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【サポート優先】真・始皇帝を名乗るもの

#封神武侠界 #戦後 #サポート優先シナリオ #始皇帝シリーズ


「これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。」

●歴史の勉強
 封神武侠界人界にてーー。
 田園が広がる穏やかな村の唯一の学舎から声が漏れ聞こえてくる。
「みんな、おはよう」
「おはようございます、林(リン)先生!」
「今日は中国初代皇帝『秦始皇帝』についてのお話だよ」
「はい! 林先生!!」
 元気に返事をするこども達は、生き生きとした表情をしている。
 勉強することがいかに恵まれ、贅沢なことかを良く良くわかっているのだ。
 教師は「よろしい」と大きく頷くと、淀みなく言葉を紡いだ。

 紀元前の話である。
 秦始皇帝ははじめから『皇帝』だったわけではない。最初の称号は王だった。
 彼は13の歳で『秦王』に即位すると、「韓」「義」「趙」「楚」「燕」「斉」6つの国を滅ぼし、中国史上はじめて天下統一を果たした。
 天下統一を果たした秦王は称号を『皇帝』に改め、中国史上初の皇帝『始皇帝』と名乗る。
 そして、50歳の若さで急死するまで中国全土を支配したのであった。

「さてと……。みんなは、始皇帝陵と阿房宮を知っているかな?」
 こども達は小さく、あるいは大きく被りを振った。
「始皇帝陵というのは、まぁ、バカでっかいお墓だ」
 中国の初代皇帝始皇帝が40年の歳月をかけて作り上げた巨大な陸墓で、地下5メートルの巨大な地下空間として存在する。
「阿房宮は、お家かな」
 こちらは豪華絢爛で、これまた巨大な建物だ。
「先生の夢はね、いつかこの2つを訪れることなんだ」
 そう言って教師はこども達に微笑む。そこに、「先生! 先生! 大変ですよ」と真っ赤な顔をした村の男が息を切らせ、足をもつれさせながら教室に飛び込んできたのである。
 どうしたのかと教師が尋ねると。
「で、で、でっかい墓と、宮殿が突然現れて、そこから水銀が、田んぼに流れ込んで来たんです! しかも、しかも、中には沢山の化け物が……!?」
 男は切れ切れに言葉を吐き出すと、その場に卒倒した。

●封神武侠界からの要請
 グリモアベースの一画。
 ケットシーのグリモア猟兵ナノ・ナノン(ケットシーの聖者・f18907)は猟兵達の到着を静かに待っていた。その後ろには、なにやら大量の木箱が積まれていた。
 やがて猟兵達が姿を現すと、ナノンはペコリと腰を折った。
 肩にかけたマントが静かに揺れる。
「この度は、私の招集に応じてくださりありがとうございます。では、さっそく本題に入らせていただきますね」
 大きな瞳を猟兵一人一人に向けながら、ナノンは説明をはじめた。
「封神武侠界の異変を【予知】した直後、晋の軍師殿から救援要請が届きました」
 ナノンは、「ジャッ」と乾いた音をたてながら書簡を広げて中身を猟兵達の方へと向ける。
 書簡には達筆な字でこう書かれていた。

『始皇帝の後継者を名乗るオブリビオンが複数現れ、人界の至る所で暴れているーー。』

 これはまた……、と猟兵達がそれぞれの反応を示した。
「今回姿を現したのは、『韓信大将軍』の配下であり、自らを『真・始皇帝』と名乗る相国『董卓』です」
『韓信大将軍』の配下……と言うことは。
 猟兵達が見つめる先でナノンがコクリと大きく頷く。
「はい、董卓は神器【水銀の渦】を所持しています。それに加え、移動する天地一体の要塞『始皇帝陵』と『阿房宮』をユーベルコードで再現しているようです」
 地下宮殿『始皇帝陵』には『昇龍鯉』が、その先にある水銀楼閣『阿房宮』には『董卓』が居る。
「水銀楼閣『阿房宮』に至るには、地下宮殿『始皇帝陵』から『水銀の通路』を通って向う必要があります。当然内部は『巨大な迷宮構造』となっており、至る所に『増殖する辰砂(しんしゃ。水銀の材料)』で武装した『昇龍鯉』の軍団が守護しています」
 内部は当然水銀の毒で満たされ、呼吸をするだけでも危険だ。
「なので、今回はこんな物をご用意させて頂きました!」
 ナノンはそう言うと、木箱から『月餅』と『杏仁豆腐』を取り出した。
「食べれば一時的ですけど、『浄化』と『毒耐性』を得ることができますよ」
 ナノンから月餅と杏仁豆腐を受け取った猟兵達は、その極上な味に舌鼓を打った。
 猟兵達が月餅と杏仁豆腐を食べ終えると、ナノンもまた、転送用魔法陣の準備を終えていた。
「それでは皆様、お気をつけてーー」
 姿勢を正したナノンの言葉を合図に、猟兵達は足元で揺らめく魔法陣へ飛び込む。
 見慣れたグリモアベースの景色が一変し、巨大な空間へと移る。
 そこで待ち構えていたのは、畝りながら浮遊する辰砂と、その間を優雅に遊泳する昇龍鯉の群れだった。


柚子胡椒
 猟兵の皆様、こんにちは。毎日暑いですね〜。だからと言って、冷たいものばかり飲むと内蔵を冷やしすぎて、かえって健康に悪いそうなので要注意です。

 さて、「これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。」

 シナリオの難易度……普通。

 第1章 集団戦『昇龍鯉』
 戦場……地下宮殿『始皇帝陵』
 始皇帝の亡骸が埋葬されていた地下宮殿。中は『巨大な迷宮構造』と『増殖する辰砂(しんしゃ。水銀の材料)』で武装したオブリビオン軍団が守護しています。
 辰砂は様々な武器や防具の形に変形しながらオブリビオンの周囲を飛び回り、猟兵を攻撃してきます。

 第2章 ボス戦 🌗相国『董卓』
 神器……水銀の渦。
 戦場……巨大宮殿『阿房宮』の内部。全てが水銀で構成され、内臓を破壊する猛毒の水銀蒸気に満たされた『水銀楼閣』。

 それでは、皆様のカッコいいお姿が拝見できるのを楽しみにしております。
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第1章 集団戦 『昇龍鯉』

POW   :    昇龍の突撃
【滝をも登る勢いを乗せた】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【群れ】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    昇龍の はねる
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    昇龍の食慾
【吸い込むような食い付き攻撃】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【消化管】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
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水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ


七星・桜華(サポート)
『天魔御剣流免許皆伝、だからこそ更なる高みへと。』
『一か八かの勝負?そんな事しなくても私達の勝ちだね!!』
『勝った後は派手に騒ぐんだ!誰一人として倒れないようにね!!』
敵の数が多い場合は敵の強さで一体づつ倒すか複数を纏めて狙うかを第六感や野生の勘と言われる直感で即決する、また見切りの速さも早い。
闘う姿は舞っているかの動きで敵を魅了する、上空の敵が相手でも空中戦もできる。
攻守において残像を使い殺気や覇気が残像にまで残る程の濃密加減。
頑丈な敵が相手でも鎧等を無視した内部破壊系攻撃を当たり前のように使いこなす。
長期戦になっても敵の消耗と自身の回復に生命力を吸収して凌ぐ。
戦闘では先の先、後の先問わず。


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●辰砂の川を泳ぐ鯉
「やぁ、今日の相棒は君達かな。よろしく」
 水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)は2人の猟兵に明るく挨拶する。
 彼女は、とある刀匠が打った太刀のヤドリガミである。紅く毒々しい光景の中において、宝石のように煌めく青い瞳と緑の髪が清らかな輝きをたたえている。
「あぁ、よろしく」
 烈火の如く赤い髪と瞳が印象的な剣豪、七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)は、小さく頭を下げた。
「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
 高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)も礼儀正しくペコリとお辞儀した。
 彼女は世界の何処かに存在する『秘密図書館』の司書をしているという。おっとりと、柔らかい雰囲気を醸し出しているが、持っている知識は膨大だ。
「それにしても……」
 高階、七星、そして水心子は改めて周囲を見渡した。
 天上から壁を伝って落ちてくる辰砂。床の窪みを小川のように流れ行く辰砂。そして、シャボン玉のように空中を漂う、これまた辰砂。
「辰砂、辰砂、辰砂……。どこを見ても辰砂ですね」
「厄介だな。これ全てが攻撃をしてくるわけか」
 この様子では手数が多い方が勝ち、といったところだろうか、と水心子が言う。
「月餅と杏仁豆腐の効果で、息を吸うぶんには問題ないのが救いだな」
 七星が『天之叢雲剣・真打ち』を構え、水心子は脇ざしの『水心子静柄』を鞘に納めたまま構えた。
 猟兵達の見つめる先で、それまで静かに漂っていた辰砂がブルブルと震えはじめる。次の瞬間、真紅の槍が飛び出し猟兵達を襲う。
『ジャキン、ジャキン』と金属音が立て続けに鳴る中、歴戦の勘で攻撃をギリギリかわした七星は「天魔流、いざ咲き誇らん!」と咆哮した。
 七星は真紅の槍を斬り落とし、残像を残しながら駆け抜ける。
 水心子も「さて、真剣勝負といこうか」と正面から堂々と攻撃を開始する。
 しかし、増殖する辰砂がその姿を槍、剣、鞭、矢、盾……と、ありとあらゆる姿に変え、2人の行手を阻む。
「……これでは思うように進めないな」
「では、私が魔法で援護いたします!」
 2人の後ろで控えていた高階は書杖『ブライク』に『宇宙魔術古代書』を乗せ、小さな岩を幾つも出現させると、辰砂の攻撃を防ぎながら援護射撃を開始した。
 辰砂の動きが乱れ、隙が生じる。
 その隙に七星と水心子が前進すると、ようやくこの場を守護する『昇龍鯉』の群れが姿を現した。
 やがて、一塊だった昇龍鯉の群れは3つに別れ、猟兵達を攻撃して来る。
 まず初めに狙われたのは、援護射撃を行っていた高階だった。
 辰砂を身に纏った昇龍鯉は群れ全体で【昇龍の突撃】を発動した。
 滝をも登る勢いを乗せた突進に加え、辰砂の鎧で防御力、そして攻撃力を上げた昇龍鯉の群れに対し、高階はユーベルコード【サイコキネシス】を発動して迎え撃つ。
 高階の前に濃密で重たい、見えないサイキックエナジーが渦巻く。
「狙うは辰砂です!」
 サイキックエナジーで昇龍鯉を守る辰砂を操り、紅い網を作り出した高階は、その網で昇龍鯉の突撃を止めた。
「まだまだ、これからですよ」
 書杖『ブライク』が一層輝く。昇龍鯉の頭上に魔法陣を展開し、大量の岩で昇龍鯉を辰砂もろとも消し去った。
 その前方では、水心子が奮闘していた。
 全方向から発せられる辰砂の紅蓮の矢をなぎ払い、フェイントと残像を駆使して避ける。
 いくつもの残像が矢で射抜かれ消えていくが、水心子の動きは鈍らない。
 衝撃波を放ち、周囲を漂っていた辰砂の動きを一時的に止め、攻撃のチャンスを伺う。
 やがて辰砂に守られていた昇龍鯉の群れが【昇龍の はねる】を発動し、空中を蹴って大きくジャンプすると、水心子との距離を一気に詰め、頭上から体当たりを仕掛けてくる。
 その動きに水心子に瞳が輝く。
「そちらか来てくれるとは、手間が省けてよかった」
 口元に薄らと笑みを浮かべながら【錬成カミヤドリ】を発動し、自身が装備する自分の本体(器物)を100個以上複製してみせると、それらを念力でばらばらに操作する。
 ギュルンギュルンと無数の太刀が回転乱舞し、戦場に太刀の華が咲き乱れた。
 こうして、昇龍鯉は水心子の見事な太刀捌きで全てキレイに下ろされ、刺身にされる。
 一方で七星は、【昇龍の食慾】を発動した群れを相手に華麗な戦いを繰り広げていた。
 急流を登るシャケのように尾を激しく動かしながら、体長2メートルはある昇龍鯉が人すら一飲みしそうな大きな口を開け、七星に向けて突進してくる。
「この、吸い込むような食い付き攻撃を受ければ、敵の消化管に転送される、というわけか」
 ならば、と七星は今一度構え直す。
「天魔御剣流免許皆伝、だからこそ更なる高みへと」
 天之叢雲剣・真打ちで突きを放ちながら七星もまた、残像を生み出しながら突っ込んでいく。……と見せかけ、くるりと半回転し、鯉の体に沿うように回避した。
 鯉が勢い良く七星の残像にバクリと齧り付く。

『気づけなかっただろう?』

 七星は【無斬】を発動し、600以上に及ぶ闘気を纏った斬撃を放った。
 音も気配もない。カマイタチのように静かな斬撃が鯉は一口大に切り刻む。辰砂に至っては砂粒ほどに砕かれ、その場で飛散した。
「一か八かの勝負? そんな事しなくても私達の勝ちだね!!」
 七星のひとつに結えた赤い髪が炎のように揺らめく。
 こうして、入り口に付近に居た昇龍鯉の群れを退けた猟兵達であったが、道は遠く、辰砂の紅い川にはいまだ多くの昇龍鯉が体をくねらせながら泳ぎ回っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

四十物・寧々(サポート)
※サポートプレイング

多少の怪我や失敗は厭わず積極的に行動し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その上で現在の状況に対応できる人格で行動します。
シナリオ進行に必要な言動など青丸稼ぎに役立てて下さい。

使用ユーベルコードの指定はありません。
「成功」の結果で書けそうなものを一つステータス画面からお選び下さい。フラグメント次第で不使用も可です。

アイテムもご自由にお使い下さい。
服装系は提案の一例として装備せず公開設定としております。

あとはお任せ致します。
宜しくお願い致します。


御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!


月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 サラサラと流れる辰砂の紅い川の中を、我が物顔で泳ぎ回る『昇龍鯉』の群れ。
 その光景を四十物・寧々(あいもの・ねね・f28377)が神秘的な瞳で見つめる。
 辰砂の流れの奥の、さらに奥……。
 そこから、隠しきれないほど禍々しい気配が漏れ出ている。
「この気配を追っていけば、あるいは……」と寧々が思案している隣で、キマフェの1番星にして高貴な邪神、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が実に愉快そうに笑っていた。周囲を飛び回るのは、お馴染み高性能AI内蔵の映像撮影用ドローンの『天地通眼』である。
「はーっはっはっは! これまた見事な毒の装飾よな。まぁ、妾のはなんの影響も与えんが」
 こんなもの、覚悟があればなんとでもなる、という。
 そんな邪神様の後ろには、オラトリオのシンフォニアにして聖者の月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)がやや控えめに立っていた。
「あの……宜しくお願いしますね」
 月詠の銀色に輝く長い髪が赤い月の光を浴びたように辰砂の赤を反射していた。
 一歩、また一歩と地下宮殿を進んでいくと、それまで静かに流れていた辰砂が侵入者を排除せんと動き出す。
 呼吸をするかのように1度大きく伸縮した辰砂から、一斉に紅い槍が放たれる。同時に、道を格子状に変化した辰砂が塞ぐ。
「この辰砂の守りを破らないと先に進むことは難しそうです……」
 月詠と御形はオーラ防御を展開したうえで、辰砂を退けることに徹した。一方で寧々は、『ポンポンヴァッフェ』から伸ばした紐状の器官を鞭のように振るい、辰砂を叩き割りながら情報収集を開始した。
「……成る程。強度は然程ないようですね」
 赤い霧のように「パッ」と散る辰砂を見た寧々は、御形と月詠に視線を送った。
「そのようです。では私が援護射撃を致しましょう」
「ならば妾は、この左腕で邪魔するもの全て薙ぎ払ってやろう!」
 月詠は精霊銃『月光の聖銃』を構え、月の魔力を撃ち出した。
 一斉に放たれた金色の弾丸が赤一色の戦場を彩る。
 その間に、寧々と御形が一気に前進する。しかし、肝心の昇龍鯉の姿が見えない。
「ふぅむ。どうやら機を伺っているようだのう」
 昇龍鯉は辰砂の中に潜り、猟兵の周りを泳ぎ回っている。
「それなら、私がコレで釣り上げてみせます!」
 寧々は両手に持った『ポンポンヴァッフェ』から紐状の器官を伸ばし、鞭のように振り回しながら辰砂の中を掻き回す。器官に触れ、勢い良く弾き飛ばされた昇龍鯉は、かくして邪神に献上される形となった。
「はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう! 」
 左腕を構えた御形は、ペロリと舌舐めずりする。その視線の先で昇龍鯉が最後の抵抗を見せる。
 群れを2つに分離し、前衛と後衛とに整列した昇龍鯉は【昇龍の突撃】を発動し、猟兵達へと襲いかかる。
 滝をも登る勢いを乗せた突進をしてくる姿は、まるで巨大な魚のようだった。
「ここは私に任せてくださいね!」
 寧々は敵の前に躍り出ると、【アンディファインド・フラグ・クラッシャー】を発動したうえで敵の攻撃をワザとその身に受けた。
 強力な一撃を受けた寧々の体は軽々と持ち上がり、弧を描きながら落下する。しかし、どういう訳か、寧々が居た場所に『男装の麗人の寧々』がポーズを決めて立っていた。

『(二枚目でも三枚目でも薔薇投げて激励して立ち去るだけでもまぎれもなくヤツでもご自由にどうぞ)』

 男装の麗人の寧々は何事もなかったかのように華麗に回転しながら、ポンポンヴァッフェを振り翳した。
 ヒュンヒュン、と空を切る音が響かせながら、寧々は昇龍鯉の群れを一網打尽にしていく。
 続いて次の群れが姿を現す。【昇龍の食慾】を発動した群れは、口を大きく開けたまま御形と月詠目掛けて突進してくる。
 御形は【喝采よ、妾に降り注げ(エール・スクリーンズ)】を、月詠は【ユーベルジャック】を発動した。

『お主にも見えるであろう、聞こえるであろう? この感動を背負い、後押しされる限り、妾は最強無敵よ!』

 生配信視聴者が映る無数の空中ディスプレイを召喚した御形は、視聴者の感動を力に変え、左腕を頭上から真っ直ぐ振り下ろした。
 剛速の左腕が御形を飲み込まんとする昇龍鯉を完膚なきまで叩き潰す。
 最後に、難を逃れた者が散り散りに逃げ回る敵を月詠が狙う。
 頭部のテレビ画面に【昇龍の食慾】を映し出し、そっくりそのままお返しする。
 画面に映し出された昇龍鯉の群れが大口を開き、画面から飛び出すと、辰砂ごと1匹残らず吸い込んでいく。
 そうして、ようやく道が開けたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。

◆性格・人柄
敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい少女。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
UC「神罰」
半径レベルmの【範囲攻撃】です。
強力なスポットライトのような光の【属性攻撃】で物質を透過します。
媒体は【祈り】。敬虔な聖職者の祈りは【早業】【高速詠唱】で発動。
最後衛で距離を取り戦います。

◆冒険
基本『お任せ』です。


ウルスラ・ロザーノ(サポート)
常時テンションが高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!


ノエル・スカーレット(サポート)
アドリブ&他の猟兵さんとの連携大歓迎。
性的描写NG

世界を飛び回るチビッ子ダンピールです。
吸血衝動はほぼなく太陽へっちゃら、お菓子が好きで、虫が嫌い。
色々な事件に首を突っ込みスカーレッド・ノヴァをぶっぱなします。
(ぶっぱなさなくてもOK)


基本的にいい子なので首を突っ込んだ事件やイベントの解決や成功の為に積極的に行動します。

戦闘は残像を伴う素早い動きから大鎌でなぎ払い攻撃したり。
ユーベルコードをご自由にお使いください。

記載がない部分はマスター様におまかせでお願いします。
自由に冒険させてあげてください。




「ここが地下宮殿『始皇帝陵』ですね」
 本来であれば死者が静かに眠る場所であったはずなのにと、小宮・あき(人間の聖者・f03848)は静かに祈りを捧げた。
「はぁ……、流石にここではサッカーは出来へんなぁ」
 スペインはガリシア州出身の元銀誓館能力者にして現在銀誓館の教師に復帰したという、ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)は、エアシューズ『Quo Vadis?』に軽く触れた。
 その傍には、この異様な光景を興味深そうに見つめる猟兵の姿があった。世界を飛び回るチビッ子ダンピールこと、ノエル・スカーレット(チビッ子ダンピール・f00954)である。
「ここは何処らへんでしょうか?」
 好奇心旺盛で、色々な事件に首を突っ込む彼女は、いつの間にかこんな所にまでやって来てしまったのだった。
 3人は地下宮殿を彩る辰砂と、この場を守護する『昇龍鯉』の群れを見た。
 通路という通路は辰砂に阻まれ、進むにしても戻るにしても容易なことはでない。しかし、進むべき方向が分からないかというと、実はそうでもなかった。
「奥から禍々しい気を感じますね」
「はなから隠そうなんて、敵さんも思っておらんのやろ」
「分かりやすくていいじゃないですか」
 せっかくの大迷宮も自己主張の強い主ではなんの意味もなさない。まさに「豚に真珠」、「猫に小判」。
「であれば……」
 小宮、ウルスラ、そしてノエルの3人は各々武器を構えた。
 進むべき道がわかっているなら、あとは全てを蹴散らすだけだ。
 先に仕掛けて来たのは、増殖を繰り返す辰砂だった。流動的な動きを繰り返しながら、その姿を剣、槍、矢、時には盾に変え、一斉に攻撃を仕掛けてくる。
「まずは、この邪魔なものを排除しないとダメなようですね」
 小宮は最後尾にて夫のイニシャルが刻まれた『マスケット銃』を構えると、「ふふ……」と微笑みながら引き金を引いた。銃声、そして白煙とともに散弾が放たれ、広範囲にダメージを与えていく。
 その間ウルスラがエアシューズを起動させ、地下宮殿内を縦横無尽に走り抜けながら手に持った何本もの鏢『meteoro negro』を無造作に空へと放り投げては蹴り飛ばす。
 目にも留まらぬ速さで飛ぶ鏢は辰砂を突き抜け、中に潜んでいた昇龍鯉の群れを刺激した。
「さぁ、出て来なさい!」
 残像を生み出しながら辰砂の攻撃を掻い潜っていたノエルが、愛用の大鎌『клюв(クリューヴ)』で一帯を薙ぎ払う。
 猟兵達の一斉攻撃により辰砂の動きが鈍りはじめ、昇龍鯉の守りが手薄になると、双方は決着をつけるべく、互いにユーベルコードを発動した。

【昇龍の はねる】。

 昇龍鯉の群れが空中で尾をバタつかせながら何度も蹴り、ジャンプする。そのまま体当たりをしようとしているのか、あるいは距離を詰めたところで攻撃を仕掛けようとしているのかーー。
 どちらにせよ、阻止するのみだと、ウルスラが【スカイステッパー】を発動し、同じく空を飛ぶ。
「これでもくらえ!」
 手のしていたイナズマボール『balón de amigo』を手放し、空中で半回転しながらオーバーヘッドシュートを放つ。
 ボールは不規則に回転しながら敵の陣形を崩すと、タイミングを見計らっていた小宮が【神罰(ジャッジメント)】を発動させた。

『神罰を与えましょう』

 続いて、祈りの力が巨大な光の柱となり、地下宮殿に降り注ぐ。
「残りは私がやっつけます」
 最後の足掻き。【昇龍の食慾】により、手当たり次第飲み込もうとする昇龍鯉に向け、ノエルが【スカーレッド・ノヴァ】でトドメを刺す。

『全てを燃やし尽くす我が炎‐スカーレッド・ノヴァー』

 戦場にいくつもの緋色の球体が現れ、全てを焼き尽くす劫火を放つ。炎は大蛇、あるいは竜のように畝りながら、宮殿内の辰砂をも紅く染め上げ、溶かし、昇龍鯉ごと燃え上がらせた。
 一瞬、焼き魚の香りが漂うが、それもいつしか消えてなくなると、地下宮殿はようやく静けさを取り戻したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『🌗相国『董卓』』

POW   :    酸鼻凄惨の杯
戦闘中に食べた【酒と肉】の量と質に応じて【鋼鉄が如き強靭な肉体と怪力を宿し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    覇王の宝剣
自身が装備する【武将『項羽』が用いた宝剣】から【鋼鉄を容易く切断するレベル数の斬撃波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【流血】の状態異常を与える。
WIZ   :    猛将の亡霊
【亡霊赤兎馬に騎乗した猛将『呂布』の亡霊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
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ウルスラ・ロザーノ
う~ん…故郷世界の本物とは別人なのかもしれんけど、もっとマシな世界史の有名人と出会いたかったわ
董卓とかほぼワーストやんか!

広範囲に放たれる斬撃波ってことは、その中でもボクに当たりそうなのはそこまで多くあらへんやろ
落ち着いて軌道を見切って回避、あるいはコートで受け流すよ
最悪、腕でガードやな、機動力を削がれる足へのダメージだけは絶対阻止!

一撃凌いだところでエアシューズ使い全速ダッシュで切り込んで、カウンターを狙ってくよ
全力のクレファン、食らうがええわ! 回避困難な正中線狙いや!
体勢を崩させたら、残った衝撃波を壁にして至近で攻撃を凌いで、もういっぺん!
董卓、お覚悟ってな!


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、可能なら末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直よくわかんにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


霧崎・蛇駆(サポート)
『あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ』
『やるからにはやるさ、給料分はな』
『いいじゃんいいじゃん!楽しくなってきた』
口では面倒くさいと言いつつも仕事はこなす猟兵で、戦闘だとやる気を最初から見せる戦闘バカです。
捜索系ではハッキングを駆使して情報を集めたり、演技で騙したり脅したりします。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使います。正面きって無数のテンタクルによる物量戦も好きですが、触手による立体的な移動からの相手の死角から攻撃も別格です。弱い相手だといたぶる傾向があります。
メインの武器は『テンタクル』です。
基本的な口調は『オレ』です。
あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。



●豚に真珠、董卓に水銀
「ガーッハッハッハ! ついにワシの時代が来たんじゃないか?」
 巨大宮殿『阿房宮』の『水銀楼閣』にて、相国『董卓』はひとり笑っていた。しかしそこには、かつて仕えていた者達の姿はなく、董卓は寂しそうにため息を吐いた。
「……はぁ〜、つまらんなぁ。また酒池肉林でも作って、美女と配下を囲って馬鹿騒ぎしたいものだ」
 仕方がなさそうにもう一度大きくため息を吐いた董卓は、『水銀の渦』を侍らせ、趣味が良いとは言えない玉座に寝そべった。

 一方、その頃ーー。
 董卓がひとり寂しそうに独言る様を、水銀の通路から覗き見ていた者達がいた。
 ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)、霧崎・蛇駆(ヴィリジアンモンスター・f20261)、そしてアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)である。
「う~ん……、故郷世界の本物とは別人なのかもしれんけど、もっとマシな世界史の有名人と出会いたかったわ。董卓とかほぼワーストやんか!」
「あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ」
「まぁ、真の英雄には中々出会えないものなんだにゃ。それに、こういった分かりやすい悪は叩きやすくて良いにゃ」
「まぁ……、それはなぁ〜」
「じゃあ、ちゃちゃっと片付けるのにゃ!……と言いたいところにゃのだが」
 アイクルは黒い瞳を水銀の渦へと向けた。
 渦巻く銀河のように妖しく煌めく水銀の渦は、宮殿内に存在する全ての生物に対し、内蔵を破壊するダメージを与える水蒸気を発し、主を守護していた。
「あれをにゃんとかしにゃいことには、董卓に攻撃する術がにゃいにょ」
「それなぁ〜」
「まずはアレの動きを封じるか! やるからにはやるさ、給料分はな」
 サイボーグということ以外記憶を失い、ヒーローズアースに流れ着いた迷い人、霧崎は自然な足取りで董卓の前へと出ると、親しげに声をかけた。
「これはこれは、ダンナ! 久しぶりだな!!」
「ん〜? おぉ、おぉ、お前かぁ〜」
 霧崎のあまりに堂々とした振る舞いに、董卓は「コイツ、誰だったかな〜?」と首を傾げながらも歓迎する。
 その間にアイクルが『バトルアックス』を背負い、素早く動いた。柱の影から影へと駆け抜け、水銀の渦に近付き、【グラウンドクラッシャー】を仕掛ける。

「にゃははははは〜! ぶっ殺おおおおおおす! ●ぁぁぁぁぁぁっく!!」

 ギラリと目を輝かせ、持ち前の怪力に任せてバトルアックスを振り上げたアイクルは、水銀の渦に向かって思い切り振り下ろした。
 強力な一撃を受けた水銀が音もなく砕ける。しかしバトルアックスの勢いは止まらず、そのまま地面を打ち付け、磨き上げられた床を破壊すると、隆起した床と土で散った水銀諸共その場に押し留め、押し込め、自由を奪ってみせた。
 この不意打ちには、流石の董卓も反応が遅れたようで。【酸鼻凄惨の杯】の発動は間に合わず、近くにあった酒と肉は、あっという間に霧崎のナノマシン内蔵型脳波制御式液体金属『テンタクル』によって奪い去られてしまう。
「な、なんだこれはーー!」
 酒と肉を掴んだ触手が、今度は董卓を捉える。
 ウニョウニョと畝る触手に拘束されながら、「ワシにそういう趣味はない! いや、美女が相手なら話は別だが……」と悲鳴を上げる董卓を脇目に、霧崎は「面白くなって来た」と、【テンタクルバイト】を発動した。

『噛み砕け!』

 霧崎は身体の一部に幾重にもテンタクルを纏わせた。やがてそれは、不気味な異形の頭部に変わり、董卓に噛みつかんと大口を開ける。
 みっしりと牙が生えた口は、バクバクと董卓の足に、続いて太い腰まで食らい付いて、旺盛過ぎる生命力を奪い取っていく。
「ぐぁあ〜〜! こうなったら……」
 短い腕をバタつかせながら武将『項羽』が用いた宝剣を呼び出した董卓は、腰まで異形に食われたまま【覇王の宝剣】を発動させた。
 宝剣が翡翠色の光と共に、鋼鉄を容易く切断する斬撃波を幾つも放つ。
 この衝撃波に当たれば、ダメージだけでなく【流血】の状態異常も受けかねない。
「だがまぁ、オレたちが傷付いても、コイツの生命力で治癒できるから心配ねぇんだけどな。だから、好きに暴れてやれ!」
「了解や!」
 霧崎の合図を受け、『蠍の心臓』を纏ったウルスラは、自分に命中しそうな衝撃波の軌道を見切り、床や柱を足場にエアシューズを使って戦場を駆け回った。
 そして、予測不可能にして重力を無視した動きで衝撃波をかわし、一部をコートで弾き返しながら董卓へと突っ込んで行く。
「全力のクレファン、食らうがええわ! 回避困難な正中線狙いや! 【真・クレセントファング奥義(シン・クレセントファングオウギ)】」

『基本にして王道! 積み上げた努力と経験は決して裏切らへん!』

「ゴゥ!」と爆音を響かせる速度マッハ5.0以上の回避困難な極超音速連続蹴りは、見事に董卓の頭頂部を捉えた。
「ぐあぁーーーーーーー!?」と獣のように鳴く董卓の悲鳴が、天井や壁、柱や床を震わせる。
 その後も三日月型の衝撃波が董卓を襲い、最後にウルスラが「もういっぺん!」と、残った衝撃波を壁にして至近距離から連続攻撃を放つ。
「董卓、お覚悟ってな! 」
 触手に下半身を食われたままの董卓は恐怖に顔を引き攣らせた。しかし、防ぐこともできず、全ての攻撃を食らい、挙句目を回した。
 その間ずっと、水銀の渦は機能することはなかった。
 かくして、水銀の渦もこの董卓には『宝の持ち腐れ』であったと証明され、猟兵達によってトコトン詰られたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

雁野・リジ(サポート)
「オレが盗んでいいの?それとも盗まれたいの?何をくれる?」
貼り付けたような笑顔を浮かべている女性。
怪盗であると言うが怪盗が何かは分かっていない。

人間の姿をとる狸。人間には人間の、狸には狸の、オブリビオンにはオブリビオンの生活があるし考え方も違う。ということを知っている。
合わせられることは合わしていきたいけれど、
世界が滅ぼされると困っちゃうので、普通に戦う。


ミカエル・アレクセイ(サポート)
●戦神は戦の中で生きる者
●殺す者で生かす者ではない
●生かして救うことは不得手
●殺して救う事に躊躇いはなく、それこそ自分の仕事

等の思考回路

相手の勢いを使って投げ飛ばす
ユーベルコードで相手の技を反射する
等、自滅を誘う戦い方をする
自分が傷つくことは厭わず痛みは感じるがそのせいで行動が鈍るなどはない。
戦場で何千年と生きてきた為痛みとの付き合い方は心得ている。

女性は誉めるもの。
賛辞はストレートに口にするし、貶すことはあり得ない。
容姿を褒められることを苦手とする相手の場合は行動や性格に褒めるところを見つけて口にしたりする。

冷静沈着、臨機応変

人心掌握、指揮、等が得意

無能力者故か神族であることは普段忘れている


火土金水・明
「若い頃は男伊達を気取っていた人物も晩年は落ちぶれたものです。」「しかし、オブリビオンになれば『呂布』とも協力できるようになるんですね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【ホーリーランス】を【範囲攻撃】にして、『相国『董卓』』と『呂布』を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「私の役目は少しでもダメージを与えて次の猟兵の方に繋げる事です。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●水銀に還る
 相国『董卓』は『水銀の渦』を抱えたまま、なにやら慌てた様子で水銀楼閣内を右往左往していた。
「まさか、こんなところで不意打ちにあうとは……」
 これも全て『呂布』のせいだと、口を尖らせ、文句を垂れる。
 タイミング悪く出会してしまった3人の猟兵は出るに出られず、柱の影から董卓の様子を伺った。
 別に盗み聞きをしようとした訳ではない。
 董卓の『独り言』は大きかったし、よく響くので、嫌でも耳に入ってきてしまったのだ。
「まぁ、おかげで敵の場所がすぐ分かったが……」
 そう言って、ミカエル・アレクセイ(山猿・f21199)は、なんとも言えない表情を浮かべた。
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)に抱えられていた青い毛並みの狸、雁野・リジ(たぬき・f34917)は、「フン」と短く鼻を鳴らすと、スルリとその腕をすり抜けた。
 ドロンと煙が上がり、人の姿に変わったリジが口角をあげ、細めた目で董卓の抱える『水銀の渦』へと視線をやる。
「毒に満たされたこの場所。事前に『お守り』をもらっている我々だけども、長居はしないに限るだろう」
 リジにの言葉に「そうですね」と、明が大きく頷いた。
 水銀の一部は水蒸気となって漂い、侵入者を拒み続けている。加えて、『水銀の渦』の効力で、その場で敵とみなされた存在は、内臓を破壊するほどのダメージを与え続けられる。

 まずは、『アレ』をなんとかしなければーー。

 3人は互いに頷き合うと、さっそく動き出す。
 打ち合わせなどは不要だった。猟兵としての経験が、自分達に「何をすべきか」を教えてくれる。或いは、導いてくれる。
 ミカエルと明は、リジと別れて董卓の元へと駆け出し、リジは董卓の背後へと回り込むと身を潜めた。
「若い頃は男伊達を気取っていた人物も、晩年は落ちぶれたものです」
 明は董卓の前に躍り出ると、涼しい顔でウィザードハットを指先で撫で、董卓のねちっこい視線を受け流す。因みに、使い魔のクロは今回はお留守番である。
「実際は、権力と財に群がるハイエナどもだったのだろうがな」
 戦神として降臨したミカエルは、汚い物を見るような冷たい目で董卓を睨みつける。
 しかし、董卓は臆する様子も見せず、「何を言っておる! 全てを兼ね揃えてこその『伊達男』であろうが!!」と、太鼓腹を全面に出しながら堂々と言い放ち、片手を上げた。
『水銀の渦』が猟兵達を敵と認識し、その力を発動させる。
 部屋を構築していた水銀が頭上に集まり、銀河のように光り輝きながら渦を巻き始めると、董卓は手にしていた『覇王の宝剣』をかざす。
 その時だった。
「待ってました」とリジが飛び出し、【スティール・カード】を発動する。
 リジの手から放たれた【予告状】がズブリと水銀の渦に刺さる。
「んなぁーーーーーー!?」
 董卓が叫ぶ中、水銀の渦はあっさりリジの【どろぼう袋】の中へと吸い込まれていく。
「ついでに、その綺麗な剣も……」とリジがさらに手を伸ばすとーー。
「いかんいかん、これは関羽の宝剣なのだ!」と宝剣を守ろうと抱き抱えた。
 次の瞬間。自ら発動した無数の斬撃波が董卓を襲う。
「グハァ!?」と短い叫びに続き、血を撒き散らしながら後ろに倒れそうになる。が、太い左足でなんとか踏ん張る。
「今ですね!」
 敵に隙が生じ、ミカエルが真名ロンギヌス、通称『ロン』から鋭い突きを放った。ドラゴンランスが唸りを上げる。
 明も、後方から援護射撃を開始した。
『七色の杖』から七色に輝く魔法陣を生み出し、炎、雷、水、風と、ありとあらゆる属性の魔法を展開する。
 戦場に雷が轟き、氷の粒を含んだ突風が吹き荒れる。さながら、嵐が襲ってきたかのようだ。そんな中、ドラゴンランスを持つミカエルが戦神らしく華麗に駆け、董卓に畳み掛ける。
「うぬぅっ……こうなったら、【酸鼻凄惨の杯】の威力、とくと味わうが良い!!」
 董卓は猟兵達の目の前で、突如湧き出した大量の酒と肉を食らい始めた。
 一目で上質だとわかる酒と肉は、やがて董卓の肉体を鋼鉄が如き強靭な肉体へと変えていく。筋肉隆々となった太い腕を振り下ろすだけで、その場にあったものは全て破壊される。足を踏み鳴らせば、地面が大きく揺れる。
「ガハハハ、どうだ。ワシの必殺技じゃ!!」
 鋼鉄の拳でミカエルに殴り掛かる董卓。その表情は勝利を確信しているようにも見えた。
 しかしーー。

『自前のじゃなくて悪かったな?』

 既に【plagiat(プレジア)】を発動させていたミカエルは、董卓のユーベルコードの一部を捕食し、その力を完全にコピーしたドラゴンの『ロン』に拳を弾き返させた。
 ロンは体を素早く回転させ、長い尾を鞭のように振るうと、董卓を何度も打ち付けていく。
 鋼鉄の肉体はぶつかり合う度に削られ、砕けたが、董卓と違ってロンは何度でもユーベルコードを再現できた。
 とうとう、董卓の肉体が限界を迎え、ふにゃふにゃになる。その眼には、追い詰められた悪党特有のドス黒い闇が浮かび上がっていた。
「こうなったら、【猛将の亡霊】発動! 来い、呂布!! ワシを守れ!!!」
「なに!?」
 遠くから蹄の音と馬の嘶く声がしたかと思うと、赤兎馬に騎乗した猛将『呂布』の亡霊が颯爽と姿を現す。
「オブリビオンになれば『呂布』とも協力できるようになるんですね」
 明は英傑の亡霊のご登場に目を見張る。しかし、感心ばかりもしていられない。
 猛将呂布は長い獲物を振り回しながら、こちらへと疾走してくる。
 オーラ防御を纏った明は、残像を作りながら呂布の放つ一撃一撃を避けていく。そうして、董卓と呂布双方のちょうど中間に陣取ると、【ホーリーランス】を発動した。

『悪しきものを貫きし槍を』

 数えきれない聖なる槍が天井から神々しく舞い降りてくる。明はその全てに、【継続ダメージ】、【鎧無視攻撃】、そして【貫通攻撃】を付与し、一斉に放った。
 聖なる槍は「ヒュン」と空を切り裂き、時にはフェイントをかけながら、呂布と董卓を狙う。
 呂布は赤兎馬に跨ったまま、しばらく何本も聖槍を弾き返していたが、あくまでも亡霊だ。不完全な姿では力を出し切る事もできず、槍に貫かれ浄化されていった。
 董卓もまた、あっさりやられてしまっていた。
 巨大な脂肪の塊に等しい体を無数の聖槍に貫かれ、針山の様な姿のまま、消滅の時を迎える。
「……おのれぇ、……この、ワシが。瑞獣ごときに騙された……というのか……」
 水銀の渦は姿を見せなかった。
 呂布が消滅したこの場に、董卓を守るものはない。
 観念したのか董卓は瞼を閉じると、口をへの字に結んだまま、ただ静かに水銀の中へと溶けていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年08月14日


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🔒
#封神武侠界
🔒
#戦後
#サポート優先シナリオ
#始皇帝シリーズ


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト