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朽ち木は繁り、枯れ花は咲く

#アックス&ウィザーズ


●不自然なる大自然
 天を衝き、雲を貫く大地。
 森林限界など知らぬとばかりに青々と、緑生い茂る雄大な山。
 それは、頭に超が付く程の巨大樹だった。
 無数に伸びた枝葉はそれぞれが大木の様に立ち並び、ただ一本の巨大樹でありながら山を覆う広大な森と化している。
 その枝や幹は生物にとって大地と同じ。巨大樹は山であり、森であり、天然の迷宮とさえなっていた。
 が、時折そうした巨大樹が現れる中で、その巨大樹は群を抜いて自然に溢れていた。
 鳥獣が棲み付き、魔獣の棲み処にされる事が多い森林迷宮は、それらの魔獣や動物さえ追い出し、時に捕らえて養分に変えるほどに。
 木々や花々以外は悉く侵入を阻まれる。そんな魔境と成り果てた超巨大樹の頂きに、蠢く数多の影を見た。
 歪なる者。
 自然の摂理から外れた大自然。
 これほどまでに生命に満ちた場所だと言うのに、その山からは死の匂いだけが漂っていた。

●過去を摘み取る
「よく来てくれた」
 猟兵達が慌ただしく行き来するグリモアベースの中で、やたら堂々と陣取ったワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が言う。
 周囲には幾らかの猟兵達。立ち止まってワズラの言葉を聞く者も居れば、通りすがりに聞き耳を立てている者も居る。
 それで善いと頷いたワズラが話すのは、無論、彼の視た予知の話だ。
 曰く、超巨大樹が咲く、と。
「まあ、それだけでは何も分からんだろう」
 うむ、とまたぞろ頷き、ワズラが鉄塊剣の柄を握る。
「超巨大樹と言うのはアックス&ウィザーズの世界に点在する自然の迷宮だ。大抵は魔獣の棲み処になっていたり自然の宝庫として活用されていたりする。それ自体は特に猟兵が出向く様な脅威を持たないものだな。
 が、今回視た予知では、魔獣や魔物ではなく巨木のオブリビオンが発生していた。それが巨大樹の枝、つまりは巨大樹自体がオブリビオンなのかは不明だが、それ以上に問題なのはそれらを操っていると思しきオブリビオンの存在だな」
 ワズラが一度言葉を切った。
 付け足す様に呟いた「強敵だ」の言葉と共に、にやりと笑う。
 生粋の戦闘狂が浮かべた禍々しく獰猛な笑みは、この予知の先に出逢うであろうオブリビオンが掛け値無しに強敵である事を知らせている。
「故に重要なのは迷宮攻略と巨木の排除になる」
 と、突然真顔に戻って説明を再開する。
「超巨大樹は元より生い茂った枝葉による天然の迷宮となっているわけだが、そこに巨木のオブリビオンが混じって更にややこしい事になっている。先ずはこれを攻略し、超巨大樹の天辺を目指して貰いたい。
 無茶をすれば危険が伴い、地道に進めば時間が掛かる。どう攻略するかは各々に任せる。
 恐らくは頂上付近にて待ち構えているオブリビオンを討伐すれば今回の依頼は完遂したと言えるだろう。勿論一筋縄でいけるような敵ではあるまい。心して挑んでくれ」
 以上、と分かり易く区切り、ワズラが息を吐く。
 予知より得て、猟兵達に与えられた情報はさして多くは無い。が、猟兵達ならば自力で大抵の事はどうにか出来るだろう。
 彼等を信じるワズラは特別注意事項など口にせず、ただ支度だけは済ませたかと確認して朗らかに笑う。

「さあ、俺と共に殺し合おう」

 差し出された左手の上でグリモアが強く輝いた。


金剛杵
 初めまして、お久しぶりです。
 宇宙戦争の最中ではありますが、良ければこちらの世界もお救い下さい。

 第一章では自然迷宮の突破を目指して下さい。
 自然ならではの入り組んだ構造、入り口も出口も無数にあるが行き止まりはそれ以上に多い。そんな感じです。
 知恵と力の限りを尽くして攻略して頂けると嬉しいです。

 リプレイのテイスト等、詳しくはマスターページをご参照ください。
 それでは善き闘争を。
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第1章 冒険 『超巨大樹攻略』

POW   :    気合で登る

SPD   :    道具を巧みに使いこなして登る

WIZ   :    登りやすい場所を探す

👑11
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セレナ・アライアンス
アドリブ歓迎よ。

WIZで登るわ。
でも必要であれば道具も使うわ。

チョークのようなものを用意して一度通ったことが分かるようにマーキングしつつ迷宮を進むわ。
自然物の障害は可能であれば剣で排除するわ。

自然の落とし穴のようなものがあるかもしれないから、
充分に気を付けて進むわ。

上へ上へと進んでいくわ。
できるだけ戻るようなことは避けたいわね。

飛び越えないといけない場所があれば、
近くに木の枝等があればそれを切って橋にして渡るわ。
ジャンプするよりも安全でしょう。

「なかなか上にたどり着かないわね」
「ようやく上に出れたわね」


ルフトゥ・カメリア
巨大な木の迷宮ねぇ、まあ俺もこの世界で暮らしてたしな。
それなりに見慣れてる。

道は【第六感】に従って。
可能なら後続のために正解の道には導を残しておきたい所だが、まあ残せたら程度に。

上へ上へ行けば良いみてぇだし、少しでも飛べる範囲は飛ぶ。邪魔な枝葉は切り捨てられるもんは切り捨てちまえば良いだろ。【空中戦、怪力、2回攻撃】
飛べねぇ狭さだけど上へ行けそうな道は、Nova.をロープ上にして【ロープワーク、怪力】で身体を上に引きずりあげる。

登れねぇとか迷ってるとかがいたら手くらいは貸してやるけど、俺の進んでる道だって正解とは限らねぇからな。
出来る限り、マッピングして行きてぇな。


光・天生
……恥ずかしい話ですが、頭を使うのは苦手なんです。
だから、体力に任せて総当たりです。

とはいえ、それで道に迷ったら元も子もなし。
UCの手刀を用いて、一度通った道に目印をつけてゆきます。
突き出した枝葉があればすっぱと切り裂き、人の手が入った鋭利な切り口を残して分かり易く。
行き止まりに続く道は、壁や床に大きなバツ印を刻んでおきます。
後に続く人の目印にもなるでしょう。
同じ道に迷い込むことさえなければ、総当たりも楽になるはず。

登る必要のある場所は【怪力】からなる握力を利用。
邪魔な枝などは、これもUCで切り落としてゆきます。

……長い、長い時間をかけて育った自然。
傷つけることに、一抹の罪悪感はありますけど。


セロ・アルコイリス
へぇ、自然の迷宮かぁ
コイツが樹だってのがすげーですね
てっぺんに登ったら普通じゃ見れねー景色が見えるんでしょうか
楽しみですね

『学習力』と『野生の勘』を使って進みましょうか
あとは、そうだな
おいで、ラファガ
【突風】で、飛べそうなところは行けるところまで翼竜の背に乗って
邪魔な細枝とかはダガーで払って行きましょうか

リュカ(f02586)や、他の猟兵サンを見付けたら
可能なら手を伸ばして引っ張り上げたり、一緒に行けたらいいなと
良けりゃ乗ってきませんか、星空サン
そん代わり、竜じゃ行けねーところを通るときは
一緒に行かせてもらえたら嬉しいですね

※アドリブ歓迎


リュカ・エンキアンサス
※アドリブ歓迎
いいな。こういうの嫌いじゃない
倒したら、景色を見ながら一杯珈琲を飲めるといい

まずは足場を確認。腐ってたりして危険なところは無いか確認しながら上る。地形を利用できるルートに当たりをつけてから攻略開始
フック付きワイヤーを投げて、引っかかったところからクライミング。別に命綱も忘れないように
何か出てきたら空中戦で応戦…の前に、目立たないように身を隠すことが出来たら幸い
どうしても通れないところは銃を何発か打ち込んで切り開き進む

途中でセロ(f06061)に会ったら時々助け合う
ありがとう。助かるって主に助けられるほう
自分が助けるときは、自分の安全を確保できる場合に限り助ける
出来ないことはしない


茲乃摘・七曜
心情
…ここまで大きいと樹木ではなく別のなにかですね

指針
未開の密林の探索と想定し仲間の補助を担う
「用意があれば意外と気力が沸いたりするものですし…

行動
出立の際、ロープ・ザイル・テント・外套・医療品等屋外での長期活動を想定したサバイバル用品を準備
食料や水等と合わせAngels Bitsに括りつける等して悪路でも荷物を運べるように工夫
探索は仲間に委ね、全力で活動できるように徹する
※暖かい食事、風雨を凌ぐ休憩場所、怪我の治療、シンフォニック・キュアでの体力回復等
「遅れないようにしなければいけませんね

探索補助
オブリビオンや食人植物等を警戒し歌声の反響で周囲を走査
「歌や振動に反応する場所には警戒しましょう


アビ・ローリイット
強敵
ドラゴンかなぁ、タイタンかなぁ。ワズラさん焚き付け上手だわ

それなりに身軽
【POW】基軸で行動
てぇか高えー! 風がきもちーや
野生の勘とで登るに適した足場選びつつ
太くて安定した足場ではダッシュ交え時短
行き止まりは怪力や【格闘】活用して、折って支障ない枝や幹なら折って橋代わりに使い道作るし、上方の枝なんか掴んで懸垂の要領で登れねえかなあ
うっかり巨木ビリオン折っちゃった?
いいじゃん、光合成ヒマだろ。遊ぼうぜ

最低限ロープは持込
急傾斜やジャンプ必要なポイントでは高いとこに引っ掛け命綱に使用。先に上着けたら垂らして後続引き上げたりできっかも?
もし落ちてくひといたら受け止めたり手貸すよ、いい天気だねつって


鹿忍・由紀
【WIZ】
技能「地形の利用」で登りやすそうな点を探しつつ登る。
中からだと全体像が把握しにくいから出来るだけ外を経由しながら登っていこう。
外から登ってしまうと何かあったときに狙い撃ちになりそうだから外はあくまで経由地点としてこまめに確認する。

迷わないように通った道には定期的に木に傷をつけて、間違えて逆走しないように目印にする。
やることは地味だけど無駄な時間をかけないためにもとにかく前に進むことを考えよう。
「野生の勘」とかもちょっと頼ってみたり。
どこもかしこも木しかないからありもしない既視感に惑わされないようにしないとね。

他の猟兵を見かけたら協力してもいいよ。楽出来るならその方が良い。



●蔦渡りの迷宮
 アックス&ウィザーズの世界にはオブリビオンとは関係無く、自然の摂理を外れたものが有る。
 それは魔法であったり、魔物であったり。
 今回依頼の舞台となった超巨大樹も他の世界ではなかなか見られないものだろう。
 しかしこうした埒外に見える物も、この世界の理に反する事は無い。
 真に理を外れたものはオブリビオンだけ。
 それは恐らく、超巨大樹の頂に居る。
「巨大な木の迷宮ねぇ……」
 黒い翼を羽搏かせたルフトゥ・カメリア(Cry for the moon.・f12649)が呟く。
 この世界で暮らしていた頃に超巨大樹を見た事はある。それなりに見慣れていると言ってもいいだろう。
 問題は慣れ親しんだ超巨大樹が目の前のそれと同じかどうかだ。
「っと、ここいらが限界か」
 大きな翼が風を後ろへと掃き捨て、ルフトゥは音も無く巨大樹の幹へと降り立った。
 現在地は中腹にも届かないくらいだろうか。
 高度を上げるほど有翼飛行では飛べなくなる。打ち据える空気が減少するせいだ。
 が、ルフトゥが降りたのはそう言う理由とは違う。
 では何故、と訊かれれば、ルフトゥ自身も明確には答えを返せないだろう。
 強いて言うなら『第六感』が働いたからだ。
 そんな根拠の薄い理由でもルフトゥは疑わず、此処からは陸路ならぬ幹路を往くと決めた。
「さて、行く先もピンと来れば楽が出来るんだが」
 畳んだ翼の凝りを解す様に肩を回すと、ルフトゥは歩き始める。
 山の様な、とは言うものの、巨大樹は木だ。山より遥かに傾斜がきつい。登るとなれば幾つもの経路は有るが、幹を直接登るのは断崖絶壁を攀じ登るに等しい。
 当然ルフトゥの第六感も登攀は選択しない。
 向かう先は幹に巻き付くいくつもの蔓だ。
 蔓と言っても超巨大樹の超巨大蔓だ。人が歩いたくらいでは軋みすらしない。何方かと言えば問題になるのは視界や行く手を防ぐ無数の蔦や足を滑らしかねない苔の類か。
 動物の侵入を拒むと言われているだけはある。が、猟兵の侵入を阻めるようなものではない。
 ルフトゥは瞬きの間に取り出したダガーで容易く蔦を斬り払うと、苔を爪先で抉り蹴散らして先に進む。
 蔦も苔も障害とさえ認識していないかのような自然な動作で登るルフトゥだが、そんな彼でも障害と思うものはやはり迷宮だろう。
「入り組んでんなぁ」
 歩いてきた蔦に別の蔦が巻き付き、分かれ道となっている。
 上るだけなら直進だ。しかし眼下へ下る道は別の蔦とも交わり、やや先の方で登りに転じている。
 しかしながら見上げた先には無数の蔦、蔦、蔦。
 そして蔓、苔、枝葉の海。
 山なのか海なのか。
 飛んでいる内はただの巨大オブジェクトに見えていた巨大樹も、降り立ってみれば成程大迷宮である。
 飛べばもっと高い所にも向かえるはずだが、ルフトゥの第六感はそれを是とはしない。飛ぼうとすれば背を走る悪寒が鳥肌を立たせ黒翼がぶわっと膨らむ。
 面倒だが、先に進むには地道に歩くしかない。
「ん」
 と、果てしない行く先を見上げていると、ピンと来た。
 第六感が告げる。視界の端に入った、ほぼ真上に位置する横枝へと向かえと。
 ルフトゥは良しと頷いてロープを取り出した。
 狙う枝まで距離は有るが、動き回るオブリビリオンを狙うよりは簡単だ。放ったロープがひゅるひゅると枝に巻き付き、引っ掛かる。即席だが、それだけでそこいらの蔓や蔦より余程頑丈な『道』が出来上がった。
 まあ結び目も無く垂れ下がっただけの一本ロープを攀じ登るにはルフトゥの様な怪力やロープワーク技術が必要だが、一人で進む分には問題無い。
 ロープも回収しながら進むので他の猟兵が利用する機会はないだろう。そう思いながらロープを登り切り、回収の為に足元を見たルフトゥの視界に、別の猟兵の姿が映った。
「だいぶ登ってきましたね」
 言いながら手刀を振るい、周囲の蔓や枝葉を斬り飛ばしながら登って来る光・天生(鈍色の天蓋に神は座す・f05971)だ。
 此処まで無数の道をひたすらに歩き回って来た天生は、ルフトゥの第六感の様に頼るべき道標も無い。それを理解し受け入れた上でそれでも登ると決めた彼の歩みは非効率であろうと決して遅くは無かった。
 ただ迷うのだけはマズいと時折太い枝や幹に手刀を叩き込み、傷痕を目印代わりに残す。残りは体力頼りの出たとこ勝負。
 それでも数多の障害を捩じ伏せて彼は此処に居た。
 とは言え、まだ中腹前。流石に登り切る頃には体力が尽きそうだと天生を見ていて思ったルフトゥは頭上から声を掛ける。
「手ぇ貸そうか?」
 投げ掛けられた言葉に、天生は顔を上げて頷いた。
 回収せずにいたままのロープを更に下まで垂らしてやれば、天生は持ち前の怪力を活かし、腕だけですいすいと登ってくる。その後でルフトゥにありがとうと礼を述べた。
「上手いもんだな」
「ええ。ここまでも握力を使って登って来ましたから」
 天生が五指を強張らせて見せる。
 手刀に現れている通り、天生の力は並外れている。岩肌よりは多少柔らかい木の枝や蔓には指が深く食い込み、ロッククライミングよりは遥かに容易く上へと進んで来れた。
 実際樹上で生活する動物には握力が強い者が多い。ある意味で最適な登り方とも言えるだろう。
「ところでさっきの手刀は目印か?」
 ルフトゥに訊かれ、天生が頷く。
「傷つけることに一抹の罪悪感はありますけど」
 言いながらも手刀を振るい、足元の枝に傷を付ける。
 超巨大樹。長い、長い時間を掛けて育った自然。それを損なう事はとても心が痛む。
 と思っていたが、天生は知っている。
 幾度か迷い、傷痕の場所に戻ってきてしまった時、その傷痕はほんの僅かだが癒え始めていた事を。
 ここまで巨大に育った超巨大樹は、その生命力も超強靭なのだろう。多少傷付けたくらいではあっと言う間に元通りになるくらいに。
 そもそも傷付け失った部分より成長し増殖した部分の方が遥かに大きい。
 余程根っこから圧し折らねば死に絶える事が無い気もするが、それはそれこそ山を根元から突き崩すのと同じ。やれと言われても出来るものではない。
 まあ、それでも罪悪感が完全に消えるものではないかも知れないが。
「一緒に登るか? 俺の進む道が正解とは限らねぇけどよ」
「良ければ。大丈夫です、総当たりのつもりでしたから」
 入り口は無数にあるが、出口もまた幾らでもあると言う。
 ならば、どんな方法であれ辿り着ければいい。
 最適解や最高効率を目指す必要はない。重要なのは、確実に先へ進む事。
 その点では何の憂いも無い二人は、続く道無き道を再び登り始めた。


●枝分かれの迷宮
 強敵。
 一口に言ってもその言葉の意味は多岐に渡る。
 状況的に不利を強いられる、所謂難敵の部類もまた強敵と呼ばれる。
 だが、どうも今回は単純に『強力な個体』としての強敵であると予想される。
 何故ならグリモア猟兵が状況や取り巻きを余所にしてそれそのものだけを指して強敵と言い放ったからだ。
「ドラゴンかなぁ、タイタンかなぁ」
 そんな未だ見ぬ強敵を想いながら、アビ・ローリイット(献灯・f11247)は持ち込んだロープを肩に掛ける。
 幹を登り始めてややしばらく、そろそろ傾斜も厳しくなり、自然の迷宮が顔を覗かせていた。
 此処からは強敵とは別の戦いが待っている。
「てぇか高えー!」
 急に叫んだアビが両手を広げて振り返る。
 まだまだ先は長い、とは言え、其処らの丘などよりは既に高くに位置し、アビの目の前にはアックス&ウィザーズ世界の広大にして雄大な大地が広がっていた。
 風が気持ちいい、と靡く髪を抑えもせずに目を細める。もっと上から見渡せばもっと良い風が吹くだろうか。
 それを確かめるためにも、やはり迷宮の突破は必須となる。
「で、だ」
 もう一度くるりと回り、迷宮を見上げる。
 挑む前にアビはじっと迷宮を睨みつけていた。
 どこから入り、どう進むか。
 アビはそれを『野生の勘』に頼ろうと思っていたが、既に問題が生じていた。
 ――進みたくない。
 最も分かり易く明確な勘が告げるのは根本的な問題だった。
 強大なオブリビオンが潜む巨大樹へ挑もうとすれば、先ず真っ先に野生の勘が働くのはそこだろう。
 が、逆に言えば忌避すべき場所へ向かえば良いという事でもある。
「はーっ。いやー、これは期待させてくれるね」
 笑いながらもぶるるっと身震いしたアビは歩を進める。
 ともあれ悪寒がしっぱなしでは勘が働いていないのと同じだ。
 アビは進む道、次に足を置く場所、その一つ一つに集中し野生を発揮する。
 そのついでかの様に、枝や蔓をむんずと掴んでは鉄棒の要領で身体を跳ね上げ、飛び上がり、ひょいひょいと進んでいく。
 足場がしっかりしていると見ればダッシュをかけ、邪魔な枝葉は叩き折り、先へ先へと進んでいく。
「待って」
 と、順調に進んでいたアビを誰かが呼び止めた。
 横を見れば、洞窟の様にぽっかりと空いた樹の洞から鹿忍・由紀(余計者・f05760)が顔を出して手招きをしている。
「そっち、オブリビオンが居るんだよ」
 言われてアビが進もうとしていた先を見ると、枝葉が不自然に揺れている場所があった。
 野生の勘は相変わらず先に進むなの一点張りで、足場に対しては何の憂いも無し。このまま進めば間違いなく樹木のオブリビオンと鉢合わせしていただろう。
 アビが遅れを取るような相手ではないと一瞥して知れる程度だが、だからこそ野生の勘は働かず、だとしても長い道程を往くのにいちいち相手をしていられないのは確かだった。
「助かったよ。君もこの辺から進むのか?」
「この辺のルートが一番楽そうだからね」
 答えながら由紀が洞に引っ込み、アビもその後に続く。
 洞の中はこれまた洞窟の様に続いており、自然の迷宮が巨大樹の内側にも存在する事がすぐに知れた。
「中は樹木のオブリビオンがほとんどいないけど全体像が把握しづらいからたまに外に出るんだ」
 由紀はアビに説明し、行く先々に傷を付け目印を残す。
 迷わない事、少しずつでも進む事。
 迷宮は最悪一生出られなくなる可能性もあるし、あまりに迷えば後の戦闘が終わってしまうかも知れない。
 依頼内容からしても急を要するものではない以上、堅実に進むのが一番だと由紀は知っていた。
 その由紀に続くアビもここでは野生の勘が警鐘を鳴らさない事からかなり安全なルートだと認識していた。
「野生の勘がはんぶん役に立たなかったから本当に助かった。良いルートだね」
「ああ、それは俺も困った。致命的な罠に掛からずには済んでいるけど」
 天然の罠はえげつない。
 二人とも足場には特に気を付けているが、他にも食肉植物や樹木のオブリビオンなど危険は多いのだ。
 先へ進むにもルート選びは重要だった。
 最短ルートではなく、安全なルートを選び取る事が。
「だけど少し時間が掛かるし、疲れるんだ」
 と、由紀が零す。
 それは迷宮内で長時間気を張り続けるからでもあるが、単純に上り下りの激しい登山を強いられているからでもある。
 長引くほど体力を消耗するという事を考えれば最短ルートを探すと言うのもまた必要な事ではあるのかも知れない。
「それならロープも使おうか? 巨木オブリビオンも邪魔なのは倒した方が早くて安全かも?」
 アビはロープを指示して言う。
 安全第一とは言え、全ての敵を回避出来るとも限らないし、回避した方がより危険な目に合うかも知れない。
 時間短縮も必要だ。
 安全ルートを最短で駆け抜ける。二人ならきっとそれが出来る。
「そうだね。楽出来るならその方が良い」
 由紀が同意し、洞の奥を見上げる。
 急傾斜を登った先に別の出口が見えていた。
 アビはその視線の意味を察すると、意気揚々と駆け出す。
 悪寒は消えた。
 二人はただ、巨大樹の内から外から途切れなく攻略していった。


●蔓絡めの迷宮
「へぇ、自然の迷宮かぁ」
 セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)が超巨大樹を見上げる。
 その呼び名に恥じない巨大さは山と見紛うのも無理はない。上層部はあまりに遠過ぎて青く霞んでいる。本当に樹なのかと疑いたくなる程だ。
 コイツのてっぺんに登ったら普通じゃ見れねー景色が見えるんでしょうか、などと思うセロだったが、地上からてっぺんが雲に隠れて見えなくなっている。もうその時点で普通は見られない景色が広がっていると予想できた。
「楽しみですね」
 言って、セロは手を突き出した。
 その手の先に風が生じる。
「おいで、ラファガ」
 呼ぶ声は優しく、呼ばれた者は風の中にふわりと現れた。
 白い翼竜、ラファガ。
 風を纏う相棒の背を撫でると、セロはその背に跨った。
 ラファガと一緒になら、雲の向こうにだって行ける。
 とは思うものの、そうしてはならないと野生の勘が告げていた。
 そもそも巨大樹に近付くこと自体に対して強い抵抗を感じるのだが、セロはそれを押し留める。
「まー、行けるところまで行きましょうか」
 いつまでも入り口ですらない場所に居たって仕方がない。そう思い、ラファガの首をポンと叩く。
 合図を受けたラファガは纏った風をより渦巻かせ、その風を推進力に変えて勢いよく飛び立った。
 忌避感は続くが、その不安を消し飛ばすような豪快な加速。爽快感が胸に満ちる頃には一息で迷宮前まで辿り着いていた。
 杞憂だったかな、と思うと同時に、今まさに迷宮へ入ろうとしている猟兵を見付ける。
 見覚えのある後ろ姿は、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)のものだ。
「おーい!」
 セロが声を張り上げると、リュカが歩を止めて振り返る。
 地に足を付けたリュカと飛行中のセロの目線の高さが合うという不思議な光景の中、セロはゆっくりリュカへ近付いて手を伸ばした。
「良けりゃ乗ってきませんか?」
「ありがとう」
 猟兵は大抵、現地で出会った顔も知らないような仲間とでも助け合う。
 ともすれば既知の中である二人の猟兵が協力するのは自然な話。
 リュカは何の抵抗も無く差し出された手を取り、ラファガもリュカが自分に乗り易い様にと伏せて待った。
 リュカがラファガの背に乗ると、セロは再びラファガに合図を送る。
 突風の様に急加速、急上昇したラファガの上から見る風景は、先程巨大樹の足下から見た景色とは既に大分変わって来ていた。
「いいな。こういうの嫌いじゃない」
 草原、荒野、渓谷、山脈、河川、集落、洞窟、遺跡。
 それらを見下ろす巨大樹。
 世界の全てを見通しているような景色は偉大で、どこまでも澄み渡っている。
 リュカはそんな風景を見詰めながら、珈琲を飲みたいと思うのだった。
 だが、そんな気分も直ぐに吹き飛ぶ。
「敵ですね」
 言うが早いか、ラファガが翼を傾け、螺旋を描いて回転した。
 そのラファガの直ぐ横を鞭の様な何かが奔る。
 何事かとリュカが巨大樹の方を見れば、そこには巨木のオブリビオンが何体も立ち並び、此方に鞭の様な蔓を伸ばしていた。
「また来ますよ!」
 セロが叫ぶ。
 直後、先程以上に大量の蔓がラファガに殺到する。
 咄嗟にセロの合図でラファガが背を巨大樹に向ければ、リュカが手にしたアサルトライフル『灯り木』が火を噴いた。
 空中戦と援護射撃。リュカが得意とするこの戦況であれば、例え不意を突かれたとしても完璧に対処出来る。
 無数にも思えた蔓の鞭は一つ残らず撃ち抜かれ、遥か彼方の地上へと落ちていった。
「長くはもたないよ」
 リュカが言う。
 見据えた先のオブリビオンはまだ此方を狙っている。
「降りた方がいーですね。上の方は降りれねーみたいですけど」
 セロもまた巨大樹の方を見ながらラファガを駆る。
 迷宮中腹より上は巨木のオブリビオンが点在しており、特に上層部は凄まじい数が密集している。
 おそらく一体一体は大した敵ではないだろうが、数が多過ぎる。
 もし空中で蔓に絡め取られれば最悪地上に叩き付けられてしまうだろう。
 無理をするようなところではない。
 二人ともその結論に至り、高度を下げ攻撃を掻い潜りながら迷宮内へと突っ込む形で着地した。
 セロがラファガを労いつつ送還すると、今度はリュカがセロを助けると前に立った。
「ここからは目立たず身を隠しながら進もう」
 先の交戦で巨木オブリビオン達が文字通りざわついている。墜落の危険が無くなったとはいえ、それでも多くの敵と戦うのは余り得策ではないだろう。
 リュカは足場を確認し、装備品のフックやワイヤーなども準備する。
 セロもリュカの言葉に従い、ダガーを抜いて邪魔な枝葉を刈って進む。
 攻撃は受けたが、だいぶ時間の短縮と体力の温存には成功していた。
 あとは迷宮を慎重に抜ければ良い。
「苦労させられたぶん、てっぺんから景色見んのがますます楽しみになりましたよ」
「俺もだよ。ああ、早く珈琲が飲みたいね」
 二人はそう言って笑う。
 迷宮は続く。
 長く、険しく、ややこしい。
 天上まで続くかのような巨大樹の迷宮を、二人はゆっくりと登って行った。
 

●洞登りの迷宮
 超巨大樹は山とさえ称される。
 つまりはその幹の太さも山の様に巨大であり、その表層に広がる緑の迷宮以上に洞の迷宮は深く複雑に広がっていると言えた。
 その迷宮を敢えて選び、進んでいくのはセレナ・アライアンス(青きパラディン・f14452)と茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)の二人。
 セレナは登り易い道を探した結果、オブリビオンの気配も無く落下の危険性も少ない洞の中へとやって来た。
 代わりに現在地が分かり難く、外以上に一度来た場所が分からないが、セレナは用意していた白墨で印を付けながら進み迷わないように対策を講じていた。
 七曜は迷宮探索を密林の探索と想定して来たが、その想定以上に登山要素が強い事に驚いていた。
 元より『木登り』なのだから当然と言えば当然なのだが、しかし驚いたからと言って七曜の対策が無駄になるような事は無い。
 それどころか七曜の用意は先に迷宮へ挑んだ者に比べても群を抜いての万全さだ。
「敵反応無し。進みましょう」
 七曜がそう口にして歩き始める。
 彼女が迷宮対策に講じたのは歌声の反響を利用した周囲の走査。一部の動物が行うこの手の索敵は、猟兵でありその技能に秀でた七曜が用いれば更なる効果を得られる。
 七曜の探索補助を受けたセレナは悠々と先へ進んでいく。
 七曜が洞の中を進む事にしたのは最も安全かつ最も声が反響しやすい環境だからだ。
 別の目的の為にも利用出来る事を確認する為にも、七曜は周到に周囲を探り続ける。
「なかなか上にたどり着かないわね」
 そう言いながら進んでいくセレナもただ七曜に支えられているだけではない。
 洞の中は危険は少ないが、狭く、暗い。
 時に狭くて通れないような細道に行き当たるが、セレナは剣を振るって道を切り開く。
 時に縦穴のような場所に行きついても周囲を削り、足場や橋を作って通れるようにしていった。
 岩の洞窟なら出来ないような事でも、此処は木の中、周りは全方位木材だらけ。利用しない手は無い。
 そうして道を作るからこそ洞の中だけを進んで行ける。
 七曜は探索補助に集中し、セレナは先へ進む事に集中する。
 歩みこそ遅いかも知れないが止まる事なく進んだ二人は、かなり早い段階で上層部へと到達していた。
「……居ます」
 が、そこで歩みが止まった。
 七曜の索敵に多くの敵影が捉えられたのだ。
 ここからは下手に歌声を発すれば敵に感知し襲われるかも知れない。かと言って避けて通るには数が多過ぎる。
「ここが相応しい、という事ですね」
 そう言って七曜は荷を下ろした。
 それはサバイバルグッズ等、長期間の探索を前提とした装備一式。
 明らかに一人分の装備としては過剰である。が、それは一人分ではないのだから当然だ。
 七曜は始めから他猟兵の支援を目的として行動していた。
 ここで七曜が行うのは仮拠点作り。迷宮を抜けた猟兵をなるべく多く呼び寄せ、癒す為の場所だ。
 他の猟兵達が歩んだルートも此処に繋げられたなら後から来る全ての猟兵が此処を利用する事が出来るようになる。
 そうなれば体力も気力も十分な状態で巨木オブリビオン達と事を構える事が出来るだろう。
「今度は私が支援するわ」
 セレナが言う。
 拠点防衛に立ち、必要な物を持ってくる。それだけでも七曜の負担をかなり軽く出来るだろう。
 後は持ち込んだ白墨の利用だ。
 ここまでの道程には印が付けられていて、後に続く猟兵はその印を辿るだけで此処に行き着ける。
 更に他のルートと繋いだ場合にもより正確な情報を残す事が出来る。
 二人は頷き合い、各々の作業を始めた。

 その頭上では木々が軋み葉が擦れる音が響いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●襲い来る大森林
 猟兵達によって幾つもの道が出来た。
 迷宮は突破され、最早迷う事無く真っ直ぐに超巨大樹を上り詰める事が出来るだろう。
 だが、その先に待ち構える者が居る。
 荒ぶる山の神々。
 夥しいまでに大群となった巨木のオブリビオン達はまさに襲い来る大森林と化していた。
 超巨大樹上層部。
 張り出し縦横無尽に伸びた枝葉が無数の足場となるこの場を突破しなければ、頂には届かない。
 猟兵達は挑まなければならない。
 視界を埋め尽くす、オブリビオンという名の樹海へ。
アビ・ローリイット
へえー、なに食ってそんな育ったの?
『ハルバード』と【格闘】で戦おうか
伸び放題だからこうして虫がつく
余分な枝は剪定してやんねぇとだよね

後方支援系のひととかとも協力
ダッシュ、見切りや武器受けを意識していなしながら踏み込む
【握り潰し】みたいに手を伸ばしてくる素振りがあればカウンター、タイミング合わせ振り抜き、まず指を断つ
もし掴まれても肝心の指が足りなけりゃ切り抜けやすくない?なんなら怪力でこじ開ける
みため炎や魔法とかのが効きそうだから、とどめは他ん人に任せて
狙われるなら狙われるで足は止めず駆け回り、次々に指→手→足と切り落としてって攻撃妨害な役目に集中
こんだけデカけりゃ一本くらい俺んちにも欲しいなぁ


セレナ・アライアンス
アドリブ歓迎よ。

前衛に立って皆を護るわ。
それがパラディンの役目だもの。

「誘導弾」で敵をひきつけるわ。
「武器受け」で敵の攻撃を受けて被害を減らすわ。

攻撃は「ジャッジメント・クルセイド」で行うわ。
可能であれば仲間の攻撃の合間を埋めるように攻撃するわ。

「誘導弾」がうまくいったら「無敵城塞」も組み合わせるわ。
敵の攻撃をできるだけ私に引き付けるわ。

「私はここよ!」
声かけで敵の注意を引き付けるわ。

「先に行かせてもらうわよ」
「消えなさい!」


鹿忍・由紀
うんざりするような迷宮の後にまたうんざりするようなオブリビオン、か。
登ってきて疲れてるって言っても聞いてくれる相手じゃないよね。
まあ、先が見えない探索するよりはわかりやすくて良いか。

敵が大きい分、当たっちゃうとダメージも大きそうだね。
俺は速さを生かして戦おう。重い攻撃も当たらなければなんてことない。
「見切り」「第六感」を使って攻撃を避けつつユーベルコードで攻撃。
数が多すぎるから他の猟兵とも協力しなくちゃね。
そういえばこのオブリビオン、腕みたいなとこと脚で攻撃してくるから巨体に登ってしまえば攻撃しやすい?
…危なそうならやめとこう。

森林伐採してる気分になるなぁ。UDCアースじゃ怒られちゃうかもね。


茲乃摘・七曜
心情
樹木の魔物ですか…スケールが大きいですね

指針
相手が多勢を活かせないように動きを縛り確実な撃破を狙う
※見た目で油断しないよう行動
「樹木の魔物ですが人並み以上の意識があると思いましょう

攻撃
関節部への攻撃で動作を阻害
Angels Bitsとの三重輪唱を主軸にPride of foolsからの属性弾で援護射撃
・手を握りしめられないように氷刃で手首や指の切断
・足や股関節部分を貫くように氷槍で串刺しに稼働の阻害
「生木は燃えにくい印象ですが有効なら火も使いましょう
※延焼対策には風の経路を歌で操作

流転
魔物が集団の先頭を足止めし大集団を細かくする
「踏みつぶしてでも迫ってきたらさらに動きを封じて壁としましょう


セロ・アルコイリス
リュカ(f02586)と

かっこいいの、ねぇ
よし、じゃ、リアリストなあんたにおにーさんが魔法をお見せしましょう
つまり敵の足許揺らがせたらいいんでしょう?
任せてください、自然にゃ自然で返します
【暴風雨】
……どーです?(へらり、いつも通りに

相手の攻撃は一撃一撃が重そうなんで、
極力喰らわねーようにしてーですが、
喰らいそうなら【存在意義】とかで相殺してーですね

援護は任せましたよ、リュカ
おれは多少なら傷付いたっていい、
『カウンター』『武器受け』とか使いつつ
ダガーで以て闘いましょう

アビ(f11247)とも顔見知りだし、また近くに居たら手くらい振りてーですね

※アドリブ歓迎


リュカ・エンキアンサス
セロお兄さん(f06061)と
とりあえず数が多いうちは銃で応戦
なるべく足元を狙って足場から引っぺがして落とせたらな、とは思ってる
後掴まったり絡まれたりしたら鬱陶しいから、そういう動きをしたやつは早めに攻撃撃ちこんでで排除したい
接近されたらナイフを抜いて応戦
足場は常に気にしておく
こちらも攻撃よりも防衛を優先しつつ着実に数を減らしておきたい構え
…派手な技はセロお兄さんに任せるよ。俺にはしょうにあわない
かっこいいの、期待してるよ

……うん、期待通り
お兄さんがいてくれると楽でいい
…………(淡々と魔法に合わせて攻撃しつつ
…………(攻撃をかわして反撃するように枝を落としつつ
あっ
うん。かっこいいよ。かっこいい



●荒れ狂う山の神々
 巨木のオブリビオン。
 それは本来であればそうお目に掛かれるものではないと言う。
 加えてその姿は雄大な自然そのものであるが故に神と称される事もある。
 曰く、荒ぶる山神。
 しかし希少である筈の巨木オブリビオンは視界を覆い尽くす程の軍勢となり、最早神性の欠片も無く、ただただ恐るべき脅威として猟兵達の前に立ち塞がっていた。
「樹木の魔物ですか。……スケールが大きいですね」
 帽子に付いた葉を指先で払い、茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が小さく呟く。
 オブリビオンには巨大な者も多く、特にアックス&ウィザーズの世界では強力な敵ほど巨大である事が多いが、それでも巨木は飛び抜けて大きいと言える。
 何せ幹だけで数十メートルは下らない。
 人間から見ればそんな巨大な物が動いているだけで恐怖ともなるだろう。
 が、七曜は歴戦の猟兵だ。
 津波の様に押し寄せてくる巨木のオブリビオンを前に、一切の焦りも恐怖も無い。
 ただ淡々と敵を殲滅する事を考え、思考する。
「多勢には分断、行動阻害、各個撃破。それと」
 七曜が確認するように言葉を紡ぎ、じぃと敵の群れを凝視する。
 巨木。だが、シルエットは人に近い。
 根を張ったままの巨木であれば動けるわけも無いが、とは言えわざわざ二足歩行を成しているのは奇妙とも言える。
 加えて両腕の存在。
 頭部は見当たらないが、恐らくは前後の概念も有るだろう。
 感覚器官の有無は分からないが七曜と言う敵の存在を感知しているのは間違いない。
 勿論、巨木は他の巨木には敵対していない。
「人並みの意識が有ると思いましょう」
 七曜が警戒を強め、自戒として口にする。
 ただの植物ではないのは見ての通り。しかして動物ではないのも見ての通り。
 であれば、何が通用するのか、何をしてくるのか、それらを思考し、そして見破って行かなければならない。
「まずは、火の唄を――」
 距離が有るうちに試せるものは試してしまおうと、七曜が歌を紡ぐ。
 緩く両手を広げた七曜の意思を汲み取ったように一対のシンフォニックデバイス『Angels Bit』が左右に陣取る。
 浮遊する小型蒸気機関式拡声器達は、七曜が紡ぐ歌を、その歌声が引き起こす奇跡さえ再現し拡声する。
 響き渡る火の唄の三重輪唱。火と火と火が縒り合されれば生まれ出るは火炎の業歌。
 歌声に震わされた大気が熱を孕み、音速で大木のオブリビオンの間を駆け抜けていく。
 が、
「やはり、生木は燃えにくいですか」
 七曜が予想していた通り、炎に巻かれた巨木の森は末端が焦げ付く事はあれど火を噴き燃え上がる事は無かった。
 生きた樹木の中には吸い上げた水や樹液が含まれている。それは『木』という印象からは真逆と思えるほどに燃えにくい。
 三重輪唱による火炎を以てしても焼き払うには相応の時間が掛かるだろう。
 時間が有れば一掃も容易いとも言えるが、しかし、森は着実に近付いてくる。
「では、次の一曲を歌わせてもらいましょう」
 七曜は小手調べを終えたとばかりにあっさりと歌を止めた。
「間奏は任せてもらうよ」
 その間に、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)が前に出る。
 と言っても、巨木のオブリビオンはまだ先だ。
 既に視界の大半を覆う軍勢は彼我の距離を測り損なうほど遠近感を狂わせるが、リュカは惑う事無く改造アサルトライフルを構える。
 狙うは足下。
 ここは巨大樹の上。枝葉が強固な足場を形成しているとは言え、それは大地に比べれば余りにも脆い。
 猟兵程度の体重ではびくともしないだろうが巨木のオブリビオンを支えるとなると話は別だ。
 リュカの睨み付けたオブリビオンの足下は、明らかに撓み、歪み、軋んでいた。
「落ちてくれないかな」
 その言葉はお願いのようでいて、突き放すかのように冷酷。
 共に放たれた弾丸は緑葉のカーペットを突き破り、絡み合う枝の床板を穴だらけにしていく。
 そこへ巨木が踏み込めば床は容易く踏み抜かれ、数十メートルもの巨体が地鳴りを上げて沈み込んだ。
 流石の巨体ゆえに地面を突き抜けて地上まで落下していくという事は無かったが、その巨体が仇となって後続のオブリビオン達の障害と成り果てている。
「なるほど」
 そんな手が、と七曜が頷く。
 派手なのは性に合わないからね、と言いながら弾丸をばら撒くリュカだが、足場を失った巨木のオブリビオン達は中々派手に転倒したりしている。
 穴に嵌まった仲間をついには踏み越えてくる者まで出始め、なかなかどころかかなり派手な光景になっていた。
 戦闘において地の利を得ると言うのは重要だ。
 今回の依頼では特に舞台が特殊だからこそ地形の利用が効果的でもある。
 リュカが言う通り派手とは言い難いだろうが、一撃で人間を屠れるような怪物を一方的に行動不能にしてみせるだけの効果はある。
 それでも敵を薙ぎ倒すような派手さは無いとリュカは思い、その仕事を別の猟兵へ託した。
「派手な技はセロお兄さんに任せるよ」
「任せてください」
 投げられた言葉を胸を張って受け止めて、セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)も前に出る。
 リュカの足止めで無力化されていくオブリビオンの群れだが、それでも見渡す限りの敵影は減った気など微塵もしない。
 ここらで一撃、強烈なのを見舞ってごっそり削ってやらなければ、そのまま襲い来る大森林に呑まれて終わってしまうかもしれない。
 そんな中でもリュカは軽く言う。
「かっこいいの、期待してるよ」
 と。
 格好良さ。
 戦場におけるそれは、必要ではないが重要だ。 
 仲間の勇姿は士気に関わり、奮起した者は実力以上の力を発揮する。
 ここでセロが目覚ましい活躍を果たせばそれは猟兵達を勢いづけることになるだろう。
 が、リュカはそれをあまり意識してはいない。
 何方かと言うと、他の猟兵ではなく、セロの士気を上げたかっただけだ。
「かっこいいの、ねぇ」
 ふむ、と一瞬思案したセロが、「よし、じゃ、おにーさんが魔法をお見せしましょう」と言い放つ。
 そしてまんまと焚き付けられたセロはリュカより前に立つと両手を眼前にかざした。
「自然にゃ自然で返します」
 風が吹く。
 渦巻く風は水気を含み、轟々と唸りを上げる。
 やがてそれは無数の槍と成る。
 否、それは風の矢。
 流るる水の力を得た荒ぶる風の矢は、弓が無くとも引き絞られ、真っ直ぐに敵勢へと鏃を向ける。
 暴風雨(トルメンタ)。
 その名を戴くユーベルコードが放たれれば、渦巻く濁流と暴風の嚆矢が次々に巨木を撃ち抜いていく。
 砕けた木片が飛び散り、水と風が巨木の幹や枝葉を打ち付ける。
 数えて百にも及ぶ魔法の矢が生み出す衝撃は、まさに暴風雨そのものだ。
 その巨体が災いし、巨木のオブリビオンは荒れ狂う雨と風の暴力をもろに受けて傾く。
 傾けば、その足下がめきりと音を立てて。
「どーです?」
「うん、期待通り」
 セロが問えば、リュカがそっけなく返す。
 その二人の目の前で何体もの巨木が足場を突き抜けて地上へと落ちていった。
 リュカの愛銃で脆くなった足場では、セロの放つ暴風を受け切る事は難しい。
 連携技としては勿論、単純な攻撃としての効果も凄まじく、魔法の矢が直撃した巨木は大きく抉られて時に真っ二つに圧し折られていた。
 リュカはそれを見ながら更に攻撃目標を変える。
 セロの攻撃で倒れる者、足場を崩され動けなくなった者、それらは重ねて狙っていちいち止めを刺す必要はない。
 狙うべきは常に脅威となり得る者。
 その枝葉を撃ち抜き反撃や進撃を遅らせ、足下を撃ち崩して奈落へと叩き込む。
 終いにはセロの暴風雨が足場をも捲り上げ、巨木は面白いように倒れ、突き抜けて落ちていった。
「私も乗らせてもらいます」
 追い打ちを掛けるのは七曜。
 その思考は攻め時を逃さず、更なる作戦と共に新たな詩を歌いあげる。
 それは氷。
 火の唄と一転して全てを凍て付かせる氷結の唄。
 更には二挺拳銃『Pride of fools』まで引き抜き、巨木へ向かって絶え間なく弾丸を撃ち放つ。
 弾丸に込められた属性もまた氷。
 三重唱(トリオ)から五重唱(クインテット)へ。
 まだ残留していた周囲の熱気が跡形も無く消え失せ、その冷たい歌声が、凍える弾丸が、群れ成す巨木の魔物達を極寒の地獄へと誘う。
 真白むほどに凍て付かされたオブリビオンは芯まで凍え、やがて自身の重量に耐えきれず割れ砕ける。
 それを成すのは七曜の唄や銃だけではない、セロの暴風雨が浴びせた水も相乗効果を生んでいた。
「関節はいまいち効きが悪いですね」
 そうした異常気象を引き起こした七曜が唸る。次の狙いは人型故に弱点足り得る関節部への攻撃だったが、骨も肉もハラワタも無い人型樹木には効きが悪かった。
 だが、肘や膝ではなく、腕や脚の付け根は比較的に柔らかいと看破する。
 動かす都合上、どうしても脆く柔らかい部分が必要なのだろう。それを見逃さない七曜は紡いだ歌と放った弾丸で次々と巨木の四肢へ氷の槍を突き刺していく。
 痛覚は無いのだろう。千切れかけの手足をそれでも無理矢理に動かして進む。
 しかし、そんな悪足掻きも猟兵達には届かない。 
「――来るよ、お兄さん」
 リュカが敵を見る。
 敵の、その十秒後の姿を。
 拳を振り上げ、足場の中でも特に太い枝を狙って殴り付ける。
 それは荒ぶる山神が放つ強力なユーベルコード。地を揺るがし、敵の動きを封じる一撃。
 足場はしなやかな枝と葉の塊。距離が有るとは言え、地震が起きれば猟兵達の足下は大きく振動し、立ってはいられなくなるだろう。
 が、リュカの未来視を受けたセロはそれさえ許さない。
「存在意義(ラゾン・デ・セル)」
 へら、と笑うリュカは、振り被った拳を足元へと叩き付ける。
 それは鏡写しのユーベルコード。
 リュカの拳からは生まれるはずもない衝撃が木々を揺るがし、地震を引き起こす。それは全く同じタイミングで同じく地震を引き起こした巨木の元へ向かう。
 超常を打ち消す超常。
 地震がぶつかり合い、衝撃だけを残して相殺される。
 そのぶつかり合いが生じた足場だけが大きく歪み、損傷し、それもまた巨木を突き落とす罠へとなり替わった。
「どーです?」
「…………あっ。うん、かっこいいよ。かっこいい」
「でしょう。そうでしょう」
 もはやそっけないどころか話も聞いていないリュカの返事にもセラがへらりと笑った。
「さすがですが、攻撃が届く距離にまで来ましたね」
 その光景を尻目に七曜が言う。
 一体ずつ攻撃してくるのなら対処も容易だろうが、敵は大群。一斉に攻撃されれば流石にもたなくなる。
 そろそろ打って出なければ。
 三人がそう思った時に、待ってましたとばかりに別の猟兵が飛び出していく。
「あとはよろしく、アビ」
 セロが手を振ると、アビ・ローリイット(献灯・f11247)がハルバードを軽く持ち上げて応えた。
 軋み罅割れた足場を悠々と飛び越えて、颯爽と敵陣へと切り込んでいく。
 敵陣の最前線は三人の攻撃でズタズタになったか足場を踏み抜いて奈落に落ちかけているかのどちらかだ。
「なに食ってそんな育ったの?」
 倒れ伏していても半分穴に沈んでいてもなおアビより巨大な巨木達に向けてアビが言う。
 そのまま駆け寄って勢いを乗せて振るったハルバードの刃がオブリビオンの枝葉を斬り飛ばす。
 それは攻撃と言うよりは攻撃力を殺ぐための妨害、なのだが、アビは一言「剪定してやんねぇとだよな」と今の状況を的確に表した。
 これは剪定だ。
 巨大樹に巣くう邪魔な枝葉を刈り落とす。そうしなければ『虫』がつく、と。
「さぁ刈ってくかな」
 ぶうんっ、と空を切って振り回されたハルバード。重量と遠心力が乗った斧刃は、手を伸ばしてきた巨木の指先を易々と斬り飛ばす。
 二度三度と留まる事なく振り回される斧刃は一閃するごとに巨木の指を、手を、脚をと、次に次にと端を斬り飛ばしていく。
 そうして出来上がったただの丸太を手刀で叩き割り、次の獲物へとアビは走っていく。
「わりかし脆いんだね」
 あっさりと一体を撃破して見せたアビは、その感触から次はもっと簡単に真っ二つにせしめた。
 一息で三度振るわれた斧槍は右腕、左脚、胴体を順番に叩き割る。
 仲間の範囲攻撃のお陰か、思うよりも易々とその巨体を割り砕く事が出来、アビの疾走は更に加速していった。
「っと」
 それを食い止めんと振るわれる巨木の剛腕も、アビは容易く見切ってハルバードで受け流す。
 そうして目の前に晒された隙だらけの幹へ叩き込まれたカウンターの拳撃が巨木に致命的な洞を穿つ。
 傾く樹を蹴り飛ばしながらアビは更に次へと向き直った。
 その矢先、眼前に迫っていた巨木に天からの光が降り注いだ。
 一瞬アビは木洩れ日かと思ったが、次の瞬間には巨木のオブリビオンがボロボロと崩れ始める。
「前衛に立って皆を護るわ。それがパラディンの役目だもの」
 そう言いながら駆け付けたセレナ・アライアンス(青きパラディン・f14452)がそこら中の巨木へと指を突きつける。
 それは威風堂々とした宣戦布告。
 指し示されたオブリビオン達には天より光が降り注ぎ、その身を朽ち果てさせる。
 傍目にはその光景が並木道に降り注ぐ木洩れ日のようで幻想的でさえあるのに、齎すのは死という名の安寧のみ。
 その神々しさに釣られたか、周囲の巨木達や光に焼かれた巨木達はセレナへと殺到した。
「私はここよ!」
 もはや敵の半身すら視界に収まらないほどに至近に詰め寄られてなおセレナは声を張り上げる。
 今の内に、と。
 次の瞬間にはセレナは巨木の剛腕に叩き潰されていた。
 そんな仲間の犠牲の上で、隙を突いたアビのハルバードが幾つもの巨木を薙ぎ倒した。
「うんざりするような迷宮の後にまたうんざりするようなオブリビオン、か」
 そこへ辿り着いた鹿忍・由紀(余計者・f05760)が「探索よりはわかりやすくて良いか」と言って頷く。
 迷宮を抜けて疲れてた、と言う態度をとるも、とくに疲弊している様子も無い由紀は敵勢を見やる。
 見て分かるのは、巨体故の攻撃力が尋常ではないだろうという事。
 叩き潰されたセレナが居た場所は足場に穴が開いたのか、拳を振り下ろした巨木がそのまま動けなくなっていた。
 一撃でこれだ。進撃する森に呑まれてしまえば踏み潰されるだけでぐしゃぐしゃにされてしまう。
「まあ、平気そうだけど」
 と、由紀が動けなくなっていた巨木をダガーで切り刻む。
 あまりの早業に傍から見れば巨木が突然粉々になったかのように映っただろう。
 舞い散る木片と葉の切れ端の中から、足場に減り込んでいたセレナが現れた。
「平気とは言えないわね」
 汚れたわ。と、特に気にした風でもなく言う。
 どんな攻撃だろうと真っ向から受け止める。その奇跡、その超常。
 無敵と呼ぶにふさわしいユーベルコードを操るセレナはかすり傷一つ無い身体で凛と立ち上がって見せた。
 天からの光で敵を焼き、散々引き付けた上で敵の攻撃を完全防御で受け止める。
 パラディンを名乗るセレナの戦い方は最も危険だがそれ故に得られるものも大きい。
「もう一回できる?」
「勿論よ」
 由紀の協力要請に間髪入れずに返し、セレナは再び巨木へと指を突きつけた。
 次の瞬間には由紀の姿が掻き消え、光を浴びた巨木へと突っ込んでいた。
 由紀が叩き付ける様に巨木の幹へとダガーを突き立て、そのままザクザクと抉りながら木に登る。
 欠けた頭部付近まで一気に駆け上れば、そこはちょっとやそっとでは攻撃が飛んで来ない安全圏だ。
 この巨木のオブリビオンはどういう理屈かは分からないが敵と味方を認識し、区別している。
 どうしようもない時は味方を踏み潰したりもするが、無暗に仲間を傷付けるような行動はとっていない。
「いいね。予想通りだ」
 由紀は頷き、ダガーを振るった。
 文字通りの一瞬。
 次の瞬間には既に由紀が斬り付けていたオブリビオンは居らず、ただ大量の木くずが散らばるのみ。
 安全圏から一方的かつ超高速で斬り付ける由紀を止めるには巨木は仲間ごと由紀を殴り付けるしかないが、その判断を下すより先に由紀は何体でも木片という名の骸へとオブリビオン達を変貌させていく。
 同士討ち以外でも由紀を止める方法はある。
 先ずは取り付かれる前に攻撃する事だが、元々鈍重な巨木では由紀の速度には追いつけず、ともすれば頼らざるを得ない範囲攻撃さえ見切られ、第六感までも働かせて回避されていた。
 あるいは取り付かれた巨木が自ら自分の上の敵を攻撃する事も出来る。
 しかしそれを天の光と挑発と言う誘導で妨害するセレナとの連携がはまり、由紀とセレナは次々と巨木を斬り倒していった。
 それに加えてアビが居る。
 時折巨木に握り潰されそうになるセレナだが、アビと七曜が指や手を優先的に狙っているためほぼどつかれるだけで済み、両手で挟み潰された時でさえアビが怪力でこじ開けて救出する。
 セレナの『防御時は動けない』と言う弱点さえ容易にカバーし、三人は無双の勢いで木々を薙ぎ倒していく。
 森林伐採よりも容易く見えて、常人には奇跡とさえ呼べないほどの偉業。
 荒れ狂う山の神々が、たった六人の猟兵にいとも簡単に撃破されていく。
 七曜は前衛三人が動き易いよう、セロの暴風雨に歌で起こした風で指向性を与え、敵を分断していった。
 セロとリュカも前に出て、息の合った連携でさらに多くの巨木を圧し折る。
 アビと由紀が両手足じゃ数え切れないほどのオブリビオンを屠る頃、前衛が邪魔で前へ出て来れなかった巨木達が静かに凍て付き砕け散っていた。
 何体居たかは覚えていない。
 ただ、掃討が終わった時には、森だった筈の場所には見晴らしの良い大自然の展望台が出来ていた。
「UDCアースじゃ怒られちゃうかもね」
 由紀が口にした言葉に猟兵が笑う。
 まああの世界の人々も放置すれば世界が滅ぶ森なんて焼き払うだろうけれど、という皮肉も込みで。

 そうして掃討は完了した。
 ついぞ誰一人血を流す事無く。
 しかしまだ山頂は遠い。
 猟兵達は見上げる。
 雲の中へと突き刺さり、先の見えない超巨大樹の幹を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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●咲け、芽吹け

 花が咲いた。

 それは小さな花だ。
 どこにでも有るような細やかで愛らしい花。
 それだけではない。
 すらっと長い茎に凛とした花も咲いた。
 幾つもの花弁が集まった大きな花も咲いた。
 淡い花も、鮮やかな花も。
 小さな花も、大きな花も。
 儚げな花も、誇らしげな花も。
 咲いた。
 咲いて、
 咲き乱れた。
 それらは超巨大樹の至る所に。
 それらは薙ぎ倒された巨木の上に。
 それらは猟兵達の足下にさえ。
 花が咲く。
 枯れた筈の花が咲く。
 枯れ木の花を咲かすのは、骸の海より出でし竜の灰色の息吹。

 その竜は待つ。
 超巨大樹の頂上で、雲にも遮られる事なく陽の光を浴びながら。
光・天生
高いところの頂上に待ち受ける竜。
まるでおとぎ話ですね。

UCを用いて、飛んでくる花びらを斬り落としながら【ダッシュ】で一気に接近。
全部斬れるとは思いませんし、多少のダメージは覚悟の上です。
狙うは【捨て身の一撃】……手刀を用いた【グラップル】。
届くのであれば、跳躍して翼を。
難しそうであれば、尻尾か、ツノか、爪か。
いずれかの部位を、一呼吸に斬り落とすことを狙ってみます。

手刀のみに拘らず、接近に成功したら蹴りや体当たりで怯ませてみます。
他の猟兵の攻撃、あるいは本命の一撃のため
一瞬の隙を作れれば上々。

――内心では。
摂理を外れた美しさに、見惚れそうにもなる。
でも。
俺は、触れたものを壊すしか、出来ないから。


セレナ・アライアンス
アドリブ歓迎よ。

前衛に立って味方を護るわ。
だって私はパラディンだもの。

受けられるものは「武器受け」で受けていくわ。
可能であれば「2回攻撃」を行うわ。

「かばう」で味方をかばうわ。
負傷している人を優先的にかばうわ。
これぞパラディンの本懐よ。

攻撃は剣とユーベルコードの両方を使うわ。
「ジャッジメント・クルセイド」を使って攻撃するわ。
できれば味方の攻撃と攻撃の合間を縫って攻撃をするわ。
そうすれば敵の行動を阻害できると思うわ。

「誘導弾」や声掛けを使って敵の注意を私に引き付けるわ。
そして必要なら「無敵城塞」で味方の盾になるわ。

「消えなさい!」
「オブリビオンは存在してはいけない!」


茲乃摘・七曜
心情
息吹の竜でしたか…確かにこの場所には似合っていますね

指針
竜の動きへの警戒と動作の初動を抑え込む
※魔物が創り出した花畑に囲まれている状況に警戒
「まずは自由に空を飛べないように…ですが、それからが本番でしょう

行動
唄い編み上げるのは冷気を纏う風の刃
竜の息吹で出来た花畑を刈り取る軌跡で竜の四肢を攻撃
二挺拳銃は仲間を巻き込まないように翼を狙撃
「…竜相手に相手の土俵で戦うのは自殺行為ですよね?

流転
息吹に合わせ口を固定し塞ぐように使用

防御
歌で巨大樹を操り樹の一部を壁として息吹を遮る
舞い踊る花弁で攻撃してきた場合は戦場をまるごと冷気で覆い花弁の破壊を狙う
「少々乱暴ですが…それ以上に竜の攻撃は放置できません


鹿忍・由紀
草木がやたらめったら生い茂ってた理由はこれか。
ようやくオブリビオンらしいのが見つかってホッとした。
帰れる目処が立ったね、一筋縄では行かせてくれないだろうけど。

ユーベルコード暁を使用。周りを花の刃が通り過ぎていく中、足元の花には目もくれず踏み潰しながら歩を進める。
技能「第六感」「見切り」も使い敵の攻撃を避けつつ近付いてダガーでの斬撃「二回攻撃」で戦おう。
息吹を食らわないように顔の正面には立たない。
首とか狙ってたらブレスも吐きにくくなったりしないかな。元々生き物としての急所でもあるけど。
地味な攻撃だけど敵を消耗させてやろう。他の猟兵達もいることだしね。

オブリビオンが消えたらこの花も消えるのかな。


アビ・ローリイット
セロくんすごいすごい
魔法とかそーいうの真似できねぇんだよな
ああ似たようなもんなら?

ドラゴンなんてごちそうだ
繋がれた隙なら活用するし
なんならブレス突っ切るくらいが『気合い』入る(遊びも戦いもハードなほど楽しい)
吹っ飛び回避は『怪力/グラップル』で足場殴って腕で身体縫い留め

ハルバードで竜本体狙うと見せかけ『フェイント』巨木残骸へ【グラウンドクラッシャー】
盛大に巻き上げた葉っぱや花、木切れ巻き込んでの【戴冠式】、炎の豪雨みたく降らせて多少花カッター相殺ついで竜燃えりゃ僥倖
殺いだ一瞬に駆け込めるなら勢い任せ斬りつけ、無理でも誰かに繋げりゃよし
※炎は敵方以外に延焼させない

ここからの眺め
中々悪くねかったよ


リュカ・エンキアンサス
※アドリブ歓迎
セロお兄さん(f06061)と
……感動?
俺にそんな感情があると思うの
敵は敵。仕事は仕事。それだけだよ

後方から銃撃
セロお兄さんの動きには気を配る
あの人はいろんな意味で信用ならないから、危険が迫ってると感じたらこっちで勝手にさっさと排除したほうが効率がいい
ああでも…任されても困るけど。俺は自分の命優先。いざとなったら逃げるから
なにせ攻撃を牽制して、隙を狙ってその眉間に何発か叩き込もう
万が一こっちに接近してきたときには後退しつつ零距離で射撃を継続する

…強敵と戦うのが楽しい、か
そう考えるように教えられたけど
俺には…残念だけど理解できないな


戦闘が終われば見晴らしのいいところで珈琲を飲みたい


セロ・アルコイリス
リュカ(f02586)と

ハジメマシテ──って気がしねーのはアイツが『過去』だからなんですよね
ほらリュカ、感動の再会じゃねーですか
……あぃあぃ、特にココロ躍る回答は期待してねーですよ(苦笑して

戦闘じゃあ前に出ましょう
傷付いたっていい、ダガーをメインに
同じように考えてるヤツ、いるんじゃねーですかね
接近戦する猟兵サンが居りゃ連携してーな

後ろは任せていいんでしょう?
ただ、突破されて後ろのリュカ達に竜が向かうようなら【突風】喚んで食い止めてーですね
うん。逃げてください。
ヒトの形代になれんならおれはそれでいい

終りゃ見下ろせんのは雲海でしょうか
それもそっと楽しみに

※アドリブ歓迎



●雲の海を越えて
 竜。
 アックス&ウィザーズ世界における最上位種。
 花を咲かせ、花より力を得るドラゴン。
 その名を、息吹の竜、グラスアボラスと言う。

 超巨大樹には花の香りが満ちていた。
 森林限界をとうに越え、なお生い茂る緑を覆う色取り取りの花。
 それは雲を突き抜けても途切れないばかりかいっそう辺りを覆い尽くす。
 足下に広がる白い雲の海。
 そこに浮かぶ花畑。
 その中心には、超巨大樹の先端が一本の大樹の様に存在している。
 ――そして竜は、その木の前に鎮座している。
 決して邪悪なドラゴンではない。
 穏やかで、争いを好むような事も無い。
 ただ自身の縄張りを花で満たし、悠々と過ごすのみ。
 だと言うのに、その身がオブリビオンである以上、その存在は緩やかに世界を破滅させていく。
 討たねばならない敵。
 それが互いに分かるのだろう。猟兵達が花畑に辿り着き、彼の竜を見付けたと同時、グラスアボラスもまた猟兵達を見て立ち上がるのだった。
 穏やかなる面持ちに反し、竜である事を知らしめるかのような強大な肉体が起き上がる。
 花に埋め尽くされていたその巨体は、立ち上がってみれば巨木のオブリビオンより遥かに巨大であった。
『ぉぉお――……』
 竜が鳴く。
 低く、か細く。
 それが何を意味するか分からないまま、猟兵達は武器を構えた。
「高いところの頂上に待ち受ける竜。まるでおとぎ話ですね」
 ぐ、と全身のバネを確認するように身を沈めた光・天生(鈍色の天蓋に神は座す・f05971)が言う。
 古今東西、あらゆる世界の寓話は神話に、塔や山の上で待つ竜の話が存在する。
 アックス&ウィザーズの世界には本物のドラゴンが居るが、しかしこの世界にもその類のおとぎ話は存在していた。
 むしろ他世界より身近だからこそ、竜を題材にした話は多い。
 だが、今目の前にいる竜が、お話の結末と同じ末路を辿るかは、猟兵達次第だ。
「帰れる目処が立ったね、一筋縄では行かせてくれないだろうけど」
 ふう、と大げさに息を吐く鹿忍・由紀(余計者・f05760)はそれでも安堵していた。
 目の前の竜が今回の依頼に繋がる元凶だと、一目で分かるからだ。
 木こりの真似事もきりがない。そう、この竜を討たない限りは。
「ドラゴンなんてごちそうだ」
 アビ・ローリイット(献灯・f11247)は対照的に楽しげだった。
 遊びも戦いもハードな程楽しい。だからこそ、アビはこの依頼に馳せ参じたとも言える。
 強敵と呼ばれた竜は、襲い来る津波の如き山の神々より圧倒的なプレッシャーを放っていた。
 だが気圧されるわけにはいかない。
 いや、気圧されるわけがない。
 アビがハルバードを担ぎ、気合を入れる。
 構えた四肢が音を立てて隆起する。気力は膂力となり、獣の様に駆け出したアビは真っ直ぐに竜へ向かった。
 その一歩先を行き駆け抜けていくのは天生。前二人に続き、由紀が花を踏み潰しながら進む。
 相対した強敵。
 真向から向かってくる猟兵に、僅かに首をもたげて、口を開く。
 ――来る。
「駄目です!」
 攻撃の予兆を察した瞬間、三人の耳に大きな声が聞こえた。
 咄嗟に突撃の勢いを殺した三人に向かって、グラスアボラスのブレスが放たれる。
 一息で周囲を薙ぎ払うかのように放たれたブレスを、三人は易々と躱す。
 この程度が躱せない筈がない。真正面から向かう以上この程度のリスクは織り込み済みだ。
 が、躱したはずのなのに、アビはその場で膝を付いた。
「危ないですわ!」
 声が聞こえ、アビの前に居たはずの天生が突き飛ばされる。
 その直後、天生が立っていた場所が「ぼこん」と音を立てて崩れ落ちた。
 見れば、アビの片脚も花畑の向こう側へと突き抜けていた。
「穴……!?」
 驚くアビを見て、由紀が「そういうことか」と歯噛みする。
 由紀が敵の追撃を大きく距離を取って躱すと、躱した先の地面に穴が有り、危うく由紀も落ちそうになっていた。
 直感が物を言った。
 後は、守りに徹したセレナ・アライアンス(青きパラディン・f14452)が庇っていなければ、地上まで落ちていたかも知れない。
「罠を張っていたのか……」
「やはり、手強いですね。皆さん地面にお気を付け下さい」
 先程注意を促した茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は、グラスアボラスの落ち着き払った振る舞いをじっと見つめていた。
 無理な追撃は仕掛けない。やはり、知能が高いのだろう。
 グラスアボラスが仕掛けて来たのは、平たく言えば『落とし穴への誘導』だ。
 攻撃を躱しても足下を崩され、穴に落とされる。
 そして穴はそこら中に在り、それらは花畑により巧妙に隠されているのだ。
 思えばここは超巨大樹の頂上。いかな巨大樹とて、頂上まで来れば枝葉の数や密度はどうしても少なく、薄くなる。
 つまりは先までの様に足場がびくともしないとは限らないのだ。
 それでも先の戦いでは足場を崩し、敵を捕らえることに成功していた。同じ事を敵がやって来ない道理はない。
「息吹の竜は周囲の花から力を得る。だから花畑にも警戒してはいましたが、この様に利用してくるとは」
 敵は竜。
 知能が有るかも分からない巨木とは明らかに違う。
 故に七曜は得意を押し付け打ち破る戦術ではなく、敵の戦略を見破り打倒する戦術を選択した。
 問題は、グラスアボラスと七曜、何方の知略が上かという事。
「前衛に立って味方を護るわ」
 睨みあう竜と七曜を尻目に、セレナが剣を構える。
 仲間を守る事に徹すれば落下自体は避けられる。が、長くはもたないだろう。
 竜の猛攻をまともに受け続ける事は難しいし、どれだけ気を付けていても穴に叩き込まれればそれで終わってしまう。
「厄介ですね」
 迂闊に走り回れば穴に落ちずとも躓きかねない。懐に飛び込むにも無茶や無謀は通じない。
 決死の覚悟は絶対に痛手を与えると言う覚悟。
 だから、より確実な好機を得るまでは走れない。
「それなら俺達から行くよ」
 と、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)が前に出る。
 並び立つのはセロ・アルコイリス(花盗人・f06061)だ。
 グラスアボラスが取った戦術が巨木オブリビオン相手にリュカとセロが取った戦法と同じだというのは、偶然か、あるいは見られていたのか。
 どちらにせよその脅威は二人も、他の猟兵達もよくよく理解している。
 ならばこの状況を打開するのも二人であるべきなのかも知れない。
「ハジメマシテ──って気がしねーのはアイツが『過去』だからなんですよね」
 セロが言う。
 オブリビオンとは、骸の海に棄てられた過去が現在に現れ受肉したもの。
 故に、同種の別固体が現れる事もあれば、全くの同一個体が幾度となく蘇ってくることもある。
「ほらリュカ、感動の再会じゃねーですか」
「……感動? 俺にそんな感情があると思うの」
 肘で小突いて来るセロに「敵は敵、仕事は仕事」とそっけなく言うリュカ。
 そんな態度に苦笑するセロには言わなかったが、リュカは思う。
 以前相対した息吹の竜は、こんなにも大きかっただろうか、と。
「と言っても、良い打開策は無いけどね」
 言いながらリュカが足下に穴が無いか確認し、銃撃の構えを取る。
 同時に、セロは突風(ラファガ)を呼び出し、飛び乗った。
 風纏う白い翼竜。空を駆けるラファガには、足場の悪さなど微塵も関係無い。
「さーいきましょうか!」
 ダガーを握り込み、セロとラファガが飛ぶ。
 本当はラファガは後衛守備に回したかった。が、そうも言ってはいられない。
 七曜が言っていた可能性を加味すれば、まずここでダメージを与えなければならない。
 勿論、こちらにも相応のダメージが有るだろう。
「傷付いたって良いんですよ」
 小さく呟くセロは、真っ向から竜へと突っ込む。
 迎え撃つは竜のブレス。
 それをラファガの纏う突風で押し退け、肉薄したセロがダガーを振るう。
 散る鮮血。されど、竜の巨体に比べれば刻んだ傷の何と小さい事か。
「セロくんすごいすごい」
 それでも最初の一撃を見舞ったセロにアビが声を上げる。
 特にラファガ。
 魔法の類は真似できないとアビは言う。
 だが、鍛え上げ、超常の域に達した武技もまた魔法と同じ。
 それは自然の摂理をも捻じ曲げるユーベルコードとなる。
「援護しますか」
 振り上げたハルバードが竜を狙う。
 セロの突撃で出来た僅かな隙を突く、が、竜はそれを読んでいたかのように易々と武刃を躱した。
 しかしそれがフェイント。
 ハルバードを躱した竜を再びセロが狙う、と思わせておいて、アビの空ぶった一撃が竜の足下へ叩き込まれた。
 読めていた。
 竜の巨体を支えているなら、竜の足下には太く頑丈な枝葉がある筈だと。
 叩き込まれた一撃は埒外の衝撃を生み、竜の足下の枝葉を粉微塵に発破した。
 あまりの巨体ゆえにこの程度では穴に落ちる事は無い。とは言え、突然眼下から噴き上げられた木片の山に、竜は注意を殺がれた。
「焼けな」
 アビがハルバードを振り抜いた体勢で竜を睨んだ。
 その視界に映る無数の木っ端と竜の巨体。
 それらが突然淡いエンジェルブルーの炎に包まれた。
 駄目押しの一手で炎に包まれた竜怯む。
 たたらを踏むような後退が足場を揺るがし、振るわれた爪の一撃が竜胆の花弁を纏ってアビを撃つ。
「まだまだ……ッ!」
 骨が嫌な音を立てる。
 全身がバラバラになりそうな衝撃を受けながら、それでもアビは足場の蔦を握り締めて離さない。
 離されてなるものかと、必死で食らい付く。
「効いてないしなあ……!」
 血反吐を吐きながら見上げたグラスアボラスは、既に纏った炎を掻き消していた。
 水分を含んだ草花は燃え難い。
 加えて雲より高い高度となれば極端に酸素が薄くなる。
 超常たる炎そのものが発現しないわけはないが、そこから生じる延焼までは期待出来なかった。
 ――直接叩き込むしかない。
 踏ん張って吹き飛ばしを耐えたのは正解だったと、アビが気合を入れ直す。
 その隙を突く様に振るわれた爪撃を、横からリュカの弾幕が押し返した。
「長くはもたないから」
 淡々としたリュカの言葉に応じてアビが立ち上がる。
 続く追撃もセレナがその身で受け止めた。
「こちらも長くはもちませんが、守って見せますわ」
 断言したセレナの足がベキボキと鈍い音を立てながら花畑の中に埋まっていく。
 まともな人間が受け止めれば一撃で粉々になる攻撃を受け止めるという事は、いかな猟兵にとっても命懸けの行為となる。
 ましてや相手は巨大なドラゴン。その一撃を防いだとして、今度はその馬鹿げた重量によってじわじわと押し潰されるだけ。
 それを耐えるのもまた、理外の力を持つ猟兵であり、セレナ曰くパラディンの証。
「さあ、消えなさい!」
 セレナが叫ぶと同時に、アビとセロが竜へと斬りかかった。
 突風を纏った急降下からの斬撃。
 地形を変える程の衝撃を伴う斬撃。
 二つの強烈な攻撃に挟まれ、グラスアボラスが血を吐いて傾いた。

●花は赤く染まる
 最初の一撃より数倍深く刻まれた二つの傷にリュカの弾撃が撃ち込まれ、更に竜がもんどりうつ。
 出鱈目に周囲の足場を踏みつければ、その体重と怪力により周囲が滅茶苦茶に揺れ、荒れ狂う。
 周囲の花には血が飛び散り、色取り取りだった花畑が赤く赤く染まっていく。
 その暴れ方に、猟兵達が距離を取る。
 尾も翼も角も爪も、何かが掠ればそれだけで致命傷になりかねない。
 そんな中で動けたのは、後方支援の二人だけ。
 リュカが放つ弾幕が荒れ狂う竜の皮膚に突き刺さり七曜の唄は風の刃と成って竜の前身を切り刻む。
『くぅぅぉぉお――……』
 竜が鳴く。
 鳴きながら振るう攻撃は竜胆の花弁を纏い、花弁は鋭利な刃物と成って周囲に散っていく。
 傍に立つ者全てを無差別に切り刻む、花弁の鎌鼬。
 そんな我武者羅な攻撃に前衛が距離を取った途端、今度は大きく翼を広げて羽搏いた。
「出ましたね……!」
 七曜が一度歌を止める。
 飛行。
 有翼種ならば当然のように使ってくる戦術、高高度からの超遠距離攻撃。
 飛べない者からすれば非常に攻撃し難く、遠距離攻撃も距離と重力の関係で精度も威力も落ちる。
 なにより、最悪取り逃がす恐れがある。
 加えて今回はよりいっそう厄介な問題が有った。
「皆様、足下にもご留意を」
 七曜が言う。
 足下。つまりは、落とし穴。
 花畑に隠された自然の罠は、頭上を飛ぶ竜に集中すると更に見落とし引っ掛かり易くなる。
 当然、上への警戒を疎かにすればまた落とし穴に叩き込まれるだろう。
「今度は飛行ですか……!」
 己が利を最大限活かした戦術だ。
 卑怯でも何でもないが、こうも自分の苦手を突かれるのは歯痒いと、天生が拳を握る。
 それでも焦って先走るわけにはいかない。その時が来るまで振って来るブレスと花弁の刃を叩き落とし続ける。
「さっき以上に三人の負担が大きいな……」
 後方支援に徹する七曜とリュカ、ラファガを駆るセロ。この三人だけが飛行中の竜を問題無く狙え、それ故に攻撃を受け易くなる。
 セレナは下がるが、固まり過ぎれば今度は竜胆の花弁による無差別範囲攻撃の餌食になる。
 そうでなくても振って来るブレスは辺りを穴だらけにし、また、その穴を花で覆い隠していく。
「踏み潰してもきりがない」
 由紀が立ち回りながらも足場を確認する様に花を踏み散らしていくが、その花さえ蘇らせられ、確かめた場所にも新たな穴が開けられていく。
 難敵に過ぎる。
 完全に相手の土俵だ。
 地の利は元々敵に有り、それを崩すだけの準備は出来なかった。
 それでも成し遂げる為に必要な物を、七曜は選択する。
「セレナさん、また護衛をお願いします」
 その言葉にセレナが胸を叩くや否や、七曜は大きく息を吸った。
 紡ぎ放たれるのは風の歌。
 鋭く、冷たく、全てを凍て付かせ切り裂いていく冷気の刃。
 歌声に乗って周囲へ放たれた風の刃が花々を根こそぎ刈り取っていく。
 それだけではない。
 風の刃は渦巻き弧を描き、最後には竜を、その翼を狙って突き刺さる。
 高所による気温の低さが合わさりあまりに冷たく研ぎ澄まされた風の刃は突き刺さった直後に翼を白く凍らせていった。
「――!!」
 竜が鳴く。
 高度を僅かに下げ、再びもがき苦しむ様に。
 しかし痛みに狂ったように見えて七曜を的確に狙った体当たりを仕掛けた。が、それをセレナが真っ向から受け止め、弾き返した。
「この程度の痛みで、情けないですわ」
 衝撃で下半身が埋まりながらも凛と言い放つセレナ。
 そのセレナに防御を任せ、七曜が何度も風の刃を奔らせる。
 竜相手に相手の土俵で戦うのは自殺行為。
 であれば、どうやってでも――どんなリスクを負ってでも、相手を土俵から引きずり降ろさなければならない。
「全く同意です」
 意図を組んだ天生が頷き、走り出す。
 一時的とはいえ、七曜が刈り取り見易くなった足場の上を。
 待っていた。
 ただただこの瞬間を待っていた。
 急接近する天生に気付いた竜は、咄嗟に身を翻す。
 高度が落ちているのはどうしようもない。羽搏いても逃れられない。
 ならばと顔を天生へ向けた竜が息吹を吐き出すが、それでも天生は止まらない。
 元より捨て身。
 此処を切り抜けられねば勝機は無い。
 覚悟を決めた者の前にその場凌ぎの目眩ましなど悪手でしかない。
 全身に花弁の刃を受けながらも跳躍した天生は、欠片も怯まずに右腕を振り上げた。
「――落ちろ」
 振り下ろされた手刀が、
 物理法則を凌駕した一刀が、
 巨大な竜の片翼を根っこから斬り飛ばした。

●命は芽吹く
 轟音が響いた。
 あまりにも巨大なグラスアボラスが墜落した花畑は足場となっていた巨大樹の枝葉ごと抉り取られ、その巨体が半分ほど埋まるような形となっていた。
 落下時の衝撃で甚大な負傷をしたのだろう。竜の周囲は草も葉も花も赤く塗れている。
 好機だった。
 それでも猟兵達が攻めあぐねたのは、落下直後から嵐のように吹き荒れた竜胆の花弁のせいだ。
 無数の花弁の刃。その中に飛び込むのを躊躇ううちに、竜はのそりと立ち上がる。
『――ぐぅぅうあ』
 鳴く。
 いや、唸る。
 低く絞り出すような唸り声を上げたグラスアボラスが、ずし、と猟兵達へと向き直る。
『ぐぅ――……』
 その威容は健在だった。
 鼻と口から血を流している程度にしか損傷も無い。
 もう少し弱ってくれたらと思ったが、脅威は健在。むしろ、
「ここからが本番ですね」
 七曜の言葉に、皆が頷く。
 雰囲気が違う。
 縄張りに入ってきた害虫を捻り潰そうとするようなプレッシャーが、今はただただ皆殺しにしたいという殺意に変わっている。
 虫ではなく、敵として認められた。
 ならばここからがようやく『戦い』となる。
 誰かが息を飲んだ。
 その瞬間、グラスアボラスが咆哮を上げた。
 大気が、木々が、雲海が震え、痺れる程の大咆哮。
 衝撃さえ伴う絶叫は猟兵達を圧だけで弾き飛ばし、押し退ける。
 それだけではない。
 咆哮と共に吐き出された息吹が周囲一帯を薙ぎ払い、再び花畑を生み出し、覆い尽くす。
「……冗談だろ」
 由紀が呟く。
 足下を覆い尽くす花畑。
 それは、見間違いでなければ、此処に到るまでの巨大樹の大半を覆い尽くしていた。
 グラスアボラスの操るユーベルコード、フラワーフィールド。
 吐き出した息吹は地形を花畑に変え、その上に立つグラスアボラスを強化する。
 花畑とは、この超巨大樹頂上付近一帯。
 その上に立つ竜は、片翼を失ってなお、猟兵の前に強敵として立ちはだかる。
「……強敵と戦うのが楽しい、か」
 リュカが呟く。
 よく聞く言葉。アビもその気が有る。
 だが、今この場でグラスアボラスを前にしてより強く実感する。
 俺には残念だけど理解できないな、と。
「来ますわ!」
 ご。
 セレナが構えた瞬間、その身体が宙を舞った。
 幾度となく攻撃に耐え続けた彼女を、ダメージではなく物理的に吹き飛ばして排除するつもりの一撃。
 それをラファガが寸での所で受け止め、地に下ろす。
 その間にも二撃三撃と攻撃は振るわれ、受け止めたアビがベキベキと地面に減り込んでいく。
「これがドラゴンの本気かあ……!」
 怪力、そしてグラップル。
 アビの得意とする零距離の肉弾戦。
 掴んでしまえば膂力と技術でなんとでもなる。
 が、その上を行く埒外は存在するのだと思い知る。
 竜の超重量と超怪力は、ただ振り下ろされただけの一撃でさえ抑え切れない暴力と化す。
 それを防ぎ、身動きが取れなくなったアビに、竜は容赦なくブレスを浴びせた。
「こちらを向きなさいッ!!」
 復帰したセレナが指を突きつけ、聖なる光で敵を焼く。
 気を引く為の怒号、そして誘導弾。更には剣を振るい連撃を刻み込む。
 目論見通り攻撃を引き付けたが、今度はあまりの重量の一撃を浴びせられ、弾き飛ばされる。
「風を――」
『くぅぉあああああ!!!!』
 七曜が咄嗟に紡ごうとした歌を掻き消す咆哮。それは花の刃を齎し、七曜を切り刻む。
 その攻防を囮にして由紀が竜の首に取り付く。
 巨大な竜の首は全体で見れば細い筈なのに象の背に跨ったかのような気になるほどに太い。
 それでも、ここならブレスの影響は最小だと、張り付いた由紀がダガーで首を切り刻んでいく。
「俺もいますよ」
 やっと、間合いに入ったなと。
 天生が手刀を振るう。
 鱗を断ち、肉を裂く感触。
 だが、竜は一切怯まない。
 天生はその摂理を外れた美しさに見惚れそうにもなる。
 陽光輝く天空の花園。そこに棲む大いなる竜。
 挑む事が罰当たりに思えるほどの光景だが、それでも、オブリビオンは討たねばならない。
 いや、最早迷う事も余計な事を考える隙も無い。
 目の前の竜を討つ。
 その為だけに全霊を傾けた。
 瞬間、竜胆が舞う。
 何度も観た広範囲無差別攻撃。
 そして初めて見せる、本気の威力。
 目の前が見えなくなる程の花弁が荒れ狂い、猟兵達が全員呑み込まれる。
 息も出来なくなる程の猛攻を耐え切る頃には全員がズタズタにされていた。
「リュカ、逃げてください」
 セロが言う。
 たまたまだろうが、特に大きなダメージを受けたリュカに。
 ラファガもどうも出来ずに消え失せた。もう一度呼んだとして、次は防げるなんて確証はない。
 セレナさえ無傷とはいかなかった。
 だがリュカは応える。
「勿論。いざとなったら逃げるよ」
 俺は自分の命最優先だから、などと言いながら、武器を構えて。
 まだ、その時じゃない。
 瀕死に陥り、戦場の亡霊さえ呼び出し味方につけたリュカは、なおも退かずに前を見る。
 瀕死でなければ使えないユーベルコードは自身の身代わりとして使うべきなのだろうと思いながらも。
「こりゃーこっちも退けねーですね」
 苦笑を零し、セロもダガーを構え直す。
 リュカと亡霊が弾丸をぶちまけると同時に、セロはその下を潜るように竜へと肉薄した。
 その姿を見て、セレナが肩を震わせる。
 何たる失態。
 何たる体たらく。
 パラディンとは、守る者ではなかったか。
「好い加減になさいッ!!!」
 張り裂けんばかりの怒号と共にセレナは竜へと指を突きつける。
 その指で十字を切れば、天から降り注ぐ強烈な光が竜の顔を十字に焼いた。
 竜が鳴く。
 痛みに声を上げ、怒りに声を荒げる。
 のたうつ竜がその憤怒をぶつける様にセレナへと口を開き向けた。
「少々乱暴にさせていただきます……!」
 その瞬間を、七曜が二挺拳銃を抜いて待っていた。
 ブレスより先に放たれたのは浮遊する魔導弾。七曜を象徴する杭。
 それらは巨大な竜の口腔内に穿たれ、魔術回路を描き出し、封印術式を完成させる。
 七曜の引き起こす超常、『流転』。
 それだけではない。
 七曜が弾丸と同時に放った絶唱は周囲の巨大樹の枝葉を操り、花畑を突き破って壁と成した。
 差し違える心算も無い。ブレスをも封じ、動き自体も封じた七曜は仲間へと呼び掛ける。
 ――今だ。
 荒ぶる息吹の竜の動きが止まる。
 息も、花も、何もかも。
 それはほんの一瞬だった筈だが、その一瞬を誰も見逃さない。
 すかさず懐に飛び込んだ天生は真正面から竜を見た。
「お前に捧げる祈りは、無い」
 言葉と共に天生が手刀を振り上げ、喉元を抉る。
 どこまでも深く、鋭く。
「やり易くなった」
 首の上に立つ由紀も足下の首にダガーを容赦なく叩き込む。
 一撃でも多く、全て渾身の力で。
 リュカと亡霊がぶちまけた弾丸は動かない的と化した竜の顔面を穴だらけにした。
 凄まじき瞬間火力でボロボロになった竜の顔面、その額に、ラファガと共に急降下して来たセロがダガーを叩き込んだ。
 竜の頭が揺れる。
 封印術式が解ける。
 その前に。
 その竜の前に、気合だけで立ち上がった男が立つ。
「今度こそ、燃えっちまえ」
 振り下ろされたのはハルバードによる渾身の一撃。
 額に残ったセロのダガーを打ち付け、頭蓋を叩き割ると、アビはそこに炎を叩き込む。
 青い焔を点す『戴冠式』。
 その名に相応しく、青い焔の冠を戴いた竜は、また鳴いた。
 か細い声。
 最後の吐息。
 その息を吐き切った頃、
 漸く、息吹の竜は息絶えた。

●春の息吹
 戦いが終わり、息吹の竜は花弁となって散った。
 足下で蠢いていた残党、巨木のオブリビオンの気配も同時に消え失せた。
 だが、花畑は残っていた。
 これもやがては散るのだろうが、数日はこのままなのではないかと見て取れる。
 異常だ。
 が、それでも花は咲いていた。
 そんな花を祝福する様に暖かな風が吹く。
 雲の海に浮かぶ花園。その中に残された猟兵達はこの光景を楽しんだりもするのだろう。
 セロは雲海の果てを眺め、リュカはその隣で珈琲を飲む。
 セレナは皆の無事を喜び、天生は幻想的な景色を見惚れる。
 由紀は散らない花を眺め、アビも眺めた景色を悪くないと言って頷く。
 七曜が何とはなしに春の唄を紡ぐ。
 そんなひとときの為だったのかも知れない。
 息吹の竜が最期に咲かせたのは、薄紅色の小さな花。
 花園の中央にある巨大樹の先端は全体が桃色に染まり、それはまるで満開の桜の様に咲いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月03日


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#アックス&ウィザーズ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト