第二次聖杯戦争㉑~この先に何があろうとも
●グリモアベースにて
佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)は、難しい顔で猟兵たちに向き合う。
「猟兵さんたちに今回お願いしたいのは、とどめを刺せるかどうかわからない相手……
闇の大穴の中央に佇む『閻魔王』、そして未来の猟兵さんとの戦闘なんだよ!」
かつては金沢大学の工学部があった小立野に広がる漆黒の闇、キリング・フィールド。その内部は、人類の過去から未来の全てが混ざったような町並みとなっているようだ。
「もしオブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』の撃破までにこの戦場を制圧できなかった場合、『閻魔王』を名乗るオブリビオン『生と死を分かつもの』は忽然と消え去るみたいなんだよ。閻魔王が去ってキリング・フィールドが消滅しても、町並みは元に戻らないみたいなんだよ……!」
キリング・フィールドに入った者だけを自動的に攻撃してくる閻魔王は、懐から1体の『英雄』を召喚する。そして、猟兵ひとりにつき閻魔王と英雄の二体で襲いかかってくるという。
「その英雄なんだけれど……閻魔王の言うことには『その英雄はそなたが未来の姿のひとつ』なんだとか」
英雄の姿がどんなものかは、猟兵によって異なるだろう。
美しい、醜い、恐ろしい、優しい……どのような姿をしていても、出現した英雄が自分の未来の姿だと「信じたくない理由」が猟兵にはあるはずだ。
「閻魔王の召喚した英雄、それが猟兵さんの未来の姿だと信じたくない理由と克服したいという気持ちが強ければ、きっと勝つ手段が見つかるんだよ!」
閻魔王に加え、明らかな格上である未来の猟兵との戦い。
たとえ先行きが見えなくとも、猟兵たちならばきっと勝機を見出してくれると信じて。キリカは、猟兵たちをキリング・フィールドへと送り出すのだった。
雨音瑛
『閻魔王』を名乗るオブリビオン『生と死を分かつもの』と、未来の猟兵との戦闘シナリオです。
●プレイングボーナス
「自分の未来の姿」を想起し、それを克服する/閻魔王と「未来の姿」の先制ユーベルコードに、両方とも対処する。
第1章 ボス戦
『生と死を分かつもの』
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POW : テンタクル・ボーダー
戦場全体に【無数の触手】を発生させる。レベル分後まで、敵は【死の境界たる触手】の攻撃を、味方は【生の境界たる触手】の回復を受け続ける。
SPD : キリングホール
レベルm半径内に【『死』の渦】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ : 閻魔浄玻璃鏡
対象への質問と共に、【無数の触手の中】から【浄玻璃鏡】を召喚する。満足な答えを得るまで、浄玻璃鏡は対象を【裁きの光】で攻撃する。
👑11
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石蕗・つなぎ
「とりあえずチェンジで」
服装が大人び、髪と背が伸びたものの胸だけ成長してない自分を前に。
「言ってみただけよ。後で色々調べないと」
今そうなる可能性を知った以上努力すれば回避できる未来だと克服
先制攻撃は残像で惑わし第六感も使って見切って躱す
避け切れなくてもオーラで防御や赤手で受ける、受け流すなど可能な限りダメージを軽減
「敵が複数いるのは厄介ね」
場合によっては敵をもう一方からの攻撃の盾に使い
「そろそろこっちの番でいいかしら」
凌げたら未来の自分が使ってきても問題ないオブリビオンにしか効果のないUCで反撃
「図体は大きいようだし範囲攻撃は有用でしょ?」
「まだ、よ」
更に斬撃波と衝撃波の二回攻撃で追撃する
「そうね、とりあえずチェンジで」
閻魔王『生と死を分かつもの』の傍らに立つ「英雄」に向けて、石蕗・つなぎ(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35419)は無表情に言い放った。
グリモアベースで聞いた話によれば、この英雄は、未来の——あくまで可能性のひとつとしての、だが——つなぎの姿。
年齢相応に大人びた服装は、問題ない。
今よりも伸びた髪と背、こちらも受け入れられる。
つなぎはもう一度見た。英雄とやらの、胸を。
気のせいかとも思ったが、やはりそうだ。
胸だけがまったく成長していない。
「まあ、言ってみただけよ。後で色々調べないと」
将来の自分の胸が成長しない可能性があるとわかったならば、何かしらの対処方法があるはずだ。今、そうなる可能性を知った以上、努力すれば回避できる未来であると願う。
最初に動いたのは『生と死を分かつもの』だった。
わずかに揺れた後、地面から無数の触手が生え始める。蠢く触手は一つたりとも過たずに、土蜘蛛の少女を捕らえるべく伸びてくる。
しかし、うねる触手が捕らえたのはつなぎの残像であった。
「そのあたりに来る気がしていたわ。本物はこっちよ、英雄さん」
つなぎの挑発に乗るかのように、英雄が睨み付けてくる。
とたん、無数の矢が上空に出現した。この後の矢の動きは、よく解っているつなぎだ。
「敵が複数いるのは厄介ね」
困ったように微笑むつなぎは、その場から動こうともしない。
降り注ぐ矢は、つなぎに触れることすら叶わず、ただ大地へと突き刺さってゆくだけだ。
「そろそろこっちの番でいいかしら。——本来は土蜘蛛の巫女の技なのだけど」
矢の雨が止むと同時に、つなぎが呟く。
直後、地面から生える触手が何かに穿たれて次々と消滅してゆく。
破魔矢・時雨。先ほど英雄も使用したこのユーベルコードは、オブリビオンのみに有効だ。
降り注ぐ矢の雨は触手だけでなく『生と死を分かつもの』と英雄をも貫ぬいてゆく。
「図体は大きいようだし範囲攻撃は有用でしょ?」
赤手を水平に薙ぎ払うようにして動かせば、斬撃波が発生する。
「まだ、よ」
斬撃波の後を追うように放たれた衝撃波は英雄を消滅させ、『生と死を分かつもの』を構成する触手をごっそりと切り落とした。
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
人の形をした神器。それが、俺の至る未来
その姿が現れた事は納得だが、その目。世界に絶望し、或いは憎むような瞳
俺は最初からそうなると分かっていた。それでも尚、神刀を手にした
だから俺は、お前を否定する、世界を憎みはしないと
神刀の封印を解除。神気により身体能力を強化
一旦バックダッシュで死の渦から距離を取る
未来の俺の攻撃方法も基本は刀だ。遠距離攻撃もあるが、それでも距離を取るに越したことはない
構えと纏った神気の輝きで技を見極めて回避し、斬撃波で迎撃
先制を凌いだところで陸の秘剣【緋洸閃】で纏めて攻撃
浄化の力を込めた緋の刀で死の渦も祓ってやろう
速度が落ちれば付け入る隙も出てくる。まずは未来の俺から対処しよう
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が対峙した英雄は、あまりにも憎悪に満ちた目をしていた。
世界に絶望、あるいは憎む。そんな目をした英雄——人の形をした神器は、鏡介の至る未来、その可能性の一つであった。
「分かってはいた。最初から、そうなると」
それでも鏡介は神刀を手にしたのだ。
「俺は、お前を否定する、世界を憎みはしないと」
深い呼吸をひとつ。鏡介は、滅多に使うことのない神刀【無仭】の封印を解いた。
立ち上る神気が、鏡介の感覚を研ぎ澄ましてゆく。
閻魔王『生と死を分かつもの』が死の渦を放ったと見て取るや、後方へ逃れて距離を取る。
英雄の武器は刀。遠距離からの攻撃も持ち合わせているだろうが、厄介なのは刀により攻撃だろう。得意としている武器の間合いから距離を取るに越したことはない。
鏡介は神刀を青眼に構えた。
英雄は刀を抜き、鞘に収めた。居合いによる衝撃波が地を這い、鏡介へと向かって来る。
到達まで1秒もない。だが構えと神気によるものだろう、衝撃波の威力も軌道も手に取るようにわかる。
「見えた」
鏡介は最低限の動きで衝撃波を避け、お返しとばかりに斬撃波を放った。
先制攻撃は凌ぎぎった。
鏡介は、静かに口を開く。
「神刀解放。斬り穿て、千の刃――陸の秘剣【緋洸閃】」
神刀の刃から、神気によって練り上げられた刀が出現すした。戦場に降り注ぐ緋色の刀身を持つ刀は、まずは死の渦を貫いた。清らかな光を放って消えてゆく渦は、鏡介が浄化の力を込めたからだ。
鏡介の目に映る英雄は肩口にひとつの傷を負い、移動速度を大幅に落としていた。
速度を低下させる力も持っている陸の秘剣【緋洸閃】の斬撃によるものだろう。
鏡介は刺突の構えで一気に懐に入り込み、英雄の胸元を貫いた。
「さよならだ。俺は、お前のようにはならない」
英雄の黒い瞳が瞬く。全てを呪うような視線は保ったままで。
そうして、英雄は鏡介の突き込んだ場所から徐々に黒い灰となって消滅した。
大成功
🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
英雄の【爆裂する隕石の魔弾】は「奇術符」を次々に消費し幻影の群れを囮に回避
死の渦は▲オーラ防御に▲ジャストガードで何とか耐えよう
おいおい、何だその "クィーン・トゥルダク" 的な姿は
独り戦いに明け暮れ真の姿に呑み込まれた挙句
その果て迄進んでしまった私自身か
……お前、自分の罪から逃げたな?
伸びて来る閻魔王の触手を上手く潜り、傘にして敵の隕石を防ぎつつ
此方も負けじと【指定UC】を発動
さぁ、隕石の大豪雨だ
コッチは一人、敵は二人
ソロ活動が長すぎてデメリットを忘れたな
▲マヒ攻撃の▲呪詛が篭った弾丸で『英雄』の足を狙撃(▲スナイパー)
隕石から逃げられないようにしよう
閻魔王ごと巻き込んで砕き散らしてやる!
その英雄は、骨を模したヒールブーツを鳴らして歩みを進める。
濃灰をしたゴシックドレスの裾と太腿に纏った朽ちた鎖が、歩行に合わせて揺れる。
「おいおい、何だその“クィーン・トゥルダク”的な姿は」
レモン・セノサキ(Gun's Magus・f29870)は舌打ちまじりに呟く。
英雄は反応を示さず、気怠げに腕を持ち上げた。指先が点を指し示せば、星と呼ぶには禍々しい色がいくつも瞬いた。
虚ろな目に重なる、白く脱色した前髪。赤い2本のメッシュが、飛来する隕石のもたらす風で持ち上がった。
「……お前、自分の罪から逃げたな?」
レモンの言葉に、英雄は瞬きのみを返す。次々と落ちて来る隕石を前に、レモンは奇術符を取り出した。
符が術式を発動し、幻影の群れを成す。
幻影たちに隕石を受けてもらったところで、レモンはすかさず閻魔王『生と死を分かつもの』へ視線を移した。
「見えやすい攻撃だな!」
タイミングを合わせ、オーラを纏った腕と足で『死』の渦を弾く。
レモンは再び英雄を見遣る。
独り戦いに明け暮れ、真の姿に飲み込まれたのだろう。
あげく、果てにまで進んでしまった。
レモンは駆けだした。
襲い来る触手を掻い潜り、時には隕石を防ぐための傘にするようにして進む。
「天の星こそ私の弾丸、いざ仰げ!」
英雄と『生と死を分かつもの』に降り注ぐのは、燃え盛る隕石の魔弾。
レモンは一人、敵は二人。不利な状況、かもしれない
「ソロ活動が長すぎてデメリットを忘れたな」
隕石の着弾まではまだ少し時間がある。レモンはSforzando.275にレミントン弾を装填し、隕石の攻撃範囲から逃れようとする英雄の足を撃った。
「無駄だ、麻痺の呪詛が篭められてるからな」
隕石が地面に触れると同時に、いくつもの爆発が起きる。
広範囲で発生する爆音と爆風の中、レモンは見た。「英雄」は消滅し、『生と死を分かつもの』はどうにか耐え、呻き声を上げるのを。
成功
🔵🔵🔴
鈴鹿・小春
過去と未来まで司れるようになったの…?
今を守る為に限界超えて勝つ!
英雄は十数年歳を重ね強くなった姿かな…死にたくない?
皆を守れなかった、だから自分だけでも生き延びなきゃ…何を喰らってでも?
…呪剣以外と共に生きる事を諦めたその強さ、絶対認められないし負けられない!
暗視で集中し死の渦見切り回避、可能なら英雄の体盾にする位置取りで狙い辛くさせる。
魂食みの刃で仕掛けてくる英雄は呪剣と釼明連の二刀流で見切り音速の刃を受け流す。
瞬間記憶でその軌跡覚え触れぬようにも注意!
凌いだらUC起動、盾剣構え斬撃防ぎ反撃!
流れるように死の渦見切り避けつつ閻魔王の懐に飛び込み杉田君と共にぶった斬る!
※アドリブ絡み等お任せ
閻魔王『生と死を分かつもの』は召喚し、言い放つ。
この英雄こそが未来の姿である、と。
自身に十数年ほど歳を重ねた「英雄」を見て、鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)は歯噛みした。
そこに至るまで何を喰らって生き抜いたのか、口元には血液のようなものが付着している。
異様なまでに生気がみなぎる双眸からは、いっそ「死にたくない」という意思すら感じる。
英雄は、ぎろりと小春を睨んだ。
「僕だけでも生き延びなきゃ――皆を守れなかったから——僕、だけは」
腕を持ち上げ、構える英雄。彼が手にする「魂食みの刃」を見て、小春は理解した。
この英雄の強さは、呪剣以外と共に生きることを諦めて手に入れたものなのだろう。
「絶対に認められないし――負けられない! 僕は、今を守るんだ!」
小春が構えると同時に、『生と死を分かつもの』が『死』の渦を放った。
「これくらい、集中すれば……!」
暗闇の中での動きをも見きって、回避をはかる小春。その後は常に動き続け、英雄の体をも盾にしていくつもの渦を避けきった。
しかし次の瞬間、英雄が魂食みの刃を振りかぶる。
「これ、くらい!」
小春は呪剣で軽く弾き、釼明連で刃を滑らせて音速の刃を受け流した。
刃はもちろん、軌跡にすら触れるとまずいことになるだろう。軌跡を瞬間的に記憶し、反撃すべくさらに意識を集中させる。
「ここはしっかり受けないと……」
そうして呪剣を触媒にして出現させたのは巨大な氷の盾剣、そして天狗面の修験者を思わせるスカルロードだ。
再び襲い来る英雄の斬撃を、背中までも覆う盾剣で防ぐ。その後は姿勢を落とし、『生と死を分かつもの』の元まで一気に距離を詰めた。
「杉田君、合わせて!」
スカルロードに呼びかけ、小春は『生と死を分かつもの』の懐に飛び込む。
盾剣の刃が、絶対零度の冷気を帯びてゆく。
小春の盾剣、次いでスカルロードの持つ死神の大鎌が『生と死を分かつもの』の正面で交差する。
『生と死を分かつもの』に深く刻まれた十字の斬撃は、大量の触手を切り落とした。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
機神搭乗
嘗ての能力者達の脅威…
その邂逅もまた恐ろしい物であったと聞いてます
それでも…
「冥府の神であるボクもいるよ!」(鴉立体映像
ええ、ぷっさん
頼りにしてます
対英雄
それは終焉破壊者としての義務に押しつぶされただ世界の脅威を殺すだけの存在になった自分
…ええ…それはいけない
悩む事を放棄したら…
能力も技も上でしょう
でも…感情を捨てたその動きは分かりやすい
故に読み切りねじ伏せる
対SPD
【オーラ防御・念動力・弾幕】
光のオーラを広範囲に展開
空間を照らし
更にそのオーラで察知して念動光弾でその渦を破壊!
UC発動
【空中戦・二回攻撃・切断・串刺し・貫通攻撃】
超高速で飛び回りながら破壊の波動を纏った剣での連続斬撃!!
冥皇神機『プルートー』が、闇の中に佇む。搭乗したアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)の目に映るのは閻魔王『生と死を分かつもの』だ。
かつての能力者たちが恐るべき邂逅をした脅威に、そして彼の隣に形を成しつつある「英雄」を前に、アルジェンは緊張した面持ちで息を呑んだ。
「大丈夫! 冥府の神であるボクもいるよ!」
鴉の立体映像が出現し、朗らかに語りかけてくる。アルジェンは、思わず表情を緩めた。
「ええ。頼りにしてますよ、ぷっさん」
出現した「英雄」は、一瞥しただけで能力も技も上だとわかる存在。
彼は終焉破壊者としての義務に押しつぶされ、ただ世界の脅威を殺すだけの存在になった——アルジェンの未来の姿。
「……ええ……それはいけない。悩む事を放棄したら……」
半ば自分に言い聞かせるように、アルジェンは呟いた。そうして、意識を戦闘へと切り替える。
「感情を捨てた動きというのは、分かりやすいんですよ」
無機質な動きでアルジェンとの距離を詰めようとする英雄、その進行方向に対して宝剣「Durandal」で斬り上げる。
斬撃を剣で受けた英雄は、『生と死を分かつもの』の付近へと押し戻された。
すかさず、『生と死を分かつもの』が渦を放つ。
アルジェンがプルートーの右腕を掲げるよう動けば、光のオーラが戦場を照らす。
「見えました、ここですね!」
光弾を意図する場所へ放って、渦を迎撃する。渦の消滅を確認した後、アルジェンはプルートーの高機動ウィングを展開した。
「行きましょう、ぷっさん!」
プルートーの目が明滅し、機体が加速を始める。
閃く宝剣は、その軌跡だけを敵に視認させていた。
斬撃を繰り出した剣は、英雄と『生と死を分かつもの』を連続で貫いた。
アルジェンはは宝剣を引き抜き、切っ先を下げる。
「これで、終わりです」
英雄と『生と死を分かつもの』は貫かれた場所から砂のように崩れ、消滅していった。
大成功
🔵🔵🔵