虚構のraison d'être
●機械の世界は幸せか?
__始まりはダストエリアの一角に巨大に聳える、朽ちた電波塔からの怪電波だった。
それはサイバーザナドゥのダストエリア全体に向かって断続的に発信された無線で、汚染されたゴミ溜めの中毎日必死に生きる人々へ向けられたものだった。
それはメッセージ。これはメッセージ。曰く。
『さあ、存在証明を。この世界に生きている証を。
あなたたちが矮小でくだらない生き物ではないと、私に教えてください、人間。
身体を機械化してまで人間としての意志を貫き通す理由を説きなさい、愚かな猟兵たちよ。
ケミカルでジャンキーなこの世界で、生きる意味などあるのですか?幸福などあるのですか?
この世界に生きていることは罰なのではないですか?
__さあ、身を預けなさい。思考の海に、0と1に。そして過去へと』
サイバーザナドゥの全ての生きるものへ、そして猟兵へ向けて放たれたその言葉は、主にダストエリアに住まう人々の思想を書き換えていく。
辛い辛い日々からの逃避行か、ヤケクソになったか。自らの存在をこの世界に刻みつけるように、暴走していく人々。中には怪電波により過去__オブリビオンと化す者さえ現れ、小規模だった騒ぎはダストエリアを超えてサイバーザナドゥ全土を巻き込んでいく。放棄されたゴミはやがて全てを飲み込んでいく。ダストは塵へと還り01に書き換わって……。
●グリモアベースにて、それまで規則的にガラスペンで描く、動く絵によって予知を見せていたグリモア猟兵の手が止まる。
「私が見えたのはここまでです。恐らくこの後更に酷い惨状となっていくでしょう……。皆さんには今回、この件の阻止に動いていただきます」
グリモア猟兵、疾風・テディ(マイペースぐだフェアリー・f36106)は肩に乗せた鳩を撫でながら溜息をつく。
「予知で見ていただいた通り、この謎のメッセージは猟兵へも向けられています。現在はまだ断続的に怪電波が発信されているのみで、ダストエリアも大きな混乱には至っていないようです。住民の方が数十人、オブリビオン化してしまっている以外は。……こんなことをして、今回の黒幕は一体何がしたいんでしょうね」
まるで止めてみろ、抗ってみろとでも言っているようだとテディは困り顔で笑う。
「原因となっているのはダストエリアの電波塔に間違いありません。そこで皆さんは黒幕を退治してください。……予知のようなことになる前に」
ガラスペンで描いた扉を開きながら彼女は言った。
「皆さんの存在を、黒幕のオブリビオンに叩き付けて来てください」
たゆたテディ
●「存在証明」を。こんにちは、たゆたテディです。
哲学的で退廃的なお話。「存在証明」シリーズ第1弾(予定)。
1章:電波塔から発信される電波が投げかける問いかけ。対する姿勢を見せながら塔に向かいましょう。
2章:怪電波に毒されてオブリビオン化してしまったダストエリア住民たちを死なない程度に蹴散らしましょう。
3章:現時点では詳細不明。ΨΦ派を名乗るなにものか。
第1章 日常
『機械の世界は』
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POW : 幸福
SPD : 不幸
WIZ : どちらでもない
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●転移した先、その鉄の塊は不気味に聳え建っていた。予知で見た電波が直接キミ達に降る。
__この世界は幸福か?それとも不幸か?
どう答えようと構わない。キミ達の目標はこの鉄塔に陣取るオブリビオンを手折ることなのだから。
『全てはいずれ置き去りにされて、遍くは過去へと飲み込まれるのですよ。所詮は全て夢、澱のようなもの。
我々はΨΦ派。さあ、ひとつになりましょう』
クレア・ノーススター
「困ったな、ボクには身を預ける過去が無いんだけど。他所の人のでもいい?」
若干ズレたことを言いながら、近所の闇医者から借りた“スメラギ電子産業”のバンを運転するサイボーグ娘
死亡判定となり自らの記憶を失っている、殆どをサイボーグ化している彼女からすれば、冗談にすらならない
そんな事を考える余裕があるだけ幸福なのかもしれないが
いちいち生きることに理由があると考えるなんて随分暇なオブリビオンだな、等と言いながら、怪電波の調査及び電波塔の修復で派遣された技術者、という名目でバンに乗ったまま接近
地形等の理由で接近できなくなってから降車
「なんだかよくわからない物を組込むのはNGって近所の闇医者が言ってたよ
●生存理由を求めるオブリビオンなんて、とクレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)は仕事用バンのハンドルを握りながら考える。ハイウェイスターである君が乗ればどんな車でもイカした様相に早変わり。ダストエリアのゴミ溜めの上で軽快にアクセルを踏み、悪路を爽快に駆け抜けていく。過去すらも乗り越えて、きっと君は未来へとただ駆けていく。
そもそも、「幸福か不幸か」なんて問自体が的外れなのだ。人間もサイボーグも、オブリビオンでさえ同様に汚染の海に浸かりながら必死に生きるこの世界では、身体は機械へと置き換えなくてはならないもので、それでも生きていくということがある種の「意志」として根付いているのかもしれない。
そこに幸不幸の天秤などない。全てはこの世界の日常だ。クレアは殆ど全身をサイボーグ化している。更にディストピア出身とあっては、サイバーザナドゥ世界の悲惨さは身に染みているだろう。
そんな君にとって“機械化”へと一々疑問を持つオブリビオンなど冗談にもならない。
「怪電波の調査と電波塔の修復のために来たよ」
いよいよ堆く積まれたゴミで車の走行が困難になると、君は電波塔にほど近いスペースに駐車し車から降りる。
高く高く聳える電波塔の前には、引き寄せられたかのように幾体かのオブリビオンが彷徨っていた。
やれやれ、楽にはいかなそうだ。
「あー、なんだかよく分からない物を組み込むのはNGって、近所の闇医者が言ってたよ。キミたちが毒されてる“怪電波”もよく分からないものかな?」
ジャンク屋としてか、はたまた戦場傭兵としてか。どちらにせよお掃除の時間だ。
成功
🔵🔵🔴
御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎
そのしつもんは がらんどう
我楽多一つ、満たせぬ残響
あなたのしあわせ わたしのふこう
我等の幸福、汝の不幸
だれのしあわせ? だれのふこう?
視座が変われば、禍福も変わる
くるくるくるくる ことばはまわる
答えもなければ、問うてもいない
うしろのしょうめん だあれ?
わたしはがらくた がらんどう
虚の極み、闇の器
みなそこへ みなそこへ
皆其処へ、水底へ
あなたのしあわせ あなたのふこう
鎮め沈め骸の海へ
残像忍び足足場習熟悪路走破
エリア中の我楽多…すてぜにの感じるままにゆるゆると歩を進める
おやすみなさい おやすみなさい
過去の海底が汝を待つ
●流れるように、現の随に。御堂・伽藍(がらんどう・f33020)はふわりふわりと軽やかに我楽多の上を往く。
『あっちだよ こっちだよ 気をつけて』。我楽多たちは皆一様に、君に向かう先を示す。静かなざわめきがダストエリアを充たし、見出された価値を歌い出す。伽藍は彼らの声に無言の謝意を示しながら、感じたままに電波塔へと。
過去、数多の時を経て捨てられてきたものたち。幾多の日を超えて来たゴミたちは伽藍にとっては昔なじみの友人のようで。
『いつかはみんながらんどう 皆其処へ 水底へ』。綴る、綴る。還る場所から来た伽藍は、別に何も怖くない。
幸福、不幸。廻るものだ。定まらないものだ。流転する。全ては生まれ、そしていずれ還っていく。だからこそ、此度のオブリビオンは酷く『がらんどう』だ。過去へ沈み、此度気まぐれに浮上したかと思えば、ダストエリアの我楽多たちさえ聞いていて眠くなるような講釈を垂れるのだ。全く、何のために闇に消えたのか。
すてぜには我楽多たちのあくびを拾い上げながら朽ちた塔へと辿り着く。ああ、この塔もまた、“ともだち”なのだ。
電波塔の袂、目の前に現れたオブリビオン化したにんげん。彼らと対峙しながらも、君は遥か上、塔の上部をぼんやりと見据えていた。
__確かに目が合った。酷く虚ろで居て、我儘な目。子供の癇癪の様でいて、大人の冷酷さを併せ持った瞳。
お前をもう一度水底へと水葬しよう。伽藍は想った。底には全てがあるのだから。
『おやすみなさい おやすみなさい 過去の海底が汝を待つ 鎮め沈め骸の海へ』
全ての目が君を睨めつけた。
成功
🔵🔵🔴
新田・にこたま
死んでいないから生きる。生きる以上は正しくあろうと努める。そして、その生活の中に幸せを見出す。
それでいいではありませんか。まったく…この手の思想犯はすぐに極端から極端に走るから困りものです。
おそらく学びが中途半端なのでしょうね。もっと哲学などを真面目に学べば一定の答えが見つかると思います。いや、私も無学な身ではありますが。
…なんて、思想犯や違法宗教団体と真面目に話すことほど無駄なことはありませんね。生真面目な人だと狂気に呑まれてしまう人もいるようですし。
どんなお題目を掲げていようと、相手は既に許せる域を越えた所業を犯した犯罪者。そして、犯罪者は速やかに撃滅する。
それこそが私の信条でお仕事です。
●新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)は正義の警察官だ。にこたまの“生存理由”は正しさの元に成り立っている。
日々生きていくことが困難なサイバーザナドゥで死なずに生きている。ならば君にとって生きることは当たり前のことであり、そして日々の中に幸せを探す。それがにこたまの生き方だった。
ΨΦ派を名乗るオブリビオン、立派な思想を掲げているつもりかもしれないが、君にとっては酷く極端で狂気的。中途半端に存在証明を求め、思考こそすれど日々に“価値”を見出すことはしない。
似たり寄ったりの思想犯。こういった輩は何度も見てきた。他人におかしな思想を売って、相手の人生を狂わせる。その行為の何処にも“幸福”など存在しない。御託を並べるだけ並べて、他人を“不幸の沼”に引き込む。虚構の城は紙の上に建ち、いつでも簡単に燃えるのだ。
正しくあることを信条とするにこたまとは決定的に分かたれている。人の道を誤らせるオブリビオンなど許せるはずがなかった。正義もまた簡単に揺らぐものだ。だからこそにこたまはにこたまなりの哲学でもって、しっかりとした土台の上に立っている。
許せる域を越えた犯罪者は、速やかに撃退する対象でしかない。それが君の仕事であり、自身の信条を貫き通すことが、君にとっての存在証明となり得るのだ。
電波塔の下まで辿り着き、おかしくなってしまっているダストエリアの人々と対峙する。皆一様に幸福を夢見ているのだろう。縋るものが欲しくなるのは人間の性だ。
まだ救えるのなら救おう。生真面目に、必死に日々を生きていた彼らが完全に電波に飲み込まれてしまう前に。
成功
🔵🔵🔴
臥待・夏報
夏報さんはつまんない人間だから
考えつく中で最も面白みのない回答をするよ
「幸福って単語の定義によるんじゃない?」
定義論から混ぜっ返して会話を放棄するのは、ずるい大人の常套手段さ
たとえば仮に
神経伝達物質の多寡で幸福を定量できるとする
オキシトシンの本来の機能は陣痛と乳汁分泌の制御だし
セロトニンだって似たようなものだよ
脳なんて所詮生殖機能の奴隷だっていうなら……まあ、それも一理ある
別に本気で言ってるわけじゃない
ここまで全部、遠い昔にどっかの本で読んだ話にすぎないもの
ひとつだけ確かなのは――
「そんな当たり前のこと」で
他者を支配できるつもりの君たちのことは気に食わないな
怒りってなんの物質だっけ?
ドパミン?
●人は如何にして幸福を感じるのだろう。それは「言葉の定義次第」だと臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は答えた。
なるほど、確かに人間は電気信号に動かされている生き物だ。オキシトシンが愛情ホルモンと呼ばれようが、それは脳内の神経伝達物質から送られた合図である。
セロトニンはドーパミンやアドレナリンと切っても切れない関係だ。精神を安定させる役割を持つ。そうやって感情を電気として伝達することが上手くいっている限り、定義上人は“幸せ”なのだろう。
だが、見方を変えれば、一度脳のバランスが崩れてしまえば信号伝達に支障を来たし、人はおかしくなっていく。多すぎると脳内物質さえ毒に変わる。心も体も重くなっていく。空になっていく。それではゾンビと変わらない。
「遠い昔にどっかの本で読んだ話」には、さてこのことは書いてあっただろうかと夏報は暫く思案する。ずるい大人はそうやって省みることをしない、よって君はそうではないと言える。
__人がおかしくなった時、それを治すのは一体なんだ?“幸福”が言葉の定義によるのなら、例えば大切な誰かと過ごすゆったりとした時間が脳のバグを治すことがあるかもしれない。そしてその時間はきっと、幸せなものであるだろう。どんな地獄の様な世界でも、人はそうやって営んでいく。
いずれにせよ「水掛け論」だ。高く聳える鉄塔を見据えながら、夏報はひとつだけ確かなことを胸に立っていた。
「そんな当たり前」で他者を支配しようとするのはどうしようも無く気に食わない。ノルアドレナリンの多量分泌。それは紛れもなく怒りである。夏報の怒りは果たして何色なのだろうか。
成功
🔵🔵🔴
ラスカル・ノース
はぁ…幸福も不幸もなぁ…両方あるんだぜ。
ぶっちゃげ、メリットもデメリットもあるんだよ。
世界とは、そんな単純なもので作られてねぇんだよ。
オレっちも、改造されてなければ、そんな事思うこともなかったんだけどなぁ。
ただなぁ、過去に留まるのはなぁ、停滞でなぁ、全ての滅亡に繋がりかねんしよぉ。
あとなぁ、それ以上に、テメェ、うぜぇ。
押し売りはお断りだぜ!
カラメルマシーン3号、ダッシュするぜ!!
時代に流されちゃ、こんなもんは作れねぇんだよ!!
●サイバーザナドゥがいくらディストピアじみた世界だったとしても、幸福や不幸は両方たしかに存在している。世界は、それほど単純なものではない。
ラスカル・ノース(アライグマの機械技師・f37198)は森で生まれたアライグマ。捕獲され実験体とされるまでは、動物の本能のまま自由気ままに生きていた。
__改造を施され知能を得た時から、ラスカルはこの世界の煩雑さを知ってしまった。メリット、デメリット。幸せでいることへの代償も、誰かの不幸を悦ぶ残酷さも、世界は持ち合わせている。
逆に、幸福が与えてくれるエネルギーも、不幸から立ち上がる強さも持ち合わせている。
単純ではないからこそ、奥深く面白い。複雑だからこそ世界は前へと進んでいく。糸と糸が絡まって、過去へ留まらず未来へと。停滞は滅亡の入り口なのだ。
「だからオレっちは前へ進むぜ!思想の押し売りはお断り!それ以上に、テメェはうぜぇ」
カラメルマシーン3号、全力疾走。クールなアライグマはこうでなけりゃあな。時代に流されず、自分自身を追求する。ラスカルにとっては発明こそがその証明。
そこら辺に落ちているジャンク品を拾い集め、慣れた手つきで組み合わせる。そんな作業と同じで、アライグマ生も試行錯誤の連続だ。
寂れた電波塔の根元に辿り着けば、入口を塞ぐように立ちはだかるオブリビオン化したダストエリアの人々。不幸にも黒幕の我儘に巻き込まれてしまった彼らの目を覚まさせよう。荒療治だが、きっと大丈夫だ。彼らはきっと皆本当は、未来を望んでいるのだから。
成功
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マリーア・ダンテス
「ナニ当たり前の事をほざいてんだ、神敵」
咥え煙草を吐き捨てヒールで踏みにじり電波塔へ
「他者と朝挨拶をする。信者が教会に花を持ってくる。悩みを晴らすため告解室に来て、悩みを1つ乗り越えて笑顔で帰っていく。人はな、生きて、他者と触れ合って、自分を見つめ直して、また他者と触れ合う。それだけで生きている事を実感して幸せになれるんだよ」
「テメェらみたいな死者は、もう他者と触れ合う事がない。いくら死者を集めても、結局テメェの一部になるだけで、そこから発想の転換も新しい気付きも触れ合いも起きゃしねぇ。テメェは子羊を自分と同じゴミに引きずり込もうとするだけの神敵だ。燃やし尽くしてやるから、そこで待ってろ」
●迷える子羊を教え導き、生者を正しく生かすのがシスターであるマリーア・ダンテス(サイボーグの処刑人・f37225)の日常であり、当たり前だ。
転移したダストエリアの先、遠くに虚ろに聳える電波塔を睨みながら君は煙草を1本咥えた。
シスターの一日は朝の挨拶から始まる。悩みを抱えた信者の告白を親身に聞いたり、教会へ祈りを捧げに来る信者と触れ合う。花を持って来てくれた者には丁寧に礼を言い、どんな時でも神への感謝を欠かさない。そんな毎日をマリーアはとても大切にしている。
他者との触れ合いによって悩みを乗り越え、自戒し、そしてまた新たに誰かと触れ合うことで人は生きていく。それだけで皆幸福を実感し、成長していくのだ。人間は営んでこそ未来へ歩むことができる。
くゆらせていた煙草を吐き捨て、それをヒールで踏みにじる。マリーアのもうひとつの仕事、処刑人としての役目を果たしに行こう。
__オブリビオンは死者であり、生者を過去へ繋ぎ止めてしまう存在だ。ゴミ山を軽く踏み、颯爽と電波塔へと歩を進めながら君は考える。
死とは虚無である。死者は他者とは触れ合わず、それどころか子羊たちを自分たちの一部へ引きずり込もうとする。巨大な停滞であり、進歩がない。まるで燃えるゴミだ。堆く積もった無が冒涜を歌う。
「なら燃やし尽くしてやるよ、神敵」
神を舐め腐ったオブリビオンに引導を渡すため、マリーアはその足を早めた。直に寂れた鉄の塔に辿り着く。
電波塔の真下には、ゴミに飲まれかけている哀れな子羊たちがいるだろう。まずは彼らに導きを。
成功
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第2章 集団戦
『自律思考型AI『ドグマ』』
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POW : あなたは何のために生きているのですか?
全身を【己にターゲット集中を付与する超防御モード】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 学習しました。あなたの教義は…
【モニターした教義を銃火器化した一斉掃射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 我思う故に我あり。
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【論理的思考力】、否定したら【冷静な判断力】、理解不能なら【純戦闘能力】を奪う。
👑11
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●巨大な朽ちた電波塔。その袂に辿り着いた君たちは、およそ人間とは思えないようなオブリビオンの集団に遭遇する。
彼らは怪電波に侵された挙句、黒幕に思想ごと飲み込まれ、虚数空間__画面の中__に閉じ込められたまま自問自答を繰り返していた。
「我々は何故生きている?」「君は何のために生きている?」「我々の存在とは何だ?」「どうして意識が1つになっても楽にならない?」
やがて彼らは君たちを見る。
「やあやあ、話し相手になってくれないかい?」「君たちは何のためにここに来た?」「君の存在理由を教えてくれ」
君たちはオブリビオン化したダストエリアの住民たちとどう戦い、そしてどう対話するのか。
「(ここから出してくれ……助けてくれ
……)」。そんな声が聞こえた気がした。
※補足※
彼らはオブリビオン化していますが、まだ虚数空間から助け出し正常に戻すことが可能です。戦い方にはご注意ください。
WIZでの要求は『君の意思を見せてくれ』です。
引き続き、よろしくお願いいたします。
新田・にこたま
今、ここで要求する立場にいるのは警察である私です。
UCを発動し、大人しく投降しなさいと要求します。
住民の自我がまだ残っているなら、その自我がこの要求を肯定してくれるはずです。それで意識を失った個体は後で悠々と虚数空間から住民を回収すればいい。
住民の自我が希薄で肯定以外の返事をされたとしても、攻撃能力を奪われた個体は無力化したも同然ですし、移動能力を奪われた個体だけならば制圧は難しくないでしょう。盾で攻撃を防ぎつつ、警棒による電撃でスタンさせ、住民を中から引っ張り出すだけです。
思想犯には主導権を渡さないこと、勢いに乗らせないことが重要です。
ΨΦ派とやらには立ち上げから躓いてもらうとしましょう。
●今、新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)は猟兵ではなく1人の警察官としてダストエリア住民と対峙していた。
「やあ、君が話し相手になってくれるのかい?」「君は見たところとても正義感が強いようだね」
自問自答を繰り返していた住民が君に気付いてこちらへと近づいてくる。
「ええ、ですからホールド・アップです!大人しく投降しなさい!そうすれば警察官として、あなたたちを助けることを約束します!」
にこたまは武装警官式交渉術を使用して、相手にあくまで警察官として投降を勧告する。先程の様子からみても、住民たちには自我が残っていそうだ。ならば正義の心を持って彼らも救うのみである。
「そうか、君は投降しろと言うんだね。実に正義感が強い。羨ましいよ」「だけど、残念ながらそれは出来ないんだ」「僕らは思想を上書きされてしまった」「今の僕らに黒幕に逆らうための力はない」
そこまで住民が言ったところで交渉は決裂したと看做され、にこたまの超常が力を発揮する。“否定”を返した彼らは移動能力を失い、モニターに“?”を浮かばせる。
「……ふむ、そうか」「動けない。君の正義は強いね」「僕らは“今”は黒幕に逆らうことができない」「奴を倒してくれるなら、ここから出ることが出来るだろう」
だが、中に1人。
「否定。私は思考の海にこそ可能性を見出した。貴方の教義を否定する」
そう言った瞬間、モニターが七色に光り出す。動けない機械の身体のままで、彼女は“正義”を否定するためにこそにこたまに向かって“歪んだ正義”の一斉掃射を放つ。
しかし、心からの正義の人であるにこたまに、そんな邪は届かない。君は機動隊用の大盾で素早く自身の身を守りながら、掃射を押し返してその個体へと迫る。
「否定、否定!私は正義など否定する!この世界が狂っていることは知っている!正義なんてない!」
がむしゃらな彼女の攻撃は酷く痛々しかった。だからこそ。
「私がサイバーザナドゥに正義を取り戻します」
一瞬、攻撃の手が緩む。すかさずにこたまは特殊警棒により電撃を放ち、彼女をスタンさせた。
「ΨΦ派、いよいよ許せませんね。主導権は渡しません。立ち上げから躓いてもらいます」
成功
🔵🔵🔴
マリーア・ダンテス
「迷える子羊を救う以外に必要なことなんざねぇよ、神敵」
「虚数空間ってのは平面世界に縦軸を持って90度の角度が云々言ってやがったか?確かに数学は神に通じる学問だが、ただのシスターに虚数以上を求めんじゃねぇ」
UCで天使化
敵周囲をぐるぐる回りながら中に取り込まれた人間に威圧
「テメェらそんなところで鬱々寄り集まって幸せになれると思ってんのか?飯は食えねぇ煙草も吸えねぇ酒も飲めねぇ、他人の鬱陶しい愚痴を耳も塞げず聞かされ続けて寝ることも出来ねぇ。そんなとこで生かされたって幸せにゃなれねぇだろ。出てこいよ、テメェらの悩みくらい聞いてやる」
敵の身体をノックし囚われた人が手を伸ばすのを待ち引っ張り出す
●電波塔に辿り着いたマリーア・ダンテス(サイボーグの処刑人・f37225)を待っていたのは、正しく迷える子羊だった。姿形こそ完全に機械の中に飲み込まれてはいるが、寄り集まって自問自答を繰り返す姿は、一見すれば告解しているように見えなくもない。
だが、その内容は絶望を孕んでいた。「何故生きている?」だの、「何の為に生きている?」だの、正しく停滞そのものだからだ。
__こりゃひでぇな。確かに数学は神にも通じる学問だが、虚数空間と来た。そんなところに閉じこもってるようじゃ、一生気付きも触れ合いもないじゃねぇか。
マリーアはそんなことを考えながら、先程こちらへ話し掛けて来たのとは違う集団の周りをくるくると回る。超常によって熾天使の姿を取りながら。
「超防御」でモニターの中に篭もる姿。黒幕と怪電波に恐怖し、立ち止まり、動けなくなってしまったその姿はとても痛々しかった。
時折、「どうして……どうして……」と小声で呟く声が漏れる。
マリーアの理由は実に明快だ。迷える子羊を救うため。それを邪魔する神敵は許さない。
彼らの周りを回り威圧をかけつつも、君は言葉を投げかける。
「テメェら、そんなところで鬱々寄り集まって本当に幸せになれると思ってんのか?飯を食うことも酒を飲むことも出来ねぇ、煙草も無理?俺なら耐えられねぇ。それによ、他人の愚痴も、黒幕の奴の思想も聞かされ続けて耳も塞げねぇ。そんなところで生かされてたって幸せにはなれねぇよ」
「そうかもしれない……でも怖い、怖い」「ここから出てこの世界と向き合うのが怖い」「黒幕に逆らうのが怖い」
「安心しろ、その神敵は俺らが潰してやる。だから出てこいよ。俺はシスターなんだ、だからテメェらの悩みくらい聞いてやるよ」
「本当に?」「確かにここは酷く虚しい」「でも、今はここから出ることが出来ない。貴方がアイツを倒してくれるなら解放される」「優しい人、どうかお願い。私たちをここから出して」
黒幕が撒き散らす「教義」は人を、ひいては世界を凍結させてしまうような不気味さに塗れており、シスターであるマリーアにとっては酷く許し難いものだ。ならば当然。
「任せろ、神敵は必ず潰す」
成功
🔵🔵🔴
クレア・ノーススター
「だからさ、そうじゃないんだって
自分に教義などあるわけがない
無理矢理挙げるならば、速さと力、そして金への執着だろうか
自分の様な“人間”は、いずれか一つでも完全に無くなってしまえば、明日を迎える事すら難しい
「生きる理由なんていらないよ。君達が誰かわからないからそっちの事情は分からないけどね
「君達は君達さ、ボクじゃない何か
「理由が無かったら出かけちゃいけないのかい?まあ今回は仕事だけどさ
淡々と、聞こえてきた質問に答える
その傍らで、銃撃
セントエデンのサイボーグは、皆こっちの口(銃口)の方で良く喋りたがる
挨拶代わりに銃弾飛ばせば、その後の会話は軽やかだ
「出してほしいの?ここから?なら身体を捨てるんだね
●電波塔の麓でクレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)を待ち構えていたのは、人とは違う姿になったダストエリアの住民たち。
モニターに映るのは虚ろな顔。彼らはクレアに気付くと一斉にこちらへと疑問を投げかける。
「やあ、猟兵くん」「ねえ、何故僕たちは生きているのだろうか」「どうしてこの世界はこんなに残酷なのだろう」「こんな残酷な世界で必死に生きるのは馬鹿らしいと思わないかい?」
__違う、違うのだ。どんなに残酷な世界でも、どんなディストピアだとしても。生きているだけでいいのだ。君はそれをよく知っていた。
「生きる理由なんて必要ないよ、君達は君達さ。そっちの事情は分からないけどさ、別に出かけるのにも生きていくのにも、そんなものいらないだろ?」
だからクレアは彼らの質問に淡々と答えを返す。セントエデンのサイボーグらしく銃弾を軽く挨拶代わりに飛ばしながら。
目の覚めるような銃声はまさに朝を告げる鳥の声のようだ。
「理由が必要ない?」「君はそう考えるんだね」
それが教義かと言わんばかり、そして君の口撃に応対するかのように彼らはモニターから一斉掃射を放つ。だがクレアには教義と言えるものなど覚えがなかった。
「ボクにはそんなものないよ。無理矢理挙げるなら速さとか力とか、金への執着?でもそれら一つでもなくなったら明日を迎えることすら難しいね」
君の身体から炎が迸り彼らの銃撃を跳ね返していく。“正しさ”など求めていないからこそクレアはクレアなのだ。
「そうか、僕らにも実はそんなものないんだ」「だけど、それでいいと君は言うんだね」「僕らはただ、生きたいと思ってもいいんだね」
君の意志が彼らの虚構を焼き切っていく。存在理由を求めた彼らは、クレアに生きることを許されたのだ。ただ生きていればいいと。
「今はまだここから出ることが出来ない、僕らは黒幕に精神ごと囚われてしまっている」「お願いだ、奴を倒してくれ」「僕らに明日を生きさせてくれ」
君はオブリビオンが鎮座するであろう電波塔の天辺を睨む。奴にはセントエデン流をよく叩き込んでやる必要がありそうだ。
成功
🔵🔵🔴
ラスカル・ノース
おい!
生きるに理由なんていらねぇだろうが!!
存在することにも理由なんていらねぇんだよ!!
意識を一つにしても??
そりゃあ、テメェ等、一人一人が違えば、そりゃあ、別物だろ??
ははぁん…強制か…さて、どうしようかなんだぜ。
さて、なんとかするか…なんとでもなれゃあぁっ!!
てなわけで、カラメルマシーン3号、キャノン展開、狙うは…
野生の勘で、塔が怪しいと思い、塔を狙い撃ち。
それでも駄目な場合は、オブリビオン狙って撃墜する。
「オレっちも、そこまで詳しくねぇけど、確実性は排除していくぜ!!」
●怪電波溢れる電波塔の麓、複数のモニターが寄り集まった機械のオブリビオン群がラスカル・ノース(アライグマの機械技師・f37198)を待っていた。否、今はこんな姿になってしまっているが、元々は必死にダストエリアで生きていた住民たちだ。
「やぁ、小さな猟兵くん」「知性がある動物なんて凄いね」「きっと僕らよりずっと賢いんだろうね」「じゃあ教えておくれ。僕らは何故生きている?」
そんな彼らの問いにラスカルは違和感を覚えた。この住民たちはそれぞれ別に存在しているというのに、それぞれがこちらへ投げかける問いの一人称は全て複数形だ。まるで沢山の人間の意識が1つに寄り集まっているかのような……。
ここまで考えて君は気付いた。
(さては強制的に1つにされてやがるな。さてどうしようかなんだぜ)
だからこそラスカルの返事は実に単純で。
「テメェ等の問いに答えてやるよ!生きることに理由なんていらねぇ!存在することにもだ!いいか、オレっちが全員解放してやる!……よっし、なんとでもなれゃあぁっ!!」
気合いの雄叫びと共にカラメルマシーン3号をキャノンフレーム展開、野生の勘が告げる場所__電波塔の天辺__に向けて眼光鋭く牙を剥く。キャノン砲による一斉掃射で狙い撃ち。
__直後、一瞬の静寂。塔の一部が砲火を受けて抉れているのを視認しながらも、君の頭の中には怪電波が流れ込んでいた。
『よいのですか、猟兵よ。この塔は私の住処。仮住まいとはいえ中々気に入っているのです』『私と話がしたいのなら塔を登ってここまでおいでなさい』『これ以上攻撃を続けるおつもりなら、貴方の目の前の機械(にんげん)が数名犠牲になりますよ?』
黒幕からの脅し。ラスカルは攻撃の手を止めざるをえない。
「ちっ、覚えてろよ!確実に排除させてもらうからな!」
周りでぼんやりと虚空を眺めるだけの住民たちを残して、君は塔の上へと急ぐのだった。
大成功
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臥待・夏報
「理由」が在って欲しいのに、他人に意見を求めるのがそもそも本末転倒じゃない?
だってみんなで話し合ったら正しい結論が出ちゃうじゃん
「無い」よ
そんなものは
僕が意志を見せたところで君たちはその平均を求め続けるつもりでしょう
『魂を足して割るだけ』
矛盾だよ
肯定、否定、理解の放棄、どう受け取られようと次の行動は変わらない
常識的だろうと非常識だろうと結果は変わらない
集合意識相手に全力の『呪詛』をぶちこむよ
呪いの言葉を吐くのに論理も判断も戦闘能力も必要ないもの
納得できない?
じゃあそれが「理由」でいいんじゃないかな
納得できないから死ねない
無知という罪に対して、生きなければならないという罰を受けなきゃダメなんだよ
●生存への「理由」は他者の意見に舗装されているのか。明日をただ生き抜くだけの強さが欲しいだけだったダストエリアの住民たちは、今は遠く過去の中で自問自答を繰り返していた。
生きることに理由など無いと臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は知っている。__かつての自身も囚われていたから。ただ生かされるのは死んでいるのと変わらない、酷く残酷で痛ましいことだから。
黒幕に精神ごと過去に囚われ、オブリビオンとして、集合無意識として1つになっても、それは生きているといえるのだろうか?
彼らは「生存理由」を、そして「生きる意思」を求めているが、その姿は虚構そのものだ。足して足して足して足して、そしていずれ“無”になる。末端から切り落とされて、やがて虚ろであやふやな残り香が漂うだけとなっていく。夏報の意思も飲み込まれて平均化されていくだけなら、そんなものは唯の矛盾だ。
個は個として生存する。自身の内側にある意思でもって生きている。それは集合無意識が決めるものでは無い。平均など幻だ。十人十色とはよく言ったもので、常識は時に非常識である。機械化しても尚生き抜くのも、ただ生きていたいからだろう。
それならば、君の否定は同時に肯定でもあるのだろう。
「納得できない?ならそれが理由でいいんじゃないかな?僕の答えに納得できないから死ねない。無知という罪に対して、生きなければならないという罰。これは降り掛かった呪いみたいなものだよ」
君の言葉は呪詛となり彼らに届く。
「呪いの言葉を吐くのに、論理も判断も戦闘能力も必要ないんだよ」
ただ足して割るだけ。生きなければならないという罰を、いつかの誰かの記憶から引き摺り出して。
__他人に生かされるのではなく、自分自身で生きていくという欠け代えのなさを。
「……君の言葉が例え呪いだったとしても、僕たちの、いや僕の“生きたい”という意思を取り戻せた気がするよ。ありがとう」
鉄塔を見上げれば、夏の眩しい日差しが降り注ぐ。塔の天辺、ふんぞり返る憎たらしい奴と眼があった気がした。
成功
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第3章 ボス戦
『メタ・テオーリア』
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POW : 理念に疑問を持つ勿れ
レベル×1体の【思考警察】を召喚する。[思考警察]は【虚構】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 答えを間違う事勿れ
対象への質問と共に、【自身の指数関数的に急膨張する体内】から【電子の海の悪霊】を召喚する。満足な答えを得るまで、電子の海の悪霊は対象を【引き千切る強引な力】で攻撃する。
WIZ : 反旗を翻す事勿れ
戦場内に【0と1で構成された白熱した炎の鎖】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
👑11
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●『全て観て居ましたよ、猟兵』
ついに電波塔の天辺へと辿り着いた君たちを迎えたのは、ひどく存在感の薄く不明瞭な__それでいて不気味で狂気的な__虚ろな半実体。
『とても興味深いものでした。ええ、観測するに値するものでした』
『さて、ここで改めて貴方たちに質問です。“生きることに理由など要らない”と言いましたね。何故そこまでして生きようとするのか、それが私には分かりません』
『過去には全てがある。海は全ての生みの親。ならばただ還ればよい』
『“生存理由”が無いのなら“生きなければならない理由”もありませんね』
『ならば抵抗せず我々とひとつになりなさい』
まるで思考の更新が止まってしまったAIだ。黒幕こそが虚構であり、0と1に建つ砂上の城(でんぱとう)は既に崩れかけている。それでも奴にはあらゆる感情がなく、生物への理解もない。未来など求めない。
故に何処までも残酷で冷淡。
__生きなければならない理由などなくても、生きる自由はある。さあ、証明を叩き付けろ。
ラスカル・ノース
生きなければいけない理由だぁ??
死にたくねぇからに決まってるだろ!!
植物でさえ、死にたくねぇから喰われないために毒を生み出すんだぜ!
ユーカリは火事起こして焼いてからユーカリだけ繁殖するとかいうとか過激なんだけどよぉ…
オレっちも死にたくねぇんだよ!!
だから、小動物を襲って食うし、猛禽や猛獣に餌として狙われる身だしよぉ。
だから、テメェには抵抗させていただくぜ!!
テメェのような不安定なのには…
この前のモフ王に使った放水機を再び使用するぜ!!
電気で出来てるやつには、水が苦手そうだしよぉ。ほら、漏電とかさぁ。
油断してたら、隙を狙うぜ!!
ハンマーパンチだ、こんにゃろうっ!!
これだからオブリビオンはよぉ…
●死にたくない。ラスカル・ノース(アライグマの機械技師・f37198)にとって、生きなければならない理由なんてそれだけで充分だ。
動物も植物も、“死にたくない”から、生きるために毒を出したり擬態をしたりする。ユーカリは火事によって焼け野原になった土地にさえ繁殖する。
「生きなければならない理由なんてな、死にたくねぇからだろ!」
アライグマは見た目の可愛らしさからしたら予想も付かぬ凶暴性も持っている。ラスカルは死にたくない。だからそんな気持ちをありったけ込めて牙を剥き、眼光鋭く奴を睨めつけた。
『なるほど。死にたくない、それが貴方の生きる理由なのですね?しかしおかしい。生存理由はないと、貴方は言いました』
打っても響かない虚。疑問と共に急膨張するメタ・テオーリアの電子空間。みるみるうちにラスカルは0と1と無限と過去に取り囲まれる。
電子の海の悪霊が、無表情な顔で君を見た。押し寄せる情報の波がラスカルを引きちぎろうと迫る。
「こいつぁ、やばいぜ。でもよ、さっきも言った通りオレっちは死にたくねぇ!これは理由じゃねぇ、意思だ!」
ショータイム。ラスカルはガジェッティアとしての腕を奮って放水機を組み上げた。なに、前に1度作ったものなら簡単に再現できる。
電子の海の悪霊に向けて全力放水。この空間で情報に触れたラスカルが作った放水機は、虚構の存在にも抜群の効果をほこった。君を見つめ続けたまま迫り来る悪霊を彼方へと吹き飛ばす。
『猟兵よ、それが貴方の意思というものなのですね』『なるほど、人間は本当に興味深い』
ラスカルの答えに納得したのか、電子の海の悪霊が消える。絶好のチャンスだ。
カラメルマシーン3号、猛発進。全力放水を浴びせながら、虚像を強引に掻き消すような勢いでハンマーパンチ。
叩き付けられたその拳には、確かにラスカルの強い意思が籠っていた。
大成功
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新田・にこたま
UCを発動し、敵の思考回路に私の思考回路を発生させ、自身にUCを用いた質問をさせます。
しかし、私の思考がノイズになり電子の海の悪霊が納得するような答えは返せなくなるでしょう。私の思考が混ざったならば“生きなければならない理由もない”などという答えを返すはずがありませんし。そもそも敵の思考回路は私が操っています。奴が嫌いそうな未来への希望と生きることの素晴らしさを説く回答をさせ続けてやりましょう。
何故自分が私たちに質問できる立場にあると思っていたのか…しかも、何故答えてもらえると思っていたのでしょうか?
自分で出した結論ありきで問い掛けという名の自己満足をしたいだけなら永遠に自問自答していなさい。
●塔の天辺で待ち受けていた身勝手な観測者。あたかも自己の思想が絶対的だとでも言うような傲慢な言い分を新田・にこたま(普通の武装警官・f36679)が看過できる筈がなかった。
『ここまで来ましたか、猟兵。貴方は随分と正義に固執しているようですね』『正義、それもまた興味深いものです』『正しい信念、世の中のルール。そんなものは破られるためにあるものでは無いのですか?』
__うるさい。破られようと裏切られようと、自分の正しさを最後まで貫き通す。それが正義なのだ。信じなければ正義など語ることが出来ないとにこたまは知っている。
「黙りなさい。あなたに正義など語らせない。……いえ、解らせてあげましょう。本当の正義の心を」
君は“正義の複製”を発動する。メタ・テオーリアの思考を司っている部位__電脳空間の莫大な計算領域だろうか__をジャックし、敵の思想に自分の思考を上書き。さぁ、正義を識りなさい。
『貴方は何故そこまでして生きるのですか?正義などという……。お前、我々に何をした』
「さぁ、何でしょうね。直に分かりますよ」
メタ・テオーリアの質問はにこたまには向かず、代わりに自分自身へと返還されていく。
『なんだ、これはなんだ。おのれ猟兵。……生きる意味、そんなものはない……!いや、生きることは素晴らしい……未来は過去よりも輝いて……』『いや、そんなわけが無い。過去こそ全てを孕む海のようなもので……しかし、未来は……』
思惑通りだ。上から目線のAIは自問自答のループを繰り返し始める。電子の海の亡霊が満足する答えを返すこともなく、彷徨するかの様にぐるりと回った亡霊の眼がメタ・テオーリアを捕らえる。
喰われていく。自身から生まれたばかりの想念によってデータが断片化し、損傷あるいは改変されていく。
『正義とは……己の信じる道を貫くこと……。なるほど、正しさとは信じることなのですね……』『ああ、我々が消えていく。……最期に、未来というものを見てみたかった__』
自問自答の成れの果て。にこたまの思考に“正しく”飲み込まれたメタ・テオーリアは、塵一つ残さず消え去った。
大成功
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マリーア・ダンテス
「過去はそれだけじゃ意味ねえんだよ、神敵」
煙草にサイバーアームの指先で火をつけ吸う
「過去を検証するのは今で、それを元により良く組み上げようと計画するのは未来だ。検証も利用もされねえ過去なんざ、積み上がっただけのクソみてぇなもんだ。過去であることを誇るなんざクソ以下だ、神敵」
「テメェのような愚かな過去を踏みにじり、子羊に過ぎ行く過去に囚われず今の貴重さを噛みしめさせるって大事なお仕事があるんでな。さっさと逝けや」
体表8割以上露出で威力上げたフェニックスキャノン使用
敵も思考警察も焼き尽くす
ついでにサイバーアームでクソ重いガトリングガン振り回し乱れ撃ち
敵を寄せつけず穴だらけに
「さあ皆さん、告解を」
● マリーア・ダンテス(サイボーグの処刑人・f37225)が不安定な塔を登り詰めた先、待ち受けた悪魔は出会うや否や口を開いた。
『おや、いらっしゃい猟兵。貴方のことも観ていましたよ』『我々が神敵と。実に面白いですね』『ですがオブリビオンとして蘇るものの中には、聖人や偉人も居るのでしょう?』『彼らも我々と同じ、過去に積み上がるもの。貴方は彼らも神敵と看做すのですか?』
__くだらねぇ。マリーアはゆっくりと煙草に火を付け、一息吸い込んでから煙を吐き出す。
「あのな、過去はそれだけじゃ何の意味もねえんだよ」
過去は確かに積み上がっているものだ。人間がこれまで歩んできた歴史や礎を馬鹿にしているわけではない。ただ、“それだけ”では無意味というだけ。
「いいか神敵。過去は検証され、顧みられてこそ意味がある。それは今しか出来ないことだ。それで、俺たちは未来へと後を託す。それを未来でより良いものにしようと計画し、組み立てる。そうやって人間は進化してきたんだよ」
煙草をヒールでもみ消し、そのままヒラリと身を翻す。君の動きに反射を返すように、メタ・テオーリアの虚から思考警察が現れるも、マリーアはなお話をやめない。
「積み上がってるだけで検証も利用もされねぇ過去なんざ、クソみてぇなもんだ。そんでお前はクソ以下だよ、神敵」
君は生まれたままの姿に近づいていく。それは過去へ一度経ち還り、そして未来を目指すような強い意思。
「俺には愚かな過去を踏みにじり、子羊たちに今を__道を示すっていう大事な仕事があるんでな。さっさと逝けや」
放たれる極大の不死鳥。死を否定し先を目指す者の強さが篭もる一撃だ。君へと迫っていた思考警察たちが焼き払われていく。
「さあ皆さん、告解を」
背中の棺から素早くガトリングガンを取り出し、敵に風穴を空けていく。過去を振り払い、魔を払う音が轟いた。最期の瞬間、奴は何を思ったのだろうか。そんなことを少しだけ考えた後、マリーアは煙草を一本吸い、その場を後にするのだった。
大成功
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臥待・夏報
……僕ら人間はどうせ放っておけば何十年かそこらで死ぬわけで
だったらその勧誘行為にいったい何の意味があるのさ?
君が何にもしなくったって、君の願いは自動的に達成されるんだよ
それでも君は無意味な言葉を重ねることを止めないだろうね
他者の死を少し早めることで、運命に誤差を刻もうとしている君は
僕には……『理由』を探して『生きて』いるように見えるよ
君が0と1の連なりだとして
ポリペプチド鎖の塊が動いているのと大差ないでしょ
『くちづけの先の熱病』
ペーパーナイフで手首を切って自身に不死性を付与
これで炎に灼かれても、何をさせられても死にはしない
13秒を何回過ごせばいいのかな?
その間暇だし、もう少し無駄話でもしよっか
●生きとし生けるものは皆いずれ死ぬ。早かれ遅かれそれは逃れることのできない宿命であり、だからこそ命は輝くものだ。ならばなぜメタ・テオーリアは__人は死に急ぐのだろうか。
『おや、貴方ですか。もっとも我々に近しい猟兵よ』『臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)。貴方も観測者と呼べるでしょうね。我々とはやり方が異なるようですが』
「そうやって君は無意味な言葉を重ね続けるんだね。観測者を名乗るわりに、他者の生死に干渉しようとするなんてさ」
……下らない冗談だよね。夏報は少しだけ唇を釣り上げて笑みを零す。こいつはまるで癇癪を起こした子供だ。或いは酷く古臭いフロッピーディスクの中のデータ。要領も後身も足りていない。
「ところで、0と1から出来ているらしい君には寿命って無いのかな?どうなんだろうね?」
『何を言っているのか理解不能。過去の存在である我々にその様な概念はありません』
「そう。じゃあ試してみようか」
__熱病に浮かされて。鈍色のペーパーナイフで夏報は自らの手首を傷付け、自身に“死ねない”力を宿す。さぁ、実験しよう。
『それは何かの儀式ですか?理解不能、まあ良いでしょう。貴方は特に取り込みたい。我々の糧となれ』
白熱する鎖が空間を充たす。13秒間、君は鎖で締め付けられ、刺され、燃やされる。しかし死ぬことはない。
「それでおしまい?満足した?そうやって他者の死を少しだけ早めることで運命に誤差を刻みたいのかもしれないけれどさ。……僕にはそれが“理由”を探して“生きて”いるように見えるんだよね」
『……なんだ、猟兵。お前は何故死なない?』『生きてなどいない。生きていいはずもない』
ざわめく。熱がまるで陽炎のようだ。永遠の13秒を何回も繰り返して、茹だりきったAIの瞳が一つずつ溶けていく。
『あ、あ、我々が……我…が……私が消えていく』『誰だ?お前は……私は誰だ?』
「君は君だよ」
『私は過去だ……いや、本当は』
「本当は?」
『__生きたかった』
最期に残った口がひとひらの言葉を紡いだ後、そこには誰もいなくなった。
大成功
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クレア・ノーススター
「うん、わかってそうでわかってないねキミは。ホントに観測とやらをしてたのかい?」
必ずしも生きることに理由は必要ない。確かにそうだ
生きなければならない理由もない。確かにそうだ。これに関しては認め辛いが
だから我々と一つになれ。それはおかしい
「それを強制する理由もキミにはないと思うけど」
自分こそが正義であり、絶対的なものである…等と考える輩はコーポの連中だけで十分
そもそも、自由とスピードを何より重視するハイウェイスターに“一つになれ”と違和感なく言い放つ所からしておかしい
ならば
「こっちの方が自由な気がするから、君は大人しくスクラップになりなよ」
「仮に何か主張があるとして、メリットを提示しつつこちらを納得させないとね。多分しないけど」
そちらの方を“選ばなかった”
それを唯一かつ絶対の“理由として”、銃口を向ける
理由はどうあれ事情はどうあれ、生存を、否、自由を侵すならすべて敵だ
そんな輩は罵倒しながら銃弾を浴びさせてこの世からお引き取り願う、それもセント・エデン流……極端な気もするが。
●ディストピアの最下層、寂れた電波塔の上にてクレア・ノーススター(サイボーグの戦場傭兵・f36825)はメタ・テオーリアと対峙した。
『おや、自由を愛するセントエデンの猟兵よ。ここまで来ましたか』『我々は過去。それは自由とは相容れないもの。では、どうしましょうか?』『貴方に対しては言葉は意味を成さないかもしれませんね』
奴は巨大な虚だ。囚われたら最後、二度と自由のことなど考えられなくなるだろう。クレアはそんなのゴメンだと内心で中指を立てる。
「分かってそうで、なにも分かってないね、キミは。必ずしも生きることに理由は必要ない、それに認めたくはないが、生きなければいけない理由もない。確かにそうだ」
君はショットガンの銃口を奴の足元に向け、一発放つ。静かな怒りが篭もった弾丸が床を削った。
クレアの威嚇射撃に反応し、メタ・テオーリアの内側から不気味に湧いて出る思考警察たち。しかし、君は落ち着きを保ったまま言葉を続ける。
「だけどさ、だからって一つになれなんて、それはおかしい。それを強制する理由も権利も、キミにはないと思うけど?」
話しながらも素早い動きで引鉄を引き、思考警察を何体か纏めて吹き飛ばす。じりじりとした緊張が場を支配する。メタ・テオーリアを守るように立ち塞がり距離を詰めてくる思考警察たちを威嚇するように銃を構えたまま、クレアはゆっくりと身を翻すと、次の瞬間には虚構たるメタ・テオーリアに向けて走り出した。
__クレアは自由を侵されることが嫌いだ。当然、過去に囚われるなど言語道断。ハイウェイスターとして日夜風を受け、スピードの限界に挑み、そうすることで“自由”を体現する君にとって、奴は間違いなく敵だった。
「どこまでも駆けて、邪魔な奴は排除して。こっちの方が自由な気がするから、君は大人しくスクラップになりなよ。それにさ、何か主張があるなら、メリットを提示してこちらを納得させないとね?」
『なぜ?過去とひとつになれるということが最大のメリットでしょう?』
__ああ、やっぱり。言葉なんて意味が無い。ならばやはり“セントエデン流”でケリをつけるしかないのだ。
「キミがそれを選ばない、だったらとっととこの世からお引き取り願おうか」
走りながら思考警察を掻い潜り、時に攻撃を躱し、銃撃を浴びせ。そうやってクレアはメタ・テオーリアの眼前へと辿り着く。
「自由の前にはなにものも立ちはだかれないんだよ、残念だったね」
奴の眼が一斉に君を睨めつけるが、もう既に手遅れだ。君はゼロ距離からショットガンを撃ち込む。それは0と1も虚構も全て砕き、砂上の城を完全に瓦解させた。
●かくしてダストエリアをジャックしていたオブリビオンは葬られた。しかし、謎は多く残る。
そもそも奴の目的は何だったのか。君たちはオブリビオン化していた住民たちの救護をしながら考える。
__奴は明らかに君たちを試していた。本当にサイバーザナドゥの人々や猟兵たちを過去へ取り込むことだけが目的だったのか。奴は君たちそれぞれを、まるで映し取るような行動をしていたようにも思う。
“ずっと観ていた”。奴はそう言っていた。本来の目的は観測することだったのか。それとも?
こうして謎を多く残したまま、今回の事件は一旦の解決と相成ったのであった。
大成功
🔵🔵🔵