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闇の救済者戦争⑧〜人類砦救出戦

#ダークセイヴァー #闇の救済者戦争 #人類砦 #闇の救済者


「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々と――しかし表情には微かな緊張を浮かべながら語りはじめた。
「ダークセイヴァーのオブリビオン・フォーミュラ『五卿六眼ごきょうろくがん』の一員である『祈りの双子』が、誰かが『欠落』の秘密を至った事を察知し、行動を開始しました」
 地下世界の第四層でヴァンパイアとの戦いを繰り広げ、三層で闇の種族の支配に抗ってきた猟兵達は、敵の弱点をついに発見した。闇の種族は自らの体の一部を『欠落』として抉り出すことで圧倒的な力を得ており、これを破壊されると力を失うのだ。ダークセイヴァーの支配者にとって、これは決して知られてはならない秘密だった。

「この事態を重くみた『祈りの双子』は、第三層以下の階層における『全ての生命とオブリビオンの絶滅』を決定。禁獣領域に封じられていた2体の禁獣を解き放ち、第三層を支える『天蓋血脈樹』より『鮮血の洪水』を溢れさせることで、第三層から第五層までを鮮血に沈めるつもりです」
 ただ「欠落」の秘密に至った者を消し去るために、世界を丸ごと滅ぼす。あまりにも大胆でスケールの違いすぎる、これが地下世界ダークセイヴァーを統べる真の支配者達の所業である。これまで猟兵が積み重ねてきた戦果を盤面ごとひっくり返すような暴挙を、断じて許すわけにはいかない。
「すでに第三層では禁獣『歓喜のデスギガス』が開いた『歓喜の門』から、下層世界のオブリビオンが大量に召喚されてきています。同時に解放された禁獣『ケルベロス・フェノメノン』も、猟兵を敵と見做している模様」
 恐るべき力を持ったこれらの禁獣と、天蓋鮮血樹の先にいるという五卿六眼『祈りの双子』に立ち向かい、鮮血の洪水によるダークセイヴァーの絶滅を阻止する。これが今回の戦争の目標となる。そのためにグリモアがもたらした予知を、リミティアは猟兵達に語り始めた。

「皆様にお願いしたいのは、歓喜の門によって下層のオブリビオンと共に転移してきた『人類砦』の救援です」
 第四層でヴァンパイアの支配に抗うべく立ち上がった人間達の組織、『闇の救済者ダークセイヴァー』。人類砦とは彼らが各地に築いた拠点の総称である。突如として第三層という未知の領域に引きずり出されることになった彼らは、状況を把握する間もなく多数のオブリビオンに取り囲まれている。
「闇の救済者達はこれまでにもオブリビオンとの戦闘を経験しており、ユーベルコードを使える精鋭もいます。挫ける事なく戦いを続けてきた彼らはこの世界の人々の希望であり、こんな所で滅ぼさせる訳にはいきません」
 窮地の只中にある人類砦にグリモアのテレポートで急行し、闇の救済者に加勢してオブリビオンを殲滅する。
 これが今回の依頼の概要だ。敵の殲滅はもちろんだが、それ以上に砦と人命の防衛に重きを置くことになる。

「敵はヴァンパイアの支配下にある『仮面の戦士』達。主人の命に従ってあらゆる悪逆非道を粛々と遂行する、闇の兵士です」
 第三層に召喚されても彼らの振る舞いは変わらないようで、主に仇なす者共を抹殺するために人類砦を襲う。
 主君より闇の力を与えられているが、『紋章』のような劇的な強化を施されている訳ではない。レベルは第四層のオブリビオン相応だろう。数は多くとも闇の救済者達とも協力すれば十分に対応できるはずだ。

「下層に生きる全ての命の運命を、このまま『五卿六眼ごきょうろくがん』の意のままにさせておいて良いはずがありません。どうか、皆様の力をお貸し下さい」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ダークセイヴァー第三層へと猟兵達を送り出す。
 絶滅へのカウントダウンはもう始まっている。ついに姿を現した地下世界の真の支配者との戦いが幕を開ける。
「闇の救済者戦争、開戦です」



 こんにちは、戌です。
 ついに始まりました闇の救済者戦争。今回は第三層に転送されてしまった闇の救済者の『人類砦』を、オブリビオンの攻撃から守る依頼となります。

 このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。

 プレイングボーナス……闇の救済者ダークセイヴァー達と協力して戦う。

 敵はヴァンパイアに仕える『仮面の戦士』。第三層基準で考えると強敵ではありませんが、数は多いです。
 闇の救済者達は突然見知らぬ場所に飛ばされて動揺していますが、相手がオブリビオンでも十分戦力になります。砦の中には非戦闘員もいますので、無事に防衛するには彼らとの連携が重要になるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『仮面の戦士』

POW   :    暗黒星雲の力
【闇のオーラ】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【攻撃の命中率低下】を誘発する効果」を付与する。
SPD   :    星辰の獣の力
【星辰を宿した剣】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【巨獣】に変身する。
WIZ   :    闇の支配者の力
【ヴァンパイアの血】【主人との契約】【星々の輝き】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

イラスト:笹本ユーリ

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ユリウス・リウィウス
闇の救済者ダークセイヴァー』諸君、まだ戦線を保っているか?
援軍の猟兵だ。これより敵を押し返す。敵の陣形が綻びたら集中攻撃を頼む。

さて、俺のやることは至って簡単。『数には数』だ。
亡霊騎士団、喚起。「集団戦術」を駆使して、「継戦能力」の高い屍人共でオブリビオンの侵攻を押し戻す。
数なら負けないんだよ。

手強い相手は、わざと陣形に隙を作って俺の前に適当に誘導しろ。「先制攻撃」で奇襲し、双剣で「生命力吸収」「精神攻撃」の刃を振るい、刈り取ってやる。
それくらいの時間なら、俺が指揮から離れてもしっかり動くんでなあ、俺の兵は。

『闇の救済者』! 全体の戦況はどうだ? 俺たちはどこへ向かえばいい!?



「くっ、一体ここはどこなんだ?」
「それにこいつら、数が多い……!」
 ダークセイヴァー上層にて幕を開けた猟兵とオブリビオンの戦争。それは下層の民にとっては青天の霹靂だった。
 禁獣デスギガスの『歓喜の門』から、第三層に強制転移させられた『闇の救済者』達は、状況を理解する間もなくオブリビオンの包囲を受け、旗色の悪い防戦を強いられていた。
「『闇の救済者ダークセイヴァー』諸君、まだ戦線を保っているか?」
 そこに駆けつけたのはユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)。彼に続いて、救援依頼を受けた猟兵が続々と人類砦にテレポートしてくる。このような理不尽な形でこの世界の人類の希望が失われることを、断じて許せなかった者達だ。

「あ、貴方達はもしや……!」
「援軍の猟兵だ。これより敵を押し返す。敵の陣形が綻びたら集中攻撃を頼む」
 ユリウスは手短に必要事項だけを闇の救済者達に伝え、戦いの最前線に立つ。対峙する敵はヴァンパイアの配下である『仮面の戦士』の軍勢。主君に与えられた力と不動の忠誠心をもって無慈悲に命令を遂行する邪悪の尖兵達だ。これを迎え撃つために彼は双剣を鞘より抜き放ち――。
「亡霊騎士団、喚起」
 死の顎に囚われ迷う怨念の塊どもが、彼の号令に応えて馳せ参じる。長剣と板金鎧を装備した腐爛死体ゾンビの騎士に、長槍と丸盾を構えたスケルトンの兵士。手のひらには「1」と刻印されており、総数はざっと見回した限りでも100を超えていた。

「数なら負けないんだよ」
 ユリウスの指揮の下、亡霊騎士団は統率の取れた動きで戦闘を開始。彼らに特別な技能は無いが、痛みを気にせず多少の負傷では動きも鈍らない、屍人ゆえの継戦能力の高さが最大の武器だ。損害を恐れることなく前進し、オブリビオンの侵攻を押し戻していく。
「なんだ、コイツらは……」
「連中の中に死霊術士がいたのか? だが……!」
 だからと言って仮面の戦士も怯むような輩ではない。主君より賜った【星辰の獣の力】で相手の部位を剥ぎ取り、それを喰らうことで巨獣に変身を遂げる。その爪牙は骨さえたやすく砕き、口からは火を吐いて腐肉を灰に変える。ただの亡霊ではいささか手に余る脅威だ。

「手強い相手は、わざと陣形に隙を作って俺の前に適当に誘導しろ」
 敵軍の中に毛並みの違った輩が姿を見せると、ユリウスは直ちに対応策を取らせる。劣勢を演じて後退し、動揺を見せながら陣形に穴を開ければ、星辰の獣が勢いに任せて突っ込んでくるだろう――そこで誰が待ち構えているかも知らずに。
「これくらいの時間なら、俺が指揮から離れてもしっかり動くんでなあ、俺の兵は」
「なッ……ぐああッ?!」
 奇襲をかけたユリウスの双剣、『魂魄啜りソウルサッカー』と『生命喰らいライフイーター』が、迂闊にも突出した敵の魂と血を刈り取る。生命と精神の両方に致命傷を負った仮面の戦士は、獣から人の姿に戻り、そのまま干からびるように朽ち果てていった。

「『闇の救済者』! 全体の戦況はどうだ? 俺たちはどこへ向かえばいい!?」
「あ、ああ! 東側の救援に向かってくれ!」
 敵軍の攻撃の一波を退けると、ユリウスは次の指示を求める。敵の襲来はまだ収まっておらず、全体としての戦況は依然として予断を許さないようだ。危機的状況にある方面へと、彼は亡霊騎士団を引き連れてすぐさま転戦する。
 果たしてこの『人類砦』はかつてない難局を無事に乗り切れるのか、それは彼ら猟兵の働きにかかっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
ようやくだ! ようやく我らの積み重ねが、実を結ぶ時が来たのだ!
敵は数え切れず、揃って強大! だがそれが何だと言うのだ!
闇の救済者たちよ、腹を括れ! ここが一世一代の大勝負!
叛逆の牙を奴らの喉笛に突き立てよ!
【聖戦】の時、来たれりッ!!

【大声】で喝破(鼓舞)し、【気合い】を入れる
戦意の高まりに呼応し、光り輝く神の加護が彼らを強化する
行くぞぉおおおおおお!!!!

最前線で吶喊し、【怪力】を以って聖槍を振るう
斬り打ち穿ち薙ぎ払い、敵陣を【抉じ開け】【蹂躙】する
攻撃が当たりにくいので、闇の救済者たちは常に多対一で戦うように言い含めておく



「ようやくだ! ようやく我らの積み重ねが、実を結ぶ時が来たのだ!」
 幾年にも渡る戦いの末に、ついに猟兵の前に姿を現したダークセイヴァーの諸悪の根源『五卿六眼』。この世界を暗黒と絶望の世界にした全ての元凶は、もはや手の届かぬ存在ではなくなった。恐るべき危機的状況を前にしても、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の闘志はかつてないほどに燃え滾っていた。
「敵は数え切れず、揃って強大! だがそれが何だと言うのだ! 闇の救済者たちよ、腹を括れ!」
 破邪の聖槍を高々と天に突き上げ、大声で味方を喝破する。この状況は臆するべき窮地ではない、寧ろ最大の好機が巡ってきたのだと、前を向けと檄を飛ばす。状況を把握できず混乱の最中にあった闇の救済者達も、これを聞いてハッと顔を上げた。

「ここが一世一代の大勝負! 叛逆の牙を奴らの喉笛に突き立てよ! 【聖戦】の時、来たれりッ!!」
「「お……おおおぉぉぉォォーーーッ!!!!」」
 激的な演説によって気合いを入れられた人々の鬨の声が人類砦に響き渡る。戦意の高まりに呼応してオリヴィアのユーベルコードが発動し、光り輝く神の加護が彼らを強化する。ここに居るのはただの一般人ではない、この世界の未来を切り開くために立ち上がった聖戦の戦士達だ。
「行くぞぉおおおおおお!!!!」
「「うおおおおおおおッ!!!!」」
 最前線で吶喊するオリヴィアと、その後に続く戦士達の雄叫びは大地を揺るがすほどで、数では劣れど士気は完全に敵軍を上回っていた。対する『仮面の戦士』側からすれば、何故これほど急激にあちらの士気が上がったのか、理解できずに戸惑うだろう。

「な、なんだこいつらは……ぐはッ?!」
 戸惑う仮面の戦士の胸板を、破邪の聖槍が板金鎧ごと貫通する。この槍はあらゆる悪を穿ち、邪を破り、魔を切り裂くために鍛えられた至高の聖具。まさにこの聖戦の為にあるかのような武具を、担い手たるオリヴィアが振るう。
「この聖槍の餌食になりたい者から前に出るがいい!」
 常人離れした怪力をもって、並み居る敵を斬り、打ち、穿ち、薙ぎ払い。押し寄せる敵陣をこじ開け、蹂躙する。
 これぞ一騎当千、鎧袖一触。神の加護を得たオリヴィアの猛攻は仮面の戦士が授かった【暗黒星雲の力】など物ともせず、圧倒的な光輝をもってかき消していく。

「敵は攻撃が当たりにくい、常に多対一で戦うように心がけよ!」
「はいッ!」「わかりましたッ!」
 自身が戦った結果から敵の能力を把握したオリヴィアは、それを踏まえた指示を闇の救済者達に言い含めておく。
 攻撃力と装甲を強化しつつ敵対者の攻撃を撹乱する効果を持った闇のオーラは、なかなかに厄介な能力ではある。だがそれも承知の上で多人数でかかれば、【聖戦】で強化された今の彼らに倒せない敵ではない。
「俺達を、舐めるなよッ!」
「バカな、ぐああッ?!」
 始まりは無力でも、より深い絶望の中にあるほど怒りの炎は強く燃え盛り、悪に叛逆する力を生む。これまでにもオブリビオンとの戦闘を経験してきた闇の救済者達は、想像を超える練度をもって仮面の戦士を打ち倒していった。

「人々よ、暴虐に膝を屈することなかれ。拳を上げよ、剣を取れ、勝利の光を分け与えよう! 圧政の鎖を打ち砕け――!」
 オリヴィアはなおも闇の救済者の士気を鼓舞しながら、敵味方の誰もが目を留める最前線で聖槍を振るい続ける。
 闇を照らす神の光は今だ消えることはない。絶望のタイムリミットが迫る第三層において、その輝きは紛れもない希望の灯火だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

肆陸・ミサキ
※絡み苦戦ケガアドリブOK

……この世界の人と肩を並べるのは、まだ心苦しいけれど
救うために生きてきたんだ、ここで退く道理はない
後ろ指さされても……いや、こじらせすぎかな、流石に

SPDでいくよ
仲間も来ているだろうから、守りが薄い方向を専守する
UCはデメリットもあるけれど、命くらいで敵を倒せるならそれでいい
9倍にした攻撃数と範囲攻撃と焼却を、敵の突出してくる位置をよく視て迎撃するね

もし戦える救済者がいるなら討ち漏らしの撃破とか防御を固めるとかしてもらえると、こちらも安心して攻撃に専念できそうだね



(……この世界の人と肩を並べるのは、まだ心苦しいけれど。救うために生きてきたんだ、ここで退く道理はない)
 戦争に巻き込まれた闇の救済者の『人類砦』が窮地に陥っていると聞いた時、肆陸・ミサキ(黒白を弁ぜず・f00415)は迷わず救援に向かうと決めた。葛藤や後ろめたさなど考える事が無かったわけではないが、それは自分が成すべきことを違える理由にはならなかった。
(後ろ指さされても……いや、こじらせすぎかな、流石に)
 ここに至るまでにあった過去、失ったものは振り返らないと決めた。今はただ、この世界を救うために戦うだけ。
 ダンピールの少女は真紅と黄金の双眸でまっすぐに戦場を見据え、守るべき者と倒すべき敵をその視界に収めた。

(仲間も来ているだろうから、守りが薄い方向を専守しよう)
 砦を包囲するように四方八方から押し寄せる敵軍に対処するには、個々の持ち場を分担する必要がある。ミサキは自分の持ち場を瞬時に見極め、何十人もの『仮面の戦士』の前に立ちはだかる。仮面越しからでも分かる敵意と殺気が、肌にびしびしと刺さってくる。
「死ね、人間共」
「消えなよ、君達こそ」
 殺気には殺気で応じ、両眼を輝かせて【焦げ付いた陽光】を発動。彼女の傍らに現れたのは、日食の太陽を思わせる漆黒の高熱球体だった。ただそこに在るだけでも、じりじりと身を焦がされる熱――それが一点に収束されると、眩い閃光が敵陣に放たれた。

「な……ッ!!!」
 漆黒からの熱線を受けた仮面の戦士は断末魔を上げる暇もなく蒸発し、焦げ付いた影の痕跡だけをその場に残す。
 並のオブリビオンでは到底耐えられないレベルの火力。しかもそれは一発限りではなく、攻撃数と範囲を9倍までユーベルコードで強化されていた。
(デメリットもあるけれど、命くらいで敵を倒せるならそれでいい)
 強すぎる光は使い手の身にも危険を及ぼす。だがミサキは構うことなく最大火力の連射を続け、敵の突出してくる位置を的確に狙い撃つ。ここから先へは通さないと言わんばかりの迎撃体制だ。輝く双眸と漆黒の太陽は、誰一人として敵の動きを見逃さない。

「くそッ、この女……!」
 仮面の裏で歯ぎしりしながら、敵軍はどうにか突破口を探ろうと突撃を繰り返す。しかし剣の間合いまでミサキに接近できた者は誰もいなかった。主君に授かった【星辰の獣の力】も、まず攻撃を当てられなければ無意味である。
「な、なああんた……大丈夫か?」
 一方で我が身を顧みない戦闘を続けるミサキも、自身の光線の余熱でダメージを受けており、白い肌のあちこちが火傷で赤くなっている。それに気付いた闇の救済者達は心配そうに声をかけるが、彼女は額の汗を拭うだけで攻撃を止めようとはしなかった。

「私なら平気。それより君たちは討ち漏らしの撃破とか防御を固めるとかしてもらえると、こちらも安心して攻撃に専念できるかな」
「あ……ああ、わかった!」「無理はするなよ!」
 戦える者に援護や砦の防衛をお願いしてみると、彼らはすぐさま指示に従った。現在の窮地を乗り切るにはミサキら猟兵の力が必要なのは動かせない事実だ、ならば彼女達の負担を少しでも軽減するのが役目と判断したのだろう。
 後ろや他の方面は任せても大丈夫そうだねと、心配事がなくなったミサキは目の前のことだけに意識を集中する。焦げ付いた陽光は今だ絶えることなく戦場を照らし、闇の世界の眷属どもをことごとく焼き払っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黎明・天牙
夢幻戦線

よ〜し行くぞ、お前ら
『ヨルムンガンドォォォォォォ!』『ラーズゥゥゥ!』『エクスペリアァァァ!』『ファイズゥゥゥゥ!』『エクセルゥゥゥ!』『アグリアァァァァァァ!』
UC狂気の連雀レンジャーズ発動してダイナマイトを投げつけながら高速回転して敵に立ち向う

『ちい!』『ああ…もう!』
ヴォルガはライフルから放たれる呪殺弾で敵を撃ち落としリズも弓の矢弾の雨で敵を撃ち落としていた

『落ち着け!頼むから!』『大丈夫!こいつ等がおかしいだけだから!』
ヴォルガとリズとティニがパニックに闇の救済者達を宥めている

怖えのは分かるがイマハ協力してくれ

『『お前らのせいだよ!』』
と返された(彼らがパニックになったのは雀達を見たから)

危ねえな〜
敵が剣を振り上げていたが振動による衝撃波でカウンターする

『ミィィィィン!』
オーガスト・ベインはラッシュで敵を殴りまくっている

時間が止まる
『…戦争でもその態度か、ここまで来ると清々しいわ』

いいのか?ぼさっとしてよ


『貴様だけには言われたくないわ!』
時間が戻り邪神君は敵を殴り飛ばした


レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

ゔぁァァァァ!やっぱりこうなったのうぅぅぅ!
セスタに乗りながらよいこの舞を舞い踊る天牙(悪意が全くないのが腹立つのう!)と雀達(悪意無し)のせいでパニックになっている闇の救済者達を宥める妾

こんな時にライメイザがいれば…
有能な眷属の事を思い出すが今は目の前の事に集中する

貴様らのせいじゃあ!
ヴォルガとリズと共に天牙と雀に飛び蹴りをかます

さっさとやるぞ!
落ち着いた闇の救済者達も攻撃しているので闇刃銃から凍結弾で凍らせて近付いて来た奴は斬撃波を放つ

起源を喰らえ!我が眷属達よ!
UC発動
蝙蝠達は奴らの起源を喰らい消滅させた

ええい!もう!数が多い!うっとおしいのお!
何度もUCを発動して敵達を殲滅した



「よ~し行くぞ、お前ら」
 禁獣デスギガスの『歓喜の門』による召喚に巻き込まれた闇の救済者達の『人類砦』。この窮地を救うために黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)が呼び出したのは、ある意味オブリビオンよりヤバい奴ら――【狂気の連雀レンジャーズ】だった。
『ヨルムンガンドォォォォォォ!』『ラーズゥゥゥ!』『エクスペリアァァァ!』『ファイズゥゥゥゥ!』『エクセルゥゥゥ!』『アグリアァァァァァァ!』
 彼らは異常なハイテンションで意味の分からない掛け声を喚き、超高速で飛び回りながら敵の頭上にダイナマイトを投下する。ドッカァン! と派手な爆音が響き渡り、土煙と共に『仮面の戦士』が吹き飛ぶ。戦場はあっという間に阿鼻叫喚だ。

「な、なんだコイツら……ぐわぁッ?!」
 見た目はちっこいスズメ獣人でも、レンジャーズの力を侮ってはいけない。手持ちのダイナマイトを投げ終わった連中は高速回転しながら直接体当たりを仕掛けて敵に立ち向かう。実際の被害以上にインパクトのある戦いぶりは、相手の士気と統率をかき乱す効果もあった。
「え、え、え? なにあれ、どうなってるの?」
『落ち着け! 頼むから!』『大丈夫! こいつ等がおかしいだけだから!』
 問題は敵だけではなく味方でさえ、アレがなんなのか分からず混乱している事だろう。パニックになりかけている闇の救済者達を、天牙が率いる『夢幻戦線』のメンバー(兼ツッコミ役)、オオカミのヴォルガとライオンのリズが懸命に宥めている。なお元凶である天牙はそんなのお構いなしである。

「ほ~らいけ、いい子だから」
「ゔぁァァァァ! やっぱりこうなったのうぅぅぅ!」
 神獣セスタの背に乗りながら混乱を煽るように「よいこの舞」を踊る天牙にキレながら、レティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)も闇の救済者のパニックを宥めるのに奔走していた。
(悪意が全くないのが腹立つのう!)
 あの男もスズメ達も、べつに悪気があるわけではなく素でああだから尚更タチが悪いのだ。そのくせフザケているだけではないのがまた腹が立つ。かつての裏切りと敗北によって力を失った今のレティシアよりも、悔しいが彼らのほうが戦力としては上だろう。

「こんな時にライメイザがいれば……」
 有能な眷属の事を思い出すが今は目の前の事に集中する。今のハルモニアはユーベルコードを除けば一般人よりも少し強い程度でしかないが、それでも闇の救済者達を励まし、共に戦うことはできる。この状況下なら援軍は1人でも多く欲しいはずだ。
『ちい!』『ああ……もう!』
 夢幻戦線のメンバー達もそれぞれの武器で敵を迎え撃っている。ライフルから呪殺弾を放って敵を撃ち落とすヴォルガ、弓から矢の雨を降らせて敵を射抜くリズ。彼らの(まともな)戦いぶりを見たおかげもあって、闇の救済者達のパニックも次第に落ち着いていった。

「怖えのは分かるがイマハ協力してくれ」
『『お前らのせいだよ!』』
「貴様らのせいじゃあ!」
 自分がパニックにさせておいていけしゃあしゃあと言う天牙とスズメ達にヴォルガ、リズ、レティシアがツッコミと飛び蹴りをかます一幕はあったものの、戦況はやや好転しつつあった。落ち着きを取り戻した闇の救済者達も戦闘に加わり、敵軍を押し返そうとしている。
「さっさとやるぞ!」
「お、おうっ!」
 彼らを援護するようにレティシアは闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』から凍結弾を放ち、敵を凍らせて動きを止める。近付いてきた敵は銃の先端に取り付けられた刃で切り払い、戦線を突破されないよう気を配る。数と力で劣れども、味方との連携や冷静な判断力はその差を埋めうるものだった。

「ええい、なにをしている!」
 一方の仮面の戦士達も当初のスズメパニックから回復してきたようで、戦線を押し上げようと【星辰の獣の力】を振るう。彼らが持つ剣には主君に与えられた星辰の力が宿っており、切り裂いた敵の部位を糧にして獣に変身することができる。故にまずは最初の一撃を喰らわないことが重要となるが――。
「危ねえな~」
「ごはッ?!」
 天牙が剣を振り上げた敵に振動による衝撃波でカウンターを仕掛ける。彼の操る「振動」は魔力や神秘の力ではない特殊な技術で、応用すれば熱を発生させたり粒子を書き換えたり、様々な用途を持つ技だ。単純な攻撃手段としても高い威力を誇り、直撃を受けた仮面の戦士はコナゴナに吹き飛ばされていった。

『……戦争でもその態度か、ここまで来ると清々しいわ』
 良く言えば飄々とした、悪く言えばふざけたノリのまま天牙が敵を蹴散らしていると、ふいに『ミィィィィン!』という音と共に何者かの声が響き、周囲の時間が止まる。目の前に現れたのは一匹の虫――否、虫の姿をした異世界の邪神。【顕現夢幻蝉・8月の破滅ムゲンセミ・オーガスト・ベイン】だった。
「いいのか? ぼさっとしてよ」
『貴様だけには言われたくないわ!』
 時間が再び動きだすのと同時に、邪神オーガスト・ベインは触手で敵を殴り飛ばす。概念すらも打ち砕く邪神の連打にかかれば、吸血鬼の眷属ごとき鎧袖一触だ。この新たな味方(?)の参戦によって、戦線は猟兵・闇の救済者の優位へとさらに傾いた。

「起源を喰らえ! 我が眷属達よ!」
 レティシアの方に視点を戻せば、こちらもユーベルコードを駆使して敵を撃退している。【ヴァンパイアストーム"起源喰らい"】によって召喚された吸血コウモリの群れは、鋼の鎧すらも貫通して敵の"起源"を喰らう。存在の根幹そのものを吸い付くされた敵は「ぐああああ……ッ!!」と悲鳴を上げて、死骸すらも残さず消滅していった。
「ええい! もう! 数が多い! うっとおしいのお!」
 それでも敵の進軍は止まることを知らず、新手が次から次に押し寄せてくる。恐らくは今もなお『歓喜の門』からの召喚が続いているのだろう――レティシアは何度もユーベルコードを発動して眷属の群れを増やし、必死の形相で仮面の戦士を殲滅する。余裕ぶった天牙の戦いぶりとは、まさに対照的な姿であった。

「くそッ、こいつら……!」「なんてヤツらだ……!」
 何度攻め込んでも崩れる事なく、見たこともない異能の数々を駆使する「夢幻戦線」のメンバー達の恐ろしさを、そろそろ仮面の戦士達も理解した頃だろう。異世界より来たりし戦士達の(やや温度差のある)働きぶりもあって、人類砦は今だ陥落を免れていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
歌うのでっす!
闇の救済者の方々に!
護られ怯える人々に!
藍を届けるのでっす!
藍ちゃんくんの歌は闇を吹き飛ばす魂の歌!
敵がどの強化を選ぼうとも、傷を癒やし、持久戦に対応し、状態異常も回復させて対処可能!
救済者の方々をこれでもかと鼓舞しつつ攻撃もできちゃうのでっす!
勿論、支援の要である藍ちゃんくんは狙われるでっしょうがー……。
それはつまり非戦闘員の皆様方が安全になる上に、救済者の方々への注意が逸れるということ!
おびき寄せなのでっす!
藍ちゃんくんは信じてるのでっす!
この世界で戦い続けてきた皆々様のことを!
藍ちゃんくんは力を貸しに来たのではないのでっす!
力を合わせに来たのでっす!



「藍ちゃんくんでっすよー!」
 元気一杯ハイテンションな名乗りと共に、闇の救済者の『人類砦』に降り立ったのは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)。ここが戦争の真っ只中でも、みんなが大ピンチでも――否、だからこそ彼のやるべきことは変わらない。
「歌うのでっす! 闇の救済者の方々に! 護られ怯える人々に! 藍を届けるのでっす!」
 闇に包まれたこの世界に光を、文化を。マイクスタンドを握りしめ、砦の上の一番目立つポジションに陣取って。
 奏でる曲のタイトルは【藍テール】。青空の如く澄んだ歌声が常夜の世界に響けば、敵も味方も誰もが振り返る。

「なんだ、この歌は?」「きれいな歌……」
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 彼の歌声は闇を吹き飛ばす魂の歌。傷ついた闇の救済者の心も体も癒やし、状態異常やデバフまで消し去って戦闘に復帰させる。歌い続ける限りこの効果が範囲内にいる全ての味方に届くのだから、破格の治癒力と言えるだろう。
「喧しい歌だ……ぐッ?!」
 一方で、同じ歌を聞いているはずの『仮面の戦士』達は不調を訴え始める。彼の歌は闇に染まったオブリビオンの心を切り裂く刃でもあり、心なき者にすら感情を呼び起こすという。冷酷非情な吸血鬼の眷属どもも、魂に直接訴えかけるような旋律を受けて激しい動揺を示していた。

(これで救済者の方々をこれでもかと鼓舞しつつ攻撃もできちゃうのでっす!)
 敵が主君に与えられた【闇の支配者の力】。すなわちヴァンパイアの血、主人との契約、星々の輝きのいずれを用いてきても、味方の傷を癒やして持久戦に対応し、状態異常も回復させて対処可能。藍の歌声が止まない限り、闇の救済者にとっては圧倒的に有利な状況ができあがる。
(勿論、支援の要である藍ちゃんくんは狙われるでっしょうがー……。それはつまり非戦闘員の皆様方が安全になる上に、救済者の方々への注意が逸れるということ! おびき寄せなのでっす!)
 そのために派手な衣装を着て、目立つ場所で歌っている側面もあるのだ。仮面の戦士達がじりじりと近付いてきても、彼は笑顔でパフォーマンスを続ける。たとえ剣を突きつけられても、強い信念のもとで歌う彼の表情が陰ることはなく――。

「やらせるかよ!」
「ぐあッ!?」
 藍の危機を救ったのは、藍の歌声によって回復した闇の救済者達だった。再び戦う力を取り戻した彼らの攻撃にはオブリビオンにも通じる鋭さがある。不意をつかれた仮面の戦士はばっさりと斬り伏せられ断末魔の叫びを上げる。
「藍ちゃんくんは信じてるのでっす! この世界で戦い続けてきた皆々様のことを!」
 その光景を眺めながら藍は高らかに唱える。彼らの力を信じているからこそ、自分はこうして歌い続けるのだと。
 彼らはただ守られるだけの無力な一般人ではなく、自分の意思で絶望に抗える力を持った、立派な戦士なのだと。

「藍ちゃんくんは力を貸しに来たのではないのでっす! 力を合わせに来たのでっす!」
「おうっ! もちろんだ!」「俺達も戦う……だからキミは安心して歌っててくれ!」
 天を覆う闇も障害も吹き飛ばさんばかりに歌を響かせる藍に共鳴して、闇の救済者達の鬨の声が戦場に響き渡る。
 完璧に連携の取れた彼らを打ち砕くことは容易ではない。歌声の波に押し流されるように、敵はじりじりと後退を始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
『闇の救済者』諸君も災難な事だね。
だが、君達の戦いも分水嶺にある。この戦争を勝利で終えることが出来れば少しはマシな未来になるだろう。
という事で、正念場だ。頑張りたまえ。

『ヤーヌスの双顔』を発動。効果範囲の全ての敵に破壊消滅のダメージを与えつつ、範囲内の『闇の救済者』の負傷を瞬時に治していきましょう。

「私の近くに居ると即死でなければ死ねないよ」(味方へ)

破壊消滅の魔力でダメージを与えながらも、それだけではなく積極的に動いて『オーラセイバー』を振るって敵を狩っていきます。
(怪力×暴力×功夫)



「『闇の救済者』諸君も災難な事だね。だが、君達の戦いも分水嶺にある。この戦争を勝利で終えることが出来れば少しはマシな未来になるだろう」
 此度の戦争は第三層に留まらず、四層や五層にいる全ての生命とオブリビオンを巻き込んだ大規模なものだ。その勝敗が下層の勢力図に与える影響も大きかろうとシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は読んでいた。4層でヴァンパイアの支配に抵抗する『闇の救済者』にとっても、決して他人事ではない。
「という事で、正念場だ。頑張りたまえ」
「簡単に言うよな……! やるけどよ!」
 自信に満ちた笑みを浮かべる美貌の偉丈夫からの言葉に、闇の救済者達は肩をすくめながら応じる。転移当初の動揺もやや薄れてはきたか、どの道ここで踏ん張れないようでは明日はないと覚悟を決めたか。決して無傷ではないものの、まだ『人類砦』に敵の侵攻を許してはいない。

「ハハハ」
 彼らの戦いを援護するために、シーザーは【ヤーヌスの双顔】を発動。魔力による不可視の波動を放ち、周囲にいる敵に攻撃を仕掛ける。朽ちることを知らぬ「超越者の肉体」に宿った無限の魔力は、攻撃に用いれば全てを破壊し消滅させる。眷属クラスの下級オブリビオンに耐えられるものではない。
「か、体が……?!」
 そうと気付かぬまま彼の攻撃範囲に入ってしまった仮面の戦士達は、塵に還るように崩壊、そして消滅へと至る。
 もちろん、彼が味方と認識した者に対しては、このユーベルコードは一切ダメージを与えない。むしろ逆である。

「私の近くに居ると即死でなければ死ねないよ」
 シーザーから放出される莫大な魔力は、肉体を瞬時に完全復元させるレベルの治癒力まで発揮する。闇の救済者達がどんな傷を負っても、彼が言うように死んでさえいなければノーダメージ同然だ。これなら皆安心して戦えるというものだろう。
「すごい……これならいけるぞ!」
「くそッ、こいつら調子に……!」
 回復力を実際に体感することで士気の上がった闇の救済者達は、傷つく事を恐れず果敢に敵に立ち向かっていく。
 逆に、不可視の魔力という脅威に晒され続ける仮面の戦士達の侵攻は鈍り、【闇の支配者の力】による強化をもってしても反抗を抑えきれなくなっていた。砦から遠ざけられていく敵の悔しそうな顔が、仮面越しにも想像がつく。

「その調子だ。では私も行こうか」
 味方の勇戦ぶりを讃えつつも、シーザーとてただ突っ立っているだけではない。魔力を手元に収束させて光り輝く「オーラセイバー」を創造し、自らも積極的に敵を狩っていく。その斬撃は物質から概念まであらゆるものを斬り裂く、この世のどんな鉱物よりも鋭い刃だ。
「こんな所で苦戦している暇はないのでね」
「ぐあッ?!」「ぎゃあッ!!」
 人間離れした怪力の暴威と鍛え上げた功夫の技。その2つを両立させた彼の猛攻は瞬く間に敵を蹴散らしていく。
 彼の通ったあとに散らばる無数の屍は【ヤーヌスの双顔】によって消し去られ、後には何一つ残らなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
敵陣に放り込まれるとは、とんだとばっちりですね……ここまで連中の気まぐれに付き合わされるとは。
こんなことでやられてやる義理もありません。
何とか持ちこたえさせなければ……。

砦の皆さんは、無理に攻め入らずに、防衛に専念を。
銃や弓があるなら、砦から出ずに攻め入ろうとする者だけ討ち取ればいい。
……打って出るのは、我々が。

今の私、正直怒っていますので。
散々嬲り、苦しめ、弄んでおいて、都合が悪くなればまとめて無かったことにしようなどと。
我々を何だと思っているのか。

……私は、お前たちが憎くてたまらない。
ただの手駒だろうと関係ない。
お前たちにも、相応の痛苦を。そうしないと、私の気が済まない。
魂蝕。食い尽くせ!



「敵陣に放り込まれるとは、とんだとばっちりですね……ここまで連中の気まぐれに付き合わされるとは」
 第四層からいきなり第五層に転送され、状況を把握する間もなく戦闘に巻き込まれた闇の救済者達に、シャルロット・クリスティア(霞む照星の行方・f00330)は同情を禁じ得ない。この事態を引き起こした張本人にとっては、彼らの命運などなんの興味もなく、計画の過程で紛れ込んだ塵芥に過ぎないのが尚の事腹立たしい話だ。
「こんなことでやられてやる義理もありません。何とか持ちこたえさせなければ……」
 状況はとても楽観視できるものではないが、猟兵の救援により最悪からは脱しつつある。敵軍の数は多いが個々の強さにおいて特筆した個体はおらず、上層での戦いを経験してきた自分達なら十分対処は可能――そう判断した彼女は戦場に降り立ち、剣を取る。

「砦の皆さんは、無理に攻め入らずに、防衛に専念を。銃や弓があるなら、砦から出ずに攻め入ろうとする者だけ討ち取ればいい」
 シャルロットが闇の救済者達に出した指示は、彼らの身の安全を第一に考えたものだった。元々オブリビオンの襲撃を想定して築かれた人類砦には、城壁を始めとした相応の設備がある。敵軍に遠距離攻撃の手段はないようだし、飛び道具主体で戦えば優位に立てるだろう。
「……打って出るのは、我々が」
「だ、大丈夫ですか?」
 危険の矢面に立つのは生者よりも、自分のような亡霊のほうが相応しい。心配する闇の救済者達をよそに、少女の覚悟は決まっていた。濁流の如く攻め寄せる『仮面の戦士』の軍勢の正面に立ち、まっすぐな眼差しで睨みつける。

「今の私、正直怒っていますので」
 シャルロットが憤る所以は、そもそもこの戦争が引き起こされた発端だ。「欠落」という自分達の秘密を隠蔽するために、ダークセイヴァーの支配者『五卿六眼』は下層の廃棄を決めた。この件には無関係な人々を含めた全てを、鮮血の洪水で洗い流そうというのだ。
「散々嬲り、苦しめ、弄んでおいて、都合が悪くなればまとめて無かったことにしようなどと。我々を何だと思っているのか」
 奴らにとっては生命など塵芥ほどの価値もないのだと、改めて教えられた気分だ。こんな形で皆殺しにされては、これまでの戦いが全て無意味になるだけでなく、犠牲になった者達にも申し訳が立たない。支配者気取りの巫山戯た連中に一矢報いるまでは、死んでも死にきれるものか。

「……私は、お前たちが憎くてたまらない。ただの手駒だろうと関係ない」
 シャルロットの怒りは眼の前にいる吸血鬼の眷属どもにも向けられ、その身体からじわりと黒い靄があふれ出す。
 彼女は執着から転生を拒んだ亡霊。猟兵として縫い止められた魂人のなり損ない。人前では礼儀正しく振る舞っていても、本性は怨念の塊だ。その心に宿った夜よりも深い闇が、この靄を生み出している。
「お前たちにも、相応の痛苦を。そうしないと、私の気が済まない」
「なッ、なんだコレは……貴様ッ?!」
 怨念は呪いとなり、染み込めば蝕む。この力の前では仮面や防具などなんの意味もなさない。剣を交える機会すら与えない、ただ苦しみ、悶え、朽ちてゆけ――殺意と憎悪に満ちた靄に呑まれたが最期、彼らの命運は定められた。

「魂蝕。食い尽くせ!」
「「ぎっ、が、ぎゃああぁぁぁッ!!!?!」」
 黒い闇に包まれた仮面の戦士達が、肉体のみならず精神や魂すらも呪詛に侵蝕される壮絶な苦痛に絶叫を上げる。
 一方で、このユーベルコードが傷つけるのはシャルロットが敵として憎む者のみ。他の猟兵や闇の救済者には影響を及ぼさない。それはまだ彼女が理性を残している証でもあった。
「す、凄い……」
「おい、ビビッてる場合か! 俺達もやるぞ!」
 凄まじき怨霊の力に驚愕しながらも、闇の救済者達は心神喪失状態となった敵に追撃を射掛ける。砦から降り注ぐ矢の雨は、呪いで蝕まれた敵にとどめを刺し。仮面の外れた連中が苦悶の表情で息絶えていく様を、シャルロットはゾッとするほど冷たい眼で見つめていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・スペルティナ
安心なさい、救援に来ましたわ!

極力一番前に出て攻撃を引き付けますわ。ある程度は攻撃を見切ってかわし、後は……勘ですわ!わたくし自身は多少の傷も流血も平気ですし、この血は呪いを内包するのだから寧ろ浴びせてやるつもりでいますわ!

けれど、味方の消耗が気になりますわね……
自ら手首を切りその血を用いて魔法陣を描きUC【冥想血界:果てなき永劫の戦】を

味方へと不死化と生命力活性の祝福を、
敵に紅き鎖による拘束と骸の海への強制送還を!

さあ、貴方達、ここが踏ん張りどころですわよ!
護りたい誰かの為にも、帰るべき場所の為にも、こんなところでこんなの相手に死んでいる場合じゃありませんわよ!

※アドリブ連携等歓迎です



「安心なさい、救援に来ましたわ!」
 窮地に放り込まれた『人類砦』に、響き渡る乙女の声。絶望的なムードなど吹き飛ばすような自信に満ちた声の主は、メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)。ダンピールの黒騎士にして死霊遣い、その実態は誰かの危機を見過ごせないお人好しである。
「ここからは、このメリー・スペルティナが相手ですわよ!」
「フン、増援か」「歯向かうならば誰であれ始末するのみ」
 堂々と戦場の最前線に降り立った彼女は、黒剣「シュバルツシュテルン」を構えて敵と対峙する。主君より反逆者の抹殺を命じられた『仮面の戦士』達からすれば、殺す相手が1人増えただけだと考えるだろう。それがとんだ侮りだった事を、彼らはすぐに理解するはずだ。

「行きますわよ!」
「返り討ちにしてくれる!」
 果敢に吶喊するメリーの元に、敵の注目と攻撃は自然と引き付けられる。彼女はそれをある程度までは見切って、後は勘任せに身を躱す。半分以上はそれで回避できるものの、流石に無傷とまではいかなかった。【星辰の獣の力】を宿した剣が漆黒のドレスを斬り裂き、露わになった肌から血が噴き出す。
「痛っ……けど、問題はありませんわ!」
「なにを、ッ?!」「ぐ、がはッ!!」
 これしきの傷や流血で倒れるほどメリーはやわではないし、流れた血は呪いを内包している。寧ろそれを浴びせてやるのが戦法の一部ですらあった。「想い喰らう呪血」を受けた仮面の戦士が苦しんでいる隙に、彼女は1人ずつ剣を振るって斬り伏せていく。

(わたくし自身は何とでもなりますけれど、味方の消耗が気になりますわね……)
 メリーが優勢な戦いぶりを見せていても、戦場にいる全ての敵を引き受けられる訳ではないし、闇の救済者は普通に怪我もすれば疲労もする人間達だ。終わりの見えない戦いを強いられ、徐々に疲弊の色を濃くする者がいるのを、彼女は見逃さなかった。
「ふふん、見せてやりますわよ、今を生きる終わりなき戦を征く者の強さ、その想いを」
 そこで彼女は自ら手首を切り、その血を用いて魔法陣を描く。発動するのは【冥想血界:果てなき永劫の戦】――一時的に己の領域で世界を上書きするユーベルコードだ。暗雲に覆われた空から、ぽつぽつと紅い雨が降り始める。

「さあ、貴方達、ここが踏ん張りどころですわよ!」
 この雨が降るメリーの支配領域では、味方に不死化と生命力活性の祝福が与えられる。吸血鬼と同等か、あるいはそれ以上の強靭さを全ての闇の救済者が獲得するのだ。これまでに負った傷がみるみるうちに癒えていくのに驚きながら、彼らは乙女の声を聞く。
「護りたい誰かの為にも、帰るべき場所の為にも、こんなところでこんなの相手に死んでいる場合じゃありませんわよ!」
「……! ああ、その通りだ!」「負けられないわよ、絶対に!」
 ユーベルコードの効果以上に、彼らの心を奮い立たせたのはその檄であった。戦線に復帰した闇の救済者達は持てる力の全てを尽くして仮面の戦士に挑む。個の戦闘力では猟兵に劣れども、死を恐れる必要のなくなった彼らの勢いは誰にも止められない。

「くそっ、こいつら……!」「それに何だ、この雨は……!」
 紅い雨は生者に加護をもたらす一方で、死者に対しては縛鎖となって拘束し、骸の海へと強制的に引きずり戻す。
 これでは仮面の戦士も満足に戦えまい。強制送還から逃れようと鎖に抵抗すれば、その隙を闇の救済者に突かれるだけだ。
「かつて在りし者たちに眠りを。今在りし者たちに祝福を」
 メリーが降らせた雨はまだ止む気配を見せず、紅く染まっていく戦場の流れは変わりつつあった。『歓喜の門』より敵の召喚は続いているものの、闇の救済者もそれに押し負けてはいない。この難局を無事に乗り越えるまで、もう暫くの辛抱だ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

堺・晃
おいで、紫鴉

住まう者の力で自身にオーラ防御を纏いつつ
接近戦は暗殺技術を用いた龍狼剣のなぎ払いと急所突きで
遠距離戦はハンドガンを用いた援護射撃や
召喚したアイアン・メイデン・スキュアの棘の一斉発射による串刺しで
非戦闘員達の元に近寄らせない戦い方を

万一の場合は紫鴉の毒爪による引っかきで牽制

範囲攻撃を主軸にしても、流石に全方位監視しきれないのでね
闇の救済者の皆さんは僕の死角を補っていただけますか

(多少の四角は気配感知でも対応)

ああ…しかし、身体強化は厄介ですからね

紫閂斬界発動
猛毒を塗ったワイヤーで動きの鈍化と継続ダメージ
僕の毒は鋼鉄をも溶かす
防御力を上げたところで逃げられませんよ(毒、罠使い)



「おいで、紫鴉」
 ささやくような声で堺・晃(元龍狼師団師団長・f10769)が呼びかけると、赤い瞳のカラスが彼の肩にとまる。
 眼下には見渡す限りの敵の群れ。この人類砦と同様に第四層から召喚されてきたのか、それにしても大した数だ。
「範囲攻撃を主軸にしても、流石に全方位監視しきれないのでね。闇の救済者の皆さんは僕の死角を補っていただけますか」
「分かりました。ご武運を!」
 弓矢や槍を構える闇の救済者達に声援を受けて、彼は前線に赴く。その身は「住まう者」と呼ばれる何かの力によってオーラを纏い、手には小型の剣とハンドガンを携えている。この程度の苦境ならこれまでに何度も越えてきた、犠牲を出さずに無事乗り切ってみせよう。

(非戦闘員達の元に近寄らせないようにしましょう)
 砦に接近する『仮面の戦士』を最初の標的に選んだ晃は、暗殺技術を用いて音もなく背後に近付き、「龍狼剣」の片割れを振るう。切れ味抜群の刃で急所を正確に一突きされた敵は「がッ?!」と血反吐を吐いて即座に絶命した。
「なんだ、あいつは……ぐわッ?!」
 さらに晃は左手でハンドガンの銃弾をばら撒き、空間から「アイアン・メイデン・スキュア」を召喚する。禍々しい鋼鉄の処女の内側にびっしりと取り付けられた棘は、全てロケット発射できるように改造が施されており――彼の合図ひとつで一斉発射され、敵軍を串刺しにした。

「すみませんが、これ以上近寄らないで貰えますか」
「ッ、バカにするな……!」
 平然とした微笑みで立ちはだかる晃に対して、仮面の戦士達は逆上しながら【闇の支配者の力】を発動。主君より与えられたヴァンパイアの血と契約の力、そして星々の輝きで自らを強化する。強者に従属する下級オブリビオンと言えど、切り札の一つくらいは持っているか。
「ああ……しかし、身体強化は厄介ですからね」
 口ではそう言いながらもまるで慌てた様子もなく、晃は【紫閂斬界】を発動。からくり人形「Mirror Doll」から猛毒を塗ったワイヤーを放ち、周囲にいた敵をまとめて縛り上げる。目にも留まらぬ速さで伸縮するワイヤーの拘束から、逃れられる者は誰もいなかった。

「ぐあ……?!」「は、放せッ!」
 拘束された仮面の戦士達は慌ててもがきだすが、このワイヤーは簡単に切れる代物ではない。その役割は敵の動きを鈍化させつつ猛毒による継続ダメージを与える事だ。もはや彼らは毒蜘蛛の巣に捕らわれた虫けらのようなもの。
「僕の毒は鋼鉄をも溶かす。防御力を上げたところで逃げられませんよ」
「「ぐ、ぐあああぁぁぁ……ッ!!」」
 満足に身動きできないままじわじわと身体を溶かされる苦痛に、たまらず悲鳴を上げる戦士達。晃はその様子を見守りながらも拘束を抜け出す者がいないか気を配っている。気配を感知する術に長けた彼は多少の死角くらいなら反応するし、今は頼れる"眼"もついている。

「こんな所で、やられるわけには……ぎゃッ?!」
 必死にワイヤーを振りほどいた仮面の戦士を襲ったのは紫鴉。その爪にはワイヤーのものとは別種の猛毒が塗られており、ひと掻きで今度こそ標的の命を奪う。非戦闘員の命もかかっている以上、油断も手加減もするつもりは彼らには一切なかった。
「いい子だね」
 紫鴉の働きを労いながら、追加のワイヤーを張り巡らせる晃。彼の立っている場所から敵は一歩も先に進めない。
 戦場で場違いなほど爽やかで紳士的なその笑みを、そろそろ仮面の戦士達も不気味に感じてきたことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
デスギガスの奴、もしかしてわざと人類砦を第3層に呼び寄せたんじゃないでしょうか…
(「そうかもしれないけど今は砦に迫る脅威を取り除くことが最優先よ」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!申し訳ありません!せんせー!
(「さて、どうする?」)
ここはUC【蠢動する大地】を使います!
闇の救済者の皆さん!
ここに皆さんを呼び寄せたやつは皆さんが絶望に染まる姿を待ち望んでいます!
だから見せつけてやりましょう!どれほど絶望と苦痛を与えようとも決して希望は潰えないということを!
さぁ皆さん!武器を手に!俺と共に砦の周りに蔓延る連中を打ち破りましょう!
とつげーき!
(敵軍の真っただ中へ飛び込み『衝撃波』で攻撃を仕掛ける)



「デスギガスの奴、もしかしてわざと人類砦を第3層に呼び寄せたんじゃないでしょうか……」
 第四層から『歓喜の門』で召喚されたものの中に闇の救済者がいることに、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は疑問を抱いていた。禁獣の思惑を推し量ることは難しいが、ひょっとするとこの召喚は巻き込まれたのではなく、意図的なものではないかと。
(そうかもしれないけど今は砦に迫る脅威を取り除くことが最優先よ)
「はい! 申し訳ありません! せんせー!」
 頭の中から教導虫「スクイリア」に話しかけられると、彼は元気よく返事をして考察を中断した。彼女の言う通り闇の救済者達が置かれている状況は一刻の猶予もなく、このままオブリビオンの大軍に人類砦が攻め落とされるのを黙って見ている訳にもいかない。

(さて、どうする?)
「ここは【蠢動する大地】を使います!」
 そう言って兵庫は戦闘中の闇の救済者達の元に駆けていき、彼らを鼓舞するための演説を始める。この呼びかけに皆の同意を得られれば、同意者の数に比例して対象の戦力を強化する。彼が使ったのはそういうユーベルコードだ。
「闇の救済者の皆さん! ここに皆さんを呼び寄せたやつは皆さんが絶望に染まる姿を待ち望んでいます!」
 今回の戦争を引き起こした諸悪の頂点『五卿六眼』の恐るべき計画と、封印を解かれた禁獣の脅威を兵庫は語る。
 奴らにとって定命の者達が絶望にもがき苦しむさまはただの娯楽であり、泣いても喚いても敵を喜ばせるだけだろう。召喚の思惑が分からずともそれだけは確信がある。

「だから見せつけてやりましょう! どれほど絶望と苦痛を与えようとも決して希望は潰えないということを!」
 これまでも猟兵と闇の救済者達は、ダークセイヴァーを支配するオブリビオンに抗ってきた。いつの日かこの世界を闇の中から救い出すために。だったらここで膝を屈する訳にはいかない――希望の火はまだ心の中に灯っている。
「さぁ皆さん! 武器を手に! 俺と共に砦の周りに蔓延る連中を打ち破りましょう!」
「お、おうッ!」「やってやる!」「諦めるものかよ!」
 兵庫の訴えかけで奮起した闇の救済者達の身体を、バトルオーラの輝きが包む。これこそ【蠢動する大地】が効果を発揮した証だ。戦う理由と覚悟を改めて思い出した彼らの意志はひとつとなり、オブリビオンにも負けない強力な"群れ"がここに誕生する。

「とつげーき!」
「「うおおおおおおおおーーーッ!!!」」
 緑色の「誘導灯型合金破砕警棒」を振りかぶり敵軍の真っただ中へ飛び込む兵庫。彼が振るった攻撃は衝撃波を巻き起こして仮面の戦士どもをなぎ倒し、戦線をこじ開けていく。その後に続くのは雄叫びを上げる闇の救済者達だ。
「皆さん、やっちゃって下さい!」
「ああ!」「くらえッ!」
 バトルオーラで強化された彼らの武技は、主君から【暗黒星雲の力】を与えられた仮面の戦士にも通じるレベルに達している。蜂蜜色のオーラが闇のオーラを中和し、剥き出しとなった本体を刃が貫く。これには敵も驚愕と動揺を隠せまい。

「ばかなッ?!」「こいつら、急に強く……!」
「俺たちを舐めるな!」
 動揺の隙をさらに押し広げるように、兵庫と闇の救済者達はガンガン攻め上がっていく。一度勢いに乗った彼らを止められる敵はおらず、戦いの潮目が変わるのが分かる。深い絶望の最中でも、決して潰えぬ希望がそこにあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬河・辰巳
せっかく冬眠明けの子達とのんびり過ごそうと思ってたのに、余計なことを…。

守りが1箇所でも崩れると厄介だから、ラーベくんに砦の守りが手薄な場所を探してもらい、そちらへ移動。闇の救済者には遠距離での支援を依頼する。
「極力削るけど、遠距離で近付いた敵を片付けるのを手伝ってくれ」
初手から全力魔法で吹き飛ばし、UCの呪いの炎で焼いて灰にしてゆく。しぶとく寄ってくる連中は弓で射たり、時々大鎌で突っ込んで切り伏せるかな。その後も時間稼ぎに時々風の全力魔法で砦から遠くへ吹き飛ばす。
え、もふもふ達とのんびり出来ないことへの八つ当たりかって?…たぶん気のせいだ、うん。



「せっかく冬眠明けの子達とのんびり過ごそうと思ってたのに、余計なことを……」
 この戦争で被害をこうむるのは人間やオブリビオンだけではない。野や森に生きる動物達も、階層が鮮血に沈めば一緒に全滅だ。動物が友達の森育ちの青年、瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)にとってそれは見過ごせる話ではなかった。もちろん、今まさにピンチの闇の救済者達を見捨てる気もない。
「守りが1箇所でも崩れると厄介だから、砦の守りが手薄な場所を探してもらえる? ラーベくん」
 一緒に連れてきた黒いワタリガラスにそう呼びかけると、彼はぱたぱたと飛んでいって空から戦場の偵察を行う。
 敵はこの『人類砦』をぐるりと取り囲んでおり、猟兵や救済者達が各方面にばらけて迎撃に当たっている。だが、それでも手が足りているとは言い難い状況だろう。

「そっちが危ないって?」
 カァカァと鳴きながらラーベくんが戻ってくると、辰巳は導きに従って移動する。現場ではまさに『仮面の戦士』の攻勢にて砦の防衛線が突破されそうになっていた。闇の救済者達も懸命に反撃してはいるが、少々分が悪い様子。
「極力削るけど、遠距離で近付いた敵を片付けるのを手伝ってくれ」
「た、助けてくれるのか!」「ありがたい!」
 そこに猟兵が駆けつけたとあれば味方の士気は大いに上がる。辰巳は手短に支援を依頼してから「樹海の祈り」と名付けたロングボウを手に前線に立つ。その足元をよく見てみれば、様々な動物の形をした歪な影が揺らめいているのに気付くだろう。

「地へ還ることも赦さない、憎しみの業火」
 辰巳が呪文を唱えると、「オトモダチ」の影から黒い呪いの焔が解き放たれ、動物の姿を取って敵に襲い掛かる。
 急を要する事態ゆえに初手から魔力は全開だ。真っ黒な津波のように溢れかえった焔の波は、たちまち戦場全体に広がって敵軍を吹き飛ばしていく。
「な……ぎゃぁぁぁぁっ?!!」
 黒焔の領域に呑まれた仮面の戦士達は、火傷と共に足元から徐々に灰と化す呪いを受ける。生きたまま体を焼かれて崩れていく苦痛は想像を絶するものだろう。より多くの生き物を殺めた者、術者の憎しみを買った者ほど、この呪いは強くなる。

「いくら喚いても赦す気はないよ」
 辰巳はきつい眼差しで敵を睨みつけ、しぶとく寄ってくる連中に矢を射掛ける。火傷と灰化で満足に歩けもしない標的など、外すほうが難しいくらいだ。なおも膝を折らない輩にはこちらから近付いて、弓にかわって大鎌の一閃を喰らわせる。
「じゃあね」
「ぎゃ……ッ!」「く、このォ……!」
 苔や蔦を纏った「ネメシスの遺物」に斬り伏せられた敵は、ぱっと真っ赤な血の花を咲かせ。さらに斬撃の余波は旋風の魔法となって残った敵を吹き飛ばす。直接とどめを刺さずとも、砦に近寄れないよう時間稼ぎをしてやれば、あとは呪いで燃え尽きるか他の猟兵が始末してくれるだろう。

(え、もふもふ達とのんびり出来ないことへの八つ当たりかって? ……たぶん気のせいだ、うん)
 いつもより苛ついているような、敵への当たりが強いような気もする戦いぶりの理由についてはさておき、辰巳の救援によって危機に陥っていた戦線は立ち直りつつあった。彼らにまたのんびりできる日常が訪れるのはもう暫く先の事になりそうだが、まずは現状を乗り切る所から始めよう――邪魔をする連中は、誰であれご退場願うとして。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリュンヒルデ・ブラウアメル
我に任せよ!

瞬間、無作為にオブリビオンのみを凍結させる冷気がオブリビオン相手に襲い掛かる
防衛を主体とした冷気領域を広げ、人類砦にオブリビオンが近づかない様にする

災難だったな
だが、安堵せよ
我の名は『終焉破壊者エンドブレイカー』!
この世の不条理なる『終焉』全てを破壊する者!
例えそれが、神や世界が決めた事であろうと、関係はない!

ヴァルキリーのエネルギーの翼を翻し、飛翔しながら冷気を纏ったブラウグアムを振るいオブリビオンを斬首
そのまま斬首されたオブリビオンの遺体を凍結させ、無作為なる凍結をオブリビオンに齎す『混沌氷河期』で広域殲滅を行っていく――



「我に任せよ!」
 ブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首たる終焉破壊の騎士・f38903)が高らかにそう言った瞬間、極寒の冷気が仮面の戦士達に襲い掛かる。これはオブリビオンのみを無作為に凍結させる『混沌氷河期』の力――【蒼翼の終焉破壊・悪逆の頂たる二つの交差】によるものだ。
「な――……!!」
 不運にもその力の顕現に巻き込まれた敵は凍りつき、二度と動かぬ氷像となる。さらに混沌の冷気は『人類砦』の周辺に留まって敵軍を寄せ付けない領域を築き、美しき蒼氷の城壁を作り上げる。その光景は苦境に立たされていた闇の救済者達もハッと息を呑むほどであった。

「災難だったな。だが、安堵せよ。我の名は『終焉破壊者エンドブレイカー』! この世の不条理なる『終焉』全てを破壊する者!」
 驚く一同の前で、自信に満ちた声色と表情で名乗りを上げるブリュンヒルデ。不幸な終焉エンディングを予知し、破壊できるこの力こそが彼女の誇りの拠り所。ならば世界そのものが滅びを迎えようとしている最大級の終焉を、放っておけるはずがない。
「例えそれが、神や世界が決めた事であろうと、関係はない!」
 『五卿六眼』なにする者ぞと、勇ましく挑戦の意志を示し、蒼いエネルギーの翼を翻す。まずはここに居る人々を救うことで、自らの発言が大言壮語ではないことを証明してみせよう。空に舞い上がった戦乙女ヴァルキリーは「蒼翼羽剣ブラウグラム」を手に、仮面の戦士の軍団に向かっていく。

「往くぞ!」
 飛翔しながら冷気を纏ったブラウグアムを振るえば、仮面の戦士の首が宙を舞う。【暗黒星雲の力】で抵抗する間もない刹那の早業。残された首なしの遺体は凍結し、今もなお広がり続ける『混沌氷河期』の光景の一部となった。
「くそっ……不味い、一旦退け!」
「逃がすものか!」
 危機を悟った敵軍は氷河から遠ざかるように後退を始めるが、ブリュンヒルデは容赦なくユーベルコードを継続。
 無作為なる理を宿す混沌と万象を凍てつかせる氷河期の交差が、悪しき終焉に終焉をもたらす。今さら逃げたところでとっくに手遅れなのだ。

「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼!」
 エネルギーの翼の羽ばたきが冷気を生み、氷河期の領域を拡大する。逃げ遅れた仮面の戦士達を巻き込みながら。
 凍結した敵の顔から仮面が剥がれ落ちれば、その下の表情はみな恐怖と絶望に染まっていた。彼らがこれまで人間にしてきた事を考えれば、自業自得の末路と言えるだろう。
「ひ……!」「た、助け……」
 断末魔や命乞いすらも凍りつき、冷たい静寂が混沌氷河を満たす。領域の主たるブリュンヒルデその人を除いて。
 あまりにも一方的かつ圧倒的な力の行使に、闇の救済者達は言葉を失い、ただただその光景に見惚れていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ようやくオブリビオン・フォーミュラ、敵の首魁が姿を現したか

…まさか他のオブリビオン諸とも滅ぼしに来るとは思わなかったけど、
それだけ闇の種族の『欠落』を発見されたのが連中にとって痛恨事だったのね

吸血鬼化して増幅した自身の生命力を吸収して血の魔力を溜めUCを発動
召喚した685騎の黒騎士霊を闇の救済者達に降霊させて蒼炎のオーラで防御して覆い、
彼らの装備を黒騎士剣や黒炎の鎧に武器改造を施し強化する事で支援を行う

…恐れる必要はない。これなるは異端の血を啜る黒剣、神々を喰らう黒炎の鎧

…砕けてなお、邪悪と闘う貴方達に力を与えんとする武具の魂よ

…微力ながら支援させてもらうわ、闇の救済者ダークセイヴァー



「……ようやくオブリビオン・フォーミュラ、敵の首魁が姿を現したか」
 ここまで来るのに長かったものだと、感慨深くリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は呟く。この世界を闇と絶望の世界にした諸悪の根源、その名は『五卿六眼』。数年前までは知る由もなかった大敵の1人が、ついに手の届くところまでやって来た。
「……まさか他のオブリビオン諸とも滅ぼしに来るとは思わなかったけど、それだけ闇の種族の『欠落』を発見されたのが連中にとって痛恨事だったのね」
 三層以下を全て鮮血の洪水で沈めるという大規模な行動も、逆に敵が焦っていると捉えることもできる。自分達のこれまでの戦いは決して無駄ではなかった。ならばこそ、これまでの軌跡を台無しにさせる訳には断じていかない。

「……限定解放。来たれ、戦場に倒れし騎士達の魂よ」
 戦乱の渦中に巻き込まれた『人類砦』に降り立ったリーヴァルディは、一時的な吸血鬼化によって自らの生命力を増幅し、それを血の魔力に変換して【限定解放・血の騎士団】を発動。蒼炎の霊馬に跨った黒騎士の亡霊達を現世に降臨させる。
「……彼らに力を」
「うわっ?!」「なんだっ!?」
 彼女が命じれば685騎の亡霊はみな闇の救済者達の元に向かい、彼らの身体に降霊する。突然取り憑かれる事になった人々は当然驚くが、肉体を乗っ取られるような悪影響は特にない。これらは寧ろ彼らの身を守るためのものだ。

「……恐れる必要はない。これなるは異端の血を啜る黒剣、神々を喰らう黒炎の鎧」
 黒騎士達に憑依された闇の救済者達の体は蒼炎のオーラに包まれ、身に着けていた装備は黒騎士の剣や黒炎の鎧に変化する。この亡霊達の正体はリーヴァルディが語る通り、主を失ってなお戦場を求める武具達の魂が具現化した、異世界でいう付喪神やヤドリガミに近い存在であり――。
「……砕けてなお、邪悪と闘う貴方達に力を与えんとする武具の魂よ」
 闇の救済者を「主」と認めた彼らは、騎士から武具に戻ることで自らの全霊を預けた。ただの人間でも今なら歴戦の黒騎士に匹敵する力を振るうことができるだろう。それが700人近くも付与できるのだから、戦力強化としては破格の効果だ。

「……微力ながら支援させてもらうわ、闇の救済者ダークセイヴァー
「微力なんて……! 感謝します!」「この力、無駄にはしない!」
 血の騎士団の力を授かった闇の救済者達は、リーヴァルディに感謝を伝えると、砦に迫る敵に勇敢に立ち向かう。
 主君から【闇の支配者の力】を与えられ、強化された『仮面の戦士』が相手でも、今の彼らなら互角以上の戦いができるはずだ。
「っ、なんだその力は……!」「ただの人間風情が、なぜッ?!」
 邪悪を切り裂く騎士の黒剣、障害を弾く黒炎の鎧。主を得た亡霊達の武具はその性能を遺憾なく発揮し、驚愕する仮面の戦士を討ち滅ぼす。燃え尽きた敵の灰を踏み越えて、闇の救済者達はさらに前進し、侵攻を押し返していく。

「……敵の首魁は見えた。なら、ここで倒れる訳にはいかないわよね」
 闇の救済者が本懐を遂げる時を目の前にして、犠牲を容認するつもりなどリーヴァルディにはあるまい。劣勢から覆った砦の戦況を見守りながら、彼女の視線は五卿六眼の所在、そびえ立つ「天蓋血脈樹」に向けられていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月白・雪音
…大地、階層そのものを独力で飛ばそうとは…。やはり『歓喜の門』、凡百とは一線を画した途方もない力です。

此処は断層によって分けられた世界のおよそ中層部分。
今は上位の貴族の手による戦の最中…。彼らは皆様の生きる世を脅かさんとしています。
皆様がここに呼ばれたも彼等の手の者によるもの。大変不躾ながら、何卒助力を願いたく存じます。


手短に最低限の状況を伝えUC発動、怪力、グラップルでの格闘戦にて戦闘展開
残像の速度にて肉薄し殺人鬼としての技巧も併せ一撃一殺にて仕留める
野生の勘、見切りにて敵の攻撃を感知し回避或いはカウンターの応用にて白刃取り、剣の破壊を狙う
避難の遅れた非戦闘員が居るようなら優先して退避を



「……大地、階層そのものを独力で飛ばそうとは……。やはり『歓喜の門』、凡百とは一線を画した途方もない力です」
 魑魅魍魎が跋扈する第三層でさえ封印されてきた、禁獣『歓喜のデスギガス』が持つ真の力の凄まじさを、月白・雪音(月輪氷華月影の獣・f29413)は眼前に広がる光景から実感していた。数えるのが無意味に思えるほどの膨大なオブリビオンが、今もなお地形ごとこの階層に召喚されてきている。
「こんな状況に巻き込まれて、戸惑うのも無理はないでしょう」
「あ、貴女は……?」
 三層に出現した『人類砦』に降り立った彼女は、ここを防衛する闇の救済者に接触する。気付けば見知らぬ土地、周囲は見渡す限りの敵ばかり。理解できなければ心が折れてしまってもおかしくない状況だ。彼らには猟兵の助けが必要だし、また猟兵も彼らの協力を求めていた。

「此処は断層によって分けられた世界のおよそ中層部分。今は上位の貴族の手による戦の最中……。彼らは皆様の生きる世を脅かさんとしています」
 雪音はなるべく手短に必要最低限の情報を闇の救済者達に伝える。第四層で主にヴァンパイアの領主と戦っていた彼らにとっては、上層の闇の種族やその更に上位となる『五卿六眼』の存在など雲の上の話だろう。それでもこうして巻き込まれてしまった以上無関係ではいられない。今回の戦争は下層全ての命運を左右するものなのだ。
「皆様がここに呼ばれたも彼等の手の者によるもの。大変不躾ながら、何卒助力を願いたく存じます」
「しょ、正直まだよく飲み込めてないけど……」「あたし達でも役に立つなら、力を貸すわ!」
 あまりのスケールの大きさに驚愕しながらも、助力を請われた闇の救済者に否と答える者はいなかった。彼らは皆この世界を闇の支配から救うために今日まで抵抗活動を続けてきたのだ。諦めて絶望するくらいなら希望を捨てずに立ち向かう、そういったヒトの集まりだ。

「感謝します。では」
 協力の意向を確認できたところで、雪音は【拳武】を発動。優雅な所作で古武術の構えを取り、徒手空拳で敵軍に立ち向かう。相手は【星辰の獣の力】を主君に授けられた仮面の戦士達。なれど百戦錬磨の武芸者たる彼女に恐れる理由はなし。
「まず、一人」
「な……げはッ!!」
 残像を生じる速度にて敵に肉薄し、殺人鬼としての技巧も併せて的確に急所を打つ。キマイラの獣相に由来する怪力を、ヒトの技にて制御した一撃だ。ただのひと打ちで仮面の戦士は血反吐を吐き、ぴくりともせずに倒れ伏した。

「……弱きヒトが至りし闘争の極地こそ、我が戦の粋なれば」
「こ、こいつッ!」「人間の技如きに、負けるはずがッ!」
 敵軍も猛烈に反撃を仕掛けてくるが、雪音は野生の勘でその動きを感知する。振り下ろされる星辰の剣を見切り、片手ですっと刃の軌跡を抑える――渾身の一撃を白刃取りされれば、驕り高ぶった連中も青ざめずにはいられまい。
「未熟」
「なぁッ?!」
 そのまま雪音は剣をへし折り、返しのひと蹴りで敵を地に沈める。教本に載るような一撃一殺の手並みは、彼我の実力差を厳然と示していた。敵軍はまだ大勢残ってはいるものの、彼女が苦戦するビジョンが全くもって見えない。

「今のうちに、避難の遅れた非戦闘員が居るようなら退避を」
「あ、ああ! わかった!」「ありがとう!」
 ここは自分が食い止めますからと、闇の救済者達に指示を送る雪音。彼女の働きのおかげで人類砦にいた非戦闘員の殆どは戦闘に巻き込まれることもなく、無事に安全な場所まで避難することができた。彼らの感謝の声を聞きながらも、彼女は変わらず平静に拳を振るう――世界が未曾有の危機に瀕する今でさえ、その精神は揺らがなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メフィス・フェイスレス
アンタ達も災難ね、でも大丈夫よ
アンタ達と私達がいる。ならどこだろうとやることは変わらないでしょ?

【プレイング】

――ちょっと穢いけど、我慢してね?

味方にそう囁きながら、「醜翼」を生やして砦から飛び立ち、敵と味方を一望できる高所に陣取る
全身の「顎門」を開く。躰から噴き出した「血潮」の豪雨が降り注ぎ、奔流となって戦場を紅く染めていく
しかしそれが味方を傷つける事はなく、傷を癒やし、その力を漲らせる
一方敵には津波となって呪毒に侵し、生物のように牙を剝いて『捕食』せんと襲いかかる

ギリギリまでよ。躰が渇いて悲鳴を上げても血潮を吐き出しづける
私も彼等も、まだこの世界の陽光を見ていない
死ねないのよ、それまでは



「アンタ達も災難ね、でも大丈夫よ」
 禁獣デスギガスの『歓喜の門』に巻き込まれ、第三層に連れてこられた『人類砦』の闇の救済者達に、メフィス・フェイスレス(継ぎ合わされた者達・f27547)は心配無用と告げる。なるほど世界は今未曾有の危機にあるが、それは臆して立ち止まる理由にはならない。
「アンタ達と私達がいる。ならどこだろうとやることは変わらないでしょ?」
「あ……ああ。そうだな」「あなた達がいるなら、私達だって!」
 これまでも闇の救済者と猟兵は力を合わせてオブリビオンの支配に立ち向かってきた。層が変わったくらいで絶望している暇はない。彼女の呼びかけで奮起した人々は瞳に闘志を燃やして立ち上がる。自分達の拠点を守るために。

「――ちょっと穢いけど、我慢してね?」
 メフィスはそんな闇の救済者達にそっと囁きながら、醜悪な「骨身」の翼を生やして砦から飛び立ち、敵と味方を一望できる高所に陣取る。屍肉を継ぎ合わせ造られた彼女の肉体は、戦闘になれば異形へと姿を変え獰猛に敵を捕食する――その身に植え付けられた"飢餓"の衝動のままに。
「さあ、始めるわよ」
 糸で縫われた継ぎ目が裂けるように、全身の「顎門」が口を開く。そこから吐き出されるのは体内で生成された大量の血潮だ。何十人あるいは何百人分にも相当する【紅】の豪雨が降り注ぎ、奔流となって戦場を紅く染めていく。

「こ、これは……?」「力が、湧いてくる……!」
 スプラッタな光景に一瞬ぎょっとする闇の救済者だが、それが自分達を傷つけるものではないとすぐに理解する。
 むしろ逆だ。メフィスが生成した血液は薬となって傷を癒やし、その力を漲らせる。長期戦で消耗した味方もこれで戦線に復帰できるだろう。
「なんだこれは……ぎゃぁッ!!」「血が、生きているッ!?」
 しかし、それらの効能はあくまで味方に対してだけ。一方の敵には触れただけでその身を侵す猛毒の呪詛となる。
 津波となって押し寄せ、生物のように牙を剥いて『捕食』せんと襲い掛かる紅の雨から、仮面の戦士達は驚愕して逃げ惑う事となった。

「嬉しいでしょ? アンタ達の望み通りよ」
 敵に対する皮肉を聞かせながら、メフィスは血潮の噴出を止めない。眼下に広がる紅く染まった領域は彼女の猟場であり、一匹たりとも獲物を逃すつもりはなかった。奴らが主から【闇の支配者の力】を与えられていようと、それが何だと言うのだ。
「ぎゃあぁぁぁぁぁッ?!」「や、やめろぉぉぉぉッ!」
「効いてる……凄い力だ」「見てる場合か! 俺達もやるぞ!」
 血潮の津波に捕食され、断末魔の悲鳴を上げる仮面の戦士と、紅い薬のおかげで万全以上に戦える闇の救済者達。
 紅を味方に付けているか否かで両者の明暗ははっきり分かれ、断末魔の絶叫と共に敵は砦から押し流されていく。

(ギリギリまでよ)
 これだけ強力なユーベルコードには当然ながら使用制限がある。しかしメフィスは躰が渇いて悲鳴を上げても血潮を吐き出し続けていた。完全に血液が枯渇し死亡するまでの限界時間はおよそ2分程、彼女はその寸前まで自分の血を絞り出すつもりだ。
「私も彼等も、まだこの世界の陽光を見ていない。死ねないのよ、それまでは」
 ここでヴァンパイアの眷属如きに死んでやる気はないし、誰一人として死なせるつもりもない。この世界から太陽と希望を奪った全ての元凶が、直接殴りつけられる所まで来ているのだ――継ぎ合わされた躰が興奮にわななくのを彼女ははっきりと感じていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
錬金術…凍結攻撃とマヒ攻撃と毒の弾丸を錬成

クイックドロウ…弾丸を素早く放つ

蟲使い…マヒ攻撃で動きを封じる蟲を召喚

属性攻撃…刹那の無限回転発動


『皆さん…大丈夫です!』

『さあ、私達と共に戦おう…』
UC錬金術士奥義・秩序の大天使・プサイを発動

ファイとプサイが闇の救済者達を落ち着かせる

『さあ…来なさい!』
UC大天使号令・殲滅の陣で天使達が召喚して敵に音響弾や斬撃波を放つ

『行け〜!』
ファイが刹那の無限回転をかけた魔力球を放つ
『消えろ!』
プサイが貫通雷を放つ

Go!
私も蟲を放ち敵に襲い掛かる

させないわ!凍れ!
巨獣に変身した敵に対して素早く錬成弾を放つ

オラァァ!もう一発よ!
ディアブロからも錬成弾を放ち対応する



『皆さん……大丈夫です!』
『さあ、私達と共に戦おう……』
 猟兵の救援を受けてなお、今だオブリビオンの襲撃を受け続け、予断を許さない状況に立たされる闇の救済者達。
 そんな彼らの元に降り立ったのは、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)のユーベルコードによって召喚された大天使「ファイ」と「プサイ」だった。彼女らは優しい言葉で人々を励まし、勇ましい号令で戦意を鼓舞する。
「て、天使様……!」
 おとぎ話でしか聞いたことのない聖なる存在の降臨は、民衆の心を落ち着かせるのに絶大な効果があったようだ。
 自分達には天使が、ひいては神の御加護があるという自信は大きな希望となって、反抗の意志を燃え上がらせた。

『さあ……来なさい!』
 さらにファイは【大天使号令・殲滅の陣】を宣言し、神鎧を纏い神器を装備した天使の軍団を召喚する。彼女らも闇の救済者の援軍として戦場を翔け、上空から敵軍に音響弾や斬撃波を放つ。階級的には大天使より下でも、戦力としては侮れない存在だ。
「ぐあッ?!」「天使だと……目障りな!」
 闇の支配の対極に位置するような神々しき光を前にして、仮面の戦士達は敵意を露わにする。その輝きすら喰らってくれようと、主君より賜った【星辰の獣の力】を宿す剣を振るうが――彼らはまだまだ相手の力を甘く見ている。

『行け~!』
『消えろ!』
「Go!」
 ファイが刹那の無限回転をかけた魔力球を、プサイが貫通する雷を放ち、アルマが笛で呼んだ蟲達をけしかける。
 三者三様の一斉攻撃を食らった仮面の戦士達は「ぐわぁッ?!」と悲鳴を上げて吹き飛ばされ、骸の海へと還っていく。しょせんは第四層の下級オブリビオン相手に、異世界で経験を積んだ彼女らが遅れを取るはずもない。
「お、おのれ、よくも……ッ!」
「させないわ! 凍れ!」
 それでも一部の戦士は天使から血肉を奪うことに成功し、禍々しい巨獣の姿に変身を遂げるが、すかさずアルマがアルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』をクイックドロウ。手ずから作成した凍結の錬成弾を放って、素早く相手を凍りつかせる。ユーベルコードを使おうが反撃のチャンスは与えない構えだ。

「オラァァ! もう一発よ!」
 さらにアルマはもう一丁の錬成刃銃『ディアブロ』を抜き放ち、追加の錬成弾で凍った獣をコナゴナに撃ち砕く。
 バラバラになった敵の破片が氷の粒子となって散らばり、キラキラと輝く。それは美しくも残酷な死に様だった。
 彼女はそれからも休み無く毒やマヒの弾丸を乱射し、目についた敵を次々に仕留める。大天使の攻勢も継続中だ。
「つ、強い……!」「バカな、我らが負ける事など……!」
 想像を超えるアルマと天使達の強さに仮面の戦士達は戦慄し、動揺はやがて後退、そして敗走にと繋がっていく。
 その光景は砦を守る闇の救済者達にとっても大きな励みとなっただろう。誰からとなく「俺達も!」という声が上がり、持てる力を振り絞って敵に挑む。戦いの潮目が変わりつつあるのを、今や誰もがはっきりと感じていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
貴方たちは幸運です。見ず知らずの場所で、オブリビオンの大群に囲まれ、守る者もいる中。
この大海賊が、一緒にいるのですから。

さぁ!簡単な話です!闇の救済者たち!ここは敵の真っただ中で!相手はオブリビオン!支配し続ける者たち!
だったらする事はひとつでしょう?抗い続けましょう。ふざけた存在の、ふざけた思惑で苦しむ貴方がたには、抗う理由も、権利も、そして覚悟もある!!!
ここは陸地で、闇の世界です。ですが、己の命を、己の生きる場所を!オブリビオン共から略奪しましょう!!さぁ、海賊の時間です!!

闇の救済者達を呪いで鼓舞し、混乱する彼らの簡易な目標を定めて勢いで抗う
勢いというのは大事です。えぇ。



「貴方たちは幸運です。見ず知らずの場所で、オブリビオンの大群に囲まれ、守る者もいる中。この大海賊が、一緒にいるのですから」
 危機的状況下にある闇の救済者達の前で、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海グリードオーシャン・f03214)は堂々とそう言ってのけた。自分が来たからには何も心配事はないと、あんな有象無象どもは物の数ではないと、言葉以上に態度が語る。
「さぁ! 簡単な話です! 闇の救済者たち! ここは敵の真っただ中で! 相手はオブリビオン! 支配し続ける者たち!」
「お、おぉ……?!」
 力強く畳み掛けるような言葉の嵐に、思わず人々の注目は釘付けになる。黄金髑髏の旗を掲げた女海賊が示す先にいるのは、人類砦を包囲する『仮面の戦士』の軍勢だ。状況的には極めて不利な中、彼女は「だったらする事はひとつでしょう?」と当然のように言う。

「抗い続けましょう。ふざけた存在の、ふざけた思惑で苦しむ貴方がたには、抗う理由も、権利も、そして覚悟もある!!!」
 シノギの言葉は、さながら嵐の夜に荒波にもまれる船乗りに、進路を示す灯台の光のようだった。そう、まさに彼女が口にした事こそ『闇の救済者』の本分。状況が絶望的であればこそ抗う他に道はなく、これまでも彼らはそうして今日まで生きてきた筈なのだから。
「ここは陸地で、闇の世界です。ですが、己の命を、己の生きる場所を! オブリビオン共から略奪しましょう!!」
「お……おぉッ!」「やるぞッ!」「やってやるッ!」
 たとえ海がなかろうが関係はない。女海賊が放つギラついた熱にあてられて、やがて人々は拳を握る。そこにはもう未知に困惑する無力な子羊はおらず、いつの間にか彼らの首筋や手の甲には「DoD(Dead or Die)」とも読める謎の呪印が浮かび上がっていた。

(闇の救済者達を呪いで鼓舞し、混乱する彼らの簡易な目標を定めて勢いで抗う)
 ある種の煽動とも言える呼びかけで皆の行動方針をシンプルにし、同意者に【大海賊の呪い】を与えて強化する。
 これがシノギの作戦だった。こういう状況ではゴチャゴチャ考えるよりも勢いに身を任せて、無鉄砲に突っ込んだほうが上手くいくこともある。
(勢いというのは大事です。えぇ)
 海賊として幾多の海と戦場を荒らし回ってきた彼女らしい、そして効果的な手法。少なくともビビッて立ちすくんでいるよりは生存率は上がるし――ほら。敵方もこちらの異様な勢いに気圧されて、動揺しているのが丸わかりだ。

「さぁ、海賊の時間です!!」
「「うおおおおおおッ!!!」」
 シノギの号令によって高まったテンションは一気に爆発し、闇の救済者達は雪崩を打って敵の軍勢に突っ込んだ。
 迷いのないがむしゃらな突撃。そいつを呪印の力で後押ししてやれば、下級のオブリビオン程度に負けはしない。
「そのムカつく仮面叩き割ってやる!」
「や、やめ……ぐわッ?!」
 海賊の影響かちょっとガラの悪くなった闇の救済者が、仮面の戦士をブチのめしていく様子を、シノギは満足げに笑いながら眺めていた。あいにく宝は持っていなさそうだが、強者を気取って舐め腐っていた連中を蹂躙するのは、なかなかに胸のすく見世物であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビッグ・サン
戦争ですか
よいですね
研究がはかどりますよ
(ビッグの研究は不老長寿、人体実験が多いのだ
 死人やケガ人がたくさん出る戦争は都合がいい
 なるべく他の猟兵が行った後に駆けつける)

闇の救済者と協力して戦うといいとリミティアちゃんが言ってましたからね
きっと戦って死んだ闇の救済者も多いでしょうし、仮面の騎士もたくさん死んでいるでしょう

さあ、蘇りなさい
(ビッグが呪文を唱えると、死人が立ち上がり始める)
死んだ闇の救済者と協力して戦いますよ。
行きなさい

(死人の群れが生き残った仮面の戦士に襲い掛かる)

よしよし、強靭な死体がたくさん手に入りました
あとは、生き残ってる人には新型の回復薬を試しますかね



「戦争ですか。よいですね、研究がはかどりますよ」
 生存と世界の命運のために多くの人々が戦う中で、ビッグ・サン(永遠を求める研究者ナイスガイ・f06449)は臆面もなくそう言った。彼の研究テーマは不老長寿で、人体実験を行う事も多い。死人や怪我人がたくさん出る戦争は研究を進めるのに都合がいいのだ。
(なるべく他の猟兵が行った後に駆けつけましょう)
 戦闘がある程度加熱してからのほうが「実験台」の確保が容易になる。そんな訳で彼が少しだけ遅れて現地にやって来ると『人類砦』周辺はまさに期待通りの状況になっていた。入り乱れる敵味方、悲鳴と鮮血そして死臭。ネクロマンサーにはお誂え向きの舞台だ。

(闇の救済者と協力して戦うといいとリミティアちゃんが言ってましたからね。きっと戦って死んだ闇の救済者も多いでしょうし、仮面の騎士もたくさん死んでいるでしょう)
 猟兵の救援が早かったお陰か、闇の救済者側の死者は思っていたより少ないが。それでも負傷者は少なくないし、それ以上に敵の死者が多い。激戦により討ち倒された『仮面の戦士』達の死体なら、探さずとも戦場のそこかしこに散らばっていた。
「さあ、蘇りなさい」
 ビッグが【クリエイト・アンデット】の呪文を唱えると、息絶えたはずの死人が立ち上がり始める。死者のアンデット化は死霊魔術における定番中の定番だ。死んだ闇の救済者の遺体も同様にして操れば、これも「協力して戦う」ことに違いはあるまい。世間一般の倫理観を彼に問うても無意味である。

「行きなさい」
 ビッグが指示を発すると死人の群れはまだ生き残っている仮面の戦士に襲い掛かる。さっきまで味方だったものがアンデットになって攻めてくるのは、オブリビオンにとっても恐怖に値するだろう。表情を隠していても動揺の程が見て取れるくらいだ。
「き、貴様ら……ぐわッ!」「何をする、やめろッ!?」
 アンデット化した死体は生前よりも戦闘力は低下するが、その代わりに動揺するような精神はなく、術者の命令に忠実に従う。なにより戦闘が激化するのを待ってから来た甲斐あって「素材」を大量に確保できたのが大きかった。ちょっとした軍隊とも呼べる数の死体の群れが、今やビッグの下に付き従っている。

「よしよし、強靭な死体がたくさん手に入りました」
 戦闘で破壊されてしまうアンデットも多いだろうが、それさえ生き延びた個体はそれだけ優秀な素材ということ。
 目の前の光景におおむね満足しながら、ビッグはついでに持ってきた新型の回復薬を生き残ってる人々に試してみることにする。不老不死を求める彼の研究アプローチは、なにもネクロマンシーだけに限った事ではない。
「どうですか?」
「すごい、傷がもう治って……!」
 再生蟲の体液や様々な薬草を組み合わせて作った彼の回復薬は、市販の医薬品よりも遥かに高い効能を発揮する。
 重傷を負った者も一命を取り止めるほどの回復力に闇の救済者達は驚き、喜び、心からの感謝をビッグに伝えた。

「ありがとうございます! 助かりました!」
「いえいえ、お安い御用ですよ」
 ビッグからすればこれは単なる親切心ではなく新薬の効能を確かめたかったのだろうが、助けられた闇の救済者はそんな事を知る由もない。個人的な目的のために活動しつつも、味方には実害を及ぼさないバランス感覚のお陰で、彼の研究は今日も捗るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

漸く…この時が来たぞ、デゼス・ポア
異なる世界に生まれた、我が半身よ

ダークセイヴァーで命を落とし、人形へと憑依した魂
それがデゼス・ポア、平行世界におけるもう一人の「私」
我が半身の呪われた故郷を救うため…この戦いはその第一歩だ

出し惜しみは無しだ…
踊れ、デゼス・ポア!貴様を呪う者達の怨嗟の声で!

UCを発動
人類砦に群がる敵集団をデゼス・ポアから放たれた刃で切り刻んでいく
主に命中率の上昇を重視しよう
敵集団の一角が崩れたら、闇の救済者達による援護攻撃を要請
切り裂かれた敵に止めを刺してもらおう
まずは弓矢や投げ槍と言った遠距離からの攻撃をお願いしようか

囲まれたか…頃合いだな
皆、それぞれに武器を突き出せ!

敵が此方を囲んできたら再度UCを発動
闇の救済者達を避けつつデゼス・ポアから放つ無数の刃で敵を突き刺す
我々を囲むように密集した陣形だと刃を避ける事は逆に難しいだろう
同時に闇の救済者達に武器を前に突き出させて止めを刺す

骸の海に消えるがいい…呪われし者共よ
いずれ、お前達の主も其処へ送り届けてやる



「漸く……この時が来たぞ、デゼス・ポア。異なる世界に生まれた、我が半身よ」
 三つの階層のオブリビオンがひしめき合う、混沌の戦場と化したダークセイヴァーで、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は「デゼス・ポア」に語りかける。人形でありながら己の意志を持ち、時には相棒のようにキリカの戦いに付き従ってきた彼女の正体は、この世界で異なる人生を歩んだ「キリカ・リクサール」のIFである。
「ダークセイヴァーで命を落とし、人形へと憑依した魂、それがデゼス・ポア、平行世界におけるもう一人の『私』」
 UDCアースのキリカが大切な人達をUDCに奪われたように、ダークセイヴァーのキリカは異端の神に家族を皆殺しにされた。その死の間際に発せられた怨念は天に召されることも転生することもなく、異形への憎しみのままに世界を彷徨う同族殺しとなった。それが「デゼス・ポア」という呪いの人形のルーツである。

「貴様と出会ってからもう随分経つな」
 世界の隔たりを超えて、魂で引かれ合った二人の「キリカ・リクサール」は、異形の全てをこの世から駆逐する為に共に戦ってきた。自分達のような悲劇を味わう者が、もう二度と現れない世界にするために。そして今、ダークセイヴァーに生きる全ての人類が未曾有の危機に晒されている。
「我が半身の呪われた故郷を救うため……この戦いはその第一歩だ」
 戦いに巻き込まれた『闇の救済者』達を救い、この戦争を引き起こした『禁獣』を、そして『五卿六眼』を討つ。
 この世界をこんな有り様にした諸悪の元凶が、ついに手の届く所に姿を現したのだ。半身より発せられる底知れぬ憎悪と歓喜を、キリカは魂でひしひしと感じていた。

「出し惜しみは無しだ……踊れ、デゼス・ポア! 貴様を呪う者達の怨嗟の声で!」
『ヒヒ、ヒヒヒヒヒャハハハハハハハハ!!!!!』
 キリカが【バール・マネージュ】を宣言すると、デゼス・ポアは無邪気で残酷な笑い声を上げながら戦場に飛び出していく。その躯体より放たれるのは無数の錆びついた刃。尽きることのない呪詛と怨念を具現化したそれは、人類砦に群がるオブリビオンどもを容赦なく切り刻んだ。
「ぐわッ?!」「なんだコイツは……ぎゃぁッ!!」
 刃は一度傷つけた獲物が生きている限り、血の味を覚えたかのように執拗に追い続ける。錆びた刃物で無理やり体を抉られる激痛は『仮面の戦士』もたまらず悲鳴を上げるほどだった。だが、デゼス・ポアがこれまでに溜め込んできた憎悪を思えば、これでもまだまだ序の口に過ぎまい。

「敵集団の一角が崩れた。今だ!」
「はいッ!」
 デゼス・ポアの攻撃が戦場をかき乱すと、キリカの要請を受けた闇の救済者達が援護射撃を仕掛け、切り裂かれた敵にとどめを刺していく。弓矢や投槍といった遠距離からの攻撃でも、弱った相手に集中的に射掛ければ十分な威力を発揮する。
「ええい、舐めるなッ」「たかが人間と人形如きに!」
 このまま敗北を喫すれば主君の顔に泥を塗るも同然。怒りと焦りに駆られた仮面の戦士達はユーベルコードを解放して反撃に転じた。【暗黒星雲の力】による装甲の強化と被弾確率の低下は、敵からの射撃や投擲の命中率を下げ、人形の刃のダメージも軽減する最善の選択であろう。

「囲まれたか……頃合いだな。皆、それぞれに武器を突き出せ!」
 敵集団が勢いを盛り返してきたのを見て、しかしキリカは冷静なままでいた。自分とデゼス・ポア、闇の救済者達が包囲されるのをあえて待って、皆に白兵戦用の武器を構えさせる。いつだって猟兵は窮地から活路を見出してきた――彼女にとってはこの状況も勝算のうちだ。
「まだやれるだろう、デゼス・ポア。存分に踊れ!」
『キャハハハハハハハ!!』
 無邪気な哄笑と共に人形が踊り狂えば、錆びた刃が再び敵を突き刺す。【バール・マネージュ】は人形本体だけではなく射程範囲内であれば戦場のどこからでも出現させる事ができる。相手を囲むように密集した陣形では、咄嗟に避けることも難しいだろう。

「なッ……ぐぎゃぁ!?!」
 一度は凌ぎきったかと思ったユーベルコードの奇襲を再び喰らい、悲鳴を上げる仮面の戦士達。錆びた刃は彼らの両足を地面に縫い留めるように突き刺さっており、これでは幾ら暗黒星雲の力があっても攻撃を回避しようがない。
 直後に、キリカの合図を受けた闇の救済者達が武器を前に突き出す。猟兵やオブリビオンに比べれば非力なれど、自らの力でこの世界の絶望に抗うと決めた、勇敢なる戦士達の刃が、闇の眷属どもの止めとなった。
「骸の海に消えるがいい……呪われし者共よ。いずれ、お前達の主も其処へ送り届けてやる」
「ばッ、馬鹿な……ッ!!!!」
 最期の瞬間まで己の敗北を信じられぬまま、血に塗れた戦士達は息絶える。外れた仮面の下から現れた死に顔を、キリカは冷たい眼差しで見下ろす。そしてデゼス・ポアはまだまだ暴れ足りぬとばかりに、返り血を浴びた刃を振りかざしてクルクルと舞い踊っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダンド・スフィダンテ
拠点防御と戦闘知識を使いつつ、非戦闘員の力も借りて彼らを守る為のバリケードあるいは安全地帯を作りたい。守りながら戦うのは、中々骨が折れる物だしな。

それが出来たら、その近くに、負傷した者も含めて闇の救済者達を出来るだけ集められるだろうか?
出来れば俺様の近くが良いけど、少し遠い(半径127m)ぐらいなら問題無い筈だ。声も届くし

あ、怪我してる者とこれから始まる戦闘で怪我した者は俺様の後ろに来てくれよ?護れなくなるからな?
なに、直ぐにまた動く覚悟と気合だけ決めておいてくれ

敵は来ないのが一番だが、来たならそこからが本番だ

おびき寄せとかばう、盾受けで闇の救済者達を護りつつ、鼓舞と戦闘知識で彼らの攻撃のサポートを
多少の痛みは激痛耐性でスルーしつつ、タイミングを見てUCを発動する。

そうとも
何度でも立ち上がるお前たちこそが、英雄だとも



(まずは非戦闘員の力も借りて彼らを守る為のバリケードあるいは安全地帯を作りたい。守りながら戦うのは、中々骨が折れる物だしな)
 戦争に巻き込まれた『人類砦』を防衛するにあたって、ダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)が最初に着手したのは堅実な基礎固めだった。防備をより強固にし、何よりも非戦闘員の安全を確保できているか否かでは、心理的負担にも影響が出てくる。
「そう、その板をそこに立てかけてくれ」
「はっ、はい!」「こ、こうですか?」
 彼は拠点防衛にまつわる知識を活かし、砦内にある資材や瓦礫などを使った即席のバリケードを非戦闘員と共に築いていく。彼らもただ敵に怯えて守られるだけでなく、何か役割が欲しかったのだろう。率先して力を貸してくれたお陰で、設営は迅速に完了した。

「よし。この近くに、負傷した者も含めて闇の救済者達を出来るだけ集められるだろうか? 出来れば俺様の近くが良いけど、少し遠いぐらいなら問題無い筈だ。声も届くし」
「わかりました、みんなに伝えて来ます!」
 そうして出来たばかりのバリケード周辺に、ダンドは人員を配置するよう指示を出す。ほどなくして集まったのは負傷兵も含めて数十名の闇の救済者達。みな戦い続けて疲労の色濃いが、砦を守ろうとする気力はまだあるようだ。
「あ、怪我してる者とこれから始まる戦闘で怪我した者は俺様の後ろに来てくれよ? 護れなくなるからな?」
「りょ、了解です」
 無理と無謀だけはしないようにと釘を刺しつつ、敵を迎え撃つ為の防衛ラインを作る。偉そうにも聞こえる口ぶりだが言葉遣いに圧はなく、どこか親しみやすい雰囲気で自然に人を動かす。それは元領主の器質なのかもしれない。

「なに、直ぐにまた動く覚悟と気合だけ決めておいてくれ」
 敵は来ないのが一番だが、来たならそこからが本番だ。果たして砦を攻囲する『仮面の戦士』はダンド達の元にも現れる。バリケードと戦力が集められているのを見るとその先に重要な何かがあると考えたのだろう、彼らは即座にユーベルコードを発動して攻め込んできた。
「主君の命により、貴様らを抹殺する」「抵抗は無意味だ」
 主に与えられた【闇の支配者の力】が、戦士の力を強化する。その戦闘力は訓練を積んだ一般人を凌駕するが――ここで恐れて引き下がるような者はいない。闇の救済者達はぐっと武器を握りしめ、各々の持ち場を離れなかった。

「ここが正念場だ! 行くぞ!」
「「おうッ!」」
 ダンドは率先して前に立ち、竜騎士の槍を振るって応戦する。敵の注意を引き付けるためにもっとも危険なポジションに身を置きながらも、時には味方をかばい、聖印グリモアから防壁を展開して守護する。常に声を張り上げて闇の救済者を鼓舞するその姿には、将としての風格があった。
「無駄な抵抗を……!」
 無論、敵も簡単にやられてくれる手合いではない。バリケード周辺の戦いは激戦となり、仮面の戦士にも闇の救済者にも多くの負傷者が出る。それはダンドも例外ではないが、どれだけ傷を負おうとも彼は痛みを無視して前線に立ち続けた。

「もう諦めろ、人間風情が!」
「諦めるもんか……!」
 やがて戦況は戦力差からじりじりと闇の救済者の劣勢に傾いていく。バリケードが突破されるのも時間の問題か。
 だが、それで諦めて降伏する者はいない。皆の心がまだ折れていないのを見たダンドは、そのタイミングで自らのユーベルコードを発動する。
「もう一度、だ」
「なに……ッ?!」
 槍と太陽をモチーフとした聖印の輝きが、味方に治癒と強化を、敵に弱体化とユーベルコードの封印をもたらす。
 【闇の支配者の力】が失われ、仮面の戦士達が戸惑う一方。負傷者を含めて再行動する力を得た闇の救済者達は、一斉に反撃へと転じた。

「この場所は俺達が護るッ!」「貴様らなんかに負けるものかッ!」「うおおおおおおッ!!!」
 勇ましい鬨の声と共に突撃する闇の救済者達。彼らの振るう剣や槍は、これまでにない力をもって敵を打ち倒す。
 さっきまで倒れかけていたただの人間のどこにこんな力が残っていたのか、仮面の戦士には理解できないだろう。
「そうとも。何度でも立ち上がるお前たちこそが、英雄だとも」
 彼らの勇姿を見たダンドの心には、静かな喜びがあった。この世界を護るのは猟兵だけではない、彼ら一人ひとりの意志が未来を動かしていくのだと、この目で確信することができた。数多の英雄達による攻勢は、もはや闇の眷属如きの力では止められない――。

「ば、馬鹿な……人間風情に……これほどの、力が……」

 割れた仮面の下に愕然とした表情を浮かべ、最後の戦士が地に伏せる。もはや立ち上がってくる敵は誰もいない。
 勝ったのだ、という理解が皆の間で静かに広がっていき――割れんばかりの勝利の喝采が、人類砦に響き渡った。

 かくして猟兵達はオブリビオンの侵攻を退け、危機に陥った闇の救済者達の救援に成功した。
 だが、この世界を支配する真の巨悪との戦いは始まったばかり。次なる戦場が彼らを待っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年05月13日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト