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第二次聖杯戦争⑧~共闘作戦! 廉貞とともに

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #妖狐七星将『廉貞』 #🔵>👑到達予定日時⇒1/6の24:00 #プレ受付〆切り→1/6の24:00です #執筆完了です。大変お待たせしました。 #路子のグリモア記録



 オブリビオン・フォーミュラ『揺籠の君』が聖杯を取り込み、『聖杯剣揺籠の君』に覚醒。そして他世界への侵略を企み、戦いを引き起こした。
 これが『第二次聖杯戦争』の発端である。

 その戦争の現場へグリモアによって転移してきた遠野・路子(悪路王の娘・f37031)がひとりの妖狐を見つけた。
「廉貞」
 路子が呼びかければ、美丈夫の妖狐が振り返る。
「誰そ彼そ思えば、汝は悪路王が愛娘、路子殿。如何用にして此処へいらせらる」
「……」
 若干、沈黙の間。路子がじっと廉貞を見つめれば、廉貞が口を開く。
「誰かと思えば、悪路王の娘である路子さんではないですか。どうして此処に?」
「私も猟兵に覚醒した。当事者だよ。廉貞こそ金毛九尾は大丈夫なの?」
「我等が女王、金毛九尾の衛には万夫不当たる武勇の猛将等有。又、悪路王より借り受けし武者等有。故、此度の戦こそ迅速に終息さすれば問題無し」
「……」
 再び、間である。
「……我々の女王、金毛九尾様には強く勇敢な猛者が警護についています。それに悪路王より借り受けた武者達も協力してくれています。ですから、この戦争を素早く片付ければ何の問題もありません」
「ならとりあえずは大丈夫だね」
 そう言って路子が視線を遣る先は、先ほどまで廉貞が見据えていた神社の境内だ。
 とにかく敵の数が多い。そして一糸乱れぬ連携。廉貞ひとりではどうにもならない状況だ。
 だからこそ現況確認に路子が飛んできたのだ。
「私より頼りになる仲間を呼んでくる。待ってて」
「委細承知。此処にて……」
「廉貞」
「……お待ちしております」


 路子の父、悪路王は人とゴースト――魔の共存を目指した旗頭である。そして彼とかつて共に『人魔共存』を掲げた者が金毛九尾であった。
 既に袂を分かっている状態ではあるが、同じゴーストとして。『最終的な目的は違う』と言いながらも随所では協力体制を取る程度には、悪路王と妖狐勢力は交流がある。
 そんな経緯もあって、路子と廉貞も初対面ではなかったりする。
「いいヒトだよ」
 集まってくれた猟兵たちにお礼を述べた後、今回の作戦を話す前に廉貞のことを告げる路子。
 イケメンで実力者でさらには仲間想いというスパダリ系の廉貞であるが、ただひとつの弱点が非常に痛い。
「あの難解な話し方を相手に対して最大限の敬意と思ってるんだよね」
 そして通じない。悲しい。
 ただ誤解しないで欲しい。こちらの言葉はどんなものでもちゃんと聞いている。文曲とか武曲とか配下にいたから、たぶんギャル語とかにも対応できるきっとめいびー。
「それに自分から話し出すことはほぼ無いけど、聞き直したり、じーっと見つめ返したりすると言い直してくれるよ」
 あと、最初から平易な言葉遣いで頼むって言えばちゃんと話してくれる。渋々だけど。ちゃんと出来る妖狐なのである。

「というわけで、妖狐七星将『廉貞』と協力して、オブリビオンを倒してほしい」

 戦場は石川県の尾山神社。加賀藩祖である前田利家とその正室お松の方を祀る由緒正しい神社である。
 この地を敵軍勢が制圧し、拠点化している。これを撃破して神社を解放してほしい。
「大量のオブリビオンが境内を守っている。そして群れが完璧に統制されているというおまけつき」
 この軍勢が一部の隙も無い連携で猟兵の襲来を押し返そうとしてくる。多少削った程度では連携は崩れず、またどこからか大量に補充される。無限湧きとまでは行かないが、敵の数があまりにも多いために、一筋縄では神社を解放することができない。
「まぁ市街地と後ろの金沢城跡を更地にする勢いでぶっ放せば一発で終わるけれど」
 それはそれで色々とマズい。神社は形を残した状態で奪還してほしいのだ。

 そこで出てくるのが廉貞である。最強クラスの大陸妖狐である廉貞とうまく連携して、相手を切り崩し、立て直す前に撃破する。
「廉貞は攻防支援何でもできるから。皆の手が届かないところを押さえてもらえばいい」
 逆に言えば廉貞との連携が無ければ、厳しい戦いとなる。
 つまり、この作戦のポイントは、廉貞との意思疎通……!

 というわけで最初に路子の話に戻るわけである。
「現地に行ったらお話してみて」
 同じ目的のためなら彼は出し惜しみなどしないだろう。全力と敬意を以て猟兵たちに協力してくれるはずだ。……ええ、敬意を持って。
「そこさえクリアすれば勝利は目前。皆、よろしく」
 そう言って路子はグリモアで猟兵たちを転送するのであった。


 現地。石川県の尾山神社。オブリビオンがひしめく境内の前でその妖狐は振り返る。
「初見にて言葉を交わさん。我が名は廉貞。我等七星将に匹敵する猛者たる猟兵等よ。此度の戦、我等の共闘のみが路を開かん」
 猟兵たちを視界に収めて、廉貞が言葉を紡ぐ……例の。
 とりあえず待つ猟兵たち。
「……初めまして。私は廉貞と申します。私達七星将にも並ぶ猛者である猟兵の皆さん。今回の戦いは我々の協力のみが道を切り開きます」
 視線と言葉を交わして、頷きあう両者。
「いざ征かん。生命を護る為の戦へ」
 そう言って廉貞が境内へと足を踏み入れる。
 猟兵たちもまたそれに倣うように戦場である境内へと突撃していくのであった。


るちる
 まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
 まさかの第二次聖杯戦争だー! 見覚えのあるモノがあちらこちらにありますが、とりあえず廉貞さんです。言い直しが廉貞さんのアイデンティティだと思うんですが、いかがでしょう?

●全体
 1章構成の戦争シナリオです。
 リプレイとしてはシリアス系統……と見せかけて、ギャグやコメディにもなり得ます。いつも通りのプレ準拠。なお、廉貞さんの言い直しに合わせていくとほんわか風味になります。そこ、ポンコツとか言わない。

 以下のプレイングボーナスがあります。
(================)
 プレイングボーナス……廉貞とコミュニケーションを取りながら戦う。
(================)
 路子の話も参考にしてください。

 禁止事項:神社施設を破壊するような強力な攻撃および広範囲攻撃。

●1章
 集団戦『トライバード』との戦闘。
 戦場は尾山神社の境内。地上と空を埋め尽くす勢いで敵が発生しています。どこからか補充されるためになかなか数が減りませんが、敵の数は有限です。全力で倒していけばいつか途切れます。
 個々の強さは大したことないのですが、連携してきます。包囲攻撃や囮を使った攻撃、ユーベルコードの重ね合わせやジェットストリームアタック的な突撃をかましてくるので注意してください。

●廉貞
 大陸妖狐の中でも屈指の強者。実力(戦闘力)だけでいえば、猟兵でも負けるかもしれません。ただユーベルコードが使えません。今回は味方です。
 共闘もしくは支援してくれます。
 基本的には真・妖狐のアビリティで戦います。
 ・幻楼七星光:20m射程爆発範囲。指定範囲内の敵に超石化のデバフ+廉貞の攻撃力アップバフ効果。
 ・天妖九尾穿:20m以内の対象1体を攻撃。連続攻撃効果。使用後しばらくアビリティが使えなくなります。
 ・封神十絶陣:20m射程。廉貞を中心に全周囲を対象として、全ての敵には中ダメージ、全ての仲間には小回復。敵味方の区別はつきます。
 あと、過去作でも使ってた『大爆発』とか『大蹂躙』とか『魔炎の嵐』とかで攻撃します。


 オープニング公開と同時にプレ受付開始。プレ送信できる間は受付中と思ってください。戦争なので少数で回すかもしれません。プレも全採用ではなく、私が書きやすいものから採用するのでご了承ください。

 それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
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第1章 集団戦 『トライバード』

POW   :    コンドルクラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【コンドルの鉤爪】から【あらゆるものを斬り裂き、握り潰せる一撃】を放つ。
SPD   :    ピーコック・フェザーバースト
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【爆発を起こすクジャクの羽】で包囲攻撃する。
WIZ   :    ホークアイ・スティング
【あらゆる敵を見切るタカの目(夜目も利く)】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【敵の攻撃も防御も無視した嘴による突撃】で攻撃する。
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 最初に言っておく。

 廉貞はかーなーり! 強い!

 じゃなくて。いや、強いのは事実なのだが。

 言っておくのは廉貞の口調についてである。

 古典のような物言いは流れるようにつらつらと話す彼ではあるが、平易な言葉遣いで言い直す時、『……』と間が入ることが多々ある。
 誤解のなきようお願いしたい。これは彼の困惑を表す間なのだ。
 つまり、『くっ……本当にいいのですか?』とか『私、失礼すぎないですか? 大丈夫ですかこれ?』とか、あるいは『あれ? 通じてない? 言い直さないとダメ?』とか純粋に躊躇っている時間だとお考えいただきたい。
 だからポンコツとか言わないそこ。

 というわけで本編はじまります。
山崎・圭一
かつてアンタら大陸妖狐は
俺ら銀誓館学園を苦しめてくれたよな
でもその強敵が味方となりゃ心強いぜ
互いに分かってる筈だ。あのラストバトルで…

…なんて?廉貞語が分かんねェのよ俺
「お喋りからす」がありゃあなァ
背中に目は付いてねーし…後ろ任してもいい?
石化アビの使用はちと勘弁
俺のUCは視認される事で効果を成すんだ

…なんて!?一度に2度会話してンのか!?
普段貪狼辺りからツッコミ貰ってたりしない?

視界が開けて木も少ない
「前田利家像の前」へ動きたいとこ
連携してるからこそ敵の一斉攻撃の瞬間を狙いたいぜ
それまで【呪殺弾】と【功夫】で応戦

利家像の上にでも立つか。上記の瞬間を誘引してみる
全員が俺を視認した瞬間にUC発動




 妖狐七星将・廉貞。
 大陸妖狐の尖兵であり、最も銀誓館学園に接触した人物であるからには、元能力者にして猟兵に覚醒した山崎・圭一(宇宙帰りの蟲使い・f35364)にとっても見慣れた相手であろう。

「かつてアンタら大陸妖狐は俺ら銀誓館学園を苦しめてくれたよな」
「……」

 圭一の言葉を廉貞は無言で受け止める。何故かと言えば、圭一の言葉に恨み節が無いからだ。
「でもその強敵が味方となりゃ心強いぜ――互いに分かってる筈だ。あのラストバトルで……」
「然り。我等妖狐と汝等能力者、否、今は猟兵成りし汝等。我等共に在れば無敵也」
「……なんて?」
「……」
「廉貞語が分かんねェのよ俺」
 圭一の言葉になんかちょっと躊躇ったような表情をする廉貞。しかし圭一にそう言われては仕方ない。こほん、と咳払いをしてからもう一度口を開く。
「ええ。私達妖狐とあなた方能力者、いえ、今は猟兵ですね。協力すれば倒せない敵などいないでしょう」
「あァ、そーいうことね」
 『「お喋りからす」がありゃあなァ』とか内心思いながら頷きを返す圭一。まぁアレ使うと効果切れた時が酷いことになりますからねぇ……猟兵の持っている世界の加護とぶつかったらどうなるのかわからんけども。
 さておき。妖狐との共闘を既に『経験済』の圭一はこちらを視認してじりじりと間合いを詰めてくる敵――『トライバード』の群れを前に廉貞と背中合わせに立つ。
「背中に目は付いてねーし……後ろ任してもいい?」
「承知」
 ざっ、と土を踏みしめる音がして廉貞もまた背中を圭一に預ける。
「後、石化アビの使用はちと勘弁。俺のユーベルコードは視認される事で効果を成すんだ」
「さすれば我は十の絶陣にて神封ずるべし。我に集まりし時にて汝絶技を放たん」
「……なんて!?」
 真後ろから廉貞のイケメンボイスでステレオ廉貞語である。圭一が思わず振り返っても仕方ないことなんです。
「……でしたら私は封神十絶陣で牽制しましょう。私に敵の注意が集まった瞬間に、ユーベルコードを放ってください」
「毎回一度に2度会話してンのか!? 普段貪狼辺りからツッコミ貰ってたりしない?」
「…………」
 無言でかわす廉貞である。

 とかなんとかしている内に、相手も攻撃態勢になったようだ。
 風を切る音。
 四方八方の空からトライバードたちが飛来する。あらゆる動きを見切ると言われる目で以て捉えた敵の攻撃も防御も無視した嘴による突撃。それが僅かな時間差で以て断続的に放たれる。
「チッ……!」
 単純なカウンターや受けは隙を作って不利になる。だからこそ圭一と廉貞は己の体――功夫を以て絶妙なタイミングでトライバードたちを叩き落す!
「視界が開けて木も少ない――『前田利家像の前』へ動きたいとこ、なんだが」
「承知。なれば我が道を切り開かん」
 言うが早いか、廉貞の妖力が膨れ上がる。直後、廉貞の尾が金色に輝き、妖力に満ちた9本の尻尾を具現する。9本の尾で立て続けに放たれる尾獣穿が進路上のトライバードを貫き、僅かな穴を作る。その隙をついて一気に進軍する圭一。
「……なァ。封術大丈夫なのか?」
「…………すみません。勢いで」
「勢いかよ!!!」
 すっごい申し訳なさそうな顔でそっと目を逸らす廉貞。全力でツッコミを入れながら敵陣に突っ込んでいく圭一。
 いや、なんか予定と違うが、廉貞の天妖九尾穿によってトライバードの注意が一斉にそちらに向いている。一糸乱れぬ連携を保っているからこそ、その注意を圭一と廉貞に振り分けるといったフレキシブルな対応が出来ない。
 廉貞が攻撃を繰り出している間の、トライバードたちの意識の隙を突いて、群れを突き抜ける圭一。
(連携してるなら……いや、だからこそ敵の一斉攻撃の瞬間を狙いたいぜ)
 牽制の呪殺弾は決定打にはならない。だが呪いの弾丸が群れを穿てばその分だけ敵の警戒があがり、『その刻』の確率が高くなる。
 廉貞の九尾がふっと消える。封術――アビリティを使えない時間が発生するが、その間はどうにかしのぐだろう。腐っても妖狐七星将なのだから。
 ならば圭一のやることは……敵の注意を引き付けることだ。
 利家像の上に立って、『自身の身体に宿している蟲たち』を解放する。ぶわっ、と膨れ上がった『力』が圭一の周囲に具現すれば、トライバードたちも無視できない。トライバードたちの意識が一斉に圭一を向く。

「うちの肉食系女子、見ただけで喰われるけどいいの?」

 にやり、と笑いながら。
 圭一がユーベルコードを解き放つ。それは自身の白燐蟲であるとても大きなハナカマキリ『ロザモンド』を呼ぶ。そしてユーベルコードの効果は圭一の真後ろに現れたロザモンドを視認した敵全てを対象として力を及ぼす。
 すなわち、ロザモンドの鎌と自滅を促す精神毒をもたらす致命の一撃。【華刃薄命】がトライバードたちを一瞬にして切断し、その斬撃に耐えたものも自滅していく。

「見事也。流石は猟兵、此の一撃は我とて不可能也」
「いや、だから廉貞語が分かんねェのよ俺」
「……すみません」
 合流した廉貞とそんな会話をかわしつつ、圭一とロザモンドは次々と現れるトライバードたちを同じ目に合わせていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
困りましたね…。
廉貞さんとの共闘はめっちゃ嬉しいのですが、
古文や漢文の類は苦手分野なんですよね…。
兎に角こちらの意思を伝えなければ…。

「廉貞殿、久方ぶりに御座いまする。
銀誓館卒業生にして今は欧州人狼騎士団に
宮仕えする山吹慧に候ふ。
此度の戦、必勝の為に何卒御助力願いまする」
と一礼。
(我ながら無理がありますね…大丈夫でしょうか?)

僕は前衛で廉貞さんには後衛からの援護を
お願いします。

寄ってくる敵は【功夫】による打撃で対応。
群れで来た場合は【残像】で攪乱してから
【衝撃波】の【乱れ撃ち】を放ちます。
そして敵が弱ってきたら【震脚】で
纏めて薙ぎ払います。

しかし、こんな日が来るとは…。
わからないものですね…。




 グリモアの転送によって、尾山神社の境内に駆けつけた猟兵たちが見たものは地域一帯を埋め尽くすように存在する『トライバード』の群れ。
 そしてそれに臆することなく、その前に佇む妖狐七星将『廉貞』の姿である。

(困りましたね……。廉貞さんとの共闘はめっちゃ嬉しいのですが……)

 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は廉貞の後姿を認めて、一瞬立ち止まる。
 銀誓館学園の卒業生で能力者でもあった慧にとって廉貞とは知らない相手ではないし、その実力も知るところ。だが、廉貞のたったひとつの弱点が大きく壁となって立ち塞がる。
(古文や漢文の類は苦手分野なんですよね……)
 大丈夫だよ! 廉貞さん良い人だよ!! 現代語でオッケー。
 そんな間に廉貞が振り返って慧に話しかけてくる。
「時来たれり一騎当千の勇士よ。此の地解放すべく共に戦わん」
 廉貞語である。
(兎に角こちらの意思を伝えなければ……)
 そんな思いで慧、ここに来るまでに一生懸命考えていた一文をついに披露する!

「廉貞殿、久方ぶりに御座いまする。
 銀誓館卒業生にして今は欧州人狼騎士団に宮仕えする山吹慧に候ふ。
 此度の戦、必勝の為に何卒御助力願いまする」

 挨拶文(?)を述べて一礼をする慧。
(我ながら無理がありますね……大丈夫でしょうか?)
 そんな不安に駆られ、頭をあげるのにほんの少し逡巡してしまう。その時降ってきたのは廉貞の言葉であった。
「……あの。無理しなくても大丈夫です」
「え、あ、はい」
 まさかの平易な言葉遣いである。廉貞の口から出てきた気遣いの言葉に、思わず間の抜けた声をあげてしまう慧。しかし逆に、廉貞は慧の様子にふわりと笑みを浮かべる。
「然れど、汝の心意気に感謝申す。汝が銀誓館の猛者ならば我等の間には彼の条約在り。故、我等が共に戦うに言葉不要也」
「……えーと」
 言っている事はわかる。集中していたらキーワードが拾えた。感謝、銀誓館の猛者、条約、共に戦う、言葉は不要。
 一縷樹休戦条約――銀誓館学園と妖狐勢力との間に交わされた条約が今もって有効なのは、先に原初の吸血鬼である伯爵が述べた通り。
 つまり、そういうことだ。
「述べよ。我は汝の意の侭、我の力を振るわん」
「わかりました。僕は前衛で廉貞さんには後衛からの援護をお願いします」
「承知」

 かつて生命を脅かす者たちを相手に共に戦った時のように。
 慧と廉貞はお互いの背中を預け合うのであった。


 慧が境内に足を踏み入れる。直後、トライバードたちの敵意が慧に向けられる。
 真正面と頭上から。高速に飛翔しつつ、足元のコンドルの鉤爪を慧に向けて突きつけるトライバードたち。
「封神十絶陣」
 慧の後ろから声が響く。直後、慧の前に現れた陣に触れたトライバードたちが一瞬、その姿を消す。再び姿を現わした時にはその羽根に傷を負い、地面に激突するトライバードたち。
 封神十絶陣の合間を抜けてきた個体は少ない。
「……破ッ」
 間近まで接近してきたトライバードに対して踏み込み、肘の一撃でトライバードを跳ね上げる。その下をくぐり抜け、次に迫っていたトライバードを掌底で吹き飛ばす慧。
 だが全てには対応できない。
「くっ……」
 鉤爪が慧の頬をかすめる。廉貞の封神十絶陣によって慧の傷は癒され、トライバードたちが四方へ投げ出されているが、それよりも早く、隙間を縫ってトライバードが突撃してくる。
 三方からの絶妙な時間差攻撃を回避、そのまま残像を残してトライバードの群れをかく乱する慧。トライバードたちが同士討ち回避のために動きを止めた一瞬へ。
「せいっ!!」
 衝撃波の乱れ撃ちを放ち、連携を突き崩していく。
 だが派手に動き回った慧へトライバードたちが一斉に襲い掛かる。
「廉貞さん!」
「七星の光にまどうべし。幻楼七星光」
 慧の意志を違うことなく汲み取った廉貞の幻楼七星光。七つの星がトライバードを取り囲み、作り上げた幻のたかどのの中で光が怪しくトライバードを貫く。
 超石化。それによって完全に動きを止めるトライバードの群れ。
「爆ぜてください」
 その隙を瞬間たりとも逃さず。
 慧の脚が大地を踏みしめる。ただの踏みしめではない。練り上げた勁を同時に叩き込む【震脚】。それによって空間ごと吹き飛ばす衝撃波が動きを止めたトライバードたちに直撃、石化状態のまま砕く。

 眼前のトライバードたちを纏めて薙ぎ払った慧がふっとひと息。
「しかし、こんな日が来るとは……。わからないものですね……」
 振り返った先には合流すべくこちらに駆けてくる廉貞の姿だ。
 まだトライバードの群れは排除しきれていない。
 慧は廉貞と肩を並べて、再びオブリビオンの群れへと向き直る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
幼き頃より聞き伝うだけだった御方と肩を並べて戦えるのは滾るでござるなあ!
龍陣忍者が一人、助太刀いたすでござるよ!
……え? 今なんて?

拙者はムシュマフの首二体を呼び出すでござる
一体は牽制・防御役、もう一体は攻撃役として火炎放射で戦ってもらうでござるよ
敵が天も地も縦横無人であるならば、此方は龍糸銕線付きクナイを投擲し鋭い糸の刃による結界を作り、少しでも相手のペースを乱すでござるな!
動きが鈍った敵は地より生やした龍脈鎖で絡め捕り纏め、廉貞殿やムシュマフの首が攻撃し易い様にフォローするでござるな!

廉貞殿の言葉には、なるほど○○でござるな!
と勝手に良い方向に解釈したりもします(真の意味での正答率3割程)




 尾山神社の境内に敷き詰められるがごとく。『トライバード』の大群は境内を守るというよりは覆いかぶさって隠し通しているように見える。
 その数の多さに躊躇うような猟兵はいない。もちろん妖狐七星将『廉貞』もだ。

「幼き頃より聞き伝うだけだった御方と肩を並べて戦えるのは滾るでござるなあ!」

 龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)が快活にて楽しそうな声をあげる。咲花の年の頃で言えば、かつての戦いシルバーレインの頃はまだ10歳の頃。運命の糸が繋がっていない頃ならば認識する事すらできなかったであろう戦い。
 そんな戦いを咲花は伝聞のみで認識していて、しかしその実物が目の前にいる。
 これで滾らないってほうがおかしい。
「龍陣忍者が一人、助太刀いたすでござるよ!」
 勢いのまま、廉貞に声をかける咲花。
「汝、我に匹敵する猛者にて共闘するに光栄の至り。故、共に征かん」
「……え? 今なんて?」
 シリアスな戦場に、一瞬微妙な沈黙が支配する。きょとんとする咲花と、そんな咲花の様子にちょっと困った顔をする廉貞。
「貴女のような、私に匹敵する強者つわものと共に戦えるとは私も光栄です。さぁ、共に彼奴らを倒しましょう」
 あ、言い直した。それによって咲花に正確に廉貞の意志が伝わる。
「お、おお……委細承知でござるよ!」
 嬉しそうに廉貞の横に並び、忍法の印を結ぶ咲花。廉貞もまたアビリティを放つべく、敵の陣容を見据え。
 トライバードの群れが二人目掛けて襲い掛かってきた。


「……先に仕掛けます」
 なんか一瞬変な間があったが気にしないでいただきたい。廉貞の気遣いである。
 そう告げるが早いか、廉貞が幻楼七星光を目の前の大群に叩き込む。自身を強化しつつ、先頭集団を石化させて敵軍の隊列を崩す。
 しかしそれは敵を刺激することにもなる。
 トライバードたちが一斉に羽を広げる。同時に空へ展開されるクジャクの羽。それが幾何学模様を描き、咲花と廉貞に迫る。
 しかし。
「廉貞殿が稼いでくれた時、有効に使わせてもらったでござる」
 最後の印を結んだ両手をそのまま開いて、たん、と地面に押し当てる咲花。
「【龍陣忍法「バビロニアン・ムシュマフ・フレイム」】!」
 咲花が叫べば直後、眼前の大地から出現するのは炎竜ムシュマフの首が2本。その内の1本が咲花と廉貞の前に立ち塞がり、クジャクの羽の悉くを炎で燃やし尽くす。
 一体は牽制・防御役、もう一体は攻撃役。それぞれの首が吐く火炎が空と陸を覆い尽くす。
 だが相手は羽根持つオブリビオン。いかに射程があろうとも地から吐かれる炎では空を自在に飛び回るトライバードたちを捉えきれない。
「敵が天も地も縦横無尽であるならば!」
 叫びながら咲花がクナイを放つ。飛翔するクナイの根元から伸びるのは『龍糸銕線』――龍脈の力を明確な特性として具現する特別な鋼糸。咲花の移動とともに放たれるクナイが空と地に鋭い糸の結界を形作る。
「これで少しでも相手のペースを乱すでござるな!」
「然らば、我が陣にて送り込まん」
 鋼糸結界を警戒して軌道を変えるトライバードたちの行く先に廉貞の封神十絶陣。絶陣への瞬間的転移の後、帰還場所を糸の結界の中とすれば、トライバードたちの連携が途切れる。
「なるほどこちらも連携でござるな!」
(咲花の心情訳:全然何言ってるかわからんでござるが、何となく連携すると良い感じになりそうと思ったでござる)
 そんな感じで素早く咲花が追撃と言わんばかりに地から龍脈鎖を放ち、トライバードたちを絡め捕って纏めていく。
「今でござる!」
 完全に動きを制したトライバードたちを空へと差し出す咲花。間髪を入れず、業火が放たれ空を舐めれば、トライバードの欠片も残さず灰へと変えていくムシュマフの首。
「流石は銀誓館。彼の戦い終焉せし後も斯様な猛者を集め続けているとは。生命を護りし者等天晴也」
「そうであろうそうであろう。拙者らの連携もバッチリでござるよ!」
(咲花の心情訳:全然何言ってるかわからんでござるが、何か褒めてくれているのできっと連携のことでござるな?)
「……」
「……ん?」
 だが返ってきたのは沈黙とちょっと悲し気な廉貞の顔である。
 あ、やば、推理よみ間違えた?
「あ、いや、その……」
「……すみません。わかりづらくて……」
 咲花のあわわわってした仕草に、耳をへちょんとする廉貞。
「廉貞殿! まだ! 敵!」
「……! 我とした事が。感謝する」
 咲花の咄嗟のフォローで気力を取り戻した廉貞でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍

藍ちゃんくんでっすよー!
廉貞のおにいさん、よろしくお願いするのでっす!
藍ちゃんくん、感性豊かなアーティストでもありますので!
なんとなくで理解しつつも、言い直しまで含めておにいさんの口調のように捉えてたり!
コミュ楽しむのでっす!

歌と踊りと存在感で鳥さん達をおびき寄せちゃうのでっす!
統率取れてるから様子見してくるやもでっすがー、それはそれでしめたもの!
じっくり見てくださいでっすよー?
目の良さが命取り!
見切れば見切るほど、皆々様は踊ってしまうのでっす!
攻撃でも防御でもないので無視できないのでっしてー!
上手く踊らせておにいさんの射程内にまとめちゃうのでっす!
ブレイクダンスで石化した味方とごっつんこ!




 グリモアの転送によって、次々と尾山神社に送られてくる猟兵たち。その猟兵たちと入れ替わり立ち替わり連携していくのは、妖狐七星将の廉貞。
「頼もしき戦人いくさびとなれば。我もまた尽力せん」
 銀誓館学園の能力者とはまた違う、猟兵たちの戦いにその実力を再認識する廉貞。
 その廉貞の背後にまた新たな猟兵が転送されてくる。

「藍ちゃんくんでっすよー! 廉貞のおにいさん、よろしくお願いするのでっす!」
「……」

 誤解のなきよう補足しておくと、廉貞の間は紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の口調やテンションに困惑したのではなく、『このテンションに合わせるべきか』とか『どうやって返事しよう』とか考えていただけである。
 そんな様子の廉貞をじーっと見つめる藍。
(藍ちゃんくん、感性豊かなアーティストでもありますので!)
 藍としては、廉貞語もなんとなくで理解できるっぽい。その上でこう考える。
(言い直しまで含めておにいさんの口調のように捉えてたり! コミュ楽しむのでっす!)
「……廉貞です。よろしくお願いします」
「よろしくなのでっす!」
 長い逡巡の後、平易な言葉遣いで話す廉貞に、藍は流れるように返事をするのであった。


 藍と廉貞を視認したトライバードたちは次々と突撃をかましてくる。
「然れど、余りにも単調也」
 突撃という性質上、こちらが動かなければ見切りやすい。廉貞の幻楼七星光が炸裂し、突撃してきたトライバードたちを石化させてその攻撃自体を無効化する。超石化を耐え抜いて来た個体には九尾扇を叩きつけるように放ち、その軌道をずらす。攻撃や防御を無視したとしても無効化や回避ができないわけではない。
 廉貞が盾になっている間に、藍は戦場ステージを整える。
「それでは皆様、ご一緒に! レッツ・ダンシングなのでっすよー!」
 『歌と踊りと存在感で鳥さん達をおびき寄せちゃうのでっす!』と藍がダンスパフォーマンスを披露。有機無機を問わず見たモノを魅了するダンスが藍の思惑通り、トライバードたちの意識を引き付ける。
「じっくり見てくださいでっすよー?」
 あらゆる敵の動きを見切るというトライバードのタカの目。その『目の良さ』が命取りだ。
(見切れば見切るほど、皆々様は踊ってしまうのでっす!)
 統制されているからこそ、トライバードたちは藍の動きに釣られてしまう。1体が釣られれば連鎖的に。鳥の形をしているがゆえにダンスは出来ないが、想定していない体の動きが発生して、トライバードたちの動きが鈍っていく。
「攻撃でも防御でもないので無視できないのでっしてー!」
 と言う藍であるが、むしろ逆である。攻撃もしてこないダンスしている輩がいたら、完全に無視スルーするか、無視して真っ先に殺すだけ。脅威でない者に手を煩わせる必要は無いのだから。
 しかし藍の【藍ちゃんくんと愉快な観客達!】はユーベルコードである。だからこそ、トライバードたちは無視できない。攻撃や防御を無視するという性質とは、全然異質の、別方面からのアプローチなのだ。
 ゆえにハマればトライバードたちに抜け出す手段はない。
 藍に誘導されるがままにトライバードたちが一箇所に集まっていく。
まどえ」
 そこへ廉貞が再び幻楼七星光を放つ。石化して落ちていくトライバードに対して。
「魅せ所なのでっす!」
 藍がブレイクダンスを放てば石化したトライバードを砕き、あるいは弾き飛ばして他のトライバードを撃墜する。
「……猟兵とは此処まで万能を備えしものか」
 感嘆の声をあげつつ、廉貞も攻撃の手を緩めない。
 トライバードの群れが徐々に削れていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリルーン・アーンスランド
キアラさま(f11090)と

廉貞さまにご挨拶と優雅な一礼を

お言葉遣いは問題ございませぬが…
キアラさまどうなさいまして?まあ…気後れを?
ではわたくし通詞を致しましょう
どうぞお心のままお言葉紡がれませ

都度お伺いし通詞

「お言葉大層難解なれど…喫緊の急務は輩共をば膾切りすべき事」
(間違ってないが)
「構わず彼奴らを根の国堅洲の国へ疾く追いやるが肝要!」
(過激さ増し増し)
「我、森王の槍にて串刺し廉貞殿と呼吸を合わせ殺戮せん!」
(間違ってないが略)

全て通詞後

では疎通完了にて…いざ!れっつ・ふるぼっこ!
(最後は自分の決め台詞だし)

戦闘はさまよえる舵輪にて
治癒も攻撃も出来ますし武器にても切り込み致しましょうね


キアラ・ドルチェ
シリルーンさん(f35374)と

あの伝説のれんちょーさんと共に戦えるなんて光栄です!
母が良く話してたし!
「何言ってるのか良く分かんなかったです」って!…あれ?

…ほんとに何言ってるのかわかんない(真顔
うわーん!? シリルーンさーん!?

「ええい、言葉の意味は良く分かりませんが、とにかく敵を倒せば良かろうなのですっ!? 廉貞さんはとにかく敵を吹っ飛ばして! 私は森王の槍で廉貞さんの攻撃に重ねて倒します!」

「森王の槍で『もりもり』串刺し百舌鳥の早贄! 強力協力えいえい『おーおー』! やって『やり』ますヤドリギ使い!」…廉貞さんの難解遣い真似っこっ! こんな感じでどやっ!ですー!?(どや顔←駄洒落やん 




 本来ならば多勢に無勢というべき戦況なのだろう。当初、尾山神社の境内には『トライバード』の群れがひしめき合って空と地を埋め尽くしており、この境内を奪還するにはトライバードを駆逐するしかない。
 だがこの地に駆けつけた猟兵たちの活躍と妖狐七星将『廉貞』の助力により、トライバードたちはその数を着実に減らしていっていた。奪還まではまだ届かないが、このまま攻勢を緩めなければ、問題なくいける。

 そんな状況下、新たに転送されてきた猟兵は二人。
 シリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)とキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)である。
「嫋やかなれど勇ましき氣。汝等の物で在ったか」
 シリルーンとキアラの眼前には廉貞。どうやら到着を感じ取って一時戦線を離脱してきたらしい。その証拠に距離はあるものの、トライバードたちからばっちりロックオンされている。

「ご機嫌よう、廉貞さま。勿体無きお言葉です」

 それにも動じず、廉貞に挨拶と優雅な一礼をするシリルーン。
(お言葉遣いは問題ございませぬが……)
 とはシリルーンの心中。現に理解して返事をしている。……が、横にいる中身ちびっこが問題であった。
「……ほんとに何言ってるのかわかんない。うわーん!? シリルーンさーん!?」
 真顔でつぶやいた後、シリルーンに縋りつくキアラ。

 さっきまで。
「あの伝説のれんちょーさんと共に戦えるなんて光栄です! 母が良く話してたし!」
 とか。
「『何言ってるのか良く分かんなかったです』って! ……あれ?」
 とか言っていたわけだが、相対したらプレッシャーが凄い上に本当に何言ってるかわからなかった。

「キアラさまどうなさいまして?」
 抱き着いて来た外見23歳の4歳児に対して頭をぽふぽふしながら、何やら気後れしていることを聞き出すシリルーン。
「ではわたくし通詞を致しましょう。どうぞお心のままお言葉紡がれませ」
「わ、わかりましたっ!」
 シリルーンの援護を得て、キアラがぐっと気合を入れ直す。

「ええい、言葉の意味は良く分かりませんが、とにかく敵を倒せば良かろうなのですっ!?」
「お言葉大層難解なれど……喫緊の急務は輩共をば膾切りすべき事」
 ん、待って?
「廉貞さんはとにかく敵を吹っ飛ばして!」
「構わず彼奴らを根の国堅洲の国へ疾く追いやるが肝要!」
 ステイ、シリルーンさんステイ。
 間違っては無いが、過激さ増し増しなんですけど!?
「私は森王の槍で廉貞さんの攻撃に重ねて倒します!」
「我、森王の槍にて串刺し廉貞殿と呼吸を合わせ殺戮せん!」
 ええい、殺意の波動が高すぎるわっ!!
 だが言い切った……!
 そんな様子の二人をじっと見守っていた廉貞だが、ちょっと困ったように口を開く。
「……あの。ちゃんと合ってますか?」
「えっ」
「えっ」
 思わず廉貞さんも平易な言葉遣いでツッコむレベルと思っていただきたい。顔を見合わせるシリルーンとキアラ。でもまぁ廉貞がツッコんだってことはとりあえず意志疎通というかやりたいことは伝わっているということでもある。
「では疎通完了にて……いざ! れっつ・ふるぼっこ!」
「ふるぼっこー!」
「……承知」
 最後は自分の決め台詞で締めちゃうシリルーンさんに、ノリノリで乗っかっていくキアラ。『大丈夫かな?』って思った廉貞さんだがまぁ銀誓館学園の能力者だし、とか妙な納得をして了承を返すのでした。


 境内こそが領域と言わんばかりにトライバードたちは増え続けている。逆に言えば境内に踏み込まなければ、トライバードたちは襲ってこない。
 先の3人のやり取りはそれを利用したもの。だが視界に入っている敵を警戒しないほどトライバードたちも機械的ではない。
 3人の攻撃の意志がトライバードに向いた瞬間、トライバードたちもまた空よりクジャクの羽を舞い散らす。
「此処は我が」
 言うが早いか、一歩前に進み出た廉貞が九尾扇をなぎ払う。巻き起こした風がそのまま炎を発し、魔炎の嵐となった竜巻がトライバードのクジャクの羽を焼き尽くす。
 だがそのまま巻き込まれないのがこのトライバードたちの面倒なところだ。仲間の行動も視野に入れて動く。故に炎の竜巻を見切って迂回、その飛翔速度のまま鉤爪を突きつけてくる。
 それでも廉貞は動じない。何故なら。

 直後、大地より天に向かって伸びる幾多の植物の槍。空から急降下してきたトライバードたちを下から串刺し、そのまま空に縫い付ける。
「【森王の槍】で『もりもり』串刺し百舌鳥の早贄! 強力協力えいえい『おーおー』! やって『やり』ますヤドリギ使い!」
「「…………」」
 仕留めたのはキアラで、やらかしたのもキアラである。優しく見守る親みたいなポジションの廉貞とシリルーン。あ、シリルーンさんは優しい旦那さんがいるので廉貞と並んでもそういう風には見ないように。
「……廉貞さんの難解遣い真似っこっ! こんな感じでどやっ! ですー!?」
 めっちゃどや顔のキアラさん。
「……よろしいかと」
「……可い」
 ぷるぷる震えているシリルーンとどうにか言葉を絞り出した廉貞。『駄洒落やん』とは誰もツッコみませんでした。

 まだ戦闘は終わっていない。キアラの【森王の槍】によって突撃してくるトライバードに対しては牽制が出来た。だがクジャクの羽は未だ尽きてない。
 空に舞い上がり、羽根を広げようとするトライバードに対して廉貞がアビリティを放つ。
「七星の光為すたかどのまどうべし。幻楼七星光」
 超石化&自身に神秘アップ。
 それでも七星の光を抜けてきたトライバードを九尾扇で叩き落す廉貞。ヘイト管理が得意な妖狐七星将である。
 ゆえに。シリルーンの祈り想いは誰にも邪魔されることなく、手元の舵輪へと満たされる。

 彼女は紛うことなき人間である。メガリス・アクティブという種族ではない。しかし、だからこそ。メガリス『さまよえる舵輪』の所有者である彼女は、メガリスに選ばれし者メガリス・アクティブなのだろう。

「お力お貸し下さいませ、舵輪に眠る皆々様……どうか我らに優しき癒しを、そして敵撃つ鋭き刃を!」
 銀の雨シルバーレイン――何もこの雨はストームブリンガーだけのものではない。全ての超常、あるいは神秘の源。故に、【さまよえる舵輪】はこの戦場を駆け巡り、銀の雨シルバーレインを発生させる。
 それはトライバードに対しては鋭利な雨として、キアラと廉貞に対しては癒しの銀雨として。戦場に降り、世界を塗り替えていく。
 雨に羽根を切られて体勢を崩すトライバードが落ちてくる。その落下地点へ素早く踏み込んだシリルーンが長剣を華麗に一閃。真っ二つになるトライバード。
「キアラさま、廉貞さま。今が勝機。切り込み致しましょう」
「承知した」
「はい、です!!」
 ドレスをなびかせる女神の先導にて。森の娘と妖狐は呼吸を合わせて。
 3人が敵陣をズタズタにしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
難しい言葉はわかんないです
が、勉強好きで色んな本は読み漁ってる身なので
持ち前の【学習力】で文学小説程度の言い回しには対応してみます
…どうしてもわかんなかったら聞き直すかも、ごめん
その言葉ってどういう意味ですか?(覚える気満々)

敵に自分達を視認させない方法なら心当たりがある
けどUC使っちゃうので、代わりに攻撃はお願い出来ますか
よし、じゃあおんぶして

【共瞑の祈り】発動
僕と廉貞さんを透明にします
移動は任せる
代わりに★鎌を花弁状態でばら撒き
【高速詠唱、多重詠唱】で風と光魔法の【属性攻撃】を上乗せ
舞い上げた輝く花弁で鎌鼬のように切り裂く【範囲攻撃】で弱らせ

今です!

封神十絶陣で全方位追撃お願いします




 猟兵と妖狐七星将『廉貞』が合流したことで見いだせた尾山神社の境内奪還。
 次々とこの地に駆けつける猟兵たちの手で『トライバード』の群れは確実に数を減らしている。しかしまだ、トライバードの制圧から解放したとは言えない状況だ。
 だから猟兵たちも惜しみなく。この地での戦闘で力を振るう。

「難しい言葉はわかんないです」
「……」

 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の先制攻撃(?)が廉貞に直撃する。そう言われると困惑してしまうのが廉貞さんである。
 が、澪自身は勉強好きで色んな本は読み漁ってる身。
(文学小説程度の言い回しには対応してみます)
 と持ち前の学習力で対応する気満々だったりするのだが。『どうしてもわかんなかったら聞き直すかも』と『その言葉ってどういう意味ですか?』の出番が無いことを祈るばかりである。何故にそんなに覚える気満々なのか。
 さておき。
「では、大変失礼とは思いますが、行き違いが発生すると大変なので、今回は平易な言葉使いで話します」
「あれっ」
 あっさり廉貞語を捨てる廉貞さんである。グリモア猟兵も言ってたじゃないですか、『最初から平易な言葉遣いで頼む』って言えば対応してくれる、と。気遣いの出来る妖狐なのである。そんな彼に『わかんない』って言ったらまぁこうなりますよね。
 しかし廉貞の額にうっすらと汗を浮かんでいるのは話しづらいからなのか、あるいは言葉を選んでいるからなのか。
 ともあれ、コミュニケーションの問題は解決したといえよう。
 後は……トライバードの群れを倒すだけである。


 他の猟兵たちの活躍もあり、トライバードの群れは確実に削れている。このまま外から削っていけば、削り切れるのも確実。だがそこまで至るには時間がかかりそうなのも事実だ。
 ここらで一撃、トライバードたちの連携と群れを大きく崩壊させる一手が欲しい。

 外がダメなら中からは定石。

「敵に自分達を視認させない方法なら心当たりがある」
 トライバードたちの攻撃をしのぐ廉貞の後ろで澪が呟く。ちなみに遠目から見ると彼女を守っているスパダリっぽく見えなくはない。そういう雰囲気で以後ご想像ください。
 ともあれ、トライバードの突撃は『視認』が基本となる。そこさえ突き崩せば。
「ならばその一手を基本に置きましょう」
 数瞬の躊躇いもなく、廉貞が澪の作戦に乗っかる。
「けどユーベルコード使っちゃうので、代わりに攻撃はお願い出来ますか」
「わかりました。指示をいただけますか?」
「よし、じゃあおんぶして」
「えっ」
「おんぶして?」
「……はい」
 躊躇ったのは紳士としてである。お間違え無きよう。

 廉貞が澪をお姫様抱っこしつつ、一度後方へ跳ぶ。そこで素早く体勢を入れ替えて澪を背負えば、澪は素早く謳う。
「僕と此の者に守護の祝福を」
 それは【共瞑の祈り】――澪と廉貞の姿がゆっくりと風景に溶けていく。完全に姿が消えたことでトライバードたちが一度空へと舞い上がる。相手を視認できなければ大技である突撃を放つことが出来ない。
「移動、お任せします」
「わかりました。素早く行きます」
 だっ、と地を蹴って廉貞がトライバードの群れをかき分けるように突撃する。【共瞑の祈り】は音や温度を消すことは出来ない。ゆえにトライバードたちは二人の位置をある程度認識するが、見えないがゆえに同士討ちを警戒し、大技を放つことが出来ない。
 その隙をついて、廉貞が突き進む。時折、当てずっぽうな爪や羽根の打撃が繰り出されるが、その程度なら廉貞の体捌きで十二分に対応が可能だ。
 トライバードの攻撃をかわしながら群れの中心まで進む澪と廉貞。
「こちらで大丈夫ですか?」
 魔炎の嵐で周囲のトライバードを一時的に薙ぎ払った後、廉貞が立ち止まり、澪を背中から降ろす。
「おっけー。僕もとっておき見せちゃう」
 ユーベルコードを解いた澪が目を閉じる。導くように差し出した指先が虚空に文字を描き、その口元が小さく素早く、そして幾重にも詠唱を紡ぐ。魔力が織りなすのは風と光の属性魔法。それを直接叩き付けるのではなく……澪はここに至るまでにばら撒いてきた花弁へと乗せる。
 ただの花弁ではない。それは本来『清鎌曼珠沙華』を形成する赤い花弁。それを今回はあえて花弁の形のまま使っているのだ。鎌の『斬る』属性に風と光の属性が備わり、赤い花弁は光り輝きながら空を舞い踊り、触れたモノを切り裂く花の嵐と化す。
「いっけー!」
 トライバードの群れの中心から外へ。嵐が逆巻けばトライバードを切り裂き、骸の海へと還していく。
「今です! 封神十絶陣で全方位追撃お願いします」
「承知」
 澪の華の嵐に合わせて、廉貞が封神十絶陣を放つ。どうにか澪の攻撃に耐えきったトライバードたちを廉貞の絶陣が飲み込み、今度こそ骸の海へと叩き返す。
「この調子で、中から群れを壊しましょう」
「わかりました。無理はせずに」
「はい!」
 廉貞との連携をバッチリ決めながら。
 トライバードの群れに決定打を叩き込む澪であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
廉貞さんのような頼れる味方がいて心強いです。
コミュニケーション取る為に口調を合わせてみましょう。
ちょっと前の時の口調で良いかな~。

礼儀正しい作法にて「我が名は大町詩乃、神名を阿斯訶備媛と申す一柱の神。貴公の武勇、大いに心強し。いざ共に参らん。」と挨拶して共闘します。

《煌月舞照》で1300本程の煌月の複製を作り出し、神罰・光の属性攻撃を籠めての包囲攻撃で相手を貫通攻撃。
更に多重詠唱による風と雷の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で生み出した雷纏う竜巻を作り出して相手を倒す。

いずれも攻撃も神社などの施設を破壊しないよう制御しますよ。

接近してきた相手は廉貞さんにお任せ。
「貴公の技量、見事なり。」




 無尽にも思えた『トライバード』の群れ。しかし、その数は確実に有限で、それを駆逐していけば必ず終わりは見える。問題は余りにも数が多く、ちょっとやそっとでは戦況を覆せないことであったが、それは猟兵と妖狐七星将『廉貞』の共闘によって完全にひっくり返った。
 あと少し。視界に残るトライバードを倒し切ればこの地の奪還が成る。

 大町・詩乃(阿斯訶備媛アシカビヒメ・f17458)が転送によって到着したのはその頃。廉貞もまたトライバードの群れの中で力を振るっている時であった。
 その勇姿を見て詩乃は小さく頷く。
(廉貞さんのような頼れる味方がいて心強いです)
 そしてこちらに信頼を寄せてくれているのだから。合わせない手は無い。
「コミュニケーション取る為に口調を合わせてみましょう」
 『ちょっと前の時の口調で良いかな~』と思いながら、喉の調子を確認する詩乃。
「……! 汝は……?」
 詩乃に気付いた廉貞が振り返る。そこに居たのは清涼なる氣を纏いし一柱の女神。

「我が名は大町詩乃、神名を阿斯訶備媛と申す一柱の神。貴公の武勇、大いに心強し。いざ共に参らん」

 その名乗りに廉貞も納得したかのように頷きを返す。
「凛々しき名乗り痛み入る。然ればこそ我も力を合わせん」
 廉貞の返事に詩乃が笑顔を浮かべ。その手にある薙刀『煌月』を振るう。その軌道はさながら魔を祓う儀式のごとく。オリハルコンの刃がトライバードたちに突きつけられ、詩乃の神力が解放される。

「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」

 詩乃が言の葉を紡げば、周囲に現れるのは煌月の複製。【煌月舞照】によって詩乃が創造した、1300本程の煌月(複製)が飛翔する。刃に秘めるのは神罰と光。その力を以てトライバードたちを貫通して一気に屠っていく。
「更に……! これでどうです!」
 全ての煌月を解き放った後、神力を込めて詩乃が煌月を振るう。口元で紡ぐのは多重詠唱。刃の軌道が導いた先へ風と雷が逆巻き、雷纏う竜巻が健在なトライバードたちを飲み込んでいく。
 まさに神罰。荒れ狂う神の御力が神社の境内を駆け巡り、この地を埋め尽くしていた魔を粉微塵に砕いていく。
 もちろん、いずれの攻撃も神社などの施設には当たっていない。だからこその神罰。
 だがそれでも神罰をくぐり抜けてくる個体がいる。味方を盾にしてでも突き抜けてきたトライバードの突撃。
 しかし、その決死の一撃は詩乃の身辺を護っていた廉貞の尾の一撃によってあっさりと撃墜される。
「貴公の技量、見事なり」
「お褒めに与り、恐悦至極」
 そして神の怒りが過ぎ去る。残ったのは正常にして清浄なる境内。

「終わりましたね♪」
「汝の、汝等の戦い。万の拍手を以てしても称賛足りぬもの也」
 そのような言葉と笑みをかわして。
 詩乃をはじめとした猟兵たちと妖狐七星将・廉貞の共闘は無事、勝利で終わったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月10日


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#シルバーレイン
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#第二次聖杯戦争
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#妖狐七星将『廉貞』
#🔵>👑到達予定日時⇒1/6の24:00
#プレ受付〆切り→1/6の24:00です
#執筆完了です。大変お待たせしました。
#路子のグリモア記録


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト