Alternative Alter:BC XXX
遥かなる超古代。
未だ世界に人類は存在せず、只々神々と不死の怪物だけが地上に在った。
神々は不死の怪物を討伐し、そのユーベルコードを
世界の中心へと凝縮することにて生命の礎を確立。やがて生まれた生命は、多種多様なる形を取って世界中に広がり増えて。そして、人類もまたそんな数多の生命の一つとして生まれ出たのである。
それが『神々の時代』、ヒーローズアースのはじまりの時代である。
だが、『そこ』に生じたる生命は、本来ならば決して有り得ぬ存在。遥か未来に生まれたる命の、過去となりし存在。
「何なのこいつら……こんな生命が生まれるなんて、有り得ない……!」
生命としては有り得ぬ気配を感じ、戦慄と共に呻く少女神。迫り来るは、凍てつくような冷気を纏う女の群れ。
「何者かは分かりませんが、これだけは分かります。これは、よくないものです」
少女神に並び立つ女神が、険しい視線で魔女の群れを見据えつつ応える。その意志を示すかの如く、両の腕より炎が溢れる。
「ああ。これから生まれる生命にとって、間違いなく害となる存在だ。何としても、打ち倒さねばならん」
二人の前、全身に隆々たる筋肉を鎧う男神もまた、厳しい表情で迫るもの達を睨み据える。その顔かたちは、何処か少女神に似ていた。
「エイナ、ファウナ。いけるか?」
振り返り、二人の神へと呼びかける男神。
「……うん、大丈夫。ボクも戦うよ、ジャルス兄さん!」
「問題ありませんよ、ジャルス。これから生命の生まれる世界を穢さんとするものは、確実に滅ぼし尽くすとしましょう」
エイナと呼ばれた少女神と、ファウナと呼ばれた女神は其々に応える。その声音には、彼女達がジャルスと呼んだ男神への確かな信頼が窺える。
「よし。……では、行くぞ!」
そして神々は戦いへ赴く。突如現れた、未来に対する敵を打ち倒す為に。
●
「参集に感謝する、猟兵諸君。此度は貴殿らに『スナークゾーン』へ向かって貰いたい」
グリモア猟兵、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)、通称ギジィは、集まった猟兵達に依頼内容を端的に語る。
「諸君らも既に知っての通り、ミストレス・バンダースナッチの滅びて以降、ヒーローズアース各地に謎の領域が幾つも発生している。その内部に『過去のヒーローズアースの一時代』が完全に再現された空間を擁する領域だ」
かのオウガ・フォーミュラの殲滅直後から確認されたが為に『スナークゾーン』と呼称されるその空間。その多くにおいては内部にオブリビオンが現れ、再現された過去を舞台にカタストロフ級の悪事を企てている。
「いわば仮装空間での出来事ではあるが、其が成就されれば現実に如何なる影響があるとも分からぬし、仮装空間とはいえオブリビオンの暴虐に晒される者達を見過ごす訳にもいかぬ。故に、貴殿らにこの空間内のオブリビオンの殲滅を依頼したいのだ」
即ち、其が此度の任務目的となる。
「此度向かって貰うスナークゾーンの内部は『神々の時代』を再現した空間となる」
それはヒーローズアースのはじまりの時代。神々が不死の怪物を打ち倒し、そのユーベルコードを
世界の中心に凝縮することで、生命創造の礎を築き上げていた時代である。
「だが、此処にオブリビオンが現れた。生命の礎からユーベルコードを吸い上げ力を手に入れた『神話怪物オブリビオン』の軍団が、神々を駆逐せんと彼らへ襲い掛かっているのだ」
無論、神々も対抗はしているが数の差は歴然。彼らだけでは勝ち目はあるまい。故にこそ、猟兵達の助力が必要となるのだ。
「神々にも様々な者が居るが、中には諸君らも知っている可能性のある神も居る。余の知る範囲であれば『雲神ジャルス』『風神エイナ』『炎神ファウナ』の三柱の姿が確認されているな」
これまでの猟兵の戦いに関わった神々の過去の姿。猟書家に殺された雲神と、その妹であり猟兵達と共に猟書家の軍勢と戦った風神。そして、人類に失望しミストレス・バンダースナッチに加担した末、猟兵達に討たれた炎神。
神々は不老不死故に遥か太古の時代であれど猟兵達の知る姿ほぼそのままの見目で其処に在るが、無論過去ゆえに彼方は猟兵達を知らぬ。それでも、共闘を申し出れば快く応えて貰えることだろう。
「敵の軍勢は『氷雪女王』達から成る集団だ。名の通り、冷気を操る力を持ち、世界を氷雪に閉ざさんとしたヴィランのオブリビオンだ」
その力は不死の怪物のユーベルコードを吸収したことで高まってはいるが、それでも猟兵ならば然程の脅威ではなく、神々も真っ向からの戦いならば充分対抗可能な敵だ。ただし数は多いので、隙を突かれたり囲まれたりしないようには注意した方が良いだろう。
「また、女王らしく態度は尊大だが本来は臆病な性格であり、そもそも女王と言いながら軍団を形成できる程の数がいる。この点も、弱点として突き得るだろう」
力押しでも何とかなる敵ではあるが、この辺を突いた搦手で攻めるのもまた一興と言えよう。
「但し、彼奴らを率いる『ライジン・ガール』には注意せよ。奴は元より高い力を、『原初の獣』という怪物王のユーベルコードを吸収した事で更に高めている」
その結果として、行使するユーベルコードの効果範囲を無限に拡大できるという恐るべき力を手に入れている。神々では最早対処叶わず、猟兵にとっても大きな脅威となるだろう。
「彼奴を倒せれば、スナークゾーンは消滅を始める。速やかに離脱するべきではあるが……まあ、神々に別れを告げるくらいの時間はあるだろう」
例え、その戦いが仮初の世界での事に過ぎぬとしても。その行いが全き無意味という事は無かろう。少なくとも、猟兵達自身の記憶には残るのだから。
「作戦の概要は以上となる。それでは、転送を始めるとしよう」
説明を終え、ギジィはグリモアを展開。かの超空間への入り口へと至る門を開く。
「世界の黎明を告げる戦い、無事に果たす為に。征くが良い、猟兵諸君」
五条新一郎
幻の創世記。
五条です。
さて今回はヒーローズアースより、スナークゾーンのシナリオをお送り致します。
世界のはじまり、神々の時代を再現した空間内にて神々を襲うオブリビオンを打倒致しましょう。
●目的
スナークゾーン内のオブリビオン達の殲滅。
●戦場
ヒーローズアース、スナークゾーン内部のセンターオブジアース。
疎に岩が転がってる以外はだいたい平坦な荒野です。
●NPC
過去に当方のシナリオに登場した神々は以下。他にも何名かの神々が参戦しています。いずれも、集団敵のオブリビオン相手なら問題なく戦える強さを持ちます。
『雲神ジャルス』
大柄で筋肉質な体格の男神。現代では猟書家『アズマ』に殺されたため既に故
人。
雷や雨など、雲に纏わる力を操る権能を持ちます。
参照シナリオ「Distress Fist」
『風神エイナ』
細身の体躯で少女のような容姿の女神。現代でも生きてますが過去なので勿論猟兵達のことは知りません。
参照シナリオ「Distress Fist」
『炎神ファウナ』
エイナよりは年長の女神。現代では人類に失望しミストレス・バンダースナッチに加担した結果猟兵に倒されましたが、この時代ではまだ人類自体が生まれていないため猟兵に対しても特に敵意は持っていません。
参照シナリオ「Hopeless Mistress」(第二章)
●第一章
『氷雪女王』との「集団戦」です。
●第二章
『ライジン・ガール』との「ボス戦」です。
敵は原初の獣の力を吸収したことにより、ユーベルコードの効果範囲を無限に拡大可能という特性を持ちます。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以降からプレイングを受け付けます。
それでは、皆様の始まり告げるプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『氷雪女王』
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POW : 見誤ったな、愚か者が!
【ダガーくらいの大きさの氷柱 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 避けてみるがいい!
【杖を掲げる 】事で【大型のシロクマ】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 受け取るがいい、妾が祝福を!
自身の装備武器を無数の【氷の花片 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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※OP誤字のお知らせ
NPCの名前に間違いがありました。お詫びして訂正致します。
×:炎神ファウナ
○:炎神ファルナ
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
おや、これはまた奇縁ですねぇ。
まずは御挨拶、その後協力を申し出まして。
【炳輦】を発動、展開した『防護結界』に神様達と私自身を包み、飛行しますねぇ。
更に『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界、『FLS』の空間歪曲障壁を重ねれば、女王さん達はまず接近出来ませんので、射程の短い『氷柱』の攻撃は防げますし、結界自体への攻撃も『飛行速度』と『結界ごとの瞬間転移』で回避可能ですぅ。
後は、神様達に『内部からの遠距離攻撃』をお願いし、私自身も『時空切断の嵐』と『FRS』『FSS』の[砲撃]による[範囲攻撃]、纏めて叩いて参りますねぇ。
性格故に逃亡を図る個体は、優先的に仕留める方針で。
未だ生命の生まれる前の大地、只々土と岩ばかりの荒野に降り立つ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。目の前には、迫り来るオブリビオンの軍団を前として戦闘準備を整えていた神々の姿。
(――おや。これはまた奇縁ですねぇ)
驚きの表情を浮かべる、ショートカットの少女神と、るこるへ訝しむような視線を向けるロングヘアの女神。彼女達の姿に、るこるは見覚えがあった。風神エイナと、炎神ファルナ。かつての任務で邂逅せし神々だ。よもや、このような形で再会することとなろうとは。
「……何者ですか」
警戒も露わにファルナが問う。その掌には炎が灯り、返答次第では即座に攻撃を開始せんとする剣呑さだ。元の時代でも敵として戦った間柄ではある彼女だが。
「――『はじめまして』。私は、皆さんをお助けしに来た異界の神の使徒、夢ヶ枝るこると申しますぅ」
この時間軸においては初対面だ。故にそう挨拶すると共に、己の目的に併せて名を名乗る。猟兵という存在についても認識していないであろうが故に、立場は其を踏まえた名乗りにて。
「ボク達を助けに……?」
不思議そうな表情のエイナに、るこるは頷いて。
「故あって、皆様にはあの敵を確実に打倒して頂かねばならないのですぅ」
故にこその協力である、と三人や他の神々へ告げる。ややあって、エイナとファルナの二人と並び立つ大柄な男神が頷いた。
「……成程。であれば、協力、甘んじて受けるとしよう。宜しく頼む」
雲神ジャルス、現代にては猟書家の手にかかり斃れる際の姿をグリモア猟兵の予知を介し見ただけの存在。そんな彼と、よもやこのように直接かかわる機会があろうとは。
「承知致しましたぁ。それでは、参りますねぇ」
そんな奇縁に驚くのは今でなくとも良い。心中にてそう判じ、るこるは両手を合わせて祈る。己の奉ずる豊饒の女神へと。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
直後、るこるを中心に展開される大きな結界が、彼女自身と神々とを包み込む。その全長は実に18m。彼らを内包した結界は、そのまま地を離れ飛行を開始する。
「ぬうっ、面妖な飛行存在がおるぞ!」
「妾らの力にて撃ち落としてくれよう!」
るこると神々を包み浮遊する防御結界へ、オブリビオン――氷の女王達の攻撃が飛ぶ。冷凍光線や霰じみた散弾が次々と放たれるが。
「何のぉ、それくらいならば平気ですよぉ」
結界内よりるこるが言い放つ。その結界は生半な攻撃では傷一つ負わず、かの氷妃の持ち得る攻撃の中で該当する攻撃手段――氷柱による貫通攻撃は、結界ごと飛行するなり空間転移するなりで回避可能だ。
「それでは皆さん、反撃と参りましょう」
攻撃を一通り凌ぐと、るこるは神々へ呼びかける。結界内部からでも仕掛けられる攻撃手段を以て、かの敵を倒そうと。
応じて放たれるは、敵の足元に生ずる竜巻や、敵の肉体を直接発火させる魔術。或いは、敵の頭上へ形成した雲からの落雷。それらを以て、手出し叶わぬ敵軍団へ一方的な攻撃を展開。敵数を減らしてゆく。
「な、何じゃと……!? 此処まで強い敵などとは聞いておらぬ!」
「こんな戦いやってはおれぬ! 妾は帰――ぐわぁぁぁぁっ!?」
圧倒的に不利な戦況を目の当たりとし、ヴィラン達は戦意を喪失してしまったらしい。神々へと背を向け逃亡にかかろうとするが――その身が突如ズタズタに引き裂かれ、彼らは残らずその場に倒れる。
「逃がしはしませんよぉ」
オブリビオンを残らず殲滅する事こそ此度の任務である、その意志のもとにるこるは言い放ち。逃げ出そうとしている敵を、行使せしユーベルコードの効果の一端たる時空切断の嵐で以て、残さず逃がさず斬り裂いてゆく。
成功
🔵🔵🔴
ヨランド・ジラール
神様がいたり過去の時代を再現する空間があったりと凄まじい世界であります…
まあオブリビオンがいるなら突撃し粉砕するだけです。
「突撃用意!これより敵陣に突撃を仕掛けますので援護お願いします!」
と近くにいる神に支援を要請したらUCにより生み出した騎兵槍を構えて敵に突撃します!
ダガー程度のリーチで槍騎兵の突撃を止められるとは思うな!と敵陣に突入をしたら槍を真っ直ぐに構えたまま一直線に突き進み敵の隊列に風穴を開けます!
臆病と言うなら恐怖で陣形が瓦解するまで何度でも突撃を重ね突き崩します!
「
襲歩!
襲歩!!
襲歩!!!突撃!突撃!!突撃!!!」
「此処がスナークゾーン、過去の時代を再現する空間でありますか……」
未だ生命の生まれ落ちぬ荒野に蹄音が響く。蹄備えし四足で以て荒野を歩みながら、半人半馬の少女剣士、ヨランド・ジラール(突撃剣士・f39978)は只々圧倒されていた。
「そして、生命を創造する神様達とこうして相対できましょうとは」
眼前の神々の姿を見渡しつつ、驚嘆の声を漏らす。猟兵となって数多の世界を知った彼女であるが、ヒーローズアースという世界においてはこのような事物が存在するのか、と驚きを隠せないようだ。
「なんだか驚いてる様子ですが、貴女は何者なのですか?」
然し訝しげな様子で問うてくるファルナを見て気を取り直す。圧倒されてばかりもいられぬ。彼ら彼女らに対しても、オブリビオンという脅威が迫っているのだから。
「と、失礼しました。私は、あちらに迫る皆さんの敵を突撃し粉砕するべく参上した者です!」
そのオブリビオン――迫り来る氷の女王の軍勢を示しつつ、ヨランドは己の目的をそう語れば。徐に其方の方向へと向き直り、身を屈める。その構えは、即ち。
「では早速、私は敵軍へ突撃を仕掛けます! 皆さん、援護をお願い致します!」
そう呼びかけるが早いか、片手を空へと突き上げれば。その手に現れ伸び出るは一振りの騎兵槍。ユーベルコードを以て生み出せし、無敵の槍だ。
呼びかけに神々が是を返せば、ヨランドもまた頷き。槍を構え、四本の脚で地を踏みしめて――
「――敵を突き崩します! 突撃ッ!!」
吼えると共に蹄が地を蹴り、その身は一瞬にして加速。魔術攻撃を開始せんとしていた氷の女王達を目掛け、一直線に吶喊していった。
「む、来おったか! じゃが真正面からとは愚かな!」
「妾らの魔術の餌食としてくれるわ!」
正面からの突撃ならば迎撃は容易い、と思っているのか。女王達は杖を構えると、その先端から冷たく輝く光線や鋭い氷の矢を射出、ヨランド目掛けて集中射撃攻撃を仕掛けてきた。
「何の! この程度で私の突撃、止められると思うな!」
なれどヨランドもその程度の迎撃は想定済みだ。盾を構え、致命部位への被弾を躱しつつ。更には前方の空間に断続的に炎や竜巻が巻き起こり、敵の迎撃の勢いを殺してゆく。神々の援護だ。
ならば後は突き進むのみ。槍を真っ直ぐ正面へと構え、氷の女王の一団の真ん中へと狙いを定め。そのまま一気に、突入する!
「はぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」
「な……ぬおぉぉぉぉ!?」
喊声を上げて、敵中へ突入するヨランド。不運にもその進路上に居た女王達は、槍に貫かれ、或いは突撃に伴う衝撃に吹き飛ばされ、重篤なるダメージを負い。そのまま骸の海へと還されてゆく者も多く。
ヨランドの突撃軌道に沿って分断された敵陣。ヨランドの騎兵突撃は、宣言通り見事に敵陣を突き崩し、風穴を開けてみせたのだ。
だが、突撃は一度では終わらない。敵陣を突破したヨランドはその勢いのままに方向転換し、今度は別方向から再度突撃を敢行。その速度は、先程に増して速い!
「
襲歩!
襲歩!!
襲歩!!!」
最初の突撃によるダメージからの立て直しも侭ならぬまま、氷妃達は為す術なく突撃を受け。槍に貫かれ、蹄に蹴り飛ばされ、或いは踏み潰され。文字通り蹴散らされてゆくその様は、まさに蹂躙と呼ぶに相応しい。
なれど未だ敵は居る。ならばヨランドも突撃を続ける。再度反転、そして加速。残る氷雪女王群を目掛け、三度突撃を敢行する!
「突撃! 突撃!! 突撃!!!」
叫び迫るその姿、そして齎されるだろう被害の予測。元々臆病な気質のこの女王達の心を折るには、充分すぎた。
「な、何なのじゃこの敵は……!? このままでは妾も轢き殺されてしまう……!」
「ええい、妾は逃げる! じゃから来るな、もう来るな、うわぁぁぁぁぁ!!」
最早陣を維持することなどできず、壊走を始めた敵軍。不運な者からヨランドの突撃によって轢き潰され斃れてゆく。
ウマ獣人の身体能力を十全と活かしたその突撃戦術は、獣人戦線ならぬこの世界に在っても、十二分に通用する威力であった。
成功
🔵🔵🔴
天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす
戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「バトルの時間デース!」
雇われメイド、バルタン! 参上デース!
アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイルは物理系!
遠距離ならば、銃火器類の一斉発射が有効デース!
近距離ならば、武器を展開して白兵戦を挑みマース!
敵の数が多いor護衛対象がいるならば、バルタンズの使用もお勧めしマース!
状況に応じて行動して、他の猟兵のサポートに回っても大丈夫デス!
迎撃、防衛、襲撃、撤退戦。どのような戦場でも参戦OKデース!
指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
勝利のために頑張りマース!
「先行した者達は全滅したか」
「所詮は先走った雑兵よ、真の女王はこうして悠然と戦場へ赴くものだ」
猟兵達と神々の攻勢によって、氷雪女王の一団は全滅した。だが、其処へ迫る新たな氷雪女王の軍団。敵第二波、というところか。
「どれ、神どもも弱っていよう。妾の力を以て軽く蹴散らして――」
どうやら、第一波の女王達が弱らせた神々に止めを刺そうという腹積もりで居たらしい。杖を掲げながら、相対する神々を見据えるが。
「――ん? ……思ったよりも、弱っておらぬな?」
其処で気付く。相対する神々に、大した消耗が見られない、と。訝しむ女王達。
「ああ。心強い援軍が来たおかげでな」
不敵に笑うは、神々の先頭に立つ雲神ジャルス。援軍――猟兵達の助けのおかげで、己らの消耗は僅かなものである、と。そして今この時も、新たな援軍が彼らと共に在る。
「ハロー! エブリワン! 雇われメイド、バルタン! 神サマ達の救援に参上デース!」
テンション高く応えて挨拶するのはメイド姿の女性サイボーグ、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。
「はいー。私も、神様達のピンチをお助けする為に参りましたー」
のんびりした声音で続くのは白い狐耳尻尾を持つ妖狐の女性、天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)。この局面で新たに合流を果たした猟兵達だ。
「ええい、先走っておいてまともに敵も倒せんとはなんと無能な!」
想定以上に敵が消耗していないことに、先に斃された氷雪女王達への悪態を漏らす女王。なれどもすぐに気を取り直し。
「じゃが妾らの力を以てすれば、貴様らなぞ容易く蹴散らして――」
自信満々に宣言しつつ攻撃を開始――しようとした、のだが。
「すみません、目眩ましをさせてもらいますー」
「「「グワーッ
!!?」」」
その前に叶恵が動いた。掲げた蟲籠から飛び出した白い光――白燐蟲の群れが、一瞬で周囲へと広がって女王達へと襲い掛かったのだ。
其は暗闇に在ってこそ力を発揮するユーベルコード、光量には不自由せぬその荒野に在っては十全な殺傷力を発揮するものではないが――この業の本領は、ダメージではない。
「な、なんじゃ!? 目が、目が見えぬぅぅぅ!」
「声も音も聞こえぬ! 何が、何が起きておるのじゃ……!」
白燐蟲の襲撃をまともに受けた女王達は、錯乱したかのように喚きながら辺りを走り回りだす。今のユーベルコードによって、彼女達はその視覚と聴覚とを奪われてしまったのだ。それは最早、目眩ましという領域の被害ではない。全き暗闇の中へ突如投げ込まれたかの如き、絶望的とすら言える状況だ。
そんな中に、本来小心な気質の氷雪女王達が放り込まれれば。最早冷静さを保つことなど侭ならず、只々混乱し惑う他に無いのだ。
「何をしておるか貴様らは! ええい、妾までが力を振るわねばならんとはな!」
何とか嵐を凌いでいた一部の女王達は、突然錯乱した他の女王達を詰りつつも自ら事を為さんと走りだす。まずは叶恵を仕留めんとばかり、手に集束させた冷気で生成したダガーを振るって迫ろうとするが。
「そうはやらせマセーン! カモン、ビッグ・バルタン!」
そこで動くのがバルタンだ。掲げた片手でぱちんと指を鳴らせば、辺りに轟く地鳴りの音。一体何が起こるというのか。驚いたように辺りを見回す神々と氷雪女王の前に『それ』は現れた。
『BARUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!』
爆裂する大地、その下から轟く咆哮。立ち込める土煙の向こうから現れたその姿は、バルタン自身の実に二倍もの背丈を有した、三等身のバルタンの姿であった。
これこそが『ビッグ・バルタン』、バルタンのユーベルコードにて呼び寄せられたる彼女の援護戦力である。
「それではビッグ・バルタン! 敵の掃討を開始デース!」
『BARUUUU!』
バルタンが己の身体よりガトリングガンを展開すれば、ビッグ・バルタンもまた同様にガトリングガンを展開。そのサイズもまた自身と同様、バルタンのものの二倍である。
バルタンが構えれば、ビッグ・バルタンもまた構える。バルタン本体と全く同じ挙動を取るそれの銃口もまた、混乱する氷雪女王の群れへと向けられて。
「ショータイム! デース!」
そしてトリガーを引けば、両者のガトリングガンが同時に火を噴いた。バルタン自身の持つものの時点で、オブリビオンに対しても脅威となる火力を誇るこのガトリングガン。ビッグ・バルタンが持つものときてはその破壊力の程、最早語るには及ばず。
「何処じゃ、敵は何処じゃ、アバーッ!」
「こんな敵がおるなど聞いておらん……アバーッ!」
視聴覚を奪われた者も、そうでない者も。その悉くが乱射される弾丸をまともに浴びて吹き飛ばされ、骸の海へと還されてゆく。如何に命中精度に乏しいと言えど、バルタン自身のものは勿論、ビッグ・バルタンのものは一斉射で並のオブリビオンなら数体纏めて骸の海へ還すだけの破壊力を発揮する。命中精度を、威力と連射力が完全に補った形だ。
「これ以上戦っておられるか……! 妾は逃げる、逃げ――」
辛うじて斉射を逃れたものの、恐怖心故か戦意を喪失してしまった女王達は一転逃走を開始するが、それも叶うことはなく。
「逃がすものか! このまま一気に殲滅させてもらうぞ……!」
ジャルスの叫ぶに合わせ、上空に雷雲が発生。降り注ぐ落雷が、逃走せんとする女王の身を悉く焼き尽くしてゆく。
猟兵と神々の猛攻の前に、氷雪女王達はあっという間に蹴散らされていったのである、
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
※アドリブ他歓迎
成程、昔からファルナちゃんは潔癖症だね
でも穏便に再会しといて仮想世界諸共…は惜しいし
エイナちゃん兄妹共々何かしら継承したいかも?
ソレを赦される為にも奮闘しようか♪
※後日UC作成予定
◆戦闘
※愛機搭乗
てか量産女王様、アンタらの序列を教えてよ
誰が真に「下々を導く」女王なのさ?
って感じの【ブリリアント・デマンド】で煽るよ♪
アウトローが仮初の権威者に傅く筈もないしね
否定なくば己の至高を示す為に
同士討ちの一方
拒んだり戸惑えば酷く怯えたり媚び諂う娘も♡
生憎クロム北方産の愛機は風雪に強いから
混乱の隙に両腕の【B・バイト】乱射で突撃溶解♪
※最も従順な個体のデータのみ記録
「全く、次から次へとキリの無い……! 消えなさい、穢らわしい者共!」
「至高の女王たる妾を穢らわしいとは不敬ぞ!」
嫌悪を隠しもせず、ファルナが腕を振るって炎の波を放ち、氷雪女王達を焼き払う。なれどその後ろからは更なる氷雪女王達が現れ神々に迫る。猟兵達の活躍で敵の数は随分と減ってきたが、まだ神々を数で圧せられる程度には数を保っているらしい。
(……成程)
そんな状況の中、神々と並び立つ大きな鋼鉄の鎧――魔改造量産キャバリア『ナインス・ライン』の機内にて、搭乗者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)は納得したかのように頷く。機体のモニタには氷雪女王を相手に奮闘するファルナの姿。
『昔からファルナちゃんは潔癖症だねえ』
呟きが機体の外部スピーカーから漏れる。かつて現代においてスナークとなり果てたファルナと対峙した際も、人類に対し汚物扱いするかの如き言動を見せていたことを思い出したようだ。
「え、ファルナと会ったことあるの?」
呟きを耳にしたエイナが、思わず聞き返す。まるでかの炎神のことを知っているかのような言動に驚いたようだ。
『ん、ちょっとね。とはいえ――』
曖昧に応えつつ思案するリーゼロッテ。スナークとなり果てた炎神、猟書家の手にかかったという兄と異なり、彼女は現代においても生存していると聞くが、猟兵としての活動の中、彼女に会う機会が果たして巡ってくるかどうか。
(このまま仮想世界諸共……ってのは惜しいよねぇ)
穏便に再開できた炎神も、雲神風神の兄妹も。出会えたからには、何か受け継ぐものが欲しい処。とはいえ、其を為す為には当人達の赦しが必要だろう。
『ここまで来たことだし、奮闘するとしようか♪』
そんな打算を含みながらも、リーゼロッテは尚も迫る氷雪女王の一団へと意識を向ける。どうやらこの一団が最後の集団のようだが、それでも結構な数だ。単純に殲滅するだけでは少々効率が悪い。
『さて、そこの量産女王様達?』
「「「何じゃ、下賤なる者よ」」」
ならば策を弄してみるのも手だろう。リーゼロッテは氷雪女王達へと呼びかける。彼女達が反応したのを見て、更に続けた言葉は。
『アンタらの序列を教えてよ。誰が真に『下々を導く』女王なのさ?』
本来一人の筈の女王が、何故こうも多数居るのか。その問いは、そんな疑問から思い至った策。
「「「無論、妾である」」」
「ふん、貴様などに答えてやるまでもない」
「……そ、それはだな……どうなんだ……?」
大半の女王は即座に己こそ真の女王と答え、一部は回答を拒み、一部は矛盾に気付いてしまったのか戸惑いを見せる。
そして、其々の反応が、其々の真理に大きな、且つ致命的な変化を齎した。
「……何じゃと? 妾を差し置いて貴様如きが女王だと?」
「事実であろう? 妾こそ真の女王、其は決まりきった事実よ」
「寝言は寝て言うが良い。真なる女王は妾をおいて他に無し」
己こそ女王と答えた者達は互いに其を主張しあい、やがては。
「「「ならば誰が真の女王か戦って決めようぞ!」」」
己の至高を示す為の戦い――同士討ちを始めるに至る。
「な、ま、待てお主ら! あ、争っておる場合ではなかろ
……!?」
「もう誰が女王でもどうでも良いわ。いっそ、お主が女王でも良いかものう?」
回答を拒んだ者は、その様相に酷く怯え。戸惑いを覚えた者は、何やらリーゼロッテに向けて媚びるような声音を漏らし。
『ふふっ、それも良さそうだけど……』
満更でもなさそうに答えながら、リーゼロッテは両腕に二刀を構える。ビーム射撃も可能な代物だ。
『まずは、僭称するヒト達を全員片付けないとダメだよねぇ♪』
それらを相争う女王達へと向け、トリガーを引けば。放たれる何条ものビームが女王達へと降り注ぎ、氷雪司る故に熱を苦手とする身が、一瞬で燃え尽きていく。
「ああ……凄いのじゃ……僭称者共があっという間に……♪」
その様を、媚びる言動の氷雪女王がうっとりと眺める。彼女のデータも回収してゆくのが良さそうだ。殲滅を進めながら、リーゼロッテは内心そんなことを考えていたとか。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ライジン・ガール』
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POW : 落雷
【落雷】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【が雷を帯び】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : 放電
レベル分の1秒で【電撃】を発射できる。
WIZ : 迸る雷鳴
【超高圧の電流】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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猟兵達と神々の構成によって、氷雪女王の集団はその大半が討ち取られた。全滅も時間の問題であろう。
だが猟兵達は知る。これで終わりではないと。彼女達を率いる、強大なオブリビオンが未だに居ると。そして、その最大の脅威は、己の方からやってきた。
「アハハハハハ! これだよ! このチカラだよぉぉぉぉ!」
高揚しきった叫びと共に、稲妻の如く――否、もはや稲妻そのものとなって向かってきた、少女と思しき人型の存在。
これこそが『ライジン・ガール』、此度神々の領域を襲わんとしていたオブリビオンのリーダー格だ。
「何処までも届く雷の力! これこそ! アタシの最強の力!」
膨大な稲妻を纏うライジン・ガールが叫ぶと共に、その稲妻が四方八方に弾け飛び荒野を灼く。その到達範囲は驚く程に広く、成程、射程無限というグリモア猟兵の言葉は全くの事実らしい。
「コイツでアンタ達全員、纏めて黒焦げにしてやるよぉ!」
哂うように叫びながら、全身より迸る電撃をより激しくしてゆくライジン・ガール。神々と共にこれを打ち倒し、世界の脅威を祓うべし。
※神々との共闘は引き続き可能ですが、流石に彼らだけだと分が悪いです。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
言葉通り、凄まじい相手ですねぇ。
彼女は極めて強力とは言え、主な攻撃手段は『雷撃』一択ですぅ。
『FMS』のバリアと『FES』の耐雷結界で神様達をガード、『祭礼の女神紋』により『祭器』全てに肉体同様の強化を施しますねぇ。
そして【繙壅】を発動、『祭器』を含む全身を『雷撃無効』の膜で覆えば、力の差は有っても『相性差』で相応の優位に立てますぅ。
更に『神様達を守る為、自身の守りを割く』ことで『不利な条件』を満たし身体強化、『F●S』各種による[範囲攻撃]に、神々の遠距離攻撃も要請し、逃げ場ごと塞いで叩きますねぇ。
『原初の獣の力』、今後の為『FPS』で読取り、解析しておきたいですが。
「アハハハハハ!! 壊れろ! 壊れろぉぉぉぉ!」
ライジン・ガールの哄笑と共に、荒野に稲妻が荒れ狂い、驟雨の如く雷が降り落ちる。岩が砕け、地が爆ぜるその有様に、威力の程が窺えようか。
(言葉通り、凄まじい相手ですねぇ……)
そんな様相を見据え、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は其を正しく脅威と認識する。成程、これはさしもの神々であろうと太刀打ちするは厳しいと言えるだろう。
(ですが、やりようはありますぅ)
なれども対抗の術はある。頷き、己の武装たる祭器を展開。己と、後に続く神々を囲うように配置する。
「鬱陶しいねぇ! 全員纏めてくたばりやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そんな彼らの姿を目にして苛立たしげに叫ぶ雷娘、応えるかのように迸った無数の稲妻が神々を襲うが。配置された祭器が展開するバリアと結界とが迫る稲妻を防ぎ止め、彼らの身を守る。
「ハッ! そんなモンで守り切れるかっての!」
然しライジン・ガールの嗤う通り。立て続けに降り注ぐ雷撃は電撃耐性を備えた結界を以てしても減衰しきれず、バリアを激しく軋ませる。周囲に広がる雷電が彼女へと力を齎すのか、降り注ぐ雷撃は更に威力を増し、遂にはバリアへと罅を入れるに至る。
遠からず結界は砕け散り、神々の身を凶雷が貫いてしまう。そう見える程の猛攻が神々と、彼らを守る結界を襲い続ける。
「でしたら、次の手を取るまでですよぉ」
なれどもるこるの表情に焦りは無い。これらは飽くまで本命を繰り出すまでの時間稼ぎ。そして既に必要な時間は稼ぎきった。
両手を合わせて祈りを捧げるその姿こそ、次なる手を打つ為の構え。即ち、奉ずる女神の齎す加護。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『苞鞘の加護』をお与え下さいませ――」
直後、るこるの身と展開された祭器とが乳白色の光を帯びた膜に包まれる。尚も荒れ狂う稲妻が神々を襲うが、祭器同様に乳白色の光を帯びる結界は先程までと打って変わって一切の揺るぎを見せぬ。あたかも、打ち付ける雷撃を全く意に介さぬかのように。
「何ぃ……!? くそっ、どういうことだよ!?」
後一歩で破壊できると見た結界が一向に壊せない。苛立たしげに唸る雷娘が矢継ぎ早に雷撃を撃ち込むが、手応えは皆無。これでは何発撃ち込んでも壊し得ない、そう確信せざるを得ない程に。
「攻撃が雷撃一辺倒というのであれば、雷撃無効の護りを得れば良いということですよぉ」
そんな彼女との距離を詰めつつ、るこるが言い放つ。彼女と祭器とを覆う膜は、特定属性の攻撃に絶対的な耐性を齎す代物。此度は雷撃への耐性を得たが故に、雷娘の繰り出す稲妻はるこると祭器群とに対しまともにダメージを与えられぬのだ。
「ちぃっ、やってくれる……! でもねぇ、それだけだと思ってるようなら!」
唸るライジン・ガール、だが声音には未だ不敵な色が滲む。未だ打つ手はあると言わんばかり、その右手に稲妻が集束し眩い輝きを帯び始める。電力だけではない、エネルギーの集束により確かな熱を纏う輝きを。
「こいつで、ブチ抜いてやるよぉ!」
そして右手が手刀の形を取ると、其が真っ直ぐにるこる目掛けて繰り出される。成程、其は純粋な電撃に非ず、電気によって発生した熱を用いた攻撃。それならば防御膜を貫いてダメージを与えられる。そう踏んでの攻撃だろう。
「そういう訳にはいきませんねぇ」
だが無論のこと、るこるに其を受けてやる義理など無い。小さく後ろへと飛び退けば、手刀はあっさりと空を切る。なれど伴って大気をもプラズマ化させる程のその一撃、常のるこるならばこうも容易く回避は叶わない速度の代物ではある。
其は、防御膜を生み出したユーベルコードのもう一つの恩恵。普段己の身を守るに用いている祭器を、神々の保護に回したことによる無防備化、その状態で敵との距離を詰めんとする行為。不利を招くその行いの、身体能力強化への転化。以て、手刀を見切り、躱すことが叶ったのだ。
「今度は此方の番ですよぉ」
そうして距離が離れれば、其処はるこるの間合いだ。頭上に展開された浮遊砲台群や各種祭器が、ライジン・ガール目掛けて熱線を、炸裂弾を、爆弾を、重力弾を。その他諸々の飛び道具を怒涛の如く浴びせてゆく。
「雷にはびっくりしたけど……!」
「こうなれば此方のものです!」
更に神々も只見ているだけではない。エイナとファルナとが其々に風刃と火炎波を放つに続き、他の神々も己の権能が齎す手段で以て、悪しき雷の化身へと攻撃を次々に浴びせてゆく。
「な……っぉおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
四方八方から降り注ぐるこるの砲撃が、回避の選択肢の悉くを潰し。ライジン・ガールは為す術なく、それら猛攻を浴びせられ、傷ついていく。
成功
🔵🔵🔴
四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ジード・フラミア(サポート)
『2つで2人』12歳 男
ジード 内気 一般人の安全が優先
セリフは「」でぼく、~さん、です、ます
独り言やメリアに対してはですます無し
例「……よろしくお願いします。」
スクラップビルダーの力をよく使う
メリア 元気 どちらかと言えば撃破が優先 ジードに合わせることが多い
セリフは『』でワタシ(ごく稀にボク)、~さん、デス、マス
例『よろしくお願いシマス!』
人形遣いの力をよく使う
メリアの方が行動力があり、普段はジードを振り回してる
メリアはアイコン右の人形、及びその人形を動かす人格の仮の名前
ジードの人格が表でも、まるで自分の体の様に人形を動かす。
UCを使っていない時、メリアの五感はジードの体or遮断している。
「……ハ……! この程度、屁でもないねぇ……!」
先に交戦した猟兵や神々の攻撃を受け、少なくない傷を負いながらも。ライジン・ガールはまるで平気と言わんばかりに其処に立つ。其は必ずしも痩せ我慢という訳ではなく。
「アタシは力を手に入れた! この力で、全部全部ブチ壊してやらぁぁぁぁぁ!!」
叫ぶと共に再び辺り一帯で荒れ狂う稲妻、その威力は一向に衰えておらぬ。苛烈な勢いで襲い来る暴威を前に、神々達も迂闊に動けぬ。
「くっ、近づけないとどうしようもない……」
「でも、下手に動いたら……って、あれは!」
歯噛みする雲神ジャルスの隣、機を窺おうとしていた風神エイナは見る。荒れ狂う雷光を恐れることなく駆けてゆく少年と少女と、人形と竜とを。
「命を生み出すお仕事、邪魔なんてさせないんだからー!」
和風メイド服を纏う少女、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は雷鳴に負けじとばかりに声を張り、伴い飛翔する竜『フローレ』もまた主に同意するかの如く吠える。植物、特に花々を愛する彼女達にとり、其を含む生命の創造、その偉業を打ち壊さんとするオブリビオンの所業は到底許せるものではない。
「神様達もそのお仕事も、守りきってみせます……!」
白き貴族服の少年、ジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)も応じて声を上げて駆ける。黒きドレスを纏った少女型人形『メリア』と共に。
「イキがるのも大概にしな!」
なれど猟兵達を前にライジン・ガールは嗤う。先程の不覚など知らぬとばかり、傲岸なまでの自信を示すと共に。その身の周囲で無数の稲妻が渦巻いたかと思えば。
「アタシの稲妻で! 纏めて焼け死にやがれぇ!」
渦巻く稲妻が次々とその渦の内から射出され、焔とジードとを目掛けて怒涛と降り注ぐ。一撃一撃が致命の威力を持つ電撃の雨。なれど二人は恐れない。
「フローレ! 焔を守ってっ!」
焔が傍らのフローレへと呼びかけると、竜の身は眩い光へと変化。焔の手に纏われた光は、長大なる騎槍となって彼女の手へと構えられる。伴って発生したオーラが、錘状の障壁と化して迸る電撃を受け流すように防ぎ凌ぐ。全ては防げず、何条かの電撃がメイド服を裂きその下の肌をも傷つけるが、戦闘に障りを生ずる程の傷ではない。
「くっ……やっぱり厳しいですね……っ!」
ジードは右へ左へ身を捻って回避行動を取りつつ駆けるが、圧倒的な速度と密度で以て降り注ぐ電撃はやはり躱しきれるものではない。体勢を崩しながら辛うじて電撃を躱した処に、更に迫る数条の稲妻。最早回避は不可能か。
「こうなったら……メリア!」
人形に呼びかけると共に、その体を投げ飛ばすかのように跳躍させる。その勢いで完全にバランスを失ったジードの身体は地に倒れ――るよりも早く、飛来した稲妻に全身を貫かれる。
「ハハハハハァ! まずは一匹仕留め――んなっ!?」
ライジン・ガールの確信は、しかし一瞬にして驚愕に取って代わられる。ジードの手で跳躍した
人形が、白金色の輝きを放ち始めた為だ。そして、その直後。
『――この電撃、そっくりそのままお返しシマス!』
人形が叫んだ――と見えた次の瞬間。白金の輝きが矢の如き稲妻と化して射出、ライジン・ガールを目掛けて襲い掛かった!
「ぐっ……!? な、何だと……アタシの電撃を跳ね返してきやがった
……!?」
電撃の纏う電荷は、稲妻そのものというべき彼女の身には有効打たり得ぬが、迸る其が生じせしめる衝撃は無視できぬ。何より、己の力を敵に利用されたという事実が、彼女の心に少なからぬ動揺を齎したと見え。
『ワタシ達はこういうこともできるんデスヨ! 油断大敵デス!』
発される言葉に合わせて口をかくかく動かしながらメリアが言い放つ。その様はあたかも人形自身が自意識を持って動いているかのようだが、意識はあくまでジードの肉体に在る。その本質は、二重人格と腹話術の合わせ技。背後には、
人形の糸を手繰る
肉体が変わらず共に在る。
「よっし、今のうち!」
そんなメリアと雷娘のやり取りの間に、焔が動いていた。懐より取り出したる一枚の符へと、数瞬、意識を集中する。
「符よ妖の郷への扉を開け――おいでませ、白の御狐様!」
詠唱と共に放り上げれば、そこから生じた蒼き炎が空間へと燃え広がり。その内より現れ出た白く大きな狐の背へと飛び乗って、焔は突撃を開始する。
「なっ!? ちぃ、うざってぇ……!」
そこで焔の接近に気付いたライジン・ガールは彼女から距離を取ろうと飛び退くが、疾走する白狐の速度は容易に振り切れるものではない。更に。
『逃がしマセン! 神様達、お願いシマス!』
メリアの呼びかけに応えた神々が、己の権能による遠距離攻撃を開始。周囲に巻き起こる旋風や炎が回避行動を制限し。
「ここだね……! いっけぇぇぇぇぇぇ!!」
其処を好機と見た焔の叫ぶに応え、白狐は一気に加速、瞬く間にライジン・ガールへと肉薄。苦し紛れに放たれる雷撃に身を裂かれるも構わず、焔は掲げたる騎槍を、疾走の勢いを上乗せして突き出した!
「な……ぐわぁぁぁぁぁ!!」
反撃をも意に介さぬその一撃を前に、雷娘の回避は間に合わず。繰り出された槍が輝く身体を激しく撃ち貫き、重篤なるダメージを齎してみせたのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヨランド・ジラール
何処までも届く驚異の雷槌、それがどうした!
どんな戦場だろうと、どんな武器が相手だろうと突撃し粉砕するのみ!
それこそが騎兵であります!
UCを発動し一気に突撃します!
UCの効果により突撃中の落雷の驚異はほぼなくなりますが、問題は接敵しサーベルの間合いに入った瞬間でありますね。
ここは賭けになりますが、敵がサーベルの間合いに入る寸前に装備している盾を真上に向かって投擲してから敵に突っ込むであります。
落雷、つまり上から降ってくるのであれば、私より先に上に投げた盾に命中するでしょう。僅かでも時間が稼ぐとができれば、その間にサーベルで切りつけるのみであります!
「抜剣!これより、雷の化身に突撃する!」
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※愛機搭乗
※アドリブ他歓迎
媚び女王は本人同意&復元確約の上でデータ化封印
ファルナちゃん達の安心には改造&浄化が必須だしね
現状は安全だし従順さも保証するよ♪
※命名希望
結構な放電量だねえ…とはいえ射程以外は普通の雷撃
「何より『自家発電』特化が運の尽きですね、お姉さま♪」
そ。悪いけど時間稼ぎ頼むよ、
愛麗絲♪
「ハイ!」
オペ27番【インヤンオーダー】開始
補助席に顕れた中華娘がサイバー太極陣を展開
仮想世界内物理法則すら歪める仙術により
敵側の「雷神の権能」を136秒間完全停止
さ、雷霆簒奪者に天罰を下すなら今だよ
3柱全力攻撃を促しつつ【クレイエラ】発砲
電脳魔術で拘束無力化して確実性向上♪
『成程成程。名前は『グレイス』、本来は1960年頃に活動していたヴィラン――と』
先程篭絡に成功した氷雪女王はデータ化して封印を施した。愛機たる『ナインス・ライン』のコクピット内にてその詳細な情報を確かめ、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)はほくそ笑みつつ頷く。
「……一体何をしているのでしょうか?」
機外からではその様子は分からないが、呟く声は外部スピーカーを介して聞こえてくる。怪訝そうに首を傾げる炎神ファルナ。
「と言いますか、先程の敵を捕獲していたようですが、大丈夫なのですか?」
『ん、其処は勿論。本格的な処置は後になるけど、現状でも封印はきっちりしてあるし安心安全だとも♪』
ファルナの疑問に、何処か楽しげなリーゼロッテの答えが返る。因みに処置とは改造と浄化である。
『さて、何はともあれ敵を倒さないとね』
一通りの解析を終え、リーゼロッテはナインス・ラインのアイカメラが向く先へと意識を向ける。其処では既に、先行していた猟兵とライジン・ガールとの戦闘が始まっていた。
「どんな戦場だろうと! どんな武器が相手だろうと! 突撃し、粉砕するのみであります!」
それこそが騎兵、その信念を胸に抱いて。四つ足の蹄で以て力強く荒野を蹴り、ヨランド・ジラール(突撃剣士・f39978)は駆ける。輝く光を身に纏い、その先に待ち構える雷の化身が如き敵へと向かって。
「とんだ突撃馬鹿も居たモンだねぇ! アタシにとっちゃそんな奴は――」
嘲笑と共にその手を掲げるライジン・ガール。応えるように、遥か上方の空にて眩き稲妻が空を駆け。
「ただの的でしかないんだよぉ!」
其を振り下ろすと同時、稲妻は落雷と化して地上へと降り落ち。突撃してくるヨランドへと叩きつけられ、彼女の身を雷光の中に呑み込んでいった。
「――それがどうした!!」
「な……にぃ!?」
だが、ヨランドは無傷。否、僅かに着衣へ焦げ目こそついているが、それだけだ。猟兵であろうと只では済まぬだろう落雷が直撃したにも関わらず、その程度の損傷で済んでしまったことに、雷娘は驚愕を隠せない。
それこそは、白兵剣戟士の本領たるユーベルコード『聖戦剣戟陣』。サーベル以外の武器が使えなくなる制約を受ける代わり、其の届かぬ間合いからの攻撃に圧倒的な耐性を得るという代物だ。
「私の突撃、その程度の攻撃で止められると思うな!」
「ちぃ……っ!」
落雷による減速も殆ど受けぬまま、ライジン・ガールに肉薄。交錯と同時、サーベル横薙ぎ一閃。飛び退き躱す雷娘なれど、胸が裂かれて雷電が弾ける。雷の化身が如きかの敵ゆえに、あれが彼女の血液に相当する器官なのだろうか。
ライジン・ガールの肉体を構成する雷電は、会敵当初に比べて随分と弱々しく映る。敵もどうやら相当に衰弱しているようだ。
「……く」
だがヨランドも小さく呻きを漏らす。下半身、馬の右前脚の付け根辺りに痺れと焼けるような痛み。すれ違いざまに電撃を浴びたか。戦闘には直接の障りが無さそうだが。
「……ハ。成程なぁ。それがお前の弱点ってワケだな……!」
如何やら、其処からヨランドのユーベルコードの弱点を察したらしい。即ち、サーベルの間合いの内側に入れば攻撃が通る、と。
(見抜かれたでありますか……)
唸るヨランド。となれば次は、己の突撃に合わせて最大の反撃を構えてくることだろう。対策は備えてあるが、行使できるのは一度だけだ。その一撃で仕留められるか、否か。
否、考えていても埒は明かぬ。己は只々突撃あるのみだ。判じ、再度突撃態勢を取るヨランド――と、そこに。
『それなら、アタシ達がお手伝いしようじゃないか』
「!」
声に気付き横を見れば、蒼き大型の魔改造キャバリア――ナインス・ラインが隣へ並び立っていた。
『見たところ、放電量は結構なモノだけど、射程以外は、普通の雷撃と言って良い範囲』
ライジン・ガールの放っていた雷電のデータを把握し、その性質をそう判断するリーゼロッテ。であれば己の手札で対処は可能、と判ずる。
『何より『自家発電』特化が運の尽きですね、お姉さま♪』
其処に更なる別の声が割り込んでくる。愛らしい少女のものと思しき声音だ。
「おや、どなたか別の方が乗っておられるご様子……?」
其を認めてヨランドは首を傾げる。このような声の猟兵、此度の任務に参加していただろうか。
『ああ、この娘はアタシの助手……みたいなモンさ』
『ハイ! お姉さまの助手の
愛麗絲です♪』
疑問に応えてその声の主――愛麗絲は答える。そんな彼女の様子にリーゼロッテは微笑みながら告げる。
『それじゃ、アレの対処をお願いするよ、愛麗絲』
『ハイ! ワタシにお任せくださいっ♪』
要請に対し応える愛麗絲の声が聞こえた直後、戦場の空気が変わってゆくのをヨランドは感じる。うまく言葉にはできぬが、先程までとは明らかに雰囲気の異なる――
「――な、ぐぁ……っ!? こ、こいつぁ
……!?」
疑問に応えたのはライジン・ガール。跪き、呻くその身に纏う雷電が、それまでに比べて明らかに衰えている。表情も苦しげだ。
「て、てめぇ……!? 何を、した
……!?」
苦悶の声音でリーゼロッテへ向けて問う雷娘。この変化は間違いなく、彼女が原因で起こったと判断したが故に。
『ふふ、ウチの助手の論理宝貝ってやつさ♪』
対するリーゼロッテは事も無げに。愛麗絲が行使したのは、物理法則改竄用電脳太極陣とも称される論理仮想宝貝。敵性オブリビオンやそれに類する存在を基点ないし触媒とする権能類を無効にするという、まさしく神に対して強烈なまでの効果を齎す業。
『見ての通り効果は劇的だけど、2分ちょっとしか持たないんで』
それ程の業ゆえに代償も強烈。137秒を超えて行使すれば愛麗絲、或いはリーゼロッテ自身の命も奪いかねぬ危険な代物。故に、事ここに至れば早期決着が望まれる。
「それまでに決着をつけるという事でありますね。了解であります!」
己に求められる役割を理解すれば、ヨランドは即座に走りだす。先程までに増して力強く地を蹴り、加速し、疾駆する。半ば死に体と化した雷の化身へと向けて。
「ちぃ……っ、面倒臭いねぇ! でも、2分逃げ切れば……っ!?」
その会話を聞いていたか、2分耐えきることでユーベルコードの効果切れを狙おうとするライジン・ガールだが。その身を縛る、見えざる感触に気付く。
『そう簡単に行かせると思う? 大人しくイっちゃいなよ』
酷薄とも聞こえる声音でリーゼロッテが告げた時、ナインス・ラインはその拳に接続されたバレルを雷娘へ向けていた。其処から撃ち出された拘束用電脳魔術が、かの敵の身を縛っていたのだ。
『さあ、皆。雷霆を簒奪した不届き者に天罰を喰らわす時だよ』
そして告げるは、共に戦わんとする神々へ。応えた神々は一斉に、其々の権能を開放。総攻撃を開始する。
数多の神々がオブリビオンへと容赦ない攻撃を浴びせる中、かの三柱もまた動く。
「積乱雲展開――行け、エイナ」
「分かった、ボクの全力で……ええぇぇぇぇぇぇいっ!!」
ライジン・ガールの頭上に形成される、ジャルスの権能による巨大な積乱雲。其処に、エイナが自らの権能で下降気流を生めば。猛烈な風が地上へと叩きつけられ、地上に極低温の暴風が吹き荒れる。所謂ダウンバーストだ。
「私も合わせます。穢れた雷、焼き浄めてくれましょう」
更にファルナも自らの権能による炎を其処に生み出せば、風に煽られた其は瞬く間に激しく燃え上がり。冷気と熱気とが、雷娘の身を容赦なく苛んでゆく。
「流石に凄まじいお力……ならば、私も私のありったけで!」
そんな嵐の中を、ヨランドは勢い緩めることなく疾駆し続ける。狙うは一点、嵐の只中でもがくオブリビオン!
「――これより、雷の化身たるオブリビオンへ突撃する!!」
尚も加速し、剣を振りかぶる。構えていた反撃対策は、この状況ならば恐らく不要。ならば、この一撃にて仕留めることに全力を。意識を研ぎ澄まし、狙いを定め――
「ぁぐ……っ、何で、何でだよ……っ! 原初の獣の力があって、何でこんな……!」
絶体絶命の状況を前に、喚くように叫ぶ雷娘。なれど、其に答える義理など無し。只々、打ち倒すのみ。
「――斬り捨てるッ!」
交錯すると共に、渾身の膂力でサーベルを一閃。掬い上げるような斬撃は、ライジン・ガールの身体を腰にて上下半身真っ二つへと両断。そのまま、雷電の散り消えるままに消滅へと至らしめた。
●
「――感謝する。お前達の助けなくば、我々の命は最早無く。この世界に、命の種を蒔くことも叶わなかっただろう」
戦いを終え、帰還せんとする猟兵達に、ジャルスが声をかけ、礼を告げる。猟兵達の力あらばこそ、かの敵を退けることは叶った、と。
「これで、滞りなくこの世界へ生命を創造することができそうです。皆さんのような強き命も、いずれ生まれてくるでしょうか」
ファルナはどうやら、早くも生まれ出る命が如何なるものであるかと興味を示している様子。
「とにかく本当にありがとう! ボク達、この戦いのことはきっとずっと忘れないと思う!」
やや興奮気味な様子のエイナ。永遠を生きる神々ゆえ、その言葉にもまた真実味が宿るだろうか。
猟兵達が別れを告げると共に、彼ら神々の姿は、周囲の荒野共々に薄れゆき、そして消え去っていった。スナークゾーンの、消失である。
以て、任務は完了。かの仮想世界においても、オブリビオンの企みを潰えさせることに成功したのだ。
●
そして。
2023年のセンターオブジアース、神獣の番人たる神々の住まう領域にて。
「――あの戦いが終わってからは、何事も無く。世界は概ね平和になりつつある――のかな」
その一角に建つ、黄金のオベリスクを見上げて。風神エイナは独りごちる。
侵略者の時代。ジャスティスウォー。世界の分断を経て、20年後のアースクライシス2019。再びの融和に至った世界は、然し激動の只中にあった。
兄たる
雲神は猟書家の凶拳に斃れ、友たる
炎神はその黒幕の走狗と堕して猟兵に討たれた。他にも、この40年程で滅びた神々は十や二十ではきかぬ筈だ。
神たる身ですら永遠とはいかぬ世界。なれど、其処に生命の種を蒔き、育んだことには、きっと意味があるのだろう。永遠ならぬが故に、世代を、歴史を積み上げていく強さを持つ者達を、世界に産んだことは。
「兄さん。ファルナ。みんな。――ボク達が産んだ生命は、きっとこれからも、育ち続けていくはずだよ」
その始まりの戦を勝ち抜いた記録が刻まれたオベリスクに、そう語りかける。
其処に刻まれていたのは、その身に豊饒を体現せし少女、半人半馬の少女剣士、蒼き鋼の巨人――かの領域の中でオブリビオンと戦った猟兵達を思わせる、神々の言葉による記述であった。
大成功
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