アルカディア争奪戦③〜明滅鉱脈防衛線
●アルカディア争奪戦
「皆様! ブルーアルカディアに異変が起こりましたわ!」
エリル・メアリアル(
孤城の女王・f03064)が慌てた様子で集まった猟兵達に叫んだ。
「ブルーアルカディアに、突如『
拒絶の雲海』が発生しましたの!」
拒絶の雲海。それはこのブルーアルカディアに眠る『アルカディアの玉座』を起動したことで発生する、雲海発生現象であるという。
起動者はこの世界に存在する6つの屍人帝国。ほぼ同時に起動されたことで、かなりの規模で拒絶の雲海が発生しているようなのだ。
「アルカディアの玉座から発生した雲海が、資格のある者にだけその道を拓く……そして、アルカディアの玉座では到達者に『願い』を叶えてくれるそうだけれど……」
エリルは忌々し気に眉間に皺を寄せる。その為に生まれた雲海は、今いくつかの浮遊大陸を呑み込もうとしているのだから。
「ともかく! このままにしておくわけにはいきませんわ!」
エリルがぐっと拳を握る。
「拒絶の雲海で世界が飲み込まれるのも、アルカディアの玉座でオブリビオンが願いを叶えることも……両方阻止しますわよ!」
そう言って、エリルは拳を高く突き上げるのであった。
現在、アルカディア争奪戦の中に『オブリビオンフォーミュラ』の姿はない。
それでも世界の終焉を予感させる戦いは始まってしまった。その脅威を目の当たりにしながらも猟兵達は屍人帝国同士の戦いに乱入する。
――アルカディア争奪戦。その戦いの火蓋が切って落とされた。
●ジェード王国とゼルフの鉱脈
「まず皆様に向かって頂くのは、ジェード王国に占領された浮遊大陸……その名も明滅鉱脈ゼルフ!」
この浮遊大陸は内部に多数の天使核を擁しており、島の内部には入り組んだ天使核採掘のための坑道が張り巡らされているという。鉱脈内は大陸の名の通り明滅しており、美しい輝きを放っているという。
「どうやらジェード王国は、その天使核を奪い、持ち帰るために占領したようですわね」
天使核はブルーアルカディアにとっては重要な動力源だ。採掘が進めば進むほどにジェード王国の軍備は増強されるだろう。
「その為にも、皆様には坑道を襲うオブリビオンを退治していただきますわ!」
エリルがそう告げ、島の地図を開いてみせる。
「敵は『堕翼の巫女』と呼ばれるオブリビオン。天使核から力を引き出す術に長けているとのことで、このオブリビオンに天使核を奪われれば、通常よりさらに危険になる可能性もありますの」
そこで迎え撃つならば……と、エリルは坑道の入口から内部を指で指し示す。
「そう、坑道の中。坑道は非常に入り組んでいるから、うまく利用すれば相手を翻弄出来る筈ですわ!」
天使核は坑道の奥に多い。入口付近を戦場に利用すれば天使核を奪われて逃走される可能性も低いだろう。
そこまで説明した後、エリルは猟兵達に言う。
「この明滅鉱脈ゼルフ……ジェード王国から天使核を奪われ始めて以来、鉱脈そのものの輝きが徐々に失われて行っているようですわ」
この鉱脈の輝きを失わせないためにも、これ以上天使核が奪われてはならない、とエリルは言う。
「ですから皆様、この浮遊大陸の皆様の為にも、お力をお貸しくださいまし!」
そうして、エリルのグリモアが輝き始めた。
G.Y.
こんにちは。G.Y.です。
ブルーアルカディアでの戦争が始まりました。
今回も微力ながらお力添えさせていただきます!
今回はボス戦のみのシンプルなシナリオです。
天使核を奪いにやってきたオブリビオンを、坑道内で迎撃しましょう。
敵は天使核を優先しますが、坑道の構造に詳しいわけではありません。その為、うまく利用すれば有利に戦うことが出来るでしょう。
プレイングボーナスは『坑道の地形を利用して戦う』となります。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『堕翼の巫女』
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POW : 大いなる御使い
自身の【所持する魔獣の天使核】を代償に、1〜12体の【大天使から賜った御使い】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD : 対帝竜用実験術式
レベル×1体の【天使核連結式竜型大魔獣】を召喚する。[天使核連結式竜型大魔獣]は【極光のブレス】を放射する能力と【竜】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
WIZ : 天からの声
【大天使からの託宣を受ける】事で【予知能力】を得た【天使核暴走形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:鳥小箱
👑11
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四王天・焔
アドリブ・連携歓迎
●心情
天使核をオブリビオンに奪われる訳にはいかないよ。
此処の坑道は何としてでも守って見せるからね!
●行動
坑道の内部構造をメモしながら記憶しておき、
行き止まりの道や分岐点を把握しておくね。
坑道の中で身を隠せそうな場所や、敵の死角を付けそうな場所にも目途を付けておく。
敵が坑道の奥深くまで行くのを阻む様にしながら戦い
敵を坑道の入り口付近までおびき寄せるね。
戦闘では白狐召還符を使用して戦うね。
白狐様に騎乗して【属性攻撃】で炎属性を強化した狐火で攻撃。
焔自身も【フローレ】を構え、白狐様を走らせ【ランスチャージ】で突撃攻撃。
敵の召喚した魔獣もフローレによる【範囲攻撃】で纏めて攻撃するよ。
仰木・弥鶴
まずは相手を坑道の奥に入れないようにするのが先決かな
あとはこの地形を生かして自滅してもらおうか
坑道入口付近で待ち伏せ
道が分岐する前なら入れ違うこともないだろうしね
白燐蟲を纏わせたハンドガンでお出迎えだ
おいで、来ないならこのまま撃ち続けるけどそれでもいい?
できるだけ入り組んだ狭い道へ誘い込んで相手の機動力を殺したいところ
帝国に占領されてから人の手が入っていないなら脆くなっているところも多そうだけど…
狭所に嵌ったところへ弾丸を当て、白燐蟲を相手にも付与
さて、坑道で起こる事故といえば落盤かガス突出か…
自分が巻き込まれないで済むかどうかは幸運任せだね
うまくいけば残りの弾丸を全て撃ち込んでから脱出しよう
メナオン・グレイダスト
・POW
明滅鉱脈ゼルフの防衛、天使核を狙うオブリビオンの軍勢の撃破。
そのためにも……【グレイダスト・レギオン】。手勢を召喚し、防衛戦に備える。
坑道内部の複雑な構造の把握、部隊の展開などを済ませたうえで手勢を坑道に配置し敵勢を待ち構える。
敵が攻めてきたところでまずは誘引。坑道の分岐路などを最大限に活用する。敵戦力を分断しつつ誘い込み、最後には挟撃や奇襲により逃さずに撃滅する。無論、自身も剣戟や銃砲の群れを生成して戦う。
……自身も手勢も、自身が生成する灰色砂塵を供給することである程度は損傷を修復できる。長期戦? 望むところだ。
お前達が何であれ……この“灰色の魔王”を、容易く抜けると思わぬことだ。
●
明滅鉱脈ゼルフ。天使核を豊富に含む坑道は、アルカディア争奪戦において、屍人帝国の格好の的となってしまった。
今ではその中の一国『ジェード王国』の支配下となり、毎日のように天使核の搾取が行われているのだ。
「天使核をオブリビオンに奪わせるわけにはいかないよ」
そんな状況に、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は意気込む。
これ以上鉱脈を荒らさせるわけにはいかないと、ゼルフの人々に笑ってみせる。
「此処の坑道は何としてでも守ってみせるからね!」
間もなくオブリビオンがやってくる。猟兵達は敵を迎え撃つべく、作戦を開始した。
「まずは相手を坑道の奥に入れないようにするのが先決かな」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は坑道の入り口を見渡して呟く。
幸い、坑道の入り口付近に天使核は無く、オブリビオンは坑道内へと侵入せざるを得ない。
「あとは……」
弥鶴が入口から、明滅する坑道へと目を向けた。
入り組んだ坑道は輝きを放ってもなお、奥底の知れない不気味さをどこか漂わせていた。
●
「みな、力を貸せ」
メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)の言葉と共に、自身の身体が端からはらはらと崩れ始めた。そうして散った灰色砂塵は、メナオンの指示に従って寄り集まり、形作って彼の配下となる。
「坑道の内部構造を把握するのだ」
その言葉に従い、配下が坑道内をバラバラに散ってゆく。
「こっちは行き止まり、だね」
焔もそれに混ざり、坑道の地図にメモを付けてゆく。
身を隠せそうな場所、死角を突けそうな場所……それらの事前情報は、オブリビオンと戦う上で非常に高いアドバンテージを得ることが出来るであろう。
「そろそろ来るか。皆配置につけ」
メナオンはオブリビオンの気配を察すると、配下を坑道の至るところに潜ませる。
それと時を同じくして、空の彼方より堕翼の巫女が坑道へと舞い降りた。
「この奥に天使核が……」
堕翼の巫女が、坑道の入り口に立って呟く。明滅する坑道の光は誘っているかのようで、堕翼の巫女は躊躇いなく坑道へと足を踏み入れる。
その時、突如として銃声が鳴り響いた。
「待ち伏せっ!?」
ハンドガンの銃撃を見舞ったのは弥鶴であった。銃を撃ち続けながら、弥鶴は告げる。
「おいで、来ないならこのまま撃ち続けるけどそれでもいい?」
「ふふ、甘く見ないで」
明らかな挑発だ。堕翼の巫女はその場から動かず、魔獣の天使核を取り出す。
「貴方達の相手をするのは、わたくしの御使い!」
天使核から『御使い』達が現れる。それは異形という他は無く、巫女の尖兵として弥鶴を襲う。だが、御使いは弥鶴へと近付く前に、横からの乱入で吹き飛ばされてゆく。
「更なる伏兵ですって?」
御使いを吹き飛ばしたのは、メナオンの配下であった。メナオンは敵が配下を呼び寄せることを想定し、様々な位置に配下を忍ばせていたのだ。
「ほら、どうする?」
そんなメナオンの配下に守られるようにしながら、弥鶴が銃を撃ちつつ後退してゆく。
「くっ……」
その弾が巫女の頬を掠め、巫女は苛ついた顔を見せる。
「なら、皆様全て殺し尽くしてあげましょう!」
巫女は御使いと共に坑道内部へと入り込んでゆくのであった。
●
坑道内に入り込んだ巫女と御使いたちは、猟兵達の巧みな誘いに乗ってしまう形で、分断されていた。
12体もの御使いは、分岐の度に時間差の攻撃を受け、一体、また一体と巫女の元から数を減らしていったのだ。
さらに、事前に坑道を良く把握していたことも幸いした。
「挟撃だ」
孤立した相手に前後左右から攻撃を行うことが出来た。これにより、速やかに敵の数を減らすことが可能になっていたのだ。
さらに、メナオンの配下は、自身の灰色砂塵の供給によってある程度の修復が出来る。
「長期戦? 望むところだ」
その結果、御使いたちは坑道内で次々と倒れていったのである。
「お前達がなんであれ……この“灰色の魔王”を、容易く抜けると思わぬことだ」
「……ならば、まずは天使核確保を……!」
劣勢となった巫女は、天使核の奪取を最優先にすることを考え始めていた。
それは当然の考えかもしれない。だが、同時に読みやすい考えでもあった。
「そっちには行かせないよ」
奥へと続く道の前に立っていたのは、焔と、彼女の呼び出した白狐様であった。
白狐様に乗った焔は狐火を放ち、巫女を追いやる。
「くっ!」
狐火は巫女へと炸裂し、巫女は苦悶の表情を向ける。続けて飛来する狐火を避けるべく、巫女は坑道の分岐へと逃げ込み、壁を盾にしてやりすごす。
だが、それこそ焔の作戦通り。追い立てられた先は、坑道入口への逆戻りルートであった。
「行くよ、白狐様」
続けて、焔の言葉に従い白狐様が駆ける。手にした竜槍【フローレ】を向けて突っ込めば、さらに巫女は追い立てられ、目指す天使核からはどんどんと遠ざかってゆく。
「仕方がないですね……!」
追い立てられた先で巫女が天使核をさらに取り出すと、坑道内に大型魔獣を呼び出す。
「フローレ、お願い」
だがそれもドラゴンランスから青い竜へと変身したフローレの攻撃によって退けられてしまう。
「……なぜ、どうして!?」
魔獣達は皆、急所を突かれて消滅していた。それに、先程からあらゆる行動がうまくいかない。まるで運が巫女に味方をしていないような……。
「いっておいで」
その時、弥鶴の銃弾が巫女の腕を貫いた。その弾痕を見て、ふと気が付く。
「これは……」
弾痕から現れたのは白燐蟲であった。そういえば、坑道に入った時にも銃弾で傷をつけられていた。
「ここは帝国に占領されて人の手が入ってないせいで、壁が脆くなってるんだ」
弥鶴が巫女に向かって告げた。
「さて、坑道で起きる事故といえば落盤がガス突出か……」
「まさか……!」
瞬間、地響きが鳴り響き、突如として巫女の頭上の岩が崩れ始めた。
「自分が巻き込まれないで済むかどうかは幸運任せだけど、どうやら助かったみたいだ」
崩落した岩々から身を引きながら、弥鶴が下敷きになった巫女を見る。
巻き込まれたのは巫女ただ一人。落盤の下敷きになったのならただでは済まないだろう。だが。
「……大天使からの宣託を受けました」
落盤の下から声が響いた。ごぼりと岩が持ち上がり、その下から巫女が現れる。
その姿は『天使核暴走形態』。命と引き換えに爆発的な能力上昇と予知の力を得る秘術だ。
巫女は落盤の直前、天使核暴走形態へと変身し、落盤の予知を行ったことで、致命傷を避けていたのだ。
「許せません、許せません……!」
ぶつぶつと恨み言を呟き続ける巫女。今だ健在という雰囲気ではあるが、それでもこれまでの戦いでかなりのダメージを負うことになった。猟兵達は十分すぎる成果を得ることができたであろう。
大成功
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ミア・ミュラー
ん、きらきらして綺麗な、ところね。こういう場所を身勝手な理由で壊させるわけには、いかない。
わたしは広い通路みたいなところで戦いたい、な。走り回っていい場所を探して待ち伏せ、しよう。
まずはある程度距離を取って戦いながら、敵がブレス攻撃をしてくるのを、待つよ。吐いてきたらこっちも【闇弾】を、ぶつける。ドラゴンの一斉ブレスは強いと思うけど、ブレスに周りの鉱脈に、吸収できる光はたくさんあるからこっちも負けない、はず。
隠れる場所もないし、そのまま通路を真っ暗にしちゃえば簡単には逃げられない、よね?この闇でみんな力を奪って、あげる。もうこれ以上天使核は渡さない、から。
「ん、きらきらして綺麗な、ところね」
明滅鉱脈ゼルフの坑道の中で、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)はその神秘的な光景に息を吐いた。
しかし、その坑道もジェード王国の侵略によって、輝きを失いつつあるのだという。
「こういう場所を身勝手な理由で壊させるわけには、いかない」
無表情ながらにぐぐっと拳を握り、ミアはゼルフを守る為に意気込むのであった。
「ここは……」
猟兵達に追い立てられた堕翼の巫女は、一際大きな通路へと迷い込んでいた。
入り組んだ坑道の中でも広い空間はいくつか存在している。そんな場所をミアは戦場として選び、待ち伏せていた。
「ここから先は、いかせない」
ミアがスートロッドを構え、巫女へと立ち向かう。その姿に、巫女はくすくすと笑い始めた。
「こんな場所で、あなた一人が?」
そう言いながら、巫女が天使核を取り出す。天使核はみるみる形を変え、巨大な竜型大魔獣が次々と現れた。
「わたくしとこの魔獣達、あなた一人でどうやって勝とうというのです?」
「かんたん、わたしは負けない、から」
ミアがスートロッドから魔法を放つ。魔獣や巫女へと放たれたそれを受け流し、巫女が苛ついたように告げる。
「ならその間違いを一瞬で思い知らせてあげます!」
巫女が手をかざすと、魔獣達が一斉に息を吸い始めた。極光のブレスを放とうというのだ。
「きた……」
だが、それこそがミアの狙い。
明滅するゼルフの鉱脈に、ブレスの光。
「これだけの光があったら、こっちも負けない」
スートロッドをかざし、ミアが言う。
「其は闇……撃ち抜き、奪い去れ」
瞬間、周囲の光が一気に消え去り、突如として暗闇が訪れた。
「な、なに!?」
「この闇でみんな力を奪って、あげる」
ブレスの光も、ゼルフの明滅も、全てが吸収された。そしてそれはすべて、ミアの
闇弾の力となった。
「……暗い! これでは……!」
突然訪れた闇の中で、巫女が右往左往する。ゼルフの鉱脈の中で輝いていた光が、今巫女にとって仇となり、逃げるという選択肢さえも奪ったのだ。
「隠れる場所も、逃げる場所もない、よね?」
超巨大な闇の弾が、巫女達へ向かって放たれた。暗黒の弾が暗闇の中で炸裂し、生命力を奪い取ってゆく。
「きゃ、ああああっ!!?」
呼び出した魔獣達が消え去った。そして巫女自身も、ミアの闇の力によって、かなりの深手を負うに至るのであった。
「もうこれ以上天使核は渡さない、から」
大成功
🔵🔵🔵
氷宮・咲夜
価値あるものは奪われる。シンプルな需要の法則ね
それなのに。私をおいて奥に進もうとするなんて
わりと需要がある方だと思うのだけど。どうかしら?
もちろん、奪わせてはあげないけれど
そんな冗談で
UCによる『もう一人』が準備を整える時間を稼ぐ
双方共に
移動には暗視、ダッシュ、忍び足、聞き耳を適宜用い
瞬間思考力と瞬間記憶にて、内部構造と位置関係を立体的に把握、共有する
同時に姿を現さないことで二人いる事を悟らせず
把握されていない方が、高速詠唱&多重詠唱して待ち構え
不意を突いて、魔導書:水の水属性攻撃を全力魔法&一斉発射
からの乱れ撃ちへの変化で弾幕を張りながら敵視界外へ後退
それを繰り返して、敵が気づけば挟み撃ちよ
「価値あるものは奪われる。シンプルな需要の法則ね」
氷宮・咲夜(精晶石の魔術師・f37939)は坑道の中で呟いた。
数多くの天使核を保有する明滅鉱脈ゼルフは今、屍人帝国『ジェード王国』の手に落ち、その内部の天使核を搾取され続けていたのだ。
「それなのに……」
咲夜の前に立つのは、堕翼の巫女。今回天使核を奪いに来たオブリビオンである。
「そこをどいてください」
巫女がそんなことを言うものだから、咲夜は『ふん』と鼻で笑いながら言う。
「私をおいて奥に進もうとするなんて。わりと需要がある方だと思うのだけど、どうかしら?」
長い黒髪をさらりとかきあげてみせるが、巫女は全くの無関心だ。
「興味ありませんね」
ここまではっきり言われると腹も立つというものだが、ひとまず咲夜は堪えて笑う。
「ま、欲しがったってもちろん奪わせてはあげないけれど」
咲夜が後退しながら魔法を放つと、坑道の奥へと消えてゆく。
「ここまで来てみなさい!」
坑道の奥から聞こえる咲夜の声に、巫女はくすりと笑って歩き出した。
「言われなくても」
巫女が坑道を少し進むと、脇から水の魔法が放たれた。
「……先程の猟兵ですか」
魔法を躱した巫女が周囲を見渡した。近くにいるのは確実だが、姿が見えない。そこで巫女は天使核を取り出して『天使核連結式竜型大魔獣』を呼び出し、さらに警戒を強める。
「……そちらですね!」
僅かな足音と、かすかに見えたなびく黒髪に、巫女が魔獣に指示を出す。極光のブレスが坑道を焼こうとしたその瞬間。
「……!?」
再び、魔力で作られた水流が巫女達を死角から襲ったのだ。
「な、なんですって!?」
魔法の一撃を受け、巫女と魔獣がのけぞる。そこに続けざまに、さらなる死角から嵐のような弾幕が放たれる。
「瞬間移動!?」
攻撃を受けた方に向けば、再び咲夜の姿があった。咲夜が姿を消せば、今度は別の角度からの攻撃を受けてしまう。
「くっ! どこにいるの!?」
狭い坑道内で、たった一人の相手に翻弄され続ける巫女。いいや、その『たった一人』という認識こそが、大いなる誤解だったのだ。
「「これは私の夢か、それとも私が夢なのか。あなたはどちらがお好み?」」
坑道の前後を『二人の』咲夜に阻まれ、巫女は目を丸くする。
「そ、そんな
……!?」
咲夜は最初から、ユーベルコードを用いてもう一人の自分を呼び出していた。そして、互いに攻撃をすることであたかも一人であるかのように振る舞っていたのだ。
「どう? 挟み撃ちされてみて、私の魅力がわかった?」
「そんなものっ……!」
言い終わる前に、二人の咲夜は魔法を放つ。避けることに出来ない連続攻撃を受け、巫女は大きなダメージを負うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
でっかい天使とか大魔獣とか、狭い坑道では充分に力を発揮できなハズ!
逆に小柄な私はその辺の岩陰にいくらでも隠れられるから有利!(地形の利用)
こっそり隠れて、天覇強弓で射掛ける! しゅばば! でもってすぐ逃げる!
警戒したところに究極甲虫インペリアル・ドレッドノートがぶーん
足元で音が! アサルトケルベロス!(ベーゴマ)
壁を走る影! インフィニティ・ブレイカー!(車のオモチャ)
攻撃するべきか、攻撃したら起動する罠なのか
警戒より困惑が濃くなって来たら、私の出番だ!
気配を覚らせない幻惑の歩法で踏み込み、【劉家奥義・四凶戮塵拳】!
明滅鉱脈ゼルフから天使核を奪おうとしたオブリビオン『堕翼の巫女』は焦っていた。
この地に多くの天使核があるからと言われて奪いに行ったのは良いが、返り討ちの憂き目にあってしまった。
それに、この狭い坑道では、配下を呼び出しても上手く扱うことが出来ていないのも状況を悪くしていた。
このままでは天使核を奪うどころか、こちらの命が奪われる。坑道から脱出するべきか……。
そう考えていた時、坑道の闇の奥から一本の矢が巫女に向かって勢いよく飛び込んできた。
「!?」
巫女が咄嗟に避けて飛来した方向を見ると、その奥に弓を携えた少女の姿を目撃する。
「しゅばば!」
少女は劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。彼女は小柄な身体で周囲に身を隠しながら、巫女へと攻撃を開始した。
「くっ……」
突然の攻撃に巫女が警戒する。だがそれも涼鈴の思惑のうち。
「究極甲虫インペリアル・ドレッドノート!」
坑道から魔界の戦闘昆虫が現れる!
「きゃぁっ!?」
がぶーんと噛みつかれて驚いた巫女の足元で、今度はしゅるしゅると謎の音が響く。
「な、なにっ!?」
「アサルトケルベロス!!」
困惑している巫女に涼鈴が放っていたのは、改造ベーゴマであった!
さらに、壁をしゅいいいんといったモーター音と共に駆ける影!
「インフィニティ・ブレイカー!!」
小さい四駆の玩具が巫女を翻弄する。立て続けの脅かしに、巫女の困惑度合いは最高潮。今こそ、涼鈴の出番である!
「ど、どうなってるの!?」
おもちゃの連続攻撃に戸惑う巫女をよそに、涼鈴は静かに、気配を消して進み出る。
その幻惑の歩法は、巫女に気付かれることはなく、涼鈴は自身の間合いに巫女を捕らえる。
「……えっ!?」
その瞬間、噴き出した殺気に巫女が目を見開いた。気付けば、涼鈴の拳が眼前に迫っていたからだ。
「あんま好きじゃないんだけどね、これ!」
一撃。殺気を受けて咄嗟に身体を捻る巫女であったが、空しくも直撃を受けてしまう。
「くうっ!?」
二撃。避けられるはずの攻撃が避けられない。拳の打点は分かっている筈なのに。
「劉家奥義!!」
涼鈴の拳、三撃目が叩き込まれた。そこでようやく気が付いた。涼鈴の拳と同時に放たれる殺気が、巫女に打点を誤認させ、回避を著しく難しくしていたのだ。
しかし、もう遅い。
四撃目――!!
「四凶戮塵拳!!」
「がっ……はっ!!!」
四打目の拳が巫女の鳩尾に深々と突き刺さった。そしてそれは巫女の『死』を運命づける一撃であり、間もなく巫女は、骸の海へと還ってゆくのであった。
こうして、明滅鉱脈ゼルフを襲うオブリビオンは倒され、この地は奪還された。
しかし、このアルカディア争奪戦で屍人帝国が玉座を奪ってしまえば、再びこの地に危険が降りかかることもあるだろう。
それを阻止するためにも、猟兵達は再び雲海を駆けるのだ。
大成功
🔵🔵🔵