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最後の戦場

#アックス&ウィザーズ


●侵掠如火
 アックス&ウィザーズの世界には魔物が蔓延り、魔獣が吼え猛る。
 平和な村もいつ何があるかは知れず、明日には消えてなくなってしまう事さえある。
 脅威は常に傍に在り、絶えず此方を窺っている。
 だが、その事を思い出すのは、いつも平和が打ち砕かれ全てが取り返しの付かない過去へと捨てられてからだ。
「ああ……」
 ある男は膝を付き、焼け落ちる村を見ていた。
 山賊が一糸乱れぬ動きで男衆を皆殺しにしていき、炎の魔獣が村を焼く。
 命も故郷もあるもの全てが奪われる。
 男が流した涙さえ、熱風が消し去っていった。

●猟兵召集
「よく来てくれた」
 グリモアベースに集う猟兵達を見渡し、黒い巨体が牙を剥いて笑う。獰猛な笑みを湛えるグリモア猟兵、ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)は、今日も今日とて戦闘狂だ。
「言うまでもなく、戦いの依頼だ」
 切り出される前から分かっていた事だが、改めて口にしてからワズラはメモを取り出した。
「予知で視えたのは炎狼マルコシアス率いる山賊の軍勢が村を襲う所だ。猟兵達には村の防衛、山賊の撃退、炎狼の討伐の全てを任せたい」
 メモをテーブルに置きながら説明する黒龍。しかしながらメモ自体は墨をぶちまけ滲んでふやけた紙切れにしか見えず、猟兵達は広げられたメモは見ないことにした。
「問題は炎狼だな。
 時に紅蓮侯とも呼ばれるマルコシアスは地獄の炎を纏った二足歩行の大狼だ。炎もだが、手にした短剣の扱いも非常に優れているという。
 そして戦闘力のみならず統率力に優れているのも紅蓮侯と呼ばれる所以なのだろうな。マルコシアスは配下に大勢の山賊を従え、戦場を渡り歩き、勢力を拡大し続けている」
 これを討たねば予知に視た村以外も滅ぼされるだろう、と、ワズラは言う。
「残念ながら既に滅んだ村もあるようでな、俺達が向かう村にもマルコシアスが接近しているという噂は届いている。村人達は逃げる準備や防衛の準備を始めているが、正直彼らだけでは防衛も闘争も難しいだろう。
 そこでまず猟兵達に頼みたいのが砦の建設だ。どんなのものを作り、どう利用するのかも含めて任せたい。
 例によって俺は荷運びすら手伝えないからな……。済まないが、宜しく頼む」
 ワズラが元々前傾姿勢なのを更に屈んで頭を下げる。
 幸いなのは村人達も必死で猟兵達が力を貸すといえばすぐに受け入れ協力してくれるということだろう。
「それと、マルコシアスについてもう一つ。
 奴は卑怯な手を一切使わず、正面から堂々と略奪していく。
 それは配下である山賊達にも同じ事が言えるが、代わりに山賊には欠けている筈の協調性がある。つまり連携が出来ているという事だな」
 戦い甲斐が有りそうだ。
 そう呟いた戦闘狂は、しかし後方支援である。
「まあ多くは語る必要もないだろう」
 そう言ってワズラが目の前のテーブルを片手で持ち上げて脇にどかした。
 一歩前へと歩み出た戦獄龍が闘志の焔を纏う。
「さあ、俺と共に戦おう」
 手を取るように差し出した右掌。
 その上で、グリモアが眩く輝いた。


金剛杵
 初めまして、金剛杵と申します。

 今回は拠点防衛戦です。
 砦を築き、山賊どもを蹴散らして、最後には敵将と果たし合います。
 素晴らしいですね。

 猟兵様方におかれましても楽しんで頂ければ幸いです。
 それではどうぞ宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『砦の建設』

POW   :    砦の建設に必要な力仕事を行う

SPD   :    周辺の探索を行う、仕掛け罠を用意する

WIZ   :    砦を利用した戦い方を提案する

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柊・雄鷹
平和を壊すなんてこと、見過ごせんな。
ワイも力になるでー!
村人達に安心させるように笑いかけつつ、
一緒に防衛戦頑張ろか。

力仕事はワイにおまかせやっ!
羽もあるし、頑張って運ぶでーっ!
欲しいのは大量の木材。
木々の多い場所を聞いて、そこから運ぼか。
あとは紐、もしくは蔓。
手頃な石や枝なんかも、罠を作るんには必要やな。

バリケード……壁には高さが必要や。
重たいし大変やし、ワイが上までたかぁく積ませて貰うで!


峰谷・恵
「細かい設計を詰めてる間に建材をどんどん砦近くまで運んじゃおうか」

【POW】で挑戦。【怪力】も使用して重い建材をどんどん運びこむ。村人たちには重くなく運びやすい建材から運搬をお願いする。
砦建設の際も力が特に必要なところから手伝い、建設中に事故で村人の上に建材が落ちてきたら受け止める瞬間のごく短い時間だけ血統覚醒を使って建材を受け止め村人が怪我しないよう助ける。
美形、色白、細身(ただし胸はVカップでお尻も普通に大きい)な女の子が怪力なところを見せて協力にきた猟兵がそれだけ規格外だという印象を与えようとする。

「怪我はなかった?事故には気をつけてね」


張・小龍
「力仕事であればお任せください!ボクはこれでも結構な力持ちですよ!」


やはりまずは相手を防ぐ為の設備が大事です
ボクは城壁作りを頑張りたいと思います

まず、砦を作るに当たって、邪魔になりそうな岩や樹木はグラウンドクラッシャーを使って更地を作りましょう
逆に破壊しすぎて穴を作ったりしないように注意しなきゃなりませんね

その後は村人さんには城壁用の岩や土嚢の用意をお願いして、ボクはガンガン運んで積んでと動きたいと思います
岩の切り出しや、城壁の設計については、そういったことが得意な猟兵さんが居たらお任せをしたいですね!
率先して頑張ることで村人さんを勇気付け、励ますことができればと思います


五十嵐・達也
腕の立つ山賊の集いか、厄介極まりない。だが、咎狩人として引けん。

まずは村人や猟兵に手持ちの『滑る液体』を罠に使いたい旨を相談しておく
砦の壁や砦の外に設置して、敵の乗り込み阻止や転倒トラップとして利用したいのだ
理解を得られて許可が出たら狩人の潤滑液を使用する
まずは砦の壁に塗っていく
取り付いて壁を登ってくる輩がいないとも限らない
砦の外にも軽く地面を鳴らして硬め、液体が貯まるように広めに拵えた場所へ流し込んでおこう
ただの水たまりと踏み込むならそれでよし、避けるなら侵攻方向を狭められるので問題ない
水たまりは怪力、ジャンプ、踏みつけでしっかり固めて作ろう
「力技で来るならば、小細工の一つ位はな……」


アララギ・イチイ
村に到着次第、防衛の準備を無償で手伝いたい、と説明を行うわぁ
まず村人達と良い関係を築かないとねぇ

で、砦の建設を始めたら、私はか弱い私だけど力仕事担当ねぇ
あと、召喚・機械人形ズ、を使用して作業員(19人)の増員をかけるわぁ
もちろん作業前の「今日も安全作業で頑張ろうぉ(機械人形達と)」と朝礼みたいな事は忘れずにねぇ

力仕事は周囲の木を伐採ねぇ
(怪力)の技能でビームブレイドを振るい、伐採していくわぁ
機械人形達は木の運搬と加工よぉ(他に必要な場所への配置代えも有り

砦から見て障害物になりそうな木から伐採しようかしらぁ
襲撃時に相手の隠れる場所が無ければ射撃武器の効果が上がるでしょうしぃ


ドリスコ・エボニス
そんじゃまあ砦の建設といきましょうかね
力仕事なら任せろってやつだ
でも一人でやるには限界があるから村人には手伝ってもらう
村を守りたいから力を貸すから手伝ってほしい村人に伝えておこうかね

地形の利用と戦闘知識を生かして砦の建設をしていく
伊達に故郷が戦場じゃない、いかに砦の守りの重要性を説く
グラウンドクラッシャーで地形を変えてより攻め辛い砦を目指す

邪魔な資材はグラウンドクラッシャーで粉々にして運びやすくする
同じように運ぶのに大きすぎる資材もグラウンドクラッシャーで小さくする


ダーシャ・アヴェンダ
行動方針【SPD】周辺の探索を行う、仕掛け罠を用意する。

村の周囲を探索して【情報収集】しつつ程よい木を幾つか伐採して、
その木材で【地形の利用】を考えて村の出入口以外の周囲を柵で囲うわ。
効率よく作業する為にユーベルコードで人形を増やすわね。
【罠使い】としては侵入してくる出入口周辺ルートに落とし穴を掘っておいて、
出入口周辺以外には木と木の間にワイヤーを張って鳴子を付けておくわね。
「これで何処から侵入して来ても対策は取れるわ」


セルマ・エンフィールド
敵は強力なリーダーに率いられた統率の取れた集団、盗賊と思ってかからない方がよさそうですね。

『暗視』を利用して夜間に周囲の探索を行います。探すものは敵の斥候です。いくら堅牢な砦を作ってもその構造が敵に知られては片手落ちですから。

夕暮れ過ぎに村周辺でよく射線の通る高台を確保したら、そこでいつも通りの伏射狙撃の態勢、【氷の狙撃手】で盗賊を狙いましょう。『スナイパー』も用いてきっちり仕留めます。

敵が二人組以上で行動している場合もありますし、その時は十分引き付けて全員を射程に入れてからですね。他の猟兵の方と連携できれば一番よいのですが。

こんな夜更けまでご苦労なことですが…夜は"お休み"の時間ですよ。


水心子・静柄
砦の建設に力を貸すわ。地形を利用出来れば短時間で堅牢な砦を造れると思うのよね。

まずは村の周囲の把握かしら?範囲を狭めれば色々短縮出来るのよね(斧で素振りしながら)
建物を壊すかは村人と相談ね。

次、炎狼は正面から堂々とだから来る方角を確認して、その方面を重点的に強化すれば堅牢に出来るわね。

後は炎狼というから可燃性の物を多くすると逆に危険かもしれないわね。延焼を防ぐ為にも村の建物の間隔も開けたいところね。

とりあえず私はグラウンドクラッシャーで村の周囲を陥没させて堀が作れるか試してみるわ。上手くやれば土嚢の土も手に入るかもしれないわ。許可が下りれば建物の破壊もやるわよ?


ルフトフェール・ルミナ
まずもって、真っ当に人様が築いた村を焼き討ちしようとか、気に入らない話だねえ。
暴力に暴力はそりゃいかんけど、世の中にはめっちゃ痛くしないとわかんない奴がいるって、爺様が言ってたよ。僕もそれは思う。性癖かね?
真面目に生きる人達が恙なくあるために、頑張ろう。
村の周りを見て歩いて、地形を確認しよう。大人数の行軍がしやすい場所があれば、山賊の攻めてくるルートが予測できるかもしれない。
ついでにそこに仕掛け罠も仕掛けとこう。
後、逆に村から視認し辛い場所も確認したい。万が一、村の人が避難するときに山賊に見つかり辛いようにね。
山賊の奇襲対策にもなるかもだし。聞く限りの山賊の性質上、無いとは思うけど、一応ね。


メイガス・オブメイズ
聖者の為すべきを為すのみだ

頭目の炎狼相手に燃え易い防柵は避けたいな
木以外…手間だが石壁や土塁の類が望ましいか
彼奴の手足となる山賊共を杭止める拠点にせねば
あとは堅牢に構築するに時が足りるかだが…さて。

【POW】砦の建設に従事
不定形の我が身を伸ばし
土台になりそうな岩に絡ませて
「バウンドボディ」の伸縮を駆使して運ぶ


エトワール・フィラントゥ
お掃除でしたらお任せくださいませ!

あ、申し遅れました。わたくしエトワールと申します。
しがないメイドで御座いますが、皆様がお困りと聞き馳せ参じましたの。

*現地に到着したらご挨拶はしっかりと。
お手伝いに来たこともお伝えし、村の皆様に安心していただきたいですの。

*砦を快適かつより安全なものとする秘訣はズバリ、整理整頓清潔清掃に御座います!
作業中の皆様のお邪魔とならないように、
お声がけしながら材木などを運んだり、必要のないものや妨げとなるものを撤去したり。

*他にお困りごとがあれば其方のお手伝いも。
抜きん出た能力はありませんが…荷造りや細かな作業もできますので!
何かしら皆様のお力になれれば良いですわ。


リュカ・エンキアンサス
周囲の探索を行う。
進入口になりそうな場所を探ったり、もろそうなところを修復したり。同様に防衛に来ている猟兵たちと情報や意見を交換して、なるべく効率的な罠作りを目指すよ。
レプリカクラフトを使用して、おとり用の人形を設置するのもいいかもしれないな。

……正直あんまり、人と話すのは得意ではないけれど、
そうもいって入られないだろう。
なるべくなら、大事なものをなくす人なんて、いないほうがいいんだから。
そのほかこまごまと働くよ。力仕事はちょっと苦手だけれど、
基本なんでも頼られれば断れないタチだから。頑張ってみる。


御門・セツ
探索は面倒だし、戦い方の提案といっても自分はバーンと突っ込んでいくぐらいしか思いつかないし、ここは砦建設のお手伝いが妥当だね。

そういえば、この前は足元を不安定にして有利に戦えたから、今回もやってみるかなという事で、【グラウンドクラッシャー】を使って地面を崩して堀状に、出てきた土や石は土塁とか砦の材料に使えばいいかな。
最悪、荒れた地面だけでも足止めになりそうだし。とりあえず、撃てるだけ撃ってけばいいや。

ホント言うとこういう裏方の仕事より、敵と戦いたいんだけど。
村の人には悪いんだけど、早く敵が来ないかなー


ライヴァルト・ナトゥア
同じグリモア猟兵として手助けもしたいし、俺の宿敵が絡んでいるともなれば尚更な

(UCを使って建築資材を器用に掴み、設置してゆく)

マルコシアスと戦うなら、耐火性は絶対に必要だ。スペース世界の誰かがいるんなら、ジュラルミンでも塗布して欲しいところだね

無い物ねだりはやめておいて、一番現実的なのは金属の格子かな。それでも、長くは耐えられないだろうから、応戦は絶対だろうけど

地味な作業だけど、できうる限り頑張ろう。
俺も死にたくはないし、何より、仲間を死なせたくもない
ならば、今から頑張っておくのも、やっぱり大事なことだから



●戦場到着
「現地に到着したらご挨拶はしっかりと!」
 特徴的な耳をぴこぴこさせたケットシーのエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)が声を張る。
 それを合図に、集まった猟兵達は思い思いの挨拶を口にした。
 猟兵達が到着し、何事かと集まって来ていた村人達が、更に困惑してざわつき始める。
「あ、申し遅れました。わたくしエトワールと申します。しがないメイドで御座いますが、皆様がお困りと聞き馳せ参じましたの」
 スカートの裾をついと摘まんで頭を下げるエトワール。
 その言葉と態度に、少しだけ警戒を緩めた村人が尋ねる。
 助けてくれるのか、と。
 下らないその質問に猟兵達が答えると、村からは涙混じりの歓喜の声が上がった。

●戦場視察
 猟兵達が送り込まれた村は、一言で言って何も無い村だった。
 金が無いとか飯が無いとかそういうのではない。
 可も無く、不可も無い。そういう村だ。
「荒れ地……と言うほどでもないか」
 五十嵐・達也(血濡れの咎狩人・f00485)が呟く。
 ざっと見回すと目に映るのは点々と生える木々と所々に群生する草。遠方には森や丘もあるが、特に自然豊かといった風でもない。
「この微妙さのおかげで獣や魔物にも襲われないんでしょうね」
 同じく遠方を見やるダーシャ・アヴェンダ(見習い人形遣い・f01750)も腰に手を当てて息を吐く。
 自給自足で手一杯だが餓死者や凍死者を出す程に追い詰められてはいない。ほどよく生活が大変な村。獣にしろ盗賊にしろ、わざわざこんな所まで来て略奪しようとも思わないだろう。
「だからこそ今回は大慌てだったんだろうねえ」
 ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)が後ろの村を見る。砦はおろか、物見櫓さえない小さな村だ。
 だけど砦で守るには村自体は小さい方が都合が良い、と考える事にする。
「まずもって、真っ当に人様が築いた村を焼き討ちしようとか、気に入らない話だねえ」
 ルフトフェールはそう言うが、相手は魔獣。殺して奪うのなんて自然の摂理でしかない相手に悪党めと言っても無駄なのは分かっていた。
 山賊についても同じ。アックス&ウィザーズにおける山賊とは人ではない。人ではなくなった、文字通りの人でなしである。
「他の猟兵たちから話聞いてきたよ」
 リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)が三人のもとにやってくると、ふと遠くを見て、おおよそ三人と同じ事を思った。
 他の猟兵と協力してなるべく効率的な罠作りを。そう思って苦手ながらも色んな猟兵に話を聞いてきたリュカに、三人が集まってくる。
「どうだった?」
「うん、他の猟兵たちからは石とか土とかの建材が欲しいって」
 リュカがざっくりとした猟兵たちの要望をまとめたメモを読み上げる。
 砦の建材は石や土を中心にして作る。その為の整地部隊が控えているので、四人はまず周囲の探索をしつつ整地箇所を決めていくことになった。
 加えて、四人それぞれの行動もある。
「砦には木材はあんまり使わないわよね。それならこっちで使わせて貰いましょうか」
 ダーシャは防衛上不要な樹をチェックしつつ、後に作るトラップの構想を練る。
 簡単な柵と、ロープと鳴子の罠だ。
 炎の魔獣相手に木製の罠が通用するかは分からないが、その尖兵である山賊相手ならば問題無く機能するだろう。
「歩き易い場所があれば進軍ルートが読めるかと思ったけど、見事に平野だねぇ」
「それなら整地部隊に頼んでみる? 通りやすい道を残して他を荒らしておけば……」
「なるほど」
 ルフトフェールとリュカが相談して、簡易的な地図に進軍ルート用意の準備を進める。
 それを覗き込んだ達也が「それなら」と罠を付け加えた。
「盆地を作ってくれれば、そこにオイルトラップを仕掛ける。ただの潤滑油だが避けるにしろ越えて来るにしろかなり行動を制限出来る」
 ジャンプや踏みつけによる地均しの心得も達也は持ち合わせていた。あとで整地部隊に混じってトラップの設置を行うこととし、ついでに砦が完成したならその壁にも滑る液体を擦り込むつもりだ。他の猟兵が許可してくれればだが。
「さ、考える事が終わったなら残りは早く片づけましょうか」
 ダーシャがそう言ってからくり人形を大量に複製する。これで人手も十分。
「俺も人形を作るよ。仕掛け罠ならそれなりに騙せるはず」
 リュカが言いながらレプリカクラフトで作り出した囮人形は、遠目ではまず分からないほど精巧な作りになっていた。言わばリアルなカカシでしかないが、これを見れば山賊達は必ず足を止めるだろう。
「あとは村から視認し辛い場所も確認したい」
 ルフトフェールがそう言って木々の向こうや森の方も足を運んで確認していく。
 地道な作業だが、この探索が必要不可欠な土台作りとなっていくのだった。

●戦場整地
 探索部隊からの報告と要請を受けて村から四人の整地部隊がやって来た。
 大まかな仕事は整地。何も無い村の周辺に凹凸を作ったり、砦建設予定地は平らにならしたりする。
 その過程で発生した土砂なども利用予定で、足りない木材や石材も集めて運ぶ部隊である。
「地形を利用出来れば短時間で堅牢な砦を造れると思うのよね」
 斧で素振りをしながら淡々と言う水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。報告を受けてはいるが、現場判断もまた重要だ。
 先ずは村の周囲に堀が作れないものかと地面の堅さ、掘り易さを調べ始める。
「堀作りなら自分も手伝おうかな」
 バーンと突っ込むくらいしか思いつかないという御門・セツ(狂い華・f02799)も静柄と一緒に地面を掘り返すことにする。
 それが終われば探索部隊の要望通り、周囲の地形をボコボコにするつもりだ。
 この前は足元を不安定にして有利に戦えたしね、と経験を活かそうとするセツ。もちろん自分達まで戦い難くはならないように。
「地形を変えるのには賛同する」
 要望とセツの地形利用の話を聞いて、ドリスコ・エボニス(蛮竜・f05067)が頷く。多くの戦闘知識を持ち地形の利用を得意とするドリスコは、砦や地形の重要さを他の猟兵以上に知っていた。
 そんな彼は同じく人手の重要性も知っている。土砂なるべく細かくし、村人達にも土嚢作りなどを手伝ってもらえるように手配する。知識も経験もない村人達はせめて足を引っ張らないようにと従順に言う事を聞いてくれていた。
「力仕事であればお任せください!」
 と、胸を張る張・小龍(ドラゴニアンの竜騎士・f03926)は「ボクはこれでも結構な力持ちですよ!」とアピールする。
 しかし力仕事はともかく、岩の切り出しは誰かに頼まなければならない。
 村人は土嚢なら作れるかも知れないが、城壁はどうやって築いたものか。
「それは建設部隊に任せると良いわね」
 静柄がそう言うと、小龍はそうですねと頷いた。
 さて、と四人が四人とも準備を済ませると、いよいよ整地が始まる。
 荒れ地とは言え相手は大地。
 のんびりしていては開戦に間に合わないだろう。
 だが、そこは猟兵。
 超常を齎すユーベルコードが彼らにはある。
 ただの一撃で周囲の地形まで破壊せしめる必殺の一撃が。
 四人が各々の武器を振り翳し、言い放つ。

「「「「グラウンドクラッシャー!」」」」

 異口同音に叫んだユーベルコード。
 叩き付けられた一撃は、荒れた大地を轟音と共にかち割った。

●戦場建設
 村人達は忙しく走り回っていた。
 村の外から次々と運び込まれてくる岩や土砂、木材の数々を受け取り、砦の建材として利用できる形に加工しているのだ。
 自給自足で暮らしていた村ではあるが、こんなに急ぎで、かつ大人数で建設作業をしたことはない。が、作業量が多過ぎてただこなしていく内に全員が手慣れ始めていた。
「平和を壊すなんてこと、見過ごせんな」
 ふんっと鼻息荒く柊・雄鷹(sky jumper・f00985)が怒りを露わにする。
 しかしそれも一瞬。村人達に向き直る時には不安を吹き飛ばすような笑顔で。
「ワイも力になるでー! 一緒に防衛戦頑張ろか!」
 拳を振り上げる雄鷹に、村人達も拳を上げて応じる。
 それから雄鷹は翼を活かし、高い防壁作りに当たる。
 高所に築くとあれば重たい石材より木材を用いた方が良い。それに土台が石作りなら少なくとも延焼で高所が焼け落ちる可能性は低いだろう。
 その木材は整地部隊からは少量しか送られてこないので、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)が名乗り出て木材伐採へと赴いていた。
「私はか弱いのだけれどぉ」
 と言いながらバスンバスンと木々を薙ぎ倒していく少女。
 更にはユーベルコードで召喚した20体近くの機械人形をも駆使し、百人力の仕事っぷりを発揮する。
 ついでに、事前に無償で働くと宣言していた少女に、これだけの猟兵達に満足な報酬を用意出来るだろうかと心配していた村人達は大興奮である。
「頭目の炎狼相手に燃え易い防柵は避けたいな」
 次々と運ばれていく木材を横目にメイガス・オブメイズ(泥濘の聖者・f05836)は呟く。
 石材は大量に運ばれてくるが、なにせ石だ。重いし、加工も難しい。相手が炎狼マルコシアスでなければ急ごしらえの砦に石材を大量投入なんてしないだろう。
「しかし妥協は出来ん。聖者の為すべきを為すのみだ」
 メイガスが気合を入れ直し、村の入り口に積まれた石材の山に潜り込む。
 ブラックタール特有の流動的な身体を活かして石材の下へと滑り込むと、今度はバウンドボディを使って弾力を倍増させ、石材を弾ませるようにして運んでいく。
 効率的かと言えばこれが意外と良いもので、まず手や腕の数より多くの石材を一度に運べ、加えて落して怪我したりする可能性も無いのだった。
「堅牢な砦を築くには時が足りん。次々運ぶぞ」
 その言葉通りに次々と石材を運ぶメイガスを、一部の村人は本気で羨ましがっていた。
「マルコシアスと戦うなら、耐火性は絶対に必要だ」
 腕を組み唸るライヴァルト・ナトゥア(守護者・f00051)はそう言って建材の吟味を始める。
 他の世界から耐火性の高い建材を持ち込みたい所だがそれは難しい。せめて鉄を、と思うが、流石に現地調達した鉄鉱石を鉄にまで加工している時間はないだろう。
 それなら、とライヴァルトは村人達に頼んで鉄製の農具や使わないであろう武器などを貰って来た。
 これも即席になってしまうが、砦の一部に格子を加える事でほとんど一方的に攻撃出来るようになるだろう。守るだけではなく、応戦も絶対に必要な筈だ。
「さて。後はひたすら建築だな」
 幾らかの格子を用意したライヴァルトは、ユーベルコードを用いて左手を巨大な狼の顎門に変えた。本来なら敵を噛み砕く強靭な顎だが、今は重たい石材を軽々と持ち上げ、器用に積み重ねていくことに利用する。
 ライヴァルトは思う。地味な作業だが、これも必要な事だと。
 自分も死にたくはないし、何より、仲間を死なせたくもない。ならば、今から頑張っておくのも、やっぱり大事なことだから、と。 
 そんなライヴァルトの真摯でひたむきな姿勢に、村人達は負けじと張り切り建設を手伝い続ける。
 そもそもここは自分達の村で、かかっているのは自分達の未来だから。
 だが不慣れな作業で焦ればそれだけ事故も起きやすくなるというもの。
「あぶない!」
 石材を運んでいた村人が建材に足を引っ掛けて転びそうになった時、一瞬瞳を真紅に輝かせた峰谷・恵(神葬騎・f03180)がそれを救った。
 村人どころか投げ出してしまった石材まで軽々と受け止めた彼女は美形、色白、細身のナイスバディ。受け止められた村人もそれを見ていた村人達も何がとは言わないが「すげえ」と思った。
「怪我はなかった? 事故には気をつけてね」
 声を掛けて立ち去る恵。やはり軽々と石材を持ち上げて。
 恵は整地部隊が整地ついでに用意した土砂や石材を村の入り口まで運んでいたが、それが片付き、今度は建設箇所へ重い物を運ぶ作業に入った。
 砦は着々と完成している。
 必死な村人達と献身的な猟兵達のお陰で。
「今ここで事故が有ったと聞きました」
 と、恵が立ち去った後の現場に、颯爽とエトワールが現れる。
 細やかなお手伝いに奔走していた彼女だが、遂に彼女にしか出来ない仕事が回ってきたようだ。
「掃除、しましょう!」
 言うや否や、エトワールは事故の原因の一端となった足下の建材を人の通りから少し離れた所へと運んでいく。
 建材置き場と通路をしっかり分け、小石にも躓かないように徹底的に。
 傍から見ると砦建設とは無関係な仕事をして居る様に見えたであろうが、実はこれが有事の際には活きてくるのである。
 その事を彼女自身が知っているかはともかくとして、メイドは砦中を箒片手に駆け回っていた。

●戦場完成
 夜。
 陽が沈み、村は静かになっていた。
 村の中に置かれたささやかな篝火。照らされた村の中には猟兵達が居る。
 村人達に受け入れられた猟兵達は丁重にもてなされ、質素だが食事と寝床を提供してもらっていたのだ。
 マルコシアスが来るとすれば、明日か、明後日か。
 そんな緊張状態の中、それでも村は猟兵達が訪れる前とは比べ物にならないほど和やかな空気に包まれていた。
「斥候は……来ませんね」
 その空気を背に、出来上がったばかりの砦の上で伏せて遠方を睨むのはセルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)。
 暗視を活かして夜警を買って出た彼女は、村の外を見ながら思う。改めて猟兵は凄いな、と。
 村周辺の荒れ地は堀や壕が作られ、幾つもの罠が設置されている。
 壕の幾つかには潤滑油が満たされている。踏み込めば転倒必至、まずまともに動けなくなるだろう。避けようと思えば避けられるが、当然避けた先にも罠がある。
 鳴子の罠はシンプルだが実用性がある。主に寝ずの番に用いられ、敵の侵入に気付く為の物だが、相手が大群となればどこから敵が接近しているかが知れる上にロープ自体が敵の進行を遅らせる罠となる。
 進行を遅らせると言えば設置された人形もそうだ。精巧な人形は一瞥しただけでは偽物とは思えず、警戒から敵の歩みを遅らせる事が出来るだろう。
 砦も高くて堅牢。石材を中心に耐火性を重視した砦は、とても一日で作ったとは思えない出来だ。
 石造りの壁の所々にあいた格子窓からは遠距離攻撃で敵を撃ち抜く事が出来る。同じく狙撃ポイントとしてセルマが居る上部も重要だ。壁の方にも潤滑液が塗りこめられ、その高さと滑り易さから登ってくるのは山賊にも炎狼にも相当に難しいだろう。
 何も無かった村に突如現れた砦と罠の防衛線。
 果たしてこの一夜城はどこまで通用するのだろうか。
 セルマは睨む。やがて来る敵を。
 折角の砦を斥候に暴かれ台無しにされない為に。
「まあ、誰も来ませんが」
 呟きながらセルマは更に遠方を見る。
 荒れ地の向こう、小さな森の先。肉眼では捉えられない程の遠距離。
 そこに、赤々と輝く炎が見えた。
「――あれの動向は、必ず他の猟兵の方に引き継ぎましょう」
 炎狼マルコシアス。
 地獄の炎を纏った魔獣。
 戦場を渡り歩くというかの怪物に、教えてやらねばならない。
 この村が最後の戦場になる、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
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●戦場侵入
 山賊が来る。
 猟兵達はその時が来たのを知る。
 情報通り、山賊の軍勢は真正面からやって来た。
 それも陽が完全に登り切ってから。
 白昼堂々と現れた夥しい数の山賊達は、静かに戦場の端に辿り着いた。
 あと一歩。
 奴等が踏み込めば、戦端は開かれる。
峰谷・恵
「殺して奪いに来たけど死なない程度に済ませてくれるだろう、なんて甘えたことは考えてないよね?」

【POW】で砲撃。
敵が密集している所にアームドフォートでフルバースト・マキシマムを叩き込んで砦までたどり着く敵を少しでも多く減らす(戦場整地で敵の通り道として残した道は敵を誘い込むために砲撃に巻き込まないようにする)。
敵の下賤の叫びを砲撃の爆発音で通りにくくするようにとにかく撃ちまくる。

「マルコシアスとかいうのが来る前に山賊の片をつけないと…」


ライヴァルト・ナトゥア
細工は流々、あとは仕上げを御覧じろってな
少なくとも、山賊如きに突破されるようなやわな作りはしていないさ
(住民達に微笑んで)
時間だけを稼いでくれ。心配するな。俺たちが、ここに居る
全てきっちり片付けてやるさ
(山賊達と対峙して)
さて、今回は手数が大事だからね。あまり得手ではないが、召喚で戦うとしよう
我が声に応えて出でよ
(ユーベルコードを発動、騎士と竜を召喚する)
問題は俺が戦えないことだが、何、攻撃をかわすことくらいは出来るだろう
さぁ、行ってこい。確実に、着実に、だ。隙があれば山賊どもを油の中にでも叩き落としてやれ
(声に応えて騎士達が動き出す)
前哨戦だ。ここで勝たねば本命に会えもしない。確実に、勝つ!


セルマ・エンフィールド
私の【氷の狙撃手】の射程は現在225m,砦の上からでも十分に戦場を狙えます。うかつに射程に入った者から容赦なく仕留めていきます。

とは言ったもののこの数相手に私が一人一人倒していく、というのも不毛です。ならば、誘導としましょうか。
夜間警戒は無駄になりましたが、代わりに罠の配置は頭に入れました。私が愛用のマスケット「フィンブルヴェト」を用いて『スナイパー』で狙うのは罠にかかりそうにない者です。撃ち抜き、凍り付かせ、進軍経路を限定します。

そういえば、村の人たちも前線に出るのでしょうか……私には私の役目がありますが、もしそうなら助けられるところは助けるとしましょう、寝ざめも悪いですし。


ダーシャ・アヴェンダ
「こんにちは。山賊の皆様。早速だけど村の為に死んでもらうわ」

私は人形を操る関係上遠距離タイプだから柵や砦には近づかずに遠くから戦況を観察しながら戦うわ。

【視力】強化を行いながら【毒使い】としての私特性のサイファーを増やして操るわ。仕込み武器は全て毒【マヒ攻撃】付きよ。

乱戦になると思うから普段は猟兵の仲間をガトリングガンで【援護射撃】するわね。

フック付きワイヤーで【鎧無視攻撃】で貫通してあげたり、【カウンター】の鋼糸で【ロープワーク】で敵を巻きつけて【敵を盾にする】わ。
仲間が負傷したらワイヤーで引っ張って【救助活動】もやっておくわよ。

「粗方片付いたかしら?」


ドリスコ・エボニス
戦場は我が故郷、たとえ世界が違えど心が安らぐ

統率がとれていようが叩き潰すまでだ

悪いがせっかくできた砦には近づけさせないぜ
攻撃はグラウンドクラッシャーを使用
一撃で倒せるならよし、ダメならもう一度攻撃する
一人ずつ確実に仕留めていく
倒せたならダッシュで次の山賊に狙いを定める

戦闘知識や野性の勘を生かして戦場における押し込まれている
ぶぶんがあればそちらに援護しに行く
他にも攻撃や回避にも戦闘知識や野性の勘を生かしていく
それぐらいしかオレは出来ないからな


張・小龍
「まずは雑兵をなぎ払うとしましょう。この頑丈な砦があれば安心して前に出られます」

とはいえこの数は囲まれると厄介ですし…どうしたものかと悩みます
と、そこで閃きました
「あっ、そうか。武器ならばここにあったじゃないですか」

ドラゴニアン・チェインで先頭の敵を捕らえ、持ち前のスキル怪力を利用してハンマーのごとく振り回します
スキルのなぎ払いも使ってチェインで捕らえた敵で、山賊集団を吹き飛ばして回りましょう

小柄な自分の体を有効活用して、敵をすり抜け、チェインで引っ掛け、山賊を振り回し、先頭の部隊を混乱させたいです
囲まれて押しつぶされては危険ですから、適度に荒らしたら砦に引いて、また攻めてを繰り返したいですね


アララギ・イチイ
やっと来たわねぇ
団体様のご到着、歓迎の準備は万全だわぁ
でも、一気に平らげるのはもったいないから、ちょっとずつ大切に食べましょうぉ

召喚・機械人形ズを使用するわぁ
狙撃銃装備だから、こっちの防護柵に隠れて山賊を狙撃よぉ
この人形の能力的にそれほど優れていないから、単一目標に複数固体で集中攻撃を仕掛ける様に指示しておくわぁ
私も2門の速射砲を引っ張り出して援護射撃ねぇ

で、山賊が無事にこっちの近接武器の射程に納まったら、私出撃ぃ(なお、独断行動は厳禁、仲間との連携は意識する
装備品から2つの巨大剣を引っ張り出して踊る様に周囲を薙ぎ払うわぁ
攻撃はこの巨大剣の側面とかで武器受けして防御ねぇ
いっぱい殺したいわぁ


茲乃摘・七曜
心情
見事に統率された山賊…いえ、軍勢ですね

行動
基本は砦の格子窓からの遠距離攻撃
Angels Bitで不可視の風【属性攻撃】【範囲攻撃】(風の散弾)を歌い集団の勢いを殺し小集団にばらけていくように意識し行動
・敵集団先頭を負傷させることに遅延工作
・油の入った堀への誘導
「回り込む動きがあれば前衛を張る皆さんに伝えましょう」

潤滑油に塗れた敵が増えた以降、Angels Bitで火【属性攻撃】【範囲攻撃】を歌い、潤滑油を燃焼させ山賊を炎で攻める
砦の耐火性能は信じているが仲間や設置した鳴子等の罠を巻き込まないよう風【属性攻撃】【範囲攻撃】(突風)で延焼方向を調整する

回復
継戦能力を維持するよう適度に疲労を癒す


リュカ・エンキアンサス
……あいつ、ら……っ!
守って見せると決意をこめて、ためらうことなく戦場に繰り出す。とにかく早く、ためらわずに。銃を撃ち一人でも多くの山賊を殺して、殺して、殺しつくす。
怪我を負っても気にはしない。死にかけたときは【戦場の亡霊】を使用して、倒れるまで戦い続けてやる。

……オレは今でこそこんな上等な身分で、好きなことをしていたけれど。
この力が無ければクソみたいな故郷で同じような人間になっていたかもしれない……。
だから殺す。一人も残さず殺しつくす。
こういう人間は、いちゃいけないんだって見た目はずっと淡々と、冷静に。
……俺は絶対、同じじゃない。同じにはならないって。自分に言い聞かせるように。


御門・セツ
さー、砦も出来上がったし入口で敵が来るのを待ってようかな。

本当ならすぐに敵に突っ込みたいけど、せっかく作った砦の優位もあるし、最初は侵入されないよう入口で牽制しつつ、遠距離攻撃が得意な他の猟兵さんに頑張って貰おう。

敵の数が減ってきたら私も突っ込んでって、狙いをつけずに近い奴からかたっぱしから潰していこう。炎狼退治に向けて準備運動しておかないとね!


エトワール・フィラントゥ
まあまあ!なんて立派な砦でしょうか
これも村の皆様と猟兵様方の努力の賜物でございますね!

お優しい村の皆様の笑顔を守るために、まだまだ頑張りますよ
罠の位置も、砦の出入口も一晩かけて覚えましたし
たぶん、大丈夫…たぶん!

*戦闘
細かな罠や砦を傷付けない為にも、
力いっぱいのお仕事は避けた方がよろしいですね
エトワールは砦の防衛に徹します

①【なぎ払い】【武器受け】を利用して石つぶてを防いだり、
ユーベルコードや【気絶攻撃】で砦内に侵入せんとする山賊様方を通せんぼいたしますわ
…ああ!其方はさっき綺麗にいたしましたのに…ぬぬぬ、負けませんよっ

②負傷者がいれば【救助活動】でサポートを
砦内に運び入れ手当てをして頂きます



●侵略の火
 荒れ地を挟んで広がる森は、緑豊かとは言えないがそれなりに広大だ。
 近隣の村々はその森の中か向こうに存在し、炎狼の手に掛かり焼け落ちた村もその中に存在する。
 ただ、連絡手段が限られるこの地域の村々では、どの村がどうなったのかまでは分からない。
 この村が襲撃されると知ったのはたまたま隣村の人間が逃げ込んで来たからだ。
 数多の戦場を渡り、勢力を拡大する魔獣、マルコシアス。
 マルコシアスが引き連れている山賊達がどれほどの数なのかは、即ちマルコシアスがどれだけの戦場を渡り歩いて来たかでもある。
 配下が多い程にマルコシアスの力は大きく、そしてその被害に遭った者も多いという事だ。
「多い――!」
 村人の誰かが呟いた。
 猟兵達が築き上げた砦。その高台から見える戦場の端には、既に山賊達が並んでいた。
 横にずらりと、十か二十か、それ以上か。
 そしてそれは一列目。
 森から続々と姿を現す山賊達が二列目三列目と隊列に加わり、集団が軍勢へと変わる。
 一体どこからこれだけの人数を引っ張ってきたのか。改めて村人達は思い知る。立ち向かうなど無謀も無謀であったと。
 その夥しいまでの数の暴力に猟兵達さえ息を呑み、敵群の動きを固唾を飲んで見守っていると、遠くから声が聞こえた。
 遠吠え。
 低く轟く、地獄の底から聞こえてくるかのような雄叫び。
 その声に呼応するかのように山賊達が一斉に声を張り上げた。
 地鳴りのような咆哮は鬨の声。鯨波とも呼ばれる雄叫びを上げながら、山賊達はその行動すらも鯨波の如く、戦場を洗い流す津波のように進軍を開始した。

「火の様に猛り、火の様に侵せ! 我等こそが戦火! 我等は地獄の業火なり!」

 大気を震わす咆哮。大地を揺るがす進撃。
 戦端は此処に開かれ、炎狼の軍勢は全てを呑み込まんと燃え盛る。
 例え相手が何も無い村の非力な村人であろうとも――
 火が付いた山賊達は、問答無用に踏み荒らす。

●反撃の烽火
「……あいつ、ら……っ!」
 見る間に戦場を覆っていく山賊の軍勢を睨み付け、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)は砦から飛び出した。
 躊躇いは無い。元より砦を守る為には何人かは表に出なければならないのだ。
 ならばと誰よりも早く駆け抜け、堀も壕も罠さえ飛び越え、リュカは一直線に山賊へ向かっていく。
「殺す……!」
 真っ直ぐな殺意を弾丸に込めてアサルトウェポンを敵前衛に向けて乱射する。
 ぶちまけられた弾丸は山賊達を蜂の巣にしていく。
 ――殺す。
 殺して、殺して、殺し尽す。
 一人でも多く、己が身を省みず。
 引き絞ったままの引き金に指が食い込み、火を吹き続けるアサルトウェポンが熱を持ち銃口が赤熱する。
 それでもリュカは撃つのをやめない。
 指一本触れられないまま倒れていく山賊達。しかしその後ろからも次々と現れ、リュカへと手を伸ばす。
 それは一方向だけではない。気が付けば回り込む様に山賊達が現る。
 ――そこまでして奪いたいのか。
 リュカが嫌悪のままにアサルトライフルを振るう。前方から押し寄せる山賊達をバラバラにし、側面から回り込んで来た者もついでの様に薙ぎ払う。
 仲間が作ってくれた戦場は、決められた『道』以外は罠だらけだ。壕や鳴子の罠に足を取られ、潤滑油に踏み込めばまともに歩く事すら出来なくなる。
 それでも進む山賊を容易く撃ち殺す。
 そんな山賊達を見てリュカは思う。猟兵としての力を得られなければ、自分もこうなっていたのではないかと。
 山賊は元々は人間だ。魔物扱いだろうと、人の身から堕ちた存在である事は変わりない。
 オブリビオンも然り。
 誰が「自分はオブリビオンにはならない」なんて言えるものか。
「……この力が無ければクソみたいな故郷で同じような人間になっていたかもしれない……」
 戦う事、そして勝つ事、即ち強い事。それが全てだと教えられた。
 弱い者を否定し続けてきた。
 だから山賊達はまるで過去の自分のなれの果てにさえ思える。
「だから殺す」
 リュカはアサルトウェポンを山賊の腹に押し付けた。
 赤熱した銃口が肉を焼き、吐き出された弾丸が腸をぶちまけ、その後ろに立っていた山賊にまで鉛の雨を浴びせて殺す。
 一人も残さず殺しつくす。
 こういう人間は、いちゃいけないんだと言うかのように、淡々と。
「ぐ……ッ!?」
 リュカがぐらりとよろめく。
 ここまで一方的にやられるだけだった山賊達だったが、ここにきて石飛礫を多用してきたのだ。
 一つ一つは大した事はない、頭部に直撃でもしなければ打撲で済むレベルだ。
 が、問題はそれでもガードしなければならないという事。そうなると攻撃が疎かになり前方の山賊達を抑え切れなくなるという事だ。
 加えて、今の隙に側面からの山賊達も一手打って来た。
 倒れた仲間の死骸を壕や潤滑油の中に放り込み、その背を踏みつけて侵攻して来たのだ。
「仲間を――」
 リュカは一瞬だけ目を見開く。
 それは『仲間の死を無駄にはしない』なんて感じじゃなかった。
 ただ、『そこにあったから利用した』というだけの動きだ。
「火の様に猛り、火の様に侵せ!」
 銃声が途切れて気付く。山賊達が今までずっと、そう唱えていた事に。
 踏み付けられた山賊から骨の砕ける音がしようと、まだ息ある者が呻こうとも、山賊達は止まらない。

「……俺は絶対、同じじゃない。お前らなんかと、同じにはならないッ!!」

 悲鳴を上げるかのように叫んだリュカが引き金を引く。
 弾丸をぶちまけ、血肉をぶちまけ、憤怒と憎悪をぶちまける。
 飛んでくる石飛礫にはもう見向きもせずに、自らも血に濡れながら武器を振り回し続けた。

●氷の魔弾と嵐の聖歌
「なんて数……」
 愛用のマスケット銃『フィンブルヴェト』を構え、セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)が眼下の戦場を見渡す。
 真っ先に飛び出し突出したまま暴れているリュカが居るおかげで砦に近付こうとする者は少ないが、狙撃手にしてみれば乱戦なんて地獄の様だ。
 が、それは普通の狙撃手の話。
 猟兵の中でも狙撃に秀でたセルマに常識では通じない。
 最大有効射程225m。
 普通のマスケットの数倍、ライフルド・マスケットにしても長く、何よりも威力が桁違いだ。
 その超射程・超火力さえ、セルマの腕次第で更に常軌を逸していく。
「狙うは、罠に掛かりそうにない者」
 言いながら放たれた弾丸はリュカを狙わず罠も避けて進軍していた山賊の頭を吹き飛ばした。
 本来なら当たれば善しとして敵軍の中に撃ち込むか、罠に足を取られた者から撃ち殺すものだが、そんな定石すらもセルマには通じない。
 撃てば山賊が死ぬ。
 ただ引き金を引くだけのゲームかの様に正確無比に額を撃ち抜かれた山賊達がバタバタと倒れていく。
 セルマにしてみれば砦にて絶好のスナイプポイントを確保出来たと言うだけでワンサイドゲームに持ち込めるだけの条件が揃っている。だから、砦に近付く者から片端から撃ち殺すだけで良い。
 次第にセルマの狙撃を避け、猟兵達が用意した壕の中に飛び込む者も増えてくるが、それこそがセルマの狙い。
 山賊が飛び込んで行った壕には潤滑油。
 油まみれになった山賊はまともに歩く事さえ出来ず、後で幾らでも処分出来る。
 セルマが行っているのは罠への誘導。そして罠を潰そうとする者の処分だ。
「夜警中に覚えておいてよかったですね」
 誘導先は油だけではない。ロープに掛かり転んだ山賊を後続の山賊が踏みつけ、事故が起きたりもしている。
 苦し紛れの石飛礫も射程が全く足りず、砦に届きもせずに落ちていく。
 仲間の死骸を壕に蹴り落として罠を潰そうとする者は、――死骸を蹴り上げようとした途端、触れた所から凍り付いた。

「『氷の狙撃手』――私の狙撃は撃ち抜くだけじゃありません」

 フィンブルヴェトから放たれるセルマのユーベルコードは山賊を的確に撃ち抜き、そこから次々に凍り付く。
 例え仕留め損なっても氷漬けになる魔弾は死骸を地面へ縫い付け、その死すらも利用とする山賊達をも凍て付かせた。
 次弾要らず。
 装填の隙より次の獲物を探す時間の方が長い気さえするほどの腕前。
 実用的とは決して言えないマスケット銃を構えた少女が戦場を凍えさせる。
「撃ち抜かれたくないなら逃げて下さい。――そう、罠の方へ」
 壕は罠だらけ、整地された通りにはリュカが陣取り、遮蔽物の殆ど無い戦場では狙撃を躱す術も無い。
 それでも数の暴力はどこまでも暴力的だ。
 仲間を肉の盾とし、文字通り仲間の屍を乗り越えて進軍し続ける。
 すでに並の山賊団なら壊滅しているような被害を出しながらも怯まず歩み続ける蛮族共は口々に「我等こそが戦火! 我等は地獄の業火なり!」と叫び続けている。
 正面から真っ直ぐに。
 奇襲は用いず堂々と。
 ……全て情報通りの行動なのに、ここまで異質だとは思わなかった。
 村人は既に恐怖のあまり動けなくなり、猟兵達でも目の前の惨状に顔を曇らせた。
 だが、どれ程の惨状であろうと、元より山賊を生かして帰すつもりは無い。
「近付いてきましたね」
 砦の格子窓から外を覗いていた茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が呟く。
 近付いた、とは言え、それでもようやく砦から攻撃が届くようになった程度だ。
 そしてここからが猟兵達の攻撃開始となる。
「まずは戦闘集団を……!」
 七曜が小型蒸気機関式拡声器『Angels Bit』を起動し、自分の周囲に浮かせる。
 一度深呼吸すると、七曜は格子窓から『Angels Bit』を咆えさせた。
 紡ぐ歌は力。吹き荒ぶ風。
 戦場に七曜の歌声が響けば、どこからともなく風が吹く。
 それは直ぐに突風となり、向かい風を受けた山賊達の歩みが止まった。
 なまじ大群であるからこそ風をの影響にまともに受け、石飛礫さえまともに飛ばせなくなった。
 範囲を広げるほどに威力は分散してしまうが、七曜はそれを歌を変調させる事で解決する。
 張り上げた声に呼応して、風は空気の塊となって山賊達を撃つ。
 流石に一撃必殺とはいかないが見えない散弾を全身に撃ち込まれた先頭集団は混乱し、進路を変えた。
 広域への進軍速度低下、狭域への進軍妨害。この二つを切り替え、山賊達を細かい集団へと分断していく。
 数の暴力を止める為には分断は効果的だ。
 自分達が意図的に分断されたと気付かない山賊達は進むほどに窮地へと追い込まれていく。
「もっと激しくいきますよ……!」
 歌には更に熱がこもり、その熱は山賊達に火を点けた。
 大気を伝った歌は山賊を焼き焦がす炎となり、その炎は油にまみれた山賊達を更に苦しめる。
 戦火だ業火だと謳いながら実際に火達磨になった山賊は悲鳴を上げながら死んでいく。
 更なる変調で再び風を起こした七曜は炎が罠や仲間に延焼しないようにと風向きを操っていく。それは結果として炎の勢いを増す追い風となり、対策無く踏み込んで来た敵の前衛部隊はあっと言う間に壊滅する。
 しかしそれだけやっても山賊はまだまだ多く、七曜は一度咳払いをしてから再び戦場を睨んだ。
「っと。両翼が回り込もうとしてますね。皆さんに伝えましょう」
 山賊達の動きに気付いた七曜がその情報までも歌に込めて戦場に放つ。次の瞬間には広がった山賊の両翼の舞台からも悲鳴が上がっていた。

●火は消えず、炎と成って
 山賊達は思い知る。
 砦にすら辿り着けない現状。
 このままでは磨り潰されるだけだと。
 ならばどうするか。
 答えは簡単だ。

「火の様に猛り、火の様に侵せ! 我等こそが戦火! 我等は地獄の業火なり!」

 轟と。
 轟々と、戦場に鬨の声が響く。
 山賊達はただそれだけを成すのだ。
 真っ直ぐに攻めて、壊し、殺し、蹂躙する。
 負けそうならばいっそう猛り、敵の全てを侵し尽す。

「燃えよ! 燃えよ!! 燃えよ!!!」

 それは戦場に木霊する。
 山賊達が持つ、同類を奮い立たせるユーベルコード。
 それは戦闘力のみならず、生命力さえ強化する。

「火の様に猛り! 火の様に侵せ!」

 負傷し倒れた者も、瀕死になり血の塊を吐き出す者も、
 立ち上がり、再び戦列に加わり、そして叫ぶ。

「我等こそが戦火! 我等は地獄の業火なり!!」

 軍靴の音も高らかに。
 山賊の軍勢は燃える様な闘志を胸に、戦場を駆け出した。

●破壊者、出陣す
「へえ……思ってたより、覚悟できてるんだね」
 意外そうに言いながら峰谷・恵(神葬騎・f03180)は待ち構える。
 山賊は魔物だ。
 もう二度と人間には戻れない。
 だから山賊は死ぬまで山賊なのだと思っていた。
 が、思っていた以上にマルコシアスの影響が強いらしい。
 山賊と言えば下卑た笑いを浮かべながら殺戮と略奪を楽しみ、常に自分のことが一番な破綻者だ。
 文字通りの人非人。人でなし。
 だと言うのに、山賊達は誰も逃げない。退かない。恐れない。
「『殺して奪いに来たけど、自分達は死なない程度に済ませてくれるだろう』……なんて、欠片も考えてないよね」
 ふっと笑って恵はアームドフォートを構える。
 ――だけど、その覚悟が好都合。
 罠と弾幕を突破して来た決死の山賊達を迎え撃つのは全門開放した携帯型固定砲台。
 矛盾を成した埒外の火力を超常なるユーベルコードに乗せ、恵がついと指をさす。

「ファイア」
 
 短く発した一言でアームドフォートが火を吹いた。
 いや、火を噴いた。
 それはまるで噴火の様に、搭載した全ての弾薬をただの一撃で消費し尽すべく、轟音と衝撃を辺り一帯に撒き散らす。
 当然、本命たる着弾の轟音と衝撃はその比ではない。
 惠へと群がり、殺到していた山賊達は、音が消え、光に呑まれ、何も分からないままに蒸発する。
 周囲を焦土と化した張本人は涼やかに立っていた。
 再装填と放熱を行いながら周囲を見渡す。小さく頷く惠は、仲間が整地した通り道や罠が破壊されていない事に安堵する。
 直撃を避けられた山賊達も鼓膜がやられたのか、雄叫びによる強化が途切れ、ふらふらと立ち上がっていた。
 更に遠くの山賊達にはそこまでの影響はない。が、着弾時の轟音はかなり遠くの山賊達の雄叫びをも一時的に掻き消していた。
「さて。マルコシアスとかいうのが来る前に山賊の片をつけないと――」
 高低入り混じった無数の金属音が惠の周囲に落ちていく。
 排莢を済ませ再装填を終えたアームドフォートが再び砲塔を敵軍へと向ける。
 戦火を砲火で吹き飛ばす。
 恐るべき破壊者の砲台が幾度となく火を噴き、敵を容赦なく粉砕した。

「砦があると安心して前に出られますね」
 駆けながら張・小龍(ドラゴニアンの竜騎士・f03926)が呟く。
 後方に聳える砦にはいまだ山賊はおろか石飛礫の一つも届いていない。
 例え届いたところであの堅牢さの前には死に物狂いの突撃だろうと意味を成さない。
 何より仲間が控えている。
「まずは雑兵をなぎ払うとしましょう」
 余裕をもって挑む小龍はドラゴンオーラを纏う。
 山賊相手に引けを取るつもりは無い。
 とはいえこの数は囲まれると厄介だ。
 流石に今しがた戦場を揺るがした圧倒的な火力で殲滅するような技は無い。
 が、そこで視界に山賊が入る。
 仲間の屍を盾にし、橋にし、障害を乗り越えてくるその姿を。
「……あっ、そうか。武器ならばここにあったじゃないですか」
 小龍が言うや否や、一瞬で間を詰め山賊の腹を撃ち抜く。
 ただの拳の一撃。しかし、拳に集めたドラゴンオーラが炸裂し、敵を爆破する。
 その一撃を受けた山賊が吹き飛び後続の山賊達を薙ぎ倒していくが、急にガクンと停止し、小龍の元へと引き戻される。
 それを成すのは拳と共に叩き込まれたオーラの鎖、『ドラゴニアン・チェイン』だ。
「敵を喰らって己が力と為せ。我が家の家訓です」
 この場合、少し意味が違ってきますが。そう言って鎖を振り回す小龍。引き摺られ、とうに息絶えた山賊の死骸が宙を舞う。
 やがてその死骸にすらドラゴンオーラを纏わせると小龍は尋常ならざる怪力でチェーンハンマーの如く敵陣を吹き飛ばす。
 薙ぎ払われた山賊達は容易く吹き飛び、更にはオーラの爆発を受けて千切れ飛ぶ。
 そんな小龍を押し止めようと山賊達が反撃に出るが、オーラが掻き消えれば死骸が宙を舞うだけ。小龍は自身の小柄さと技の派手さを利用し、巧みに敵の懐へ潜り込み、すり抜けて、再びオーラで爆破し、鎖で振り回す。
「さあさあ、ボクはこっちですよ」
 挑発的に誘い、攪乱し、前線を混乱させる。
 だが小龍は油断しない。
 荒らしては退き、囲まれるのを回避しながら猛攻を続ける。
 その絶妙な立ち回りはユーベルコード以上の脅威となり、山賊達を散々に吹き飛ばし続けた。

「心が安らぐ」
 穏やかな表情で戦場へと歩み出たドリスコ・エボニス(蛮竜・f05067)はバトルアックスを担いだ。
 戦場は我が故郷。世界が違えど、その焼け付いた空気には懐かしさを覚える。
 だからドリスコは誰よりも落ち着いて戦に臨めるのだ。
 逆に山賊達は冷静さの欠片もない。
 敢えてだろうが、雄叫びを上げ、熱狂の渦に身を置く事で死と苦痛を忘れただただ突撃を繰り返していた。
「悪いがせっかくできた砦には近づけさせないぜ」
 そんな山賊達に引導を渡すべく、ドリスコは走る。
 自分で用意した通り道はまるで王道だ。
 真っ直ぐに駆け抜けるドリスコを阻む物は山賊だけ。
 振り被った斧は戦闘の山賊を頭蓋から骨盤まで叩き割り、地面へとめり込んだ。
 ――『グラウンドクラッシャー』。
 地形さえ変えてしまうほどの一撃が叩き込まれ、周囲の山賊達は土砂と共に宙へと吹き飛ばされた。
「よし、一撃だな」
 地を割るような凶悪な一撃を生物に叩き込めば大抵は即死する。それを再確認してドリスコは即座に次の標的へと駆け寄った。
 地形破壊による土砂の雨は直撃すれば全身粉砕骨折レベルの脅威だが、所詮は副産物だ。
 ドリスコはそれに頼らず、一人ずつ確実に仕留めていく。
 山賊が振り下ろした蛮刀ごと敵を粉々にし、飛来する石の飛礫を掘り返した土砂の波で押し返す。
 壕に隠れた者は豪ごと潰す。罠に足を取られた者も潰す。人形に攻撃を仕掛けている隙にも潰す。
「押し込まれている所は……先ずは向こうだな」
 そうして駆け回りながら淡々と戦況を分析し、己の戦闘知識から次に向かう場所を定める。
 辿り着いたのはリュカの元だ。
 真っ先に飛び出し、誰よりも多くを殺し続けていたリュカだが、それ故に長らく攻撃に晒され傷付いていた。
 そんなリュカが立っていられたのは戦場の亡霊が瀕死のリュカに代わって戦い続けていたからでもある。
「退く気が無いなら、共に戦うぞ」
 そんなリュカを見て何かを察したドリスコが言うと、リュカは小さく頷いた。
 直後、群がる山賊達を土砂と衝撃による嵐が吹き飛ばす。
 亡霊に背中を任せるなんて奇妙なものだ、と、ドリスコは小さく笑った。

「やっと来たわねぇ」
 どこか嬉しそうにアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)が微笑む。
 チャンスが来たとかではなく、ごく普通に敵が来ただけだが、アララギは両手を広げて迎え入れる。
「団体様のご到着、歓迎の準備は万全だわぁ」
 その言葉に対しても何を思うでもなく、山賊達は進軍を続ける。
 口々に鬨の声を上げながら。
 だが、その声が一つ、二つと減っていく。
 アララギへ近付こうとする山賊が何かに弾かれたように血を噴き出し、踊るように体を跳ねさせて最後には倒れていくのだ。
「――でも、一気に平らげるのはもったいないから、ちょっとずつ大切に食べましょうぉ」
 笑みを濃くするアララギ。
 その周囲の壕からは、アララギが召喚した機械人形達が狙撃銃を構え山賊達を狙っていた。
 その数実に二十体。
 狙撃の腕はセルマに遠く及ばないが、数が力なのは誰よりも盗賊達が知っている。
 前に出た者から順に数多の弾丸を撃ち込まれ、グネグネと身体を振り回して飛んでいく。
 それを見ながらアララギ本人も二門の連射砲を取り出した。
 轟音。
 爆風に巻き上げられる山賊だった物。
 アララギと言う名の防衛線が其処には存在し、恐るべき戦力と手数を以て山賊を喰い止める。
 だがこれで止まらないのが炎狼の軍勢だ。
「我等こそが戦火! 我等は地獄の業火なり!!」
 より声を張り上げて叫ぶ山賊達は活力に満ちていく。
 蜂の巣にされ倒れ伏していた者さえ血塗れで立ち上がって叫び、武器を取る。
「燃えろ! 燃えろ!! 燃えろ!!!」
 雪崩れ込むかのような突撃。
 山賊は仲間を盾にして走る。
 機械人形達の狙撃も荒れ狂う山賊達を押し留めるには至らない。
 先に倒れた者を踏み潰しながら、山賊達はアララギへと迫った。
 しかしそれでもアララギは笑みを崩さない。
 遂にアララギへと振り下ろされた蛮刀は、しかしアララギの眼前で巨大な剣に阻まれる。
 次の瞬間には振り下ろした右腕が宙に舞い、その山賊は何が起こったか理解する間も無く両断された。
「さぁ、踊りましょう」
 いつの間にかその両隣に巨大剣を従えたアララギが笑う。
 巨大剣は宙に浮きアララギの手の動きに合わせて振るわれる。
 私出撃ぃ、と、冗談めかして口にするアララギの舞は美しく、そして強烈。
 軽やかに舞いながらも振るわれる大剣の一撃は山賊を二つに割るほどに重く、飛び交う石飛礫さえその幅広の剣があっさりと受け止め弾き返していく。
 次へ次へと山賊をバラバラにしていく暴風の如き猟兵。されど、彼女に集中し過ぎれば今度は機械人形達に撃ち殺される。
「さぁ」
 アララギはもう一度笑顔で誘う。
 山賊を、地獄へと。

「少なくとも山賊如きに突破されるようなやわな作りはしていないと思ったが……」
 予想以上だな、と、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)が村人達に振り返って微笑む。
 余りにも大群で押し寄せ、恐るべき鬨の声で死をも恐れる進撃を続けた山賊達。その姿に恐怖し腰が抜けていた村人達も、猟兵達の活躍とライヴァルトの笑みに励まされ、立ち上がって頷き返すくらいは出来るようになっていた。
 皆が築いた砦は堅牢。
 だが、砦の前に作られた堀や壕、罠もまた強力で、なにより猟兵達が砦に近付く山賊達を片っ端に薙ぎ払うものだから、砦には未だに敵が辿り着けないでいた。
 だが油断は出来ない。
 戦闘自体は一方的であるのに関わらず、戦線自体は徐々に砦へと近付いて来ているのだ。
 勿論砦に張り付かれても応戦出来るだけの準備は有る。
 しかし此処には村人がいて、退けばすぐ後ろに村も広がっているのだ。
「あまり得手ではないが……」
 ライヴァルトはそう言いながら意識を集中する。
 今回は手数が重要だ。如何に強くとも、山賊の軍勢は数でそれを凌駕する。
 例え猟兵達が負けなくても村人が殺されてしまえばここに来た意味は無い。
 だから、押し返さねばならない。
「我が声に応えて出でよ!」
 ライヴァルトが虚空に命じる。
 応じるのは闇。
 砦上空に渦巻く暗雲から、竜を駆る騎士がライヴァルトの元へ降り立ち、頭を垂れた。
「さぁ、行ってこい。確実に、着実に、だ。隙があれば山賊どもを油の中にでも叩き落としてやれ」
 ライヴァルトの命にランスを正面に掲げて応え、竜と騎士は戦場へと飛び立った。
 山賊は未だ大群を形成し、亡者の群れの如く血を流し屍を踏み越えながら進む。
 送り込まれた騎士が超大なランスを構えれば竜は急降下し敵軍へと突っ込む。重量と速度を乗せた槍の先端は山賊を軽々と刺し貫き、勢いのままに周囲の山賊をも撥ね飛ばし、轢き潰していく。
 振るう槍先は山賊の首を刎ね、竜の尾と爪が山賊を打ち付け、抉り取る。
 山賊達から石飛礫が飛べば盾を構えて捌きながらも空へと退き、命令通り着実に、より確実に、山賊達を蹂躙していく。
「すごい……!」
 その様子を見ていた村人から声が上がる。
 しかしライヴァルトは強力な味方を召喚したわけではない。
 騎士達は主であるライヴァルトと同程度の戦闘力で、召喚中はライヴァルトは動けなくなる。
 つまり戦力としてはライヴァルト本人が戦うの大差は無い。
 故に、この召喚には別の意味がある。
「ここはまだ前哨戦だ」
 冷静に言うライヴァルトは、戦場の先を見据えていた。
 召喚された騎士達は傷付き倒れたとしてもライヴァルトにダメージは無い。
 万全の状態で本命を迎え撃つには、こんな所で消耗している余裕は無いのだ。
「だが、ここで勝たねば本命に会えもしない。確実に、勝つ!」
 ライヴァルトは叫び、騎士達に命じる。
 意のままに空を駆ける竜と騎士は戦場を次々と荒らして回っていった。

「こんにちは、山賊の皆様」
 ポニーテールを揺らしダーシャ・アヴェンダ(見習い人形遣い・f01750)が一礼をする。
 合わせて彼女が操る十数体のからくり人形達も頭を下げた。
 が、顔を上げたダーシャが言う。
「早速だけど――村の為に死んでもらうわ」
 挨拶直後、からくり人形達の口からガコンとガトリングガンが生え、急速に多銃身を回転させ始めた。
 次の瞬間には眼前の山賊達が蜂の巣になって千々に千切れ飛ぶ。ただでさえ超高速連射が可能なガトリングを十数も並べて斉射すれば大抵の生き物なら悲鳴を上げる間を無く肉片と化す。
 魔物である山賊は幾らか耐えたが成す術が無いのなら結果は何も変わらない。
 ダーシャが斉射を止める頃には眼前まで迫っていた山賊達はどこかへと消えてしまっていた。
 しかし、随分と攻め込まれている。
 ダーシャが立っているのは砦前。前線の仲間を支援すべく砦からも距離を取って布陣したのだが、前線を強引に突破して山賊がやって来ていた。
 別に仲間が倒れたわけではない。
 数の暴力の何よりも恐ろしい所は、『止められない』という事だ。
 村や村人と言う守らなければならない猟兵達にとってはそれが厄介過ぎた。
 幸い山賊達は一時撤退すらしない様子なので別方向からの侵攻を警戒する必要は無かったが、このままでは砦に辿り着かれてしまう。
「辿り着かれても突破はさせないけれど」
 用意した罠も柵も有るし、何より狙撃・遠距離攻撃部隊も控えている。
 だが、万が一にも突破される事を考えるなら、ここで喰い止めるのが最善だ。
「私は殲滅より足止めに尽力しましょうか」
 援護射撃は得意なダーシャだが、足止め目的となれば援護の方向性が、戦い方が変わる。
 火力支援を切り上げたダーシャはからくり人形『サイファー』のガトリングガンの弾倉にマヒ毒を仕込む。それ以外の仕込み武器にも毒を仕掛け終わると、試運転の様に周囲の山賊達へ掃射した。
 距離のある山賊達にはサイファー達の小さなガトリングガンでは大きなダメージは与えられない。
 狙いを一人に絞って人形達の集中砲火を浴びせれば確実に倒せるとしても、仲間の死に一切怯まない山賊達はその隙に距離を詰めて来るだろう。
 だからこそのマヒ毒。
 サイファーに撃たれた山賊は目に見えて動きが悪くなり、運悪く幾つもの弾丸が命中した山賊はふらつき、終いには昏倒していく。
 仕込みは上々。
 ダーシャは満足気に頷いて前へ出た。
「私も行くよ!」
 そのダーシャに続くのは御門・セツ(狂い華・f02799)だ。
 砦に籠って後方支援に徹していたセツだが、此処に来て出て来たのには理由がある。
「そろそろ炎狼が動きそうだって」
 狙撃手からの連絡だ。
 流石にこの乱戦に乗り込まれれば対応し切れない。だからその前に山賊を潰して欲しいとのオーダーだ。
 山賊は勢いこそ衰えないものの、その数は確実に減って来ていた。
「わかったわ」
 頷いてダーシャが前を向く。追随する人形達は愛らしくも驚異的な殲滅力を発揮し、残った山賊達を次々とマヒ毒の餌食にしていく。
 ダーシャ本人が振るうワイヤーは先端のフックで山賊を刺し貫いて引っ掛け、振り回す。攻撃して来た敵をそうやって捕縛しては使い捨ての肉盾にしながらダーシャは進んでいく。
 セツもまた負けてはいない。
 砦ではアサルトウェポンによる弾幕で防衛に回っていたが、今はバトルアックスをぶんぶんと振り回す。
「実はすぐにでも敵に突っ込みたいたかったんだよね」
 そう言うセツはせっかく作った砦の優位を活かそうとしていたが、砦は堅牢過ぎて結果的にいまいち活躍し切れなかった感がある。
 だから最後はと張り切って、おそらく今一番元気な猟兵として最後の詰へと飛び出した。
 振るう大斧は狙いを定めず、手当たり次第に山賊を斬り付ける。
 倒せれば良し。
 行動不能になればまあ良し。
 そんな片っ端の手当たり次第戦法はしかし事を急ぐこの状況では最適解だ。
 次から次へと襲い掛かってくる山賊達を次から次へと切り捨てていく。
 そうしている内に気付くのは、砦前の罠が大抵潰されてしまっているという事。
 夥しいまでの破壊の痕跡と山賊達の残骸があちこちの壕や罠を潰していた。それは狙った物も狙わずにそうなった物が有るだろうが、兎角山賊達のせいで罠が大半潰えたのは事実だ。
「次は大変そうだ……準備運動しておかないとね!」
 そんな戦況に不安を覚える事も無く。
 セツは手にした斧とアサルトウェポンを時折持ち替えながら山賊の残党狩りを始めた。

 鬨の声は小さく。
 響くのは悲鳴ばかり。

●備えよ
 砦の中は大忙しだった。
 村人達は外の様子を見る度に腰を抜かしたり笑顔を見せたりしていたが、逃げたりはせず、常に猟兵達のサポートに回っていた。
 戦闘中も砦を固め続け、手の回らなかった細かい部分も完成まで突き詰めていた。
 その陣頭指揮を執ったのがご存じエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)である。
 優雅なメイドケットシーは砦内を所狭しと駆け回り、掃除に整理に防衛にと大忙しだ。
 特に砦から攻撃していた猟兵達に飛んで来た石飛礫を武器で受け止めて叩き落した様などは非常に華麗であり、村人達からは「すごい!」「かわいい!」「戦えたんだね猫ちゃん!」などの声が続出した。
「……ああ! 其方はさっき綺麗にいたしましたのに!」
 などと、山賊戦最終盤に到ってなおのこと頻繁に飛んでくるようになった石飛礫を叩き落としながら嘆きの声を上げる。
 庇って貰えたライヴァルトは短く礼を言い、エトワールも「いえいえ」とにこやかに返すと掃除を再開した。
 そんな中、砦に猟兵が運び込まれた。
 真っ先に切り込んでいったリュカだ。
 最後まで最前線で戦っていたが、ダーシャが合流した直後に救護が必要と判断して連れ帰ったらしい。
「あらまあ!」
 びっくりして毛並みが逆立ちいっそうふわっふわになるエトワール。しかしそれも一瞬、即座に砦の奥の休憩スペースへとリュカを運び込む。
 途中は掃除と整理整頓が行き届いた砦であり、異様なほどスムーズに休憩スペースへと運び込まれたリュカは、これまた清潔なベッドに寝かされた。
「傷は浅いですわ。大人しくしていてくださいましっ」
 言うが早いか、リュカの怪我を的確に処置していく。
 言った通り怪我はどれも深くは無い。軽度の打撲と切り傷。しかし数があまりにも多い。
 出血と痛み、打撲による発熱。様々な要素が合わさり、一時的に瀕死に近い状態まで追い込まれたが、それも今は落ち着いている。
「治療すれば体力も少しは回復できますわ」
 エトワールが言う。
 リュカは大人しく治療を受け、差し出された水と薬を飲みほした。
「村の皆様も、猟兵の皆様方も、今の内に休めるだけ休んでくださいませ」
 砦に帰還した猟兵達に向かって言うと、エトワールは今度は上の階へと走っていった。
 遠距離攻撃部隊にも休む様に勧めるためだ。
 そこでのやり取りを聞いていた村人達がおずおずと見張りを名乗り出る。
「見張りくらいなら俺らでもやれると思うから……」
「だから皆さんとエトワールさんも休んでいてください」
 それは村人達のせいいっぱいの戦い方だ。
 猟兵達がせめて全力で戦えるように。
 自分達がせめて足を引っ張らないように。
 続く炎狼との戦いではきっと役には立てないだろうと感じ取った村人達は、エトワールの姿を見て自分達にも出来る事をと立ち上がったのだ。
「腹が減ってたら言ってください! 用意しますよ! あんまり美味しくはないけど……」
「お飲み物も用意しました。ぜひ飲んで下さい」
「村中のものをかき集めてきたよ! なんでも使っていいからね!」
 口々に協力を申し出る村人達にエトワールは丁寧にお礼を返す。
 守られているばかりではない。今度は村が猟兵を守ってくれる。
 とは言え時間はそう多くは無い。
「お言葉に甘えましょうっ」
 エトワールが言う。
 これも戦いだ。
 備えるべきなのだと。

 遠く、気が付けば途絶えた鬨の声。

 ただ――
 炎狼の遠吠えだけは、今も戦場に届いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『マルコシアス』

POW   :    業火転命
【短剣から放たれた「地獄の炎」 】が命中した対象を燃やす。放たれた【転生誘う紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    虚空断絶
【呪詛を乗せた短剣 】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    炎鎖爆滅
【鞭のようにしなる炎】が命中した対象を爆破し、更に互いを【灼熱の鎖】で繋ぐ。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●紅蓮ニ燃ユル
 何時からだっただろうか。
 戦場を渡り歩く程に、戦場から遠退いていったのは。
 気が付けば歩くだけで村々は滅び、矛を交える事も無く、全てはこの手中に焼け落ちていった。
 戦場へ辿り着く前に、向かった先は焦土と化して。
 ならば我が歩みに何の意味があるのか。
 戦場を求める事の意味さえ分からないまま。
 されど辿り着いた。
 久方振りの戦場に。
 彼方に見えるは砦だろうか。
 我が軍勢は成す術も無く、蹂躙する筈が蹂躙されて散っていく。
 素晴らしい。
 ただただ素晴らしいと、そう思った。

「烈火の如く怒り、猛火が如く奪う」

 嗚呼、頬が綻ぶ。
 死と生の入り混じる戦場の空気が、
 血と臓物、焼いた肉の匂いが、
 我が心を満たし、焼き焦がしていく。

「我は大火。我は終末の炎なり」

 そうとも。
 焦がれていたのだ。
 理由など要らない。
 欠けた耳が疼くのも、
 裂けた頬が緩むのも、
 全てに意味などありはしない。

「我が名は炎狼マルコシアス」

 さあ、時は来た。
 陽は沈み、闇を照らすは我が炎のみ。
 月よ、其処で見ているが善い。
 天をも焦がす我が炎が戦場を火の海に沈める様を。

「――いざ、参る」
峰谷・恵
「力の好き嫌いを言える相手じゃないか…」

血統覚醒を使用、マルコシアスから距離を保ち、アームドフォートの砲撃にヴァンパイアの力を乗せて攻撃(直撃させるつもりで撃つが、メインの狙いは爆煙と爆発音、臭いによるマルコシアスの視覚聴覚嗅覚の阻害とこちらの攻撃に回避か防御で対応させることで他のメンバーが攻撃しやすい状況を作ること)。
炎鎖爆滅による灼熱の鎖で引き寄せられたら逆に自分から飛び込んでヴァンパイアの力をまとわせたマントで攻撃、マントをマルコシアスに絡みつかせて動きを阻害する。

「耽美趣味の吸血ゾンビを焼き払えるならその炎、使わせてもらおうと思っていたけどね」


ドリスコ・エボニス
ようこそ久方ぶりの戦場へ
あんたとは同じ匂いのような気がする
戦場でしか自分を見いだせなかった匂いだ
さぁ似た者同士楽しくやろうじゃないか

小細工なんざいらない、正面からぶつかっていく
戦闘知識、野性の勘を活用していくぜ
捨て身の一撃のグラウンドクラッシャーを


リュカ・エンキアンサス
……バカじゃないのか。
……………………バカじゃないのか。
その炎は自分の身すら焦がすだろう。
いくら焦がしても焦がしても、満たしたと思えばすぐに乾く。すぐに飢える類のものだ。
……だから。お前の歩みに意味なんてない。
戦場を求めることに意味なんてない。
それはきっと果てのないものだから……、
ここで止めてやる。炎狼……!

攻撃が来た場合は絶望の福音を使用して、紙一重でよけながらも反撃に銃弾を叩き込む。
なるべく近づかれたらフック付きワイヤーなんかも利用して距離をとるけれど、取れそうに無ければその場で応戦。
絶対に引かない危害と、絶対に殺す気概を持って臨む。
その炎を消し去るためにも。絶対に……!


ライヴァルト・ナトゥア
(始まりは耳を奪った時だったろうか、それとも、炎に包まれる村の前で呆然と立ち尽くした時だっただろうか、過去に想いを馳せ、今をゆく)
よう、また逢えたな
耳を飛ばしたぐらいじゃ、骸の海に沈んではいられないか?
(覚えているかはわからない。だが、確かにその耳を飛ばしたのは俺なのだと)
今度は、二度と戻ってこれないように、その魂ごと、殺してやるとしよう
(ユーベルコードを発動して、最初は牽制から)
打ち合うのも随分と久しぶりだが、ちょっと弱くなったんじゃないか?
(挑発を投げながら隙を探し、機を見て畳み掛ける)
冥土への手向けだ
受け取れよ!これが俺の、全身全霊だ!
(全力を持って爪鎌を振るい、宿敵を滅する)


張・小龍
「名乗られて応えぬは戦士の名折れ。我が名はシャオロン、いずれは三千世界に名を轟かす者ぞ!」
「来い炎狼マルコシアス!我が竜の爪牙にてその炎八つに裂いて戦場の土としてやろう!」

強敵の出現にこの体に流れる竜の血が騒いでしまいますね
いつもは優しく穏やかに見える顔を、好戦的な笑みに変えて吠えて殴りかかります

敵の業火転命に切り裂かれ、焼かれながらも逆に攻撃を叩き込みに行きます
体格差を活かして懐に入り込み、ほぼ触れ合っているような状態から上に突き上げるように敵の腹に拳を叩き込みたいと思います

一撃入れて怯ませた瞬間に手足を竜化
如竜得翼を放って、今度は逆にマルコシアスをズタズタにしてやりたいと思います!


アララギ・イチイ
素敵な大物ねぇ
なら、私も相応の用意をして相手して上げるわぁ

装備は魔術刻印、自分の牙や爪を強化よぉ
で、嗜食・謝肉祭を使用するわぁ
御肉ならその辺りに一杯、出来立てホヤホヤ新鮮な御肉(かつて山賊だった物)が転がっているから、それを骨や内臓も御残しせずに全部、喰らうわぁ
味は美味しくなさそうだけどねぇ

とりあえず、3~4体くらい喰らったら戦闘開始ぃ
(ダッシュ)で加速、(残像)で撹乱しつつ、(迷彩)を展開して視認性を低下させての一撃離脱の戦法よぉ
死角から急接近して、自分の爪や牙で一撃、即離脱ぅ
行動パターンを把握されない様に攻撃タイミングランダムよぉ

ちなみに、まだ肉が足りないなら適当に拾って捕食よぉ



●灼熱ノ地獄
 炎狼は駆け出した。
 短刀を銜え、四肢で地を蹴り、宵闇の中を往く。
 纏った焔が長く尾を引くその姿はまるで一条の流星。
 戦場を煌煌と照らし出す炎狼マルコシアスは真っ直ぐに村へと向かって来ていた。
 それを迎え撃つのも一直線に炎狼へと向かう傭兵。
「ようこそ久方ぶりの戦場へ」
 大きくバトルアックスを振り被ったドリスコ・エボニス(蛮竜・f05067)は、挨拶がてらに特大の『グラウンドクラッシャー』を叩き込む。
 避ける事無く直撃した一撃はマルコシアスの足下を陥没させ、広がる衝撃が地面を爆破する。
 だが、銜えたままの短刀で斧刃を受け止めた炎狼は、一歩も仰け反る事なく笑う。
「出迎え御苦労」
 浮かせた前脚から炎を噴き出し、ドリスコへと爪撃を振るう。
 ドリスコは寸前で爪を躱すも炎熱は頬を掠め、鱗の肌を焼き焦がす。
 見た目以上の攻撃範囲と火力。
 地獄の炎を纏うマルコシアスは全身が凶器に等しい。
 190cm近いドリスコの巨体を更に大きく上回るマルコシアスの巨体に、手にした短刀をも赤熱させる地獄の炎。
 真面にぶつかれば並の人間なら一瞬で消し炭にされるであろう、怪物。
 だが、ドリスコは退かない。
 敢えての真っ向勝負に拘り、視界が歪む程の熱気の中へ踏み込んだ。
「小細工は無しだ!」
 再度振り上げたバトルアックスを振り抜く。
 虚を突かれたマルコシアスの胸元に叩き込まれた斧は厚い毛皮と堅い筋肉に阻まれながらも爆発的な衝撃波を生み出し、押し込んだ。
 僅かに歪む炎狼の口元。だが、浮かぶのは笑み。
 振り下ろされた短刀をまたも寸前で躱し、ドリスコは三度目の『グラウンドクラッシャー』を脇腹へ叩き込んだ。
 毛皮が爆ぜ、肉片が飛び散り、骨に食い込んだ刃が確かな手応えを返す。
 近付くだけで火傷する。
 攻撃の余波だけで皮膚が爛れる。
 だから何だと言うのだ。
 ドリスコは躊躇なく死線を踏み越えた。
「あんたとは同じ匂いのような気がする。戦場でしか自分を見いだせなかった匂いだ」
 地形をも変える一撃をその身に受けながらも倒れるどころか笑みを浮かべる魔獣。
 それは戦場を故郷と呼ぶドリスコも同じだ。
「さぁ、似た者同士楽しくやろうじゃないか」
 三度打ち合い灼けた頬を手の甲で擦る。焼け焦げ罅の入った鱗の下から血が滲み頬を伝い落ちていた。
 それでも笑うのはドリスコも同じ。
 だが、炎狼は笑ったまま首を振る。
「我と貴様は似て非なるものだ」
 きっぱりと拒絶し、炎狼は炎を生む。
 帯状の炎は纏った炎と混ざり合い、更に熱量を増していく。
「そうかい」
 しかしそれにさえ突っ込んで行く。
 振るわれる爪は先程より熱く鋭い。
 だがそれだけだと掻い潜ろうとしたドリスコは、――背筋を走る悪寒に立ち止まった。
 身を起こし、爪を躱し、更に振り上げていた斧を抱える様にして構えた。
 それは培ってきた戦闘知識と野生の勘からなる、咄嗟の危機回避行動。
 捨て身だろうと、これだけは受けてはならない。
「正解だ」
 呟く炎狼は業火を纏った爪撃を囮にして短刀を突き出していた。
 僅差でガードに間に合った。だが、それでもドリスコの悪寒は止まらない。
 ――地を蹴り、転がってでもこの場を離れるべきだ。
 その判断に従うか。迷う間も無く、受け止めた短刀の切っ先から爆炎が溢れ出した。
 凄まじい熱量が瞬間的に空気を膨張させる。その末路こそ衝撃と熱波を撒き散らす大爆発だ。
 榴弾の直撃を受けたかのような轟音と衝撃、そして高温により、ドリスコが大きく弾き飛ばされる。
「我は何も見出してはいない。故に殺し合うのだろう? 我が敵よ」
 猟兵であるドリスコと魔獣であるマルコシアス。
 立場の違いは考えの違いだ。
「貴様が山賊共の様に魔物へと身を落さぬ限り、同じだとは言ってやれんな」
 笑う炎狼は否定する。
 我が敵を侮辱せんが為に。
 その言葉を聞いて、全身を焼かれ煙を上げながらも、ドリスコは笑った。

「……バカじゃないのか」
 しかし、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)は否定する。
 アサルトウェポンを構え、炎狼を乱射する。
 炎狼は纏った炎を翻すかのようにして壁と成し、弾丸を蒸発させた。
「バカじゃないのか!」
 もう一度、より強く。
 撃ち出す弾丸も更に厚く、弾幕は魔獣の巨体を余す事無く穿つ。
 しかし振るう炎狼の尾が炎の尾を引き弾幕さえ溶かす。
 幾らかが溶けるだけに留まりそのまま炎狼の身体へと降り注ごうと、炎狼は意に介さず、纏った炎で浴びた鉛も消し飛ばした。
 リュカは言う。その炎は自分の身すら焦がすだろう、と。
 餓えた心を焦がす炎。それは、決して心を満たさない。満たされたと思った所で直ぐに餓え渇く類の物だと。
「……だから。お前の歩みに意味なんてない」
 戦場を求めることに意味なんてない。
 それはきっと果てのないものだから。
 噛み締めるように語るリュカに、炎狼は頷く。
 無意味で無価値
 果てが無かろうと歩み続ける。
 それが炎狼。
 何も見出せず、ただ焦げ付いた何かに突き動かされ、戦場を渡り歩く怪物。
「だから、ここで止めてやる。炎狼……!」
 リュカの宣言と同時に炎狼が駆けた。
 後ろ足で地を掴み、全身の発条を使った跳躍。
 狼らしい狩りの動作だが、常人では決して見切れない超常の域にまで達した攻撃。
 それを、リュカは軽々と避けた。
 遅れて飛来し吹き荒れる熱波さえあしらい、通り過ぎる炎狼を擦れ違いざまに撃ち続ける。
 刹那の攻防で数十・数百の弾丸が炎狼の毛皮に突き刺さり、燃える様な鮮血が大気に散っては蒸発した。
「口だけではないようだな」
 貴様も我が敵か。
 そう口にしたマルコシアスが再び火炎を振り翳し、途切れない弾幕を強引に遮断する。
 が、マルコシアスが自分の炎で視界さえ遮った瞬間、リュカはそれを予知していたかのようにサイドへ回り込む。 
 立ち位置を変え、炎狼の動きを先読みして張られる弾幕は確実に魔獣の体力を奪い、毛皮を穿ち、血を流させた。
 マルコシアスが炎を盾に強引に突っ込んで来ても、フック付きワイヤーを後方に射出し無理矢理に距離を取り、反撃を続ける。
 回避に特化したユーベルコード『絶望の福音』を上手く攻撃への繋ぎとして確立していた。
「その炎を消し去る。絶対に……!」
 避けはしても退きはしない。
 必ず殺すと決めたリュカは怒涛の猛攻により炎狼を血に濡らす。
 だが、またしても炎狼は笑う。
 リュカが攻撃の手を弛めない様に、マルコシアスもまた苛烈な攻撃を続けた。
 躱されようと、何度でも火炎を纏い、爪と短刀を振るい続ける。
「ぐ……!」
 次第に炎熱がリュカの頬を掠めるようになる。
 肉の焼ける匂いが自分から立ち上る。退かぬと決めたリュカでも、その苦痛は怯ませるに十分だ。
 畳み掛ける連撃は例え十秒後の世界が見えていようとも物理的に躱し切れない領域にまで追い詰めていく。
 十秒後が見えたとして、十秒前に回避行動を取れば攻撃の矛先が十秒後とは変わるだけだ。
 だからこそギリギリで躱し、そして反撃しなければならない。
 自身の血さえ炎で焼き焦がしながら迫る炎狼。
 反撃の余裕が無くなれば、回避の余裕が無くなるのは一瞬だった。
 伸ばしたワイヤーが鞭の様にしなる炎に溶断され、バランスを崩したリュカを打った炎が爆発する。
 地面に叩き付けられたリュカは、自分を打ち据えた炎が鎖となって炎狼に繋がっているのを見た。
「我が歩みが無意味ならば、我が踏み躙って来たものも無意味」
 言葉と共に炎の鎖を引く。
 強引に手繰り寄せられたリュカが咄嗟にアサルトウェポンを盾にするが、リュカには見えていた。
 躱せない攻撃が。
 不可避の爆炎がリュカを呑み込み、繋いだ炎の鎖さえ引き千切ってリュカを吹き飛ばした。
「問おう。貴様の歩みに意味など有るのか?」
 炎狼は笑う。
 言外に「此処で敗ければ無意味に終わるぞ」と言いながら。
 
「力の好き嫌いを言える相手じゃないか……」
 立ち上がったリュカとマルコシアスの間に飛び出した峰谷・恵(神葬騎・f03180)がぼやく。
 その瞳は深紅に輝き、構えたアームドフォートからは本来以上の火力が吐き出された。
 突然の至近砲撃による爆炎と衝撃にはマルコシアスと言えど後退し、距離を取ったまま炎を纏い直す。
「敵か」
 呟く炎狼を、追撃の砲弾が撃ち抜く。
 砲撃に吹き飛びながらも短刀を銜えた炎狼は獅子で着地し、そのまま惠へと猛スピードで突撃した。
 だがそれを寄せ付けないだけの圧倒的な火力を以てして惠は相対する。
 圧倒的。
 だが、恵は苦し気に眉根を寄せた。
 深紅の瞳に覚醒すれば惠が忌み嫌うヴァンパイアへと変身する。それは劇的に強くなると同時に寿命を秒刻みで削られていく大技だ。
 その『血統覚醒』を使用しなければならないと言う判断に間違いは無かった。
 惠は直ぐに気付く。強化された自分と共に性能を底上げされているアームドフォートの砲撃を浴びながら炎狼はまだ笑っていると。
 直撃狙いだが至近弾であれば良い。煙と音、そして臭いでマルコシアスの視覚と嗅覚を封じる。その目論見は半ば成功していた。
 だがマルコシアス自身も煙と臭いに紛れる様に動き、惠は次第に炎狼へ狙いが付けられなくなっていく。
「耽美趣味の吸血ゾンビを焼き払えるならその炎、使わせてもらおうと思っていたけどね」
 そう独り言を口にして惠は退いた。
 距離を取りながら戦うのは初めから決めていた。
 自ら生み出した煙幕から何時炎の魔獣が飛び出して来るとも知れない中、同じ場所に立っているほど馬鹿ではない。
 その考えが正しいと裏付けるように、寸前まで立っていた場所に火炎弾が降り注いだ。
「我こそは大火。我は終末の炎なり」
 瞬間、今度は煙幕が爆炎によって吹き飛ばされる。
 先程の火炎弾は攻撃ではなく牽制。
 煙幕を晴らし、その隙に攻撃に転じる為に、惠の砲撃を途絶えさせる為の攻撃だったのだ。
 それを知った時、恵の眼前には炎狼が迫っていた。
「我が名は炎狼マルコシアス。目眩まし程度で我が歩みは止められん」
 言葉と共に振るわれた短刀。
 火炎を纏い赤熱した刃の一閃を、横から拳が弾き飛ばす。
「我が名はシャオロン、いずれは三千世界に名を轟かす者ぞ!」
 咆える様に名乗りを上げ、短刀を殴り飛ばした張・小龍(飛竜子・f03926)が惠の前に立つ。
 名乗られて応えぬは戦士の名折れ。そう言って堂々と炎狼に向かい合う小龍。
 その後ろで惠はアームドフォートの装填を済ませ、再び瞳を真紅に輝かせる。
「始めから一人で戦おうとは思ってないよ」
「来い炎狼マルコシアス! 我が竜の爪牙にてその炎、八つに裂いて戦場の土としてやろう!」
 惠の爆撃支援を受け、小龍が飛び出した。
 血が騒ぐ――。
 いつもの優しく穏やかな表情は鳴りを潜め、好戦的な笑みを浮かべた小龍が咆哮した。
 応じる炎狼も爆撃に掻き消せないほどの咆哮を轟かせ、短刀を振るった。
 肉薄する小龍。その身を炎熱に焼かれながらも密着して放つ拳が毛皮を通して肉や臓腑へと衝撃を捻じ込んだ。
 それも一撃では収まらない。
 体格差は体重差。上へと突き上げる様に放った追撃の一発には炎狼自身の体重が乗り、より深々と突き刺さる。
「まだまだぁ!」
 ごふ、と肺から血の混じった空気を吐き出すマルコシアスへ、小龍の乱打が休む事無く叩き込まれた。
 一発一発が突き上げ打ち貫く渾身のラッシュは、全身に数多の弾丸を受け傷だらけになっていた炎狼を更に更にと痛めつける。
 脇腹に残った斧による傷に回し蹴りを叩き込めば、生々しい感触と共に炎狼は大きくよろめいた。

 ――笑いながら。

 瞬間、よろめいて生まれた隙間を使って短刀が強引に振るわれる。
 寸での所で躱した小龍を熱風が焼き焦がすが、肉薄したのもそれを覚悟した上でだ。
 怯まずに再び張り付こうとする小龍に今度は短刀が振り下ろされるも、それもまた避ける。
 しかし今度は短刀が地面へと突き刺さり、そこへ注ぎ込まれた爆炎が周囲の地面ごと小龍を噴き上げた。
「……ッ!」
 体勢を崩した所に殺到する熱波と瓦礫。
 小龍は竜化した手足で身を守るが、小柄な身体が僅かに浮かされる。
 踏ん張りが効かない。
 その一瞬を見逃す筈も無く、炎狼の爪が小龍を掬い上げるかの様に放たれた。
「素敵な大物ねぇ」
 しかし間一髪で小龍を押し退けたアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)が爪撃を巧みに受け止め、そして反らした。
 たたらを踏む形でバランスを崩した炎狼の顔面にアララギはカウンターの爪撃を叩き込む。
「私も相応の用意をして相手してあげる、なんて思ってたら遅れたわぁ」
 言いながらアララギは口元の血を拭う。
 それはアララギのものではなく、今しがた喰らって来た魔物のものだ。
 アララギの『嗜食・謝肉祭』は戦闘中に喰らった肉の量と質によって自身を強化する。戦場に散らばった魔物の肉は質こそ悪いが量によってアララギの戦闘力を十分に底上げする。
「美味しくなかったけどねぇ」
 謝肉祭の語源を知ってか知らずか、アララギはまた一つ、肉を拾って喰い千切る。
 直後、繰り出した爪撃は速度・膂力において炎狼を圧倒し、毛皮をザクザクと切り裂いていく。
 割れた額から血を噴き出しながら炎狼は下がるが、その隙を今度は小龍が見逃さず、再度肉薄した。
「我が爪牙にて八つに引き裂かん!」
 小龍の手足の爪が更に硬化し、牙までもが竜と化す。
 今までの比ではない、目にも止まらぬ超高速の乱打が炎狼に突き刺さり、突き立てた爪が毛皮ごと肉を抉る。
 必殺の『如竜得翼』はマルコシアスを文字通りズタズタにした。
 が、
 それでも炎狼は倒れない。
 どころか、先に限界が来たのは小龍の方だった。
 肉薄し、一歩も退かずに追い縋った結果、炎熱に焼かれ続けた小龍はユーベルコードの使用と同時に急速に弱っていった。
 目が乾き前が見えなくなる。
 喉が灼け付き息が吸えなくなる。
 叩き込み続けた手足の鱗は真っ黒に変色し、ボロボロと崩れて来ている。
「惜しい」
 言葉通り残念そうに。
 炎狼は短刀で小龍を貫いた。
 貫かれたのは左の肩口。致命傷とまではいかないが、深々と突き立てられた刃からは爆炎が迸る。
 爆音が轟けば、あれほど至近に立っていた小龍が遥か彼方まで吹き飛ばされていた。
「酷いことするわねぇ」
 炎狼の背をアララギの爪撃が切り裂いた。
 マルコシアスは無敵ではない。
 まだ立っているのが不思議な程の手傷は負わせている。
 それが分かっているからアララギは幾度となく爪撃を重ねた。
 一撃離脱を繰り返し、確実に確実に削り取る。
 ユーベルコードと魔術刻印等により強化されたアララギは、更に惠の支援を受け煙幕を活用する事で無類の強さを発揮する。
 ただでさえ視難い煙幕の中を加速し、残像と迷彩で攪乱し続けるアララギを、マルコシアスは捕らえられない。
 だから先に惠を襲った。
 身体を沈め、四肢で地を掴む。
 短刀を銜えたその姿はクラウチングスタートに見え、それより余程凶悪な猟法だ。
 敵の煙幕を利用し一瞬で低空を跳ぶ。
 惠がマルコシアスを見失い距離を取ろうとした時には、視界外から回り込んだ炎の鞭が背中を打ち付けていた。
「ぁぐ……!」
 炎の鎖が惠を繋ぐ。
 それを引き寄せ、炎狼が致命的な追撃を叩き込む。
 が、恵はそれを見越し、この時を覚悟し、待っていた。
 惠は炎狼が鎖を引き寄せると同時に自ら飛び込んだ。
 完全に虚を突かれ、追撃のタイミングがずれて遅れた炎狼の懐に惠が体当たりを喰らわせ、纏っていたマントにヴァンパイアの力を流した上で炎狼へと絡み付かせた。
「見事だ」
 笑う炎狼が自分ごと地獄の炎で惠を焼き払う。
 火柱は絡み付いたマントを灰に変え、恵は黒煙を吐きながら膝を付く。
「吸血ゾンビが何かと言っていたな。我が炎は何者をも焼き殺す。安心して骸の海で待つと良い」
 言葉と共に蹴り上げられた惠が炎狼から離れる。
 とどめは後だ。
 今はそんな余裕は無いと横を見る。
 そこにはアララギが立っていた。
「殺れなかったわぁ」
 炎と熱風が周囲の煙幕を晴らすと、アララギが銜えていた何かを地面へと吐き出し、立ち上がった。
 それは炎狼の皮膚。
 喉を狙ったが攻防一体の火柱に呑まれまいと肩の肉を抉るに至った結果だ。
「貴様等は強いな、我が敵共よ」
 炎狼は抉られた傷に手を当てて言う。
 誰も彼もが強かった。
 誰一人として止めはさせていない。
 見渡せば猟兵達が炎狼を取り囲んでいる。
 それでも炎狼は笑う。
 焦げ付いた心が、彼の魔獣を笑わせる。

「よう、また逢えたな」
 炎狼を囲む猟兵達の中から一歩進み出てライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)が言う。
 その脳裏に過ぎる光景は何よりも赤く。
 炎に包まれる村。立ち尽くす事しか出来なかった過去。
 相対した時の記憶。奪い取った物は奪われた物に対して余りに少なかった。
 浮かぶ過去。
 棄てられた筈の過去。
 その全てが赤く、赫く、脳裏を深紅に染め上げる。
「耳を飛ばしたぐらいじゃ、骸の海に沈んではいられないか?」
 歩を進めながらライヴァルトは問う。
 その声が震えているのは怒りのせいか恐怖のせいか。それは自分にも分からない。
「貴様がこれを?」
 炎狼は自身の右耳に触れる。
 途中で欠けたその耳は骸の海から蘇った時にも返って来なかった。
 その理由も、そもそも何処で落として来たかも、炎狼は覚えていない。
 もしかすると戦場を渡り歩く理由の一つなのではないかと思う事もあったが、それもまた考える事をやめてしまっていた。
 今となっては自分が棄てられた過去である事も、自分にも過去が在るという事にも、何方にも微塵も興味が無い。
 ただ――
「――成程。込み上げる出処の分からぬこの思いは、ならば『憎悪』と呼ぶのだろう」
 まだ残っていた。
 焦げ付いていたのだ
 その怒りを、その憎しみを、過去にしてなるものかと焼き付けていた。
 ならば、

「漸く逢えたな、我が宿敵よ」

 炎狼の笑みが深くなる。
 久方振りの戦場で、出逢うべくして出逢えた怨敵。
 焦げ付いたどす黒い感情を抱きながらも炎狼は感謝していた。
「今度は、二度と戻ってこれないように、その魂ごと、殺してやるとしよう」
「今度は貴様を骸の海に沈めてやる。何度でも戻ってくるが良い」
 向かい合った二人は宣戦布告を突き付け合う。
 次の瞬間には額がぶつかるほどに深く踏み込み、互いにユーベルコードを発動させた。
 大気を薙ぎ払う爆炎が、大気を引き裂く斬撃が、ぶつかり合い、火花を散らす。
 余波だけで大地が割れ砕け溶解し、刻まれた斬撃が大地に亀裂を入れる。
 蒼狼の外套を纏い、右手と一体化した鎌と左手の狼爪を振るうライヴァルト。
 地獄の業火を纏い、赤熱した短刀と剛爪を振るうマルコシアス。
 相反する二つの異形が衝突し、互いの身を容赦なく傷付け、殴り飛ばす。
「打ち合うのも随分と久しぶりだが、ちょっと弱くなったんじゃないか?」
 衝撃と熱波を超高速で躱しながら投げかけた言葉。
「貴様こそ衰えたのか? この程度では我を殺す事など出来はしまい」
 超反応で食い下がり更なる爆炎を放ちながら炎狼は笑う。
 挑発に挑発を、軽口に軽口を。
 応酬は止まず、爪と刃を交える度に桁違いの熱量が周囲に撒き散らされる。
 だが、拮抗した戦局は、それでも炎狼側へと傾き出す。
 マルコシアスに匹敵する戦闘力を引き出したライヴァルトは、寿命を削られながら戦っていた。
 その上で炎狼の発する無尽蔵の焦熱が近付く者全てを焦がし尽す。
 対して、手負いでありながらどこまでも攻撃の手を止めない炎狼は、流れ出る血を止める為に自らの傷を焼いて塞ぎさえしていた。
 戦いが長引く程に均衡は保てなくなり、次第に受けに回る事が増えたライヴァルトの判断は早い。
 踏み込む。
 一歩と言わず、二歩、三歩。
 炎の鞭が腹を打ち、まるで身体が上下で千切られたかと思うほどの爆炎を受けながら、左の獣爪が炎狼の肩を抉り、掴んだ。
「――受け取れよ! これが俺の、全身全霊だ!」
 振るわれるライヴァルトの右腕。
 大鎌は炎も毛皮も纏めて炎狼を深々と切り裂いた。
 炎狼が目を見開いて傾く。
 だがそれでライヴァルトは止まらない。
 掴んだ肩を握り潰す様に抉り、引き寄せ、更に斬撃を刻み込む。
 鮮血が舞い、端から炎に焼かれ消えていく。
 ライヴァルトの皮膚も、喉も、瞳も、焼かれていく。
 焼かれながら、なおも踏み込む。
「おおおおぉおおおッ!!!」
 左手で右腕を掴み、放つ、渾身の一閃。
 その直撃を、しかし、短刀が阻む。
 ――読まれていた。
 僅かな焦りを察したのか。
 あるいはただ反射的に構え受け止めただけなのか。
 兎角マルコシアスは最大級の一撃を辛うじて防ぎ、後方へと跳ね退けられた。
 それが偶然だったのか必然だったのかは定かではない。だが、その時明確に天秤は炎狼へと傾いた。
 攻撃範囲ならばマルコシアスはライヴァルトを圧倒する。
 開いた距離を詰めようと駆けだすライヴァルトに対し、マルコシアスが叩き付けた炎は直撃しようがしまいが確実にダメージを与え得る不可避の一撃だ。
 鎌の切っ先が届くより先に、爆炎と爆風を浴びたライヴァルトは押し返され、吹き飛ばされる。
 既に体力を極限まで削られていたライヴァルトは、そこで攻撃が止まった。
「くはははは!」
 炎狼は哄笑する。
 夥しいほどの傷を受け血を流しながら。
 ライヴァルトの目は死んでいない。
 全身焼け爛れ、煙を上げながらも、致命傷は一つも無い。ならば戦えると、真っ直ぐに炎狼を睨み付ける。
 それを嬉しそうに目を細めた後、炎狼は両腕を広げた。
「我が敵よ、敬意を表し、我が全身全霊も見せてやろう」
 言葉と同時に大量の熱気がマルコシアスから放出される。
 熱波と成り突風と成って戦場を吹き荒れる熱に、猟兵達は思わず顔を覆って身構えた。

「――火の様に猛り、火の様に侵せ!」

 炎狼が唱える。
 それは鬨の声。
 それは鯨波の声。
 戦場を埋め尽くす大いなる波。

「汝等こそが戦火! 汝等は地獄の業火なり!」

 笑みの形に歪んだ口が大きく開かれる。
 紡がれる口上は呪文の如く。
 纏った炎はうねり、猛り、地獄が開いていくかの様に。

「燃えろ! 燃えろ! 燃えろ!」

 炎狼は月に向かって咆える。
 高らかに、天を焦がさんと。

「我が戦場、我が焔にて包まれり!!」

 ――炎が溢れた。
 炎狼が纏う地獄の炎が渦を巻き、戦場へと広がっていく。
 それは山賊達の死骸に燃え移り、溢れ地を濡らす血溜まりにすら引火した。
 戦場は業火によって包まれる。
 山賊共が口にしていた言葉が現実となる。
 奴等は戦火であり、奴等は地獄の業火と成った。

「これよりこの戦場は我が領土。
 我が名は『紅蓮侯』マルコシアス。
 もてなすぞ、我が敵共よ」

 笑う。
 魔獣が笑う。
 火の海と化した戦場の真ん中で。

「さあ、構えろ!」

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

紫崎・宗田
炎使い相手に炎勝負たぁ
良い度胸してるじゃねぇか

敵同様、炎を宿した武器による【属性攻撃】で【先制攻撃】

敵の炎攻撃は【火炎耐性、見切り】で軽減、回避
【残像】を残す程の【早業】で【気絶、麻痺攻撃】を狙い
敵の動きの方が早い場合には
【薙ぎ払い、範囲攻撃】の【衝撃波】による【吹き飛ばし】で
一旦距離を取る

ただ無謀に突っ込んでくだけじゃ負けは見えてるからな
攻撃前の些細な挙動変化も見逃さないよう注視するぜ

万一攻撃を受ける場合
SPDは一時的に盾装備を構築させ【盾受け】
間に合わない場合にはそのまま【武器受け】

WIZで鎖で繋がれれば逆にそれを利用し
【怪力】で敵を引き寄せてから
【鎧すら砕く】ほどの渾身の一撃を狙う

連携可


セルマ・エンフィールド
さて、陽も沈みましたし本来なら『暗視』機能のあるナイトビジョンを使うところですが、これだけ明るければ必要なさそうです。

紅蓮侯とやらは炎での攻撃はあるものの見たところ近接戦闘タイプ。近づきすぎるのは得策ではありませんが、他の猟兵もいます、私も砦から下りて『援護射撃』しましょう。
【凍風一陣】は【氷の狙撃手】に射程で劣り、身体への負担もありますが、弾丸の纏う冷気、威力、弾速、その全てが盗賊達を撃ち抜いたものより上です。
猟兵の攻撃を避けた隙、猟兵を狙おうと攻撃する瞬間、そういったときを『スナイパー』で逃さず、フィンブルヴェトから撃ち出す氷の弾丸を見舞ってあげましょう。

ここが、貴方の最後の戦場です。


茲乃摘・七曜
心情
山賊もそうでしたが、これは予想以上ですね

指針
戦場を沈める炎の影響を軽減する
・肺を焼く高温の空気
・視野を遮り身を焼く炎
・駆け回った後に残る炎による分断や包囲
「猛る炎にも燃やしきれないものがあると歌いましょう

長期歌唱用対策
火炎耐性と周囲に氷【属性攻撃】【範囲攻撃】(冷風)で歌い続ける環境を作る

大火対応
炎狼を覆う炎の動きを観察し噴き出す動きや鞭のように引き延ばされる動きがあれば【ミレナリオ・リフレクション】と氷【属性攻撃】で出鼻を挫くように発生を遅らせ仲間に対処の時間を作る
戦場に残る炎は土【属性攻撃】【範囲攻撃】(土砂の雨)で必要な場所を消化
「熱などは可能であれば上空にでも逃がしたいものですが…


エトワール・フィラントゥ
エトワールは皆様のおかげで元気いっぱい!
…村の皆様に代わって、必ずや貴方様をとめてみせます
必ず、守ってみせますの

初めての戦場
戦うその意味、をしっかり見据えて

*戦闘
引き続き防衛とサポートを主に動きますっ
立ち位置は中衛にて
アタッカーの皆様の援護やお怪我をされた方の救助を

危険な炎攻撃には属性攻撃で水を纏った掃除用具で対抗ですの
武器受け、なぎ払いで出来る限り防御し、
ユーベルコードで魔獣様の妨害を試みます

場合によっては火責めの対処を優先
吹き飛ばしで土砂を吹き掛けたり、水で消火出来ないか試してみますわ

*戦闘後
皆様のお怪我の手当てと被害状況を確認
出来る限りの復興のお手伝いを

お仕事ですか?お任せくださいませ!



●焔獄ニ喘グ
 炎は闇を払い、戦場を昼より明るく照らし出す。
 吹く風は肌を焼く熱風と成り、其処ら中で燃え盛る炎が進退を阻む。
 更には際限なく燃焼され空気が薄くなり、その場に居るだけで窒息し昏倒してしまう程の地獄と化していた。
 いかな猟兵達と言えど、この戦場では立って居る事すら難しい。
 戦えばそれだけ身を焼き、窒息を早めるだろう。
「砦まで退けぇ!」
 叫びながら火の海に飛び込んで来た紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)が、そのままの勢いで先制攻撃を仕掛ける。
 突き出したドラゴンランス『炎龍~貫~』は炎を纏い、紅蓮侯の右掌を刺し貫いた。
「炎使い相手に炎勝負たぁ、良い度胸してるじゃねぇか……!」
「自画自賛か? 同意はしてやろう」
 宗田が睨みを利かせて言えば紅蓮侯は嗤って返す。
 貫かれたままの手でランスを掴み、両者の炎が互いを包んだ。
 が、宗田は競わず、即座に離脱する。
 元より突っ込んで行くだけなんて心算は無い。「クオン!」と名を呼び、小さな竜形態になったドラゴンランスを引き寄せて退く。
 その攻防の隙に猟兵達は退いていく。
 このままでは余りにも分が悪過ぎるのだ。
 地の利は絶望的なまでに相手にある。
 だが、砦なら。
 皆で築き、皆で守った砦には、山賊は一人も入り込めなかった。
 そもそもマルコシアスとの戦闘を見越して作った耐火耐熱性特化の砦である。
 あそこまで退き、そして利用する事で、地の利は再び拮抗するだろう。
 その為に。
「歌います――」
 嵐を引き裂く様に歌声が戦場に響き渡る。
 清涼にして清澄なその歌は燃え盛る戦場さえ癒し鎮めていく。
 歌姫は機械人形ミレナリィドールの茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)だ。
 帽子も服も髪さえ黒で統一した彼女が白い喉を震わせて歌い上げるは鎮火の歌。
 ――猛る炎にも燃やしきれないものがある。
 歌に乗せられた意思は世界へと波紋を広げ、超常として反響を得るに至る。
 それは凍て付く風だ。
 吹雪の如き烈風は戦場を駆け抜けて猛火の勢いを殺いでいく。
 しかし地獄の効果も負けじと一層燃え盛り、雹混じりの風を溶かし温め熱風へと変えて押し返す。
 一人では足りない。
 この地獄を押し返すには七曜の歌だけでは。
「援護します」
 声と同時に、一発の弾丸が紅蓮侯の頬を掠っていった。
 恐るべき反応速度で身を翻したマルコシアスは、しかし、掠めた頬から氷柱が生えその身を串刺しにされる。
 放たれたのはセルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)の氷の魔弾。狙撃ではなく速射と火力に特化した『凍風一陣』だ。
 それは極寒の冷気を込めた弾丸を鏖魔の鋭さと神速の速さで撃ち出すユーベルコード。
 砦からマルコシアスまでの直線距離に冷気をばら撒き、更に業火を沈め、道を作る。
 だが、浅い。
 煮え滾るマグマの様に、一度は収まりかけた炎は直ぐに勢いを取り戻す。
 それを見た七曜とセルマは互いに一度視線を合わせ、直ぐに前を向き直る。
 ――もう一度。
 響き渡る鎮火の歌は今度はマルコシアスに向かって真っ直ぐに放たれた。
 炎と氷による温度差で生まれた暴風が吹き荒れ、炎に競り勝った歌が熱気を押し退ける。
 その一瞬の隙を穿つ様に撃ち出された氷の弾丸。
 押し退けられ勢いの衰えた熱気を更に吹き飛ばし、凍て付かせる。
 七曜とセルマの即興連携は灼熱の地獄を切り開き、退路を確保する。
「ほう――!」
 マルコシアスが笑みのまま驚嘆する。
 道だけではない、紅蓮侯を穿つ魔弾とその威力を引き上げる歌声は紅蓮侯自身を包む炎さえ抑え付けた。
「意趣返しは出来ましたか」
 七曜が息を整えながら呟く。
 予知通りでありながら予想を超えてきた山賊の軍勢。
 その軍勢が咆え続けていた鬨の声さえこの戦況へ繋がる予兆だった。
 だが、予想ならば猟兵達にも超えていける。
 七曜はそう信じ、新たな歌を紡いだ。
 それは一転して燃える様な熱唱。
 それは、マルコシアスが咄嗟に放った炎の鞭を相殺するユーベルコード『ミレナリオ・リフレクション』だ。
「予想できましたか?」
「いいや」
 笑い合う両者。
 絡み合い爆ぜ散る炎。
 相殺の衝撃に押し込まれる紅蓮侯を、宗田の大剣が捕らえた。
「寒そうだな。あっためてやるよ!!」
 大きく袈裟切りに走る斬撃。
 分厚い毛皮に阻まれながらも、纏わせた炎はそれを焼き焦がし、紅蓮侯を焼き斬った。
 自身の傷を焼いて塞ぐマルコシアスだ、炎が全く効かないわけではない。
 むしろ七曜とセルマにより凍結していた銃創は、急激な温度差により罅割れ、裂傷と成ってマルコシアスを引き裂く。
「その隙は逃さない――!」
 燃える毛皮。
 裂けた銃創。
 そこに再び絶対零度の魔弾が撃ち込まれる。
 溢れ出した鮮血が一瞬にして凍り付き、再度の急激な温度変化で周囲の毛皮ごと砕け散る。
「ぐぁ……っ!!」
 笑みを張り付けたまま紅蓮侯が血を吐き、後退る。
 それでも倒れなかったが、間違いなく重大な損傷を与えた。
 それを示す様に、追撃を狙う宗田を押し退けて地獄の炎を撒き散らす。
 熱波は数多の炎の鞭と成り周囲を薙ぐが、当てずっぽうな攻撃は猟兵に易々と躱された。
 至近に迫らんとしていた宗田も見切って躱し、武器を薙いで放った衝撃で自身を後方へと吹き飛ばした。
「今の内に! 皆様方、こちらへお越しくださいませっ!」
 お仕事ですね!と張り切るエトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)はモップを片手にぴょんぴょんと飛び跳ねる。
 アタッカーのサポートに尽力するメイドの鑑たるエトワールは、手にしたモップに水を纏わせ、周囲の炎を次々と消していく。
 半ば無尽蔵に炎を発するマルコシアスは七曜とセルマが作った道も直ぐに焼き直してしまう。
 その道を退路とし、一時でも休み反撃に転じるでも良い。
 その道を進路とし、紅蓮侯へ止めを刺すべく飛び出すでも良い。
 どちらにせよ、この道を守る事が猟兵達の助けとなる。
「……村の皆様に代わって、必ずや貴方様をとめてみせます」
 仲間を支えるべく戦って来たエトワール。
 だが、戦場は初めてだ。
 前線で戦う者が、目の前で傷付いていく。
 そして後ろには守らねばならないものが有る。
 エトワールが戦う意味。その理由。
「必ず、守ってみせますの!」
「やってみせろ!」
 振るわれる業焔。
 猛り狂う炎の鞭を、水の属性を得たモップが猛烈なスピードで捌いていく。
 肉薄する獣。叩き付けられる短刀を水入りバケツで受け止めれば、続く爆炎をも蒸発しながら受け切った。
 瞬間的に周囲を包む水蒸気。濡れた毛皮をマルコシアスの熱気が払う前に、七曜の歌が、セルマの弾が、凍て付かせ体力を毟り取る。
 見た目に反して手強いエトワールにマルコシアスは笑う。
 戦う意味を持つ者。その強さを認めて。
「エトワールは皆様のおかげで元気いっぱい! です!」
 ふんす!と気合を入れ直すエトワールがモップに纏った水をマルコシアスへと叩き付ける。
 同じ手は喰わんと、紅蓮侯は短刀を構えて走る。
 濡らしてからの氷結は強力で回避が難しい。が、濡れてから凍るまでには時間差がある。
 ならば、濡れてでもエトワールを切って捨てる。
「そうはさせねえ!」
 立ちはだかるは宗田のランス。
 短刀の切っ先を受けて捌き、炎を耐え、炎で返す。
「小癪な……――ッ!?」
 紅蓮侯の動きが止まる。
 凍結と追撃を迎え撃つべく構えようとして、半端な姿勢で止まったマルコシアス。
 そこに叩き込まれる猛攻に、遂に紅蓮侯が膝を付く。
 凍結はしていなかった。
 反応も出来ていた。
 血は焼いて塞ぎ、流し過ぎたと言う程でもない。
 だと言うのに動きが止まったのは――

「失礼。その水、『糊』ですの」

 ぺこりと頭を下げたのはエトワールだ。
 糊ではなく、正確にはエトワールの放った『固まって動きを封じる不思議な塗料』のユーベルコード。
 そうとは知らずに全身に浴びた紅蓮侯は致命的な隙を晒す羽目になった。
 その隙を作り出したエトワールはと言うと、スカートを翻しさっさと前線から離脱し、怪我人の救助へと向かってしまった。
「……く。っははははは!」
 そのつれない態度と秘めたる強さに、マルコシアスは心底楽しそうに笑い声を上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

茲乃摘・七曜
心情
さぁ、最後まで歌い続けましょう

戦場
仲間に合わせるが砦を利用
※移動中、氷【属性攻撃】【範囲攻撃】で切り開いた道を維持

指針
地の利が拮抗できるなら後は総力戦
相手が強靭だろうと連携にてその差を埋める

戦闘
相手の攻撃阻害と回復での支援を主軸に行動
糊が炎で燃え尽きていなければ冷却し固まらせる等動きを阻害
「環境を整えるためにも主軸は冷却と氷針による攻撃を主軸にしましょう

回復
Angels Bitの氷【属性攻撃】【範囲攻撃】による体の冷却と
シンフォニック・キュアによる体の賦活で戦線を支える
「倒れるまでは歌いますよ

防御
激痛体制と火炎態勢で受けることを優先
※自身に攻撃を一手使うことは仲間が攻撃する機会を得ると想定


エトワール・フィラントゥ
にゃあ!カノから頂いたお仕事服がこげこげ…
(無謀にも故郷を飛び出し、途方に暮れていた自分に差し伸べられた優しい手
…うれしかったの。だから、村の皆様にも同じ様に喜んでもらいたくて)
――だから、負けられないのですっ

*戦闘
引き続き防衛と皆様のサポートを

まずはユーベルコードで怪我をされた方々の応急手当
…皆様から分けて頂いた包帯やお薬、使わせて頂きますね
少々痛むかもしれませんが我慢くださいっ

炎の勢いが止まらなければ、
前回と同様に水や吹き飛ばしで消火にあたります
ただし魔獣様の進行状況によっては砦の防衛を優先
…村の皆様の所へ行かせるわけにはまいりません
属性攻撃で水を纏ったモップちゃんで、再度お相手願いますわ


御門・セツ
準備運動も終わったし、そろそろ本気でやろうか。
マルコシアスに名乗り返して、動き難そうな相手を見やり
待ってからやるか確認する

相手が臨戦状態になれば、武器を構えて突っ込む。
小回りの利く短剣という事もあるので、なるべくこちらの間合いで
闘う様にしつつ、耐えれる限りとにかく接近戦。
攻撃は見切り技能を使って回避する。
少しでも隙が出来れば捨て身の【羅刹旋風】

「強きを求め、ただ戦うのみ!」
相手の攻撃を受け、自身が傷つく度に笑みを浮かべ、
なお続く限り全力で戦い続ける。


リュカ・エンキアンサス
……!
踏み躙って来たものも無意味。その言葉に胸を打つ。
踏み躙られて、消えていった人を何度も見ていたから。そんな風に思いたくは無くて。
でも自分は……この炎狼を認めるわけにはいかなくて。
何でかわからない。悔しくて苦しい。
だから前を見て銃を向ける。せめて自分の全力で戦わないと、この敵も自分も見失ってしまう。
そんなことはしたくない……!

一呼吸置いて、冷静になって。
とにかく自分の出来る戦法で戦いを続ける。
落ち着け。派手に突っ込んでいくのは俺の柄じゃない。
腕や足にけん制、足止めするように撃ち込んで動きを阻害する。
例え傷を受けても、戦場の亡霊も使用して。最後までたって、小さくても攻撃を繋げられるようにする。


ダーシャ・アヴェンダ
炎を纏う魔狼…私には相性の悪い相手ね
でも、負けるわけにはいかないわ

砦の【地形の利用を活かして増やした人形によるゲリラ戦を仕掛けるわね

人形の仕込み武器には全て【毒使い特製の【マヒ毒攻撃が塗ってあるわ

砦の影から人形を左右一体ずつ【だまし討ち暗殺早業先制攻撃で斬撃【鎧無視攻撃】を仕掛け、その隙に四体の人形の鋼糸の【ロープワークで捕縛し少しの時間でも動きを止めるわ
動きを止めたら全ての人形達でガトリングガンと大砲の【援護射撃一斉発射】による攻撃を行うわ
その後砦の影から【捨て身の一撃で敵に抱きつき【激痛耐性火炎耐性で耐えながら人形達の武器をドリルに変形させ【串刺し傷口をえぐる鎧無視攻撃で一緒に死んで貰うわ


ライヴァルト・ナトゥア
(けほ、と、身に溜まる灰と血を吐き出して)
あぁ、強いな。本当、こんなになってまでまだ挑むとか正気の沙汰じゃない
(常ならば引くだろう。けれど、今は道理をどうこう言っている場合でもない)
まぁ、『死ぬまでは』まだ頑張れるだろ
(大きな一撃を決める力はもう無い。なら、俺でなくてもいい。誰かのための隙を、時間を、作れれば。防御と回避を重視、爪牙をはじき、炎は飛ぶ斬撃で減衰させる。特に大技のある味方の守りを重く)
お前は俺の宿縁だ。けれど、それに拘泥すれば何も見えなくなる。俺は一人ではない。彼らは俺の同胞だ。なら、それに頼ったって、卑怯とは言うまい?
(焼けようが衰えぬ意思)
さぁ、最期まで一緒に踊って貰おうか!



●海鳴リ
 血を失い過ぎた。
 流血を避け傷口を焼き塞いでいたが、度重なる攻撃を受ける度にどうしても血肉は失われていった。
 体力もそうだ。本来であれば真正面から受けたとして小動もしない筈の攻撃にさえ膝が震える。
 何度膝を付いた?
 何度手を付いた?
 何度頭を垂れ、何度血反吐を吐き出した?
 目の前が霞む。
 熱気に風景が揺らぐのは何時もの事だ。だが、色彩を失い、天地さえ覚束無いほどの揺らぎは初めてだ。
 いや、初めてではないのだろうか。
 我が片耳を斬り落としたと言う敵が居た。彼奴の言う事が本当ならば、以前復活した我か、あるいはまだこの世界に存在していた頃の我が彼奴と相対した事になる。
 どちらにせよ、その我は骸の海に棄てられたのだ。
 今我もまさに骸と成り果てようとしている。
 歪んだ視界の向こうに巨大な河のように横たわる海が見える。
 戦場の音が遠のき、海鳴りが聞こえる。
 決着が近い。
 終わるのだ。この無益な戦場を渡り歩く日々が。
 我はオブビリオン。過去の残滓。世界を過去で満たし、滅ぼす怪物だ。
 そこに意味など無い。
 何故世界に舞い戻ったのか、何故世界を滅ぼすのか。そんな事は自然現象の様にしか我は感じ得ないのだ。
 どうでも良い事だ。
 ただ。
 ただ一つ、心残りが有るとすれば――

●最後ノ戦場
「――我は、紅蓮侯、マルコシアス……」
 マルコシアスが短刀をだらりと下げたまま呟いた。
 焦点の定まらない瞳で猟兵達を見る。その全身に、ぽつぽつと地獄の焔が灯っていく。
「まだ倒れないのか……」
 駆け付けた御門・セツ(狂い華・f02799)がマルコシアスの様子を見て言う。
 どう見ても戦えるような状態ではない。
 全身は穴だらけで、所々に肉が殺げた箇所さえ見受けられる。毛並みもグシャグシャ。手にした短刀は刃毀れと血糊で鈍らと化し、挙句制御不安定な炎熱に覆われ溶けかけてもいる。
 それでも一歩踏み出すマルコシアスに、セツは構える。
「わたしは御門・セツ。強きを求め、ただ戦うのみ!」
 名乗りを返し、セツは地を蹴った。
 敵は短刀使い。しかし巨躯が振るう短刀は人間からすれば長剣にも匹敵し、かつ炎を撒き散らすとなれば間合いは非常に広い。
 だからこそ飛び込まねば、無理にでも距離を詰めねば、話にもならない。
 案の定、振るわれた短刀を避け、炎を躱してさえ、熱気がセツの肌をじゅうと焼く。
 腹を括らねば肉薄する事も出来ない。
「っはあ!!」
 肺を焼きそうな熱気を気迫で吹き飛ばす。
 次いで振るわれるのは振り回して威力を倍増させた武器の一撃。
 首を撥ね飛ばさんとして放たれた一撃は、しかして空を切る。
 炎狼は姿勢を低くし、四つん這いとなって斬撃を躱していた。
 咄嗟の回避。だが、四足こそ炎狼の本領。
 後ろ足で地を蹴る炎狼は、セツ同様、覚悟を決めていた。
 我が身を省みない覚悟を。
「虚空断絶――!」
 首をひねり、短刀の切っ先が説を掠め、地面を両断する。
 ざくりと無抵抗に引き裂かれた大地に斬撃の恐るべき破壊力を察しながらも、セツは二撃目を放った。
 大きく振り回され、振り回され、振り下ろされる一撃。
 それは今度こそ炎狼を捕らえ、その脇腹に深くめり込んだ。
「ッかは――ははは!」
 それでも炎狼は笑う。
 もはや攻撃を喰らう事に何の躊躇いもない。
 喰らいながらでも、常に次の攻撃を。
「っふ――ははは!」
 対するセツも笑いだす。
 攻撃を叩き込んだというのに怯まず、炎を噴き出して反撃を試みる炎狼。その炎に包まれながらも、セツもまた退かずに一撃を繰り出した。
 セツも覚悟の上で、炎狼も覚悟の上。
 両者捨て身の殴り合いが血を散らし傷を抉る。
 そして遂に、一歩も退かないセツのぶん回した渾身の一撃がマルコシアスに直撃した。
 肉を打ち、その下の骨をも砕く感触。
 目を見開いた炎狼の口から、一拍遅れて大量の血が吐き出された。
 その血は黒く、明らかに内臓を痛めていると判断出来る。
 致命傷だ。
 だが、それでもマルコシアスは倒れない。
 吹き飛ばされ、膝を付き、手を付いて、血を吐こうとも。
 覚悟を決めているから。
 我が身を省みない覚悟を。
 それは、我が身をも滅ぼさんとする覚悟。
「我が地獄に焼け堕ちよ――ッ!!」
「な……ッ!?」
 絶叫。
 共に迸る尋常ならざる熱気。
 溢れ出す爆炎がマルコシアスを中心に広がり、凍り付いた道、鎮火した山賊の死骸を再び焼き尽くす。
 だがそれは諸刃の刃だ。
 炎を噴き上げるマルコシアス自身が己の炎で身を焦がす。
 反動と言うよりは自爆に等しい。
 全身を濡らす血が焼き焦げ付き、炎狼がどす黒く変色していく。
 炭化したのではないかと思う程の威容は、先程までとは比べ物にならないほどの焔を纏い、踏みしめた地面さえ溶かし始める。
「にゃあ!」
 熱風に煽られ、エトワール・フィラントゥ(小さな星・f06523)が悲鳴を上げた。
 頂き物の仕事着が撒き散らされた熱気と火の粉を浴びて焦げ付く。水属性を纏わせたモップさえ煙を上げて渇いていく様が見て取れた。
「さぁ、最後まで歌い続けましょう」
 その熱波を打ち払うべく、茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が再び喉を震わせる。
 払えど払えど熱気は渦巻き、それを大きく吸い込む七曜の喉も焼かれていく。
 だが歌を紡ぐのをやめるわけにはいかない。
「砦へ……!」
 セツが二人へと叫ぶ。
 地獄の業火が生み出す荒れ狂う熱風は声さえも掻き消していき、七曜の歌声までかき乱されていく。
 それでもセツは炎狼の懐へ飛び込んだ。
 身を焼く劫火に笑みを濃くし、武器を両手で振り回しながら大きく振り被る。
 焔は身を焼き、喉を焼き、網膜をも焼き尽くす。
 もはや何も見えはしない。
 だが、紅蓮侯が動きを止めたこの好機を逃す気は無い。
「喰らえ――ッ!!!」
 渾身。
 そして、会心の一撃だった。
 振り下ろした武器が紅蓮侯の顔面に沈み込み、打ちのめし、弾き飛ばした。
 余力で地面に激突した後、その衝撃だけでクレーターを生み出す。
 そんな強烈な一撃を受けた紅蓮侯は、――立っていた。
 顔の右半分を潰されながら、それでも笑みを張り付けて。
「無意味だ」
 呟く。
 と同時に、獄焔がセツを薙ぎ払った。
 地面が焼け、溶けて固まり、ガラス化する程の業火を浴びて、セツは更に笑う。
 だが受けたダメージは笑えない。
 常人ならば既に骨も残らないような攻撃を受け、セツはがくんと膝を付いた。
「逃がさん」
 紅蓮侯は膝付くセツから視線を外し、砦を見やる。
 猟犬達が築いた砦。
 猟犬はそこに逃げ込んだ。
 いや、逃げたのではない。砦を利用し、あるいは砦を背にして、砦とその向こうを守る為に布陣を敷き直したのだ。
 砦周囲に掘られた堀、その内側には地獄の業火が及ばない。
 ならば、放っておいても焼け死ぬであろう倒れた猟犬より、まだ生きて戦える者こそを狩るべきだ。
 そう考えた紅蓮侯の追撃を、リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)の放った弾丸が遮った。
 的確に脚を撃ち抜き、歩みを止める。その冷静さを手にするために、リュカは一度深呼吸をする。
 ――踏み躙って来たものも無意味。
 紅蓮侯が口にした言葉だ。
 己が身は無意味だと断じられ、それを認めた上で己が踏み躙る物もまた無意味だと吐き捨てた。
 リュカはその言葉に胸を締め付けられた。
 踏み躙られて、消えていった人を何度も見ていたから。
 あの人達が無意味だった。その生を無意味にされた。――そんな風に思いたくは無い。
「冷静に……!」
 歯を食いしばる。
 何でかわからないが、悔しくて苦しい。
 だがこの情動に身を任せてはならない。
 大きく吸った息を止め、再び紅蓮侯へと放った弾丸の雨は大半が纏う炎に溶かされるか逸らされる。だが努めて冷静に狙い撃つリュカの攻撃は、確実に少しずつ紅蓮侯の足を穿ち、喰い止めていた。
「俺を囮にして!」
 リュカが叫ぶ。
 紅蓮侯が砦の中に居るリュカを睨み、目が合った。
 リュカはその身を以て思い知る。ちょっとやそっと身を隠した程度では奴の放つ焔を完全には躱せない。火炎瓶を投げ込まれたかのように蒸し焼きにされる可能性だってある。
 ならば、避けられる限りは避け、少しでも長く戦い、牽制し続け仲間に繋げる。
 砦は絶対に突破されてはならない。
 突破されれば――全てが無意味になってしまう。
「負けるわけにはいかないわ」
 リュカの思いを口にしたのは、ダーシャ・アヴェンダ(見習い人形遣い・f01750)だ。
 同じく砦に陣取り、決死の覚悟で人形を操る。
 ダーシャの絶技『死操演舞』により複製された人形達は意のままに操られ、砦の影に潜んでいた。
 そして待っていた。紅蓮侯が砦へ近付く好機を。
「私には相性の悪い相手ね。でも……!」
 飛ばされた命令に、弾かれたように人形達が飛び出す。
 左右から、リュカの攻撃により一瞬歩みを止めた紅蓮侯へと、毒に塗れた武器を放つ。
 強力な御手製の麻痺毒。喰らえばオブリビオンであろうとただではすまない。だがそれを、その攻撃を、紅蓮侯の焔が薙ぎ払う。
 熱風が人形を焼き斬り、放った武器も毒も諸共に消し炭へと変える。
 此処に来て更に火力を上げ続ける紅蓮侯はその技を以て自らを焼き苛む。
「ぐ……っ!」
 放たれた爆炎は地を伝い砦へ激突、火柱となってリュカが張り付いていた格子窓から内側を焼いていく。
 リュカも寸での所で直撃を避けながら、窓から侵入してきた焔に嬲られ焼けていく。
 それでも次の瞬間には窓に張り付き、紅蓮侯の足下へ弾幕を浴びせ続けた。
 ダーシャも身を隠しつつワイヤーを操り、少しでも足止めをと画策する。
 鉄を編んだ鋼糸。それは紅蓮侯の前では容易く溶断される。
 だが、溶断するには焔を燃え盛らせなければならない。
 万全ならまだしも、手負いも手負い、最早いつ倒れてもおかしく無い程に弱り果てた紅蓮侯にとって、それは間違いなく厄介な足止めとなった。
「火を!」
「止めます!」
 その隙を繋いだのは二人の猟兵。
 エトワールの掲げたモップは水の属性を纏い、紅蓮侯へと叩き付けられる。
 先程それをただの水だと侮り痛い目に遭った紅蓮侯は咄嗟に回避するが、今度は正真正銘ただの水。張った炎の壁が叩き付けられた大量の水を一瞬で気化させ、水蒸気爆発で紅蓮侯を押し返した。
 その隙にエトワールは紅蓮侯の脇を抜ける。
 彼女は支援一徹。仲間を癒し、戦線を維持する事で全体の戦力を数倍にも引き上げる。
「………皆様から分けて頂いた包帯やお薬、使わせて頂きますね!」
 村人がくれた薬や包帯。
 あの寂れた村では、こんなありふれたものですら高級品だっただろう。
 それを、その思いを、エトワールは抱えて走る。
 それに、喜んでもらいたいから。
 かつて無謀にも故郷を飛び出し、途方に暮れていたエトワールに差し伸べられた優しい手。その時の嬉しさを思い出す。
 不安と絶望、その縁に差し出された優しさと希望の暖かさ。村の皆にも、喜んでもらいたい。
「――だから、負けられないのですっ!」
 追い縋る紅蓮侯を、再びモップで打ち据える。
 凄まじい熱気。恐るべき衝撃。
 一歩間違えれば消し炭と化す戦場の最前線で、エトワールは毅然として戦った。
 そんな彼女を支えるのは、どこまでも美しく、そして心から凍えさせる冷たい声。
「氷漬けになりなさい」
 七曜の凍て付く歌声は、紅蓮侯の焔を抑え付け、エトワールの撒き散らした水と水蒸気をも利用して更なる極寒を齎す。
 血も凍るような絶対零度の絶唱。
 いかな紅蓮侯と言えど、その動きを食い止めるには十分過ぎた。
 そこに降り注ぐ氷の針は氷柱の槍と成り、紅蓮侯の背中を次々に穿っていく。
 傾く。
 膝を付く。
 吐いた血さえ凍り、溶け、蒸発する。
 だが、紅蓮侯は立つ。
 立ち上がり、咆哮を上げる。
「あぁ、強いな」
 その背中にライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)が迫る。
 本当、こんなになってまでまだ挑むとか正気の沙汰じゃない――などと思いながら、自らも焼け焦げ灰と血の混じった反吐を吐き出しながら。
 常人ならば退くだろう。
 無茶どころではない。無謀だ。無理なのだ、と。
 だが無理でも無謀でも構わないとライヴァルトは呑み込んだ。
 そう、『死ぬまでは』まだ頑張れるだろう、と。
「――ッッッ!!!」
 焼けた喉が声にならない叫びを上げる。
 死力を尽くして放つ無数の爪撃と斬撃が、紅蓮侯の振るう一撃一撃を弾き返し、押し込んでいく。
 分かっている。もう余力はない。
 例え命と引き換えたとしても、仕留め切れないだろう。
 だが、それなら、俺でなくてもいい。誰かのための隙を、時間を、作れれば。その為ならば、命を賭すに値する。
「……無意味になんてさせないッ!」
 ライヴァルトの決死の攻防を見ていたリュカも焼け爛れた腕を持ち上げる。
 その隣に並ぶのは戦場の亡霊。瀕死に陥った時自らを守り戦う亡霊を呼び出し、しかし自身を守らせず揃って戦いに参列させた。
 もとより覚悟の上。これこそが最善だと、リュカと亡霊の放つ弾丸が紅蓮侯へ降り注ぐ。
 突き刺さったままの氷柱を弾丸が押し込み、体内で砕く。
 紅蓮侯はその激痛に咆哮を、……いや、悲鳴を上げた。
「さぁ、最期まで一緒に踊って貰おうか!」
 ライヴァルトは笑う。
 その双眸に宿敵を映して。
 忌々しき宿縁。しかしそれに拘泥すれば何も見えなくなる。その事をライヴァルトは知っていた。
「俺は一人ではない。彼らは俺の同胞だ。なら、それに頼ったって、卑怯とは言うまい?」
「――勿論だとも」
 潰れた顔で笑うマルコシアス。
 ライヴァルトの顔に何を見たのか。
 もはや笑っているのかさえ分からない凄惨な顔で、炎を振るう。
 それを割って入ったダーシャが前身で受け止めていた。
「それなら私も一緒に踊っても良いわよね?」
 笑う人形遣い。
 燃え盛る炎が身を焼く苦痛に耐えながら、鋼糸を以て紅蓮侯と自分とを繋ぎ止め、喰い止める。
 砦の影から人形を繰りつつ、この瞬間を待っていた。
 毒入りの攻撃も、鋼糸の足止めも、この必殺の為の布石。
 そんなダーシャの元へ彼女が操る全てのからくり人形が向き直る。
 瞬時に何をするのか察したライヴァルトが力強く頷き、右腕の大鎌で紅蓮侯に組み付いた。
「惜しい――ッ!」
 紅蓮侯が吼える。
 張り付いたダーシャ。
 この戦いの中でも幾度となく同じ事をした者達が居た。
 それを全て紅蓮侯は纏った業火で薙ぎ払って来たのだ。
 例え凍て付く身体が温度差で砕けようと、その焔はダーシャを容易く焼き尽くす。
「させないッ!」
 大振りの一撃が、紅蓮侯の首もとへ叩き込まれた。
 一瞬、その衝撃とダメージに紅蓮侯の意識が飛ぶ。
 エトワールによって回復したセツの一撃は、マルコシアスの意識ごと焔を掻き消していた。
「今ですの!」
 戻って来たエトワールがモップちゃんを振り回し、紅蓮侯の脳天に大量の水と打撃を叩き付ける。
 間髪入れずに大気を震わせた七曜の絶唱が、紅蓮侯を骨まで凍て付かせた。
 それでも暴れる紅蓮侯を、ライヴァルトの爪と鎌が、リュカと亡霊の弾幕が、無理矢理に抑え付ける。
 その隙を、ダーシャは絶対に逃さない。
 命に代えても、絶対に

「一緒に死んで貰うわ」

 微笑みと共に告げられた言葉。
 それを合図に、ダーシャのからくり人形達がダーシャごとマルコシアスを串刺しにした。
 分厚い魔獣の毛皮を容易く穿つ十数本のドリル。
 そして、控えていた人形からもガトリングガンの一斉掃射が始まった。
 傷口を抉り、穿ち、ズタズタにしていくダーシャの人形達。
 命を賭して、彼女は魔獣を討たんとした。
 だが、あと一歩のところでその攻撃は止まってしまった。
「――……」
 ダーシャが崩れ落ちる。
 自分ごと刺し貫いた数多のドリルによって縫い付けられ、歪にぶら下がる様に。
 主が倒れ動かなくなった人形達もまた、貫いたまま止まる。
 紅蓮侯は笑う。
 あと一歩足りなかったと。
 その全身は地に塗れ、欠け落ち、もはや大半が原形を留めていない。
 だが生きていた。
 あと一歩足りないと。
 そう言って笑う紅蓮侯は、ライヴァルトを見下ろす。
「あと、一歩だ」
「――ああ」
 分かっていた。
 あと一歩足りなかったが、紅蓮侯はもう一歩も動けなくなっていた。
 そしてエトワールはその一歩を踏み込めるだけの力をライヴァルトに取り戻させていた。

 振るわれるのは全身全霊の一閃。
 それは迷いなくマルコシアスの首を断ち、その戦いを終わらせた。

●過去ト未来
 ――心残りがあった。
 伝えそびれていたのだ。
 我は既に過ぎ去りし過去である。
 既に終わったもの。そんなものに価値を付けられるものは、今を生き、未来を目指す者だけだ。
 過去そのものに意味など無い。
 故に、我が歩みにも意味など無かった。
 全てを無に帰す事しか、出来なかった。
 だが我が敵共はどうか。
 今を生き、未来を目指す者達は皆、新たな過去を生み出し続けている。
 あの者達が歩む為に時間が消費されたのであれば、そうして生まれた過去には意味や価値が生まれるのではないか。
 そう。あの者達ならば、我にも何らかの意味や価値を見出してくれるかも知れん。

 しかしまあ、こんな事は全て与太話だ。
 これにこそ何の意味は無い。

 骸の海に再び沈んでいく。
 その感触を懐かしく思いながら、思い出すのは敵共の顔。
 嗚呼、やはり恨むぞ、我が宿敵。
 いや、本当は恨むでなく、羨んでいたのかも知れない。
 何故ならば、次の戦場へ向かえるのもまた、今を生きる者達の特権だからだ。

 いずれまた、再び世界に現れ出でて……などと思うが、しかしそれは無い気もしていた。
 あの戦場こそ、我が最後の戦場だったと。
 何故だかそう思えてならなかったから。

●戦場の先へ
 迎えた朝は晴れやかだった。
 嵐が過ぎたが如く、それまで以上に荒れ果てた荒野を、しかし村人達は感慨深げに眺める。
 焼かれ、傷んだ急ごしらえの砦を、村人達は修繕し使い回す事にした。
 こんな大層なものを使う機会なんて今後百年は無いだろうとは思いながら。
 守られた村では猟兵達が村人と共に笑っている。死の淵から命辛々生還したと言うのに、誰一人としてそんな風には見えない。
 守った者、守られた者。両者は互いに嬉しそうに話す。
 やがて傷が癒えた猟兵達が去った後もその村には砦が残る。
 何も無い村には希望も無かったが、しかし猟兵達は来てくれた。
 その証は残り続け、例え無意味だとしても村を守り続ける。

 そうしていつしか、何も無い村は『砦の村』と呼ばれるようになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月04日
宿敵 『マルコシアス』 を撃破!


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#アックス&ウィザーズ


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ライヴァルト・ナトゥアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト