Principle of Principal
コンフィゼル星系惑星群。
星系を統一せし『パスティリア王国』の統治の下、数百年もの間、長く平和を保ってきた宙域である。
長き統治の間に相応の腐敗や不平等は生じてきたものの、それらが広く社会を傾けるようなこともなく。
人々は概ね、長きに渡る平穏の日々を享受してきたのである。
――だが。その平穏は、突如として破られた。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
コンフィゼル星系第三惑星ラキスティア、王都サグラヴァの王宮に、絹を裂くが如き悲鳴が響き渡る。
其を聞きつけた王国兵達の駆けつけた先は、パスティリア王国の姫君ミルフィールの自室。悲鳴の主は紛い無く彼女だ。
そこで彼らが見たものは。
「こ、これは! 姫様……!」
「あぁっ、兵士の皆様! お、お助けくださいまし……!」
割れた窓の枠から身を乗り出し、外へと飛び出さんとする人影と、その脇に抱えられたミルフィール姫の姿であった。兵達に気付き、縋るように声を上げる姫。
「おのれ曲者! 姫様を放せ!」
「おやおや、随分と動きの速い。長らく平和であった国とはいえ、然程平和ボケはしておりませなんだか」
機槍を突きつけじりじりと間合いを詰めにかかる兵を前に、人影の主――太い柱じみた頭部を持つ異星人は余裕ありげな、なれど何処か皮肉る色合いを滲ます声音でその動きを評し。
「然し、遅い」
そして、割れた窓からその身を宙空へと躍らせる。ミルフィール姫の身を脇へ抱えたまま、かの異星人の身は重力制御ユニットらしき背中の機構によって空へと浮かび。
「姫にはこれより生贄となって頂きます! カスラマ帝国の遺産『星系撃滅艦ヴィアーリス』起動の為のね!」
「あーれー!」
嫌に具体的な己の目的の語りと、姫の悲鳴を残し、空高く飛び去っていったのである。
●
「皆様の奮励努力により、オペレーション・ランページは成功を収め。以て、我々は『スペースオペラワールド』への進出を果たしたのです」
グリモア猟兵、ルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)が語るは、スペースシップワールドにおけるクエーサービーストの群れを突破する一大作戦の成果。作戦の決行に先立って届いた通信に語られていた通り、かの星獣の群れの向こうに在ったのは、スペースシップワールドに増して広大なる宇宙だった。
それこそが『スペースオペラワールド』、無限に等しい程にまで広がる大宇宙。その広大さたるや、これまで猟兵達が冒険や戦いを繰り広げていたスペースシップワールドさえもが、かの世界の片隅、辺境宙域の一つに過ぎないという程だ。
「そして、かの通信にて語られていた通り、スペースオペラワールドにおいてもオブリビオンが現れては人々に禍を齎しております。先に語りました予知も、かの宇宙の一角――『コンフィゼル星系』という惑星群にて起こった事件となります」
曰く。
かの星系を統治する『パスティリア王国』の姫君ミルフィールを、オブリビオンが拉致、誘拐したというのだ。そして、その目的は極めて危険な陰謀の成就の為である、とルナは語る。
「かのオブリビオンの目的は『星系撃滅艦ヴィアーリス』の起動。その為に、ミルフィール姫を生贄に捧げようとしているのです」
ルナが語る処によると。
星系撃滅艦ヴィアーリスとは、かつてコンフィゼル星系の覇権を巡ってパスティリア王国と激しく争った『カスラマ帝国』が建造した最終兵器たる超巨大戦艦のこと。全身に多彩な武装を搭載し、特に主砲の威力たるや惑星一つを跡形もなく消し飛ばす程であったのだという。
だが、かの戦艦は起動直後に暴走。その主砲が真っ先に向けられたのは、建造元たるカスラマ帝国の本星、コンフィゼル星系第六惑星カスラマ。破滅の兵器は、その創造主を惑星ごと消し飛ばしてしまったのだ。
その後、帝国軍の残存部隊とパスティリア軍が一致団結して暴走したヴィアーリスを攻撃。多大な犠牲を払ってかの戦艦を機能停止に追い込んだものの、完全破壊までは至らしめられず。かつて惑星カスラマがあった宙域に遺棄せざるを得なかった、との事だ。
「かの艦は、カスラマ皇家の血を引く者だけが起動できます。カスラマ皇家で唯一生き残った皇女は帝国の滅亡後に当時のパスティリア王国の王子へ嫁いだとの事なので、ミルフィール姫にも皇家の血が流れていると見たのでしょう」
尚、本来ならば起動には生体認証が幾つか必要な程度で、生贄までは必要無い筈なのだが、其処はオブリビオン故に人道無視で手っ取り早い手段を選んだということかもしれない。
「ともあれ、姫様のお命が失われることも、それによって破滅の兵器が起動することも、何としても避けねばなりません。皆様には、姫様の救出と、オブリビオンの討伐をお願いしたく思います」
猟兵達が了承の応えを返すのを確かめ、頷いたルナは本題へと入る。
「オブリビオンとミルフィール姫は、既にヴィアーリスの艦内にいます。皆様には、ヴィアーリスへ突入し両者の捜索をお願いしたく」
だが、艦内には侵入者撃退用の様々なトラップや、防衛ロボットが待ち構えているという。どうやら補助電源はオブリビオンだけでも再起動できたらしい。
「オブリビオンは発見次第殲滅、ミルフィール姫に関しては保護をお願い致します。両者が同時にいる状況の場合、オブリビオンは姫様を人質に取るなどしてくると思われますゆえ、ご注意くださいませ」
如何やら、戦いの中で姫を殺してしまっても目的は果たせるという心積もりらしい。姫に危害を加えられぬような立ち回りが必要となりそうだ。
「それと……如何やら、オブリビオンを打倒しても未だ終わりではないようです。詳しいことは、予知に見ること叶いませんでしたが……」
申し訳ありません、とルナは頭を下げる。それでも、再び顔を上げれば。
「ともあれ。平和な時を過ごしていたかの星系へ、悲劇が齎されることの無きよう――皆様、どうかよろしくお願い申し上げます」
一礼の後、ルナはその手にグリモアを起動。デジタル表示された数字を模したグリモアの光が、カウントダウンを開始し――ゼロになると同時。
溢れた闇が、猟兵達を包み込み――彼らを、かの大宇宙の世界へと送り出してゆく。
五条新一郎
それは紛れもなく奴でした。
五条です。
というわけでついに到達しましたスペースオペラワールド。当方よりも早速シナリオの方お送りさせて頂きます。
悪いオブリビオンに攫われたお姫様を、その命散らされる前に救出してくださいませ。
●目的
『ミルフィール姫』の救出。
姫を誘拐したオブリビオンの殲滅。
●戦場
スペースオペラワールド、コンフィゼル星系外周宙域(旧・第六惑星カスラマ軌道宙域)。
この宙域を漂流する星系撃滅艦ヴィアーリスの艦内が主な戦場となります。
●NPC
『ミルフィール姫』
コンフィゼル星系を統治するパスティリア王国の王女。16歳のスペースノイド。
基本的にはお淑やかですが妙にノリの良い処もある模様。
戦闘では完全に無力ですが、身に着けた何らかの装備により、生身で宇宙空間に放り出されても暫くは問題なく生存可能です。
●第一章
ヴィアーリス艦内を探索する「冒険」です。
艦内には様々なトラップや防衛ロボットが存在し、侵入者へと攻撃を仕掛けてきます。
●第二章
誘拐犯のオブリビオンとの「ボス戦」です。
詳細は章移行時に。
●第三章
章移行後の断章にて公開致します。
●プレイングについて
第一章はOP公開直後から、第二・第三章は章移行後に断章を投稿しますのでそれ以降からプレイングを受け付けます。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 冒険
『宇宙にそびえる黒鉄の城』
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POW : 格納庫を調査する。
SPD : 居住区を調査する。
WIZ : コックピットを調査する。
👑7
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
新世界到着早々、大変なことになっておりますねぇ。
『FAS』を使用し飛行、【征境】を発動し『領域』を形成しますねぇ。
これで『領域』内の仕掛けや罠等の『情報』は全て把握可能ですし、『操作』により発動自体を阻害して進めますぅ。
防衛ロボットも不意打ちは避けられますから、『FMS』のバリアで周囲を覆い守りを固め、『FRS』『FSS』の[砲撃]で対処、『狭所での爆風』等の影響は『領域操作』で防ぎますねぇ。
並行して『FPS』による『探査』も行い、『領域』外まで含めた『施設情報』を調べましょう。
『地図』が得られれば捜索も早くなりますし、件の『超兵器』の情報も役立つ可能性が有りますので。
グリモアベースからスペースオペラワールドへの転移を果たした猟兵達。彼らの目の前には、金属質の壁や床からなる広大な人工空間が広がっていた。その内部構造物の造形は、やたらと鋭角が目立ち妙に威圧的というか仰々しい意匠。シンプルにして機能的な印象の強いスペースシップワールドの戦闘艦とは、その印象も大きく異なるところだ。
此処が『星系撃滅艦ヴィアーリス』、かつてコンフィゼル星系に滅びの危機を齎した最終兵器。今、オブリビオンの手によって甦らされようとしている星系級の災い、その内部だ。
「新世界到着早々、大変なことになっておりますねぇ……」
事件の規模の大きさを思い、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は小さく身を震わせる。惑星を破壊する規模の兵器、他の世界であればそれだけでもカタストロフ級の災厄だ。世界そのもののスケールも大きければ事件のスケールもまた大きい、ということだろうか。
「ともあれ、何とかやってみましょう」
だが、オブリビオンの暗躍があるならば解決するのみだ。頷き、任務を遂行するべくるこるは行動を開始する。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『聖王の加護』をお与え下さいませ――」
奉ずる女神へと祈りを捧げれば、るこるの脳裏に周辺地形の様々な情報が流れ込んでくる。ユーベルコードという形にて発現した加護は、彼女の周囲半径131mに渡って範囲内のあらゆる情報の掌握を可能とする領域として発現する。
「それでは、参りましょうかぁ」
とはいえ、これでも艦全体に比すればほんの僅かな範囲に過ぎない。後は自ら動いて調べねばならぬ。頷き、るこるは背に光の翼を広げ、その身を浮遊せしめて移動を開始する。
船体下部は、どうやら艦載機の生産工場となっているようだった。開けた作り故に探査に苦労はしなかったが、それ故にこの範囲内にはオブリビオンも姫も居ないと早々に結論付けることとなった。
ならば、別の区域の探査を行わねばなるまい。工場エリアの一角にある通路へと入り、移動すること暫し。
「――と。そこですねぇ」
るこるは前後に八枚の銀盤を展開、各々を頂点とする立方体状のバリアを形成し守りを固める。直後、前後の壁や天井で幾つも光が煌めいたかと思えば、そこから放たれた何本もの光線がるこるを目掛け撃ち放たれ――バリアによって妨げられた。
それはこの艦の防衛システムの一つたる設置式砲台。壁面や天井から音も無く展開され、侵入者を光線にて焼き殺す為の兵器。その静穏性は侵入者に気付かれ躱されぬ為のものなのだろうが――知覚拡大領域を形成していたるこるの認識を欺けるものではなかった。
お返しとばかりに、るこるの周囲に展開していた浮遊球体群が熱線を照射。展開された砲台を狙い違わず撃ち抜き、焼き融かして破壊せしめる。障害を排除し終え、るこるは更に先へと進む。
途中、赤外線レーザーによって封鎖された通路を見出すが、バリアで身を守ることでこれを突破。行動の継続に支障は無し。
「この先にロボットが展開していますねぇ……作業用、ではなさそうです」
曲がり角の手前に差し掛かったるこるは、その先の通路にて何機かのロボットが稼働している様子を知覚した。武装していることも把握済み。防衛戦闘目的のロボットと見て間違いないだろう。
ならば先手必勝。翼を広げて角から飛び出せば、ロボット群が反応するより先に浮遊砲台群の砲口を向ける。放たれた熱線と炸裂弾とが、侵入者に気付いた瞬間のロボットへと一斉に着弾。盛大な爆発を以てこれらを一瞬で吹き飛ばしてみせた。狭所で爆発性の兵器を用いれば己も爆風の煽りを食う可能性が有り得たが、今のるこるが有する加護は領域内のあらゆるものの操作を可能とする。己の砲撃で生じた爆風もまた然り。それは全て別方向へと逃がされ、るこるへと浴びせられることはない。
「――と」
ロボットの残骸を乗り越え、更に進むるこる。少し進んだところで、その傍らに浮かんでいた涙滴状の結晶が、徐に淡い光を明滅させ始めた。るこるに何かを伝えんとしているかのようだ。
「……ふむふむ。この先の部屋に端末があるのですねぇ」
それは周辺探査の機能を持つ祭器。これ程までに広大な艦、加護の力を以てしても探査にはなかなか骨が折れる。もっと手軽に情報が得られるならそれに越したことはないだろう。感知された情報をもとに、るこるは通路の先の部屋を目指す。
部屋の扉には電磁トラップが仕掛けられていた為、加護の力を以て触れずして開放する。その先の部屋は、どうやらオペレーターが詰める部屋の一つであったらしい。
祭器を介してアクセスを試みれば、展開されるのは船内の地図。やはり巨大に過ぎるこの艦、此処までの歩みで把握できた範囲は、加護の力によるものも含めてもほんの僅かでしかなかった。
「ですが、凡その当たりは付けられそうですねぇ」
ヴィアーリスを再起動するには、カスラマ皇家の血を引く者による認証が必要。であれば、その認証を行う場所か、或いはその近くに姫もオブリビオンもいると考えるのが自然だろう。
艦内に幾つかある指令室、或いは艦後方の動力区画。この辺りであろうと見当をつけ、其処までの道筋も調べ上げる。後はトラップ等に注意しながらこれらの地点を目指すだけだ。
頷き、るこるは再び探索を開始する。調べた道筋に沿って、迷うことなく。
成功
🔵🔵🔴
カフ・リーメ
救出対象、殲滅対象を認識
…敵艦内での作戦行動、未知の技術による防衛機構に警戒
突入と同時に【星彩風】発動、捜索開始
障害となる防衛機構は可能な限り射撃、確実に破壊
対処が困難、或いは突破時に救出対象や友軍に危険が及ぶ場合は迂回を考慮
整備用の通路や換気ダクトを探索、進入可能であれば利用し奥部へ移動
捜索中、艦内システムに接続可能な端末等があれば情報収集
防衛機構への干渉が不可でも、設備の稼働状況が分かれば捜索範囲を狭めることは可能
動力を補助電源のみで賄っているなら、供給先の設備や区画は限定しているものと推測
得られた情報は友軍に共有、捜索を効率化
…時間経過に応じて救出対象の危険度増大、迅速に行動
(――救出対象、ミルフィール姫。殲滅対象、異星人型オブリビオン)
星系撃滅艦ヴィアーリスの艦内へと降り立ったカフ・リーメ(支援戦闘員・f38553)は、此度の任務目標を改めて確認する。此度が猟兵として初めての任務となる彼女だが、其処に必要以上の気負いは無い。其は或いは、かつて己を生み出した移民船にて受けた訓練の賜物だろうか。
(敵艦内での作戦行動、未知の技術による防衛機構に警戒)
視線を巡らせ、艦内の様子を確かめる。己が知るスペースシップワールドの航宙艦と比すると随分と装飾過多というか無駄の多い内装だが、技術レベルは彼方よりも更に高い世界。己の知る技術の範囲では想像もできない罠が仕掛けられている可能性も充分に考えられる。警戒が必要だ。
(――装備に異常無し。捜索活動を開始する)
一通りの確認を終えると共に、カフは一歩を踏み出し――一瞬後には正面の通路の中へと飛び込んでいた。ユーベルコードを起動し、その機動速度を一気に加速、飛翔状態へと移行したのだ。
通路を飛翔するカフの速度は、実に時速1000kmにも達する。その速度の前に、殆どの罠は起動が間に合わず置き去りとされるばかり。壁の中に格納されていた迎撃砲台が展開される間に、カフはその横をすり抜けて曲がり角を曲がる。
(迎撃ロボット群を確認)
曲がり角の先には、浮遊する球状の防衛ロボットが複数待ち構えていた。最初から迎撃態勢を取っていれば、カフの速度にも対応は叶う。機体の正面に据えられた砲台から放たれるは、高密度のエネルギー散弾。それを複数機が一斉に連射し始めれば、散弾は空間を埋め尽くさんばかりの物量で以てカフへと襲い掛かる。
(回避機動経路策定、実行。並行して反撃を行い、これを破壊する)
なれどカフはそんな中にも回避経路を見出し、散弾の雨の間を軽やかに飛翔。数発がその褐色の肌を掠めるものの、損傷は軽微。片手に携えていた小型熱線銃を構え、ロボット群の先頭に在る一体へと狙いを定める。
引鉄を引く。放たれる黄緑色の高エネルギー光線は、その狙いを大きく外すことなく、ロボットの中心点付近を射抜く。光線に貫かれたロボットは、直後に内側から弾けるように爆発し破壊される。その間に、カフは次のロボットへ熱線銃を向けていた。連射すると大きな反動のかかる銃ではあるが、単発での狙撃ならばその出力の高さを存分に発揮できる。
攻撃を躱し、構えて、撃つ。其を繰り返した末、遭遇から十数秒程でロボット群は全滅。床へと散らばる残骸の上を飛び越え、カフは更に先を目指してゆく。
(……!)
だが、その進行は中途で一度止まらねばならなかった。前方、進行方向を塞ぐように高出力のエネルギーが展開されている。その直前で停止したカフは、高エネルギー反応の正体を知る。
(電磁バリアの展開を確認。発生装置の外部露出は確認できず)
発生装置の破壊はどうやら不可能。然しこのまま飛び込めば、例え一瞬の接触であろうと即座に黒焦げになってしまうだろう。通路を引き返すしかないか、そう判断しかけた時、発生装置を探して天井へ視線を向けていたカフは気付く。
「……あれは」
天井の一部に、幾つかの穴が開いているのが見える。その向こうにはどうやら空間があるらしい。戦艦の艦内にこのような穴があるとなれば、その理由は一つしかあるまい。
熱線銃を数度打ち込むと、継ぎ目の無かった天井から蓋が焼けて落ちてくる。その後には、人一人が入り込むに丁度良い空間が開けていた。どうやらエアダクトのようだ。カフは飛翔し、その中へと飛び込んでゆく。
(……移動に支障無し。罠の類も存在しない模様。警戒しつつ進攻する)
狭いエアダクト内部ではあるが、小柄なカフならば移動するにそこまでの不自由はしない。飛翔の要領でダクト内を滑るように進んでいきながら、途中の通気孔越しに眼下の状況を確かめてゆくこと暫し。
(電算室を発見。艦内システムへのアクセスが可能か試みる)
幾つものコンピュータが立ち並ぶ部屋を、通気穴越しに見出したカフ。艦内のシステムに干渉できれば、捜索活動の大きな助けとなるのは間違いないだろう。そう判断し、再び熱線銃で蓋を焼き切り室内へと降りてゆく。どうやら、室内には警備システムの類は展開されていないようだ。
端末の一つへと左手を伸ばせば、目の前の空間に幾つものホロディスプレイが投影され、其々に様々な文字列や数値の一覧やグラフ等が現れる。どうやら艦内システムへのアクセスが成功したようだ。
(警備システム停止は、セキュリティの防御が堅いと判断。設備稼働状況を確認する)
グリモア猟兵の話によれば、現在この艦の機能は補助電源のみで稼働しているとのこと。であるならば、稼働させる設備や区画は、オブリビオンにとって必要なものに限定しているだろうと――即ち、それを元に捜索範囲を絞り込むことが可能である、とカフは推測する。
(――艦内中層後部と、上層部。電力はこの区画に集中している模様)
調べた結果、現時点で重点的に稼働しているのはこれらの区画である。即ち、オブリビオンとミルフィール姫がいるのは恐らくこの辺りだ。
(……救出対象の危険度、増大中。迅速なる捜索を要する)
電算室を出たカフは、己の持てる全速で以て艦内を駆けてゆく。時間が経てば経つ程、手遅れになる可能性は高まる。一刻も早く、姫のもとへと辿り着かねば。
成功
🔵🔵🔴
暗都・魎夜
【心情】
こんな宇宙の果てにも悪党ってのは尽きねえもんだ
正義の味方なんてガラじゃねえが、破滅の兵器なんかのために女の子が死ぬなんてのは放っておけねえぜ
【戦闘】
UCを使って隠密行動
「闇に紛れる」「暗視」を用いて見つからないようにして移動
戦って負ける相手とは思えねえが、初めて来た場所だ
何が起きるか分からないし、ここは慎重に行っておくか
「失せ物探し」「偵察」「索敵」で誘拐犯のオブリビオンの正体と戦力を探りつつ、ミルフィール姫のいる場所を探す
星系撃滅艦ヴィアーリス、とんでもねえスケールの兵器だな
こんなものが転がっているって言うんだから、宇宙ってのは本当に広いぜ
エメラ・アーヴェスピア
また随分と広い世界になったものね…
まぁ、仕事である以上、どんな所でも向かうのが猟兵なのよねぇ…
…それじゃあ、猟兵の仕事を始めましょうか
こういう所での探索は得意なの
『
ここに始まるは我が戦場』展開、【偵察】による【情報収集】と同時に
辺りの配線から無理やり【ハッキング】、こちらも情報収集よ
そして集めた情報を
同僚さん達に流しつつそちらをサポート
可能ならばハッキングによって罠や警備の無力化も行うわ
私は前に出るより同僚さん達のサポートに回った方が確実なのよね
そういう訳だから、援護は任せなさい
※アドリブ・絡み歓迎
「また随分と広い世界になったものね……」
「ああ、星系撃滅艦なんてスケールの兵器があるぐらいだしなあ。宇宙ってのは本当に広いぜ」
星系撃滅艦ヴィアーリス、その広大なる艦内の様相を見渡しながら、エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は肩を竦め、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)も彼女に対し同意を示す。
何しろ、このスペースオペラワールドは無限にも等しい程に広大な宇宙の世界であるという。星系一つを破壊してしまえる程の兵器が普通に存在している辺りも含め、あらゆる物事のスケールが他の世界とは桁違いだ。
銀誓館学園のOBである魎夜は、シルバーレインにおけるかつての戦いの中で宇宙に出たこともあったが、あの戦いで見たものすらも広い宇宙のほんの一片でしかなかったのか、と改めてその広大さを実感した様子。
「まあ、仕事である以上、どんな処でも向かうのが猟兵なのだけどね」
「こんな宇宙の果てにも悪党ってのは尽きねえもんだしな」
なれど、この広大なる宇宙にもオブリビオンが現れては災いを齎さんとしている。であれば、これを阻止せんと戦うのが猟兵というものだ。
「それに、正義の味方なんてガラじゃねえが、破滅の兵器なんかのために女の子が死ぬなんてのは放っておけねえ」
「違いないわね。それじゃあ、猟兵の仕事を始めましょうか」
魎夜の言にエメラも頷き。以て、探索活動を開始する。
「こういう所での探索は得意なの。索敵や探査は私に任せておきなさい」
言って、エメラは大量の缶型機械を周囲に展開する。実に600個以上の機械群は次々と変形、魔導蒸気機関にて空を飛ぶドローンへと変化を果たす。
「こいつは有難いな。これなら隠密行動もやりやすくなりそうだ」
頭上を飛び交う幾つものドローンを見回し、魎夜は感心したように笑う。慣れぬ環境での任務、何が起こるか分からぬ故に慎重な行動をと考えていた彼にとって、情報面でのサポートがあるのは大変に有難い。
「なら、俺はどんどん先に進むとするか」
魎夜が得物たる七支刀を構えると、炎を模したるその刀身から闇のオーラが溢れ、彼の身を包み込み――そして消失せしめる。『黒影剣』、かつての魔剣士のアビリティの一つと本業能力が一つとなったが如きユーベルコード。以て、彼の存在は視聴嗅覚によって感知不能の状態となった。
「それなら、これを持っていきなさい。探査報告はそれ経由でするわ」
それを見たエメラが言うと、魎夜がそれまでいた場所――エメラにも今の魎夜の姿は見えない――へ向けて缶型に戻したドローンを投下する。受け取って見れば、携帯端末じみて様々な情報が収まっているのが認められた。
「おう、有難うよ。それじゃ、行くとするぜ」
応えると共に、魎夜の気配がエメラから離れてゆく。探索を開始したのだろう。其を認めて、エメラはドローンから送られてくる探査結果を纏め、整理してゆく。
探査結果を送信し、魎夜の持つ筐体と情報を同期させ共有を図る。徐々に探査範囲を広げていきつつ、並行して艦内ネットワークに接続できそうな場所を探しにかかる。
(配線から無理矢理やるつもりではあったけど……ちゃんとしたアクセスポイントがあるなら、そっちを使った方が効率的ではあるわね)
外部からの探査だけでは得られない情報も、内側に潜り込めれば見出し得る筈。そう考え、エメラは更に送られてきた探査結果を纏めてゆく。
一方の魎夜。缶型機械を介して伝わる情報を確かめつつ、通路を歩んでゆく。
道中、逆関節歩行機械型の警備ロボットとすれ違う。魎夜の纏う闇は、生物の視聴嗅覚のみならずロボットの類似感覚をも欺いてしまえるのだ。
「――と。この先の床に感圧式のトラップスイッチ有りか」
通路を歩む途中で足を止める。エメラの調査によれば、ここに圧力を加えると発動する何らかの罠のスイッチが在るのこと。どんな罠かは不明だが、踏まぬに越したことはない。今の状態でも、感圧式スイッチは反応してしまうが故に。
「だいたいあの辺までか……おし」
エメラから届いた情報を元に、スイッチの展開範囲の規模を確認。距離はそれなりにあるが、猟兵の身体能力を駆使すれば跳び越えられない距離ではない。魎夜は意を決する。
「……行くぜ……!」
疾走、トラップ設置位置手前で踏み切り、一気に大跳躍。トラップのすぐ上を飛び越えてゆく。
そして着地点は、トラップ設置位置より更に向こう。仮に尻餅をついたとしても、感圧トラップの範囲に入ってしまうことは無い。そして、そのような間抜けな事態になってしまう魎夜ではない。
「ふう、何とか跳び越えられたな……っと」
周辺の状況を確かめると、魎夜は再び歩き出し――其処に、エメラからの更なる情報提供。だが。
「……おおおぉ
……!?」
思わず驚愕の声を上げてしまう魎夜。それまでに比して、明らかに情報量が多い。何故かといえば。
「端末が生きてて助かったわね」
艦内の一角、艦内ネットワークへの接続用端末を発見したエメラ。早速とばかりにアクセスを試みた。
「警備システムへのハッキングは……守りが堅いわね。別の情報から探っていきましょ」
罠や警備の無力化を為すべく警備システムのハッキングを試みるが、此方はセキュリティが厳重。突破には時間がかかるということで、まずは目標の居場所の手がかりを探りにかかる。
「艦体上層部の指令室、中層部最後部の動力室……この辺りかしらね」
監視カメラの画像を引き抜いて来れれば良かったが、どの画像にもオブリビオンも姫も存在を確認できず。だが、それは逆に監視カメラが存在しない領域にいるという予測を成り立たせる。
「まずはこの辺のデータを送信。後は警備システムの掌握ね」
集めたデータを魎夜のもとへ送信すると、警備システムを守るセキュリティと戦うべく、エメラはハッキングツールを握る手に力を込めた。
「成程、指令室と動力室か。まずは手近な方を当たるとするかね」
合わせて送られてきた艦内の地図を睨み、思案すること暫し。此方だ、と魎夜が選んだのは指令室方面。
「さぁて、どんな奴がいるかは分からないが……」
誘拐犯たるオブリビオンの性質について推察を試みんとした魎夜だが、外見以上の情報に乏しい現状故にあまり推理は捗らず。後は直接対面して確かめるより他に無さそうだ。
ならば前進するのみ。指令室を目指し走り出す魎夜、その途上に煙を吹いて壊れる自動砲台や警備ロボット達を見送り、更なる奥へと駆けてゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
悪の帝国にさらわれたお姫様!
これだよ!これこそがボクが求めていたロマン!
行くよ、ウィーリィくん!
仕掛けられたトラップを【罠使い】で仕掛ける側の立場に立つ事で見抜き、【見切り】で回避しながら進んでいく
防衛ロボットはウィーリィくんと互いの死角をカバーし合いながら倒していく
敵を見つけ次第【クイックドロウ】【先制攻撃】でブラスターをお見舞いし、隠れた位置にいる敵も【シャークショック】で逃がさないよ!
姫様の居場所は海賊の勘(【宝探し】)で探してみるよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
SSWの外側にまだまだ世界が広がってたなんてな。
どんな食材があるのか楽しみだけど、まずは悪い奴をとっちめないとな。
罠はシャーリーに任せ、俺は警備ロボット対処をメインに。
シャーリーへの攻撃を鉄鍋の【盾受け】で【かばう】と共に【カウンター】の【飢龍炎牙】で蹴散らしていく。
問題は攫われた姫様の居場所だが、【聞き耳】で彼女の助けを求める声を頼りにそこを目指していく。
船内は広いからあちこち探し回る必要があるけど、その辺はシャーリーの勘を信じるか。
「悪の帝国にさらわれたお姫様! これだよ! これこそボクが求めてたロマン!」
星系撃滅艦ヴィアーリスの艦内を歩みながら、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は興奮気味に語る。かつて大海を舞台に冒険を繰り広げた海賊の子孫として宇宙海賊を名乗っていた身にとって、浪漫溢れる冒険は何よりも希求するもの。そして、今や名実ともに宇宙海賊となった彼女にとって、攫われた姫の救出というのは大きな浪漫を感じさせる冒険と言えるようで。
「お、おう、そうだな」
然しパートナーたるウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はというと、今一つその浪漫に乗り切れていない感じがあるようだった。無論、多くの人の命がかかっている状況故に、任務を遂行せんとする意志に紛いは無し。
「俺としては、どんな食材が手に入るかってトコに興味が湧くんだよなぁ」
一方で、彼は料理人を志す者として未知の食材にこそ興味を寄せている様子。広大極まりなきスペースオペラワールド、手に入り得る食材の種類も相当なものが予想されるが。
「でも、まずは悪い奴をとっちめないとな」
「だよね! よっし、行くよウィーリィくん!」
何にしてもまずは任務の遂行だ。ウィーリィが言うのにシャーリーも意気高く同意を示し、意気揚々といった風に通路を進んでゆく。その歩み、ともすればウィーリィを置いて行ってしまいそうな程に軽やかなものであったが。
「――っと、そこだね!」
だが、周囲への警戒を忘れてしまう程に浮かれてはいない。徐にマスケット銃型熱線銃を抜けば、壁や天井を目掛けて数度発砲。壁の中から展開されてきた砲台群を正確に撃ち抜き、これを破壊せしめた。
「あ、ウィーリィくん、そっちの壁には触らないように気を付けてね」
更に追いついてきたウィーリィには、壁面に何らかの仕掛けがあると見て近づかぬよう注意を促す。彼女自身も罠の扱いに長けるが故の経験則から、この辺りに罠が仕掛けられているだろうと予測したものだ。
シャーリーの判断に従い、罠があると見た壁と反対側の壁際に沿って移動。無事にその場を踏破する。
その後もシャーリーが罠を見つけだしては二人それぞれ躱す、という手段にて艦内を進むこと暫し。床に仕掛けられた電磁パルス地雷をブラスターで誘爆させ、踏み込んだ先は何やら広大な空間。幾つかの柱が立ち並ぶ他には何もない奇妙な空間ではあるが。
「わ、大きい部屋! ……だけど、こういう部屋……なんか、嫌な予感がする」
部屋をぐるりと見回して、シャーリーはそんな懸念を口にする。中途半端な位置に存在する大部屋というもののお約束。それは。
『『『侵入者を発見、排除します』』』
『『『侵入者発見、排除開始』』』
『『『シンニュウシャ、ハイジョ』』』
直後、広間に幾重にも響く電子的な音声の数々。見れば、ドローンや二足歩行型のロボットやホバーで移動するガードメカ等々、多種多様な警備ロボットが、広間の四方八方から次々に現れ、二人を包囲しにかかってきたのだ。
「へっ、いっぱい出てきやがったな!」
シャーリーと互いに背中合わせで身構えるウィーリィ、不敵な表情で得物たる大包丁を抜く。その刀身には、既に紅蓮の炎が纏わりついて。
「進んだ文明の防衛ロボットだろうと! 俺の炎から逃れられるものか!」
そして振るえば、放たれるは龍の姿を模した紅蓮の炎。広間狭しと駆け回るそれらが、ロボット太刀を悉く飲み込み、焼き尽くしてゆく。
「おっと、逃がさないんだからっ!」
僅かに生き残ったロボットも、シャーリーの撃ち放ったブラスターの熱線を浴びて止めを刺され。警備ロボットの大群は、一瞬にして全滅の憂き目を見たのである。
「ところでシャーリー」
「ん?」
大包丁を再び背に収めつつ、ウィーリィがパートナーに問う。
「俺達が向かっている先は、姫の居場所でいいんだよな?」
どうやら、絞り込める確たる証も無いままに探索を勧めてきて、そこが不安になったようだ。
「大丈夫! こういうのは大体どんな場所に『お宝』があるかってのは、だいたい相場が決まってるものだよ」
なれどシャーリーは自信満々に言ってのける。お宝というのは概ね、ダンジョンの一番奥に隠されているもの。であるならば。
「入口から一番遠い、大事そうな部屋! そこにお姫様はいるはずっ!」
そんなシャーリーの判断に、納得したかのように頷くウィーリィ。改めて、彼女の判断のもと探索していくことに決めたとか何とか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
テリブル・カトラリー
生贄、星系撃滅艦……嫌な響きだ、まったく……。
マシンヘルムでの【索敵】及び【戦闘知識】からトラップのありそうな所を警戒しつつ、通路を移動。
【戦争腕・停滞】発動。
邪魔をする防衛ロボットを鈍化させ、機械刀で【属性攻撃】溶断。
或いは、他の防衛ロボットやトラップへの盾にする。
また【怪力】併用で其処らの
重量物を退かし通路を作る。
何処に何があるかも分からない。敵の詳細も分からない以上、
塞がれている所も調べておいた方が良いだろう。
端末があれば【ハッキング】し稼働している兵器の停止や、
アクセス記録、艦内の【情報収集】を行う。
王女や件の誘拐犯の位置、この艦そのものについてもできれば知りたいが……。
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※愛機搭乗済
流石超巨大戦艦、キャバリアでも一応通れるね
そして技術一巡の為か外見が古くても中身はアタシの標榜科
ってわけでココは電脳戦でスマートに侵攻・探査かな♪
…キャバリアや電脳絡みって、現地人にはどう見えるのかね?
例外処理【
エンコーデッド・ディシジョン】
実行
《瞬間思考力》で生体電脳をフル稼働
罠のセンサーから侵入して《データ攻撃》展開
諸々の差異・障害は都度《プログラミング》で突破
結果大半の罠は沈黙して防衛ロボットも篭絡♡
ローテク罠は《操縦》テクで躱したり破壊で対処だよ
更にデータ類や技術資料も《瞬間記憶》で確保♪
星系撃滅艦ヴィアーリスの中央上部、艦体を縦断するかのように走る長大な通路を、蒼き重装型のキャバリアが歩む。
何らかの大型機械が出入りする為に設けられた通路であるのか、キャバリアであっても通行が可能な程度の幅と高さがある。流石は超巨大戦艦、と搭乗者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)は感心したように呟く。
『多数のウォーマシンの運用が考慮に入っている、というのもあるだろう。此方の通路も全体的に広く作られている。ウォーマシン同士が通路で行き会ってもすれ違えるだろうな』
そこへ通信が届く。キャバリアでは立ち入れぬ通路からの探査を請け負ったテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)からだ。自身もウォーマシンである彼女である、その推察はそう的外れなものではないだろう。
「なるほどねぇ。ま、おかげでアタシは助かるんだけど♪」
悪戯っぽい笑みを浮かべて応えるリーゼロッテ。現在彼女が搭乗する愛機『ナインス・ライン』は、物理的な戦闘能力もさることながら電脳戦においても高い性能を有している。ヴィアーリス内部の必要以上に仰々しい意匠からは古臭い印象すら感じられるが、その中身は間違いなく高度な科学力によるもの。ならばリーゼロッテの標榜科という処だ。
「そんな訳で、始末に負えない敵とか罠とかあったら、呼んでくれれば対処するよ♪」
『有難い。可能な限り自力で対処するが、厳しそうなら手を借りるとしよう』
テリブルが装着するマスク型のマシンヘルムを経由することで通信を確立している両者だが、これを中継してテリブルの周囲に対する電子的干渉もまた可能、とリーゼロッテは請け負う。電脳ネットワークが繋がる限り、彼女の手は何処までも伸びるのである。
一旦通信を終了し、リーゼロッテが改めて乗機周辺のスキャンを実行すると。四方八方から張り巡らされた赤外線レーザーや電磁ネット、更にはあちこちから熱線を放つ砲台が顔を出してはナインス・ラインを狙い撃たんとするさまが見て取れた。
それら全てを、リーゼロッテは持ち前の電脳を駆使して瞬時に把握する。そして搭乗席においてコンソールを操作すること数秒を経れば、展開されんとした罠の悉くが格納されてゆく。リーゼロッテの手によるハッキングを受け、制御権を完全に奪われたのである。
「これでもう罠は完璧に無力。ロボットで守ろうったって――」
ほくそ笑むリーゼロッテ。そんな彼女を止めんとばかり、西洋甲冑じみた意匠のキャバリア大の人型ロボット達が周辺通路のそこかしこから現れ、ナインス・ラインを抑え込まんと迫ってゆくが。
振り上げた剣の間合いに踏み込むよりも前、がくんと大きく震えると同時にその歩みが突如静止する。そして数秒後、再び動き出した時には、ナインス・ラインの進む道を譲らんかのように左右へと退いてみせた。
「無駄だよ、電脳制御されてるモノでアタシを傷つけられはしないさ」
自信を以て言ってのけるリーゼロッテ、なれどその言葉通り、最早彼女とその乗機を攻撃しようとする存在は瞬く間に駆逐されてしまっていた。そしてこの場にいない敵へも脅威を齎す為、そして艦内の情報を掌握する為。リーゼロッテは無力化したトラップを介して艦内のネットワークへとアクセスを開始した。
一方、通路の探査中のテリブル。張り巡らされた赤外線レーザーを、マスク型マシンヘルムの感知システムを駆使して躱しつつ、ふと思う。
(――それにしても。生贄、星系撃滅艦。……嫌な響きだ、まったく)
居住可能惑星の失われたスペースシップワールド、その経緯を思えば、惑星をも軽々と破壊してしまう兵器など忌むべきものと言って差し支えない。かつてはかの宙域でも、こうした兵器が用いられていた可能性がある。己がかつて属していた、銀河帝国の手によって。
(そんな兵器の再利用など、何としても止めねばならんが……むっ)
そこまで考えて一度思考を中断する。向かう先のT字路、左右から機械的な歩行音がする。丁度、リーゼロッテが遭遇したロボット警備兵を一回り小型化したような鎧騎士型のロボット達だ。その数は決して少ないものではないが――単純な数の不利だけで苦境に立たされるテリブルではない。
片腕を掲げる。表面を覆う装甲の隙間から蒼い光が漏れ出し、周囲を淡く照らす。通路の結節点にて左右から合流した機械兵達がその光を受けた刹那、目に見えてその挙動が鈍化する。
それはテリブルの換装パーツの一つ『
戦争腕・
停滞』。敵対者の行動速度を大幅に減じせしめるフィールドを展開する代物だ。その速度差は実に10倍にも及ぶ。
そして、それだけの動きの鈍った敵を仕留めることなど、テリブルにとっては造作も無い。無造作な踏み込みから、機械刀を抜刀。赤熱する刃を一振りすれば、如何にも頑丈そうな装甲に鎧われた機械兵の身体が紙のように斬り裂かれその場へ倒れる。
そのまま数機を斬り倒したところで、背後の敵が装甲を展開し銃器を構えてきたのが認められた。流石にこれは、発射される前に対応が必要だろう。戦争腕を伸ばし、片腕を斬り落とした機械兵の身体を鷲掴みにすると、そのまま力任せに投擲。激突せしめ、諸共に叩き伏せた。
「――む」
機械兵の一団を全滅せしめた処で、テリブルは通路の傍らに一つの扉を見出す。あれだけの数の機械兵が守っていた区画、何か重要な情報が手に入る可能性もあるだろうか。扉を開き、中へ踏み入る。
踏み込んだ室内は、何やら執務室めいた内装になっており、壁一面に分厚い古書――を模した記録端末が収まっている。その内容にも興味があるが、今はそれ以上に重要な情報を探す必要がある。
正面の執務机に埋め込まれた情報端末にアクセス、ハッキングを試みる。まずはネットワークへのアクセス履歴を確認。数日前に数件、そして今日に十数件。今日の分は恐らく、他の猟兵達が同様に情報収集を試みた跡かもしれない。
そしてアクセス地点を探り出せば、艦の上層部――指令室などがある区画からのものが最も多い。やはり、敵はこの範囲に居ると見るのが良さそうか。恐らくは、姫もこの付近に。
「――Dr.リリー。聞こえるか」
一通りの情報を回収し、テリブルはリーゼロッテに呼びかける。彼女の流儀に従った愛称呼びにて。
『あいよ。丁度良かった、こっちも今連絡しようと思ってたところさ』
リーゼロッテからの応答は然程の間を置くことなく返ってきた。曰く、彼女もまた、ハッキングによる艦内情報の取得を完了した処とのこと。
互いに取得した情報を共有すれば、重複部分はより精度の高い情報として裏付けられ、片方のみが取得した情報が不足分を補強する。以て、目的達成には十分な情報が揃ったと言えるだろう。
「艦の上層部。此処に救出目標と殲滅目標、双方がいる可能性が高い。此処を目指して移動を開始する」
『了解、こっちも向かうとするよ。流石に途中でキャバリアを降りる必要がありそうかな……』
確認を終え、行動目標の明確化が果たされた。上層へ至る経路の策定も十全だ。ならば後は向かうのみ。改めて、二人は其々に行動を開始する。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メナオン・グレイダスト
・SPD
ふむ。不思議と興味深い世界であるが……オブリビオンとの戦いは相変わらずか。
まあ、良い。この灰色の魔王も手を貸そう。
敵巨大戦艦の内部に潜入し、敵勢の撃破と重要人物の保護を行う。
敵勢や罠を排除するのは言うまでもないが、重要人物が人質に取られる可能性も想定しておく。
銃砲群を展開し艦内を進撃。罠に対しては先んじて破壊ないし敢えて発動させることで無効化を図る。上手くいかず損傷を受けても灰色砂塵の生成・変化による自己修復で対応する。
敵勢は、そうだな。【グレイダスト・ギフト】……灰色の魔王の力をくれてやろう。
対価は身体の自由だ。抵抗は無意味である。
我輩の手駒となり、我輩の目的のために尽くすがよい。
菫宮・理緒
いよいよスペースオペラの開幕!
そしてその先駆けとして、お姫様が攫われるとか、お約束を解ってる世界だね!
疑問点もあるけど、まずはお姫様を助けないとはじまらないね。
スパイとまではいかないけど、わたしだって潜入は得意なんだから♪
艦内に潜入したら【Greasemonkey】を使ってみんなにプリンセスの居場所を探してもらって、
わたし自身は物理的な姿を【アイリス・ギア】で消して、
電子的な姿は希ちゃんにお願いしてジャミングかけて隠してもらって進もう。
これでだいぶ安全にいけるはずだよね。
それでも見つかっちゃったら、逃げの一手!
戦うとキリがなさそうだもんね。
艦内のマップは……希ちゃん、希ちゃーん! ナビしてー!
「いよいよスペースオペラの開幕!」
星系撃滅艦ヴィアーリスの上部から侵入を果たした菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)、何やら妙に高揚している様子。
「そしてお姫様誘拐案件! お約束を解ってる世界だね!」
どうやら、この手の世界に対して彼女なりの拘りがあるようだ。そのテンションから見るに、どうやらスペースオペラワールドの様相は彼女の解釈と一致しているものと思われる。
「そういうものであるのか」
一方、彼女と共に侵入を果たしたメナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は、彼女がそこまで高揚している理由が今一つ理解できていないようではあるが。理緒の返答も「そういうものなの!」とフィーリング重点だった。
「しかし……ふむ。不思議と興味深い世界ではある」
とは言え、興味を惹かれるのは彼もまた同様の様子。その理由は彼自身うまく語ることは叶わぬが、或いはこの無限に等しい宇宙の世界に何か惹かれるものを感じているのだろうか。とはいえ。
「だが、オブリビオンとの戦いは相変わらずのようだ」
お姫様誘拐案件の犯人は異星人型のオブリビオンであるという。ならば、この世界もまた猟兵の力を必要としているということだ。
「だねー。疑問点もあるけど、まずはお姫様を助けないとはじまらないね」
その点は理緒も正しく認識している。これまでにない高度な文明を有する新たな世界、分からぬことは多かれど。
「よーっし、お姫様救出、頑張っていく、よー!」
「良いだろう。この灰色の魔王も手を貸そう」
改めて意気高くその意志を示す理緒に、メナオンも同意を示し。以て、探索活動開始と相成った。
「みんな、手伝ってー」
携えたタブレット端末を操作し、理緒は早速
電脳魔術を行使。空間に走る01ノイズの間から、輪郭をばちばちと弾けさせる電子の妖精達が次々と飛び出しては周囲へと散らばってゆく。その数、実に131体にも及ぶ。
「でもって、これを使って……っと」
続いて取り出したるは、虹の幾何学模様が描かれた小さな歯車。これを握り込んだ理緒の姿があっという間に透けていき、ものの数瞬で透明人間と化すに至る。携えた歯車の魔力のよるものだ。
「ほう、不思議な品を持っているものだ」
透明化を為さしめた歯車を見て、メナオンは興味深そうな反応を見せる、とある古代帝国の遺産であるというが、果たして。
『これ一個しかないから、メナオンさんを透明にするコトはできないんだ』
そんな彼に対し申し訳なさそうに応える理緒。己はこれとジャミングによる存在欺瞞にて身を隠せるが、同行者――メナオンまではどうしようもない、と。
「構わぬ。我輩は我輩の力を以て状況を突破する故にな」
なれどメナオンもまた、己の持てる力を以て任務を遂行する意志を示してみせる。即ち、灰銀色の砂塵――ナノマシンを以て形成した銃砲群を展開してみせながら。
『そ、か。それならせめて、情報面でのサポートはさせてもらうね』
その威容を前に納得した理緒、なれどやはり何らかの力にはならんとそんな提案をする。具体的には。
『――希ちゃんが!』
即ち、サポートAIによるナビである。これまで他の猟兵達が収集した情報により、救出対象と殲滅対象は共に艦体上層部の司令室、或いは中層後部の動力室周辺にいる可能性が高い、との情報が示されていた。
「ふむ。それならば、一つ利用させて貰うとしよう」
メナオンとしても、情報面での援護は願ったりだ。特に含む処無く、申し出を受けることとした。
そんなこんなで移動を開始した二人。目的地がある程度明確というのもあり、その足取りは迅速。道中には罠も幾つも仕掛けられていたが。
「我輩の征く道、その程度で阻めると思わぬことだ」
砂塵で形作った銃砲群が一斉に火を噴き、通路に散布されていた電磁機雷を次々と破壊してゆく。一帯を盛大な爆発音が暫し支配するが。二人への影響は一切ない。
『よーし、それじゃ先へ進もっか――って、ちょっと待って!?』
爆発に伴って生じた電磁波の影響が消えたところで、先へ進まんとする二人。だが、理緒が大変なことに気付きストップをかける。
『こっちへ向かって来る反応がいっぱい……! 多分、警備ロボットだよ……!』
今の爆発の音を聞きつけたのだろうか、周辺の警備ロボット群が集結しつつあるという。まともに戦えば猟兵とて無事ではすまない規模、撤退が最良ではないかと理緒は見るが。
「何、問題は無い。我輩に任せておけ」
メナオンはあくまでも落ち着いて、それらを迎撃する構え。灰銀の砂塵が渦を巻き、その濃度を更に高めてゆく。その間に、警備ロボット群が二人のもとへと到達。騎士然とした人型、小型のドラゴンのような形状、様々な形状の戦闘機械が、一行へと攻撃を仕掛けんとして――
『――え?』
頓狂な声を漏らす理緒。集結した警備ロボット達が、突如同士討ちを開始したが故に。
「そうだ、我輩が先へ進む道を拓く手伝いを為すが良い」
一方のメナオンは、その様を冷徹に見据えながら言い放つ。その状況を現出せしめしは彼の用いたユーベルコード。その身体からナノマシン製のインプラントを形成するのと引き換えに、肉体の制御権を奪うというもの。以て戦闘機械群を、己の手駒と変えて同士討ちを促したのだ。
以て開かれた道を、二人は更に進んでゆく。目的地は、すぐそこだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『侵略宇宙人・正体隠匿形態』
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POW : クレセントビーム
【背中の月弧から放たれる黄金色の光線】が命中した部位に【重力エネルギー】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : 宇宙近接格闘術
【頭突き】【蹴たぐり】【ボディスラム】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : キャプチャー怪光線銃
【重力光線】【炎熱ビーム】【冷凍ビーム】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
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ヴィアーリス最上層、制御区画。動力を含めた艦内機能の大半を司るこの区画にて、オブリビオンたる異星人は異変を察知していた。
「防衛システム及び監視システムへのハッキング……セキュリティをこうも容易く突破してくるとは、王国にも随分腕の立つ電脳魔術士がいるようですね」
感心げに呟くオブリビオン、一方彼とガラス一枚隔てた先、何やら儀式場めいた部屋に拘束されているミルフィール姫は「そんな方おられましたっけ……?」みたいな顔をしていたが。
「ですが、遅い。救出部隊が此処まで辿り着くより先に、生贄の儀式は果たされる」
なれどオブリビオンは余裕げな様子でコンソールを操作する。儀式場の壁から何本ものアームが伸び、先端の銃口を姫へと突きつける。
「ひぃっ!? お、お助けー!?」
「ハハハ、助けは間に合いませんよ。後はパスコードを入力し進捗バーが100%になった時、貴女の命は終わり――この星系撃滅艦が完全復活を遂げるのです!」
悲鳴を上げるミルフィール姫に対し、何処か恍惚げに笑いながらコンソールを操作するオブリビオン。ディスプレイに、内部処理進捗を示すバーが現れ、示される数値が徐々に増加を始める。
「さあ、いよいよヴィアーリス復活の時です! この力を以て、全宇宙の星々と人々を壊し尽くし、殺し尽くし、破滅を齎すと――」
高らかに叫ぶオブリビオン、己の野望の成就も秒読み段階に至ったとばかりに高揚した様子で――
猟兵達が突入を果たしたのは、まさにその時であった。
「――おやおや。思ったよりはお早い到着ですね」
猟兵達の姿を認めたオブリビオン、なれど慌てず焦らず、落ち着いた声音で彼らに対する。
「ですが、もう間に合わない。姫の余命は最早数分足らず。そして貴方達に、その数分で私を倒すことはできない」
その余裕の理由は、時間さえ稼げば己の勝ちであるという事実と、己にはそれが可能であるという自負によるもの。
なれど彼は知らない。今相対するその敵は、いずれもが不可能を可能とする一騎当千の存在達であるということを。
「己の無力を噛み締め、無為に死ぬが良いでしょう!」
そして襲い来る異星人オブリビオン。彼を打倒し、姫の命を脅かすシステムを停止せしめよ!
※戦場は制御室+儀式場となります。猟兵とオブリビオンは制御室におり、ガラス窓と扉一枚隔てた先に姫のいる儀式場があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
間に合った以上、後は止めるだけですねぇ。
『FAS』を使用し飛行、『FMS』のバリアを展開した上で【磨寶】を発動し『水晶球』を召喚、一気に仕掛けましょう。
通常射撃等は強化したバリアで弾き、『光線』は強化された『FIS』で空間を歪め逸らして対処、尚『祭器』含め当たりかける様なら『転移』に回して回避しますねぇ。
時間を掛けられない現状で有れば『水晶球』の時間制限の影響は最小、後は攻撃に使える全『祭器』を集中させ、一気に叩きましょう。
攻撃能力のない『FPS』は『制御室から儀式場への干渉』という行為に『概念結界』を展開、多少でも進捗を遅らせられれば、止める為の時間が得られますので。
「間に合った以上、後は止めるだけですよぉ」
携えたハンドガン型の銃を突きつける異星人を前に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はあくまでも自然体で其処に在る。
「残念ですがそれは不可能です、私が此処に居るのですからねぇ!」
対する異星人オブリビオンは言い放つと同時、るこるを目掛けて発砲。不思議な形状のその銃からは、稲妻めいた光線が撃ち放たれてるこるを襲う。
「なんのぉ!」
然しるこるは背よりオーラの翼を広げ天井近くまで飛翔、初撃を躱す。更に銀盤型と水晶柱型、涙滴結晶型と三種の祭器を展開。銀盤がバリアを形成して、追撃と放たれる光線を防ぎ止める。
「バリアですか! ですがそんな薄っぺらいバリアでいつまでもこの光線を防げますかねぇ!」
だが、光線を食い止めたバリアからはガラスがひび割れるかのような軋み音が響く。この光線、祭器たるバリアをも貫き得る程の威力を持つということか。
(成程、自信満々なわけですねぇ)
納得するるこる。とはいえ、何らかの対処をしなければ遠からずバリアは破られ、光線が己の身を貫くだろう。故に、るこるは両手を合わせて祈りを捧げる。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、荘厳なる神意の宝玉よ、私の元へ」
そして手を広げれば、広げた両手の間に光が集束し――やがて、一抱え程の大きさの水晶球が其処に現れる。現れた水晶球が光を放てば、展開した祭器群もまた淡い光に包まれ――
「くくく、このまま突き破ってくれ……ま、しょう……?」
このままいけばるこるのバリアを破れる、そう確信していたオブリビオンの声音がトーンダウンする。バリアの輝きが強まると共に、光線の命中点から響く軋み音が徐々に小さく――否、全く聞こえなくなる。
「残念ですが、もうその光線は効きませんよぉ」
そしてるこるは自信ありげに宣言する。彼女がユーベルコードを以て呼び出したその水晶球は、祭器の性能を強化する機能を有する。以てバリアの強度を高めたことで、撃ち込まれる光線を完全に防ぎきることが可能となったのだ。
「ほう、ならばこれはどうでしょうかね!」
なれど異星人は怯まず。その背に負う三日月型の機構が輝いたかと思えば、其処から放たれる眩い光線。銃から放たれるそれよりも遥かに高出力のそれはユーベルコードの産物、今のバリアをも破壊してしまえそうな代物と見えるが。
「それを受けるわけにはいきませんねぇ」
「……何ぃ!?」
だが、光線はるこるの前で90度に曲がって壁へと突き刺さった。驚愕する異星人。まるで空間が歪められたかのような、物理的に有り得ない軌道。一体何が。
答えは、実際に空間が歪んでいた為である。るこるが展開した水晶柱型の祭器が輝き、彼女の前方の空間を捻じ曲げて光線の軌道を曲げてみせたのである。
「では、今度は此方の番ですねぇ」
今度こそ怯んだオブリビオン、その隙を見逃すことなくるこるは動く。元より、儀式の完遂前にこの敵を倒さねばならないのだ。速攻で叩く必要がある。
展開されるは浮遊砲台や宝珠を始めとした種々の浮遊兵器群。これもまた水晶球の力にて強化された代物だ。
(儀式の進捗は遅らせていますが、速攻できるに越したことはありませんからねぇ)
涙滴結晶型の祭器は、概念結界によって儀式場への干渉を抑制することで、儀式の進捗を遅延している。とはいえあくまでも遅延、悠長にやっていればどのみち間に合わなくなる。ならばやはり速攻を決めねば。
「このまま一気に叩かせて頂きますねぇ」
そして一斉に放たれた砲撃が、オブリビオン目掛けて一斉に叩きつけられ。決して小さくない傷を齎してみせた。
成功
🔵🔵🔴
カフ・リーメ
救出対象を確認、殲滅対象を捕捉
…早急な対処が必要、戦闘開始
【星彩風】発動、操作コンソール側に回り込みつつ敵へ射撃
開始直後は出力を抑えた牽制のみ、制御室の設備への誤射は厳禁
コンソール側を確保し、敵による儀式場への干渉を防止
確保後、敵への精密射撃を開始
近接格闘による競り合いは不利、射撃姿勢および位置を柔軟に変更し回避
距離を保ちつつ四肢や頭部、武装と思われる箇所を狙い、敵の戦闘能力を減殺
人型の急所に命中可能な好機の瞬間、敵への致命傷となるよう出力を上げて射撃
…異星系の戦闘員の能力、保有する兵器、戦術等、有用な情報と判断
救出対象の安全確保に支障のない範囲で、友軍を含め可能な限り情報を収集し記録
菫宮・理緒
電脳魔術師としては腕のふるいどころでもあるけど、
なにより、こういう使い方は、ね。
ここの
デバイスさんたちが可哀想だよ。
久しぶりに本気でいっちゃおうかな。
艦のシステムにハッキングをかけたら、全デバイスリンク。
希ちゃん演算サポートとリソース管理任せるよ。
【電脳潜行】でサイバースペースに入り込み、【ストラクチュアル・イロージョン】を【多重詠唱】して、ウイルスを流し込んで儀式を妨害していこう。
ミルフィール姫のフィードバックがありそうなら、わたしが全力で阻止するよ。
もしフィードバックをなくせそうにないなら、わたしに全部シフトさせちゃおう。
かぁいい子のためなら、多少のダメージなんてご褒美だもんね!
エメラ・アーヴェスピア
早めに見つけられたのは行幸ね
猟兵を相手にそう簡単に事は運ばないという事を教えてあげましょうか
さて、残り数分足らず、というのならその数分を伸ばしてしまいましょうか
システムに【ハッキング】し、可能ならば儀式や姫へ危害を与える物の停止、無理でもできうる限り時間を伸ばしましょう
他にも可能な猟兵はいそうだけど、戦いながら行うのは難しいでしょう
その点、私自身は戦闘ではあまり役に立たないから手が空いているわ
代わりに敵の相手をするのは彼よ、『死闘制すは我が白槍』
手数の戦いならばその槍で間合いに入らせず、確実にダメージを与えなさい
相手を【情報収集】し、予測演算が向上すれば更に加速、圧倒するわ
※アドリブ・絡み歓迎
「うぐ……っ、なかなかやるではないですか……」
爆風の中から現れた異星人オブリビオン、その身の至る所が焼け焦げ傷ついているが、未だ負傷は軽微と見え。
「ですが、凌いだならば私の勝ちです。儀式は順調とは言えませんが進捗している」
制御盤のモニタに視線を向ければ、進捗バーは40%にまで増加している。この調子で守りきれば、儀式の成就は成る――
「救出対象確認、殲滅対象捕捉。戦闘開始」
「ぬおっ!?」
其処に状況確認の言葉と共に飛来するのは黄緑色のレーザー光線。制御室へと突入してきたカフ・リーメ(支援戦闘員・f38553)が放ったものだ。
「ふん、ですがその程度当たりませんよ!」
突然の攻撃にこそ面食らったが、放たれるレーザーの狙いは粗い。難なく躱す異星人だが、カフとしても回避されることは織り込み済み。何故なら彼女の目的は。
「コンソール確保。これより敵の干渉行為抑止行動に移る」
即ち、儀式場の各種装置の操作を行うコンソールの確保である。そして。
「ありがとー! こっちはわたし達に任せといて!」
「背中は任せるわ。彼にも手伝わせて構わないから」
コンソールに駆け寄るのは菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)とエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)の二人。電子戦を得意とする彼女達、儀式を進行するシステムをハッキングしその妨害を試みようとしていたのだ。
彼女達の背を守る形となるカフの隣には、長槍を携えた白い蒸気機械仕掛けの騎士。エメラの呼び寄せた魔導蒸気白騎兵である。
「了解。友軍と連携し抑止行動を遂行」
頷くカフ、並び立つ白騎士と数瞬目を合わせると、共に前方のオブリビオンへと向き直る。
「浅薄、実に浅薄! 小娘一人とローテクの木偶風情で私を止められる筈も無し!」
嘲るように言い放つオブリビオン、素早く踏み込み白騎士の槍の間合いを侵さんとするが。
「ぬっ!」
眼前を通過する火線を察知、半ば反射的に足が止まる。カフが牽制に放った熱線である。
「残念ですねぇ、その程度の不意打ちなどお見通し……っ!?」
カフへと浴びせられようとした嘲笑混じりの言葉は、しかし中途で苦悶混じりに中断される。繰り出された白騎士の槍が、異星人の脇腹を浅く抉っていた。
更にカフが追撃とばかりにレーザーを立て続けに撃ち放てば、異星人オブリビオンは堪らず飛び退き距離を取る。
「ちぃ、小癪な真似をしてくれますねぇ……!」
油断なくカフと白騎士を見据えつつ漏らした声音は、幾分が余裕が減じているようにも聞こえる。なれど、敵の負傷は未だに軽微。戦いは未だこれからというところだ。
「友軍の基本戦術、及び基礎連携行動を確認、把握。戦闘行動を継続」
白騎士の戦闘スタイル及び戦術方針を把握したカフ、その確認とばかりに呟くと、オブリビオン目掛けてレーザーを連射しながら機動を開始。白騎士が居るならば一足飛びに理緒やエメラを攻撃される恐れは無いと判断したのだ。
一方の白騎士は、構えたる槍の間合いにオブリビオンを捉え、素早くその穂先を繰り出してゆく。隙のない槍捌きの前に、敵は踏み込んでの連続攻撃を加えることもできぬ。
光線と槍の同時攻撃がかの異星人を攻めたて、反撃を封じながら、敵の身へと傷を重ねてゆく。
一方の理緒とエメラは、コンソールを前に各々のハッキングツールを展開する。
「電脳魔術師としては、腕の振るいどころでもあるけど……何より、こんな使い方は、ね」
星系を破壊する為に作られた艦の、罪なき姫君を生贄として殺害する為のシステム。そんな役目しか担えぬ
デバイスは可哀想、と理緒は考える。
「役目を完遂する前に――早めに見つけられたのは僥倖、という処ね」
理緒のそんな心情を完全には理解できぬまでも、ある程度の共感は感じ得る。エメラは彼女なりの言葉でそんな応えを返してみせる。
「それじゃ、猟兵相手にそう簡単に事は運ばないという事を、あの頭でっかちに教えてあげましょうか」
「うん。わたしも久しぶりに本気でいっちゃおうかな」
続けて呼びかけるに理緒も応え、二人は其々にコンソールへとハッキングツールを接続。直後、理緒の姿がノイズと化してその場より消失する。
「あら。直接乗り込むなんて大胆なことをするのね」
ツールを介して伝わるシステム内部の状況を見て、エメラは瞳を瞬かせる。今現在己が見ているコンソールのシステムプログラムを疑似的に表現したサイバースペースの中に、理緒の姿を見出した為だ。
『本気でいくって言ったしね! わたしは中から妨害をかけるから、エメラさんは外から援護よろしく!』
コンソール脇のスピーカーから理緒の声。即ち、中と外からの同時ハッキング攻撃を仕掛ける形だ。
「了解。面白くなってきたわね」
ほくそ笑むエメラ。以て、儀式を妨害する為の電脳戦が幕を開けたのである。
サイバースペースの内部は、アックス&ウィザーズを思わせる西洋風の城の大広間の形を取っていた。広間の奥には、十字架に磔とされ意識の無いミルフィール姫。そして入口からは、竜を思わせる意匠の鎧を纏った騎士達が現れ出る。この騎士達が姫のもとへと辿り着くことが、即ち生贄儀式の完遂を意味するのだろう。
「そんなことはさせないんだからー!」
広間の中心へと降り立った理緒は、その身から無数のカプセルを騎士達目掛けて発射する。カプセルが騎士達へと命中すると同時、溢れた液体が騎士へと浴びせかかって、その身を瞬時に溶解せしめる。溶け落ちた身は沼じみてその場に残り、其を踏みつけた騎士にもまた同じ運命を強いる。
それは理緒の展開したウイルスプログラムの、サイバースペース内における形状。即ち儀式の進捗プログラムを阻害し、破壊せんとするもの。広間の入口を溶解沼塗れとし、以て儀式を進行不能に至らしめんというのだ。
だが、敵も儀式の進行を諦めはしない。広間に別の扉が現れたかと思うと、騎士達が其処から殺到してくる。此方はウイルスを駆逐せんとする目的のプログラムなのだろう、剣を抜き、理緒へと斬りかからんと迫り来る。
『残念ね、彼女だけじゃないのよ』
其処へエメラの声が届く。蒸気仕掛けの機械鳥達が何羽も舞い降りたかと思えば、その嘴の中から機関銃が出現。掃射を繰り出し、理緒へ迫る騎士達を蜂の巣としてゆく。
対して騎士達は背より竜の翼を生やし、機械鳥達とも交戦を開始。次々に撃ち落とされてゆく機械鳥達、なれど騎士達もまた撃ち抜かれ落とされ、機械鳥は続々と増援によって増えてゆく。
勿論、理緒もウイルス散布にてシステムへと攻撃を仕掛けその停止を狙う。カプセルを受けた騎士達が次々に溶け落ちてゆく――だが、それだけでは済まなかった。
「わわっ!? 騎士さんが姫の方に行っちゃうー!?」
カプセルを受けて溶け落ち始めた騎士の一人が、姫の方へと特攻じみた飛び込みを試みたのだ。命中してしまえば、姫の精神に何らかの悪影響があるだろうことは間違いない。何としても止めねばならないが。
「ううっ、消去コマンドかけても落ちない……!」
『溶け落ちかけだってのに頑丈ね……!』
理緒が消去コマンドを入れても消えないその存在質量は異様の一言。その溶け落ちゆく騎士の肉体は、十字架上のミルフィール姫のもとへと飛んでいって――
「させないんだからー!!」
そこへ横合いから理緒が弾丸じみた勢いでタックルをかけた。吹っ飛ばされ、部屋の中でぐずぐずに溶け落ちていった騎士。一方の理緒の身にも、ゲル化した肉が纏わりつき。その周囲を焼き焦がされるような苦痛が彼女を襲う。
『無茶をするのね……』
感心とも呆れともつかないエメラの声に応えるかのように、理緒は薄い胸を張る。
「かぁいい子のためなら、多少のダメージなんてご褒美だもんね!」
『……あぁそう』
堂々宣う理緒。対するエメラのコメントは呆れ100%であった。
そんなことがありつつも、二人は襲い来る敵を撃退し続け。以て、儀式の進行を妨害してゆく。
一方の実空間。
「ぐぬぅ……! ええい、退きなさいこのポンコツめ……!」
苛立ちの声を上げる異星人オブリビオン。最早先程までの余裕は微塵も無い。白騎士を突破せんと四肢を振るうが、その動きの機先を制するかのように振るわれる槍を前に身を裂かれるばかり。
「敵の挙動パターン情報参照、行動予測完了」
更にはカフも、敵の挙動の先を読んだかのようにレーザー射撃を繰り出す。此処までの交戦から、敵は近接格闘攻撃を狙った立ち回りを主とし、携えた光線銃による攻撃を其への布石として用いるというデータが取れていた。そのデータを元に、白騎士の攻撃を凌いでの反撃パターン予測を構築し其に沿った攻撃を繰り出しているのだ。
「煩わしい、全く煩わしい! お前達如きにこの私が……!」
最早慇懃無礼な態度を保つこともできないらしく、憎々しげに吐き捨てるオブリビオン。だが、それによってある種の覚悟が決まったらしい。迫る白騎士の槍を、避けようともせず。
「が……っ! ……ですが、捉えましたよ……!」
脇腹に槍を受け、鮮血をしぶかせる――と同時、抱えるようにして槍を掴む。それまで巧みにオブリビオンの攻撃を捌いていた白騎士の動きが止められる。
「掴んでしまえば此方のもの……! 疾くスクラップにしてくれましょう!」
そしてそのまま白騎士を引き寄せ、巨大な頭部での頭突きを喰らわす。怯んだ白騎士の身へと掴みかかったオブリビオンは、かの蒸気騎士の身を抱え上げ。そして床へと思いきり叩きつけんとして――
「このまま叩き潰れなさ――がはっ!?」
抱え上げた白騎士を振り下ろさんとした、その刹那。腋から胸を真横に貫通する、熱い感触。そして迸る、猛烈なる激痛。異星人の頭部を覆うヘルメットらしき構造物の隙間から、夥しい量の液体が溢れ出す。吐血であろうか。
「最大出力射撃、命中。敵へのダメージ、甚大と推測」
カフである。白騎士を掴んだことで動きを止めたオブリビオン、その状況を好機と捉えた彼女。熱線銃の出力を最大限にまで上昇させ全力での射撃を敢行したのだ。
そしてその射撃は、見事に狙った位置――腋から胸部に至る急所を刺し貫き。見立て通りの甚大なダメージを、かの異星人に与えてみせたのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
つまりこのチマキ野郎を数分以内に倒せばいいんだな!
行くぞ、シャーリー!
奴の格闘術は手数は多いが間合いは短い。
後衛はシャーリーに任せて俺は前に出る。
【ダッシュ】で一気に前に出て、奴が対応しようとしたところを【見切り】、【カウンター】で【超音刀工】を連続で叩き込み、大包丁自身の斬撃と四方八方からの衝撃波で奴が手も足も出ないようにし、シャーリーの攻撃のチャンスを作る。
奴を退けたらガラスをぶち破り姫様を助け出す!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
さて、お姫様救出タイムアタックの開始だね!
行くよ、ウィーリィくん!
ウィーリィくんが敵を押さえている間に【クイックドロウ】で【援護射撃】をしながら周りを駆け回って【罠使い】【ロープワーク】で足元にワイヤーを張り巡らせ、準備が出来たら合図を送って敵の足元を絡め取って動きを止める
そこへウィーリィくんの攻撃に合わせて【クイックドロウ】【乱れ撃ち】の集中攻撃!
敵をやっつけたらコンソールに向かい、【ハッキング】【早業】でシステムを妨害し、儀式へのカウントダウンを停止させる
お姫様の救出はウィーリィくんに任せたよ!
「おおおおお!!」
「ぬおぉっ!」
振り下ろされた大剣が如き大包丁を、異星人オブリビオンは飛び退き躱す。ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が繰り出した一撃を凌いだオブリビオンは、着地の反動を今度は前方跳躍へと転化。その巨大な頭部での頭突きをウィーリィ目掛けて繰り出す。
「何の……っ!」
ウィーリィは大包丁の刃で以て頭突きを受ける。伝播する衝撃がウィーリィの身をも揺さぶって来る。この頭部は相当に頑丈であるのか、大包丁の刃とぶつかり合ったにも拘らず大して傷ついた様子が無い。
「ウィーリィくんっ!」
横合いからシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の声と共にブラスターの熱線が迸る。追撃を繰り出さんとしたオブリビオンだが、断念して飛び退き熱線を躱す。
「くくく、随分と慎重なことです。ですが良いのですか?」
着地したオブリビオンは、如何にも余裕綽々といった様子で嗤ってみせる。先行した猟兵達によるものだろう、その身に刻まれた傷は決して浅いものではないが、彼は理解している。
「こうしている間にも、ミルフィール姫の余命は着々と減っている。残りは果たして1分でしょうかね? それとも2分?」
嘲笑じみたニュアンスで以て言い放つ。その1分或いは2分を守りきれば己の勝ちであることを理解しているのだ。彼の傍ら、儀式場の装置を制御するコンソールの上部モニタには『50%』と表示された進捗バー。あれが100%に至った時が、即ちタイムリミットということだ。
「成程な。つまり――」
オブリビオンの挑発を意に介さぬかのように、ウィーリィは身構える。大包丁の柄を握る手に力を込める。
「――その1分2分の間にお前を倒せばいいってコトだな、チマキ野郎!」
そして言い放つと共に疾走を開始。成程、あの頭部の形状は粽のように見えないこともない。
「お姫様救出タイムアタック開始ってコトだね!」
ウィーリィの動きに応ずるようにシャーリーもまた走り出す。オブリビオンの周囲を回るように走る彼女は携えたマスケット銃型ブラスターを連射し、敵の動きを制限にかかる。
「小細工など無駄ですねぇ!」
嘲るような声音で言い放つオブリビオン、迫るウィーリィへと足払いじみた蹴りを繰り出しにいくが。
「無駄なのはそっちだぜ!」
「何!?」
だがウィーリィはその攻撃が来ることを解っていたかのように跳躍、同時に大包丁を凄まじい速度で以て振り抜く。マッハ5を超えるその速度はオブリビオンの対応速度を余裕で超え。
「ぐわぁぁぁっ!?」
鋭い斬撃に胸を裂かれ、鮮血を撒き散らしながらよろめく異星人オブリビオン。それでも反撃を試みんとするが。
「ええい、調子に乗るんじゃ……っ!?」
己の目の前に残る衝撃波によって、足を止めることを余儀なくされる。それはウィーリィが繰り出したユーベルコードを伴う斬撃。振り抜いた軌跡に三日月型の軌跡を残し、追撃を為す斬撃である。
「よっし、そこだっ!」
「な……がぁぁっ!?」
衝撃波を前に足踏みしたその瞬間こそ、シャーリーが狙った最大の攻撃機会。直後、己の脚へと鋭く食い込んできた細い感触に両脚を纏めて縛められ、オブリビオンは愕然と驚愕の声を上げる。
それはワイヤーによる拘束トラップ。シャーリーがオブリビオンの周囲を巡り駆けて張り巡らせたものだ。こうして好機を捉え、確実な攻撃を敵へ撃ち込むために。
「このまま一気に焼けちゃえっ!」
そして動けぬ異星人オブリビオンへと降り注ぐ熱線の雨。シャーリーの超高速の指捌きで以て放たれる、ブラスターの超連射である。まさにスコールの如き勢いで浴びせられる熱線が、オブリビオンの全身を貫き、焼き焦がしてゆく。
「が……っ、まだ、まだです……!」
だが、オブリビオンは尚も立つ。故に、姫の救助に動かんとした二人は再び彼へと警戒を向けざるを得なかった。
「もう暫し、倒れず凌ぎきれれば……私の、私の勝ちです……!」
それまで儀式の停止も、姫の救出も行わせない、と。気迫を以て言い放つ。なれど、その身に深い傷を幾つも負っているのもまた事実。
儀式の進捗率は70%。制御室での戦いは、最終局面へ至らんとしていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
暗都・魎夜
【心情】
宇宙人と言うからには、もっとイカとかタコみたいなもんかと思ったら、よく分からねえ格好だな
面が見えないのは不安なところだが、殴って倒せる相手みたいで安心したぜ
【戦闘】
「師匠が言ってたぜ、"悪が滅びるのは宇宙の法則だ"ってな、行くぜ。イグニッション!」
制御室の高台から登場して、「ジャンプ」で肉薄する
UCによって足場を作り、三次元的に移動しながら「フェイント」「足払い」を絡めた攻撃を行う
敵の攻撃に対しては「見切り」で対応
その動き、宇宙空間でもある程度対応できる戦法って印象だな
だが、床以外の足場を使うやり方なら、俺も得意分野だ
「(誰何の言葉に)通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
「(オブリビオンに)こちとら、ガチの宇宙人と戦う経験が少なくてな。お手柔らかに頼むぜ?」
一応、昔それっぽいデザインのゴーストは見かけたけど、あれは偽物だったしなあ
ミルフィール姫に対して、「コミュ力」付きのサムズアップを送って安心させる
「助けに来たぜ、お姫様。すぐ終わるから、帰る準備して待っていな」
テリブル・カトラリー
敵性対象の迅速な鎮圧を行う。
対ビームコーティングの施された超重金属の大盾を前にし、ブースターで自身を【吹き飛ばし】、敵へ向かって突進。
クレセントビームを【盾受け】、推力と、片腕の【怪力】で敵の重力操作に抵抗し、【シールドバッシュ】強引に大盾で押し潰しに掛り、敵に大盾を爆破させる。
……。
【フェイント】
『戦争腕・側衛兵』発動済み。
大盾の後ろで防御ビットの召喚と、
大盾を持たない方の腕を大型ブラズマブレード腕に【早業】換装。
防御ビットを大盾の後ろに配置し、爆破から片腕以外を守り【継戦能力】
【推力移動】で自身を押し込み、ブラズマブレードで【なぎ払い属性攻撃】
斬り滅ぼす。
メナオン・グレイダスト
・WIZ
──ふたつ、言っておこう。
お前はまだ勝っていない。
そして、お前はもはや勝てぬ。
銃砲群を生成し周囲に展開、強襲鎧装を自らの身に纏うように構築しつつ。
怪光線銃から放たれる射撃に銃砲群から放つ弾幕で対抗し、時には銃砲を盾にしつつ(命中し次第自壊、のち再生成)自身への被弾を避ける。
そうして儀式場に、姫に接近し。
──【グレイダスト・クライシスゾーン】。我輩の意のままだ。
制御室と儀式場を隔てる扉や壁を。姫を捕らえ脅かしているシステムを。
UCの効果範囲とフネに危害を与えない範囲において一瞬で灰色砂塵と化し、同時に変質させ、姫を守る可動式の防壁となす。
魔王らしくはないが……猟兵としては、妥当であろう?
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
解析通り、大型通路はココまでか
んじゃ【シフト・T】で愛機を等身大アーマードレスに変換
そして機体同様にドレスを生体電脳と《瞬間思考力》で
《操縦》すればアタシの身体能力はキャバリア並♪
増長の隙にオペ61番【F・エコー】開始
探知用思念波で座標を掴んだら姫との白兵距離へ転移
攻撃対象は姫…の拘束具とアーム等儀式用施設♪
特に右手の【サルース・ブレイド】は束縛特効の神剣
その権能で姫を解き放ったら、異星人に向けて自律射出&巨大化
ガラスをぶち破るついでにコンソールへ縫い止めてやるよ
で、ミルフィール姫の余命が何だって?
こう見えてアタシは医者でね、誤診は訂正しようか
…余命宣告されるのはアンタだよ、人攫い♪
「もうすぐ……もうすぐだ。もう暫し守りきれば……私の勝ちだ……!」
唸るように呟きながら、儀式の進捗モニタを睨む異星人オブリビオン。現在進捗90%。儀式の発動までは、残すところ一分も無い筈だ。
だが無論、このまま儀式の成就とはいかさぬ。制御室の扉を勢いよく突き破り、新たな猟兵が姿を現した。
「敵性対象を確認。これを迅速に鎮圧する」
制御室に踏み込んだのはテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。オブリビオンの姿を認めると共に、左腕に保持した大盾を前へ構える。ウォーマシンたる彼女の身をも半ば以上隠す程に巨大な、超重金属製の盾だ。
直後、テリブルの身が飛翔する。背部のブースタによって己が身を吹き飛ばし、一気にオブリビオン目掛けて肉薄せんと突撃を敢行したのだ。
「ちぃっ、次から次へと! ですが、そのような力押しで私を抑えられるとでも!」
迫るテリブルに対し、オブリビオンの背にする三日月型機構が輝きと共にビームを照射。重力操作能力を有するその光線、防ぎ止めた大盾の重量が一気に増すのを、テリブルは腕部アクチュエータ越しに理解する。
「まだだ……」
腕部出力を最大限に解放。重量の増した盾を保持しつつ、ブースタの推力で強引に機動を維持。ビームを受ける前の飛翔軌道を保ちながら、そのまま盾でオブリビオンへ体当たりを仕掛けんと――
「ぬぅ、悪足掻きを! ならば……こうです!」
尚もビーム照射を続けるオブリビオン、徐に突き出した手を握り込む。直後、テリブルの大盾が赤熱する光を放ったかと思えば、光は瞬く間に激しさを増すと共に大きく膨れ上がり、そして――爆発。夥しい爆炎と爆煙が弾け、それらは一気にテリブルの身を呑み込んでいった。
「大人しく盾を下ろしておけば良かったものを、当然の報いです。そして――」
見下すように言い放ち、そして両腕を広げる。視線の先、モニタの進捗バーが残る数値を刻む。95、96、97――
「さあ、間もなく儀式が完遂される! 私の勝ちだ! そして、今日という日を、このコンフィゼル星系が滅びる最期の日としてくれましょう……!」
半ば恍惚となって叫ぶ異星人オブリビオン。モニタの中、進捗バーが、98、99――
――ブラックアウト。
「……は?」
呆然とするオブリビオン。100%へと到達する、その寸前に。モニタの光が落ち、画面には電源未投入状態の如き黒が映るのみと化したのだ。
何故。オブリビオンの脳裏に浮かんだその疑問。答えるように、涼やかなる声が届いた。
「――ふたつ、言っておこう」
聞こえる声は儀式場から。見れば、儀式場の中。ミルフィール姫しか居なかった筈の其処に、更に二つの影が在る。少年と少女。
「お前は、まだ勝っていない」
声の主は、そのうちの少年の方。メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)。儀式場に、灰色の砂塵が舞う。
「そして。お前は、もはや勝てぬ」
宣言する。既に、かの異星人の勝利条件は潰えたと。それが証拠に、拘束されていた筈のミルフィール姫は、既にその場で己の足にて立っており。
「や。遅くなったけど助けに来たよ、お姫様♪」
微笑みかける少女――のように見える女性、先程まで搭乗していたキャバリアをアーマードレスへと変換して纏ったリーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)が、その傍らに在ったのだ。
「え、あ、ありがとうございます……! ま、まさか、助けて下さる方がこんなにいっぱい……」
助けられたミルフィール姫は、驚きながらも安堵したかのような表情でリーゼロッテとメナオンを見つめる。若干衰弱はしているようだが、その身に大きな障りは無しと見える。
「な……に……!? 馬鹿な、儀式場の封鎖は完璧だった筈だ、無理に抉じ開ければ生贄プログラムが強制発動して――」
愕然と喚くオブリビオン。強行突入などして姫が無事で済む筈が無い、との抗弁に、しかしリーゼロッテはクスクスと笑い、メナオンは肩を竦めてみせる。
「簡単なコトさ。アタシは直接この部屋に転移したんだからね♪」
「そして我輩が室内設備を全て砂塵と変えた。このようにな」
答えながら、メナオンがその手を掲げれば。制御室と儀式場を隔てる壁とガラス窓とが一斉にその形を失い、銀色の砂塵――メナオンの手足たる粒子状物質へと変化する。あらゆる無機物を己の意のままとする、メナオンのユーベルコードである。
砂塵はミルフィール姫の周囲へ集束し、何枚もの浮遊する壁を形作ってゆく。敵意に反応して姫を守る、可動式の防壁である。
「その壁の後ろに居るが良い。あの異星人を仕留め次第、迎えに来る」
振り向き、姫へと告げるメナオン。姫が頷くのを確かめれば、改めてオブリビオンへと向き直る。
「お姫様を守る魔王様、か。なんだかミスマッチだねぇ?」
悪戯っぽく言いながら笑いかけるリーゼロッテに、メナオンは小さく「ふ」と笑い。
「まあ、魔王らしくはないな。だが、猟兵としては……妥当であろう?」
此処はデビルキングワールドではないのだしな、との応え。違いない、と笑うリーゼロッテ。
「ぬぐぐぐ……! 馬鹿な、馬鹿な……! こ、このような事が……!」
一瞬で瓦解した己の計画。オブリビオンには最早、呻くことしかできず。そして、其処へ更なる追い打ちが如く。
「私一人に対処しただけで勝った気になった、お前の負けだ」
爆炎の上がっていた位置からテリブルの声。見れば、その吹き払われた後の其処に、テリブルは尚も立っていた。
盾を持っていた左腕こそ肩から吹き飛び、肩口の内部機構が剥き出しとなった無残な姿を晒しているが、それ以外の部位は完全な無傷。周囲を回るビット群による防備の賜物だ。
それは、先の交戦の時点で既に発動していたテリブルのユーベルコード。大盾裏に隠していたビット群で以て、盾の爆発から其を保持する左腕以外を守りきったのである。
「師匠が言ってたぜ!『悪が滅びるのは宇宙の法則だ』ってな!」
更に、テリブルの上方やや後ろからも声。入口の上、恐らくは儀式場の様子を高みから見渡せるように設えられていたのだろうガラス張りのスペースから、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)が堂々言い放つ。その言葉はかつて彼を救ってくれた恩人たる師の箴言。広大なるスペースオペラワールドの何処であろうと通ずる法則。
「こ、このようなことが……!? お、お前達は一体何者なのですか
……!?」
己がいよいよ追い詰められたことを悟り、思わず後退るオブリビオン。その口から漏れるは誰何の言葉。
「アタシはこう見えても医者さ。間違った余命宣告を訂正しに来た、ね」
「我輩は灰色砂塵の魔王。お前を討つべく此処に来たりし者」
「私はウォーマシン。戦う理由があるからこそ此処に来た」
其にリーゼロッテ、メナオン、テリブルが其々の言葉にて答えてみせ、そして。
「そして俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! ――イグニッション!」
最後に魎夜が答えると同時、その手に掲げるは銀誓館学園の能力者たる証のイグニッションカード。起動キーワードを叫ぶと同時、放たれたる銀色の炎が魎夜の身へと纏わりその力を高めてゆく。
「さあ行くぜ! 勝負だ!」
そして、跳び蹴りでガラスを蹴り割りながら制御室へと飛び込んで――そして、決戦が始まった。
「おのれ……おのれおのれおのれぇぇぇぇぇ!! 貴様ら如きに私が、私がぁぁぁぁぁ!!」
喚きながら、その手の光線銃を連射するオブリビオン。重力、炎熱、冷気、様々な力を帯びたビームが雨霰と撃ち放たれるが、テリブルの展開するビット群がその殆どを食い止める。
「無駄だ。我輩の身に斯様な攻撃は届かぬ」
僅かに抜けた数発も、メナオンが展開した念動飛行する銃砲群に阻まれ届かぬ。砕け落ちた銃砲は、元が砂塵故に即座に再構成されて再びメナオンへと随い浮遊する。
メナオン自身もまた、砂塵で形作りし疑似鎧装を纏って制御室内を飛翔。周囲の銃砲群から弾丸の雨を降らせ、オブリビオンを打ち据える。
「面が見えなくても、殴って倒せる相手ならブン殴るだけだぜ!」
其処へ一気に肉薄する魎夜。振りかぶった拳には、熱き魂が齎す炎が纏われ。
「ぐわぁっ! ちぃ、ですが格闘ならば私とて……!」
柱じみた頭部を殴れば、確かな手応えと共にオブリビオンが後ずさる。それでも反撃とばかりに蹴りを繰り出すが。
「なるほど、グラップリングを基点とする戦法ってワケか。宇宙空間でもある程度対応できる印象だな」
ローキックに合わせて伸ばされる手、掴みかからんと伸ばされる手と突進気味の頭突き。無重力下での戦闘を考慮した戦法、と魎夜は推測する。
「こちとら、ガチの宇宙人と戦う経験が少なくてな、お手柔らかに頼むぜ?」
「ふざけた事を……!」
にやりと笑って見せながら言う魎夜に、苛立たしげなオブリビオンの返答。宇宙人との交戦経験は無くとも、歴戦の能力者にして猟兵たる魎夜だ。とてもではないが加減のできる相手ではない。
(いや経験が少ないのは本当なんだけどな。昔見かけたそれっぽいゴーストは偽物だったし)
かつて、とある廃村のゴーストタウンで遭遇したゴースト達の姿を思い返す。見目こそそれっぽかったが、あれもあくまで地球生まれのゴーストだ。本物の宇宙人は初めて見る。
(でもまあ、やってやれない敵じゃなさそうだ。なら、思い切ってぶつかるだけだぜ)
だが、眼前のこの異星人、頭部こそ独特なれど手足はあくまで二本ずつ。ならば攻撃を見切ることは充分可能だ。
繰り出されたローキックに己もローキックを合わせ、弾かれた反動を利して後ろ回し蹴り。踵が異星人の巨大な頭部へと突き刺さる。
よろめきつつも何とか姿勢を保たんとするオブリビオン。魎夜は其処へ踏み込み、距離を詰める素振りを見せる。そして掴みかかってきたところで後方跳躍。先程振るった拳の軌跡に沿って形作られたエネルギーの上へと着地。其処へ、銀色の火線が無数に殺到する。メナオンが展開した銃砲群だ。
「その隙、逃がさん」
放たれた砂塵弾と光線が、オブリビオンの全身を貫き焼き焦がす。無数に貫かれる痛みに悶絶するオブリビオンへ、大きな影が差す。肉薄したテリブルが、残る右腕を振り上げる。右腕部を構成するパーツが変形し、身の丈に相応しい大型のプラズマブレードと化す。
そしてプラズマブレードを一気に振り抜けば、異星人の胸へ深い裂傷が刻まれ。同時に伝わる猛烈な炎熱が、オブリビオンの身を炎上せしめる。
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁ!! 痛い、痛いいぃぃぃ! こんな、こんなのは……がはっ!?」
痛みに悶絶しながらも尚も立っていたオブリビオン、なれどその身に刻まれたダメージは大きく――そして、何処からともなく飛来した巨大な突剣に、胸を貫かれて喀血する。
「さあ、アンタの余命宣告といこうじゃないか、人攫い」
オブリビオンの前方上方、アーマードレスのバーニアで飛翔するリーゼロッテが言い放つ、その姿が遠ざかる。何故なら、彼の胸を貫いた剣の飛翔は、未だ続いているのだから。其に引っ張られるが如く制御室を飛んでゆくオブリビオン。そして。
「――がふっ! な、う、動けん……!」
激突の感触と共に、その正体を知る。それは儀式場へと干渉する為のコンソール。其処へと縫い留められた今、最早彼にできることは手足をばたつかせることだけ。
「アンタの余命は――嗚呼、もう10秒も無いね」
そしてリーゼロッテの口から漏れる、無慈悲な余命宣告。見上げた彼女の視線の先で。魎夜が炎纏う拳を振りかぶり跳躍を繰り返していた。
「こいつで、トドメだ……!」
天井近くまで到達した後、一気にそこから急降下。落下点は勿論――あの異星人オブリビオンだ。
叩きつけられた拳、生じる大爆発。以て、姫の誘拐を企てた異星人オブリビオンに、致命の一撃を齎してみせたのである。
大成功
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第3章 ボス戦
『星を喰むもの』
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POW : 星の叡智
【自身が生まれてから滅んだまでの】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
SPD : 生命の創造
自身の【牙】を代償に、1〜12体の【無機物生命体】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 龍の躯体
敵より【質量が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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「うぐ……ぉ……っ、お、おのれ……っ!」
猟兵達との攻防の末、制御室のコンソールへ磔とされた異星人オブリビオン。全身に負った傷は明らかに致命傷、骸の海へと還るも時間の問題と見えた。
「か、かくなる上は……この、私の最後の力、で……!」
掲げた腕が溶け落ちる。身に纏った衣と、胴部から頭にかけてを隠す包帯じみた装飾の下から、赤い蒸気が噴き出すと共にそれら装いから厚みが失われ。やがて中身を失ったかのように、その場へ落ちる。
以て、オブリビオンの討伐とミルフィール姫の救出が成ったか――猟兵達が、そう判断しかけた矢先。
艦の全体が、激しい振動に襲われる。
猟兵達はミルフィール姫を伴い、艦から脱出せんと来た道を急ぐ。
そうして全員が脱出を果たした直後に、巨大なる星系撃滅艦が、軋み音と共にその姿を大きく変化させてゆく。
胴部はそれまでよりも長く伸び、艦体上部からは翼が生え。艦首が半ばから裂けたかと思えば、其々の断面に鋭い牙が幾つも並び。形作られたその姿は、まさに竜の顎。
そう、見目は普通の艦であった星系撃滅艦ヴィアーリスは、変形を経て、星さえも喰らわんばかりの巨大な機械竜へとその姿を変えてみせたのだ。
『オオオオオオオオ―――!!!』
宇宙に轟く咆哮。其は真空をも揺さぶらんばかりに力強く激しく、そして全てを破壊せんとする衝動に満ち満ちる。
「ヴィアーリスが、あんな形に変形するだなんて……!」
変化を果たしたその艦体を前に、ミルフィール姫が呆然と声を上げる。そもそも変形機能など搭載されていなかった筈、とは彼女の弁。オブリビオンの思念、或いは骸の海に由来する何らかの要素が、この驚くべき変化を齎したのだろうか。
「このままでは、星系全てが破滅の危機に……! 皆様、どうか……!」
いずれにせよ、本来とは異なる形ながら起動してしまった星系撃滅艦。其が為さんとするは間違いなく、コンフィゼル星系全ての滅亡であろう。
その前に、かの艦の撃破を。懇願するミルフィール姫。其に応えるべく、かの巨艦竜へと挑むべし。
※『星を喰むもの』と同型の竜型オブリビオンへと変形した星系撃滅艦ヴィアーリスとの戦いです。
※戦場は宇宙空間となります。障害物は幾つかのデブリが浮いている程度。宇宙空間対策は本章開始時点でできているものとしてOKです。
※ヴィアーリスはフラグメント欄に記されている星を喰むもののユーベルコードに加え、星系撃滅艦としてのユーベルコードも使用します。内容は以下。
POW:主砲・対惑星フレアーキャノン
単純で重い【口部主砲】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD:エヴォルヴィング・バタリオン
【敵の情報を解析し戦闘データを更新すること】によって【強化された艦載無機物生命体群】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
WIZ:対軍殲滅形態
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【全身に搭載された各種武装】から【多弾頭誘導ミサイルや光子バルカン一斉掃射】を放つ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
何とも凄まじいサイズですねぇ。
『FAS』を使用し飛行、『FIS』の転移で『主砲』の喉元付近に飛込めば、位置関係上容易には狙えません。
サイズ差故に通常攻撃も凄まじいでしょうが、大きさ故に『重力』の影響も強く受ける筈、『FGS』の重力結界で逸らし、余波等を『FMS』のバリアで防いで対処しますねぇ。
そして【噇醒】を起動し『捕食弾』を発射、微傷でも与えられれば、『祭器』共々相手と同等の巨大化が可能ですぅ。
『叡智』の成功率強化は『弱点に対応した祭器』として『確率干渉器』を形成、「判定自体を行えない空域」で覆えば問題有りません。
後は『F●S』各種と『刀』を集中、一気に叩きますねぇ。
エメラ・アーヴェスピア
…また面倒な展開になったものね…
あまり時間をかけるのもまずそうね…とはいえここまで大きさに違いがあると…
それを何とか出来るのも猟兵ではあるのだけれど、私がどうにかするのならこういう手段しかないのよね
とりあえず、やれる事をやりましょう
相手の主砲、第一射に対しては私が「浮遊型魔導蒸気盾」を多数呼び出して重ねる事で【盾受け】、何としてでも防ぐわよ
そして次の砲撃が来る前に超遠距離に展開させておいた『撃ち貫くは我が穿通の巨人』による【砲撃】で主砲を撃ち抜くわ
目標補足、狙い撃ちなさい…ッ!
※アドリブ・絡み歓迎
菫宮・理緒
脱出したら【セレステ】に乗るね。
よかったら乗っていかない?
と、ミルフィーユ姫には声をかけさせてもらおう。
とはいえ、乗ってくれてもくれなくても、
あの巨艦竜を倒さないと帰れないってことだよね。
あれだけの大きいのだと、ダメージ入れるにはこっちも大きいのでいかないとね。
攻撃は【テスカポリトカ】を撃ち込むとして、出来れば狙いはあの大きな口。
相手が主砲を放つ、一瞬前に撃ち込んで、誘爆も狙っていきたいな。
希ちゃん、わたしは主砲の制御とタイミング計算を全力で行くから、機体の制御と回避は任せるね。
【M.P.M.S】もデコイの発射に使っちゃってー!
希ちゃんの使わない全リソースで全力演算して、しっかり命中させるよ!
カフ・リーメ
ヴィアーリスの変形、多数の艦載機、のようなものを確認
…殲滅対象を更新、対艦戦闘開始
【星彩風】発動、空間戦闘につき機動制限等を全て解除
最高速度で敵艦へ接近、進路を阻む艦載機の内、回避困難な対象のみ射撃し排除
変形後の艦にも動力部や推進器に該当する箇所が存在するものと推測
被疑箇所を優先して攻撃、艦載機に包囲される前に一旦離脱、再度接近を試行
装甲等による防御で敵艦に有効なダメージを与えられない場合、内部からの破壊を検討
艦載機の射出部分、または艦首の口部が突入箇所の有力候補
艦内の攻撃は脱出不可の危険が発生する前に終了、即時離脱
敵の殲滅、救出対象と友軍全員の生還、全ての達成を以て作戦成功と認識
ヴィアーリスからの脱出を果たした猟兵達は、質量をそのままに巨大極まりなき竜の姿へと変形を果たした星系撃滅艦と対峙する。
「ヴィアーリスの変形、及び多数の艦載機……のようなものを確認」
宇宙空間にて姿勢を制御し、その巨竜艦を見据えるはカフ・リーメ(支援戦闘員・f38553)。見れば、ヴィアーリスの全身から小さな竜じみた機械とも生物ともつかぬ兵器が次々と飛び出してくる。巨大戦艦の懐を守る艦載機というところか。
「何とも凄まじいサイズですねぇ……」
内部探索中にもその巨大さは実感したが、改めて対峙するととんでもないサイズである、と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は目を瞠る。かの艦の巨躯たるや、スペースオペラワールド進出の過程で交戦したクエーサービーストをも上回りかねぬ程だ。
「……また面倒な展開になったものね……」
よもや、ついたった今まで探索してきた星系撃滅艦と直接戦わねばならなくなるとは。エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は眉を顰める。可能な限り迅速に撃破したい処であるが、此処まで質量差のある相手、如何にしたものか。
『あの艦を倒さないと帰れない、ってことだよね』
彼女達三人と共に宇宙空間を飛翔する戦闘艦『セレステ』の機内、モニタ越しにかの巨艦竜の解析を行いながら、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は背後を振り返る。其処には共に脱出を果たした救出対象の姫君――ミルフィール姫の姿。脱出に際し、セレステへの同乗を提案し応じたものだ。
『はい。完全に起動してしまった以上、あの艦は間違いなく星系の星々を破壊しようとするでしょう』
この艦を捨て置くことは即ちコンフィゼル星系の滅亡を意味する。この場において破壊するより他に無く、そしてそれが可能なのは今此処に在る猟兵達をおいて他に無い。
『だよね。それならやるしかないよね』
「ええ、とりあえずやれる事をやりましょう」
改めてその事実を確かめて頷く理緒。セレステの機外へも通信越しに伝わるその会話に、エメラも賛意を示す。
「何とかするとしましょうかぁ」
「……殲滅対象を更新、対艦戦闘開始」
るこるも頷き、得物たる祭器群を周囲へと展開。状況を把握し終えたカフが呟くと同時。
『オオオオオオオ―――!!!』
巨艦竜から上がる、咆哮めいた音を伴って。その口中から、眩いばかりの光が溢れ出す。
『口部主砲エネルギー増大中……! 主砲、来るよ!』
セレステ艦内からモニタリングを行っていた理緒が、その光の意味を三人へと伝達する。主砲、即ち惑星破壊砲。直撃すれば惑星一つを文字通り粉砕するという超絶的威力の砲撃だ。
「この距離と位置関係、回避は間に合わなさそうね……防ぐしかないわね」
彼我の状況を分析し、エメラは射線上からの待避の選択肢を放棄。前方へと魔導蒸気仕掛けの盾を幾つも呼び寄せ防壁と為さしめる。なれど星をも破壊する程の砲撃を、如何に猟兵と言えど防ぎきれるかどうか。
「私もお手伝い致しますよぉ」
其処へ、るこるが己の有する防御祭器を展開してゆく。防盾付砲台に銀盤から展開するバリア、重力結界に概念結界と、持てる手段の限りで守りを固め。
「私は機動戦闘を実行。以て敵の主砲射撃精密性の低減を試みる」
カフは呟くが早いか、その機動速度を大幅に強化。一気に敵艦へと肉薄してゆく。迎撃せんと迫りくる艦載無機生命を、縦横無尽の飛翔によってすり抜け、或いは出力強化された熱線銃で撃ち抜き。以て、巨艦竜への肉薄を果たす。
一方のヴィアーリスは、口内へと生じた夥しいエネルギーを集束させて――そして。
『主砲、発射……!』
理緒の悲鳴めいた声と共に、ヴィアーリスの顎が大きく開かれて――内側より解き放たれた、恐るべきエネルギーの奔流が、エメラ達を目掛けて撃ち出される!
宇宙空間を斬り裂き、飛翔する高密度のエネルギーは瞬く間に猟兵達へと到達。エメラとるこるが展開した防壁へと――激突する!
「「ぅ、くぅぅ……っ!」」
二人の苦悶の呻きと共に、幾つもの爆発音が響く。猛烈なまでのエネルギーの奔流を食い止めんとする行為は、その余波もまた強烈。余波をまともに受けた蒸気盾が爆散し、祭器群が砕け落ちてゆく。突破されれば、恐らく猟兵達は纏めて跡形もなく消し飛んでしまうだろう。
そんなギリギリの戦いを、二人が続けること暫し。不意に生ずる変化に、理緒の驚いた声が届く。
『……え? 主砲エネルギー出力、急速に低下……?』
瞬く間にその勢いの弱まるエネルギーの奔流。それは即ち、猟兵達が主砲を凌ぎきったことを意味する。だが一体何が起きたのか。
「……エネルギー供給経路破損確認、敵主砲、出力低下」
カフである。ヴィアーリスへの肉薄を果たした彼女はそのまま艦体への攻撃を敢行したが、これだけの巨艦、闇雲に攻撃しても蚊の刺す程度の被害しか齎し得ない。攻撃するなら急所と言える部位を攻撃するべき、との判断の下、動力機関に該当しそうな部位を探して攻撃を加えていたのである。その結果、主砲にエネルギーを伝達する動力バイパスを破損させることに成功したのだ。
つまり、敵は主砲の発射が不可能となったことを意味する――が。
「敵艦、破損個所の再生進行中。完全破壊の為には更なる攻撃を要する」
続いてカフから届く報告。どうやら敵は自己修復機能も有しているらしい。即ち、いずれは主砲も再度発射可能になるということ。その前に、更なる損傷をかの艦に与える必要がある。
『そういうことなら一気に反撃、だね!』
理緒が言うのにるこるとエメラも同意を示す。敵の初撃は凌いだ。ならば次は此方の番だ。
セレステの上部から、大口径の主砲が展開され、その砲口へとエネルギーが集束してゆく。理緒がセレステの主砲発射準備に入ったのだ。
「ええ、主砲を黙らせるなら。彼に任せておきなさい」
エメラが請け負うと同時。ヴィアーリス頭部にて爆発。今度は何が起きたのか。エメラが示した先に視線を向ければ、其処には弓と銃が合体したような――弩にも似た形状の大砲を構えた蒸気機関の巨大な機械兵の姿。エメラがユーベルコードを以て呼び寄せていた、機動狙撃蒸気兵だ。
其処から放たれるは、飛翔距離に比例して威力の増す術式徹甲弾。堅固な装甲をものともせず――否、寧ろ対象が強固であればあるほど強化される砲撃が、立て続けにヴィアーリス頭部へ命中。破損を拡大させてゆく。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その輪環の理をここに!」
続けて動くはるこる。祈りの言葉と共に放たれた、神秘的な雰囲気纏う弾丸は、カフの突撃に艦載機達が引き付けられていたのもあって妨げられることなく巨艦竜へと命中。その直後、劇的な変化が発生する。
るこるの身が、凄まじい勢いで巨大化を始め。瞬く間に、かの巨艦と並び立てる程の超巨大な巨人へと変化を果たしたのである。先の弾丸は、命中した対象と同等の体躯と弱点を突く祭器をるこるへ齎すユーベルコードであったのだ。
「それでは、いきますよぉ!」
るこるが巨艦竜を指し示すと同時、彼女に合わせて巨大化した浮遊兵器群が一斉砲撃を開始。熱線や炸裂弾、爆撃に重力弾など様々な弾丸がヴィアーリスへと突き刺さり次々と爆発、その艦体へと夥しい傷を刻んでゆく。
逃れんとするヴィアーリスだが、その動きはやけにぎこちない。まるで、身体を動かす機能に支障が生じたかのように。
「推進機関の破壊を完了。当面の間、敵は十全な機動を行えぬと推測」
否、実際に破壊されていた。再度敵艦への肉薄を果たしたカフが、艦体周囲を飛び回り、推進機関と思しき部位へと片っ端からレーザーを浴びせて破壊して回っていたのだ。
無論、そんな彼女を迎撃しようと艦載機群が向かっていたのだが――彼らは何故か、明後日の方向を飛び回っているばかり。彼らが追うのは、青く煌めく立方体状の物体。セレステから射出されたデコイである。主砲の発射準備を整える理緒に代わって機体制御を担当していたAIが、自機の安全確保の為に展開したもの。其は期せずして、カフの行動にも利を齎していたのである。
以て、ヴィアーリスは十全な反撃も回避も行えぬ状態へと追い込まれてゆく。ならば、今こそ最大の一撃を叩き込む好機。
『演算完了、主砲発射ー!』
理緒の指が、コンソールのエンターキーを押下すると同時。セレステの主砲が、高密度のビームを激しく撃ち放ち。狙い違わずヴィアーリスの口部を撃ち抜いて。その頭部に、大爆発を巻き起こしたのである。
成功
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メナオン・グレイダスト
・SPD
あのような変貌を遂げるとは。
……まあ、良い。あれを墜とせば済むことだ。
戦いに巻き込まぬよう、姫にはひとまずの安全圏まで後退してもらう。
そのあとは全力で挑むのみ。
【グレイダスト・バタフライ】。
膨大な量の灰色砂塵を生成・放出し続けることで巨大な“翼”を展開し、『星を喰むもの』に変貌したヴィアーリスへと突撃。
加速を続けながら飛翔し、迎撃に出てくる無機物生命体とその攻撃を躱し……あるいは“翼”をブチ当ててやる。
“翼”に触れた無機物を全て分解し、灰色砂塵に変えて、同化させる。
ヴィアーリスに取り付けたのなら、あとは“翼”で包み込んで分解していくのみ。
お前も砂塵に還してやろう……! 灰色蝶であるッ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
往生際が悪いにもほどがあるぜ!
こんな奴に星系をめちゃくちゃにされてたまるかよ!
【地形の利用】でデブリを足場に【ジャンプ】と【ダッシュ】、【フェイント】で敵の主砲を躱しながら、【物を隠す】で大きなデブリに身を隠して奴に接近し、懐に飛び込む。
そして【鎧無視攻撃】で装甲の継ぎ目を狙って【料理の鉄刃】で内部機構を破壊し、機能を低下させる。
ある程度動きが鈍ったところですでにつけた傷跡を狙って【鎧砕き】で大包丁の背を叩きつけて装甲を脆くし、シャーリーが必殺の一撃を叩き込めるようにする。
後は頼んだぜ、シャーリー!
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
でかっ!説明不要!
でも、この星系に生きる人達のためにあいつを止めなくちゃ!
行くよ、ウィーリィくん!
宇宙バイクを【操縦】して【空中戦】と【フェイント】で主砲の攻撃をかいくぐりながら【制圧射撃】で【挑発】してウィーリィくんがボスにとりつく時間を稼ぐ
ウィーリィくんがボスにダメージを与えたら【スナイパー】【クイックドロウ】でその傷口を狙ってブラスターで攻撃
そして一番大きな傷口を狙って【M.E.G】の必殺の一撃を叩き込むよ!
『オオオオオオオ……』
宇宙空間に響く、機械竜へと変じた星系撃滅艦の唸り声。先に交戦した猟兵達の攻撃により、頭部を中心に負傷はしているようだが、その挙動は未だ十全な戦闘が可能と示すもの。
「打たれ強さも大きさ相応って感じだね……!」
説明不要の巨体は伊達ではないということか。鮫を模した意匠の宇宙バイクに跨るシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は驚嘆に満ちた声を上げる。
「然し、これまで探索していた艦が、よもやあのような変貌を遂げるとはな」
「往生際が悪いにもほどがあるぜ!」
一方、かの艦がこのような姿へと変形を遂げた経緯を思い返す二者。完全起動のみならずここまで劇的な変貌まで果たさしめた事実に、メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は感嘆とも驚愕ともつかぬ声音を漏らし、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はここまでして星系に破滅の危機を齎さんとするオブリビオンの所業に憤慨を見せる。
「何、既に姫君の救助は果たされた。後は、あれを墜とせば済むことだ」
ウィーリィに応えつつ、メナオンは視線を後方へ向ける。救出したミルフィール姫は猟兵の一人が操る艦艇へと乗り込んでいるが故、一先ずは安全と言えるだろう。ならば、後はあの艦を破壊するのみだ。
「そうだね、お姫様や、この星系に生きる人達のためにも!」
「ああ、こんな奴に星系をめちゃくちゃにされてたまるかよ!」
シャーリーとウィーリィ、二者共其々の言葉でその目的に対する意気を示してみせる。と、その時。
『オオオオオオオオ!!』
先程よりも力強く響く巨艦竜の声。その全身から無数の機械じみた生物群が艦載機の如く溢れ出し、口中に夥しいエネルギーが集束していくのが見える。
「うわっ、すっごい敵の数……!」
「それにあの主砲、まともに喰らったらひとたまりもなさそうだな……!」
驚愕の反応を見せるシャーリーとウィーリィ。凄まじい威力の主砲に、大量の艦載機群。成程、超巨大戦艦に相応しい戦力と言えよう。だが、これを乗り越えねば、かの巨艦竜を撃破することなど不可能。ならばどうするか。
「ならば、あの無機生物群は我輩が何とかしよう」
そこへ進み出るはメナオン。その身に纏う灰色の砂塵が、背中の方へと流れてゆくのが二人からも見て取れようか。
「――その無機なる生命も、破滅齎す為に生まれた存在も。すべて、すべて、砂塵に還してやろう――」
背へと集いし砂塵は、薄く、しかし大きく広がって、ひとつの形を作り上げる。それは翅、メナオン自身の身体よりも尚巨大な、宇宙に広がる蝶の翅――
「――灰色蝶であるッ!!」
そして、堂々たる宣言と共に広げた翅を羽ばたかせれば。その身は雲霞の如く群れ成す艦載無機生命体の只中へと飛び込んでゆく。獲物が来たとばかりにメナオンへと集ってゆく無機生命群、然し次の瞬間、其処には劇的なる異変が発生する。
メナオンがその背の翅を一打ちする毎に、周囲に迫っていた無機生命体群が瞬時にその形を失い、霧散してゆく。後に残るは灰色の砂塵、引き寄せられるように灰色の翅へと集まっていき、同化を果たし。翅はますます大きく広く、宇宙を羽ばたく。
それは、あらゆる無機物を分解し同化せしめる、灰色砂塵の魔王の権能、その真骨頂。無機なるものの悉くを己の手足と変えてしまう、畏るべき力。
「よし、艦載機が減ってきた! 行くぜ、シャーリー!」
「うん、行こうウィーリィくん!」
そうしてメナオンが道を開けば、艦載無機生物群による防御陣も手薄となる。今こそ好機。シャーリーは宇宙バイクのアクセルを全開として疾走を開始、ウィーリィもまた、流れてきたデブリの上へと着地して全力疾走を始める。
『オオオオオオオ
……!!』
ヴィアーリスの方も二人の動きに気付いたか、首を捻り二人の方へとその顎を――間もなく発射に至らんとする主砲の砲口を向ける。直撃すれば惑星一つを灰燼と化さしめる、それ程の破滅的威力を誇る砲を。
「当てられるモノなら当ててみろってんだ……!」
ウィーリィはデブリからデブリへと跳躍して跳び移り、勢いを殺すことなくその上を走ってはまた跳躍、どんどんと加速しながら巨艦竜へと迫ってゆく。途中、狙いを見失った艦載無機生物を踏みつけ蹴り飛ばして軌道を変えての撹乱を交えつつ。
「そんな大味な攻撃が当たるモノか、ってね!」
シャーリーは上下左右へハンドルを切り返し続け、縦横無尽に宇宙バイクを操って真空の空を飛び回る。そんな二人の挙動を前に、巨艦竜の首は狙いを絞りきれぬとばかりに首を上下左右へ彷徨わすばかり。
「ほらほら、ボクはこっちだよ!」
そして敵艦へと肉薄を果たしたシャーリーは、腰より抜いたマスケット型ブラスターを連射し巨竜の顔面へと熱線を浴びせにかかる。その攻撃は装甲に阻まれ大した傷にはならぬが、狙いはダメージではなくヘイト。即ち挑発による照準誘引である。地道かつ執拗な銃撃の雨が、間断なく巨艦竜の顔を焼き続けてゆくうち。
『オオオオオオオオオ!!』
そんなシャーリーの挑発に痺れを切らしたとばかり、遂に惑星破壊砲が放たれる。然し、粗い狙いのままに放たれた砲撃は、シャーリーは勿論ウィーリィやメナオンも捉えられぬまま、虚無の空間へと飛び去ってゆく。如何に圧倒的威力の砲撃と言えど、無限に等しい距離を飛んでいればやがては無害な域まで減衰してしまうことだろう。流れ弾の心配は、恐らく無用だ。
「よし、今のうち……!」
敵の狙いがシャーリーへ向いているうちに。ウィーリィは敵頭部から見えない位置を伝うかのようにデブリの表面を駆け、跳躍し、ついに敵の艦体へと跳び移る。
「その一帯の装甲は、既に我輩が砂塵へと還した。お前の刃ならば容易く通ることだろう」
其処に、付近の空宙で艦載無機生物群を相手取り続けるメナオンの声が届く。見れば成程、鱗を模した分厚い装甲に隙間なく覆われていたのだろう艦体は、鱗を剥がし終えた魚の如く、内部構造保護用でしかない基部装甲が露出する有様を晒していた。
「ありがとうよ! これなら俺の刃で料理してやれるぜ!」
ならば後は中の
肉を
捌くだけだ。愛用の大包丁を構えたウィーリィは、其を素早く振るい装甲へと斬りつける。
鍛え抜かれた技の前に、曲りなりにも金属製である基部装甲は魚の表皮めいて容易く裂け、その内側の機構までも刃が通って切断せしめる。どれがどのような機能を有する機構であるかなどは分からないが、分からないなら片っ端から破壊するだけだ。幾度も刃を振るい、裂断と破壊とを広く深く広げてゆく。
『オオ……オオオオ
……!?』
やがて、響く機械竜の唸りに戸惑いじみた色が混じると共に、その挙動が鈍り始める。どうやら艦体機動に関わる機構の破壊に成功したらしい。
「よし、今だシャーリー! 後は頼んだぜ!」
ならば後はパートナーの仕事だ。跳躍し、巨艦竜より離れてゆくウィーリィ。見上げれば、広がる宇宙を駆けてゆく一筋の流星――否、シャーリーの跨る宇宙バイク。車体後部より猛烈なるロケット炎を噴射し、実に時速12800kmにも達する速度で飛翔する。
「任せて! 史上最大の凶暴すぎる一撃、受け止められるかなっ!」
そしてウィーリィの呼びかけるに応えれば、シャーリーと宇宙バイクは一気にヴィアーリス目掛けて突撃を開始。狙うは一点、ウィーリィが穿った艦体の傷。
「最早お前は逃げられん。黙して、あの流星に貫かれるが良い」
シャーリーの狙うそのポイントの周辺には、灰銀色の巨大な膜めいた物体が貼りつき、艦体表面から内部機構に至るまでを分解にかかる。その主はメナオン、艦載無機生物群や艦体の装甲を分解して得た灰色砂塵にて広げた翅を極大化せしめ、其を以て敵艦胴部を包み込み分解にかかっていたのだ。
迫る流星、迎えるように狙いの地点を覆っていた翅が二つに割れて道を開ける。そして――突入。
直後、響き渡る盛大なる爆発音。そして反対側から突き抜けてくるシャーリーと宇宙バイクの姿。貫いた流星の一撃は、甚大なる被害をかの艦へと齎したようだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
暗都・魎夜
【心情】
向こうもオブリビオンである以上、この位の常識外れはやってくるか
まあ、宇宙の危機を止める経験もこれが初めてじゃねえし
やれることはやらせてもらうぜ
【戦闘】
ミルフィール姫には脱出艇などを用意して避難させる
「姫様は先に帰って、祝勝会の準備でもしててくれ」
シンプルにでかく、出力の高いオブリビオン
俺らの地球に来られてたら、軽く滅亡の危機は見えてたかもな
だが、見たところ、その知性をフルに活用する余裕はなさそうだ
十分に勝ち目はある
主砲の飛んでくる場所を「見切り」、スペースデブリの上を「ダッシュ」「ジャンプ」で移動
「残念だったな、姫様攫わず、最初からそうしてれば暴れる時間位はあったかもしれねえのに」
こんだけ広けりゃ、使うのに何の問題もねえ
むしろ、遠慮なくぶっ放せる分、やりやすい位だ
「魔力溜め」「リミッター解除」で力を解放してのUC使用
「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義! 竜神爆火雷!」
終わったら、姫様を星まで送っていかねえとな
そのために船とか探すか
祝勝会云々はその後だな
テリブル・カトラリー
……次は融解するまでプラズマを叩きつけておくか。
…元々星を破壊する程の暴走兵器など、放置しておいて良いものではない。
【ハイ・オーバーコート】発動。超巨大機械兵器を纏い戦闘続行。
【飛翔能力】と【戦闘知識】で船体での攻撃やミサイル等を見切り回避し、
超大型散弾銃で散弾を放ち【制圧射撃】及び【吹き飛ばし】
主砲の狙いから逃れ、超高熱の機械刀での【属性攻撃】を狙う。
とはいえ
星の叡智から逃れきるのは難しい。
ので、機械刀【投擲】から【推力移動】逃れるのが難しいなら、近づくまで。
敵に近付き【カウンター】、大口を開けた所に、
散弾銃を突っ込んで【鎧無視攻撃】
スラッグ弾を叩き込む。
永遠に眠れ。
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※アドリブ歓迎
※愛機復元搭乗済、姫の補助席匿いも可
やれやれ、往生際が悪いねえ…
でも『竜形態』とか御愁傷様♪
DA67号【スカーレット】始動
外装パージで流線形に軽量化(本人は肉感成長)
【ヴァルカン】を腰左右へ集中、両肩【アーク・P】も推進機変形
後は背の【D・アームズ】展開で光翼用大型バインダー出現
『大空を覆うもの』交戦時に得た紅いナニか
その模倣光翼が対竜種特効と戦闘行動全般を底上げ
悠長に考える時間はあげないよ
【マギ・B】の防壁と《瞬間思考力》の射線計算で砲撃回避しつつ
莫大な推力を《操縦》テクで回して急速接敵
後は全力の【L・スレイヤー】二刀流でブツ切り
どう、お姫様?コレが噂の『猟兵』さね♪
『オオオ……オオ……オオオオ
……!!』
宇宙空間に響き渡るは、ノイズ混じりの竜の咆哮じみた轟音。眼前に在る、星系撃滅艦より変じた巨艦竜の、深く傷つきながらも尚その戦意を誇示するかの如き咆哮。
『やれやれ、往生際が悪いねえ……』
うんざりした風な溜息は、宇宙空間に浮かぶ蒼きキャバリアから。それまでの装甲ドレスから再びキャバリアとしての姿を取り戻した愛機『ナインス・ライン』と、その操縦者たるリーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)だ。
「……次は誘拐するまでプラズマを叩きつけておくか」
このような悪足掻きをする暇もない程に焼き尽くしておくべきだった、とテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)はぼやく。如何に予想できない事態であったとはいえ、何らかの行動の隙を与えてしまったのは迂闊だった、と。
「まあ、向こうもオブリビオンだからな。この位の常識外れはやってくるってコトか」
何処か納得したように頷く暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)、改めて前方の星系撃滅竜を見据える。その体躯は圧倒的なまでに巨きく、先に交戦した猟兵によって大きなダメージを負いながらも、全身に纏う武装群、そしてそれらを駆動させる大出力は健在だ。何より、その口部にて膨大なエネルギーを集束させる主砲。惑星さえも直撃させれば一撃で消し飛ばしてしまいそうな、星系撃滅艦に相応しい圧倒的威力を感じさせる代物だ。
「俺らの地球に来られてたら、軽く滅亡の危機は見えてたかもな……」
頬を汗が伝う。故郷シルバーレインにおいて10年前に繰り広げられた、全ての生命を守る為の大戦を思い出す。あの時の敵をすら思い返す程に、かの敵は大きく、強大と見えた。だが、かつての戦いにも魎夜は、銀誓館学園の能力者達は勝利を収めた。そして、今も尚、己は独りではない。
「……そうはさせん。人の、命の生きる星が失われるなど、許すわけにはいかない」
重々しいテリブルの言葉。かつてのスペースシップワールドもまた、そうして人の住める星を失ってしまった。その経緯を知るが故に。
『お姫様は別の
猟兵が乗ってきた船で後方に下がったってさ。なら、後やるコトは一つだけってね』
もう一つの目的であった姫の救出は、これで完遂したも同然、とリーゼロッテが告げる。なれば後顧の憂いは最早無い。
「――ああ。やるべきことは、きっちりやらせてもらうとしようぜ!」
拳を打ち合わせ、決然と吼える魎夜。今再び、宇宙の危機を止める為の戦いへと臨む意志を示すが如く。
「無論だ。元々、星を破壊する程の暴走兵器など、放置して良いものではない」
かつてのこの星系の人々では叶わなかっただろうが、猟兵たる己らならば。確かなる意志を鋼鉄の躯体の内に宿し、テリブルも応える。
『星系を滅ぼしかねないガン細胞は、この機会にきっちり摘出しちゃわないとね♪』
医者らしい表現でかの星系撃滅艦を評しつつ、リーゼロッテは愛機の操縦レバーを握り込む。いざ、戦いの時だ。
『オオオ……オオオオ
……!!』
ノイズ混じりの咆哮を上げる巨艦竜、その全身から無数のミサイルがばら撒かれ、炎を噴いて猟兵達を目掛け殺到する。
「ちぃっ、流石に火力もとんでもないな……!」
空間を漂うスペースデブリの影へと逃れた魎夜、迫ってきたミサイル群をギリギリまで引き付け跳躍で別のデブリへと跳び移る。一瞬後、元いたデブリへとミサイルが立て続けに着弾、猛烈な爆発が巻き起こりデブリを粉砕していった。
巻き込まれたらと思えばぞっとしない。そう思いつつ、魎夜はデブリを蹴り渡り、巨艦竜本体を目指し近づいてゆく。
「………」
飛来するそれらを無言で見据えるテリブル、その身が瞬時に巨大化を果たす。否、ユーベルコードを介し一瞬にして姿を現した超巨大機械兵器に、己の身を格納接続したのだ。
そして背部ブースターが炎を噴けば、巨体が爆発的な加速を以て飛翔を開始。一瞬で時速10000kmを超えたその速度にて弧を描くが如き飛翔軌道を描いてみせれば、誘導性能の限界に達したミサイル群が追従しきれず次々虚空へ飛び去ってゆく。
そのまま機械竜へと肉薄を果たせば、構えたる散弾銃から立て続けに散弾を放ち、巨艦の肉体を穿ち砕きにかかる。巨大化を果たした彼女の携える散弾銃は戦艦主砲にも匹敵する口径を誇り、ヴィアーリスの複合装甲の肉体をも抉ってみせる。
『これはまた大した火力だね……でも『竜形態』とかご愁傷様♪』
ミサイルの雨へと向かってゆくナインス・ライン、そのコクピットでリーゼロッテは余裕ありげに嗤ってみせる。機体を鎧う装甲が脱落し、その内側より流線形の細身なフォルムが姿を現す。腰左右の大型ブースターと双肩の特殊粒子推進機構が機体を更に加速させ、更には背中の大型バインダーが展開されれば――そこから発振されるは、真紅の霧じみた光の翼。それは先のブルーアルカディアでの戦の折、大空を覆うものを前にして齎された力の如く――
『未確認のジェネレータが接続……背部コネクタの負荷……』
あまりにも高出力な謎の動力源を未確認ジェネレータと誤認したか、AIが警告音声を発する。なれどリーゼロッテは警告を敢えて無視する。
代償は後回しにして、今はこの破壊の竜を粉砕する力を。
以て飛翔してゆくナインス・ライン、雨霰と向かい来るミサイル群を縦横無尽の機動で以てすり抜け躱し、ヴィアーリス目掛けて飛翔し迫りゆく。
『オオオオオオオオオ!!』
やらせはせぬとばかりに吼えてみせるヴィアーリス、その口部主砲が立て続けに発射される。一発あたりの出力を落とした代わりにある程度の連射を可能とするモードらしい。
『おっ、とと……っ、悠長に考える時間なんてあげないつもりだったけど……!』
放たれる高密度エネルギー波は、予め回避機動の先を抑えるかのようにナインス・ライン目掛けて降り注ぐ。リーゼロッテは持てる瞬間思考力を全開として射線を計算し回避を繰り返すが、膝部装甲の粒子防壁での受け流しが無ければ有効弾を受けてもおかしくはなかった。そしてそれを一撃でも受ければ大破は免れ得ない。レバーを握る手にも緊張が走る。
どうやらオブリビオンとなったことで、建造から現在までの時間に比例して攻撃の精度を高めるユーベルコードを用いているらしい。その砲撃はナインス・ラインと、更に巨大兵器を纏うテリブルへと降り注ぐ。一撃でも受ければ大破を免れぬ超威力の砲撃を前に、テリブルは言い放つ。
『避けることが困難ならば、近づくまでだ』
何しろこの巨体だ、最接近してしまえば狙いがうまくつけられないはずだ。その判断のもと、テリブルは一気に肉薄を試みる。その過程においても破壊の砲撃は容赦なく彼女を襲うが、背部ブースタの出力を全開として照準を振り切り、ついに肉薄を果たす。
『その大口、塞がせてもらおう』
次なる砲撃を繰り出さんとしてエネルギーを集束させていた口部へと、大型散弾銃を向ければ。放たれる銃弾は単発のスラッグ弾。徹甲弾めいたその弾頭が、巨艦竜の口部へと飛び込んで――
『グオオオオオオオオオオオオオオ!!?』
直後、口中に集束していたエネルギーが爆発を起こし、巨竜の頭部が半ば吹き飛ばされる。これならば、最早主砲は撃てまい。
『さぁて、一気に解体作業とイこうじゃないか♪』
其処へリーゼロッテのナインス・ラインもまた、紅霧の翼を棚引かせながら肉薄を果たし。両腕に展開した光の刃を以て、巨竜艦の身を鎧う装甲へと斬りかかってゆく。竜の性質を持つ敵に対してはより強力な殺傷力を発揮する光の翼の恩恵か、振るわれる光刃は装甲をバターが如く引き裂いては内部構造にも致命的な被害を齎してゆく。
「おう、俺の取っておき、喰らわせてやろうじゃねえか!」
スペースデブリを飛び渡ってきた魎夜、その両腕に其々炎と電光とが纏われ、瞬く間に眩く激しく輝き燃え始める。おいそれとは用いられぬこの業、なれどこれ程の広さがあれば使うのに何の問題も無い。寧ろ、遠慮なくぶっ放すことが可能な分やり易くすらある。
「――残念だったな、オブリビオン! 姫様攫わず、最初からそうしてれば暴れる時間位はあったかもしれねえのに!」
苦悶にもがく巨艦竜を見上げて言い放つ。尤も、その場合でも好き放題させるつもりは毛頭無かったが。
「受けてみやがれ、ストームブリンガー最大最強の奥義!」
炎と電光とを纏う両腕を掲げて力を込める。其はかつて、余りの破壊力と使用者自身への肉体負担の高さ故、銀誓館学園にすら完全に使いこなせる者がいなかったというストームブリンガー最大のアビリティ。今、ユーベルコードとして再び発現したその業を、魎夜は今度こそモノとしてみせたのだ。
「ブッ飛べ、十万億土の彼方まで! ――
竜神爆火雷!!」
そして渾身の力で以て突き出した両腕から、炎と電光が撃ち放たれ。苦悶する巨艦竜へと命中すれば、巻き起こるは全てを滅ぼさんばかりの凄まじい爆発と炎と閃光。星系撃滅艦より変じた機械竜の巨体は、その爆発の中へと飲み込まれていって――跡形もなく、消し飛ばされていった。
『――永遠に眠れ』
最早、星を破壊する程の兵器など不要なのだからと。手向けるが如く、テリブルは呟いた。
●
「皆様、この度は本当にありがとうございました。皆様の助けが無ければ、私もこの星も――いえ、コンフィゼル星系の惑星と民、その全てが消滅してしまう処でした」
惑星ラキスティアはパスティリア王国首都サグラヴァ。その王城。猟兵達の手で無事の帰還を果たしたミルフィール姫は、己を救ってくれた猟兵達へと改めて礼を述べる。
「そして、伝説の猟兵の力、確と見届けさせて頂きました――伝説通り、いえ、それ以上の強き方々……只々驚嘆するばかりです」
猟兵達を見つめる姫の表情には、伝説を目の当たりとした高揚と興奮が滲む。周囲の兵士や侍従らも、程度の差はあれ似たようなもののようだ。
「皆様の活躍は、長くこの星系で語り継がれることでしょう。あの星系撃滅艦を完全に破壊し、星系統一戦争を本当の意味で終わらせた英雄として」
改めての大恩に対する謝辞で以て締めくくると共に、王城内には盛大な歓声と音楽が鳴り響いた。姫の無事の帰還と戦争の真の終結を祝い、新たな英雄達の活躍を讃える宴の幕明けだ。
応じて宴に加わる者、固辞してグリモアベースへ帰還する者。猟兵達の反応は様々であったろうが、いずれであれ、かの国の人々の記憶に、猟兵達其々の姿は確と刻まれたことだろう。
以て、コンフィゼル星系存亡の危機は此処に祓われたのである。
成功
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