闇の救済者戦争⑧〜 星屑の贖罪
●ダークセイヴァー上層 人類砦
「ここは、どこだ!?」
「もしかして、噂に聞く第三層ってやつか!?」
ざわついているのは
闇の救済者達。この世界の各地でヴァンパイア達と戦ってきた戦士達だ。
「贖罪せよ、愚かな人間ども」
「罪を贖え」
状況を把握する暇を与えることなく、やってきたのは白い翼を携えたオラトリオのような集団。
「オラトリオ……でも、あれは」
「オブリビオンだ!」
戦闘態勢に入る闇の救済者達。だが、相手は空を飛んでいるので実力差以上に分が悪い。そんな中、地面から空へと光が次々と飛ぶ。攻撃を加えようとした『オラトリオの兵士達』は散開し、翼を撃ち抜かれたものはゆっくりと降下してゆく。
「私が、奴らを地面に引き摺り下ろす! 飛び道具のない人は落ちた奴の相手を!」
そう叫ぶのは槍を構えた女性。その穂先はうっすらと光を纏っている。
「ミゼリア! 頼んだぞ!」
闇の救済者の一人が彼女、ミゼリアに声をかけて、地上に降りた敵に向かって走り出す。
「そこの女」
「罪を償うがいい」
空中のオラトリオ達の狙いがミゼリアに集まる。
「償う相手はアンタ達なんかじゃない!」
それに対してミゼリアは槍を強く握り直す。そして、自分に言い聞かせるように呟く。
「千の命を奪ったのなら、千百の命を救ってみなさいミゼリア。それが私の償いなのだから」
●グリモアベース
「『闇の救済者戦争』……なんかすごい事になっちゃったっすね」
そう話すのはヒーローマスクのグリモア猟兵、リカルド・マスケラス(ロープ際の魔術師・f12160)だ。『鮮血の洪水』でダークセイヴァー世界を沈める。なんとしても防がなければならない。
「その作戦の一端すかね? オブリビオン達が第三層に『人類砦』を召喚したんすよ」
人類砦は闇の救済者達の拠点であり、この世界の人々の希望。潰えさせる訳にはいかないのだが、第四層にあった人類砦が第四層へ移転。しかもオブリビオンに囲まれている状態だ。
「みんなには、救援に向かってもらい、闇の救済者達と協力して敵を倒して欲しいんすよ」
いくら闇の救済者がいると言っても、ユーベルコードが使用できる者はごく一部。今回襲いかかるオブリビオンに対抗するには戦力として乏しいのだ。
「一応、砦の戦力で一番の使い手がミゼリアっていう女性っすね〜。知っている人もいるかしれないっすけど……もうあれから3年経とうとしているんすね」
リカルドが言うには、その女性はかつて杖型のオブリビオンに唆され『この世界の住人を全て殺すことこそがたった一つの救済である』という信念のもとに虐殺に加担していた少女だった。今は、償いとして『闇の救済者』達の一員としてオブリビオンと戦ったり、戦闘訓練の相手などをしているらしい。
「幸か不幸か、武器型のオブリビオンに身体を貸して戦っていた経験が彼女をそこまで強くしてくれた訳なんすよね」
槍の使い手なだけではなく、槍に魔力を纏わせたり、ユーベルコードで発射するなどという芸当もできるらしい。
「過去の経歴的に思うところがないわけではないかも知れないっすけど、今はこの砦の戦力であり希望の一つなんで、みんな、よろしく頼んだっすよ」
そう言うとリカルドは準備のできた猟兵から戦場へと送ってゆくのだった。
麦門冬
どうも、マスターの
麦門冬デス。いよいよ戦争! と言うことでみんなには人類砦を守ってもらいます。このシナリオは以下のプレイングボーナスが入ります。
プレイングボーナス……
闇の救済者達と協力して戦う。
尚、闇の救済者はオープニングに名前の出たミゼリア以外にもいますので、彼らと協力するでも問題ありません。
以下、補足事項です。
●ミゼリア
かつて己の境遇に絶望した時に、杖型オブリビオンに協力し、世界を滅ぼす為の活動を行なっていました。今はその時の罪を贖うためにも闇の救済者の一員として戦っています。彼女の過去登場したシナリオは「#咎人殺し・ミゼリア」で検索できるようにしました。
武器型オブリビオンに自分の身体を貸して戦っていた経験から、闇の救済者の中では戦闘力は高く、ユーベルコードにも目覚めました。ユーベルコードは『【穿つ星屑】:レベル分の1秒で【光で出来た槍の穂先】を発射できる。』が使用できますが、戦闘力は猟兵には及びません。
●闇の救済者達
人々の希望です。戦闘能力は高くて5レベルくらい。大半はユーベルコードを使用できません。
●オラトリオの兵士達
オブリビオンとして蘇り、歪んだオラトリオです。空を飛んで近接遠距離ともに戦えるので、闇の救済者達には厄介な相手です。WIZのユーベルコードは実際に対象が背負う罪が関係なく、彼ら彼女らが『罪深い』と認識すれば威力が上がるので注意してください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『オラトリオの兵士達』
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POW : セイクリッドブレイク
【聖なる雰囲気のオーラ】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【その強化を解除するとともに麻痺】の状態異常を与える。
SPD : 時空凍結弾
【指先】を向けた対象に、【相手を凍結させる弾丸】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : シャイニングレイ
【翼から聖なる光らしきもの】を放ち、命中した敵を【心身を蝕む聖なる炎らしきもの】に包み継続ダメージを与える。自身が【相手に罪があると認識】していると威力アップ。
👑11
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●絶望と決意
あれはいつだったか。人類砦にある情報が流れてきた。
『この世界には更に上の層があり、死んだ者は魂人となり、その世界の住人から責苦を受け続ける』
その噂を知り、ミゼリアの心は虚無感と絶望に捕らわれた。間違っていたことだったとはいえ、自分の行いが思っていた以上に無駄な行為だったと突きつけられると、そのショックは予想以上に大きかった。
「救済とは全く逆のことをしていたのね」
過去の自分であれば、そのまま自身の命を絶っていたかもしれない。だが、今は違う。
「私が死ねば、そこの住人からだけからじゃないわね。命を奪って行った多くの人からも責められ、苦しむことになるのでしょうね」
今はその時ではない。
「そのくらいじゃ、私の罪は贖えない。まだまだ多くの人を救わなきゃいけないのだから」
レナータ・バルダーヌ
ここが第三層であることを考えると、まだマシな相手だとは思いますけど、空を飛ばれると砦の皆さんには厳しいですね。
それでも彼らは希望を捨ててはいないはずですし、勿論わたしも諦めたりはしません。
【真の姿】になって上空に飛翔、サイキック【オーラで防御】して敵の攻撃を押し止めます。
こちらをすり抜けて砦に向かおうとする敵がいたら、【念動力】で動きを封じましょう。
たとえ傷を受けて体が上手く動かなくても、皆さんを護れるなら【痛みに耐える】くらいどうということはありません。
【カウンター】で放つのは【∀.F.アダストネス】。
行動で協力してもらう代わりに、皆さんの胸に灯る希望の力をお借りします。
過去に過ちを犯してしまったなら、それを糧にして今正しいと思うことをするんです。
罪を責めて刑するだけの力には負けませんよ!
村崎・ゆかり
イクシア・レイブラント(f37891)と
間に合ったわね。すぐにも迎撃に入りましょう。
イクシアが先陣を切って突入するのを見送りながら、絶陣の用意。
「全力魔法」風の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」「仙術」で風吼陣!
空にいる相手には、これが一番使いやすい。
無数の刃を乗せた竜巻で、オブリビオンを引き裂いていく。
闇の救済者さんたちは、風を避けて地上に降りたオブリビオンを弓矢でお願い。
イクシアも巻き込まれないように上手く動いてね。
竜巻の範囲にいなかった連中か。偶神兵装『鎧装豪腕』顕現。
オブリビオンの攻撃を「盾受け」して。この程度ならこの式神の防御力で十分。
竜巻が消えれば、もうオブリビオンはいない。
イクシア・レイブラント
村崎・ゆかり(01658)と
討滅対象を確認。先に行くね。
飛翔して接近し、大型フォースブレイドで[空中戦、鎧防御無視、なぎ払い]、各部を光らせ[存在感、陽動、おびき寄せ]。周囲に展開したデコイドローンとシールドビットを盾に[時空凍結弾]を防ぎ、敵を絶陣の範囲に追い込んだら[推力移動、滑空]で緊急離脱。
ゆかりさん、今よ。
風吼陣が展開されたら地上付近まで高度を下げて【強襲支援】。敵の妨害を行いつつ、ゆかりさんと闇の救済者たちを守りながら武器を振るう。これ以上の手出しは許さない。
討滅を確認、任務完了ね。…怪我はない?
●傲慢な断罪者達へ制裁を
「ここが第三層であることを考えると、まだマシな相手だとは思いますけど、空を飛ばれると砦の皆さんには厳しいですね」
レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)はそう冷静に分析する。人々の根源に訴えかけるような悍ましき神々に比べれば大したことはないかもしれない。だが、空を飛ばれる以上、砦の防壁は意味をなさず、攻撃手段も飛び道具に限られる。実際厳しい相手だと思われる。
「それでも彼らは希望を捨ててはいないはずですし、勿論わたしも諦めたりはしません」
レナータは真の姿へと変貌すると、その翼で飛翔し、『オラトリオの兵士達』と対峙する。
「我々に楯突く愚か者どもよ。今こそその罪を償う時」
兵士達は抜剣し、【セイクリッドブレイク】の一撃を浴びせようとする。
「させません!」
サイキックオーラを展開し、攻撃を受け止めるレナータ。だが、その護りを強引にこじ開けようと攻撃を加える兵士達。更には、レナータを無視して地上の闇の救済者達へ向かおうとする兵士も出てきた。
「行かせません!」
念動力で押し留めようとするが何体かすり抜ける。万事休すかと思ったその時、
「ご苦労様です。こっちはこちらに任せてください!」
すり抜けようとした兵士達に斬りかかったのは機械の翼とスラスターを吹かせて飛翔しているイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)だ。『大型フォースブレイド』を振り回し、敵を地上へと寄せ付けない。更には自身の装備を光らせることで注目を自身へ向けさせる。
「今、仲間が範囲攻撃の準備をしています。それまでの時間稼ぎ、お願いできますか?」
そう話すイクシアの視線の先には、ユーベルコードの準備を行う村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の姿があった。
「わかりました。では、皆さんの胸に灯る希望の力をお借りします」
イクシアの作戦を受けたレナータは地上にいる闇の救済者達にそう声をかける。これから行うユーベルコードには、彼らの想いの力を借りることになるのだから。
敵の剣撃や【時空凍結弾】による射撃はイクシアの『シールドビット』が防ぎ、『強行索敵型デコイドローン』が的を散らす。そうしてできた隙にレナータはユーベルコードを発動させる。
「煌く光が明日を指すなら、どんな闇でも切り開いてみせましょう」
レナータの真の姿による黄金の翼から解き放たれる光輪
【∀.F.アダストネス】は兵士たちへと飛んで行き、切り裂いては炎を含んだ風に包み込み、地面へと落としてゆく。直撃しなかった光輪も、兵士達を一ヶ所へ追い立ててる。
「準備できたわ! イクシアも巻き込まれないように上手く動いてね」
「分かった! さあ、あなたも一旦離脱しましょう!」
ゆかりの言葉に返事をし、レナータと一緒にその場から離れるイクシア。二人が離脱するのとゆかりがユーベルコード【風吼陣】を発動させるのはほぼ同時だった。
「ゆかりさん、今よ」
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
無数の刃を乗せた竜巻が兵士達の周りで起き、刃が容赦なく襲いかかる。
「空にいる相手には、これが一番使いやすいわ」
竜巻が止み、兵士たちの大半が討たれたのを確認するゆかり。
「竜巻の範囲にいなかった連中か」
「援護するよ。闇の救済者の皆さんも弓での援護をお願いします!」
討ち漏らしを片付けるため、偶神兵装『鎧装豪腕』を展開し、敵へと向かうゆかり。そこへ【
強襲支援】でアームドフォートを展開し、支援するイクシア。
「過去に過ちを犯してしまったなら、それを糧にして今正しいと思うことをするんです。罪を責めて刑するだけの力には負けませんよ!」
そしてレナータも光輪を飛ばし、残った敵への掃討に加わるのだった。
大成功
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硲・葎
【金雪】
まずはミゼリアさんに協力を仰ぐところから。コミュ力を使って説得してみよう。
「こんにちは、ミゼリアさん。
協力してほしいんだ。死んだ時、少しでもいいことをしてたら、赦されるかもしれないじゃない?」
まずは作戦を共有。
「じゃあ、私近づいて隙を作るからその間に晃くんに罠をお任せしちゃおうかな?」
ダッシュを使って近づいてみよう。空を飛ばれたら厄介だな。その場合はロープワークとジャンプを使って相手に近づいてみようか。
「はあい♪飴ちゃんどーぞ♪」
接近したら相手の口の中に飴を放り込んでやろう。出来なければ念力使用で入れよう。
「はい、ぼーん!!」
庇ってもらったら照れくさそうにお礼を。
「ありがとう♪」
堺・晃
【金雪】
ミゼリアさんには死角を補いつつ後ろから援護していただきましょう
飛行する敵は人形の髪(伸縮自在なワイヤー)で捕縛、引き摺り下ろし
ハンドガンでの援護射撃
近接は素早さで翻弄
死角から急所を狙った龍狼剣のなぎ払いによる暗殺と使い分けつつ
突っ込んできた敵にはカウンターで猛毒をぶち撒ける
僕に迂闊に触れない方がいいですよ(罠、毒使い)
冷静に戦況を見極め硲さんをさり気なくフォロー
UCの兆候が見えたらメイデンを盾に回避
咎人殺しの檻を発動
空間に猛毒を染み込ませたワイヤーを張り巡らせ
捕え、毒の継続ダメージを与え、切り裂く罠を展開
場合によっては硲さんへのUCも庇いますよ
僕の人形か、アイアンメイデンがね
瀬河・辰巳
死ねばこの世の苦しみから逃れられる。手に掛けた後はそう言い聞かせてきた分、第三層の話を聞いた時は途方に暮れたし、ミゼリアの気持ちも分からなくはないかな。
さて、罪を贖えと言うのなら、ここで敵を倒すことが贖罪ゆえ。敵にはその犠牲になってもらいますか。
影の森を召喚し、森の木々で邪魔しながら炎を纏った棘で敵を地へ落とすが、落ちが悪ければ全力魔法による重力攻撃で森の中へ落とす。落とした後は弓で射たり、森の影に隠れながら大鎌で切り伏せる。
ミゼリアには空の取りこぼしをメインに仕留めてもらい、闇の救済者達には地面に落ちた敵を中心に遠距離で攻撃してもらおう。
●君達はどう贖罪すべきか
「死ねばこの世の苦しみから逃れられる。手に掛けた後はそう言い聞かせてきた分、第三層の話を聞いた時は途方に暮れたし、ミゼリアの気持ちも分からなくはないかな」
ミゼリアの心境について瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)はどこか共感していた。自身の手を汚してきた過去と重なるところがあったのだろう。
「さて、罪を贖えと言うのなら、ここで敵を倒すことが贖罪ゆえ。敵にはその犠牲になってもらいますか」
そう言いながら、辰巳はユーベルコード【宵闇に揺蕩う口減らしの森】によって戦場を影の森で覆う。影の森は辰巳の意志で姿を自由に変える。そして炎を纏った茨を伸ばし、攻め込む『オラトリオの兵士達』を森の中へ引き摺り込もうとする。
「なんだこいつらは!」
「迎撃しろ!」
地面に引き摺り込まれた兵士達もいたが、大半は剣で斬り払ったり【時空凍結弾】で茨の動きを止めたりしたようだ。
「思ったより効きが悪いね。重力魔法で引きずり落とす……必要はなさそうか」
茨よりも細い何かが兵士達を絡め取って森に落としてゆく。
「あの辺りにはミゼリアもいたな。他の猟兵が援護している感じか」
そう判断すると、辰巳は大鎌『ネメシスの遺物』を構え、森を駆ける。
「落ちた奴らは俺が達が仕留める。君達は落ちた奴らが飛び立たないよう、遠距離から弓を打って攻撃してくれ」
更には闇の救済者達にそう指示を出しておくのだった。
「こんにちは、ミゼリアさん。ああ、安心してくださいね。この森は仲間が出したものでしょうから」
急遽出現した森の中で、ミゼリアに人当たりのいい笑顔でそう語りかけているのは硲・葎(流星の旋律・f01013)だ。
「協力してほしいんだ。死んだ時、少しでもいいことをしてたら、赦されるかもしれないじゃない?」
「赦されようとは思っていないわ。私はただ、自分の行いの埋め合わせを行うだけ」
ミゼリアは、少しぶっきらぼうに応える。そんな彼女に今度は堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)が話しかける。
「やる気があるのはいいことです」
そして、晃の周りに兵士たちが落ちてくる。晃のそばにいる人形から髪が伸びており、それが兵士たちに絡み付いていたのだ。
「ミゼリアさんには死角を補いつつ後ろから援護していただきたいのですが、いいでしょうか?」
「分かったわ。できる限りのことはさせてもらうわ」
協力的な返答を微笑みながら受ける晃。
「貴様ら、こんなことして済むと……」
「はあい♪飴ちゃんどーぞ♪」
落ちてきた兵士の一人が何か言おうとしたが、葎が飴玉を兵士の口に放り込む。
「はい、ぼーん!!」
ユーベルコード【ベリーロリポップダンス】で生成された飴玉が爆発し、兵士の頭ごと吹き飛ばす。
「よくも仲間をっ!」
他の兵士も斬りかかろうとしたが、動きが止まる。木々の間にいつの間にか張り巡らされていた猛毒ワイヤーに絡め取られたのだ。晃のユーベルコード【咎人殺しの檻】である。
「いたぞ! あそこだ!」
この騒ぎで場所を聞きつけたのか、上空の兵士達が【時空凍結弾】を飛ばす。
「おっと、危ない」
だが、晃は自分の召喚した『アイアン・メイデン・すキュア』を盾にして攻撃を防ぐ。
「ありがとう♪ それじゃ、私近づいて隙を作るからその間に晃くんに罠をお任せしちゃおうかな?」
庇ってもらった礼をすると、ワイヤーを足場に器用に跳んで上空の敵へと向かってゆく葎。彼女の周囲には先ほどの飴玉が大量に浮いている。
「ええ、行ってらっしゃい」
晃が見送るともに上空で派手な爆発が何度も起こる。そして、そうして気を引いている間に人形の髪と森の茨が兵士達を引き摺り込んでゆく。
「なかなか派手にやっているようだね」
大鎌を構えた辰巳が合流する。彼の後ろには、飛び道具を携えた闇の救済者達もいる。
「ええ。お陰様で。ここはこの様子なら大丈夫そうですかね」
「ああ。油断は禁物だけどね」
二人の見通し通り、この付近の敵が駆逐されるのはそう時間はかからなかった。
大成功
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ハロ・シエラ
私は彼女の事を知りませんが、協力して下さるなら歓迎です。
共にダークセイヴァーを守り、人々を救って貰うとしましょう。
さて、敵は空を飛んでいます。
私もユーベルコードで翼を生やして【空中戦】で相手をするとしましょう。
あの攻撃は聖なる光……に見えますが、気配は全く別物ですね。
聖なる光による破壊の力を誰よりも近くで見て来た私がそう思うのです、間違いありません。
ともかく、その光を回避する為に変則的に【フェイント】をかけながら飛びましょう。
私が敵の攻撃を引き付けている内にミゼリアさんに撃って貰います。
彼女がトドメを刺しきれなければ私の大鎌の出番です。
救済者達と私が牽制と攻撃の役目を交代しながら戦いましょう。
メフィス・フェイスレス
ああ、ミゼリア?って言ったっけ
アンタが昔ナニをしたかなんて私は知らないわよ
時間の無駄だから別に根掘り葉掘りと抉り出す気はないけど?
(クッソぶっきらに)
でもまあ――
UCを発動、躰から溢れ出す骨翼を生やした夥しい数の異形の眷属、「飢渇」の群れ
飛翔する敵に追い縋って突き刺さり、喰らい付いて叩き落とし、闇の救済者達への攻撃を妨害、或いは動きを止めて【穿つ星屑】を当てさせる援護をする
「骨身」で形成した機関砲でミゼリアと背中合わせに敵を撃ち落としていく
醜悪で罪深い――で、ソレがなに?
敵の感傷なんかに付き合う道理はないわ
今一緒に戦ってるんだから、それでいいんじゃない?
(背中でミゼリアの背を軽く叩いて)
サンディ・ノックス
俺は罪人だよ
笑顔を浮かべて言う
かつて大切なこの世界のヒト達を
自分の食欲を満たすためだけに利用した愚か者
お前達が罪を裁く存在だというのなら
裁いてみなよ、俺のこと
こう言えば敵の注意は俺へ向くだろう
闇の救済者達が動きやすくなるはず
ミゼリアさんは利用されていたうえでの罪
俺は自身で判断して行った罪
比べ物にならないんだよ
でもね
俺は過去になんか負けないよ
解放・夜陰で黒水晶を大量に作り出し敵を貫き水晶に食わらせていく
光に照らされて罪を問われるような錯覚を覚えても
炎に焼かれても俺は立ち止まらない
こんなもので俺の罪が許されるならぬるいんだよなあ
俺の贖罪は残りの人生全てをヒトのために捧げること
決めてるんだ、迷わない
●
罪と
贖罪と
「ああ、ミゼリア?って言ったっけ」
「何、ですか?」
先ほどいた戦場の趨勢が落ち着いた為、別の戦場へと到着したミゼリアに声をかけたのはメフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)だ。
「アンタが昔ナニをしたかなんて私は知らないわよ。時間の無駄だから別に根掘り葉掘りと抉り出す気はないけど?」
ぶっきらぼうなメフィスの態度に少し怪訝な表情のミゼリア。
「でもまあ――」
「共にダークセイヴァーを守り、人々を救ってください」
メフィスの言葉にハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が続く。
「あ"あ?」
「私もミゼリアさんの事を知りませんが、協力して下さるなら歓迎です。大事なのは過去よりも今何を成そうとしているか。そう言いたいんですよね?」
「ん、そんなとこよ」
ハロの言葉にメフィスは頷く。言いたいことは概ね合っているし、これ以上は会話を続けるつもりはない。
「という訳でよろしくお願いします」
「よろしくな」
「ええ、よろしく」
最初は怪訝な表情だったミゼリアの表情も落ち着いたものとなる。
「いいねぇ、ああいうの」
そんな様子をどこか微笑ましく見ていたのはサンディ・ノックス
(調和する白と黒・f03274)だ。
「ミゼリアさんは利用されていたうえでの罪。俺は自身で判断して行った罪。比べ物にならないんだよ」
「来たぞ!」
サンディが呟くのと共に、『オラトリオの兵士達』が空より襲来する。猟兵や闇の救済者達が迎撃準備を進める中、スッとサンディは前へと歩み出る。
「俺は罪人だよ」
まるで舞台俳優のような笑顔を浮かべ、朗々と声を挙げるサンディ。
「かつて大切なこの世界のヒト達を、自分の食欲を満たすためだけに利用した愚か者。お前達が罪を裁く存在だというのなら、裁いてみなよ、俺のこと」
自分へ注目を集め、他の者達が攻撃しやすくする算段なのだろう。
「罪深き者よ、ならば望み通り捌いてやろう」
兵士達が【セイクリッドブレイク】による刺突をサンディに浴びせようとするが、
「飛びなさい」
「うおっ!? 何だこれは」
突如現れた蝙蝠のような『何か』の群れに襲われる。その正体はメフィスの眷属『飢渇』。大量のそれが兵士達にまとわりついて動きを制限する。
「ほう。俺のとは違うけど、なかなかやるね」
感心しながらもサンディも【解放・夜陰】で自身の悪意を結晶化させた黒水晶を顕現させ、細かい水晶の欠片を敵に向けて放つ。
「ぐわっ! 今度はなんだ!」
黒水晶の欠片が兵士達に突き刺さり、侵食してゆく。
「おの、れぇ!」
まとわりつく飢渇と黒水晶を振り払おうと【シャイニングレイ】翼から発射する兵士達。狙いは甘く、サンディ達の横を掠めてゆく。
「光に照らされて罪を問われるような錯覚を覚えても。炎に焼かれても俺は立ち止まらない」
そしてシニカルな笑みを浮かべ、兵士達を煽る。
「こんなもので俺の罪が許されるならぬるいんだよなあ」
「貴様ァ!」
「やれやれ。彼はとても人気者ですね」
サンディに注意が向いている中、ハロが大鎌に変形させた『サーペントベイン』で斬り捨てる。ユーベルコード【ドラゴノート】で竜のような翼を生やし、空中戦にも対応済みだ。
「あの攻撃は聖なる光……に見えますが、気配は全く別物ですね。聖なる光による破壊の力を誰よりも近くで見て来た私がそう思うのです、間違いありません」
仲間のことを考えたのか、一瞬どこか遠くを見るハロ。
「言わせておけば!」
今度は光線の照準をハロに向け、討ち続ける兵士達。だが、変則的な軌道を描いて飛ぶハロにはなかなか当たらない。
「おのれちょこまかと!」
「罪深き者共がっ!?」
今度は地上から銃弾の嵐を受ける兵士達。
「醜悪で罪深い――で、ソレがなに?」
骨でできた武器『骨身を削る』を機関銃に変形させて構えているメフィスの姿がそこにあり、彼女と背中合わせになるようにミゼリアが立っていた。
「敵の感傷なんかに付き合う道理はないわ。今一緒に戦ってるんだから、それでいいんじゃない?」
そう言って、トン、と背中でミゼリアの背中を叩く。
「ええ。私のやるべきことをするまでです」
メフィスとサンディが動きを鈍らせた敵に槍から放つ【穿つ星屑】の光条が兵士達を貫いてゆく。
「よし! そんな感じでお願いします!」
地上の射撃攻撃とで攻撃と牽制を切り替えつつも敵に切り掛かってゆくハロ。
「いいねぇ」
そしてその様子を満足げに眺めるサンディ。
「俺の贖罪は残りの人生全てをヒトのために捧げること。決めてるんだ、迷わない」
そして、掃討戦に変わりつつある戦場に未zyからも飛び込んでゆくのだった。
こうして、人類砦の一つがオブリビオンの脅威から守られた。だが、これでこの世界の危機が去った訳ではない。猟兵達はこの場所での役目を終えると、ミゼリア達闇の救済者達に見送られ、次の戦場へと旅立つのだった。
大成功
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