闇の救済者戦争⑧〜オペレーション・ガイア
●とある通信記録
「……余が覚えている限りの彼の地の状況は以上となる」
「なるほど、了解しました。しかしまさか貴方から依頼を頂けるとは思いませんで」
「あぁ、すまぬな。他国の反対勢力の説得に骨を折っている最中だというのに。卿には迷惑をかけるが」
「いえ、問題はありません。ちょうど戦争状態になってしまった以上、状況を終結させるのは我々猟兵の使命です。それに、元より彼らは貴方の領民だったのでしょう? 彼らの無事は我々猟兵が保証します」
「しかし、よもや余の故郷で斯様な争いが繰り広げられるとは」
「貴方が気に病む必要はありません。過去はどうあれ、今の貴方は一国の主。であれば、その使命に全力を注ぐべきかと存じます。他世界のことは我々にお任せ頂ければ」
「……いいだろう。頼む、猟兵。必ずや彼の地の末裔を救い出し、あの地獄とも形容できる世界に安寧を」
「えぇ、仰せのままに」
●オペレーション・シールドバッシュ
「ミッションを説明しましょう」
2023年5月1日。ついにダークセイヴァーで大きな動きがキャッチされた。第三層に君臨し討伐不可能と思われていた「闇の種族」の弱点たる「欠落」の存在にたどり着いた猟兵たちは、ついに闇の種族を討ち果たすべくチェックメイトの一手をかけようとしていた。しかし、その動きを良しとしない闇の種族側は最後の手段に打って出る。第三層を支える赤き世界樹、「天蓋血脈樹」より鮮血の洪水を溢れ出させることで、第三層以下の全ての住民を根絶させるという企みが、『
五卿六眼』の一員『祈りの双子』によって実行に移されようとしていたのだ。
これを防ぐべく、猟兵たちはついに開戦に踏み切る。グリモアベースにて「闇の救済者戦争」と名付けられたこの戦いはまさに、双方死物狂いの血戦となると予想された。そんな中、グリモア猟兵のジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は、ある筋より入手した情報をもとに、ひとつの作戦を立案。猟兵たちを集めてミッションを依頼する運びとなったのである。
「今回、我々は第四層より第三層へと転移した人類砦を護衛します。『ガイアの砦』と名付けられたその砦には、精強な騎士たちで構成された闇の救済者によってこれまで幾多の侵略をはねのけてきた実績があります。かつて強大な力を持ちながら人類側についたヴァンパイアの領主によって鍛えられた『ガイアの騎士』たちは、その高潔な精神と高い練度で、周辺を治めるヴァンパイアから恐れられていました」
しかし、ガイアの砦を率いる領主は、ある戦いの最中、一部の配下と敵対勢力と共に忽然と姿を消したと言い伝えで語られている。それ以来、残された住人の末裔はいつか領主が帰還することを信じて彼の領地に踏みとどまり、留守を守ってきたというのだ。
「ですが、今回そのガイアの砦がまるごと第三層へと転移してしまいました。いかに精強な騎士と言えど、第三層の脅威に太刀打ちすることは難しいでしょう。現在スケルトンの大群が押し寄せてこようとしています。そこで、我々猟兵がガイアの騎士を援護し、ガイアの砦を守る必要があります」
現在、ガイアの砦の周囲は完全にスケルトンの群によって包囲されており、徐々にその包囲網も狭まりつつあるという。辛うじて持ちこたえてはいるものの、このままでは圧殺されるのも時間の問題だ。猟兵たちがスケルトンを蹴散らすことができれば、ガイアの砦を救い出すことが可能となるだろう。
「圧倒的な物量を蹴散らすためには、
闇の救済者たるガイアの騎士の力を借りる必要があります。彼らはユーベルコード『絶対防衛戦線』を使用し、集団での戦いを得意とします。彼らと志を共にすることでより彼らのユーベルコードも強化されることでしょう」
ユーベルコード「絶対防衛戦線」は、拠点を守るという意志を共にする仲間とともに戦うことで、自身と仲間の能力を飛躍的に向上させるユーベルコードである。かつてこの地を治めていた領主より広められたユーベルコードとして伝わっており、現在も失伝せずに残り続けていた。
「また、ガイアの砦は山岳部の洞窟を利用して作られたものであり、元々攻めるに難く守るに易い地形となっています。なので、彼我の高低差も利用すれば優位に戦闘を進めることが出来ましょう」
猟兵たちが出撃すれば、おそらくはガイアの砦を守ることが可能となるだろう。さらに、とジェイミィは告げる。
「このガイアの砦を守ってほしいという依頼をした方がいらっしゃいます。その依頼主の情報については当人の意向もあり伏せさせていただきますが、この依頼を完遂して頂ければその返礼に将来的に皆様への助力をさせてくださるという意志も示しています。彼のためにも、どうかガイアの砦を守って頂けますでしょうか」
ガイアの砦を守ってほしいと猟兵に依頼をしてきた正体不明の依頼主については気になるところもあるだろうが、このガイアの砦防衛を完遂することで将来的に猟兵にとって利になる何かがあるらしい。その意味でも、今回の防衛戦は成功に導く必要があるのだ。
「説明は以上です。ここを超えて第二層より上へ到達するためにも、必ずやこの戦いを勝利に導きましょう」
ジェイミィは一礼し、グリモアのポータルを開いた。ガイアの砦を守るため、猟兵たちは志を同じくする闇の救済者たるガイアの騎士たちを救うべくポータルへと飛び込んでいくのであった。
バートレット
どうも、バートレットです。
遅ればせながらダークセイヴァーの闇の救済者戦争のシナリオをお届けします。なお、今回のシナリオの成否によって今後のバートレットのシナリオに何かしらの影響が発生する可能性があるため、心して挑んでいただけますと幸いです。ついでに「何が起こるのか?」を考察していただくのも良いでしょう。
では、戦争シナリオ恒例・プレイングボーナスのご紹介をば。
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プレイングボーナス……
闇の救済者達と協力して戦う。
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今回
闇の救済者として登場する「ガイアの騎士」たちは、以下のユーベルコードを持っています。
絶対防衛戦線:【拠点を死守すべく共に戦う仲間】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[拠点を死守すべく共に戦う仲間]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
よって、拠点を死守する意志を統一すればするほど、彼らは強固な力を発揮できる上に猟兵たちもその強化の恩恵を受けることが可能です。可能な限りガイアの騎士たちと連携して戦うと良いでしょう。
なお、ガイアの騎士たちの主な装備は白兵武器に鎧です。一部の騎士は盾を装備しています。上手く彼らを活用してあげてください。
OP公開と同時にプレイング募集を開始します。プレイング締切は「システム的に締まるまで」となりますが、募集状況の最新状況はタグにてご確認頂ければ幸いです。また、諸注意をMSページに記載しておりますので併せてご確認ください。
では、皆様からのアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『スケルトン』
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POW : 錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD : バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※愛機搭乗
『騙して悪いが』は無い筈
正直色々気になるけど今は依頼が先さ
数ばかり居ても凡百のガイコツじゃ
【サトゥルヌス】の対怨霊波動は覿面
【アダマンタイト】で時間と出力も補強
愛機周囲は今や聖域…騎士達の陣形構築に活用♪
「マム、火力支援も必要だよね!」
って進言で【トルーパーオーダー】も実行
唐突にデータ実体化したのは
ヘリオの仮想重装型キャバリア・トルーパー
攻防ビット136基と大型ビームキャノンで武装
高台から騎士達へ迫るガイコツ共を薙ぐよ
※ビット仕様等機体詳細一任
後は《瞬間思考力》を駆使して
背部【I・メディック】内医療ポッドでの《医術》支援と
生体電脳《操縦》による【H・ビーク】高速狙撃を並行♪
西院鬼・織久
このタイミングでの転移は何らかの意図があるかもしれませんが、それを考えるのは俺の役目ではありません
我等が役目はただ一つ、我等が怨敵を喰らうのみ
闇の種族の首に手が掛かるか否かなのだ。この程度で我等が止まる道理なし
【行動】POW
砦と砦周辺の地形を騎士から聞き取り、騎士達が最も戦い易い場所と戦力が集中しにくい場所が丁度交わるエリアで戦う
戦い易い方は騎士に、戦い難い方は自分が担当、黒酸漿を呼び出し打ち漏らしがあれば自在にうねる巨体でなぎ払い捕食させる
洞窟の通路に向かって先制攻撃+UCで爆破し後列が突撃する前に夜砥+ロープワークで罠を張り、進行速度と一度に通れる数を絞る事で対応しやすくする
●騎兵隊、来たる
「『騙して悪いが』は無い筈……正直色々気になるけど今は依頼が先だね」
「えぇ、このタイミングでの転移は何らかの意図があるかもしれませんが、それを考えるのは俺の役目ではありません」
ポータルより現れたリーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)と西院鬼・織久(西院鬼一門・f10350)は、ひとまず考察を置いてガイアの砦の救援に急行する。現時点で闇の種族の喉元に食らいつくことができた状態だ。このままみすみす闇の種族側に逃げられる訳にはいかない。
「数ばかりうじゃうじゃと……こういう時はまとめて駆除ってね!」
愛機ナインス・ラインのジャミングユニット「サトゥルヌス」は対精霊・怨霊に特化した装備であり、スケルトンがサトゥルヌスからの霊子波動を受ければたちまち動かぬ骸に成り果てる。次々と地に倒れ伏すスケルトンを見て、防戦一方であったガイアの騎士たちは待ちに待った援軍が来たことを知り喜びの声を上げた。
「こんな状況下で助けが来るとは……!」
「騎兵隊の到着だよ! さぁ反撃とイこうか!」
「共に戦うにあたって、砦とその周辺の地形を把握したいのだが」
「無論、お教えしよう」
織久の要請に斥候役を務める騎士が近寄り、手製の地図を広げて周辺の地形や攻める上で難所となる箇所、逆に脆弱な箇所についての情報を教える。その間にリーゼロッテと残るガイアの騎士たちは、スケルトンの攻勢が緩んだ小康状態を利用して陣形の立て直しを行っていた。
「ナインス・ラインの周辺に固まればひとまず抜かれることはないよ!」
「であれば、負傷したものや疲労が蓄積した者の避難所として活用したい」
「イイね、アタシも医者だし面倒は見れるよ」
そんな話をしていると、リーゼロッテ配下の情報生命体であるヘリオがやってくる。
「マム、火力支援も必要だよね!」
「確かにね。トルーパーも出しておいて」
「アイマム!」
盤石の守りが固められる一方、織久は聞き取った状況をもとに守りの難所と攻めの難所の境界上に立つ。守りが硬い部分を騎士たちに任せつつ、守りづらい部分を自分が引き受ける格好だ。
「行くぞ!」
騎士たちが意志を統一し、リーゼロッテ、織久、ヘリオもその影響下に入る。ユーベルコード「絶対防衛戦線」によって各々が普段以上の実力を発揮できるようになった。スケルトンの攻勢がふたたび始まる中、漆黒の影が現れる。織久が展開する「影面」だ。
「我等が役目はただ一つ、我等が怨敵を喰らうのみ。闇の種族の首に手が掛かるか否かなのだ。この程度で我等が止まる道理なし」
怨念の群体となった織久は洞窟の通路に殺到しようとしていたスケルトンを影の中に飲み込み爆破。さらに夜砥を張り巡らせることで罠を張り、一度に来るスケルトンの数を絞る。これで攻め手は鈍り、より守りやすくなるという構図だ。
加えてリーゼロッテが高速狙撃を実行しつつ、ヘリオが操る仮想キャバリア・トルーパー達の火力支援によってスケルトン側が迂闊に近寄れない状況を作る。何しろ攻防ビット136基と大型ビームキャノンで武装された機体群であるから、烏合の衆であるスケルトンにとっては高所を取ったところで蹂躙されるのが目に見えている。さらに負傷者の治療のため医療ポッドを展開、重症者はリーゼロッテ自らが緊急オペを実施するなど後方支援も万全だ。
「ここが踏ん張りどころだよ!」
「希望を捨てるな! 勝利は我等のものだ!」
リーゼロッテと織久の声に鬨の声をもって応える騎士たち。かくして猟兵という一騎当千の援軍を得たガイアの砦は、ついに一大反攻に打って出ることとなったのである。
大成功
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レナータ・バルダーヌ
闇の種族はいないのが不幸中の幸いですけど、敵の数が多過ぎますね。
わたし一人の力でも助けになるのなら、防衛戦線に加わらせてください。
一緒に砦を護り抜きましょう!
皆さんの護りたいという想い、未来に抱いた希望をわたしもお借りします。
【真の姿】になることで、【∀.F.アダストネス】を発動。
敵の前線を排除しながら最前に出て盾となり、敵の攻撃をサイキック【オーラによる】防御で押し止めます。
負傷した方などがいれば今のうちに退避してもらい、戦線の立て直しが済んだら防衛は再び皆さんにお任せしましょう。
わたしは飛翔してさらに広範囲を後光で照らし、敵群を【焼却】します。
彼らの胸に希望がある限り、この炎を消すことはできません!
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…時は来たれり!さぁ行くぞ!私は…処刑人だッ!
処刑人としての覚悟を胸に灯し戦場を行こう
ちょうどいい…獣人の世界で得た力を存分に振るう事が出来る…その骨身を吹き飛ばしてやろうぞ!
騎士たちに耳をふさぐように命令したら
鉄塊剣を地に突き刺して【半陰陽の鉄の乙女】を発動
対戦車砲に変形した鉄塊剣で騎士たちに当たらぬように遠方に群がる敵群を狙い砲撃開始
鎧砕きと重量攻撃で骨身を撃ち砕き、地獄の炎を巻き散らしながら範囲攻撃で爆破して吹き飛ばしてやろう…!
…一匹も残すまいぞ!私は…処刑人だッ!!!
リーヴァルディ・カーライル
…人類側についた吸血鬼に鍛えられた闇の救済者達、ね
…出来ればどんな領主だったのか聞いてみたい処だけど、今はあの砦を守る事に専念しましょうか
瞬間的に吸血鬼化した自身の生命力を吸収して血の魔力を溜めUCを発動
召喚した690騎の蒼炎馬に乗った黒騎士の意思を統一し【絶対防衛戦線】の強化を受け、
闇属性攻撃の蒼炎のオーラで防御しつつ高所から敵群へと切り込む騎馬突撃を行わせる
…カーライル黒騎士団、総勢691名、参陣
…本来なら時間をかけて埋葬したい処だけど、今は世界の命運を別つ大戦の最中
…申し訳ないけど、弔いは全てが終わってからさせてもらう
…だから死者達よ。二度と目覚める事が無いように眠りなさい、安らかに…。
バルタン・ノーヴェ
SPD アドリブ連携歓迎!
ふむ。なるほど、了解デース!
スケルトンを撃退するのは容易そうデスガ、今後のことを考えると備えを充実させたほうが良さそうデスネ!
ハロー、ガイアのエブリワン! 援軍デース!
共にこの拠点を死守しマショー! と絶対防衛戦線の影響下に入り、グレネードランチャーでスケルトンを吹っ飛ばして参りマース!
バラバラになって飛んでくる骨は、アームドフォートで撃ち落としマース!
前衛は騎士たちにお任せしマスネー!
そして、ワタシの仕事はここからデース!
戦いの後や合間を縫って、砦の周囲に究極塹壕線を構築していきマース!
時間はかかりマスガ、今後もこの地が狙われることを考えて、万全の態勢を整えマース!
二條・心春
いきなり知らない場所に転移させられて、強敵と戦うなんて辛いですよね。彼らの助けになれるよう、私も頑張ります。
私達も一緒に戦わせてください。この砦を、皆さんを失うわけにはいきませんから。あ、私達、というのはですね……ヴリトラさん、来てください!
UCで呼んだヴリトラさんに、攻撃回数を重視した氷のブレスを吐いてもらって敵を凍らせます。凍らずとも動きが鈍れば数で押されたり囲まれる心配も減るはず。後は皆さんと一緒に接近して一体ずつ倒しましょう。私も槍を使いますよ。凍った骨を砕けば簡単には再生もできないはずです。
この現状を把握している依頼主の方も只者ではないですよね。信頼を得られるよう力を尽くしましょう。
フォルク・リア
守って欲しいと言われるなら幾らでも応えよう。
例え依頼主に分らないところが有ってもね。
闇の救済者達には敵の数に惑わされず
瀕死の状態で新たなスケルトンが召喚される前に
倒せる様に一体ずつ確実に仕留めて行くように伝える。
その為にも攻撃する場合は何人かで一斉にかかって
貰えるように頼む。
自身は拘束する闇の黒鎖を【範囲攻撃】で
使用しスケルトンを複数体纏めて拘束して
闇の救済者達を守りながら攻撃を補助。
砦内の救済者達は敵の動きを観察して
仲間に伝えて貰い、不意に攻撃を受けない様に警戒しながら
次の攻撃対象、拘束対象を決定。
戦いながらスケルトン一体に救済者何人当たればよいか
推察していき、より効率的に撃破していく。
●反攻、そして
「……時は来たれり! さぁ行くぞ!私は……処刑人だッ!」
処刑人としての覚悟を胸に秘め、戦場へと飛び込んでいく仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)。手にした鉄塊剣を戦車砲形態に変え、構える。
「反撃の号砲だ! 皆、耳を塞ぐことをおすすめする!!」
獣人戦線世界で手にした新たなる力、「
半陰陽の鉄の乙女」。自らの移動を封じる代わりに地獄の炎を宿した徹甲弾による砲撃を実現するユーベルコードだ。その光景は砲撃というよりも、爆撃に近い。
「衝撃に備えろ! 猟兵殿の攻撃に巻き込まれるな!」
「構えーっ!!」
ガイアの騎士たちが声を枯らして注意を呼びかける。次の瞬間、アンナの構えた鉄塊剣より、黒々とした炎を纏った大口径の徹甲弾が爆音と共に吐き出された。風を切って突き進み、後方で陣形を整えていたスケルトン集団のど真ん中に着弾。盛大な火の手が上がると共に、骨が砕けて天高く舞い上がる。爆心地にいたスケルトンはすでに消し炭状態だ。
「この機を逃すな! 反撃だ!」
「我等が始祖ガイアのために!!」
始祖ガイア、という言葉を聞いて、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は眉根を寄せた。
(始祖ガイア……それが彼らの祖先をまとめ上げた吸血鬼の名。吸血鬼でありながら人類側についた領主……)
一体どんな領主だったのだろうか、とかつてに思いを馳せる。詳しい話を聞いてみたいところだが、今はそんな余裕はない。
「吸血鬼と言われている始祖ガイアの人物像、そしてこの状況を把握している只者ではない依頼主……色々と背後関係は気になりますよね」
「わからないことが多すぎるけれども、それでも守って欲しいと言われるなら幾らでも応えよう。それが俺たちの務めだからね」
二條・心春(UDC召喚士・f11004)とフォルク・リア(黄泉への導・f05375)も今回の依頼における様々な事情については気になっていた。だが、それは一旦おいて、目の前の状況を打破することに集中すべきだと意見する。
「……そうね。現在優先すべきは目の前に迫り来る敵からこのガイアの砦を守り切ること。私達の役目に専念しましょう」
リーヴァルディは2人の意見に頷くと、コンマ数秒の間のみ吸血鬼化して自身の生命力を血の魔力に変換、周囲に拡散させる。次の瞬間出現したのは蒼炎霊馬に騎乗した黒騎士の亡霊たち。
「……カーライル黒騎士団、総勢691名、参陣。義によってガイアの騎士に助力する」
「おぉ……」
膨大な数の援軍に、ガイアの騎士たちはさらに奮い立った。
「我等と志を共にするものが増えた! 必ず守り切るぞ!」
鬨の声が上がる。その声色に疲労の色は見えない。
「いきなり知らない場所に転移させられて、強敵と戦う羽目になったのに……皆さんすごいです! 私達も頑張らないと!」
強い心を持つ騎士たちの姿に心を打たれ、心春もまた闘志を燃やし、彼女の頼れる味方をこの戦場に呼び出す。
「ヴリトラさん、来てください!」
次の瞬間、砦の影より大蛇がのっそりと姿を現した。ガイアの騎士たちに迫ろうとするスケルトン目掛けて氷のブレスを吐き、氷漬けにしていく。足を止めたスケルトン目掛けて心春は槍の一突きを見舞い、、粉々に粉砕した。
「あの大蛇は、卿の味方……ということで良いのだな」
「えぇ、ヴリトラさんです。のんびり屋さんですけど、戦いの時は頼りになるんですよ」
騎士たちも当初はヴリトラに驚いたものの、味方とわかれば心強さを感じる。そこへさらなる一手を仕掛けるのはフォルクだ。
「影より現れし漆黒の鎖よ。その魂を闇へと堕とせ……!」
ヴリトラがカバーしきれない敵に対して影の鎖を放ち、まとめて拘束。
「敵の数に惑わされてはいけない! 幸いこちらはカーライル騎士団の援軍もある、1体の敵に複数人で当たり、確実に撃破するんだ」
「承知した! 各員、必ず複数人で戦闘することを心がけよ! 単独行動は行うな!」
「先陣は私達で切る! 後詰を頼むわね!」
リーヴァルディはカーライル騎士団に騎馬突撃を命じつつ、ガイアの騎士たちには戦線の押し上げと援護を依頼。さらにフォルクは砦内部に詰めている戦闘要員や斥候に敵情の把握を依頼した。不意の奇襲を目論む敵がいないかどうか目を光らせてもらうことで、スケルトン側が形勢逆転する目を潰す狙いがあった。
「ハロー、ガイアのエブリワン! 援軍デース! 共にこの拠点を死守しマショー!」
突如戦場に響いた片言交じりの言葉と共に、アンナの鉄塊剣から放たれる徹甲弾よりもやや口径の小さい榴弾が炸裂。なおも砦に取り付こうと回り込みにかかるスケルトンを一網打尽にした。バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)がグレネードランチャーを斉射したのである。加えて、スケルトンが飛ばす骨をアームドフォートで片っ端から撃墜。前衛は騎士や近接戦闘を得意とする猟兵たちに任せて、自分は援護射撃に徹する構えだった。
(それにこの戦いが終わったあとにひと働きする必要がありマース)
バルタンは戦いを終えた後にも、ひとつやっておきたいことがあった。そのためにはある程度余力を残しておく必要があったのだ。
前衛をガイアの騎士、リーヴァルディが率いるカーライル騎士団、心春が務め、その後ろからアンナ、ヴリトラ、バルタンが援護射撃。戦線全体を見据えて手薄な箇所を作らないように、適宜フォルクが援護要請を飛ばす。彼らの働きにスケルトンは次第にその数が減っていく。
「今こそ好機! 皆さんの護りたいという想い、未来に抱いた希望をわたしもお借りします……オーバーロード!!」
ここへ来て、ついに最後のひと押しを行うべくレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)がオーバーロードを発現。真の姿である金色の翼を持つ聖者の姿となって戦場の中心に舞い降りた。その神々しい姿に誰もが一瞬目を奪われる。
「煌く光が明日を指すなら、どんな闇でも切り開いてみせましょう。悪しき者よ、ここより立ち去りなさい!」
ガイアの騎士、そしてこの場に集った猟兵達の希望がユーベルコード「絶対防衛戦線」によって増幅され、レナータのユーベルコード「
∀.F.アダストネス」を極限まで強化する。黄金の翼は太陽もかくやの輝きを放ち、陣形を立て直そうと集まり始めていたスケルトンたちを次々と焼滅していく。浄火の風に耐えて前にすすむ数少ない敵も、レナータが展開するサイキックの障壁によって阻まれ、力尽き、骸の海へと送り出されていった。
戦いの趨勢は決した。今や残り少なくなったスケルトンはガイアの騎士たちや猟兵によって討ち取られ、戦場の露と消える。
「……本来なら時間をかけて埋葬したい処だけど、今は世界の命運を別つ大戦の最中。申し訳ないけど、弔いは全てが終わってからさせてもらう……だから死者達よ。二度と目覚める事が無いように眠りなさい、安らかに……」
リーヴァルディは動かなくなったスケルトン達の骸を見て、鎮魂の祈りを捧げる。元々生前の彼らは、この世界で足掻き続けた戦士たちだったのだろう。
「彼らの胸に希望がある限り、この炎を消すことはできません。進み続けましょう」
リーヴァルディの隣に立つレナータも、リーヴァルディに倣って祈りを捧げた後、前を向いて決然と告げる。リーヴァルディはその言葉に重々しく頷いた。故郷を救う最大のチャンスなのだ。ここで足を止めるわけにはいかない。
と、そんな2人の耳にザックザックと土を掘り返す音が聞こえてきた。見れば、バルタンがスコップを手に凄まじいスピードで塹壕を掘り進めている。
「今後もこの地が狙われる可能性がありマース! 塹壕を掘ってガッチリ護りを固めまショー!」
バルタンのユーベルコード「究極塹壕線」。139mにも及ぶ塹壕を掘り、トーチカを設置し、鉄条網や地雷原で鉄壁の護りを固めるというものであった。リーヴァルディとレナータは顔を見合わせて苦笑すると、バルタンの作業を手伝いに向かう。
「いいアイディアだ、作業の全体指揮は俺に任せてもらえるかな」
「重いものはヴリトラさんが運びますよ!」
「私も手伝えることがあれば……」
フォルク、心春とヴリトラ、アンナも防衛陣地の構築を手伝い始める。
かくしてひとつの戦いは終わり、ガイアの砦は守られた。猟兵たちはこの地の防備をさらに固めることに精を出すのであった。
大成功
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