アルカディア争奪戦㉑〜冬が来る
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永遠に降りしきる呪われた雪の島国に、剣を手に空を見上げる者がいた。
彼の名は『天帝』冬のアスタルシャ。
天帝騎士団の天帝。
「来るか、猟兵。この悲劇、断ち切って見せる。」
アスタルシャが剣を天に掲げると、無数の幻想武器が飛来。
周囲で敵を、猟兵達を待ち構える天帝騎士団に装備されていく。
次第に視界が吹雪で覆われ、険しい顔になるアスタルシャ。
「アルカディアを手に入れる。俺達の願いを、誰にも邪魔させるな……!」
彼の望みは、悲劇の連鎖は、果たして断ち切れるのか。
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グリモアベース。
「ブルーアルカディアの戦争なの!皆に戦闘を協力して欲しくって!」
ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が猟兵達を集め、説明を始める。
「今回は『天帝』冬のアスタルシャさんを倒す任務なの。」
どうやらこの翼を生やした偉丈夫こと天帝は一筋縄ではいかない。
「この天帝様、『己の身にこれから降りかかる悲劇』をグリモアみたく予知できて、それを利用して先制攻撃してくるみたい!」
自身限定で攻撃を常に予知されてしまうらしい。
「やって来る攻撃は冬の雪や氷の力、そして幻想武装群っていう変わったのをびゅんびゅん飛ばしてくる奴!つまり冬だよ!気をつけてね!」
様付けなのは相手も冬を使うからか、どことなく嬉しそうな顔をするポーラ。
しかしこれから転送される戦況は厳寒の如く厳しい。
猟兵達が集まった部屋の中央に、今回の戦場のマップが立体表示される。
どうやらグリモアで転送される場所はいきなりアスタルシャの目の前の様だが、天帝騎士団もずらりと配置された混戦場だ。
「いきなり天帝様にしかけられる間合いだけど、さっき言った通りだからまともに攻撃してもあっさり対処されちゃうよ。どうにかして予知能力を掻い潜るか、予知してもどうにもできない状況を作り出すとかしてもらえると!」
そう言ってポーラリアはグリモアに光を宿し、猟兵達を転送していく。
「寒い冬の場を超えた先にもまた戦場。ここが踏ん張りどころだよ!頑張って来てね!」
古塔
古塔MSと申します。宜しくお願いします。
目的:冬のアスタルシャを倒す。
●戦況
雪が降り続ける冬の島のど真ん中、天帝騎士団と呼ばれる部隊を伴うアスタルシャとのバトルです。
戦場には天帝騎士団が居ますが、いきなりアスタルシャと戦って問題ないです。
アスタルシャは予知能力を使ってきます。
この予知は常に発動しますが、「己の身にこれから降りかかる悲劇」限定の予知になります。
アスタルシャは先制攻撃をしてきますが、予知で読んだ攻撃に対応して先手を打ってくる形となります。
うまく利用できましたら。
●プレイングボーナス
敵の予知能力と先制攻撃に対処する。
第1章 ボス戦
『『天帝』冬のアスタルシャ』
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POW : 絶凍剣
【自身の持つ絶凍剣】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【天帝の凍気】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
SPD : 白雪剣舞
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【氷属性の魔法剣】で包囲攻撃する。
WIZ : 氷獄凍土
戦場全体に【五感を奪う魔の吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【吹雪と共に飛来する幻想武装群】による攻撃力と防御力の強化を与える。
👑11
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鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇
同伴者がいる場合は同伴者を支援するよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持ちます
単独で戦う場合は相手の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
何より周りの誰かが傷付く事を嫌う為、仲間達に危害を加えるような行動はまず取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選ぶ性格です
任務に関わる人達の笑顔を取り戻す為に全力を尽くします
敵の攻撃を掻い潜り護符を敵の周囲へ投擲、UCを発動させて一気に勝負に出ます
指定したUC以外で状況に合うものがあればそちらを使っていただいても構いません
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護符と刀を手に冬の戦場に現れた男がいた。
彼の名は鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)。
「その悲しみの先に笑顔はあるのかな?」
鳳凰院はそう言った。
「……答えてやろう、分からぬ。俺は余りにも悲劇に囚われ過ぎた。」
「我が国に降りしきる雪の如き、悲劇を絶たねばそれもままならぬ。立ちはだかるのであれば。」
互いに武器を構える。
「俺は皆の笑顔を守りに来た。」
鳳凰院の口と共に、二者は戦闘を開始した。
アスタルシャは未来を見た。
護符によって囲まれた中心地で、鳳凰院の放つ疑似精霊の巨大な火柱で自身が焼かれる未来を。
「氷獄凍土に飲まれるが良い」
アスタルシャが手をかざし吹雪を放つ。
それと同時に放っていた鳳凰院の精霊の護符の弾幕は一瞬にして吹き飛ばされる。
「(他の天帝騎士は無事か
……?)」
倒すべきはアスタルシャただ一人故にか、鳳凰院は周りの天帝騎士達をも一瞬心配した。
「正々堂々たるが騎士。そして気をかけている暇は無い!」
吹雪で視界が、音が塞がれた白き世界で、どこからともなく無数の幻想武器が飛来する。
鳳凰院は破魔刀を手にそれを弾き飛ばしていく。
「!」
更に白き世界の中から無数の武器が振るわれた。
それは幻想武装を装備した天帝騎士団による一斉攻撃だ!
鳳凰院は相手の苦手とする戦法を得意とする。
この場合は正しき戦いを心根に座す、天帝騎士団を人質にしての戦いが有効だが……そんな真似はしたくない。
「正念場だね。いくよ」
鳳凰院は刀を仕舞い、両手を広げる。
天帝騎士団の一斉攻撃が同時に鳳凰院を捉えた!
アスタルシャは吹き荒れる魔の吹雪の中、彼が騎士団の一斉攻撃を躱した事を感じた。
「来るか」
ビーストマスターの獣の如く気合で躱し、抜けていく鳳凰院。
最初に見た姿と第六感を頼りに、白き世界の中から飛び出してきた。
アスタルシャに、鳳凰院が!
「全力全開!」
鳳凰院の破魔刀とアスタルシャの絶凍剣が打ち合う!
その際、破魔刀に仕込んだ氷の精霊さえも凍り付きそうな凍気に押されかかる鳳凰院。
気合の入ったアスタルシャの攻撃は鳳凰院の地力を押し返していく。
「っ」
鳳凰院は後ろに引き、アスタルシャに押されていく。
「護符の結界の中に引き寄せて俺を倒そうというのだな」
アスタルシャはそれだけを見据えていた。
故に、鳳凰院の発動の合図を見定めながら天帝騎士団を離れさせ、遠方からの攻撃を準備させていく。
「どこまでが見えているか、勝負だよ、アスタルシャ!」
剣と刀、再三重く打ち合った瞬間、鳳凰院が大きく後ろに飛び退き、手を振り下ろす!
同時にアスタルシャは悲劇の瞬間を見定めながら翼を広げ大きく飛び退こうとする。
タイミング、起こりうる範囲……見えていた筈だった。
「(!?)」
その時である。
悲劇を見る星が、攻撃の範囲が、歪み、変わった。
アスタルシャの瞳の中で、護符の結界がぐにゃりとうねりを見せて、アスタルシャを強引にとらえ出す。
「な……!」
「エレメンタル・バースト!」
アスタルシャは吹き上がる豪炎の柱に巻き込まれた!
炎の中で一瞬見えた。鳳凰院が、護符を『どこに仕込んだか』。
自身が特に気にかけてはいなかった……天帝騎士団の背中に張り付けていたのだ!
「護符が……ついている護符を剥がせ!」
絶凍剣を振るい、炎を払うアスタルシャは、豪炎のダメージで膝をつき、天帝騎士団に仕込まれたものを剥がすように促す。
「まだだ、猟兵……!」
この手はもう喰らうまいとするアスタルシャは、鳳凰院によって確実な手応えを加えられたのだった。
成功
🔵🔵🔴
ユーリィ・ミニットマン(サポート)
招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。
相手は魔獣か?それともそれ以外か?
いずれにせよ、全力を以てこの狩りに臨もう。
オレの主な武器は、鋸鉈に散弾銃──一般的な狩人の装備だな。何方も射程は短いが、補う為の狩道具もある。
例えば、この小型天使核を内蔵した変形式の罠は浮遊させることが出来る。飛ぶ相手に対しては空中機雷の形として運用することが多いな。
それに、攻撃が届かないなら近づけばいいだけの話さ。そうだろう、皆?
……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う。
つまり、オレは獣と共に魔獣を狩る狩人だということだ。覚えておいて貰えると助かる。
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「招集に応じ馳せ参じた、魔獣狩人のユーリィだ。」
犬種を引き連れた『山の民』の男、ユーリィ・ミニットマン(寄る辺無き民・f33966)が現れた。
「相手は天使か。全力を以てこの狩りに臨もう。」
それに応じてアスタルシャは周囲の天帝騎士を横に退け、進む。
「力による戦いを所望の様だな。……来い」
ユーリィとアスタルシャは同時に飛び掛かった。
鋸鉈と絶凍剣が打ち合う。
幾度かの金属音の後、小脇から繰り出した散弾銃を隙あらばと至近発射するユーリィ。
それをアスタルシャは容易に避ける。
更に斬り合いながらユーリィは罠を展開する。
小型天使核を使った浮遊機雷にトラバサミなどの罠を張り巡らせた戦場で、跳び躱すアスタルシャを罠にかけようとする。
しかしアスタルシャは幾度もそれをいなし、時には凍らせてしまう。
「俺の瞳は己の悲劇を観る。」
ユーリィの攻撃は全て予知されていたのだ。
「気配だけでなく未来を感知する獣か。」
ユーリィの顔はより深く際立ち、ある種の覚悟を決め出した。
「いくぞ」
ユーリィは退く事無く再度の突撃をかました。
「心意気は買う。だが凍れ。この地に降り続ける雪の如く。」
絶凍剣が振るわれると、ほとばしる天帝の凍気が放たれ、先んじてユーリィが放とうとする攻撃を凍て潰していく。
一振り。近づき振りかぶる鉈が凍り付く。
二振り。飽和して近づき爆発しようとする機雷が凍り付く。
三振り。更に後ろ手で隠し持っていたチェーンソー剣ごと、ユーリィを凍らさんと凍気が振るわれた。
全身が厳しい痛みと共に凍り付いていく、ユーリィ。
「自分に降りかかる悲劇だけを観るなら」
直後である。ユーリィに爆炎が巻き起こった。
「オレが傷付く場面を観る事は無いんだな?」
後ろから放っていた機雷を操作し、あろうことかユーリィ自身を爆破したのだ。
そのダメージは計り知れず、血を吐くユーリィだが、アスタルシャの放つ凍気は相殺された。
「攻撃を避け続けるなら」
そしてユーリィはその隙に組み付きアスタルシャを左腕で引っ掴み。
「避けられない様にして狩るまでだ。」
右腕で力任せに握りしめたチェーンソー剣で、アスタルシャを引き裂き突き刺したのだ!
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
天帝にダイレクトエントリー!
こんにちはアスタルシャ殿そしてさようなら!
未来が読まれても、現在にて臨機応変に対応すれば問題はありマセーン!
予知で読まれている奇襲で切りかかる、フェイント!
迎撃の動作を見ればファルシオンで受け流し、回避の動作を見ればそのまま至近距離に踏み込み!
動かないなら姿勢を維持して滑走靴にて回り込む!
絶凍剣の直撃を受けないよう立ち回り、先制攻撃を凌いだらUCを起動しマース!
「骸式兵装展開、岩の番!」
……たとえ、未来が読めるのだとしても。
岩鎧で刃を弾き、力押しで追い詰めて、岩翼にてその身を捕まえれば。
避けようのない岩腕の一撃を叩き込むことができるだろう。
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「天帝にダイレクトエントリー!」
メイドの女性がファルシオン風サムライソードを不意打ち気味に天空からアスタルシャに叩きつけようとする。
その一撃はアスタルシャの頭部をかち割らんとした。と見せかけてフェイントを起こす。
絶凍剣でこれを防ぐだろうと見切った彼女による小手先捻りの胴への横一閃撃が。
即座に捻るような動きで追従してきたアスタルシャの絶凍剣で遮られた。
「ウップス!」
「俺は星を視る者であり騎士。」
そして力任せに絶凍剣を振り、押し飛ばす様に彼女を吹き飛ばして間合いを取った。
「容易く取れると思うな。」
「HaHaHaマタマタご冗談ヲ!改メマしてアスタルシャ殿コンニチワそしてサヨウナラ!ワタシはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。未来ガ読マレても、現在ニテ臨機応変に対応すれバ問題はありマセーン!」
「降りかかる悲劇がお前をどこまで視ているか、試してみるか?」
「それはモウ!是非!ワタシはそれヲ全部打ち砕いテ見せマース!」
アスタルシャが絶凍剣を振るい、迸る凍気の斬撃が襲い掛かる。
バルタンと名乗ったメイドの女性はそれを捻るような動きで躱し更に切迫する。
ファルシオン風サムライソードの斬撃が降りかかる。
直撃の瞬間にフェイントをかましてまたもや別方から攻撃をかけるも、容易く剣で防がれてしまう。
迎撃の返し刃がバルタンに襲い掛かる。
「ヘーイ!」
意気揚々にファルシオン風サムライソードで受け流すと滑る様にアスタルシャに斬撃を入れようとする。
アスタルシャは剣に凍気を迸らせ宙に氷の斬撃を発生。同じようにファルシオン風サムライソードを氷で防ぎ滑らせ受け流してしまう。
だが近づきすぎた2者の間合いは剣をまともに振るわせられぬ。アスタルシャはここで距離を取る様に飛び退く。
が、それをバルタンは追いつくように呼吸を同調させステップを踏み跳び込む。間合いを至近のままキープさせていく。
これをアスタルシャは剣の柄で迎撃にかかる。踏み込んだと同時のタイミングでバルタンの脳天に柄のハンマーが。
間一髪それを横に躱すバルタン。
その攻撃で足を止めたアスタルシャに強く踏み込んだバルタンは、足に仕込んだ水上用滑走推進機構を発動し、滑る様に背中に回り込む。
タイミングを合わせるかの様にアスタルシャは前方に踏み込みながら横回転斬りを起こし背中に回り込むバルタンを斬り裂こうとする。
間一髪それをしゃがんで回避したバルタンはアスタルシャにファルシオン風サムライソードで喉元突きを繰り出した。
アスタルシャは捻るような動きで剣閃を横から縦に変え、叩き落とすような一撃でファルシオン風サムライソードをいなした。
どれも悲劇の結果にならぬと言うかの如く、バルタンの立ち回りはいなされ続けていた。
「思ったよりは戦えマース!ですがここまでの攻撃を凌いだ時点でワタシの勝ちデース!」
その台詞はバルタンにユーベルコードの用意が完了したという合図でもあった。
バルタンは刀を収め、姿を変容させていく。
「骸式兵装展開、岩の番!」
かつてアックス&ウィザーズで戦いを起こした大天使ブラキエルのような、岩を纏う巨大な大天使となったバルタン。
その翼と両腕は巨大な岩で出来、その身には岩鎧を装備。
その体躯はこれまでの3倍、4メートル80センチを超える程の巨体と化した。
「……たとえ、未来が読めるのだとしても。」
作戦の本番となった為か口調が変わったバルタンはアスタルシャに力強く突撃する。
「岩鎧で刃を弾き、力押しで追い詰めて、岩翼にてその身を捕まえれば。」
「ふっ!」
神殺しの力を以った剣が神に連なる大天使の岩鎧を斬りつける。
剣が触れた部分が即座に凍り付き、強い力で剥がされていく。
その剣はまるでアイスピックの如く岩鎧を突き刺しては、ほじくる様に凍り固めて、その鎧を少しずつ剥がしていった。
「俺の剣がその鎧を斬ればどうなったかを知るのは俺だけだ。」
「…………!」
気力を張る。サイボーグのニューロンに言い様の無い苛立ちを覚える。
だが彼女は依頼を完遂するために全力を費やすプロ。
作戦の1つ2つ弾かれた所で退くわけにはいかない。
天帝の神殺しが効くのは鎧だけの様だ。
鎧はいとも簡単にボロボロにされていくが、本体は鎧が身代わりとなって守られている。いける。
2度、3度、4度。
バルタンはその身を酷使し連続でユーベルコードを使い、壊れた所から岩鎧を展開しなおしていく。
更に岩翼をも2対の巨大な岩腕へと変容させ、合計6本となった岩腕により、アスタルシャの絶凍剣と幾度となくかち合っていく。
凍り、壊れ、崩れ、それでも再び生やし直し、力押しで悲劇を跳ね除けていく天帝に、力押しで前へ前へと押しこんでいくバルタン。
「!」
次にアスタルシャが見たのは岩腕に叩きこまれる自身。
背中に硬い物が当たる。壁だ。いつの間にか自身の城の壁にまで押し込まれていた。
「……たとえ、未来が読めるのだとしても。」
バルタンは。
「岩腕と岩翼の力押しで追い詰めて、その身を躱し様の無い状況に押し込めれば。」
力を込めて6本の岩腕を、振るう。
「防ぎようのない岩腕の一撃を叩き込むことができるだろう。」
岩腕の全力の一撃を絶凍剣ごと無理矢理ぶち込んで、アスタルシャに攻撃が直撃した。
背の壁を破壊して、天帝は大きく吹き飛んでいったのだった。
大成功
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ニクロム・チタノ
f32606ミリアリアさんと
こいつが冬のアスタルシャすごいプレッシャーだ、でもボクは一人じゃない行こうミリア
ボクの真の名紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させる
八枚の蒼焔の盾を展開してボク達を取り囲む氷属性の魔法剣を防御するよ
凍気や吹雪は蒼焔の盾を一つに融合して火力を上げて防ぐよ
このままじゃ盾がもたないよ、そうだミリアボクに考えがある、一緒にアイツをやっつけよう
行くよ蒼焔の盾を解除そして重力槍を七本発射
流石に防ぐね、でも体制が崩れた今だよミリア
ミリアの攻撃に合わせて最後の重力槍を発射してさらに追い討ちをかけるよ
未来は予知できてもボク達の底力は読めなかったみたいだね
ありがとうミリアのおかげだよ
ミリアリア・アーデルハイム
f32208:明日香(ニクロムさん)と
将たる者にとっては残酷な力ですね、己が悲劇しか防げないなど。
ええ明日香、二人で苦しみから解放して差し上げましょう。
明日香に合わせ「屏氷万里鏡」「涼風の傘」で極寒環境に耐え剣を防ぐ結界を張り攻撃に対処。
盾解除と同時に環境耐性をオーラ防御のみに切り替え、体制を崩した所に浄化の呪殺弾を撃ちますがこちらは囮。「呪縛からの解放」を祈り、UCを多重詠唱【認識を僅かに歪める】属性の微小で目立ちにくい誘導弾とし、「星詠み」の力を僅か歪めようと試みます。
明日香っ!
残る魔力を注ぎ込み全力で攻撃
私達のように貴方にも大切な仲間があったのでしょう。きっと待っていますよ。ね、明日香
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「こいつが冬のアスタルシャすごいプレッシャーだ、でもボクは一人じゃない行こうミリア」
転送直後、早口でまくし立てるこのレプリカントの女性はニクロム・チタノ(反抗者・f32208)。
「ええ明日香、二人で苦しみから解放して差し上げましょう。」
その隣に現れたのはニクロムと親愛なる関係を結ぶ女性、ミリアリア・アーデルハイム(永劫炉の使徒・f32606)。
明日香とはニクロムの本名である。
「将たる者にとっては残酷な力ですね、己が悲劇しか防げないなど。」
「知った口を告げるか。」
ミリアリアの言葉に返しながらもアスタルシャは絶凍剣を振るい、猛烈な吹雪を二人に発した。
「ボクの真の名紅明日香の名を以てチタノヤタテを降臨させせせせせうわあああ」
機先を制したアスタルシャの先制攻撃は素早い。チタノヤタテを展開する前に吹雪が届きその身を白い雪で覆わせ五感を削ぎ落していく。
「明日香っ!」
ミリアリアが無数の氷の欠片を周囲に展開し、氷の魔傘を広げて明日香に差し込むと氷のバリアが展開され、吹雪を遮っていく。
「ミリアどこにいるの真っ白で見えないあっ体の雪が落ちてきたありがとう」
半ば雪像と化していた明日香はバリアの中で五感を取り戻し雪を振り落とす。
レプリカントの口からは白い息も漏れないが、寒さとダメージは少々こたえた様だ。
「改めてチタノヤタテを降臨させるボクの名、紅明日香の名を以て」
ニクロムは反抗の竜チタノヤタテの霊をバリアの中に降臨させ、辺りに八つの蒼焔を纏わせ、吹雪の寒さを更に和らげた。
が。
「悲劇の星、未だ視えず。……そのまま押さえてくれる。」
アスタルシャの声だ。
辺り一面の白の世界の中、二人の視界のあちこちに光が宿る。
「幻想武装群、顕現……征け、天帝騎士団!」
周囲の天帝騎士団が、吹雪の中でも見えているかの様に二人に向かって襲い掛かる。
その手に持った幻想武器は不思議な事に炎を振り払う力を持っていた。
「くっ」
幻想武器の重い一撃がバリアを破壊しようとする。
同時にバリアの中に衝撃が響き、チタノヤタテの炎をかき消さんとしていった。
現状は防御で手一杯。次の手を打たねばあっという間に防壁は破られてしまうだろう。
「このままじゃ盾がもたないよ、そうだミリアボクに考えがある、一緒にアイツをやっつけよう」
「ええ明日香。攻勢に出ましょう。手を取って」
二人は手を繋ぎ、力を合わせ、覚悟を決める。
「行くよ蒼焔の盾を解除そして重力槍を七本発射」
言葉通りに炎と、そしてミリアリアの氷のバリアが消滅し、正面へと飛び出す二人。
「環境に応じたオーラ防御を展開。浄化の呪殺弾、準備します。」
最低限寒さを軽減するオーラを纏った明日香達。
明日香の背後に立ち込めるチタノヤタテが超重力槍を七本発射する。
征く手には天帝騎士団が阻んで来る。
天帝騎士団は幻想武装ごと、サイコキネシスの様に飛来し周囲を飛び回る超重力の槍によってへしゃげ、潰されていく。
だが肝心の天帝が見えない。
この五感を奪う吹雪の中で天帝の位置が分からない。
「戦法を少し変えましょう。明日香、私が前に出ます。」
呪殺弾、そしてユーベルコードをその手にセットしたミリアリアが、更に殺到してきた天帝騎士団に切迫する。
ご丁寧に再度来た騎士団の幻想武装には重力らしきものが渦巻いている。このまま槍だけを振るっていたら危なかった。
『万物の基(もとい)成す奇(くす)しき力よ 我が願いの前に位相を定めよ』
ミリアリアのレトロマジックが炸裂する。光の剣と魔法が騎士団の纏う超重力を避けながら、意志を持つかのように騎士団本体に命中していく。
今回込めた属性は【認識を僅かに歪める】属性。
命中した騎士団の身体の周囲が光に包まれると、その光が白き吹雪の認識を歪め、逆に正常な空間を映し出す。
「いたよあそこに天帝が。行こうミリア」
「ええ。明日香」
僅かな認識と空間の歪みの中で見えた天帝のシルエットを目指し、二人は最小限の動きで天帝騎士団の攻撃をいなし、突撃していった。
「そうか、来るか……。いつだって俺は、悲劇という理を自らの剣で破壊してきた。」
天帝、冬のアスタルシャの目が一瞬輝き、その剣に鈍い光をもたらす。
「抗ってみせるぞ、猟兵!」
アスタルシャは悲劇の星を詠んだ。
まずニクロムの七本の重力槍が全力で串刺しにせんと飛来する。
それをいなす。
すると更にミリアリアから呪殺弾が撃ち込まれる。
これもいなす。
しかしその弾は囮。大きな光で目くらましを起こし、態勢を崩した所でニクロムが温存している八本目の重力槍に貫かれて倒される。
というものだ。
アスタルシャは覚悟を決めた。
「其の真名を以て反抗せよチタノヤタテ」
明日香から放たれた七つの超重力槍が飛来する。
「七つ……!」
絶凍剣を力強く振るい、神殺しの凍気を放ち続ける。
超重力さえも凍てつき、命中すると思われた槍さえも氷に包まれ叩き落とされる。
「流石に防ぐね、でも体制が崩れた今だよミリア」
「浄化の呪殺弾!」
続いてミリアリアから呪殺弾が放たれる。
これに対し、アスタルシャは剣を収め、目を閉じた!
「…………」
その構えは東洋に伝わる居合のポーズを取っていた。
「征くぞ。俺はこの悲劇を乗り越えていく……!」
瞬間、一瞬で凍てつき切り裂かれる呪殺弾。
同時に迸る閃光の中、瞬間移動をしたかの様な速さでアスタルシャが迫る。
目を閉じ、間隔だけで先ずはこれから八つ目の重力槍を放つ明日香を槍ごと斬る。
次は返す刃で隣に感じるミリアリアを……!
「一つ!」
瞬間、神をも凍結する絶凍剣の一撃が明日香を、重力槍を、捉えた!
「……!?」
筈だった。
アスタルシャは目を開ける。そこに明日香はいない!
「予知を……超えてきたのか、猟兵!」
明日香は既に空に飛び、アスタルシャの真上に居た。
「私の魔法の呪殺弾に、二つの力を込めました。」
時間が鈍化する中、ミリアリアはアスタルシャに告げる。
「認識を僅かに歪める力、そして、星詠みの呪縛からの解放――」
「っ……!」
目を見開いたアスタルシャと同時に、ミリアリアは天に手を掲げる。
「明日香っ!」
残る魔力の全てを明日香の槍に放ち、超重力の槍に凄まじい光を巻き起こす。
「猟兵っ!」
それでも第六感、騎士としての全力を以て体勢を返し、落としてくる全力の重力槍を迎撃しようとする天帝。
「最後の重力槍を発射するよ」
冷淡の如き声と共に、魔力の込められた超重力槍がアスタルシャの脳天に投げ落とされた!
アスタルシャの剣は届く事無く。
その槍は脳天に貫通して、振りかざしにかかった姿の天帝にとどめが入る。
「…………無念
…………」
冬の雪が風に舞い散って過ぎ去るかの如く、アスタルシャは光となり、消滅していった。
「未来は予知できてもボク達の底力は読めなかったみたいだね」
吹雪が止み、主を倒した事により同様に散っていった天帝騎士団の中、明日香は一息をつく。
「私達のように貴方にも大切な仲間があったのでしょう。きっと待っていますよ。ね、明日香」
ミリアリアはそんな明日香を迎え入れるかのように、戦いの終わった戦場の中、手を取り合う。
「ありがとうミリアのおかげだよ」
「ええ、明日香も」
かくして、此処に天帝は倒される事となった。
今は少しの静けさの中、降り止む事の無き雪の大陸に、かすかな暖かき風と、光が。
成功
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