アルカディア争奪戦⑤〜Right of Knight
「皆、『アルカディアの玉座』を巡る戦いへの参戦、改めて感謝する」
グリモア猟兵、シュタルク・ゴットフリート(不滅なる鋼鉄の咆哮・f33990)は、集った猟兵達へ再度の礼を述べる。
「皆の攻勢により、早速かの空域の新たな大陸への進攻が可能となった。この調子で進撃を続けていけば、玉座を狙う六帝国を出し抜くことも可能だろう」
その為にも、引き続き宜しく頼む、と。シュタルクの願うに、猟兵達もまた頷く。
「ともあれ、その新たな大陸についてだが。その名を『飛空氷塊アリステラ』という」
それはかつて、六つの屍人帝国の一つ『天帝騎士団』を統べる天帝『冬のアスタルシャ』が、己の有する強力無比なユーベルコードを天使核に注ぐことで創造したという、全てが雪と氷で形作られた大陸。
此処に在するは、天帝騎士団に所属するオブリビオンの他、他大陸から奴隷として連れて来られた人々と、奴隷達を監視するべくアリステラの雪で作られた『スノーゴーレム』なる怪物達。
厳重な監視の下、奴隷として過酷な労働を強いられているだろう人々。早急に救出せねばならぬ処だが。
「救出に関しては、他のグリモア猟兵が予知を見ているので其方に任せたい。皆には、かの大陸に駐屯するオブリビオンの打倒を頼みたいのだ」
救出の為には、かの大陸の敵戦力を削ることもまた肝要。此方が担うはその役目、とシュタルクは言う。
「俺の予知に見えた敵戦力は『天馬騎士団』。名前通り天馬に跨り空を駆ける、女騎士のオブリビオンだ」
集団性のオブリビオンではあるが個々の力も精強で、また連携も巧みに取ってくる。油断ならぬ敵であるが。
「その力の源泉と言えるのが、天帝アスタルシャへの強固な忠誠だ。奴らに限らず、天帝騎士団のオブリビオン達は皆、騎士としてかの天帝へ忠誠を誓い、その名誉と誓約を穢す者を決して赦さない」
奉ずる主君の意に従い、その実現の為に槍を振るう。成程、伊達に騎士団を名乗ってはいないということか。
「下手に策を巡らせるのでは、奴らの怒りに火を付け何が起きるか分からない。此処は、奴らの流儀に従って戦いを挑むが得策だろう」
即ち、此方も騎士道に則った戦いを挑むということだ。とはいえ、数多の世界から集う猟兵達である、騎士道と言われてもよく分からぬ、という者も多いだろう。
「騎士道といっても様々だが……罠に嵌めたり騙し討ちにしたりといった策略に頼らず、正面切って正々堂々戦いを挑む。何より、己の猟兵としての戦いに誇りを持つ。そうした辺りが、騎士の道に相応しい戦いと言えるだろう」
己が愚直さ故にそうしている事ではあるが、と自嘲するシュタルク。ともあれ、そうした意志をもって戦えば、彼女らの騎士道に悖ることはないと言えるだろう。
「奴隷とされた人々を解放する為にも、かの騎士団は確実に叩いておきたい処だ。どうか、宜しく頼む」
そう結び、シュタルクは己のグリモアを展開。
猟兵達を、かの雪と氷の大陸へと送り出してゆく。
五条新一郎
氷より冷たく炎より熱い。
五条です。
アルカディア争奪戦、続いてのシナリオは雪と氷の大陸が舞台となります。
かの大陸に在する天帝騎士団の騎士オブリビオンを打倒し、奴隷解放を援護致しましょう。
●目的
『天馬騎士団』の撃破。
●戦場
ブルーアルカディア、飛空氷塊アリステラ。
その一角の雪原地帯が戦場となります。
見通しは良いですが、足元は一面の雪なので足場がやや悪いです。
●プレイングについて
OP公開と同時にプレイング募集開始します。
募集状況及び〆切の目安はタグに掲示予定。
「騎士道に則り、誇りをもって戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
概ね、正々堂々とした戦いをすればOKです。
●リプレイについて
現在執筆中の「アルカディア争奪戦③〜Glitter Fighter」完結後より執筆開始、9/6(火)いっぱいでの完結を予定しております。
それでは、皆様の誇り高きプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『天馬騎士団』
|
POW : ランスチャージ
【ランスを構え直し、騎乗突撃形態を取る事】によりレベル×100km/hで飛翔し、【飛翔距離】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : スカイポジション
敵より【制空権を制覇した】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ : 怒れる空神の加護
自身の【盾】から【荒れ狂う突風】を放出し、戦場内全ての【射撃武器】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
女神様の御名の下、正面からお相手致しますぅ。
『スイーツ』と『豊極の女神紋』で多量のカロリーを確保し【白翼衣】発動、強化と共に飛行し[空中戦]で。
通常攻撃は『FMS』のバリアと『FGS』の重力結界で防御、接近戦は『刀』による[カウンター]で、【チャージ】は『FIS』の転移で躱して対処しますねぇ。
転移の際は方向転換で対処し辛い『斜め上』に移動、複数相手故に転移で『相手の背後』を取った場合は攻撃対象に含めません。
攻撃時は『FRS』『FSS』による[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、『FBS』の斬撃に『FES』による魔力矢も併せ[範囲攻撃]、真っ向からの撃ち合いでお相手しますねぇ。
御形・菘
はっはっは、相手のバトルに流儀があるのなら、合わせてやるのが妾の信条!
ガン無視しても良いのだが、ここは乗らねば無粋というものよ!
右手で、眼前の空間をコンコンコンっと
はーっはっはっは! 氷雪の大地にすら、妾によって花々はエモく満ちる!
とゆーことで、さあ、正面から堂々と突撃してくるがよい!
もちろん、策を弄して避けたりなんてせんぞ?
左腕でカウンターを入れると、先に宣言しておこう!
とはいえ前身を各種オーラで覆い、防御重視のパワーアップで全力で固めておくがな
拳を掻い潜れたとしても、妾の身へのチャージは出した速度で壁に正面衝突するのと同等となる!
こんなのは想定できる対策であろうから卑怯とは言わせんぞ?
飛空氷塊アリステラ、全てが雪と氷で形作られたその大陸に広がる雪原の上。
グリモアベースより転移を果たした猟兵達を迎え撃つは、白き天馬に跨る女性騎士のオブリビオン達。
「我らは偉大なる天帝陛下にお仕えする天帝騎士団が一員、天馬騎士団!」
翼広げ飛翔する天馬を以て猟兵達へと迫る騎士達、その先頭を行く騎士が代表して名乗りを上げる。他の騎士達よりもやや装飾の多い武具を纏う辺り、彼女がこの場に在る天馬騎士団の団長らしい。
「天帝アスタルシャの御業を以て創造されし大陸、我らの誇りと誉れにかけて守ってみせる! 覚悟せよ!」
「早速来ましたねぇ」
口元に付着していたクリームを指で拭い、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は迫る天魔騎士達を見据える。グリモアベースからの転移前より多量のスイーツを食し続けてきた彼女、その腹は過剰なまでに巨きく実った双房に負けぬ程にまで膨れ上がっている。
「はっはっは、正面から堂々名乗りを上げて突撃してくるか! 話通りであるな!」
並び立つ御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は呵々と笑う。己が流儀を以て戦に臨む者に対しては其に応える、それが彼女の信条。無視しても良いがそれでは無粋というものだ。
「ならばこの戦場をより果し合いに相応しい舞台に仕立ててやろうではないか!」
寧ろ、全力で華々しく演出してみせる。それこそが『邪神様』の矜持であるが故。人間のそれと相違無き右手で以て、眼前の空間をノックするかの如くコンコンコンとすれば、次の瞬間。
「何っ!?」
銀世界に、花が咲く。赤、黄、桃色。瞬く間に戦場を満たした花々が風に吹かれて舞い散って、戦場に花吹雪を巻き起こす。
一瞬にして色彩で満たされた戦場を前として、天馬騎士達は一様に驚愕の声を上げ、跨る天馬の突撃を一時停止せしめる。一体何のつもりか、と厳しい視線を菘へと向けるが。
「おぉ……一瞬で冬から春になったみたいな風景ですねぇ」
「はーっはっはっは! そうだろうそうだろう! 氷雪の大地にすら、妾によって花々はエモく満ちる!」
るこるの感嘆に応えてみせつつ、生命を拒む氷雪の大地を花々に満たした己の
所業を自画自賛し調子に乗っていた。尤も、これこそが菘の流儀。華々しき舞台に於いてこそ、彼女の力は最大限に発揮されるのだから。
「とゆーことで、さあ、改めてかかってくるが良い! この左腕で殴り返してくれようぞ!」
上空に撮影ドローンも飛ばし、準備は万端。右腕に倍する長さと太さを有する異形の左腕で以て手招きしてみせる菘。
「私も、女神様の御名の下にお相手致しますぅ」
るこるもまた臨戦態勢を取る。同時、その身が乳白色のオーラに包まれ、端麗なる美貌と豊満極めたる体型とを強調してみせて。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その証たる衣を此処に――」
そしてその身が上空へと舞い上がる。地上で騎士達を待ち構える菘に対し、己は空中で戦いを挑まんというのだ。
同時に、その身へと力が漲ってゆくのが見て取れる。其は蓄えたカロリーに比例して力を齎すユーベルコード。彼女がグリモアベースにいた時点からスイーツを食べ続けていたのはこの為だ。
「――良いだろう!」
「天帝アスタルシャと天帝騎士団の名にかけて! お前達を討ち果たしてくれよう!」
以て戦闘準備を万端とした二人へ対し、天馬騎士達は二手に分かれて突撃を開始。此処に、猟兵と騎士の果し合いの幕が上がったのである。
「はぁぁぁぁっ!」
超速にて滑空する天馬の鞍上、女騎士は槍を振るってるこるへと攻勢をかける。飛翔の速度を乗せた横薙ぎ、そこから間髪入れずの袈裟懸けの刃。閃く速度に無駄は無く、練り上げた武技の程が窺える。
「なんのぉ!」
対するるこるは前面に祭器たる円盤鏡と錫杖を展開。円盤から生ずる光のバリアが刃を押し止め、錫より形成される重力結界が切先を乱すと共にバランスを崩させ。
「ぐっ……しまった!?」
「そこですぅ!」
生じた隙に、るこるが一気にその身を飛翔させる。その速度は生身であろうとも音速を軽く超越する。白鞘より抜刀せし刀を構え、咄嗟の防御姿勢を取ろうとする騎士へと肉薄し――一閃。
「ぐぁ……っ……! 不覚……!」
振り抜かれた刀は騎士の守りをすり抜け、その身を深く斬り裂く。其が致命傷であったか、崩れる女騎士の身は乗騎たる天馬共々に消失してゆく。
「まだまだいきますよぉ」
るこるの周囲に、幾つもの浮遊球体や戦輪、光盾に舞布――多種多様なる祭器が展開される。彼女の主力武装たるこれらが、一斉に熱線や炸裂弾、飛翔斬撃に魔力矢を撃ち放ち、向い来る騎士達へと降り注がせてゆく。
「何の、この程度……!」
降り注ぐ砲撃の雨に、一人、また一人と女騎士達が撃ち抜かれ倒れてゆく中、一人の騎士が盾を掲げて弾雨を凌ぎつつ速度を増してゆく。その速度は瞬く間に音速を超え、一条の白き光矢の如くとなってるこるへ迫る。
「この砲撃を乗り越えてきますかぁ……!」
唸るるこる。真っ直ぐるこるを見据えるその視線、半端な回避行動は見切って槍を繰り出してくるだろう。そして速度の乗った槍の刺突は、バリアも重力結界も突っ切ってしまいかねない。ならば、どうするか。
るこるの身体の中心点を過たず狙い澄まして、騎士の槍が疾走し――
「何……っ!?」
――そして、空を切った。
「切り札、使わせて頂きましたぁ」
るこるの声は、槍が貫いた空間の斜め右前、騎士から見て上方から。瞬間転移。その他一切の手段を以てしても回避叶わぬ状況の為の隠し玉を以て、るこるは必殺の騎乗突撃を回避してみせた。
「――卑怯、と思いますかぁ?」
再び構えた刀を大上段に構えながら、るこるが問えば。
「――否。其を想定しきれなんだ私の不覚よ」
潔く応えてみせる天馬騎士。そのまま、振り下ろされた刃が、かの騎士の身を骸の海へと還していった。
咲き乱れる花々を蹄が散らし、天馬の群れが地上を駆ける。鞍上には槍を構えた女騎士達、見据える先には蛇身の下半身で以て地を踏みしめ構える菘の姿。
「行くぞ……! 我らが槍、凌げるか!」
「来るがいい! 妾の拳で殴り返してくれよう!」
互いの武に対する自負を吼えあって。いよいよ彼我の間合いは零へと近づく。先頭の騎士が、槍の切先を菘の喉元へと狙い定め――
「ぬぅんっ!!」
「ぐわぁぁっ!?」
だが、其処で振るわれる菘の左腕。見目以上に長い間合いは、槍にさえも優る。菘の身へと槍先届かせること叶わぬまま、女騎士は吹き飛ばされて地へ転がり倒れる。
「ならば此方――ぐわぁぁぁ!!」
「そうはいかんなぁ!」
振り抜かれた左腕の外から回り込んだ天馬騎士が槍を繰り出そうとするが、菘は腰を捻りその身を大きく左回転。左腕による裏拳を騎士へと叩き込み吹き飛ばした。
「それなら上――ぐふぁぁっ!?」
「蛇身の跳躍力を舐めて貰っては困るな!」
続いて襲い来た騎士は、菘の間合いへ入る直前に低空飛翔へ移行。頭上からの強襲を試みたが、菘は一瞬縮めた蛇身を一気に伸ばして迎え撃つ。そのまま繰り出した左腕のストレートが、女騎士を遥か彼方まで吹き飛ばした。
「こんなものか! さあ次は――」
「ならば、次は私だ……!」
まだまだ余裕、と言わんばかりに両腕を広げてアピールしてみせる菘に対し、応えるように次なる天馬騎士が駆ける。迫り来るその速度に合わせ、左腕を構える菘――であるが。
「――ここだ!」
「―――!」
間合いに入るその瞬間、天馬が更なる加速を見せる。最後の一瞬に再加速することにより、菘の迎撃のタイミングより更に速く己の間合いへと到達。以て、菘の身へと槍を繰り出して――
「ぐわぁぁっ!?」
弾かれるように吹き飛ばされ、女騎士は地に転がる。菘は一切動いていない。一体、何があったのか。
「ふ、言ってはおらなんだが――守りは全力で固めさせて貰っておったぞ」
不敵に笑みつつ言い放つ菘。その身は流動する幾重ものオーラに包まれ、ユーベルコードによる底上げも合わせて凄まじいまでの硬度で鎧われていたのだ。そんな彼女の身への突撃は、城壁への正面衝突に等しい衝撃となって突撃者自身へ返る結果となるのだ。
卑怯とは言うまいな? と言わんばかり見下ろす菘に対し、今の衝突にて致命傷を負ったらしい騎士は。
「ぐ……斯様な護りも、突き崩せぬとは……我が身の未熟を、思い知らされる……」
只々、己の力の至らぬばかりと呟いて。骸の海へと還っていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…こんな地に無辜の民を連れ去った暴虐の徒が騎士道とは…笑わせる
…だけど、無駄に挑発するのは得策では無いか
…良いわ、お前達の流儀に乗って、真っ向から叩き潰してあげる
…遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!
我が名はリーヴァルディ!この世界とは縁もゆかりも無い身なれど、
この世界の救済の為に、そしてこの地で散っていった数多の魂の安息の為に…!
天帝の騎士、お前達を討ち果たす者なり…!
左眼の聖痕に降霊した数多の魂を大鎌に接続して武器改造を施しUCを発動
右腕と一体化した大鎌が変型した突撃槍の先端から全身を呪詛のオーラで防御して覆い、
敵の突撃を怪力任せに正面から死棘槍の突撃で迎え撃つ闇属性攻撃を行う
ヴィルジニア・ルクスリア
「騎士道に則り、誇りをもって戦う」とか、面倒くさい人達ね。
正々堂々と戦うなんて私の趣味じゃないのよね。
とは言え、相手のやり方に合わせた方がリスクが少ないなら、やるしかないわね。
私なりの正々堂々とした戦いを。
足場が悪いなら、ウィザードブルーム・改に乗って、空中戦でいきましょう。
礼儀作法に則り、宣戦布告。
「私の名はヴィルジニア・ルクスリア。猟兵の一人として天帝騎士団の野望を止めてみせますわ!」
『鏡像作業』発動(技能は【空中戦】を指定)
まさかとは思いますけど、小娘が増えたぐらいで騎士の皆様方が卑怯とは言いませんよね?
分身と【空中戦・集団戦術】を活かした戦闘で天馬騎士団を撃破する。
騎士道に則り、正々堂々たる戦いを旨とする天馬騎士団。なれど、かの者達が騎士道を語るにあっては見逃せぬ要素が在る。
「……こんな地に無辜の民を連れ去った暴虐の徒が騎士道とは……笑わせる」
雪原を駆け向かい来る天馬と其に跨る騎士達を遠目に、不快感を表情に滲ませつつリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は呟く。彼女らが何を語るとて、この地に於いて拉致してきた人々に奴隷労働を強いている事は揺らがぬ事実だ。
「と言うか、騎士道に則り誇りをもって戦う……とか、面倒臭い人達よね」
その隣で肩を竦めるのはヴィルジニア・ルクスリア(悪霊にして魔女・f36395)。魔女であり、敵対者に対しては悪辣な手段を躊躇せぬ彼女にとっては、正々堂々という戦い方そのものが趣味に合わない。
本来ならば遠慮会釈なく叩き潰してしまいたい敵ではある。だが今回に限ってはそうした手段にリスクが伴う、とあれば。
「……今回は、彼女らの流儀に乗った上で真っ向から叩き潰すのが得策みたいね」
「そっちの方がリスクが少ないなら、やるしかないわね」
リーヴァルディの判断に、ヴィルジニアも同意を示す。己らなりの、正々堂々とした戦いを為す、と。
「……遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!」
雪原へ高らかに響くリーヴァルディの声。気付いた天馬騎士達が乗騎を操り向かい来る速度を上げてくれば。
「我が名はリーヴァルディ! この世界とは縁もゆかりも無い身なれど、この世界の救済の為に、そしてこの地で散っていった数多の魂の安息の為に……!」
堂々と名乗りを上げながら、リーヴァルディは得物たる黒き大鎌を抜き構える。凛と鋭き視線の先に、騎槍構える騎士達を見据えながら。
「天帝の騎士、お前達を討ち果たす者なり……!」
決然と言い放つ。その様、まさしく堂々と勝負に臨む騎士の態と言えよう。
「そして私の名はヴィルジニア・ルクスリア。猟兵の一人として、天帝騎士団の野望を止めてみせますわ!」
リーヴァルディに続き、ヴィルジニアもまた名乗ると共に前方の騎士達に挑む意志を示してみせれば。
「良いだろう! 我らは天帝騎士団! 偉大なる天帝アスタルシャの名において、この地を護り、お前達を討ち果たしてみせよう!」
応えて天馬騎士達も名乗りを上げて。以て、戦いの幕が上がる。
ヴィルジニアは箒に跨り、雪原の空へと舞い上がる。応え、天馬騎士の何名かも空へ。
高機動と高速を誇る改造型の箒であるが、その速度にも天馬は確と追従してみせ。そのまま、更に高度を上げてゆけば――やがて、騎士の一人が気付く。
「――増えている……だと?」
いつの間にか、ヴィルジニアと同じ姿をした娘達が増えていることに。分身ではない。寸分違わぬ姿をした娘が九名、ヴィルジニア本人を含めれば計十名の編隊を形成し、空を舞っていたのだ。
「――まさかとは思いますけど」
そして至った高空、反転機動を取りながらヴィルジニアは追従する騎士達へ視線を向ける。誘うような、挑むような視線。
「たかが小娘が増えたぐらいで、騎士の皆様方が卑怯とは言いませんよね?」
それは彼女のユーベルコードの産物。魔法の鏡を介して増殖せしめた己の鏡像九体を従える業ゆえに。
「構わないとも。もとより我らも多勢故にな」
なれど天馬騎士達は是と応える。一体多が多対多になっただけのこと、其は数の差を埋める正当な手段であると。
「有難いことですわね。――では」
薄く笑みを浮かべながら、ヴィルジニアはその手に得物たるチェーンソー剣を構える。随う鏡像達もまた追従し。
「勝負と参りましょうか」
「望む処だ!」
そして天馬騎士達目掛けて飛翔を開始。騎士達も応えるように天馬を駆り突撃をかける。荒れ狂う突風の渦が、ヴィルジニアには向かい風、騎士達には追い風となって吹きつける。
「この程度の風で、私達は止まりませんとも」
向かい風を真向から斬り裂くように、ヴィルジニア達は風の中を突き抜ける。そして先頭で槍を掲げる騎士へと波状攻撃じみて襲い掛かってゆけば。
立て続けに振るわれる鋸剣が、天馬騎士の守りを突き崩し。そして最後に斬りかかったヴィルジニアの刃が、その身を両断し致命の一撃を齎した。
一方の地上では、天馬騎士の一団がリーヴァルディに対し突撃を敢行せんとしていた。
「行くぞ! 我らが突撃、凌げるか!」
雪積もる地を蹴り、雪を跳ね上げながら駆ける天馬、その鞍上にて槍を構え直し穂先の狙いを定める騎士。狙う先は無論のことリーヴァルディ。
「……凌ぐ、ではない。迎え撃ってみせましょうとも」
なれどリーヴァルディは怯まない。確かな自信を持って言い切ると共に、左眼に宿る聖痕が光を放つ。
「……復讐を望む魂達よ、死棘となれ」
其に宿るのは、オブリビオンの犠牲となった数多の人々の魂。如何に騎士道を掲げる存在とはいえ、同種の存在に対する怨恨の募ることには変わり無し。
それらの魂が大鎌へと纏わると共に鎌が溶け崩れるように形を変え、リーヴァルディの右腕へと絡みつく。鋭く、長く形作られた其は、右腕を丸ごと覆う漆黒の突撃槍へと変貌を果たす。溢れる呪詛はオーラめいて持ち主の身を覆って守りと成す。
突撃をかける天馬騎士を見据え、腰を落として右腕の槍を構えるリーヴァルディ。仕掛けるべき機を待ち受け、意識を集中し――
「……そこね」
女騎士が槍を繰り出さんとしたまさにその瞬間。間合いに捉えた、そう判じリーヴァルディもまた動く。
右腕を突き出す。膂力の限りに繰り出した刺突が、先手を取って繰り出された槍を弾き、以て使い手の身を崩して隙となす。
そのまま跳躍すれば、死棘の穂先は過たず騎士の胸を狙い澄まして繰り出され――そして貫き、吹き飛ばす。膂力に跳躍力を上乗せして繰り出した一突きは、凄まじい衝撃力で以て騎士の身を跨る天馬ごと吹き飛ばし。後続をも巻き込んで諸共に突き崩していった。
「……まだまだよ。かかって来るが良いわ」
突きの直撃を受けた騎士が骸の海へと還りゆくのを皆まで見届けず。残る騎士へと堂々と、リーヴァルディは言い放ってみせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
播州・クロリア
奴隷を酷使し世界と引き換えに己の欲望を成就させんとする主君であっても忠義を貫くとは凄まじい
誰も過ちを正そうとするものが居ないからオブリビオンなどに堕ちたのでしょうね
独裁者がよく陥る罠です
そのような騎士道など私のダンスに対する信念で真正面から叩き折って見せます
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
この旋律は私のダンスに対する欲望と情熱を炎として表現した旋律
冷たく凍えた貴女方の信念を燃やし尽くす炎です
(UC【蠱の翅】を発動すると{蜂蜜色の陽炎}を身に纏いながら炎『属性攻撃』の突撃を行う)
「むう、猟兵とやら。侮れぬ強敵だな……!」
「だが我らは怯まぬ、偉大なる天帝陛下の御名と我らの誇りにかけて!」
猟兵達の攻勢を受け、その数を減らしてゆく天馬騎士達。なれど彼らの士気に陰りは見えず、続いて現れた猟兵に対しても臆さず立ち向かってゆく。
「凄まじい忠義ですね……」
向かい来る彼女らを視界に捉え、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は呟く、肩幅ほどに開いた脚で、雪の大地を確と踏みしめながら。
この地に拉致した奴隷を酷使し、世界と引き換えに己の欲望を成就させんとする主君へと忠義を誓う彼女達。その誤った信念を、誰も正そうとしなかったのか。
「誰にも正されなかったからこそ、オブリビオンなどに堕ちたのでしょう。独裁者がよく陥る罠です」
上体を前傾。両の手で其々に太腿をなぞり上げ、緩やかに上体を起こすと共に天へと掲げる。その動きは、氷雪の戦場に炎の上がるが如し。
「――そのような騎士道など。私のダンスに対する信念を以て、叩き折ってみせましょう」
そして宣言する。かの騎士達の信念を否定してみせるというその意志を。
「……我らの忠義と誉れを愚弄するか、羽虫風情が!」
「煩く飛び回るだけの羽虫如きに、我らの誇りを穢せると思うな!」
だが、その宣言は彼女達の怒りに――騎士たる身としての誇りに火を付けた。燃え上がる憤怒と共に吼える彼女達の身から溢れ出る力を、クロリアは直感する。
なれど、恐れず、逸らず。クロリアはその場で踊り続ける。広げた腕を波打たせながら右へ、左へ。燃え上がる炎が広がるゆく様を示すが如く。
やがて正面へと向けられた手は、前方――雪原を蹴り駆ける天馬に跨り、槍を構える騎士達を手招くように、その指を畳んでみせる。
其を更なる挑発と見なしたか、天馬達が更なる加速を見せる。蹄の地を蹴る音がリズムを刻み、クロリアのもとへと徐々に迫り来て――
「悠長に踊ったまま、果てるがいい……!」
尚も踊り続けるクロリアを目掛け、先頭を行っていた騎士が槍を繰り出す。加速を乗せた騎乗突撃、生半な護りをも貫く稲妻じみた刺突が、クロリアの身を捉え――
「――何っ!?」
だが女騎士は見た。己の槍がクロリアの身を捉える、まさに一瞬前。両手を天に掲げたかの者の姿が、そのまま上空へと飛び上がっていったのを。
見上げれば、其処には蜂蜜色に煌めくオーラを纏うクロリアの姿。光を纏い揺らめく様は陽炎の如く。
「――この旋律は、私のダンスに対する欲望と情熱を、炎として表現した旋律」
騎士の槍が己を貫く、その一瞬前まで踊り続けた執着、そして其を以て己を己たらしめる信念。まさに、ダンスという行為に己の全てを懸けた者の態。
「冷たく凍えた貴女方の信念を、燃やし尽くす炎です!」
そして改めて宣言すると共に、その身は地上目掛けて吶喊。蜂蜜色のオーラが輝きを増し、炎の如くクロリアの身へと纏われ。
「くっ、散開! 散開せよ……ぐわぁぁぁっ!!」
其を前として散開しての回避を試みる騎士達だが。離脱の遅れた一人が、クロリアの突撃をまともに受ける。直後、落馬し地へと転がったその身は、蜂蜜色の炎に覆われ激しく燃え上がり。そのまま、立ち上がることは無く。
「なんという速度……! 只の羽虫ではないな!」
「だが、その炎が如何に熱くとも! 我らの誉れまでを燃やせると思うな!」
残る騎士達は天馬と共に上空を旋回しつつ、クロリアのその力の程を脅威と認めるが。それでも尚、闘志に衰えは無しと見え。
「いいえ、全て燃やし尽くしてみせます。その間違った忠義も、名誉の全ても」
なれどクロリアは再度上空へと飛び上がり、舞い踊る。纏う炎で、騎士達の全てを燃やし尽くさんと――
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
正々堂々たる真っ向勝負
望むところだ、かかって来い!
【転身・炎冠宰相】
破邪の霊気と聖なる武具を身に纏い、白き翼の姿へと変身
氷の大陸にあって、聖槍に宿る炎(破魔・属性攻撃)の輝きに聊かの翳りもなし
槍を突きつけ喝破
「汝、弱者を尊び、その守護者たるべし」! 奴隷を是とするが騎士の行いか!
吹雪の中で力強く羽搏き、天馬を駆る騎士の一団へと吶喊(空中戦)
巧みな【空中機動】にて翻弄し、【怪力】を以って聖槍を縦横無尽に振るい、斬り打ち穿ち【なぎ払う】
ぉおおおおお!!
敵の突撃に合わせてこちらも突撃
強化された【視力】と極限の【集中力】によって【見切り】、【ランスチャージ】によって【鎧ごと打ち砕き】、ジョストを制する
アリステラの空を雲が覆い、やがて雪が降り始める。降雪の量は見る間に増えゆき、更には風も出始め。半刻もせぬうちに、戦場は激しい吹雪に包まれていた。
その吹雪の中を、力強く白き翼を羽ばたかせ飛翔する影あり。ユーベルコードを以て、白翼を背負い破邪の霊気と聖なる武具を鎧ったオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だ。
「――貴様も猟兵か!」
吹雪の向こうから現れる何頭もの天馬、其々に跨る女騎士達。その通りだ、との返答と共に、オリヴィアは彼女達へと携えたる聖槍を突きつける。吹雪の中でも些かの翳りも見せること無き、聖なる炎を纏う穂先を。
「――『汝、弱者を尊び、その守護者たるべし』! 奴隷を是とするが騎士の行いか!」
そして喝破する。騎士たる者の在り方とは相容れぬ、そうオリヴィアの考える行い。無辜の民を拉致しての奴隷労働の強要を。
「その通りだとも! かの者達は我らの名誉ある戦にて獲得せし戦利品!」
「無為なる殺傷も解放も、天帝陛下への重大なる背信! 易々と手放すと思うな!」
なれど騎士達も反論する。即ち、奴隷は彼女達なりの丁重さを以て扱ってはいるが、その所有は彼女達の騎士道と矛盾しない、ということらしい。
「ならば、真っ向勝負を以て彼らを解放するまでだ!」
正当なる勝負の結果としての奪還。彼女達の騎士道に則るならばそうした形を取るが最善、とオリヴィアは判ずる。元より打倒すべき敵であるのだ、為すべきことに変わりは無い。
「行くぞ! 正々堂々、かかって来い!」
そしてオリヴィアは力強い羽ばたきを以て敵中へ吶喊する。迎え撃つ槍が多方向より突き込まれ、振るわれるが。
「当たりはせん!」
羽ばたきの角度を変えて急上昇、槍の全てを躱し直後に急降下。炎棚引かす聖槍を力強く振り下ろす!
「ぐ……うおぉぉぉぉっ!?」
盾を掲げて槍を受ける天馬騎士だが、オリヴィアの鍛え抜かれし膂力を乗せて振るわれた槍は、見目以上の重撃として騎士の盾へと叩きつけられる。堪えきれず、天馬諸共に地面に向けて叩き落とされる騎士。
「ちぃっ、何たる腕力!」
「だが、我々とて……!」
其に脅威を覚えつつも、天馬騎士達は怯むことなくオリヴィアへと攻めかかってゆく。縦横に振るわれる槍は、回避機動の制限をも期した連携攻撃。
「くっ!」
流石に此処で回避は困難。身を捻って縦の斬撃を躱しつつ、横薙ぎの槍を聖槍の柄で防ぎ止める。衝撃を殺さんと力を籠めたその瞬間、オリヴィアの機動が止まる。
「貰った!」
その隙を狙い、今一人の騎士が槍を繰り出す。迅雷が如き勢いで繰り出された刺突は、オリヴィアが回避行動を取るより速く、その身を貫く――かに見えた、が。
「……ぉおおおおおお!!」
オリヴィアより放たれるは咆哮、そして全開の膂力。受け止めたる槍を真っ向から弾き返し、そのままの勢いで以て周囲を薙ぎ払う。纏う炎の痕跡を円形に残しながら振るわれた槍刃は、周囲より攻め込みたる三人の天馬騎士の身を鋭く斬り裂き、薙ぎ倒してみせた。
「やるな……! ならば、我が全霊の突撃を以て打ち倒してみせよう!」
遠くより声。翼を大きく広げ滑空する天馬の鞍上、槍を正面へと構えた騎士が猛然とオリヴィア目掛けて突っ込んでくる。宣言通りに突撃をかけようというのだろう。
「望むところだ!」
オリヴィアも自ら突撃を敢行。翼を力強く一打ち、ロケットめいて撃ち出された身を大気に滑らせ、迫る天馬騎士へと自ら突っ込んでゆく。
吹雪の向こうから、徐々に騎士の姿が明確となる。オリヴィアの眼はその挙動を余すことなく捉え、その切っ先の狙う位置を絞り込む。槍を真っ直ぐ前へと構える。狙うは女騎士の胸元。更に加速するオリヴィアの飛翔。
――そして、二つの槍が交錯する。
「……ッ!」
オリヴィアは身を捻り、迫る槍を躱す。躱しきれなかった切先が左の二の上を掠め、避けたる部位から血がが搾り得るが、意には介さず。
聖槍を繰り出す。狙い過たず、胸元へと放たれる切先。渾身の突撃を上乗せして繰り出された槍は、纏う鎧も打ち砕いて女騎士の肉体を貫いて。
「ごふっ……見、事……!」
其が致命傷だったのだろう、喀血混じりにオリヴィアを讃えた言葉を残し、女騎士は天馬から転がり落ちてゆく。
斯くて、オリヴィアは空中にての
馬上槍戦を制してみせたのである。
大成功
🔵🔵🔵
ミスト・ペルメオス
・SPD
「行くぞ。ブラックバードッ!」
愛機たる機械鎧を駆って参戦。
装備を介して念動力を活用、機体をフルコントロール。
天馬騎士と、鎧装騎兵と。駆るものも本来駆ける領域も異なるが……望み通り正々堂々と、そして全力で相手になる。
オブリビオンだからこそ、見た目や戦い方で侮るなど言語道断。
全力で行く。出力最大。スラスター全開。──突撃ッ!
大気を切り裂き、重力を振り切るかのように飛翔。
天馬騎士団へと襲い掛かり、エネルギー弾を嵐の如く撒き散らして撃ち落とし、或いはすれ違いざまに叩き切る。
こちらは単騎、相手は集団。それがどうした。喰い破り、掻き乱して、捻じ伏せるまでだ。
【“黒い鳥”】の戦いを見せてやる……!
吹雪の勢い衰え、なれど未だ雪の降る氷雪大陸の空を、黒き巨大な影が飛翔する。身構える天馬騎士達が一瞬、そのサイズ感の差を前に目測距離を測り損ねかける程に、その影は巨大だった。
(天馬騎士と、鎧装騎兵と。駆るものも本来駆ける領域も異なるが――)
その影の正体は、搭乗型の機械鎧『ブラックバード改』。その搭乗席に座するミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は、視界に捉えたる天馬騎士達を鋭く見据える。
片や大気圏内の空、片や真空の宇宙。本来活動範囲の異なるが故に決して会うことの無いだろう二者の激突。これも猟兵とオブリビオンという組み合わせ故に実現し得た戦いだろうか。なれど。
(望み通り正々堂々、そして全力で相手になろう……!)
為すことに変わりは無い。被ったマシンヘルムを介して、念動力が機体の全身へと行き渡るのを確かめると共に、各部に装備されたプラズマスラスターが咆哮を上げる。
(出力最大。スラスター全開――突撃ッ!)
念ずるが早いか、漆黒の機械鎧は瞬時に最大加速、放たれた矢の如く雪空を翔ける。重力の軛も、黒い鳥を縛めることは叶わない。
瞬く間に、天馬騎士達の姿が大きくなってゆく。槍を掲げ、或いは乗騎たる天馬を羽ばたかせ距離を取らん彼女達へ、すれ違いざま片腕を振り抜けば。
振り抜く腕の手首甲側から噴出する蒼き光が、瞬く間に手甲剣を形作り。振り抜いた軌道上の天馬騎士の身を、斬り裂くどころか削り飛ばし。一撃で以て仕留めてみせた。
(攻める分には問題無いか。ならば後は……)
仲間を倒されても怯まず反撃態勢を整えんとする天馬騎士達を見据える。片や全長10mはあろうかという機械鎧、片や天馬に跨るだけで等身大の存在。なれどオブリビオンたるならば油断は禁物。
騎士達が槍を掲げれば、迸る光が矢となって撃ち出される。スラスターを吹かしながらの回避行動を取り、降り注ぐ矢の合間を跳び抜けてゆくブラックバード。上、左、前、下。重力の影響を感じさせぬ機動で以て光矢の雨をすり抜けてゆく。
回避運動を繰り返し、やがて天馬騎士の一団を再度正面に捉えると共に、ブラックバードの両肩、二門の連装砲が彼女らを捕捉する。
掃射開始。ミストの意志が伝わると同時、砲口より放たれるは、降りしきる雪よりも尚夥しき量の圧縮エネルギー散弾。雪降る戦場に突如降りだした光弾の驟雨が、突撃を敢行せんとしていた天馬騎士団へと襲い掛かる。
全長9mにも及ぶ機械鎧から放たれる散弾である、人間大の存在から見れば一つ一つが大砲の砲弾に等しい脅威だ。一人、また一人と、騎士達がその身を吹き飛ばされ、或いは乗騎たる天馬を粉砕され墜落してゆく。
散開し孤立すれば、ブーストで一気に迫り来る機械鎧に光剣で以て斬り捨てられる。集まれば、散弾砲の弾雨を浴びて一網打尽にされるのみ。
一対多とは思えぬ、その圧倒的なまでの制圧力。この空域の制空権は、最早完全にミストの側にあった。
これ程の攻勢を卑怯と思うか。モニタ越しに見える天馬騎士達の表情へ、数瞬意識を向ける。否、その表情に憎々しげな様相は見えない。純粋に、襲い来る『黒い鳥』の災厄に対し脅威と認識すると共に、其を乗り越える術を模索している顔だ。
(だが、乗り越えなどはさせない)
騎士道を侮りなどはしないが、さりとて拘りはしない。己のやり方での全力で以て、喰い破り、掻き乱して、捩じ伏せるまで。或いは、其こそが彼なりの敬意でもあったのかもしれない。
いずれにせよ、容赦はしない。その後も、『黒い鳥』は戦場を飛び回り、容赦なき攻勢で以て天馬騎士団を蹂躙していった。
大成功
🔵🔵🔵
御堂・茜
騎士道と武士道は似て非なるもの
しかし己の誇りを貫き
忠義に生きる様は通じる所がございます
わたくしも小細工は好みませぬ
我が名は戦国大名御堂家が娘、御堂茜!
いざ尋常に勝負でございます!
御堂も我が愛馬に騎乗し
雪上を縦横無尽と駆けましょう
敵は空中から来るようですわね…
…その上多勢に無勢は卑怯では!?
貴方がたも誇りある騎士ならば一人ずつ参りなさい!
逃げも隠れも致しませんわ
野生の勘で相手が突撃してくる瞬間を見切り
UCで太刀を振るうのみ…!
あの速度でわたくしの刀に触れれば
ひとたまりもないでしょう
しかし外せば御堂も大打撃…
構いませぬ
これぞ武士の戦いではありませぬか!
御堂は斃れるまで戦い続けますわ
参りなさい、次!
雪が止み、再び白一色に染め上げられた地上を、春風が駆ける。春色の着物を纏った娘を背に乗せた馬――正確には馬型ロボットが駆けてゆく。
(己の誇りを貫き、忠義に生きる様。通じる所がございますね)
その娘、御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)は武士であった。女ながらに武士道に憧れ、其を貫く為に肉体を機械化せしめた程の。故にこそ、その道への拘りは強い。
武士道と騎士道。共に戦に生きる者の規範たる思想だが、その実態は似て非なるもの。なれど通じる部分は確かにある。
故にこそ、茜は空を見上げ、降下してくる天馬騎士達の一団を前に胸を張り、大音声を放つのだ。
「我が名は戦国大名御堂家が娘、御堂茜! いざ尋常に勝負でございます!」
「良かろう! 我らは偉大なる天帝陛下へお仕えする天帝騎士団が一翼、天馬騎士団! いざ、勝負!」
以て名乗りを上げた茜に応えて、女騎士達も名乗りを上げる。以て、武士と騎士との戦が幕を開けたのだ。
「はあっ!」
天馬騎士の一人が、高度を下げると共に槍を振るい、地上の茜に斬りかかる。
「何の!」
対する茜、愛刀ジャスティスミドウセイバーを振り上げて迫る刃を打ち払わんとする。彼女自身の身の丈程もある大太刀は、しかし軽やかに振るわれて槍とぶつかり合い、そして弾き返す。
「其処だ!」
だが、その横合いから迫るは別の天馬騎士。空中から茜へと間合いを詰め、槍を繰り出さんと構えを取る。
「今度は其方ですか! ――と言いますか!」
大太刀を振るい側面攻撃への牽制と成しつつ、其処で茜は気付く。地上に単騎の己に対し、敵は空中から多勢で攻め寄せるという今の状況に。
「いくら何でもこの条件での戦いは、卑怯ではございませぬか!!」
故に抗議する。そう言われても集団戦闘だって立派な騎士の戦い方だし、と困惑げな天馬騎士達だが。
「貴女がたも誇りある騎士ならば、一人ずつ参りなさい! 一騎打ちです!」
そう言われれば、応えないわけにもいかなかった。一騎打ちを挑まれて拒むことは、彼女達の騎士の誇りに悖る行いであったようだ。
「まずは私が行くぞ……!」
そして始まった一騎打ち。先鋒となった天馬騎士が、愛馬を羽ばたかせ上空高く飛翔。空中からの急降下突撃を仕掛けんとする構えだ。
「良いでしょう、御堂は逃げも隠れも致しませんわ!」
地上で待ち構える茜は、馬上にて大太刀を構える。下半身のみで馬上の身を安定させ、上空を睨み据え。
「我が突撃、捉えられるものならば捉えてみせよ!」
吼えると同時、急降下を開始する天馬騎士。槍を茜へ向け構え、天馬が翼を広げ茜のもとへの滑空軌道を定める。
「捉えてみせましょう! 参ります!」
茜もまた打って出る。愛馬を走りださせ、大太刀を振りかぶり、迫る天馬騎士を真正面へと捉える。
(あの速度。わたくしの刀に触れればひとたまりもないでしょうが――)
彼我の速度と、愛刀の鋭さと、己の膂力。恐らく、一撃当てれば仕留められる。だが仕損じれば、あの速度での突撃である。己も重篤な負傷を受けるだろうことは確実。即ち、決着はこの一合で決まる。
(――これぞ武士の戦いではありませぬか!)
まさしく死中に活を見出さんばかりの戦。思わず高揚する心を茜は自覚する。なれど浮かれてはおれぬ、勝たねば意味は無いのだから。
瞬く間に詰まる距離。迫る必殺の槍。己の刃を先に届かせるには、かの槍の繰り出される瞬間、その直前をおいて他に無い。その一刹那を見切るに恃むは、只々己の直感一つ。
迫る敵を見据える。彼我の距離は一間を切る。最早眼前にまで至った槍が、繰り出されんとして――
「――そこです!」
叫ぶが早いか、振り抜かれた大太刀。繰り出される槍より、刹那、先んじた刃は、馬上の騎士の胴へと叩きつけられ――
「――見事、だ……!」
その呻きを残し、上下に分かたれた女騎士の身が茜の後ろへと吹き飛んでいく。乗騎共々に溶け崩れ、骸の海へと還ってゆくのを、茜は皆まで見届けず。
「――参りなさい、次!」
斃れるまで戦い続ける。その覚悟を胸に、次なる騎士との一騎打ちへと臨むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鍋島・小百合子
WIZ重視
天馬に跨る騎士団が己の武士道に忠を誓うのであれば
わらわも己が武士道を見せるのみぞ
「肥前が女武者・鍋島小百合子!我が天馬武者の一団を率いて尋常にお相手いたす!」
UC「天騎要塞陣」発動にて浮遊城塞を召喚しそこから625名もの天馬武者の軍団を出陣させ戦闘知識活用にて指揮
わらわも天馬に騎乗して上記の名乗りを上げて天馬騎士団との戦に臨む
軍団対軍団での戦ではわらわが率いる天馬武者との集団戦術をとるようにし、単騎突撃は厳禁
騎士団との大将格に臨む場合は一騎討ちを持ちかけ
馬上からの薙刀術で討ち取って参る!(なぎ払い、範囲攻撃、騎乗突撃、鎧砕き併用)
互いの武士道をぶつける戦故卑怯な真似は一切致さぬ
蒼天に、突如巨大なる浮遊城塞が姿を現す。あまりにも唐突なる出現に、天馬騎士達は驚愕を見せるが――なれど、混乱は見られず。
「これ程の業、如何な猟兵の力か……!」
「だが我らは負けぬ! 天帝騎士団の名にかけて!」
その数、相当に減れども士気は高く。かの城塞の主たる猟兵を、空中にて待ち受ける。
「其はわらわの呼び寄せし天騎要塞陣! 我が配下たる天馬武者の拠点なり!」
応えるかの如く、空に轟く大音声。要塞から飛び出してくるその主は、騎士達のそれによく似た天馬に跨る女武者。鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)である。
「肥前が女武者、鍋島小百合子! 我が天馬武者の一団を率いて尋常にお相手いたす!」
名乗るに続いて、要塞から天馬に跨った武者達が次々と飛び立つ。その数、実に625名。空中にて小百合子を中心とした陣を組み、主たる小百合子の号令を待つ。
「何と……! 我らに天馬を以て挑むか!」
その威容と、何より己らに限りなく類似した存在。驚愕と共に、ある種の歓喜を感じさせる声音で騎士達は応える。己らと戦うに、これ以上の相手はない、とばかりの。
「良いだろう! 我ら天馬騎士団、この名の誇りにかけて!」
「いざ、尋常に勝負!」
そして彼女らもまた名乗りを上げて――氷雪大陸の空に、天馬を駆る武士と騎士との大軍勢が激突する。
「多勢で以て敵へ当たれ! 決して単騎で仕掛けるでないぞ!」
小百合子の命令に従い、武者達は数騎で一つの小隊を組み騎士へと当たってゆく。大薙刀を振るい、騎士へと斬りかかれば。
「重い……! なかなかの強者だな……!」
槍にて受けた騎士は呻くも、即座に押し返して斬り返しにかかる。個の戦闘力ではやはり騎士の方が上手と見える。だが。
「……くっ、仕掛けられなんだか……!」
其を補うが数の戦術である。互いの隙を補いつつの攻勢が、騎士の反撃を容易に許さず、着実に追い詰めてゆく。
「其処じゃ!」
「が……っ! ここまで、か……!」
小百合子もまた、数名の武者達を従えて騎士と交戦する。振り下ろしたる薙刀が、別の武者の攻撃を捌いたばかりの騎士を捉え、その身を深く斬り裂いて。骸の海へと還してゆく。
騎士が一人斃れるごとに、戦況は小百合子の側へと傾いてゆく。武者の側も少なからぬ者が斃されてはいるが、数の差は寧ろ広がり続けてゆく。
と、其処に。
「我ら騎士団が此処まで追い詰められようとは……! だが!」
吼えながら天空を疾駆する一騎の天馬と、その上で槍を振るう騎士。槍が閃くたび、武者が一人、また一人と倒され消滅してゆく。他の騎士よりも一段上の技量。鎧の装飾もやや豪奢な処を見るに、あれが隊長か。
「天馬騎士団団長殿とお見受けする!」
ならば、と。小百合子は呼びかける。如何にも、との応えがかの騎士より返れば。
「大将同士、一騎討ちを所望する! 貴公の武に覚えあるならば、是非に受けられたし!」
求めるは一騎討ち、武士であれ騎士であれ、戦の華とも言うべき行い。団長もまた、逡巡もなく応ずるのであった。
要塞の直上、向かい合う二頭の天馬。片や小百合子、片や天馬騎士団団長。
「「いざ、勝負!」」
両者、殆ど同時に声を上げれば。其々に愛馬が羽ばたき、一気に加速。その馬上、小百合子は薙刀を振りかぶり、団長は槍を正面へ向け構える。
瞬く間に詰まる彼我の距離。激突までは後五間、三間、一間――零。
響き渡る、刃と刃が噛み合う金属音。両者、反対側へと一気に突き抜けて――数瞬後、崩れ落ちるは天馬騎士団団長。
「……見事だ、小百合子とやら……我が第二の生に、またとなき強敵で……あった……」
その技を讃える言葉を残し、団長もまた骸の海へと還っていった。
団長が斃れて尚、あくまで抗戦を続ける騎士達であったが、最早勝負は明白であり。その全てが討ち取られるまで、長い時間がかからなかった。
「アスタルシャ陛下……どうか、ご武運を……我らが悲願、必ずや……成就、を……」
最後の騎士は、消滅間際にそう言い残し、消え果てていった。
●
そうして、猟兵達はアリステラに在する天帝騎士団の勢力を駆逐。奴隷として拉致されてきていた人々の救出にも成功。
以て、アリステラ周辺空域を制圧し、天帝騎士団に対しても少なからぬ打撃を与えたのである。
彼らの願いとは如何なるものか――疑問は残るも。其を叶える鍵、『アルカディアの玉座』を巡る戦いは、尚も続く。
大成功
🔵🔵🔵