銀河帝国攻略戦㉒~蠎を狩る者たち
●
「ドクター・オロチの出現場所を予知した」
筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は端的に、まずそう伝えて。
グリモアで視た状況等を、集まった猟兵たちへと伝える。
「皆のおかげで、『アマルテア情報艦隊』『オロチウイルス突撃艇群』の無力化が成され、そしてドクター・オロチの乗艦であり研究施設でもある実験戦艦ガルベリオンを発見、砲撃することができた」
この砲撃により、ガルベリオンを航行不能に陥らせることには成功した。
だがガルベリオンは、たちまちその損傷を修復し始めたという。
その状況が意味すること、すなわちそれは――ドクター・オロチの生存。
「一般人がドクター・オロチに近づくのは危険だ。故に、『解放軍』は銀河皇帝直属の軍勢との決戦に集中して貰い、ドクター・オロチとの決戦は猟兵の皆にお願いしたい」
ドクター・オロチは常に1体しかいないが、その力が尽きるまで、骸の海から蘇る力をもっているという。
猟兵が勝利しドクター・オロチを『骸の海』に放逐したとしても、『ドクター・オロチ』はすぐに『骸の海』から蘇り、別の場所から再出撃してくるのだという。
だが、ここでドクター・オロチを撃破する事が出来れば、『スペースシップワールドでドクター・オロチが再び蘇る事は無い』ことが予知されている。
『骸の海』から出現するドクター・オロチを待ち伏せし、撃退して欲しい。
「ドクター・オロチが『骸の海』から出現する場所は、広大な実験戦艦ガルベリオン内の『多数ある実験施設の一つ』だ。その場所へは俺が皆を転送する。皆はその場所で待ち伏せし、現れたドクター・オロチ撃退をよろしく頼む」
その実験施設は何を実験していたのか分からないが、怪しげな無数の光が灯る装置が多数置かれている実験室。
だが広さは十分にあるため、戦闘には支障はないだろう。
「不気味な存在であるドクター・オロチだが。装備した水晶剣によって、自ら発明したと思われる奇妙な存在達を召喚する能力を持っている。かなりの強敵であり、油断すれば猟兵の精鋭であっても敗北する危険性も高い」
かなり危険な任務だが、引き受けてくれるか、と。
清史郎は険しい表情でもう一度、猟兵の皆に確認した後。
その返事を聞き――武運を祈る、と。
掌に、猟兵の皆を戦場へと導く、グリモアの桜を咲かせたのだった。
志稲愛海
志稲愛海です、よろしくお願いいたします。
ドクターオロチ撃退依頼をお届けいたします。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
この依頼は、難易度が高めの内容となっており、それ相応の判定を行います。
失敗判定が出る可能性も十分にありえます。
以下、特殊ルール等、しっかりご確認の上、ご参加ください。
●特殊ルール
ドクター・オロチは、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
●プレイング採用関して
通常の志稲の依頼に関しましては、ご参加くださった皆様のプレイングは極力全採用しておりますが。
戦争関連の依頼に関してはその限りではありません。
参加人数やプレイング内容次第で、不採用のプレイングも出るかと思います。
そのところや難易度をご理解の上、ご参加くださればと。
それでは、プレイングお待ちしております!
第1章 ボス戦
『ドクター・オロチ』
|
POW : ジャイアントカルシウム
自身の身長の2倍の【恨みの叫びをあげる骸骨巨人】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : カリスティックボディ
自身の肉体を【あらゆる生命体を溶解し取り込む緑の粘液】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : ビャウォヴィエジャの森のフェンリル
【水晶剣が変形した門から『フェンリル』】の霊を召喚する。これは【炎の体を持つ巨大狼で、爆発を呼ぶ咆哮】や【瞳から放たれる魔炎光線】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
戒道・蔵乃祐
月夜さん(f01605)と参加です
意味深ですね
広く世界を、恐らく猟兵以上の知識量で把握している
見識が少し羨ましくもあり。猟兵と決定的に違うのは、貴方は人々の生命溢れる世界に対して愛を全く持たない存在だということ
僕の血脈に流れる魂の絆が訴え掛ける。
情持たぬ悪意と欲望の権化にして、伽藍堂なる異形の者!!
即ちゴースト!骸の海に還りなさい!
◆
覚悟、勇気、激痛耐性、破魔で強化したフォースオーラを纏いオーラ防御
水晶剣にトレースした一撃を見切り、武器受け+怪力で骨棍棒は受け止める
達人の智慧。発動ッ…!
無能勝ビクトル投げ!!
関節を極めて破壊、2回攻撃+グラップル+投擲で掴んだジャイアントをオロチに投げ返します
月夜・玲
【f09466 戒道・蔵乃祐】
戒道さんと同行
スペースシップワールドでは…か
長い付き合いにはしたくないんだけどね
ともあれ、確実に1つ居場所をなくしてあげる
戒道さん、遠距離から牽制するからその隙にどうぞ!
●戦闘
『戦闘知識』『情報収集』『第六感』を駆使してオロチのユーベルコードの発動に備える
オロチが肉体を変え攻撃してきたら『オーラ防御』で攻撃を弾き敵攻撃を此方に引き付けつつ敵射程外へ退避
400mの此方の最大射程圏内まで離れ反撃を試みる
敵攻撃が収まり次第此方から反撃
【高速演算】の『2回攻撃』を行う
遠距離からの衝撃波で牽制しつつ、一撃を喰らわせるよ
さて、それじゃあ剣戟による遠距離戦といこうじゃないか
妖しい光の明滅。微かに鼻につく、薬品の匂い。
中身こそ入ってはいないが、並ぶ巨大カプセルには一体どんな実験体が入っていたのか、考えたくもない。
猟兵たちが転送された先は、そんないかにも曰く有り気な、広大な実験戦艦・ガルベリオン内の実験施設の一つ。
そして、息を潜め待ち受ける猟兵たちの前に予知通り現れたのは――ファンシーなクマのパーカーを着た、脳みそ顔のオブリビオン。
「ムシュ!? またいるの? しつこいな~」
このドクター・オロチは、一体『何回目』の個体なのだろうか。
撃退に成功し躯の海に放逐しても、何度でも躯の海から蘇り再出撃してくるという。
だがそれも……ドクター・オロチが力尽きるまでの話、だ。
「スペースシップワールドでは……か」
長い付き合いにはしたくないんだけどね、と。
そう呟くのは、探求心の赴くまま各世界を巡り、風のように気ままで、なかなかその姿を掴めない人物。
そんな月夜・玲(頂の探究者・f01605)の姿は今、実験戦艦・ガルベリオン内に在った。
「まっ、とにかく僕は「持ち帰らないと」いけないからね。そのためには、やられるわけにはいかないよ~」
猟兵たちにこれまで何度も待ち伏せをされ、激闘を繰り広げてきたのだろうか。
猟兵の姿を実験室内に確認しても、慌てる様子などなく。逆に、フシュシュシュと妖しく笑うドクター・オロチ。
「意味深ですね」
広く世界を、恐らく猟兵以上の知識量で把握している――戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は眼前不気味なオブリビオンを見据えて。
言葉の端々からそう分析し、その見識が少し羨ましくも思えるけれども。
決定的に、自分たち猟兵と違うところ。
それは……人々の生命溢れる世界に対して、愛を全く持たない存在だということ。
蔵乃祐の血脈に脈々と流れる、魂の絆。
その受け継がれし遺志が今、ドクター・オロチを前にして、訴え掛けるのだ。
「情持たぬ悪意と欲望の権化にして、伽藍堂なる異形の者!! 即ちゴースト! 骸の海に還りなさい!」
「ともあれ、確実に1つ居場所をなくしてあげる」
そして玲は、共に戦う蔵乃祐を支援するべく、遠距離から牽制し敵の隙を作らんと。
持てる技能を駆使し敵の技の発動に備えながら、再誕の為の詩を謳う一振りを身構えた。
――次の瞬間。
「!」
パーカーの下の脳みそがドロリと、緑の粘液へと変わる瞬間を察知する玲。
同時に、無邪気と悪意を纏った声が、実験室に響く。
「そ~れ、『カリスティックボディ』~!」
どのような攻撃が来るのか、その戦闘知識と情報収集により、大体は把握している。
玲は迫り来る緑のスライムに対抗するべく、その攻撃を弾かんと、防御力を宿すオーラをその身に纏う。
――だが。
「……っ!」
纏うオーラの効果で、死に直結するほどの傷は免れたものの。
じゅっという嫌な音と焦げるような匂いが生じると同時に、玲の脇腹から飛沫く、鮮烈な赤。
普段相手取る程度のオブリビオンであれば、纏うオーラで攻撃が弾けたかもしれない。
だが相手は明らかに格上、しかも銀河帝国の執政官兼科学技術総督という地位を与えられているほどの敵。
敵の攻撃手段は把握できていたが、その威力の見極めが、少し甘すぎた。
距離を取ることも叶わず、受けた衝撃の大きさに崩れ落ちる玲。
「月夜さん!」
「フシュシュシュ……よそ見してたら危ないよー、『ジャイアントカルシウム』~!」
刹那、倒れる玲を一瞬振り返った蔵乃祐へと襲い掛かるのは、恨みの叫びをあげる骸骨巨人。
ドクター・オロチが水晶剣を振り下ろすと同時に、骸骨巨人の握る刃が蔵乃祐へと唸りをあげて。
「くっ!!」
じゃらりと大連珠を鳴らし靡かせ、金剛の如き筋骨隆々の体躯に防御の気を纏い、その剣筋を見切って受け止める蔵乃祐。
だが金剛身の気をもってしても、何とか受け止めることで手一杯な重い衝撃。
「達人の智慧。発動ッ……!」
圧し掛かる激痛に耐えながらも、蔵乃祐はそう声を振り絞るも――しかし、守護明神は現れない。
相手の攻撃を暫く無効化にする守護明神を喚ぶ条件は、相手の攻撃の弱点を指摘し実際に実証してみせること。
それを指摘できていない状況では、相手の攻撃を封じることはできない。
そして。
「……!!」
格上の敵の刃を、そういつまでも受け止めることができずに。
妖しい輝きを放つ水晶剣の斬撃が、蔵乃祐の強靭な肉体を容赦なく斬り裂いたのだった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
鞍馬・景正
広さは十分にあり、敵は此方と同じ属性で攻めて来る……成る程、ならば一つ思案が浮かびました。
◆対策
骸骨巨人の召喚を確認すれば、まず攻撃を喰らわぬよう回避に専念。
動きを【見切り】ながら、反撃が出来ぬものと思わせて油断を誘えれば尚良し。
そうして徐々に後退し、巨人とオロチがなるべく一直線の位置になるよう誘導致す。
そして隙を見つけ、巨人の脇なり股下を前転なり滑走なりで潜り抜け、後はオロチ目掛けて突進するのみ。
あれがオロチの動きに追随するものなら、振り返らねばならぬだろうが……迫る敵を前に背中を晒せるか?
◆攻撃
上手くいけばそのまま接近し、切り捨ててくれましょう。
渾身の【怪力】で、その面に一刀を叩き込む。
予知通り現れたドクター・オロチの、何とも不気味で面妖なことか。
その異様な容姿とちぐはぐな恰好、そして仲間を圧倒し打ち倒すその強さを目の当たりにしながらも。
鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)は瑠璃の彩帯びる瞳で一度、ぐるりと妖しい光が明滅する戦場を見回して。
「広さは十分にあり、敵は此方と同じ属性で攻めて来る……」
――成る程、ならば、と。
ふと脳裏に降りてきた、或る一つの策を実行に移すべく。
誉れ高き刀鍛冶が打ったという剛健な打刀を構え、眼前の奇怪な敵を見据える。
それと同時に。
「フシュシュ! 『ジャイアントカルシウム』~!」
戦場へと召喚されし物の怪は、恨みの叫びをあげる骸骨巨人。
「!」
刹那、その巨大な体躯からは想像できぬほどの、目にも止まらぬ水晶剣の瞬撃が放たれるも。
紙一重で見切り、何とか地を蹴って後方へと飛ぶ景正。
「ジャイアントカルシウムくん、やっちゃって~!」
そんな躱すことで手一杯な様子の猟兵を追い詰めんと。
召喚主と同じ動きをし、骸骨巨人が巨大な水晶剣を振り上げた――次の瞬間。
「!?」
後退することしかできぬと思っていた猟兵の姿が一瞬、骸骨巨人の視界から消える。
景正が狙っていたのは――骸骨巨人とドクター・オロチが一直線の位置になる、その一瞬。
今こそ攻め手に回る時機、と。
これまで後ろに退いていた動きから一変、瞑色の髪を揺らし大きく地を蹴って。
大きな予備動作で隙が生じている骸骨巨人の脇を、一気にすり抜ける。
そしてすれ違い様、一瞬だけ巨人へと瞳を向け、思う。
(「これがオロチの動きに追随するものなら、振り返らねばならぬだろうが……迫る敵を前に背中を晒せるか?」)
そう、景正の狙いは、物の怪の召喚主のドクター・オロチ。
脇をすり抜けた自分をジャイアントカルシウムで攻撃するのならば、ドクター・オロチは景正に無防備な背中を向けなければならない。
蒼瞑の剣鬼と化した景正は、鞍馬の名にかけて。
眼前にまで迫った敵を斬るべく、ぐっと頑強な一振りを握る手に力を込める。
そして冴えた一閃を見舞わんと敵を見据えた……その時だった。
「わわ、急にきたらびっくりしちゃうでしょー!」
「!」
景正はドクター・オロチが取った次の行動に、思わず瑠璃を帯びたその瞳を見開く。
くるりと、何の躊躇も見せずに……ドクター・オロチは、景正にその背中をみせて。
「……がっ!!」
刹那、召喚主の水晶剣が振り下ろされると同時に。
振り返った骸骨巨人の刃の斬撃が、無防備な景正の背中を斬りつけたのだった。
敵に背中をみせているのはそう、景正の方であった。
むしろ倒すべき標的を挟んだ状況で、頭の回るドクター・オロチが、背をみせるのを戸惑うわけはない。
「フシュシュシュ……ちょっとびっくりしたけど、惜しかったねー」
崩れ落ちる景正へとそう言いながら。ドクター・オロチはそう、不気味に嗤う。
苦戦
🔵🔴🔴
三千院・操
科学技術総監、実験、脳みそ、ふーむ……なるほど……。
おれが思うに、おまえの実験は多くの犠牲の上で成り立っているものだと思うんだよねー。
何を「集めて」いるのかはしらないしどうでもいいけど、そのまま生きてると邪魔だから死んでもらうね。
『妨げる者』を使用してこの身を魔王に変えて応戦するよ。
先制攻撃は原罪の呪詛を使って防御!ドクター・オロチの実験体になって、今はもう骸の海に沈んだやつらの怨念を盾にしたいなー。
その後は黙示録の獣で攻撃をしかけるよ! 怨念はそのまま再利用! あいつの動きを鈍らせたり、UCの発動を邪魔したりできないかな?
できるだけ他の猟兵と共闘するよ! 黙示録の獣はたくさん呼べるからね!
ドクター・オロチの乗艦であり、研究施設でもあるという、実験戦艦ガルベリオン。
その実験施設のひとつに降り立った三千院・操(ネクロフォーミュラ・f12510)は。
「科学技術総監、実験、脳みそ、ふーむ……なるほど……」
いかにも曰く有り気で妖しい空気を醸し出す実験室内を見回して。
ファンシーなクマパーカーを纏う脳みそ顔の存在に、こう声を投げる。
「おれが思うに、おまえの実験は多くの犠牲の上で成り立っているものだと思うんだよねー」
死霊術士の家系に生を受け、天性の才能を宿す操には、感じ取るものがあるのだろう。
この戦艦が孕む……強烈な生と死の匂いを。
「フシュシュシュ、偉大な実験を成功させるには、多くの犠牲はつきものでしょ」
操の言葉を否定せず、ムシュシュと嗤うドクター・オロチ。
そんな脳みそ野郎に、操は無邪気と残虐さが混在する赤の視線を向けて。
「何を「集めて」いるのかはしらないしどうでもいいけど、そのまま生きてると邪魔だから死んでもらうね」
そう、さらに血の如きその色に、嗜虐的な彩りを混ぜ合わせる。
「死ぬのはどっちかなぁ? おいで『フェンリル』~!」
その声を同時に、変形した水晶剣が門と化して。
解き放たれた門から姿を現したのは、ビャウォヴィエジャの森の魔獣。
刹那、炎の魔狼・フェンリルが、爆発を呼ぶ咆哮を上げんと天を仰ぐも。
「――おまえ、邪魔だな」
そう紡ぐと同時に――操は哮る魔狼の衝撃に備え、その姿を一瞬にして変えた。
それはまるで……世界を飲み込まんとする闇すら統べ平伏させる、邪悪な神格の化身。
同時に、フェンリルの咆哮が戦場を大きく揺るがして。
自らの命を代償とするかわり魔王と化した操は、原罪の呪詛を成し、爆ぜる衝撃へとぶつけた。
それは……ドクター・オロチの実験体となり今はもう骸の海に沈んだ、無数の怨念たち。
ドクター・オロチのこれまでの所業を考えれば、そんな怨念の数や強さはかなりのものであるだろう。
だが、ドクター・オロチは、かなりの強敵。
「!」
全て相殺というわけにはいかず、操の鍛え上げられた肉体に赤の色が飛沫く。
しかしその咆哮の爆発は、元より魔王の力によって軽減され、呪詛によってある程度防がれたもの。
むしろ、その鮮烈に流れる血の色に刺激されたかのように。
恍惚とした嗜虐的な瞳をドクター・オロチへと向けた操は、地獄より喚んだ獣を解き放って。
「……そろそろ、死んどく?」
炎の魔獣を逆に喰い千切らんと、鋭い牙を剥かせた。
「わわっ!」
そんな黙示録の獣による操の反撃に、咄嗟に動きをみせたドクター・オロチであったが。
その反応を僅かに鈍らせたのは……彼に向けられる、数多の深い怨念。
「ぐ、うっ!」
刹那、黙示録の獣の牙がドクター・オロチの脇腹を掠り、喰い千切って。
操は他の猟兵と協力し合い眼前の敵を倒すべく、さらに地獄から黙示録の獣を喚ぶのだった。
成功
🔵🔵🔴
ヴァーリャ・スネシュコヴァ
デカブツはその分的もデカい、そこを利用させてもらうぞ!
攻撃のタイミングは【第六感】で察知。
【属性攻撃】により床を凍らせながら【ダッシュ】で勢いをつけ滑り、そのままの勢いで攻撃の隙間を【スライディング】で潜り抜ける!
ガラ空きの場所を【第六感】で見極め、そこに【先制攻撃】+『死神の鎖』!相手が次の攻撃へ移る前に、鎌を投擲し命中させる!できれば高い所!
互いが鎖で繋がった瞬間、【ジャンプ】と同時に鎖を縮ませ、鎖に掴まってぶら下がりながら巨人の周囲を回転。遠心力でぐるぐると骸骨巨人に鎖を巻きつけ…ガッチリと雁字搦めになった巨人を鎖で引っ張り、素早くオロチに叩きつける!
悪趣味な機械のお礼だ、食らえゲス!
「ボクを食べても、きっと美味しくないと思うんだけど……」
抉られた脇腹の肉をぺたりとくっつけつつ、ぶつぶつとぼやくドクター・オロチ。
その口調は相変わらず緊張感がないが……仲間が抉った傷から滴る血をみれば、全く平気というわけではなさそうだ。
強敵だが、何とかこのまま衝撃を重ねていって。その存在を、躯の海へと放逐したいところだ。
そう猟兵たちが身構える中――ドクター・オロチは、再び戦場に恨みの叫びをあげる巨大な怪物を喚び出す。
「そーれ、『ジャイアントカルシウム』~!」
その巨体を菫咲く色の瞳で見上げるのは、ヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)。
そして振るわれた巨大な水晶剣の斬撃は、普通に避けようと思っても難しい速度と勢いを誇るけれども。
ヴァーリャはそれ以上のスピードを駆使し、振り下ろされた一閃を躱した。
そんな彼女の足元に煌めくその彩は――凍てついた青白。
氷の属性をもって凍らせた床は、まるでスケートリンク。
失くした記憶を取り戻す為に猟兵となったヴァーリャが忘れなかった、高度なスケートの技術。
その技を余すところなく発揮し、躊躇することなく氷上を滑りゆき……ぐんっと、さらに風を味方にするように加速して。
ジャイアントカルシウムの追撃も振り切り、勢いよくスライディング!
「ちょこまかと、目障りだなぁ!」
ドクター・オロチは、翻弄するように戦場を舞い滑るヴァーリャへと、水晶剣を再び繰り出すも。
「逃げられると思わない方がいいぞ!」
大きな骸骨のモーションを見切り、紙一重で素早く斬撃を躱したヴァーリャは、骸骨巨人へとすかさず氷の力で作り上げた鎌を放つ。
「デカブツはその分的もデカい、そこを利用させてもらうぞ!」
刹那、的の大きな敵の高い位置へと狙い投じられた刃がその巨体に突き刺さり、大きく爆ぜて。
ガッチリと、骸骨巨人と強固な氷の鎌が繋がれば。
氷の力を借り弾みをつけ空高く飛び上がったヴァーリャは、縮ませた鎖に掴まりぶら下がりながら、巨人の周囲を回転して。
遠心力も加わり、あっという間に骸骨巨人の身体をぐるぐる巻きに。
そんな氷の鎌の鎖を引きちぎらんと、ドクター・オロチはその身体に力を入れんとするも。
ドクターオロチの頭上を突如覆うのは――骸骨巨人の大きな影。
ヴァーリャはぐるぐる巻きにした骸骨巨人と繋がった鎖を、渾身の力でぐいっと引っ張って。
「えっ!? 何……わぁっ!」
「悪趣味な機械のお礼だ、食らえゲス!」
瞬間、生じるのは、戦場を揺るがすほどの大きな地鳴り。
ドクター・オロチ目掛け――思いきりヴァーリャは、骸骨巨人の巨体を叩きつけたのだった。
成功
🔵🔵🔴
春日・釉乃
【POW】チーム【素戔嗚】
ドクター・オロチ、あなたの非道極まりない実験を許す訳には!
あの巨人、ドクター・オロチの動きを真似ている?
僅かでもタイムラグがあるなら食い止められるかも
まずは[コミュ力]で仲間を統率して半径5m以内へ集め
左目の魔眼を完全解放し【ラプラスの瞳】を最大限まで発動
[第六感]を駆使してオロチと骸骨巨人の動きからこちらに迫る殺気をサーチして
猟兵に攻撃が当たる前に[早業]と[先制攻撃]で攻撃が命中するという因果を書き換えて軌道を逸らすよ
全力の現在改変で骸骨巨人の強烈な攻撃に立ち向かうから、あたしは動けない
けど囮になって皆を守護すればきっと背中にいる仲間が反攻してくれると信じてるから
羽馬・正純
【POW】【素戔嗚】
転送後はユノさん(f00006)の防御範囲内に入りつつウォータンクさん(f07586)に合わせる形で<一斉発射>の<援護射撃>を行って攻撃の勢いを削ぐことを試みるよ、
恨みの叫びなんて<吹き飛ばし>てしまえるくらいのノイズになってくれればそれでいい…!
初撃をしのいだら【フルバースト・マキシマム】でオロチと巨人の両方を狙うよ、距離によっては防御範囲から抜けて近づく必要があるけど…
狙いは本体と本体の動きをトレースする巨人両方を攻撃することで対応に隙を生じさせること、
僕がその一瞬を作る<覚悟>ならできてる、
オロチへの本命はウォータンクさんとニューフィールドさん(f00274)だ!
グルクトゥラ・ウォータンク
【POW】チーム【素戔嗚】
来いよ臆病者、ウイルスなんて捨ててかかってこい!
という安い挑発は置いておいて、今回はチーム戦じゃ。ボールズを事前に【罠使い】【メカニック】で強力な閃光弾に改造、プログラムして転送にジャスト合わせで発光、目眩ましの【先制攻撃】。これで一瞬でも時間を稼ぎ春日の嬢ちゃんのUC発動をサポート。防御成功し相手の動きが止まったなら反撃のチャンスじゃ。【攻性電脳妖精多重召喚】!拡張オプション「LOVEサンダー」を搭載した高速飛行する電脳妖精達が骸骨巨人を避けてオロチを直接狙うぞい!自律行動も出来るから例えわしが倒れようと止まらんぞ!ピラニアに集られた冬のナマズのように死ねぃ!
アオイ・ニューフィールド
【素戔嗚】で参加
戦争にもルールが必要だ。やりたければ軍人だけでやれ、死ぬなら軍人だけが死ね。基礎教育すら終えておらん将校共との戦争か。これだから過去の遺物は…
【象撃ち銃】を引きずり春日(f00006)の背後へ
巨人からの防御の一切を任せ、動きをトレースしている大本、オロチへと銃口を向ける
骸骨巨人を用いて我々を攻撃すれば、オロチ本人にも隙が生まれる
そこに羽馬(f02626)とウォータンク(f07586)が作ってくれた隙に『ただの一撃』を打ち込んでいく
【スナイパー】の力を使い、オロチの足止めをする二人への【援護射撃】
弾幕の中に潜む、確実に敵を削る一撃だ
二人の攻撃を掻い潜り逃げられるものなら逃げてみろ
「うぐ、もう……いくら何度でも蘇れるって言っても、痛いなぁー!」
先攻した猟兵達の攻撃をその身に浴び、思わずよろめくドクター・オロチ。
躯の海に放逐したとしても、何度でも蘇るのかもしれないけれど。
何度でも蘇るのならば……力尽きるまで、倒すだけ。
そのために必要な一歩は、眼前のドクター・オロチを、まずは撃破すること。
「ドクター・オロチ、あなたの非道極まりない実験を許す訳には!」
そう声を上げるのは、春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)。
彼女のその瞳に宿る輝きは、見た目以上に勝気な強い意思。
そんな釉乃の背後へと位置取るべく、ソリ付きの大きな対戦車ライフルを引き摺るのは、小柄で幼い少女。
だが……幼いのは、その見目だけ。
戦争にもルールが必要だ。やりたければ軍人だけでやれ、死ぬなら軍人だけが死ね、と。
「基礎教育すら終えておらん将校共との戦争か。これだから過去の遺物は……」
アオイ・ニューフィールド(象打ちサイボーグ・f00274)はそう、小さく嘆息するも。
華奢な体躯に一見見合わぬ得物を扱うその様は、数多くの死線を潜ってきたに違いない歴戦の手練れの動きである。
そして、敵を待ち伏せするという今回の作戦上、ボールズによる閃光弾の目眩ましこそ使用は叶わなかったが。
「来いよ臆病者、ウイルスなんて捨ててかかってこい!」
安い挑発だとは我ながら思いつつも。釉乃のサポートをするべく位置取るのは、グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)。
ムシュシュと不気味に嗤う敵のその姿はグロテスクであり、滑稽でもあるが。
銀河帝国の執政官兼科学技術総督という地位に在るような、明らかに格上の相手。
そんな敵を相手取り、ひとりで立ち向かうのは難しいかもしれない。
だが、各人の能力を活かしたチーム戦ならば、勝機も十分にあるはずだと。
グルクトゥラは共に挑む仲間と視線を合わせ、頷いて。
「ムシュ!! ボクが臆病者だって? あいつら潰してよ、『ジャイアントカルシウム』~!」
グルクトゥラ曰くな安い挑発に乗るように、ぷんすか骸骨巨人を戦場へと喚ぶドクター・オロチ。
そして喚ばれた骸骨が、主と全く同じようにぷんすか動いている様を見て。
「あの巨人、ドクター・オロチの動きを真似ている?」
釉乃はふと思考を巡らせる――僅かでもタイムラグがあるなら食い止められるかも、と。
そんなタイムラグを少しでも作らんと、振り上げられた巨大な水晶剣の威力を少しでも削ぐべく。
グルクトゥラとタイミングを合わせ、羽馬・正純(雷刃の代行者・f02626)の腕部の砲台『トールハンマー』の一斉射撃が、骸骨へと撃ち出される。
恨みの叫びなんて吹き飛ばしてしまえるくらいのノイズになってくれればそれでいい……! と。
しかし敵は、格上の相手が召喚した骸骨の化け物。
骸骨巨人は一斉に撃ち出される銃弾をもろともせず、猟兵たち目掛け、容赦なく水晶剣を振り下ろす!
だが……その時だった。
――みんなを守護るためなら、あたしはこの瞳を受け入れる!
ブラウンを帯びていたはずの釉乃の左目が刹那、その色を変える。
魔眼が完全解放された瞬間、最大限まで発動するのは――『ラプラスの瞳』。
その左目の彩りは、自身のフィールド内の、世界記憶の概念すら塗り替える色。
チームを組む仲間皆を事前にその範囲内におさめていた釉乃は、早業をもって骸骨巨人による先制攻撃を仕掛けられるというその因果を、すかさず書き換えて。
猟兵たちに直撃するはずだった斬撃の軌道を逸らしたのだった。
「……ムシュ!?」
ドクター・オロチは思いがけず躱された刃に、そう声を上げるも。
二撃、三撃、四撃と……猟兵の人数分、骸骨巨人に強烈な巨大水晶剣の刃を振り下ろさせるけれど。
全力の現在改変が行われているラプラスの瞳の範囲内にいる限り、猟兵たちにそれは届かない。
範囲内でさえあれば、意のままに因果律を操れるけれど。その代償として、自身は全く動くことが出来ない釉乃。
だが……今回は、自分は動く必要はない。
自分が成すべきは、強烈な攻撃に立ち向かい、皆を護るべく全力で現在改変を行うことだと。
仲間が反攻してくれると信じながら、その役割を全力で担う釉乃。
一見無敵にみえるこの『ラプラスの瞳』も、実は決して万能ではない。
相手は自分たちが行う攻撃と同じ属性の攻撃を仕掛けてくるという、グリモアからもたらされた事前情報。
その情報を疎かにし、もし各人が別々の能力を使わんとしたのならば……どの攻撃が飛んでくるか分からない状態となり、書き換えるべき因果律を定められなかっただろう。
相手の攻撃を骸骨巨人に絞るべく能力属性を合わせた選択が、『ラプラスの瞳』の力を最大限有効にした一因である。
そして、骸骨巨人による巨大水晶剣の初撃を食い止めた猟兵たちは――攻勢へと、一気に転じる。
『ラプラスの瞳』の範囲からは抜けないといけないけれども。
その覚悟は、正純にはできている。
「!!」
大きく地を蹴り、本体のドクター・オロチと骸骨巨人、そのどちらも巻き込むように。
その対応にあたるだろう敵の隙を作らんと。敵の只中へと飛び込んだ正純の、全武装の一斉発射が撃ち出されて。
水晶剣で辛うじてそれを弾き返し、カウンターを見舞わんと。
正純へと刃を向けたドクター・オロチであったが。
「……な!?」
その刃を的確に弾き飛ばしたのは、波打つ金の長髪を靡かせ、狙い澄まし撃ち出されたアオイの援護射撃。
「弾幕の中に潜む、確実に敵を削る一撃だ」
二人の攻撃を掻い潜り逃げられるものなら逃げてみろ、と。
そう続けられたアオイの言葉通り、オロチの足止めをするのは正純だけではない。
ドクター・オロチ本体に電撃を浴びせんと戦場を飛ぶのは――グルクトゥラが召喚した、攻性電脳妖精たち。
さらに、電脳妖精拡張オプション『LOVEサンダー』も搭載して。
骸骨巨人の存在を素通りし、ガッツリ上げた電圧で、敵を焼き鳥ならぬ焼きオブリビオンにせんと。
「ピラニアに集られた冬のナマズのように死ねぃ!」
高速飛行する電脳妖精たち全てを、ドクター・オロチ本体へと向かわせるグルクトゥラ。
「くっ!」
ドクター・オロチはそんなグルクトゥラと正純の猛攻に、握る水晶剣で対抗しようとするも。
本命は……そんな敵をずっとつけ狙っている、対戦車ライフルの銃口。
――敵とは、所詮ただの的。
ドクター・オロチに生じた極僅かな隙を決して見逃さず、アオイは迷いなくその引き金を引いた。
それは、『ただの一撃』。
何物をも砕く、対物銃のなんでもないレーザー光の銃弾。
「……っ!」
そして、遠距離から寸分違わず放たれ撃ち込まれていくそんな銃弾が。
ドクター・オロチの脳みそ顔を、容赦なく吹き飛ばしていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
アール・ダファディル
身なりの一部にクマを模しているのが気に入らん
抗議に一糸交えに往くとしよう
まるでおもちゃのスライムだな
医伯は無機質な糸も食むかね?
伸縮性と弾力を逆手に取るか
粘液を分断させるよう、
強固な糸たちを上下左右幾重にも無造作に張る
見難い糸に弾む衝撃で攻撃の軌道を逸らし、
粘液の直撃を逃れるよう立ち動く
……やれ、心太のように切れはしないか
要となる糸を絶えず張り直し、
四方八方に糸揺らせては【先見の繰糸】で回避を図る
敵方らの攻撃阻害を目論む『的』であり続けよう
挑発に融け捨てた糸でも使い敵を盾にでもしてみせようか
俺もこの行動も凡ては囮
反撃は的の最中に忍ばせた≪彼女≫…Echoに任せよう
ぬいぐるみの無邪気を舐めるなよ
「もうー! 顔が吹き飛んだんだけど~!」
そう銃弾に吹き飛ばされた脳みそを集めてはぺたりとくっつける、ドクター・オロチ。
そんな敵はとても不気味だが、猟兵の攻撃を受け続け、満身創痍であるのがわかる。
ここでたたみかけてトドメをと、そうも勿論思うのだけれど。
アール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)にとって、そんな眼前の敵の何が一番いけ好かないかといえば。
「身なりの一部にクマを模しているのが気に入らん」
「フシュシュシュ、クマさんお揃いだねー」
ドクター・オロチは、アールの指先に合わせ踊る『Earl』を見て、愉快そうにそう嗤うけれど。
「でもクマさんは、ボクだけでいいから……そーれ、『カリスティックボディ』~!」
瞬間、不気味な容姿がさらにぐにゃりとグロテスクに歪み、緑の粘液と化して。
あらゆる生命体を溶解し取り込まんと、伸縮自在に伸びる粘液を、アール目掛け解き放つ。
そんな粘液の迫りくる速度と勢いは、予想以上のもの。
だが刹那、戦場に張り巡らされたのは――琥珀の閃きを秘める、繰糸の陣。
「医伯は無機質な糸も食むかね?」
……やれ、心太のように切れはしないか、と。
伸縮性と弾力を逆手に取るか、若しくは粘液を分断できぬかと。
上下左右、強固な糸たちを幾重にも紡がんと、巧みに指先を動かしていくアール。
その高い弾力性故に、紡ぎ成された琥珀の糸を前に、ぽよんっと一度は弾かれ軌道を逸らされた粘液だったが。
相手はただの無機質なスライムではなく、頭の回るドクター・オロチ。
今度はその伸縮性を駆使し、張り巡らされた陣を突破せんと、形態を変えてくる。
アールが繰り出し重ねる糸の速度よりも、ドクター・オロチの粘液の速さと勢いの方が断然上。
そう……まさに、細く切られた心太が、天突き器からぐにゃりと出てくるかのように。
「!」
極めて細く伸びた粘液が僅かな糸と糸の間隙を掻い潜り、紡いだ陣を突破して。
アールを溶解し取り込まんと、眼前まで迫る。
だが……アールが張り巡らせている琥珀の閃きは、ただ襲い来る粘液を防ぐだけのものではない。
――操るはモノだけで無いと知れ。
鋼糸から指先へと伝わるその振動を頼りに。
アールは、カリスティックボディの脅威からすかさず身を翻し、躱して。
反撃の一手を任せるのは――最中に忍ばせておいた≪彼女≫。
大きなリボンを揺らしながら戦場を踊る『Echo』。
「ぬいぐるみの無邪気を舐めるなよ」
刹那、Echoが放った一撃が、敵の身をモロに貫いて。
「わあっ!! いったーい……!」
でも何度も蘇れるし! と、そう最期に捨て台詞を残した後。
噴き出す赤に塗れながら――ドクター・オロチは再び、躯の海へと放逐されたのだった。
成功
🔵🔵🔴