7
極光夜行

#スペースシップワールド #スペースオペラワールド


●光を越えて訪れるもの
 とある惑星の空では、今日もオーロラが輝いていた。
 色彩と形を緩やかに変化させるそれを、住民や観光客は穏やかな表情で眺めている。
 穏やかな時間を、穏やかな光が満たす。そんなごく平和な一日が間もなく終わろうとしていた頃、爆音が響いた。次いで誰かが空を指差す。
「見ろ、隕石だ!」
「宇宙船みたいなのもいるぞ!」
 また、爆音が響く。この惑星を守るために配備された迎撃ミサイルがいくつも飛んでは、隕石と宇宙船の前に消えてゆく。隕石は傷ひとつなく、さらには速度を落とすことなく、惑星の地表目がけて落ちてくる。
 隕石は間もなく地面へと激突し、この惑星を砕くことだろう。もはや何をしても手遅れになる。自らの運命を知って呆然と立ち尽くす人々を、一人の女が隕石の上から見下ろしていた。
「おーっほっほっほ! このあたり一体はわたくしのおキャッスル建設予定地なのですわ! 邪魔な惑星は撤去一択ですわよ!」
 黒い宇宙服を着たその女は隕石を蹴り、上方へと飛ぶ。彼女の動きに追随するように、宇宙船も上昇する。
 直後に起きた衝突と消滅は、ほとんど一瞬だった。
「——これでまた、銀河君臨へと一歩近づきましたわ」
 砕けた惑星を満足げに眺め、女はどこかへと飛んで行った。

●グリモアベースにて
 一年中オーロラが見える惑星に、巨大な隕石が落下しようとしている。
「……でも、そんなのあまりにも突然で不自然。だから予知をしてみたら、オブリビオンが関わっていることがわかったんだよ!」
 佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)は声を張り上げ、猟兵たちに告げた。
「惑星の守備隊も全力で隕石を迎撃しようとするんだけど、攻撃がまったく効かなくて……」
 どうやら隕石はオブリビオンの力で守られていて、通常の攻撃では破壊不可能のようだ。
「でも、オブリビオンのボスを撃破すれば、隕石は破壊できるようになる——そこで猟兵さんたちには、隕石が惑星に落ちるより少し前、まだ惑星側も隕石を発見していない頃に宇宙空間に行ってオブリビオンを倒して欲しいんだよ!」
 転送後はすぐにボスに向かいたいところだけれど、とキリカは続ける。
「まずは隕石の周辺をまんべんなく飛行している『宇宙海賊船』を撃破して欲しいんだよ。宇宙海賊船はミサイルを放ったり、武装を代償にした威力の大きな一撃を放ったり、宇宙海賊の幽霊を乗せたスクラップ海賊船を召喚したりするんだよ」
 宇宙海賊船を片付けたのなら、いよいよボスとのご対面。ボスは隕石の上に立つ『スペースヴァンパイアレディ』なるオブリビオンだ。
「スペースヴァンパイアレディは魔眼で睨んだ相手に背部アームを用いて吸血したり、宇宙服のスラスターとアームを華麗にさばいたり、戦場を暗闇で包んで自身を強化しつつ攻撃したりするんだよ。あと宇宙服を着ているのはオーロラの紫外線から身を守るため、みたいなんだよ」
 スペースヴァンパイアレディを倒せばオブリビオンの力は消え、隕石を破壊できるようになるという。
「隕石を無事に破壊できたら、ぜひ惑星に立ち寄って欲しいんだよ。惑星名物のオーロラ、とってもきれいだと思うんだよ! あっ、それと——」
 けっこうな雪が積もっているから防寒具も忘れずに、とキリカは付け足した。


雨音瑛
 宇宙海賊船や宇宙吸血淑女と戦ったり、オーロラ鑑賞したりする話です。
 途中参加も歓迎です。

●第1章
 宇宙空間で、宇宙海賊船との集団戦です。

●第2章
 隕石の上で、スペースヴァンパイアレディとのボス戦です。

●第3章
 惑星に降りて、オーロラを楽しみます。温かい飲み物や食べ物、オーロラを模したオブジェクトが入ったスノードームなどが売られている売店があります。雪が積もっているので、防寒具を準備しての鑑賞がおすすめです。
52




第1章 集団戦 『宇宙海賊船』

POW   :    パイレーツミサイル
【誘導ミサイル】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ウェポン・オーバーヒート
自身の【宇宙船の武装】を代償に、【宇宙海賊魂】を籠めた一撃を放つ。自分にとって宇宙船の武装を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ   :    大宇宙の亡霊
【ブラックマーケットの兵器】で武装した【宇宙海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【スクラップ海賊船】を召喚する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
トドゥスク・プライモリ
SPD アド連◎
宇宙海賊の傭兵もどき、トドゥスク・プライモリ参上であります!
エネルダンコズミックキャノンを【エネルギー充填】しながら、前には宇宙ペットの「ヨ細・レ*■み゛」(発音不明)に出ていてもらうでありますよ。
いけっ、【オーラ防御】であります!そのまま攻撃しに行くでありますよ!
……と、これはブラフかつデコイ!ヨ細・レ*■み゛に注意が向いている間に10秒ぐらいは経っているでありますな?
UC「星をも壊すコズミック・オペレーション」使用!武装を犠牲にしている相手に【鎧無視攻撃】を【一斉発射】で柔らかいところにダメージ集中でありますよ!

ヨ細・レ*■み゛「に゛ィー!!💦(囮にするでない我が主よ)」


エスメラルダ・インヴィンシブル
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(f15865)と一緒。

猟兵としての初陣……不安と緊張はあります。
ですが、それ以上に、惑星一つを破壊しようなどと言う蛮行は許せるはずがありません。
幸い、先達であるウィルヘルムさんも同行して下さるとのことですので、頼らせてもらいましょう。

「【勇気】よ! 私達に力を!」
今回は飛空挺形態ではなく、人形態でキャバリア『エメラルド・フォートレス』に搭乗して出撃します。
そして、ウィルヘルムさんのキャバリアと合体です。合体は、私の機体の各部が分割して、ウィルヘルムさんのキャバリアの増加装甲となる形でお願いします。
あとの操縦は、ウィルヘルムさん、お願いします。




ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
エスメラルダ・インヴィンシブル(f39197)と一緒。

私欲のために、惑星一つを滅ぼそうなど!

今回はキャバリア『グリューネブルク』の初陣ですし、
エスメラルダさんの初陣でもあります。しっかり、勝利で飾りましょう。

「【勇気】よ! 私達に力を!」
エスメラルダさんのキャバリアと合体したら、UC発動です。
惑星も、そこに住まう人々も、私が護る!

時速1万1千キロで、宇宙海賊船に迫ります。
誘導ミサイル? この速度に追いつけますか?
仮に追いつかれても【第六感】で弾道を予測して回避し、
万一命中しても【オーラ防御】で耐えます。

「墜ちろぉ!」
この速度とキャバリア2体分の質量で、艦橋を目掛けて体当たりです!




コメテス・シンティルマ
リゾート惑星の観光客相手の通訳で、のんびり小銭稼ぎだったはずなのに……どーしてこんな事になるの!
ハッキリ言えば逃げの一手なんだけど……ああもう、家族連れのオーロラ観光の約束なんてしなければ!
もう乗りかかった星だよ!

運び屋として自前の宇宙船【D.M】で猟兵のお仲間さんたちを【運搬】する足になるよ!
【操縦・軽業・逃げ足】には自信があるけど、あの数相手じゃ攻撃はアテにしないで!
【集団戦術・騎乗】ができるように動くから、私を上手く使って!

って、うわ、そんな攻撃してくるとか冗談じゃ――!
(【指定UC】で賞金稼ぎが乱入・名前お任せ)
『あ?お前も狙ってんのか?なら…』
賞金なんてあげるから、なんとかしてー!



 一隻の小さな宇宙船は、隕石に向けて進路を取っていた。
 この小型貨物宇宙船『ディッシュ・ムーン』を操るのは、コメテス・シンティルマ(辺境を駆る星 -宇宙漂浪民-・f38707)。同じ戦場に向かう猟兵たちを運ぶ彼女は、盛大なため息をついていた。
「うう、どーしてこんな事になったの……」
 コメテスにとっての事の始まりは、通訳の仕事を引き受けたことにある。リゾート惑星で観光客相手にのんびり小銭稼ぎができる仕事。最初はそう思っていた。
「家族連れのオーロラ観光なんて、何の問題もないと思ってたのに……」
 船はどんどん目的地へと近づいてゆく。
 船内の一角では、エスメラルダ・インヴィンシブル(エメラルドの輝き放つ飛空艇・f39197)が緊張した面持ちで佇んでいた。
「……いよいよ初任務、なのですね」
「やはり緊張しますか?」
 ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)の問いに、エスメラルダは小さく頷いた。けれど、と告げてウィルヘルムを見る視線には、強い意志が見て取れる。
「惑星一つを破壊する蛮行は決して許せるものではありません」
「ええ、私も同じ思いです。その目的が私欲のためだというのですから、なおさらです」
 強い口調で言い切り、拳を握りしめるウィルヘルム。自身のキャバリアとエスメラルダの初陣でもあるこの仕事、勝利以外の結果は元より考えていない。
「あっ!」
 と、声を上げたのはトドゥスク・プライモリ(エネルダンの使徒・f38684)。
「敵影発見であります! 戦闘準備なのであります!」
 窓の外を指差し、猟兵たちに告げる。
「いよいよですね……エスメラルダさん、準備はできていますか?」
「はい。行きましょう、ウィルヘルムさん」
 顔を見合わせて頷き合い、ウィルヘルムとエスメラルダは宇宙空間へと身を躍らせた。次いで、それぞれのキャバリアに搭乗する。ウィルヘルムは『グリューネブルク』、エスメラルダは『エメラルド・フォートレス』へと。
 颯爽と出撃していく二人を見送るコメテス。
 普段のコメテスだったら逃げの一手、ではあるのだが。 
「ここまで来たら、もう乗りかかった星だよ! 宇宙船の操縦には自信があるから、私を上手く使って!」
「では遠慮無く騎乗させてもらうでありますよ! ヨ細・レ*■み゛と一緒に上に乗るでありますから、敵からある程度の距離を保ったまま船を飛行させて欲しいのであります」
 船内でいそいそと準備していたトドゥスクはこくりと頷いた。連れている宇宙ペット「ヨ細・レ*■み゛」も短い職種をぴこぴこ動かしている。
「ヨ細、……? えっと、とにかく了解、気をつけて」
 発音できない宇宙ペットの名前を復唱しかねつつ、コメテスはトドゥスクたちを送り出すべく出入り口のドアを開けた。その後は宇宙船の装甲を足がかりにして駆け上がり、肩幅程度に足を開く。
「宇宙海賊の傭兵もどき、トドゥスク・プライモリ参上であります! 覚悟するのであります、宇宙海賊船!」
 トドゥスクは名乗りを上げ、エネルダンコズミックキャノンへのエネルギー充填を開始した。
「このアームキャノンは高出力なのに低燃費な設計で大群相手でも安心なのであります。ヨ細・レ*■み゛は突撃アンドオーラ防御アンド攻撃であります!」
「に゛ッ!」
 指示どおり、敵陣のまっただ中に突っ込んでゆくヨ細・レ*■み゛。主に信頼されていることが嬉しいのか、虹色の単眼を輝かせている。
 トドゥスクが見遣るのは、宇宙海賊の攻撃を受けつつも応戦するヨ細・レ*■み゛を——ではなく、エネルダンコズミックキャノンの銃口。
「……そろそろ10秒くらい経ったでありますか? よし発射ぁ!!」
 何かを薙ぎ払うようなトドゥスクの動きのあと、エネルダンコズミックキャノンの容赦無い極太のビームが宇宙海賊船の群れへと放たれた。
 チャージ時間に応じて攻撃対象を増加できるビームは、10秒ぶんもあればかなりの数を殲滅できる。
「に゛ィー!!」
 ヨ細・レ*■み゛はブラフかつデコイとして使われたことに、悲痛な悲鳴を上げている。囮にするでない我が主よ、的なことを言っているのだろう。
 残る宇宙海賊船の装甲が分離する。間もなく大きな一撃が来ると踏んだトドゥスクは、しゃがみこんだ。
「む、チャンスであります。コメテス殿、敵に対して少し下がってもらえるでありますか?」
「了解!」
 数秒と経たずして、宇宙船が敵軍と距離を取る。
「ヨ細・レ*■み゛は撤退であります、でかいの放つでありますよ!」
「に゛に゛ッ!?」
 素早くトドゥスクの元へ戻ろうとするヨ細・レ*■み゛。射線上に味方がいないのを確認し、トドゥスクはエネルダンコズミックキャノンの角度を定めた。
「覚悟するであります、宇宙海賊船!」
 一斉に放たれた光線は、わずかに残る装甲を貫通して撃墜してゆく。
 反撃とばかりに放たれた宇宙海賊船の攻撃、その一つがコメテスの宇宙船をかすめていった。
「って、うわ、そんな攻撃してくるとか冗談じゃ――!」
 コメテスは半泣きでユーベルコードを発動する。すると宇宙船の目の前に、宇宙服を着た人型の者が出現した。
「愛より人情より金か大事、賞金稼ぎリチャード・キンスキー参上、ってな! ……あ? お前もあの海賊船を狙ってるのか? いいだろう、どちらがより多くの海賊船を撃破できるか勝負を」
「勝負なんてしてる場合じゃないんだよ! 賞金なんて全部あげるから、とりあえずなんとかしてー!」
 召喚した賞金稼ぎを宇宙船の先端で押し出すようにして激突させるコメテス。
 賞金稼ぎは何やら文句のようなものを言いつつ、宇宙海賊船を続々と爆発させてゆく。
「はあ……ひとまずこっちは大丈夫そうだね。ウィルヘルムとエスメラルダの方は、と……」
 コメテスはやや離れた場所へと向かっていった二人のいる方角を見遣った。
「「【勇気】よ! 私達に力を!」」
 勇ましい声と共に、エスメラルダのキャバリア、その各部が分割されてゆく。そうしてエスメラルダのキャバリアはエメラルド色に輝くオーラで覆われたウィルヘルムの機体と合体し、追加装甲となった。
「ウィルヘルムさん、あとの操縦はお願いします」
「はい、任せてください。——惑星も、そこに住まう人々も、私が護る!」
 エメラルド色のオーラで覆われた「ハイパー・ガーディアン・モード」となったいま、ウィルヘルムは「世界や他人を護ろうとする意志の強さ」によって戦闘能力が増強される。
「さらに時速1万1千キロまで加速が可能! たとえ誘導ミサイルだろうとこの速度に追いつけますか?」
 宇宙空間を凄まじい速度で飛行するウィルヘルムのキャバリアは、放たれた誘導ミサイル群を瞬く間に引き離してゆく。もうミサイルの脅威は無いと踏んだウィルヘルムは、宇宙海賊船の艦橋に狙いをつけた。
「墜ちろぉ!」
 キャバリア2体ぶんの質量が、時速1万1千キロで艦橋へと到達する。キャバリアと海賊船が触れ、爆発が起きる。それが残る海賊船の数だけ、繰り返される。
 宇宙海賊船は艦橋どころか船体ごと破壊され、宇宙の塵となって消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『スペースヴァンパイアレディ』

POW   :    魔眼
【バイザー越しの魔眼】が命中した対象に対し、高威力高命中の【背部アームによる吸血】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    (*宇宙服のスイッチを押す音*)
【宇宙服を高出力モード】に変形し、自身の【高貴さや優雅さやその他諸々】を代償に、自身の【スラスターとアームの操作】を強化する。
WIZ   :    宇宙吸血魔術『天蓋』
戦場全体に【超絶な夜や暗闇】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【紫外線カット】による攻撃力と防御力の強化を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 隕石の直上でくつろぐスペースヴァンパイアレディは、通信機器のスイッチを押した。
「どなたでも構いませんので、紅茶をいれていただけるかしら?」
 目標まではまだ時間がある。紅茶の一杯くらいは楽しめると踏んだのだろう。
 しかし、いくら待てども返答は無かった。
「聞こえてまして? どなたでも、構いませんので、紅茶を……」
 そこまで言って、スペースヴァンパイアレディは気付いた。ヘルメット内部のスピーカーから聞こえてくるのはノイズだけだ。次いで周囲を見渡し、愕然とする。
 宇宙海賊船は一隻残らず撃破されていた。隕石の周囲に漂うのは、スペースデブリと化した宇宙海賊船の残骸だ。
「……ま、まだ大丈夫ですわ! わたくしがいる限り、隕石の防御は万全。わたくしさえ無事なら隕石破壊は可能、すなわち銀河はわたくしのもの、おキャッスルは100階建てにするのですわ! おーっほっほっほ!」
 高笑いしながら論理を飛躍させるスペースヴァンパイアレディは隕石の上で仁王立ちをし、猟兵を迎え撃とうとするのだった。
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
エスメラルダ・インヴィンシブル(f39197)と一緒

「勇気よ! 私達に力を!」
再度エスメラルダさんのキャバリアと合体し、UC発動。
時速1万1千キロでスペースヴァンパイアレディに突撃です。

「魔眼とは厄介ですね……ですが!」
魔眼を食らうのは織り込み済みで、【オーラ防御】とキャバリア2体分の装甲による【時間稼ぎ】で耐えるのを試みます。
背部アームとやらがどれ程の射程かは知りませんが、オーラとキャバリアの装甲の二重の防御を貫く間に、キャバリアの機体がスペースヴァンパイアレディ自身に衝突しているはずです。
「当たれぇ!」
スペースヴァンパイアレディには、宇宙の藻屑となって頂きましょう。




エスメラルダ・インヴィンシブル
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(f15865)と一緒

いよいよ、この事件の本命……スペースヴァンパイアレディとの戦闘ですね。
ですが、敵のユーベルコードはどれも厄介そうです。
え? ウィルヘルムさんに考えがある? では、お任せします。

「勇気よ! 私達に力を!」
今回も、人形態でキャバリア『エメラルド・フォートレス』に搭乗です。
そして、UCを発動してウィルヘルムさんのキャバリアと合体。
操縦は、引き続きウィルヘルムさんにお任せします。

……それにしても、今回は初陣とは言えウィルヘルムさんに頼り切りになってしまいました。
これからは、私一人だけでも戦い抜けるように力を付けていかないといけませんね。




トドゥスク・プライモリ
POW
ヨシ!ヨ細・レ*■み゛も大活躍だったでありますな!
ヨ細・レ*■み゛「に゛ィ……(今度はやめろ)」
分かった、分かったでありますよ。触手で服を引っ張らない!
とりあえずそこのお前はヴァンパイアとか言うぐらいだから普通に触れてはいけない予感がするでありますな!
先手必勝!【早業】込みでUC「癒し狂うコズミック・ポンプ」使用!
母星エネルダンのエネルダン物質を変換してそのバイザーを壊す(【生命力吸収】による破壊と【目潰し】)であります!
目から生命力は奪った事ないでありますが……さてどーなるっかなー♪
背部アームも生命力吸収してそのまま破壊するでありますよ?
コズミック・ポンプは無機物対応であります!
+


コメテス・シンティルマ
ふいー!ひとまず運び屋としてはひと段落かな!
後は皆の健闘を祈って…いれたらいいけど、それじゃダメかー!
大事な家族旅行…も、もとい、飯のタネは守らねば!

基本は変わらず【運搬・騎乗】の足場役
牽制の【援護射撃】もやっていこう!

…って、なりふり構わなくなってきて…速い?!
うー……うー!
仕方ない!
(計器を見やり)
その調子だよワン!カッコイイ!
起きてツー!宇宙バンパイアなんて見ものだよ!
スリー!二人・・に負けてられないよ!
【コミュ力】で発憤させる、それが三重機関起動の秘密!
…バレませんように!

【指定UC】で隕石接触も気にならないし、船からの攻撃も有効だ!
もちろん…体当たりでもね!
さあ、いっくよー!



 もはや猟兵とスペースヴァンパイアレディを遮るものはない。
 あとはこの事件の本命を倒し、隕石を破壊するだけだ。
「ヨシ! 先ほどの戦いではヨ細・レ*■み゛も大活躍だったでありますな!」
「に゛ィ……」
 いい笑顔をトドゥスク・プライモリ(エネルダンの使徒・f38684)に向けられたヨ細・レ*■み゛。触手で服を引っ張り、今度はやめろ、とアピールする。
「お疲れさまー! ひとまず運び屋としてはひと段落かな!」
 じゃれあう二人を視て、コメテス・シンティルマ(辺境を駆る星 -宇宙漂浪民-・f38707)は肩の力を抜いた。
 しかし、キャバリア『エメラルド・フォートレス』に搭乗するエスメラルダ・インヴィンシブル(エメラルドの輝き放つ飛空艇・f39197)の顔は晴れない。
「ですが、スペースヴァンパイアレディの攻撃は厄介そうです」
「大丈夫、私に考えがあります。再び私とエスメラルダさんのキャバリアを合体させて——」
 ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)の説明に、トドゥスクが挙手をした。もちろん、すぐ隣でヨ細・レ*■み゛も触手をぴっこりと挙げている。
「それなら最初はうちに任せるでありますよ! ベストのタイミングでそれができるよう、援護させてもらうであります!」
「じゃあ私は皆の健闘を祈って……」
 言いかけたコメテスの言葉は、どこか緊迫した雰囲気に呑まれてしぼんでゆく。
「いれたらいいけど、やっぱそれじゃダメかー! 引き続き、宇宙船でトドゥスクを運ぶよ!」
 コメテスは頭を抱えたあと、両の拳を握り締めて胸元まで挙げ、大きくうなずいた。
 2体のキャバリアが離れた後、再び、コメテスの宇宙船が移動を始める。
「今回はある程度スペースヴァンパイアレディに近づいてもらって構わないであります、コメテス殿は注意がうちに向いている間にいったん離脱を、あっ、念のため合図はするでありますよ」
「うん、ありがとう。そうさせてもらうね!」
「何せ相手はヴァンパイアであります、普通に触れてはいけない気がするのでありますよ……このへんで停止をお願いするであります!」
 宇宙船が止まると同時に、トドゥスクはエネルダンコズミックキャノンをスペースヴァンパイアレディに向けた。宇宙船から離れるトドゥスクを、ヨ細・レ*■み゛がさりげなく触手で支える。コメテスはそれを合図と見て取って、二人から離れてゆく。
「先手必勝! エネルダン物質より再構築……構築完了、発射であります!」
 バキュビュウゥン! という音が響き、トドゥスクの髪が跳ねる。
 目にも留まらぬ早業で放たれたコズミックオーラは、渦を描くようにしてスペースヴァンパイアレディへと収束していった。スペースヴァンパイアレディが回避しようとも、何度も軌道を変えては追尾してくる。
「ええい、面倒ですわね! ならいっそ当たってしまえば——」
 向き直り、コズミックオーラを受けるスペースヴァンパイアレディ。トドゥスクとヨ細・レ*■み゛は悪戯っぽい表情でそれを眺めている。
「さてどーなるっかなー♪」
「に゛ッに゛ー!」
 コズミックオーラはスペースヴァンパイアレディのバイザーに到達し、亀裂を入れた。
「くっ、これでは紫外線が入ってきてしま……ほわぁああああ!? 目が! わたくしの目がですわああああああ!!」
「ふふふ、紫外線を入れてじわじわ弱らせる、とかいう攻撃だと思ったでありますか? コズミックオーラは生命力を奪うことができるのであります、それが目に命中したならば——目潰し、になるのであります!」
「そんな、馬鹿なことが……!」
 スペースヴァンパイアレディは魔眼を発動しようとするが、痛みでまともに目を開けていられない。それでも目をこじ開け、どうにかコメテスに焦点を合わせた。背部のアームを動かして吸血するつもりのようだ。
「!? どうして、どうして動きませんの!?」
 アームは軋んだ音を立てるだけでまるで動かない。
「コズミックオーラは無生物にも対応しているのでありますよ!」
 ダブルピースするトドゥスク。
 いつの間にか、コズミックオーラはスペースヴァンパイアレディの背部アームにも命中していたらしい。
 どうにか体勢を立て直そうとするスペースヴァンパイアレディは、何か小さなものが付近を抜けていったことに気付いた。
 それが弾丸だと気付いたスペースヴァンパイアレディは、放った者——コメテスのいる場所へと一直線に向かってゆく。宇宙服のスイッチを押し込みつつ。
「こうなったら少し捨てるしかないようですわね……お嬢様力を! うるあああああああ! 死にさらせですわあああああああッ!」
 コメテスによる援護射撃が、スペースヴァンパイアレディの注意を逸らすことに成功したらしい。
 トドゥスクはコメテスを応援するようにサムズアップをした。
 コメテスは困ったように笑いながらサムズアップを返す。だが、スペースヴァンパイアレディとの接触まであとわずかだ。
「うー……うー! ……仕方ない!」
 つばを飲み込み、計器を見遣るコメテス。やがて意を決したように、声を張り上げる。
「その調子だよワン! カッコイイ!」
 何かが起動を始める。
「起きてツー! 宇宙ヴァンパイアなんて見ものだよ!」
 目覚めの音が重なってゆく。
「スリー! 二人……に負けてられないよ!」
 それが最後の合図だ。
「トライアド全基稼働フルコンタクト! さあ、本気を見せるよ!」
 直後、船内に衝撃が伝わった。スペースヴァンパイアレディが突撃してきたのだろう。
「そんなの、機関トライアドが全3基稼働状態の船には無駄だよ!」
 コメテスは宇宙船を回頭させ、スペースヴァンパイアレディのいる方角へと向ける。
「今度はこっちの番。さあ、いっくよー!」
 速度を上げ、突っ込む宇宙船。宇宙船はスペースヴァンパイアレディに体当たりをし、隕石へと叩きつけた。
「そ……んな……このわたくしが、目も足も出ないなんて……おかしいですわ……!」
「大事な家族旅行……も、もとい、飯のタネは守らねば、だからね! ウィルヘルム、エスメラルダ、最後は決めちゃって!」
 宇宙船の操縦席で、祈るように呟くコメテス。
 タイミングを見計らって周囲を移動していたウィルヘルムとエスメラルダは、動きを止めた。
「ありがとうございます。トドゥスクさん、コメテスさん。エスメラルダさん、どうやら今しかないようです」
「では、スペースヴァンパイアレディ決着をつけましょう」
 呼吸ひとつの後、二人は声を張り上げる。
「「勇気よ! 私達に力を!」」
 エスメラルダのキャバリアが装甲となって、ウィルヘルムのキャバリアを覆う。合体した状態でキャバリアを操縦するのは、ウィルヘルムだ。
 再びエメラルド色のオーラに覆われたウィルヘルムのキャバリアは、何の躊躇もなくスペースヴァンパイアレディに向けて加速する。
「ふぬううううう!!! わたくしは!! 諦めませんわああああああッ!」
 魔眼の光は鈍く、アームの動きは頼りない。
「魔眼も背部アームも、トドゥスクさんの攻撃でまともに機能していない……これなら!」
 エメラルド色のオーラによる防御とキャバリア2体分の装甲もあり、スペースヴァンパイアレディの攻撃はウィルヘルムのキャバリアにかすり傷ひとつ与えられない。
「当たれぇ!」
「ッ、が、はあっ!?」
 時速1万1千キロで、ウィルヘルムのキャバリアはスペースヴァンパイアレディへと衝突した。
 スペースヴァンパイアレディの宇宙服は、見るも無惨な状態になっている。やがてバイザーの隙間から黒い塵のようなものがあふれ出してきた。
 猟兵たちの攻撃で、スペースヴァンパイアレディの命が尽きたらしい。
 しかし、キャバリアの勢いは止まらない。
「あとは隕石だけです!」
 エスメラルダの声に、ウィルヘルムは力強く頷いた。
 ウィルヘルムのキャバリアが加速を続ける。スペースヴァンパイアレディの宇宙服が、次いで隕石が砕け散った。
「おおっ、やったっ!」
 宇宙船の中で、コメテスが身を乗り出す。
「に゛ッに゛ッ♪」
「これで惑星に隕石が落ちることはないのでありますな」
 触手を踊らせるヨ細・レ*■み゛の隣で、トドゥスクは安堵の息を吐いた。
 惑星に住まう人々は、護られたのだ。ウィルヘルムは表情を緩め、笑みを浮かべた。その視線の先には、一年中オーロラが見える惑星があった。
 合体を解いてキャバリアに搭乗した状態へと戻ったエスメラルダも、優しい眼差しで惑星を見つめている。
 初陣は、無事に勝利を飾ることができた。それでもウィルヘルムに頼り切りになってしまったような気がして。
(「これからは、私一人だけでも戦い抜けるように力を付けていかないといけませんね」)
 エスメラルダは、密かな決意をするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『極寒の星にも』

POW   :    オーロラ揺れる絶景を楽しむ

SPD   :    オーロラ揺れる絶景を楽しむ

WIZ   :    オーロラ揺れる絶景を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 とある惑星の空に今日もオーロラが輝いている。
 分厚い雪に足形をつけては駆け回る子どもは、そろそろ夕飯だと家族に呼ばれて帰路につく。
 飼い犬と散歩していた男は、不意に走り出されてリードを引かれ、慌てて同じ速度で駆け出す。
 ホットチョコレート片手に街を散策する観光客は、土産屋を見つけて立ち寄っている。オーロラを模した煌めくオブジェが入ったスノードームは、この惑星ならではのお土産らしい。
 住民と観光客の過ごす時間は平和そのもの。
 猟兵たちが守った惑星の営みは、これからも続きそうだ。
トドゥスク・プライモリ
わーオーロラがキレイでありますなぁ!ねっ、ヨ細・レ*■み゛♪
ヨ細・レ*■み゛「に゛に゛ィ!(実に美しい)」
守れて良かったこの景色……さて、スノードームを買うでありますよ。
持ち帰ってお土産にするであります!あ、ヨ細・レ*■み゛のエサじゃないでありますよ?
ヨ細・レ*■み゛「に゛ィ……(頑張ったから褒美をくれ)」
あー、じゃあホットチョコレート飲むでありますか?あそこに売ってたでありますな。
おばちゃーん、ホットチョコレート一つ!
よし、熱いから気を付けて触手で飲むでありますよ~。
ヨ細・レ*■み゛「に゛に゛ッ(この惑星で飲むホットチョコレートは美味い)」

オーロラを眺めながらの回し飲みはサイコーであります!



 土産屋や出店のある大きな通りでは、歩みを止めて空を見上げる観光客が後を絶たない。
 トドゥスク・プライモリ(エネルダンの使徒・f38684)とヨ細・レ*■み゛も、観光客と同様に足を止めている。二人の視線が注がれる先は、空に輝くオーロラだ。
「キレイでありますなぁ! ねっ、ヨ細・レ*■み゛♪」
「に゛に゛ィ!」
 実に美しい、と伝えてくるヨ細・レ*■み゛はオーロラを真似るように触手を動かす。
 トドゥスクたちが守った景色は、これからも変わらずこの惑星の空を彩り続けることだろう。
 二人はご機嫌で通りを歩き、土産屋のドアをくぐる。
 店に並ぶのは、たくさんの土産物。アクセサリーやキーホルダー、置物の中からトドゥスクが手に取ったのは——。
「これがこの惑星名物のお土産でありますな!」
 オーロラを模したオブジェが入った、スノードームだ。
 逆さまにして戻すとドームの中で雪が降り、小さなオーロラがひらひら揺れる。それを何度か繰り返す中、トドゥスクはヨ細・レ*■み゛の視線に気付いた。
「これはヨ細・レ*■み゛のエサじゃないでありますよ?」
「に゛ィ……」
「頑張ったからご褒美が欲しいでありますか? そうでありますねぇ……ヨ細・レ*■み゛には……」
 店内を見回すトドゥスク。しかし、土産屋の中にヨ細・レ*■み゛の好みそうなものは見当たらず。
「あー、近くにあの店があったでありますな! スノードームを買ったらそこに行くでありますよ!」
 トドゥスクは手早くスノードームの会計を済ませ、ヨ細・レ*■み゛と共に土産屋を出る。
「」
 スノードームの入った袋を片手に、もう片方の手でひとつの店を指差すトドゥスク。
 触手を上げてバンザイ、のようなポーズをするヨ細・レ*■み゛に、トドゥスクは思わず笑顔になる。
「おばちゃーん、ホットチョコレート一つ!」
 代金を払って受け取ったホットチョコレート入りのカップは、瞬く間にトドゥスクの指先を温めてゆく。
「先にどうぞであります、ヨ細・レ*■み゛。熱いから気を付けて飲むでありますよ~」
 触手にカップを絡め、別の触手で器用にホットチョコレートを吸い上げるヨ細・レ*■み゛。その後は触手で頭上に「○」を作って、トドゥスクにカップを差し出した。
「に゛に゛ッ」
 この惑星で飲むホットチョコレートは美味い、と言っているらしい。
「それはよかったであります! では、うちもいただくでありますよ」
 差し出されたカップを受け取り、ゆっくりとホットチョコレートを味わう。甘く温かい飲み物は、体を中心からぽかぽかさせてくれる。
 再びカップをヨ細・レ*■み゛に渡したトドゥスクは、白い息を吐いて空を見上げた。
「オーロラを眺めながらの回し飲みはサイコーでありますな!」
「に゛ーッ!」
 オーロラを見上げる二人は、満足そうに笑い合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリアリア・アーデルハイム
f29694:ライナスさんと

(魔力で寒さを和らげ)
本当に凄いオーロラですね、圧倒されそうです。
この惑星ではいつでもどこでも見られるっていうのが不思議ですよね?と、期待の眼差し→「教えてライナスお兄さん!科学質問室」

こうして説明を受けてもオーロラが綺麗で不思議なのは変わりませんね!自然ってどうしてずっと見ていても飽きないのでしょうか、それが一番不思議です。

う〜、寒い!
お勧めですか、飲んでみようかな?
うん、甘くて美味しい。あったまりますけどアルコールが…(こほんっ)
お茶もありますよ、ちょっと熱いかもしれませんけど。

折角ですし、橇遊びでもしますか?それともオーロラの空をお散歩しましょうか。


リチャード・ライナス
f32606ミリアリアと

「寒いなあ(手袋した両手を擦り合わせつつ)
以前は力を使えば寒さを感じる事などなかったが、今は凍える身
それでも友の同行あれば極寒も楽し

「オーロラは、太陽から来た電子や陽子が空気中の粒子と衝突して光る現象だよ。『考えるな、感じろ』でもいいけど(笑
友と共に空を見上げ、圧倒される輝きを明日への力に変えて、この身に蓄える

「お勧めはエッグノッグだな。君もどう?俺のはブランデーも少し足そう
売店で体の温まる飲み物を注文
甘く濃厚な味にアルコールも加え、ほろ酔いで祭壇布に身を任せ
「お茶ありがとう。酔い覚ましに…あちっ(猫舌

祭壇布に道案内させ、壮大なオーロラを見物しつつ、友と空中散歩を楽しむ



 分厚いコートを着た、笑顔の子どもたち。この惑星の住人なのだろう、慣れた様子で転ぶことなく雪の上を駆け抜けて行った。
 リチャード・ライナス(merchant・f29694)は彼ら彼女らを横目で見遣り、手袋をした両手を擦り合わせる。
「ここは本当に寒いなあ。——以前は力を使えば寒さを感じる事などなかったが……」
 ぼやきつつも、その顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。この場を共に訪れた友がいるのならば、たとえ極寒の地といえど楽しいものだ。
「魔力で少しは和らいでいるとは思うのですが……」
 言いつつ、ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)は空を見上げた。
「……本当に凄いですね、圧倒されそうです」
 琥珀色の瞳に映り込む、揺れる光。この星の名物、オーロラだ。
「この惑星ではいつでもどこでも見られるっていうのが不思議ですよね?」
 期待の眼差しで見つめるミリアリアに、リチャードは少し首を傾げた。
「というわけで……教えてライナスお兄さん! 科学質問室! オーロラの仕組みを教えてください!」
「オーロラは、太陽から来た電子や陽子が空気中の粒子と衝突して光る現象だよ。『考えるな、感じろ』でもいいけど」
 端的に告げて、リチャードは笑った。つられて、ミリアリアも微笑む。
 こうして原理を聞いても、オーロラが綺麗で不思議なことには変わりない。しかし一番不思議なのは、ずっと見ていたも飽きない自然そのものだ。ミリアリアはじっと光の変化を見つめる。
 そうして数十秒ほどが経過しただろうか。ミリアリアはきつく瞬きをし、白い息を吐いた。
「う〜、寒い!」
「だな。ここはひとつ、売店で体の温まる飲み物を注文しようか」
「賛成です! 色々あるみたいですけど、どれにしましょう?」
「俺はエッグノッグにしようかな。牛乳をベースにした飲み物で、スパイスの風味も楽しめる。俺のお勧めだ、君もどう?」
「なるほど、エッグノッグ。飲んでみようかな?」
「この寒さだ、ブランデーを少し足して貰おうか」
 注文し、エッグノッグを受け取る二人。
「折角だし、趣向を変えて空からオーロラを眺めつつエッグノッグを飲むというのはどうだろう? 空飛ぶ魔法の布——祭壇布に乗って」
「良いですね! 先ほどとはまた違った見え方を楽しめそうです」
 二人を乗せた祭壇布が、緩やかに高度を増してゆく。
 アルコールでほろ酔いになりながら、リチャードは祭壇布に身を任せる。
「どう、エッグノッグは?」
「うん、甘くて美味しい。体があったまりますけど……アルコールが……」
 小さく咳払いをするミリアリア。エッグノッグの入ったカップで手を温めつつ、ゆっくりと飲んでゆく。
 飲み終えたミリアリアは、お茶の入ったカップをリチャードに差し出した。
「そうそう、お茶もありますよ」
「ありがとう。酔い覚ましに……」
「ちょっと熱いかもしれませんけど……」
「——あちっ。そういえば俺は猫舌だったんだ」
「わ、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。少し冷まして、ゆっくりいただくとするよ」
 澄んだ空気の中で見上げる、大きな光のカーテン。ついつい見入ってしまい、お茶を手に二人は思わず無言になる。
 不意に地上へと視線を移したミリアリアは、大きな看板を見つけて指差した。
「あっ、橇を貸してくれるお店があるみたいですよ。どうでしょう、橇遊びでもしますか?」
「それは楽しそうだ。祭壇布、あの店まで道案内を頼むよ」
 祭壇布に道案内をさせながら、頭上の壮大なオーロラをその目に焼き付けるリチャード。
 圧倒されるほどのこの輝きを身体に蓄えれば、きっと明日への力になることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コメテス・シンティルマ
パワードスーツ姿で無事に観光客一家と合流して、通訳のお仕事だ!
……まあ疲れてるけど、なんだかんだで宇宙船の修理とか整備とか、お金がね、いるのです。
それにまあ……目を輝かせてオーロラを見上げてる日常を見るのも、いいかなって。
うん、こんな風に穏やかな日々を守る。
猟兵仕事もなかなかいいかも。
え、明日の予定?うん、延長なら喜んで――
『見つけたぞコミィー!』
ギャー!リチャード!?賞金全部あげたじゃない!!
……え?それはそれ?
賞金稼ぎの仁義はどうしたー!

【ホットライン・ステッカー】でD.Mを呼び出し【ワイヤーガン】で取り付く!
わたしの【逃げ足】は伊達じゃないよ!
ゴメンなさーい!明日の予定は……宇宙です!



 数多の観光客が行き交う町の中、公園の一角にパワードスーツが雪の上に着地した。
「お待たせしました〜!」
 明るく告げるのは、通訳を生業のひとつにするコメテス・シンティルマ(辺境を駆る星 -宇宙漂浪民-・f38707)だ。
「今日はよろしくお願いしますね」
 頭を下げるの、コメテスに通訳を依頼した一家。父と母、子の三人家族だ。
 猟兵としての仕事を終え、無事に合流できたことにコメテスはひとまず安堵する。
「こちらこそ! それでは、まずはどこに行きましょう? やっぱりオーロラ?」
「そうですね、この惑星の名物ですし。何か軽いものを出店で買いつつ、オーロラがよく見える場所まで案内をお願いしたいです」
「承りました! 少し歩いた先に『オーロラ広場』なる場所があるので、さっそく出発しましょう!」
 拳を掲げ、観光客一家とともに歩き出すコメテス。通訳の仕事開始だ。
 元気を翻訳をしてはいくものの、実際のところ先ほどの戦闘による疲労は大きい。だが、彼女にはお金が必要なのだ。宇宙船を所有していれば、修理や整備には何かと物入りになってしまう。
 しかし仕事は仕事、コメテスはサンドイッチやホットドリンクの出店に寄り道をして、オーロラ広場まで一家を案内する。
「はーい、到着でーす! それでは頭上ご覧ください! 街中で見るより、ずーっとはっきり見えますよー!」
 コメテスの呼びかけのあと、観光客一家は同時に空を見上げた。
 3人とも、目を輝かせてオーロラを見つめている。戦う手段を持たぬ者の日常、あるいは穏やかな日々の一幕だ。
 改めて、コメテスは自分の守ったものを認識した。
(「……猟兵仕事も、なかなかいいかも」)
 なんてことを考えて、穏やかな笑みを浮かべる。そうして、コメテスもオーロラを見上げた。
(「こんな報酬もアリかもしれない」)
「——さん? コメテスさん、明日の予定はありますか?」
「えっ? ああ、うん、延長なら喜んで——」
 我に返ったコメテスは、営業スマイルを向ける。続けて延長料金のことを説明しようと料金表を取り出した、のだが。
「見つけたぞコミィー!」
 と、大声が割り込んできた。観光客たちをかき分けて接近してくるその男に、コメテスはもちろん見覚えがある。
「ギャー! リチャード!? 賞金全部あげたじゃない!!」
 先の戦闘で召還した賞金稼ぎ、リチャードだ。コメテスはすかさず一枚のシールに触れる。
「それはそれ、これはこれだ! 覚悟しろォー!」
「賞金稼ぎの仁義はどうしたー!」
 叫び、ワイヤーガンを空中に向けて射出するコメテス。先端がとらえたのは、宇宙船「ディッシュ・ムーン」。通信機としての仕事をしてくれたシールが、船を呼びだしてくれたのだ。ワイヤーを素早く巻き取り、コメテスは宇宙船に取り付く。
 鮮やかな逃げ足に、観光客一家はもちろん、周囲の人々はただただぽかんとしている。
「ゴメンなさーい! 明日の予定は……宇宙です!」
 一家にそう告げて、コメテスは操縦席に座る。宇宙船を操作し、惑星から離脱するために。
 無論、リチャードも小型の宇宙船を呼び寄せて彼女を追いかける。
「待てコミィー!」
「もう、勘弁してよー!!」
 コメテスの行く先は、明日も騒がしくなりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
エスメラルダ・インヴィンシブル(f39197)と一緒。

私達が護ったものをしっかりと実感してもらうために、エスメラルダさんと一緒に惑星に降り立ちましょう。
美しいオーロラを眺めて楽しむのはもちろんですが、それ以上に周囲を散策してこの星の人々の営みを見て回ります。
「私達の戦いがあったからこそ、今こうしてこの景色を見ることが出来るんです」
……ちょっと、説教臭かったでしょうか?

「おお、これは綺麗ですね……初陣を終えた記念です」
スノードームを買って、エスメラルダさんにプレゼントします。
この惑星ならではの土産と言うことであれば、これを見れば
きっと今回のことを思い出してくれると思います。




エスメラルダ・インヴィンシブル
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(f15865)と一緒

「戦いは終わりましたけど……えっ? 惑星に降りるんですか?
オーロラを見ていこう? はい、いいですけど」
ウィルヘルムさんのお誘いを受けて、惑星に降ります。

そして、オーロラもそうですが、周囲を散策するうちに、
ウィルヘルムさんの仰りたいことがわかりました。
猟兵として初陣の私に、私が護ったものを実感させたかったんですね。

「えっ? これを私に? 綺麗……ありがとうございます」
初陣の記念品ですか。嬉しいですね。大事にして、何かあったらこれを見て今日のことを思い出します。

美しいオーロラ、平和な人々の営み、綺麗なプレゼント。
大変、素敵な一時でした。





 惑星に被害は無いようだ。宇宙空間から惑星を見下ろすエスメラルダ・インヴィンシブル(エメラルドの輝き放つ飛空艇・f39197)
は初陣の結果に、そして無事に戦いが終わったことに安堵していた。
「エスメラルダさん、惑星に降りてオーロラを見ていきませんか?」
 そう誘うのは、初陣を共に戦い抜いてくれたウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)。
「はい、いいですけど……何かご用事でも?」
「それは降りてのお楽しみです」
 答え、穏やかに微笑むウィルヘルム。
 エスメラルダは首を傾げつつ、ウィルヘルムと共に惑星へ降り立った。
 細い通りから大きな通りへと抜ければ、観光地ならではの賑やかさが出迎える。
 空を見上げる観光客、温かな飲み物を売る住民。灯る外灯に照らされる、人々の営み。
 街を散策するウィルヘルムの優しい視線は、人々へと向けられている。
 明日の天気だとか、今日もオーロラが見えるだとか、明日のご飯はどうしようだとか、何気ない会話が耳に届く。
 初めてこの惑星を訪れたであろう観光客たちは、物珍しそうに出店やオーロラを見ている。
 ともすれば見落としがちな、ごく普通の風景だ。
「これが……これは——!」
 ウィルヘルムの伝えたかったことに気付き、エスメラルダは目を見開いた。
 ウィルヘルムは立ち止まり、エスメラルダに告げる。
「私達の戦いがあったからこそ、今こうしてこの景色を見ることが出来るんです」
「そう、ですね……とても素敵な景色です」
 あらためて人々を見遣るエスメラルダ。きっとウィルヘルムは、初陣を戦い抜いたエスメラルダに護ったものを実感させたかったのだろう。
 ちょっと説教臭かったかもしれないと思いつつ、ウィルヘルムは通りにある店、その一つを指差した。
「そうだ、土産屋に行ってみませんか?」
「ええ、見てみましょう」
 土産屋の中も、観光客で賑わっている。
 様々な土産物はもちろん、楽しそうに土産を選ぶ人々を見て、エスメラルダは笑みを浮かべた。
 猟兵の仕事は、こんな喜びももたらしてくれるのだ。
 ウィルヘルムも楽しげに土産物を見て回る。
「おお、これは綺麗ですね……そうだ、これを……」
 ウィルヘルムは手早く土産物の会計を済ませ、エスメラルダを誘って土産屋を出た。
 その後は少し歩いて、公園の一角でオーロラを見上げる。
「良いものは見つかりましたか?」
 問うエスメラルダに、ウィルヘルムが小さな包みを差し出した。
「ええ、とっても素敵なものがありましたよ——これを、エスメラルダさんに。初陣を終えた記念です」
「えっ?」
 驚きつつ、エスメラルダは包みを開ける。出て来たのは、この惑星ならではの土産。雪が舞い、オーロラが煌めくスノードームだ。
「これを、私に? 綺麗……嬉しいです、ありがとうございます」
 エスメラルダの手の上で舞う、小さな雪とオーロラ。
 何かあっても、このスノードームを見れば初陣である今日この日のことを、猟兵として護ったもののことを思い出せるに違いない。
「大変、素敵な一時でした。今日は本当にありがとうございます、ウィルヘルムさん」
 スノードームを手に、オーロラを見上げるエスメラルダ。そうして、今日という一日を噛みしめるように目を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年12月23日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#スペースオペラワールド


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト