セイヨウ・リバイバル2~マクドナルド王国の奇祭
●前日譚:その名は、
セッツ・ブーン。
クロムキャバリアの小国家の一つ、高い山の頂上に築かれた平和な国家マクドナルド王国。
少々トラブルがあったものの、ハロウィンの仮装パーティを経てセイヨウ帝国の国民たちと交流を深め、人も妖怪も少しずつ打ち解けてきていた。
『ドクター・フランケンシュタイン』への尋問は進捗芳しくないらしいが、事件らしい事件も起こることなく新年を迎え、そして……。
「セッツ・ブーン?」
「はい」
マクドナルド王国にある会議室にて。
マクドナルド王国の王族、ジョニー王子がセイヨウ帝国の幹部キング・ゾンビと会談を行い、間もなく開かれる催しの説明を行っている。
「毎年この時期に行っていた恒例行事でして。
我が国は建国王レオナルドの治世以降、セイヨウ帝国の襲撃があるまで首都を侵されることなく過ごしておりました。
山の上から下に向けて攻撃をするだけで済む、いわゆる専守防衛の形で戦禍から護れています。
ですが、地形の利に胡坐をかいてパイロットの技量が損なわれてはならない。
そのために行われるのが、恵まれた環境にあることを思い出そうという催事。
セッツ・ブーンなのです」
なるほど、とキング・ゾンビもうなずく。
高所から一方的に攻撃するだけで他国の侵攻から身を守れるとあっては、油断や慢心、増長してもおかしくはない。
だが、マクドナルド王国のスーパーロボット部隊は練度はともかく士気は十分高い。
セッツ・ブーンによって気を引き締めることで、緩みを生み出さないようにしているのだろう。
「去年は
諸事情があって開催できなかったので、今年は大規模に執り行おうと。
当日は王城のバルコニーを解放して観覧の席とパーティも開催する段取りです」
「ゾビゾビ。わかったぞ、パーティへの出席だけではないな。
そのセッツ・ブーンに我らセイヨウ帝国の幹部も参加して、盛り上げようではないか」
「快諾ありがとうございます。今回は猟兵の皆様にも声をかけて参加希望を募ろうと」
「ゾービゾビゾビ! どんな催しかわからないが、成果を競う形式であれば猟兵に私たちの本当の実力を披露することができるかもしれんな。
それで、そのセッツ・ブーンでは何をすればいいのだ?」
「はい。まず……」
そして、セッツ・ブーンの当日。
キング・ゾンビをはじめとしたセイヨウ帝国の幹部は死を覚悟することになる。
死なないが。
●招集:マクドナルド王国のパーティに招待されました。
「ハローエブリワン!
今回はオブリビオンマシンの出てこない、平和なパーティのお誘いデース!」
グリモア猟兵のメイド、バルタン・ノーヴェがプラカードを掲げて猟兵たちに声をかける。
プロジェクターをセットしているが、オブリビオンとの戦闘はないと言う。
「場所はクロムキャバリアのマクドナルド王国!
少々不安な問題点がいくつか残ってマスガ、それはそれとしてイベントが開催されマース!
まずは王城のバルコニーでパーティが開かれ、食事や楽器演奏、現地の方々とのコミュニケーションを満喫できマース!
パーティだけへの参加することも、本番であるセッツ・ブーンにだけ参加することも、もちろん両方とも参加することも大歓迎であります!
―――ワタシは参加しマセンガ」
猟兵たちがバルタンに問う。
セッツ・ブーンって何? と。
「…………」
笑顔のまま、バルタンがプロジェクターを起動する。
それはグリモアによる予知で見た、セッツ・ブーンの光景。
用意された広場に集められたスーパーロボットたち。
その四方八方を囲むミサイルポッドの壁。
無数のミサイルが降り注ぐ中、逃げ惑うスーパーロボットたち。
真っ先にキング・スケルトンが爆散し、いつの間にかキング・インビシブルがひっそりと倒れ、キング・ゾンビがキング・ゴーレムを盾にする。
一方的にミサイル爆撃を受けることで、その恐ろしさを身に沁みさせる。
それが、
セッツ・ブーンである。
「これが第一段階デス」
!?
ミサイルの雨が終わると、続けて四方にキャバリアの群れが現れる。
それは、マクドナルド王国製の使い捨て無人量産型キャバリア。
『パンジャンキャバリア』!
キング・ゴーレムがキング・ゾンビ諸共パンジャンに呑まれて爆炎に消え、キング・ヴァンパイアが霧状になるも爆風に吹き飛ばされ、最後まで残ったキング・デュラハンも頭部と胴体が同時にパンジャンされて終了した。
そう。
このマクドナルド王国は山の上からパンジャンを落とすという防衛能力を有しているのだ。
なので、一方的にパンジャンを叩き込まれる恐ろしさを身に沁みさせる必要もある。
なお、マクドナルド王国のパイロットたちはちゃんと生き残っている。
「…………」
バルタンは笑顔で猟兵たちを見つめている。
せっかく招待を受けた以上、欠席するのは失礼だと考えているのだ。
じゃあお前が行けという視線に対してグリモアのゲート維持が必要だと大義名分でガードする。
「HAHAHA! それではゲートを開きマース!
せめてパーティだけでも楽しんで来てくだサーイ!
いざとなったら
通りすがりの猟兵の方を送りマスゆえ!」
誰かが逝かなければ、現地のセイヨウ帝国の幹部たちも爆発四散するだけだ。
(※死んでません)
行ったところで守る義務はないのだが。
笑いながら目を逸らすバルタンがグリモアを起動して、マクドナルド王国へのゲートを展開する。
キャバリアが無くても大丈夫。
倒すのではなく、生き残ることが目的のお祭りなので……。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回の舞台はクロムキャバリア。マクドナルド王国という平和な国家の首都デカプリオです。
セッツ・ブーンというお祭りに参加して楽しむことが目的です。
今回はキャバリアに乗らずとも戦闘は可能です。ご安心ください。
マクドナルド王国のシナリオでは王国が所有するスーパーロボット部隊をレンタルすることができます。
スーパーロボットは個別に大きな卵型の格納ケースに封入されており、起動するために接触した人物に合わせて形状を変化させることができます。
そのため、どのようなスーパーロボットを借りたのかは猟兵が決定することができます。
第一章:マクドナルド王国の王城のバルコニーにて開催されるパーティです。
立食形式の食事と楽器演奏が用意されておりますが、猟兵から何か催しを提供することも可能です。喜ばれます。
また、マクドナルド王国やセイヨウ帝国の方々が参加されているため、彼ら彼女らとコミュニケーションを取ることもできます。
ただしドクター・フランケンシュタインは軟禁中なのでダメです。
プレイングボーナスはありません。
第二章:セッツ・ブーンの前半です。場所は屋外の広場、時間帯は日中です。
四方八方からミサイルが降り注ぐため、指定範囲内で潜り抜けて生き残ってください。
プレイングボーナスはありません。
第三章:無人量産型キャバリア『パンジャンキャバリア』との戦闘です。
四方八方から爆走してくるパンジャンに対処して生き残ってください。
特に何もなければ、ここでセイヨウ帝国の幹部は全員
戦闘不能しますが、命に別状はないので気にしなくても大丈夫です。
プレイングボーナスはありません。
登場人物:マクドナルド王国とセイヨウ帝国の方々。
バルタン・ノーヴェの旅団、『ショッピングセンター・ダマスカス』にて調査資料を公開しております。
必要ではありませんが、ご参考に使用しても構いません。
オープニング公開後、断章を公開します。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『バルコニーパーティー』
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POW : 機材を運び込み楽しむ。
SPD : 細々した飾りを持ち寄り楽しむ。
WIZ : 不思議な力で会場を盛り上げ楽しむ。
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●断章:真昼のパーティ会場。
マクドナルド王国の王城のバルコニーは、100人近くの大人数を受け入れることができる広さだ。
快晴の日差しが差し込む明るいこの会場は、デッキやテラスと表現しても良いかもしれない。
マクドナルド王国とセイヨウ帝国の市民や住民たちがセッツ・ブーンを観覧するためのブースと異なり、このバルコニーには招待客……王族や幹部、そして猟兵たちが集う場となっている。
テーブルにはサンドイッチやローストビーフ、一口サイズにカットされたチーズや果物、握り寿司といった軽食が並べられており、猟兵が来ると聞いたパン屋の倅が作ったパンケーキも用意されている。
眼下に広がる広場ではこの後のセッツ・ブーンのためにミサイルポッドが並んでおり、近くの工廠ではパンジャンキャバリアもスタンバイしている。
楽団はリラックスした様子で楽し気な雰囲気の曲を奏で、心地よいBGMを提供している。
マクドナルド王国の王族たち、ジョニー王子やアンジェリーナ王女はホストとして猟兵たちを迎え入れている。
後ほど当代の国王陛下も挨拶に参るという話だ。
そして、セイヨウ帝国の幹部たち、西洋妖怪の面々も思い思いの様子で会場に入り、セッツ・ブーンに備えて覚悟を決めているようだ。
戦場に出る者たちとしての心構えを育むセッツ・ブーン。
そして、種族を問わない人々による、歓迎と交流のパーティが始まる。
メサイア・エルネイジェ
わたくしおパーティ大好きですわ〜!(話しを途中から聞いてない)
こうしてはいられませんわ!
ご馳走がわたくしをお待ちになられておりますわ〜!
なんです?わたくしも王族だから外交が云々?
こまけぇこたぁよろしいのですわ!
それにわたくし祖国では王権剥奪されて指名手配犯ですのよ!えっへん!
本日は無礼講ですわ〜!むしろ毎日が無礼講ですわ〜!
まあ!お肉!お肉大好きですわ!
こちらは?お寿司?うんめぇですわ〜!
このおパンケーキも美味しいですわ!
これはお酒が恋しくなりますわね?
お任せあれ!
わたくしお酒を出せますのよ〜!
さあさあ皆様もお召し上がりになられて?
はい?今どこから出したと?
お口からでしてよ?こう、オエー!と
●パーティ会場にアルコールを追加されました。
「ここがパーティ会場ですわね! わたくしおパーティ大好きですわ~!」
真っ先にマクドナルド王国へと足を踏み入れたのは、アーレス大陸西部に位置するエルネイジェ王国の姫。
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)である。
エルネイジェ王国とマクドナルド王国。
遠く離れた地に在れども同じクロムキャバリアの国家として、国交を育むべく……。
「なんです? わたくしも王族だから外交が云々?
こまけぇこたぁよろしいのですわ!」
……そういえばメサイアは姫ではあるが、オブリビオンマシンから人々を救うために国を去ったというのだ。
政治ではなく猟兵として前線に出ようという正義感、いわゆるノブレス・オブ、
「それにわたくし祖国では王権剥奪されて指名手配犯ですのよ! えっへん!」
はい。
「こうしてはいられませんわ!
ご馳走がわたくしをお待ちになられておりますわ~!」
これもまた一国の王族の姿である。
メサイアは他の猟兵が転移する前にとダッシュでテーブルに駆け寄り、皿にいっぱい料理を盛っていく。
立食形式なので細かいマナーを気にしなくていいストロングスタイルだ。
「まあ! お肉! お肉大好きですわ!」
ソースたっぷりのローストビーフをこれでもかと頬張り、メサイアは目を輝かせる。
「こちらは? お寿司? うんめぇですわ~!」
炙ったマグロや濃厚なタマゴ、煌めくイクラや厚切りのサーモンなど様々な寿司をパクパクと口にしていく。
「このおパンケーキも美味しいですわ!」
実に美味しそうにパンケーキを食べていくメサイアの姿に、パン屋の
倅も嬉しそうに笑っている。
メサイアが景気よく食べていく様子を、マクドナルド王国の面々も、セイヨウ帝国の幹部たちも、微笑ましく眺めている。
そしてメサイアが飲み物に目を向けるが、ソフトドリンクが飲み放題で並んでいる。
この後のことを考えて、アルコールは控えているのだろう。
だがメサイアにはそんなの関係なかった。
「こんなに美味しいと、お酒が恋しくなりますわね?」
「アルコールですか。少々お待ちください」
「お任せあれ! わたくしお酒を出せますのよ~!」
給仕のスタッフが用意しているワインやカクテルといったアルコールを取りに行くより先に、メサイアが《無限ストロングチューハイ(リアルブレイカー)》を発動させる。
それは発動している間、メサイアの体内から常にアルコール度数9%のチューハイが放出され、自身の体調に応じて周囲の全員に泥酔・幻覚・脳細胞破壊・肝機能破壊の効果もしくは飲酒欲求・現実逃避の感情を与えるユーベルコードである!
……おい待てこいつを未成年者の範囲外に遠ざけろぉ!
閑話休題。
隔離スペースに移動したメサイアは、テーブルの上にストゼロを並べていく。
彼女に近づくのは、マクドナルド王国の国王であるアーノルドとセイヨウ帝国の皇帝であるエンペラー・ノーライフ。
この地にいる首脳ツートップである。
「キンッキンに冷えておりますわ~! ありがたいですわ! 犯罪的ですわ! 美味しすぎますわ! お身体に染み込んできやがりますわ!
さあさあ皆様もお召し上がりになられて? 本日は無礼講ですわ~! むしろ毎日が無礼講ですわ~!」
「おお、ありがとうございます」「いただこう」
アーノルドとエンペラー・ノーライフがメサイアの差し出すチューハイを受け取り、呷る。
焼酎を炭酸水で割ったチューハイを飲んだ二人は、目を開いて感嘆の息を漏らす。
「ほぉ、何とも新鮮な味わいですね。爽やかで、眠気が吹き飛ぶ。とても美味しいです」
「うむ、これは余も初めて感じる……メサイア殿、これは何というお酒なのだろうか?」
「ストゼロですわ! とても美味しいのですわ! おかわりもたっぷりありますわよ!」
すぐにすっと差し出される、次なるストゼロ。
ユーベルコードの影響もあって、景気良くぐびぐびとストゼロを飲み交わすメサイアと王たち。
難しい政治の話はせず、楽しく歓談しながらストゼロを痛飲していく中、不意にアーノルド国王は気づいてしまった。
「そういえばメサイア殿、これ、どこから出しましたか?」
「はい? お口からでしてよ? こう、オエー! と」
「「うわあおおお!?」」
他国の王にストゼロ(意味深)を飲ませた姫様、爆誕。
アーノルドもエンペラー・ノーライフも酒が進んでおおらかな気分になっているので、特に問題にはならなかったのが幸いである。
本当に、よかった。
「うおぉン! わたくし、ストゼロ製造機でございましてよ! まだまだいけますわ~!」
大量のストゼロを放出しておなかが空いたのか、給仕のスタッフに頼みご馳走を取ってもらったメサイアは、たっぷりと食事を摂るのであった。
……ところでこの後のセッツ・ブーンが行われるのだが、果たしてメサイアは大丈夫なのだろうか。
大成功
🔵🔵🔵
鳴上・冬季
「名前が似た奇祭、という理解でいいのでしょうね」
嗤う
「甘味があるならそれだけで充分ですし、クロムキャバリアでのことですし。こちらも存分に準備して行かねばなりませんね」
嗤う
まず果物やパンケーキのブースへ
人目を気にせずパクパク食べる
場所が空くくらい甘味のみ食べ尽くしたら、そこに壺中天からザナドゥのウェット用のサイケデリックな甘味(宝石のように光るチョコレート、泡立ち発光するサイダー、発光し波打つゼリー等)を取り出して並べる
「奇祭にお招きいただきありがとうございます。もてなしにはもてなしで返すのが仙の礼儀。これは異国の人間(ウェット)用のお菓子です。試しに一口いかがですか」
自分も摘まみながら嗤う
●文化を繋ぐ道士。
「名前が似た奇祭、という理解でいいのでしょうね。
甘味があるならそれだけで充分ですし、クロムキャバリアでのことですし。
こちらも存分に準備して行かねばなりませんね」
そう呟いて嗤うのは、自身を転生を繰り返した大妖怪『迅雷公』と称する雷使いの妖仙。
鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)だ。
クロムキャバリアにおいて数多くの地域や国家で戦いに参戦し、解決に貢献してきた熟練の猟兵である。
グリモア猟兵の開いたゲートを潜りマクドナルド王国のパーティ会場に訪れた冬季は、人目を気にすることなくまっすぐに果物やパンケーキの並ぶ甘味処ブースへと足を向ける。
素早く皿を取り、そこにある甘い食べ物を自由気ままに摘まんで食す。
パクパクといただく様子は、実に健啖家である。
さほど間を置かずに、冬季は独りでテーブル一つを空にした。
「うん、美味い。……ああ、しばしお待ちを」
スタッフが急いで甘味を補充しようとするのを手で制し、冬季は一つの壺を取り出した。
それは《宝貝・壺中天(パオペエ・コチュウテン)》。
中には小さな案内役の式神たちと、東屋風の無限倉庫が広がる宝貝である。
姿を見せる無数の式神たちが冬季の意に従って、空いたテーブルにサイケデリックな色合いの甘味を並べていく。
宝石のように光るチョコレート、泡立ち発光するサイダー、発光し波打つゼリー等々。
サイバーザナドゥ由来の
人間用の菓子類だ。
「導け、壺中天。長くも短くも、かの宝貝の中の時の流れは自由自在。
溶けず抜けず損なわず、どれも最適な状態です。
さあ、存分に楽しまれよ」
「おお、これはとても見事ですね」「なんと彩り豊かな。美しい」
珍しい甘味を見て、マクドナルド王国の者もセイヨウ帝国の者も感嘆する。
興味をそそられ近づいてきたジョニー王子やキング・デュラハンたちに、冬季は嗤いながら菓子を差し出す。
「奇祭にお招きいただきありがとうございます。
もてなしにはもてなしで返すのが仙の礼儀。
これは異国の人間(ウェット)用のお菓子です。試しに一口いかがですか」
「これはご丁寧にありがとうございます。喜んでいただきます」
「デュララ。食べるのが惜しいほど綺麗ですね。いただきます」
輝くゼリーを口にして、光るチョコレートを頬張って。
稀有な味わいに笑顔を浮かべるジョニー王子と、その甘さに感動するキング・デュラハン。
率先した二人の好意的な反応につれられるように、他の者たちも冬季の用意した返礼の菓子を口にしては喜びと驚き、そして称賛を露わにする。
賑わいをみせるテーブルから離れ、冬季は次の甘味ブースへと歩いていく。
「さて、此度の奇祭。どうなるでしょうか」
冬季自身も菓子を摘まみつつ、盛り上がるパーティの様子を静かに眺めて嗤うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
プリンセス・アラモード
『本日のスペシャルデザートです!!』と言うマイクアナウンスと共に、特大の
クローシュの乗ったワゴンが運ばれてくるの!
そして『ジャジャーンッ!!』とクローシュの中からプリン(自分)が可愛い決めポーズで登場するの!
UCで陽気な小人さん達を召喚して、みんなにプリンの身体の各部をお給仕してもらうの♪
みんながプリンでお腹一杯になってくれて、美味しいって言ってもらえる事が何よりもの幸せなのっ♪
妖怪?
違うの!プリンは愉快な仲間で、お菓子の国のプリンセスなの♪
プリンにとって、美味しい!=凄い!強い!恰好良い!可愛い!みたいな褒め言葉なの♪
シャルロット・ゴッドハンド
「えへへぇ♪おいひーねぇ♪たのしーねぇ♪」
自分の分の料理や甘い物をグラスに取ってきて、
浴びる様に食べてます。美味しい物、特に甘い物が好きなようです。
「しゃぅと、あそぼぉ♪」
殲禍炎剣に撃ち落とされない程度の高度まで、キャバリアやセイヨウメンバーを投げてお手玉&
他界他界しようとします。
また、セイヨウ帝国の面々に対し、無意識に新しいトラウマを植え付けたり、古いトラウマを抉るような言動をしてしまうかもしれません(期待)
●愛らしく可愛らしい猟兵たちの宴。
『本日のスペシャルデザートです!!』
宴もたけなわ、マクドナルド王国のパーティが盛り上がっている最中。
バルコニーに響き渡るマイクアナウンス。
誰もが手を止め、楽団による明るい演奏と共に入場してくるワゴンに眼を向ける。
特大の
クローシュの乗ったワゴンを運び込むのは、《もっと愉快な仲間達》の元気で陽気な小人たち。
会場の視線を集めた頃合いを見計らい、クローシュの中から可愛い決めポーズと共にその猟兵が現れる。
「ジャジャーンッ!!」
パフェグラス型の浮遊する玉座『プリンセスフロート』に腰を掛けた、全身がプリンで出来たお菓子の国のプリンセス。
プリンセス・アラモード(おかしな国のお姫さま・f37608)ことプリンちゃんの登場だ!
「おお……お、おお?」「デザート……猟兵
……?」「いい匂いがする……」
困惑しつつも会場にいるマクドナルド王国の王族やセイヨウ帝国の幹部たちが拍手する中、プリンちゃんは身体の各部を取り分けて小人たちに給仕してもらう。
小人たちはプリンちゃんを食べるようにと、王族と幹部たちに差し出し迫る。
「えっと……これは、新手の西洋妖怪の方でしょうか?」
「い、いや、どうだろう。自分の身体を他者に分け与える妖怪など……。
あ。もしかして、アンp」
「妖怪? 違うの! プリンは愉快な仲間で、お菓子の国のプリンセスなの♪」
困惑するアンジェリーナ王女とキング・ヴァンパイアの口に投入されるプリンちゃん。
プリンちゃんを咀嚼して、嚥下した二人は、目を見開いてから視線を合わせ、口をそろえて絶賛する。
「「お、美味しい
……!」」
「プリンの気分はいつでもア・ラ・モードなの♪
いっぱいたべて、お腹一杯になって欲しいの♪
そしてみんなに美味しいって言ってもらえる事が何よりもの幸せなのっ♪」
そのこげ茶色の髪と瞳はカラメルソース。その黄金の肌はカスタード。
甘味や果物で装飾されたプリンちゃんの『プリンセスボディ』は食べても減らず、超絶美味で心身を癒すのだ!
身に纏うドレスも含めて余すところなく、甘く蕩けて極めておいしい猟兵なのである!
アンジェリーナ王女とキング・ヴァンパイアが美味しそうに食べる様子を見て、身構えていた他の者たちも小人たちからプリンちゃんを受け取って、摂食していく。
「おお……こんなに美味しいプリンは初めて食べます」
「ボネボネボネ、食べられるキャバリアだけでなく食べられる猟兵もいるとは。まったく地上は驚くべき世界だな!」
「うーム。幾らでも食べられる美味しさダ。貪食の二つ名が唸る時が来たナ」
「えへへぇ♪ おいひーねぇ♪」
「……ゴゴォォォ!?」
ご機嫌にプリンちゃんを食べていたキング・ゴーレムが突然腰を抜かす。
何を隠そう、彼の近くのテーブルで愛らしいフェアリーがプリンちゃんをいただいていたからだ。
「おいひーよ、プリンちゃん! しゃぅ、すっごくしあわせだよ♪」
「嬉しいの♪ プリンにとって、美味しい!
=凄い!強い!恰好良い!可愛い! みたいな褒め言葉なの♪
もっと一杯食べて欲しいの♪」
「わーい♪ ありがとぅー♪」
文字通りパフェグラスに入ってプリンちゃんを浴びる様に食べているのは、セイヨウ帝国に
恐怖の感情を叩き込んだフェアリーの力持ち。
シャルロット・ゴッドハンド(クロムキャバリアの都市伝説 妖怪「怪力全裸幼精」・f32042)だ。
シャルロットの周りには空になったグラスが山盛りに積まれており、料理や甘味をたっぷりと味わいパーティを満喫している様子だ。
……質量保存の法則? 奴は死んだ、もういない。
「いっぱいたべたし、みんな! しゃぅと、あそぼぉ♪」
「ヒッ! たすけて!」「は、放せキング・ゴーレム! 私を巻き込むなぁ!」
腹ごなしの運動とでもいうのだろうか。
シャルロットはキング・ゴーレムの身体を掴んで軽々と持ち上げる。
岩石で出来た身体を持つプレアデス最強の戦士、貪食のキング・ゴーレム。
彼は恥も外聞も気にせず怯えた様子で近くにいたキング・スケルトンに縋りつく。
そして二人分の重量をものともせず、バルコニーの広いところへ移動したシャルロットは、お手玉を始める。
玉はもちろん、その二人である。
「
たかいたかーい♪」
「「ぎゃあああぁぁぁ…… ……ぁぁぁあああ!」」
「もういっかーい!」「無限地獄か……?」
殲禍炎剣に撃ち落とされない程度の速度に抑えて、ほどほどの高度まで投げ上げて、落ちてきた所でスムーズにキャッチ&スローイング。
全身の骨がバラバラになってもなおジャグリングされ、絶叫を上げ続けるキング・スケルトン。
いつの間にか気絶……もとい幽体離脱しているキング・ゴーレム。
どちらも死にそうな様相だが、シャルロットはしっかりと《てかげん》しているので死ぬようなことはない。
安身安全なのだ。 心は知らない。
「たのしーねぇ♪ もっといーっぱいあそぼーねぇ♪」
「何とも無邪気で可愛らしいですね」「えっ」
余興と認識して微笑ましく眺めるマクドナルド王国の人々。
明日は我が身かと震えるセイヨウ帝国の幹部たち。
そしてマイペースに食事を堪能する猟兵たち。
三者三様の振る舞いで、パーティは盛況のうちに終わりを迎える。
これから彼らは此度の本番である催し、セッツ・ブーンに参加するため広場に移動するのである。
もっとも、祭りに参加せず観覧ご希望の方はそのままバルコニーから眺めてもらって大丈夫です。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『ミサイルカーニバル』
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POW : 強度に任せて強行突破する
SPD : トップスピードでミサイルの隙間を駆け抜ける
WIZ : ミサイルの被害を受けずに済む方法を考える
👑7
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●断章:Set's Boon!
マクドナルド王国の王族たち、そしてセイヨウ帝国の幹部たちが、王国の特産品であるスーパーロボットに乗り込んで広場に集合している。
これから始まるのは、王国の恒例行事『セッツ・ブーン』。
三百六十度全方位から降り注ぐ無数のミサイルに対処する、パイロットの技量が問われる祭りの前半戦である。
彼ら彼女らと一緒に、幾人かの猟兵たちも広場に立っている。
キャバリアを持参している方もいれば、生身で浮いている方もいる。
猟兵であればただのミサイルならば、キャバリアに乗らなくても対処することができるだろう。
「猟兵さんたちにセイヨウ帝国の方々に……私たちの技量を披露するいい機会ですね」
「ええ。マクドナルド王国として恥ずかしくない操縦をお見せ致しましょう」
ジョニー王子やアンジェリーナ王女、そしてアーノルド国王もキャバリアの中で待機している。
マクドナルド王国との戦いでは猟兵たちに頼り切りになっていた王族たちも、依存する訳には行かないと士気を高めて操縦訓練を重ねていたようだ。
用意されたスピーカーから準備完了の報告が入り、実況解説の担当者が声を上げる。
『それでは間もなく始まります。カウント60からスタートです』
観客席やバルコニーには、勇者たちの活躍を見届けようと国民や猟兵たちが集まっている。
派手に弾けることになるか、華麗に立ち回ることになるか。
それは、各々によって変わるだろう。
「デューララララララ。ただのミサイルならば分散すれば何とかなるはずです」
「ヴァーンパイパイア! 俺は『ヴァニッシング・ヴァンパイア』で逃れられるからな」
自信満々のプレアデスの面々だが、予知通りだとここで半壊するとのことです。
そしてカウントが進み、スタートシグナルが点灯する。
間もなく、セッツ・ブーンが始まる。
『5、4、3、2、1、スタート!』
次の瞬間、天地を埋め尽くすミサイルカーニバルが始まった。
メサイア・エルネイジェ
メーサメサメサメサメサ!
素晴らしい宴でしたわ〜!
ところで…何故わたくしヴリちゃんに乗せられておりますの?
ここは?広場?
あれは?ミサイルランチャー?
どうしてここに?それに全部わたくし達の方を向いておりませんこと?
このカウントは?一体何が始まるのです?
んぎゃー!撃ってきましたわー!
ちょっと!お待ちになって!
こんな時は…エルネイジェ流回避術!
なんとなく避ける!気合いで避ける!
考えているお暇などございませんわ!
引き付けて急に逆方向に切り返す位を意識していればよろしいのですわ!
ほいほいほい!
多過ぎますわー!
誰かー!止めてくださいましー!
あ!丁度良いところに!
プレアデスの皆様〜!
わたくしのお盾になって?
鳴上・冬季
「そう言えば、ここでセイヨウ帝国のお歴々を助けろとも瓦解させろとも言われていなかった気がします。手助けするのと見捨てるのと、どちらを期待されていたのでしょうね」
嗤う
「参加者全員やる気に満ち溢れているようですし、必要以上の手助けは無粋でしょう。ここはお手並み拝見です。…八卦天雷陣・彩雲天網」
セイヨウ帝国の機体に攻撃力と防御力付与
被害の軽減化を謀る
自分は風火輪で空中飛行
空中戦+空中機動駆使しトリッキーな動きでミサイルやその破片やセイヨウ帝国からの誤射を避ける
避けられそうにない場合は仙術+功夫で縮地(短距離転移)して回避
「これを回避できねば次で蹂躙されるだけでしょう。さて、何機残ることやら」
嗤う
●優雅に風雅に避けるコツ。
「メーサメサメサメサメサ! 素晴らしい宴でしたわ~!
ところで……何故わたくしヴリちゃんに乗せられておりますの?」
セッツ・ブーン開始数分前。
思う存分パーティを満喫したメサイア・エルネイジェは、愛機たるキャバリア『ヴリトラ』に乗って広場に立っていた。
エンペラー・ノーライフやアーノルド国王が移動するのでついて行ったらキャバリアが準備されていたため、そのままの流れで乗せられてしまったようだ。
どうやら、事前パーティに意識が集中していたためセッツ・ブーンの説明を聞いてなかったらしい。
「ここは? 広場? あれは? ミサイルランチャー?
どうしてここに? それに全部わたくし達の方を向いておりませんこと?」
「そう言えば、ここでセイヨウ帝国のお歴々を助けろとも瓦解させろとも言われていなかった気がします。
手助けするのと見捨てるのと、どちらを期待されていたのでしょうね」
混乱するメサイアをよそに、鳴上・冬季は生身で広場に立って整列しているセイヨウ帝国の幹部たち『プレアデス』の機体を眺めている。
冬季はセッツ・ブーンへの参加要請をしっかりと聞き、ここに赴いているのだ。
そして、セッツ・ブーンはお祭りであるため、勝ち負けは特にない。
最後まで残っていれば称賛される訳だが、どのように動くかは状況に応じて各自の判断に委ねられている。
敢えて攻撃して数を減らす必要はないが、誤射をしたり遮蔽にしたり、他の参加者が爆発四散する事態になっても問題にはならないのだ。
勿論、他の参加者を守るために力を振るっても構わない。
後半戦に備えて盾を残しておくのも手であるだろう。
「なるほど。そういうことならば彼らの動き、見届けさせてもらいましょうか」
気負うことなく柔和に嗤い、冬季は足首に嵌めて使用する飛行装具宝貝『風火輪』による空中飛行を開始する。
そんな冬季とは裏腹に、メサイアは未だに混乱状態にあった。
メサイアが狼狽えたまま無情にも開始のカウントダウンが始まり、
『5、4、3、』
「このカウントは? 一体何が始まるのです?」
『2、1、スタート!』
そしてミサイルが降り注いだ。
「んぎゃー! 撃ってきましたわー! ちょっと! お待ちになって!」
前から上から左右から視界を埋め尽くすミサイルの雨が降る中、メサイアは全力で『ヴリトラ』を操縦する。
本来ならば避け切れずに飲まれるミサイルの弾幕を、わずかな隙間を見逃すことなく駆け抜ける。
「こんな時は……《エルネイジェ流回避術(エルネイジェ・アヴォイダンス)》!」
それは、無意識に(実際に意識を失っていても)対象の攻撃を予想し、回避するエルネイジェ王家に伝わる秘伝の回避術!
回避の真髄は経験と勘と才能。極めればお身体が勝手に動き出すのだ。
メサイアは本能に任せて、紙一重でミサイルを避けていく。
後ろから飛来するミサイルも、直感を働かせて認識せずに回避していく。
「なんとなく避ける! 気合いで避ける! 考えているお暇などございませんわ!
引き付けて急に逆方向に切り返す位を意識していればよろしいのですわ!」
「いやはや、何とも元気のいい方ですね」
冬季は『風火輪』を駆使し、空中でトリッキーな動きでミサイルを避けていた。
ミサイルを迎撃するスーパーロボットたちの誤射が当たることはなく、そして破壊されたミサイルの破片が不意に飛来しても仙術と功夫を組み合わせた
縮地を行い、スマートに広場の宙を飛び回っている。
そして、冬季自身だけでなく他の参加者たちがミサイルの被害を受けずに済む方法を考える余裕すらあるようだ。
「参加者全員やる気に満ち溢れているようですし、必要以上の手助けは無粋でしょう。
ですが……ここはお手並み拝見です。
……八卦天雷陣・彩雲天網」
静かに冬季が展開するユーベルコード。
それは、《八卦天雷陣・彩雲天網(ハッケテンライジン・サイウンテンモウ)》。
戦場全体に連続して雷を落とす美しい彩雲を発生させ、敵にはダメージを、味方には雷属性の付与による攻撃力と防御力の強化を与えるというものだ。
広場の上空を多様な色合いで輝く雲が覆い、その下にいるマクドナルド王国の王族たちとセイヨウ帝国の幹部たちのキャバリアに攻撃力と防御力の強化を付与し、被害の軽減化を図る。
「お? おお、これは……猟兵の、冬季さんの力ですね! ありがとうございます」
「既にこの戦場は我が陣の中。敵も味方も、存分にその真価を味わってください」
「ほいほいほい! 多過ぎますわー! 誰かー!止めてくださいましー!
―――あ! 丁度良いところに!」
そして、雷属性を付与された『ヴリトラ』がミサイルから逃れてキング・スケルトンの操るスーパーロボットに近づいていく。
目的は、明白。盾の確保だ。
「キング・スケルトン様~! わたくしのお盾になって?」
「ふぁ!? あ、ちょっ」
メサイアは、身体の部位を切り離して遠隔操作できる能力を持つキング・スケルトンのキャバリアの手足をもぎ取って、ミサイルから身を守る盾とする。
《八卦天雷陣・彩雲天網》の効果が二人分重なって、防御力がとても向上している気がする。
なお手足を失ったキング・スケルトンの胴体箇所はミサイルの炎に包まれた。
「ぎゃああああ!!」
「ありがとうございますわ、キング・スケルトン様! あなたのご厚意は忘れませんわ~!」
「これを回避できねば次で蹂躙されるだけでしょう。さて、何機残ることやら」
まだまだ終わらぬミサイルの雨の中、冬季が嗤い、メサイアが笑う。
この様子であれば、二人は被弾することなく潜り抜けることはできるだろう。
だが、セッツ・ブーンはまだ序盤。
もう少しだけミサイルカーニバルも続くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キノ・コバルトリュフ
エリンギ!今日は楽しくハイキング!!
シメジ、なんだか周りが騒がしいね。
でも、キノたちは気にしなーい。
キノ?スピちゃんどこに行ったのかな?
シイタケ、おいしいお菓子とか用意したのに。
帰ってきた、どこに行ってたの?
軽く運動でもしてきたのかな?
マイタケ、それじゃあ、いただきます。
シャルロット・ゴッドハンド
シャルロットにもミサイルの雨が次々と直撃!!
極めて強靭&
超頑強な体質なのでびくともしない筈ですが。
「んぅー♪しゃぅ、つおーい!」
本人は雪合戦やドッジボール的な何かと思っているのか、パワーフードを食べて超怪力&怪力を増強した超破壊の体により、ミサイルを豪速球でキャッチ&シュート!
シャルロットお気に入りの
楽しい遊び相手として認識されてしまったセイヨウメンバーを中心に狙っていきます。
そんな時、偶然で虚空に異空間への入り口が開き、その中から極超弩級巨大隕石が偶然飛来!いやー、偶然ってこわいですね!!
さすがにこれは危ないので、受け止めて安全な方へポイッとします。尚、周りがマクドナルド王国で無ければセイヨウメンバーが犠牲になってた模様。南無……
●和気あいあいとしたハイキング。
「エリンギ! 今日は楽しくハイキング!!
シメジ、なんだか周りが騒がしいね。でも、キノたちは気にしなーい」
降り注ぐミサイルの雨の中を元気に歩く猟兵がいる。
キノコつむりの集落を抜け出し、旅に出たキノコつむり。
キノ・コバルトリュフ(
キノコつむりの星霊術士・f39074)だ。
星霊建築に高い適性を持ち『キノコヘイム』の設立を夢見るキノは、ミサイルを気にする様子もなく広場を散歩していた。
セッツ・ブーンの脅威に物怖じしない胆力とは別に、ミサイルが被弾しない理由は彼女の召喚した星霊『スピカ』にあった。
「キノ? スピちゃんどこに行ったのかな?
シイタケ、おいしいお菓子とか用意したのに」
辺りを見渡すキノから少し離れた場所で跳ね回る、《星霊スピカ》。
星霊術士であるキノが召喚した寝食を共にする星霊であり、信頼度に応じて注意を逸らす『スピカダンス』や治療能力『ペロペロなめ』を自主的に使用することで、主人をサポートする存在だ。
現在、スピカが広場で踊りミサイルの注意を逸らすことで、キノにミサイルが向かわずに済んでいるのだ。
「えーい♪」
そして、キノとスピカから逸らされたミサイルには、この御方が向かっていた。
セイヨウ帝国のトラウマ製造妖精。マクドナルド王国の希望の星。
シャルロット・ゴッドハンドはふわふわとした様子で高速飛翔を行い、飛来するミサイルの雨に自ら直撃して行っていた。
爆発、炎上。煙が立ち込め、しかしシャルロットは無傷である。
「んぅー♪ しゃぅ、つおーい!」
『極めて強靭&
超頑強な体質』の妖精であるシャルロットは、どうやったら傷を負わせられることができるのかわからないほど、理不尽に強くて頑丈で健康な体をしているのだ。
肉体強度に任せての強行突破。時折ミサイルをわしっと掴んで、ドッジボールのように投げ返している。
また一機、ミサイルポッドが死んだ。
「ゴゴゴゴゴゴ」
「狼狽えるなキング・ゴーレム! 今回は戦闘じゃないから関わらなければ」
「あ! ごーれむくんだー♪ やっほー!」
「ぎぃやああああ!!」「待って来ないでやめて私を巻き込むなぁ!!」
迂闊にもオープンチャンネルで呼ばれた名前を聞いたため、シャルロットはお気に入りの
楽しい遊び相手として認識しているセイヨウ帝国の幹部にターゲットロックオン。
お手玉のような手軽さでミサイルを投げつけていく。
剛速球の如く勢いのあるミサイルの投擲を、キング・ゴーレム氏は必死に耐えている。
一緒にいたキング・ゾンビも逃げ遅れたので、必死にキング・ゴーレムの機体を遮蔽にして生き延びている。
ゾンビだからもう死んでいるんですけどね。はっはっは。
「ミサイルッ! ミサイルならっ、耐えられる! だっか、らっ! タスケテ!」
「はむはむっ♪ おいひー♪」
「あいつ飯食ってる! この傍若無人妖精を誰か止めてぇ!!」
その上、『パワーフード』を食べることで元気モリモリ怪力100倍。
更にミサイル投擲速度が上昇するようになった。
もう止められないぞ♪
「キノキノ? 頑張ってるね! 偉いのよ!」
「わぁ、きのこちゃんだ! おうえんありがとぉ~♪」
不意に、互いの存在に気づいて笑顔で手を振り合うフェアリーとピュアリィ。
ミサイルの投擲が止んだ束の間にセイヨウ帝国の幹部たちが安堵の息を吐く……間もなく。
その瞬間、広場で踊っていたスピカが凄烈なほど『スピカダンス』を繰り広げる。
何故ならば―――偶然、虚空に異空間への入り口が開きそこからら極超弩級巨大隕石が飛来してきたのだ。
理由はわからない。偶然だろう。
何はともあれ、主であるキノから逸らすためにスピカが踊ったことで、隕石の軌道がキング・ゴーレムとキング・ゾンビに目掛けて落ちていく。
「 」「 」
「ぽい♪」
絶句し、走馬灯を見て、腰を抜かすキング・ゴーレムとキング・ゾンビ。
だが幸いというか、そのまま落ちるとマクドナルド王国に甚大な被害が生じるため、シャルロットがすかさず割り込んで隕石を受け止める。
《いんせきなげ》により、安全な……人のいない方向へと向けて勢いを殺してアンダースロー。
ボーリングの要領でミサイルポッドがなぎ倒されるが、犠牲者はでなかった。
後に巨大な隕石はマクドナルド王国の新しい鉱物資源として提供されることとなるでしょう。
「わーい♪ たのしぃねぇ~!」
「ゴゴゴゴ……」「はっはー、私の恐怖の感情が枯渇しそうだ」
最大の危機をやり過ごし、踊り疲れたスピカがキノのもとへと帰って来る。
「キノノ、スピちゃん帰ってきた。どこに行ってたの?
軽く運動でもしてきたのかな? お菓子を食べよう?」
「スピちゃんもたのしかったの? よかったねぇ~♪」
息も絶え絶えのスピカだが、キノを心配させないように毅然とした様子で佇んでいる。
キノとスピカの下へ空気抵抗を感じさせない高速機動で舞い降りたシャルロットと顔を合わせ、キノは笑顔でおいしいお菓子を差し出す。
「シイタケ、いっしょにお菓子を食べる?」
「いいの? わーい、いただきまぁす♪」
「マイタケ、それじゃあ、いただきます!」
なおもミサイルが猛威を振るう中、友誼を育んだキノとシャルロットは笑顔でお菓子を食べるのであった。
飛んでくるミサイルはシャルロットがキャッチ&リリースするので問題はない。
……実に、微笑ましい光景である。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハリー・オッター
【獺とアライグマと猿】
おいおい、ミサイルが大量に飛んでくるじゃん!!
しかも、この世界、空飛べねぇからなぁ…
ラスカルから古いの借りればよかったんだがよ。
オレ、ラスカルやワオワオのおっさんと違ってキャバリアの操縦方法は知らないじゃん。
んじゃ、(UC使用で)ウェポンシステムの12番「マクロミサイル」を出すか。
狙うはミサイル群のど真ん中。そこ狙って爆発させて周囲のミサイルを巻き込んで青空にしちゃうじゃん!
さて、ラスカルやワオワオのおっさんはどうしているかだな。
ラスカル・ノース
【獺とアライグマと猿】
なんか、妙な宴だぜ。
キャバリア乗ってミサイル避ける祭りなんてよ。
とりあえず、生き残ればいいなら、オレっちもカラメルマシーン5号で自分に当たりそうなのだけ落とすぜ。
あ、ハリーが広範囲殲滅用爆弾を使ったか。
今のうちに…そういや、パンジャンドラムが来るって話だったような…
なら、このあたりでいいか。
さて、おっさんは大丈夫か?
壊れたカラメルマシーン1号を修理して再利用するしよ。
ワオワオ・マダガスカル
【獺とアライグマと猿】
キャバリア動かすっていうなら、わしは、カラメルマシーン1号を引っ張り出させてもらうのじゃ。
なに、若干、助手とともに魔改造もしておるのじゃがな。
さて、ミサイルが降ってくるのじゃな。
こんなぐらい、わしには問題ない。
そんななら、わしは、エレクトロレギオンを呼んで対処に当たらせてもらうのじゃ。
おい、ハリー!!
それ(マクロミサイル)、大量殺戮兵器じゃないんか??
なるほどのぉ、ミサイルを一掃したか。
ん??パンジャンドラムじゃと!?
過去の遺物がこんなところにあるという事か??
●オオカワウソとアライグマとワオキツネザルの
合同作業。
四方八方からミサイルが降り注ぐセッツ・ブーンが佳境に入る頃。
猟兵たちと、マクドナルド王国の王族たちやセイヨウ帝国の幹部たちが懸命にミサイルに対処する中、身長40~50cmほど三人の猟兵が広場に現れていた。
いや、人というには誤解を招くかもしれないが……。
「おいおい、ミサイルが大量に飛んでくるじゃん!!」
「なんか、妙な宴だぜ。キャバリア乗ってミサイル避ける祭りなんてよ」
「さて、ミサイルが降ってくるのじゃな。なんとも驚く催しじゃのぅ」
とある研究施設で囚われていたオオカワウソ、ハリー・オッター(カワウソ・f39388)。
元々は森に生まれ、捕獲されて実験体にされたアライグマ、ラスカル・ノース(アライグマの機械技師・f37198)。
マダガスカル出身のワオキツネザルのプログラマー、ワオワオ・マダガスカル(電脳オヤジモンキー・f39568)。
三者三様の賢い動物チームは、セッツ・ブーンに参加するためこの地へ訪れていた。
ラスカルとワオワオはロボット工学を駆使して作ったロボット兵器『カラメルマシーン』に搭乗し、ハリーは天使核を動力源とする一人乗りの小型飛空艇『セイルフローター』に乗り込んで、無数のミサイルに対処するべく行動を開始する。
「キャバリア動かすっていうなら、わしは、『カラメルマシーン1号』を引っ張り出させてもらうのじゃ。
なに、若干、助手とともに魔改造もしておるのじゃがな」
「とりあえず、生き残ればいいなら、オレっちも『カラメルマシーン5号』で自分に当たりそうなのだけ落とすぜ」
ラスカルとワオワオはそれぞれの『カラメルマシーン』を素早く走らせ、ミサイルの雨を回避していく。
一方でハリーは、向かってくるミサイルを見上げて腕を組む。
「オレもラスカルから古いの借りればよかったんだがよ。
オレ、ラスカルやワオワオのおっさんと違ってキャバリアの操縦方法は知らないじゃん。
しかも、この世界、空高くは飛べねぇからなぁ……」
殲禍炎剣の影響で高度を上げて飛行するという飛空艇パイロットの特技が封じられている形だが、ハリーはそれはそれで打つ手はあると冷静に判断して機体を操作する。
頭上から飛来するミサイルを見上げて、おもむろにユーベルコードを起動する。
「んじゃ、ウェポンシステムの12番を出すか」
たちまち、『セイルフローター』の後部が開き、大量のミサイルが顔を出す。
《ヘビーアームド・ウェポナイズ》。
自身の移動速度を代償にして重武装モードに変形し、攻撃力と射程距離を強化するユーベルコードである!
勢いよく放たれる大量のマクロミサイルが、まるで地対空ミサイルのように飛翔していく。
「おい、ハリー!! それ、大量殺戮兵器じゃないんか??」
「あ、ハリーが広範囲殲滅用爆弾を使ったか」
照準を合わせたハリーは、マクロミサイルをミサイル群のど真ん中に狙って打ち込む。
それによりマクロミサイルが着弾した際に発生する爆風が、より多くのミサイルにダメージを与えるのだ。
隙間なく放たれているミサイルが爆発していくと、周囲のミサイルを次々に巻き込んで誘爆していく。
瞬く間に空一面を覆う大爆発の連鎖を引き起こし、煙の隙間から青空が覗くようになるほどだ。
「一丁上がり。さて、ラスカルやワオワオのおっさんはどうしているかな?」
「なるほどのぉ、ミサイルでミサイルを一掃したか」
的確にミサイルへ対処しているハリーの様子を眺め、得心いった風に顎を撫でるワオワオは背後から迫りくるミサイルに目を向けることもなく冷静に対処する。
眼鏡がキラリと光ると共に、『カラメルマシーン1号』から無数の小型戦闘用機械兵器が飛び立っていく。
「そんななら、わしは、エレクトロレギオンを呼んで対処に当たらせてもらうのじゃ」
出現したのは、《エレクトロレギオン》。
総数530体の小型戦闘用機械兵器を召喚し戦わせるという、電脳魔術士御用達のユーベルコードである。
その性能は程々の強さで一撃で消滅する脆弱性であるが……ミサイルに対する
デコイとしては有効だ。
のんびりと佇むワオワオの背後で、次々にミサイルが機械兵器に着弾しては消えていく。
「どんなもんじゃ。わしも兵器の数では負けんからのぅ」
「おーい、おっさんは大丈夫か? カラメルマシーン1号が壊れたら修理して再利用するしよ」
「こんなぐらい、わしには問題ない。それより、ラスカルは何をしておるんじゃ?」
ワオワオがラスカルに視線を向けると、ラスカルは手慣れた様子でキャバリアを操縦しながら作業を行っている。
優れた技術を駆使して飛来するミサイルを回避しつつ、時に『カラメルマシーン5号』の武装で正確に狙いを定めてミサイルを撃ち落としながら、自身の操る『カラメルマシーン5号』の換装作業を平行しているのだ。
どうやらラスカルはハリーとワオワオに大まかなミサイルの対処を任せて、その間に後半戦のセッツ・ブーンに向けて準備を整えているようだ。
「いや、パンジャンドラムが来るって話だったよな?
だから今のうちに備えとこうかと思ってよ……」
「ん?? なに、パンジャンドラムじゃと!?
過去の遺物がこんなところにあるという事か??」
「そう聞いてるぜ。っと、なら、このあたりでいいか」
ちょうど良いポジションを見定めたラスカルは『カラメルマシーン5号』の脚を止め、《オーバーフレーム換装》を起動する。
それは、ラスカルのキャバリアをキャノンフレームに変形させるユーベルコードだ。
攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍にひとつを半分にする機能調整を行い、この後のパンジャンキャバリアへ備えているようだ。
ラスカルとワオワオが固まっているところへ、マクロミサイルを射出しながらハリーもゆっくりと再合流する。
「おー、ラスカル、いい感じに換装してるじゃねぇの」
「よし、準備完了。あとはミサイルが収まるのを待てばいいじゃん」
「まあ、これも役割分担かのぅ。頼りにしておるぞ?」
ハリー、ラスカル、ワオワオはミサイルへの対処パターンを構築すると、悠々と歓談しながら備えを済ませていく。
遠くで他の猟兵が暴れ、ミサイルポッドが破壊される中、ミサイルカーニバルは順調に終わりが近づいていた。
そして、その先に待ち受けるパンジャンの足音もまた、近づいているのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
淫魔・サキュバス
良いトラウマの気配…♪
パーティーには遅れたけど、西洋妖怪としての主食はやっぱり感情エネルギーだよね!
ミサイルの雨は森羅万象を魅了する寵姫の能力と
催眠魔眼の催眠術で別の参加者に突撃させちゃえ♪
悪夢爆弾を乱れ撃ち爆撃して広範囲攻撃だよ!
超昏睡状態にして防御と回避を封じ、悪夢を見せて超
心傷状態にしてー♪
UC「ナイトメアランページ」を発動した淫馬種ナイトメア114頭を蹂躙突撃させる凶悪コンボー!
1hit毎にトラウマが114倍になるよ♪
そして西洋妖怪として恐怖の感情を捕食&生命力吸収♥️
ざーこ♥️ざーこ♥️こんな小さな女の子に泣かされて恥っずかし〜いっ♥️
淫魔・インキュバス
リバーソンマスターに詳細はおまかせします。かわいい淫魔・インキュバスをお願いします!
ま、待ってよサキュバス〜!(泣)
最近猟兵になったばかりでサキュバスに比べたら出来る事……
能力とかは全然少ないね。だけど、ぼくも立派な淫魔として精一杯がんばるよ……!
とりあえず、サキュバスを手伝いながらぼくも感情エネルギーをご馳走になりたいな。うるうる涙目な寵姫の瞳で見つめて、誰かにショタコン(?)の性癖刻み込んじゃうかも?
最後はサキュバスのドSっぷりにドン引きしてるよ……ひいっ!(怒らせないようにしよ……)
あとの細かい部分はおまかせするね。よ、よろしくね……?(おどおどうるうる)
●傍若無人なる淫魔コンビ。
あちらこちらで数多くの爆発が引き起こされ、セッツ・ブーンのミサイルカーニバルも終わりが近づいている。
ある者は無残な姿に、ある者は心を圧し折られた状態になる中、愉快に嗤う二人の少女……ん? 片方は男性……? いや、でもおそらく、……可愛い系ショタな外見をしている、ボーイッシュ系幼女ですね、うん。
二人の少女の猟兵が広場に降り立った。
人間とは異なる容姿でありながら絶世の美貌を誇る二人もまた、猟兵だ。
「良いトラウマの気配……♪
パーティーには遅れたけど、西洋妖怪としての主食はやっぱり感情エネルギーだよね!」
「ま、待ってよサキュバス~!」
淫魔・サキュバス(西洋妖怪「サキュバス」の寵姫×ナイトメア適合者・f37101)と、
淫魔・インキュバス(西洋妖怪「インキュバス」の寵姫×ナイトメア適合者・f39786)。
セイヨウ帝国の住民たちと同じく人間の感情エネルギーを食糧とする、ヨーロッパを由来とする西洋妖怪たち。
二人はバルコニーのパーティには遅れたものの、祭りの本番であるセッツ・ブーンには間に合ったのだ。
今、この広場では数多くの感情が渦巻いている。
サキュバスは流れてくる感情エネルギーに舌なめずりをして、楽しそうに笑っている。
インキュバスは辺りのミサイル爆撃に怯えながらも、毅然としてサキュバスに同行している。
「だけど、ぼくも超えっちでこわい淫魔なんだからね……!
立派な淫魔として精一杯がんばるよ……!」
「それなら、どっちがより多く摂取できるか競争ね♪」
「えっ」
心を奮い立たせているインキュバスを横目に、サキュバスが近くにいたキャバリア……その中にいるキング・デュラハンに視線を向ける。
魅了や昏睡など様々な状態異常を秘めた『
催眠魔眼』で見つめ、彼をメロメロにした。
「お願い、騎士様。わたしを守って❤」
「お、おおお! おまかせくださぐわあああ!!」
「サ、サキュバス!?」
魅了されたキング・デュラハンが目をハートにしてミサイルからサキュバスを守る盾として立ち上がり、次々に被弾していく。
彼は頭部と胴体が同時に破壊されない限り戦闘続行できるので、肉壁として十分適しているだろう。
悪魔かな?
この時点でもうサキュバスはミサイルの被害を受けずに済むのだが……物足りないと感じているのか、サキュバスは悪夢を実体化した暗黒塊『
悪夢爆弾』を取り出した。
それは、爆発すると広範囲に超昏睡と
超心傷を付与する恐るべき武器である。
「いくわよ~♪ そーれ!」
「な、何をすー!? すやぁ……」
突然の奇襲に狼狽して『悪夢爆弾』の爆発に呑まれる犠牲者、キング・ヴァンパイアは超昏睡して身動きが取れなくなった。
キャバリアの中で突っ伏したキング・ヴァンパイアに向けて、サキュバスは《ナイトメアランページ》を差し向ける。
それは触れた対象の過去のトラウマを増幅させるナイトメアを夢の世界から召喚するサキュバス種族の有するのユーベルコードだが、このサキュバスの《ナイトメアランページ》で召喚されるナイトメアは……数が多いのだ。
召喚された淫魔の角と翼が生え桃色の霧を纏う『淫馬種ナイトメア』が114頭。
キング・ヴァンパイアの駆るキャバリアに蹂躙突撃する様子は、彼女が《ナイトメアスタンピード》と命名する恐ろしい光景である。
昏睡状態にあるキング・ヴァンパイアは身体を霧状に変える『ヴァニッシング・ヴァンパイア』を行使する猶予も与えられない。
あっという間にナイトメアに包まれてしまった。実に、凶悪なコンボである。
「1hit毎にトラウマが114倍になるよ♪ ん~、おいし❤」
「ぎえええええ!! や、青いのやめろ自爆するなやめろぉぉぉ!!」
「な、何たることか……これが、真の西洋妖怪の力か……!」
恐怖の感情をキング・ヴァンパイアから、愛情の感情をキング・デュラハンから吸い上げ、捕食していく。
その様子を近くで見ていたエンペラー・ノーライフが震えていると……彼の視界にインキュバスが入り込む。
「あわわ……ぼ、ぼくだって……!」
「む? 君は……大丈夫か?」
「あっ、ぼく、その……ううっ……」
歩み寄るエンペラー・ノーライフをうるうると涙目を浮かべる瞳で見つめるインキュバス。
これぞ、インキュバスの魅惑の視線が命中した存在を魅了するユーベルコード、《寵姫の瞳》だ。
数秒から数十秒の間しか通用しないが、そのわずかな時間があれば生物、無機物、自然現象と何であろうとインキュバスに友好的に働きかけてくれるのだ。
「(……ぼくも感情エネルギーをご馳走になりたいな)
ぼく、その……ご、ごめんなさい、でも。……あの、たすけて、くれる……?」
「きゅんっ……。もちろんだとも、余が必ず君を助けてみせよう!」
そしてそのわずかな時間さえあるならば、エンペラー・ノーライフにインモラルな性癖を刻み込むことは造作もない。
インキュバスは幼くとも、立派な淫魔なのだ。
小さく首をかしげて上目遣いでおねだりするインキュバス。
至近距離で魅了されたエンペラー・ノーライフは、インキュバスを守るために盾になる。
守るべき民がいる限り死なないので、ミサイルの雨から守る傘としては最適だろう。
悪魔だな?
一方で。
「私がっ! あなたにはっ! 傷一つ付けさせ、ませぇん!」
キング・デュラハンが爆撃でダメージを負いながらも健気にサキュバスを守っている。
だが、サキュバスは感情を吸収するためにキング・ヴァンパイアを言葉でせめたてているためキング・デュラハンにはもはや目も向けていない。
キャバリアのコックピットを開けさせて、耳元で挑発的な言葉をささやいて苛めている。
悪魔だ。
「ざーこ❤ ざーこ❤ こんな小さな女の子に泣かされて恥っずかし~いっ❤」
「やめろぉ……やめろぉ……! 俺は、俺はぁ……! やめて自爆しないで……!」
謎の
心的外傷を刺激されたキング・ヴァンパイアが悶え苦しむ。
その様子を眺めるインキュバスは、サキュバスの振る舞いに怯えている。
そんなインキュバスを見て、エンペラー・ノーライフはインキュバスがミサイルに怯えていると勘違いする。
「……ひいっ!(怒らせないようにしよ……)」
「キュン……。余が
守護らねば……! 大丈夫だ、安心しなさい」
「……おじさん。ありがとう……?」
自分を見つめて(いると思い込んで)いるインキュバスのうるうるとした瞳、おどおどとした態度に、エンペラー・ノーライフはメロメロだ。
篭絡されたセイヨウ帝国の皇帝は身を挺してミサイルからインキュバスを庇い続けている。
傍目には、幼い少年少女を守る立派な西洋妖怪たちに映ることだろう。
だが実際には、キング・デュラハンもエンペラー・ノーライフも、サキュバスとインキュバスに魅了されているだけである。
大丈夫か? 問題ない?
そして。
ついにミサイルカーニバルが終わりを迎える。
ミサイルポッドのいくつかが破壊されて、そして無事に残ったミサイルポッドも残弾を撃ち尽くしたのだ。
猟兵たちを含む生き残った参加者たちの前でミサイルポッドが撤去され、一息を吐く間もなく整列するパンジャンドラム型自走キャバリア、『パンジャンキャバリア』が姿を見せるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『パンジャンキャバリア』
|
POW : パンジャンボマー
自身が戦闘不能となる事で、【転がった先にいる適当な】敵1体に大ダメージを与える。【皮肉】を語ると更にダメージ増。
SPD : パンジャンスカイ
全身を【勇ましいバグパイプの音色】で覆い、自身の【自爆力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : パンジャンファランクス
【何時自爆し、何時暴走するか分からない】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【追加のパンジャンキャバリア】の協力があれば威力が倍増する。
👑11
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●断章:パパパーン! ジャン。パパパーン! ジャン。
『パンジャンキャバリア』。
元々はとある英国似の自治領で開発された、無人量産型キャバリアである。
マクドナルド王国がどういったルートで入手したのか猟兵たちは知る由もないが、設計図を基にプラントで大量生産されているスーパーロボットであり、国防の要の一つである。
何せ、山の上から転がすだけで敵軍は壊滅するのだから。
マクドナルド王国の王族たちはこのセッツ・ブーンにて身をもってその恐ろしさを体験することで、『パンジャンキャバリア』の濫用を自制する理性と果敢に敵に立ち向かっていく度胸を培っているという。
なお、そういった事情ゆえマクドナルド王国のキャバリアパイロットたちは戦闘経験があまりない。
セイヨウ帝国は、かつての侵攻の際に『パンジャンキャバリア』と遭遇することはなかった。
何故なら国土に入り込まれた上での乱戦だったのだ。
マクドナルド王国が経験したことのない戦闘であり、不用意にパンジャンすると建物に被害が生じる危険もあった。
故に自制して、猟兵たちに助けを求めたのだ。英断と言えよう。
その頼もしき『パンジャンキャバリア』たちが今、横一列にずらりと並んでいる。
それが四方。セッツ・ブーンの参加者たちを包囲殲滅する陣形で佇んでいる。
さらには後列にもおかわりの『パンジャンキャバリア』がスタンバイしている状態だ。
これから始まるのが、セッツ・ブーンのクライマックスだ。
マクドナルド王国の王族たちは、幸いにして盾にされることはなかったので健在である。
だが、セイヨウ帝国の幹部たちは散々な状態のようだ。
キング・スケルトンは
継続困難しそうになったが、とある猟兵の厚意により何とか生き残っている。
キング・ゴーレムとキング・ゾンビも、心が圧し折れているが機体にダメージはない。
キング・インビシブルは人知れずミサイルに呑まれそうになっていたが、マクロミサイルや小型戦闘用機械兵器の傘の内側に転がり込んだことで一命をとりとめていた。
だが、キング・デュラハン、キング・ヴァンパイア、そしてエンペラー・ノーライフは、たっぷり感情を吸われて放心状態で転がっている。
一部参加者が青ざめる中、容赦のない開幕のスタートシグナルが点灯する。
『それでは、レッツパンジャン!』
早速、四隅にいた『パンジャンキャバリア』が何機か衝突して大爆発する中、パンジャンが始まった。
ラスカル・ノース
【獺とアライグマと猿】
パンジャンドラムが動き始めたか…しっかし、失敗作を基にしたキャバリアとは、スットコドッコイもいいところだぜ。
だが、こいつは普通に動くみたいだし、遠距離から撃破したら問題なさそうだし、こっちも広範囲攻撃で対応させてもらうぜ。
今さっきのハリーの攻撃をまねるわけじゃないけど、遠距離からミサイル撃って爆発でどんどん吹っ飛ばせておけばいいしな。
それに、見た形から一度でも倒れれば、もう動けなくなるから、あとは通常の遠距離攻撃で落とせるしな。
え?なんかいる??>透明人間
目に見えねぇが、鼻で感じ取れるんだよ、テメェ。
とりあえず、明後日の方向に投げ飛ばすか。
ハリー・オッター
【獺とアライグマと猿】
ミサイルがやんで、今度は妙なものが出てきたか。
まぁ、地上用のキャバリアか…え?
こいつ、空飛べるのかよ!!
まず!!
エネルギー弾発射ぁ!!
だが、空なら俺の…まずい。
これ以上飛ぶと宇宙から攻撃が来るじゃん!!
ま、こいつら見た感じ敵味方関係なさそうだから、空飛ぶ限り同士討ちするように仕向けるか。
おっと、サンキューな。
では、改めてヤバそうな奴らにエネルギー弾を空爆してどんどん破壊するじゃん!
で、ワオワオのおっさん、なんか妙なことやっているな…
『物理攻撃禁止』…あぁ、自爆攻撃もそれに含むか。
んじゃ、そこに陣取れば大丈夫っぽいな。
ワオワオ・マダガスカル
【獺とアライグマと猿】
パンジャンドラム…噂に聞いた自爆するために突進する珍兵器。本物は開発失敗したのだが、ここじゃあ、動くんじゃな。
万が一のことを考えて『物理攻撃禁止』のエリアを展開するか。(UC)
ひき逃げ攻撃も物理ゆえ、下手なことしでかそうとしても無駄じゃ。
【電撃】放って誤爆させたり【属性攻撃】で火炎燃やしたりやレーザー撃ったり氷結させたりしてパンジャンを減らしておくのじゃな。
●オオカワウソとアライグマとワオキツネザルの
防衛線。
「ミサイルがやんで、今度は妙なものが出てきたか」
「とうとうパンジャンドラム型のキャバリアが動き始めたか……」
「パンジャンドラム……噂に聞いた自爆するために突進する珍兵器じゃな」
ハリー・オッター、ラスカル・ノース、ワオワオ・マダガスカル。
賢い動物の三人の猟兵は、『セイルフローター』と『カラメルマシーン』の5号&1号に乗り込み、万全の態勢でセッツ・ブーン後半戦を待ち構えている。
四方八方から迫る無人量産型キャバリア『パンジャンキャバリア』の群れを前にして、誰もが冷静さを保っている。
「しっかし、失敗作を基にしたキャバリアとは、スットコドッコイもいいところだぜ。
こいつは普通に動くみたいだが」
「本物は開発失敗したのだが、ここじゃあ、動くんじゃな」
「ああ。だが、遠距離から撃破したら問題なさそうだし、こっちも広範囲攻撃で対応させてもらうぜ」
三者の中心にいるのは《オーバーフレーム換装》により性能を強化している『カラメルマシーン5号』、すなわちラスカルだ。
たっぷりと時間を費やし施したユーベルコードにより、装甲と移動速度を半減させることで攻撃回数と射程距離を通常の5倍に上昇させた『カラメルマシーン5号』は、圧倒的な弾幕を形成できるようになっている。
「今さっきのハリーの攻撃をまねるわけじゃないけど、遠距離からミサイル撃って爆発でどんどん吹っ飛ばせておけばいいしな。吹っ飛ばすぜ」
先程ハリーがミサイルの群れに使用した《ヘビーアームド・ウェポナイズ》を彷彿とさせるように、ラスカルが放つ数多のミサイルがパンジャンキャバリアたちに降り注ぎ、爆発させていく。
出だしは順調だ。
「まぁ、地上用のキャバリアなら空爆をするじゃん!」
そんなラスカルを掩護しようと、空中に『セイルフローター』を走らせるハリー。
地上を走るパンジャンキャバリアを上から爆撃しようと考えてのことだろう。
「……え?」
だが。
ハリーの眼下に並んでいたパンジャンキャバリアたちが、パパパーン! という勇ましいバグパイプの音色に覆われる。
誉れ高いBGMと共に自身の自爆力に比例した戦闘力増強と、時速数百kmに達する飛翔能力を得るパンジャンキャバリアのユーベルコード。
これこそ、《パンジャンスカイ》!
「こいつ、空飛べるのかよ!!」
はい。
飛行するパンジャンキャバリアがハリー目掛けて殺到する。
パンジャンキャバリアは地上にいない相手も逃さないのだ。
「まず!! エネルギー弾発射ぁ!!
慌てて『セイルフローター』に搭載している超兵器『ビームキャノン』からエネルギー弾を乱れ撃ち、飛翔するパンジャンキャバリアを撃墜していくハリー。
だが、パンジャンキャバリアは止まらない。
前列のパンジャンキャバリアが爆発したところから、次々にパンジャンキャバリアのおかわりが飛翔する。
そうしていくうちに、いくつかのパンジャンキャバリアがハリーに迫る。
体当たりにより自爆に巻き込もうとする、ドッグファイトだ。
「だが、空なら俺の……まずい。
これ以上飛ぶと宇宙から攻撃が来るじゃん!!」
空中機動でパンジャンキャバリアから逃れるハリーだが、天上に視線を向ける。
遥か空の彼方に存在するという、
殲禍炎剣。
高度を上げて速度を出し過ぎると、それによってハリーだけでなく地上もまるごと消し飛んでしまうだろう。
険しく表情を歪めるハリーに、地上にいるラスカルからの支援砲撃が飛来する。
「大丈夫か、ハリー!」
「おっと、ラスカル……サンキューな」
狙いすまして放たれたミサイルがハリーに迫っていたいくつかのパンジャンキャバリアが爆散することで、ハリーは体勢を整える猶予を得た。
反転し、地上から飛び上がってくるパンジャンキャバリアの群れを見つめ、ハリーは静かに息を吐く。
「……ま、こいつら見た感じ敵味方関係なさそうだから、空飛ぶ限り同士討ちするように仕向けるか」
覚悟を決めて、ハリーは操縦桿を握り向かってくるパンジャンキャバリアたちに突撃する。
『セイルフローター』に宿るのは、飛空艇パイロットとしてのハリーが誇る必殺の一撃。
《ブルズアイ・マニューバー》!
飛空艇を操縦中、ハリーと飛空艇は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する突撃攻撃ユーベルコードである!
臆して速度を落とせばパンジャンキャバリアの爆発ダメージを受けてしまう、だが臆さず突貫すればパンジャンキャバリアを貫き、そのまま地面に衝突しようともダメージを負うことはない!
「行くぜ、パンジャン共! 空はオレの領域だぜ!」
飛翔するパンジャンキャバリアたちがハリーを追って密集し……まとめてハリーに貫かれ、爆散していく。
固まって飛翔していたパンジャンキャバリアたちが次々に誘爆していき、空は再びハリーだけのものとなっていく。
上空の爆発をよそに、ラスカルは着実にミサイルを撃って爆発させ、パンジャンキャバリアたちを吹き飛ばしていく。
「見た感じ、一度でも倒れればもう動けなくなるだろ?
それならあとは通常の遠距離攻撃で落とせるしな。……ん?」
しかし、パンジャンキャバリアには自身が戦闘不能となることで発動するユーベルコードがあった。
自身が戦闘不能となることで、転がった先にいる適当な敵一体に大ダメージを与える《パンジャンボマー》!
ミサイルで爆死するよりも先に戦闘不能になることで、弾幕を抜ける強行突破を可能とするのである!
更に皮肉を語るとダメージが増えるのだ!
そして、いつ自爆し、いつ暴走するか分からないのがパンジャンキャバリアの特徴である。
《パンジャンボマー》で戦闘不能になりながらも転がりつつ、追加のパンジャンキャバリアたちとの協力により倍増した威力の生じる無差別な突進。
パンジャンキャバリア最大の火力を発揮する爆発戦列突撃!
《パンジャンファランクス》がラスカルに向かう!
「え? なんかいる??」
「え? 我のこと見えてる?」
もっとも、ラスカルが反応したのは《パンジャンファランクス》ではなく近くにいた透明なキャバリアだ。
そこにいたのは、セイヨウ帝国の幹『キング・インビジブル』。
自身と武装を不可視状態にする能力を有しており、搭乗しているキャバリアも透明になって、『カラメルマシーン』の陰に隠れていた。
先程のミサイルカーニバルの折、ラスカルたちの防御陣地に転がり込んで安全を確保してたちゃっかりものである。
だが。
「目に見えねぇが、鼻で感じ取れるんだよ、テメェ」
「あ、待って落ち着こう話し合おう」
黙って間借りしていたキング・インビシブルに気づいたラスカルは、『カラメルマシーン』の手で透明なキャバリアを掴むと、明後日の方向へと投げ飛ばす。
無慈悲と言うなかれ、ひっそりと黙って忍んでいた怪しい輩を排除するのは当然のことである。
「一昨日きやがれ!」
「ぐわあああ!!」
キング・インビシブルは明後日の方向から迫っていた《パンジャンファランクス》に呑まれ、爆発四散した。(※死んでません)
キング・インビシブルのおかげで一方面のパンジャンキャバリアを防いだため、ラスカルは残る三方向から迫る《パンジャンファランクス》を粛々と迎撃していくが、そんな中ワオワオがユーベルコードの起動準備を完了させた。
「ったく。んで、おっさんは何してるんだ?」
「ふっ……万が一のことを考えて用意しておいてよかったのぅ」
「で、ワオワオのおっさん、なんか妙なことやっているな……」
「ハリーも戻ったか。ちょうどよい、それではいくぞ?
ID及びコマンドワード入力ОK!! サイバーエリア展開じゃあ!!」
ワオワオとラスカル、そして無事に地上に戻ったハリーの存在する戦場内が緑色の0と1に覆われた電脳領域の世界に交換されていく。
《電脳領域展開(サイバーエリア・オープン)》。
その境目に突進してきたパンジャンキャバリアたちが、急激に速度を落とし、あるいは転倒する。
まるで、行動成功率が低下するかのように
失敗する。
「この辺りに『物理攻撃禁止』のエリアを展開しておいた。
暴走によるひき逃げ攻撃も物理ゆえ、下手なことしでかそうとしても無駄じゃ」
「おー、それならこっからはミサイルは控えておくか」
「『物理攻撃禁止』……あぁ、自爆攻撃もそれに含むか。
んじゃ、ここに陣取れば大丈夫っぽいな。オレは上から撃つぜ」
安全なエリアを形成したワオワオが
物理じゃない攻撃で近づくパンジャンキャバリアを破壊していく。
頭上からはハリーが放つエネルギー弾も降り注ぎ、行動制限をかけられたパンジャンキャバリアたちは自爆も許されず為すすべなく爆発していく。
三人の猟兵の絶対防衛圏は、セッツ・ブーンが終了するまで崩されることなく堅固な布陣を披露するのだった。
観客席からはそれはもう激しい歓声が上がったとか。人気が出そうです。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キノ・コバルトリュフ
キノキノ、御輿も出てきてお祭りもクライマックスかな?
トリュフ!あの御輿は花火でもあるんだね!
すごいね!
マツタケ!こうなったらキノも祭を盛り上げなくちゃね。
香りマツタケ!味シメジ!
香しい香りでみんなを元気にしちゃおう。
何時自爆するか、何時暴走するかわからない?
エリンギ!そんなの今しかないじゃない!
不発弾で終わる終焉なんて、ぶっ壊しちゃおう!!
プリンセス・アラモード
UC +真の姿で、デコレーションケーキのような豪華絢爛な5段キョダイプリンアラモードに変身なの!
お疲れの人達には、強化されたプリンの身体(心身を癒す超絶美味)を「あ〜ん♪」して食べさせてあげるの!(さすがは心優しい愉快な仲間の魔法のプリンセスなの!)
「プリン♪プリン〜♪
プリンロールにしてやるの〜♪」
プリンセスフロートの全周囲バリアで守りながら、UCで威力増強されたスプーンロッドから料理+肉体改造+化術を込めた魔法の光線を発射して、命中した対象をプリンロールにしてやるの〜♪(理由はキャバリアの見た目が少しそれっぽいからなの!)
お祭りのデザートに、巨大プリンロールはいかが?……なのー♪
シャルロット・ゴッドハンド
「しゃーぅしゃぅしゃぅしゃぅ〜♪」
今回まだ使っていない愛鎚、RX無敵潰艦鎚を持ち出して、ゴルフや野球のようなスイングでパンジャンをかっ飛ばします。その衝撃で爆発したり他の参加者に当たっても気にしなーい。まあ、そういうお祭りのようですので。
まだ
交戦経験の無いキング・ヴァンパイア、キング・インビジブル、キング・デュラハンを積極的に
狙っていきます。既に
餌食になった他幹部から「お前たちだけずるいぞ!」とシャルロットからの盾にされたり、おまけで「でこぴん」を披露したりするのでしょう。
「うぅー♪おまつり、おまつり、たっのしぃねぇ〜♪」
鳴上・冬季
「そろそろ皆さん、自分達の兵器の恐ろしさが身に染みた頃でしょうか」
嗤う
「無人兵器、悪くない発想です。 示威行為としても素晴らしい。プラントの能力を浪費していなければ」
「これだけの一群をまた揃えるには、かなりのプラントの酷使が必要でしょう。参加された方の機体整備もそうです。そろそろお開きにするには良い時間でしょう。わざわざこの時期を狙って他国に攻め込まれても面倒です。…紡げ、蜃夢」
パンジャンの攻撃と見なされる自爆や突撃の行動成功率を徹底的に下げ王族や幹部を保護
自分は風火輪
黄巾力士は飛来椅で飛行
雷公鞭や金磚で一方的にパンジャンを破壊しながら終了を待つ
「黄巾力士は存在自体宝貝ですから当然です」
嗤う
メサイア・エルネイジェ
ぜぇはぁ…今度は何ですの?
はっ!?
これは…おパンジャンですわ〜!
しかも爆発しますわ〜!
いやー!こっちに来ますわ!
ヴリちゃん!お回避!お回避ー!
なんです?多過ぎてとても避けきれない?
なら何かで防ぎませんと…
あ!丁度良いところに!
キング・スケルトン様〜!またわたくしのお盾になって?
おゴーレム様とおゾンビ様もですのよ〜!
これで最低でも三回は平気ですわ〜!
ですがこのままではいずれジリ貧ですわ!
何か良い手は…そうですわ!
向かってくるなら吹っ飛ばせばよろしいのですわ!
テイルスマッシャーで揺るぎなき暴力!
逆転ホームランですわ〜!
あっ
打った先にマクドナルド王家の皆様が…
もし〜?
避けてくださいましね〜?
●大乱闘! 新たなセッツ・ブーンの可能性!
「ぜぇはぁ……今度は何ですの?」
メサイア・エルネイジェが愛機『ヴリトラ』の中で激しく呼吸しながら、整列する無人量産型キャバリア『パンジャンキャバリア』を目視した。
パパパーン! と壮大なバグパイプの音色が響き渡り、パンジャンキャバリアたちが動き出し、あちらこちらで爆発を始めていた。
「これは……おパンジャンですわ~! しかも爆発しますわ~!」
「キノキノ、御輿も出てきてお祭りもクライマックスかな?」
「お祭りのデザートに、巨大なプリンはいかが? ……なのー♪」
「しゃーぅしゃぅしゃぅしゃぅ~♪ たのしーねぇ♪」
慌てるメサイアとは対照的に、キノ・コバルトリュフ、プリンセス・アラモード、シャルロット・ゴッドハンドの三人は恐れる様子もなくパンジャンキャバリアを見て楽しそうにはしゃいでいる。
キャバリアに乗ることもなくミサイルカーニバルを潜り抜けた猟兵たちの度量がうかがえる。
「無人兵器、悪くない発想です。示威行為としても素晴らしい。
……プラントの能力を浪費していなければ」
彼女たちと同じく生身でミサイルに対処しきった鳴上・冬季は、走るパンジャンキャバリアを眺めて嗤いながらもマクドナルド王国の伝統行事に想うところがあるようだ。
「これだけの一群をまた揃えるには、かなりのプラントの酷使が必要でしょう。
参加された方の機体整備もそうです。そろそろお開きにするには良い時間でしょう。
わざわざこの時期を狙って他国に攻め込まれても面倒です」
実際、国防の要となる人員が勢ぞろいして自傷行為に及ぶのは、大変リスクがあるように思える。
これまでマクドナルド王国はまともに外交をしていなかったが、今後外国と接することが増えればこういった隙を突かれる可能性も高まるだろう。
冬季が指摘するように、今後のセッツ・ブーンの仕様は考慮すべき課題かもしれない。
ちなみに、このパンジャンキャバリアはスーパーロボットの一種であり、マクドナルド王国では安定した生産プラントから大量生産されている代物だ。
そのため、むしろ定期的に爆発処理しないと貯まる一方なのだとか。
……そんなものを製造ラインに常設するなって?
ははっ。
閑話休題。
パンジャンキャバリアたちが迫る中、真っ先に行動したのはメサイアである。
脱兎の如し全力移動である。
「いやー! こっちに来ますわ! ヴリちゃん! お回避! お回避ー!」
『ヴリトラ』を操縦してパンジャンキャバリアから逃れようと走り出す。
だが残念なことに、パンジャンキャバリアは四方八方全方向から向かってきている。
幸いメサイアたちには飛行型パンジャンキャバリアは来ていないようだが、地上はパンジャンキャバリアに覆われていて回避するのは困難だ。
「なんですの! 多過ぎてとても避けきれない?
なら何かで防ぎませんと……あ! 丁度良いところに!」
走り出したメサイアが目を付けたのは、同じ戦場にいるセイヨウ帝国の幹部たち。
死屍累々の様相のプレアデスの面々だ。
ブースターを吹かして素早く近づき、『RXS-Aアンカークロー』でキング・スケルトンの乗るキャバリアをしっかりと掴む。
「キング・スケルトン様~! またわたくしのお盾になって?」
「また私を盾に!?」
「おゴーレム様とおゾンビ様もですのよ~!」
「ゴッ!?」「なにぃ!?」
シャルロットの視界から逃れるために地面を這いずっていたキング・ゴーレムとキング・ゾンビは、大変だなとキング・スケルトンを眺めていた。
それ故に、メサイアに捕捉されてしまった。
三人の頼りがいのある盾の中にこもり、しばらくの安全を確保したメサイアである。
「これで最低でも三回は平気ですわ~!」
「おまっ、良心の呵責というものぐわああああ!」
「たすけテ! たすけテ! メーデー!」「いやだぁ! 猟兵たちに殺されるぅ!!」
セイヨウ帝国の方々は頑丈なのでパンジャンキャバリアが衝突しても死にません。ご安心ください。
派手に爆発していくセイヨウ帝国のキャバリアを眺め、キノとプリンセスのモチベーションも向上してきた様子だ。
「トリュフ! あの御輿は花火でもあるんだね! すごいね!
マツタケ! こうなったらキノも祭を盛り上げなくちゃね」
「プリン♪ プリン~♪ プリンロールにしてやるの~♪」
追加のパンジャンキャバリアと協力して威力を倍増させ、何時自爆するか、何時暴走するか分からない突進を敢行する《パンジャンファランクス》が迫る中、笑顔を振りまき、歌うように踊るように、二人の少女がユーベルコードを展開していく。
「《ドレスアップ・プリンセス》! プリンの気分はいつでもア・ラ・モードなの♪」
舞い散る花びらに覆われて、プリンセスが変身していく。
現れるのは、デコレーションケーキのような豪華絢爛な五段プリン。
真の姿であるキョダイプリンアラモードに変身した、プリンセス・アラモードだ。
「お疲れの人達には、強化されたプリンの身体をあ~ん♪ して食べさせてあげるの!」
さすがは心優しい愉快な仲間の魔法のプリンセス。アフターケアもバッチリだ。後ほどお願いします。
『プリンセスフロート』に乗るプリンセスは全周囲からのパンジャンをバリアで守りながら、ユーベルコードにより威力増強された『プリンセススプーンロッド』から魔法の光線を発射する。
プリンセスの想いがたっぷりと込められた光線を浴びたパンジャンキャバリアが、何ということでしょう。
とても美味しそうなプリンロールに生まれ変わっていくではありませんか。
見た目がそれっぽいから連想されたようです。
「香りマツタケ! 味シメジ! 香しい香りでみんなを元気にしちゃおう」
美味しそうになったパンジャンキャバリアに向けて、キノは《ベルベットパフューム》を振りまいていく。
体内から常に放出されるかぐわしい香りが、キノの体調に応じて周囲の全員に好印象もしくは興奮の感情を与えるユーベルコードだ。
キノの放つパフュームはマツタケのような香りらしく、マツタケの香り漂うプリンロールはとても食欲をそそることだろう。
爆発に呑まれるセイヨウ帝国の幹部たちも、近くにいるマクドナルド王国の王族たちも、かぐわしい香りが鼻孔をくすぐり、……そして、パンジャンキャバリアたちも興奮してきたようです。
キノの香りに包まれたパンジャンキャバリアたちが、もう我慢できねぇとばかりに盛大に自爆していく。
「何時自爆するか、何時暴走するかわからない?
エリンギ! そんなの今しかないじゃない!
不発弾で終わる終焉なんて、ぶっ壊しちゃおう!!」
「おお、おお! このまま爆死してたまるかぁ! 絶対に生き残ってぐわあああ!」
「わーい! ぷりん、とってもおいしいよぉ~♪」
「やってやりましょう、猟兵さんたちにかっこいいところを見せましょう!」
「そ、そうダ……俺は、キング・ゴーレム。プレアデス最強の戦闘ぐわああああ!」
奮起する面々の中、シャルロットがプリンロールを食べ進み、キング・ゴーレムがついにパンジャンキャバリアの前に倒れた。
自身が戦闘不能となる事で転がった先にいる適当な敵一体に大ダメージを与えるという《パンジャンボマー》が直撃したのだ。
キャバリアの全身を強固な岩石で覆うことで堅固な物理防御力を誇る能力を持つ故に戦闘不能に陥った後もメサイアの盾として使われることになっています。
「ですがこのままではいずれジリ貧ですわ!
何か良い手は……そうですわ!
向かってくるなら吹っ飛ばせばよろしいのですわ!」
無惨な姿になったキング・スケルトンとキング・ゾンビを
解放してからナイスアイデアを思いつくメサイア。
キング・ゴーレムを遠心力に用い、勢いよく振り回す『RX-Bスマッシャーテイル』!
『ヴリトラ』の長くて頑丈な尻尾による《揺るぎなき暴力(チカライズパワー)》がパンジャンキャバリアを吹き飛ばす!
攻撃が命中した敵を、最大1360m吹き飛ばす暴力が、パンジャンキャバリアを吹き飛ばす!
「そぉい! これで逆転ホームランですわ~! ―――あっ」
「「え?」」
なお。
飛んでいく先ではマクドナルド王家の王族、ジョニー王子とアンジェリーナ王女が勇敢にパンジャンキャバリアに対処していた。
……見事な挟み撃ちの形である!
「もし~? 避けてくださいましね~?」
「うわああああ!?」「きゃああああ!?」
「……紡げ、蜃夢」
高速で吹き飛んできたパンジャンキャバリアによる王族殺しが……! と思いきや。
突如として、ふわりと速度を落としたパンジャンキャバリアたちが、ジョニー王子とアンジェリーナ王女が操るキャバリアの前に転がり落ちる。
大惨事は、冬季によって防がれたのだ。
「……あれ? 爆発しない?」「これは……? いえ、ここは?」
「そろそろ皆さん、自分達の兵器の恐ろしさが身に染みた頃でしょうか」
マクドナルド王国の王族たちが佇む辺りには、セッツ・ブーンの舞台となるマクドナルド王国の広場ではなく世にも奇妙な仙界の風景が広がっていた。
これぞ、冬季の操るユーベルコード。
《宝貝・蜃夢(パオペエ・シンム)》により、戦場の一角を夢の中の封神武侠界に交換していたのだ。
《蜃夢》の世界の内側では攻撃には宝貝のみ使用可能の法則が働き、違反者は行動成功率が低下するルールが敷かれている。
パンジャンキャバリアによる体当たりも、自爆攻撃も、メサイアによるホームランも、造反したすべては成功率が低下しているのだ。
宝貝『風火輪』を履き空中を飛ぶ嗤う冬季が、眼下のマクドナルド王国の王族たちに語り掛ける。
「これは蜃が吐く気が見せる夢の世界。ただし、これを夢に出来ないものには現実です。
自国の自慢のキャバリアを披露したいお気持ちはわかりますが、万一のことを一考していただければ、と。
―――これが良夢となるか悪夢となるか、全ては貴方方次第です」
そうして冬季は宝貝『黄巾力士』を召喚する。
冬季自ら作った、人間サイズの戦闘用人型自律思考戦車だ。
『黄巾力士』に宝貝『飛来椅』を装備させ、
殲禍炎剣に反応しない高度と速度で飛翔する。
冬季に遅れまいと、高揚したジョニー王子がキャバリアを操縦しようとする。
だが、宝貝を持たない彼の行動は失敗する。
「……ご指摘、ありがとうございます、冬季さん。
しかし、守られるだけでは……! あれ、動かない?」
「え? ……あ、私の方も引き金が、どうして?」
「ふふ。今この一帯では攻撃に使用できるのは宝貝のみとなっております。
終了の時まで、お待ちください」
冬季と『黄巾力士』は連携して、雷撃を放つ宝貝『雷公鞭』や銃器型宝貝『金磚』で一方的にパンジャンを破壊していく。
為す術を失ったマクドナルド王国のキャバリアたちは静かに佇み、ただひたすらに冬季に守られる状態になっていた。
《蜃夢》の世界に近づくパンジャンキャバリアを攻撃しながら横眼で彼らに視線を送り、冬季は嗤う。
一方。
「ほーむらーん♪」「ぐわああああ!」
「ナイスショットですわー!」「いやああああ!」
「おやおや」
そんな《蜃夢》の範囲外で、メサイアといっしょに遊んでいるシャルロットがいた。
マクドナルド王国産の巨大ハンマー型スーパーロボット『RX無敵潰艦鎚』を持ち出して、ゴルフや野球のようなスイングでパンジャンキャバリアをかっ飛ばしている。
シャルロットの隣でメサイアも『ヴリトラ』のテイルスマッシャーで《揺るぎなき暴力》を振るっている。
暴力という言語によるコミュニケーションである。
打撃の衝撃で
爆発する時もあるが、シャルロットは『極めて強靭な妖精の体』なので傷一つ負うことはなく、メサイアはすかさずキング・ゴーレムの盾を構えることで爆風から身を守っている。
「 」「ああ! 何かいると思ったらキング・インビシブルが!」
「止せ! 今はあいつらの攻撃に集中するんだ!」
二人はパンジャンキャバリアの飛距離を比べてもいるのかと思いきや、飛んでいくパンジャンキャバリアの行き先には残るセイヨウ帝国の幹部たちがいた。
キング・ヴァンパイアは霧になって直撃弾を避け、キング・インビシブルは人知れず既に
戦闘不能しており、キング・デュラハンは懸命に右へ左へと逃げ惑っている。
……命中すれば勝ちなのだろうか?
「うわああああ! なんで、どうして、こんなことに!」
まあ、
そういうお祭りのようですので。
シャルロットからすれば、まだ
交戦経験の無い彼らとコミュニケーションを計っているのだろう。
積極的に
狙ってパンジャンをかっ飛ばしている。
メサイアは……ノリだろうか? とてもいい笑顔でフルスイングを決めている。
「ふぅ、ふぅ、あと少し、あと少し耐えきれれば……爆風にさえ気を付けれ」
「えい♪」
「ぴ」
霧状になってパンジャンをしのいでいたキング・ヴァンパイアの前に、瞬速移動する『
幼精翔翅』で接近したシャルロットが、《でこぴん》を披露する。
爆裂衝撃波伴う超光速かつ超極大威力の、命中した敵を破壊するという単純にして強力な暴力の指。
直撃すれば対象を星の彼方へと吹き飛ばし全身粉砕の激痛に包み込むほどの暴力が、キング・ヴァンパイアの実体のない全身を強く打ち付けた。
なお、先ほどプリンロールを美味しくいただいたので、威力は普段よりアップしています。
音を置き去りにする衝撃波が通り過ぎた後、霧が晴れ……キング・ヴァンパイアとそのキャバリアは消し飛んでいった。
―――キング・ヴァンパイア、死亡確認!(死んではいません)
「ナイス暴力ですわ! これは負けてはいられませんわね!」
「うぅー♪ おまつり、おまつり、たっのしぃねぇ~♪」
「おおお! セイヨウ帝国のプレアデスとして、せめて僕だけでも生き残らなければ……!」
意気揚々とパンジャンキャバリアを吹き飛ばしていくメサイアと、縦横無尽に飛び回ってパンジャンキャバリアを薙ぎ飛ばしていくシャルロットの競争は、セッツ・ブーンが終わるまで……すなわちパンジャンキャバリアの在庫が尽きるまで続くことだろう。
《ベルベットパフューム》による興奮の感情で気力が充実しているキング・デュラハンは、
餌食になった他の幹部たちの分まで生き残ろうと必死に回避行動を続けている。
だが、間もなくパンジャンされることになるだろう。
……これは新しいセッツ・ブーンの姿として良いかもしれない。
「どうやらもう少しで終わりそうですね」
「キノキノ! とっても楽しいお祭りだったの!」
「さあ、みんなプリンを召し上がれ~♪」
メサイアとシャルロットが元気にパンジャンキャバリアを破壊していく中、安全な《蜃夢》の世界で見学に回る冬季とキノとプリンセス。
マクドナルド王国の王族たちは心身を癒す超絶美味なプリンを提供され、心労を癒していた。
一際激しい爆発と共に『プレアデス』最後の一人の断末魔が響き渡り、セッツ・ブーンは幕を閉じることとなった。
……そして時は遡り。
マクドナルド王国の国王アーノルドと、セイヨウ帝国の皇帝エンペラー・ノーライフ。
この二人はセッツ・ブーンの渦中、とある猟兵たちの餌食になったのだった。
※次の報告書は少し時間が巻き戻ります。
大成功
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淫魔・サキュバス
安心してね?全年齢向けよ❤️
きゃはっ♪いい大人なのにだっらしなぁい❤️
もうっ、仕方ないんだからぁ……はやく元気になって、
起・き・て❤️
露出度が高いセクシーコスチュームで抱きついて素肌を触れさせサキュバスミストで包み込んで癒しながら纏わりついて精気をむさぼる❤️
さっき捕食した感情エネルギーを
精気に変えて、セイヨウ王国幹部に与えてあ・げ・るっ❤️
アルカナブラスターを発射したインキュバスにも背後から抱きついて柔肌を擦り付けて「淫魔ならもう一発くらい……
射せるでしょっ❤️」
うふふ、全年齢向け全年齢向け……♪
あとは化術でフェアリーに変身してまたトラウマ抉ったりも♪
淫魔・インキュバス
リバーソンマスターにおまかせします。かわいい淫魔・インキュバスをお願いします!
水色の髪に水色の瞳のショタ美少女
ひゃあっ!?ば、爆発こわいよぉ……
も、もうだめ……アルカナ・ブラスター出ちゃう……!
え?も、もう一発って……あ、ま、また出ちゃうぅ……!(充填完了と同時にアルカナ・ブラスター再発射)
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●ああ! ダメになっちゃうぅ! ※ご安心ください。全年齢向けです。
それは、無人量産型キャバリア『パンジャンキャバリア』が走り出し、あちらこちらで猟兵たちと
爆発を繰り広げている頃。
セッツ・ブーンの会場である広場の隅に、二機のキャバリアが二人の猟兵と共に在った。
角でも容赦なくパンジャンキャバリアは攻めてくるが、二方面を防ぎやすいという利点からここに陣を敷いたようだ。
放心状態で横たわるのは、ミサイルから身を挺して淫魔たちを護り、いろいろと吸われたセイヨウ帝国の皇帝エンペラー・ノーライフ。
そして事前のパーティ会場にてとある猟兵が製造したストゼロを痛飲していたマクドナルド王国の国王アーノルドだ。
どうやらミサイルカーニバルは潜り抜けたものの、飲酒運転により前後不覚に陥っている。
良い子のみんな! 飲んだら乗るな、乗るなら飲むな! マジに死ぬからね!
「きゃはっ♪ いい大人なのにだっらしなぁい❤️」
「うっぷ……まこと、情けない姿を……。パンジャンが、迫っているというのに……」
キャバリアの操縦もおぼつかないアーノルドのコックピットに近寄った淫魔・インキュバスがコンコンとハッチをノックする。
「もうっ、仕方ないんだからぁ……力を貸してあげるから、開けてちょうだい?」
「え? あ、ああ……わかりました」
正常な判断ができなくなっているのだろう。
サキュバスをコックピットに招き入れてしまったアーノルド国王。
もう逃げられないぞ❤
「はやく元気になって、
起・き・て❤」
「お……おおおお!」
狭いコックピットの中、露出度が高いセクシーコスチュームの美少女に抱きつかれ、元気にならない男がいるだろうか?
いるだろうが、少なくともアーノルドは元気になった。
サキュバス種族の得意とするユーベルコード、《纏わりついて精気をむさぼる》の影響によってね!
安心してください、彼女はまだ健全ですよ? メイビー。
「ほーら……たっぷり……とっぷり……❤」
「力が、パワーが漲って来る……! これならば……!」
素肌に触れた対象の行動回数()を奪ったり与えたりするユーベルコードにより、アーノルドはアルコールから解放された。
ストゼロのエネルギーがサキュバスに貪られる代わりに、彼女の全身を覆う快楽エネルギーを濃縮した桃色の霧『
淫桃蕩夢』で包み込まれ、ガンガンいこうとやる気に満ち溢れていく。
サキュバスにたっぷりと支援されたアーノルドが、パンジャンキャバリアの一角―――便宜上、北側を抑えるべく突撃を敢行する。
「もう何も恐れはしない! 行くぞ、我が愛機よ! 子どもたちを
守護るために!」
「いってらっしゃーい❤ 頑張れ~♪ さってと」
サキュバスがマクドナルド王国の国王を手玉に取っている間、かわいい淫魔・インキュバスはセイヨウ帝国の皇帝の相手をしていた。
といっても、追い打ちを仕掛けた訳ではない。
「ひゃあっ!? ば、爆発こわいよぉ……」
「むううう……! 大丈夫だ、幼子よ……! 余が
守護ってみせよう……!」
エンペラー・ノーライフは朦朧とした意識の中、自発的にインキュバスをパンジャンキャバリアたちの自爆攻撃から守っているのだ。
何時自爆し、何時暴走するか分からない突進を繰り出す《パンジャンファランクス》。
そのダメージによって後退させられながらも、這いつくばりながらインキュバスの前に出ては爆発に巻き込まないようにしているのだ。
どうやらまだ魅了されているようですね。
アーノルドが北側を、そしてエンペラー・ノーライフが東側を抑えている。
すぐ目の前から現れるパンジャンキャバリアを二人の王が対処している間に、広場の端である遠方―――南と西から迫るパンジャンキャバリア群。
追加されるパンジャンキャバリアが協力して《パンジャンファランクス》してくる前に、迫るパンジャンキャバリアを撃破するためインキュバスはユーベルコードの詠唱を開始する。
「ぼ、ぼくだって役に立つんだからね……」
それは、《アルカナ・ブラスター》。
西洋妖怪ならば誰もが行使できる、白炎属性の破壊光線を放つユーベルコードだ。
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇し、ミサイルカーニバルを生き延びたインキュバスはその射程を485mにまで延長させることができているのだ。
たっぷりとエンペラー・ノーライフから吸い取ったエナジーをチャージして、南側からやってきたパンジャンキャバリアの中央によく狙いを定めて……。
インキュバスが《アルカナ・ブラスター》を放出する。
「も、もうだめ……アルカナ・ブラスター出ちゃうっ……!」
勢いよく迸るインキュバスの白い《アルカナ・ブラスター》がパンジャンキャバリアを貫いていく。
たっぷりと《アルカナ・ブラスター》を浴びせかけられたパンジャンキャバリアたちが爆散し、次々に隣接するパンジャンキャバリアたちとパンジャンしていく。
これで、三方面は何とかなるだろう。
「はぁ……はぁ……ぼくも、がんばったよ……」
「おお……見事、だ……。だが、もう一面を防げるかどうか……」
「そんなぁ……ぼく、もう……」
残る、西側から迫るパンジャンキャバリアの数を前にして、《アルカナ・ブラスター》した直後のインキュバスが目じりに涙を浮かべる。
怯えて震えるインキュバスのその背後に、サキュバスが回り込んだ。
「えい❤」
「ひゃあっ!?」
インキュバスに抱き着いたサキュバスが、柔肌を擦り付けて《纏わりついて精気をむさぼる》。
サキュバスがセイヨウ帝国の幹部たちから吸い取ったモノを、容赦なくインキュバスに与えていく。
「あ、サ、サキュバス……? 何を、ひぅん……!」
「淫魔ならもう一発くらい……射だせるでしょっ❤️」
「え? も、もう一発って……あ、あ、ああっ!」
サキュバスのオーダーは、《アルカナ・ブラスター》のおかわりだ。
詠唱する時間はさほど与えられはしないが、代わりに大量のバイタリティが充填されていく。
インキュバスの容量を考慮しない魔力供給が、パンパンに注がれて溢れ出す。
「だ、だめ、出ちゃう……! ま、また出ちゃうぅ……!
ぼくの《アルカナ・ブラスター》が出ちゃうよぉぉぉ!」
迸る二発目の《アルカナ・ブラスター》!
初弾と比較すれば威力は低下しているが、素早く放たれたことで距離が空いている状態でパンジャンキャバリアに届いた。
そのまま、サキュバスの手によって強引にスライドさせられた《アルカナ・ブラスター》が横薙ぎでパンジャンキャバリアたちを貫いていく。
激しくパンジャンしていくパンジャンキャバリアの振動が響き渡る。
「頑張れ❤ 頑張れ❤ もっとだせぇ♪」
「ぁぁ……も、う、むりぃ……」
《アルカナ・ブラスター》し終えたインキュバスが小刻みに震えながら崩れ落ちる。
まともに立つこともできないほど、出し尽くしたのだ。
サキュバスはそんなインキュバスを優しく抱きしめ、労わるように撫でまわす。
……どこを? それはご想像にお任せします。
「はぁ、はぁ……どうやら、この子たちを、
守護ることはできた、か……」
「ふふ……なんとも、不思議な充足感を得られましたよ……」
そして、パンジャンキャバリアの爆発に呑まれながらもサキュバスとインキュバスを守り抜いた二人の首脳は、笑顔を浮かべたままコックピットの中で意識を手放した。
たっぷり吸われたので、限界を迎えたのだろう。
爆発が止み、数瞬の静寂を取り戻したのち。
割れんばかりの拍手と喝采が、参加者たちに降り注ぐのであった。
●
セッツ・ブーン、フィニッシュ!
斯くして。
セッツ・ブーンが終わり、猟兵たちは観客たちからの称賛の歓声を浴びていく。
無事に生き延びたことで、改めて猟兵たちの力量が周知されることとなったのだ。
セイヨウ帝国の幹部たちは緊急搬送されていくが、まあ頑丈なので大丈夫だろう。
そして、猟兵たちとの交流でセッツ・ブーンの在り方や、王族たち、幹部たちの心にも変化の兆しが見受けられるようになった。
トラウマも拡大されたが、コラテラルダメージだろう。
これからセッツ・ブーンがどうなるのか。
そしてマクドナルド王国とセイヨウ帝国がどうなるのか。
それは、まだ定かではない未来の話となる。
今は、楽しい奇祭が無事に終わったことを祝うとしよう。
大成功
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