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第二次聖杯戦争③〜捕食者となるはどちらか~

#シルバーレイン #第二次聖杯戦争


●平和な新年に勤しむ兎を追い回す狼
「明けましておめでとう諸君。新年を祝いたいところだが、残念ながら事件だ」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、目まぐるしく変わる猟兵達の拠点グリモアベースに映し出された光景――日にして先日の夜、突如として映し出された謎の予兆諸々を含めて語り出した。
 UDCアースにも似た世界、銀降る雨に彩られた能力者達の世界でその凄惨な虐殺は繰り広げられていて――彼女は薄金色のグリモアを手に取ると紅衣を翻し。

「逃げ回る兎を追うは狼! 狼から守るは猟兵! 君達には銀降る雨の世界シルバーレインに赴きオブリビオンの企みを阻止して貰いたい!」

 第二次聖杯戦争――往々にして過去の大戦が再臨するかの世界シルバーレインに於いて、繰り返されようとした事件は首魁の消滅によって止められた。
 されど歴史の修正力と皮肉るべきか、新たな首魁を迎えいれ、それはメガリス――対価によって超常の力を発揮する至宝の力によって他の世界への侵攻を試みようとしている。
 だがその能力の発揮には、無数の生贄が必要となる、よって――。
「ここの件は単純だ。必要な生贄を【現地調達】している」
 吐き捨てるようにいうスフィーエが映す、猟兵の介入無くば訪れる未来。
 無数の白き狼が商店街に降り立ち、逃げ惑う弱き民に喰らい付き血肉を聖杯に捧げにいく凄惨な光景だった。

「気をつけて欲しいのは、妖獣化したオブリビオンは強い。数で押してくるタイプの敵だが、今回は個々の実力も相当なものだ」
 個々の力としては大したことはなくとも、数の厄介な相手――定義でいえば【集団戦】の敵ではあるが、今回の敵は個々の力も強力な個体ボス戦に準ずるだけの力があるのだという。
「だが欠点として、非常に単純な行動しかできなくなっている。元々狼の怪物だが、狼としての知能……集団での連携すら出来ず、単純に攻めるか避けるかしかしてこない」
 狼という生物は群れでの狩りに秀で、連携の巧みさは目を見張るものもある。
 また獣が故に本能で危険を察知し留まる力――いわゆる野性の勘ですら活かされることもなく、単調な行動しかしてこない。
 付け入る隙があるとしたら、そこにあるのだということを語り。
「もちろん、彼等の主目的は生贄の確保だ。商店街の民のことも確りと守って欲しい」
 何よりも無辜なる民の血を、悪しき目的の為に啜られることなどあってはならない――民を守ることも考えてあたって欲しいと語り。

「以上だ。新年早々……いや、いつだって無力な民を食い物にする害獣は……こう、しなければならない」
 ひとしきりのことを語り終え、緑茶を一口してから軽く一息を置くと、薄金色のグリモアで象った害獣をひねりつぶすジェスチャーをしてみせて。
「では、準備ができたら声を掛けてくれ。道は常に開かれている」
 改めて己の両頬を軽く叩き、気合を入れ直すとスフィーエの持つグリモアは凄惨な未来が待ち受ける、されどまだ間に合う場所へと導くのだった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 明けましておめでとうございます。新年早々戦争ですが、張り切っていきましょう。

 さて今回は商店街を襲う妖獣化オブリビオンから、一般市民を守る【集団戦】のシナリオとなっております。
 敵は強いですが、単純な行動しか行えない為、そこを突いて戦うと戦いやすくなります(プレイングボーナスとなります)
 また戦闘中もひっきりなしに一般人を手にかけようとしているので、守りつつ戦ってもボーナスとなります。

●プレイングボーナス
 妖獣化オブリビオンの性質を突いて戦う/商店街の一般人を守って戦う。

 プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『雪狼』

POW   :    魔氷の牙
噛み付きが命中した部位を捕食し、【魔氷で動きを鈍らせ、イニシアチブ】を得る。
SPD   :    飛翔雪狼
レベル×5km/hで飛翔しながら、【マヒ効果のある冷気の爪】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
WIZ   :    狩りの時間
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【雪狼の増援】が出現し、指定の敵だけを【包囲し、それまでの戦闘を学習した立ち回り】と【魔氷の牙と爪】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

考える力が無い敵にはこれが有効です!
(UC【毒悪!潜侵魂穢刃宮】を発動する)
とはいえ迷宮に巻き込まれた一般の方が壁に触れたら大変なので
{ゲイズ・パワー}を出口までの順路を示す矢印代わりに漂わせて
迷宮から脱出させるとしましょう!

賢い狼なら匂いを辿るなどして迷宮から脱出できるんでしょうが…
目の前のうさぎを狩ることに夢中な獣じゃあ無理でしょうねぇ


レモン・セノサキ
連携・アドリブ◎

知能低下、連携も無し
狼の利点が台無しじゃん
罠に嵌めて下さいって言ってるようなもんだな

銃撃で▲挑発しながら「ジェットシューズ」で商店街を高速移動
「トラップダイス」をばら撒き
"美味そうな血の匂いの薄煙"を漂わせながら▲誘惑
商店街の袋小路に逃げ込むよ

追い詰めたと思ったか?
残念だったな、此処じゃ数の利は活かせないぞ
【指定UC】を発動、召喚した銃を全て束ね
"悪霊退治の銀弾"を集中砲火で浴びせよう
幸運にも突破できた奴はご褒美だ
「Forte.50」の大口径で急所を狙撃(▲スナイパー)
私が直々に葬ってやる

ヤバくなったら「仕掛鋼糸」の▲ロープワークで袋小路の出口へ脱出
今度は逆側から▲一斉発射だ



●利点を殺した駄犬は悪魔めいた人の叡智に劣る
 グリモアの転送門を通りやってきた猟兵達の目の前に、今にも繰り広げられようとしているものは獰猛な狼が無辜の民を喰らい引き裂こうとしている光景だった。
 逃げ惑う民の一人がよろめき、尻もちをついてしまったが生と死を別つ分かれ道、誰かの友人か家族か、大切な誰かの命に構う余裕すらなく狼の牙が突き立てられようとした、正にその時であった。
 響き渡る銃の発砲音と、音の壁を破り突き進んだ鉛弾が狼の頬を掠め、その牙が届くのを防いでいた。
「間に合った……ほら、こっちだよ」
 銃口より硝煙を立たせ、レモン・セノサキ(Gun's Magus魔砲使い・f29870)は靴より爆裂する気流を噴き、狼の中を翔けていく。
 数多の雪色の狼の中に際立つ黒が、銃撃により頬を掠め狼達を煽りながら疾風の如く商店街の中と狼の間を巡っていく。
「大丈夫ですか?」
「えっと……?」
 その一方で、今しがたレモンに助けられた形となった民を助け起こした女――何というか、露出の高く冬空の下には心配にもなりそうな刺激的な様相の女に目を丸くするのも無理からぬことか。
「私はダーティ!」
 僅かに呆気にとられる民へと、高らかにその女――ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は告げた。
「ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
「凶悪で」
「劣悪で」
「最悪な……」
「魔王!?」
 これは一体どういうことだ。
 謎の狼に襲われたと思ったら魔王が降臨して、トドメを刺すとでもいうのか。
 はたまた刺激に過ぎる格好の女に目がいくサガか、否応なしに人の注目を彼女は集めていく。
「その通り! さぁもっと私を見てください!」
 狼の視線が少ないのはこの際良い――元より知能無き獣に期待はしていない。
 良くも悪くも視線を浴びる形ともなれば、ダーティの力――浴びる視線に応じて高まる力も高まるというもの。
 今こそ繰り広げてくれよう。
「では新春風雲なんちゃら迷宮大脱出、始まりますよ――現世に蔓延りし見えざる穢れよ! その身に触れし魂に刃を刻め!」
 繰り広げられるは迷宮――複雑怪奇に入り組んだそれだが、その壁は透明。
 だがそれ故に、警戒心を失った狼は壁に何度も激突し、逆襲のように突き出される“矢印”でその身を貫かれていきながら。
 風雲急を告げるかのような迷宮の中に、狼と無辜の民を分断し――
「皆さんはこっちですよー」
 万一触れたら大変な為、無辜の民には己のオーラ――向けられた視線を可視化し、出口で待ち受けるダーティへの指針として示す。
 迷宮だからといって普く惑わすとは限らない。
 侵入者を阻み、逃げる者を逃げやすくする為のものなのだから。

* * * * * * * * * * *

 ――先程より狼の間を駆け巡り、注意を惹き付けていたレモンは突如として、されど想定内にあった迷宮の壁が生成されれば我が意を得たりと頷いていた。
「くっ……ここまで、か……」
 されど迷宮の生み出した袋小路に、これまで必死に靴より噴き上げた気流で速く駆け巡り狼達を翻弄してきたレモンだったが、ついには追い詰められていた。
 獰猛に愉悦を交え、大きく裂けた口を開き今にも彼女に喰らい掛からんとする狼達の姿がそこにあるも――
「――なんて、追い詰めたと思ったか? だよ」
 突如として狼たちの動きが一瞬で硬直するのは、一瞬で数多の重火器――人が殺戮の為に積み重ねてきた技術の結晶が優に六百は超える数で以て取り揃えられていたから。
 しかもその一つ一つも、歴史の中より選りすぐられた高性能高火力の火器であり――
「良く見とけ、近世以降積み上げられた人間の業ってヤツを」
 追い詰める袋小路に事欠かない。
 おまけに丈夫な迷宮の壁は、万一の流れ弾を商店街に漏らす心配も要らない。
 最初から仕組まれていたかのようにぴったりと嵌るピース。
 圧倒的な重火器の放つ業火、惜しむことの無き悪霊退治の銀弾の嵐により、なすすべもなく白き狼達はその身体を黒を通り越しての真っ白な灰と変えていく。
 それでも圧倒的な重火器の嵐を潜り抜けられるのは、与えられた力によるゴリ押しであり、それでもその数も少なく、更に言えばどれもこれも弱弱しく立つばかりで。
「悪魔の悪意に翻弄され、人間の業を潜り抜けてよくやった。ご褒美は私直々にくれてやる」
 ――されどその弱弱しい立ち姿も呆気なく。撃ち放たれるアサルトライフルによって脳天を貫かれ残った狼は悉く灰と化していた。


* * * * * * * * * * *

「お疲れさん」
「そちらこそ。……賢い狼でしたら、匂いを辿るなどして迷宮から脱出できたんでしょうが……」
 迷宮の展開が終わり、一仕事を終えて出口で待ち受けていたダーティとレモンは手を振り合い、言葉を交わす。
「目の前のうさぎと、目先の匂いを追うことに夢中な獣じゃ無理でしょうねぇ」
「警戒心も連携もまるで無し。狼の利点が台無しだよ。罠に嵌めてくださいって言ってるようなもんだよ」
 互いに呆れの声を隠そうともせず、ダーティの言葉に同意を示すようにレモンはサイコロ状のなにか――煙幕の一種であり、狼を引き付ける為に使った血の臭いの元を掌で弄び。
「さて、次も頼める?」
「もちろんです。嵌め殺し、まさに最凶極悪非道ですから!」
 されどまだ戦いは終わらない。
 無辜の民を守る戦いに身を投ずるべく、レモンは翔けダーティは迷宮を作り出していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハリー・オッター
ここも狼かよ!!
被捕食者の側に回るのは御免被るじゃん!!
ここでも一般人が襲われるなら、飛空艇で加速して駆けつけるじゃん。

一般人助けて安全な所に逃す。

そんで、元の場所に戻ってくる。
そういや、こいつら、空中に攻撃できるか??

出来なきゃ、そのまま【爆撃】【焼却】で空爆じゃん!!
逃げたら、追撃で【エネルギー弾】【範囲攻撃】【爆破】で次々と蹂躙するじゃん!

「只の獣が空中に飛べるわけねぇし、飛べたらラスカルにも頼んでいたところだぜ」

アドリブ歓迎



●とんぼ返りの雷のように
 混乱の続く商店街の上空を、一隻の飛空艇が翔け抜けていた。
 ジェットの鳴り響きと天使核の原動機エンジンを唸らせ、宛ら審判の大津波より救い出す箱舟が如くそれは刹那を争うように加速していく。
「ここも狼かよ!!」
 その操縦席の中、それを操る一匹のオオカワウソ――ハリー・オッター(カワウソ・f39388)はモニターに映る商店街を荒らす獣の姿を目にし吐き捨てた。
 既に似たような戦場で捕食者の獣と抗っていた彼にとって、被捕食者の側に回るのは真っ平御免と空を全速力で翔けては、寸での所で飛空艇は到着し。
『あーあー、市民のみなさーん! 押さない、駆けない、喋らないを心掛け、直ちにここへ乗って避難するじゃーん』
 スピーカーにて音を広げ、搬入口を開きつつハリーは告げた。
 一時狼より逃れても何処へ逃げるか判断のつかぬ民衆は、やってきた救いの箱舟に我先にと――尤もしっかりとハリーの忠告に従いながらその身を飛空艇の中に飛び込ませていく。
「よし、これで……しっかり捕まってるじゃん!」
 指差し確認よし。無事に到着地点で確認した民は乗せられた。
 後は全速力で彼等を安全な所へと――気流の噴きあがる音も高らかに、天使核が唸り船内で絶叫する彼等の声を背景に、急いでHurry Up彼は箱舟の役目を果たすのだった。



 かくして無事に送り届け、自分でもウソ・・のように速く、トンボ返りを為しては上空より狼を見下ろす。
 獲物を掻っ攫われた形の筋違いな逆恨みに吼え、必死に前脚に力を入れ飛び掛かろうとしていても、その爪牙は虚しく空を切るばかり。 
「さーって、案の定飛べないみたいじゃん。それじゃ……」
 ゴーグルを目にかけ、マニピュレータを動かし狙いを定める。
 飛空艇に搭載された爆弾がばら撒かれ、一方的な蹂躙の花火が爆ぜ、強靭な毛皮も容易く貫く爆撃が狼を灰と変えていく。
 雪色のそれを溶かし、蒸発させていくように、落とされる爆炎が広がり容赦なく地を這う獣を蹂躙する。
 知能が落ちたといっても明らかな不利を悟れば逃げる知能は残されている。
 されど背を向けても尚、広がっていくエネルギー弾による爆撃はその背を難なく打ち据え、狼の悲鳴すらも派手な爆撃音が押し流す。
「只の獣が空中に飛べるわけねぇし、飛べたらラスカルにも頼んでいたところだぜ」
 やがて目に付く限りの狼の消え失せたことを確かめては、かけていたゴーグルを再び額に置き、仮にあるならあったで如何様にも出来るとも呟いて。
 再びハリーは逃げ遅れた民を探し、彼等を乗せ送り届けに行くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セラフィール・キュベルト
新年の慶びを祝う時節に、このような暴虐が襲い来ようとは…
罪無き人々がオブリビオンの犠牲となるなど、何としても食い止めませんと。

まずは、襲い来る敵より街の人達を守りましょう。
神輝顕現・天光結界を発動、敵と街の人達とを分断します。敵以外は結界をすり抜けることが可能ですので、逃げる動きを妨げることはありません。
同時に、敵を足止めしつつ孤立させることも可能な筈ですので、後は合流される前に精霊様(Lux Sucrum)からの【レーザー射撃】や自分の光弾射撃(【属性攻撃】)で各個撃破して参ります。
劣勢になりそうな時は、結界を利用して仕切り直しや分断を試みつつ戦いましょう。



●水晶城の扉
 戦う力を持たない民、如何にその範疇としては強くとも種として超えられぬ壁はあり、商店街を埋め尽くす狼にとって民は皆、絶好のエサでしかなかった。
 雪色の体毛を輝かせ、剥き出しの牙の鋭さを向け、機敏に人と人とで入り組んだ地を駆け抜けては狼達は牙を突き立てようとする。
 種としての絶対的な、そして狼達に植え付けられた狂える獣の加護も上乗せされれば、それは一瞬でか弱き者の背中に――
「荒ぶる災禍阻む護りを、小さきものに庇護の光を──」
 喰らい付かんとしていた、正にその時だった。
 戦場に入り組んだ輝ける壁が一瞬で次々と生み出され、その壁に阻まれ、狼の牙が折れていく。
 それを為したるは神か聖者の奇跡か――まさにその通りであり、手を組み合わせ祈りながら一人の清浄なるそれはやってきた。
「新年の慶びを祝う時節に、このような暴虐が襲い来ようとは……」
 処女雪よりも清らかに眩く。
 雪色の狼の色が冷たく底冷えする恐ろしさとするなら、現れた存在かれの色は清められるかのような純白。
 翼を広げ祈り、民を守り狼を隔てる結界の迷路を産み出したセラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)の姿だった。
「大丈夫ですか? この壁は皆様は摺り抜け、狼達は阻みます。……恐れず、壁の向こうへ」
 突如として生み出された壁に守られ、呆気にとられる形となった民は優しく癒されるような笑みのセラフィールに見惚れながらも、促されるままに壁をすり抜ける・・・・・
 生み出された壁は扉。
 扉は素通しするものではなく、通るべきものと阻むべきものを隔てる壁。無辜なる民は素通しし、狼は延々と阻み続ける。
 その点で見ればセラフィールの巡らせた光の壁は、無辜なる民を守り狼の牙より隔離し安全な場所へと導く扉と言ったところか。
「精霊様、御力を――」
 後は慌てず、此処の力が強大な敵に準ずるといっても確実に。
 祈りに応じて姿を現した精霊より解き放たれる、雨が如き光の条と、セラフィールの掌から鈴生りのように紡がれ放たれる光弾が雪色の狼を貫き、灰燼に帰していく。
 されど狼達も負けじと吼えては増援を呼ぶ――これまでの戦いを学習する力も、狼の連携を活かす力もなく、ただただ物量を増すだけとはいっても個々の力は絶大。
 壁と光の迷路を押し切り、遂には彼を取り囲むものの――
「仕切り直しです――!」
 扉は二度作られる――新たに展開された光の壁がセラフィールと狼を隔絶しては、また新たに裁きの光が狼を貫いていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
年明け早々から面倒な事になっているというか……
まあ、時期や場所がどうあれやるべき事は変わらない。戦うのみだ

利剣を抜いて、澪式・玖の型【辻風】の構えで相対

数がいて、単体の能力も強いが、碌に連携もしない、攻撃時に牽制もしてこないとなれば対処は容易い

やる事は単純。敵が攻撃を仕掛けに接近してきた所を狙って、カウンターの要領で刀を振るって先に斬りつつ相手の動きを崩して攻撃を回避
一撃では倒せないだろうが、落ち着いて同じ攻撃を繰り返す

仕掛ける頃合いを計りやすくする為に、自分だけが狙われているなら敢えてその場からほぼ動かず立ち回る
但し、もし一般人が狙われているなら、庇うように移動して狼を仕留めていこう



●牙は遅く、刃は後れて尚速し
「年明け早々から面倒な事になっているというか……」
 新たな年の始まりは正しく未来へと進む証である。
 だからこそか、進むということができない過去の証オブリビオンがその平穏を壊しにやってくるものなのか。
 思えば新年が勝負というのも記憶に新しいものであるが――青年は頭を掻きむしりながらも、今正に行われようとしている虐殺の現場を前に気合を改めた。
「まあいい。やることは変わらない」
 青年――夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は腰に刷いた刀の鯉口を切ると、その刃をたちまち露わにする。
 光写さぬ黒のようでありながら、淡紅色の仙界の桃を思わせる清らかなる気に満ちた輝きを抜き放つと、鏡介は駆ける。
「ひ、あ、えあぁ……」
 彼が駆け出す先には、因果は分からずとも転んでしまったか、このままでは憐れに狼の牙の文字通りの餌食となってしまう民。
 容易くに牙を突き立てられる兎に牙を立てぬ狼はいないもので、悍ましく獰猛な唸り声を挙げては、怯える民の血肉へ牙を突き立てようとしたその時――
「一手遅い」
 淡紅色の軌跡が弧月を描くように下から上へと駆け上がる。
 破魔の力を宿せし刃の切り上げ一閃が、狼の牙と派手な金属音と火花を散らし、爪牙を民の前から逸らしていた。
 飛び掛かる正にその時という、最大の隙を突かれれば如何に強力な身となっていても、容易くその身はたじろぎ後退る。
 それでも生来の狼らしく、しなやかに脚のバネを利かせては爪を掛かりとして再び跳躍し、鏡介に執拗に飛び掛かるも。
「――澪式・玖の型【辻風】」
 落ち着いて、振り上げていた刀を大いに、袈裟掛けに下しては爪牙と打ち合わせて攻撃を逸らし、その勢いで狼の毛皮と骨肉を切り裂く。
 ぐったりと倒れ伏し、幾つかの痙攣の末に命果てた狼に目もくれず、鏡介は今しがた庇った形の民に目を向け。
「もう大丈夫だ。……ここは任せな」
 たどたどしい礼にも穏やかに笑み、逃げる民を見送れば改めて、数を揃えてやってきた雪色の狼を鏡介は腰を落とし見据えると。
「来い」
 ――ここにいるのは己一人。向かってくるのも自分にだけとなれば、待ち構えて動きを見切る。
 一斉に飛び掛かってこられようとも、最端の狼を横殴りに刀を走らせ玉突きのように一気に逸らし。
 流れゆくように狼の爪牙よりも疾く、淡紅色の軌跡が走り血飛沫を舞わせていく。
「遅い。……遅すぎる」
 思った通りだ。数がいて、個々の力も確かに厄介。無策でぶつかれば危なかったかもしれない。
 しかし連携もせず、単純に飛び掛かるのみ――構えを崩す牽制すら行わぬ相手は的と変わらず、順当に斬り伏せていくのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
敵は圧倒的な数に加えて妖獣化によってパワーアップしている。
それでも、ここの人達の営みを守るためにシャーリーと一緒に雪狼に立ち向かう。
連携なら、こっちも負けちゃいないぜ!

最優先事項は「商店街の人達を守る事」。
雪狼が一般人を襲っているところに割って入り、鉄鍋の【盾受け】で【かばう】と同時に襲われた人達を【鼓舞】して安全な場所に避難してもらう。 
そのまま【カウンター】の【飢龍炎牙】で反撃し、残った敵はシャーリーにトドメを刺してもらう。
そうやって向こうの狙いがこっちに向いてくれればしめたもの。
シャーリーの仕掛けた罠に誘導し、絡め取ったところをまとめて【飢龍炎牙】で一掃する。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
狼の牙と鮫の牙、どっちが鋭いか試してみる?
行くよ、ウィーリィくん!

狼が商店街の人たちが襲っていたら【制圧射撃】で引き離し、ウィーリィくんのUCに合わせて【援護射撃】で残った敵をやっつける
そして【挑発】で注意をこっちに向けてウィーリィくんと一緒に誘き寄せる
…予めボクが【ロープワーク】【罠使い】で雪の中に仕掛けた罠の中に、ね
目論み通り引っかかってくれたらそのまま縛り上げてウィーリィくんとタイミングを合わせて【ワールド・タイフーン】で一網打尽!
一頭も逃がすつもりはないから覚悟してねっ!



●狼の牙VS鮫と龍の双牙連合
 雪色の狼が大きな唸り声を挙げ、商店街の民――買い物に来ていた客か、はたまたどこかの店員かは定かではないが、戦う力の無き民にその爪牙を向け、あわやその牙が数センチの所に迫っていた。
「「その牙、待ったーーーっ!!」」
 だが重なるように叫ばれた二つの声と、その声よりも速く走った熱線が雪色の狼の眼前を掠め、狼と無力な民を隔てていた。
 矢継ぎ早に放たれるその熱線――金髪のツインテールを揺らしながら、左目に着けられた超科学の眼サイバーアイの狙いも正確に、乱れ撃たれるそれが狼達の足を引かせていく。
 されど、幕を張るように繰り出され続けたそれの合間を、得られた頑強さを以て突っ切り、強引にまたもや牙を民の血肉に突き立てようとしたその時。
「さ、せ、る、かっ!」
 一文字一文字にテンポ良く、紅衣をたなびかせ颯爽と熱線の後に続いて現れ、そして振り翳された鉄鍋が狼の牙を受け止め火花を散らしていた。
 鍋の曲面に執拗に爪牙を走らせても、黒鉄のそれは突き破られることもなく、そのまま鍋で横へと殴りつけて狼を弾き飛ばし。
「あ、ありがとうございます……!」
「気にすんな! 早く安全なとこに逃げてくれ!」
 その鉄鍋を盾として民を守った者、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が、緊張で息を乱れさせる民を勇気づけるように笑めば。
「あっちだよ!」
 構えた銃より幾つもの熱線を解き放ちながら牽制を続け、乱れ撃つ光線が導きの道を作り出す者、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が指し示す。
 そうして無事に逃げ出すことに成功した民を見送りながらも、完全に憎悪を向けてきている狼を見、ウィーリィは呟く。
「敵は狼、圧倒的な数に加えてパワーアップもしている。厄介だな」
「でもボク達はそういう相手だって、何回も潜り抜けて来た。そうでしょ?」
 竜の呪い渦巻く荒野然り、時に強力な邪神が群れを成してきた謎の空間然り――常に協力し潜り抜けて来た実績は強固、故に負ける気配は全くないとシャーリーが笑えば。
「応! 連携ならこっちも負けちゃいないぜ!」
「行くよ、ウィーリィくん!!」
 彼等の気合もそこそこに、再び狼達が地を蹴り向かう。
 よくも邪魔をしてくれたな、と言わんばかりに。そして贄はお前達だと言わんばかりに爪牙を獰猛に向けるも――
「邪魔だ! これ以上来るんじゃねぇっ!」
 文字通りに出鼻をくじくが如く、鉄鍋を思い切り打ち付けては狼の機先を制し、その勢いで腹部を蹴り付けて距離を取らせると、ウィーリィはすかさず大包丁を掲げる。
 すれば彼の周囲に、紅蓮の炎が盛り渦を巻いていき――
「さあ喰らい尽せ、炎の顎! 狼の牙に負けてくれるなよ!!」
 一気に炎が、花を開かせるように駆け巡っていく。
 紅蓮の鮮やかなる炎は、宛ら古の大怪物、九つ頭の龍が如き姿を象り、灼熱の牙を雪色の狼達に突き立て、溶かすを通り越して蒸気に変えていく。
 正しく龍の咆哮が如きそれが荒れ狂うも、狂える獣の加護の強さ推して知るべしか、寸での所で這い出た狼もいるものの。
「こういう精密射撃ピンポイントショットは――お手のものっ!」
 されどサイバーアイの研ぎ澄まされた狙いの元、シャーリーの放つ熱線が的確に狼の脳天を次々と貫きトドメを刺し。
 その勢いで増援としてやってきた狼の頬を、また熱線で掠めると唇の端を釣り上げ。
「狼の牙と鮫の牙、どっちが鋭いか試してみる?」
「龍の牙もあるぜ?」
 分かりやすい挑発。
 されど狂暴な狼達にとっては何よりも効くもので、背を向け駆け出す彼等二人を狼達は追う――二人の駆ける速さも相当なものであるが、それでも尚、狼達は速く、彼等に追い縋る。
 しかも狼達にとって僥倖なのは駆け出した先は雪――尤もそれを利用する程の知恵も失われているが――追い詰めていると考えるのが妥当かもしれない。
 だが追い詰めている心算でも追い詰められていることに、狼達は気付いていない。
 シャーリーの傍らで駆けていきつつ、ウィーリィはふと後ろを振り返り。
「いい感じに来たな。凄い数だ」
「でも数だけじゃ勝てないよ。連携もなってないんじゃ、ね――」
 まして単純に強化された力を駆使しての力押し――如何にあの狼の一体一体が強力な個体ボスに準ずる強さがあるとしても知恵、それも獣としての知恵すら無きモノなど木偶に等しい。
 ウィーリィとシャーリーが駆け抜けた先は雪に埋もれた場所、雪色の狼が身体を紛らわす色であれど、彼等のホームグラウンドでは無かった。
「やっぱり狩りの基本はぁーっ、これ・・でしょ!」
 今こそとシャーリーは雪の間から僅かに除く縄を引く――次の瞬間、彼等を追っていた筈の狼達は一斉に絡め取られ、縛り上げられていく。
 人間が獣を狩る為に仕掛ける罠。
 雪に紛れさせ事前に埋め込んでいたそれは、獣としての警戒心すら失った狼達の足を容易く縛り上げその場で完全に動きを封じ込めていた。
よっしゃ! このまま一気に」
「新年一発スーパーサメ大戦、炎の龍と一緒に――」
「「開戦っ!!」」
 ウィーリィの中心から渦巻く紅蓮の九頭竜が。
 シャーリーを中心とし、精緻な幾何学紋様を描き飛翔する、鮫を象った光の刃が。
 縛り上げられた狼を切り裂き、拾い集められない程の細切れと化しては、紅蓮の炎が過ぎ去り塵の一つも残さず灰と化していく。
 やがて辺りの雪すらも吹き飛んだ後には、雪色の狼も全て龍と鮫に喰らい尽されていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

やれやれ、年明け早々に騒がしい事だ
正月くらいはゆっくり休めばいいものを

シルコン・シジョンを装備
大口径の弾丸を敵の集団に撃ち込む
敵が此方に気付こうがお構いなしに鉛玉を叩き込んでやろう
単純な相手なら、攻撃を受けた時点で頭に血が上り此方に殺到するだろう
直線で向かってくるのは良い的だな

フン、所詮は獣か
そうら、追ってくるがいい

商店街の人々から注意を逸らし、引き離すように攻撃
一気に倒すのではなく、散発的な攻撃で挑発して敵の意識を常に此方に向けさせる
飛翔する冷気の爪はカウンターで撃ち落とすように銃撃して対処
時間を稼げば稼ぐほど、商店街の人々が避難しやすくなるだろう

頃合いだな…
さぁ、狩りの時間だ

UCを発動
130機以上のドローンを呼び出し、10機ごとに合体
機関砲やミニ・ミサイルを武装した強化ドローンに変形させる
ダッシュやジャンプを駆使して戦場をドローンと共に翔け、マッキナ・シトロンで指示を行う
避難が遅れた一般人を守りながら敵を倒していこう

獣と猟犬
狩られるのはどちらか、言うまでもないだろう?



●(命を)落とし(てやる銃の)玉
 新年早々に騒がしい光景はそこらかしこに見られるものであり、時には顔を顰められることも多々あるものだ。
 されど此処に挙がるは、己や大切な者の命の危機に嘆き無力を叫ぶ、無辜なる民の絶叫だった。
 それに混じって耳の鼓膜を打つ、その絶叫を作り出す元凶の唸り声に不機嫌の色を隠さずに颯爽と女は拳銃を片手に現れた。
「やれやれ、年明け早々に騒がしい事だ。正月くらいはゆっくり休めばいいものを……」
 休まないからそれを狩る者が仕事に駆り出されるのだ。
 女――キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が拳銃、それもただの拳銃ではなく、竜の鱗すらも貫く弾丸を放つそれを躊躇いなく発砲する。
 全自動フルオートの機構仕掛けが弾丸を送り出し、けたたましく響く銃撃音が悲鳴と唸り声に混じり、着弾を貫く音が狼達の苦痛の叫びを引き出す。
 幾許か倒された者もいるものの、強化されたが幸か不幸か、未だ致命傷に到らぬモノもいるが、苦痛はそのままにキリカへの憎しみを煽る。
「フン、所詮は獣か。そうら、追ってくるがいい」
 故にターゲットをキリカに変え、彼女を追うことにシフトするも概ね予想道理であり、軽快に後方へ駆けていくキリカを狼達が追う。
 適切にキリカ自身を追える距離感を保ちつつ、狼達のヘイトを己に向けさせて。
 道中に冷たい爪が繰り出されようと、それに合わせて撃ち込まれる銃弾が呆気なくそれを叩き落せば、ヘイトは更に煽られキリカへと爪牙を向ける。
 だがそうすればする程に、無辜の民が逃げる時間は稼がれ、むざむざと獲物を逃がす羽目となる――全く賢くない獣達だ。
 そろそろ頃合かと、概ね目に付く限りの民がいなくなったことを確認すれば、キリカは指を弾き。
「さぁ、狩りの時間だ」
 ――そう、これは戦闘ではない。一方的な虐殺狩りなのだ。
「『猟兵』より『猟犬』に告ぐ、速やかに眼前の獲物を狩れ」
 一斉に現れたるは、130を超える小型飛行機械ドローン――それを十体ずつで束ね、最終的に十三程のドローンを作り出す。
 その悉くが、軽機関銃と小型のミサイルで武装した、最早殺戮兵器と言って過言ではないそれが、軽快に空を翔けながら取り囲み。
 軽機関銃のけたたましき銃撃音が数多の弾丸を、狼に死を与える雨としてばら撒き、容赦なくそこへ小型ミサイルが死体を焼き飛ばす爆撃の絨毯として覆う。
 無論のことキリカ自身もまた、華麗に身を翻しては編隊飛行を続けるドローンの間を駆け抜け、拳銃による牽制を行いつつ腕輪から指示を与え。
「大丈夫か? 心配はいらない。焦らず、落ち着いて避難してくれ」
 時に逃げ遅れた民やあらば、それを守るようにドローンを向かわせ、十体合体にあぶれたドローンを護衛につけつつ避難させ。
 襲い来る爪を銃で撃ち落とし、ドローンによる集中砲火で肉片と変えながらキリカはふと呟く。
「所詮狼でも獣。いや、獣でも多少の怯えぐらいは見せるものだ。野生では長生きできんな。対する猟犬では……言うまでも無いだろう?」
 最低限の警戒も連携も忘れ、恵まれた力のみに任せて突っ込んでくるモノなど、狼であってもタダの獣にも劣るもの。
 ましてや比喩とはいえ、獲物を追い詰める為に精緻な積み重ねの為された猟犬・・が最初からそれに勝てる道理もなく。
 犬としての存在の違いを思い知らされることすら恵まれず、狼達は悉く冥府に叩き返されていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月04日


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#シルバーレイン
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#第二次聖杯戦争


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト