アルカディア争奪戦⑨〜グッド・ガール&バッド・イート
●よいこのにっきちょう~なまえ:エーコ
「9月××日」
今日はみんなから「明日からあなたも勇士です」と言われました。
勇士ってあの勇士ですか? と聞いたらみんながわらっていました。
私もねんがんの勇士になれるとわくわくが止まりませんでした。その日のおひるねはどきどきしていてねむれなかったのをおぼえています。
ああ、あのあこがれの勇士になれる私はおもたいつるぎだってふるし、つよいドラゴンにだってまけません。
だってスーパーよいこランドでうまれてそだったスーパーよいこの私です。
まけるはずがありません。
明日はみんながしゅっぱつの日だからと言っておいわいのパーティーをしてくれるそうです。
おいしいお肉。あまーいフルーツに、スイーツ。どんなものが出るか今からわくわくしています。
――ああでもかてる気がしないものが私にもあります。だれにも言ってない。ひみつが。
●よいこのきょうてき
「皆さんに苦手なものってあります?」
帽子のつばを上げながら、琴平・琴子(まえむきのあし・f27172)は真っ直ぐ前を見据えた。
「ブルーアルカディアが戦禍の中、今正に勇士として旅立とうとする方がいらっしゃるのですが……どうにも、お祝いのパーティーで出された物を食べ切らないと旅立てない様で」
スーパーよいこランド。スーパーよいこが育ったこの国では、よいこはお残しをしたらいけない、そう分かっているのに食べられないものがあるらしい。
「誰しも苦手なものはあると思うんです。――そう、例えばお野菜とか」
割と苦手な人もいる様な気もしますと呟いた琴子は目を細めてふう、と小さな溜息を吐く。苦手なのは理解できるのだけれども、それを避けてばかりではどうにもならない。
「きのこだけは食べられるそうなんですけれども、苦みのあるものが苦手らしくて。皆さんにどうにか応援して頂ければ、と思いまして」
何か食べられるものを作って食べさせたり、応援して食べさせることはできないでしょうかと琴子は悩む。自身も子供ながらに野菜が苦手なのは分かってしまうようだった。
「博識な皆さんなら何か知っているかと思いまして。ひとりのレディが飛び立つためにもご協力をお願い致します」
琴子の両掌の上、新緑の木の葉がくるりと回って猟兵達を導いていく。
さけもり
さけもりです。キャベツが好きです。
此方のシナリオには断章の追加はありません。
プレイングの受付はオープニング公開直後から物理的に締まるまでを予定しております。
スーパーよいこランドから勇士になる予定のレディこと、6歳の少女の名前はエーコです。
エーコはきのこ以外のお野菜が苦手で、特に苦い野菜が駄目な様です。
よいこなのでただ応援するだけでも食べると思いますが、できたら美味しいものを食べさせてあげてください。
又、壮行会にはお肉、お野菜、フルーツ、デザート、ジュースなどの食事は出ているようです。
尚、此方のシナリオには下記のプレイングボーナスがつきます。
プレイングボーナス:よいこが勇士になれるよう応援する。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『魔獣肉で、パーティー!』
|
POW : 兎にも角にも、沢山肉を焼いて食べる!
SPD : アルコール入りの飲み物が止まらない!(未成年は普通の飲み物)
WIZ : 遠慮するな。ご飯やパンに野菜も食え!
|
尖晶・十紀
野菜の苦味を感じさせないようにするには……細かく刻んで肉に混ぜ込んでしまうのが一番。例えば、餃子とかハンバーグとか。駄目押しとばかりに濃いめのソースで味つけすれば食べても分からないはず
兎に角野菜を食べたという自信をつけさせよう
慣れてきたらピーマンの肉詰め、肉野菜炒め(お肉多め)といった感じでレベルアップしていく。
野菜単体じゃなくて、別のものと一緒に食べるのもコツだね
ね?結構いけるでしょ?
アドリブ絡み歓迎
●よいこのごはんの時間
焼いたピーマンは火を通して時間が経って苦みが増して、サラダに添えられたパプリカはドレッシングが掛かっておらず。ニンジンは硬くて苦い部分でどれもがエーコの目の前にある皿の上に残っていた。
その事に気付いた尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)はどうしたら食べ終えられるのかと考える。野菜の苦みを感じさせないようにするには……。
「細かく刻んで肉に混ぜ込んでしまうのが一番。エーコ、ハンバーグは好き? 餃子も食べられるかな?」
「え、えぇ……。辛くないのなら、食べれます」
「じゃあ辛くないソースで食べてみよう」
テーブルの上に置かれたまな板とペティナイフを借りて、十紀は残された野菜たちを細かく刻んでゆく。ピーマン、パプリカは刻んでひき肉と一緒に混ぜ、デミグラスのマグマの中に入れて煮立てて。ニンジンはお砂糖とお水を被せて煮込んでしまえば……。
「こんなハンバーグはどうかな」
「煮込みハンバーグ!? わあ……! これならお野菜を食べられそう……!」
ゆっくりとナイフを刺し込み、じゅわっと溢れる肉汁に瞳を輝かせてエーコはハンバーグに手を伸ばし、頬張って行く。その傍ら、十紀は彼女に野菜を食べたという自信をつけられたと確信しながら残ったハンバーグの種を半分に切ったピーマンに詰めたものを焼き、魔獣の獣肉と切った野菜を炒めていた。
「野菜は慣れてきた? じゃあ今度はこれ」
「お、お野菜が多い……」
「でもお肉と一緒だからきっと美味しいよ。それにさっきだって野菜を食べれてたから今度も食べられる筈だよ」
温かいものは舌が火傷しない程度に、冷めない内に。それはきっとよいことであるし、よいこの行い。
「さ、食べてごらん」
無表情のまま皿を差し出した十紀の方を不安気に見つめるけれども、エーコは唇を噛み締めて手に持ったフォークをピーマンの肉詰めに突き刺して、頬張る。じゅわり、口の中に広がって行く肉汁。ピーマンは確かに苦いけれども、余ったデミグラスソースを付けてしまえば何てことなくて……むしろ美味しいのかも、と目を丸くさせる。十紀はその顔を覗き込んで首を傾け、彼女に尋ねた。
「ね? 結構いけるでしょ?」
「いける、かも……」
これからは少し食べられるようになったのかもしれない。黙々と食べているエーコに、十紀は頬杖をつきながらそれを見守っていた。
大成功
🔵🔵🔵
山立・亨次
猟理師としては見過ごせねえ事案だな
6歳の相手は流石にしたことねえが、何とかなるだろ(妙なとこ楽天的)
お前、エーコっつったか
好きな動物いるか?
(回答聞いて)成程な
(厨房借りて、回答通りの動物を象った人参、玉葱、そして嫌い筆頭であろうピーマン入りのハンバーグを
シルバーレインにいない魔獣などの生物の場合詳細を村人に聞く)
よし、出来たぞ
(野菜入れてることは伏せるが、何かを察して手が動かない場合)
これ使うか?(ソースとケチャップを渡し)
いつか良さが解る日は来るし
何も今すぐ克服出来なくたっていいが
そうも言ってられねえ時もある
そんな時は、自分の得意や出来るものに変えちまえばいいんだ
頭使うことも大事だからな
●よいこのためのねことフェザーラビット
「猟理師としては見過ごせねえ事案だな」
真っ白の皿の上、避けられた彩り豊かな野菜たちを見て山立・亨次(人間の猟理師・f37635)にとっては一大事であった。猟師であり漁師、そして猟理師である亨次にとっては食材は敬意を持って扱い、そして感謝をしながら頂くもの。残すという行為は最も無縁であり、尚且つ可能であればそれを無くしたいもの。
相手は6歳。その年頃の相手を亨次は流石にした事はないけれども、何とかなるだろうと妙なところで楽天的に考えながら袖を捲る。
「お前、エーコっつったか」
「はい……」
亨次は座っているエーコに視線を合わせる様にしゃがんで問う。
「好きな動物いるか?」
「ネコも好きだし、ウサギも好き……あっ、召喚獣のフェザーラビットのほうね!」
「成程な」
ゆっくりと頷いた亨次は自前のまな板、包丁をバックパックから取り出して、テーブルの上で細かく刻んだ人参、玉葱、ピーマンをボウルの中へと入れ、そこに挽き肉も入れて捏ねていく。
ネコは分かる。自身の住まうシルバーレインにも存在していた。けれどもフェザーラビットとは何だろうか。フェザーとウサギ? 羽の生えたウサギ? 挽き肉を捏ねながら村人たちに尋ねると羽の生えたウサギですよと言われ、ほう、と亨次は呟いた。自前のフライパンに食用油を引いて、じゅうじゅうと焼き上げ、エーコの前に差し出す。
「よし、出来たぞ」
子供でも食べやすいようにネコの形を模した小さなハンバーグ。隣には羽を生やしたウサギの小さなハンバーグ。お皿に並んだ二匹にエーコの瞳は輝いてわあ……! と喜んでいた。けれども、ハンバーグの表面から少しだけ見える明るい色にエーコの手は伸びない。どうした、と呟く亨次は理解した。どんなに伏せていても、苦手な物が隠されていることを嫌いなものであれば勘の鋭い、未発達ながらに味覚と嗅覚が鋭い子供というのは理解してしまう事に。
「……これ使うか?」
「お髭とか、描いてもいいですか……?」
「勿論」
亨次の手から差し出されたソースとケチャップでエーコはハンバーグというキャンバスに描いて行く。猫の模様、髭。フェザーラビットの羽にはハートに星柄。
頂きます、と手を合わせてからハンバーグを頬張るエーコに亨次は呟く。
「いつか良さが解る日は来るし、何も今すぐ克服出来なくたっていいがそうも言ってられねえ時もある。そんな時は、自分の得意や出来るものに変えちまえばいいんだ」
頭を使うことも大事だからな。そう言う亨次はとんとん、と人差し指で自身の頭を軽く叩いていた。
大成功
🔵🔵🔵
籠野・つぼみ
苦い野菜が特に苦手なの? それなら苦くないように調理をしましょうか。
下処理をするだけでも苦味が減る野菜はあるし、じっくり時間をかけて煮込むと甘くなるわ。
煮込むときは蓋を開けてね。じっくりことこと煮込みましょう。
エーコさん。野菜のスープを作るけれど、それでもいいですか?
ふふ。誰かのために料理をするって、何だか楽しいわ。懐かしくて、ちょっと苦くて、でも、ええ、好きだわ。
はい、おまたせしました。あなたが好きだといいのですけれど……。
あなたが素敵な勇士になれるように応援しているわ。食べるのも、これからも、頑張ってくださいね。
●よいこのためのごちそうさま
「苦い野菜が特に苦手なの?」
テーブルの上、自分の皿の上に並べられるであろうピーマンを避けようとしていたエーコはその一言にぎくり、と体を強張らせた。
子供の内には誰にだってよくあることだとは思っていた籠野・つぼみ(いつか花開く・f34063)はごめんなさいね、とエーコに言いながら首を横に振るい、避けようとしていた野菜をじいっと見つめる。艶やかな緑のピーマン。硬くて食べにくそうな橙色の人参。
「こんなの、よいこのすることじゃないですよね……ましてや野菜を食べられないなんて」
「下処理をするだけでも苦みが減る野菜はあるし、じっくり時間をかけて煮込むと甘くなるわ」
ちょっと借りるわね。そう言いながらつぼみは手にしたペティナイフでピーマンの繊維を断ち切らぬよう、縦に切って、中の種は取り除いてあげた。人参は味が沁みやすいようにできるだけ薄く。お鍋の中にぽとぽと静かに落としたのなら火を入れる。
「煮込むときは蓋を開けてね。じっくりことこと煮込みましょう」
「これだけでいいの……?」
背伸びをしてエーコは恐る恐る鍋の中を覗き込んだ。お湯の中でくるり野菜たちのダンスを不思議そうに見てからつぼみの方を見れば、ええと微笑みが返ってくる。
「エーコさん。野菜のスープを作るけれど、それでもいいですか?」
食べられるか自信は無い。けれども、此処で食べ切らなければよいこの名が廃る。
「食べます!」
はっきりとした返事につぼみはゆっくりと頷いて、更に野菜を切って入れていった。キャベツにブロッコリー、じゃがいも、玉葱。あとは色合いが足りないとベーコンも入れて、コンソメを少々散らし、木べらでぐるりと掻き回せば。
「ふふ。誰かのために料理をするって、何だか楽しいわ」
懐かしくて、ちょっと苦くて、でも。
「お姉さん、私のためにお料理するの、楽しい?」
「ええ、好きだわ」
それが誰かにとって喜んでもらえる料理ならば尚更。
「はい、おまたせしました。あなたが好きだといいのですけれど……」
真っ白のスープ皿にはコンソメの海が広がり、彩り豊かな野菜とベーコンが柔らかく煮込まれていた。
「いただきます!」
「熱いから気を付けてくださいね」
ふうふう。スプーンで一匙掬って、冷ましてから口の中に広がって行く柔らかく煮込まれた野菜は甘くなっており、ベーコンとコンソメの塩気で飽きずに食べ進められていた。
「美味しい!」
「あなたが素敵な勇士になれるように応援しているわ。食べるのも、これからも、頑張ってくださいね」
――此れからは野菜よりも強敵に出会う事があるだろうから。今はただ、よいこの旅立ちをつぼみは見守っていた。
●よいこのにっきちょう~なまえ:エーコ~
「9月××日」
今日はりょうへいのおにいさんおねえさんたちににがてなやさいをいっしょにたいじしてもらいました。
ピーマンにハンバーグがつまったやつも、ネコとフェザーラビットのハンバーグも、やさいのスープもとってもおいしかったです!
今日はたびだって1日目で、これからたいへんなことがいっぱいあるかもしれないけれども。
あのおねえさんやおにいさんたちのように、私はもっとつよく、ゆうかんなる勇士に、なりたいです。
大成功
🔵🔵🔵