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マヨイガで遊んで、走って、敵を倒す依頼

#シルバーレイン #【Q】 #マヨイガ #団体様はできればプレ締切が同じになるように送信ください #お待たせしました。すみません。 #3章、プレ受付開始です(4/30の15:16) #再送ありがとうございました! #デイドリーム・アゲイン #路子のグリモア記録


●悪路王の娘はグリモアを得る
「ありがとう、皆。集まってくれて感謝」
 グリモアベースの一角、遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は自身の呼びかけに応じてくれた猟兵たちに礼を告げる。
 そして……おもむろに手元の視肉タピオカミルクティーを差し出す。
「……飲む??」
 違う、そうじゃない。

●無表情のボケはわかりにくい
「冗談」
 そう言いながら、タピオカミルクティーをひと飲みして喉を潤した路子は、予知の内容を話し出した。

「オブリビオンゴーストを倒して欲しい。場所は『マヨイガ』の中」
 マヨイガというのは銀の雨が降る時代よりもさらに古くから今に至るまで、宮崎県の高千穂上空に浮かぶ『超巨大高密度集積住居型メガリス』のことだ。とはいってもマヨイガのある空間は巨大な特殊空間となっていて、数え切れないほどの日本家屋が積み重なっているその外見を地上から観測することは不可能である。通常、ここに至るには銀誓館学園のプール地下に固定された『出入口』を通るしかない。

「実は少し前からマヨイガの中にオブリビオンが迷い込むようになった」
 正確にはピンポイントでマヨイガの中に発生しているといった方がいいかもしれない。
 これの何が問題かというと、マヨイガの中は人魔共存の道を選んだゴースト達が平和に暮らしているのだ。彼ら彼女らは『生命』と戦うことを選ばず、そしてオブリビオンと戦う術を持たない。
「放置する訳にはいかない。でも予知をした者は積極的に関わらない方が良いと聞いた。だからあなた達にお願いしたいんだ」

●予知が指し示す路
「マヨイガの中は広い。というか良く解らない。私でもまだ知らない区画がいっぱいある」
 今回、オブリビオンが発生するのはその路子が知らない区画に当たるらしい。
「つまり、行き方が解らない」
 なのでどうするかというと、生き方を知っているゴーストに聞くしかない。
「予知が指し示したのは『しおまねきーず』……シオマネキの妖獣2匹」
 ただし、とてもデカい。人の子供くらいはあるんじゃなかろうか。
「いつも砂浜にいるから、そこに行けば会える。人見知りはしないけど、知らないヒトには何も教えてくれないかも」
 というわけで、まずはしおまねきーずと砂浜で遊んで仲良くなって欲しい。その上でオブリビオンが発生する区画への行き方を聞けば、しおまねきーずが教えてくれる。
「そうしたら気合と根性で問題の場所まで行って、オブリビオンを倒せば終わり。簡単」
 簡単ではあるが、相手はオブリビオンだ。十分に注意して欲しい。
「倒すべきオブリビオンは『シラバキ』。生者への強烈な怨念を纏うゴースト」
 このシラバキは自身のいる場所を呪詛で霊的に汚染して、その範囲を徐々に広げていく。
「汚染が本格的に始まる前に……どうかお願い」
 そう言って路子は猟兵たちをグリモアの転送でマヨイガへと送り出すのであった。

●転送されるとそこは海でした
 ざざーん、ざざーん。

 小さな白波が寄せては返していく。どこまで続きそうな白い砂浜の上で、ちょこまかと動いている巨大なシオマネキの妖獣が2匹。右のハサミが大きい赤っぽい子と左のハサミが大きい青っぽい子。名前は珊瑚とルリである。
 今日も今日とて砂浜で遊んでいるわけだが、今日は来客があった。しおまねきーずの視線が海とは反対側に向く。そこに転送されてくる猟兵たち。
『……』
 知らないヒトが来てちょっと動揺しつつ、遊んでくれそうな雰囲気に期待して口元から泡をぷくぷく吹き出している。
 さて、まずは……遊ぶか。


るちる
 まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
 路子の初予知、お届けします。やはりマヨイガを選ぶべきかと思いまして。
 妖獣動物園のマヨイガーゼットが懐かしい。うちの悠さんも旦那とデートスポット作ってましたねー。そんなマヨイガで事件です。

●全体
 3章構成の通常シナリオです。
 1章はしおまねきーずと遊んで交友を深めてください。2章はしおまねきーずが教えてくれた道を通って件の区画まで駆け上がります。3章でシラバキを退治する、という流れです。
 なお、しおまねきーずはこちらからお借りしています。
 うちの悠さんが参加したマヨイガ依頼ですね。

●砂浜にきたらカニだってお城作りたいんです
『http://t-walker.jp/sr/adventure/rp.cgi?sceid=24544&comment=on』

 しおまねきーずは言葉を話せませんが、言っていることはなんとなく伝わるテレパシー仕様です。砂のお城とか砂遊び大好きっぽいです。

●1章
 日常『海へいこう!』ということで遊びます。
 ほぼ選択肢通りのことが出来ます。しおまねきーずを連れて歩いていれば自然と仲良くなれるのでないでしょうか。
 海まで出る時は船に乗せてあげてください。沈んじゃいますので。
 行き方を聞く部分はプレにあってもなくても大丈夫です。

●2章
 冒険『(内容はナイショ)』
 しおまねきーずが教えてくれた入り口から、シラバキが出現する区画まで一直線に向かいます。特別な技能は不要な内容です。もちろん技能やユーベルコードがあればさくっといけます。なお、気合と根性。

●3章
 ボス戦『シラバキ』と戦いです。
 シラバキが出現するのは、枯山水のような庭園になります。特にトラップがある、ということは無し。岩とか玉砂利とかは戦闘で活用いただいてもオッケーです。


 1章は公開後、プレ受付開始。2章3章は受付前に冒頭説明or補足説明を追加します。参考にしてください。
 プレの受付についてはタグでお知らせします。毎度ですが、1日の執筆人数が多いと採用できない人が出るかも? プレ受付開始や状況なども含めて、タグでお知らせします。

 それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
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第1章 日常 『海へいこう!』

POW   :    浜辺で遊ぶ(ビーチバレーや砂遊び、きゃっきゃうふふなど)

SPD   :    釣りをする(岸釣りや船釣り、潮干狩りなど)

WIZ   :    海へ出る(ジェットスキーやウェイクボード、遠泳など)

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
穢宮・風月
しおまねきーずさん、ですか…
昔から仲良くなるには贈り物と相場は決まっていて、その中でも無難な物は、食べ物…
でも、シオマネキの妖獣は何を食べるんでしょう…ネットで軽く調べたところ、
ただのシオマネキはケイ藻やバクテリアを食べるみたいですけど…
これだけでっかい体なら、お魚とか、食べるんでしょうか…?

となれば、やることは…釣りです!さびきです!
さあ、ぴっちぴちの新鮮なお魚をあげて、仲良くなりますよ!

サングラスを掛けて堤防に立ち、オキアミを餌にさびき竿でひたすら小魚を釣っている
ある程度の量が釣れたらしおまねきーずさんに献上

プレゼントです…お口に合えばいいのですが

魚はちょっと…という感じになったらリリース




 マヨイガの中に転送されてきた穢宮・風月(巫女忍・f36880)のつま先が柔らかい砂を踏む。程よく沈む砂浜は自然そのもの。マヨイガという物理的な建物の中にあって、風月の目の前にある光景は、まさしく海であった。
 どういう仕組みなのかとかどういう構造なのかとかは今考えても仕方ない。メガリスってそういうものだし。
 ひと通り、周囲を見渡していた風月の視線が正面を向き、とある一点を捉える。シオマネキの妖獣『しおまねきーず』である。ハサミが大きい手が左右逆とか色が赤っぽいのと青っぽいのととか、2匹セット感がとても良いバランスなしおまねきーず。
「あれがしおまねきーずさん、ですか……」
 本来の妖獣にある『痛み』とか『衝動的な殺意』といったものは完全に抑えられているのだろう。敵意は感じられず、そこにいるのは単にデカいだけのシオマネキである。
(昔から仲良くなるには贈り物と相場は決まっていて……)
 そこまで考えて、この方法はいまだ解決策に至っていないことに悩む。
 贈り物の無難なところというと食べ物なのだが……。
(でも、シオマネキの妖獣は何を食べるんでしょう……)
 主食は視肉さんの肉だろうけど。贈り物となればさてどうしたものか。
 来る前にネットで軽く調べたところ、通常のシオマネキはケイ藻やバクテリアを食べるようだ。仮にサイズがでかくなってもプレゼントにするには厳しいヤツらである。
「これだけでっかい体なら、お魚とか、食べるんでしょうか……?」
 近づいてしおまねきーずを見下ろす風月と、ハサミを降ろし気味にしつつ風月を見上げるしおまねきーず。

 じーーーーー……。なんかそれで良さげな気がしてきた。しおまねきーずの目も期待しているように見える。

 となれば、である。
「やることは……釣りです! さあ、ぴっちぴちの新鮮なお魚をあげて、仲良くなりますよ!」
 そんな感じで風月さん。いつの間にやら釣り人スタイル。
 堤防代わりの大きな岩の上まで移動したらサングラスを掛けて釣竿を握る。仕掛けはさびき。
「それは餌なので……」
 海にまこうとしたオキアミが入っているクーラーボックスを覗き込んでいるしおまねきーずにそっとどいてもらいつつ。しおまねきーずが側でちょこんと待機態勢になったならば、レッツさびき釣り。
 オキアミを盛大にまいて、さびき竿をしっかりと海へ垂らす。普段釣る人がいないのだろう。入れ食い状態です。
 小魚を釣り上げてはクーラーボックスの中に放り込んで、オキアミ投擲釣竿キャスト。ひらすら小魚を釣っていく風月。
 しかし、そろそろキャパ(持ってきたクーラーボックス数個)がオーバーしそうである。
「こんなものでしょうか……」
 竿を収めてくるりと振り返ると、しおまねきーずがそわそわカニダンス(?)をしている。お預けよくないって言っているように思える。
「プレゼントです……お口に合えばいいのですが」
 風月から献上された小魚のプレゼント。それを美味しそうに次々と口元へ運ぶしおまねきーず。
 その様子を見守る風月は、どことなく生徒を見守る先生のような感じでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬河・苺子
spd
【心情】
マヨイガも決して安全圏とは言えない、ということですね
マヨイガにはずっと安全な場所でいてほしかったところですが……
こうなった以上は、キチンとオブリビオンを退治しましょう

【行動】
この間も海に行きましたが、あの時はとても遊べる状況じゃありませんでしたし
せっかくなので、マヨイガで少しのんびりとしましょう

「赤い方が珊瑚さん、青い方がルリさん、でよろしいでしょうか? よろしくお願いします」

この時期だとまだ本格的に海に入って遊ぶには冷えますし、潮干狩りとかよさそうですね
「手伝っていただいてもよろしいでしょうか?」

道具は用意してきました
ことが終わったら、浜辺でバーベキューとかも面白そうですね




 マヨイガ。ゴーストたちの住処とも言えるメガリス。中には大量のゴーストたちが生活している。しかし、能力者であってもマヨイガを問題視する者は少ないだろう。何故かと言えば、視肉の肉を食べ、殺戮衝動を抑えられている彼ら彼女らはディアボロスランサーが生み出した『生命』でもなくとも、良き隣人として共に歩める可能性が高いからだ。
 そんなマヨイガの中に転送されてきた瀬河・苺子(人間のゾンビハンター・f36282)は、そっと呟く。
「……マヨイガも決して安全圏とは言えない、ということですね」
 ある意味、マヨイガはゴーストたちの楽園である。視肉のおかげで飢える可能性もなく、敵からも遮断されており、住んでいる者同士の諍いがあったとしても、安全な場所……であったのだ。
「マヨイガにはずっと安全な場所でいてほしかったところですが……こうなった以上は、キチンとオブリビオンを退治しましょう」
 苺子の希望。マヨイガの安全を再び確保するために、元能力者はマヨイガの中を行く。


 そんなわけで海である。

 ざざーん、ざざーん。

 心地よい、波が打ち寄せる音が響く平和な海。特異的で平和なマヨイガを象徴するような景色であったかもしれない。
「この間も海に行きましたが、あの時はとても遊べる状況じゃありませんでしたし」
 この間というと竜宮城でのバトルですかね? 竜宮城、メガリス、原初の吸血鬼という、銀の雨が降る時代の良くないところを合わせて詰め込んだような惨状を解決したのがつい先日。
「せっかくなので、マヨイガで少しのんびりとしましょう」
 そんな激闘の後なのだ、開放的な砂浜に苺子が思わず伸びをしてしまうのも無理はない。
「『……』」
 そんな苺子を見て、さささっと横歩きで近寄ってきたのはしおまねきーずである。聞いていた通りに大きい。
「赤い方が珊瑚さん、青い方がルリさん、でよろしいでしょうか? よろしくお願いします」
 珊瑚と瑠璃の大きなハサミの先をそれぞれにきゅっと握って握手する苺子。
「『~~♪』」
 苺子の言葉に、珊瑚とルリも口元から泡を出して歓迎の意を示す。

 さて、何して遊ぼうか。

「この時期だとまだ本格的に海に入って遊ぶには冷えますし……潮干狩りとかよさそうですね」
「『……!』」
 苺子の言葉にハサミをぶんぶんするしおまねきーず。『いいね!』という意志らしい。
「手伝っていただいてもよろしいでしょうか?」
 こんなこともあろうかと。バッチリ準備してきた潮干狩り道具を指し示しながら、苺子が珊瑚とルリに微笑みかければ、2匹もバッチリ了承と返してきたのである。

 というわけで砂浜を掘ります。
「うーん……この辺りだと思うのですが」
 ちょうど、波が届きつつ、波に隠れない位置。押し寄せる白波が苺子のくるぶしを濡らす程度の場所で、さっくさくと砂浜を掘る苺子。
「『~~♪』」
 それを真似してしおまねきーずもハサミを使って器用に掘り始める。大きい方のハサミを使っているのでこちらはざっくざくという感じだが。見た目によらずワイルドな掘り方に苺子が思わず微苦笑する。
「あ、いましたね」
 ルリが掬い上げた砂の中にハマグリ発見。それを見た珊瑚が負けじと砂浜を掘っていく。こちらは量で勝負か。アサリやらアオヤギやらがいっぱい出てきた。
「よーし、負けませんよ」
 楽しそうな2匹を見て、苺子もまた手にしたスコップで足元の砂浜を掘っていく。

 結果から言えば大漁でした。普段から獲っていくヒトいないからね。

「……っと。こんな感じでしょうか」
 苺子がもうひとつ用意してきたもの。バーベキューセットである。
 火を入れて程よく網を熱したら、その上に今日の収穫を並べていく。ハマグリ、アサリ、アオヤギ、マテガイ、カニ……共食いではない。カニである。
「焼けたら、一緒にいただきましょうね」
「『~~♪』」
 手際よく焼いていく苺子の言葉に、嬉しそうにハサミを振る珊瑚とルリ。
 程なくして美味しそうな匂いが辺りを漂い……楽しくバーベキューを過ごす苺子と珊瑚とルリの姿があったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルデ・ローゼ
※ ゲルトルート・クリューガー(f20595)と連携

POWで行動。
大胆な白の三角ビキニを着用。
海を見たことがないので素直にはしゃぐ。
が、波に足を取られてこけ、ビビる。
二人でしおまねきーずが入って遊べるほどの大きな砂の城を作って遊ぶ。
その他アドリブ歓迎


ゲルトルート・クリューガー
※ ヴィルデ・ローゼ(f36020)と連携

POWで行動。
黒地に金縁の三角ビキニを着用。
はしゃいでいるヴィルデをほほえましく見守る。
スイカ割りがなかなか当たらなくてムキになる。
二人でしおまねきーずが入って遊べるほどの大きな砂の城を作って遊ぶ。
その他アドリブ歓迎




 マヨイガの中は不思議空間。なので海があってもおかしくない。むしろ住んでいるゴーストたちが住みやすい環境にある程度改造できるらしい。過去、能力者もマヨイガの中にデートスポットを作ったりしていた。
 しおまねきーずがいるこの場所もそういった場所なのだろう。
 そこに転送されてきたヴィルデ・ローゼ(苦痛の巫女・f36020)とゲルトルート・クリューガー(金目の黒獅子・f20595)は柔かに砂を踏む。
 二人とも既に水着姿。遊ぶ気満々である。いや、それが今回は正解なのだけど。
 ヴィルデが大胆な白の三角ビキニで、ゲルトルートが黒地に金縁の三角ビキニ。
「これが海なのね」
 およそ記憶にない『海』を見てはしゃぐヴィルデ。森とは違う風景を好奇心のままに駆け出すが。
「ひゃぅっ?!」
 波打ち際ですっころぶ。どうやら押し寄せる白波にビビって足を取られたらしい。可愛くお尻から砂鼻に着地するヴィルデ。
「ふふ」
 その様子を微笑ましく見守るゲルトルート。こちらは慣れている様子? 何故かというとスイカ割りの準備が足元にあるからだ。砂浜と言えばスイカ割り。
「『……』」
 観客はヴィルデとしおまねきーず。
 スイカを置いて、距離を取って。目隠しをした後、ぐるぐるっと何回か回れば準備完了。
「……いざ!」
 木の棒を手に、ゆっくりと砂を踏みしめてゲルトルートが前進する。
 ……と思っているのは本人ばかり。実際は右にふらふら、左にふらふらと不安定なこと極まりない。まぁそれこそが醍醐味なのだけど。
「右! いえ行き過ぎ、左! あ、そのまま、そのまま……」
「……てぇぇぇぃっ!」
 ヴィルデの声に従ってスイカを捉えた(つもり)のゲルトルートが最上段から一気に棒を振り下ろす!!

 ぼすっ。ぼすっ。ぼすっ。ぼすぼすぼすっ(棒が砂を打つ音)

 ぜんっぜん当たらない。
「……むーっ!!」
 ので、ムキになってそこら中を連打するゲルトルート。もぐら叩き? くらいの勢いで周囲の砂浜を全力で打ち据えていくわけだが、その内の一発がようやくスイカに直撃する!
 よかった、砂浜が穴ぼこになるところだった。

「『~~♪』」

 スイカはしおまねきーずも一緒にいただきまして。
 ひと息ついたところで、しおまねきーずがその大きなハサミで二人を招く。ゲルトルートがぼっこぼこにした砂浜の凸凹を利用して砂の城を作ろう、というお誘いである。
「わかりましたわ」
「しおまねきーずさんが入れるくらい大きなお城を作りましょう」
 そうして、ゲルトルートとヴィルデ、そしてしおまねきーずの4人はその場に小さなドーム? というくらい大きな砂の城を作って遊び倒したのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キアラ・ドルチェ
【護】で参加

シオマネキさんと仲良くなる為に自作しましたっ!(段ボール製の緑のハサミ右手に装着
れっつだーんす!(ハサミふりふり

折角ですしビーチボール大会もしたいですね
水着も持参しましたっ!
あ、叶恵さん、こっちこっち!(手招き
シオマネキさん達もご一緒に!(上手く受けられずころころ転げ…
シリルーンさん、大丈夫ですっ!(砂ぱんぱん払い
さあ続けますよ、必殺あたーっく!(彼方へ飛び去るビーチボール…
…陸井せんせー! 飛んでってしまいましたー!?(涙目

疲れたら砂遊び♪
影の城作りつつ他の方の砂くすねたり…
「決まっておろう、収穫(砂)を横取りに来たのだですっ!」(『伯爵』のマネ
シオマネキさん達の像とかも作るです


天日・叶恵
【護】で参加
ここがマヨイガなのですねぇ、初めて来ましたー
シオマネキさんたちも、本日はよろしくおねがいしますー
挨拶をして珍しそうに周りをきょろきょろ…していたら、気がつけば海辺のいろんなお手伝いをすることに

どういたしましてーと、生まれる笑顔にやりがいを感じて働いていたら、ビーチバレーのタイミングで仲間と再合流
あ、そういえば、遊びに来たのでしたねぇ
ちょうどお手伝いも一区切りしていましたので、私も参加しますー
運動神経は、細かいコントロールはうまくありませんが…反応はできます!という技術だけが不足している塩梅

服装などはシーンに合わせていい感じでー


凶月・陸井
【護】で参加

こうして見るとシオマネキって案外可愛いもんだよな
近づいて優しく撫でながら挨拶を
「今日は宜しく頼むな」

折角だからと水着も持ってきていたしシオマネキと皆で遊びに
始める前に天日さんを呼びに向かいつつ、ボールを用意したり
遊びだしたら転がるキアラさんの手助けをしたり
ボールをうまい具合に受け取れるようシオマネキや皆にパスしたり
…うん、これはなんというか、シリルの言う通りだな
「確かに…引率の先生みたいだな」

砂遊びを始めたらちょっとだけ離れて様子を見てよう
一緒に遊ぶのも楽しいけど、皆が楽しんでいる様子を眺めるのもまた楽しい
「こういう時間を楽しむ、っていうのもいい物だよな。珊瑚、ルリ」


シリルーン・アーンスランド
【護】にて

シオマネキさまがた、お可愛ゆうございますね
大きな海の方と楽しく遊べます機会は
そうはありませぬでしょう
楽しませて頂きます

なんだか陸井さまがご引率されておいでのよう
…そういえば、教職でおいででした
堂に入ってらっしゃるのも当たり前でございますね

ビーチボール楽しい…(にこにこして)
こういう時、若返りましたことを嬉しく思うのですわ
シオマネキさまお上手ですこと
あら、キアラさま、お怪我はございませんか?
天日さまは、お耳に砂が…
こういう時間は良いものでございます

「影の城」はまたタイムリーでございますね
伯爵などどうしているのでしょう
シオマネキさまの像もお手伝いを
上手く出来ますとお喜び頂けましょうか…




 団体様いらっしゃい。

 マヨイガの白い砂浜に4人の猟兵……というよりは元能力者、すなわち銀誓館学園出身といった方がいいか。そんな4人が再び運命の糸でつながり、この場に訪れていた。
「ここがマヨイガなのですねぇ」
 珍しそうに周りをきょろきょろしていた天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)がしおまねきーずを発見。
「シオマネキさまがた、お可愛ゆうございますね」
 近づいて来たしおまねきーずの姿をじっ、と見て。次いで微笑むシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)。
「こうして見るとシオマネキって案外可愛いもんだよな」
 続いてしおまねきーずに近づいたのは凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)。
「今日は宜しく頼むな」
 体とハサミは大きいが大人しいしおまねきーずの頭を優しく撫でながら陸井が告げると、しおまねきーずもハサミもふりふりと挨拶を返す。
「シオマネキさんたちも、本日はよろしくおねがいしますー」
 と叶恵もしおまねきーずに挨拶をしまして。
「シオマネキさんと仲良くなる為に自作しましたっ!」
 なんか出てきた。ちがう、現れた。段ボール製の緑のハサミを右手に装着したキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)である。
「『……!』」
 キアラハサミにしおまねきーずの視線が釘付けになったところで。
「れっつだーんす!」
「『~~♪』」
 キアラがハサミをふりふりし始める。それに合わせてしおまねきーずも右にちょこちょこ、左にちょこちょこ。
「大きな海の方と楽しく遊べます機会はそうはありませぬでしょう」
 『楽しませて頂きます』と微笑を浮かべるシリルーン。
「あれ、天日さんどこいった?」
 いつの間にやら視界から消えていた叶恵を、陸井が慌てて探しに行くのであった。


 というわけで遊びましょう。
 全員、水着姿とすでに戦闘態勢(?)はバッチリ。
「折角ですしビーチボール大会もしたいですね」
「そうですわね……」
「『……?』」
 キアラとシリルーンとしおまねきーずが円を組んで何で遊ぶか考えている図。ここは陸井と叶恵の意見も聞きたいところだが……と思っていたら陸井が叶恵を連れて帰ってきた。
「あ、叶恵さん、陸井さん、こっちこっち!」
 キアラが手を振り上げて手招きする。
 迷子……ではなく、海辺で他の人を色々手伝っていたらしい。『どういたしましてー』と、生まれる笑顔にやりがいを感じて働いていて、いま合流。
「あ、そういえば、遊びに来たのでしたねぇ」
「ビーチバレー? ボールあるよ」
 叶恵の言葉に続いて、皆の話を聞いた陸井がビーチボールを取り出す。

 となればもうやるしかない!

 とりあえずチーム戦はどうなってしまうのかわからないので横において。
「私も参加しますー」
 と叶恵がとてとて進み出れば、それに合わせて 円陣組んで。【護】でのビーチボール大会、開催です。
「シオマネキさん達もご一緒に!」
 見ていたしおまねきーずもちゃっかりキアラが引き込んでレッツ、スタート!
 真っ先に狙われた(?)のはキアラでした。
「あーーーーーっ!?」
 上手く受けられず、速攻で態勢を崩してころころ転がっていくキアラ。
「大丈夫?!」
「キアラさま、お怪我はございませんか?」
 慌てて駆け寄る陸井。シリルーンもキアラを覗き込むように様子を窺うが。
「大丈夫ですっ!」
 砂をぱんぱん払いながら、すちゃっと立ち上がるキアラ。胸を撫で下ろす陸井。

 その間にもビーチボールは空を舞っていて。
 叶恵としおまねきーずがリレーを続けていたらしい。叶恵さん、運動神経は良い方です。細かいコントロールはきかないみたいだが、そこはしおまねきーずがスピードでカバー。
「シオマネキさまお上手ですこと」
「シリルーンさん、私達も戻りましょう!」
 和やかな様子を見て、ふふっと笑みをこぼしたシリルーンにキアラが拳をぐっと握る。
「それじゃ、やるぞー」
 自分の手元に来たビーチボールを真上にとんとんっと滞空させて、皆が円を組むのを待っていた陸井さん。
「なんだか陸井さまがご引率されておいでのよう」
 シリルーンがぽろっと零す。
「……うん、これはなんというか、確かにシリルの言う通りだな」
 シリルーンの言葉に陸井が微苦笑する。
「……そういえば教職でおいででした」
「一応、ね」
 シリルーンの言葉にそう返しながら、陸井が優しいタッチでボールをリリース。飛んで行った先はしおまねきーず。しかし、しおまねきーずの体長とかハサミの大きさを鑑みた受けやすい角度で落ちていっている。
「堂に入ってらっしゃるのも当たり前でございますね」
 しおまねきーずがトスしたボールをキアラの方に流しながらシリルーン。
「さあいきますよ、必殺あたーっく!」
 なんでそこでしかけた。
 当然のように、明後日の方向へ飛んでいくビーチボール。
「……陸井せんせー! 飛んでってしまいましたー!?」
「こんな時だけ、先生呼びするんじゃありません」
 涙目で訴えかけてくるキアラに、陸井先生が額に手をやりつつ、大きくため息をつくのでした。

 こんなこともあろうかと、陸井せんせーはボールをふたつ用意していました。

 捜索隊(キアラ・陸井)がボールを探しに行っている間、残っているメンバーでビーチボール続行。
「ビーチボール楽しい……」
 自分の方へ飛んできたボールを上手く次へと流しながら。シリルーンが終始にこにこしている。
(こういう時、若返りましたことを嬉しく思うのですわ)
 無邪気に遊びながらそう思うシリルーン。普通に行けばそろそろアラサー。こんな元気に遊ぶなんてできなかったかもしれない。その点は運命の糸症候群に感謝すべきか。
「いきますよー」
「はーい」
 叶恵の言葉に意識をビーチボールに戻して。
 シリルーンが笑顔でアタックを決めるのでした。

 全体的に疲労が見えてきたところで砂遊びに移行するメンバー。
 キアラが作っているのは……どうも影の城・
「決まっておろう、収穫(砂)を横取りに来たのだですっ!」
 横の人の砂を横取りしつつ、有名人(?)の真似をするキアラ。それ、決め台詞じゃありませんから。
「伯爵などどうしているのでしょう」
 タイムリーな話題にシリルーンが首を傾げる。まだわかっていないことも多々あるシルバーレインの世界。それはこれから解明されていくだろう。
 とか真面目なことを考えていたら、キアラと叶恵がしおまねきーずの像を作り出した。高い。とても高い。
「天日さまは、お耳に砂が……」
 叶恵の上から降ってくる砂を払いつつ、シリルーンも像作りのお手伝い。
「こういう時間は良いものでございます」
 そう告げるシリルーンはとても楽しそうで。

 砂遊びを始めたタイミングで陸井先生はちょっと休憩。離れた位置で様子を見守っている。
(一緒に遊ぶのも楽しいけど、皆が楽しんでいる様子を眺めるのもまた楽しい)
 そんな風に過ごしている陸井に対して、勘違いしたのかしおまねきーずがお誘いに来る。それを笑顔で迎えながら、陸井はこう告げる。
「こういう時間を楽しむ、っていうのもいい物だよな。珊瑚、ルリ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

烏護・ハル
おぉ、本当に海だー。
……建物の中、なんだよね?確か。
中なのに……?

……。
……まぁ、いいか!
メガリス、すごいなぁ。

海と聞いて、水着も完備。抜かりなし!

この辺にいるはず……。
こんにちは。お邪魔するね。

さて、何しよっかな……。
砂浜、砂。砂……。
……やりたくなるよね。
こんなに砂があるなら、何か作ってみたくなるよね。
よし、砂遊びだ!

しおまねきーずさん、えっと……珊瑚さんと、ルリさん?
よかったら、あなた達も一緒にどう?
お城作ろう、お城!

一緒に砂をかき集めて、砂山拵えて、皆で思い思いの模様を描いたりして……とりあえず思いつく限り色々やってみよう。
お城っぽいのができるといいな!
この子達はどんなの作るんだろう?




 『生命』との戦いを望まないゴーストたちの住処マヨイガ。彼らにとって安全であったはずのマヨイガの中

 グリモア猟兵の転送によって直接マヨイガの中へ転送されてきた烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は、足の裏に感じる砂浜の柔らかい感触に感嘆の声をあげる。
「おぉ、本当に海だー」
 耳をぴこぴこさせながらくるり見渡しても、広がるのは白い砂浜、青い海。ついでに空も青いときている。そこでぴこぴこが停止する。
「……建物の中、なんだよね? 確か。中なのに……?」
 首を傾げながら思わず呟くハル。
 そーなんですよ、建物の中なのです。この海の果てはどうなってるんだろうね??
「……」
 目を閉じて深呼吸をして、もう一度目を開いても目の前の光景は変わらない……というか、遠くにしおまねきーずを発見した。海面から跳ねる魚もいる。海の生き物もいるやん。
「……まぁ、いいか!」
 ハル は 思考 を 放棄した!!
 まぁある意味正解です。マヨイガは基本、『無数の古い建造物が不規則に組み合わさった異形の迷宮』なのですが、住民の趣味によってある程度改造されているのです。ちなみに昔、能力者はデートスポット作ってました。
「メガリス、すごいなぁ」
 綺麗な感想で〆たハルは早速白い砂浜を駆けだすのであった。


「海と聞いて!」
 ハルがしゅばっと上着を脱ぐとそこには小麦色の肌。それを支えるオレンジのフリル付きビキニに、彩りを添えるローライズのホットパンツ。
「水着も完備。抜かりなし!」
 やる(遊ぶ)気に問題なし! ハルなのに夏娘ヨシ!

 そんなわけでしおまねきーずを発見した辺りへと歩を進める。
「この辺にいるはず……。あ」
 くるっと振り向いたしおまねきーずと視線が合い。
「こんにちは。お邪魔するね」
「『……♪』」
 挨拶をすれば、大きなハサミを振り上げて口からも泡がぷくぷく。歓迎してくれているらしい。というか、ハルのやる(遊ぶ)気(水着姿)を見て何か感じ取ったのだろう。近寄ってきた。
「さて、何しよっかな……」
 そう呟きながらハルがうーんと悩み。

 目の前には見渡す限りの砂浜、砂。砂……。

「……やりたくなるよね。こんなに砂があるなら、何か作ってみたくなるよね?」
 それは問いかけの形をとっていたが、完全に自分へ向けての言葉。
「よし、砂遊びだ!」
「『……!!』」
 ハルの言葉にしおまねきーずの目がきらきら輝いた気がする。
「えっと……珊瑚さんと、ルリさん? よかったら、あなた達も一緒にどう? お城作ろう、お城!」
「『~~♪』」
 珊瑚とルリがそれぞれ大きなハサミをぶんぶん振って、カニ歩きでさささーっと走っていく。どうやら砂遊びに最適なポジションを知っているらしい。
「あ、待ってよ~」
 すっごいやる(遊ぶ)気のしおまねきーずを追いかけて、ハルが砂浜を駆けていく。

 まずは3人で砂の城を作るための砂をかき集めてくる。この辺りはしおまねきーずの大きなハサミがとても役に立つ。
 そしてそれを2つに分けて、砂山を拵えて。
 周りにどんなお城にするかーとか、景色とか。皆で思い思いの模様を描いたりして、アイディアがまとまったらいざ!
「とりあえず思いつく限り色々やってみよう。お城っぽいのができるといいな!」
 そんな感じで砂のお城作り、レッツ、ゴー!

(この子達はどんなの作るんだろう?)
 ふと気になってくるり振り向くと。
「おおっ?!」
 これは……砂のかまくらですかね?
 その代わり、かまくらの外っ側がハサミで叩き固められていて、ぶっちゃけピラミッドですか? っていう感じになっている。しかし中に入れるし、中で動き回れるし、お昼寝もできる。
「あー、ハサミだから?」
 ハルが得心いったように手をぽむっと叩く。
 そうなんです、ハサミなので細かい作業が出来ないんです。それでも大昔、能力者たちと一緒に遊んだ経験から、城っぽいものは作れるようになったしおまねきーずはめちゃくちゃ得意げです。
「よーし、負けないからねー!」
 しおまねきーずのお城に負けないよう、ハルも全力でお城作りに励むのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『階段を上れ!ただし、車輪で!』

POW   :    根性で段差をトバしていく!

SPD   :    テクニカルに段差を上っていく!

WIZ   :    ユーベルコードやアイテムを使えば余裕!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●件の区画へ急ごう
 マヨイガの中に発生したオブリビオンゴーストを倒すために、その区画への道を探る猟兵たち。
 具体的には道を知っているしおまねきーずとめっちゃ海と砂浜で遊んだ。
 体をゆらゆらと左右に揺らしているしおまねきーずはすっかり良い気分のようで。猟兵たちに対しても警戒感ゼロ。元々、戦いを好まないがゆえにマヨイガに招かれた妖獣だから、遊んでくれた相手に懐くのも当然だろう。
 というわけで。本題。

「ここに行きたい。行く方法知ってる?」

 そう問いかければ、しおまねきーずがちょこちょこと砂浜を移動する。辿り着いた先は砂浜の外れにあった大きな岩。
 体を使って押すとあっさり移動する大岩。その下に……下に降りる階段があった。別の区画まで続いていると感じさせる、どこまで深く長い階段。
「これか……ありがとう」
 しおまねきーずにお礼を言うと、『どういたしまして』『またあそんで』という思念以外に、もうひとつ。『この先は普段誰も行かないし、あんまり良い空気じゃないから蓋をしていた』とのこと。
 平和なマヨイガの中にあって、少しばかり邪寄りなのかもしれない。それでも今までは問題なかったが……そこを起点にオブリビオンゴーストが活動を始めるのなら。
 猟兵たちはしおまねきーずに別れを告げて、下への階段を降り始めるのであった。

●と思ったら?
 数段降りたところで感じる違和感。その正体を探るより早く……重力が逆転した。『え? なんで?』と思う暇なく。

 足元にはいつの間にか踊り場。後ろへの道はなく。
 目の前にあるのはとっても長い上りの階段。これをのぼらないと……いけないらしい。

 しかも、だ……。階段に足を駆けると『かこん』と音を立てて段差がなくなる。具体的には斜面になる。とても滑りやすいのでそのままつるーんと下まで落ちる。
 『これ無理やん』と誰もが思ったその時……発見した。すぐ側にある一輪車を。

 つまり、これは一輪車で階段を駆け上るのか?

 試しに一輪車を手で持ち、数段階段を登らせてみる……反応しない、階段のままだ。しかし、自分のつま足が階段に触れると階段全体がぺこーんと斜面になる。

 車輪でのぼれってか。この長く険しい階段を。

 さっきまでの楽しい時間を返せって言わんばかりの苦行が目の前に現れたのであった。


※シナリオ補足※
 『車輪で階段を上る』がポイントの章になります。車輪以外の『生きている者(ゴースト含む)』が階段に触れると、階段全体が斜面になってウォータースライダーみたいになります。滑り落ちてきます。
 車輪を使っている間は、基本的にただの階段なので気合と根性で上までいけるはず。自転車こげないから背負ってもらうはオッケー。

 とにかく、階段に車輪以外が触れていない状態であれば。

 空を飛んでいけばいいじゃない。実は階段の途中にセンサーみたいなものがありまして。空を飛んでいる者がそこを通過した時に、階段に車輪が触れていないと出口が閉まります。
 そのため、単独で飛翔は無理です。チームを組んで誰かが車輪、他が飛んでいくはアリですが……。

 なお、車輪は一輪車の他に、自転車やバイクなどもオッケー。レンタルサイクルはあります。持ち込みもオッケーです。言ってくれたら(プレに記載あれば)お届けします。
 自転車はどうしても無理、という方は竹馬でも可とします。
穢宮・風月
しおまねきーずのお二方もご満足頂けたようで何よりでした…と、次は車輪でこの階段を上まで登れ…と?

SPDで攻略

ご覧ください、この漆黒の剣を思わせる重厚なフォルム!お聴きください、この臓腑に響くエキゾーストノート!
まさか依頼でこの子を使う日が来るとは思いませんでした…

海外の幻想小説に登場する魔剣からその名を取った愛車、モーンブレイドをイグニッションカードから取り出し、愛おしそうに撫でる

行きますよー!

フルフェイスのバイザーを下ろし、
低いギアのまま立った姿勢でリアに荷重を掛け、足を着かないよう全身でバランスを取り、悪路も何のその、半クラとリアブレーキを駆使した巧みなハンドル捌きで一気に階段を駆け上がる



●まさかの最適解を持つ女
「しおまねきーずのお二方もご満足頂けたようで何よりでした……」
 下へと降りる階段をしっかりと踏みしめながら、穢宮・風月(巫女忍・f36880)は言葉を零す。楽しそうにもっしゃもっしゃお魚を食べているしおまねきーずを堪能したとも言う。
 ゆえに次へと示された道。重量区が反転するような感覚の後、目の前に現れた長い階段を前にして、少し立ち止まる。オブリビオンが発生すると予知された枯山水のような庭へと続く長い階段。これに対して示された攻略方法は『車輪で階段を上る』こと。

「次は車輪でこの階段を上まで登れ……と?」

 思わず呟いてしまうのはどうしようもないことだろう。階段を車輪であがれっていうだけでも大変なのに、こんなに長い階段……。
 だが、風月の呟きが纏う雰囲気はそういった呆然や絶望とは何故か程遠く。

 そう……彼女はこの場における、ある意味の最適解を所持している女性だったのだ。

 階段の踊り場、風月の隣に姿を現わすソレは彼女の愛車。黒が映える国産車をベースに魔改造した、フルカウルスポーツ型の750CCバイク。
「ご覧ください、この漆黒の剣を思わせる重厚なフォルム!」
 観客がいるわけではない。が、そう言わずにはいられない。歓喜とも興奮ともつかない口調で風月は笑みを浮かべる。漆黒の剣――海外の幻想小説に登場する魔剣からその名を取った『モーンブレイド』が威風堂々とそこに『在る』。
 ちなみにどこから出したかって、能力者御用達のイグニッションカードから。装備なら何でも持ち運べるイグカは最強です。
 ハンドルを握り、そこを支点にして愛車に跨る風月。エンジンオン。スロットルを回せば、その場に響き渡る重低音。
「お聴きください、この臓腑に響くエキゾーストノート!」
 モーンブレイドがエキゾーストパイプから呼吸をするかの如く、排ガスと音を放出していく。
「まさか依頼でこの子を使う日が来るとは思いませんでした……」
 こんなタイミングで使うとは夢にも思わなかった風月が、モーンブレイドを愛おしそうに撫でる。
 階段を車輪で駆け上がる。普通に考えれば面倒なことこの上ないが、モーンブレイド擁する風月は、あるいはこの場の申し子と言ってもいい。
 そんな風月もイグニッションカードからバイク用の装備を取り出し、装着済。
「行きますよー!」
 気合十分、少し興奮気味に、風月がフルフェイスのバイザーを下ろして、流れるような動きで発車。

 攻め方は――テクニカルに。

 低いギアのまま立った姿勢へ。リアに荷重を掛けて、かつ足を着かないよう全身でバランスを取ることで態勢を維持する。
 バランスさえ取れれば後は行くのみ。悪路も何のその。半クラッチとリアブレーキを駆使した巧みなハンドル捌きを披露して。
 動きは小刻みながら決して止まることのない流れるような動きで、風月は長い階段を一気に駆け上がっていったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

烏護・ハル
POW行動。

……これを?
車輪で?

……竹馬、あるかな?アレなら……。
いける?
あ、そうなの。良かったぁ。

……式神さん。
私の体力が続くように、魔力の充填どんどんお願い。
脚への負担とかね、ヤバそうだから。
倒れたら全てがパァなの……。

竹馬の感覚は……よし、覚えてる。
……気合と、根性!
ちょっと長い階段が何よ!
こんなもの、里育ちの竹馬捌きで制覇してやる!

脚がパンパンになっても、激痛がきても、耐える!
誤魔化す!
無理矢理!
そう、しおまねきーずさんとの楽しかった一時を、脳内でリピートしてれば……!

……あ。
てっぺんに、しおまねきーずさんが見える?
私だよ〜。
さっきはどうも〜。
アハハ、おかしいなー。
いるはずないのにー。




 しおまねきーずと砂浜でお互い遊び倒した烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)は、しおまねきーずの大きなハサミが導くままに、示された階段を進む。この先にはオブリビオンが発生すると予知された枯山水のような庭がある。
 そしてハルの身に、不意に襲い掛かるのは重力が反転したかのような感覚。視界が一瞬揺らぎ、次の瞬間には目の前に長く『上がる』階段が現れた。
 そして示された攻略方法は『車輪で階段を上る』こと。

「……これを? 車輪で?」

 天真爛漫なハルさんが呆然とする事態。これがいかに困難な状況かお分かりいただけるだろうか。なんだろう? 元能力者のように無茶振りに慣れていないのである。バイク持ち歩ているとか普通ないしね。
 そしてもうひとつハルには懸念があった。車輪ということである。これは……マズイ(何かが)
 他の、他の手段は無いのか……!?
「……竹馬、ある? アレなら……いける? あ、そうなの。良かったぁ」
 救済措置(?)の竹馬を選択するハル。それはそれで苦難の道なのだが、車輪よりは階段の面を掴む感覚が足の裏の感覚に近い。いけるはずだ。
「……式神さん」
 とても開放的な水着姿であるハルだが、彼女は陰陽師。いついかなる時とて、霊符より式神を召喚し、使役することが彼女の力。
 呼び出した式神を自身の周囲に滞在させ、そして命じる。
「私の体力が続くように、魔力の充填どんどんお願い」
 体力の消費を式神が内包する魔力で外からフォローする作戦らしい。
(脚への負担とかね、ヤバそうだから)
 たぶん疲労と階段をのぼる衝撃がダイレクトアタックしてくる。想像だけでヤバイ。だがしかし。
「倒れたら全てがパァなの……」
 ハルの切実な声に、式神たちは主を支えられるよう、一生懸命周囲から魔力を溜め始めるのであった。

 竹馬に乗るハル。
(竹馬の感覚は……よし、覚えてる)
 ならば後は。
「……気合と、根性!」
 態勢を整えて、後は呼吸を整えて。キッと頂上を睨んでハルが叫ぶ。
「ちょっと長い階段が何よ! こんなもの、里育ちの竹馬捌きで制覇してやる!」
 意外なところで妖狐の経歴が役に立つものでして。

 止まれば負ける。態勢を維持するためにも必要なのは……スピード!
(脚がパンパンになっても、激痛がきても、耐える! 誤魔化す! 無理矢理!)
 心の中で念じるように繰り返しながら、式神のサポートを受けてハルが階段を激走する。だが……辛い、きつい、厳しい。
 でも負けない!
(そう、しおまねきーずさんとの楽しかった一時を、脳内でリピートしてれば……!)
 楽しかった砂の城作り。しおまねきーずたちの嬉しそうなカニダンス。ハサミふりふり愛情表現。それらを糧にしてハルは竹馬を必死に動かしていく。

 あと少し、頂上が見えてきた……!

「……あ」
 その時、不意にハルの視界に映ったもの。
「てっぺんに、しおまねきーずさんが見える?」
 あれはどう見てもしおまねきーずさん。どうしてここに?
「私だよ~。さっきはどうも~。アハハ、おかしいなー。いるはずないのにー」
 そんなことを呟きながら、しかししおまねきーずさんのハサミまねきに誘われるようにハルは階段をのぼりきるのでした。
 危険域一歩手前でした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬河・苺子
pow
【心情】
マヨイガの中も全部が全部安全なわけじゃない
残念なことですが、色んなゴーストがいる以上、仕方ないですね
その上でできる限り、ゴーストの安らぎを守りましょう


【行動】
わたしも銀誓館で『かつての戦い』を生き抜いた身
メコン川でゲリラ戦に参加したこともあれば
ディアボロスランサーを引きずって学校まで行軍したこともあります
この程度の階段、怖くはありません

……わたしの人生、他の生き方もあったんじゃないかと疑問湧きましたが
ひとまずは目の前に集中しましょう


とは言うものの、ここ数年は多少トレーニングしてた位で、デスクワーク、メイン、なんですよね…
高校生の、頃の、「元気」、に戻って、良かったです…(ダウン)




 しおまねきーずと潮干狩り&バーベキューをして遊び倒した瀬河・苺子(人間のゾンビハンター・f36282)。しおまねきーずも『楽しかった♪』と苺子に告げれば、苺子の目的地について案内をしてくれる。
 現れた下への階段をゆっくりと降りる苺子。
(マヨイガの中も全部が全部安全なわけじゃない……)
 その事実を改めて噛みしめる。
(残念なことですが、色んなゴーストがいる以上、仕方ないですね)
 あるいはオブリビオンが発生しなくなる……すなわち、オブリビオン化した世界結界が崩壊すれば。マヨイガは再び安寧の地となり得るかもしれない。
 だがそれまでは。
「その上でできる限り、ゴーストの安らぎを守りましょう」
 元能力者ならばこそ、その想いはひと際強いのかもしれない。そんな決意で以て、階段を踏みしめ、降りていく苺子。

 しかしその時、重力が反転したかのように視界が揺らぎ、次の瞬間には目の前に長く駆け上がる階段が現れた。
 オブリビオンが発生すると予知された枯山水のような庭へと続く、長い階段。そして示された攻略方法は『車輪で階段を上る』こと。

 『こんなのどーすんだ?』という思いが胸をつくこともなく。苺子は次へと続く階段を見据える。
「わたしも銀誓館で『かつての戦い』を生き抜いた身」
 そうだ、思い出せ。
 ジハードを成功させるためにメコン川でゲリラ戦に参加したこともあれば、出現したディアボロスランサーを引きずって銀誓館学園の校舎まで行軍したこともある。ディアボロスランサーはいつも唐突に何かをする。
 それに比べたら。
「この程度の階段、怖くはありません」
 大変かもしれないが、長いだけの階段が何だというのだ。

 ……。
 …………。

 何故か流れる一瞬の間。
「……わたしの人生、他の生き方もあったんじゃないかと疑問湧きましたが、ひとまずは目の前に集中しましょう」
 まぁなんでしょう。無茶振りされた時にAかBかを選ぶのではなく、Cを作ってそれを突きつけるのが能力者だって、誰かが言ってました。
 色々冷静に振り返ると、何かが死ぬかもしれないのでそれはさておいて。
 苺子は気を取り直して、側にあった一輪車に跨る
 段差に車輪とかどこの鬼畜が考えたのかと思う仕組みだが、逆に言えばトラップは存在しない。すなわち気合と根性でどうにかなるレベル……!
「……では」
 深呼吸をした後、苺子は覚悟を決めて。リミッター解除もかくやという勢いで階段へと一輪車をこぎ出すのであった。

 一輪車の車輪が階段をしっかりと噛む。その抵抗に負けないようにペダルを踏み込めば、車輪が階段を駆け上がっていく。気を抜けばバランスを崩して倒れ込むところを苺子は緩むことなく踏み込み続ける。
「……とは言うものの」
 思わず零した言葉。苺子の呼吸が徐々に荒くなっているっていうか明確にぜぇぜぇ言い出している。
「ここ数年は多少トレーニングしてた位で、デスクワーク、メイン、なんですよね……」
 本職は研究者だしねぇ苺子さん。
 いかに運命の糸症候群によって肉体が若返った、すなわち身体能力や体力が昔に戻ったといっても、体を動かす苺子の感覚はそう簡単には戻ってこない。動きのロスは体力のロスに繋がり、その分疲れとして発現する。
 対抗するには……若さしかない!
「高校生の、頃の、元気、に戻って、良かったです……」
 気合と根性と若さで階段を乗り切った苺子は、のぼり切った先の踊り場でぱたっとダウンするのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キアラ・ドルチェ
【護】で参加

私自転車すら乗れないんですが!? 
免許ないからバイクもダメですし…運動神経的にローラースケートもむり…。

と言う訳で。用意しましたるは…

シニアカー

ふ、ふふ…おじーちゃんおばーちゃんの強い味方!
これなら私でも乗れます運転できますっ!
ちょっと恥ずかしいけど! 速度遅いけど!!
皆さん、私に構わず先にゆけなのですー!(時速4キロでとろとろ…

陸井さんお付き合いさせてすいません
シリルーンさんかっこいい…叶恵さんクレバー

あまりの遅さに絶望したので、ネミの森の子犬たち召喚して後ろから押して貰った方が早い気がしてきました
この子たちぬいぐるみなので制限に引っ掛からない気がするし
さあみんな…とつげ~きっ!


天日・叶恵
【護】で参加
遊んだあともふらりと再びお手伝いをしていました
さて…この階段…坂?を登るのですね
うーん…困りましたねぇ…と頭を悩ませていると
先程海辺で仕事をお手伝いした時のゴーストさんが通りがかる事で、UCによる「次の行動」の成功率が上がる感じで

じつはー、と相談をして、地元民ならではの攻略法ってあります?と聞きます
(例えばこう…知り合いのゴーストの自転車乗りのプロを呼んできてくれて、背負ってくれるとか…)
助かりますー、ふふふ。良いことをしたらいつか自分にも返ってくるものなんですねぇ
ついでに仲間の事も手伝ってもらえないか頼んでみます

さらに成功率を上げるために、私は狐に変身して体を小さくします


シリルーン・アーンスランド
【護】にて

この度もご引率を…いいえなりませぬ
この道のりは自らで切り開きましてこそ
「わたくし、必ずや踏破してみせますわ!」

イグニッションカードの中には大正ロマン風の…
あっ。大正ロマンと言いますと銀輪がつきもの!
この姿なら輪行も余裕ではありますまいかと

勘違い?いいえ、必要なものはこの際気合で
ございましょう

途中で静止可能なマウンテンバイクを
チョイス致します
はしたのうございましょうが聊か裾をからげ
袖はたすきで抑え
…袖が長いままなのは見ない振りをお願い致します

能力者と猟兵の意地にかけてSPD勝負で上がり…
疲れからずるんとなりかけますかもですが
ぐぐと踏みとどまり、そして優しい手にお助けも頂き
必ずゴールを!


凶月・陸井
【護】で参加

まぁこうあれだ、侵入者対策なんだろうけど
「いやこう…あれだな、挑戦状だな」

用意はしてなかったし【メカニック】で一輪車を改造
今使って問題ない程度の小径トライアル自転車を作成
軽く乗ってみて調子を確かめて
「こう…ウィリーからのダニエルジャンプ、っと…」
和服のままやるもんじゃないかもしれんが
後は【悪路走破】もあるし猟兵の運動能力頼りかな

練習してから行けそうと判断して
仲間達は小柄だし1人なら一緒に乗れるかな
「厳しそうだったら一緒に乗るか?…ってキアラさんは大丈夫そうだな」

動きに結構自由が利くから落ちそうになった仲間を助けつつ
皆の補佐をしながらキアラさんを追いかける感じでのんびり登ろう




 【護】のメンバーたちもしおまねきーずの見送り(ハサミふりふり)を受けて、件の階段を降りていく。この先にあるのが目的の枯山水のような庭。オブリビオンが呪詛を振りまく地。
 だが、降りていたはずの階段は一瞬の無重力状態を経て、いつの間にか長くのぼる階段へと変化している。足元の踊り場は広く、4人が立っていても全然狭くも無いのだけど。
 問題は、これに対して示された攻略方法が『車輪で階段を上る』ということだ。

「私自転車すら乗れないんですが!?」
 キアラが叫ぶ。飛んで火にいる夏の虫とはまさのこ……失礼。彼女もまた運命の糸症候群によって『今』を得ている身。実は自転車乗ったことないと言っても全然おかしくないお年頃なのだ。
「まぁこうあれだ、侵入者対策なんだろうけど」
 キアラの肩をぽむっと叩きながら陸井が階段を望む。勾配もさることながら、トラップがとてつもなく面倒。
「いやこう……あれだな、挑戦状だな」
 陸井さん、何を思い出しました?? 昔懐かしのテレビバラエティですか??
「免許ないからバイクもダメですし……運動神経的にローラースケートもむり……」
 うーんうーん、とこめかみの辺りをぐりぐりしながら悩んでいるキアラから、陸井は視線を別の対象へ向ける。後ろにいるはずの妻――シリルーンに。
 その視線を受けて、一瞬逡巡するシリルーン。生粋のお嬢様……ではないんだが、普段の立ち居振る舞い的にピンチなのでは? と思った夫の懸念はジャストアタックだったようだ。お互いの思惑が正解だったことを認識してシリルーンが口を開く。
「この度もご引率を……いいえなりませぬ」
「……え?」
「この道のりは自らで切り開きましてこそ……わたくし、必ずや踏破してみせますわ!」
 なんか想定外の返答が返ってきて、思わず気の抜けた声をあげる陸井。そしてえらい気合の入っているシリルーンさんがそこにいた。
「……この階段……坂? を登るのですね」
 一緒に大岩のところまで来たはずなのに、いつの間にか姿を消していた叶恵。どうやら、ふらりと再びお手伝いをしていたようで。
 とりあえず揃った【護】のメンバーは各々、目の前の階段を攻略すべく、その手段へと着手し始めたのである。


 さすが先生は知識も対応力も違う。
「用意は無かったけど……こんなものか」
 側にあった一輪車を使って、使用に耐えうる(設計)の小径トライアル自転車を作成。中学校ということは担当授業があるはずだが、先生の担当なんですか? っていう感じで自転車が仕上がる。
 それを見守っていたシリルーンはイグニッションカードを取り出した。能力者ならば誰しも触れたことがある必携アイテム。昔ほどの重要さはなくとも、その機能の利便性はいまだ追随を許さないレベルである。だが、この中にもこの階段の攻略に繋がるものは無い……いや?
「あっ」
 この中には大正ロマン風の戦闘装備が入っている。黒地に桜の着物に赤から紫のグラデーションの袴、そして詠唱銃。浪漫とはいつも素晴らしい。
 そうじゃなくて。
「大正ロマンと言いますと銀輪がつきもの!」
 確かに。かの時代、車輪のつくものが世の中にたくさん出始めた時代である。……つまり。
「『起動(イグニッション)!』」
 シリルーンの声にイグニッションカードが力をもたらす。大正ロマン風の身なりへと変身したシリルーンが自信たっぷりに告げる。
「この姿なら輪行も余裕ではありますまいかと」
「え?」
 シリルーンの言葉に思わずツッコむ陸井。視線が『いや違うそうじゃない』って言っている。しかし。
「勘違い? いいえ、必要なものはこの際気合でございましょう」
 この場においてはある意味正解である。
 しかし、この無茶振りに気合で対抗とか……『羽根安め』出身は面構えが違う? いえ、憶測ですが。

 とりあえず『足』の確保が必要だ。

 陸井が自分で作った小径トライアル自転車に軽く乗って調子を確認。
「こう……ウィリーからのダニエルジャンプ、っと……」
 繋ぎ合わせている関係上、少し動きがぎこちないが、無理な操作をしなければそこから壊れることも無さそうだ。
(和服のままやるもんじゃないかもしれんが)
 だが悪路を走破するテクと知識もとりあえずあるし。
(猟兵の運動能力頼りかな)
 対してシリルーンがチョイスしたのはマウンテンバイク。階段の途中で静止が可能という点でチョイスしたものである。
「はしたのうございましょうが……」
 聊か裾をからげて、袖はたすきで押さえ込み。
「……袖が長いままなのは見ない振りをお願い致します」
 誰に告げたの??
 しかしその袖なくば大正ロマンは成し得ない。つまり必要条件なので問題ありません。
 準備の整った陸井&シリルーン夫婦。

 その側でひたすら悩んでいたキアラは、ついに最適解へ辿り着いた……!
「と言う訳で。用意しましたるは……」
 ばーん、と両手で披露するそのアイテムは。

 シニアカー。

「ふ、ふふ……おじーちゃんおばーちゃんの強い味方! これなら私でも乗れます運転できますっ!」
 免許要らないし、操作スイッチだしね。
「ちょっと恥ずかしいけど! 速度遅いけど!!」
 しかし、背に腹は代えられないとキアラはシニアカーに乗り込む。エンジンスタート! ゆっくりとシニアカーが動き出す。
「皆さん、私に構わず先にゆけなのですー!」
 時速4km/hでゆっくりとろとろと走り出したシニアカー……。

 ガンッ。

「あれ?」
 階段の段差で止まった。
 慌ててシニアカーの説明書を読むキアラ。一般的なシニアカーは段差も乗り越えられるらしいが、8㎝くらいまでという機能が多いらしい。
 ちなみに、段差に配慮のある高齢者専用賃貸住宅の階段基準で高さが15~20cmだそうな(るちる調べ)。
 つまり……あがれません。
「そんなーっ!?」
 策士、策に溺れるとはまさにこのことである。

「うーん……困りましたねぇ……」
 叶恵もまた手段に困っていたわけだが。
「おや?」
 叶恵を追いかけてきたのか、先程海辺で仕事をお手伝いした時のゴーストさんが後ろにいた。お困りの様子の叶恵に首を傾げるゴーストさん。
「じつはー」
 そのゴーストに相談をしてみる。
「地元民ならではの攻略法ってあります?」
「……」
 返事は首を横に振り。マヨイガという意味では地元かもしれないが、この通路はある意味封印されていた(蓋をされていた)場所だし。普段通る場所じゃない。
 だが、とゴーストから提案される。
「ほうほう……知り合いのゴーストの自転車乗りのプロを呼んできてくれる?」
 示された解決策が自転車ならそこから攻略すればいいという作戦である。
「助かりますー、ふふふ」
 呼びに行ってくれたゴーストを見送って待つ叶恵。
「良いことをしたらいつか自分にも返ってくるものなんですねぇ」
 【とある『お狐様』のお仕事】が功を奏したらしい。

「えーと……大丈夫か皆?」
 陸井先生の点呼。
「はい」
「はいー」
「先生、厳しいです……!」
 順にシリルーン、叶恵、キアラである。
「厳しそうだったら一緒に乗るか? ……ってキアラさんは大丈夫そう? だな?」
「この子たちが助けてくれるので」
 陸井の疑問形に、えぐえぐと涙を飲みながらキアラが答える。
 陸井が早速フォローしようとしたが、よく見たらキアラにも援軍が来ている。
 【ネミの森の子犬たち】によって呼び出した、たくさんのもふもふでふかふかなコボルト人形たちがキアラのシニアカーを後ろから押し上げている。ぬいぐるみなので生きている判定は入ってないっぽい。
 どうにか行けそうだ。
「それではー」
 援軍のゴーストの背に負ってもらうために、狐に変身して体を小さくする叶恵。
 こうして【護】の階段攻略が始まったのである。


 基本的には、超ゆっくりのキアラの速度に皆が合わせる形で。
 とはいえ、先行はシリルーンと叶恵。
 そしてキアラに陸井が付きそう形である。
「陸井さんお付き合いさせてすいません」
「いやいや。落ちそうになったら助けるから」
 キアラの言葉に微苦笑しつつ。皆の動きに注意を向けながら、キアラを追いかける感じでのんびりのぼっていく陸井。
「シリルーンさんかっこいい……叶恵さんクレバー」
 そして上を見上げたキアラが熱い吐息とともに呟く。
 そこにいたのは、大胆不敵に長い袖をなびかしながら、能力者と猟兵の意地にかけてマウンテンバイクでテクニカルに駆けあがっていくシリルーンと。
 ゆっくりとはであるが、確実に一段ずつ自転車でのぼっていくゴースト……の背にくっついている叶恵である。
「あっ!」
「えっ?!」
「シリルーンさん?!」
 疲れがたまってきたのか、一瞬ずるんとなりかけ、滑り落ちそうになるシリルーンにキアラ、叶恵、陸井が声をあげるが、シリルーンがぐぐと踏みとどまる。
 急いで陸井が駆けつけ、優しい手で助けを。
 危機を脱したメンバーたちの間にほっと安堵の息が漏れる。
「よーし、みんな……とつげ~きっ!」
 キアラが最後尾から声をあげて。
 シリルーン、陸井、叶恵(&ゴースト)が改めて階段を上っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シラバキ』

POW   :    拡大性シラバキさま
【感染性呪詛の塊 】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【呪詛】を放ち続ける。
SPD   :    純粋呪詛存在
自身の身体部位ひとつを【純粋なる呪詛 】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    霊的汚染地帯
【撃ち出した「呪詛の塊」 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を呪い、霊的に汚染して】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●そして辿り着いた場所
 どこまでも続くかと思しき階段をひたすらのぼり続けて。もうそろそろ一輪車の車輪もやべーかなってレベルの階段数を、しかし猟兵たちはのぼり切る!!

 頂上の踊り場に倒れ込むようにして到着する者もあれば、余裕綽々で辿り着いた者もいる。だが彼ら彼女らはいずれにしてもその身による献身(砂浜で遊んだ)と、そして気合や根性、知識(なお、一部は犠牲を伴って)で以て。ついに辿り着いたのである。

 踊り場の出口と思しき引き戸を開ければ、そこに広がるのは日本風の庭園。
 一言で言えば枯山水、であるのだが。美しい訳でもなく、あるいは詫び寂びを体現しているわけでもなく。
 雑草が生え、玉砂利も汚れて。ただただ、寂れてしまった枯山水の庭園。だだっ広い玉砂利の庭の中央。その空間が不意に歪む。

 それは、呪詛をまき散らしながら姿を現わす。オブリビオンゴースト『シラバキ』。
 人魔共存――『生命』根絶を良しとしないこの地において、『生命』への強烈な怨念を纏いながら呪いを振り撒く存在。

 マヨイガ――視肉がこんな状態の存在を招くはずがない。

 ならばこの存在は外から。オブリビオン化した世界結界の影響によって『この場所に突然発生した』存在なのだ。
 振り撒かれたシラバキの呪詛がマヨイガをゆっくりとではあるが、確実に侵食していく。それは毒の沼が広がっていくがごとく。マヨイガを霊的に汚染していく。

 タイムリミットは汚染の影響範囲がこの庭の中に留まる間。その間であればこの地を封印、あるいは隔離することで対処することが出来る。
 残された時間はそう多くない。
 猟兵たちは戦闘態勢を整えて、シラバキ討伐へ挑むのであった。


※シナリオ補足※
 戦闘場所はお知らせしていた通り、広い枯山水の庭園です。手入れが入っていないので雑草が生えていたり、玉砂利がぐちゃぐちゃになっていたりしますが、戦闘の邪魔になるようなものはありません。お馴染みの大きな岩などもありますので、戦闘に利用してもらって大丈夫です。
 今回のケースのシラバキは『ここに封印されていた』とか『マヨイガの中のゴーストが変質した』とかいう存在ではなく、確実に外から送り込まれた異質の存在です。マヨイガ的にはこう、体内に残った銃弾を取り除く手術的なもの、かな?
 遠慮なくぶっ飛ばすことがマヨイガとしても猟兵としても完全なるプラスになります。あ、戦闘の余波で枯山水の庭園を壊しても怒られません、大丈夫です。
 前章のノリをもってきてコミカルに事を運んでもらってもオッケー。とにかく倒せばこちらの勝利だ! よろしくお願いします!
天日・叶恵
【護】で参加
過去から滲み出る…のでしたっけ
オブリビオンも厄介なものですー
そして、呪詛は専門外なんですよねぇ…
さてさてー…この呪詛に如何に対抗をしましょうか
ここの平穏がなくなると、ゴーストの行き場もなくなって後が厄介ですからねぇ

●戦闘
私は敵の妨害に専念しましょう
術扇の【衝撃波】による振動やUCの【マヒ攻撃】で妨害に努めましょう
私自身が狙われたら他の味方が自由になるのでそれはそれで。また私自身も回避や白燐蟲を用いた防御に努めますが最後に物を言うのは【幸運】のハズ
【呪詛耐性】も少しあります
攻撃のタイミングは、能力者時代に培った【集団戦術】の技能と【戦闘知識】からいい感じに


キアラ・ドルチェ
【護】で参加

マヨイガは、人魔共生に必要な場所
視肉さんによって、ゴーストさんが穏やかに暮らし
母たちが整備をし…何か変な階段とかもありましたが…デートし
ロコさん(路子さん。勝手に渾名付けた)がタピる場所!

そんな場所を汚そうなんて許せませんっ!
てゆか私もここでデートしたいっ! 彼氏いないけど!
ちなみに、うちの両親ここで告白してますからっ、あやかりたーい!
…ロコさんにイケメン新世代ゴーストとか紹介して貰えませんかね
あ、シリルーンさん、今度両親に聞いときますっ。陸井さんとのデートの為に私も一肌脱ぎますっ♪

とか考えつつ【魔力溜め】て【高速詠唱】【全力魔法】で森王の槍
生命溢れる植物に抱かれお眠りなさいっ!


凶月・陸井
【護】で参加

階段は何だったんだろうなっていう感想は横に置いて
本当に皆の言う通りだ
「此処は、お前が居ていい場所じゃない」

それに確かに、その楽しみもだもんな
「それじゃあ、サクッと倒して次はデートだな」

戦闘開始と同時に【神速「空閃」】を使用
皆には斬撃を設置した位置をハンドサインで伝えて注意を促し
敵の行動範囲を制限するように囲い続け
後衛の二人へ攻撃が向かわないようにしていく
「シリル!合わせて行くぞ!」
自分の斬撃だけでなくシリルの斬撃も足場に縦横無尽に跳び
皆の攻撃の邪魔をしないようにしつつ敵の注意を引きながら攻撃し続ける

最後の妨害と全力の一撃は二人に任せて
「悪いな、俺には心強い仲間達が居るんだよ」


シリルーン・アーンスランド
【護】にて

(キアラさまの述懐を伺い)
ええ、仰る通りです
此処は、ゴーストの皆様が築き上げた
この世に二つとない楽土
それをあさましい野望で壊すなぞあり得ぬ悪道

この地に安らう方々は、おいでの限り
ご無事で変質もしないのですから
断じて、護り通さねばなりませぬ

…それに!
わたくしだって…いつかこちらで陸井さまとデートして
タピりたいのですから!

UC月の斬撃を使用

後背援護も頂けるご様子にて全振りで攻撃を

幾度もの斬撃からの残像もふんだんに使い
高い場所からのかかと落しや
切り裂きも可能かと
陸井さまとも合わせ
骸の海へ去ぬがいい!この慮外者!

キアラさま、ご両親様にオススメなどお聞きでは
ございませんか?良ければお伺い致したく




 じわり、じわり、と……。
 マヨイガの中でも放置されていた庭の中央から、呪詛が広がっていく。その呪詛はマヨイガの中に蓄積されていた、いわゆる『まつろわぬモノ』ではなく、外より侵入したウィルスのようなもの。
『…………』
 『シラバキ』はただただそこに在って、マヨイガという地を侵していく。だがその行動は阻止される。この地を守らんとした猟兵たち。
 彼ら彼女らがこの場に辿り着いたからだ。

「過去から滲み出る……のでしたっけ。オブリビオンも厄介なものですー」
 シラバキを視認した天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)がぽそっと呟けば。
「マヨイガは、人魔共生に必要な場所」
 とキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)が言葉を継ぐ。
「視肉さんによって、ゴーストさんが穏やかに暮らし、母たちが整備をし……」
 マヨイガという場所に馳せる思いを言葉にして、呪詛に対抗するように紡いでいくキアラ……ここまでは良かった。100点だった。
「何か変な階段とかもありましたが……デートし、ロコさんがタピる場所! あ痛たぁっ!?」
 びしっとシラバキを指さした瞬間、どこからともなくミニチュア視肉がファンネルしてきた。後頭部に直撃する。どうやらマヨイガが代理で抗議しているらしい。『勝手に渾名付けるな』と。
 だが渾名とタピのくだりを除けば、言っていることは至極当然。この地はかつて能力者たちがゴーストのためにデートスポットを作ったことがあるからだ。
「ええ、仰る通りです」
 だからシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)が続きを紡ぐ。
「此処は、ゴーストの皆様が築き上げたこの世に二つとない楽土」
 笑顔をたたえて、一歩進み出るシリルーン。
「それをあさましい野望で壊すなぞあり得ぬ悪道」
 おしとやかで荘重な彼女の性格のままに、言葉が突き刺さる。
「本当に皆の言う通りだ。此処は、お前が居ていい場所じゃない」
 最後に凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)が引率……じゃなかった、話を締める。内心『階段は何だったんだろうな』っていう感想は横に置いて、何とか話をシリアスに戻そうとしている。だいたいキアラのせい。
「…それに! わたくしだって……いつかこちらで陸井さまとデートしてタピりたいのですから!」
 ごめん、シリルーンもだった。えっと、あの、タピオカから離れよ??
 そんな様子に陸井が思わず吹き出す。
「それじゃあ、サクッと倒して次はデートだな」
 まぁシリアスだけが能力者じゃない。死と隣り合わせの青春を駆け抜けてきた彼らの側にはいつだって日常があった。
 その楽しみも。能力者は……いつだって欲張りなのだ。
「ここの平穏がなくなると、ゴーストの行き場もなくなって後が厄介ですからねぇ」
 叶恵がそう呟いた瞬間。
 シラバキの体が足元から純粋なる呪詛へと変じていく。どろりと溶けるように、そして名状しがたい闇を孕み。
 弾けるように呪詛の塊が飛散する!
「皆、気を付けて!」
 陸井が叫び、その声に反応するように【護】のメンバーが散開する。
 絶え間なく吐き出される呪詛の。なおもシラバキの体が足元から呪詛の塊に変わり、そのまま呪詛弾として撃ち出され続ける。それを回避しながら、自身の戦闘態勢を整えていく猟兵たち。
「そして、呪詛は専門外なんですよねぇ……さてさてー……この呪詛に如何に対抗をしましょうか」
 うーむ、と悩みつつ、回避していく叶恵。
「この地に安らう方々は、おいでの限りご無事で変質もしないのですから」
 身を翻して呪詛弾を回避しつつ、間合いを測るシリルーン。
「断じて、護り通さねばなりませぬ」
「ええ、そんな場所を汚そうなんて許せませんっ!」
 ドルイドの杖で呪詛の塊を打ち返しながらキアラもまた同意する。
「てゆか私もここでデートしたいっ! 彼氏いないけど! ちなみに、うちの両親ここで告白してますからっ、あやかりたーい!」
 欲望だだ洩れだなこのネミの裔。
「キアラさま、ご両親様にオススメなどお聞きではございませんか? 良ければお伺い致したく」
 シリルーンさん、間髪入れずに食いつくね? 陸井さん、奥さん本気で待ってますよお誘い。
「あ、シリルーンさん、今度両親に聞いときますっ。陸井さんとのデートの為に私も一肌脱ぎますっ♪」
「おーい、いくぞー?」
 さすがにこれ以上は戦闘に影響が出そうでした。陸井が微苦笑しながらちょいと釘を刺して……次の瞬間。
「攻撃開始だ!」
 陸井先生からの号令。それは手刀による【神速「空閃」】――不可視の斬撃によって猟兵たちの攻勢が始まったのである。


 陸井の放つ手刀が不可視の斬撃をシラバキと空間へ刻み込んでいく。シラバキを斬り裂き、そしてその場に残る斬撃は陸井の思うままに、皆の力となる。
「……よし」
 ハンドサインで位置を皆に伝えつつ、陸井が前に出てプレッシャーをかける。その行動は後衛の二人へ攻撃が向かわないように。
 その陸井の突撃に合わせるように。
「あえかなる月の光よ、斬撃となり敵を討て!」
 後衛のシリルーンの【月の斬撃】。シリルーンの手から放たれた極超音速月光弾が三日月の衝撃波となってシラバキの体に叩きつけられる。
 ぐらりと揺れるシラバキの体。
 前には陸井、後ろにはキアラ。叶恵は遊撃の位置から敵の妨害に専念している。
(後背援護も頂けるご様子にて有難いお話)
 ゆえにシリルーンは自身の力を攻撃に全振りして、続けざまに【月の斬撃】を放っていく。
 3人の攻撃を支えているのは叶恵の行動阻害である。
「えい」
 術扇を振るえば衝撃波がシラバキに叩きつけられ、その振動で呪詛弾の命中精度を低下させる。幾度も叩きつけて注意が叶恵に向けば。
「すこしの間、止まってくださーい」
 と【幻楼火奥義】を放ち。おぼろげに揺らめく幻想的な炎を見たシラバキの意識を強く麻痺させることで動きを封じる。
(私自身が狙われたら他の味方が自由になるのでそれはそれで)
 というわけで。呪詛弾が飛んできたとしても呪詛耐性もあるし、白燐蟲を用いた防御もある。そして。
「最後に物を言うのは幸運のハズ」
 幸運極振りな人生らしい。ただ、そのような想いや動きは真の力となる。功を奏して叶恵の行動はシラバキの攻撃を引き付けることに成功する。

 叶恵の立ち位置は3人とは反対。ゆえにシラバキの意識がそちらに向けば、シラバキが背を向けることになる。
 位置を変えながら、【神速「空閃」】を放ち続ける陸井。シラバキの周囲を取り囲むように不可視の斬撃を設置して。
 空を仰ぎ見ればそこにいるのはシリルーンであった。
 彼女もまた幾重にも【月の斬撃】を放ち、弧を描いてシラバキを斬り裂いた魔力弾は戻ってくる軌道の最中で三日月型の足場を残していく。それはシラバキの頭上への道しるべ。
 それを駆け上がりながらシリルーンが足元に視線を向ければ、そこには自分を見上げる陸井がいる。
「シリル!合わせて行くぞ!」
「はい! 心得ました!」
 阿吽の呼吸。
 陸井が刀を構え、自身だけでなくシリルーンが置いた斬撃の足場を駆使して、縦横無尽に空を跳ぶ。その空中機動の最中で刃がシラバキを四方八方から微塵にすべく斬り刻む。
 だがシラバキもまた反撃の呪詛弾を陸井に集中させる。弾から砲弾へ、砲弾から爆弾の大きさへ。強烈な呪詛が陸井に叩きつけられるが……ダメージを負ってなお陸井は笑う。

「悪いな、俺には心強い仲間達が居るんだよ」

 その言葉は今にも攻撃を放とうとしている仲間へと届けられて。

 陸井が斬り刻む、疾風の繭のようなシラバキの周辺を……シリルーンは一番高い斬撃の足場から飛び降りる。陸井が辿る軌道はわかっている。何と言っても自分と彼が置いた足場なのだから。それを直線状に繋げば……『通れる道』はおのずと見える。
 陸井がシラバキを斬り刻むその中へ。
「骸の海へ去ぬがいい! この慮外者!」
 シリルーンのかかと落としが華麗に決まった。

 シラバキの呪詛の流れが止まる。
 そこへ響く声。
「お待たせしましたっ」
 ここまで完全に空気だったキアラだが、寝ていたわけではない。
 ここ、『生命』が存在しないマヨイガの中において、彼女は『生命』を生み出すべく、呪詛の合間をかいくぐって魔力を溜め、溜めに溜めてそれを編み上げて。高速詠唱で幾度も編み上げた魔力は植物の槍を象っていく。木が林になり、林が森になる。

「森のディアナよ、汝が慈悲もて我に想い貫く槍を賜らん。万物よ自然に還れ!」

 キアラの全力の【森王の槍】が解き放たれる。呪詛に染まった大地から生命溢れる植物の槍がシラバキの体を貫き、贄のごとく掲げて。
 陸井が、シリルーンが、叶恵が見守る中、キアラが叫ぶ。
「生命溢れる植物に抱かれお眠りなさいっ!」
 キアラの言葉のままに、呪詛を飲み込んでいく植物の槍。生命に触れた呪詛の塊が霧散して浄化されていくのであった。

「……ロコさんにイケメン新世代ゴーストとか紹介して貰えませんかね」
 残念ながらショタ(?)のご用意はありませんのでー。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
なんと、こんな所にもオブリビオンが出るなんてね
(ちゃりちゃりと鎖の鳴る音と共に現れる。休日に両親に会いに帰省していて偶々現場に出くわした)

む、これはいけない
(自身の鎖を玉砂利の地面に突き刺しオペラ劇場風の特殊空間を展開、霊的汚染を抑え込もうとする)

ぐ、うぅ…
(けれど未だ若いその身と過去から甦った古き怨念では地力が違い、じりじりと汚染されて。肩のミニ視肉が心配そうにしている)

だ、大丈夫さくーちゃん。僕は、あの人のように、牙無き者の剣となると、誓ったんだから
(心を奮い立たせる。かつて己を救ってくれた剣士の姿を、そして直接見た事は無いが伝え語りきかされた、生命使い達の戦いの姿を思い描く)

あぁそうさ、『彼ら』はいつだって諦めない。その胸の内に雄々しく燃える生命(ひかり)を溢れさせ死(くらやみ)を満たし輝かせる。そうさ、僕は知っている、だから、唱える!
(オペラ劇場の舞台に、凛々しい王子をイメージした煌びやかな衣装に変じて立ちUC発動、猟兵達を癒し鼓舞する)
さぁ生命使いの皆さん、あと少しだよ!




 マヨイガの中。誰も訪れなくなった密かな庭園に、僅かに淀んだ悪い気をアンカーにして。呪詛の塊、『生命』への強烈な怨念を纏いながら呪いを振り撒く存在『シラバキ』は顕現した。
 オブリビオンゴーストと化したシラバキに抗するにはユーベルコードを以て倒すしかない。その呪詛がマヨイガの中で致命的な毒と化す前に。
 猟兵たちの攻撃によって、シラバキの力そのものが削られていく。だがまだ滅するには足りない。

「なんと、こんな所にもオブリビオンが出るなんてね」

 ちゃりちゃり、と。その身に繋がっている地縛霊の鎖を地に垂らしながら。
 剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)が姿を現わす。新世代ゴースト――人魔共存の象徴のひとつともいえる、人間を襲わず穏やかな気性を持つゴーストたちの子供たるエトにとって、マヨイガは故郷とも言える場所。現に両親に会いに帰省していた最中だったのだから、偶然にも事件に遭遇したのは運がいいのか悪いのか。
 だが、エトの存在を認識してもなお、シラバキは揺るがず。いや、地面に対して呪詛の塊を撃ち出し、この地の汚染を進める。
「む、これはいけない」
 故郷の変化を事細やかに感じるのはやはり彼女が新世代ゴーストだからだろうか。咄嗟に自分の鎖を玉砂利の地面に突き刺して。
「……ッ!」
 父譲りの特殊能力――地縛霊の特殊空間を展開する。その力で以て呪詛の汚染を抑え込もうとするエト。オペラ劇場風の特殊空間が呪詛の闇を塗りつぶし。
「ぐ、うぅ……」
 しかし呪詛の汚染がさらにオペラ劇場を覆い潰す。見た目は成長しているが新世代ゴーストはいずれも未だ若い身。過去、銀の雨が降る時代に在ったシラバキとは地力が違うと見えて、特殊空間がじりじりと汚染されていく。
「だ、大丈夫さくーちゃん」
 エトが告げる相手は肩に乗ったミニチュア視肉。表情は視肉のそれだが、その身に纏う雰囲気がエトを心配している気配だったのだ。
 だからエトは告げる。
「僕は、あの人のように、牙無き者の剣となると、誓ったんだから」
 心を奮い立たせるエト。心象風景に映るのはかつて己を救ってくれた――『金色の剣士』の姿。そして思い描くは、直接見た事は無いが伝え語り聞かされた、『生命使い』たちの戦いの姿。

(あぁそうさ)
 エトの心の内に湧き起こる熱い想い。
 『彼ら』はいつだって諦めない。
 その胸の内に雄々しく燃える生命(ひかり)を溢れさせ、死(くらやみ)を満たし輝かせる。
「そうさ、僕は知っている、だから、唱える!」
 エトから紡がれるように謳われるは【独唱曲『生命賛歌(偽)』】。

 ――其れは銀の雨降る時代。
     死と隣り合わせの青春を駆け抜けた勇猛無比なる生命使い達が放つ、
       無限の輝き、生命の賛歌!

 オペラ劇場の舞台に立つエトの姿が凛々しい王子をイメージした煌びやかな衣装に変じていく。
 放たれるは模倣され劣化された、かつての戦いを支えた光。その光に乗ったエトの歌声がこの場にいる者たちを癒し、鼓舞していく。
「さぁ、あと少しだよ!」
 後ろから聞こえてくる新たな猟兵の気配を感じて。
 エトはこの後を託すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

穢宮・風月
シラバキさま…これはまた禍々しい相手ですね。
いにしえのまつろわぬ神…といったところでしょうか!

敵の攻撃を、仲間と連携しながら丁寧に捌き、防ぎ、避けながら徐々に着実に接近していく
ショートレンジまで踏み込めたら、
短い呼気を吐きつつ、忍者手袋による打撃を相手に叩き込み、UC霧影龍神爆水掌
動きが早くて近づけそうにない場合はUC関八州大蛇神瀑布で蛇神様を12体召喚し、
広範囲水流で動きを止めようとする

シラバキ様の呪詛攻撃は、スーツの裏地に仕込んだ穢宮流神道の御神札で耐える

戸惑っていますね…わたし、こう見えても巫女の端くれなもので、この手の呪詛への対策は普段の装備に織り込み済みなんですよ!

悪・神・退・散っ!


烏護・ハル
……しおまねきーずさんの幻が見えた時はヤバかった。

……ようやく会えたね。
お陰でこっちは脚ガクガクしてるんだけど!

喚び出せる式神さんのうち、半数程に防御結界をお願いする。
魔力の充填お願い。
あいつの呪詛、片っ端から受け流して。
捌き切れなくても大丈夫。
少しなら痛みも呪詛も耐えてみせるよ。

他の式神さんには高速、多重に詠唱し、カウンター用に魔力を溜めてもらう。
相手の攻撃の切間にUCを発動。
ついでに呪詛でブースト。

玉砂利や枝切れ等は呪殺弾に。
呪符自体も切断や斬撃を為す刃に。
余波で散らばった物も全て硬質化。

足掻きたければどうぞ。
その分、“弾”が増えるだけ。
この領域全てが、私の武器だよ。
ーーー呑まれなさいっ!


瀬河・苺子
【心情】
外からの闖入者でしたか
オブリビオンゴーストに視肉は効果を持たない、ということですね
オブリビオンが出る現代ならではの事件と言えそうです

【戦闘】
シラバキなら過去にGTで交戦経験はあります
あんな呪いの塊みたいなやつ、暴れさせるわけにはいきません
「確実に倒します。ここからはわたしの番です」

攻撃を「武器受け」「見切り」で防御しつつ
「威嚇射撃」で動きを封じ「部位破壊」で弱体化を図る
動きが鈍った所で「リミッター解除」による渾身の攻撃を叩き込みます
「マヨイガにあなたのようなものはいりません。消えなさい!」

戦いが終わったら、この場を掃除していきますか
疲労はありますが、事後処理までがゴースト退治ですから




 グリモア猟兵から指定されたオブリビオンゴーストの出現する区画。
 一言で言えば 雑草が生えて玉砂利も汚れてしまっている、ただただ寂れてしまった枯山水の庭園。
 その中に現れた『シラバキ』は生命に対する強烈な怨念を呪詛に変えて、マヨイガを侵食する。ここはゴーストたちが住まう地であるが、生命と迎合したがゆえにシラバキにとっての攻撃対象になってしまったのかもしれない。
 だが元能力者の猟兵たちと新世代ゴーストの猟兵によって、侵食は最低限に抑えられ、かつシラバキの呪詛は大幅に削られていた。
 あと少し。

 そんなタイミングでこの地へ踏み込んできたのは3人の猟兵。
「……ようやく会えたね。お陰でこっちは脚ガクガクしてるんだけど!」
 本当に烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)さんの言う通りですよ。なんだったのあの階段。
「……しおまねきーずさんの幻が見えた時はヤバかった」
 とはハルさんの心の叫びである。さっき叫んだ。今はクール。よし、耳のぴこぴこのキレが戻ってきたぞ。
「シラバキさま……これはまた禍々しい相手ですね」
 続いてシラバキと相対するのは穢宮・風月(巫女忍・f36880)。黒いパンツスタイルのスーツ姿でネクタイの位置を直しながら、油断なく戦闘態勢を整える風月。
「いにしえのまつろわぬ神……といったところでしょうか!」
「言い得て妙ですね」
 風月の言葉を継いで、瀬河・苺子(人間のゾンビハンター・f36282)がシラバキを見据える。
(外からの闖入者でしたか)
 心の中で燻っていた思いは気にしなくてよくなった。中で過ごしているゴーストではなかったのだから。
 そして。
(オブリビオンゴーストに視肉は効果を持たない、ということですね)
 さらには視肉の招きと関係なく、マヨイガの中に現れる可能性がある。
「オブリビオンが出る現代ならではの事件と言えそうです」
 ゆえにマヨイガも猟兵たちの助けを求めているのだろう。ならば。
 苺子もまた戦闘態勢を取りながらシラバキと相対する。
『…………』
 シラバキの仮面の下で何かが蠢く。それは呪詛であったかもしれないし、シラバキの怨嗟の叫びであったかもしれない。そして目に見える形となって溢れ出る呪い。
 シラバキの体が仮面だけを残して純粋なる呪詛と化して。
 まだ諦めぬ、と猟兵たちに襲い掛かってくるのであった。


 どろり、と溶けるように。シラバキの体が足元から禍々しい闇と化す。触れれば飲み込まれ、戻ってこないような呪詛。それが派手に弾けてばらまかれる!
「さがって!」
 苺子が叫べば、咄嗟に反応したハルと風月が大きく飛び退る。
 さっきまでいた位置へ降り注ぐ呪詛。どうにか白を保っていた玉砂利が禍々しい黒に塗りつぶされる。
「うわ……」
「これは……」
 飛び退った位置で体勢を立て直しつつ、思わず声をあげるハルと風月。
 だが苺子は冷静に……思い出す。
(シラバキなら過去にゴーストタウンで交戦経験はあります)
 元能力者ならではの経験。オブリビオンとは過去の存在。目の前のオブリビオンゴーストもまた過去より滲み出てきたモノならば。
「あんな呪いの塊みたいなやつ、暴れさせるわけにはいきません」
 マヨイガを侵食すると同時に、こちらへ呪詛の塊を飛ばしてくるシラバキを見据え、苺子が宣言する。
「そっか。アレ、呪いの塊なんだ?」
 ハルがぽむっと手を叩く。幽霊の正体見たり枯れ尾花、とタネが分かれば対処のしようもある。
「式神さん!」
 ハルが5本の指に挟んだ霊符をばらまけば、呪詛に対抗するように現れる式神たち。絶え間なく降り注ぐ呪詛とハルたちの間に立ち塞がった式神たちがその空間を支配するように動き回り、霊力の障壁を作り出す。
「魔力の充填お願い。あいつの呪詛、片っ端から受け流して」
 びしっ、と指さしながらハルが指示すれば、式神たちがマヨイガの中に漂う魔力を充填しつつ障壁へと注ぎ込んでいく。だがシラバキの呪詛は強烈だ。しかも最期のあがきといわんばかりに呪詛を強めているようで、直撃した障壁も歪んだりひび割れたり。そこへ魔力を注ぎ込んで修復という一進一退を繰り返す。
 式神たちからわずかな焦りがハルに伝わってくる。直後、障壁を突き抜ける呪詛の塊。それがハルの肩をかすめていく。
 式神たちが慌てたように、ハルの側へ飛び戻ってくるが、ハルは式神たちに手を差し伸べて。
「捌き切れなくても大丈夫。少しなら痛みも呪詛も耐えてみせるよ」
 たいしたことない、とハルが笑う。呪詛と激痛の耐性があるハルにとっては耐えられないレベルの攻撃ではない。
 ハルの言葉に式神たちが落ち着きを取り戻せば、それによって障壁が安定する。

 強烈な呪詛を弾き返す障壁。ハルの式神たち半数が象る防御結界の内から、風月と苺子が乱れ飛ぶシラバキの呪詛の流れを見極める。
 どうやらシラバキは理性のある存在ではないらしい。ただただ、呪いをばら撒く存在。ゆえに呪詛の塊も乱れ飛んでいるようで、言うほど不規則な動きはしていない。
 ならば。
 苺子と風月が顔を見合わせて頷きあう。
「突っ込みます」
「はい、そうしましょう!」
 神鳥の加護を宿す『迦楼羅乃灼刀』を構えて告げる苺子に、土蜘蛛の霊糸を加工して作った『忍者手袋』の調子を確かめつつ風月が了承を返す。『ブラックウィドウ』――呪詛耐性を持たせた黒のパンツスーツもまた、風月の切り札となり得る装備。
「確実に倒します。ここからはわたしの番です」
 苺子がそう告げて。
 防御から攻勢へ移るべく、苺子と風月が地を蹴って疾走する。

 並走する苺子と風月。
 迫りくる呪詛の軌道を見切る。その流れに迦楼羅乃灼刀の刀身を合わせれば、自然と弾かれていく呪いの塊。隣を走る風月に飛び火しないように苺子は右側へと迦楼羅乃灼刀を振るって呪詛を払い落す。
「……!」
 風月は小さく呼気とともに呪詛の塊を叩き落していく。最小限の動きで丁寧に正確に。土蜘蛛の糸に守られた手刀が鋭く、左側へ呪詛を捌いていく風月。
 苺子、風月の前衛2人に、後衛ハルのスリーマンセル。
『……!!』
 近づいてくる二人にシラバキの意識が集中する。敵、自身を排除せんとするもの。それらを無視するほど呪詛の塊は平穏ではない。
 そして呪詛の嵐が二人に集中する……!

(これは……!)
 後方、結界の中で術を練っていたハルが潮目の流れが変わったことを察する。
 あの後も数発の呪詛が突き抜けてきたものの、備えていたハルにとっては流れ弾。術への集中は切れることなく、冷静に戦況を見れるほどに彼女は落ち着いている。
 だからこそ……捉えた!
 式神の存在と魔力を繋いで繋いで……高速&多重詠唱。その内にカウンター用に魔力を溜めてもらい続けたハルが叫ぶ。
「仕掛けるよー!」
 その声を聞いて、風月と苺子が一瞬足を止めて……直後、左右に分かれるように飛び退く。
「どうぞ!」
「合わせます!」
 着地後、一足飛びの間合いで力を溜める風月と、『エンドブレイク改』――籠手型のガトリングガンから弾幕をばら撒き、シラバキを牽制する苺子。ガトリングガンの弾がシラバキの体をごりごりと削り取っていく。
 そのタイミングを逃さずに……!

「―――呑まれなさいっ!」

 ハルが術を解き放つ。【濤式】――ハルが掲げた転移術式を施した符から解き放たれる呪符の嵐。それがシラバキの体を包み込み、ダメージを与えるとともに強烈な呪いを刻み込む。
 呪い返し、なんてものではなく。これはハルが編み上げた呪い。シラバキの呪詛を薪にしてその威力を高めた……最高の嫌がらせ。
 直後、シラバキの周辺にある『物』が凶器と化す。ハルが施した『周囲の物体が硬度を帯びて押し寄せる呪い』が玉砂利や枝切れを呪殺弾とし。放たれた呪符自体も斬撃のごとくシラバキを斬る刃と化す。
「足掻きたければどうぞ。その分、“弾”が増えるだけ。この領域全てが、私の武器だよ」
 ハルの言葉通り、色んな余波で散らばった物も全て硬質化してシラバキに迫る『弾』となる!
『……!! ……!!』
 雨あられと降る大量の呪詛の弾丸に撃ち抜かれ、シラバキの動きが徐々に鈍っていく。
(ここ……!)
 風月はその隙を見逃さない。ハルの【濤式】は敵味方を判別する。ゆえに呪殺の弾は風月と苺子には降らない。
 溜め込んだ力を解放するように地を蹴る風月。
 その風月を横目で確認しながら、苺子は【狩猟体勢】へ。
「これ以上、あなたを逃しはしません」
 肉体強度を最大限に発揮できる狩猟体勢へ移行した苺子もまたシラバキへと肉薄する。

 接近してくる風月と苺子に対して、悪あがきをするようにシラバキが呪詛の塊を放つ。 その攻撃をスーツの裏地に仕込んだ穢宮流神道の御神札で耐える風月。
「わたし、こう見えても巫女の端くれなもので……この手の呪詛への対策は普段の装備に織り込み済みなんですよ!」
 土壇場で見せた動きでシラバキにプレッシャーをかけつつ肉薄する風月。その後ろで苺子はエンドブレイク改で受け止め、受け流す。
 同時に間合いに入った二人が、同時に攻撃を放つ。

 ―― 一閃。

 苺子の迦楼羅乃灼刀がシラバキの体を真横に真っ二つにして。
「……はっ!!」
 短い呼気をはきつつ、残った上半身に風月が拳を叩き込む!
 ぐらり、と揺らぐシラバキの体。呪詛の放出が……止まる。
「式神さん! 今! 抑え込んで!」
 ハルが叫べば、上空で待機していた式神たちが結界でシラバキを地へと縛り付ける。呪詛をまき散らす余裕すらなく、動きを止めるシラバキへ。
「練・気・成・龍っ! 発ッ!!」
 しっかりと踏み込んだ足裏を起点に、全身で螺旋状に巡らせて練り上げた水気を掌に集中させて。龍脈より汲み上げた力を一点に込めて、風月が【霧影龍神爆水掌】を放つ!
 直撃すればシラバキの内部から炸裂する破壊の力。
『……!』
 シラバキが残った体の全てを呪詛に変えんと溶け始める。この呪詛だけはこの地へ残すと最期の執念を見せるシラバキを……苺子は許さない。
「マヨイガにあなたのようなものはいりません。消えなさい!」
 跳び上がり、無骨なハンマーを両手で振りかぶって。
 気魄のままに無意識のリミッターを解除して、自身の手が壊れるのも恐れず、苺子の渾身の一撃がシラバキに叩き込まれる!
 地面の、ハルの呪いによって硬質化した玉砂利に、苺子のハンマーによって叩きつけられたシラバキが散り散りになりつつもいまだ呪詛の力を宿している。
「悪・神・退・散っ!」
 そこへ放たれた風月の【水練忍法「関八州大蛇神瀑布」】が、水流ブレスで完全にシラバキの存在を消失させて。

 この地に静かな平穏が戻ってきた。

「終わ……ったー!」
 両手をうーんと伸ばしながらこてんと後ろに倒れ込むハル。怪我をしないように式神さんがぽふっと支えているのはご愛敬。
「ふぅ……」
 ほっとひと息をはきながら、ネクタイを緩める風月。
「一件落着……にはまだですね」
 戦いが終わったことに胸を撫で下ろしながら、しかし苺子は周辺へと視線を遣る。そこに残っていたのはシラバキが残していった霊的汚染だ。
「この場を掃除していきますか。事後処理までがゴースト退治ですから」
 疲労感のある体を動かしながら、微苦笑する苺子。
 陰陽師に巫女に、過去戦ったことのある経験者。この地を祓うにはばっちりな人選だったことは偶然だろうか?

 そんなわけで、猟兵たちの活躍によってオブリビオンゴースト『シラバキ』は完全に滅せられ、マヨイガに残っていた呪詛汚染もどうにか祓われた。
 わずかに残った名残は時間の経過とともに消えていくだろう。マヨイガに力があれば問題ないはずだ。
 マヨイガに再びゴーストたちの平穏が訪れたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月06日


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#3章、プレ受付開始です(4/30の15:16)
#再送ありがとうございました!
#デイドリーム・アゲイン
#路子のグリモア記録


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
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 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
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 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
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挿絵イラスト