●ソング・オブ・オーンブル
惑星なきスペースシップワールドの片隅で、無数に広がる大艦隊。大量の
漿船が整列し、付き従うように超巨大生物が跋扈する。
「銀河皇帝よ、ご覧なさい。私の築き上げた
帝国継承軍を」
その中心、帝国継承軍旗艦、ソング・オブ・オーンブルでプリンセス・エメラルドは満足げに微笑んだ。
長い時をかけて暗躍し、築きあげた大艦隊。大量の
闇の騎士だけでなく、クエーサービーストさえも従えた彼女は、とうとうその野望を果たすべく動き出そうとしている。
「今こそ船出の時。銀河の全てを私のものにしてみせましょう。ふふふ……」
指先で帝国継承規約の背を撫でると、プリンセスを乗せた艦はゆっくりと動き出した。
●沈黙は破られた
「諸君! とうとう猟書家プリンセス・エメラルドが動きを見せた!」
ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が猟兵達に脅威の存在を告げる。配下の猟書家の大半を失ったはずのプリンセスではあるが、長い暗躍時間を最大限活用して巨大な
帝国継承軍を編成していたのだという。
「奴の狙いはスペースシップワールドに留まらず、スペースオペラワールドへと乗り込もうとしている! しかし、致命的な事態になる前に予知が間に合った!」
討つべきはプリンセス・エメラルド。
プリンセスさえ倒せれば帝国継承軍を束ねる大義名分がなくなる上に、クエーサービーストも支配から解放されることになる。そうなれば帝国継承軍は即座に瓦解するだろう。
「では、目的を果たすための道筋を示そう! まず諸君には闇の騎士の一人と戦ってもらうことになる!」
継承軍が誇る最強戦力「
闇の騎士」。
大量のオブリビオン艦隊とクエーサービーストの群れを従える強敵ではあるが、その一人を倒す事ができれば旗艦漿船の座標を割り出すことが可能になるのだという。
「だが、敵の戦略的優位は計り知れない! こちらが後手に回ること、大量の配下にも対応せねばならぬこと……どちらも覚悟して臨む必要がある!」
力も数も、十分すぎるほどの準備を整えてきた帝国継承軍。
しかし、闇の騎士との戦いはあくまで前哨戦。こんなところで苦戦するわけにはいかない。
この先の戦いのためにも、迅速且つ慎重に闇の騎士を撃破してみせよう。
「そして、見事勝利の暁には旗艦漿船への突入! 更にはプリンセス・エメラルドとの決戦となる!」
勿論、帝国継承軍側も行く手を阻むべく戦いを挑んで来るであろうし、プリンセス自体も非常に強力だ。
困難な闘いとなる事は間違いない。だがこの機を逃せば、プリンセス・エメラルドと帝国継承軍は更なる脅威として銀河に君臨することになる。ここでその野望を打ち砕く以外の道は無いのだ。
「どれほどの相手であろうと、諸君の勝利は揺るぎないとゴッドは信じよう! どうかスペースシップワールド、スペースオペラワールドの未来のために力を尽くしてくれ!」
納斗河 蔵人
お世話になっております。お久しぶりです、納斗河蔵人です。
今回はプリンセス・エメラルドとの決戦シナリオです。
合計20回成功すればオウガ・フォーミュラを完全に滅ぼすことができます。
一章はボス戦、闇の騎士の一人『人造クリスタリアン『ジルコニア・コブラ』』と戦うことになります。ボス自身も強力ですが、更には先制ユーベルコードと大量の配下による攻撃が猟兵に襲いかかってきます。これらに対処できなければ勝利は難しいでしょう。逆に上手く対処できればプレイングボーナスがつきます。
見事勝利すれば、二章では旗艦漿船への行く手を阻むボス戦、更に三章ではプリンセス・エメラルドとの決戦になります。
それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『人造クリスタリアン『ジルコニア・コブラ』』
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POW : ジルコニアの大剣
【右腕部が変化した大剣】が命中した対象を切断する。
SPD : サイコブラスター
【左腕部のブラスター】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 光学迷彩モード
肉体の一部もしくは全部を【透明】に変異させ、透明の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
👑11
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「ほう、猟兵め。やはり来るか……プリンセス・エメラルドの予想通りだな」
大量の
漿船の一隻の中で、
闇の騎士ジルコニア・コブラがつぶやいた。
「だが、お前達がプリンセスの下にたどり着くことはない。この剣の錆にしてやろう」
さっ、と剣と化した右腕を掲げれば、彼と同様に怪しく輝く人造クリスタリアン達がずらりと整列する。
闇の騎士とその配下。
力と数を兼ね備えた強大な敵を前に、猟兵達はどう立ち向かうのだろうか。
*****
プレイングボーナス……「先制突撃」と「大量の配下による攻撃」に対処する。
*****
御形・菘
はっはっは、野望のスケールがデカくて素晴らしい!
妾がいなければ、見事に成功できたかもしれんな!
各種オーラを全身に纏い、配下の先制攻撃はできるだけ軽減させながらガードしていこう
妾自身は迷彩に対応できんが、妾を取り巻く超高機能カメラ群には正に専門分野でな?
熱探知系など張り付かせて位置を把握、接近なり攻撃してくる挙動があれば合図をもらって避ける!
これほどの軍団相手ならこれがバエよう!
右手を上げ、指を鳴らし、さあ花弁よ来たれ!
はーはっはっは! 宇宙の海の中で、無限の花々に溺れるがよい!
それに花弁が張り付けば迷彩も無意味となる、姿が捕捉できたら直接ボコるぞ
イケてる大剣であろうが、妾の左腕の前には無力だ!
カーバンクル・スカルン
おうおう、その剣非常に切れ味が鋭そうですね? 私のカラクリもバッサリいかれそうだぁ。……なら速攻で壊すべき。
ブラスターによる射撃をロープワークで避けつつ、敵兵士達の真っ只中に着地して紛れ込む。構わず撃ってきて同士討ちをしてくれるならそれはそれで良しとする。
その間に機械仕掛けのワニを突っ込ませて【三軍暴骨】の馬鹿力で敵の右腕に噛みついて刃をへし折ってやる!
首領の悲鳴か怒鳴り声に配下の兵士達が気を取られないわけがない。でも戦場でよそ見は厳禁! 超巨大金槌で一掃させてもらいましょう!
無限に列を成す大艦隊。それを構成する
漿船で、この宇宙の未来に関わる激戦が始まろうとしている。
「お前達が来るのはわかっていた! 喰らえっ!」
透明な肉体の右腕を大剣に、左腕をコブラ型のブラスターに変化させた人造クリスタリアン。
闇の騎士ジルコニア・コブラはすさまじいまでの速度でその両腕を振るった。
「はーっはっは! 妾参上!」
その声が響くよりも早く、ジルコニアの大剣が現れた猟兵に迫る。
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の配信者としての存在感を強め、様々な状況を
盛り上げる莫大なオーラ。
「はっはっは! 流石よのぉ!」
ジルコニアに先手を取られることは覚悟していた。故に最初からその身を守るべく、全力で邪神のオーラを展開していたというのに。
それをまるで薄衣を裂くように切り拓いていく様には、さしもの菘も声をあげざるをえない。
だが、その切っ先が彼女に届くことはない。ギリギリのところで邪神オーラは菘を守りきった。
「おうおう、こっちにその剣が向かなくてよかったわ?」
そしてもう一人。
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は、
漿船の天井からその光景に苦笑い。
彼女もまたテレポートから飛び出すと同時、ボディ・サスペンションの鎖を射出し、引き寄せられるままにその身を宙に浮かべていた。
ジルコニアが大剣を振るうと共に左腕のサイコブラスターから放った光線が、彼女の出現した場所を正確に撃ち貫いていたのは言うまでもない。
「まともに喰らっちゃ、私のカラクリもバッサリいかれそうだぁ」
「はっはっは、今の一撃で決められなかったのは失態であったな!」
菘の様に攻撃を、特にあの大剣を防ぎきることは難しいだろうとカーバンクルは見積もる。
菘はジルコニアを挑発するようにいうが、彼女だってそう何度もできる芸当ではあるまい。
「……なら速攻で壊すべき」
あの大剣を封じる。勝利のためにとるべき方針は決まった。
「猟兵、プリンセス・エメラルドの銀河征服を止める事など不可能だ。我が配下――そしてこの俺自身の手によって、ここで仕留める!」
「はっはっは、野望のスケールがデカくて素晴らしい!」
闇の騎士、そして彼に付き従う配下たちが一斉にサイコブラスターを構える。
そうして戦いの火蓋は切って落とされたのだ。
「さあ、皆の衆! 妾のバトルをとくと目に焼き付けるのだ!」
ばっ、と光が漿船に広がる。菘が展開するのは、配信には欠かせない超高性能カメラ。
これでバトルを視聴者に届け、それによって菘の邪神オーラは益々増していくのだ。
――しかし。
「ぬう? 奴め、どこに消えた?」
ふと気付けばジルコニア・コブラの姿はいつの間にか見えなくなっていた。
「こっちでも姿は確認できないわね」
一方のカーバンクルは鎖を用いた立体機動で、配下たちの間を縦横無尽に駆け回っている。
不意に中心に飛び込み、サイコブラスターの発射を誘い、また宙に舞う。
彼女を捕らえきれず同士討ちも起こっているが、配下たちの数も圧倒的。まだまだ数を減らしたとは言い難い。
その姿も当然カメラは捉えている。チラリと視線をそちらに向けるが、やはりジルコニアの存在は確認できない。
と、すれば。
「
光学迷彩モード――」
クリスタリアンの得意技。プリンセスがそうであるように、ジルコニアもまたその姿を透過しているのかもしれない。
その事に思い当たると同時、菘の体に衝撃がはしった。
邪神オーラを揺るがす、強大なエネルギー。これは配下のものではない。ジルコニアからの攻撃だ。
「隠れてコソコソ攻めてくるとは……」
姿が見えない、確かにそれは戦う上での脅威だ。
しかし、彼女にとってもっとも大事な「映え」を演出する上で、その事はより大きな問題となる。
「真にバトルに必要なのは何たるか、わかっておらんか!」
ばん、と床を叩きつける。
画面の中で何が起こっているか分からない。それでは視聴者達に何も伝わらない。そんな事を許すわけにはいかない。
「カメラ切り替え! サーモモードだ!」
配信画面が赤と緑で彩られた。
姿は隠せても熱や音は消せない。目には見えないものをカメラは捉えている!
「お主、これで分かるな!」
「当たり前!」
菘がびしっ、と指を指せば、カーバンクルが当然とばかりに頷く。
配下たちに対処しながら器用に指先を手繰り、作り上げたのは機械仕掛けのワニ。
「よかろう、ならばこれがバエよう!」
菘がパチンと指を鳴らせば、浮かび上がるは魔法陣。
「はーはっはっは! 宇宙の海の中で、無限の花々に溺れるがよい!」
花驟雨。無数の花弁が降り注ぎ、配下たちの目を塞ぎ、腕を断ち、足を止めていく。
「Code:Porosus,approved」
そして花弁舞う中、ワニの牙が何もない空間へ食らい付いた。
めきめきと、何かが砕ける音が響く。
「馬鹿なっ!」
叫びと共にジルコニアの大剣が床に転がった。
堅牢たるジルコニアの体も、
三軍暴骨の力の前には耐えられない。
衝撃に光学迷彩モードも解除され、彼の姿がはっきりとカメラに映る。
「さあ、へし折ってやったわよ! 兵士達はこっちが引き受ける!」
「うむ、後は任せよ!」
すれ違い様に菘へと声をかけ、カーバンクルは身長ほどもある巨大な鎚を担ぎ上げた。
あり得ないはずの闇の騎士の負傷に、配下たちは浮き足立っている。
「戦場でよそ見は厳禁!」
この隙を逃すわけには行かない。漿船を揺るがす衝撃と共に、カーバンクルは配下たちを打ち砕いていくのだった。
「おのれ、だが俺にはこの左腕のサイコブラスターが……」
「そんなもの、妾の左腕の前には無力だ!」
ジルコニアが放った光線を菘が殴りつける。
左腕に集中した邪神オーラが光を散らし、彼女へと届かせない。
「――ッ! この闇の騎士たる俺が! プリンセスの銀河支配を邪魔するものなどに――!」
そして、光を押し返して拳がぶつかり合う。そうなれば当然砕けるのはジルコニアの左腕。
「妾達がいなければ、見事に成功できたかもしれんがな!」
カメラのレンズがキラリと光る。
花びらの舞い散る中、ジルコニアをボコる菘と配下を相手に無双するカーバンクル。二人の活躍に、視聴者達は大盛り上がり間違いなしであろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エルネスト・ポラリス
アドリブ連携◎
広大な銀河の世界を掌握する為、途方もない戦力を用意しているのでしょうね
だからこそ、猟兵が戦わねばならないのです
質と量を兼ね備えた敵であれば『人狼咆哮』……周り全てを吹き飛ばすユーベルコードの出番です
手段を選んでる余裕も無いし使用に躊躇いはないのですが、射程距離に入るまでに雨あられと降り注ぐ敵のサイコブラスターが問題ですね
消耗を0にするのは諦めますか
飛来する攻撃を限界まで観察し見切ります
急所に当たらないもの、命中率を重視した配下の攻撃は最低限の回避に留め、攻撃力を高めた致命的な物のみ仕込み杖で武器受けするのです
咆哮の射程距離に入るまで私が攻撃を捌ききれるか……勝負と行きましょう!
ルカ・クルオーレ
ルキ(f29939)と
騎士だって
面白いねえ、大したレベルでも無さそうだけど
挑発するように笑う
オーラ防御で致命傷だけは避けつつ攻撃を受けてもある程度はそのままに引き付ける
血塗れになっても気にする事も無い様子で
ねえルキ、こんなもので僕達を止められると思っているのかなあ?
Fulmine di sangue
流した血を幻影へと変えて戦いへと投じる
幻影たちを指揮しつつも笑みを浮かべ戦場を眺め
さて、僕は動かなくても良さそうだけど
良かったら僕のこれ使ってみる?
このくらいの連中、慣れてないのでもイケるよねえ
本体を無造作にぽいっと投げ渡して
後は任せようか
多少斬られても自身な上、幻影増えるだけなので気にしない
ルキヴァ・レイヴンビーク
ルカ(f18732)と
ハハ、全裸に騎士とか名乗られては笑うしか御座いマセン
この鴉、光り物は好きですが…厳ついGUYはノーサンキュー
全部砕いて宇宙ダストにしてやりマスかね
鴉姿に変化し、夜闇に紛れる様に宙に舞い
軍勢の攻撃は兎に角避けながら本陣へと向かいマス
Mr.コブラの左腕だけは注意し、見切り回避試み
多少喰らっても痛みには強いデスよワタシ
ルカは余裕そうデスねぇ…
人型に戻り近付けば大鎌渡され
と、これはユーご自身では?
試しに軽く振り回し…成る程、面白い
これでユーを斬ったとて無問題デスよね?
UC発動
ワタシが手にすれば全て得物は殺戮刃物
長柄の取り回しは得意デスのでね
硬度が高かろうと叩き割って差し上げマスよ
銀河を埋め尽くす大艦隊。
スペースシップワールドだけでなく、スペースオペラワールドまで支配しようというプリンセス・エメラルドの野望を果たすには、おそらくはこれでも足りないほどなのだろう。
エルネスト・ポラリス(たとえ月すら錆びはてるとも・f00066)は、深く息を吐く。
途方もない戦力。正面からではとても止められない。しかし、まだ間に合う。プリンセス・エメラルドを倒す事さえできれば――
「だからこそ、猟兵が戦わねばならないのです」
その為の道程は困難。配下一人だって、とてつもない強敵なのだから。
首元を掠めた熱を感じ、エルネストは冷や汗を流した。
「フン、この
闇の騎士の一撃に耐えてみせたのは褒めてやる」
ジルコニア・コブラがつまらなさそうに言う。
現れた猟兵は三人。出現と同時にサイコブラスターは彼ら全員に襲いかかっていた。
「騎士だって」
「ハハ、全裸に騎士とか名乗られては笑うしか御座いマセン」
ルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)の言葉にルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)が笑う。
「面白いねえ、大したレベルでも無さそうだけど」
「俺を笑うか。そんな姿で言われても強がりとしか思えんがな」
が、ジルコニアの言うとおり、ルカは転移と同時に受けた一撃で全身を血にまみれさせている。
どうにか致命傷だけは避けているようだが、エルネストから見ればとても無事とは思えない。
「だってさ、ルキ。どう思う?」
「この鴉、光り物は好きですが……厳ついGUYはノーサンキュー」
ところがその口調はのんびりとしたもの。相方のルキヴァの方にも慌てた様子は見られない。
そんな姿に首を振り、ジルコニアは大剣と化した右手を振り上げる。
「現実を教えてやろう。我が配下の軍勢をもってな!」
それを合図として、彼と似た姿をした人造クリスタリアン集団が動き出した。
「ねえルキ、こんなもので僕達を止められると思っているのかなあ?」
動き出した大軍勢を前にしてもやはりルカは慌てる様子を見せない。
彼自身の性格も勿論あるが、実のところ傷を受けたのはむしろ狙い通りでもあった。
「さあ、現れたよ。お前の死を告げる者が」
Fulmine di sangue。流れた血は幻影となり、戦場へと舞い降りる。
大剣さえも幻影が手にした大鎌の前に打ち砕かれる。敵の数こそ多いが、個々の実力はジルコニアには及ばぬようだ。
「じゃあ、あの騎士ってやつを倒す方法を考えてねえ?」
幻影を操りながら、ルカは笑みを浮かべる。
その言葉に、エルネストが手を上げた。
「いくらなんでもこの数と戦い続けるのは不可能。配下を処理し、闇の騎士に集中できる状況を作りましょう」
しかし、その為には敵の中心部に潜り込まなければならない。
そうすると現在も無数に飛び交っているサイコブラスターの光は、ますます激しくなるに違いない。
「手段を選んでる余裕も無いし、使用に躊躇いはないのですが――」
同時にルキヴァとルカも危険に晒すことになる。手にした仕込み杖で光の軌道を逸らしつつ、エルネストは申し訳なさそうに言う。
ところが、返ってきた答えは拍子抜けするほどあっさりとしたものだった。
「問題ありまセん。Mr.コブラの注意はワタシが惹きマショウ」
「僕は雑魚散らしってとこかなあ」
言うが早いか、ルキヴァはその姿を鴉へと変えて舞い上がる。
サイコブラスターの光を紙一重で潜り抜け、ジルコニアを挑発するように飛び回っていく。
その姿を眺めつつ、ルカがのんびりと言った。
「さて、僕達も行こうか」
飛び交うブラスターを、襲い来る大剣を仕込み杖でいなしつつ一歩ずつ進んでいく。
しかし、やはり数は脅威。
ルキヴァの活躍によってこちらへの攻撃こそ弱まっているが、全てを守りきることはできずエルネストにも傷が増えていく。
しかも時にルカは自身を盾としてしまう。その度に血が噴き出し、幻影はますます力を増していく。
そういうユーベルコードだとわかってはいても、たとえ彼が余裕の表情を崩すことがないとしても、紅く塗れた姿に心が揺らぐ。
「……ッ!」
そして、ようやくエルネスト達はたどり着いた。
ここからなら配下たち全てを巻き込み、ジルコニアごと吹き飛ばすことができる。
深く息を吸い込む。
――人狼咆哮にはひとつだけ欠点がある。激しい咆哮は文字通り「全て」を吹き飛ばすという事だ。
ルキヴァは鴉の翼で離脱できるかもしれない。
だが、ルカはどうだ? この状況を作り上げるまでに負った傷は皆浅くない。その状態で咆哮を受けて耐えられるか――
「やっちゃいなよ」
そんな葛藤を見透かしたかの様に、しかし似つかわしくないのんびりとした声色でルカが言った。
共に戦う者の覚悟を甘く見てしまったかと自省する。猟兵ならば、そんな事で歩みを止めてはならない。
「くたばれ、
闇の騎士ッ!」
空気が震え、漿船が震える。
咆哮と共にすさまじいまでの圧力で周囲が捻れ、裂け、砕けていく。
「ルキ」
そんな中でも、ルキヴァにははっきりと聞こえた。ルカが彼を呼ぶ声が。
「ルカ、大丈夫デスか」
「僕の出番はここまでかなあ」
静寂が訪れたと同時、傍らへと舞い降り人型へと戻る。
流石のルカも激戦に加えて人狼咆哮を至近距離で受けてまで、これ以上戦う気もないようだ。
「あ、良かったら僕のこれ使ってみる?」
相変わらずののんびりとした口調でぽいっ、と何かを放り投げる。
慌てて抱えれば、腕の中にあったのは鋭い刃が黒く輝く――
「と、これはユーご自身では?」
ルカはヤドリガミ。そんな彼が持っている大鎌など本体以外にあり得ないだろう。
ルキヴァの問いに、ルカは挑発するようにいった。
「このくらいの連中、慣れてないのでもイケるよねえ」
「フム……」
軽く振ってみる。
サイズこそ大きいが刃がついている限りは刃物であるし、何より長柄の取り回しは得意分野。問題は無さそうだ。
思わず笑みがこぼれる。
「成る程、面白い。これでユーを斬ったとて無問題デスよね?」
「それは今更だねえ」
「俺の配下を悉くやってくれるとはな」
「私たちを軽んじた結果でしょう」
人狼咆哮によって配下の大半は吹き飛ばしたものの、闇の騎士たるジルコニアを倒しきるまでには至らなかった。
「数は力だ。だが奴ら全員合わせたよりも俺が強い!」
「そんな闇の騎士を倒して回るわけにもいきませんからね。だからこそあなたを倒し、直接エメラルドを討たねばならないのです」
重みのある大剣を仕込み杖で受け流す。
「それは不可能だな。俺さえも倒す事はできはしない!」
ルカほどではないにせよ、エルネストの消耗も激しい。対するジルコニアには大剣だけでなく、左腕のサイコブラスターが健在。
精度の高い攻撃ともなれば全てを避けきることは不可能。もう一度叫びを、とも考えるがその隙を作らせてくれるほど甘くはない
大剣が振り上げられる。軌道を読み切り、体をずらす。しかしそこで、船が揺れた。
「とどめだっ!」
船を揺らしたのはサイコブラスターの一撃。エルネストを狙わず、破壊力でこちらの体勢を崩したのだ。
だが、目論見通りには行かない。
大剣が跳ね上がり、ジルコニアがたたらを踏む。
そこにいたのは、瞳を輝かせたルキヴァであった。
「Mr.コブラ、叩き割って差し上げマスよ」
「邪魔をするっ!」
大振りな鎌が、まるで旋風の如く空を裂く。ルキヴァが持てばそれは即ち殺戮刃物。
ひとつ、ふたつ、みっつ。
ジルコニアも素早い動きに反応し鎌を打ち払う。
「もう一手!」
「ヌ……デスが痛みには強いデスよワタシ」
サイコブラスターの熱線が左腕を灼く。それでもルキヴァは止まらないが、刃はジルコニアに届かない。
九死殺戮刃の負担は小さくない。倒しきれるか――
「終わりにさせてもらおう!」
「そうは行きませんよ」
が、そこで体勢を立て直したエルネストが飛び込んでくる。大鎌に触れるのも厭わず、ジルコニアの懐へ。
「このまま……やれっ!」
「ぐ、ぬおおおおおっ!?」
力を振り絞った叫びがクリスタルの体にヒビを走らせた。
さしものジルコニアも至近距離からの捨て身の攻撃には応じられない。そこに煌めくのは漆黒の刃。
「宇宙ダストになりなサイ!」
大鎌が嵐のように襲いかかり
闇の騎士の体が砕け散る。
こうして、遂にこの漿船に静寂が訪れることになったのだ。
大成功
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第2章 ボス戦
『能天魔怪獣エクスシア』
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POW : グランホーリーレイ
【頭上】から、戦場全体に「敵味方を識別する【光をねじ曲げ、一点に集中させた強力な光線】」を放ち、ダメージと【膨大な熱量と爆風による大打撃を与え、盲目】の状態異常を与える。
SPD : クリスタライズブラスター
自身が【光を屈折させる事による透明化をして】いる間、レベルm半径内の対象全てに【瞬間的な強烈な閃光を伴う破壊光弾】によるダメージか【自身の周囲の光を吸収する事】による治癒を与え続ける。
WIZ : ディザスターレイ
敵を【崩壊させる不可視の光】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
👑11
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闇の騎士との激戦を経て、猟兵達は遂にプリンセス・エメラルドの旗艦『ソング・オブ・オーンブル』の座標を取得した。
情報に従い帝国継承軍の中枢へと向かう彼らの前に現れたのは、巨大な魔獣であった。
「ギャオオオオオオス!」
音が聞こえぬはずの宇宙空間で、猟兵達の鼓膜がビリビリと震える。
その名は能天魔怪獣エクスシア。猟兵の中にはその姿をブルーアルカディアで見たことがあるものもいるかもしれない。
しかしその姿はクエーサービーストを餌とした事で小惑星サイズにまで巨大化している。
惑星ロボがあれば……と無い物ねだりをしても仕方がない。
プリンセス・エメラルドへとたどり着くために、この超・超巨大モンスターを撃破しよう!
*****
プレイングボーナス……自分の力とユーベルコードのみで、「超・超巨大モンスター」に対抗する。
*****
御形・菘
デカいモノものが強いのは確かに真理! ならば小惑星サイズとか超強かろうな
だが、それを見事に粉砕してこその妾であろう?
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ!
此度は巨大宇宙怪獣とのバトルなのだが、妾でもブッ飛ばすにはちょっと苦労しそうでな
なので応援にプラスアルファでパワーを妾に分けてほしい! 具体的には電力!
ソーシャルレーザーを、星の数よりも多い妾の信者(視聴者)に力を借りれば、威力が無限大に跳ね上がるのは必然!
はっはっは、アーダーライトの歓喜の閃光とは、すなわちキマフュそのもののパワー!
惑星であろうが、エモくカッコ良く消し飛ばしてくれよう!
カーバンクル・スカルン
うっわ、私のよりもやべー光放ってんじゃん。こりゃ易々と近づかせてはくれねーな……。
直視がマズいなら見てなくても攻撃できる策でいくしかないね。突き抜けろ、【ジャッジメントセイバー・レイン】! 無知こそ罪って言うじゃない? 自分の飼い主が大悪人だったことを恨みながら逝きなさい!
とはいえ600本程度じゃ剣の光を吸い取られて回復されかねない。確実に致命傷を与えられる場所を狙いつつ、私は徹底的に敵の動向を見て回避に専念していこう。
エルネスト・ポラリス
アドリブ連携◎
……おっきいねぇ
いやホントどうしましょうコレ
もっとこう入念に準備して討伐するアレじゃん、前座で出てくるサイズじゃないじゃん
くそ、さっき『途方もない戦力と戦う覚悟はできてるぜ』みたいな事言わなきゃ良かった!
ですが吐いた唾は吞みこめません、覚悟を決めます
ユーベルコードを起動、張り通しましょう意地と見栄!
人間だって針が脳に貫通すれば死ぬでしょう
私の身体を覆う錆びた金属片を円錐状に展開し、時速1万kmを越える速度で奴の脳天に突撃!
光線に質量はない、敵の迎撃の熱でダメージを負う前に一気に貫くのです
以上作戦! 必要なのはユーベルコードの強度と……【勇気】だけですよ!
広大な銀河を埋め尽くす
帝国継承軍。
その旗艦「ソング・オブ・オーンブル」への突入を試みた猟兵達を阻んだのは、こことは違う世界、ブルーアルカディアからの災厄であった。
「……おっきいねぇ」
エルネスト・ポラリス(たとえ月すら錆びはてるとも・f00066)は思わず漏らす。
まだ十分すぎるほどの距離であってもあまりにも規格外、惑星サイズのモンスターとあってはその感想も当然と言えよう。
プリンセスによって支配された能天魔怪獣エクスシアはクエーサービーストを餌とし、これほどまでの巨大化を果たしていた。
「うっわ、私のよりもやべー光放ってんじゃん」
と、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)の呆れたような声にエルネストは首をかしげる。
光を放つ。彼の瞳にはそういった様子は映らず、ただ咆吼をあげているようにしか見えないが……
「たぶん目じゃ見えないよ。でもほら、周りを見るとさ」
促され視野を広く取ってみれば、なるほど辺りのデブリが崩壊していく様が見て取れる。
どうやらあの怪物は不可視の光線を放ち、接近を拒んでいるらしい。
「こりゃ易々と近づかせてはくれねーな……」
「しかも旗艦には影響が出ていない辺り、支配は完璧ってことかぁ」
エルネストが
天を仰ぐ。目標は既に見えているというのに、敵は超々巨大。
見えない攻撃が行く手を阻み、更にまだまだ未知の能力も持っているだろう。
「いやホントどうしましょうコレ」
せめて惑星ロボがあれば。しかしあんな目立つものを連れては奇襲作戦も何もあったものではないのだから、それは叶わない。
「もっとこう入念に準備して討伐するアレじゃん、前座で出てくるサイズじゃないじゃん」
「ごもっとも、でもスルーもさせてはくれなさそうよ」
エクスシアは巨体を震わせ、周囲を見渡す。
あちらからすればちっぽけな猟兵達ではあるが、その目を掻い潜ることは不可能だろう。
「くそ、さっき『途方もない戦力と戦う覚悟はできてるぜ』みたいな事言わなきゃ良かった!」
……と。
「はーっはっはっは!」
宇宙に笑い声が響く。振り返って見てみれば、声の主は御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)であった。
「デカいモノものが強いのは確かに真理! ならば小惑星サイズとか超強かろうな」
彼女はこの現状を目にしても臆することなく、むしろにやりと笑ってみせる。
これほどまでの脅威。これほどの巨体。そんな時に考えることはただ一つ。
「だが、それを見事に粉砕してこその妾であろう?」
「……はぁ」
どちらにせよ、エクスシアを倒さぬ限り先には進めないのだ。
それ以上のことを考える必要はない。
「吐いた唾は呑み込めません、覚悟を決めます」
エルネストも首を振り、能天魔怪獣へと動き出す。
「やるしかないってことだわなー」
そしてカーバンクルも頭を掻きつつ、それに続くのであった。
「スクリーン! カモン!」
右手を高く上げ、指を鳴らす。
それと共に宇宙に広がるのは、無数に浮かぶディスプレイ。
その向こうに居るのはキマイラフューチャーの視聴者達。菘の生配信を心待ちにしていた頼れる仲間だ。
「はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ!」
ディスプレイには次々とコメントが流れ、次なる敵は何者かと問いかける。
満足げに頷くと、菘はカメラをエクスシアヘと向けた。
「此度は巨大宇宙怪獣とのバトル! ――なのだが、妾でもブッ飛ばすにはちょっと苦労しそうでな」
弱気か? そういうキャラで来たか。 続きはよ。
そんなコメントが流れてくる。たっぷりと間を空け、じらすように言葉を続けていく。
「なので応援にプラスアルファでパワーを妾に分けてほしい! 具体的には電力!」
そしてカッ、と目を見開き、叫ぶ。
電力。彼女が巨大怪獣と戦う為に選んだ武器。
狙いは分からないが、視聴者達は構わず声援を送りその結末に期待を募らせるのだ。
「はっはっは! いいぞ! まずは共に戦う者たちのステージを彩ってくれよう! 妾の活躍はその後だ!」
開かれた手のひらから、宇宙空間に雷鳴が迸る。
その先にはカーバンクルとエルネスト、二人の猟兵達の姿があった。
「なるほど、そう来ましたか」
エルネストの目の前で電流が不自然に途切れた。
エクスシアの放つ
不可視の光線は触れたものを崩壊させる。
つまり、巡らされた電気が途切れた場所に光が存在していると言うこと。
菘の放つ電撃が崩壊する位置を頼りに進めば、この光に囚われることは無いということだ。
「まずは一手封じたわけだけど……」
が、敵の動きも素早い。視覚的な隠蔽が無意味と悟ったか、戦略を変えてくる。
「ひゃー、もんのすごいエネルギーだわ」
能天魔怪獣に集う光。一目で分かる、驚異的なパワー。
「来ますよ!」
一条の光が銀河を貫いた。
膨大な熱量が宇宙空間を焦がし、次々と爆発が巻き起こる。
その衝撃に体を揺らされながら、カーバンクルは目を細めた。
「ありゃ、とてもじゃないけど直視できないね」
「威力だけじゃないとは、実に厄介。ですが……」
しかし、光明は見えた。放つ前、光を収束させていた時の違和感をエルネストははっきりと捉えていた。
「あそこが頭、ですね」
「なるほど、アイツも生き物なら脳ミソがある」
「
能天怪獣だけに」
どれほどの巨体も、それを動かす脳がなければ始まらない。
意図を察し、カーバンクルがボリボリと頭をかく。
「ちまちまやっても仕方ないし、そこを狙うしかないかー」
「うむ、クライマックスだな!」
と、そこで菘も合流する。
派手な爆発の連鎖に視聴者達も大盛り上がり。そろそろ締めに向かって行きたいところだ。
「ほらほらー、撃ってきなさいよー」
カーバンクルがエクスシアを挑発する。
すると、その動きに誘われたか再び一本角に光が収束していく。
「おー、まぶしいまぶしい」
勝負は一瞬。爆発に巻き込まれれば致命傷は必至、必ず躱さなくてはならない。
一瞬が無限にも思えるほどの時間を越えて、グランホーリーレイが戦場を引き裂いた。
真っ直ぐにカーバンクルを狙い放たれた光から背を向けて、一気に加速。
「突き抜けろ、ジャッジメントセイバー・レイン!」
しかし逃げるばかりではない。周辺に数多の剣を光で作り上げ、展開する。
――そして彼女が命ずるまでもなく、攻撃の後隙を晒したエクスシアヘと襲いかかっていく。
「無知こそ罪って言うじゃない? 自分の飼い主が大悪人だったことを恨みながら逝きなさい!」
そう、光輝く裁きの剣は邪悪な者を裁く剣。プリンセス・エメラルド以上に邪悪な存在など、この場には存在しない。
旗艦を狙う剣を食い止めるため、惑星サイズの巨体を盾にする。必然、隙を晒すこととなる。
「はっはっは、アーダーライトの歓喜の閃光とは、すなわちキマフュそのもののパワー!」
今こそ好機。菘の左腕に光が収束していく。
爆発を背に、まさしく絵になる姿を示しながら更なる呼びかけを放つ。
「
喝采よ、妾に降り注げ!」
呼びかけと共にますます彼女へと力は集まり、そして。
「妾のパワーはもはや無限大!」
超巨大浪漫砲の光が一直線に貫くのはエクスシアの脳天。
肉を切り開き、その奧に存在する脳みそをさらけ出させる。
「ギャオオオオオス!」
「見えました!」
錆びた金属片で全身を覆ったエルネストが、一直線に脳天へ向けて飛翔を開始する。
が、エスクシアも黙ってはいない。再びエネルギーを収束しはじめた。
じわ、と汗が滲む。まだまだ距離があるというのに、放たれる熱はまさしく全てを滅ぼす力の存在を物語っている。
今からあの只中に突っ込む?マジで? 近づいてくる光にそんな考えが浮かぶ。
だが、これ以上のチャンスはもはやあるまい。むしろこれを逃せば自分だけではなく、共に戦う仲間達も危機に陥ることとなるだろう。
だからこそ、自分に言い聞かせるように言う。
「張り通しましょう意地と見栄! 必要なのは、勇気だけですよ!」
「ギャオオオオス!」
歯を食いしばり、光の奔流へとエルネストは飛び込んでいく。
されど錆びぬその意思は身を守るものが溶け、身を焼かれようとも止められはしない!
「誰が何と言おうと! 私はカッコよくて! 優しくて! すっごく強い! あの子達の自慢のお兄ちゃんなんですよ!!」
光の放出が止まる。能天魔怪獣エクスシアの動きが止まる。
「……あの人大丈夫かな?」
カーバンクルが振り返り、確かめる。
すると怪獣の頭部から這い出すように動くものがあるではないか。
「うむ、妾達のエモくカッコ良い勝利だな!」
ディスプレイに映し出されたエルネストの姿に、菘は満足げに笑うのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルカ・クルオーレ
ルキ(f29939)と
おやおや、随分と大きなのが出てきたねえ
前に進むためにはこいつを退かさなきゃならないって事かな、面倒そう
ルキ、どうする?
とりあえず近付かなきゃだよねえ
それじゃ移動はお願いするとして、僕も少し対策しておこうかな
Discesa del Re Demone
全身禍々しさを感じるような黒の甲冑を纏い、少し大きくなってルキの背中へ飛び乗る
悪者感は今更、比べたら豆粒みたいなものだけど何もしないよりはねえ
近付いたら飛び込んで全力で急所を突く
固そうだし、狙うのは目か角か、心臓は無理かなあ
敵の攻撃はオーラ防御と甲冑の防御力で受け流し、多少喰らってもそのままに
さっさと壊れちゃってよ、邪魔だから
ルキヴァ・レイヴンビーク
ルカ(f18732)と
JAPANの怪獣映画に出て来そうな敵デスね
面倒臭がりはユーの悪い癖デスよ?
どうするも何もぶちのめしマス
小細工効く様に思えマセンしね
鳥形態に変化からのUC発動
沢山乗っても平気デスよ★
ええ、ワタシがルカの翼代わりとなりマショウ
ユーも変身なさいマスか…段々悪者感増して来マシタね、我々
一鳴きして敵に向けて羽ばたき吶喊開始
向こうの光線に合わせてワタシもレーザーブレス発射
光なぞ闇で相殺してくれマショウ
完封と行かずとも、鋼の羽根に鎧われたワタシを撃ち落とそうなぞ笑止
このまま体当たりしちゃいマスんでルカ、頼みマス
鱗の隙間とか弱そうじゃないデス?
ヒットアンドアウェイで無理せず参りマショウ
「おやおや、随分と大きなのが出てきたねえ」
「JAPANの怪獣映画に出て来そうな敵デスね」
その巨大さで圧倒的存在感を示す能天魔怪獣。
エクスシアの咆吼は銀河を震わせ、ビリビリと彼らに響く。
それでも、ルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)とルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)は焦りも見せず鷹揚に笑った。
「前に進むためにはこいつを退かさなきゃならないって事かな」
しかし、プリンセス・エメラルドの座する旗艦への道は塞がれているのも事実。ルカは続けた。
「面倒そう」
「面倒臭がりはユーの悪い癖デスよ?」
たしなめるようにルキヴァが言う。
もっとも、それはいつものこと。彼だってわかって行動を共にしているのだから、これはじゃれ合いのようなものだ。
そしてその後の流れもいつも通り。
「ルキ、どうする?」
「どうするも何もぶちのめしマス。小細工効く様に思えマセンしね」
言うが早いか、ルキヴァの姿が巨大な大鴉ヘと変化する。
鋼の羽毛に覆われたその背へと、ルカは間を置かずして迷い無く飛び乗った。
「とりあえず近付かなきゃだよねえ」
「ええ、ワタシがルカの翼代わりとなりマショウ。沢山乗っても平気デスよ★」
真王の鋼翼が羽ばたけば、宇宙に風が巻き起こる。
「それじゃ移動はお願いするとして、僕も少し対策しておこうかな」
「ふム?」
そしてルカもまた、その姿を変化させる。
Discesa del Re Demone。巨大化した鴉の背にあっても見劣りせぬ堂々たる姿。
纏う甲冑から漂う禍々しさはまさしく魔王といったところか。
「段々悪者感増して来マシタね、我々」
「悪者感は今更」
惑星サイズの魔獣を前にしては、それでも豆粒のようなものかもしれない。
だが、小さな雨粒が岩を穿つこともあるのだ。
「ギャオオオオス!」
能天魔怪獣エクスシアの叫びと共に銀河へと光が奔る。
光は無数に浮かぶ大艦隊を器用に避け、一点を目指す。
「そうは行きマセん」
が、狙われたルキヴァは読んでいた、とばかりに口から
黒き光を放つ。
二つの光がぶつかり合うと、爆発と共に新たな光が生まれた。
「お見事」
「光も呑み込む闇デスので」
鋼の漆黒の翼は闇に照らされ、その背にあるルカの魔を際立たせる。
音よりも遥かに速い速度で大鴉は飛び回り、さしたる時も経ずに能天魔怪獣の全身を一周した。
「ふーム」
「どう、ルキ?」
ルキヴァは意味もなく飛び回っている訳ではない。
この相手を打ち倒すために必要な一手を通す手段を探っているのだ。
「固そうだし、狙うのは目か角か、心臓は無理かなあ」
「鱗の隙間とか弱そうじゃないデス?」
巨大化し、強化されているとはいえ、体の構造が変わっているとは思えない。
そうなれば自ずと急所の位置は限られてくる。
「と、なるとあそこかな」
「あの頭部を直接狙うヨリは無難デショウ」
指を指すのは魔獣の背部。いわゆる中枢神経、脊髄だ。生物であるならば、そこさえ断ち切ってしまえばこちらの勝ち。
そうと決まれば後は実行するだけだ。
「ギャオオオオス!」
頭部に集う光は二人を狙い、焼き尽くさんと唸りをあげる。
だが、構うことはない。やられる前に倒せばいい。
「このまま体当たりしちゃいマスね」
「いいよ」
これはただの確認。鴉の背に乗った魔王は魔獣の命を狩らんと大鎌を手にする。
一直線に突撃する漆黒を光が照らした。
激しい熱が宇宙を灼く。その只中を
真王の鋼翼は引き裂き、闇へと染め上げていく。
「鋼の羽根に鎧われたワタシを撃ち落とそうなぞ笑止」
全身を赤熱化させながらもその勢いは止まらない。
ルキヴァの視界は攻撃によって既に閉ざされているが、進むべき道は見えている。
「じゃ、行ってくるね」
「――ルカ、頼みマス」
未だ光の中に在って、しかしルカの身には一切傷は見られない。全てはこの瞬間のために。
「愚かなる者よ、震え、跪け。破壊を乞え、滅びを歌え」
ルキヴァの背から跳び立ち、エクスシアの背へと迫る。
鱗の隙間へと飛び込むとルカは躊躇いもなくその大鎌を振るった。
「ギャオオオオス!」
エクスシアも黙ってはいない。自身に影響が出ることも厭わず、入り込んだルカヘと光を差し込ませる。
鱗がはじけ飛び、甲冑を照らす。
しかしルカは、黒の魔王は構うものかと大鎌を振るい続け、吹き出す髄液に塗れながらつまらなさそうに言った。
「さっさと壊れちゃってよ、邪魔だから」
どんな障害であろうと同じ。邪魔だから壊す。それだけだ。
鎌の切っ先が一点、秘された急所を貫く。
巨体を巡る神経の一端。脳の命令を全身に伝える根幹。
何を考えようと、もはや指一本動かすこともできまい。
「さ、これで終わり」
「お疲れ様デス」
飛来した
鋼翼の大鴉に飛び乗り、
黒の魔王は次なる地へと向かう。
旗艦『ソング・オブ・オーンブル』へと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『猟書家『プリンセス・エメラルド』』
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POW : プリンセス・エメラルド号
自身の【サイキックエナジー】を代償に、【宇宙戦艦プリンセス・エメラルド号】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【エメラルド色の破壊光線を放つ多数の砲】で戦う。
SPD : 侵略蔵書「帝国継承規約」
自身の身長の2倍の【皇帝乗騎(インペリアル・ヴィークル)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : クリスタライズ・オリジナル
自身と自身の装備、【敵に被害を与えうる、半径100m以内の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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「ふふふ、よくぞ私のもとまでたどり着いたものです」
猟兵達は数多の苦難を乗り越え、とうとう旗艦ソング・オブ・オーンブルへの突入に成功した。
が、待ち受けるプリンセス・エメラルドはそれでも余裕の笑みを崩さない。
「なるほど、確かにあなた方は強い。ですが私の作り上げたこの軍勢、そして何よりこの私自身はそれを上回る力と知恵を持っているのです」
侵略蔵書「帝国継承規約」を一撫ですると、プリンセスは優雅に指先で猟兵達を指す。
すると、呼応するように無数のクリスタリアン――座標を手に入れるために戦ったジルコニアの様に、大剣と銃をそれぞれ両腕につけた戦士達が一斉に戦闘態勢に入った。
「さあ、跪きなさい。この銀河の支配者たるプリンセス・エメラルドに」
この世界に迫る危機を打ち払うまでもう一歩。この巨悪を打倒し、銀河に平和をもたらすのだ!
*****
プレイングボーナス……「先制突撃」と「大量の配下による攻撃」に対処する。
*****
プリンセス・エメラルドは先制突撃を仕掛けてきます。
また、配下たちはそれに続いて一章で戦ったボスと同様のユーベルコードで攻撃してきます。
強力なプリンセスの先制攻撃と、多数の配下からの攻撃、その両方に対処し勝利を目指してください。
プレイングは時間の都合により「2月22日(水) AM8:30」からの受付になります。
お手数ですがご協力よろしくお願いいたします。
エルネスト・ポラリス
アドリブ連携◎
さて、どうしましょうか
プリンセスと配下、彼女たちの扱う透明化への対策そのものはあります
ありますが、そのユーベルコードを使うよりも彼女の攻撃の方が早い
初撃は自力で凌がないといけないわけですね
というわけで……透明化したプリンセスに突っ込みます!
攻撃を『居合』で『カウンター』するにしても全方位警戒とかやってられないんで。こっちから攻めて相手を後手に回らせるのです
彼女自身の透過は『追跡』可能です――目で見えなくとも、アリスラビリンスで出会った貴女の匂いは誤魔化せませんよ
どうにか生き残れたのならユーベルコード発動
攻撃に役立つ炎ではありませんが……貴女たちの隠形の優位は崩させてもらいますよ!
ルカ・クルオーレ
ルキ(f29939)と
ようやく出てきたねえ
昔からこの手の輩は自分達にしか伝わらない理屈で動くものさ
おやおや、随分沢山の雑魚がうろうろしているようだ
破壊光線は自身に向かう分は鎌で弾くのとマントに這わせたオーラ防御で防ぎ
多少は受けても仕方ない…ルキは楽しそうだねえ
さて、残りはどうしようか
錬成カミヤドリ
本体を出来うる限り複製して全て刈り取ってしまおう
近寄られても面倒だしねえ、それにその腕の武器は重たいだろう?
全部切り取ってあげるよ
ルキ、アレ(プリンセス・エメラルド)どうする?
見た目は綺麗だけどとても醜いなあ
雷の属性を鎌に乗せて思い切り叩きつけよう
君の身体は割れたらどうなるのかな?ねえ、見せておくれ
ルキヴァ・レイヴンビーク
ルカ(f18732)と
ええ、漸く拝謁出来マシタ
しかし…古き書物をわざわざ持ち出して化石の如き存在が帝位に着こうなぞ
宇宙はお先真っ暗デスよ?
おや、閣下自ら突っ込んで来マスか
対の片鎌槍を手に動きに注視、見切りかわせればベター
多少当たっても御褒美デスしね?(ドM)
取り巻きはルカに任せっぱなしとも行きマセン
放つ我が羽根で敵の力を削ぎ
同時に箱船の鴉達も使用
往け、我が眷属達
あのレディへの道、切り開きナサイ!
は、愚問デスよルカ
流石に我が羽根は彼女の抵抗意志を殺げずとも、闇の力で視界を覆うくらいは出来マショウ
ルカをサポートしつつ、残る大鴉達全てを合体、姫君に向け放つ
Nevermore――貴女に次は御座いマセン
カーバンクル・スカルン
跪くのはそっちの方じゃ、おばあさんが。老体に鞭打たず、さっさと隠居してくれませんかねー?
初邂逅から2年経ってもバカにしてくる同族を前にしたら、いくら女王様といえども頭に血が昇って皇帝乗騎で突進してくるでしょう? そこへ拘束ロープを放って無理矢理落馬させる。
そして怪力で押さえ込んだら流れるように手枷と猿轡を装着! 雇い主が人質に取られて、流れ弾が当たってしまう危険性を厭わずに突っ込める兵士が何人いることか。
いるようであれば、遠慮なくエメラルドでブロック。いなければ車輪やワニで蹂躙させていただくわ?
御形・菘
はっはっは、配下の数に力に知恵、イイ感じにマウントを取ってくるではないか
強者の驕りが実に素晴らしい!
ならば、妾はエモさとかカッコ良さとか、カリスマ的な部分で格の違いを見せつけてやろう!
透明な相手なので特殊撮影用ドローンでの索敵と張り付けは行うが、今回はオーラを全身に纏う防御の方がメインだ
まずは一撃目を凌いだら妾のターンだ!
左腕よ、解けて桜の吹雪と化すがよい!
花弁を固めて巨大な拳をいくつも形作り、届く範囲内の者たちをすべて全力でカッコ良くブッ飛ばす!
はーっはっはっは! お主らに桜のエモさは理解できまい! できたら偉い!
射程外からの射撃は花弁を当てて防ぐ
元は邪神の左腕だぞ? 抜けるはずがなかろう!
●
「ようやく出てきたねえ」
豪奢に彩られた広間。
じりじりとした緊張感の中で、それでものんびりとしたいつもと変わらぬ口調でルカ・クルオーレ(Falce vestita di nero・f18732)がつぶやいた。
「漸く拝謁出来マシタ」
ルキヴァ・レイヴンビーク(宵鳴の瑪瑙・f29939)がルカの言葉に続く。
帝国継承軍幹部との戦いに、続くクエーサービースト級に成長したブルーアルカディアの魔獣との戦い。
「ここまでも大激戦でしたからねえ」
エルネスト・ポラリス(たとえ月すら錆びはてるとも・f00066)が漏らすように、それぞれが首魁クラスの強敵であった。
「ふふふ、まずはあなた方に皇帝の座する姿を見せましょうか」
そして、今彼らの目の前に居るのはそれらを統べる猟書家、プリンセス・エメラルド。
その動作はゆったりとしたもので、それを見れば隙だらけだと思う者が大半であっただろう。
しかし、猟兵達は動かない。いや、動けないと言うべきか。ここで焦りに駆られて行動を起こそうものならば、ここまでたどり着いた事さえも無意味になってしまうと知っているから。
「跪くのはそっちの方じゃ、おばあさんが」
「はっはっは、配下の数に力に知恵、イイ感じにマウントを取ってくるではないか」
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が毒づくが、その言葉にも動じた姿は見せない。
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が笑うように、プリンセス・エメラルドはその地位にふさわしいと思わせるだけの気品を漂わせている。
「強者の驕りが実に素晴らしい!」
「銀河の支配者としての責任と誇りある姿と言っていただきたいですね」
そうして、ゆっくりとプリンセスは
皇帝乗騎ヘと乗り込んだ。
緑の透けた髪が光に煌めき、広間の色が複雑に変化する。
「ふふふ、それでは、始めましょうか。銀河帝国を継承した者らしく……反逆者の処刑を」
銀河支配を目論むプリンセス・エメラルド。その野望を打ち砕く最後の戦いがここに始まるのだ。
●
巨大な
皇帝乗騎が玉座から動き出す。
その名に違わず、パワフルな動きは一瞬にして音を置き去りにし、彼女をじっと待っていた帝国継承軍の大軍勢の先頭へと現れた。
彼女の手には侵略蔵書「帝国継承規約」。
「しかし……古き書物をわざわざ持ち出して化石の如き存在が帝位に着こうなぞ、宇宙はお先真っ暗デスよ?」
「昔からこの手の輩は自分達にしか伝わらない理屈で動くものさ」
ルキヴァのぼやきにルカが答えるが、その力は絶大なもので、これが存在する限り銀河帝国はプリンセスの思い通りになる事も確か。
「ふふふ、思い知らせて差し上げなさい」
命令と共に帝国継承軍が一斉にサイコブラスターを構えた。一体一体は(猟兵達と比べれば)大した力を持たないが、それでもこの数は驚異的。
乱射される飽和攻撃には一分の隙もなく、逃げ場はどこにもない。
「おやおや、随分沢山の雑魚がうろうろしているようだ」
だが、ルカは相変わらずの様子で前へと進み出る。
その手には本体たる大鎌と、漆黒よりも深き闇色のマント。鎌を振り回せば光は散り、マントの闇へと呑み込まれていく。
「ほう……」
これにはプリンセスも感嘆の息を漏らした。猟兵といえど、これだけの攻撃を一人で防ぎきるとは予想以上であったらしい。
「ふふふ、流石と褒めておきましょう。ですが……」
だが、彼女は余裕の態度を崩さない。そして次の瞬間――
「消えた!?」
エルネストが驚きの声をあげる。慌てて振り向けば、視界の端には膝をつくルキヴァと既に遥か彼方へと走り去る皇帝乗騎の姿。
「ふふふ、私の帝国継承軍を雑魚と侮ったようですが……何事も使いよう」
「配下の攻撃を囮にして自分で突っ込んできたって訳か」
カーバンクルの言うように、配下でこちらの動きを制限し、その隙をプリンセス・エメラルド自らが突く。
この連携は自信の表れと言えよう。
「お見事。デスが――これくらいは御褒美デスしね?」
「ルキは楽しそうだねえ」
しかしながら――当のルキヴァはむしろ恍惚の表情を浮かべていた。
傷は決して浅くない。が、強がりとも思えぬその姿に彼の嗜好を知らぬルカ以外の間に微妙な空気が漂う。
「はっーっはっは、確かに強い、知恵もある! だが妾達が折れることはないようだぞ!」
そんな空気を打ち砕く菘の高笑いにプリンセス・エメラルドもまた薄く笑みを浮かべ、哀れむように続ける。
「ふふふ、ではもう少しあなた方に絶望の色を与えましょうか」
言葉と共に猟兵達以外全ての色が消え失せた。
●
「クリスタライズか!」
「はっはっは、コソコソと隠れおって!」
カーバンクルが同族故にか、すぐに気付く。菘は笑うがこの状況は実に危険だ。
帝国継承軍の攻撃も、プリンセス・エメラルドの攻撃もどこから来るかわからない。
菘が展開する特殊撮影用ドローンも、彼女自身が敵の動きを把握するには十分だが仲間にまで伝える程の猶予は得られないのだから。
「さて、どうしましょうか」
エルネストは思案する。
菘の邪神オーラがルカの守り切れない分を引き受け、盾になってくれているが――反撃の糸口は見えない。
攻撃を威力重視に切り替えてきているのか、誰もが無傷とは行かなくなっている。
配下を放ってはおけないが、まとめて多少吹き飛ばしたところで後に控える軍勢は潰えることはない。
やるならば、そのままプリンセスを仕留める事につなげなければならない。
それはここにいる全員が分かっていることだ。だからこそ全員が耐えながら、必至にその糸口を探している。
「こちらが動きを見せれば、プリンセスが先んじるのは必定……」
透明化への対策そのものは彼の内にある。肝心なのはそれを果たせるか、だ。
くん、と鼻先を揺らす。
視覚が役に立たないならば、他の五感に頼るしかない。
だが聴覚では音よりも早く駆け抜ける皇帝乗騎を捉えきれない。触覚や味覚は言わずもがな。
か細い糸だが、プリンセスの余裕を打ち砕けるのはこの手しかないらしい。
「貴女の匂いは誤魔化せませんよ!」
かつてアリスラビリンスで
見えた猟書家、プリンセス・エメラルド。その戦いの中で感じた「匂い」は姿を消そうとも変わることはない。
エルネストはそれだけを頼りに駆け出すと同時に仕込み刀を抜き放った。
「ふふふ……」
刀身が砕け散る。プリンセスの声が耳に響く。全身に焼けるような痛み。
だが、これでいい。
先に攻撃させることで狙いは果たせた!
「ゆめまぼろしは灰の中、真を照らす灯りを此処に!」
戦場が淡い光で照らし出される。ゆらぎの中で配下たちが狙いを定める姿が微かに浮かぶ。
愛継ぐ焔の大迷宮。炎が、真実を照らし出す。
(貴女たちの隠形の優位は、崩させてもらいますよ!)
「はっはっは! よき演出だ! ならば妾も続かねばなるまいな!」
焔に照らされる配下たちの姿を真っ先に察知したのは菘だ。
配信者として、猟兵として。盛り上げ時を見逃してはならない。この戦いのステージを次の段階に進める時が来たのだ。
「姿を消したくらいで妾の
腕から逃れようなど、あまりに不遜が過ぎるであろう?」
天高く邪神の左腕を掲げると焔に紅く染められていく。そしてその色はやがて、紅から桜色に変わっていくではないか。
「左腕よ、解けて桜の吹雪と化すがよい!」
叫びと共に花びらが舞い上がる。熱に浮かされ、風に舞う。
世界満たす桜の散り始め――
桜は結集して腕を形作り、帝国継承軍を殴りつける。衝撃に倒れ込み、身体が焔の中へと放り出された。
仕留められた帝国継承軍であったが、その体が焼かれることはなく辺りを屈折させながら照らすだけ。
そこでプリンセス・エメラルドは透明な笑みを浮かべる。
●
「ふふふ、なるほど。炎はまやかしですか」
舞い踊る桜は彼女の前にはさしたる障害ともならない。燃えさかる焔も光を放つばかりで攻撃力は持たないらしい。
「では、そろそろ私も支配者らしく振る舞うとしましょうか。ふふふ……」
絶対的強者たる姿勢。銀河の支配者を名乗るならばこの程度のものは蹂躙し、力を示さねばならない。
そう考えるはごくごく当たり前のこと。
「老体に鞭打たず、さっさと隠居してくれませんかねー?」
だから、ターゲットにカーバンクルを選んだのはただの偶然だ。二十年程度しか生きてもいない小娘が同族を名乗り楯突くのは、愚かだとさえ思う。
別に誰でもよかったのだ。
それがプリンセス・エメラルドの絶対的優位を崩すことに繋がろうとは欠片も頭に浮かばなかった。
「ふふふ、威勢がいいようですが耳障りです。そろそろ終わりにしましょう」
猟兵達の中心に飛び込んだ皇帝乗騎が、がりがりと宝石の身体を削り取る。
「ぐんぬぬぬぬ」
どうにか踏ん張って居るようだが、無駄なこと。
重さも馬力も格が違う。もう一押しすれば砕けるか、吹き飛ぶか――そう考えている内に身体に乗り上げ、
皇帝乗騎が加速する。
「ふふふ……おや?」
が、違和感がある。余計なものがくっついているような――
「逃がすかーっ!」
「これは……」
ふと気付けば乗機からロープが延びている。その先に居たのはカーバンクル。加速に振り回され壁や天井に身を打ち付けながらも、離れることなく着いてきていた。
「いつ来るかわかってればこれくらいはできるのよ!」
彼女は、エルネストの焔のおかげで攻撃のタイミングを察知。耐えている間に拘束ロープで自身と皇帝乗騎を結びつける事に成功していたのだ。
「ならば撃ち落とせば済むこと――」
「判断が遅いっ!」
これでは姿を消した優位が薄れてしまう。プリンセス・エメラルドは帝国継承軍に命じカーバンクルを撃ち落とそうとするが――
●
「ようやく出番が来たみたいだよ、ルキ」
「ええ、あのレディへの道、切り開きマショウ!」
プリンセスへの流れ弾を警戒し、生まれてしまった帝国継承軍の微かな乱れ。それを猟兵達が見逃すはずもない。
守勢に回っていたルカが反撃に転じる。
「まずは全て刈り取ってしまおう」
錬成カミヤドリを念じれば、手にした大鎌が次々と産み出されると共にクリスタルの身体を断つ。
「ルカに任せっぱなしとも行きマセン。往け、我が眷属達」
呼応するようにルキヴァも翼を広げ、
闇鴉の羽根もまた戦場へと広がっていく。
「この鴉の闇羽根が、死ぬまで貴方方を優しく包みマスから――」
同時に羽ばたく
箱船の鴉達も加わり、戦場には焔に照らされる桜、大鎌、鴉に黒羽が舞い踊る。
サイコブラスターの光が飛び交う中、帝国継承軍はじわじわとその数を減らし始める。
「はっはっは! 逆転の芽が芽吹くのもまたエモし!」
ほんの小さな切っ掛けが状況を覆したのだ。
「ふふふ、私にも油断がありましたか」
「まーだそんな事言う余裕があるか!」
が、崩壊しつつある帝国継承軍を前にしてもプリンセス・エメラルドは未だ余裕を崩さず、カーバンクルの声にもどこ吹く風。
「ええ、あなた方全員まとめて……私が直接お相手しましょう」
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皇帝乗騎を乗り捨て、プリンセス・エメラルドは手近な帝国継承軍の腕を叩き折る。
そしてジルコニアの大剣を突きつけ、猟兵達を挑発するように言った。
「ふふふ、私も姿を晒し地に足をつけています。こんな好機はもうありませんよ」
「くっ……」
焔の揺らぎを見もせずに、プリンセスはエルネストの背後からの一太刀を受け止める。
言うだけのことはあって、生身での戦闘にも自信があるらしい。
「はっはっは! ラスボスが堂々と立ち塞がるのもまたよし!」
菘が舞わせていた桜を左腕に戻し、天高く掲げる。
「だってさ、ルキ。どうする?」
「は、愚問デスよルカ」
ルカの問いかけにルキヴァもプリンセスへと向き直る。
「今度はこっちがアンタを蹂躙する番って事ね!」
鎖に繋がれた手枷を振り回し、カーバンクルがにやりと笑った。
「ふふふ、楽しませてくださいね」
ルカや菘は帝国継承軍の攻撃に先頭で晒され続けていた。
ルキヴァも傷そのものは深く、エルネストも焔を灯し続けた代償は大きい。
カーバンクルも皇帝乗騎に振り回され続けたダメージは色濃く残っている。
一方で、プリンセスも皇帝乗騎や透明化を維持できるほどの力は残っていない。
だからこそこうして直接対峙するまでに至っているのだ。
ジルコニアの大剣が振られ、大鎌とぶつかり合う。飛来した大鴉の嘴を捻り、叩きつける。
手枷に動きを妨げられようと力任せに振り回し、隙を窺う者をなぎ払う。
「見た目は綺麗だけどとても醜いなあ」
ルカが漏らす。それはもはや銀河の支配者を名乗る態度とはかけ離れた姿。
「銀河の生き着く先は、この世界の人々が決める!」
力任せの拳をいなし、エルネストの足払いが強かに撃ちつけられる。緑色の瞳が星々を映す。
「Nevermore――貴女に次は御座いマセン」
ルキヴァの放つ羽根がプリンセスの視界を閉ざす。その先にあるのは、光なき闇。
「ふふふ……ならば、あなた方にも次はありませんね」
と、そこでプリンセス・エメラルドの全身からすさまじいまでの力が放たれる。
これは命の灯火か。サイキックエナジーが作り上げるのは、彼女の本来の乗艦『プリンセス・エメラルド号』。
旗艦の外でエメラルド色の破壊光線が収束していく。
「私諸共、全てを破壊しな――」
「いい加減観念しろっての!」
が、力の放出は唐突に止まる。カーバンクルの猿轡がプリンセスの口を塞ぎ、ここに咎力封じが成立したのだ。
「さっきはよくも削ってくれたわねー!」
カタリナの車輪が回転し、プリンセスの身を削り取る。
「なるほど、前期主人公機の再登場は確かにエモい! だが妾達はカッコ良さとか、カリスマ的な部分で格が違うのだ!」
「君の身体は割れたらどうなるのかな?ねえ、見せておくれ」
続く菘の左腕にオーラが集まり、ルカの手にした大鎌には紫電が走る。
「――ッ!」
口を塞がれたプリンセス・エメラルドの言葉は紡がれずに終わる。
宇宙では制御を失ったクエーサービースト達が暴れ回り、帝国継承軍の艦隊が次々に崩壊していく。
銀河帝国を継承し、銀河の全てを支配するという恐るべき野望。
春の終わりを告げるかのように、桜の花びらはソング・オブ・オーンブルの中を舞い踊っていた。
大成功
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