リア充爆破返し!
●リア充
その言葉は誰が最初に発した言葉であっただろうか。
『リア充』――現実が充実している者。
それは持たざる者の僻みであったのかもしれない。
自虐であったとしても、それは決してやっかみの言葉ではなかったのかも知れない。
何故なら、最初は友達が一人でもいれば、熱中することのできる趣味を持っていれば、家族が、恋人がいれば、それだけで『リア充』と言われていたのである。
言葉が時にそうであるように、多くの者たちの間で弄されるようになるにつれて、言葉の意味は変容していくものである。
仕方のないことであったのかもしれない。
我々は今一度、この言葉の意味について考えなければならないのかもしれない――。
●それはそうとし爆破である
「何がクリスマスだ! なめとんのか! イチャイチャ! イチャイチャ!! イチャイチャ!!! 何処かしこでも公然といちゃつきおって! 公然イチャつき罪として我が裁いて……否、爆破したるわ!!!」
ものすごい咆哮が轟く。
それは魂からの咆哮であったし、またオブリビオン『リア充どもは爆発しろ怪人』の主張であった。
彼がいるのはキマイラフューチャーで今、もっとも熱いデートスポットと言われている『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』、通称……は諸々ギリギリであるので、省かせていただくが、その『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』と呼ばれる巨大遊園地である。
何処を見てもクリスマスの彩り。
何処を見てもカップルだらけ。
そうでなくても幸せそうなキマイラの家族連れが皆ニコニコして遊園地のアトラクションを楽しんでいるのである。
それが『リア充どもは爆発しろ怪人』は許せなかった。
「我が一人なのに、どうしてお前たちには隣人がいるのだ! それも愛し合ったり、恋しあったり! 仲睦まじかったり! 家族愛に溢れていたり!」
その爆弾の形をした頭が赤熱するように火花を散らす。
どうしようもなく嫉妬してしまうのだ。
どうして自分はああじゃないのか。どうして自分は恵まれていないのか。どうして自分だけ一人なのか。
悲しくて、悲しくて、悲しくて……とうとう彼は涙が枯れ果ててしまった。
涙の後に来るのは怒りだ。
もう怒りしかないのである。
「この思い! この狂おしいほどの怒り! これをぶつけずには、いられないっ!」
彼の眼下にあるのは様々なアトラクション。
ないものはない。
『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』になければ、アトラクションとして存在していないとまで言われるほどに多種多様なアトラクションが揃っている。
それを楽しむキマイラたちをねめつける。
「お前たちの幸せを! リア充を! ぶっ壊してやるあぁぁぁッ!!」
オブリビオン『リア充どもは爆発しろ怪人』は、その背に翻るマントに刻まれた『リア充爆破』の文字を踊らせ、キマイラフューチャーの巨大レジャー施設『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』に襲いかからんとするのだった――。
●『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。今回はキマイラフューチャーにおける事件です」
ナイアルテとしては珍しいキマイラフューチャーの事件。
だが、オブリビオンが現れるということは世界の危機でもあるのだ。珍しいからと言って手は抜けない。
一体どんな事件が起ころうというのだろうか。
「『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』に行きましょう!」
ナイアルテの瞳は爛々としていた。
煌めいていた。
ワクワクしていた。
そう、キマイラフューチャーという世界は世界中が巨大なリゾートである。
その中でも世のアトラクションの全てを置いてきたとも言われる巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は、今や世界有数のデートスポットとして有名なのである。
当然、デートスポットということはカップルが沢山いる。
当たり前のことである。
ネズミーランドにネズミーマウスが居るのと同じくらい当然のことである。
だが、話が見えない。
事件だと言ったのに、事件の匂いがしないのだ。
「いえ、たしかにオブリビオンの脅威は存在しております。ただ、このオブリビオン……『リア充爆発しろ怪人』は『リアルが充実している人間』しか襲わないのです」
なんで?
尤もな疑問である。ナイアルテだってそう思う。
だが、事実なのである。
「このオブリビオン『リア充爆発しろ怪人』は、リアル充実している人に非常に嫉妬するのです。この習性を利用して、巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』のアトラクションをも活用してぶっ飛ばしていただきたいのです」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは要領を得ない。
わかる。
「簡単です。遊園地でリアルが充実しているように満喫してしまえばおびき寄せられます。そこを……」
ボンッ、です。とナイアルテは微笑む。
「リアルが充実していること……確かにそれは羨望の対象でありましょう。ですが、だからと言って他者の幸せを踏みにじって良い理由などあろうはずもありません」
ナイアルテの拳が宙を切る。
パァンッ! と空気の壁をぶち抜く音がした。
「特に! カップルのイチャイチャから発せられるマイナスイオンは健康に良いとされているのです! それを壊そうなど!」
あってはならないことであると、ナイアルテの瞳が煌めく。
完全に私情なのでは? と猟兵は訝しんだ。
だが、まあ、他人の幸せを願う心に偽りなどあろうはずもない。
彼女の言葉も頷けないこともないのである。
「さあ、征きましょう!『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』に! 略して……『U・S……』」
言わせないとばかりに猟兵たちはナイアルテの言葉を遮るようにキマイラフューチャーの巨大遊園地へと転移していくのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
クリスマス後のカップルのしっとりしたイチャつきオーラを摂取するのが趣味です、と公言してもいいのではないかと思うグリモア猟兵の気迫満ちる前振りとなりましたが、基本的に巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』にて多くのアトラクションを、めいいっぱい楽しむシナリオになっております。
後ついでにオブリビオン『リア充爆発しろ怪人』をぶっ飛ばします。
●第一章
日常です。
巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』でアトラクションを楽しんだり、売店を見て回ったり、飲食したり、まあ、普通のレジャー施設で遊ぶことになります。
この『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』にないアトラクションはありません。
ジェットコースターからメリーゴーランド、お化け屋敷にとまあ、遊園地にありそうなものはだいたい揃っているのです。
皆さんは、まずこの『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』にあるアトラクションを楽しんで、オブリビオンである『リア充爆発しろ怪人』の嫉妬を惹きつけましょう。
●第二章
ボス戦です。
『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』を奪い……もとい、リア充たる皆さんを爆破しようとやってきたオブリビオン『リア充爆発しろ怪人』との戦いになります。
前章で遊んだアトラクションを利用して戦っても構いませんし、そうでなくても、普通に問答無用でぶっ飛ばしても構いません。
最後にはちゃんと爆発してやられます。
それでは、キマイラフューチャーの巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』で皆さんのリアル充実っぷりを見せつけ、オブリビオンをぶっ飛ばす物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『巨大遊園地でエンジョイしよう!』
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POW : 絶叫マシンやお化け屋敷などスリルいっぱいにエンジョイ
SPD : 観覧車やショーなどのんびりエンジョイ
WIZ : ショップやレストランなどアトラクション以外でもエンジョイ
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誰が呼んだか『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』。
それは巨大遊園地であった。
アトラクションというアトラクションを集め、煮詰め、敷き詰めたかのような敷地は、一日ではきっと端から端までまわり切る事ができないほどの種類を誇っていた。
だが、そのアトラクションの多さゆえにキマイラフューチャーのカップルたちは、多くがこの遊園地を訪れる。
多種多様なアトラクションは新しいもの好きなキマイラたちの心を鷲掴みにするし、広大な敷地に隠れたスポットを見つけてバズろうとしたりと、まあ、それはそれはみんな楽しそうなのである。
そして、時はクリスマスの後。
あちこちでクリスマスを境にカップルに成ってホヤホヤの二人組が仲睦まじく、あれに乗りたい、あっちも楽しそうと、キャッキャウフフしているのである。
それをギリギリと歯ぎしりしながら見ている者がいる。
そう、オブリビオンである。
「なぁにが、ドキドキ密着アトラクションだ! ちゃんと保守点検はしているんだろうな! 安全性は! 公然と密着してなど、モラルはどうなってるんじゃ!!」
『リア充爆発しろ怪人』は、赤熱する爆弾頭を振り乱し、もう溢れ出るリア充オーラの雰囲気に当てられ狂うようであった。
「くそう! どのリア充から爆破してくれようか!!」
彼は獲物を見定める。
この遊園地で最もリア充している者をまず血祭りにあげなければならない。
完全に私怨である。
しかし、だから何だというのだろうか!
むしろ、これは当たり前のことである。
いちゃついて足元が疎かになっているキマイラたちに警告するのだ。
前見て歩け! よそ見するな! 人とぶつかるな! と!
そう、これは正義の鉄槌なのだ!
いや、そうかな――?
フィア・シュヴァルツ
「ここがユニバーサル・スンゴイ・ジャーン、略して――」
『フィア様、その先は言ってはダメでございます!』
周囲にはアトラクションを楽しむカップルたち。
そのほのぼのとした温かい光景を見ていると、我の心に一つの決意が生まれてくる。
「うむ、リア充は爆破しよう」
『ダメでございますよ!? いくらカレシいない歴=年齢のフィア様だからといっても――あっ』
そう、恋愛になど目もくれず不老不死の研究に没頭していた若き日の我。
研究が完成して不老不死になってからは、周囲から向けられるは恐怖と畏怖の目。
そんな我が恋愛などできるわけがなかったのだ。
数千年の孤独、誰が理解できようか。
『不老不死よりも性格の問題では……?』
「ここがユニバーサル・スンゴイ・ジャーン、略して――」
やめろ、フィア・シュヴァルツ(宿無しの漆黒の魔女・f31665)、それは禁止されたワードである!
略してはならぬ言葉というものは往々にして存在する。
その一つが『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』である。
何がとは言わないが、略してしまってはそれはそれは恐ろしいことが起こってしまうのである。多分!
そんなフィアの言葉の続きを阻止してくれたのは、使い魔である『フギン』であった。
パタパタと彼女の方の上で羽撃く姿はちょっとかわいいなと思わないでもなかった。
『フィア様、その先は言ってはダメでございます!』
「む、何がいかんというのだ『フギン』。我は我の思う時に我の思うままに口にする。それが自由というものではないか?」
ごもっともである。
なのだが、今回は自重していただきたい。
『フギン』の説得によってなんとかフィアの『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』を略して呼ぶことを阻止できたのだが、しかし危機は去っていない。
そう、この巨大遊園地を奪おうとしているオブリビオン、すなわち怪人がいるのだ。
やつはリア充を嫉妬の眼差しでにらみつける。
そうして標的を見定め、最もリア充している者たちを吊し上げて爆破することによって、世のリア充共をすくみ上がらせてやろうという魂胆なのだ。
そんなことさせてはならない! とフィアはやってきたのだが。
「はい、あ~ん。うふふ」
「あ~ん。おいちい!」
そんなやり取りをしているカップルがフィアの目に止まる。
ほのぼのとした光景。
アトラクションを楽しむカップル。
ベンチの上で売店で購入した、なんかやけに高いなぁって思える食べ物を食べさせ合いっこしているカップル。
手をつないでルンルン気分のカップル。
ねぇ、次どれにする~? え~こわ~い! 大丈夫だって、僕がついてるからさ~とかなんとかんとか!
それはもう砂糖が吐けるのならば吐いているわ! というくらいに甘い空間であった。
そんな光景を見ていたフィアの心に一点の染み……いや、決意が生まれてくる。
「うむ、リア充は爆破しよう」
『ダメでございますよ!?』
いきなりである。
猟兵としての責務とか使命とかそういうのを何処に飛ばしたのかというほどのフィアの言葉。
あっ、瞳が死んでる!
なんかハイライトがないなぁって思っていたら、消えてる!
そう! フィアはカレシ居ない歴=年齢なのである。何がおかしい! おいそこ笑うな。カメラ止めろ。
『――あっ』
『フギン』は気がついてしまった。
そう、この『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は巨大遊園地。
カップルだらけである。
この状況はカレシいない歴=年齢のフィアにとっては在る種の拷問。
フィアはこれまで研究に没頭していたのだ。
色恋? なにそれ? 団子じゃろっていうくらいに没頭していたのだ。青春らしい青春など送れようはずなどもない。
それほどまでにフィアは勉学に励んでいたのだ。
その甲斐もあって彼女は無事不老不死になったのであるが、周囲から向けられるのは恐怖と畏怖のみ。
「どいつもこいつも我を化け物扱いしおってからに……」
ふつふつと湧き上がってくる怒り。
数千年の孤独。
一体誰が理解なんてできようものか。いや、できまい。
「みんなみんな我より幸せそうにして……! 我が幸せじゃないのではない。まわりが幸せすぎるのがいけなのだ。ならば! 我以外みんなが我と同じステージに下りてくれば良いのだ!!」
あ、言った。
『フギン』は思った。
だって、フィアだって美少女にカテゴライズされる容姿を持っている。
その容姿があれば、どうにでもなりそうなものである。
しかし、どうにもならなかった。ならなかったのである!
ならば何が問題か!
『不老不死より性格の問題では……?』
核心を突いた『フギン』の言葉が、純粋無垢なフィアの心を傷つけたのだった……!
頼む、楽しんでくれ……!
今日だけは……――!!
大成功
🔵🔵🔵
倉重・雨花
爆破、止める必要ございましょうか?
いえ、止めなければならぬのは頭では理解してございますが、心が全力で拒否をするのでございます。
私(わたくし)も叶うのならばお兄様と。
ああ、しかしお兄様は既に亡く。私はエンジョイ怨霊ライフ…年末の薄い本のイベントは参加でございますし…あら、私もそこそこリア充でございませんこと?
兎にも角にもゆにばぁさる?なんちゃらをレッツエンジョイ…私、閃きましたわ!(お化け屋敷へGO)
お砂糖テロをかますリア充どもをビビらせつつ、私も愉しめますように…お化けに混じれば良いんですわ!!悪霊の本領発揮でございますわね!!
ああ、愉しいですわ(恍惚のヤンデレポーズ)
……これでOKかしら?
リア充を爆破する怪人。
それがオブリビオンである。こう言ってはなんだが、平和なことである。いや、怪人側がちょっと抜けているような気がしないでもない。
しかし、クリスマスを経て益々もってキマイラフューチャーにはカップルが急増していた。
巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は満員御礼!
右を見ても、左を見てもカップルだらけであった。
これだけ幸せなオーラが振りまかれていたのならば、独身者はさぞや形見が狭いことであろう。
別に重・雨花(はなのいろ・f38840)がそうだと言っているわけではないのである。念の為。
「爆破、止める必要ございますでしょうか?」
彼女は至極まっとうなことを言っているつもりであったことだろう。
リア充を爆破する怪人。
気持ちがわからないわけでもないし、同時にそれを止めなければならないという猟兵としての使命を彼女は頭では理解している。
だが、心が。
心が拒否しているのだ。
リア充を爆破してやりたいというオブリビオンの、そういう気持ち!
「
私も叶うならばお兄様と」
彼女の双子の兄のことを想う。
今はなき兄。
運命というものがあるのならば、人の悪意こそが悪霊を生むのだ。
どれだけ願っても手に入れられないものあがる。
そう、すでに兄はいない。雨花はエンジョイ怨霊ライフの真っ最中である。
年末の薄い本のイベントは参加予定であるし、あれ、と想う。わりとリア充である。別に誰に恥じることなく、リアルを充実させているではないか。
しかしながら、雨花は頭では理解している猟兵としての使命を果たすために『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』のお化け屋敷に飛び込む。
そう、もう一度言うが彼女は悪霊である。
そんでもって心が拒否しているリア充たちのキャッキャウフフ。
どうにかしてやりたい。
「お砂糖テロをかますリア充共をビビらせ、竦み上がらせてやりますわ!」
彼女はお化け屋敷のスタッフ側に入り込んで、そのおどろどろしい表情を暗所で揺らめかせる。
誰も彼もが密着具合を高めるための方便として、このお化け屋敷に入ってきているだろう。
だがしかし!
そんなドキドキイベントなど起こさせてはやらんのである。
別の意味でドキドキ動悸をさせてさしあげますわ! と気合い充分な雨花は悪霊の本領を発揮する。
「……ねぇ~……やっぱりこわぁい♪」
「大丈夫だって。こんなの全部作り物だからさ。ほら、怖いなら手をつないで……」
カップルたちは当たり前のようにいちゃついている。
もうびっくりするくらいテンプレートなことをやっている。
これがキマイラフューチャーの最新定番デートだとでも言うのだろうか。
なんとも馬鹿馬鹿しい!
雨花は、ひょい、とカップルの片割れ、男性の方の手を握る。
男性はあれ? と思っただろう。
だって、すでに彼の手は女性の手を握っているからだ。だと言うのに、自分の両手が塞がっている。
「……?」
おかしい、と思った瞬間、彼の背中に寒気が走り抜ける。
右に彼女。左に雨花。
しかもなんだか恍惚のヤンデレな顔をした雨花の表情は、薄暗いお化け屋敷の中にあって、それはもう悪霊怨霊というよりも、修羅場のアレな現場そのものであった。
「――ッ
!?!?!」
混乱に満ちた男性の声。そして、そのパニクった男性の声に驚いた女性がさらにパニックを引き起こす阿鼻叫喚地獄絵図。
その様子を見て、雨花はうっとりしてしまっていた。
「ああ、愉しいですわ」
これでオーケーなのだろうかと想う。けれど、雨花が充実していればそれでいいのだ!これも一つのリアル充実の形なのである――!
大成功
🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
【SPD】
合法的ないちゃつきイベント見放題と聞いて!
という訳で
一人でショーを見(る振りをしつつ実は他のカップルを見てい)たり
一人で観覧車に乗って(景色もそうだが他のゴンドラを見てい)たり
一人で遊園地にありがちなちょっとお高そうなアイスとかを食べ(つつ他のカップルを眺めてい)たりするっすよ。ところでこのアイスおいしいっすね。
……え?挙動が不審?
いや、これはその、あれっすよ。
UDCアースの平穏と常識を守るエージェントとしてこういう穏やかな平穏を見る事で改めてそれを護る意義というものを噛みしm……今あそこのカップル自分のと相手が買ったアイスとを交換して一口食べるってやつやったっすよ!やるっすね!
「それって所謂合法的なやつじゃないっすか!」
黒沼・藍亜(人■のUDCエージェント・f26067)はキマイラフューチャーの巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の入口ゲートで思わず叫んでいた。
何処を見てもカップルだらけである。
逆にカップルじゃないキマイラの方がおかしいほどである。
それもそのはずである。
世間的にはクリスマスの後日。冬は人肌恋しいこともあって、カップルの成立率は半端ないのである。
特に楽しいことが大好きなキマイラフューチャーのキマイラたちにとって、楽しければ大抵のことはオッケーなのである。
ならばこそ、巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は格好のデートスポットなのだ。
そんな中にあって藍亜が喜んだのは、他人のいちゃつきイベント見放題というパラダイス。
そう、彼女はアニメが大好きである。
アニメではたいていデートと言えば遊園地なのである。デート回きたー! くらいのノリなのである。
そんな彼女はすっかり堪能していた。
「これはたまらない見放題っす! いいすか、こんな入場料を払うだけで、こんなに目の保養をさせてもらっても!!」
藍亜はテンションが高かった。
一人でショーを見るふりをしつつも実は他のカップルを見ていたり。
一人で観覧車に乗って景色もそうであるが他のゴンドラの中を除き満ちていたり、一人で遊園地にありがちなちょっとお高そうなアイスを食べつつ他のカップルを眺めていたりしたのだ!
全部!
万事が万事、藍亜にとってはご褒美でしかなかったのである!
たまらないほどに他人の恋愛模様というのは楽しいのだ。それは言ってしまえば、彼女にとってアニメを見ているのと同じことだったのだろう。
自分もああなりたいという願望よりも、他人の幸せを見て満足感を覚える。
それが藍亜という猟兵であったのかも知れない。
しかし、その、なんてうか。
「ああっ! あんなに片寄せ合って! いい雰囲気っす! あー! あっちは手をつなごうとして躊躇ったり、手をつないでくれないかなーって誘い受けしてるっす!」
もろに不審者であった。
ちょっとあれであった。言葉にするのもちょっと遠慮したくなるほどに不審であった。
だがしかし、弁明させてもらおう。
これはUDCアースの平穏と常識を守るエージェンとしてこういう穏やかな平穏を見ることで改めて、それを護るという意義というものを噛み締めて……って、あー! 今あのカップル自分のと相手が買ったアイスを交換して一口食べるってやつやってたですよ、藍亜さん!
「これはたまらないっすね! 青春ポイント高いっすよ、これは! やるっすよ!」
ぺろっと藍亜は自分も買ったアイスを舐める。
口の含むアイスよりも甘やかな雰囲気漂う『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の様子に彼女は大満足であった。
ちょっと傍目には不審者そのものであったけれど。
それでも彼女のリアルは充実していた。
他の誰にも否定できるものではない。
どれだけ、それを他者が見て、寂しいものだと思ったのだとしても、それは大きなお世話というものである。
こんなにも彼女は充実している。
見るが良い。
藍亜の顔を! これが去勢を張っている者の顔だろうか!
「はすはす! 他人のいちゃつきイベントは、今はまだ効かないっすけど、そのうち健康に効くようになるっす!」
何処からどう見ても最高にこの場を楽しんでいるリア充である――!
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
この遊園地のいいところって、陰海月も霹靂も楽しめる物がある、ということですよねー。
ほら、他世界だと…違和感与えないとはいえ、サイズとかねぇ。とくに霹靂。
で、まあしばらくは見守ってたんですが…。(そして財布の紐も緩い)
一つ、メリーゴーランドは一緒に、ということなのでー。一緒に楽しみましたよー。
※ハイテンション二匹※
陰海月「ぷきゅー!」
霹靂「クエー!」
ジェットコースターは二匹で乗ってた。途中にある写真とってくれるのも買った。
そして、おじーちゃんと一緒にメリーゴーランド!霹靂、何かに乗る、という体験が貴重すぎる。
キマイラフューチャーは世界そのものがアミューズメントパークであると言っても過言ではない。
人類は滅びてしまったが、残されたキマイラたちは面白おかしく毎日を過ごしている。
楽しい事ならば、どんなことでもしてしまう。
そんな彼らは娯楽に飢えているのだ。
いつだって最新のものを求めているし、いつだって過去を懐かしむこともできる。
だからこそ、巨大遊園地『スペース・スンゴイ・ジャーン』はキマイラたちの一大デートスポットであると言えるのだ。
クリスマスの後ということを考えても、そのカップル組数は尋常な数ではなかった。
何処を見てもカップルだらけ。
石をければカップルに当たると言っても過言ではない。
だが、別にリアルが充実していることカップルであることはイコールになれど、それ以外とイコールが結びつかないというわけではない。
何故なら、巨大遊園地は恋人とだけ来る場所ではない。
そう、家族とも一緒にやってくる場所でもあるのだ。
「この遊園地の良いところって、『陰海月』も『霹靂』も楽しめるものがある、というところですよねー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱である『疾き者』はうなずく。
彼が見ている先にあるのは、巨大なアトラクション……それもジェットコースターを楽しむ巨大なクラゲとヒポグリフの姿であった。
違和感を与えぬとは言え、そのサイズ故に普通の子供らと同様にアトラクションを楽しめないものであるが、そこはさすがのキマイラフューチャーである。
巨大生物でも何でも来いとばかりに多くが開放的であった。
「ぷきゅー!」
「クエー!」
二匹の声が聞こえる。
ぐるぐるぐねぐねとジェットコースターが凄まじい勢いで回転してコースの上を走り抜ける。
たまにレールから外れて絶叫が響き渡る。
キマイラフューチャーらしい奇想天外なコース。火を吹き風が吹き、水が吹き出す。
そんなジェットコースターに二匹はご満悦である。
普段からそれ以上の戦いを経験しているはずだが、それとこれとは別腹というやつであろう。
二匹が楽しむ様子を『疾き者』はアトラクションの外で見守っている。
完全におじいちゃんのポジションである。板についていると言ってもいいだろう。
財布の紐もゆるいことこの上ない。
「コースターに乗っている最中の写真も撮ってくれるのですね……」
一枚買っておこうと記念に『疾き者』は購入し、楽しんだ様子の二匹が戻ってくるとそれを手渡す。
喜んでくれたようで、二匹の鳴き声が甲高く響き渡る。
「なになに? 次はあれに、と。ええ、いいでしょう。行っておいでなさい」
『疾き者』は二匹を見送る。
だが二匹は『疾き者』の手を取り、そして背中を押してメリーゴーランドへと共に向かう。
「ぷきゅ!」
「クエ!」
共に乗ろうと言ってくれているのだろ。
二匹だけではなく、『疾き者』たちと共に。これは一緒に思い出を作る場所だ。
ならばこそ、二匹は『疾き者』たちを忘れない。見守ってくれるのも嬉しいが、共有したのだ。
それこそがリア充たる彼らの在り方。
家族愛も立派な愛であり、また同時に充実した時を過ごしたと言えるのだ。
ゆっくりと回るメリーゴーランド。
綺羅びやかな光とにぎやかな音楽の最中、もしかしたら四悪霊の涙腺はゆるくなっていたかも知れず、キラリと煌めくのは、きっと見間違いじゃなかったはずだ――。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
はーっはっはっは! リア充の具現化存在、妾、推っ参!
なに、単身で来ているじゃないか?
何を不思議なことを、眼前にはいくらでも相手がいるではないか
イチャイチャカップルの邪魔はせんが、独り身とか友人同士とかで来ている者たちに、
フツーに声を掛けて一緒に楽しめばよいだけであろう?
もちろん撮影許可は貰ってな
とゆーことで、その場で誘った者たちと次々遊ぶとしよう
一組に対して一、二か所程度になるのはスマンがな
はっはっは、ジェットコースターに観覧車、メリーゴーランド!
オープンカフェで食事するもよし、お化け屋敷にも付き合うぞ
妾としては自分が楽しむより、相方が喜ぶ方が嬉しいからのう
素敵な思い出となってくれたら幸いだ!
キマイラフューチャーに響き渡る笑い声。
それは声高く、天を貫かんばかりであったし、また広大な敷地を持つ『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の端から端に届くほどであった。
「はーっはっはっは! リア充の具現化存在、妾、推っ参!」
満を持して降り立つのは、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)であった。
そう、彼女は真の蛇神にして邪神たる存在!
キマイラフューチャーにおいては『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』という動画配信でもって勇名を馳せる猟兵の一人である。
無論!
設定とか、そんなこと言い出さない辺りがキマイラフューチャーのキマイラたちの楽しければなんでもいい精神を示していることだろう。
ともあれ、こんなアミューズメントパークが存在するのに、リア充の権化たる菘がスルーするはずなどあろうわけもないのである。
逆説的、不可逆というやつである!
「そういうわけで、妾がやってきた!『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』!! そうだな、タイトルコールは、『アトラクション全部制覇するまで帰れま千!』」
コメント欄がダラララッ! とすんごい勢いで流れていく。
彼女の動画配信の人気っぷりが伺えるというものである。
そんなコメントの一つを彼女は読み上げる。
「なに、単身で来ているじゃないか? 何を不思議なことを」
菘は胸を張る。
カメラの前では威風堂々たる彼女のである。そう、ここはクリスマス後の『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』。
デートスポットであるのならば、尚の事カップルだらけである。
しかし、菘は怪人と違って、イチャイチャカップルを邪魔したいと思っているわけではない。
そして、遊園地がカップルだけのものではないことを知らしめるのだ。
一人で遊園地に来たっていいのだ!
事実、菘の前には彼女と同じよように単身で訪れている者もいる。
「相手はいくらでもいるのでな! フツーに声をかけて楽しめばよいだけであろう?」
ちなみにちゃんと撮影許可は施設側にも出演してくれた偶然に合わせた一人できていたキマイラくんにも取ってある。
抜かりがないのが菘流であるのだ。
「といゆーことで、共に行こう! まあ、一組につき、一つずつという縛りはつけさえてもらうが! まずはジェットコースター!」
キマイラフューチャーらしいジェットコースターである。
うねる、回転する、ひねる、飛ぶ何ていうのはもはや当たり前である。コースターのレールから一瞬外れて、別のレーンに飛び込んだときには完全に事故だと思ったが、これがまた名物なのだ。
「次は観覧車! うむ! 窓に液晶パネルが埋め込まれていて、風景を自在に返ることができると!」
これはこれで面白いと菘は感心する。
何も観覧車は外の光景を見るだけではない。深海だったり、宇宙だったり、様々なシチュエーションに対応するように観覧車の外は色とりどりであった。
次々と菘はアトラクションを制覇していく。
共に楽しむ単身キマイラくんに、キマイラちゃん。
菘は彼が楽しむのを優先していく。だって、自分が楽しむよりも相手が楽しんでくれたほうが嬉しいのだ。
これがリア充と呼ばなくて何をリア充と呼ぶだろう。
充実した現実は、心の余裕があればこそである。
「楽しかったです! アトラクション、あっちのほうもまだ楽しいのがあるんですよ!」
「尺が足りなかったらいつでも言ってくださいね!」
そんなふうにキマイラくんもキマイラちゃんも言ってくれる。
それがどんなに嬉しいことかを菘は理解している。
ともにあることが素敵な思い出になってくれたこと。それを逆に菘は感謝したいとさえ想うのだ。
「うむ! 充実したリアル! 権化たる妾ならば、造作もないことよ! さあ、ゆくぞ、次なるアトラクションへ!」
菘の動画配信は終わらない。
そう、まだまだ今日という一日を充実したものにしていない者が居る限り、彼女は『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の敷地を駆け抜け、一人残らず素敵な思い出をお土産にとして持たせようとするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
夫の律(f38364)と参加
2人の子持ちの夫婦なので当然リア充
律はキマイラフューチャーって馴染みがないんだっけ?遊園地なんか初めてだろう。折角なので2人で出掛けようか。
いきなり絶叫マシンとかは刺激が強すぎるので観覧車でゆっくりしようか。空からの眺めもなかなかのものだよ。
見事なショーを眺めながら夫婦でゆっくりする。子供達も遊園地大好きでね。親として体験しとくのもいいだろ?(寄り添って仲良く過ごす夫婦)
何か視線を感じるが、気にしないでおくか。
真宮・律
妻の響(f00434)と参加
2人の子持ちで夫婦なのでリア充
まあ、一度行ったきりだなキマイラフューチャー。まだまだ馴染みが薄いのは拒めないな。遊園地か。興味がある。
観覧車か。響が言うならそれにしようか。遊園地全体が眺められるとは良くできてるな。あ、ショーも見応えがある。子供達がお気に入りだけある。
ああ、存分に楽しんでいこう。(さりげなく響の肩を抱き寄せる)
視線を感じる?俺もだ。まあ、今は気にしないでいいんじゃないか。
家族というものは良いものである。
最初は二人。
次に三人。もしかしたのならば、もっと。
そうやって幸せの環をつなげていくものである。それが現実を充実にするための一つの術であるというのならば、それはそのとおりであったことだろう。
夫婦仲円満であるということは何ものにも代えがたいものである。
真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)は、まさしく仲良し夫婦と呼んで相応しいカップルであったことだろう。
「律はキマイラフューチャーって馴染みがないんだっけ?」
「まあ、一度行ったきりだな」
響の言葉に律が記憶を辿るように考え込む。
数多の世界を知る猟兵であるからこそであったことだろう。キマイラフューチャーは世界そのものがアミューズメントパークと言っても良い。
人類は滅びているが、キマイラたちは元気いっぱいに毎日楽しいことを求めて生きている。
そんな彼らであっても『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は、広大な敷地と数え切れないほどのアトラクションが満ちる遊園地なのだ。
「まだまだ馴染みが薄い」
とは言え、遊園地は興味があるのだ。
それは律も同じであったことだろう。彼女にとっては馴染みがあるものであっても、夫である律にとってはそうではない。
そのなんでもないことが喜びに変わるのもまた家族であればこそであろう。
せっかくだからと、彼を誘ってやってきた甲斐があったというものだ。
しかし、初めての遊園地である。
「一体どれから体験したものかな。数は多いようであるし、今日中に全部回るのは不可能なんじゃないか……?」
案内板の前で律はまた難しい顔をしている。
せっかく入園したのだから、余すこと無く楽しみたいという気持ちはわからなくもない。けれど、かと言って、最初から飛ばしすぎると後から疲弊してしまう。
こういうことは最初が肝心である。
「まあ、いきなり絶叫マシンとか刺激が強すぎるのはやめといたほうが良いよ。ほら、観覧車、あれなんかどうだい?」
「観覧車か……響が言うならそれにしようか」
律は素直にうなずいて、観覧車のゴンドラに乗り込む。
「不思議な浮遊感だな。あ、なるほどな。遊園地の全体がよく見える。それにしたって広いな、此処は」
改めて上がっていく観覧車のゴンドラから見下ろす『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の敷地は広大そのものだった。
「そうだろう。空からの眺めもなかなかのものだよ」
律の瞳がきらめいているのを響は見逃さなかっただろう。
戦うばかりが猟兵の戦いではない。家族がいる以上、家庭の中でもまた戦いというものは存在するのである。
家事炊事掃除。
様々な戦いが存在している。
けれど、今はそれを一時忘れることができる。
ゆっくりと頂点に登ったゴンドラが下っていく。終点を迎えて二人はゆるやかな空の旅を楽しだ後、パレードショーが丁度始まったことを知る。
「今度はショーか。本当になんでもあるな」
「ああ、アクターが行進してショーを見せてくれるんだよ。子供たちも遊園地が大好きでね。親として体験しとくのもいいだろ?」
そう言って、響が律の隣に寄り添う。
自然と肩を抱き寄せることができたのは、連れ添った時間が示しているようでもあった。
「子供たちがお気に入りだけある」
「ふふ、楽しめているかい?」
「勿論だ。存分にな」
肩を抱くと距離が詰まる。
そこに流れる空気は、甘ったるい、と言うのには落ち着きを見せていた。
しっとりとした雰囲気。
別に若さに任せるわけじゃあない。ただ、こういうひとときも家族愛には必要なだけだ。
だが、同時にそんな彼女たちの様子は視線を惹きつけるものであったことだろう。
「……気づいているか?」
「ああ、でも気にしないでいいんじゃあないかい?」
こんな日だし、と響は笑う。
きっとオブリビオンだろう。かの怪人を惹き付けるためであったけれど、純粋に二人は遊園地を楽しんでいるのだ。
ならば、誰が邪魔などできようか。
「そうだな。もう少し楽しんでから」
な、と律が微笑むのを見て響も笑う。
家族愛を確認するのに言葉は必要ないのかも知れない。
ただ傍に居て笑い合う。
それだけで充たされるものを感じながら二人は、パレードショーのまばゆい演出に瞳を細めるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイラ・ローク
これは…!トーゴ【f14519】を誘うわね
キマフューの遊園地!むふふ、あいつ絶対キョロキョロパニックになるわ!
で、いちゃらぶ偽装もすればいいのねっ♪
ブラウンの膝丈キャミワンピに透かしドットの入ったチュールのオーバーカーデガン
どう?
トーヘンボクな返事でもめげない。というかそれで普通だもの、あいつ
ペアルックってカップルぽいわよね、というわけでキミは黒猫の耳をつけなさい
あ・と・は~
はい定番、コーヒーカップ!え…酔わないでよ?
次はジェットコースター(宙返りのやつ)…ヤダぁなんで半泣き!?
んもぅ休憩にお茶しましょ、トロピカルなジュースを注文♥
ここはカップルグラスにストローよね♪…ってストロー抜くなー!
鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と
キョロ見はしたがパニくってはない
う~わ~…(なんか絶対下心あるなケイラのやつ…
ねこ耳とねこまた尻尾に出てんだよ言わねーけど)
どーお?って
羽織ものが透けて肩紐見えてる…あ。そーゆー服?
ぺあるっく?かっぷr…なんだよこの耳ヤだよ自前の耳もあるのに耳四つになるじゃんかよ、キマイラならアリだって?嘘くさ…てかさァ恥ずかしー
こーひー…??うえ~キモチワルイ【演技】
宙返りコースターも怖えーし(めそ【演技】
(心の声:忍びが三半規管鍛えてない訳ないだろーが。へーんだ)
ジュースもヤケに色合い激しーな…
んー?何で二本もストロー刺さってんだ(素)え?なに怒って?
??ケイラが飲むんだろ?ソレ。
キマイラフューチャーは世界そのものがテーマパークだと言っても過言ではないだろう。
人類は滅びたが、残されたキマイラたちは毎日面白おかしく生きている。
楽しいこと、面白いこと。
そうした娯楽にキマイラたちは飢えている。
だからこそ、巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は一日かけても、それこそ三日三晩遊び倒したとてまだ体験したことのないアトラクションが残っているのだ。
「むふふ、あいつ絶対キョロキョロパニックになるわ!」
ケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)は、きっとキマイラフューチャーに馴染みのないであろう、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)の慌てふためく様子を想像して笑みがこぼれてしまっていた。
確かにトーゴはキョロキョロしていた。
しかし、別にパニックになっているわけではないのである。物珍しい、というだけで、そこまで驚愕して慌てふためくなんてこと、トーゴにはないのである。
「う~わ~……」
入園ゲートの前で順番待ちをしているときからケイラの猫耳と猫又尻尾がゆらゆらぴこぴこしているのだ。
これは絶対に下心があるゆだとトーゴは看破していた。
しかし、あまり言葉にするものではないのかもしれない。あえて言わなかったのかも知れない。
ケイラはそんなトーゴの心中など知ったことではないばかりにはしゃいでいた。
ブラウンの膝丈のキャミソールワンピースが風に揺れて、透かしドットの入ったチュールのオーバーカーディガンがオシャレであった。
入園待ちの手持ち無沙汰にケイラが振り返って、どう? と裾を翻してみせる。
こういうのでドキドキさせるのもイチャラブカップルらしさを演出させることができるはずだ。
今回の事件において、リア充すなわち、イチャラブというのは大変に重要な要因を閉めている。
オブリビオンはリア充を爆破したいと標的を捜している。
最もリア充な者たちを吊し上げ、クリスマス後の湯だったキマイラたちの頭に冷水をぶっかけてやろうという魂胆なのだ。
「どーお? って……羽織ものが透けて肩紐見えてる……あ。そーゆー服?」
「わかっていたけど、トーヘンボク!」
そんなトーゴのオシャレ感想にケイラはめげている暇なんて無い。むしろ、それがいつものトーゴなのだ。
ならば、ケイラは非日常を演出するために、入園してすぐトーゴの手を引っ張って売店に直行する。
「おいおい、どこいくんだよ。なんか乗り物? 乗るんじゃないのか?」
「まずはこっち! ペアルックってカップルっぽいわよね」
「ぺあるっく? かっぷる……なんだよそれ」
「キミはこれをつけなさい」
そう言ってケイラが手にしていたのは黒猫の猫耳であった。ニヤリと笑っている様子がなんとも小憎らしい。
「ヤだよ。自前の耳あるのに耳四つになるじゃんかよ」
「キマイラフューチャーならアリなんだってば! そういうものなの! こういうものなの! いいからつける!」
「えぇ……嘘くさ……てかさァ恥ずかしー」
いいから! とケイラがトーゴの頭に猫耳をずむん、とつける。問答無用である。
「あ・と・は~」
あ、そうだとケイラはまた再びトーゴの手を引っ張って売店をでていく。
終始押されっぱなしであるトーゴはもう成すままであった。
「はい定番、コーヒーカップ!」
「こーひー……?」
「酔わないでよ?」
ぐるぐる回るコーヒーカップ。これの何処に何の意味があるのだとトーゴは思ったけれど、ぐるぐる回る視界の中でケイラだけがぐるぐるしていない。
楽しそうに満面の笑みを浮かべる彼女。
酔わないでよ、と言った彼女の反対のことをしたくなる。勿論演技だけれど、トーゴは気持ち悪い~とケイラが求めているであろうリアクションを取ってしまう。
「次はジェットコースター!」
「何だよアレ……宙返りどころか、コースから脱線して別のコースに着地してんだけど」
こえーよあれ! とメソメソしたり。
「ヤダァなんで半泣き!? アレ絶対楽しいやつでしょ!?」
トーゴは忍びである。
三半規管を鍛えていないなんてことはないし、また同時にアレくらいのアクロバティック、いつものことである。
怖いなんてものはない。
けど、ケイラが慌てている様子を見ると、なんだかしてやったりという気持ちになってしまう。
ひとしきり遊んだ後、二人はベンチに腰掛ける。
トーゴはまだぐったりした様子の演技を続けている。そんなトーゴを見かねてか、ケイラはカップル限定のジュースを持ってくる。
「はい、トロピカルなジュース! カップルグラスってやつよ!」
そこにはハート型のストロー。交差してくるっと二本のストローが絡んでいる。
「んー? なんで二本もストロー刺さってんだ?」
演技ではなかった。
巣であった。ずぼっとストローを引き抜くトーゴ。
「なんでストロー抜くのよ!?」
「え? 何怒ってんだ? だってそれ、ケイラが飲むんだろ? ソレ」
「そうだけどそうじゃない!!」
もう! とむくれるケイラと慌てるトーゴ。
その様子はリア充と呼ぶに相応しい偽装であったことだろう。偽装? ああ、そういうのもありましたね、となるくらいに二人はいつのまにかいつもの自然体で遊園地を楽しむ。
戦いばかりが猟兵の本分ではない。
こんなふうに楽しむのもまた、彼らの思い出の一ページなのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
なるほど……
リア充を殺す……
いえ、メイドたるもの、主への想いは表に出さないもの
残念ながら通常では標的にもならないはず
というわけでルクス様やりますよ
いえ、
エイル様は唯一無二の存在なので
真似しなくて結構……で……(ぎりぃ!)
……なるほど
なるほどなるほど
この不埒な胸がエイル様に当たっていたのですね?(後ろから鷲掴み)
いたいですか?優しく揉んでいるつもり、な・の・で・す・が!!
大丈夫です、今の私たちはカップル
これくらいは問題ありません(笑顔)
まぁ冗談はさておき
やっぱり腕を組むとそれっぽいですか?
全部私持ちとか勇者……いえ、別に構いませんけども
え?これでも商人ですし
仕方ないのでマイハニー(偽)に奢って……ていっ(スリッパすぱーん!)
どこの世の中に遊園地の中で火を出す輩がいるというんですか
はぁ、やっと恋人らしい行動に……
あーん、ってふむ
されるのは新鮮ですね(もぐっ)
さすがルクス様、料理に関しては他の追随を許しませんね
イチャっぷる、ですか……
壁ドンくらいしましょうか?
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
え?ステラさんとカップルですか?
い、いえ、無理ですって。
わたしエイルさんにはなれませんよ!?
……わたしエイルさんに当てることしかできませんから(ぼそ
ステラさんいたいいたい!
冗談です!あれは不可抗力ですからー!
うう……カップル役にその所業はひどいですよぅ。
ま、まぁここからはイチャっぷるで行くんですよね。
ではではー……まずは腕とか組んでみます?
あ、あとあれですね。
ごはんとかアトラクションは全部ステラさん持ちでいいんですよね?
せっかくですからおいしいものがっつり……って!
なんですかこのお値段! ネズミーランドも真っ青じゃないですか!
これならわたし作りますよ!
材料なら【師匠の専属料理人】で出せますし、
これだけ広いんですからどこかで火とか起こしてもいいですよね。
痛ぁ!?
なんでスリッパなんですかー!
火はダメ?
仕方ないですね。それじゃサラダとかになりますけどいいですか?
はい、ステラさん、あーん♪
あ、これってイチャっぷるっぽいですね!
ステラさんの壁ドン!?施設破壊はダメだと思うのですが!
「なるほど……」
何がなるほどなのかさっぱりわからないところであったが、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、ふむと理解していた。
「
リア充を殺す……いえ、メイドたるもの、主への思いは表に出さないもの。残念ながら通常では標的にもならないはず」
ちょっと何言っているのか全然わからない。
ご主人様を探し求める献身的なメイド(ホンニンハソウオモッテイル)であること全開の彼女の言動がさっぱりわからないです。
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)も多分同じ気持ちであったことだろう。
全然隠せてないじゃないですかと思った。
全世界の人々が同意することだろう。誰だってそうする。みんなだってそうする。
「というわけでルクス様やりますよ」
そんな全世界の人間を置いてけぼりにしたステラの言葉にルクスはなんです? と首をかしげる。むしろ、巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の凄まじいまでのアトラクションの数に圧倒されていた。
アレに乗りたいコレに乗りたいと思ってしまう。
それほどまでに『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』はすんごいのである。夢いっぱい、ときめきいっぱいなのである。
「え、カップルですか? い、いえ、無理ですって。わたし『エイル』さんにはなれませんよ!?」
「いえ、
『エイル』様は唯一無二の存在なので」
「真似しなくて結構……」
「……わたし『エイル』さんに当てることしかできませんから」
ぼそっと何気なく呟いた言葉がステラの胸にダイレクトアタック。
ぶっすりと思いの外刺さったのだろう。
ステラが歯ぎしりしている。どうして煽るのだろうか。もしかして、これはルクス的に、今一緒にいるのはわたしなんですから、他の人の話したらいやっていうそういうアッピールだったりするのだろうか。そうであったのならば、これは話が違ってくるやつであるがどうですか有識者。
「……なるほど」
「え?」
「なるほどなるほど」
しゅばっとステラが漫画的表現でルクスの背後に回る。
ぐわし、とルクスの柔らかいおやまを鷲掴みにしている。
「って、ステラさんいたいいたい!」
「この不埒な胸が『エイル』様にあたっていたのですね? いたいですか? 優しくしているつもり、な・の・で・す・が!!」
こういうとき、天の声は無力である。
間に挟まりに行くこともできない。すまない。
「冗談です! あれは不可抗力ですからー!」
「大丈夫です、今の私達はカップル。これくらい問題はありません」
笑顔である。びっくりするくらいの笑顔である。とても良い笑顔である。到底偽装カップルとは思えないほどの笑顔であった。
まじで顔が怖い。
「まあ冗談はさておき」
ぽい、とルクスを開放してステラは首を鳴らす。此処からはオブリビオン退治のために必要なことである。
「やっぱり腕を組むとそれっぽいですか?」
「うう……ひどいです……そうですね。ここからは腕とか組んでいきましょう。あ、あとあれですね。ごはんとかアトラクションは全部ステラさん持ちでいいんですよね?」
ね! とルクスが笑う。
その笑顔百点満点。
「全部私持ちとか勇者……いえ、別に構いませんけども」
これでも商人ですし、とステラは構わないとうなずく。
手持ちが心もとないとかそんなことは全然ないので平気なのである。しかし、『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の売店の値段を見てびっくりである。
いや、びっくりしているのはルクスである。
「せっかくだからおいしいものをがっつり……って! なんですかこのお値段! ネズミーランドも真っ青じゃないですか!」
ルクスは驚愕しきりである。
どう見たって値段の桁が一つ違う気がする。
ネズミノランドでも、もうちょっと良心的であるはずだ。だが、しかし、ここはキマイラフューチャーである。
人間が滅びた後、食に関しては何一つ不自由することのない世界なのだ。
ならば、どこでお金を稼ぐかと言われれば娯楽なのである。
こういうところでガッツリ取らなければ意味ないのである。お金を稼ぐって、たーのしー! って想うのならばこうなるのである。
「これならわたしつくりますよ! 師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)たるわたしならもっとコスト抑えて……これだけ広いんですから何処かで火を起こしてもいいですよね、かまいませんか!」
「ていっ!」
言い訳がないのである。
ダーリンがハニーをスリッパではたく。
「痛ぁ!? なんでスリッパなんですかー!」
「何処の世の中に遊園地の中で火を出す輩がいるというんですか」
「火はダメ? 仕方ないですね。それじゃサラダとかになりますけどいいですか?」
いや、そういう問題ではないのである。
こういうパークではたいてい持ち込み禁止である。何故なら、この園内で全てを賄ったお金を落としてほしいからである。
しかし、其処らへんをコンコンすれば食料がどざっとでてくるのがキマイラフューチャー。
ルクスを止められるものなどいないのである。
あ、それ。こっちをコンコン。あっちをコンコンで当たり前のようにサラダをルクスは作ってしまう。
こういうところの手際の良さだけは、とステラは感心する。
「はい、ステラさん、あーん♪」
はいあーんいただきましたぁ!!!
「はぁ、やっと恋人らしい坑道に……あーん、てふむ……」
ぱくっと食べるステラ。
その様子をニコニコ見ているルクス。
一見すると普通のカップルである。いや、普通のカップルでいいんですけど、勇者とメイドの組み合わせってある意味鉄板なのではないかと想うのですが。
「されるのは新鮮ですね」
いつもはする側である。いや、したい側である。がっつり!
「さすがルクス様、料理に関しては他の追随を許しませんね」
「えへへー♪ あ、これってイチャっぷるぽいですね!」
「イチャっぷる、ですか……」
ならば、壁ドン位はしたほうがいいのだろうかと考えるステラにルクスは悪気なく言うのだ。
「ステラさん、壁ドンという名の施設破壊はダメだと想うのですが!」
その日、巨大遊園地の何処かの壁がぶち抜く音がなんとなく響いた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
太宰・寿
【ミモザ】
アトラクション、どれから乗る?
こんなにたくさんあったら悩んじゃうね
英はやっぱりお化け屋敷がいい…?(ホラー苦手)
怖いけど、英とホラー映画結構見たからねっ
大分慣れたと思うの
…思う、多分
それにお化け屋敷、初めてじゃないしっ
イケルイケル
お化け屋敷に入ったら
ひぇっとか言いながら英の腕にしがみついて
何が出て来ても怖がるし
何も出て来なくても何かいるってビビります
ねぇ何かいる?いるでしょ?
この腕、ちゃんと英の腕だよね?
前に行ったお化け屋敷より怖い…!
だって(仕事に託けた)デートだから
英にも楽しんで欲しかったんだもん…
英はいつもそう言ってくれるけど
…じゃあコーヒーカップ乗りたい
いっぱい回していい?
花房・英
【ミモザ】
種類多いから悩むな
寿の乗りたいものでいいよ
まぁ仕掛けに興味はある(ホラーは嫌いではない)
口数が増えたのを見て
本当に大丈夫か?
カタコトになってるし…無理しなくていいのに
気配には敏感な方
仕掛けが待ち構えている所が何となく分かってしまうから
特に動揺なく進んでいく
怖がってるのが可哀想だけど、可愛いとも思えるから何処に仕掛けがあるかは教えない
ここにはいないよ
ちゃんと俺の腕だから安心して
だから無理しなくていいって言ったのに
寿とならなんでも楽しいよ
乗りたくないものなら嫌って言うし…分かってるだろ?
いいよ、コーヒーカップ
好きにしていいよ
でも回しすぎて酔わないでよ
どうせ乗りたいものいっぱいあるんだろ?
巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』のアトラクションの数は膨大である。
三日三晩不眠不休で遊んだとしても、ちょっと足りないくらいのアトラクションの豊富さを誇っている。
それ故に、一日では到底まわりきれない。
だから、また今度一緒に来ようねって次のデートの約束ができるがゆえにキマイラフューチャーにおいては、一大デートスポットになっているのだ。
そして、此処にも一組の男女がいた。
「アトラクション、どれから乗る?」
「種類多いから悩むな」
太宰・寿(パステルペインター・f18704)と花房・英(サイボーグのグールドライバー・f18794)の二人である。
二人は『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の園内地図の掲示板を前に少し途方にくれていた。
英の言葉通り、アトラクションの種類が尋常ではないのである。
ジェットコースターだけでも数十種類あるのだ。他のアトラクションも似たようなのを数えれば正直キリがない。
「こんなにたくさんあったら悩んじゃうね」
寿は困ったように笑う。
けれど、そんな言葉に英は普段の無口で無愛想な表情筋を少しうだけ動かして首をかしげる。
「寿の乗りたいものでいいよ」
「そっか……英はやっぱりお化け屋敷がいい……?」
寿はそうは言ってもせっかく一緒にやってきたのだ、彼の好きなものを体験したいと思う。だから、ホラーが苦手であっても、彼の興味があるものを回ろうと提案するのだ。
「まぁ仕掛けに興味はある」
うなずく英に寿は決心する。苦手と言っても? 多少であるし? それに? 一人じゃないし? と少しの強がりでもって一歩を踏み出す。
「じゃあ、決まり。怖いけど、英とホラー映画結構見たからねっ」
そう言って彼女の口数が増えたことに英は気がつく。本当に大丈夫だろうかと首を傾げて彼女の顔を覗き込む。
「だいぶ慣れたと思うの……思う、多分。それにお化け屋敷初めてじゃないしっ。イケルイケル」
「カタコトになってるし……」
無理しなくていいのに、と英が言い終わる雨に寿は決心に後押しされるように彼の手をとってずんずんお化け屋敷のエリアへと進んでいってしまう。
そういう向こう見ずなところは心配であるけれど、キマイラフューチャーのアトラクションだ。多少刺激的でも身に危険はないだろうと英は思い直す。
仮に危ないものであったとしても、自分がなんとかすればいいのだ。
「ダイジョウダイジョウブ」
寿は自分に言い聞かせるようにお化け屋敷の中に入っていく。
暗い。
いや、正確には薄暗い。見えるような、見えないような。
この微妙な薄暗さが、暗闇であるというのに視覚情報を埋め尽くしていく。
「ひえっ」
思わず寿は英の腕にしがみついてしまう。大丈夫って言ってたはずなんだけどな、と英は表情をあまり変えずにお化け屋敷の暗闇の中を進む。
いや、あんまり進んでいない。
寿がしがみついているせいだ。
いやではない。というか、あまり怖いとは思っていない。何故なら、仕掛けが待ち構えているところがなんとなくわかってしまう。
ホラー映画と一緒だ。
緊張と弛緩。
その揺らぎの中にホラーは飛び込んでくる。それを知っていれば、お化け屋敷の仕掛けもまた同様のロジックで作られている。
動揺はない。
けれど、腕にしがみつく寿の鼓動の速さが英に感情の揺らぎを生み出す。ネガティブではなく、ポジティブな意味で。
「ねぇなにかいる? いるでしょ? ねえ、これほんとうにだいじょうぶなやつ? あっ、今なにかよぎったぁ!
「ここにはいないよ」
「この腕、ちゃんと英の腕だよね?」
そうだよね? そうだと言ってと寿の英の腕にしがみつく力が強くなっていく。
怖がっているのが可哀想だと思うほどの怯えっぷり。けれど、英はそれ以上にかわいいと思えるから不思議だと少しだけ表情を動かす。
でも、可愛いから仕掛けが何処に在るかなんて教えない。
こんな寿の姿を見ることができるのは自分だけでいいのだと、少しだけ意地悪になってしまう。
「ちゃんと俺の腕だから安心して」
「前に言ったおばけやしきよりこわい……!」
あまりのことに寿の声が震えている。腕にしがみつくだけで足りないのかもしれない。結局、最初から最後まで寿は英の腕にしがみつきっぱなしであった。コアラと言われたら、申し開きが出来ないほどに寿はしがみつきっぱなしであったし、最後は英の腕に顔を埋めてなんとかやり過ごした始末だった。
「だから無理しなくていいって言ったのに」
「だって……デートだから」
お化け屋敷の外のベンチで一休みしている二人。寿はしょんぼりしている。
「英にも楽しんでほしかったんだもん……」
「寿とならなんでも楽しいよ」
いつもそう言ってくれる。
揺れる心はいつだって自分で揺らすものではないのだ。そして、止め方も自分ではわからない。
確かに仕事に託けたデートなのかもしれない。
けれど、それでも。寿は英に楽しんでほしかったのだ。得られるものばかりではなくて、与えたいと思うのならば、それは二人の間で取り交わされる優しいなにか出会ったことだろう。
だから、と顔を上げる寿の頬を英は撫でて少しだけ首をかしげる。
「……わかってるだろ?」
言葉ならずとも伝わるものがある。
寿が乗りたいと思っているものも。遠慮がちな所も。だから、それを引き出すのが英の仕事だ。触れた頬の暖かさが、それを伝えているようであった。
「……じゃあコーヒーカップ乗りたい」
「いいよ、コーヒーカップ」
二人で、と。
「いっぱい回していい?」
「好きにしていいよ」
でも、酔わないでよ、と英は釘を刺す。
だって、他にも寿は乗りたいって思うものがたくさんあるはずだから。
楽しい時間はこれからなのだと言うように二人は手をつないで歩むのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『リア充どもは爆発しろ怪人』
|
POW : リア充は爆破する!
予め【リア充への爆破予告を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : リア充は爆破する!!
【リア充爆破大作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : リア充は爆破する!!!
単純で重い【嫉妬の感情を込めて】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
「ぬ、ぬうううううう~~~~!!!」
それは憤怒の叫びであった。
オブリビオン『リア充どもは爆発しろ怪人』の切なる唸り声そのものであった。
もはや我慢はならない。
彼の目に広がる……目? となるほどの爆弾頭が赤熱していく。
「どいつもこいつもイチャイチャイチャしているばかりか、エンジョイしおって! 許せぬ! クリスマスの後の甘ったるい空気に! 年末年始の緩んだ空気に! 全員が全員浸れると思うなよ!!!」
怒髪天を衝く。
そんな言葉がピッタリくるほどに爆弾頭の導火線が火花をちらして、立ち上る。
限界であった。
もう限界であった。
どうしようもないほどの怒りがこみ上げ、『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』のアトラクションの中で最も高い場所にあるジェットコースターのレールの上から『リア充どもは爆発しろ怪人』は飛び降り、地面を叩き割るほどの衝撃を撒き散らして宣言する。
「貴様らぁ! 自分たちばかり楽しければそれで良いのか! 自分たちのイチャコラが繊細な我の心を傷つけるとは思わんのかぁ!!」
それはあまりにも身勝手な言葉であった。
正直、それに共感できる者はいないんじゃないかなって思うほどの叫びであった。雄叫びであった。
目があったのならば、悔し涙を流しているほどに『リア充どもは爆発しろ怪人』は拳をワナワナと震わせながら叫ぶ。
「貴様ら全員爆発しろ――!!!」
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
まあたしかに、年の瀬で忙しい方々もいるでしょうが。だからって、爆発を許すわけはないでしょうに。
陰海月と霹靂も楽しんで…ええ、『私たち』もですけど。
(見かけたクラゲグッズ購入済み)
ですからー、阻止するために。早業でUCを使用。風+雷属性の矢よ、いきなさいなー。
破壊も許しませんから、とても頑丈な結界を張っておきましょう…頑丈すぎて、拳とか痛めてもしりませんよー?
※ジュース飲んでる二匹※
おじーちゃん頑張れー!とポンポンもって応援。
机には、家で食べる用のお菓子の箱が入った袋が一つ。
妬ましいという感情。
それは人間であれば誰しもが持つ感情である。大なり小なり皆、持っているからこそ、その感情は時に爆発すら引き起こす。
オブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』もまた、その嫉妬の心が膨れ上がった存在である。
「妬ましいぞー!! 貴様らぁー!!」
雄叫びはもう意味を成しているのか成していないのか。
ただただ己の感情に振り回されているだけのようにも思えるだろう。赤熱した爆弾の頭部が、湯気立つように火花をちらしていく。
「というわけで、貴様らを爆散させてくれようぞ!」
飛び上がる筋骨隆々たる体躯。
しかし、飛び上がった瞬間、それを撃ち落とすのは雷の矢であった。
「まあ確かに、年の瀬で忙しい方々もいるでしょうが。だからって爆発を許すわけはないでしょうに」
冷静な言葉が響き渡る。
「何奴よ!」
「言うまでもないことでしょう。怪人であるあなたには」
その言葉はメリーゴーランドの屋根の上から響き渡る。
其処に矢をつがえ、弓を構えていたのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』であった。
彼のは成った雷の矢が風を纏って疾風迅雷の勢いで持って『リア充ども爆発しろ怪人』へと射掛けられるのだ。
「せっかく『陰海月』と『霹靂』も楽しんで……ええ、『私たち』もですけど。そんな思い出のスポットをあなたに奪わせてなるものですか」
引き絞った雷の矢が次々と『リア充ども爆発しろ怪人』の足元に突き刺さる。
跳ねるようにして躱す『リア充ども爆発しろ怪人』をさらに追い込む矢。
どこまでも追尾し、その身を穿たんとする矢を躱すのは至難の業である。
「ならば、直接我の拳をぶっこむまでよ! そるぁ!!」
気合一閃。
迫る雷の矢を嫉妬の感情込められし拳で持って叩き落としながら、『リア充ども爆発しろ怪人』は己の嫉妬の心に突き動かされままに『疾き者』に迫る。
振りかぶった拳が振り降ろされれば、彼が立つメリーゴーランドは破壊されてしまうだろう。
それはしたくないと思った。
『陰海月』と『霹靂』が楽しそうに自分たちを誘ってくれた思い出のアトラクション。
いつかは朽ちていく定めであったとしても、今壊れるのは違う。
どうあがいても免れ得ぬ未来だとしても。
それでも、今ではないと否定する心こそが、ユーベルコードの輝きと成って地面に突き刺さった矢が飛翔する。
「逃がさぬ。悪霊が逃がさぬと言ったからには…絶えよ」
四更・雷(シコウ・ライ)は狙った敵を追尾する矢。
例え、地面に突き刺さったのだとしても、己達の呪詛で持ってコントロールされ、宙を舞うように『リア充ども爆発しろ怪人』の背中を狙うのだ。
「後ろから!?」
「そのとおり。破壊も許しません。私自身に拳を振るうだけなのならば許容できましたが……彼らの思い出のアトラクションを壊させるわけにはいきませんのでね」
『疾き者』は前に結界を張り巡らし、『リア充ども爆発しろ怪人』を押し出すようにメリーゴーランドから弾き飛ばす。
「ぬぁ!? なんと硬い結界!」
「いいましたでしょう。壊させないと。逆に拳を壊してもしりませんよ」
その言葉とともに飛来する雷の矢が『リア充ども爆発しろ怪人』体を貫く。
そんな戦いをベンチで応援している二匹がいた。
言うまでもなく『陰海月』と『霹靂』の二匹である。彼らにとって怪人との戦いは、ちょっとしたアトラクションショーであったことだろう。
ポンポンを持って応援しているところが、なんとも可愛らしい。
そんな孫のような二匹の声援を受けて、『疾き者』は微笑むと、『リア充ども爆発しろ怪人』に雷の矢を射掛け、破壊などさせぬと守り通すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カイル・カルヴァート
なるほど、世界は広いな
わざわざ自分からリア充がいるところに来て嫉妬するような輩がいようとは
だが、その企みは阻止させてもらおう
ここで爆発などを起こされては悲しむレディがいるからな
右手に騎士銃槍を、左手にフォースセイバーを構える
騎士銃槍のロケットエンジンで突進し、両手の武器で攻撃しよう
さすが、このようなことを一人でやろうとするだけのことはある
見た目はふざけているが、猟兵に成りたての俺ではまだまだ力が及ばない
ならば小手先の技は捨て、俺本来の身体と力をもって挑むとしよう
UCを用いて瞬時に飛空艇の姿へ
一気に天使核エンジンを付加して突撃
質量攻撃をもって敵を突き飛ばそう
専用のジェットコースターに御招待だ
雷の矢がオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』の体を貫く。
だがしかし、未だ彼の嫉妬心は燃え盛りっぱなしであった。
「なんのこれしき! 体はしびれてビリビリしているが! しかし我が求めるはリア充どもの爆破! 幸せそうなカップルなどというものはなぁ! 独り身の心を傷つけるだけなのだよ!」
予告。
それはリア充どもを必ずや爆破してやるという意気込みであり、宣言であった。
そんな『リア充ども爆発しろ怪人』の宣言を聞き、カイル・カルヴァート(宇宙騎士・f39452)は興味深いそうに頷いた。
キマイラフューチャーの巨大遊園地『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』。
そのコースターのレールの上からメリーゴランド付近で戦っていた『リア充ども爆発しろ怪人』の姿を認める。
「なるほど、世界は広いな。わざわざ自分からリア充がいるところに来て嫉妬する輩がいようとは」
その言葉に目ざとく反応する『リア充ども爆発しろ怪人』。
「リア充が居る所、すなわち傷ついた心を持つ同志がいるのだ! 我がやらんで誰がやるというのだよ!」
「わからんな。だが、その企みは阻止させて貰おう。ここで爆発など起こされては悲しむレディがいるからな」
カイルの言葉に『リア充ども爆発しろ怪人』は、リア充の空気を感じ取った。
もしかしたら、そうではないのかもしれないけれど、カイルの言葉の端々からリア充の香りがしてるような気がしたのだ。
「気に食わぬやつ! その気取ったものいいが出来ぬように奥歯からガッタガタにしてやるわ!」
凄まじい速度で飛ぶ『リア充ども爆発しろ怪人』の踏み込みにカイルは手にした騎士銃槍を構え、左手に構えたフォースセイバーを起動する。
「さすが、このようなことを一人でやろうとするだけのことはある。見事な踏み込みであるが!」
騎士銃槍に備えられたロケットエンジンが唸りを上げて、踏み込んでくる『リア充ども爆発しろ怪人』と交錯する。
互いの拳とフォースセイバーの一撃が頬をかすめる。
「見た目はふざけているが、猟兵になりたての俺ではまだまだ力が及ばないか」
「貴様こそ、その物言い! ならば、我は勝利を確信せり! 砕けて散るがいい、色男!!」
揮われる拳。
そうれを前にカイルの瞳がユーベルコードに輝く。
「ならば小手先の技は捨て、俺自身の身体と力をもって挑むとしよう。ガレオンチェンジ!」
その瞬間、カイルの身体は飛空挺へと変身する。
一気に加速し迫る。
巨大な質量そのもの。
天使核エンジンが唸りを上げ、その船体を『リア充ども爆発しろ怪人』へと体当たりを敢行するのだ。
「うおおおおっ!?」
「お前のようなものがいるから、哀しみの涙を流さねばならぬ者がいる。レディであれば、尚の事許すことはできない」
「黙れ! 貴様たちに我の何が解る! この苦しみ、哀しみ! リア充どもがいなければ味わう必要すらなかったのだ! ならば! 爆発するしかなかろうが!」
「いいや、お前がすべきことは爆破することではなく、祝福することだったのだ。それを知らぬというのならば――」
飛空挺の巨体でもって押しのける『リア充ども爆破しろ怪人』の身体。
一気にジェットコースターのレールまで吹き飛ばし、さらにカイルの巨体がレールの上を火花散らしながら、突っ込んでいく。
「専用のジェットコースターにご招待だ」
「う、おおおおおっ!?」
そのままレールに沿って勢いに乗るカイルの体は『リア充ども爆発しろ怪人』を轢き、盛大に吹き飛ばすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「貴様らぁ! 自分たちばかり楽しければそれで良いのか! 自分たちのイチャコラが繊細な我の心を傷つけるとは思わんのかぁ!!」
『フィア様、怪人と一言一句違わない台詞でございますよ!?』
こうなったら、『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』を阿鼻叫喚の地獄にして、カップル共がいちゃつけなくしてやろう!
「いでよ、死霊船団!
カップルたちを恐怖のどん底に突き落とすのだ!」
呼び出した幽霊船から死霊の群れを解き放ってやろう!
『カップルの皆様は、お化け屋敷を楽しむかのようにイチャイチャされておりますね……
ついでに、死霊たちは怪人が仕掛けた爆弾をうっかり踏んで爆破されております』
「おのれ、リア充どもめっ!」
「貴様らぁ! 自分たちばかり楽しければそれで良いのか! 自分たちのイチャコラが繊細な我の心を傷つけるとは思わんのかぁ!!」
その言葉はなんか場面再生ボタンをもう一回押してしまったかのような既視感を持っていた。
フィア・シュヴァルツ(宿無しの漆黒の魔女・f31665)の言葉である。
彼女は本気で憂いていた。
ある意味でオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』と志を同じくしていたのだ。
いや、ある意味とかそんな言葉で濁す必要はない。
フィアもまた孤高なる存在である。
モテた試しがない。世の男性はこんな美少女を放っておくなんて正気か? と思わないでもない。
だが、使い魔である『フギン』は思っていた。
そういうところなのではないのかと。
『フィア様、怪人と一言一句違わない台詞でございますよ!?』
ちょっと心配になる。
それほどまでにフィアの叫びはオブリビオンとおんなじであったのだ。このままではどっちが敵であるかわからなくなってしまう。
『フギン』はどうにか軌道修正できないかと頑張った。
なんとかしてフィアを説得したいと思ったのだ。
いいじゃないか、独身でも。
たしかに二人で幸せを開け合えば二倍。哀しみは半分こである。
しかしである!
一人でいることもまた尊いことなのだ。そこ、生産性がないとか言わないのである。そういう正論が人の心を傷つけるのだと何度言ったらいいのだ!
「こうなったら、『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』を阿鼻叫喚の地獄にして、カップル共がいちゃつけなくしてやろう!」
『フィア様!? それはいけません。それをやってはオブリビオンの思うままでございます!』
「ええい、止めるな『フギン』!」
フィアは構わなかった。
確かにそんな事をすれば、オブリビオンの思うままである。しかし、今のフィアは傷ついているのだ。
カップルたちのイチャつきで、大変に心がオレているのである。
ならばこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「いでよ、死霊船団(アンデッド・フリート)!」
『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』に放たれる無数の幽霊船団。
そこから飛び出すのはアンデッド軍団である。弓や剣で武装した彼らが走れば、大砲が幽霊船から放たれ援護する。
そう、全てを破壊するのだ。
「カップルたちを恐怖のどん底に叩き落とすのだ!」
「なんだこれは!? 貴様、何をしている!?」
オブリビオンである『リア充ども爆発しろ怪人』は理解できなかった。猟兵ってどっちかというとリア充どもの味方であるというスタンスが正しいはずだ。
なのにフィアはどっちかというと此方側なのである。
「やまかしい! 我を差し置いて世の中を楽しもうなどと!」
そんなこと許せるわけがない。いや、まったくもって許せない。
その嫉妬心は多分『リア充ども爆発しろ怪人』よりも深く、また高いものであった。その気配に気圧される怪人を尻目にフィアはアンデッド軍団を使役し、カップルたちを恐怖にたたきおと……おとす……?
『カップルの皆様は、お化け屋敷を楽しむかのようにイチャイチャされておりますね……』
さらにもっと言えば、『リア充ども爆発しろ怪人』が仕掛けた爆弾にアンデッド軍団たちが次々と踏んでは爆発していく。
「なっ……我がせっかく仕掛けた爆弾を、まさかこんな方法で解除されるとは……!」
完全なる誤解である。
『リア充ども爆発しろ怪人』にとって、フィアの言動はブラフに映ったのだろう。
全てはこの罠を突破するためにあえて、此方がわであるというのを装ったのだ。いや、微塵もそんなつもりはない。
その証拠にフィアは、カップルたちを爆発させるための爆弾に自分のアンデッド軍団がやられていくのを目の当たりにしてプルプル震えている。
「おのれ、リア充どもめっ!」
完全にフィアは自分を見失っていたが、結果として猟兵達、カップルたちを守る形になったのは皮肉であるが、結果オーライである。
『そうでありましょうか……?』
『フギン』は小首をかしげる。
でもまあ、いいのである。終わりよければ全てよしなのである――!
大成功
🔵🔵🔵
ケイラ・ローク
トーゴ【f14519】と戦う
ほらトーゴ!キミの出番ね、羅刹は好きでしょ戦闘
やだぁ
か弱いあたしに戦えって?無理ぃ
だってあの敵お尻ぷりぷりだし全身タイツだし
でも頭はつるぴかでちょっと可愛い?
んもっ
ジョークとユーモアを解さないコねキミは~
解ったあたしも戦いますぅ
怪人さん
でもどうしてアナタ独り身の孤高を貫いてるの
ダイナマイト彼女を見つけて青春でも寸止めでも謳歌すればいいのに
さては意外に清純奥手?
思わせぶりなパフォーマンスでUC☆例のスケスケを脱ぐわ
フラワーダガー&ビーム乱れ撃ち
頭の導火線も切断よ♥
回避はダンスで(実は野生の勘&逃げ足
せめてアナタの叫び聞きましょう
この音響弾でねっ(音が敵に跳ね返るわよん
鹿村・トーゴ
ケイラ【f18523】と
え?確かに羅刹は戦闘狂らしーし否定しねーけど
何でケイラは見物決め込むわけよ?
…なにぃ
ぷりケツとかタイツとかつるぴか可愛いから、だぁ?
意味わからん…
カルチャーショックてゆーか
Σあっ
一瞬呆けたわ
てか調子狂うなァもー
(で、ケイラを見たら意味深な脱ぎ方をしていた。でも色気を感じなかった。文化の違いかな。ごめん。いや謝らんでもいいか)
怪人、次はオレが相手だ
りあじゅう違うって!
敵の一撃をクナイと羅刹の膂力で【武器受け/激痛耐性】堪え【野生の勘】でぎり軌道逸らし
敵の次行動までに【カウンター気味にスライディング】で接近→UCで動き止め手にしたクナイで【串刺し】…暗殺とか尻刺すのは止そう
ついに現れたオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』。
嫉妬を力に変えて戦う怪人の力は個として猟兵を確かに凌駕している。
だが、猟兵の戦いは紡ぐ戦い。
どれだけオブリビオンの、『リア充ども爆発しろ怪人』の力が強大なのだとしても、これを打倒することを諦めはしないのだ。
「ほらトーゴ! キミの出番ね、羅刹は好きでしょ戦闘」
「え? 確かに羅刹は戦闘狂らしーし否定はしねーけど」
ケイラ・ローク(トパーズとアメジスト・f18523)の言葉に鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は応える。
しかし、トーゴはなんでかケイラが見物を決め込んでいるように思えたのだ。
思い違いでなければ、戦うのは自分の役目だと言わんばかりである。
「やだぁ。か弱いあたしに戦えって? 無理ぃ」
そんなふうにしなを作ってケイラがくねくねしている。
本当にこれは戦うつもりがないやつだな、とトーゴは思った。
けれど、そんな二人の様子に闘志を……いや、嫉妬を燃え上がらせる者がいた。言わずとも解るだろう。
『リア充ども爆発しろ怪人』である。
「ええい! 貴様ら、何を戦う前からいちゃついておるか! どっちでもいいわい! 貴様らがリア充である以上、我がやることはひとぉつ!」
膨れ上がる嫉妬の心。
ケイラとトーゴの様子は、まさにちょっと青春の一ページっぽかった。
中の良い男女の友達がよくやるあれである! 憧れのあれである。自分の青春時代にも同じ思い出があったのならば、それを大切にして生きていけるくらいに尊いあれ!
しかし、『リア充ども爆発しろ怪人』にはないのである。ないったらないのである。
故に嫉妬する。
膨れ上がった嫉妬の力を込めた拳が唸りを上げる。
「もうっ、だってあの敵お尻プリプリだし全身タイツだし、でも頭はつるぴかでちょっとかわいい?」
「……なにぃ。ぷりケツとかタイツとかつるぴかかわいいから、だぁ?」
意味がわからんとトーゴが頭を抱える。
ケイラは本当にそんな理由で戦わないつもりなのだろうか。本当に?
これがカルチャーショックというものなのだろうか。どれだけ考えてもトーゴには理解が及ばない。
「なぁにをごっちゃごっちゃと!」
揮われる拳の一撃がトーゴに落ちる。
しかし、それをトーゴは躱す。一瞬呆けていたから危なかったが、調子が狂っているのかもしれないと首を傾げる。
「んもっ、ケイゴはジョークとユーモアを解さないコねキミは~解ったあたしも戦いますぅ」
そんなふうに言うんなら最初から戦えばいいのにとトーゴは思ったが口に出さなかった。絶対やぶ蛇ってやつだからだ。
「怪人さん」
「なんだぁ、リア充ども! 我の嫉妬の力宿りし鉄槌を喰らうがいい!」
「どうしてアナタ独り身の孤高を貫いてるの? ダイナマイト彼女を見つけて青春でも寸止めでも謳歌すればいいのに」
ケイラがもっともな事を言う。
しかし、その言葉はざっくり『リア充ども爆発しろ怪人』の心をえぐった。できるのならば、そうしたい。ダイナマイト彼女見つけたい。
だが、見つけられなかったから、今こんな感じなのである。
「やかましい! 我はこの道をゆくと決めたのだ! リア充どもに我の道を阻まれてたまるもの……って、貴様何してる!?」
そんな『リア充ども爆発しろ怪人』の目の前でケイラは、思わせぶりな仕草でもってスケスケない服を脱ぎ始める。
「さては意外に清純奥手?」
「わー馬鹿やめろ! 貴様ふざけているのかー!」
だよなぁ、とトーゴは思った。調子狂うよなぁ。
本来なら色気を感じるところであっただろうが、トーゴはあんまり感じていなかった。
文化の違いだと言われたらそれまでである。
しかし、それを口に出さなかった。
ただ、心の中でごめんって思った。いや、別に謝らんでもいいかと思ったのだ。
「ほらほら~見ていいんだよ~?」
「ば、ばかもーん!! なんと破廉恥な!」
そんなやり取り最中にトーゴのユーベルコード、サイキックブラストが走る。
「怪人、次はオレが相手だ」
放たれる高圧電流が『リア充ども爆発しろ怪人』を撃つ。凄まじい電流がほとばしり、そのスーツをずたずたに焼き切るのだ。
「アババババッ!? 貴様、リア充の癖に不意打ちとは!」
「いや、りあじゅう違うって!」
放たれる拳をトーゴはクナイで受け止めながら軌道をそらす。
大地を滑るようにトーゴは『リア充ども爆発しろ怪人』の元に滑り込み、さらに高圧電流を流し込み、その動きを止めるのだ。
「ぬぅ! その電流を止めろ!」
「いやだから、止めるわけないだろ!」
滑り込んだトーゴの手にしたクナイが『リア充ども爆発しろ怪人』の体に突き立てる。
ちょっと最初にぷりけつだとかなんだとか言っていたせいで、お尻にぶっ刺しそうになったが、やめておいた。
なんだか申し訳なかったからだ。
「うふふ、トーゴはそういうところあるのよね」
ケイラのユーベルコードが走る。
それは脱ぐことによって速度上げるシーブズ・ギャンビット。手にしたダガーの速度は凄まじい。
トーゴのクナイもそうであったが、『リア充ども爆発しろ怪人』には見切ることなどできなかったのだ。
「せめてアナタの叫びを聞きましょう」
「貴様ら!」
「あ、でもその頭の導火線は切断しましょうね」
ケイラの目にも留まらぬ圧倒的なダガーの一閃が、『リア充ども爆発しろ怪人』の東武の導火線を切り裂き、火花散らす。
「ぐああ!? なんたることを!」
「いや、どう考えてもそこらへんが狙い目だってわかるだろ?」
トーゴはなんだこの怪人と思っただろう。
「リア充どもめぇぇぇぇっ!!」
「いや、だから違うってば」
「否定しなくってもいいじゃない?」
ケイラとトーゴの目にも留まらぬ連撃の前にくずれおちる『リア充ども爆発しろ怪人』は、しかし、彼らの攻撃ではなく。
二人の息ぴったりな攻撃にこそリア充さを見出して、膝を折るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・響
夫の律(f38364)と参加
世の中には独り身の人生を送る人も多い。まあ、幸せを妬む気持ちも分かるさ。でも一杯人やキマイラ達が集まる場所で騒動は頂けないね。爆破なんて物騒なやらかしは止めさせてもらうよ。
ふむ、まともに当たると大変な事になりそうだね。律に引き付けを任せて、【迷彩】【忍び足】【目立たない】【残像】で後ろに回って敵の動きを回避。このふざけた性根ごと【怪力】【気合い】で炎の拳で正拳を入れて、【頭突き】→【足払い】→【踏みつけ】で徹底的に叩きのめす。
物騒な事するとますます嫌われると思うんだが?まあ、聞いちゃいないね。
真宮・律
妻の響(f00434)と参加
爆破した位ほどリア充が憎いならなぜリア充が一杯いる所に来たんだ?まあ、そういう常識はとっくに頭から飛んでるだろうから物騒な事される前に退去願うか。
黄昏の使者を使い、使者と共に【残像】【気配感知】【心眼】【迷彩】で敵の攻撃を回避し、敵の攻撃を【陽動】【遊撃】で引きつける。
響の攻撃が当たったら【切断】【急所突き】で追撃する。
独り身で過ごす寂しさも分かるんだが、爆破で騒動は頂けないぞ?まあ、場所が悪かったな。迷惑なんで退場だ!!
オブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』は、嫉妬の心に狂う。
彼にとって、目の前の光景は手に入れようと思っても手に入れられなかったものである。だからこそ、焦がれる。
「ぬぉぉぉぉ~! この感情は誰にも理解できるものか! 我が! 我等が味わってきた心の苦しみを! 誰が理解できる! 我等以外の誰も理解など出来ぬし、させぬわ!」
彼の咆哮は、嫉妬の力へと代わり、唸りを上げる。
「爆破したいほどリア充がにくいなら、何故リア充が一杯いるところに来たんだ?」
真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)の言葉は『リア充ども爆発しろ怪人』にとって効く。
言葉の切れ味が違う気がした。
「世の中には独り身の人生を送る人も多い。まあ、幸せを妬む気持ちも解るさ。でも、一般人やキマイラたちが集まる場所で騒動は頂けないね」
真宮・響(赫灼の炎・f00434)がアトラクションに紛れるようにしてその場を離れる。
黄昏の使者(タソガレノシシャ)は律の瞳がユーベルコードに輝き、ゆらりと現れる。
「ま、使える手は使っておくさ。どうやらそういう常識はとっくに頭から飛んでいるだろうから物騒なことをされるまえに退去願うか」
律の言葉と共に戦闘服を来た傭兵が走る。
戦場と成った『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』は多くのアトラクション故に響きの姿を隠すにはうってつけであったことだろう。
「誰が! このスポットから退去するものか! 我が求めるは、破壊よ! リア充どもの爆破よ! そのためには!」
唸る拳の一撃が律へと揮われる。
残像持つ動きが拳をすかす。
「まともにあたると大変なことになりそうだと響が言っていたが、たしかにそうだな……だが、それでも」
律は拳を躱しながら、傭兵と共に連携して攻撃を引き付け続ける。
彼にとって、それは陽動そのものであった。
自分が『リア充ども爆発しろ怪人』の攻撃を引き付ければ惹きつけるほどに響が行動しやすくなる。
自分と彼女は夫婦だ。
夫婦とはリア充の極みであったかもしれない。
けれど、ゴールではないのだ。
ここから始まっていく。恋人から夫婦になれば、より互いのことが近く見える。遠くから眺めるリア充の生活はたしかに美しく、壮麗なものに見えたことだろう。
「嫉妬に狂うというのもわからないでもない。だがな」
拳の一撃が頬をかすめる。
これだけの拳だ。確かに『リア充ども爆発しろ怪人』は、嫉妬だけで此処まで練磨したのだろう。
鍛え上げられた肉体を見ればわかる。
それがどんなに困難な道であったのかも。
だからこそ。
「近くに見れば、岩肌が見えるように。綺麗事ばかりじゃあないんだよ、
リア充というのもさ!」
響が『リア充ども爆発しろ怪人』の背後から飛び込む。
「後ろから!? こしゃくな!」
「おっと、それはさせない」
戦闘服を着た傭兵が『リア充ども爆発しろ怪人』を正面から抑え込む。
「奥の手(オクノテ)……あまり使いたいわけじゃないんだが」
手枷、猿轡、拘束ロープが『リア充ども爆発しろ怪人』の体を捉える。それは瞬時に彼のユーベルコードを封じる。
彼の嫉妬の力は本物だ。
何処まで行っても自分のためにしか力を揮わない。
その力は全てを懸けることができただろう。
けれど、それでは人の営みは回っていかないのだ。
「そのふざけた性根ごと!」
徹底的に叩きのめす、と響の拳が叩き込まれる。やるならば徹底的にだ、と彼女の拳が落ちる。
「んんん~~~~~~~!?」
「物騒なことをするとますます嫌われると思うんだが? まあ、聞く耳持っていたのならばそういうことはしないか?」
「独り身で過ごす寂しさもわかるんだが、爆破騒動は頂けないぞ?」
まあ、場所が悪かったな、と律は首をかしげる。
響の炎の拳が叩き込まれ『リア充ども爆発しろ怪人』を打ちのめす。
さらに律の斬撃が見舞い、その体を切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御形・菘
では一番デカい建物の前、壮麗な広場にてバトるとしよう
いや~、観客たちがいっぱいで素晴らしい! 皆に手を振っちゃうぞ!
妾はUS〇(音声は自動編集されました)どころか、キマフュ全ての友を呼ぶ!
リア充っぷりを怪人に見せつけつつ、右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーはっはっは! 年の瀬も元気かのう皆の衆よ!
此度の相手はすご~くアレだし、お情けで向こうにも応援してやらんか? ほら善意の御裾分けでな?
もちろん全力の煽りだ!
はっはっは、嫉妬を極めても強くなれるはずもない!
爆発なんぞ、応援を背負い限界までアガった妾の前には一切無意味!
さあリア充を極めた邪神の、左腕の一撃でエモくブッ飛ぶがよい!
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は動画配信者である。
やるからにはド派手にやらなければならないと思っているし、そうすることで配信を見ている者たちが喜んでくれたらと思っている。
故に、彼女が選んだ戦場はやはり一等どでかい建物……そう、すなわち『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』を象徴する塔の前であった。
此処は結婚式場にもなることで有名である。
一つのレジャーランドの中に一つの市街がまるごと収まるほどの敷地を持っている『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』にとって、此処が中心。
そこは広場になっていたし、これまで猟兵とオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』たちの戦いをアトラクションか何かと見守っていたキマイラたちも集まっていた。
「次ここ? なんか告知されているけど」
「そうみたい。なんだろ、あの怪人を猟兵さんがぶっ飛ばすってこと?」
カップルキマイラたちはのんきなものである。
しかし、他の猟兵にぶっ飛ばされてきた『リア充ども爆発しろ怪人』は苛立ちの頂点に立っていた。
「ふざけるな~!! この我を見世物にするか!!」
「いや~観客たちがいっぱいで素晴らしい!」
思わず菘はファンサービスのように観客であるキマイラカップルたちに手をふる。それに声援が飛ぶ。
「頑張って~!」
「おう、任せておくがよい!」
非常に映える。
この光景は非常によい。
なので、菘のテンションはぶち上がりまくっていた。
「妾はUS○(自動的に編集されました。ゆーえすおーかな?)どころか、キマフュ全ての友を呼ぶ! 喝采よ、妾に降り注げ(エール・スクリーンズ)」
ヘイカモンスクリーン!
次の瞬間、無数の空中ディスプレイが広場に広がる。
それは猟兵達の活躍を菘のカメラでもって収めた動画配信を見たキマイラフューチャー中の視聴者たちの顔であった。
「ぬぅ?! 面妖なことを! 貴様、まさか……!」
「そのとおりよ! このチャンネル登録者数! SNSのフォロワー数を見よ!」
その数字に『リア充ども爆発しろ怪人』は慄く。
まじで尋常じゃない数字が並んでいるのだ。いちじゅうひゃくせんまん……と桁を数えるのが億劫になるほどの数字であったのだ。
「はーっはっはっは! 年の瀬も元気かのう皆の衆よ!」
コメント欄がずらららっと流れていく。
各々のレスに菘は目を通して、屈託のない笑顔をカメラに向ける。
そして、『リア充ども爆発しろ怪人』にパンするのである。
「此度の相手はすご~くアレだし、お情けで向こうも応援してやらんか? ほら、っ善意のおすそ分けでな?」
菘のそれは善意ではなくて、ただの煽り散らしというものである。
ん? うらやましかろ? というあれである!
フォロワー数マウントというやつである!
「き、貴様あ~~~!!! 我のアカウントがフォロワー数ゼロなのを知っての煽りか貴様~
!!!!」
それはそれで滅多なことではない気がするのだが、あんまりといえばあんまりだった。
嫉妬は怨念に変わる。
しかし、菘は闊達に笑う。だって、そんなこと気にしてなんて居られないし、菘は人気者だし。
「はっはっは、嫉妬を極めて強くなれるはずもない!」
菘の瞳がユーベルコードに輝いている。
煌めく力はキマイラフューチャーの人々の全ての笑顔のためにこそあるのだ。
ならばこそ、彼女の左腕が握り締められる。
ぎりぎりと音を立てる力は、彼女に降り注ぐ喝采の力そのもの。
「ならば、何で強くなるというのだ! 爆発こそが全てであろうが!」
「皆の笑顔のためにこそ! お主の爆発なんぞ、応援を背負い限界までアガった妾の前には一切無意味!」
リア充を極めたかのような、いや、煮詰めたかのような光が菘の左腕にみなぎっていく。
「しゃらくさいのである!」
「ならば、この一撃でエモくぶっ飛ぶがよい! あの塔よりも高く!」
飛びかかる『リア充ども爆発しろ怪人』へと揮われる拳の一閃が、それはもう花火もかくやという勢いで放たれ、その爆弾の頭部ごと空に舞い上がり、菘の拳の一撃は冬の曇天すら切り裂いて、光の梯子を彼女に降り注がせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
繊細
① 物の形がほそく小さいこと。
ほそぼそとして優美なこと。また、そのさま。
② 感情などがこまやかであること。
微妙であること。また、そのさま。デリケート。
判決:らいあー。
無差別爆破する人が繊細とか言わないで欲しいですね。
繊細っていうのはわたしのような芸術肌の……って、痛ぁ!?
ステラさん、スリッパの攻撃力増してませんか?
まったく、わたしの彼氏(役)だというのに、
彼女を信用してくれないなんて! 拗ねちゃうゾ☆
引かないでくださいよぅ。
放置プレイは上級者過ぎると思います。
え? なんですか?
自称繊細さん、まだいたんですか?
しかたないですね。
それじゃほんとの爆破をお目にかけちゃいますよ!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
繊細とは壊れそうなものばかり集めてしまうような人を言うのです
そう、
エイル様みたいな(ぽっ)
おっと、また不埒な当ててんのよが(スリッパすぱーん!)
いえ気のせいです幕間で素振りとかしてませんのでええ
…………拗ねれば?(宇宙メイド顔&素)
いえ、さすがには素っ気なさ過ぎますね
お詫びにプレゼントを
ええ、スリッパ乱舞ですが
いらない?贅沢が過ぎませんか?
しかし珍しくルクス様がやる気です
それでは私も遅れないように
【テールム・アルカ】起動
ダークネスキャノンを人型サイズにリサイズ&手に持てる形へ改造
遠距離から攻撃していきます
ええ、ヒトの想いが凝縮された黒の弾丸をくらうがいい
繊細であると自らのことをそう評したのはオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』であった。
そう、繊細なのである。
ナイーヴなのである。
いつだって孤独を感じてしまうのは、大勢の中に居るときだ。
自分の心の置き場がわからなくなってしまうから、人は迷い、不安になり、そして誰かを傷つけることでしか、自分と他者の関係を築けなく成ってしまう。
不安ありきではなく、暴力ありきになってしまったのならば、それはあまりにも哀しみに満ちた生であったことだろう。
まあ、それはそれとして、である。
「らいあー」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の判決はシビアというか、直球であった。
「繊細とは、物の形が細く小さいこと! ほそぼそとして優美なこと。またそのさま。感情などがこまやかであること。微妙であるこお。また、そのさま。デリケート」
全部当てはまらないなじゃないですか! と指差す先にあるのは『リア充ども爆発しろ怪人』の姿だった。
「無差別爆破する人が繊細とか言わないでほしいですね」
「そのとおりです。繊細とは壊れそうなものばかり集めてしまうような人を言うのです。そう、
『エイル』様みたいな」
ぽっとなるステラ・タタリクス(紫苑・f33899)。
ぽっ、じゃないが、とルクスは思ったかも知れない。
「そうです! 繊細っていうのはわたしのような芸術肌の……って、痛ぁ!?」
ルクスの頭部を叩くのは唐突のスリッパツッコミであった。
「おっと、また不埒な当ててんのよが」
「ステラさん、スリッパの攻撃力増してませんか?」
「いえ気の所為です。幕間で素振りとかしてませんのでええ」
これは絶対しているやつである。
そんな二人のやり取りを『リア充ども爆発しろ怪人』は羨ましそうに見ていた。
ああいう気兼ねのないやり取りって憧れるものである。当人たちはまた意識していないところがまたいいのである。
「貴様ら! 何を! 二人ばっかりで楽しんでいるのだ! 我も混ぜ……否、爆破させろう!」
間に挟まる怪人と化した『リア充ども爆発しろ怪人』が一気に二人に襲いかかる。
だが、そんな怪人を他所にステラとルクスはまだ続けていた。
「まったく、わたしの彼氏(役)だというのに、彼女を信用してくれないなんて! 拗ねちゃうゾ☆」
「……拗ねれば?」
宇宙メイド顔である。これがステラの素であるというのなら、フン、おもしれーメイドってなるところである。
こういうタイプを壁ドンでぐいぐい行く俺様系攻略対象とかでてきませんかね。予定は未定です。
「いつまでやっとるか! 爆発しろ!!」
オラァン! と拳が揮われる。
しかし、そんな二人はまだやっている。
「引かないでくださいよぅ。放置プレイは上級者すぎると思います」
いや、放置しているのはルクス達である。放置されているのは『リア充ども爆発しろ怪人』だけなのである。
これが、もしかしてそういうプレイなのではと、ちょっと目覚めそうになっているかもしれない。いやないな、それは。
「いえ、流石に素っ気なさ過ぎますね」
そんな中、ステラもちょっと反省した。
いくらなんでもと思ったのだ。仮にも今はルクスは彼氏役だ。こんなにそっけないのはあまりにもあんまりだと思い直したのだ。
「お詫びのプレゼントはスリッパ乱舞でいいですか?」
「それお詫びですか!?」
「贅沢が過ぎませんか?」
まだまだ続きそうな絶賛放置プレイ。それにしびれを切らした『リア充ども爆発しろ怪人』が拳を奮いあげる。
「いい加減にしろぉ!!」
「え? なんですか? 自称繊細さん、まだいたんですか?」
いましたが!
「仕方ないですね。それじゃほんとの爆破をお目にかけちゃいますよ!」
ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
『魔弾の射手』序曲(マダンノシャシュ・ジョキョク)。
それは浮遊する『音部記号』型の音の爆弾。触れれば爆発し、炸裂し、音を撒き散らす。
その音にステラはうるさって思いながらも、テールム・アルカによってリサイズされたキャバリア武装のダークネスキャノンをぶちかますのだ。
雑ぅ! て思わないでもなかったが尺の問題もあるのである。
「こんな、っ、こんな雑な扱いぃぃい!!!」
屈辱である。
しかし、同時にこの屈辱感が癖になる自分もいることに『リア充ども爆発しろ怪人』は気がついただろうか?
いや、気がついてもちょっとなぁって思う。
「えぇ、ヒトの想いが凝縮された黒の弾丸をくらうがいい」
なんかそれっぽいことを言っているが、それは多分『主人様』に会えないというフラストレーション的なあれなのではないかと思わないでもなかったが、あえて言及しないことにする。後が怖いからね!
そんな猛攻に吹き飛ぶ『リア充ども爆発しろ怪人』は、『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の空に舞い、頭から地面に突き刺さる勢いで落ちるしか無いのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
さて、お仕事の時間っすね
ん?ああ話す気はないっすから。どうせリア充認定→爆破の流れだし
さて。下手に施設に被害とか出されても困るっすからね
UCを使用、世界を白い空と黒い海で塗りつぶすっすよ
…いくら爆破しようが白い雨はアンタの痕跡全てを塗り潰し抹消し、
この「海」はアンタの足を絡めとり、動きを抑え、心身を縛り、嬲り、蝕み、侵す
ついでに『リペインター』からもワイヤー射出して絡め取り、記憶操作の光もおまけっす
ボクが傷つくとかは別にいいんすよ。…ただの自業自得だから。
でもね、ああいう幸せと平穏を邪魔しようって言うなら……アンタが何であろうと、ボクの敵
此処がアンタの最終処分場っす。楽に死ねると思うなっすよ?
それはもう派手にぶっ飛んだオブリビオン『リア充ども爆発しろ怪人』が地面に頭から落ちる。
ものすごい音がした。
頭から行ったその姿にキマイラフューチャーのカップルたちは、うわぁって思った。頭から行ったよ、頭から。
「でも派手でいいね!」
「いいねじゃないが!?」
がば、と地面にめり込んだ頭部を引っこ抜いて『リア充ども爆発しろ怪人』は叫ぶ。
自分はこの戦いを聖戦だと思っていた。
頭の湯だったリア充どもに鉄槌を下す。これは正義の戦いなのだと。
しかし、猟兵達の活躍によって、これは『ユニバーサル・スンゴイ・ジャーン』の見世物の一環に組み込まれてしまった。
キマイラカップルたちは大喜びなのである。
「こんな屈辱あってたまるものか! 我の嫉妬は! この炎は消えはせんのだ~!」
叫びと共に膨れ上がる頭部の爆弾の導火線の火花。
ものすごい嫉妬力である。
「さて、お仕事の時間っすね」
だが、そんなテンションの上がり具合とは裏腹に黒沼・藍亜(人■のUDCエージェント・f26067)は事務的であった。
え、さっきまでカップルのイチャイチャを合法的に楽しんでいた人物と同じとはとても思えなかった。
何故なら、藍亜にはわかっていたのだ。
どうせ、あの手の怪人には何を行ったところで、どうにかこうにか他人をリア充認定して爆破したいだけなのだ。
難癖つけて爆破する。
ただそれだけのためにリア充リア充言っているだけに過ぎないのだ。
「そんな怪人に時間割くのもったいなくないすか?」
「きさまー!! それを言ったら我のこと全否定だろうが!」
飛びかからんとする『リア充ども爆発しろ怪人』を藍亜は首を傾げて見やる。
「さ。楽しくない時限イベントの始まりっす」
藍亜の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女の足元にあふれるのは漆黒の粘液の海。そして、空にあるのは純白の色。
それは『異界』。
どこでもないどこにもない、どこにもいけない(セカイヲヌリツブスモノ)。
それが藍亜のユーベルコードであり、戦場を塗りつぶした黒と白。
「な、なんだこれは!? 何がどうなってる!?」
振るう拳が漆黒の海を叩き割らんとする。
だが、それは意味をなさない。
「……いくら爆破しようが、白い雨はアンタの痕跡を塗り潰すっす。それにこの『海』はアンタの足を絡め取り、動きを抑え、心身を縛り、嬲り、蝕み、侵す」
その言葉通り、漆黒の粘液が触腕と代わり、『リア充ども爆発しろ怪人』の手足を縛り、その体を縫い止める。
「こ、この程度で我が! 我の嫉妬の炎が潰えると思うな!」
「いいや、無理なんすよ。アンタは必死に逃げるべきだったんす」
藍亜は静かに言い放つ。
もはや彼女が動く必要などなかった。
確かにリア充の、充実した人々の幸せな顔は、誰かの心に影を落とす光でしかないのかもしれない。
けれど、と藍亜は頭を振る。
彼女もまた確かに傷ついてきた。
己を貪る我欲の塊の如き人間も見てきた。敵意を抱くのは、いつだってそういう者たちだった。
だからこそ、藍亜は誰かの幸せそうな姿を見ることに心の癒やしを見出したのだろう。それは尊ぶべきことだ。
「貴様も! 貴様らも同じのはずだ! 世界の、全てに! 絶望したはずだ! なのに!」
「ボクが傷つくとかは別にいいんすよ」
ただの自業自得だからと藍亜は言う。それが如何に凄絶なことであるかを知っているのは彼女だけだ。彼女だけでいい。
何故なら。
「でもね、ああいう幸せと平穏を邪魔しようって言うなら……アンタが何であろうと、ボクの敵」
藍亜の瞳がユーベルコードに輝く。
見つめるは触腕に引きずり込まれ、白き『雨』によって沈んでいく導火線の火花。
「此処がアンタの最終処分場っす」
「まてっ! 我と貴様は同じはずだ!違いなどないはずだ! 日陰者ならば……!」
けれど、藍亜は取り合わない。
何処まで行っても『リア充ども爆発しろ怪人』とは平行線だ。交わることなどない。
故に藍亜は言うのだ。
あの平穏を。
誰かの幸せを我欲で持って貪るものを彼女は許さない。
「楽に死ねると思うなっすよ?」
藍亜は静かに沈むオブリビオンが己の『異界』の中で潰えるのを静かに瞳を閉じて待つ。
彼女の耳にはキマイラたちの幸せそうな笑い声だけが、きっと届く――。
大成功
🔵🔵🔵