人にはさすがに理解しづらかったらしい。
ちなみに、戦場から離脱する際には素っ裸でありセシルは少々困ったのだが、サマエルにホロでできた仮の腰布を作ってもらい、レアな体験だと喜ぶのであった。
大成功
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初志・貫鉄
即興共闘歓迎
元々身につける防具関係は少ないからな、紳士形態(じぇんとるめんふぉーむ)にてお相手しよう。
褌のみで戦場にたつ。
先制攻撃に対しては、第六感と野生の勘を研ぎ澄まし、オーラ防御を厚くして斬撃ダメージ軽減。効果て視覚的に裸になろうと恥ずかしさ耐性と環境耐性で精神の乱れは抑え込む。
「なんだ?世界最古の戦闘スタイルがお好みだったか?」
そんな余裕を見せながら、練り上げ力を溜めた覇気を限界突破、リミッター解除してからダッシュで近接距離まで詰めてUC発動。
あとはひたすらの連打!
第六感と野生の勘て敵の攻撃は見切り、距離を離そうとしてもダッシュで接近、攻撃は止めないぜ!
その男は、
紳士形態で戦場に現れた。
漢とは斯く在れかし。鍛え上げられたガタイの良い漢の、褌一丁――当然ながら、純白の六尺褌だ――の堂々とした立ち姿は、見る者の心を熱く打つことだろう。
初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は裸一貫で戦いに臨むことを恐れてなどいない。元々身に着ける防具は少ないのだ。
「うふふふふふ」
そして凄まじい勢いで飛来する赤い斬撃を、研ぎすまされた勘によって即座に展開したオーラにより受けとめる。
「む、う」
――僅かに殺しきれなかった力が胸から腹にかけて傷を刻むも、それこそ皮一枚という程度。むしろ漏れた声の原因は、見下ろした先で褌が消えており、股間が丸見えになっていることに対する驚きのためであった。
とはいえ、あくまでもそういう効果による視覚的な攪乱でしかないとは分かっているので、それ以上の動揺は抑え込む。
「なんだ? 世界最古の戦闘スタイルがお好みだったか?」
貫鉄は余裕綽々の様子でアラディアに向けて獰猛な笑みを向ける。(ほぼ)全裸の二人が相対する様は、まるで古代ギリシャの戦士たちのようであった。
「……スウッ」
短く息を吸い、丹田に力を練り上げる。高めた覇気は一気に臨界まで到達し、貫鉄は力のリミッターを外した!
「行くぞ」
「うふふふふ
、……!?」
突然後ろを振り向いたアラディア。振り上げたナイフがガンッ! と貫鉄の手刀と激突する。
ダッシュで瞬時にアラディアの死角に回り込んだ貫鉄の手刀は、頭を狙うも防がれる。だが一撃では終わらない。続けざまの足刀が襲い掛かる。
「まだまだ!」
覇気を纏った貫鉄の拳打が、蹴撃が、ひたすらにアラディアに叩きつけられる。
防御されようが関係ない。これは一撃で決める技ではない。捻じ込み、抉じ開け、有効打をできるだけ多く当て続けるのだ。
時折の反撃はすべて見切って避け、身を捻ると同時に攻撃へと転化する。
「決して離さんぞ!」
距離を取ろうとする動きにも追随する。アラディアは狂気の笑みを浮かべたままだが、しかし焦りが感じられるのは気のせいではないだろう。
「十一面観音尊の威光の下、修羅道の一端を此処に再現す」
裸身の男女が組んずほぐれつ、其処には争いの地獄が生み出されていた。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
完全に正気を失い、もはや淫婦ですらないか
デスギガスを討つための鍵、寄越してもらう!
強化された【視力】と【集中力】で飛ぶ斬撃を【見切って】距離を詰める
無論、こんな常套手段で凌げるとは思っていない
近付くにつれて苛烈になる斬撃に服を裂かれ……中華服の姿に変身、稲妻の如く疾駆!
また裂かれたら雪女の姿に変身、吹雪の後押しで加速!
セーラー服に、体操服に、バニーガールに……服を破られるたびに別の真の姿に変身
衣装でパワーアップする自身の特性を活かす
敵のリソースを服破りに浪費させられる筈
最後に白き翼の姿に変身、全力全開で魔力放出(全力魔法・オーラ防御)
【烈煌天翔翼】で吶喊して聖槍で【串刺し】【ランスチャージ】!
「うふふふふ、ふふふふふ」
傷ついた身でありながらも、アラディアの狂笑は止まない。
だがそんな悲惨な有り様を見たところで、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の厳しい表情が和らぐ筈もない。――こちらを視認した途端に、ナイフを振るって斬撃を飛ばしてくるような相手に何を慮る必要があるのか?
「デスギガスを討つための鍵、寄越してもらう!」
アラディアが放った無数の斬撃に対してオリヴィアが選んだ対抗手段は、前へと踏み込むことだった。
集中し、強化した視力で斬撃を見切る。軌道の先を予測して、最小限の体捌きで斬撃を躱しながら前へ、前へ。
「……くっ」
無論、接近するほどに斬撃の密度は上がっていく。身を刻むような危険な軌道の攻撃こそ確実に避けるが、掠る程度のものであれば已む無しと割り切るしかない。
――結果として、オリヴィアのシスター服は千々に裂かれていった。衣服としての機能を失い、見えてはいけない部分まで見えてしまいそうになる……そんな寸前に。
「!?」
瞬時に白い中華服の姿へと変わるオリヴィア。さすがにアラディアの表情が僅かにでも歪んだのも仕方ないだろう。
稲妻の如く疾駆するオリヴィア。もちろん斬撃によって中華服も破れていく。
……が、次は白い和服、雪女へと装いを変える。後方に放った吹雪の勢いに後押しされ、勢いはさらに上がる。
『服が破られるのであれば、その度に別の服を着ればよい』……数多く持つ真の姿へ次々に変身し格好を変え、其々の衣装でパワーアップする己の特性を、アラディアへの接近という目的のために活用する。
セーラー服に、体操服に、バニーガールに、ボディスーツに……破られるたびに次々とオリヴィアは服装を変えていく。ただしどれも少々肌の露出が多いのだが。
そしてアラディアは、いつしか眼前の標的の服を殺すのではなく、服を破るという行為に集中させられしてしまっていた。
「完全に正気を失い、もはや淫婦ですらないか」
斬撃の嵐の中心には到達しようとした時には、ナース服が破られ、そして、白き翼の姿が現れる。天使の祝福の翼から全力全開の魔力が放出され、爆発的な加速が生まれた。
「邪悪よ、滅びろ!」
気力すらも込めた渾身の突貫、そして手に持つ聖槍の穂先がアラディアの胸を貫く!
「まだまだ!」
のみならずそのまま突っ込み、身体目掛けてショルダータックルをぶち当てた!
「……がふぁっ!!」
――穿たれた穴を中心として、アラディアの身はばらばらに割けるのだった。
「……うふ、ふふふ、ふふ……」
最期の瞬間まで笑っていたアラディアを見切り、オリヴィアは遥か先を見遣る。
まだ禁獣を倒すための事前段階を突破しただけだと、改めて気を引き締めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵