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大いなる帝国を継ぐ者

#スペースシップワールド #ブルーアルカディア #戦後 #プリンセス・エメラルド


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「スペースシップワールドを侵略する猟書家『プリンセス・エメラルド』が、ついに本格的な攻勢を開始しました」
 2020年8月の迷宮災厄戦での遭遇以降、配下の猟書家を引き連れて「帝国継承軍サクセション・フォース」の編成に勤しんできたプリンセス・エメラルド。2年以上にも及ぶ長い暗躍期間を経て、その勢力は恐るべき規模に増強されていた。

「現在の帝国継承軍には旧銀河帝国の残党オブリビオンに加え、漿船クリスタルシップ闇の騎士オブリビオン・フォースナイト、洗脳したクエーサービーストに異世界の魔獣まで、膨大な戦力を保有する、かつての銀河帝国にも迫る大軍勢となっています」
 プリンセス・エメラルドはこの軍勢を率いて、クエーサービースト宙域の外――すなわちスペースオペラワールドに進出しようとしている。彼女の野望はスペースシップワールドのみならず、真にこの宇宙の全てを支配する事のようだ。
「真に致命的な事態になる前に、グリモアの予知が間に合ったのは幸運でした。今から帝国継承軍を瓦解させるには、プリンセス・エメラルド本人を倒すしかありません」
 失われた筈の「帝国継承規約」を用いて銀河帝国の支配権を主張する彼女が倒れれば、帝国継承軍を束ねる大義は失われ、また洗脳されたクエーサービーストも支配から解放される。統一された軍勢は再び残党に戻り、ひとまず宇宙の危機は去るだろう。難易度の高い作戦になるだろうが、やるしかない。

「作戦の第一段階は、継承軍が誇る最強戦力……『闇の騎士オブリビオン・フォースナイト」のひとりである『凶星のレオポルト』を倒し、血路を開きます」
 この男はかつては解放軍の英雄だったと伝えられるが、民衆に裏切られて非業の死を遂げ、オブリビオンと化した後は非道のテロリストに――破壊と破滅を愛する愉快犯と化した。星海を悲鳴と絶望で埋め尽くす、それが闇の騎士に堕ちた彼の悲願なのだ。
「レオポルトは指揮下に大量のオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れを従えており、この戦略的優位を活かしてユーベルコードによる先制攻撃を放ち、そのうえ大量の配下による攻撃をかぶせてきます」
 軍勢全ての戦力を合わせれば途轍もない強敵だが、彼を倒せばプリンセス・エメラルドの乗る旗艦漿船「ソング・オブ・オーンブル」が存在する座標を割り出すことができる。圧倒的不利な状況での戦いとなるが、ここを突破できなければ帝国継承軍の打倒など夢でしかない。

「作戦の第二段階は、敵旗艦『ソング・オブ・オーンブル』を守護する超巨大化モンスター……『力天魔怪獣デュナメス』の撃破です」
 空の世界ブルーアルカディアにて鹵獲され、秘密裏にスペースシップワールドに運び込まれていたこの魔獣は、クエーサービーストの血肉を餌として与えられたことで小惑星サイズに巨大化している。もともと尋常ならざる防御力と凄まじい破壊力を誇る怪獣だが、巨大化によって脅威はさらに増したと言えるだろう。
「今回は奇襲作戦になるので、惑星ロボを持ち込むことはできません。ですので皆様にはご自分の力とユーベルコードのみで、この超巨大魔獣と戦っていただくしかありません」
 クエーサービースト宙域に始めて進出した頃のような、圧倒的スケール差の相手との戦いになるが、逆に言えば過去にも同じ条件の戦いは経験済みとも言える。ブルーアルカディアにはびこる魔獣も、決して倒せない相手ではないことは証明済みだ。

「そして作戦の最終段階は、敵旗艦内部にて『プリンセス・エメラルド』との決戦です」
 敵旗艦「ソング・オブ・オーンブル」は数多くの漿船の亡骸を集めて新造された巨大な漿船クリスタルショップ。猟書家「プリンセス・エメラルド」はそこで猟兵達を待ち構え、迷宮災厄戦の再戦を挑んでくる。オウガ・フォーミュラとして着実に力を蓄えてきた彼女の強さは、前回以上のものだろう。
「プリンセス・エメラルドの能力によって、船内には大量の継承軍がテレポートして駆けつけてきます。この軍勢による全方位攻撃と、自身の先制ユーベルコードの両方を駆使するのが彼女の基本戦法です」
 敵のホームで戦う以上、増援は防げないと考えたほうがいい。プリンセスと配下の両方にうまく対処しなければ、この戦いの勝利は遠いだろう。統率の取れた帝国継承軍をいかにして崩し、プリンセス本人に攻撃を仕掛けるか――この難題をクリアする方法は、各猟兵の発想と能力に委ねられる。

「プリンセス・エメラルドを撃破すれば軍勢は大混乱に陥り、旗艦は大爆発します」
 その後しばらくすれば、プリンセス・エメラルドは「ソング・オブ・オーンブル」ごと再蘇生するが、何度も撃破を繰り返せば二度と復活できなくなると考えられている。これまで猟兵が戦った過去の強敵と条件は同じだ。
「グリモアの予知によれば、プリンセス・エメラルドの蘇生限界は20回程度。帝国継承軍がスペースオペラワールドに進出する前に、それだけ彼女を撃破すれば、この戦いは猟兵の完全勝利となります」
 簡単な事ではないが、多数の猟兵で何度もプリンセス・エメラルドに攻撃を仕掛ければ、決して不可能でもない。本当の勝利に繋げるための一勝を、まずはこの作戦で積み上げる。それが今回の依頼内容である。

「事はもはやスペースシップワールドだけの問題ではありません。宇宙全域の平和のために、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、スペースシップワールドへの道を開く。
 恐るべき脅威と化した帝国継承軍、そして猟書家プリンセス・エメラルドとの決戦の舞台の幕が上がる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回はスペースシップワールドのオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』との決戦シナリオとなります。

 1章は帝国継承軍の最高戦力の1人、闇の騎士である『凶星のレオポルト』との戦闘です。
 戦闘になるとレオポルトは自身のユーベルコードで先制攻撃を放ち、さらに指揮下のオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れによる攻撃をかぶせてきます。
 大軍勢の中に少数で飛び込まざるをえない不利な状況ですが、プリンセス・エメラルドの所在を判明させるにはレオポルトを倒さなければなりません。

 2章はブルーアルカディアで鹵獲された『力天魔怪獣デュナメス』との戦闘です。
 このデュナメスは餌としてクエーサービーストを与えられた結果、小惑星サイズまで巨大化しています。クエーサービーストと同等のサイズの相手と、惑星ロボなしで戦うことになります。

 3章はオウガ・フォーミュラ『プリンセス・エメラルド』との決戦です。
 戦場となる敵旗艦「ソング・オブ・オーンブル」には、プリンセスの力で大量の継承軍が続々とテレポートしてきます。この軍勢による全方位攻撃と、プリンセス自身の先制ユーベルコードに対処しなければ、勝利を収めるのは難しいでしょう。対策を練ったうえで全力で挑んでいただければ幸いです。

 この決戦シナリオが合計「20回」成功すれば、完全にプリンセス・エメラルドを滅ぼすことができます。帝国継承軍は瓦解し、宇宙の平和は守られるでしょう。

 初登場から実に2年以上、長かった因縁もここが決着の時です。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『凶星のレオポルト』

POW   :    元気ないぜ、もっと悲鳴を聴かせてよ
自身が装備する【黄金銃『フォボス』】から【弾丸の雨】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【爆発の連鎖による狂乱】の状態異常を与える。
SPD   :    安心しなよ、楽には死なせないからさ
【白銀銃『ダイモス』から放たれた弾丸】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ   :    さあ、愉しく壊し合おう!
自身が装備する【黄金銃と白銀銃】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。

イラスト:のがわいな

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播州・クロリア
これほどの戦力を揃えるとは…
敵はもう勝ったも同然と考えているのでしょう。
実際、侮蔑や嘲りのリズムを敵側から感じます。
(直立し目を閉じて祈るようなポーズをした後{渦流の旋律}で『ダンス』を始める)
弾丸も艦砲射撃もクエーサービーストの攻撃も
全て私に向かってくると分かっているなら
ダンスのリズムに合わせて『衝撃波』を使った移動で回避するだけ
小さな岩の隙間を流れる水のように踊り避けてみせましょう。
その後はUC【蠱の宴】で鈍くなった敵の包囲を突破し
闇の騎士へ『斬撃波』を纏った蹴りを叩きこみます。
絶望的な戦場は今までにもありました。
この戦いもその一つとして骸の海へ還してあげましょう。



「これほどの戦力を揃えるとは……」
 星々の海を埋め尽くさんとするような大艦隊とクエーサービーストの群れを前に、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は感嘆を禁じ得なかった。長い雌伏の期間を経て、プリンセス・エメラルドが編成した「帝国継承軍サクセション・フォース」。旧銀河帝国なき今、これを上回る軍勢は宇宙のどこにも存在すまい。
「敵はもう勝ったも同然と考えているのでしょう。実際、侮蔑や嘲りのリズムを敵側から感じます」
「へえ、ただの命知らずにしちゃ察しのいい奴だ。ここに来た理由は自殺志願か?」
 彼女の視線の先にいるのは、この艦隊を率いる闇の騎士『凶星のレオポルト』。目深に被った軍帽の下から冷たい笑みを覗かせ、白銀の拳銃を突きつける。この男自身も尋常ならざる実力者に加えて、配下との連携も完璧だ。少人数の猟兵如きに万の一つも勝ち目はない――そう考えるのは当然の事ではあった。

「それが思い上がりだと教えてあげましょう」
 クロリアは直立し目を閉じて、祈るようなポーズをした後でダンスを始める。全てを薙ぎ払い押し流す大渦と、岩の中をすり抜ける水の流れを表現した「渦流の旋律」のリズムに合わせて。傍目には突然踊りだしたようにしか見えない格好に、敵は失笑を漏らした。
「なんだそりゃ。命乞いのつもりか?」
 そんな芸で継承軍の進撃は止められない。レオポルトは躊躇なく白銀銃「ダイモス」の照準をクロリアの脳天に合わせた。放たれた銃弾は的確に標的を破壊する必殺の一撃。闇の騎士に成り果てても、かつての英雄としての腕は錆びついてはいない。

「安心しなよ、楽には死なせないからさ……あん?」
 仕留めた、とレオポルトが思った瞬間、クロリアはわずかに上体を逸らし、白銀の銃弾を紙一重で回避した。
 偶然かと思った敵は、すぐに配下の艦隊とクエーサービーストに指示を出し、総攻撃で畳み掛けようとする。
「まぐれは一度きりさ……って、おいおい、どうなってんだ?」
 だが流星群と見紛う砲弾とレーザーの雨も、小惑星級の大怪獣の攻撃も、クロリアは流水の如くすり抜ける。
 渦の流れは何者にも捉えられず、どんなに強大な力も受け流す。ダンスから得た旋律の力を活かして戦うのが彼女のスタイルだ。

(弾丸も艦砲射撃もクエーサービーストの攻撃も、全て私に向かってくると分かっているなら、ダンスのリズムに合わせて回避するだけ)
 旋律に応じて発生する衝撃波によって、宇宙空間を踊りながら移動するクロリア。小さな岩の隙間を流れる水のように継承軍の攻撃をかいくぐり、敵将レオポルトの元へと少しずつ接近していく。蟻と巨象の如き戦力差でありながら、その蟻一匹を敵軍は踏み潰せずにいた。
「全て踊り避けてみせましょう」
「チッ。あんまり調子に……ッ?!」
 次こそ当てると白銀銃を構えるレオポルトであったが、不意に身体の動きが鈍くなったのを感じる。それは彼だけではなく、艦隊に属する全てのオブリビオンとクエーサービーストが同じだった。クロリアの発動していたユーベルコード【蠱の宴】が、効果を発揮し始めたのだ。

「楽しんでますか? 私は楽しいです」
 クロリアが踊り続ける限り、ダンスと旋律を楽しむ心を持たない者の行動速度は5分の1まで低下する。この隙に彼女は鈍くなった敵の包囲網を突破し、将たる闇の騎士に迫ると、華麗なターンからの蹴りを叩き込んだ。
「ぐおッ……!」
 斬撃波を纏った蹴撃を受けて、レオポルトの軍服が切り裂かれる。直接殴りあえる距離まで近づけば、艦隊も巻き添えを恐れて迂闊には攻撃して来ないだろう。1対1の勝負になれば、遅れを取るつもりはさらさら無い。

「絶望的な戦場は今までにもありました。この戦いもその一つとして骸の海へ還してあげましょう」
「バカな。まさか本気で俺達を潰す気で……ぐあッ!!」
 自らの力で何度も希望を繋いできた実績と自信。それがクロリアの心の芯の一つとなり、蹴りに力を加える。
 全てを受け流す柔の流れから、全てを押し流す剛の流れへと変化したリズムは、邪悪なる闇の騎士を容赦なく打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
希望の依り代にして希望の紡ぎ手たるこの私の前で
世界を絶望で埋め尽くすなどと世迷言をほざく愚か者
絶望に沈むのはあなたです
銀河戦争の際に支給された宇宙服を纏って出撃します

鎖を早業・範囲攻撃でリング状に舞わせ銃撃を防御
その攻撃は「命中したものを破壊する」だけ
鎖を砕けばそこで効果は終わります
連射をしてきても無限螺旋を描く私の鎖が次々にそれを阻むでしょう

さらに身を結界とオーラで二重に包み込んであります
艦隊のセンサーからは結界が、そしてビーストの感覚からはオーラが
それぞれ目隠しになってくれるはず
加えて宇宙の闇に紛れている私を捉えられますか

さあ約束通り絶望を与えましょう
回避も防御もできぬまま塵と化す絶望を



「希望の依り代にして希望の紡ぎ手たるこの私の前で、世界を絶望で埋め尽くすなどと世迷言をほざく愚か者」
 帝国継承軍サクセション・フォースの最高戦力が1人、堕ちた英雄にして闇の騎士『凶星のレオポルト』に向かって、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は辛辣な言葉を浴びせた。どれだけの軍勢をかき集め、歪んだ大望を抱こうと、自分がいる限りオブリビオン共の好き勝手を許しはしない。
「絶望に沈むのはあなたです」
「ハッ。愚か者はどっちだろうね?」
 かつての戦争時に支給された宇宙服を身に纏い、単身出撃してきた彼女を見て、レオポルトは皮肉を返した。
 彼我の戦力差は圧倒的。かつて銀河帝国を打倒した猟兵と言えども、この差をどうにかできるものか。根拠のない希望をへし折ってやろうと、彼は白銀の銃口を向けた。

「安心しなよ、楽には死なせないからさ」
 嗜虐的な宣言と共に白銀銃「ダイモス」が火を吹き、フォースを纏った弾丸が放たれる。たかが拳銃の弾丸と侮ってはいけない――闇の騎士たる彼の攻撃力は、この場にいるどの艦艇の主砲やクエーサービーストをも上回っているだろう。魅夜は108本の「呪いと絆」の鎖をさっと束ね、防御態勢を取る。
「その攻撃は『命中したものを破壊する』だけ。鎖を砕けばそこで効果は終わります」
「へえ、やるじゃないか」
 彼女の周囲をリング状に舞う鎖達が、身代わりとなって銃撃を防ぐ。レオポルトはそれを見て笑い、さらなる連射で畳み掛けるが、無限螺旋を描く鎖の結界は次々にそれも阻んでみせた。この鎖は彼女の武器の中でも最も操り慣れたもの、簡単に攻略できはしない。

「だったら物量の差で絶望するといいさ。やれ!」
 ならばとレオポルトは配下の艦隊とクエーサービーストに攻撃指示を出す。本人の先制攻撃に加えて大艦隊の総攻撃をかぶせられれば、とても鎖だけで耐えきれるものではないだろう。小勢の敵を数で蹂躙することに躊躇のない、無慈悲な戦法であったが――。
「おい。どうした、何やってる?」
『も、申し訳ありませんレオポルト様。我が艦からは目標を捕捉できず……!』
 だが。彼の予想に反して艦隊は攻撃を行わない、もしくはあらぬ方角に砲撃を加えるばかり。この攻撃に備えて魅夜は結界とオーラで自分の身を二重に包み込んでおり、それぞれが敵艦のセンサーとクエーサービーストの感覚を欺くステルス効果を発揮していたのだ。

「加えて宇宙の闇に紛れている私を捉えられますか」
「チッ。奇襲を仕掛ける準備はしてきたってことか」
 結界とオーラの目隠しによって継承軍の捕捉を逃れた魅夜。こうなれば敵は実質的にレオポルト一人だけだ。
 物量で圧倒されなければ、白銀の銃弾は鎖で受けきれる。この間に彼女はユーベルコードの詠唱を紡ぎ、二本の鎖を束ね合わせ始めた。
「風に還れ虚空に消えよ、その意思も存在も、ただうたかたのゆめまぼろし」
 【一切皆空消え果てよ泡沫夢幻】意志を削り自我を奪う心砕きの鎖と、僅かでも触れた物を風化させ塵と化す滅びの鎖が、蛇のように首をもたげる。この二つを組み合わせた連続攻撃は、理論上必中かつ必殺の業と化す。

「さあ約束通り絶望を与えましょう。回避も防御もできぬまま塵と化す絶望を」
「なんだと――……ッぐ、があぁっ!!!?!」
 空間すらも消し去る魔の鎖が、瞬間移動に等しい速さで敵の元に到達し、全身に絡みつき、そして破壊する。
 自分の体が塵となって崩れていく驚愕と激痛から、レオポルトはたまらず絶叫した。絶望や希望という言葉の重さを知らず、誰を敵に回したのかも理解しない愚か者は、どうやら彼だったようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
宇宙の全部を欲しがるなんて、欲張りね。それが命取りになるってことを教えて、あげよう。

さすがに一斉攻撃は防げないから、まずはそよ風の腕輪で姿を、消すよ。レーダーとかで見つかっちゃうだろうけど、こっちを見てくれれば、成功。惑わせる本の景色を見せれば、配下くらいなら混乱させられる、かな。
あの人とか混乱しなかった配下の攻撃は、グリッターハートとソリッドダイヤ、アーデントクラブでオーラのバリアを張って、防ぐよ。これでどこから攻撃されても、大丈夫。混乱した配下の攻撃で銃が壊れたり、反撃の隙を見つけたら、こっちの番。【魔矢】の矢の雨で、あの人も銃も、貫くよ。望みどおり全部、壊しちゃうから。



「宇宙の全部を欲しがるなんて、欲張りね」
 帝国継承軍サクセション・フォースの宇宙侵略を阻止するために、辺境の宙域まで赴いたミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)。『プリンセス・エメラルド』の野望と強欲さが生み出した大艦隊を前にして、彼女はこう語る。
「それが命取りになるってことを教えて、あげよう」
「へえ。そう言うオマエはとんだ命知らずだな?」
 無表情に淡々と、その上ではっきりと告げる彼女とは対照的に、嘲りをありありと込めて言い返すのは『凶星のレオポルト』。継承軍の最高戦力である彼が銃口を向ければ、指揮下の宇宙艦も一斉に砲門を開き、クエーサービーストの群れが牙を剥く。敵は彼1人ではなく、ここにいる艦隊全てなのだ。

(さすがに一斉攻撃は防げないから、まずは姿を、消すよ)
 敵の攻撃が始まる前に、ミアは「そよ風の腕輪」に魔力を込める。すると腕輪から発生した風が彼女の身体を包み込み、その姿を敵の視界から隠した。この宇宙では知られていない、魔法という未知の能力のステルスだ。
『消えた……?!』
「落ち着け。レーダーを起動しろ」
 狼狽える配下に冷静に指示を出し、レオポルトは艦の索敵機能を使って隠密を見破ろうとする。肉眼では捉えられずとも、レーダーや熱源探知、クエーサービーストの超感覚――これだけ多くの"眼"があるのだ。いつまでもコソコソと隠れてはいられまい。

「すぐに見つかっちゃうだろうけど、こっちを見てくれれば、成功」
『発見しまし……たッ!?』
 敵の索敵装置が再びミアの所在を捉えた時、ミアは「惑わせる本の景色」を広げた。ページの中から飛び出してきたのは、トリックアートめいた不思議な風景。よく見れば見るほど見た者を混乱させる、そんな魔力がかかった絵本だ。
『う、うわぁぁぁ?!』「あ、頭がクラクラする……!!」
 彼女の狙い通りにそれを直視してしまった敵は混乱の坩堝に嵌まり、艦隊全体に動揺が広がる。こうなれば指揮官にも統率を取り戻すのは困難だ。どんなに数が多くても、動きがバラバラならそこまで怖がる必要はない。

「チッ。妙な仕掛けを……まあいいさ」
 しかし流石は継承軍最高戦力。レオポルトは騙し絵に惑わされることなく、混乱した配下の代わりとばかりに手に持った銃の複製を作り出し、一斉射撃を仕掛けてきた。黄金銃『フォボス』と白銀銃『ダイモス』、戦神の息子達の名を冠した魔銃から無数の弾丸が放たれる。
「さあ、愉しく壊し合おう!」
「それがあなたの望み、なんだね」
 彼の願望は全ての破壊。かつて自分を裏切ったこの星の海を、悲鳴と絶望で埋め尽くすこと。果てしない憎悪と殺意が籠もった弾丸の雨に晒されたミアは、トランプのスートを象ったマジックアイテム――「グリッターハート」「ソリッドダイヤ」「アーデントクラブ」の3つを浮かべ、オーラのバリアを張った。

「これでどこから攻撃されても、大丈夫」
「やるねえ。だがいつまで耐えられる?」
 慈愛に輝くハート、不屈の意志のダイヤ、燃える勇気のクラブ。3つのスートが結界となって敵の弾丸を防ぎ止める。だがレオポルトも負けじと連続射撃を仕掛け、弾幕の密度でバリアを破らんとする。このまま一方的な状況が続けば、いずれは突破されるだろうが――その時、彼にとって予想外なことが起こった。
『―――……!!!?!?』
「うおッ?! てめぇ、何して……!」
 惑わせる本を見せられて、混乱状態に陥っていたクエーサービーストの一体が、誤ってレオポルトを攻撃したのだ。彼自身は咄嗟に避けたものの、複製した銃が壊され、射撃が途切れる。この時をミアは待っていたのだ。

「今度は、こっちの番。其は無にして全……唯々、貫け」
 反撃の隙を突いてミアが唱えるは【魔矢】。星の海にかかげた「スートロッド」から、何百という数の矢の雨が降り注ぐ。特別な属性や効果を持たない分、鋭利で相性を選ばない無属性魔法――その狙いはレオポルトと、彼の操る銃達だ。
「望みどおり全部、壊しちゃうから」
「ぐッ、やるじゃないか……ぐあッ!!?」
 翻すならそれは、貴方にはもう何も壊させないという宣言。複製の銃はこの斉射で全て破壊され、レオポルト本人も何本もの矢を受けて後退する。矢が刺さった箇所からは、じわりと滲んだ血が白軍服を赤く染めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
ぎょえぇぇぇ!数多い!
両目を回しながら慶喜の後ろに隠れる

『いや落ち着かんかい!』
慶喜に突っ込まれた

敵は私達を嘲笑した

…ゴー
敵の先制攻撃は私のクイックドロウは先制攻撃の弾丸を相殺する
駄目なら慶喜が結界術を貼ってくれている

クェーサービーストとオブリビオン艦隊の攻撃は慶喜の結界術だけでは厳しいので『ヘルパー』による錬金術(爆破と電撃)の弾丸でクイックドロウでオブリビオン艦隊の中心部を落とす

『アルマ!反撃や!』
…分かったわ
UC発動(他の一つは錬金術師士奥義『神速の射撃者』)
同時発動UCは慶喜のライトニングフォーミュラを発動

『落ちろや!』
雷を放つ慶喜

…さようなら
レオポルトにUCをクイックドロウして貫いた



「ぎょえぇぇぇ! 数多い!」
『いや落ち着かんかい!』
 戦闘宙域にいざやって来てみれば、敵の戦力は想像以上のものだった。アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)は女の子らしからぬ悲鳴を上げて目を回しながら同行者の背中に隠れ、その同行者「東・慶喜」にツッコミを入れられている。
「ハッ、こいつはとんだ腰抜けが来たようだ。いや、マトモな神経の持ち主ならビビって当然だな?」
 そんな有様の彼女達を嘲笑するのは『凶星のレオポルト』。彼が率いるのはスペースシップワールドの全域から集められた大艦隊と、小惑星群に匹敵するクエーサービーストの群れだ。銀河帝国なき今、この帝国継承軍サクセション・フォースを超える戦力など宇宙に存在すまい。常人ならば恐怖して当然だ。

「安心しなよ、楽には死なせないからさ」
 皮肉と嗜虐性を隠そうともせずにレオポルトが白銀銃『ダイモス』を撃つ。わざと急所を狙わないのは、長く苦しめて恐怖を味わわせてから殺すためか。この宇宙の全てを悲鳴と絶望で埋め尽くすために、彼は闇の騎士となったのだから。
「……ゴー」
 だが。先ほどの嘲笑で火が付いたのか、アルマは真剣な顔になってアルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』を抜き撃つ。銃の名手である敵と同等、いやそれ以上の速さのクイックドロウだ。放たれた弾丸は敵の弾丸と宇宙空間の虚空で出会い、お互いの威力を相殺する。

「へえ。少しは楽しめそうだ!」
 自分の先制攻撃を防いでみせた少女に、レオポルトは意外そうな笑みを見せ。そして次は指揮下の部隊に攻撃を開始するよう命じる。途方もない数の大艦隊とクエーサービーストの群れが、一斉に砲を向け、牙を剥いた。
「これは慶喜の結界術だけでは厳しいかな」
『当たり前や!』
 事前に張っておいた結界だけでは、この規模の大攻勢を防ぎきることはできない。なら、座して待つより先に仕掛けて数を減らす――もう一度放たれた弾丸はオブリビオン艦隊に飛んでいき、その中心部で爆発と放電を引き起こした。

『なッ、なんだ?!』
 この現象は神秘ではなく錬金術。魔力を持たないアルマが独学で修めた超高度科学技術。この宇宙の科学技術とも異なる理論体系に基いた攻撃は、敵艦隊の動揺を誘うだけの効果があった。総攻撃の足並みを乱せたのは僅かな時間なれど、それでも十分。
『アルマ! 反撃や!』
「……分かったわ」
 慶喜に促されてアルマは【神秘殺しの次元撃】を発動。お手製の「賢者の石」に時空のエネルギーを集めて、概念干渉不可の次元貫通撃を放つ。高度に極まった錬金術による必殺のユーベルコード――これが神秘や魔術に対抗する彼女の切り札である。

『落ちろや!』
 同時に慶喜も【ライトニングフォーミュラ】を発動し、生体電流を束ねたホーミングレーザーを敵軍に放つ。
 この二人の攻撃によって、敵艦隊は大損害を受けた。レーザーで蜂の巣にされた艦隊や、次元貫通撃に撃ち抜かれたクエーサービーストの群れが、次々に轟沈していく。
『レ、レオポルト様ぁぁぁぁ!』
「チッ。仕えない奴らだ」
 配下の悲鳴に舌打ちで返しつつ、レオポルトは再び白銀銃を構える。もう少し楽しみたかったが、流石にもう容赦する余裕は無いようだ。今度こそ心臓を狙って一撃で仕留める。正確無比なる闇の騎士の銃撃は、今だこの宙域で最大の脅威であった。

「……さようなら」
 だが。レオポルトが撃つよりも速く、【錬金術士奥義『神速の射撃者』】を発動していたアルマがトリガーを引く。錬金術と並んで神秘と対抗するために彼女が鍛え上げた射手としての技能――それは闇の騎士の腕前すら上回るレベルに達していた。
「な――……ッ!!?」
『レオポルト様?!』
 まさか、早撃ち勝負で自分が遅れるとは思っていなかっただろう。本気の驚愕を表情に浮かべながら、貫かれるレオポルト。指揮官の被弾により継承軍の混乱と動揺も広がり、戦いはますます猟兵の優勢に傾いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
星海を悲鳴と絶望で埋め尽くす、かあ。その願いは美味しくなさそうだな。

走りながら、先制攻撃を見切って避けるよ。指揮下のオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れの動向も同時に把握して、そちらからの攻撃も見切って避ける。

これは避けられないかも。なら、ファデエフ・ポポフゴーストで回避。
レポルト君の死角で実体化して高速詠唱で魔法の矢を飛ばすよ。

量子化で翻弄しつつ、倒してあげる。



「星海を悲鳴と絶望で埋め尽くす、かあ。その願いは美味しくなさそうだな」
 帝国継承軍サクセション・フォースの闇の騎士『凶星のレオポルト』が、この宇宙にもたらさんとするエンディング。それは美味しい物語を求めて世界を渡るアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)にとっては、あまり食指の動くものではなかった。
「ガキにこの楽しみは理解できないか。ならせいぜい良い悲鳴を上げてくれよ」
 女子供であろうとレオポルトの辞書に慈悲の文字はなく。白銀銃『ダイモス』を突きつけるのを合図として、配下の艦隊とクエーサービーストも一斉に動きだす。獅子は兎を狩るにも全力を尽くすと言うが、彼の場合はただ獲物が怯え、逃げ惑い、絶望する様を鑑賞したいだけだ。

「こんなの怖くないよ」
 アリスは放たれた銃弾の弾道を即座に見切り、躱し、宇宙空間を飛び回る。オブリビオン艦隊とクエーサービーストの動向も同時に把握して、包囲を受けないように、攻撃が手薄なところに駆け込む。これだけ膨大な情報量を並列処理して的確に動けるのは、流石は情報妖精と言うべきか。
「そうら、逃げろ逃げろ!」
 しかしレオポルトも容赦のない追撃で彼女を追い立てる。的確な指揮により配下を駒のように動かし、回避の隙間を埋め、包囲を狭めていく。戦力差は圧倒的なのだ、何も焦る必要はない。弱者の足掻きを笑ってやるのが強者の余裕というものだ。

「これは避けられないかも。なら……」
 とうとう追い詰められたアリスの元に、オブリビオン艦隊の艦砲射撃が降り注ぐ。ただの人間が宇宙戦艦の砲弾など浴びれば、即死どころか死体すら残るまい。勝利を確信する帝国継承軍であったが――ただ1人、指揮官レオポルトだけは違和感を覚えていた。
『やりましたぞ!』
「いや……手応えがない」
 砲弾の雨が降った後にアリスの姿はない。それは消し飛ばされたのではなく、寸前で【ファデエフ・ポポフゴースト】を発動したためだ。自らの身体を量子化し、三次元空間から量子の世界に逃れることで、彼女は危機を脱したのだ。

「それは残像だよ」
「なっ……チィッ!」
 そのままアリスは量子テレポートによりレオポルトの死角で実体化。相手に振り返る暇も与えずに、高速詠唱で反撃を仕掛けた。放たれた魔法の矢が標的の背中に突き刺さり、じわりと滲んだ血が白い軍服を染めていく。
「ただのガキじゃねえとは分かってたが……!」
 余裕を崩したレオポルトは反撃のトリガーを引くものの、アリスは再び【フェアデフ・ポポフゴースト】で銃弾を回避。情報分析による先読みと量子化の組み合わせは、いかな闇の騎士とて捕捉困難だ。無秩序に消失と再出現を繰り返す彼女の動きを、敵はまるで捉えきれていなかった。

「美味しいお話のために、きみ達にはここで終わってもらうよ」
「フザける……ぐあッ!!」
 量子化で翻弄しながら魔法の矢を飛ばし、少しずつ敵の体力を削り取るアリス。捉えどころのない妖精の挙動に惑わされ、レオポルトの負傷はじわじわと蓄積し始めた。このまま焦らずに倒し切る――それは奇しくも敵が考えていたことと同じ。立場は逆転し、物語の風は猟兵達の勝利に向かって流れ始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
●SPD/他御任せ
情報収集でオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れの位置と状態を把握する

オーラ防御と盾受けのキャリーバッグで相手からの攻撃は、防ぐ可能なら他の敵に回り込み敵を盾にする

どれも無理なら第六感で避ける
こっちが行動できたらマヒ攻撃と呪殺弾と範囲攻撃、斬撃波のユーベルコード他はムシュマフ(ユーベルコード)に任せ、状況把握に互換を共有情報して避けれる位置を確認しつつ、メインの相手に2回攻撃、乱れ打ち、マヒ攻撃、誘導弾のブラスターで攻撃

こんな状況じゃなきゃ一騎打ちしたかったんだかな

部位破壊とスナイパーと2回攻撃と暗殺と見切りと第六感を使って相手の頭に打ち込む



「調べの通り、よくもこれだけ戦力を集めたもんだな」
 すぐには戦闘宙域に乗り込まず、オブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れの位置と状態把握に努めていた雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は、その膨大な数に肩をすくめる。とは言え猟兵の攻撃は着実に軍勢と指揮官にダメージを与えており、勝てない相手ではないと現実が証明している。
「ようやくこれからだって時に邪魔をしてくれたな……楽には死なせないからな」
 闇の騎士『凶星のレオポルト』は苛立ちを隠しきれぬまま、白銀銃「ダイモス」の銃口を兼光に向ける。同時に艦隊の照準とクエーサービーストの殺気も一斉にそちらを向いた。まずは、この圧倒的な戦術的優位を覆さなければ、猟兵の牙は奴には届かない。

「さあ、踊れ踊れ!」
「うるさい奴だ。だが腕はいい」
 発射された白銀銃の弾丸を、兼光は「ボディガードキャリーバック」を盾にして受ける。魔法と科学力で強化した特別製だ、自身のオーラで強化すれば十分な強度になる。衝撃で大きく凹みはしたものの、弾が貫通することはなかった。
「さあ、お前らも行け!」
『了解!』
 レオポルトは更に配下の部隊に号令し、飽和攻撃を仕掛けてくる。艦隊の砲弾やミサイルやレーザー、そしてクエーサービーストの異能力の数々が、宙域全体を嵐のように席巻する。流石にこれはキャリーバッグひとつで防ぎきれないだろう。兼光は盾を背負いながら戦場を走り回る。

「デカい船だな」
『なっ、貴様!』
 兼光が目をつけたのは敵艦そのもの。巨大な船体を盾にするように回り込めば、他の連中は攻撃を躊躇する。
 その目論見は概ね上手くいき、艦隊からの攻撃は緩んだが――誤算としては敵の指揮官が、同士討ちを恐れぬ外道だったことか。
「何してる、纏めてやっちまえ」
『れ、レオポルト様……ぎゃぁぁぁ!』
 無慈悲な宣告によって兼光の隠れた艦が撃沈される。しかし、兼光自身は直前で危機を察知して逃れていた。
 反撃に転じるなら今が好機だろう。彼は【災龍招来】を発動し、宇宙に流れる龍脈から炎竜ムシュマフの首を呼び出した。

「ムシュマフの力の一端、見せてやれ」
 知り合いの龍陣忍者に贈られた炎竜の力は、呪力を帯びた火炎放射や斬撃波を放つ牙となって敵艦隊を襲う。
 その威力は周囲にいた敵艦やクエーサービーストを次々に薙ぎ払い、戦場を炎と断末魔に塗り替えていく。
「妙なモンを出してきたな」
『ひ、ひぃっ!』
 レオポルトは舌打ちを、艦隊は悲鳴を漏らしながら撃ち返してくるが、ムシュマフと兼光は互いの五感を共有することで敵の動向を読み、攻撃を避けられる位置取りを行っている。銃弾と砲火の嵐の中、僅かな安全地帯を見抜く彼らの戦術眼は、敵の優位を覆しつつあった。

「こんな状況じゃなきゃ一騎打ちしたかったんだかな」
 残りの継承軍の相手はムシュマフに任せ、兼光は敵将レオポルトを射程に収める。相棒のブラスターを抜き、刹那の早業で二連射撃。暗殺者やスナイパーもかくやという精度で、二発の誘導弾が標的の頭に撃ち込まれた。
「グガッ……?! ッ、畜生が!」
 身体を大きく仰け反らせ、額から血を流すレオポルト。今ので死なないのは流石だが、暫くは頭が痺れて満足な指揮は取れないだろう。敵軍の統率は乱れに乱れ、そこにムシュマフの牙と炎が恐怖を刻みつけていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
解放軍の英雄

善龍の血族とは縁もゆかりも無いクリスタリアンの王女に与すれば、貴方を利用し切り捨てたこの世界への復讐になるとでも?
彼女も「帝国継承規約」で猟兵の矢面に立たせた闇の騎士を使い潰そうとしている
しかしそれも、心得ているかもしれませんが

骸の海に揺蕩う妄執
せめてこの場は今一度の引導を渡しましょう

◆灰燼煉獄衝
弾丸の雨を見切り+武器受けで往なして切り込み
宇宙怪獣の群れと艦砲射撃は拡散シールドを纏う変わり身の術でジャストガード+フェイント
宇宙の闇に紛れて間合いを詰める

破魔+浄化で狂乱の状態異常と抗体兵器の呪いに拮抗
グラップル+焼却の重量攻撃を交差の一瞬に抜き打ち早業+クイックドロウで解き放つ



「善龍の血族とは縁もゆかりも無いクリスタリアンの王女に与すれば、貴方を利用し切り捨てたこの世界への復讐になるとでも?」
 かつての解放軍の英雄にして、堕ちた闇の騎士『凶星のレオポルト』に、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は鋭い語調で問いかけた。この宇宙の全てを否定し、過去も未来もメチャクチャにしてやろうと目論むのなら、プリンセス・エメラルドの計画に乗るのがベストの選択だったのかもしれないが。
「彼女も『帝国継承規約』で猟兵の矢面に立たせた闇の騎士を使い潰そうとしている。しかしそれも、心得ているかもしれませんが」
「ははっ、当然だろ。俺だってあんな女に忠誠を誓っちゃいない」
 その指摘にもレオポルトは動揺せず、皮肉げな笑みと共に殺気を強めるだけだった。性格・信条的に誰かに仕えるような善性を残しているとは思えない彼が、それでもプリンセスに従うのは目的の合致故。帝国継承軍サクセション・フォースという絶大な力が、結果的に己の望みも叶えてくれることを期待してなのだろう。

「最悪、俺は途中でくたばっても良いのさ。この宇宙にいる連中を道連れにできるならな」
 星海を悲鳴と絶望で埋め尽くす――悲願のためなら己の生命も惜しくはない。裏切りによって生命を落とし、オブリビオンとして蘇ったレオポルトの思想は、破滅と憎悪に埋め尽くされていた。継承軍や自分自身さえも巻き込んで破滅の道をひた走らんとする、それはもはや怨念であった。
「骸の海に揺蕩う妄執。せめてこの場は今一度の引導を渡しましょう」
 その拳にてオブリビオンの悪逆を穿つと誓った蔵乃祐が、この者の非道を見過ごす筈もない。姿勢を低くし、赤手『轟虎焔爪』を装着した拳を握りしめ、眼光は真っ直ぐに敵将を睨みつけ。裂帛の気迫と共に走り出した。

「さあ、お前の悲鳴を聴かせろ」
 左手の黄金銃「フォボス」を乱れ撃ち、弾丸の雨を降らせるレオポルト。着弾と同時に連鎖爆発を引き起こすそれは、戦場に狂乱を巻き起こす破滅の礫だ。対する蔵乃祐は五感を研ぎ澄ませて軌道を読み、赤手の甲で弾をいなす。
「ここで止まる訳にはいきません」
「やるな。お前ら、歓迎してやれ!」
 休む間もなく襲い掛かるのは、星屑の如き宇宙艦隊とクエーサービーストの群れ。蔵乃祐はマントに施された拡散シールドを起動するが、その防御力を飽和させる圧倒的な火力が――艦砲射撃と異能力の数々が、大爆発に彼を呑み込んだ。

「死んだか?」
 爆発の中に巨漢が消えていく姿まではレオポルトの眼に見えた。常人なら、いや猟兵であっても、あの攻撃をまともに食らっては無事で済むまい。そう思いながらも彼はまだ、今ので仕留めたとは信じきれていなかった。
「――……ッ! そこか!」
「もう見つかりましたか。ですが十分」
 その警戒は正しく、蔵乃祐は被弾する寸前で変わり身の術を使い、攻撃を回避しつつ宇宙の闇に紛れたのだ。
 レオポルトが察知した時には、すでに肉弾戦の間合いまであと一歩の所まで詰められている。咄嗟に向けられた黄金の銃口から、弾丸の雨が浴びせられるが――。

「これしきの事で!」
 爆発に巻き込まれながら尚も突き進み、破魔と浄化の力で狂乱に耐え、蔵乃祐はついに将を間合いに捉える。
 その腕に装着した赤手は、使用者の生命すらも蝕む呪われた抗体兵器。だが、その呪いとすらも拮抗することで、我が物とした大いなる力が骸世を穿つ。
「吽!」
 交差の一瞬に抜き打ちで解き放たれる【灰燼煉獄衝】。重量を乗せた打撃と生命根絶の超魔炎が、レオポルトの胴体を撃ち抜いた。拳から伝わるのは致命傷の手応え――衝撃で彼は双銃を手から取り落とし、ガフッと吐血しながら皮肉げな笑みを浮かべる。

「……あーあ、ここまでか……まあいいさ。帝国継承軍サクセション・フォースは止まらねえ……骸の海の底から、お前達の悪あがきを見ててやるよ」

 最期まで猟兵とこの宇宙への嘲笑を止めず、闇の騎士『凶星のレオポルト』は魔炎に包まれ消えていった。
 指揮官を失った敵艦隊は大混乱に陥り――この間に猟兵達はレオポルトの残したデータを回収すると、戦場を離脱するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『力天魔怪獣デュナメス』

POW   :    ネオ・デュナメスブレス
【全ての頭】から【破壊属性のブレス】を放ち、【破壊する事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    キングオブデストロイヤー
【全てを破壊する力】【全ての攻撃に耐えうる鱗】【対象のユーベルコードを理解する知恵】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    破壊獣
【全てを破壊する破壊獣】に変身する。変身の度に自身の【頭】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。

イラスト:V-7

👑11
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 帝国継承軍サクセション・フォースが誇る最高戦力の1人、『凶星のレオポルト』討伐を成し遂げた猟兵達。
 彼が残した情報を元にして、一同はプリンセス・エメラルドの乗る旗艦漿船「ソング・オブ・オーンブル」が存在する座標を割り出すことができた。

 それは通常の宇宙船の何倍もあろうかという、壮麗にして巨大な漿船クリスタルシップだった。
 配下の猟書家に命じて回収した、数多くの漿船の亡骸を集めて作り上げた、プリンセス・エメラルドの居城。それと肉薄することに成功した猟兵達は、いざ突入せんとするが――。

『ガオオオォォォォォォッ!!!!』

 その前に現れたのは、小惑星クラスの巨体を誇る一体の魔獣。
 蒼穹の世界、ブルーアルカディアでその姿を見たことのある猟兵もいるかもしれない。あれの名は『力天魔怪獣デュナメス』。天使戦争時兵に作られた、天使化魔獣の成れの果てとも言われる凶暴なモンスターだ。

 元から飛空艇並みのサイズを持つ大型魔獣ではあったが、それでもここまでデカくはない。
 プリンセス・エメラルドはブルーアルカディアで鹵獲したこの魔獣に、クエーサービーストをエサとして与えることで巨大化させたのだ。本来備えていたパワーとタフネスは、そのサイズに比例して更に強化されている。

『ウオオオォォォォォォォッ!!!!』

 今のデュナメスはプリンセスの配下として、帝国継承軍に仇なす全てを破壊する番犬だ。
 対クエーサービースト用に開発された巨大兵器『惑星ロボ』は、今回の作戦では持ち込めなかった。それでも何とかしてこの大怪獣を撃破しなければ、敵の旗艦に乗り込むことはできない。

 決戦に至るまでの最後にして文字通り"最大"の障害。
 蒼穹より来たりし破壊の天使を打ち破るべく、猟兵達は再び戦闘態勢を取った。
播州・クロリア
次の相手は超巨大怪獣ですか
非常に危険ですがこれもよくあることです。
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
私が貴方を恐れていないのは
貴方に意思を感じないからです。
暗闇の宇宙を貫く光のような
強い意志から生まれる力こそ
強大であると私は思っています。
意思は勇気と知恵を生み出し
不可能を穿つ矛と成ります。
それを今から証明しましょう。
(旋律に乗せた『催眠術』による認識阻害で作った『残像』を囮にしてUC【蠱の隠匿】で姿を隠したまま敵に近づき、敵の目にめがけて『衝撃波』を纏った蹴りを叩きこむ)



「次の相手は超巨大怪獣ですか。非常に危険ですがこれもよくあることです」
 まさしく規格外のスケールまで巨大化した『力天魔怪獣デュナメス』を、クロリアは落ち着いた眼差しで見上げる。クエーサービーストを初めとして、自分よりも巨大な敵との戦いはこれまでにも経験してきた。それ1体きりで自分達を止められると思っているなら、心外でさえある。
『ガオオオオオオオッ!!!』
 真空の宇宙に咆哮を轟かせながら、威圧的にゆっくりと近付いてくるデュナメス。ヒュドラの如き多頭に頑丈な装甲と筋肉で覆われたボディは、全てを破壊する【破壊獣】の異名に相応しいが――少女は動じることなく、目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと、再びダンスを始めた。

「私が貴方を恐れていないのは、貴方に意思を感じないからです」
 奏でるは「絢爛の旋律」。蒼天に輝く太陽と、陽光に照らされ輝く大地を表現した、燦々たる栄華のリズム。
 高鳴る鼓動に合わせて身体を躍動させながら、クロリアは鋭い言葉をデュナメスに投げかけた。どんなに巨大な力の持ち主でも、真に恐るべき精神や感情の力をあれからは感じない。
「暗闇の宇宙を貫く光のような、強い意志から生まれる力こそ、強大であると私は思っています」
『ウオオオオオオオオッ!!!』
 その言葉にデュナメスがなんの反応も示さないことが、尚更それが意志なき怪物であると感じさせる。まさに生きた破壊兵器と呼ぶべきか、プリンセス・エメラルドに鹵獲・支配された心なき魔獣は、矮小なる標的に一切の躊躇なく齧りついた――。

『――……オオオッ?!』
 だが。デュナメスの牙が捉えたものに歯ごたえはなく、触れればすうっと姿を消してしまう。それはクロリアが旋律に乗せた催眠術で作りあげた残像。ダンスが始まった時から敵は認識阻害にかけられ、獲物の居所を見失っていたのだ。
「お静かにお願いします」
『オオオオオオッ!!!』
 当の本人は【蠱の隠匿】により発生させたオーラの鎖を自分に絡ませ、透明状態になっている。声はすれども姿は見えず、残像だけが敵の目を惑わせる。現れては消え、消えてはまた現れる幻を相手に、破壊の獣は無意味な暴力を振りかざしていた。

「意思は勇気と知恵を生み出し、不可能を穿つ矛と成ります。それを今から証明しましょう」
 クロリアの用いるダンスや旋律も、意思なき者からは決して生まれなかったもの。芸術を解する心のない怪獣には、それが持つ大いなる力も理解できないだろう。蟲の隠匿に包まれたまま、彼女は踊りながらデュナメスの頭部に接近する。
「どうぞ、その身で味わってください」
「――ッ?! ギャオオォォッ?!!」
 旋律のパワーを足に込め、衝撃波を纏った蹴りを敵の目にめがけて叩き込む。いかに巨大で頑丈な装甲に覆われていても、この部位の脆さは全生物共通だろう。その一点に力を集中させれば、衝撃は眼窩から脳に達する。
 小さくとも強大な「意思」ある者による渾身の一撃が、大いなる天魔怪獣をのけぞらせ、悲鳴を上げさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
軽業…回避に使用する

武器受け…アルマの防御技能

結界術…慶喜の防御技能

クイックドロウ…常に使用

錬金術…爆破で範囲を広げマヒ攻撃で痺れさせる弾丸を作る

同時発動UCはライトニングフォーミュラ

…でか過ぎる
『まじか…』
慶喜と私はあまりの敵の大きさに驚いていた

敵が襲って来たので視力で相手をよく見てから障害物を利用して回避してヘルパーからマヒ弾を発射して反撃

『…不味いでアルマこのままじゃジリ貧や』
あれを使うわ!
『…分かったやろか!』

敵の攻撃は回避して慶喜が矢弾の雨で攻撃してくれた


お前の力を…ぶち殺すわ!
魔術も使えない私が強化人間になった唯一のメリットである神秘の力を無効化する力でぶん殴る!

バキンと音がなった



「……でか過ぎる」
「まじか……」
 数え切れない程の宇宙艦隊を相手にしたと思ったら、次の敵は小惑星サイズの超巨大モンスター。宇宙にそびえる『力天魔怪獣デュナメス』のあまりの大きさに、アルマと慶喜は驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。
『ガオオオオオオオッ!!』
 そんな彼女らの動揺をよそに、敵は容赦なく襲い掛かってくる。ここまで図体に差があれば、肉体全てが凶器のようなものだろう。全てを破壊する力、全ての攻撃に耐えうる鱗――【キングオブデストロイヤー】を発動した彼奴は、その名に相応しい破壊の権化だ。

「来るでアルマ!」
「分かってる!」
 アルマと慶喜は相手の動きをよく見てから、二手に分かれて回避行動を取った。ここは宇宙の真っ只中だが、スペースデブリや小惑星の破片など利用できる地形は沢山ある。それらに身を隠し、時には足場にして、二人は軽業師のように戦場を飛び回る。
『ウオオオオオッ!!!』
「危なっ! 掠った!」
 それでも敵の巨大さはそのままリーチの広さとなるので、避けきるのは簡単ではない。アルマはガンナイフの刃と銃身を沿わせるようにして攻撃を受け流すが、それだけで腕がビリビリ痺れるほどの衝撃が伝わってきた。

「このっ!」
 アルマは反撃のマヒ弾を放つが、デュナメスの動きに大した変化はない。錬金術で調合した麻痺薬を、着弾と同時に爆発で広範囲に散布するようにした特別製の弾丸なのだが、相手の身体が大きすぎて毒性が回りきらないようだ。
『……不味いでアルマこのままじゃジリ貧や』
 慶喜も結界を張って耐えてはいるが、余裕のある状況とはとても言えない。なんとかあのデカブツに有効打を与えられなければスケールの差ですり潰されるだけだ。小さく非力な人間に打つ手はないのか――いや、ある。

「あれを使うわ!」
「……分かったやろか!」
 その一言で慶喜にはアルマが何をする気か分かったらしい。再び向かってきたデュナメスの攻撃を回避して、銃と魔法で矢弾の雨を降らせる。大したダメージにはならないのは承知の上だが、少しだけ気を引ければいい。
『オオオオオオオオオッ!!』
 案の定、デュナメスは鬱陶しげに方向転換して慶喜に攻撃を集中させる。苛烈さを増した猛攻を凌ぎきれず、結界が音を立てて砕け散るが――彼の稼いだ僅かな間に、アルマは【正体不明殺し】の発動準備を整えていた。

「お前の力を……ぶち殺すわ!」
 魔術も使えないアルマが強化人間に改造されたことで得た唯一のメリット。ユーベルコードを含めたあらゆる神秘の力を無効化する力で、彼女はデュナメスをぶん殴った。その瞬間、バキンと何かが割れるような音が鳴って、敵のユーベルコードが解除される。
「今よ!」「おう!」
『ゴアッ?! ゴアアアアアアアアッ!!?!』
 パワーと防御力が素の状態に戻った直後、慶喜の放つ【ライトニングフォーミュラ】が魔獣に突き刺さった。
 流石の超巨大魔獣もこれには堪えたようで、レーザーで穿たれた身体から洪水のように血を流して、のそのそと後退していった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
大きい敵ね!勝負よ!
『気をつけろ!月華!』
朱雀も警戒している

敵UCを発動してからの攻撃は朱雀と共に地形を利用して障害物すら利用して軽業で回避した

同時発動UCは伝説の大妖怪空亡
私のこの世の条理を超える力はお父様でも詳しくは分からない力だが油断なく空亡も召喚する

『燃えろ!怪物…!』

朱雀は焼却と爆撃の矢弾の雨で敵の急所などを攻撃して跳弾で更にダメージを与える

よーし!私も!
朱雀の攻撃に合わせてこの世の条理を超える焔の槍で攻撃した

敵の反撃は空亡の厄災の力で反撃は障害物が当たり寧ろダメージが蓄積する

ありがとう空亡!止めだよ!
止めに私は防御破壊属性攻撃の斬撃波を敵の鱗の防御を無視する攻撃を放ち虹華万暁で追撃



「大きい敵ね! 勝負よ!」
 小惑星クラスの圧倒的巨体に育った『力天魔怪獣デュナメス』を見上げても、花咲・月華(『野望』を抱く?花咲の鬼姫・f39328)は怯まない。強敵との戦いなら上等だとばかりに、瞳に焔を燃やして好戦的な笑みを浮かべている。
『気をつけろ! 月華!』
 彼女の従者である赤鬼の「朱雀」も警戒しているが、ここで奴を倒さなければ先に進めないのは事実。プリンセス・エメラルドの旗艦『ソング・オブ・オーンブル』を守護するように、巨大魔獣は咆哮を上げて襲い掛かってきた。

『ウオオオオオッ!!』
 【キングオブデストロイヤー】を再発動し、圧倒的なパワーと防御力を手に入れたデュナメスは、その巨体にものを言わせて体当たりを仕掛けてくる。技も小細工もないシンプルな攻撃だが、威力は隕石衝突に匹敵する。
『避けろ!』
「うん!」
 朱雀と月華は宙域に散らばっているデブリや小惑星などの障害物を利用して、軽業めいた身のこなしで魔獣の突進を避ける。破壊力は凄まじくても単調な攻撃なら避けられない事はない。とはいえ防戦一方ではサイズの差で押し負けるのは明らかだろう。

「皆に力を! 虹華万暁!」
 そこで月華は【虹華万暁】を発動し、自分と仲間の妖怪達に焔の力を与える。花咲一族に伝わるこの異能は、味方に全てを貫く必中の力を与える。これがあればクエーサービースト級の巨大モンスターにもダメージを与えられるはずだ。
「闇の大妖怪……空亡、来て」
 それでも油断しない彼女は、同時に【伝説の大妖怪・空亡】を召喚。ブラックホールの如き黒い球状の妖怪が宇宙空間に現れ、厄災と闇の力を放ち始める。此奴はただそこに在るだけで敵に不幸をもたらし続ける、恐るべき大妖怪であった。

『燃えろ! 怪物……!』
 反撃の準備が整ったところで、先陣を切るのは朱雀だ。彼の放つ焔の矢弾は【虹華万暁】で強化され、紅蓮の流星群の如く降り注ぐ。それらはデュナメスの巨体に着弾するたびに爆発を起こし、鱗を吹き飛ばしてその身を焼き、障害物に跳ね返ってさらにダメージを与える。
『グオオォォォォッ!!?』
「よーし! 私も!」
 攻撃が通じているのを確認すると、月華も朱雀の攻撃に合わせて焔の槍を投げつける。その矛先には彼女の父にすら詳細の分からない、この世の条理を超える力が宿っている。絶望的なスケールの差も、岩盤のような装甲も無視して、紅き一撃が巨大魔獣を貫いた。

『ギャオオォォッ!! オオオオォッ!!』
 痛手を負ったデュナメスは怒り狂いながら月華達の元に突っ込んでくるが、周囲に漂っていたデブリが壁となり威力を半減させる。空亡の災厄の力が不自然な偶然を引き寄せ、敵に不幸を与えると共に味方を護ったのだ。
「ありがとう空亡! 止めだよ!」
 敵の動きが止まった隙を逃さず、月華は槍を大きく振り回して斬撃波を飛ばす。炎熱を帯びた波動が巨大魔獣の鱗を切り裂き、柔らかい急所が剥き出しになったところ――そこに追撃の【虹華万暁】をもう一度叩き込む。

「これでどうだ!」
『グギャオオオオオオオッ!!!?!』
 条理を超える力を二度も喰らえば、流石の天魔怪獣も無事では済まなかった。月華達の攻撃を受け続けた部位は灰色になるほど焼け爛れ、ダメージの深刻さを物語っている。妖怪達の底知らぬ不可思議な力は、蒼穹の怪物相手にもまったく劣ってはいないようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
常に情報収集と視力で敵の動きを把握する
オーラ防御も貼っている

…退いてもらおうか

私はクイックドロウで敵に呪殺弾で敵に攻撃した

敵のUCを発動した後の攻撃は万能時間覇気のワイヤーを発射して障害物から障害物へ高速移動しながら呪殺弾で攻撃。

UC発動
同時発動UCは怪盗逆行王ラウール

ラウールは怪盗道具の防御貫通属性攻撃のスケイルブレイカー(パイルバンカー)で敵に飛び乗ってドリルで敵の身体を削りながら攻撃して鱗を破壊する

『オォォー!』
オーさんは毒(毒使い)の音響弾で攻撃した

ラウールは『ファントムワールド』(眠り属性攻撃)で敵を眠らせた

行くよ!オーさん!ラウール!
敵に総攻撃をかけた

TheSHOW'S OVER…



「……退いてもらおうか」
 眼前にそびえ立つ『力天魔怪獣デュナメス』を、鋭い眼差しで睨みつけるのはエリュファシオン・アルティウス("やんきー"を目指す『時間逆行』を使う不思議な旅人・f39208)。この先にいる敵将をぶちのめしに行くためには、こいつが邪魔だ――挨拶代わりのクイックドロウで「シャドウ・ガンナイフ」のトリガーを引く。
『オオオオオオオオオッ!!』
 そこらのモンスターなら即死させられる威力の呪殺弾が撃ち込まれるが、あまりの巨大さと分厚い鱗のせいで大したダメージになっていないようだ。寧ろそれは敵をいたずらに刺激し、苛烈な反撃を呼び込む羽目になる。

『グルルルオオオオオオッ!!』
 その巨体に秘められた絶大なパワーをもって、全てを破壊せんと迫るデュナメス。この恐るべき【キングオブデストロイヤー】の攻撃を避けるために、エリュファシオンは付近のデブリや小惑星に「万能時間覇気」を変化させたワイヤーを張り巡らせていた。これを伸縮させることで、彼女は宇宙空間での高速移動を可能とする。
「こっちだ!」
 障害物から障害物に飛び移りながら、敵の動きをよく見極めて銃を撃つ。やはり呪殺弾の通りは悪いが、少しはダメージが入ればいい。本命となる切り札はまた別に用意してある――一人であの装甲を突破できないなら、みんなの力を借りればいいのだ。

「IT'S SHOWTIME! さあ来て! ラウール!」
 エリュファシオンの呼びかけに応えて現れたのは、白いシルクハットと仮面を一体化した顔と4枚の翼、赤いタキシードが特徴的な悪魔――【怪盗逆行王・ラウール】だ。彼は軽快な身のこなしで敵の巨体に飛び乗ると、怪盗道具の1つであるスケイルブレイカーを取り出した。
『グオオオッ!?!』
 ズドンと杭打機の要領で撃ち込まれたドリルが、魔獣の鱗を削り装甲を破壊する。これにはデュナメスも少々堪えたらしく、悲鳴を上げて身体を揺する。地震さながらの振動でラウールは振り落とされてしまったが、彼の与えた傷はくっきりと残っていた。

『オォォー!』
 そこに追撃を仕掛けるのは、エリュファシオンの愛騎でもあるオオサンショウウオ型バイクの『オーさん』。
 彼が口から放つ猛毒の音響弾は、ラウールが破壊した箇所に命中し、鱗を腐食させて傷口を広げる。ちょうど人間ひとり分くらいの空間が、装甲に守られていない完全な急所となる。
『ウオオオオ……ォォ……??』
 怒りの反撃を繰り出そうとするデュナメスだが、そこにラウールが眠りの魔法「ファントムワールド」を使用。束の間のまどろみに敵を誘い、行動を中断させる。相手にこちらの攻撃を理解するだけの知恵があるのなら、これは一度きりにして最大のチャンスだろう。

「行くよ! オーさん! ラウール!」
 この好機を逃すまいと、エリュファシオンは【逆行奥義・総攻撃】を宣言。自身とラウールの銃撃とオーさんの音響弾を、装甲の剥げた急所めがけて一斉に叩き込む。どれだけ巨大に成長しようが肉と血を持つ生物であるならば、護りを失った中身は脆いはず。
「TheSHOW'S OVER……」
『―――……ギャオオォォッ?!!』
 手袋を引き締めてフィニッシュポーズを取るエリュファシオン。その背後で、最悪の目覚ましを食らったデュナメスの絶叫が響く。彼が総攻撃を受けた部位はクレーターのように抉れ、内蔵まで達する深手となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
ブルーアルカディアは一部の世界と繋がっている事例が散見されていましたが、プリンセス・エメラルドもクリスタリアンの最長老を自負するだけはある…
この様な戦力の拡充を行っていたとは

猟兵はあまりにも広大な世界の全容を識らず
猟書家、そしてオブリビオンは骸の海を理解した上での策を弄する

しかし、それでも。
持て得る全ての力を以てことに当たりましょう。
猟兵が猟兵足り得る本質が、単純な強さや知識量だけでは無いことを、証明する!

◆黒影剣
闇に紛れる+切り込みで闇のオーラを纏い、光学迷彩で力天魔怪獣を撹乱
フェイント+見切りで破壊ブレスを躱し、怪力+グラップルを乱れ撃ち+重量攻撃で打ち込む
生命力を奪い徹底的に衰弱させます



「ブルーアルカディアは一部の世界と繋がっている事例が散見されていましたが、プリンセス・エメラルドもクリスタリアンの最長老を自負するだけはある……」
 この様な戦力の拡充を行っていたとはと、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は驚きを禁じ得ない。目の前に立ちはだかる『力天魔怪獣デュナメス』は、サイズこそクエーサービースト級に巨大化しているが、紛れもなくブルーアルカディアのモンスター。それを鹵獲し、自軍に組み込むような力を持っているとは。
「猟兵はあまりにも広大な世界の全容を識らず、猟書家、そしてオブリビオンは骸の海を理解した上での策を弄する」
 予兆や予知という優位性があっても、埋めがたい知識の格差を彼はひしひしと感じていた。未知の能力を持つオブリビオンに対して、猟兵の対応はどうしても場当たり的になりがちである。このデュナメスのような隠し玉も、予期できればもう少しは帝国継承軍サクセション・フォースの戦力を減らせていたかもしれない。

「しかし、それでも。持て得る全ての力を以てことに当たりましょう」
 不幸中の幸いにして、最悪の事態が訪れる前に気付くことはできた。最短ルートで帝国継承軍を突破し、首魁であるプリンセス・エメラルドを倒す。そんな無謀とも思える強襲作戦を現実にできるのも猟兵ならばこそだ。
「猟兵が猟兵足り得る本質が、単純な強さや知識量だけでは無いことを、証明する!」
『ガオオオオオオオオオッ!!』
 並々ならぬ蔵乃祐の気迫に反応してか、デュナメスも咆哮を上げる。その巨体に蓄えられた膨大なエネルギーが、猛獣に似た全ての頭部に集まっていく――だが、そのエネルギーを【ネオ・デュナメスブレス】として発射する前に、彼奴は標的を見失う事となる。

「さて、捉えられますか?」
『……オオオッ??』
 【黒影剣】を発動した蔵乃祐が闇のオーラに覆われ、宇宙の暗黒に紛れ込んでいく。視聴嗅覚による感知を不可能にすれば、この戦場で彼の位置を特定するのは極めて難しい。ユーベルコードの助けも借りた一種の光学迷彩によって、デュナメスは完全に目標の姿を見失った。
『オオオオオッ!!』
 多頭の顎からバラバラの方向にブレスを放つが、そんな闇雲な攻撃で炙り出せる相手ではない。宇宙船を一撃で轟沈せしめるであろう破壊の息吹は、ただ真空を薙ぎ払うばかりであり。蔵乃祐はその乱射を掻い潜って敵の懐まで距離を詰めていく。

「思ったよりは容易に接近できましたね」
 小惑星の如き魔獣の巨体に肉薄した蔵乃祐は、闇のオーラを纏った拳を打ちつける。恵まれた体躯による筋力と体重を乗せた打撃だが、物理的な威力だけを見ればこのサイズの敵を揺るがすほどでは無いだろう。だが、この攻撃の真価は別にある。
『オ、オオオオ……?』
 何度も拳を打ち込まれるうちに、デュナメスは徐々に脱力を感じ始める。【黒影剣】のオーラには触れた敵の生命力を奪う効果があるのだ。これだけ大きければ蓄えられる生命力も多いのだろうが、それでも無尽蔵ということはあるまい。

「徹底的に衰弱させます」
『グ、ゴオオオッ!!』
 一心不乱に闇の拳を乱れ撃ち、敵の生命力を削り取る蔵乃祐。雨垂れ石をも穿つとのことわざ通り、彼の努力は無視できないダメージをデュナメスに蓄積させる事となる。体力を失い悲鳴を上げる魔獣の身体は、それまでよりも一回り萎んだように見えた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
小惑星並みの大きさと絶対防御の鱗ですか
…で、それがどうかしましたか?
悪霊たる私にとって物理的な大きさも防御力も何の意味も持ちません
私が喰らうのは魂なのですから

第六感と見切りを併用し真正面から攻撃を受けることを避けつつ
オーラを身に纏い相手の攻撃に逆らわず受け流していきます
馬鹿力合戦に付き合う気はありませんからね、ふふ
衝撃波を使い細かく軌道を変えながら空中戦の要領で間合いを詰め
UCを発動します

愚かにもあなたは自分のUCで知恵を身に付けてしまった
それがあなたを滅ぼすのです
そう、その幾つもの首が己を喰らいあうという悪夢を
理解してしまったのですからね
智慧がなければ悪夢も見なかったでしょうにね、ふふ…



「小惑星並みの大きさと絶対防御の鱗ですか……で、それがどうかしましたか?」
 敵の強みである圧倒的スケールの優位を理解したうえで、平然とした顔で笑うのは魅夜。ブルーアルカディアに生息するモンスターの中でも、純然たる物理戦闘力に特化した『力天魔怪獣デュナメス』の力は、普通ならば脅威のはずなのだが――彼女とは相性が悪い。
「悪霊たる私にとって物理的な大きさも防御力も何の意味も持ちません。私が喰らうのは魂なのですから」
 肉体的に殺しきれぬ相手なら、心を壊し、魂を殺せばよい。彼女にとっては寧ろそちらのほうが得意分野だ。
 自分よりも遥かにちっぽけな生物が、どうして余裕でいられるのか、デュナメスには理解できないだろうが。

『ガオオオオオオオオオッ!!!』
 【キングオブデストロイヤー】を発動したデュナメスは、咆哮を轟かせながら真正面から襲い掛かってくる。
 全てを破壊する力と全てに耐えうる鱗を持つ者にとって、恐れるものは無いのだろう。事実、その攻撃を正面きって受け止めるのは流石に魅夜も避けたい。
「馬鹿力合戦に付き合う気はありませんからね、ふふ」
 第六感で危機を察知した彼女は、蝶の鱗粉に似たオーラを身に纏い、相手の攻撃の勢いに逆らわず受け流す。
 暴風に揺れる柳の葉のように、その身を打ち砕くことはできず。無重力の宇宙をふわりと漂うさまは優雅でさえあった。

『オオオオオオッ!!』
「無駄ですよ」
 デュナメスは執拗に攻撃を繰り返すものの、魅夜は衝撃波で細かな姿勢制御や軌道変更を行い、空中戦の要領で猛攻を凌ぎながら間合いを詰めていく。より近くで見てみれば、もはや全容が把握しきれなくなるほどの巨体だが、先にも述べた通り対抗策はすでに用意してある。
「魂の一滴までも喰らい尽くせ、その業こそが汝の悪夢」
 【漆黒の夜に舞い踊れ悪夢の麗牙】を発動し、鎖でそっと敵に触れる。正確には触れたのは肉体ではなく魂のほうだ。このユーベルコードは対象の魂に悪夢を植え付け支配下に置く、悪夢の滴としての彼女の特性を如実に現す術のひとつだった。

『オオオオ……?』
 一体何をされたのかと首を傾げるデュナメス。いかにも愚鈍な怪物らしい見た目に反して、この魔獣には敵のユーベルコードを理解するだけの知恵が備わっている。純粋な暴力のみならず知能まで高めるのが【キングオブデストロイヤー】の効果なのだ。
「愚かにもあなたは自分のユーベルコードで知恵を身に付けてしまった。それがあなたを滅ぼすのです」
『グ? オ、オオオオオオッ!!?!』
 だが、今回ばかりはそれが仇となる。魅夜が見守る前で、デュナメスは突如として悲鳴を上げて悶えだした。
 傍目には何も起こったのか分からない。勝手に魔獣が苦しんでいるように見える。状況を完全に理解しているのは、仕掛け人である魅夜だけだ。

「そう、その幾つもの首が己を喰らいあうという悪夢を、理解してしまったのですからね」
 たとえ現実ではない分かっていても、現実と同じかそれ以上の苦痛を精神にもたらすのが魅夜の悪夢だ。自分の多頭が突如として叛逆し、我が身に牙を突き立て、貪り食う痛みを、今のデュナメスは味わっているはずだ。
「智慧がなければ悪夢も見なかったでしょうにね、ふふ……」
『グギャオオオオオオオオッ?!!!』
 愚鈍な獣のままでいれば良かったものを、なまじ半端な知恵など付けるからこうなる。まんまと魅夜の術中に嵌まったデュナメスは、自らが最もよく理解する「己の暴力」によって、魂と心をズタズタにされるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
●SPD/他御任せ
相手からくる先制攻撃は、第六感と見切りで避け、追い詰められないように情報収集で周りを見渡して回避をする

攻撃が当たりそうになったら、オーラ防御と盾受けを利用してキャリーバッグを利用する

わざわざ、他の世界から魔獣を呼び出すとは御苦労な事だ。俺達に倒さるというのに

ユーベルコードを発動して移動力を犠牲に射程を5倍更にスナイパーで距離を広げる

あとは継続戦闘、2回攻撃、乱れ撃ち、傷口があるなら傷口に誘導弾と呪殺弾で傷口をえぐるで追い打ちを忘れずに

攻撃を受けそうになったら防御力5倍にして受け止める、受け止め終わったら射撃5倍にして攻撃し直す



「わざわざ、他の世界から魔獣を呼び出すとは御苦労な事だ。俺達に倒されるというのに」
 これだけ強力なモンスターを鹵獲し、ここまで育てるのはさぞ大変だったろうと、兼光は皮肉を込めて言う。
 クエーサービースト級まで巨大化を遂げた『力天魔怪獣デュナメス』。絶大な破壊力を誇るブルーアルカディアの魔獣だが、この程度の脅威となら猟兵は何度も戦ってきた。
『ガオオオオオオッ!!!』
 そうとは知らぬデュナメスは、全ての頭にエネルギーを溜め【ネオ・デュナメスブレス】の発射体勢に入る。
 故郷では幾多の勇士や飛空艇を撃墜してきたであろう必殺の破壊ブレス。しかし兼光は冷静さを失わずに相手の動きを見ていた。

「来ると分かっていれば避けられない代物ではないな」
 解き放たれた破壊の息吹を、兼光は第六感と見切りのセンスを頼りに回避する。敵の挙動を注視しつつも視野は狭めず、辺りを見渡して情報収集も怠らない。1本の首だけ見ていれば他の首からの波状攻撃で追い詰められる恐れもあるが、彼に限ってはそのようなミスは犯すまい。
『オオオオッ!』
「おっと」
 至近距離を掠めていくブレスには、先程の戦いでも使用したキャリーバックにオーラを纏わせてを盾に。攻撃の勢いが収まるまでは守備に徹して耐えつつ、反撃のタイミングを待つ。しかし彼の武器はハンドガンサイズのブラスターが1丁、このスケールの相手には火力不足にも思えるが――。

「こいつは質量無視で変形できてな」
 そう言って兼光は【Cavalier mode】を発動。自身のブラスターを巨大な人型兵器キャバリアに変形させ、そのサイズに合った専用ブラスターを装備させる。それは元々のハンドガンとは外見からして異なる長いバレるとスコープを備えており、スナイパーライフルに近い形状をしていた。
「これだけでかいと狙いやすくていい」
『ギャオオッ?!』
 操縦席に座った兼光がトリガーを引くと、眩い熱線が標的を捉える。長らく不屈を誇った魔獣の巨体は、激戦により傷だらけとなっており、彼はその傷口めがけて追い討ちをかけるのも忘れない。誘導弾と呪殺弾に傷を抉られたデュナメスは、大きな悲鳴を上げて身悶えた。

『グ、オオオオッ!!』
 痛手を負ったデュナメスは怒りのブレスを放つが、兼光は即座にキャバリアの形状を変更。これまでの射程特化から装甲特化モードに切り替えることで、敵の攻撃を真っ向から受け止める。移動力半減と引き換えに超強化された黒鉄のボディは、破壊の吐息を浴びてもビクともしなかった。
「もう終わりか? なら俺の番だ」
『ギャ、ギャオオオッ!!!?』
 攻撃を受け止め終わったら射撃形態に切り替え、再度攻撃を行う。宇宙の闇を切り裂くブラスターの閃光が、小惑星の如き魔獣の巨体を抉り、貫いていく――その命脈が完全に尽きる時は、もう間もなくまで迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
こんなに大きな怪獣も、いるなんて。だいぶ力を蓄えられちゃってた、みたい。けど強くなったのはこっちも、同じだよ。

大きい相手なら近づいてちょこまか動くのがいいけど、宇宙だと上手く走り回れなくて、きついかも。あっ、目の前に大きな足場が、あったね。
向こうが近づくのに合わせて、ソリッドダイヤを蹴って一気に近づいて、そのまま怪獣の体に、着地。走り回って攻撃を、避けよう。なんか体から棘とか生えてるし、吹き飛ばされないようにしがみついて何とか、張り付く。
疲れて動きが鈍ったら、秘密兵器の、出番ね。【プリンセス・シルバー】で呼び出したロボットで、攻撃。邪魔する悪い怪獣は、必殺パンチでその硬い鱗ごと、吹き飛ばすよ。



「こんなに大きな怪獣も、いるなんて。だいぶ力を蓄えられちゃってた、みたい」
 眼前に立ちはだかる『力天魔怪獣デュナメス』の威容を見上げ、ミアは感嘆と驚きを口にする。アリスラビリンスの迷宮災厄戦から二年以上の歳月をかけて、プリンセス・エメラルドが整えてきた侵攻計画は予想以上だった。配下の猟書家や旧帝国軍の残党だけでなく、まさか別の世界からも戦力を連れてきていたとは。
「けど強くなったのはこっちも、同じだよ」
 あの戦争でプリンセスを逃して以来、猟兵達も何もしていなかった訳では無い。各世界を侵略する猟書家の撃破、恐るべきフォーミュラやそれに匹敵する強敵達との戦争――何度もあった危機を乗り越えて、成長を遂げた自信が彼女にはあった。

『ガオオオオオオオオオッ!!!』
 その巨体を威圧的に震わせながら、咆哮と共にデュナメスが迫る。【キングオブデストロイヤー】の異名をとる絶大なパワーは全てを破壊し、その全身を覆う鱗はあらゆる攻撃に耐えうる。何より規格外のスケールの差を鑑みると、こちらも戦い方を考える必要があるだろう。
「大きい相手なら近づいてちょこまか動くのがいいけど、宇宙だと上手く走り回れなくて、きついかも。あっ、目の前に大きな足場が、あったね」
 ミアは落ち着いた様子でそう呟くと、相手が近付いてくるのに合わせて「ソリッドダイヤ」を一蹴り。堅固なマジックアイテムを踏み台にして自分から距離を詰めると、そのまま怪獣の体に着地した。ごつごつした鱗と外皮に覆われたその体躯は、乗ってみると本物の小惑星のようだ。

『ウオッ? オオオオッ!』
 表皮にこそばゆさを感じたデュナメスは、巨象が蟻を叩き落とすように、四肢や多数の首でミアを攻撃する。
 しかし広々とした足場を得た彼女は持ち前の健脚をもって敵の体の上を走り回り、攻撃を回避する。不思議の国でオウガから逃げていた頃から、変わった地形や環境には慣れたものだ。
「小さすぎると捕まえづらい、よね」
『ググググ……オオオッ!!』
 デュナメスからすればミアはちっぽけな虫けらのようなもの。だからこそ機敏に動き回る彼女を捉えられず、苛立ちばかりが募っていく。それなら無理やり振り落としてやろうと、全身をブンブンと揺さぶっても――。

「なんか体から棘とか生えてるし、これくらいなら、平気」
 ミアはデュナメスの体の突起部などを利用して、吹き飛ばされないようにしがみつく。大地震さながらの振動に見舞われても、彼女は落ち着いて対応ができていた。どんなに抵抗が激しかろうが、ぴったりと張り付いて敵から離れない。
『グオオ……オォ……』
 そうしている内に先に疲れてきたのはデュナメスの方だった。これまでの戦闘でダメージを負い、疲労が蓄積していたのもあっただろう。敵の動きが鈍ってきたのを感じると、ミアは掴んでいた棘から手を離し、いよいよ反撃に打って出る。

「秘密兵器の、出番ね」
 スートロッドをひと振りして、召喚するのは魔法金属ロボット【プリンセス・シルバー】。見た目はおもちゃのロボをそのまま大きくしたようだが、その実は自在に姿を変えて主の敵を討ち倒す、驚異の魔導兵器である。
「邪魔する悪い怪獣は、必殺パンチでその硬い鱗ごと、吹き飛ばすよ」
 彼女の言葉に合わせて銀色のロボットは大きく拳を振りかぶり、足元のデュナメスに渾身の一発を叩き込む。
 彼我のサイズ差はまだ歴然とある。しかしあらゆる防護を無視するその一撃は、邪悪なる破壊者を破壊する。

『グオオオオオオオ――――ッ!!!!!!』

 鱗を打ち砕く激しい衝撃。この攻撃が止めとなって、力天魔怪獣デュナメスは断末魔の絶叫を上げた。
 その巨体は宇宙空間で活動を停止すると、静かに崩壊を始め――後には天使核のみを残して消滅を迎えた。



 これで、プリンセス・エメラルドに挑む最後の障害は消え去った。
 猟兵達は決戦の舞台、巨大漿船『ソング・オブ・オーンブル』に突入する――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『猟書家『プリンセス・エメラルド』』

POW   :    プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD   :    侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

イラスト:鶸

👑11
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 全ての障害を打ち破り、帝国継承軍旗艦『ソング・オブ・オーンブル』に乗り込んだ猟兵達。
 幾多の漿船クリスタルショップの残骸から作り上げられたその宇宙船の内部は、まるで巨大な宮殿のようでもある。或いはその通りなのかもしれない――ここは、新たな宇宙の支配者にならんとする者のために、設えられた玉座なのだから。

「あと一歩……あと一歩の所でしたのに。やはり、最後に立ちはだかるのはあなた達なのですね」

 巨大漿船の中枢にて猟兵を待っていたのは、壮麗なドレスに身を包んだクリスタリアンの女性。
 迷宮災厄戦で一度相対した猟兵もいるかもしれない。彼女こそがスペースシップワールドを侵略する猟書家の首魁『プリンセス・エメラルド』だ。

「アリスラビリンスでも、この世界に来てからも、あなた達はたびたび私達の計画を妨げてきました。ですが、今回は私も譲れません。私の望みが叶うまで、あと一歩なのですから」

 銀河皇帝が遺した『帝国継承規約』をもって、この宇宙の全てを支配する。
 そのためにプリンセスは配下を動かし、猟兵に作戦を妨害されながらも数年に渡って力を蓄え続けた。
 そして今や彼女の帝国継承軍は、スペースシップワールドを超えてさらなる外宇宙、スペースオペラワールドまで進出しようとしている。今、この時こそが彼女の野望を阻めるか否かを決める、最後の分水嶺なのだ。

「始めましょう、私とあなた達の最後の戦いを……そして、この宇宙の新たな時代を告げる戦いを!」

 プリンセス・エメラルドが高らかに宣言するのと同時に、船内に多数の継承軍兵士がテレポートしてくる。
 この軍勢は彼女が健在である限り、銀河中から無尽蔵に駆けつけてくるだろう。大勢力による全方位からの攻撃と、プリンセス・エメラルド自身の先制攻撃。この2つを攻略しなければ勝機はない。

 果たして猟兵達はアリスラビリンス以来の因縁に決着をつけ、この宇宙の平和を守ることができるのか。
 あの当時よりも遥かに力をつけたプリンセス・エメラルドとの、決戦の火蓋がここに切って落とされた。
播州・クロリア
その「あと一歩」を進ませるわけにはいきません
力と恐怖による支配の再来など
この宇宙には不要です
(肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いた後{霹靂の旋律}で『ダンス』を始める)
あまり時間を掛けてはいられません
一瞬で決めます!
({蜂蜜色の陽炎}を身に纏い『衝撃波』を使ったダッシュで兵士たちの攻撃が届く前にプリンセス・エメラルドの目の前に飛び出すと、陽炎での『オーラ防御』と両腕で掴んでの『怪力』と『念動力』で皇帝乗騎を無理矢理押さえこむ)
がぁぁ!ぐっ!砕けろぉ!
(そのままUC【蠱の足】で蹴りと共に『斬撃波』を叩きこむ)



「その『あと一歩』を進ませるわけにはいきません」
 宇宙征服に王手をかけた『プリンセス・エメラルド』に、毅然と言い返すのはクロリア。奴の野望を阻止するために、自分達は帝国継承軍サクセション・フォースを突破してここまで来たのだ。諦めるという選択肢は、最初からありえない。
「力と恐怖による支配の再来など、この宇宙には不要です」
 忌まわしき銀河帝国の時代に、時計の針を巻き戻させはしない。宇宙の民の自由と平和を双肩に負い、彼女は再びダンスを始める。肩幅ほどに足を開き、深く息を吐きながら全身の力を抜いていき――完全な弛緩から瞬発的に全身を躍動させる。奏でるリズムは「霹靂の旋律」だ。

「意気込みだけでこの私を止められるとは思わぬことです。全軍、攻撃を開始しなさい!」
 【侵略蔵書「帝国継承規約」】から召喚した皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに乗って、緑玉のクリスタリアンが悠然と告げる。その号令に応じて動きだすのは、艦内に呼び出された帝国継承軍の兵士達だ。膨大な規模を誇る大軍からの包囲攻撃は、いくら猟兵でも倒し切るのは容易ではない。
「あまり時間を掛けてはいられません。一瞬で決めます!」
 長期戦に益はないと判断したクロリアは、プリンセス・エメラルドただ一人に標的を絞って走りだした。全身に蜂蜜色の陽炎を纏い、足元から発生させた衝撃波を推進力に変え、弾丸の如き勢いで敵陣に飛び込んでいく。

「なっ?!」「なんだコイツは!」
 あまりにも迅速で力強いクロリアの前進に、戸惑ったのは継承軍の兵士達だ。彼女が奏でる霹靂の旋律とは、瞬く間に広がる雷光と、心を怯ませる轟音を表現したもの。黄金色に煌めく疾走の軌跡に誰もが稲妻を連想し、攻撃が届く前に駆け抜けていくのを見送るしかできない。
「エメラルド様!」
「狼狽える事はありません」
 唯一プリンセス・エメラルドだけは動揺せず、自分の目の前に飛び込んできた少女に自分から突進をかける。
 皇帝乗騎の先端に搭載された衝角が、彼我の相対速度を乗せて激突する。一瞬意識が飛びかけるほどの衝撃がクロリアを襲った。

「がぁぁ! ぐっ!」
 それでもクロリアが轢き倒されなかったのは、陽炎のオーラが障壁となってダメージを軽減したから。ぐっと歯を食いしばって衝撃に耐えた彼女は、両腕でがしりと皇帝乗騎を掴み、怪力と念動力で無理矢理押さえ込む。
「なっ……放しなさい!」
 プリンセスもこれには驚いたか、慌てた顔で後退しようとするが、万力のような力で押さえつけられた乗騎はビクともしない。こんな強引な手段が通じるのはこれ一度きりだろうが、その一度でチャンスを掴み取ったクロリアは、そのまま足を鞭のようにしならせて――。

「砕けろぉ!」
 【蠱の足】から繰り出される蹴りと衝撃波が、皇帝乗騎とプリンセス・エメラルドに叩き込まれる。逃げられなかった敵はバキンと硬いものが砕けるような音を立てて乗騎からふっ飛ばされ――即座に体勢を立て直すも、宝石でできた身体にはヒビが入っていた。
「この私に傷を……やはり猟兵、侮れませんか」
 大願成就まであと1歩という所まで来ても、やはりこの者達こそ最大の障害になるのだと再認識した彼女は、表情を引き締める。燃え上がるような蜂蜜色の闘志と、射竦めるようなクロリアの眼光を視界に収めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・月華
朱雀!キャバリアモードよ!

『キャバリアに戻るのは久しぶりだな』
朱雀はキャバリアに戻り私は乗り込み迷彩を使用し光遮と匂い断属性(属性攻撃)を付与して体温と匂いを遮断する
オーラ防御は常に発動する

情報収集で敵の位置と砲弾の位置を確認する

敵の先制UCはぎりぎりまで引き付けて推力移動で回避して動力部分に呪殺弾と弾幕で攻撃する

全方位攻撃は情報収集で敵の砲弾の位置や場所を確認して攻撃の隙間を探して通り抜けながら矢弾の雨を周りに放つ

凌いだら反撃開始よ!
UC虹華万暁発動
同時発動UCは花咲流・鬼姫の眼

キャバリアから元々付いていた槍に焔を纏わせて敵に攻撃する
地形を利用して矢弾の雨を周りに放ち次々と敵を落としていった



「朱雀! キャバリアモードよ!」
『おう!』
 ついに相まみえた帝国継承軍の首魁を前に、月華は己が従える最大戦力の封を解く。主からの「お許し」を得て立ち上がったのは、これまで共に戦ってきた朱雀だ。彼の全身から赤い妖気が焔のように吹き上がり、それは翼の生えた巨大な人型に彼の姿を変えていく。
『キャバリアに戻るのは久しぶりだな』
 遠い昔、幽世に流れ着いた異世界の戦闘兵器。鳳凰キャバリア・朱雀――これが彼の本当の姿だ。初代の頃から花咲一族に仕えてきた愛騎のコックピットに、今代の花咲の鬼姫が乗り込む。帝国継承軍サクセション・フォースの首領、プリンセス・エメラルドに挑む準備は万全だ。

「奇妙な機動兵器を出してきましたね。面白い」
 異世界の魔獣をも従えていたプリンセス・エメラルドは、この宇宙にはない兵器であるキャバリアの興味を持ったようだが、だからこそ警戒して攻撃の手を緩めなかった。【侵略蔵書「帝国継承規約」】から召喚した皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに騎乗して、猛スピードで先制攻撃を仕掛けてくる。
『敵機接近!』
「回避!」
 キャバリア形態時の朱雀はサポートAIとして、戦場の情報を集めて搭乗者の操縦をサポートする。モニターに表示された敵と砲弾の位置を確認した月華は、ぎりぎりまで引き付けてから一気にレバーを引いた。鳳凰の翼が生みだす推進力と瞬間加速で、敵の攻撃から身を躱す。

「お返し!」
 すかさず月華は敵機の動力部分をロックオンして反撃を仕掛けた。すれ違いざまに放たれる呪殺弾の弾幕が、皇帝乗騎にヒットする。乗騎のボディから黒い煙が上がるのを見て、プリンセス・エメラルドが顔をしかめた。
「やりますね。ですが、まだです!」
「「うおおおおおおおっ!!」」
 彼女の攻撃を凌いでも、まだ継承軍の兵士達がいる。主の危機を救わんと、生命惜しまぬ覚悟で向かってくる精兵の全方位攻撃は恐るべき脅威である。朱雀のコックピットのレーダーが、攻撃の反応で真っ赤に染まった。

『気をつけろ、月華!』
「わかってる!」
 月華はレーダーの反応を頼りに攻撃の隙間を探して回避機動を取る。オーラによる装甲強化があるとはいえ、集中砲火を浴びていればこのキャバリアも危なかったかもしれない。しかし彼女の施した迷彩の術は、敵の目にこちらの姿を見えづらくし、さらに機体が発する熱や匂いを遮断する効果もあった。
「くっ、レーダーの照準がブレる……」「熱源反応なし? どうなっている!」
 継承軍の最新鋭機器も惑わせるほどの高度な術のおかげで、月華と朱雀は辛くも窮地をすり抜ける。お返しとばかりに弾丸の雨を周りに放ちながら、プリンセス・エメラルドの乗騎に接近。少女はコックピットの中で瞳をめらめらと燃やしながら、倒すべき敵を見据えていた。

「反撃開始よ!」
 【虹華万暁】と【花咲流・鬼姫の眼】を同時発動した月華は、キャバリアに搭載されている槍に焔を纏わせて攻撃を仕掛ける。本気を出した彼女の五感は極限まで研ぎ澄まされ、全てを尽くして勝利の道を導きだすのだ。
「くっ……?!」
 まるで未来予知のような精度で動きを予測し、放たれた焔槍の一突きがプリンセス・エメラルドを刺し貫く。
 この世の条理を超越する灼熱をその身に受けた彼女は、彫像のように端正な顔立ちを苦痛に歪めて後退する。

「いかん、プリンセスをお守りしろ……ッ?!」
「まだまだ終わりじゃないよ!」
 慌てた継承軍が攻め込んでくるが、月華はその動きさえも予測して呪殺弾の雨を降らせ、次々に敵を落としていく。戦場の地形と敵の位置を全て把握した彼女のキャバリアは、隙のない動きで敵旗艦内を飛び回っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリュファシオン・アルティウス
さあ…行こうかオーさん

『オォォー!』
オーさんもやる気十分だね

常に迷彩とオーラ防御を使用する

敵の先制UC対応策は
周りの障害物を利用してスタイリッシュ(軽業)に回避しながら万能時間覇気のワイヤーを障害物に放ち敵の距離を離して回避する


何も全てを相手にする必要はないからね…
一斉攻撃は予め待機させておいたオーさんが変身したパラダイム・パラドックスの中に乗り込みオーラ防御を貼っておき視力で攻撃の隙間を掻い潜りながら凍結攻撃の矢弾の雨を放つ

同時発動UCは天国逆行王・HEAVEN
味方と私の時間を加速して圧倒的スピードで弾幕と電撃の斬撃波を敵を攻撃していく

HEAVEN!オーさん!行くよ!
私達は敵に総攻撃をかけた



「さあ……行こうかオーさん」
 継承軍旗艦『ソング・オブ・オーンブル』に乗り込んだエリュファシオンは、そう言って愛騎「オーさん」の頭を撫でる。大怪獣との戦いを共にくぐり抜けてきたオオサンショウウオ型バイクは、エンジンを唸らせながら咆哮で応えた。
『オォォー!』
「オーさんもやる気十分だね」
 自分も心身ともにコンディションは万全、相手が何者だろうと遅れを取るつもりはない。正面に待ち構えるのは猟書家『プリンセス・エメラルド』と、彼女が率いる帝国継承軍サクセション・フォースの兵士達。こちらも損害は出ているものの、今だ士気は衰えない様子だ。

「あと一歩なのです。あなた達さえ倒せば、私の願いを阻める者はいなくなる!」
 【侵略蔵書「帝国継承規約」】で召喚した皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに乗って、先制攻撃を仕掛けるプリンセス・エメラルド。悲願成就を目前にした彼女の意志は強く、絶対に負けられないという覚悟をひしひしと感じる。だが、それはこちらも同じことだ。
「おっと!」
 付近の障害物を利用してスタイリッシュに身を躱し、「万能時間覇気」のワイヤーを放つエリュファシオン。
 またたく間に蜘蛛の巣のように張り巡らされた覇気の糸は、彼女の回避や移動を補助する足場になる。まずはこれで敵と距離を離そうとするが――待機していた継承軍の兵士達が、そうはさせじと襲いかかってきた。

「プリンセスの為に!」「帝国継承軍に栄光あれ!」
 プリンセス・エメラルドの奇妙な力によって召喚される帝国継承軍の兵士達は、士気練度共に高い精鋭揃い。
 一糸乱れぬ全方位攻撃によって、数で劣る猟兵を殲滅する気だ。まともにやり合おうとすれば、エリュファシオンでも全て凌ぎきるのは無理だろうが。
「何も全てを相手にする必要はないからね……」
 この瞬間、予め待機させていたオーさんの姿がサンショウウオから巨大なドラゴン型キャバリアに変化する。
 これが彼に秘められた力である「調停龍パラダイム・パラドックス」。開かれたコックピットの中に颯爽と乗り込んだエリュファシオンは、エンジン全開で戦闘を再開する。

「何だコイツは?!」「撃て、撃てー!」
 継承軍は突如出現した謎のドラゴンに集中砲火を浴びせるが、強固な装甲とオーラで守護されたパラダイム・パラドックスは簡単にはやられない。機体が耐えている間にエリュファシオンはコックピットから目を凝らし、攻撃の隙間を見極める。
「そこだ!」
「ぐわぁッ?!」
 迷彩を帯びた龍機は俊敏な機動で猛攻を掻い潜りながら矢弾の雨を放つ。その攻撃を受けた継承軍の兵士達は凍結し、身動きが取れなくなる。敵軍の勢いが弱まれば、今度はこちらの番だとばかりに、エリュファシオンはにやりと笑みを浮かべた。

「HEAVEN! オーさん! 行くよ!」
 発動するのは【天国逆行王・HEAVEN】。神聖な仮面、黄色の鎧、壮麗な翼を備えた天使の王が姿を現し、味方の時間を加速させる。これにより圧倒的なスピードを手に入れたエリュファシオンは、仲間と共に【逆行奥義・総攻撃】を仕掛けた。
「――……ッ!!!?!」
 プリンセス・エメラルドを含めた敵の目は、とても彼女らの動きを捉えきれない。逆に彼女らの方からは敵の動きが止まって見えた。加速する時の流れから放たれる弾幕と電撃の斬撃波が、怒涛の勢いで戦場を席巻し――次の瞬間、帝国継承軍はまとめて吹き飛ばされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
ブラッドムーン!エキドゥーマ!
『OK!マスター!』『ゼンインジゴクイキデスネ!』

オーラ防御と範囲攻撃は常に使用
情報収集と視力で周りの状況を瞬時に把握


先制UCに対してはアルコイリスとの修行で身につけた推力移動を使用する
視力で破壊光線発射のタイミングで推力移動を使い素早く移動する

兵士達の攻撃は天候操作で宇宙嵐を降らせて凍結攻撃のブレス攻撃を周りに放ちながら推力移動で敵が少ない所へ行く

虹炎の神の力…見せてやるよ!
UC発動

『グッバイ!フールボーイズ!』
ブラッドムーンはクイックドロウの斬撃波を周りの敵に放ち
『さっさと消えてよ?』
エキドゥーマも周りの敵に消滅属性の弾幕を放ち

喰らえ!轟雷神虹炎銃!
敵を殴った



「ブラッドムーン! エキドゥーマ!」
『OK! マスター!』『ゼンインジゴクイキデスネ!』
 決戦の舞台となった『ソング・オブ・オーンブル』艦内で、エリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)が仲間の名を叫ぶ。それに応えるのは二体の「邪神龍」。強大なる力を秘めた異界の存在達が、帝国継承軍サクセション・フォースとプリンセス・エメラルドを睨みつける。
「地獄行き、ですか。私達が還るところは1つ。そしてまだ還るつもりはありません!」
 対するプリンセス・エメラルドが声を張り上げると、膨大なサイキックエナジーが宇宙戦艦【プリンセス・エメラルド号】を降臨させる。主の美意識が反映された壮麗な船体に搭載された砲塔が、主の野望に仇なす者達をロックオンし――主の体色と同じエメラルド色の破壊光線が撃ち放たれた。

「これがアルコイリスとの修行で身につけた力だ!」
 エリンはじっと目を凝らして破壊光線発射のタイミングを見極め、虹色の炎をジェット推進のように放出して素早く移動する。敵は多数の砲から何発もの光線の乱射を浴びせてくるが、彼女に直撃するものは1発もない。二体の邪神龍も同様の手段で回避を行っている。
「継承軍よ、追撃しなさい」
「「はっ!」」
 艦砲射撃だけで猟兵を仕留めきれないと分かっていたのか、プリンセス・エメラルドは続けて帝国継承軍にも号令を下す。戦場に呼び出された兵士達は主命に忠実に従い、数的有利を活かした全方位攻撃を仕掛けてくる。だが、そうした敵軍の動きもエリンの目はしっかりと把握していた。

「こいつを喰らえ!」
『コオリヅケダ!』
 エリンは虹炎の力で艦の外壁の一部に穴を開け、宇宙嵐を戦場に呼び寄せる。それは恒星活動が生み出す宇宙の災害のひとつ――大規模恒星風なによる電磁波と放射線とプラズマの嵐が、ブラッドムーンの放つ凍結ブレスと共に帝国継承軍に襲いかかった。
「うおおっ?!」「い、いかんっ!」
 宇宙戦闘訓練を受けた継承軍の兵士は、多少の磁気嵐などには耐えられるだろうが、それでもこの規模の嵐を無視はできまい。敵軍が混乱をきたしている間にエリンはなるべく兵士の少ない所に移動し、体勢を整えてから反撃の狼煙を上げた。

「虹炎の神の力……見せてやるよ!」
 エリンが【虹炎神・エストレジャ・アルコイリス・轟雷神虹炎銃】を発動すると、虹色に染まった黒髪が炎のように揺らめき、星眼に変化した虹彩がキラキラと輝く。これぞ究極の自由を司る虹炎神の威容――彼女が放つパワーに影響されて、仲間の邪神龍達も強化される。
『グッバイ! フールボーイズ!』
『さっさと消えてよ?』
 ブラッドムーンは素早く斬撃波を放って周りの敵兵をなぎ払い、エキドゥーマも消滅魔法の弾幕を展開する。
 邪悪なるオブリビオンに容赦のない二体の攻撃は帝国継承軍の戦力を大幅に減らし、プリンセス・エメラルドの乗る戦艦を孤立させた。

「喰らえ! 轟雷神虹炎銃!」
 すかさずエリンは敵艦に肉薄し、ありったけの腕力と虹炎のパワーを込めてぶん殴る。技名に銃と付いているが完全な肉弾攻撃である。もっとも、その威力は並大抵の銃器とは及びもつかないが。どんなに頑丈な装甲も打ち砕く自由の力が、その拳には宿っている。
「きゃああああっ!!!?」
 損壊した宇宙戦艦の中から吹き飛ばされ、悲鳴を上げるプリンセス・エメラルド。大願成就を目前にして立ちはだかった最後にして最大の障壁が、いかに強大であるかを、彼女は今まさに身をもって感じ取っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪・兼光
●SPD/アドリブ御任せ

『この宇宙の新たな時代を告げる戦いを』ねぇ
いいねぇ、そのフレーズ
好きだぜその新しい時代にはアンタは居ないけどな

第六感と情報収集で追い詰められないように周りを見ながら攻撃を避ける
避けながら見切りを利用して避ける
避けられないのはオーラ防御と盾受けのキャリーバッグを使って防ぐ

その後はユーベルコードで運転と斬撃波と悪路走破でひき逃げの要領で雑魚を処理しつつ場所を確保

場所を確保できたらプリンセスに向かって乱れ撃ち、2回攻撃、マヒ攻撃、呪殺弾、範囲攻撃のブラスターで攻撃をする

タイヤなどが部位破壊が可能なら破壊を狙う

無理ならスナイパーを使ってプリンセスに攻撃を集中



「『この宇宙の新たな時代を告げる戦いを』ねぇ。いいねぇ、そのフレーズ、好きだぜ」
 開戦の宣言として『プリンセス・エメラルド』が使った言葉が、どうやら兼光は気に入ったらしい。この宇宙に新たな時代を――なるほど確かに、ここで猟兵が倒れたとしても、帝国継承軍サクセション・フォースが滅んだとしても、宇宙の歴史は大きく動くだろう。
「その新しい時代にはアンタは居ないけどな」
「生きて見届けてみせますよ。あなた達を倒してね」
 不敵な兼光の言い草に、プリンセス・エメラルドも一歩も退かずに応じる。【侵略蔵書「帝国継承規約」】で召喚した皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに騎乗し、継承軍を率いながら戦う姿には帝王の威厳がある。ここで彼女を止められるかどうかが、時代の分水嶺だ。

「道を開けなさい!」
「お断りだ」
 皇帝乗騎による高速の体当たりを仕掛けてくるプリンセス・エメラルドに対し、兼光は冷静に動きを見切って避ける。なるほど大将の座につくだけはあり、配下の闇の騎士よりも鋭い動きだ。だが、こちらも神経を集中すれば回避は不可能ではない。
「プリンセスに続け!」「うおおおおお!!」
 厄介なのはその後に控える帝国継承軍の追撃だ。一糸乱れぬ全方位攻撃は、対処を誤れば完全に包囲され将棋でいう「詰み」に陥る。思考と第六感をフル回転させて、追い詰められないように周りを見ながらどう避けるのが最適かを考えなければ。

「今さら何人がかりだろうが構わないぜ」
 豪雨のように降りかかる継承軍の攻撃を、紙一重の差で掻い潜る兼光。避けきれない攻撃はオーラで補強したキャリーバックで受ける――ここまで酷使し続けたバックは傷だらけだが、まだ盾としての役割は失われていなかった。
「まずは場所を確保しないとな」
 攻撃の勢いがが緩まると、彼は【Get on the blaster】を発動。宇宙バイクに似た騎乗形態へとブラスターを変形させると、それに跨って戦場を駆け回る。弾丸の如き疾走は斬撃波を発生させ、体当たりすれば質量弾となり敵を轢き倒す。初めて訪れた宇宙船の艦内だろうと、このマシンに走れない場所はない。

「ぐわあっ?!」「ぎゃあっ!!」
 所詮は数頼みの雑魚共はブラスターバイクに処理されて、戦場にぽっかりと穴が開く。場所を確保した兼光はいよいよ大将であるプリンセス・エメラルドに向かって熱線を乱れ撃つ。乗騎に変形した状態でもブラスターのブラスターたる機能は失われてはいない。
「将を射んと欲すればまず馬を射よ、って言うよな」
「くっ……!」
 彼が狙ったのは敵が操縦する皇帝乗騎。推進器と思しき箇所に熱線が命中すると、機能がマヒして機体の速度が鈍った。苦々しげに顔をしかめたプリンセスがこの乗騎を乗り捨てるべきか考える、その一瞬のうちに次の装填と照準は済んでいる。

「次の時代を見るのは俺達だ」
「ぐぁ……っ!」
 スナイパーばりの精度で放たれたブラスターの熱線が、プリンセス・エメラルドの身体を貫く。美しい宝石の身体に風穴が開き、彫刻めいた相貌が苦痛に歪む。新たなる支配の時代を築かんとした猟書家の野望は、大きな破綻の兆しを見せつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュカシオン・カーネーション
うっわ…敵多っ

《シオンさん…気をつけて戦いましょう!》
アロナちゃんも周りを見て私に告げる

情報収集と視力と戦闘知識で状況把握をして敵の動きや戦況を読む

あぶねーな!
敵の先制UC対策は破壊光線を打って来たら推力移動で加速しながら鉄壁属性(属性攻撃)のオーラ防御で最低限防御しながらクイックドロウでアズリエルの斬撃波を放つ

そこだ…
周りの攻撃はオーラ防御は最低限にして推力移動で攻撃の隙間に逃げ込む

UC発動
《行きますよ!》
アロナちゃんは炎と風と水の魔法を周りの敵に放つ

私は衝撃波を纏った弾幕を艦隊に致命的な箇所に放ち破壊した後にエネルギー弾を放つ

喰らえ!反魂輪廻の槍!
プリンセス・エメラルドに虹炎の槍を放った



「うっわ……敵多っ」
 プリンセス・エメラルドの召集に応じて現れた帝国継承軍サクセション・フォースの数に、リュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)は思わず顔をしかめる。これだけの大軍を相手にしながら大将を撃破するのは、そう一筋縄でいく話でもなさそうだ。
《シオンさん……気をつけて戦いましょう!》
 彼女の相棒である精霊王アロナフィナも、周りを見て警報を告げる。二人がかりで視野を広くし、知識と頭脳を総動員して状況を把握し敵の動きや戦況を読む。それができなければこの戦い、敗北するのは明らかだった。

「ここまで戦力を集めたのです。負ける訳にはいきません!」
 プリンセス・エメラルドの全身からサイキックエナジーが放出され、宇宙戦艦【プリンセス・エメラルド号】が顕現する。本人のエナジーから生まれ、その名を冠した壮麗なる宇宙戦艦は、搭載された多数の砲から一斉にエメラルド色の破壊光線を放った。
「あぶねーな!」
 こんなの人間相手に撃つものじゃないと、悪態を吐きながらもリュカシオンは身を躱す。「虹神炎覇気」による最低限の防御は行いつつ、魔力の多くは推進力に変えて敵の射線から逃れるスタイルだ。アロナフィナのほうを見れば、同様の手段でどうにか直撃を免れている。

「お返しだ!」
 リュカシオンは「天災邪神鎌龍アズリエル」から斬撃波を放つが、それはプリンセス・エメラルドに届く前に継承軍の兵士達に阻まれた。主君の盾となり矛となる忠実なる兵達は、主に仇なす者を殲滅せんと、情け無用の全方位攻撃を仕掛けてくる。
「今こそ帝国継承軍の力を示す時だ!」
 ここを正念場を捉えた敵の士気は高く、容易に崩せそうなものではない。しかしこれまで周囲の確認を怠っていなかったリュカシオンは、嵐のような砲撃と一糸乱れぬ総攻撃の中にほんの僅かな隙間を見つけ出していた。

「そこだ……」
 推力を全開にして攻撃の隙間に逃げ込むリュカシオン。ほんの一息つける余裕さえあれば、ユーベルコードを発動することも可能だった。彼女の髪が虹色に染まって燃えるように逆立ち、全身を包んでいたオーラの輝きが増す。
「行くぞ! シエル! 虹炎解放だ!」
❛なのだわー!❜
 虹炎の神・レーヴ・アルカンシエルの力を借り受けることで、万物を分解・再成する虹炎の槍を顕現させる。
 その煌めきは戦場をまばゆく照らし、なにも知らない兵士達でさえ危険を感じておののく。ここからが反撃のターンだと、リュカシオンはにやりと笑った。

《行きますよ!》
「「ぐわあああっ!?!」」
 まずはアロナフィナが炎と風と水の魔法を放ち、周りの敵をなぎ払う。包囲に穴が開いて敵艦の守りが薄くなれば、間髪入れずリュカシオンが槍を振るった。衝撃波を纏った虹炎の弾幕が「プリンセス・エメラルド号」のバイタルパートに命中し、炎上させる。
「こいつもオマケだ!」
「くっ、不味い……!」
 追撃のエネルギー弾を受けて艦体が大きく傾くと、やむなくプリンセス・エメラルドは艦からの脱出を図る。
 だが、それを見越して狙いをつけていたリュカシオンは、艦の中から敵が姿を現した瞬間、持っていた虹炎の槍を投げつけた。

「喰らえ! 反魂輪廻の槍!」
「なっ……きゃああっ!!?」
 あらゆる耐性を突破する虹炎の槍が、プリンセス・エメラルドの肉体を魂を貫く。魂魄ごと焼却される苦痛は彼女にとっても初めて味わうものだろう。あるべき輪廻の輪へとオブリビオンを強制送還させようというのか、虹色の炎はなかなか消えずに、彼女の身を焦がし続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
行こう…最後の戦いだ!
『準備はいいか?ソラウ』『出来たなら出発よ!』
ライズサンとエミリアーノと共に猟書家の戦いへ挑む

情報収集と視力で周りの動きを把握して索敵で周りの相手を位置を確認する

常に迷彩を使用して姿を消す
敵の先制UCはライズサンに搭乗しているので水属性で熱と匂いを消して迷彩を使用して推力移動して回避しながら凍結攻撃の音響弾を素早く放つ(クイックドロウ)

軍勢の攻撃は反射属性(属性攻撃)の結界術で守りながら攻撃が少ない所へ回避しながら弾幕で攻撃する

聴かせてあげるよ…愚者の歌を!
UC発動
同時発動UCは未来視轟雷時空眼
未来を見ながら敵に攻撃

『行くわ!』
エミリアーノは電撃の斬撃波を周りの敵に放った



『準備はいいか? ソラウ』『出来たなら出発よ!』
 帝国継承軍サクセション・フォース旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の中枢に突撃する直前、ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)の仲間である二体の時空龍、ライズサンとエミリアーノが最終確認を行う。敵はこの宇宙を支配せんとする巨悪、生半可な備えで挑むわけにはいかない。
「行こう……最後の戦いだ!」
 準備も覚悟もできていると、ソラウは力強く答えた。宇宙の秩序を保つことを使命とするクロノドラグマ星人の1人として、全宇宙に渡る危機を見過ごすわけにはいかない。時空騎士の矜持を胸に、彼女は時空龍達と共に決戦に挑む。

「たとえ何人に阻まれようと……私の覇道は揺るぎません!」
 戦いは猟兵優勢に傾きつつあるが【侵略蔵書「帝国継承規約」】がプリンセス・エメラルドの手にある限り、宇宙の危機は依然として続いている。再召喚した皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに乗り込んだ彼女は、猛烈な勢いで先制攻撃を仕掛けてくる。
「そんな野望は認めない!」
 対するソラウは「時空神機ライズサン」に搭乗状態で水魔法と迷彩機能を使用し、熱と匂いを誤魔化した上で姿を消した。敵が照準を合わせ辛いようにした上で、推進器を全開にして戦場を飛び回る。これならプリンセスも簡単には攻撃を当てられないだろう。

「君の野望はここで止める!」
 推力移動で攻撃を回避したソラウは、機体から凍結効果付きの音響弾を素早く放つ。轟音と共に命中した弾丸はプリンセス・エメラルドの素肌を凍らせたが、それは音と弾着の方向で敵に居場所を教えることにもなった。
「そこです、仕掛けなさい!」
「はっ!!」
 すかさず召喚された帝国継承軍の兵士達が、ソラウのいる辺りに集中攻撃を行う。視覚・嗅覚・熱源反応による索敵は困難でも、音で目星がつけば数にものを言わせて当てられる。元よりここは敵地のど真ん中、逃げ隠れするにも限界があるのだから。

「行くよ……ライズサン!」
『おう!』
 ソラウとてこのまま隠れ続けるだけでいるつもりはない。反射効果を付与した結界術で身を守りつつ、比較的攻撃が少ない所へ回避機動を取る。彼女の乗騎となったライズサンも、弾幕をバラ撒いて敵軍を牽制している。
「聴かせてあげるよ……愚者の歌を!」
 人機一体となって稼ぎ出した猶予により、発動するのは【ソラウの歌"破滅の騎士"】。騎士にして歌い手でもあるソラウの身体は黒い鎧に包まれ、マイクスタンドの役目も果たす赤い槍が出現する。この麗しくも凶々しい姿こそ、敵に終焉をもたらす破滅の歌姫である。

「来い……! 破滅の騎士よ!」
 ソラウの歌声が戦場に響き渡ると、空間を斬り裂いて百体の「破天騎士」が現れ、継承軍に猛攻を開始した。
 次元を貫通する彼らの攻撃は、並のオブリビオンに食い止められるものではなく。周囲を取り巻いていた雑兵共は、またたく間に蹴散らされた。
「ッ。態勢を整えないと……」
「無駄だよ。僕には見えているよ!」
 これを見たプリンセス・エメラルドは一時後退しようとするが、【未来視轟雷時空眼】を同時に発動していたソラウは未来視の力で相手の動きを読み、追撃を放つ。電撃を帯びた衝撃波が、皇帝乗騎もろともエメラルドを大きく吹き飛ばした。

『行くわ!』
 さらに待機していたエミリアーノが電撃の斬撃波を周りの敵に放ち、戦線を押し上げる。勢いに乗ったソラウ達は総攻撃を仕掛け、破天騎士、時空龍、歌姫が一丸となってプリンセス・エメラルドと帝国継承軍をなぎ倒していく。
「こんな事が……!」
 苦心して集めた戦力が次々に倒れていく様を見せつけられれば、プリンセスも動揺を隠す事はできなかった。
 猟兵達の妨害が入ることを予想していなかった訳ではない。だが、彼女の想定を遥かに超えて、戦いの流れは大きく傾きだしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
迷宮災厄戦ではいろいろあったけど、あなたがアリスラビリンスで必死に生きている人たちを苦しめたのは、事実。その報いは受けて、もらうよ。

ここはシャボン玉の指輪の、出番ね。魔力を込めてわたしの周りにシャボン玉の壁を作って攻撃を、防ごう。シャボン玉を出し続けながら走り回れば、目隠しになって皇帝乗騎でもそう簡単には見つけられない、よね。
さらに【土鎚】で土埃を起こして機械の調子を悪くさせればこっちが、有利。シャボン玉と土埃の中でも、わたしの目なら大きな乗騎を見つけるのは、簡単だよ。土埃に紛れて近づいて、思いっきり土鎚を叩きつけて、あげよう。ん、これ以上苦しむ人がいなくなるように……ここで、終わらせる。



「迷宮災厄戦ではいろいろあったけど、あなたがアリスラビリンスで必死に生きている人たちを苦しめたのは、事実。その報いは受けて、もらうよ」
 かの世界に迷いこんだ「アリス」の1人であるミアは、かの地で猟書家が行った非道を忘れていない。オウガの女王から力を奪うだけでなく、多くの不思議の国とそこにいる愉快な仲間達が、彼女らの被害を被ったのだ。このまま別世界でのうのうと野望を成就させる気は、断じてなかった。
「迷宮災厄戦……懐かしい話ですね。あの戦いでは我々も大きな被害を受けました」
 多くの同胞、そして何より書架の王『ブックドミネーター』の戦死という痛手を負った猟書家勢も、あの戦いに参加した猟兵には思う所があるだろう。いつもより鋭いミアの眼差しと、緑玉の如きプリンセス・エメラルドの視線が交錯する。

「敵討ちという柄ではありませんが、散っていった同胞の無念も、ここで晴らさせて貰いましょう」
 プリンセス・エメラルドが【侵略蔵書「帝国継承規約」】のページを広げると、召喚された皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルが動きだす。迷宮災厄戦で使用したユーベルコードと同じものだが、本人のレベルは大きく上がっている。以前のようにいかないのはお互いに同じという訳か。
「ここはシャボン玉の指輪の、出番ね」
 ミアは嵌めていた指輪に魔力を込めて、自分の周りにシャボン玉の壁を作る。見た目は脆くて儚げだが、泡の耐久力はそこそこある。皇帝乗騎より放たれたプリンセスの先制攻撃は、きらきら光る無数のシャボンに相殺されて、標的を捉えることはなかった。

「そんなもので凌ぎ切れるとでも!」
 プリンセス・エメラルドは配下の軍勢と共になおも攻撃を続けるが、ミアは新しいシャボン玉をどんどん出し続けながら走り回る。戦場いっぱいに沢山のシャボン玉が浮かぶ光景は幻想的で美しいが、敵にとっては邪魔でしかないだろう。
「こうすれば目隠しになって皇帝乗騎でもそう簡単には見つけられない、よね」
「おのれ、何処に行ったのですか……!」
 無数の泡に紛れたミアの姿を見失い、敵軍は武器を構えたまま右往左往している。この隙に彼女は土の魔法で一本の鎚を作りだすと、足元に勢いよく叩きつけた。金属と土塊がぶつかるカァンという音が艦内に響き渡り、大量の土煙が巻き起こる。

「其は土……砕き、埋め尽くせ」
 ミアが唱えた【土鎚】は、鎚で触れた地面を土埃に変質させるユーベルコードだ。それは単に遮蔽物や迷彩に利用できるだけでなく、機械の機能不全を誘発する。ハイテクな精密機器を用いる帝国継承軍の兵士にとっては最悪の魔法と言えるだろう。
「機械の調子を悪くさせればこっちが、有利」
「なんだ、これはっ!」「センサーが作動しない?!」
 突然の土埃に巻き込まれた兵士の視界はゼロとなり、装備も使い物にならなくなる。この間にミアはひっそりと姿を隠したまま、足音を消して兵士と兵士の間をすり抜け、プリンセス・エメラルドの皇帝乗騎に接近する。

(シャボン玉と土埃の中でも、わたしの目なら大きな乗騎を見つけるのは、簡単だよ)
 お互いに視界が悪く機械に頼れない状況なら、サイズ差と適応力が明暗を分ける。小柄な少女を敵が発見する前に、皇帝乗騎の元までたどり着いたミアは、思いっきり土鎚を叩きつける。魔力の籠もった鎚頭が乗騎の片足をへし折り、さらなる土埃がぶわっと舞い上がった。
「きゃっ?!」
 皇帝乗騎も機械の一種なら、魔法の土埃による不調は免れないだろう。満足に動かない機体の中でバランスを崩したプリンセス・エメラルドは転倒し――そこに、アリスの魔法使いから渾身のもう一発が叩きつけられた。

「ん、これ以上苦しむ人がいなくなるように……ここで、終わらせる」
「よ、よくも……ぐ、ああっ!!!?」
 静かな決意の宿ったミアの一撃は、因縁ある猟書家を過たず捉えた。バキンッと硬い宝石が砕ける音がして、プリンセス・エメラルドはボールのように吹っ飛んでいく。その身体は壁に叩きつけれれ、鎚に残ったのは確かな手応え――アリスラビリンスから続いた長き戦いに、決着がつく時が迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
あ"あ"あ"も"う"ヤ"ダあ"ぁ"ぁ"
大量の敵を前に発狂する私

『もう一度言うわ、事前に知ってたやろ』
慶喜に呆れられながら突っ込まれる

『アルマ…大丈夫?』
慶喜の家の近くの公園で倒れていた所を保護した少女…緋智が私に声をかける

『気にするないつもの事やヒサ』
慶喜がそう言った

…動けなくなれ
私は敵との相打ち覚悟で錬金術の弾を放った
敵の先制UC対策
クイックドロウ…素早く錬金術の弾を当てる

錬金術…予め凍結攻撃と電撃を発する弾を作っている

『アルマ!今助けるで!行くぞヒサ!』
キャバリア化した緋智に乗った慶喜が私を拾って離脱した

推力移動…キャバリアの緋智が使用する轢かれかけているアルマを救出する

敵の一斉攻撃
視力…敵の攻撃を観察する

結界術…防御用で緋智に乗り込んでいる慶喜が使用

迷彩…姿を消す
あっぶな!ヒサ大丈夫?
『うん…大丈夫だよ』
緋智は返事を返す


同時発動UCは朧月夜・冥道神機『緋智』
『消えなさい』
緋智はUC発動し空に月形の裂け目を出し敵の船を吸い込んだ

次はアンタよ!
私は緋智から降りて敵にぶん殴って無効化した



「あ"あ"あ"も"う"ヤ"ダあ"ぁ"ぁ"」
 次から次に出てくる大量の敵に、アルマの心は発狂寸前だった。流石に闇の騎士率いる継承軍艦隊と戦った時ほど多くはないが、召喚される数に限界はないだろう。ボスである『プリンセス・エメラルド』を倒すまで、延々とこいつらの相手もしないといけない訳だ。
「もう一度言うわ、事前に知ってたやろ」
 同行する慶喜が呆れた顔でツッコミを入れる。確かにヤバい状況だが予知で得られた情報なのだから、いざ実戦でゴネるよりも心構えや対策はしておくべきだったのだ。いや、彼女の場合は考えた上でこのような反応なのかもしれないが。

「アルマ……大丈夫?」
「気にするないつもの事やヒサ」
 発狂中のアルマに1人の少女が声をかける。彼女の名前は緋智――慶喜の家の近くの公園で倒れていた所を保護されて以来、仲間として活動を共にしている。まだ慶喜ほどアルマの奇行に慣れていないので困惑気味だが、じきにこの面子のノリに染まっていくだろう。
「我が帝国継承軍サクセション・フォースに恐れをなしましたか? では絶望して死になさい!」
 これ以上お喋りをしている余裕はなかった。【侵略蔵書「帝国継承規約」】から皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルを召喚したプリンセス・エメラルドが、配下を引き連れて先制攻撃を仕掛けてくる。膨大な兵力もさる事ながら、真に恐るべきは彼女自身の高い戦闘能力だろう。

「……動けなくなれ」
 敵が攻撃してきた瞬間、アルマはそれまでパニックが嘘のように落ち着き、目にも留まらぬ早業で銃を抜いた。
 錬金術を発動するための術具でもある、アルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』。その銃口から放たれる弾には冷気と電撃を発する効果が付与されている。
「なに……っ!」
 着弾した錬金弾がプリンセス・エメラルドの乗騎を凍結させ、回路を感電させる。同時にアルマもプリンセスの攻撃をモロに直撃した。相打ち覚悟で放った反撃が敵の動きを鈍らせる。狙い通りだが代償も小さくはなかった。

「アルマ! 今助けるで! 行くぞヒサ!」
「うん!」
 少女からキャバリアの姿に変身した冥道神機『緋智』が、慶喜を乗せて救出に向かう。スラスターを全開にして戦場を駆け抜け、皇帝乗騎に轢かれかけているアルマを横からかっ攫う。なんとか潰される前に間に合ったが、まだほっとするのは早かった。
「やはり猟兵は油断なりませんね……全軍、総攻撃です」
 乗騎にダメージを受けたプリンセス・エメラルドは、代わりとして配下に追撃を命じる。緋智のセンサーと慶喜とアルマの目は、全方位に展開した継承軍兵士が一斉攻撃を仕掛けてくるのを捉えた。咄嗟に慶喜がコックピットから結界を張る。

「あっぶな! ヒサ大丈夫?」
『うん……大丈夫だよ』
 結界でダメージを軽減して貰いつつ、緋智は迷彩を起動して敵の照準を狂わせながら回避機動を取っていた。
 彼女の落ち着いた声を聞いたアルマは、反撃とばかりに【朧月夜・冥道神機『緋智』】を発動。機体に秘められた高次元の力を解放させる。
『消えなさい』
 真の姿に変形した緋智が剣を振るうと十字に切り裂かれた空間に冥道が開かれ、周囲の物体を吸い込んでいく。
 その技の名は【冥道朧月】。力弱き者達は冥道に吸い込まれて即死し、二度と日の目を浴びることはできない。

「「え、エメラルド様ぁぁぁぁぁ!!!」」
「これは……!」
 冥道に吸い込まれて悲鳴を上げる兵士達。それを見たプリンセス・エメラルドも凍結感電した乗騎では逃げ切れないと察し、操縦席から脱出するので精一杯だった。敵将の周りががら空きになったのを見るや否や、すぐさまアルマが緋智から降りて肉薄する。
「次はアンタよ!」
「がはっ!!」
 【正体不明殺し】の力を宿した少女の拳が、敵のユーベルコードを無効化しつつぶん殴る。したたかに横っ面を殴り飛ばされたプリンセス・エメラルドは、血飛沫の代わりに翠玉の破片を撒き散らしながら地面に倒れ込んだ。
 その様に皇帝としての威厳と余裕はなく。長きに渡る戦いにも、決着がつく時がいよいよ迫りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
不退転ということなのでしょう

自らの一族郎党を皆殺しにしたリスアット・スターゲイザー
『ワープドライヴ』能力の独占が、帝国の専横と銀河を席巻する支配を磐石のものとした決定打になった

貴女もあの時代に生きて、虐げられる以外の道は無かったのだから…
そして今、かの能力を我が物とした王女が「帝国継承規約」で台頭しようとしている

知られざる『黒き槍の船』ワープドライブ・ペネトレーション
或いは『銀河皇帝』も、『都怒我阿羅斯』と同じく『槍の持ち手』に選ばれた者だったのかもしれません
ですが貴女には、そんな責務は無かったというのに
力に魅入られてしまった。長命種の知見と和を以て貴しと為す
別の道は、無かったのか

これは、僕の未練ですね…

◆【偽作】鋼語り(ギサク・ハガネガタリ)
心眼+野生の勘で視覚的欺瞞のUCに対抗
武器受け+ジャストガードで殺到してくるフォースセイバーと切り結ぶ
効果射程距離です。

透明化した剣士から100m以内を視力+聞き耳+読心術で精査
切り込み、早業+限界突破の乱れ撃ちで想定範囲を滅多切りにします



「不退転ということなのでしょう」
 この一戦に賭ける『プリンセス・エメラルド』の尋常ならざる覚悟を、蔵乃祐はそのように評した。かの猟書家が強くスペースシップワールドに執着し、全宇宙の支配を目論む理由について、彼は個人的な考察を行っていた。
「自らの一族郎党を皆殺しにしたリスアット・スターゲイザー。『ワープドライヴ』能力の独占が、帝国の専横と銀河を席巻する支配を磐石のものとした決定打になった」
 かつての銀河帝国時代の情報は断片的にしか存在しないが、その悪辣さは現代にも伝えられている。最終的には一つの宙域から居住可能惑星が全滅するほどの争いを経て、帝国は皇帝と共に滅び去った――その後オブリビオンとして復活した帝国については、猟兵もよく知る通りである。

「貴女もあの時代に生きて、虐げられる以外の道は無かったのだから……そして今、かの能力を我が物とした王女が『帝国継承規約』で台頭しようとしている」
 銀河帝国攻略戦に参加した経験もある蔵乃祐は、当時記録された銀河皇帝「リスアット・スターゲイザー」の能力から気になるものを発見していた。それは銀河帝国との戦いの後に、別の世界で猟兵が得た情報も含めた上での仮説である。
知られざる『黒き槍の船』ワープドライブ・ペネトレーション。或いは『銀河皇帝』も、『都怒我阿羅斯』と同じく『槍の持ち手』に選ばれた者だったのかもしれません」
 第二次聖杯戦争で都怒我阿羅斯が装備していた「ディアボロスランサー」は、シルバーレイン世界における生命の創造主にして、世界を渡る宇宙船としての機能も有しているという。スペースシップワールドの宇宙にも類似の「槍」が存在し、皇帝スターゲイザーはその持ち手として何らかの役割があったのではないかとする仮説である。

「ですが貴女には、そんな責務は無かったというのに。力に魅入られてしまった。長命種の知見と和を以て貴しと為す。別の道は、無かったのか」
 あくまで仮説は仮説でしかなく、銀河皇帝亡き今となっては証明する手段はないが。そう考えれば様々な物事が腑に落ちるような気がして、蔵乃祐は憐憫の情をプリンセス・エメラルドに向ける。猟兵と遭遇した時点ですでに彼女は猟書家オブリビオンであった。だが生前の彼女に平和の道を歩む善性は存在しなかったのか。
「これは、僕の未練ですね……」
「愚かしいことです。今更和平が叶うと本気で思っている訳でもないでしょうに」
 意外と言えば意外なことにプリンセス・エメラルドは最後まで蔵乃祐の話に耳を傾け、その上で一笑に付した。
 既に賽は投げられた。ここで帝国継承軍の侵攻を止められなければ、新たなる帝国による宇宙の支配が始まる。これは過去でなく、現在進行形で起こっている危機である。

「記録や情報を繋ぎ合わせただけで私の人となりを理解したつもりですか? でしたら一つ覚えておきなさい。人の上に立つ者にとって、最悪の侮辱は『憐れみ』であると」
 皇位を継承せし者としての威厳を以て宣言した後、プリンセス・エメラルドは【クリスタライズ・オリジナル】で姿を消す。同時に展開されていた帝国継承軍が雪崩をうって押し寄せてきた。銀河中から呼び寄せた兵士達による全方位攻撃、その練度と統率は驚異的なものだ。
「肉体に鍛錬を贈り、武器に熟練を与えよ。存分に刻め awakening  ダイアモード!」
 対する蔵乃祐は【偽作】鋼語りを発動。手にしていた魔刃「英雄幻妄パラドクスメサイア」を、自我を持つ魔剣「嗤う剣ダイアモード」の再現体に変形させて敵を迎え撃つ。かつて異世界の英雄にして稀代の鍛冶師が鍛え上げたという剣は、たとえ再現であっても強大かつ禍々しい力を宿していた。

「効果射程距離です」
 薙ぎ払い・斬り上げ・兜割り・利き腕砕きを組み合わせた【ソードラッシュ】で、殺到してくるフォースセイバーと切り結ぶ蔵乃祐。敵兵の中にはプリンセス・エメラルドのユーベルコード効果で透明化している者もいるが、心眼と野生の勘を鍛えた彼に視覚的欺瞞は通用しなかった。
(彼女の気配は……)
 クリスタライズ・オリジナルの有効範囲は半径100m。逆算すれば透明化した敵から100m以内の距離にプリンセスもいる。透明になっただけでは消せない音や心の声に耳を澄ませ、周辺を精査して隠れている敵将を見つけ出す――尋常ならざる達人技を、彼はやってのけた。

「そこです!」
 宝石が掠れる微かな物音を聞き逃さず、蔵乃祐は嗤う剣を以て敵陣に切り込む。正確な場所までは見当付かないが問題はない、想定範囲内にある全てを滅多斬りにすればいいだけのことだ。全身全霊の力を振り絞って己の限界を超え、渾身のソードラッシュを叩き込む。
「ッ……そう、それでこそ……ッ!」
 我武者羅にも見える彼の高速連撃は、読み通りに透明化していたプリンセス・エメラルドを炙り出した。嗤う剣の斬撃を受けた彼女は、割れた身体の傷を抑えながらも高揚に満ちた笑みを浮かべている。互いに退けぬ理由あり、死力を尽くした末に栄光はあり――それでこそ、この戦いに価値は生まれるのだと言うように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
私は希望の繋ぎ手にして希望の依り代
ゆえに
まあ、自らの「望み」に対して必死な貴女は
多少は評価します、多少はね
ただしそれは他者の希望を踏みにじる者でなければの話です
己の不変を誇る安っぽいガラス人形よ
望み通り不変にしてあげましょう、粉々に砕け散った屑としてね

吸血の呪詛を満たした結界を範囲攻撃で全周に展開
踏み込んでくる雑魚どもは
この結界によって空間に血を搾り取られ
その舞い上がった鮮血は我が糧となるだけ
まあ、あまり美味ではありませんけれどね

ヴィークルの速さと威力は侮るつもりはありません
しかし既にオーラで強化した鎖を早業とロープワークで
蜘蛛の巣のように張り巡らせています
動きを止めることまでは期待しませんが
僅かにでも勢いを削ぐことができれば十分

ふふ、先ほどの貴女の部下たちの血煙はそのまま私の攻撃と化しています

「血に霞みし世界に祝福を捧げよ硝子の心臓」

──お約束通り貴女を体内から粉々に砕く鎖となってね

ふふ、脱出などできません
二重使用が可能な唯一のUCを発動
貴女の過去も未来もすでに閉ざされているのです



「私は希望の繋ぎ手にして希望の依り代。ゆえに、まあ、自らの『望み』に対して必死な貴女は多少は評価します、多少はね」
 これだけ周到に準備を整え、戦力を集め、計画を組み立ててきたのだ。スペースシップワールドに留まらず全宇宙を支配するという『プリンセス・エメラルド』の壮大な野望と、執念にも等しき意志の強さだけは、魅夜も認めざるを得ない点があった。
「ただしそれは他者の希望を踏みにじる者でなければの話です」
 彼奴の野望が成就するまでの過程で、一体どれだけの生命が失われるだろう。ここを通せば今までの準備期間とは比較にならないほどの惨劇が起きるのは想像に難くない。総評すれば許すまじき暴挙を臆面もなく行う、戦後のスペースシップワールドにおける諸悪の元凶と言う他あるまい。

「己の不変を誇る安っぽいガラス人形よ。望み通り不変にしてあげましょう、粉々に砕け散った屑としてね」
「さて、あなたにそれが出来ますでしょうか? 確かに劣勢ではありますが……まだ決着は分かりませんよ」
 その手に【 侵略蔵書「帝国継承規約」】がある限り、プリンセス・エメラルドの野望は潰えない。満身創痍ながらも皇帝乗騎インペリアル・ヴィークルに騎乗した彼女は、継承者としての威厳をもって魅夜と相対する。宝石の身体から湧き出すサイキックエナジーに導かれて現れるのは、銀河中から召集された戦士達だ。
帝国継承軍サクセション・フォースに栄光あれ!」「プリンセス・エメラルドに勝利を!」
 将兵の勇ましき号令が艦内に響き渡り、保身なき突撃が全方位より敢行される。プリンセスを失えば大義を失った継承軍は瓦解する、それ故に彼らはプリンセスを守るために全身全霊を尽くす。並大抵の防御策では、この攻勢に耐えられまい。

「雑魚どもを幾ら集めたところで意味はありません」
 しかし魅夜は口元に薄っすらと笑みを浮かべたまま、吸血の呪詛で満たされた結界を自身の全周囲に展開する。
 防御よりも接近する敵を迎撃する目的で構築された一種のトラップ。迂闊にもその中に踏み込んできた兵士は、空間そのものに血を搾り取られる羽目になる。
「ぐ、がっ、なんだ、これは……?!」「く、苦し……ぎゃあああっ!!!」
 彼らが悶え苦しみながら撒き散らした鮮血は、そのまま魅夜の糧になる。どれだけ数が多かろうが、この結界に耐える術が無ければ塩を送るだけにしかならないのだ。渦巻く血潮の中央で彼女の魔力が増していくのが分かる。

「まあ、あまり美味ではありませんけれどね」
「なるほど。よく理解しました」
 配下が役に立たないと分かったプリンセス・エメラルドは自ら攻撃を仕掛けてくる。不滅を謳う彼女の生命力と皇帝乗騎の耐久力であれば吸血結界を強引に突破することも可能であろう。流れる血を持たないクリスタリアンの種族特徴も相性が良い。そして火力に関しては語るまでもなく、そこらの雑兵とは比べものにならない。
(ヴィークルの速さと威力は侮るつもりはありません)
 敵を脅威と認識しているからこそ、魅夜は既に対策を講じていた。黒き呪いのオーラで強化された「呪いと絆」の鎖が、蜘蛛の巣のように彼女の周りには張り巡らされている。最大数108本を用いた堅固にして柔軟な防御網が、皇帝乗騎の突撃を正面から受け止める。

「これしきの障害、超えられずして何が皇帝か!」
 鎖の網に絡め取られても、プリンセス・エメラルドは進撃を止めなかった。オーバーヒート寸前まで皇帝乗騎の出力を高め、結界も鎖も食い破らんとする。その突破力は魅夜の想像すらも超えるものだった――しかし、想定を覆すものではなかった。
「動きを止めることまでは期待しませんが、僅かにでも勢いを削ぐことができれば十分」
「なにを……?」
 あらゆる妨害をものともしなかったプリンセスの視界を遮ったのは、宙を漂う鮮血の濃霧だった。結界に付与さられた呪いよりもさらに凶悪な力を感じる。鎖が紡いだ僅かな猶予に、魅夜の発動したユーベルコードがこれだ。

「血に霞みし世界に祝福を捧げよ硝子の心臓」
 魅夜は詠うような抑揚をつけて自らのユーベルコードの名を告げた。半径100mを超える広範囲を覆い、五感を鈍らせる赤い濃霧。これほどの規模の現象を引き起こすためのリソースは、この戦場で確保したばかりのモノだ。
「ふふ、先ほどの貴女の部下たちの血煙はそのまま私の攻撃と化しています──お約束通り貴女を体内から粉々に砕く鎖となってね」
「が……ッ!!!?」
 その直後、プリンセス・エメラルドの身体に激痛が走る。霧を媒介して体内に転移した鎖が、内側から彼女の身を引き裂いたのだ。呪いの鎖はそのまま肌を突き破って体外に飛び出し、鮮血の代わりに砕けた宝石の欠片を周囲に撒き散らした。

「不味い……っ」
「ふふ、脱出などできません」
 この濃霧の範囲にいる限り、鎖の転移は回避不可能。それを察したプリンセス・エメラルドは離脱を試みるが、魅夜が見逃すはずも無かった。他のユーベルコードと二重使用が可能な唯一のユーベルコード――【無力を悔やめ刻の神、漆黒の裁き我が手にあり】が発動する。
「貴女の過去も未来もすでに閉ざされているのです」
 希望を繋ぐ者の手から放たれるのは時を貫く鎖。回避の意志と可能性を引き裂いて、数秒後の"過去"と"未来"に突き刺さる必中の一撃だ。かつての銀河帝国の二大巨頭、"黒騎士"と"白騎士"を連想させる術を止めに用いたのは果たして偶然か、意図したものか。

「――……ここまで、ですか。あと少しで、この手に宇宙を掴めたものを……見事です」

 呪鎖に心臓を貫かれたプリンセス・エメラルドは、最期に届かぬ野望に未練を、そして猟兵に賛辞を口にした。
 彼女の身体は原型を留めぬほど粉々に砕け散り、後を追うように艦が崩壊を始める。「そんな馬鹿な!!」と、主君の敗北を信じられぬ将兵らを巻き添えにしながら。


 猟兵達が脱出した直後、継承軍旗艦『ソング・オブ・オーンブル』は大爆発を起こし、跡形もなく消滅する。
 プリンセス・エメラルドの死はすなわち帝国継承軍サクセション・フォースの終焉。スペースシップワールド、並びにスペースオペラワールドにおける猟書家の侵略は、ここに終止符を打たれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月12日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※このボスの宿敵主はジャック・スペードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト