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第二次聖杯戦争②〜その慢心を

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争 #背徳のラダガスト


●グリモアベースにて
 『聖杯剣揺籠の君』により戦端が開かれた『第二次聖杯戦争』。年始から慌ただしい空気となったグリモアベースで、佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)は声を張り上げている。
「猟兵さん、金沢市の竪町商店街に布陣した『背徳のラダガスト』を倒して欲しいんだよ!」
 金沢市の竪町商店街は、一本道にさまざまな店が並ぶ商店街。そこに現れる『背徳のラダガスト』は、『聖杯剣揺籠の君』に従うオブリビオンだ。生前はヨーロッパの「人狼十騎士第5席」に名を連ねたほどの槍術を持つのだという。
「ラダガストのとる戦闘方法は3つ。二種の幻影を出現させて片方の幻影に従うことで行動を成功させたり、召喚したゴーストウルフと合体して攻撃力を増加する咆哮と自動追尾する十字架型の紋様で攻撃したり、無敵の狼獣人に変身して攻撃したりするんだよ」
 一筋縄ではいかない相手であると、キリカは息を呑む。
 それでも戦場に向かう猟兵たちに少しでも情報を伝えるべく、再び口を開いた。
「ラダガストの記憶は、オブリビオン化でほぼ消失してて……性格も、好戦的で自信過剰になってるんだよ。だから自分で猟兵さんたちを倒そうと、前線に飛び出して来るんだよ!」
 自身が圧倒的な力を持っていると思うゆえに、「勝てる戦い」だと慢心しているがゆえに。ラダガストは自慢の槍術をもって、猟兵を迎え撃つつもりだろう。
「でも、勝つのは猟兵さんたち! ラダガストの慢心を突けば有利に戦えるんだよ!」
 キリカは信頼の眼差しを猟兵たちに向け、微笑む。
「今回も、よろしく頼むんだよ!」
 そう言って、猟兵たちを見送るのだった。


雨音瑛
 『背徳のラダガスト』とのボス戦シナリオです。
 金沢市の竪町商店街での戦闘となります。

●プレイングボーナス
 敵の慢心を突いて戦う。
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第1章 ボス戦 『背徳のラダガスト』

POW   :    背徳の十騎士
常識的な行動を囁く【生前の自分の幻影】と、非常識な行動を囁く【『ドクター・オロチ』の幻影】が現れる。[『ドクター・オロチ』の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
SPD   :    旋律のヴァンパイアハンター
【召喚したゴーストウルフ】と合体し、攻撃力を増加する【人狼騎士の咆哮】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【十字架型の紋様】が使用可能になる。
WIZ   :    呪装ライカンスロープ
【無敵の狼獣人】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【勝利への確信度合い】に比例し、[勝利への確信度合い]が損なわれると急速に弱体化する。
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ダーティ・ゲイズコレクター
悪は慢心してこそ華ですよね!
それでこそ散らされっぷりが良く映える!
私も慢心できるほどの悪になりたいものです!

さて、作戦としてはUC【積悪!穢澱虚兵蹂躙陣】で召喚した
私そっくりの兵隊の皆さんに物陰に隠れていただき
私はラダガストさんから逃げながら誘い込み
死角から兵隊の皆さんが不意打ちを行う作戦で行きます!

私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

早速ですが、くらえー!ダーティアロー!
(敵の視線を変換したオーラの矢を数本射出する)
う、うわ~!全く効いてないです!逃げろー!



 小柄な猟兵が飛び出したのを、『背徳のラダガスト』は見逃さなかった。瞬時に身構え、槍の穂先を向ける。
「来たか、猟兵とやら!」
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター!」
 両の腰に手を当て、ラダガストの前に立つのはダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)。真正面にいるラダガストを、やや見上げる形で。
 ラダガストが再び口を開こうとした瞬間、ダーティは両手を前に突き出した。
「早速ですが、くらえー! ダーティアロー!」
 ダーティとラダガストの間に、オーラの矢が数本生成される。ラダガストがダーティに向けた視線を変換したものだ。
 全ての矢がラダガスト目がけて飛翔する。踏み込んだラダガストは槍を操り、最小限の動きで矢を弾き落とした。ダーティは震え、数歩下がる。
「その程度の不意打ちで俺に勝つ気か、猟兵!」
「う、うわ~! 全く効いてないです! も、もう手がないです!」
 敵に背を向け、逃走を開始するダーティ。
「馬鹿め、手が無かろうと逃がすと思うか!」
 ラダガストはダーティを追いながら、傍らに2体の幻影を出現させた。それぞれ、生前のラダガストとドクター・オロチの姿をしている。
 幻影たちは告げる。
 猟兵を追って槍で貫け、と生前のラダガストの幻影が。
 槍を真上に投げてしまえ、とドクター・オロチの幻影が。
 駆けるラダガストは槍を握り、不敵に笑う。
「ならば……こうだ!」
 ラダガストが選んだのは、上空への槍の投擲。
 真上に飛んだ槍は降下するさなかに軌道を変え、ダーティへと迫る。
 ただならぬ気配を感じたダーティは足を止め、振り返った。次いで、迫る槍に目を見開き、地面にへたり込んだ。
「うわ〜! も、もう駄目なのですー!!」
 叫ぶダーティを見て、ラダガストがほくそ笑む。
 しかし槍はダーティへと到達することなく、何かに弾かれて地面へと突き刺さった。
「と、言うとでも思いましたか! 私は凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティ! 今です、兵隊の皆さん」
「なに——!? 伏兵だと!?」
 横道から次々と現れる、ダーティと同じ姿をした兵士。百数十人はいようかという兵士の手には、銃火器が握られている。先ほど槍を弾いたのも、この兵士の射撃によるものだ。
 ラダガストは舌打ちをして突き刺さった槍へと手を伸ばす。が、槍を振るうより早く兵士たちがラダガストを包囲し、いくつもの銃声を響かせる。
 やがて、立ち上る煙幕と兵士の姿が風に消えて行く。
 残ったのは、いくつもの傷を負ったラダガストが槍で身体を支えている姿だった。
「馬鹿、な……!」
「悪は慢心してこそ華、ですよね……! いつか私も、慢心できるほどの8thKINGになりたいものです……」
 どこかうっとりした様子で、ダーティは胸に手を当てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

本山・葵
「めざせ揺籠の君!立ちはだかるなら押し通るっすよ!」

UCでグルメツールを投げつける。
暴投したように見せかけて、慢心したところに
軌道変更して背後から命中させる。
「しまったぁ!力みすぎたっす!」
「なんてね、本当はわざとはずしたんすよ」

技能:投擲

アドリブ、連携ご自由にどうぞ


マシュマローネ・アラモード


モワ、慢心を突くという事でしたら、斥力(吹き飛ばし)を張り、誘いましょう、接近してきたら忍ばせたグレイス・フルムーンの吹き飛ばしと、そこを足場にして決めますわ!

UC、攻性解呪アグレッシブ・ディスペル
強化解除の技ですが、わかりますわね?あなたの技は無敵ではありませんわ。
自信を失えば、それだけ弱くなる。次の変身の動きが鈍っていれば成功ですわね。

何度も解除を繰り返して、UCへの自信を失えば、こちらのものですわ!

『権能』斥力最大!攻撃も防御も何もかも吹き飛ばす一撃をお見舞いしましょう!

……しかしながら、彼の方……何か違和感がありましたわね……ネジがどうとか言っておりましたが……。



 ラダガストの姿が、狼獣人へと変じてゆく。
「勝つのは俺だ、猟兵!」
 常人であれば視認すら不可能な、槍の一撃。マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は銀色に輝く構の月――グレイス・フルムーンを自身の正面で静止させ、ラダガストの槍を受け止めた。次いで銀月を足場にし、意識を集中する。
「ごめんあそばせ!」
 マシュマローネの気迫が込められた銀の月は、ラダガストを槍ごと吹き飛ばした。同時にラダガストの毛並みが失われ、人の姿へと戻る。
「――なに?」
 ラダガストは不服そうに自身の手を、次いで不審そうにマシュマローネを見遣った。
「強化解除の技ですわ。……わかりますわね? あなたの技は無敵ではありませんわ」
「そういうわけっす! 自分たちがめざすは揺籠の君! こんなところで立ちはだかるなら押し通るっすよ!」
 声高に叫ぶのは、本山・葵(ユートレマジャポニカ・f03389)。片手で眼鏡を押し上げ、もう片方の手を頭上に掲げる。
「さあ、いくっすよ! 一給入魂っす!」
 葵の周囲に展開する銀色のナイフ、フォーク、スプーンたちが、日差しを受けて輝いている。それらのどれもがよく磨かれているのだろう、銀の弾丸のようにラダガスト目がけて飛翔する。
「この程度、俺に対応できないとでも思ったか! 全て弾き返して――」
 槍を水平に構えるラダガスト。しかし、銀食器はどれもこれもラダガストを通り抜けてどこか遠くへと飛んで行った。
「しまったぁ! 力みすぎたっす! こんなはずでは……!」
 葵は頭を抱え、うずくまる。
「クハハ、その程度の練度で俺に挑むとはな! 猟兵とやらも大したことはないようだ……今度はこちらの番だ」
 ラダガストの背後に、ラダガストとドクター・オロチの幻影が出現した。二体の幻影、その囁きを聞いたラダガストは、葵を見下すように視線を上げる。
「――確かにな。猟兵なぞ、こちら側で十分というわけだ」
 ラダガストは槍を手元で回転させ、柄の終端である石突の方をを葵に向ける。そのまま葵に突っ込んで来る気なのだろう、踏み込み、跳躍した。
「……って、本当にはずしたと思ってるっすか?」
「な、に?」
 葵の眼鏡が、不敵に輝いた。
 直後、ラダガストが仰け反る。槍は葵に到達することなく、地面を穿った。やや無様ながら着地したラダガストの背中には、銀食器がいくつも突き刺さっている。
「わざとはずしたんすよ、さっきのは」
 奇妙な方向に飛んで行ったと思われる銀食器は、ラダガストを通り抜けてからも、ずっと葵が操っていたのだ。
「貴様――!」
 背中に突き刺さった銀食器をそのままにラダガストは槍を持ち直し、葵へと突撃の姿勢を見せる。
「させませんわ!」
 銀色の月が葵とラダガストの間に割り込ませ、槍を受け止めるマシュマローネ。
「ありがたいっす、マシュマローネさん!」
「モワ、ここはお任せを。……さあ、変身してごらんなさい!」
「面白い、ならば望みの場所を穿って殺してやる。頭か、心臓か、腹か、好きな場所を言うが良い!」
 マシュマローネの視線を受け止めたラダガストは口の端を上げ、獣人へと変貌してゆく。
「お断りしますわ!」
 槍とグレイス・フルムーンがぶつかり合い、火花を散らしそうなほどにせめぎ合う。
 マシュマローネは確信した。ラダガストが当初ほどの力を出せていない、と。
「『権能』斥力最大!」
 商店街にマシュマローネの声が響くが早いか、無敵であるはずの狼獣人が派手に吹き飛んで行く。それはラダガストが抱いている「勝利への確信」が揺らいだ、何よりの証拠だ。
「ぐ、あ――!」
 ラダガストの呻き声を、爆風がかき消してゆく。
「見事っす! 無敵破られたり、っすね!」
 ラダガストが吹き飛ばされた方を見遣り、葵は拳を握りしめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

嘉納・日向
根拠の無い自信ならまだしも、
このおにーさんってば根拠になる強さもあるんだもんなぁ

◆表人格:日向
距離を取りつつ、アサルトウエポンで銃撃を加えていく
ほぼ効いてなくても別にいいし。
そのまま、臆した表情を浮かべつつも日蝕(バロックレギオン)の紛れる暗がりへ逃げる

……バロックレギオンが出ている辺り、態度だけじゃないんだケドさ。思わず乾いた半笑い。

自信あるのは凄いケドさ
足元、お留守になってない?

バロックレギオンの闇に紛れて、不意打ち。強化が薄れたのが分かれば、紛れたまま移動して渾身の力でシャベルを薙ぎ払う
親友の声……の、バロックレギオンと協力して、二回攻撃
足元を掬ってやんよ、言葉通りの意味でさ



 路地裏で、乾いた銃声が響いた。
 放たれた銃弾は狼獣人の毛並みに埋もれた後、石畳に落ちて転がってゆく。
「クハハ! 効かんなぁ!」
 いくらでも撃て、と言わんばかりに両腕を広げる『背徳のラダガスト』。嘉納・日向(ひまわりの君よ・f27753)はじわじわと距離を詰めてくるラダガストから逃れようと、引き金を何度も引いた。
「ひ、っ……!」
 後ずさりするように路地裏の奥へと向かう日向。
 当然、ラダガストは彼女を追う。
「む、無理無理、マジ無理なんだケド」
 震える口調に反して心中は醒めている、つもりだった。
 路地裏にあふれるほどの少女——バロックレギオンが出現しているということは、ほんのわずかであっても恐怖心を抱いてしまったのだろう。
 乾いた半笑いを浮かべる日向の姿が、路地裏にあふれる少女たちの中に紛れた。
「いくら数を増やそうと、全て倒せば良いだけの話だ」
 自信に溢れた声で、ラダガストは槍を振るう。その自信が根拠の無いものであったらなら良かったのだが——実際、根拠になる強さもあるのだから厄介だ。
 今もバロックレギオンの数体が、ラダガストの槍に貫かれて消滅している。
「……自信あるのは凄いケドさ」
 バロックレギオンに紛れたまま、日向は呟く。
「足元、お留守になってない?」
 銃弾が、ラダガストの足を穿った。
「ッ!?」
 ラダガストが槍を振るう手を止めた。注意深く周囲へと視線を這わせているが、バロックレギオンに紛れた日向の姿を見つけられていないのだろう。
 日向は再び、ラダガストの足に銃撃を加える。
「くそッ、どこだ!」
 ラダガストの声には焦りの色が見えていた。
 日向はバロックレギオンに紛れて移動し、ラダガストに補足されないよう注意深く位置を変えてゆく。
 先ほどラダガストがいた場所へ視線を落とせば、数滴の血痕が見えた。
 不意打ちによってラダガストの「勝利への確信」は揺らいだのだ。
「行くよ」
『行こう』
 日向の耳に届く、親友の声。
 一人と群れは歩みを止め、狼獣人の前に姿を現した。
「足元、掬ってやんよ。言葉通りの意味でさ」
 日向は一呼吸の後に、斬り上げるようにしてシャベルを振るった。次いでシャベルから手を離せば、バロックレギオンがシャベルを掴み、姿勢を崩したラダガストの胸元を貫く。
「馬鹿、な——!」
 ラダガストの手から槍が落ち、地面に転がった。目を見開くラダガストが地面に倒れ臥すや否や、黒い霧となって消滅する。
「一応これで終わり、か。……ありがとね」
 バロックレギオンからシャベルを受け取る日向。親友の姿をした少女たちは、ひらりと手を振って暗闇の中に消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月05日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト