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殲神封神大戦⑥〜水銀楼閣『阿房宮』で始皇帝を討て!

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑥ #始皇帝


「朕こそが、永遠不滅の『始皇帝』なり! 生も死も、人も仙も、獣も神も、天地開闢の三皇さえも、朕の前にその頭を垂れ、朕の威光にひれ伏すべきなのだ。朕は皇を超える者であるが故に、皇帝なのだから……!」

 猛毒の水銀蒸気に満たされた楼閣内部、かつて人界を初めて統一した男が部下の兵馬俑(へいばよう)軍団の前で宣言する。

「フハハハハ、実に明快な理論! 水銀を飲み不老不死を手に入れてから、朕の頭脳は冴え渡っておる! こうなれば、もはや朕の配下に頭脳はいらぬ。全員の脳をくり抜き兵馬俑としてくれよう。さすれば、朕を裏切る者も居なくなるであろうからな。……む? ……猟兵? 何だ其れは? そんな奴は知らぬ。その……猟兵?とかいう訳の分からぬ遊牧民風情が来た所で返り討ちだ! 脳をくり抜き兵馬俑としてくれる!」

 生前落成を見届けることのなかった巨大宮殿『阿房宮(あぼうきゅう)』をユーベルコードで再現し、宮殿ごと洛陽まで移動する始皇帝。
 その言動は、傍から見れば実に愚昧であった。

「水銀って太古には不老不死の薬だって信じられていたらしいけど、現代からすれば猛毒を飲んでたことになるよね~っ? それじゃあ死んじゃって、オブリビオンにもなっちゃうよね……」
 呆れ返る蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)は予知をグリモアから投影し終えると、グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ向き直った。
「現状、五胡と呼ばれる遊牧民族のひとつ、羌(きょう)族が、突如としてこの地に蘇った伝説の『始皇帝』とその兵馬俑軍団に支配されちゃってるよっ! ユーベルコードで再現された巨大宮殿『阿房宮(あぼうきゅう)』は全てが水銀で構成された『水銀楼閣』を自身の周囲に展開しながら猟兵を迎え撃つつもりだよっ! 膨大な数の兵馬俑軍団が宮殿を防衛しているから、この軍勢をいちいち相手にしてたら始皇帝はどんどん洛陽へ向かっちゃうよっ! だから、狙うは始皇帝の首ただひとつっ! どうにかして、宮殿周囲を取り囲む大軍を潜り抜けて、始皇帝が待つ『水銀楼閣』へ突入してほしいなっ!」
 だが、突入してもまた難があるという。
「楼閣内部は内臓を破壊する猛毒の水銀蒸気に満たされてて、吸い込めば猟兵と言えども無事では済まないよっ! この水銀蒸気は、ウォーマシンとか人間以外の種族なら平気ってわけでもないから、そっちの対策も怠らないようにねっ?」
 戦う前から前途多難。だがここで食い止めねば洛陽は壊滅し、無辜の民の命が危ない!
 かなりの難攻不落だが、当の始皇帝が水銀中毒の影響からか、知能が低下しているという予知を見たとレモンが付け加える。
 普段なら怪しまれるような作戦でも、今の始皇帝ならあるいは引っ掛かってくれるかもしれない。
「敵は強敵かつ堅い守りに覆われてるけど、みんななら絶対勝てるって、アタは信じてるからねっ!」
 レモンはそう断言すると、猟兵たちを始皇帝が待つ水銀楼閣『阿房宮』へと転送する。
 果たして、猟兵たちはいにしえの人界の覇者を討ち破る事ができるだろうか?


七転 十五起
 戦争シナリオ第6弾! 難易度はやや難!
 親玉まで辿り着くまで前途多難! でも剛毅果断!
 なぎてんはねおき in the house(楼閣)です。

●プレイングボーナス
 水銀蒸気に対抗する。/始皇帝の愚かさを利用する。

●補足説明
 外は兵馬俑軍団、楼閣内部は水銀蒸気で満たされてます。
 これらの対策もしなければ、そもそも始皇帝にすら辿り着けません。
(要求される行動量が多いため、オーバーロードでのプレイング投稿も御一考下さい)

●その他
 コンビやチームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずプレイング冒頭部分に【お相手の呼称とID】若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)

 それでは、皆様のご参加をお待ちしてます!
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第1章 ボス戦 『『始皇帝』』

POW   :    変幻自在水銀剣
【自在に変形する水銀の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    辰砂兵馬俑親衛隊
自身の【操る水銀】を代償に、1〜12体の【自在に変形する液体金属の兵馬俑】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    万里水銀陣
戦場全体に【水銀の大渦】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【覇者の気を帯びた水銀】による攻撃力と防御力の強化を与える。
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レーヴァ・アークルージュ
絶対先制攻撃権を有していないのはやはり弱体化している証だね
全盛期でオブリビオン化していたらどうなっていた事やら……

周囲を浄滅の白炎で覆い、水銀蒸気をその物質としての概念ごと浄化
水銀を操るとはいえ、その本質は『物質』に過ぎない
ならば『物質界の存在』に対して絶対の相性を持つこのUCの敵ではないね

……だれが、白面金毛だって?
確かに九尾だけどどう見ても赤毛でしょうが、わたしの毛色
九尾の汚点と同一視されるのは、九尾にとって相手を殺しても文句は言われない程の侮辱なんだけど……
まぁ、どっちみち同じか

始皇帝の体内にある水銀の要素に干渉し、それを軸に人体発火を起こす
せめて体内から熱消毒したら聡明さが戻るかな?


箒星・仄々
不老不死を求めて毒を飲んでしまわれたとは
何と皮肉なのでしょう
始皇帝さんを海へと導きましょう

ランさんに騎乗して阿房宮へ突撃

竪琴を奏で
音の波紋で世界へ呼びかけ
水銀を魔力へと変換

兵馬俑軍団を魔力変換で無効化し
身を守る魔力の盾としながら
水銀楼閣を魔力へと変え
一角を崩したり穴をあけて内部へ突入

もし内部でランさんの動きが制限されるなら喚送

水銀蒸気や宮殿を魔力へ変換し
清浄な空気を常に周囲に吹かせながら
皇帝の玉座へ一直線です

水銀の大渦を魔力へ変換したり
それが無理なら炎水風の魔力の奔流を
大渦とは反対向きで回転させたりして
大渦を無効化
そのまま魔力の奔流で始皇帝さんを倒します

終幕
鎮魂の調べ
海でどうか静かな眠りを



 レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)と箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、大量の兵馬俑軍団のはるか後方にそびえる水銀楼閣『阿房宮』を見据えていた。
「絶対先制攻撃権を有していないのはやはり弱体化している証だね。全盛期でオブリビオン化していたらどうなっていた事やら……」
 レーヴァが肩を竦める。
 一方、箒星は始皇帝の弱体化の要因である水銀を飲む行為に不可解だと顔をしかめていた。
「不老不死を求めて毒を飲んでしまわれたとは、何と皮肉なのでしょう。哀れな始皇帝さんを骸の海へと導きましょう」
 箒星は指笛を吹くと、自身の足元の影から体長5mの雌のメカジキを召喚した。
 不思議なことに、水がなくてもそれは空中を遊泳してみせる。
「さあレーヴァさん、ランさんの背中に乗って下さい。敵中突破しましょう!」
「メガリスを飲み込んだメカジキなのかな? まさか魚の背に乗って突撃するなんて思ってもいなかったよ」
 箒星に促され、レーヴァは巨大なメカジキに跨った。箒星もすぐにひょいと飛び乗れば準備完了。
「まずは兵馬俑軍団を私のユーベルコードで魔力へ変換してしまいましょう。さあ、楽しい演奏会にしましょうか♪」
 懐中時計の上のボタンを押し込むと、途端に蒸気機構によって竪琴へと変形する。
 それを箒星は軽快に爪弾き始めると、辰砂を纏った兵馬俑軍団はたちまち火・水・風の魔力となって風化するように消失してゆく。
「ちょっと通してくださいね~?」
 乱れた隊列の隙間を、刀めいたメカジキの鋭い口吻が切り拓く。
 更に、変換した魔力をぶつけ、兵馬俑軍団を吹っ飛ばしてみせる。
 これにレーヴァも炎の魔術師として黙っていられない。
「我が白き大炎を恐れよ。その焔は世界に遍く王国に裁きを下す断罪の焔なれば、不浄を統べる悪徳の主は皆等しく滅される――!」
 詠唱とともに出現したのは、106個の白炎の球だ。
 それを自身の周囲に回転させながら盾代わりにして、メカジキの突進を助ける。
「裁断者の浄滅司りし白き王冠の大炎(ジャッジメント・オブ・セラフィック・ホワイト)! 物質界の存在を無条件で浄滅させる白き浄化の炎は、有機物・無機物問わず浄滅させるよ!」
 取り巻きの兵馬俑軍団をなぎ倒し、迫るは始皇帝が待ち構える水銀楼閣『阿房宮』の城壁だ。
 箒星はより激しい高速アルペジオで音を掻き鳴らし、レーヴァは白炎を合体させて水銀の城壁に風穴を空けてみせた。
「水銀を操るとはいえ、その本質は『物質』に過ぎない。ならば『物質界の存在』に対して絶対の相性を持つこのユーベルコードの敵ではないね」
 楼閣内に充満する水銀蒸気が、レーヴァの操る白炎が浄滅させて清浄な空気へと変換してみせる。箒星も充満する水銀蒸気を3色の魔力へ変換することで無毒化を図りながら、凄まじい魔力量を確保してゆく。
 2人は楼閣内を突き進んでゆくと、最奥の玉座の間の扉を吹っ飛ばして突入!

「来たか、遊牧民風情が! 朕こそが、永遠不滅の『始皇帝』なり!」

 水銀の玉座にふんぞり返る老いた男こそ、現代に蘇った『始皇帝』である!
「この水銀楼閣『阿房宮』を土足で踏み荒らすとは、なんたる不届き者共か! 貴様らはこの場で返り討ちだ! 脳をくり抜き兵馬俑としてくれる!」
 始皇帝が右手を掲げた次の瞬間、楼閣の壁や天井の水銀が渦潮めいて回転し始め、玉座の間に水銀の大渦を発生させた。
「フハハハハハ! 朕の威光にひれ伏せ! 朕は皇を超える者であるが故に、皇帝なのだから……!」
 始皇帝の体に覇者の気を帯びた水銀が纏う。そこから途轍もない戦闘力の向上を本能的に感じるレーヴァと箒星。
 しかし、始皇帝は2人がここまでどうやって乗り込んできたのかを知らない。
「だから私には効かないんだってば」
「その渦は私の魔力の渦へと置き換えさせていただきましょう♪」
 まさか水銀を浄滅させられたり、魔力へ変換されるとは思ってもいなかっただろう。
 燃え盛る白炎の球が水銀の渦へ激突すると、渦を飲み込むように消し去ってゆく!
 竪琴の音色も、渦を3色の魔力の渦に変換させて始皇帝の体へ浴びせかける。
 ついでに此処まで溜め込んだ魔力で、水銀の大渦と逆方向に回転する魔力の大渦をぶつけて相殺させてしまう。
「ぐわぁーっ!? 何をするのだ!? 朕を始皇帝と知っての狼藉か、この名もなき遊牧民共が!」
「だから遊牧民じゃなくて猟兵なんだってば」
 レーヴァも白炎の球を直接始皇帝へぶつけて焼き焦がしてみせる。
 これには始皇帝も玉座から飛び退いてしまう!
「熱つつつッ!? ええい、貴様、よもや白面金狐の類の者か!!」
 この始皇帝の言葉に、レーヴァの表情が剣呑に引きつった。
「……だれが、白面金毛だって?」
「レーヴァさん……?」
 赤毛の妖狐の少女から立ち上る殺気に、思わず箒星の全身の毛が逆立ってしまう。
「確かに九尾だけどどう見ても赤毛でしょうが、わたしの毛色? 九尾の汚点と同一視されるのは、私の一族にとって“相手を殺しても文句は言われない程の侮辱”なんだけど……まぁ、どっちみち同じか」
 レーヴァが始皇帝を指差した次の瞬間!
 始皇帝の体が自然発火!
 白炎に包まれて恐慌する始皇帝に、レーヴァが冷酷に告げる。
「始皇帝の体内に蓄積された水銀に白炎を作用させて人体発火を促したよ。あなたはこれから、遊牧民風情と侮った相手に殺される。せめて体内から熱消毒したら聡明さが戻るかな?」
「おのれ……! 朕を殺すだと? 滅ぼすだと? 朕こそが、永遠不滅の『始皇帝』なり! ぅグッ!? あぁああ……!?」
 しかし、白炎を消そうと水銀を必死に纏わせる始皇帝の様相は聡明とは程遠い。
 そんな始皇帝へ箒星は鎮魂曲を奏でて魔力を浴びせ続ける。
「骸の海でどうか静かな眠りを……」
「永遠なんて求めるから無様なんだよ」
 そしてレーヴァは他の猟兵たちが乗り込む寸前まで、始皇帝を一方的に燃やし続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
ようし、猛毒を飲んでおバカになっちゃった始皇帝をやっつけにいっちゃうぞ☆

まずは兵馬俑の軍団を潜り抜けていかなきゃダメなんだね!
ふむふむ、兵馬俑は頭からっぽみたいだから上手いことやれば素通りできるかも?
ボクは兵馬俑のレプリカを用意して、着こんで仲間のフリをしちゃうね♪

次に楼閣内部に潜り込んだら水銀対策だな!
まずは、きちんと妖精サイズのマスクも用意して直接吸い込んじゃわないように注意だ!
それから、風のオーラ防御で水銀を吹き飛ばしてなんとか空気を確保しよう!
ちょ、ちょっとくらいなら毒耐性で我慢だ!

そのまま急いで飛び回って探索!
楼閣の奥で始皇帝を見つけたら【お姫様ペネトレイト】で
お姫様オーラを纏って水銀から身を守りつつ、どかーんと貫いていっちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


ミフェット・マザーグース
髪の毛をドリルに変えて〈トンネル堀り・怪力〉で地面を掘り進んで兵馬俑軍団をやり過ごすよ!方向間違いには注意!
水銀蒸気の対策に酸素ボンベを持ち込んで、楼閣内部に突入するね

ほかの猟兵さんとタイミングを合わせて、できるだけ協力できるように注意
自分の対策は甘いと思うので、上手く助けれ貰えそうなら甘えちゃう

始皇帝のところに辿り着いたら、よく始皇帝のUCを見てモノマネするよ

UC【一人ぼっちの影あそびの歌】

マネっこするのは〈辰砂兵馬俑親衛隊〉
水銀を代償に兵馬俑を作れば、周囲の水銀の濃度も減らせるはず
ミフェットがあやつる兵馬俑に合わせて始皇帝が兵馬俑を作れば作るほど、水銀の濃度を減らせると思う。そういう作戦!



「ようし、猛毒を飲んでおバカになっちゃった始皇帝をやっつけにいっちゃうぞ☆」
 今日も元気いっぱいなフェアリーの女の子、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は小さな体の翅で兵馬俑軍団を上空から見下ろしていた。
「まずは兵馬俑の軍団を潜り抜けていかなきゃダメなんだね! そのまま頭上を飛んでいっても良さそうだけど、むむっ!? 弓矢部隊はっけーん! あんなにいたら、ボクでも掻い潜るのは大変かも?」
 始皇帝直属の部隊は、対空戦力も完備していた。
 これでは空を飛んでやり過ごす事も少々骨が折れそうだ。
 どうしようか、とティエルは考えていると、地上の岩陰に隠れる猟兵の姿を見付ける。
 その顔にティエルは見覚えがあった。
「わーい! ミフェットだー☆」
 空から急降下して、ミフェット・マザーグース(造り物の歌声・f09867)の傍までやってくるティエル。
 岩陰から兵馬俑軍団をどう切り抜けようか思案していたミフェットは、唐突に現れた親友に目を丸くして驚き、そして喜んだ。
「わっ!? びっくりした! ティエルも同じ戦場だったんだね!」
「ボクもミフェットがいるなんて知らなかったぞ☆ ねね、一緒に共闘しようよ! 2人だったら無敵だー♪」
「うん! ミフェットもティエルと一緒なら、もっと頑張れる!」
 こうして、偶然が重なり、2人の始皇帝撃退大作戦が展開される……!

「それじゃ、行ってくるね☆」
「気をつけてね? ミフェットも慎重に行くから……!」
 作戦をすり合わせた2人は、ここから別行動を取る。
 まずはティエル。
 彼女は事前に兵馬俑のレプリカを用意して、着こんで仲間のフリをして潜入していく。
(脳みそがないから、少し不自然でも素通りできるはずだね!)
 その読みは的中し、相棒のミニライオンくんにハリボテの馬の格好をさせ、自身も石っぽい鎧のハリボテを纏った兵馬俑もどきで闊歩しても、敵はなんの関心も持たないほど馴染んでいた。
「ご苦労ー☆ ご苦労様ー☆」
 敵を労うほどティエルは余裕で水銀楼閣へ接近していった。
 一方、ミフェットはというと?
(ほ、方向、こっちであってるかな……? 暗いよ、狭いよ……!)
 完全なる闇の中で、彼女は格闘してした。
 自分の髪の毛をドリルのように螺旋状の刃状に変化させ、なんと兵馬俑軍団の足元の地中を掘り進んでいたのだ。
(掘削用のドリルって、今は円柱型の中に螺旋の刃がある形態なんだね。ミフェット、図鑑を見て驚いちゃった)
 想像していたのは、三角円錐の漫画やアニメで見るようなドリルの形状だった。
 しかし、この作戦を行うにあたって下調べをしていたミフェットは、ボーリング調査やトンネル掘削機のドリルが巨大な円柱型だと知ったのだ。
 なので、掘削音も少なく、ゆっくりではあるが着実に水銀楼閣まで突き進んでいた。
 急いては途中で崩落しかねない。慎重に堀り進めなくては。
 しばらくすると一旦地上へ戻ってゆく。
 そこには、先に城壁付近で待機していたティエルがいた。
「待ってたぞ☆ ここからは一緒だね!」
「遅くなっちゃってごめんね! はい、酸素ボンベ! フェアリー用じゃないけど、大丈夫?」
 ミフェットはガスマスクと酸素ボンベを装着して掘り進んでいた。
 換気の乏しい地中では必須あり、水銀楼閣内の水銀蒸気をやり過ごす事も可能なアイテムだ。
 予備のミニボンベをティエルに手渡して、彼女にも万全の対策をとってもしいと願うミフェット。
 ティエルは防塵マスク程度の対策した講じてなかったため、ミフェットの配慮は非常にありがたいものだった。
「このくらいの大きさなら、背中に背負って行けば大丈夫☆ よーし、ここからお城の地中に潜り込もう!」
「そして始皇帝の足元からこんにちは!だね!」
 ミフェットのドリルが更に地中を掘り進め、遂に玉座の間のド真ん中へと飛び出した!
「とーちゃーく!」
「とりゃー☆ 始皇帝はどこだー!?」
 水銀の床をぶち抜いてダイナミックエントリーを果たした親友コンビが見渡すと、ところどころが焼け焦げた始皇帝が玉座に座って此方を見下していた。
「騒がしい! 朕の門前であるぞ! 床から顔を出すとは、猟兵とは遊牧民ではなく土竜であったか! フハハハハハ!」
 腹を抱えて笑い出す始皇帝。
 これにティエルが真っ先に突っ込んでいく!
「ボクは土竜じゃないぞー! お爺さん、隙だらけだぞ☆」
 風の魔法で水銀蒸気を吹き飛ばしながら加速し、始皇帝へ愛用のレイピアを突き付ける。
 しかし、それは突如目の前に発生した水銀の大渦で阻まれてしまう!
「ふん。そのような矮小な刃で何が出来る?」
「くそー! あとちょっとだったのにー!」
 暴れる水銀の大渦を風の魔法で対抗するティエル。
 攻防は拮抗するが、別方向からティエルへ水銀の大渦が襲う!
「あ、やば……!」
 ティエル、避け切れない!
 しかしそこへ、別の大渦がティエルを守るように発生!
 逆回転の大渦が、始皇帝の攻撃を相殺したのだ。
 ティエルはこれにミフェットの方を向いて感謝の言葉を述べた。
「ありがとうミフェット! 助かったよ!」
「ううん、ミフェットはただ真似っこしただけだから。作戦もあまいって自覚してるし……」
 そう云うミフェットは、ガスマスクと酸素ボンベを装備しているとは思えないほど透き通った歌声を玉座の間に響かせる。

 ♪あなたのために歌う唄 あなたに合わせて踊る影
 ♪くるりくるりと入れ替わり あなたの声はだれの声?

 ユーベルコード『一人ぼっちの影あそびの歌』は、敵のユーベルコードを模した歌を歌うことで、そのユーベルコードを再現してぶつけて相殺させる効果を持つ。
 故に、この水銀楼閣の操作の一部は今、ミフェットも有しているのだ。

 ♪自分は偉い!って えばりん坊の王様
 ♪永遠がほしくて 欲張りな王様
 ♪水銀飲んで 頭がおかしくなっちゃった!
 ♪頭がぐーるぐる! 水銀もぐーるぐる!

 ミフェットは水銀の大渦を操りながら、自身に纏わり付く水銀を使って兵馬俑軍団を生み出していく。どことなく自分自身に似せているので、まるでミフェットが分身したかのようにも見える。
 これに始皇帝は大激怒!
「貴様! 朕の兵馬俑軍団を模造するか!」
「いいもん! ミフェットが真似っこでも、これだけ水銀を使っちゃえば……そっちが操れる水銀はすくなくなるよね?」
 ミフェットの言葉通り、玉座の間の水銀がかなり減っているのが、壁や天井を見ればひと目で分かる。
「……しまった! おのれ小賢しい遊牧民風情が!」
 無理矢理に水銀を操ってミフェットへ大渦を浴びせようとするも、やはり威力不足でミフェット兵馬俑軍団もどきに阻まれてしまう。
「今だよ! ティエル!」
 ミフェットの合図で、ティエルは天井近くで大きく酸素を吸った。
「今度こそ、どかーんと貫いていっちゃうぞ☆」
 レイピアの切っ先を突き立てたまま、ティエルが始皇帝目掛けて急降下!
「させるか! ただ突っ込むだけならば、威力不足の大渦でも十分遮れるわ!」
 ティエルの目の前に水銀の大渦が発生!
 だがティエル、更に加速して大渦に飛び込んだ!
「そんな攻撃なんて効かないもんね♪ お返しにこのまま体当たりで貫いちゃうぞ☆」
 桃色のお姫様オーラを纏ったティエルが、水銀の大渦を貫いて突破すれば、風の魔法で最高速度まで一気に加速する!
「うりゃりゃー☆ これがボクの必殺技! 『お姫様ペネトレイト(プリンセス・ペネトレイト)』だー☆」
 風鳴り音を唸らせながら、高貴な桃色の彗星が始皇帝の脇腹を貫く!
「やったー☆ ミフェットのおかげだよ!」
「ティエルが頑張ったからだよ!」
 2人は大勝利にハイタッチして喜んだ。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルインク・クゼ
【境界妖怪組】
水銀って相当な毒やった気がするけど……頭悪なるだけで済んどるなんて

[水銀対策&兵馬俑軍団]
用意したガスマスクとスーツ装備し【属性攻撃(浄化)】込めた【オーラ防御&環境耐性&毒耐性】で備え

吉備ちゃんと連携して
遠距離武装全てで【弾幕&範囲攻撃】を【一斉発射】し〈ヒナスミ〉ちゃん【操縦】し【空中戦&推力移動】一点突破

[POW]
頭悪なっとるなら【属性攻撃(デコイ)】込め【範囲攻撃&弾幕】撃ち

〈ヒナスミ〉ちゃん【騎乗&動物使い&操縦】し【空中戦&推力移動】で撹乱

【第六感&野生の感】で【瞬間思考力&見切り】【残像&空中機動】で回避
【レーザー射撃&砲撃&誘導弾】とUC【一斉発射】で頭の感覚更に


小雉子・吉備
【境界妖怪組】
死んでオブリビオンになったから?
でもこう言う(脳くり貫き)事
酷いよね

[水銀対策&兵馬俑軍団]
ガスマスクとスーツ用意し身に付け【オーラ防御&環境耐性&毒耐性】の【浄化&結界術】展開

【集団行動&団体行動】連携

〈スロウフールハウル〉を【高速詠唱】
【弾幕&範囲攻撃】展開し【空中戦&推力移動】突破

[POW]
二人で【集団戦術&団体行動】連携し〈スロウフールハウル〉を【属性攻撃(デコイ)】込め分身【弾幕】を【範囲攻撃】で撹乱妨害

【空中戦&推力移動】駆け
【第六感】で【瞬間思考力&見切り】【残像&空中機動】回避

UC【高速詠唱&動物使い】で【属性攻撃(炎)】込め〈ひいろ〉ちゃんの【怪力&グラップル】


ビスマス・テルマール
【なめろう餃子】
◎水銀蒸気と軍団対策
エミリさんのUCをわたしの『オーラ防御』に込めて貰い念の為『毒耐性&環境耐性』で備え急場の対水銀毒バリアを纏い

『属性攻撃(重力)&砲撃&レーザー射撃』の『一斉発射&範囲攻撃』を軍団に撃ち『空中戦&推力移動』強行突破です

●POW
相手の知能の低下と細かい所まで頭が回らないなら、それを利用しましょう

『オーラ防御&毒耐性&環境耐性』で備え『早業』UC発動、相手の攻撃を跳ね返しながらエミリさんに盾代わりにして貰い、防戦一方を演じ調子に乗らせましょう

自在に伸びる水銀の剣ならリーチはあるでしょうから、反射の適応内です
油断したらエミリさん頼みます

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


エミリロット・エカルネージュ
【なめろう餃子】
◎水銀蒸気と軍団対策
ボクのUCをボクとビスちゃんの
『オーラ防御』に『範囲攻撃』で込めれば水銀蒸気の毒は状態異常だから中和する『浄化』バリアが作れる

軍団には『属性攻撃(重力)』込めた『覇気&砲撃&弾幕』を『範囲攻撃』で撃ち『空中戦&推力移動』一点突破

●POW
UC使ったビスちゃんを『怪力』で持ち
『第六感』で『瞬間思考力&見切り』『盾受け&ジャストガード&受け流し』つつ防戦演じ油断誘い

危ないのは『残像』回避
油断しきったらボクのUC込めた『浄化&グラップル&功夫』を皇帝に叩き込む

水銀の毒は状態異常
スカムキングも似た様な物で
その手のには攻撃に転用できるんだよ。

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



 ルインク・クゼ(蛸蜘蛛のシーアクオン参號・f35911)は始皇帝の逸話を小雉子・吉備(名も無き雉鶏精・f28322)から聞くと、思わず困惑して顔をしかめてしまう。
「水銀って相当な毒やった気がするけど……頭悪なるだけで済んどるなんて何なんよ?」
「多分、死んでオブリビオンになったから?」
 小雉子が推論を述べても、答えははっきりしないままだ。
「にしても、部下の能見を入らないからくり抜くって、そういうのは酷いよね」
 始皇帝の予兆で語っていた言葉に、小雉子は強い不快感を露わにした。
 ルインクはヒーロースーツとフルフェイスマスクを装着すると、やってくる兵馬俑軍団を見据える。
「洛陽へは行かせへんよ。あたしらの脳みそも差し出さへん。始皇帝……此処で止めてみせるんよ」
「行くよ、ルインクちゃん!」
 小雉子もガスマスクの下に防塵マスクを装着した上で、己のオーラを障壁として展開する。
 ルインクは大地の力を吸い上げてヒーロー的オーラとして噴出させると、自身の名を高らかに兵馬俑軍団へ宣言した。
「あたしは……人呼んで……明石の親愛なる隣人、シーアクオンなんよ! ヒナスミちゃん、突撃するんよ……!」
 飛翔する巨大な真蛸に跨ったシーアクオンことルインクは、右腕のセキシュドライバークローからビーム弾を乱射し、空いたもう片腕で明石焼きビームキャノンを眼下へぶっ放す。ヒナスミも蛸墨ビームを吐き出せば、兵馬俑軍団はたちまち混乱をきたす。
 小雉子も負けじと背中の翼を広げて飛翔すると、魔法カードの魔力を全力で解放する。
「時の愚鈍『スロウフールハウル』! 降り注ぐ矢は遅くなって、敵はその場に釘付けにするよ!」
 魔法弾幕が命中した敵は、地面が爆発しても物理法則を無視して超スローモーションで吹っ飛んでゆく。
 その間に小雉子が桃色の破魔の霊刀で結露を切り拓き、水銀楼閣までの道をこじ開ける。
「あとちょっと!」
「でも……守りが硬すぎるんよ」
 2度も猟兵の突破を許した兵馬俑軍団は、君主を守らんと水銀楼閣周囲に戦力を固めている。
 これでは突破は時間がかかりそうだ。
 そうこうしているうちに水銀楼閣は移動を始め、洛陽を目指して動き出してしまう。
 小雉子とルインクが死力を尽くして突貫する他ないと腹をくくったまさにその時!
 空から青い輝きの隕石めいた何かが、水銀楼閣の城壁を兵馬俑軍団ごと爆散させたのだ!
「エ……エミリさん!? 私を砲弾代わりにするなんて酷いですよ!」
「でも結果オーライだったでしょ? ビスちゃん!」
 小雉子とルインクは、別方向の上空で羽ばたく赤い翼のモフモフなドラゴニアンの餃子戦士へと振り返る。
「あ! エミリちゃんだ! ってことはさっきの青い砲弾は……ビスマスちゃん!?」
「えっと……確か、吉備ちゃんの知り合いやったやろか?」
 伝聞では聞いていたが、実際に依頼で合流するのは初めてのルインクは、エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)とビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)のダイナミックエントリーに度肝を抜かれていた。
 そしてクレーターの中から這い出てきたビスマスは、何故か無傷のままだった。
「よもやエミリさんが私のユーベルコードを利用して、城壁を敵もろとも吹っ飛ばすなんて思いもしませんでした……」
「無敵のユーベルコードを使うって言ってたから、ボクの餃発勁拳でどうにか出来るかなって思ったんだ! うまくいったみたいで良かったよ!」
 屈託なく笑うエミリロットだが、水銀の城壁の穴が次第に小さくなっていくことに気が付く。
「そこの2人も早く突入して! ここからは4人で突撃だよ!」
「う、うん! 早くやっつけようね!」
「なんか……最初からクライマックスなんよ……」
 小雉子は慌て、ルインクは唖然としたまま、水銀楼閣の中へ飛び込んでゆく。
 ビスマスとエミリロットも、その後を追うように宮殿内へ突入を果たした。

 水銀楼閣内部は、充満した水銀蒸気のおかげで対策をしなくては呼吸すらままならない。
「エミリちゃんとビスマスさんは……マスクしとらんけど、大丈夫なんやろか?」
 ルインクの疑問に、すかさずエミリロットが即答した。
「その秘密はボクのユーベルコードにあるよ! ユーベルコード『霊芝餃薬勁法』は、治癒と増強効果のある霊芝入り茸餃子を生成して、その霊力を食べた人に付与できるんだ!」
「つまり、エミリさんの餃子を私は食べたことで、水銀蒸気の中毒症状から耐性を得ているのです
「医食同源、食は薬なり……その言葉は餃心拳でも例外は無い、餃子にはこう言う使い方も在るんだよ! 水銀の毒は状態異常といえるし、スカムキングも似た様な物で対処できた。この手のには攻撃に転用できるんだよ」
「もっとも、無毒化をしているわけではありませんので、毒素を打ち消すためのオーラ障壁を纏っています」
 ビスマスとエミリの体に、毒素を吸着・洗浄する水のベールが発生している。
 素顔を晒したまま玉座の間へ向かう2人の周囲は、なるほど、不思議と清浄な空気がカプセルのように取り巻いているのが分かる。
 ルインクはヒーローとしてマスク有りの戦闘を望んだため、小雉子だけがエミリの餃子を食べてガスマスクから解放されたのだった。
「ぷはー! これで視界も広くなったよ! ありがとう、エミリちゃん!」
「ボクの餃子は万能だからね! さて、敵の首魁の出ましだよ」
 エミリが向けた視線の先に、玉座の間で仁王立ちする始皇帝の姿が見えた。
「ええい! 兵馬俑軍団は何をしている? こうも易々と朕の宮殿に遊牧民風情を侵入させるとは!」
 カッカしながら、4人の猟兵へ明確な殺意を向ける始皇帝。
 各自が身構え、すぐに戦闘へ突入した。
「ならば朕自ら手討ちにしてくれる! 有象無象共が! 朕に討たれる事を光栄に思え!」
「来ます! 皆さん、散らばって下さい!」
 ビスマスの合図で4人はその場から飛び退く。
 その次の瞬間、始皇帝の手の内にあった水銀の剣が鞭のようにしなって、真一文字に宮殿の床を削り取っていったではないか!
「あの距離から此処までリーチがあるのっ!?」
「飛ばなかったら今頃、胴体で体が真っ二つだったんよ……」
 小雉子はともかく、ルインクは攻撃をかわすのがやっとである。
「避けきれんのやったら……撹乱するまでなんよ。頭悪なっとるなら見破れへんやろか?」
 ルインクのは放ったビーム弾幕が、突如、ルインクの姿形となって始皇帝へ殺到!
 同じく小雉子も弾幕を幻術で自身の姿として分身したかのように見せる。
「ぬぅ!? 小賢しい! すべて切ってしまえば同じことだ!」
 始皇帝は策も何もないまま、押し寄せる弾幕虚像の群れを水銀の剣で自在に切り刻んでゆく。
 その刃はビスマスとエミリロットをも襲う。
「させません!」
 ビスマスがドライバーにカードをスキャン!
『Lord Bismuth Fortress!』
 謎の電子音声がドライバーから唸る!
「その身も心も、蒼鉛の如く無限の光也……『蒼鉛皇の要塞(ロードビスマス・フォートレス)』起動っ!」
 ビスマスはユーベルコードでほぼすべての攻撃に対して無敵状態となる。特に飛び道具や範囲攻撃へダメージを反射させる蒼鉛の鎧装の守りは堅い。だが、その代償として、その場から一歩も動けなくなってしまう。
 水銀の刃を弾き返してゆくビスマスに痺れを切らした始皇帝は、エミリロットを死角から刺殺しようとする。
「わーあぶなーい!」
 やけに棒読みな悲鳴を上げるエミリロットが、残像を用いて回避したり、米粉の餃子の皮に気を通して包帯状にしたライスフラウア・バンデイジの強度を頼りに手の甲で水銀の刃を回転お動きで軌道を反らしたりする。
 ビスマスも一歩も動けないことを、さも苦戦しているように演技する。
「これはすごい攻撃ですね! 私、文字通り手も足も出ません!」
「フハハハハハ! まずはそっちの2人から脳みそをくり抜いて兵馬俑にしてやろう! ……む? なんだ? 急に景色がゆっくりになったぞ?」
 始皇帝のみるあらゆる景色が、途端に超スローモーションな動きに変わってゆく。
「そうか! フハ、フハハハハハ! 水銀を飲んで頭が冴え渡った朕は、遂に明鏡止水の境地へと達したか! 朕の速度について来れないようだな! そのまま全員、脳みそをくり抜いて――」
 水銀の剣が4本同時に猟兵たちの頭部を穿たんと放たれた!
 だが、穿たれたのは始皇帝の腹だった。
「遅いのはそっちなんよ! この一撃で……戦況を変えるんよっ! 蛸墨咆哮『オクトポイズニックブラスト』っ!」
「ひいろちゃん、思いっきりやっちゃってっ! 緋猿双舞『凍灼炎虹の双龍舞』っ!」
 ルインクが乗るヒナスミから発射された黒いビームが異臭と煙幕による視界遮断をもたらし、小雉子がユーベルコードで炎猿ひいろに召喚させた『凍える虹を吐く龍』と『燃え盛る虹色の炎を吐く龍』が始皇帝の腹へ凄まじい衝突ダメージで貫く!
「凍てつく炎の虹と燃える虹色の炎、双龍纏いて天駆けよっ!」
 小雉子の号令で、双竜は凍傷と火傷を同時に始皇帝へ与えた。
(一体何が起きた!?)
 体がスローモーションのように動かせないことに気が付いた始皇帝は、こうなった原因が分からない。
「冥土の土産に教えてあげましょう。吉備ちゃんとルインクさんが放った分身弾幕には、遅延魔法と猛毒が仕込まれていたのですよ」
 一瞬でそれを見抜くビスマスの戦闘技量もすごい。
「貴方はそれを何の躊躇いもなく水銀の剣で斬り伏せ続けた。すると、徐々に貴方は体の動きが鈍り、その違和感き疎くなっていきます」
「更に、ボクたちが苦戦する演技をすれば、その残念なおつむは必然的にボクとビスちゃんを狙うよね? そっちの2人なんて忘れてさ!」
 4人の奇跡の連携劇が、完璧なコンボアタックを生み出したのだ!
「ではそろそろ終わらせましょうか。なめろうフォースセイバー!」
 ブォンッと音と立てながら、なめろうと大地のパワーを具現化させた光剣をビスマスは振るう。
 ゆっくりと迫りくる水銀の剣をスパスパと切り捨て、一気に始皇帝の懐へ肉薄!
「まずは一太刀です! イヤーッ!!」
「グワアアァァァーッ!?」
 袈裟斬りを浴びた始皇帝が超スローモーションでたたらを踏む。
 そのビスマスの背後から飛び出したのは、赤き龍の餃心拳だった。
「これで決める! ボクの餃子拳は、焼き立て熱々だー!」
 餃子が鉄板で焼かれるような灼熱の発勁が、始皇帝の鳩尾にクリーンヒット!
「まだまだぁー!」
 スローモーション効果が来れるまでエミリロットの連撃が叩き込まれれば、始皇帝は錐揉み状態のまま水銀の壁へと突っ込んでいったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機
「哀れだねー…着眼点は良かったけど水銀をそのまま使うなんてね…」
対軍団
【戦闘知識・情報収集・視力】
軍の陣形を把握
そこから突破口を分析しテラと共に分析

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達と仲間に付与
光学迷彩で存在を隠して軍団を突破

対蒸気
【念動力・浄化】
念動障壁を展開して蒸気を防ぎつつ浄化

皇帝の動きと癖
何より性格と周辺の状況と仲間の能力も分析


おお!偉大なる皇帝陛下に勝てるわけはない!だから僕は皇帝陛下に着くぞ!
「そんな…裏切るなんて酷いよっ!」
煩い!皇帝陛下こそ偉大なる主君!僕は強く偉大な者に着く!

UC起動
ぜっちゃんと激突!
皇帝を後ろから不意打ちとかいい度胸じゃねーか!此処は任せてください!

ってお前…僕らの速さについてくる…だと?

メルシー
【空中戦・弾幕・スナイパー】
超高速で飛び回りながら念動光弾乱射
皇帝と兵馬俑諸共蹂躙

意識がテラ達に完全に向いた時

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
皇帝に襲い掛かり連続斬撃から水銀から金目の物も強奪!

こういう派手なのは趣味じゃねーが
「たまにはね☆」

神速蹂躙開始!


テラ・ウィンディア
神機
!?させるかっ!(魔力を吸われかけて抵抗!
「テ、テラ…まさか…!」
だ、大丈夫…抵抗したから出たりは…
「大丈夫、問題ない」(UC起動
「「わーー!?」」

兎に角!おれが呼んだならおれが主だなっ!だから協力しろ!
後今回はチョコ禁止!
「む…本来仕えるべき者はいるがお前のいう事も道理か…承知した」

対軍
【戦闘知識】
軍の陣形を見て突破口を把握
カシムと協力して突破
対蒸気
【オーラ防御・結界術・属性攻撃】
己とぜっちゃんに炎のオーラと結界付与
蒸気を吸い込まず
水銀の大渦のダメージ軽減

そもそもお前戦えるの!?
「問題ない。我がグ…UCを披露するとしよう。お前も使いこなしてみせろ」(超高速化
【見切り・第六感・残像・空中機動・武器受け】
飛び回りながら残像を残し回避か武器で受

【弾幕・重量攻撃・貫通攻撃】
ガンドライド
ドリルビット
展開!
弾幕とドリル攻撃で兵馬俑を迎撃
【二回攻撃・早業・串刺し】
皇帝に剣と槍の猛攻

ぜっちゃん
カシムと合わせた演技
TC使用
不意狙いカシムに防がれ激突演

皇帝の意識がテラに向けば
不意打ち猛攻

超高速蹂躙開始



 界導神機『メルクリウス』の装甲を始めとする主要なパーツは『賢者の石』で構成されている。その賢者の石は液体のように柔らかく、自在に姿形を象ることが出来るのだ。
「哀れだねー……着眼点は良かったけど、水銀をそのまま使うなんてね……」
 錬金術の最高傑作と名高い賢者の石には、原料に水銀が使用されているらしいが真実は定かではない。
 ただメルクリウスことメルシーがそういう口ぶりをするので、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)はそういうものだと認識するようになった。
「ウネウネ動くのは一緒だけどな? さて、テラ。これから僕は一芝居打つので、お前もしっかり演技してくださいね?」
「始皇帝をだますんだな! 頭が悪くなってるなら、おれでもだませそうだな!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)が、にししっと悪巧みの顔付きで笑みを漏らす。
「……足を引っ張らないでくださいね、メルクリウス?」
 共闘するに当たり、三界神機『ヘカテイア』こと小さな黒猫に化けたヘカテにゃんがメルシーを睨んでいた。
 だがメルシーはヘカテにゃんを抱き上げると、締りのない顔で頬を擦り付けてくる。
「うぇへへへへへ☆ ヘカテにゃんかぁいい~☆」
「ちょ!? やめろこの見境なしの万年発情期クソ駄神機!」
「え~? ひど~い☆ 昔、メルシーがヘカテちゃんのことを捨てたこと、未だに怒ってるの?」
「う゛……っ」
 ヘカテの言葉が詰まる!
 え? 今までのツンって嫉妬だったの??????
「い、いいから離れなさい! 淫乱が感染る!」
「うぇーん! ご主人サマ~! ヘカテにゃんがイジメる~!」
 泣きながらカシムに抱きつくメルシー、だがチラッとヘカテの方を覗き込む辺り、恐らく嘘泣きである。
「ん? ヘカテ? もしかしてまだメルシーの事がす――」
「すぐに攻め込みましょうそうしましょう! 始皇帝なんてテラの敵じゃありません!」
 食い気味でまくし立てるヘカテに、テラは首を縦に振らざるを得なかった。
「えへへー☆ ヘカテにゃん、やっぱりかぁいい~☆」
「てめーのそういうとこ、恐ろしいな……!」
 女好きを自覚しているカシムは、反面教師が真横にいる事に恐れおののくのだった。

 カシムとメルシーはテラとヘカテにも光学迷彩魔術を施す。
 これで全員は兵馬俑軍団から視認されずに素通りすることが出来る。
 あとは魔法で空を飛んで、一気に水銀楼閣へ潜り込んだ。
「ここからはおれの出番だな!」
 テラは炎の結界を展開し、水銀蒸気を焼却して浄化を試みる。
 ヘカテの魔力の底上げもあってか、マスクがなくても呼吸できるくらいには空気を浄化することが実証された。
 そして辿り着いた玉座の間には、始皇帝が待ち受けていた。
「また懲りずに来たか、遊牧民風情が! 何度、朕の威光を示せば理解できるのだ!?」
「理解する気なんてないぞ! お前はおれたちが倒す! な、カシム!」
 テラの問いかけに、カシムは何故か首を横に振った。
「おお! 偉大なる皇帝陛下に勝てるわけがない! だから僕は皇帝陛下の元に付くぞ!」
「そんな……裏切るなんて酷いよっ!」
 突如、寝返ったカシムにメルシーが涙で訴えかけるも、それを足蹴にするカシム!
「煩い! 皇帝陛下こそ偉大なる主君! 僕は強く偉大な者の元で甘い汁を吸いたいんだ!」
 清々しいまでのクズっぷり!
 なおこれは始皇帝を油断させるための演技なのだが、セリフは完全にアドリブである。つまり本心も混ざっている可能性がある……!
 これに始皇帝はすっかり騙され、カシムを何の躊躇なく受け入れた。
「フハハハハハ! げに賢き者は朕の元へ集うのだ! しかしその脳味噌はもういらぬな! これより朕が貴様の脳味噌になるのだからな! よって貴様の脳味噌をこの場でくり抜く!」
「お待ち下さい、陛下! 今、脳味噌をくり抜かれては陛下のみに危険が及びます!」
「何を言うか! 貴様、朕に歯向かうつもりか?」
 カシムが脳味噌を死守するべく、口八丁手八丁で理由を創作する。
「い、いえ! 滅相もございません! ですが、今、僕の脳味噌をくり抜くと、魔術的なアレやコレやが暴走して……その……」
「ええい、発言を許可する! 言うてみよ!」
 苛立つ始皇帝へカシムが断言した。
「今、僕の脳味噌をくり抜くと、その瞬間、陛下の股座の金の宝玉が大爆発して、陛下が死にます!」
「なんだと!? それを早く言わぬか馬鹿者!!」
((今の理由で信じちゃったぁーッ!?))
 そんなわけねぇろ的な理由でも、今の始皇帝は容易に信じてしまう。
 メルシーとテラ、そしてヘカテにゃんは始皇帝のアホさ加減に狼狽せざるを得ない。
「よし! あとはおれ達がカシムと戦うふりをして……ぅっ!? させるかっ!」
 突如、テラの体を襲う違和感。
 魔力が外へ抜き取られるような感覚。
 異変に気が付いたヘカテがすぐさまテラの魔力の流出を堰き止めると、慌ててテラに寄り添う。
「テ、テラ……コレは、まさか……!」
「だ、大丈夫……抵抗したからな……ヘカテもおれの魔力を堰き止めてくれてありがとな……」
「ええ、当然のことをしたまでです。あのままだと、奴が出てきて……ってメルクリウス、少し黙っててくれませんか!?」
 騒がしいメルシーの方を振り返るヘカテ。
 そこには、メルシーと肩を組む男がいた。
「大丈夫だ、顕現しているぞ」
「うぇーい☆ ぜっちゃんうぇーい☆」
「「ああああああああああああああっ!?」」
 よく分かってないメルシー。
 絶望するテラとヘカテ。
 そして絶ちゃんと呼ばれた謎の銀髪銀目の青年『ぜっちゃん(霊体)』。
 呼び出してしまったのなら仕方がないと、テラは前向きに事を構えることにした。
「兎に角! おれが呼んだならおれが主だなっ! だから協力しろ! あと今回はチョコ禁止! 前フリとかじゃなくて絶対だ!」
「もしチョコを使えば?」
「MS権限でお前とおれは此処に存在しないことになる」
「それは困ったな!」
 爽やかな笑顔を振りまくぜっちゃん。
 うぜえ。
「ふむ……本来仕えるべき者はいるが、お前のいう事も道理か……承知した」
「そもそもお前戦えるの!?」
 テラの疑問はもっともだ。
 搭乗する度にカカオテロしかしてないこの青年の霊、一体何がしたいのかわからない愉快犯だとテラは思っていたからだ。
 しかし、ぜっちゃんは自信満々に告げた。
「問題ない。我がグラ……こほん、ユーベルコードを披露するとしよう。お前も使いこなしてみせろ」
 その刹那、始皇帝の身体が真後ろへ吹っ飛んだ。
「え?」
 テラは一瞬で始皇帝へ肉薄しているぜっちゃんに目を疑った。
「は、速い! 音速なんて比じゃなかったぞ!」
「なんだ、弱いじゃないか。ああ、仮の主人よ。今なら我が景色を体験できるぞ?」
「ぜ、ぜっちゃんとか言ったな!? 陛下に何をしたー!?」
 カシムはイレギュラーな存在へダガーを構え、ユーベルコードでマッハ36弱まで加速する!
「皇帝陛下を後ろから不意打ちとかいい度胸じゃねーか! 陛下! 此処は任せてください!」
「見え透いた嘘は止めたまえ。バレバレだぞ?」
「ウッソだろお前……僕の速さについてくる……だと?」
 ぜっちゃんも最高速度はカシムと同じマッハ36弱まで加速可能!
 必然的に2人の超超高速戦闘が勃発する!
 一方、後ろから超音速でぶん殴られた始皇帝は、怒り狂って水銀の大渦と兵馬俑軍団を玉座の間で展開する。
「もうよい! 遊牧民風情など、まとめて手ずから殺してくれるわ!」
「そうはさせないぞ☆」
 メルシーが万能魔術砲撃兵装『カドゥケウス』から念動光弾を乱射して兵馬俑軍団をなぎ倒してゆく。その速度もマッハ36弱だ!
「ヘカテ! なんか身体が軽いぞ!」
「私もです! あの男の霊の仕業でしょうか!?」
「とにかく突っ込むぞ! ガンドライド! ドリルビット! ダブル展開!」
 迫りくる水銀の大渦を、遠隔操作兵器で相殺するテラも、マッハ36弱で玉座の間を駆け巡る!
 猟兵たちがビュンビュンとマッハ36弱で駆け巡るので、始皇帝には何がなんだか分からない!
 だって目で捉えられないのだから!
「一体何が起きている!? 朕の護衛は何処へ行った!?」
「ここだボケェェッ!」
 カシムが始皇帝をグーで殴った!
 凄まじい衝撃波が、始皇帝の脳を揺らしながら、身体を吹き飛ばす!
「グワーッ裏切ったなー!?」
「ケツが丸出しだぞ☆」
 そこへメルシーがカドゥケウスを突き出して始皇帝の尻へ注入して零距離射撃!
 ケツに突き刺さった衝撃と内蔵を直に射撃された衝撃で、始皇帝は口から大量の喀血!
「ふ……金の球の爆発を恐れるなんて、朕朕皇帝も口ほどではなかったな?」
「ぜっちゃん、もう色々とアウトだぞ!?」
「何このカオス、もう嫌……!」
 ぜっちゃんの拳の乱打とテラの爆速の槍捌き、そしてヘカテにゃんの猫パンチが始皇帝を蹂躙し、猟兵たちはマッハ36弱のリンチを気の済むまで行い続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リオ・ウィンディア
浄化作用のあるランプを灯し、鼻歌を【歌唱】しながら能力を上乗せ、空気を【浄化】して進むわ
水銀の蒸気にはこれでただの湿気になるだけよ
ふむ?かえって喉が潤っていいかもね

始皇帝には
「ここに素晴らしい皇帝がいると聞いて謁見に参りましたの」
と当時の作法を習い拱手にて挨拶
「私はこの辺りではそこそこなのしれた歌歌いでして、どうぞ皇帝様にもお聞きしたく参上した次第です」
終始礼儀を忘れず、相手を敬う動作にて、相手の気分を心地よくさせる

そしてギターで【楽器演奏、歌唱】
最初はしっとりと
だんだんテンポを上げて、UC発動
さぁ、ここからが本番!
ダガーによる近接攻撃【早業、2回攻撃、切断】と呪歌による遠距離攻撃【呪詛、恐怖を与える、精神攻撃】を交互に行うわ
さらに【空中戦】に挑み大渦を回避しながら飛び回りカーネーションの【呪殺弾】による攻撃も繰り出すわね

ね、華やかな舞台でしょう
【属性攻撃:歌劇】
愚王を暗殺する楽士のもの語り、ね。

ふふ、水銀に溺れた愚かな王よ
私がここで決着をつけてあげるわ!



 水銀楼閣『阿房宮』に、真っ赤なカーネーションが飛び交う。
 兵馬俑軍団は花に射抜かれて卒倒し、カーネーションのプランターとなってしまう。
 鮮血のような紅の嵐の発生源には、喪服を着た銀髪エルフの少女が『亡魂のレコルダール』と呼ぶラムプを掲げて歩き進む。

 ♪嗚呼、嗚呼! 鈍色の流れる金属に魅了された愚王よ!
 ♪汝、永遠を求むるなら 我が問いに答えよ!
 ♪既に不変たる過去の存在の汝が なにゆえ今に蘇る?
 ♪なにゆえ今から未来を望む? 破滅しか齎さぬ汝が、なぜだ?

 鼻歌……にしては歌劇調の癖が強いリオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)の歌声が、ラムプの灯火と共鳴して水銀の毒をだだの湿気に変換してしまう。
 飛び散るカーネーションも浄化作用があり、リオの進んだあとには清浄な空気が存在した。
(ふむ? かえって喉が潤っていいかもね)
 調子良く始皇帝を試すような歌詞を口ずさむリオ。
 それに乗せられ、始皇帝は玉座の間から出てきてリオの元へまんまと誘い出されてしまった。
「何だ貴様は! 朕を愚弄する歌を今すぐやめろ!」
「あら、英雄には吟遊詩人の問い掛けに答え、その武勲詩を広めさせる義務があるのよ? さあ、答えてくれるかしら?」
「くだらぬ! まだ子供のくせに生意気な!」
 始皇帝はリオを相手にすらしない。
 リオは半ばこうなることを予測していたのか、突如、始皇帝の目の前で拱手にて挨拶。
「ここに素晴らしい皇帝がいると聞いて謁見に参りましたの。私はこの辺りではそこそこなのしれた歌歌いでして、どうぞ皇帝様にもお聞きしたく参上した次第です」
「古式に則った完璧な礼儀作法……貴様、見どころがあるな? なるほど……朕の武勲詩を広める、か。よかろう! 拝謁を許す!」
 すっかり気を良くした始皇帝は、これが罠だと気付かずにリオへ心を許してしまた。
(やっぱりオツムは残念なのね。まぁそのほうが好都合なのだけど)
 リオは心の内を見透かされぬように努めつつ、クラシックギター式魔楽器・アーケオプテリクスの弦を爪弾き始めた。
「最初はしっとりと……Andanteはお好きかしら?」
 ゆったりとした曲調は悠久の時を感じさせ、生前の始皇帝の栄華さを表現する。
 そして次第にテンポアップ、戦乱の世の中を表現するべく、AnimatoからVivo、そして気付けばPrestissimoへ。
 始皇帝はリオの卓越した演奏に聞き惚れていた。
「ふん、遊牧民風情かと侮っておったが、なかなかにして美しい調べを奏でるではないか」
「お褒めに預かり光栄よ、皇帝様。けど、ここからが本番よ!」
 リオは演奏しながら、始皇帝へ飛び掛かる!
 その靴の爪先に仕込んだ水と風の精霊ダガー・ロータスを回し蹴りで叩き込むために!
「ぐぬっ!? 何をする!?」
 だが始皇帝も水銀の大渦を展開してこれを防御!
 すかさずリオはその場から離脱するとユーベルコード『Misericordia Clavel(ミゼリコルディア・クラベル)』によって1180本カーネーションの呪殺弾を楼閣内に解き放った!
 その間にも、リオはカーネーションへ呪詛を込めるべく歌と演奏を続ける。
 カーネーションに貫かれた水銀の大渦がただの水蒸気の渦へ変わってゆく光景に、始皇帝は目を丸くして驚愕!
「なんだと!? 朕の操る水銀が! 霞に変わっただと!?」
「ね、華やかな舞台でしょう? 愚王を暗殺する楽士のもの語り、ね」
 リオの高速アルペジオとともに、カーネーションの弾幕が始皇帝を撃ち抜く!
「がはッ!? 朕の身体が……霞に……変わる……!?」
 体内も水銀で満たされているのか、撃ち抜かれた始皇帝の体が水蒸気に変わっていくではないか!
 動きが鈍った敵へ、リオはギターを奏でながら踊るようにステップを踏んで、三拍子で床を蹴って飛び跳ねた。
 そのまま爪先を遠心力任せに振り抜いて、凶刃が目指すは始皇帝の首――!
「ふふ、水銀に溺れた愚かな王よ! 私がここで決着をつけてあげるわ!」
 漆黒のスカートが翻り、刃が瞬く。
 次の瞬間、水銀に毒された人界初の皇帝の首が床に転がっていった。
「……お行儀悪かったけど、演奏しながら敵を仕留めるのにこの舞踊は有効だったようね」
 もう何も言葉を発する事のない始皇帝へ、カーテシーで締めるリオ。
 主のいなくなった水銀楼閣が崩壊し始めると、巻き込まれないように外へ駆け出してゆくのだった……。

 始皇帝は討った。
 だが、その手応えに疑問視する猟兵も少なかたず存在した。
 その直感は、的中してしまう。

 ――あちゃ~、へーかがやられちゃった!
 ――それより、新しいへーかの『兵馬俑』を探そっと。
 ――どっかにいないかなぁ~? 倫理観が終わってて、断言癖がスゴいやつ!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月21日


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🔒
#封神武侠界
🔒
#殲神封神大戦
🔒
#殲神封神大戦⑥
🔒
#始皇帝


30




種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト