●春から夏? いいえ冬ですよー
季節の境目、今時期の天候は崩れやすいと言われることもあるようだが、よもや季節が巻き戻るとは思うまい。
「な、なんだこりゃあ!?」
「さ……さみぃ~~!!」
藩を繋ぐ街道一帯を突如襲った猛吹雪。天が気違いでも起こしたか――いや、
「さぁ皆! ここら辺ぜーんぶ猛吹雪に変えて、私達の物にしちゃいましょ!!」
どこから湧いたか、雪女。雪華と呼ばれるオブリビオン集団が街道に襲い掛かれば、あっという間に極寒の監獄の完成だ。
家屋を丸ごと埋めてしまうほどの豪雪に、人々は為す術無く圧殺されてしまうのだった。
●サムライエンパイア・14thラウンド
「なんということでしょう……こんな時期に、雪女達が大暴れする悪夢を見てしまいました!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)が伝えるサムライエンパイアの異変はまさに身が凍るような恐怖映像だった。雪女による極大災害は人々の命を平然と奪う。しかしそれがオブリビオンによるものである限り、猟兵達には立ち向かうだけの余地がある。
「その世界はサムライエンパイアになります。雪女『雪華』の集団は突如として現れ、大地から人から何から何まで、全てを雪の底に沈めてしまうんです。大変な災害ですから私達で止めなければなりません……ただ、彼女達が何処からやってきたのか、というのがはっきりとは分かりませんでした。旅人のようにふらりとやってくるわけではないので、彼女達は一旦何処かに集まっているはずなのですが……。そういうわけですので、皆さんには現地での雪華討伐に際し、まずは街道で少し情報集めをしていただきたいです。お茶屋さんにでも行けばたくさんの人がいるでしょうから、ちょっとお食事したり、周りを散策したりしてお話を聞いてみるとかは如何でしょう? 他の世界での長い戦いをようやく終えられそうでお疲れのところと思いますので、気分転換、リラックスといった感じで過ごしてみるのもよいと思います! それではどうぞよろしくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
今の時期って季節はどっちなんですかね、と思いながら初夏って書きました。夏なのでしょうか。
●フラグメント詳細
第1章:日常『お茶屋で一服』
お茶屋でゆったり過ごしながら、周りの人に話を聞いてみるといいと思います。
5月は色々ありましたので慰労的な意味でもいいのではないでしょうか。
第2章:集団戦『『雪女』雪華』
情報が集まったら早速現地へ向かいましょう。
やっつけてしまえば晴れて街道も安泰です。
第1章 日常
『お茶屋で一服』
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POW : 屋台そばや握り寿司など、たっぷりとお食事を味わいます。
SPD : 周辺の散策や、ちょっとしたパフォーマンスなどで楽しみます。
WIZ : お団子や抹茶など、甘味をゆっくり味わいます。
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鳴上・冬季
「素朴な甘味を楽しむ…ふむ、悪くないですね」
「ここの甘味は団子ですか?ではそれと茶をお願いします」
茶屋という茶屋に立ち寄り甘味と茶を所望
「私は甘味行脚の最中で、この辺りの甘味という甘味を食べ尽くす予定です。ところで最近、茶飲み話にふさわしい面白い話はありませんか」
各店の甘味は一通り頼みながら話を聞く
「こちらの店はみたらしが気に入りました。20人前いただけますか」
「ほう、ここは焼きまんじゅうがなかなか。何個買えますか?できれば50個ほどいただきたいですね」
購入した甘味はもちろん壺中天の時間のない部屋にしまう
「出来上がりを待つ時間も楽しいものです。ついでに面白い小話でもふるまってくれませんか」
●街道甘味三昧
花見の季節はとうに過ぎ去ってしまったが、茶屋は変わらない賑わいを見せていた。人が行き交う場所には会話の花が咲く。馴染みの顔も一見の旅人も気安く言葉を弾ませていた。
そこへまた一人。鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が暖簾を覗いて入ってきた。中をぐるりと見回して、奥の壁際に空いた席を見つけて座りにいく。
「いらっしゃい! 何にしましょう!?」
冬季が席に着くとすぐに、店内を駆け回っていた快活そうな女性が声を掛けてきた。冬季は席に据え付けの品書きを傾け目を通す。
「……ここの甘味は団子ですか?」
「はい! うちの団子は百里の先まで噂が届くって大評判で!」
「ではそれを。あとは茶を……種類があるようですから、あなたが団子に最も合うと思うものを持ってきてください」
「かしこまりましたー!」
女性はにこやかに笑み、ぱたぱたと速足で冬季の注文を伝えにいった。それで冬季は一旦落ち着き、改めて店内を眺める。客層は老若男女問わず。団子や羊羹といった甘味を齧り、茶をすすりながら談笑している。
「兄さん、見ない顔だねえ。どっから来たんだい?」
ふと、視線が合った隣の席の、四十路ほどに見える男が声を掛けてきた。その向かいにも同じほどの見た目の男がいて冬季に視線を向けている。
「少々遠くの方から来ましてね。今は甘味行脚の最中で、この辺りの甘味という甘味を食べ尽くす予定です」
「どひゃあ、食べ尽くすってぇと……何軒になるんだ?」
向かいの男が指折り数えようとしていたが、それを呆れたように見る男。
「指十本じゃ足らねぇよ。……それじゃ、もう何軒か回ってきたのかい?」
「いえ、ここが一軒目ですね。雰囲気が良さそうに見えたので。……ところで最近、茶飲み話にふさわしい面白い話はありませんか」
「おぉ、あるさあるさ。知ってっか、兄さん。ここは団子が一押しだが、夏に出てくるかき氷もうめぇのなんのって。蜜のたっぷりかかった甘ぇのがよぉ」
「ほう、かき氷ですか」
「あれうめぇよなぁ……近くの山にさ、氷室があんだよ。そこから氷を運んできて、がーりがーり削って、蜜をとろーってかけるんだ。……あぁ、話したら食いたくなってきた」
夏の風物詩とも言えるかき氷。さて、氷と雪女、何やら縁がありそうな気配もあるが――。
「おまたせしましたーっ!」
それより先に団子と茶がやってきた。皿と湯飲みが置かれたところで冬季の思考も一時中断。団子と茶、一心に楽しまねば礼儀を欠くというものだ。
「とりあえず今は団子食って、また夏にかき氷食べに来てくれや! そん時も俺らはきっといるからよ、甘味行脚の話の一つも聞かせてくれな?」
「えぇ、勿論。では――」
冬季は団子に耽る。一つを串から噛み取って舌に転がす。甘い。噛めば噛むほどにじわっと広がる甘みは団子にしては濃厚で、評判が広がるのも頷けた。
湯気の立つ茶をすする。渋い。だが団子と合わせればすっきりと喉に落ちていく渋さ。そして団子の甘さが懐かしくなって、また齧る。新鮮さと懐かしさが織り交ざったような不思議な感覚の中に落ちていく冬季。気が付けば団子も茶も綺麗さっぱり無くなっていた。
甘味行脚と言うからには、間を置かず次の茶店に足を向ける。出来上がりを待つ客に話を聞けば、その店はみたらし団子が人気だとか。
教えられれば食べるしかない。冬季も同じように待つ。香りだけが漂ってくる時間はもどかしいという思いも無くはないが楽しみが勝っていた。客達と四方山話でくつろいで、いざやって来た団子を一串食す。
「……確かに。待つだけの価値はありました。気に入りましたので二十人前いただけますか」
告げられて店主は驚きながらも二十人前のみたらし団子を手早く整えた。それを冬季は壺中天にしまい込んで次の茶店へと。飽きとは言わないがここらで何か新たな甘味が欲しい。そう思っていたところに甘い湯気のような空気が漂ってきたので、冬季は惹かれて店先に顔を出していた。
その正体は焼きまんじゅうであった。冬季が訪ねた時は丁度焼き上がりで具合がいい。旅の客に混ざりながら一口齧り、柔らかな生地とほんのりした甘みに舌鼓を打つ。
「ほう、これもまたなかなか……あと何個買えますか? できれば五十個ほどいただきたいのですが」
まさに大口の客。店主は端数をまけて五十個の焼きまんじゅうを冬季に売り、ほくほく顔で次の焼きまんじゅう作りに取り掛かる。鼻歌を背中に聞きながら、焼きまんじゅうをしまった壺中天の重みをそこはかとなく感じて甘味行脚はまだ続く。
そうしていよいよ両手でも数え切れぬほどに回った次の茶店で、また出来上がりを待つ間。
「腕利きと同時に目利きともお見受けします。ついでに面白い小話でもふるまってくれませんか」
「面白い小話ねぇ……そういや、山ん中の池で氷が張ってるのを見たって客がいてよぉ、バカ言っちゃあるめぇ、いくら氷室ん近くだからってそうはならねぇって笑ってやったさ。ただ、その客は嘘じゃねえって何遍も言い返してきてよ……どうだい、あんたは本当だと思うかい?」
「この時期、池に氷ですか……氷室の氷が池を凍らせた、ということは無いように思いますが――ちなみに、その氷室の詳しい場所はわかりますか」
巡った先で再び出会ったのは偶然ではない気がして、冬季は店主に尋ねて聞いた。腹も些か膨れており、冬季の次は小休止、山旅になりそうであった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
んー…また季節外れな。
まずはお茶屋さんにて甘味と抹茶を買いましてー。ついでに噂話でも聞きましょうかねー?
最近、季節外れの白いものを見なかったとか?
戦争で疲れ溜まってるのも事実なので、あとはゆっくり甘味。味わいながら…噂聞こえないかとー。
…最近の陰海月、本当にお茶にハマってる気がするんですよねー。
気づいたら粉末抹茶が増えてたんですよ…家に。
※
陰海月、抹茶+串なし団子にハマっている。この組み合わせ美味しい。ぷきゅぷきゅ。
霹靂、陰海月に甘味分けてもらってる。クエクエ。
●本日の降雪確率は
雪女の到来。それはまるで星の裏側にでも迷い込んでしまったかのようなお伽噺だ。季節外れも甚だしく、気安く語れば夢見が過ぎると一蹴されかねない。
それでも、人と人とが数多に交われば何処かに必ず噂は生まれる。甘味に茶の一杯もあれば饒舌にもなるに違いない。茶店を訪れた馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は陽気の射す長椅子に腰を落ち着け、傍らに陰海月と霹靂を置いた。
店の者には月見団子のような盛り合わせと抹茶を二杯、自分の分と陰海月の分を頼み、しばしの暇を鳥のさえずりと人々の歓談に耳を傾けながら過ごす。どこそこの城下が祭りの時期だの、どこぞの集落で温泉が湧いただの、縁があれば触れてみたい話題で持ちきりだ。
「ひー……この時期にあんな思いをするとは思わなんだ。すまねぇ、あつーい茶を二人分持ってきてくれ」
義透が座る長椅子の右隣、男二人が両腕を擦りながら座り込んできた。店の者が来る前に自ら中へ声を掛けて注文を伝え、そして座ってもまだ落ち着かない様子。
何やら事情がありそう、と義透は耳をそばだてていた。二人の男は揃って一つ安堵のため息をつき、聞かぬ事情を語り出す。
「でもよ、山の天気は変わりやすいって言っても、この時期に雪は降らねべさ」
「だよなあ。思わず駆け下りてきちまったけど、なんだったかなあ、ありゃ……」
(雪、ですか。季節外れの白いもの……どうやら見たようですね)
雪と来れば雪女。男達に尋ねれば有益な情報が舞い込んでくるとの確信は持てたが、幸か不幸か義透の元へ団子と抹茶が運ばれてくる。陰海月は触手を万歳と揺らして喜びを表現し、それに合わせて霹靂もクエと一鳴き。
(……ま、声を掛けるのは団子と抹茶を味わってからでも遅くありませんよね)
場には空気というものがある。今はまさに「お団子を食べて疲れを癒したい! 抹茶もゆっくり味わいたい!」の空気だ。主に陰海月から発せられている。
故に義透も共に楽しむ。盛られた団子を楊枝で一つ刺し、口に運ぶ。もちもちとした食感、弾力があり、しかし歯切れも良いという天下の一品。陰海月は団子を小さく千切って霹靂にも御裾分け。仲睦まじく、義透も見ているだけで気が和らいだ。
そうしているうちに例の男二人に熱い茶が運ばれてきて、二人は湯飲みを受け取ると同じタイミングで口をつけ、同じタイミングで生き返ったようなため息をつく。仲が良い、と表現するのは少々幼稚が過ぎるか。良い相棒、そんな関係に見えた。
日がな一日、何もなく過ぎればよかったが――そうはいかぬとグリモアは告げた。団子は思いの外早く片付く。誰が何個食べたかは確かめるだけ不粋であろう。
「もし。お寛ぎのところすみませんね、小耳に挟んでしまったお二人の話が、どうしても気になったものですから」
男二人は初めきょとんとした表情であったが、義透が自分達の話を信じてくれる者であることが分かって矢継ぎ早に喋り出す。
山道に突如として寒風が吹き荒れ、雪に見舞われた。義透は場所も詳しく聞き出すと、愛想よく挨拶して、二人がいたという山へ向かう。雲のかかる様子も無い山。殊更不気味なその山は、確かに骸の香りを漂わせていた。
大成功
🔵🔵🔵
愛知・叶恋
★ソロ希望
ご主人様の許へと赴く前に、出来ること、やれることを増やそうとして来ました
右も左も分からないままに、散策します
あっちへキョロキョロ、こっちへキョロキョロと、うろちょろしたりします
そんな中で、漏れ聞こえてくる話を吟味したりします
持ち合わせがないので、行動方針はSPDです
自身の本来の役割で、ご主人様のことを悦ばせるだけでなく
他のことでも、喜んで貰えないかな、なんてことを
パフォーマンス(大道芸)を見ながら考えたりします
ただ、見ている大道芸に対しては
(コレは違う…)
という印象を受けました
そのあとで、周辺の散策をして、初夏の自然を楽しんだりします
※まだ幼いので、こういう所で、情緒が育まれるのでしょう。
連れているからくり人形たちは、
精巧で自律型なので、端から見る限りは、少女の仲良し集団に映っているはずです
●新世界に飛び込んだ少女
街道には茶屋が軒を連ねるのだが、人々の楽しみはそればかりではない。
「よっ、ほっ!」
道行く者達を楽しませようと大道芸を披露する者達が居る。傘の上で枡を転がしてみたり、棒の上で皿を回してみたり。お手玉の要領で何本もの木の棒を代わる代わる宙に放り投げてみせる者も居れば、頭の上に食器を高々積み上げて歩く者も居た。
成功の度に街道は賑わった。歓声に包まれた街道を、少々物珍しい格好の少女達が。
愛知・叶恋(ご主人様(ベルカ)に恋する愛玩人形4姉妹・f37396)と、彼女に連なるからくり人形達は街道散策に勤しんでいた。茶屋へ入ろうにも持ち合わせが無く、かといって大道芸人のように芸を披露して人々からお金を貰うこともできない。そもそも叶恋は自分にできることを増やそうという考えでこの地を訪れていたのだが――。
(コレは違う……)
叶恋が思い描く「できること」とは大道芸ではないようだ。ちょっと眺めては大道芸に熱中している観客達を横目にすたすたとその場を離れる。
もう一つの任務、オブリビオンの隠れ家探し。大道芸の輪から少し離れると今度は道行く者達の四方山話が聞こえてくる。その中に何か有益な情報がないか、叶恋は聞き耳を立てている。
零れてくる話は彼らの日常生活が中心だった。娘が、息子が、旦那が、嫁が、と枚挙に暇がない。そのほとんどに叶恋は縁が無く、半ば聞き流しているだけであったが。
「……でよ、山へ芝刈りにいったらよ」
何だか昔話の導入みたいな話が聞こえてきた。家族談義は食傷気味で、叶恋は気晴らしに山の話へ耳を傾ける。声の主は丁度叶恋の横を抜けていったため、追うように叶恋はくるりと振り返り、悟られない距離でついて歩く。
二人組。相方は頷きながら話を聞いていた。
「あそこには茶屋の氷室があんだろ? もうすぐかき氷の時期だなぁ……って見てたら、真っ白い雪みてぇなのが、びゅうっと出てきてよ。何だありゃ、って思ったけど、怖くて近寄れなかったさ」
「よくわかんねぇけど、さすがに雪はねぇべ」
「だよなぁ」
男が見たという謎の現象を一笑して、二人組は別の話を始めた。叶恋はそこで追跡を止めて街道付近に聳える山を見る。初夏の新緑に包まれた中に白む氷室があるという。叶恋の足では少しばかり長い旅路になるか。
街道から枝分かれした細道に向かい、叶恋は山を目指した。歩けば次第に喧騒は遠のき、名も知らぬ鳥の鳴き声、虫のさざめきが俄かに湧き立つ。見る物全てが目新しく、叶恋は木々に触れては感嘆し、自然の音色に耳を澄ませた。
そうして、木漏れ日に包まれた山中であったが不思議と肌寒くなった頃。
「ここ……よね……?」
群がる足跡を薄雪の上につけてきた叶恋とからくり人形達は、巨崖の一画に深く掘られた氷室を見つけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『『雪女』雪華』
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POW : 氷柱散華
【巨大な氷柱】による素早い一撃を放つ。また、【自壊させて大量の氷柱や氷刃にする】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : 雪華輪
自身が装備する【冷気吹き出る雪結晶】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 我が身は雪と共に在りて
肉体の一部もしくは全部を【吹雪】に変異させ、吹雪の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
👑11
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●豪雪警報、その前に
氷室には、氷室なのだから氷の塊が堆く積まれていた。その冷気につられたか、集う者達――雪女『雪華』の集団。
「ふふふ……これだけの雪女が集まれば、人間なんてあっと言う間に殺してしまえるわ! 皆! 準備はいい!?」
そのうちの一体が号令をかけると、甲高い鬨の声が上がった。いざ征かん、人間の里へ。
出陣はもう間もなくであったが――ぞくりと。雪女が背筋の寒気を覚える気配。
未然に防ぐべく辿り着いた猟兵達が居た。氷室には大荒れの雰囲気が漂い始めるのだった。
馬県・義透
さてー、まあ向いてるのは彼なんですよねー。支援はしますのでー。
人格交代『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎、四天霊障
引き受けた。しかし、氷室は大切であるからな…わしだと溶かしてしまう。
内部支援で天候操作・風の向きが限定的で、炎が周りに行かぬようになっとるのう。ありがたい。
さて、その氷柱…自壊で素早くなる。なれば、自壊させねばよい。四天霊障に炎属性を纏わせて溶かして潰す。
万一自壊されても、そこへ四天霊障やるからな。
さらに、UC使用の黒燭炎で突き刺していこう。内部に炎を置くのも忘れずにな。
※
今回は邪魔になりそうなので、陰海月と霹靂は影に引っ込んだ。抹茶飲んで、けふっ。
●散り際の美しさ、そして儚さ
近場までは一緒についてきたものの、変質した冷気を漂わせる氷室を前にして陰海月と霹靂は何やら相談を始め、やがて義透の影に引っ込んでしまった。入口は彼らが並んで入れるほど広くはなく、大立ち回りを演じるにはやや手狭、との判断。抹茶をたっぷり頂いた後は全力で義透を応援するのが彼らの務めだ。
そして「義透」もまた適任者へ。氷には炎、と相場は決まっている。
「――引き受けた。しかし、氷室は大切であるからな……わしが溶かさぬよう、支援を頼むぞ――」
飛び込む傍ら、内へと語る。義透の背後より猛烈に吹き込んだ風が内部で渦巻き壁を作った。
「ひゃあっ!?」
雪華達も煽られる。呑まれまいと堪えているところへ義透が霊障に込めて放った炎がじゅわりと焼け付き、巨大な氷柱へ変化し始めていた雪華達の体を溶かす。自壊を封じれば姿に等しき童のようで、追って放たれた黒燭炎の一突きに胴を貫かれ、雪華達は雪解けのように消えていく。
「どうしてここが――!!」
溶ける中でも鋭さを保って細かな氷柱を生じさせ、加速する雪華達が在った。表情には困惑が伺える。場に撒かれた炎を掻い潜り、自身の頭上から巨大氷柱を振り下ろしていったが向けられた炎はまた厚く、巨大氷柱と相殺し消滅していく。
その先には義透がやはり待ち構えており、疾風の如き突きで雪華の体を串刺しにした。それを振り払い雪華の亡骸を地面に叩きつけ、次の者へと目を向ける間に穂先が穿つ。迅速であり的確、而して飽きることなくひたすらに。
雪華が散っていく。煌めきは義透の炎があってこそ、一層際立って散りゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
蒼月・暦(サポート)
デッドマンの闇医者×グールドライバー、女の子です。
普段の口調は「無邪気(私、アナタ、なの、よ、なのね、なのよね?)」
嘘をつく時は「分かりやすい(ワタシ、アナタ、です、ます、でしょう、でしょうか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
無邪気で明るい性格をしていて、一般人や他猟兵に対しても友好的。
可愛い動物とか、珍しい植物が好き。
戦闘では、改造ナノブレード(医療ノコギリ)を使う事が多い。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●真夏を巡る真冬の戦い
氷室内に積み上がった氷塊は削り出せば夏を代表する甘味となる。賑わいのある茶店の街道を襲撃しようとしていた雪華達の根城でもあったそこへ飛び込む蒼月・暦(デッドマンの闇医者・f27221)は、ふと、改造ナノブレードで削り出したらどうなるのだろうと考えた。
細かなノコギリ状の刃はきめ細やかなかき氷を生み出すに違いない。口に含めば体温でほわっと溶けて、清涼感が広がっていく――。
だがそれは街道の皆で楽しむべきもの。抜け駆けは想像だけにしておいて、暦はムッと雪華達を睨みつける。対する雪華達も暦に向けて細く吊り上げた強い眼差しを向け、着物の袖、裾にあしらわれた模様と同じ雪結晶を周囲に散りばめていた。
「私達の邪魔は――させないわ!!」
念力で回転力を与えられた雪結晶がブレードとなって暦の正面、左右に襲い掛かってくる。突き刺すような冷気も噴き出して見た目以上に有効範囲が広い。改造ナノブレードを素早く薙いで雪結晶の吹雪に斬り込んでいった暦、刃は届きはしたが、打ち砕かれた雪結晶からは冷気が迸って暦の体を凍えさせる。涼は瞬く間に通り過ぎて極寒まで急転直下。暦は白息をふぅっと吐きながら、改造ナノブレードを離すまいと感覚が遠ざかりそうな手に熱量を流し込む。
進撃の動きは些か鈍ったものの、刃を乱舞させる暦はじりじりと雪華の群れに詰めていく。雪華達は横並びになって雪結晶を暦へと放っており必死の形相だった。雪結晶の物量に斬撃の物量をぶつける暦、勢いを翳らせれば一気に崩壊してしまう単騎戦線を、歯を食いしばって持ちこたえさせる。
それこそ氷を削り出すかのような忍耐の作業。だが街道に溢れていた笑顔を思い出せばどうということはない。真上から叩きつけるように振り下ろされた改造ナノブレードがついに氷壁の如き雪結晶を貫いた。同時に暦は鮮血色のオーラを刃に纏わせて踊る。斬撃は手近な雪華達を真っ二つに斬り捨てて、三日月様の形を象ったオーラがその外縁に集まっていた雪華達の体を鮮やかに裂き散らす。
切断面から体内の冷気を零し、突っ伏す者もあれば天井を仰ぐ者もあり、瞳の色を失くした雪華達は折れた氷柱の如く砕けていった。
成功
🔵🔵🔴
虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に
登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり
ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である
技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆
射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能
●輝ける一瞬を
戦いの余波が氷室の環境を一層の極寒にしていたが、虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)の自爆に懸ける熱量には雪結晶の吹雪もそよ風に等しかった。鋭利な雪結晶の刃に身を刻まれようとも構わず氷室内部を驀進し、雪華達を射程に入れる。自爆、自爆、自爆――その一心であったうつろぎの姿はブラックタールの不定形の体でも雪華達を慄かせるに足る不気味さを放ち、彼女達はひっと息を呑んだ。
それが雪華達の最後の行動だった。一爆鏖殺、魂を燃え上がらせたような爆炎にタールの破片が混ざり込んで雪華達を襲う。着物は立ちどころに灰となって散り、真白の体が溶けて流れて蒸発する。為す術無い、とはまさに今の彼女達に相応しい言葉であろう。それほどにうつろぎは捨て身の一撃に己の全てを懸けていた。
氷室は蒸した熱気に包まれる。幸い、蓄えられていた氷には他の猟兵の風の防壁があって被害は食い止められていた。そしてうつろぎだった破片は、忘れた頃にもぞもぞと動き出して集まり、また次の自爆へ邁進していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
桜井・乃愛(サポート)
桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
人間のパラディン×シーフの女の子です。
普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●在るべき姿へ
山を蝕む異質な気候。夏も間近というのに桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)と赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)は遭難者のような気分で氷室を目指していた。
凍り付いた雪面に足跡がしゃりしゃりと続く。準備運動がてらと山を登ってきたが、体が温まる傍から熱が奪われていく。
「見えてきたよ、あれ……!」
乃愛が指差す先には間欠泉の如く吹雪の噴き出す横穴があった。先に何人かの猟兵達が現場である氷室へ押しかけていることは伝え聞いている。戦いは佳境を迎える――それは同時に、戦場が極寒の地であることを意味している。
「……行きましょう、街道の平和と、皆さんの笑顔のために……!」
愛は決意を言葉に変えて口を引き結ぶ。乃愛はその想い応えるように気合を高め、静かに頷き返し、愛と共に氷室へと飛び込んでいった。
「みんな! 集まって!!」
雪華の集団は猟兵達の猛攻に圧され、氷室の奥へと追いやられていた。密集して陣を固め、細腕を巨大な氷柱に変えている。愛が手にする二振りのバスタードソードより遥かに厚い刃で徹底抗戦の構えの雪華達。戦場の空気は冷たく張り詰めていた。
「こんな寒さにも――私は負けない! 桜の花々よ!」
乃愛もまた二つ、片手銃、ブルーミング・ファイアと小型槍、緋桜の宝槍。それらを乃愛は撃つでも突くでもなく雪華達へと投げ放っていた。同時に二つの武器は柔らかな光を放ちながら桜の花びらへと変じて氷室内に花吹雪を起こし、雪華達を巻き込んでいく。
雪華達は両腕の氷柱を振り回して花びらを斬り飛ばしていたが、一片、二片、彼女達の着物を斬り裂いていくと、途端に叫び出す者が現れる。
「きゃあああ!! 頭が、割れるぅ
……!!」
「しっかりして! ただの花びらじゃない……気を付けて!」
春の香りを齎す桜は触れれば精神の破壊を来す。雪華達には邪悪極まりない存在で、刻まれた者達が次々に蹲る。
「私が後ろで援護するから――お願い!」
乃愛が追い討ちとなる武器を取り出す横を愛が素早く駆けていった。精神は崩壊するも肉体の崩壊には至らない者達、あるいは抵抗を続ける者達が乱れた陣で抗っている。その彼女達を残すことなく討ち取るのが愛の役目だ。
雪華達が鋭く尖った氷柱の切っ先を愛に向けて突き出してくる。触れた全てを凍らせてしまいそうな印象を抱かせる透き通った氷柱は互いに接触することなく、愛の四肢をぐちゃりと潰してしまいそうだった。それらを愛は二薙ぎ、左右から対角に交差させて氷柱を斬り砕き、そのまま陣の中へ突っ込んで回転乱舞の斬撃を放つ。愛という竜巻に襲われた雪華達は氷柱と化した両腕を粉砕された後、胴体やら首やらを斬られて地に転がっていく。
「私達の季節が終わっちゃう……!」
「季節は自然のままがいいの……だから、無理矢理作った冬は、これで――お終い!」
氷柱を自壊させて氷礫を撃ち出した雪華に対し、愛はそれを上回る速度で両剣を薙いで弾き返す。十字に放ってきた雪華の悪あがきの斬撃にも右下段から刃を振り上げて打ち砕き、絶望の淵に堕ちた雪華の頭に左の刃を振り下ろして真っ二つ。
キラキラと輝く断面から雪華の残骸が溶けていく。そして全てが消滅すると冷気は俄かに収まって、山は夏の気配を取り戻すのだった。
成功
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