闇の救済者戦争⑪〜タノシイお遊戯会
●開幕
「えぇ、そう……皆さんお上手ね!」
白いドレスを身に纏った少女の姿。青いガラス玉の瞳の自動人形は、
哀れな人間たちが不確かな足場の上で必死に歌い踊り、芸を見せているのを見ては、手を叩いて歓ぶ。
「あらあら……あら?」
しかし、それも束の間。華やかな微笑みは消え、元の
自動人形の冷めた表情に戻る。
奴隷たちが落ちていくからだ。
愚かに、間抜けに、退屈に、脆くも、──無慈悲に。
闘技場の床、幾千と鋭い刃の生える剣の草原に人々が落ちる。刺さり、動かなくなる。
少女は不満そうにひとりごちる。
「はぁ、つまらないわね……」
落ちてしまったものを拾うのは趣味じゃない。
そもそも、一度落ちたようなつまらないものがもう一度舞台に立って面白いものを見せてくれる訳がない。
「誰か、もっと面白いステージを見せてくれないかしら……」
●グリモアベース
「面白いことやれるやつ手ぇ挙げてー」
はーい? と手を挙げて見せるのは、グリモア猟兵エリオス・ダンヴィクトル(陽はまた沈む・f27010)。
何を言われてるか分からないかもしれないが今回の依頼では重要なポイントだ。
「今回の依頼は戦争中のダークセイヴァー……なんだけど、ちょっとおかしなところでな」
そう前置きをして、エリオスは語る。
場所はダークセイヴァー第三層、「自生する無数の剣の草原」の上に建造された闘技場だ。罪を犯した闇の種族を痛めつけ、発狂に追いやって下層へ放逐するために使われたり……魂人の奴隷や魔獣を戦わせ合ったりして興行する場所であるらしい。
猟兵たちが踏み込めば、闘技奴隷よろしく容赦なく襲かかり、剣の草原に落とそうとしてくる──、
「……っていうのが本来らしいんだが、ここの主はちょっと偏執的でな」
興行をやりすぎたのか、或いはもともとそういう指令のもと動いているのかは不明だが。その闘技場の主である自動人形は、『ただ面白いものが見られればそれでいい』というスタンスらしい。
彼女は観客席で文字通り高みの見物を決め込んでいて、向こうから攻撃してくることはない。その代わりに、こちらからの攻撃も通らないだろう。
「ってなもんで、戦う必要は全くない」
その代わり──最初に言ったよな?
「相手が面白がってくれそうな一芸。披露してきてな?」
……無茶振りだ?
いつものことだろ。
「あ、因みに満足させたらそこにいる連中は助けていいみたいだから」
何はなくともとりあえず芸を見せろってことだ。
「まぁ、猟兵が何かするってだけでそれなりに面白いらしいし、なんか一発芸とかでもいいと思う!」
知らんけど。適当にがんばってくれよな!
そんなわけで猟兵諸君。ネタの仕込みはOK?
準備が出来たら出発だ。
「じゃ、あとは任せた」
「Good Luck」
みみずね
戦争ですね。いいえ、トンチキです。
こんにちはみみずねです。戦争中のダークセイヴァーから、トンチキをお届け! こちらは一章だけで完結する短いシナリオとなっております。シリアスなら旅に出ました。平日中の執筆になりますので速度はゆっくりになるかと思います。
【剣の草原に落ちないように立ち回る】/【面白い芸を見せる】プレイングをするとボーナスが発生して判定が優しくなります。
受付はオープニング公開直後から。執筆は気が向き次第開始、書けるだけ書いたら終了となります。
ぜひお気軽にご参加くださいませ。
第1章 集団戦
『ダンスマカブル・オートマタ』
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POW : 報怨のサラバンド
自身が戦闘不能となる事で、【呪詛を撒き散らし、自身に攻撃した】敵1体に大ダメージを与える。【主を賛美する言葉】を語ると更にダメージ増。
SPD : 斬殺のパヴァーヌ
任意の部位から最大レベル枚の【射出も可能な殺戮刃物】を生やして攻撃する。枚数を増やすと攻撃対象数、減らすと威力が増加。
WIZ : 滅戮のメヌエット
自分の体を【無数の刃物を生やした姿に変形させ高速回転】させる攻撃で、近接範囲内の全員にダメージと【呪詛による行動速度低下】の状態異常を与える。
👑11
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栗花落・澪
そうだなぁ…即興ライブとかどう?
【scena】発動
バトンのように短くした魔法の杖を小道具としてくるくる回しながら
即席で考えた【歌唱】と【ダンス】で盛り上げます
そのままじゃちょっと味気ないしね
歌の合間、間奏に当たる部分で囁きの如く【高速詠唱】
バトンから撃ちだす植物魔法で自分の周囲に花弁のシャワーを降らせたり
【多重詠唱】で風魔法と氷魔法を組み合わせ
舞い上げた花弁を頭上に集めて凍結
粉々に砕く事でダイヤモンドダストを発生させる等
魔法も駆使した【パフォーマンス】
足場が不安定でも軽々とバランスを取り
危険な時は舞の一環で反対側にステップ移動
最後には一礼までしっかりと決めてみせ
少しはご満足、いただけましたか?
●エントリーNo.01:歌と踊り 〜ダイヤモンドの輝きを添えて〜
「そうだなぁ……」
頭に赤い金蓮花を咲かせたオラトリオ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はふーむ、とちょっとだけ考える。面白いかどうかはさておき、
「即興ライブとかどう?」
それなら割と自信がある。
観客席からぱちぱちと拍手があがったので、澪は早速UC【scena】を発動した。ふわりと中央の舞台へ。
魔法の杖をバトンのように短くして、くるくると回してやる。即興の歌と踊りに合わせて、楽しく!
可憐な立ち回りに自動人形は大いに喜んで前のめりにこちらを見ている。歌に合わせて手拍子したり。
(……でも、これだけじゃちょっと味気ないしね)
歌の間奏に当たる部分の間は、囁きほどの声量で紡がれる高速詠唱による魔法を
演出に使う。バトンから撃ち出されるのは、植物魔法出した花。花弁のシャワーが舞台の上で愛らしく踊る澪に降り注ぐ。
更に多重詠唱で、ひとつめ、風魔法を使い、舞い上げた花弁を頭上に集めていく。ふたつめ、氷魔法で集めた花弁を凍結。
歌の盛り上がりに合わせて粉々に砕いて、ダイヤモンドダストのようにキラキラとした花と氷が舞い散る。きらきら、ひらひら。美しくも幻想的な世界が繰り広げられる。
無論、不安定な足場のことも忘れてはいない。
軽快なステップで落下を回避し、まるではじめからそういう振り付けであったかのような足取りで、天女のようにふわりと軽やかに反対側の足場まで跳んでみせた。
『キャーーーー!!! 素敵、すてき!!』
観客席の自動人形が惜しみない歓声と拍手を贈る。
歌い終わって真ん中の足場に立った澪は、改めて観客に向かってきれいに一礼をした。
「少しはご満足、いただけましたか?」
そうしてにこりと笑えば、万雷の拍手が応えた。少しどころか、大満足を得られたようだ!
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
【白蛇衆】◎
心情)面白いコトしろってさァ、おふた方。(グリモア猟兵が"おもし"まで言った時点で喚んだ)
みなまで言うな旦那、わかってるよ。ニンゲンの言うトコの、隠し芸大会ッてヤツだろ。任せとくれよ坊、トンチ…一発芸なら俺も得意とするところさ。
行動)凍れる水を操って、闘技場の上にミニ城を建てる。帰っとくれ、妹姫(男)と雪だるま! 俺はそう簡単にゃア帰らンぜ! 行け、氷人形ども! 妹姫を倒し、雪だるまを転がせ! 負けたら凍らす代わり語尾が"めぅ"になる毒飲ンでもらうからなァ! ひィひひ、ア門閉め忘れたな (城のてっぺんで座り込みながら盛り上がるよう氷人形を操る。裏で眷属らを使い、救出を進める)
雨野・雲珠
【白蛇衆】◎
ミャッ(お風呂掃除ブラシ持ったまま登場)
異界!?いえ、この光景──
だっ……ダークセイヴァーじゃないですか!
隠し芸…あの、この下剣山みたいになってるんですけどそれは
えっ
えーー!?
深山さんは順応が早すぎます!
あ、このお城……わぁあ!みんなで観たあれですね!
俺ね、雪だるまのあの子が大好きなんです。
あれこそが善なる存在…
氷のお城の演出代わりに、そしてお仲間を癒すために、
このような趣向はいかがでしょう───【二之宮】
かみさま~ハグしt…(※映画の台詞
あれーっお話が違う!?
そして妹姫のお口が悪いです!
ワ……あ~~~っ
(二人がやりあってる間ごろんごろん転がされる)
強いめぅ!というか俺が弱いめぅ!
深山・鴇
【白蛇衆】◎
は?(は?って顔で逢真君と雲珠君を見た)
あの、うん、あのね
あー…ダメだなこれ、トンチキって言葉に完全に浮かれてるね
諦めよう雲珠君、あんな楽しそうな逢真君が止まった事あるかい?
そういやこないだの
金曜シネマうちで見てたな
俺も出来っかなとか言ってたんだよ、まさかこんな所でやるとは思わな、え、雲珠君が雪だるま役?
そうなると俺が妹役になるんだが??
負けたら語尾変?
クソ、おらっ、ドアを開けるんだよ逢真君!ってドア開いてるな!!
氷人形如きで俺を止めようって?
(氷人形を仕留めて逢真君の前に立ち塞がる)
大人しく帰るんだよ、冬になったら雪だるま作ってあげるから!
ハグは腐るだろ、メッ!
●エントリーNo.02:トンチキと聞いて! 〜氷雪の国の寸劇〜
──なるほどな。
完全に理解した。
依頼
をかんぜんにりかいした朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)はその場で助っ人を喚んだ。
とすん。ひょい。
「ミャッ!?」「は?」
グリモア猟兵の話を全文聞く前に……具体的に言うと「面白いことしてほしい」の「おもし」くらいまで言った辺りで急に飛び出した(無論この場合彼らの意志ではない)。一人目はお風呂ブラシを持ったままの雨野・雲珠(慚愧・f22865)。
「えっ、な、異界!?」
お風呂掃除の途中で急に喚び出された桜はそりゃ当然びっくりする。すとりと落ちてきて、すわ何事かと身構え周囲を見渡して、
「いえ、この光景──」
陽の差さない空を見た。
(……ダークセイヴァーじゃないですか!)
察したところで、こちらを覗いてにっこりわらう男の顔を見た。
「は?(二度目)」
そして二人目の深山・鴇(黒花鳥・f22925)──は? って顔で他の面子の顔を見回した──。
「面白いコトしろってさァ、おふた方」
わあ、わくわく顔!
対して鴇は眉間にめちゃめちゃ皺を寄せていた。
「あの、うん、あのね」
「みなまで言うな旦那」
なんとか説明をしようとした言葉を、逢真は遮る。
「わかってるよ。ニンゲンの言うトコの、隠し芸大会ッてヤツだろ」
効果音で言うなら『キリッ』『ドヤァ…』くらいの勢いだ。
「隠し芸ってあの」
『俺は何も知らん聞かなかった見てないそっちでやってくれ』顔のグリモア猟兵に転送された先は、(逢真には説明されていた通り、)剣の草原の上に設置された闘技場ステージである。
「この下剣山みたいになってるんですけどそれは」
逢真だけ聞いていたがもちろん雲珠には初耳である。えっ、このトゲトゲの上で一発芸ってどういうことです??
「任せとくれよ坊、トンチ…一発芸なら俺も得意とするところさ(キリッ)」
何を任せろって????
「えっ……」
「あー……ダメだなこれ」
軽く頭を掻いた鴇は、困った桜の精を見下ろし、一足先に諦めの顔を浮かべた。
これはアレだ。もう手遅れというやつ。トンチキって言葉に完全に浮かれてるね。
「諦めよう雲珠君。あんな楽しそうな逢真君が止まった事あるかい?」
爽やかに言い切った!
「っ……、えーー
!??!!!」
いえ、言われてみれば確かにそう……止められたことないですけど、深山さんは順応が早すぎます!
順応できてないのは雲珠ひとり。……とは言ってもなんとかついていかないわけにもいかない。物理的にも、もうダークセイヴァーに来ちゃってますし。
サァサァと乗り気な逢真。UCのちからで凍れる水を操って闘技場の上にミニ城を建てる。氷がせり上がり、透き通った洋風の城を形作っていく。
「あ、このお城……」
わぁあ! 出来上がっていく城を見て、気付いた雲珠は嬉しそうに笑う。
「みんなで見たあれですね!」
あれ。……ああ、アレ。そうだね、と鴇は頷く。
「そういやこないだの
金曜シネマうちで見てたな」
テレビで見られるキネマ。喧嘩して出てった姉姫を迎えにいく妹姫と、妹姫と一緒に姉を助けに行く雪だるまが愛らしいあの作品。お城を作るシーンは確かに印象的で、そう言えば逢真君も見てて、「俺も出来っかな」……とか言ってたんだよ。
まさかこんなところで本当にやるとは思わなかったが。
「帰っとくれ、妹姫……とそこの雪だるま!」
なんかノリノリだし。その感じだと逢真君は姉姫役のようだ。いやまぁ、城を作った張本人なわけだから、そこのキャスティングは仕方ないだろう。
「それじゃ、俺も」
雲珠もまたUCで【二之宮】を使用し、演出に一味付け足す。しんしんと降る、雪のような、花のような……白くて優しい、癒やしの嵐。演出と一緒に回復もできる優れものだ。
「俺ね、雪だるまのあの子が大好きなんです」
雪だるま……雪だるまなのにひと以上に人のこころが分かる……あれこそが善なる存在……。
「待て」
今度は鴇が置いてかれる番だった。
「え、雲珠君が雪だるま役?」
そうなると俺が妹役になるんだが??
消去法で配役が決定! アラサーで身長184の姫ってどうなんだ……?!
観客席『面白ければオッケーよ★』
じゃあいっかー……?
向こうの
お姫様も細かいことは気にしていないようだし。
では寸劇を続けよう。『お姉ちゃん、帰りましょ』というターンだ。
「俺はそう簡単にゃア帰らンぜ!」
行け、氷人形ども! ノリノリの
逢真は氷で出来た人形へと指令を出す。
「妹姫を倒し、雪だるまを転がせ!」
あ、因みに負けたら凍らす代わり【語尾が"めぅ"になる毒】飲ンでもらうからなァ!
「ひィひひ!!」
笑い方がガチで悪役!! いや間違ってはないのだけど……このかみさまだし……。
「負けたら語尾変?」
はぁ???
素直な感想、「ふざけんな」である。
「クソ、おらっ、ドアを開けるんだよ逢真君!」
※ドアを開けてお姉ちゃん〜というかわいいミュージカルシーンはスキップされました。
「あれーっ、お話が違う!?」
そして妹姫のお口が悪いです!
嘆く雪だるま氏には申し訳ないが、残念ながらあんまり原作に忠実にやると色々なあれが危険なので正直このくらいで許していただきたい。思わぬ展開に観客も喜んでるしネ!!
「ってドア開いてるな!!?」
\\バーン//
と城の入口を攻城兵器並の勢いでぶち破る鴇。
「ア、門閉め忘れたな(すっとぼけ顔)」
なお王様面で玉座に座っていた逢真だが、適宜殺陣を盛り上げるよう氷人形を操る一方できっちり眷属を使って救出を進めていた。ちゃっかりしたものである。
「氷人形如きで俺を止めようって?」
開き直った妹姫は、最後の氷人形を仕留めて、堂々たる居住まいの姉姫の前に立つ。
「大人しく帰るんだよ、冬になったら雪だるま作ってあげるから!」
今は春が過ぎたばかりの5月、次の冬はまだ半年あまりも先ではあるが。まぁ、約束するくらいいいだろう。それともかき氷機で雪玉作って奉納しようか???
「
妹姫さま~、こんにちは! ぎゅっとハグしt…」
「ハグは腐るだろ、メッ!」
見た映画通りの愛され雪だるまを演じようとした雲珠の首根っこが鴇に掴まれる。おっと危ないな
この姫様の権能!
「ワ……あ〜〜〜っ」
ぽいと後ろに放たれた雲珠は、そのままふたりの決戦を見ずしてそこらに残っていた氷人形に転がされていく。ころんころん。
「うぅ、姫様強いめぅ!」
めぅめぅ、と泣きながら敗者の退場。
「というか俺が弱いめぅ!」
だがそれでいいのだ。雪だるまはマスコットであって、戦闘力ではない。頂上決戦は文字通りお城の一番上で。
……まぁ、氷人形の防御を剥がされた姉姫はこれ以上戦うことは出来ない。冬には雪だるまを作ってもらうことを確かに約束してくれた妹姫と仲直りをして、大団円ということで終劇を迎えた。
観客席からは拍手につぐ拍手だ。
……こうして、三人は三様に無事、
闘技場を戦い抜いたのであった──。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
水澤・怜
い、一芸…?
(そもそも酒宴の類いとはほぼ無縁、さらに飲んでも飲まれない隠れザルの男)
と、とりあえずシロに『お手』を…
(『だから私は犬じゃないっ!』っていう顔で断固拒否された)
…な、何故だ…ッ!右手を出したからダメだったのか!?
あとは帝都のカフェーの甘味当てとか…って、こんな所に甘味は…ないな
一体どうすれば…!(段々眉間に皺が寄り目付きが険しくなる)
\ビーーーッ!!/
…!?!?
今何か出た!?眼鏡から!何だ今のは!?(※初使用のUCです)
い、いつの間にか剣の草原が凍っている…(ついでに頭の枝も伸びてる)
は?今のでオーケーなのか?
よく分からんが結果オーライ、なのだろうか…(ものすごく不思議そうな顔)
●エントリーNo.03:思いつく限りのネタ 〜なんか出た──〜
「い、一芸……?」
水澤・怜(春宵花影・f27330)は考えた。それはもう真面目に考えた。
一発芸でもいい、と言われてイメージしたのは宴会。飲み会の類で披露されるようなあれだ。
だが悲しいかな怜は酒宴とは無縁である。さらに付け加えていうなら酒に関してはザル、飲んでも飲まれないのが怜という男なのである。
それはさておき。
(芸……芸……)
芸人、一芸、一発芸……。いや待て、『芸』ならなんでもいいというなら!
「と、とりあえず……シロ!」
怜はシロのほうを見る。白くてふわふわの犬……だと怜はまだ思っていた。
「お手!」
犬と言えばお約束の『芸』である。しかしながら怜はシロが実は犬ではないことを知らない。
プイッとそっぽを向いたシロは『だから私は犬じゃないってば!』と言いたげなのに気付けないでいた。
「……くっ……! な、何故だ…ッ!右手を出したからダメだったのか!?」
謎の敗北感。左手なら良かったのか?! おやつとかご褒美にあげないと駄目ってことか?!!
分からん……。しかしシロがやれないのなら何か自分に出来る芸を考えるしかあるまい。
「あとは帝都のカフェーの甘味当てとか……」
地味だがちょっとした特技である。とはいえ、闘技場に甘味の準備は……当然、ない。
「むむ……むむむむ……一体どうすれば……!」
悩むうち、段々眉間に皺が寄り目付きが険しくなる怜。
その時であった。
\ビーーーッ!!/
「……!?!?」
『……???!!!(ざわっ……)』
「今何か出た!?」
観客席も驚いたが、当の怜自身も驚いた。なにせ無意識に発動した、使ったことのないUCである。
「何か、眼鏡から! 何だ今のは!?」
何が起きたと辺りを見回せば、
「い、いつの間にか剣の草原が凍っている……」
眼鏡からなんかビームみたいなのが出て周囲が凍った、だと
……?!(ビックリの拍子に頭の枝もニョッキリした)
『ひゅー! かっこいいー!!』
&かわいー! などと歓声が飛んでくる。
「は? 今のでオーケーなのか?」
面白いの基準が、 全 く 、分からん……!!
よ、よく分からんが結果オーライ。……オーライ、なのだろうか……?
納得していいのかどうか、いまいち微妙な顔をして……そもそも自分の身に何が起きたのかも不明で不思議だが……複雑な顔と心持ちのまま、とりあえず観客席に向かって一礼をした怜であった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ムチャ言うなや!
しょうがねぇな…じゃあ取っておきのやつやるか…全身を【ドット絵】に変換!イッツミー!
ドットのヒゲのオッサンが華麗に
闘技場を駆け抜けますぞ!因みに今ならジャンプのたびに軽快なSEが鳴るでござる
ノリノリなBGM流しながらスタートだ!(テテッテッテテッテ!)
常にダッシュ!最速クリア目指すなら常にBダッシュでござる!不安定な足場は三段ジャンプしつつ落ちる前に突破でござるよ!
ヤッホッホゥイヤッフゥ!
最後は高所から旗目掛けてジャンプして掴まりながら着地でござる
ステージクリアだ!アピールに全身のドット一つ一つを
1680万色に発光させながらアピールでござる
●エントリーNo.04:RTAinダークセイヴァー 〜キノコも忘れずに〜
「ムチャ言うなや!」
それはほんとそう。
エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)はこの怒りをグリモア猟兵か観客席にぶつけるかどうか1秒だけ考えて、やめた。現状を何とかするほうが先だ。
まったく、しょうがねぇな……じゃあ取っておきのやつやるか……。
『ほう、とっておきとな?』
観客席からも期待の声が上がる。
ここでエドゥアルドが使うのは……UC【ドット職人の朝は早い】だ! このユーベルコードを使用することにより……全身を【ドット絵】に変換! イッツミー! エードゥアールド‼
VRとか最先端技術がゲームに流れ込む中、敢えてのドット絵〜〜〜!!
テテッテッテテッテ!♪ ノリノリなBGMを流しながらスタート!
全身ドット絵と化してしまった作画コストの低そうで一周回って高そうなヒゲのオッサンが華麗に
闘技場を駆け抜けていく!!
ピョイ~ン、ピョイ~ン。ジャンプの度に軽快なSEが鳴る。
ダッシュ、ダッシュ、Bダッシュ!!
「最速クリア目指すなら常にBダッシュでござるよ!」
ピョイン、ピョイ~ン。不安定な足場も三段ジャンプで落ちる前に突破!
ヤッ <一段
ホッホゥ <二段
イヤッフゥ! <三段ジャンプ!!
最後はなるべく高いところから旗をよーく狙ってジャンプ!
するするとポールに掴まりながらバッチリ着地をキメた。
>> ステージ クリア <<
『すっごーい!!』
観客も大喜び。
エドゥアルドも応えて、全身のドット一つ一つを
1680万色に発光させてアピールでござる! アピールでござる!!
かくして、エドゥアルドはこの闘技場に新たな記録を刻み込んだのであった……!
大成功
🔵🔵🔵