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もふもふ百物語

#サムライエンパイア #童話調 #ぶんちょうさま #まっくろピヨたろう

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#サムライエンパイア
#童話調
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#まっくろピヨたろう


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 ――むかぁし、むかしの不幸なできごとで、誰も居なくなってしまった、古いお城がありました。
 草は好き勝手にぼうぼうと生い茂り――屋根瓦の隙間から幾重にも差し込む陽の光が、天井の隅に張られた大きな蜘蛛の巣を、紗幕のように浮かび上がらせます。
 そんな訳なので、町のひとびとも不気味がって近づかなかったのですが、最近何やら様子がおかしいようだと皆が噂をし始めました。
「あの街外れのお城の近くで、やたらと鳥の鳴き声が聞こえてくるようになったなあ」
「ああ、もふもふした文鳥さんをちらっと見かけたよ! まるっこい姿でお昼寝をしていて、思わず引き込まれそうになったんだ」
「いや、俺はもっとでっかい、毛玉みたいなお化けと目が合ったぞ!」
 ――しかし、やっぱりお城に近づくのは怖いので、誰も確かめに行こうとはしないのです。そんなこんなで噂ばかりが膨れ上がって、人間に殺された鳥たちの怨念がお城には渦巻いているだの、どんどん怖いお話が作られていきました。
「へえ、それならさ、今度あのお城に集まって、百物語でもやってみようじゃないか」
「そうだなあ。百つめの物語が終わると、あやかしが姿を現すのだろう。噂を確かめられるし、丁度いい」
 そんな中、町の若者たちが肝試しを兼ねて、渦中の廃城へと乗り込んでいったのです――そうして次の日の朝、真っ青な顔をして帰ってきた若者たちは、今にも倒れそうな様子でこう言ったのでした。
「ほ、本当に出た! まっ黒で巨大なお化けが食べ物を寄越せって、襲い掛かってきたんだ!」

 もふもふっていいよね、と篝・燈華(幻燈・f10370)は楽園を夢見るような瞳で、皆にぽつりと告げました。まるっこい文鳥さんに、もふもふのひよこさん――どちらも捨てがたいと添えながら。
「でも、このもふもふの鳥さんはオブリビオンなんだ……。心を鬼にして、もふ……じゃない、倒さないといけない!」
 しかし、次の瞬間には猟兵の顔つきを取り戻し、グリモアによる予知を説明するのです。舞台は、和の世界であるサムライエンパイア――或る町外れに聳える古いお城が、オブリビオンの拠点になっているのだ、と。
「今は、未だ『何か怪しいものの気配がする』程度なんだけど……このまま放っておくとオブリビオンは、どんどん支配を広げていくんだよー!」
 ――そうなる前に、此方で先に手を討とうと。その為に、拠点のお城に攻め入って欲しいと燈華は訴えたのでした。
 だって、ひとびとを力づくでどうにかするオブリビオンではないのです。もふもふで魅了して、骨抜きにしてしまうのです! なんて恐ろしいのでしょう!
「でもね、もふもふさんは警戒心が強くて、なかなか姿を現さないみたいなんだ……。そこで、廃城で百物語大会をしておびき寄せるんだよー!」
 ――百物語とは、怖い話を順番に一つずつ披露していって、話が終わる度に蝋燭を吹き消していくと言う儀式です。そうして百個の物語が終了すると、其処には本物のお化けが現れると言う――肝試しなどでもよく行われるもの、なのですが。
「もふもふさんも妖怪だから、百物語には興味を持って引き寄せられちゃうみたいなんだよね。だから、お話を盛り上げて、出てきたところをもふ……いや、戦うと言う流れになるねっ」
 先ず現れるのは配下である、愛らしい文鳥さんの群れだと燈華は言いました。でも、普段から寄り集まっておしくらまんじゅうしている彼らのこと――怖いお話を聞き過ぎて、ぷるぷる震えているかもしれないとも。
「で、総大将は、まっ黒でもふもふなひよこさん! 可愛いけど、貫禄十分だから気をつけてもふってね!」
 ああ――最早、もふること前提で説明する燈華です。隠す努力もしていません。但しこのまっくろピヨたろう、食べることが大好きで、食べる為には手段を選ばないとのこと。ええとつまり、食べ物をたらふく与えると……?
「さて、大体の流れはこんな感じかな! 百物語の会場はお城の大広間で、真夜中に開催するからよろしくなんだよー!」
 ――そう言って話を纏めると、燈華はいそいそと転送の準備を始めました。さて、本当に何か出る曰くありげな廃城での、どきどき百物語からのもふもふタイム――一体どんな展開になるのでしょう?


柚烏
 柚烏と申します。可愛い宿敵さんが一杯登録されていて、シナリオ一覧を眺めるたびにほっこりしてしまう今日この頃です。
 今回の舞台は、和の香りが漂うサムライエンパイア。もふもふオブリビオンの拠点となった、町外れの廃城で百物語大会をして、もふもふさんをおびき出してもふってください。

 フラグメントは以下の通りです。
 第1章:冒険『百物語』
 第2章:集団戦『ぶんちょうさま』
 第3章:ボス戦『まっくろピヨたろう』

 オープニング文章のように、リプレイもふわっとした絵本や童話みたいな文体で書く予定です。そんな訳でゆるーい雰囲気で進行していきますので、余程フラグメントの内容から外れたプレイングとかでない限り、苦戦以下の判定は出ないと思います。初心者さん大歓迎ですよ!
 修学旅行みたいなノリで、お布団敷いてお菓子も食べつつ蝋燭を囲んで、鳥さんをもふもふする感じで楽しんで頂けたらと思います。仲良しの方と一緒に遊びに行く感覚でどうぞです。

 ●プレイング受付につきまして
 第1章は『自分で百物語を考えて語る』内容の為、プレイングを考えるのに時間が必要そうだなと思います。なので、第1章のプレイングは『2月12日 8:30以降』に受け付けたいと思います。お手数ですがよろしくお願いします!
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第1章 冒険 『百物語』

POW   :    妖怪をやっつける話をする

SPD   :    妖怪から逃げ延びた話をする

WIZ   :    妖怪の仕業と看破した話をする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マシュヘル・インアセル
ようかいでていけ

昔々のお話、村のど真ん中に、大きな大きな家があったそうな

家の中には熊より大柄な妖怪が一匹おり、ど真ん中に建てられては堪らんと村人が立ち退いて貰おうとする度に「でていけー、でていけー」と大きな声で吹き飛ばすのです

このままでは駄目だと、村長は村人達を集め、どうにかして追い出す為に集会を開いて考え合うのでした

そうして空気の澄んだ静かな新月の夜、村人達は松明を掲げ、大きな家へと足を運びました
妖怪は「でていけー、でていけー」といつものように大声で吹き飛ばそうとします

それに対して村人達は、皆で作った大きな大きな団扇を扇ぎます

これには妖怪もびっくり!こりゃたまらんと尻尾を巻いて逃げたのでした


フィーリ・アスタリスク
心情
百物語で、暴く話は多々あるけれどその中の一つを教えてあげよう
面白いと思ってくれるといいのだが

昔、狐のいたずらに困った村人がおりました
村の住職に相談したところ
もしかしたら村人に狐が混じってるかもしれませんねそういいました
けれど狐かどうかなんて村人にはわかるはずもありません
しかし住職は見分ける方法がありますよ、そういい村人に教えました
村人は早速試しました
「狐の窓」
すると、村人の中に狐が紛れているではありませんか
村人はその狐をお仕置きして
二度といたずらをしないと誓わせました

火を消す前に
もしかしたら案外近くに妖怪はいるかもしれないよといい
指で狐を作りつつ火を消す
火を消した後は暗視で敵を警戒しておく



 ――町外れにぽつんと聳えるお城は、それはもうぼろぼろで、いかにも何かが出そうな雰囲気なのでした。
 そんなお城のてっぺんの、お殿様やお姫様が座っていたと思しき大広間――其処へ布団を並べて敷いた後で、ずらりと揃えた蝋燭に火を灯せば、いよいよ百物語の始まりです。
「さて、先ずは私から話しましょうか」
 そう言ってふわりと品のある笑みを浮かべたのは、マシュヘル・インアセル(酒場の女主人・f02486)。昔々のお話から始まるマシュヘルの怪談は、その名も『ようかいでていけ』――キャッチーなネーミングもさることながら、酒場でお客さんの相談にも乗ることがある彼女の語り口は、知らず知らず引き込まれてしまうものがありました。
「……村のど真ん中に、大きな大きな家があったそうな。家の中には熊より大柄な妖怪が一匹おり、ど真ん中に建てられては堪らんと、村人が立ち退いて貰おうとする度に――」
 と、其処でマシュヘルは一呼吸。次の瞬間、かっと目を見開いて地鳴りのような声を響かせるのです。
「でていけー、でていけー!」
 その声に、フィーリ・アスタリスク(雪の月・f00557)が思わずびくりと身を竦めましたが――大きな声に驚いたと言うよりは、女将さんのマシュヘルにバイトのヘマを叱られた時のことを思い出したのでしょうか。
「……と大きな声で吹き飛ばすのです。あれ、もう怖くなった?」
「いや、続けてくれ」
 こほん、と咳払いをして姿勢を正すフィーリを確認して、マシュヘルの物語は続きます。
 ――この妖怪をこのままにしておいては駄目だと、村長は村人達を集め、どうにかして追い出す為に知恵を出し合いました。そうして空気の澄んだ静かな新月の夜、村人達は松明を掲げ、大きな家へと足を運んだのです。
「其処で、妖怪は『でていけー、でていけー』といつものように大声で吹き飛ばそうとします、が」
 ゆらりゆらり手を動かしながら、マシュヘルのお話はクライマックスを迎えていきました。それに対して村人達はなんと、皆で作った大きな大きな団扇を扇ぐと――これには妖怪もびっくり!
「こりゃたまらんと、尻尾を巻いて逃げたのでした……めでたし、めでたし」
 そうして扇のようにふぅっと、蝋燭に灯った炎が消されていき、マシュヘルの物語は無事に終了したのでした。知恵を絞って妖怪を退治する、何とも心憎いお話に、あちこちから拍手が起こります。
「さ、次は……フィーリ君行ってみようか」
「うむ、百物語か……。妖怪の正体を暴く話は多々あるけれど、俺はその中の一つを教えよう」
 面白いと思ってくれるといいのだが――そう言って端正な相貌を険しくするフィーリは、マシュヘルの女将さんに対抗心を燃やしているのでしょうか。
 ――ともあれ、そんなフィーリが語るのは、いたずら狐と住職さんの知恵比べです。狐のいたずらに困った村人が、村の住職に相談したところ、もしかしたら村人に狐が混じってるかもしれないと言われました。
「けれど、狐かどうかなんて村人にはわかるはずもありません。しかし住職は、見分ける方法がありますよ……そう言って村人にその方法を教えました」
 其処でフィーリはおもむろに、両手を不思議な形で組み合わせて、その隙間からそっと辺りを覗いてみたのです。
「……これが、狐の窓。すると、村人の中に狐が紛れているではありませんか」
 まやかしを見破り、見えない筈のものが見えるおまじない――結果、村人はその狐をお仕置きして、二度といたずらをしないと誓わせたのでした。
「そう、もしかしたら案外近くに、妖怪はいるかもしれないよ――」
 そう言って指でこんこんと狐の姿を形作り、ふっと蝋燭の灯を吹き消すフィーリ。ダンピールの美貌が薄闇の中で妖しく微笑む様は、まるで此方も化かされてしまいそうな程です。
(「……さて、と」)
 そんな闇の中で目を凝らす彼は、破れた障子の隙間から、何やらつぶらな瞳が自分たちを見つめている気配を感じていたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神久・紅玉
リンさん(f01308)と一緒に参加です

『コミュ力』を駆使して実際にあった怪談話を聞いてきました

村に愛妻家の旦那さんがいました。ある日奥さんは行方が分からなくなりました
新たな妻を娶る事無く、その奥さんを愛し続けていたある日の事です

奥さんが帰ってきたのです、旦那さんは喜び迎い入れます
幸せな日々が戻ってきたはずでした、しかし旦那さんは違和感をずっと感じていました
――丑の刻にトラツグミの声が聞こえる、そんな話を猟兵さんにしたそうです

そこから正体が分かりました、鵺だったようです
しっかりと奥さんの事を覚えていた旦那さんだからこそ見抜けたのでしょうね
今でも教えてくれた旦那さんは奥さんを愛しているそうです


リィン・エンペリウス
紅玉(f03420)と一緒に参加するよ!
百物語か…とっておきのお話をするね!

あれはボクがとある依頼に参加した時のことだよ。
とある妖怪を退治するって依頼で、深い森の中を一人で歩いていたんだ。
一人で歩いているはずなのに後ろから何かの気配を感じたんだよ。
気のせいと思いつつも進んでいると…それはボクについてくるように追ってきたんだ。
意を決して振り返ってみると…そこにはなにもいない。
それなのに振り返った後もボクの後ろに気配を感じる…そしてまた振り返っても、またボクの後ろに…
なんで!なんで!
って何度も繰り返しているうちに!

それがボク自慢のもふもふ尻尾だと気づいたんだ!

…深い森の中だったから怖かったんだよ?



 さて、一息吐いたら百物語の再開です。実際にあった怪談話――と言う、リアリティのある導入から話を始めたのは、神久・紅玉(つま先立ちの林檎・f03420)。コミュ力を駆使して話を聞いて来たと語る、彼女の技能レベルはなんと168もあります!
 これだけ物凄いコミュ力を発揮している紅玉こそ、ちょっとした妖怪なのではないかと、リィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)は思ったりもしましたが――きっとこれも、頼れるお姉さんを目指す彼女なりの努力に違いないのです。たぶん。
「えっと、話を始めるね? ……ある村に、愛妻家の旦那さんがいました。しかしある日、彼の奥さんの行方が分からなくなりました」
 ――それでも新たな妻を娶る事無く、その奥さんを愛し続けていたある日の事。奥さんが帰ってきたのです。旦那さんは喜んで迎え入れました。紅玉の語り口調も、段々と熱を帯びてきます。
「そう、幸せな日々が戻ってきたはずでした……しかし、旦那さんは違和感をずっと感じていました」
 幸せな物語が一転――不穏な空気が漂う様子に、リィンはお友達の狼、ロウくんをぎゅっと抱きしめて聞き入ります。
「――丑の刻にトラツグミの声が聞こえる、そんな話を猟兵さんにしたそうです」
 都会っ子のリィンですが、動物には詳しいのですぐにその鳴き声を思い出しました。甲高い笛の音のような――何処か物悲しい声。くりっとした青い瞳を細めて、紅玉は物語の顛末を語ります。
「そこから正体が分かりました……鵺だったようです。しっかりと奥さんの事を覚えていた旦那さんだからこそ、見抜けたのでしょうね」
 ――得体の知れないもの、とされる鵺。愛しいものが得体の知れないものにすり替わってしまうと言うのは、とても身近な恐怖でぶるりと震えてしまいます。しかし紅玉は、最後にこう言って話を終えたのでした。
「……今でも教えてくれた旦那さんは、奥さんを愛しているそうですよ」
「う、うう……何か感動するねぇ……!」
 怖い話が、ほろりと切ない余韻を残して終わり――紅玉のお姉ちゃん力にリィンも負けてはいられないと思ったようです。百物語となれば、とっておきの話をしなければ。そう思った彼女は声を潜めて、同じく実話系怪談を披露しようと蝋燭に顔を近づけました。
「あれはボクが、ある依頼に参加した時のことだよ。……とある妖怪を退治するって依頼で、深い森の中を一人で歩いていたんだ」
 ――しかもリィンの実体験のようです。これは期待できそうだと、紅玉の胸も高鳴ります。
「一人で歩いているはずなのに、後ろから何かの気配を感じたんだよ。気のせいと思いつつも進んでいると……それはボクについてくるように追ってきたんだ」
 ひた、ひた、ひた。何だか本当に、得体の知れない足音が聞こえてくるかのようでした。
「意を決して振り返ってみると……そこにはなにもいない」
「ひっ」
「それなのに、振り返った後もボクの後ろに気配を感じる……」
「え、えええ」
「そしてまた振り返っても、またボクの後ろに……」
「う、うう……!」
 ころころと表情を変えて、リィンの語りに聞き入る紅玉。――あ、思わず力が入って、リィンのお友達の鷹(イチくん)の首をぎゅうと握りしめています。イチくんが白目を剥きそうになっていますが、暗いので紅玉には良くわかりません。
「なんで! なんで! って何度も繰り返しているうちに!」
「ひゃああああ」
「それがボク自慢のもふもふ尻尾だと気づいたんだ!」
 ああ、何て恐ろしい――って、尻尾? きょとんとなった紅玉の向かい側で、リィンのふさふさの尻尾が揺れていました。
「……深い森の中だったから怖かったんだよ?」
「う、うん……それは怖いね……」
 ちなみにリィンは妖狐で、隣にはお友達の狐のツキくんも、一緒になって尻尾を揺らしています。
(「見間違いとか、勘違い……うん、良くある」)
 そう思った紅玉が、ほぅと溜息を吐いて廊下の方に目を遣った時――。
 ――もふーん。
 黒いもふもふした毛玉のお化けが、すぅっと横切ったような気がして、紅玉は再び硬直してしまったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キディ・ナシュ
おねえちゃん(f00651)と!

知ってますよ、そのこっそり感
おねえちゃんこそが「ももたび様」の正体ですね!
あ、嘘ですごめんなさい

わたしはお喋りは好きですが
読み聞かせは上手くないのです
でも、がんばってみますね

お家の屋根裏って見たことありますか?
すごく暗いですよね
だから鼠なんかいついちゃってて…
ある日すごく大きなドタバタしてる音がしてきたんです
これは大物の気配、退治してやるぞーって覗いたら

瞼のない丸い目と
肘から先と、膝から先が無い人によく似た何かが
ネズミを咥えてたんです
吃驚してたら奥の方へ消えていってしまいました

あ、でもそれ一回きりなので
姿を見られたら負けちゃうお化けさんだったのかもしれません!


イディ・ナシュ
キディ(f00998)とお邪魔します

その、普通のお喋りは正直苦手なのですが
読み語ることだけは得手としていますので
本に書き付けてから、蝋燭の灯で朗読しますね

折角ですから百物語に纏わるお話をひとつ

「ももたび様」と呼ばれるその妖は
こうして百語りをする部屋の
暗闇の中に訪れて語り部たちを見ています
そしてこっそり、自分のお話をひとつ紛れ込ませるそうですよ
ももたび様が話を混ぜたと
百話終えるまでに看破したなら
きちんと追い払えますから大丈夫
けれど、気付けなければ――
お話を余らせた方が拐かされてしまうのだとか

さて
今は何話目でしたでしょうか?

皆様に問いかけて、蝋燭を消しましょう
キディは後で屋根裏に拐かそうと思います



 ふぅ――と蝋燭の灯がまた一つ消えて、古いお城の大広間の闇が、また少し濃くなったような気がしました。
 さて、次は誰の番だろう。囁き交わす猟兵さん達の中から、おずおずと身を乗り出したのは、人形のように愛らしい――実際にひとでは無いのですが――ふたりの姉妹です。
「その、普通のお喋りは正直苦手なのですが」
 最初に唇を開いたのは綺麗なお姉さんの方で、名をイディ・ナシュ(廻宵話・f00651)と言いました。器物が魂を宿したヤドリガミである彼女は、読み語ることだけは得手としていますので――とちいさく付け加えてから、オレンジ色の灯りの下で書物になにやら書きつけます。
「……折角ですから、百物語に纏わるお話をひとつ」
 はい、と整った相貌をほんの僅かに緩めた後で、イディの朗読が静かに始まりました。何だか寝る前に、お話を聞かせて貰っているみたい――蒸気人形の義妹であるキディ・ナシュ(未知・f00998)は、薔薇色の瞳を輝かせてその光景に魅入ります。
 ――しかし、お布団の敷かれた広間は荒れ放題で、お姉ちゃんの語るお話は怪談なのです。実際は悪夢を見そうでしたが、それさえも楽しいとキディは思っているようでした。
「……さて、『ももたび様』と呼ばれるその妖は、こうして百語りをする部屋の暗闇の中に訪れて、語り部たちを見ています」
 ももたび様、と繰り返すキディに頷いてから、イディは彼女と良く似た薔薇色の瞳で、じぃっと百物語の参加者を見渡します。
「そしてこっそり、自分のお話をひとつ紛れ込ませるそうですよ」
 ももたび様が話を混ぜたと百話終えるまでに看破したなら、きちんと追い払えるから大丈夫だと、イディは囁きました。けれど、それまでに気付けなければ――風も無いのに、ふわりと乳白色の髪が揺れる中で彼女は続けます。
「……お話を余らせた方が、拐かされてしまうのだとか」
 ――さて、今は何話目でしたでしょうか? イディの静かな問いかけと同時に、ふっと蝋燭が消えて、ぞわぞわした寒気が足元から立ち上ってくるようでした。
「知ってますよ、そのこっそり感。おねえちゃんこそが『ももたび様』の正体ですね!」
 と、其処で響いたのは、きらきらしたキディの声。その直後、何だか彼女の周りの空気が、更に冷えたような気がします。
「あ、嘘ですごめんなさい」
 無言で此方を見つめてくる姉の姿に、反射的に謝りつつも――お喋り好きなキディは、イディの読み聞かせとはまた違った雰囲気で、百物語を語り始めました。
「お家の屋根裏って見たことありますか? すごく暗いですよね。だから鼠なんかいついちゃってて……」
 臨場感溢れるキディの話に、皆はついつい天井を見上げてしまいます。蜘蛛の巣だらけで、所々に妙な染みが広がっている様子は、ああ裏に鼠が居そうだなあと思わせる説得力がありました。
「それである日、すごく大きなドタバタしてる音がしてきたんです。これは大物の気配、退治してやるぞーって覗いたら」
 ――どたん、ばたん。キディの話に合わせるように、本当に屋根裏から音が聞こえてきます。極限まで高まった緊張感の中で、キディは物音の正体をぽつりと口にしました。
「……瞼のない丸い目と、肘から先と、膝から先が無い人によく似た何かが、ネズミを咥えてたんです」
 ――がたっ。一際大きな音が響くと同時、不意に蝋燭の灯が消えてしまいます。
「吃驚してたら奥の方へ消えていってしまいました……。あ、でもそれ一回きりなので、姿を見られたら負けちゃうお化けさんだったのかもしれません!」
 それでもどうにか話を終えたキディでしたが、姿を見られても負けない存在が、すぐ近くに居たのでした。
(「さて、キディは後で屋根裏に拐かしておきましょうか」)
 妖怪『ももたび様』――もといイディの静かな迫力に、屋根裏で身を寄せ合っていた小鳥たちがぷるぷると震えていたことには、誰も気づかなかったのです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四・さゆり
アレンジ大歓迎

【明日知 理(f13813)】と参加よ

お布団の上で、遊ぶの?
今日だけ、

そう、………。
悪くないわね、ババ抜きしましょ

‥‥負けてない。もの

マコ、今回の勝負は百物語でしょ
より、怖いお話しした方が勝ち


ーーーー

それはそれは美しい姫がおりました

皆が我が姫に、と迫りましたが

心に決めた御方がおりますと
男の話を嬉しそうにするのだとか

けれど、誰も姫の話す男をみたことがない

移り気しやすい御方でしたので、
皆さほど、気にはしておりませんでした

ある晩のことです

肌寒い夜、
男は抱きしめてはくれません

代わりに姫が頭を抱えております

なぜって、首より下はないのです

「あら、腐ってきたわ」
「次の御方はどなたにしましょう」


明日知・理
【四 さゆり(f00775)】とババ抜きしつつ。
今引いたやつジョーカーだ。くそ。

…百物語で勝負だと?
いいだろう、受けてたつ。

▼怪談
昔、男女数人が肝試しに夜中12時の校舎に忍び込んだ
それを某サイトで実況していてな、初めはふざけた調子で進行していくんだ
だが帰り道、あることに気づいた

「階段を下りても下りても下の階につかない」

釣りだろとスレ民は相手にしなかったが、徐々に焦りと恐怖が見える肝試しのメンバー
すると階段の上方から警備員らしき声がしたそうだ
それを最後にスレッドは止まったんだが、最後に書き込まれたレスがまた不思議でな

「ようこそ」

――肝試ししていた彼らは、未だに見つかっていないらしい


アドリブ歓迎



「お布団の上で、遊ぶの?」
 古いお城の大広間――お泊り会のように枕を並べた四・さゆり(夜探し・f00775)は、眠たげな瞳をぱちりと瞬きさせて、明日知・理(花影・f13813)に尋ねます。
「今日だけ、そう、………」
 無言で此方を見つめてくる、理の様子に何かを感じ取ったのでしょう。さゆりは「悪くないわね」と呟いて、ずいとトランプの束を突き出しました。
「ババ抜きしましょ」
「……わかった」
 パーカーフードの下の表情は、影が出来ていて良く分かりませんが、いそいそとカードを配る理はこの夜のひと時を楽しんでいるようです。
「今引いたやつジョーカーだ。くそ」
「……負けてない。もの」
 ――そんな訳で暫し、一進一退の攻防を続けるふたりでしたが、今夜の目的を思い出して我に返りました。
「マコ、今回の勝負は百物語でしょ。より、怖いお話しした方が勝ち」
「……百物語で勝負だと? いいだろう、受けてたつ」
 何だか、上手く矛先を逸らしたように見えるさゆりですが、負けず嫌いな理のこと――新たな勝負を持ち掛けられては、黙っていられないのです。
 見れば、百物語の蝋燭は大分少なくなっており、そろそろ本格的な怪談を一発投入しても良さげな頃合いです。じゃんけんの結果、先行はさゆりに決まり――彼女はさっそく、このお城の雰囲気に相応しい、古式ゆかしい昔のお話を語り始めました。
「……むかしむかし、それはそれは美しい姫がおりました」
 ――皆が我が姫に、と迫りましたが。心に決めた御方がおりますと、その姫は男の話を嬉しそうにするのだとか。
「けれど、誰も姫の話す男をみたことがない」
 じりっ――と蝋の溶ける音がして、鬼火のように炎が揺らめきました。薄明りにぼんやり浮かび上がる、さゆりの黄色いレインコートが酷く鮮やかで、彼女の周りにだけしとしとと、霧雨が降りしきっているような気配さえします。
「移り気しやすい御方でしたので、皆さほど、気にはしておりませんでした。……ある晩のことです」
 肌寒い夜、男は抱きしめてはくれません――ああ、きっと今日みたいに冷たい夜――代わりに姫が、頭を抱えております――ああ、丁度近くにある枕ほどの――。
「なぜって、首より下はないのです」
 直後、うっとりと微笑んで生首を抱きしめる、愛らしい姫君の姿が見えたような気がして、大広間にさざ波の如くざわめきが広がりました。
「……あら、腐ってきたわ。さ、次の御方はどなたにしましょう」
 ――そんなぞっとする一言でお話を締めて、さゆりがふっと蝋燭の灯を吹き消します。と、彼女の言葉を挑戦と受け取ったのでしょうか、其処で理が無言で挙手をしました。
「なら、俺が。……昔、男女数人が肝試しに夜中12時の校舎に忍び込んだ時のこと」
 理が語る怪談は、彼の故郷であるUDCアースが舞台のようです。その肝試しの様子を、彼らは某サイトで実況していて――初めは、ふざけた調子で進行していくのだ、と。
「だが帰り道、あることに気づいた――『階段を下りても下りても下の階につかない』」
 それは釣りだろ、とスレ民は相手にしなかった。一方で、徐々に焦りと恐怖が見える肝試しのメンバー。すると階段の上方から、警備員らしき者の声がしたそうだ――。
 真夜中の校舎は、日中の賑やかさが際立っている分、その静けさは不気味なほど恐ろしいものです。容易に状況が想像出来て、如何にも怪談の舞台になりそうな、無機質なアスファルトの建造物――其処に響く足音が、今にも聞こえてきそうでした。
「……それを最後にスレッドは止まったんだが、最後に書き込まれたレスがまた不思議でな」
 今、フードの中からそろりと顔を覗かせたのは、黒い仔猫だったのでしょうか――妖しい光を宿す瞳をすっと細めて、理は最後にこう囁きます。
「『ようこそ』――」
 ――肝試ししていた彼らは、未だに見つかっていないらしい。さらりと不気味な後日談を付け加えて、理の怪談は幕を閉じました。
 ――もふーん。
 何やら、『ようこそ』と返すような、大きなひよこの鳴き声と共に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・デクストルム
(UCで時折急激に気温を下げつつ)
怪談話、ですか。では、僭越ながらひとつ。
これでも私は聖職者の端くれ。日々、己の信仰する神へ祈りを捧げているのですが、あるとき声が返ってきたのです。
私の祈りに対する感謝の言葉でした。
それを聞いた私は持てる手のすべてを使い、声の主を突き止めて『海』へと還しました。
ええ、どうしても許せなかったのです。我が神のふりをした不敬者が。
我が神が言葉を返すわけなどありませんからね。あれは間違いなく、妖怪の仕業でした。

……『なぜ、断言できるのか』ですか?
私が信仰する神は、既に亡くなって久しいからです。
微かな縁を介して、力の一端をお貸し頂く。それが我が神の精一杯、なのですよ。


白雨・七彩
百物語か。
不思議かは分からんが…俺がまだ見習いだった頃の話だ。
舞の稽古場の裏手に川があるんだが
ある晩から髪の長い人影が通って来るようになった。
気になり様子を伺っていたが人影は水面へ顔を近付けて離すを
繰り返すだけで何をする様子も無い。
ある夜、俺はそいつに話しかけてみた。
すると人影は大切なものを川に取り上げられてしまい
それを返して欲しいのだと言う。
俺はつい一緒に探そうと申し出てしまってな。
今思えば見知らぬ輩に何と危険な事をとも思うが…。
だがその申し出以降、そいつはぱたりと現われなくなった。
後日少し下ったあたりから子供のものと思われる骨が見つかった。

いや何、妖怪退治物等大それたもので無くてすまないな



 ――怪談話、ですか。涼やかな声が大広間に響いたと同時に、周囲の気温が急激に下がりました。
「では、僭越ながらひとつ……」
 優雅な物腰で身を乗り出す、儚げな美貌を持つ青年の名はヨハン・デクストルム(神亡き狂信者・f13749)。温度を感じさせぬ青白い肌はまるで、伝説に謳われる吸血鬼のよう――それも、あながち間違いではないのかも知れません。ヨハンは半魔半人のダンピールなのです。
「これでも私は、聖職者の端くれ。日々、己の信仰する神へ祈りを捧げているのですが……あるとき声が返ってきたのです」
 薄闇の中でも瞳を閉じたまま、ヨハンはゆっくりと物語を紡いでいきました。時折、急に――まるで吹雪が通り抜けていったように、辺りの気温が下がるのが恐ろしいのですが、これはヨハンの力によるものです。
 ――神威覿面、と名付けられたその能力は、属性に応じた自然現象を起こす大掛かりなもの。それを怪談の演出に使うと言うのですから、彼の気合の入り具合が窺えます。
「……私の祈りに対する感謝の言葉でした。それを聞いた私は持てる手のすべてを使い、声の主を突き止めて『海』へと還しました」
 何だか話の雲行きが恐ろしくなってきました。感謝を述べた神様を、ヨハンはその、地の果てまで追いかけて――骸の海へ重しをつけて沈めたと、そう解釈すべきなのでしょうか。
「ええ、どうしても許せなかったのです。……我が神のふりをした不敬者が。我が神が言葉を返すわけなどありませんからね」
 あれは間違いなく、妖怪の仕業でした――そう言ってヨハンは静かに微笑むのです。信心深そうな雰囲気を漂わせているだけに、その笑みには妖しく狂気めいたものを感じてしまいました。
「……『なぜ、断言できるのか』ですか? 私が信仰する神は、既に亡くなって久しいからです」
 ――微かな縁を介して、力の一端をお貸し頂く。ヨハンがそう言ったと同時に、また周囲の気温が下がりました。
「それが我が神の精一杯、なのです、よ……ゲホッゴホッグハッ」
 ついでに、ヨハンがごふごふと咳き込みました。どうやら長く話し過ぎてむせてしまったようです。体があまり丈夫でないのに加え、部屋を冷やし過ぎて風邪を引きかけてしまったのでしょうか。
 ――ともあれ、彼の話は教訓を与えてくれました。即ち、お化けよりも人間(ダンピール)の方が怖い、と。
「……成程、百物語と言っても色々あるのだな」
 と、其処で感慨深げに頷いたのは、金の髪と煌めく琥珀の瞳を持つ妖狐の童でした。白雨・七彩(水狐・f06113)と名乗る彼は、その歳に見合わぬ達観した様子で、能面のような相貌をふぅむと傾げ――昔のことを思い出しているようです。
「不思議かは分からんが……俺がまだ見習いだった頃の話だ」
 とは言え、見た目と実年齢が釣り合わぬ彼のこと――ずっとずっと昔の出来事なのかも知れません。ともあれ当時、七彩の舞の稽古場の裏手には川があり、ある晩から髪の長い人影が通って来るようになったと言うのです。
「俺は気になり、様子を伺っていたが……人影は水面へ顔を近付けて離すを繰り返すだけで、何をする様子も無い」
 ――そして或る夜、七彩は人影に話しかけてみました。すると相手は、大切なものを川に取り上げられてしまい、それを返して欲しいと言うのだそうです。
「俺はつい、一緒に探そうと申し出てしまってな……今思えば見知らぬ輩に何と危険な事をとも思うが……だがその申し出以降、そいつはぱたりと現われなくなった」
 それだけならば、不思議な一件だったで済ませられたのですが――七彩が次に口にした真相は、再び広間の空気を凍り付かせたのでした。
「後日、少し下ったあたりから、子供のものと思われる骨が見つかった……いや何、妖怪退治物等大それたもので無くてすまないな」
 ――いえ、すかっとした妖怪退治より、大それてますからと誰もが思いましたが、真面目に話をしてくれた七彩に水を差すのも野暮と言うものです。
 そのう、死者が自分の死体を見つけて欲しいと姿を現すのは、かなりぞくりとする体験の筈なのですが――当事者である七彩は、然程気にしていない様子なのが豪胆と言うか恐ろしいと言うか。
 その時――ちちち、ぴぴぴと鳴き声が聞こえ、七彩の手のひらにぽてっとまんまるい文鳥さんが落ちてきました。彼と目が合うと、文鳥さんは慌てふためきすぅっと姿を消してしまったのですが――七彩は平然とした様子で、しげしげと手のひらを見つめてこう言ったのです。
「まあ、長く生きていれば……こう言う出来事もあるだろう」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三岐・未夜
【怪談団地】
……あー……アレなんかもうリアルホラーだよね……。

・団地の怪
僕達が暮らす団地には、まあお約束に憩いの場、中庭があるんだけど。
池があってね、一匹の鯉が住んでるんだ。
僕達のアイドルで、毎日みんなが餌をやりに行ってた。

でも、ある日の夜。
急に、今まで聞いたこともない男の怒鳴り声が響き始めたんだ。鯉しかいないはずの中庭で、夜な夜な。
住民の誰かが、人影を見たと言った。誰かは、引き裂くような音がしたと。誰かは、叩き付けるような音がしたと。

……でもね、昼間中庭を見に行っても、普段通りの池があるだけだった。

そんな日が少し続いて、ある日。
僕達は、いつものように中庭に向かったんだ。
……そこで見たのは、


花邨・八千代
【怪談団地】
うちはアレで良いんじゃね、中庭の鯉。
ぶっちゃけうちの団地で一番の怪談案件だよなァ。

◆団地の怪(WIZ)
風に揺れてア゛ーア゛ー鳴いてたのは夜色のびっくりチキンだった…、いや俺も何言ってるかわかんねーけどびっくりチキンだったんだよ。
あの握り締めるとア”-ッて鳴くやつ、アレの150cmバージョン。
それが木にブラ下げられててな、団地の連中が鯉を偲んでフライドチキンやら麦チョコやらを押し込んでたよ…。

まぁ翌日には元気に池泳いでたんだけどな鯉!あいつブラックタールだから!弱いけどコレがオチだ。
あぁでも、未だに夜になると池からは笑い声みたいなのが響いてくんだよ。
びっくりチキン、笑わねーんだけど。



 さてさて――夜も深まり、残す百物語も後わずか。
 灯の消えた蝋燭はまるで、ひとの寿命がふつりと途絶えてしまったかのようにも見えて、三岐・未夜(かさぶた・f00134)はそっと、おもちちゃん(おんなのこ)のキーホルダーを握りしめて心を落ちつけます。
「……うちはアレで良いんじゃね、中庭の鯉。ぶっちゃけうちの団地で、一番の怪談案件だよなァ」
 そんな未夜へ向けて、気さく――と言うかかなり砕けた口調で同意を求めてきたのは、花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)。
「……あー……アレなんかもうリアルホラーだよね……」
 思い当たる節があったのでしょう、未夜も達観した様子で遠くを見つめました。このふたりは、同じ団地に暮らすご近所さんなのですが――どうやらこの団地、ちょっとした怪奇スポットがあるようです。
 なお、百物語とは全く関係ありませんが、団地のご近所では豚肉が特売になっているようですので、お肉好きの猟兵さんは実際に足を運んでみるのも良いかも知れません。
 ――閑話休題。
「その……僕達が暮らす団地には、まあお約束に憩いの場、中庭があるんだけど。……池があってね、一匹の鯉が住んでるんだ」
 未夜が語り出す『団地の怪』は、ごくありふれた光景から始まりました。その一匹の鯉は、団地の住人たちのアイドルで、毎日みんなが餌をやりに行っていたのだそうです。
「でも、ある日の夜……急に、今まで聞いたこともない男の怒鳴り声が響き始めたんだ」
 ――鯉しかいないはずの中庭で、夜な夜な。ほのぼのとした日常が一転、非日常がするりと滑り込んできます。
「……住民の誰かが、人影を見たと言った。誰かは、引き裂くような音がしたと。……誰かは、叩き付けるような音がしたと」
 未夜の淡々とした語り口調がより恐怖を煽り、憩いの場である団地の池が、惨劇の彩を帯びてきました。
「……でもね、昼間中庭を見に行っても、普段通りの池があるだけだった」
 どうやらその異変は、夜にだけ起きているようです。光と闇の間に隠された恐るべき真実を知るべく、未夜の物語は加速していきました。
「そんな日が少し続いて、ある日。僕達は、いつものように中庭に向かったんだ。……そこで見たのは、」
 ――と、これからと言う所で語り部が交代し、今度は八千代が凄みのある声を響かせます。ふぅ、と煙管から紫煙を吐き出しつつ、羅刹の乙女の瞳が柘榴のように妖しく輝きました。
「風に揺れてア゛ーア゛ー鳴いてたのは、夜色のびっくりチキンだった……、いや俺も何言ってるかわかんねーけどびっくりチキンだったんだよ」
 ご存知のない方に説明致しますと、これは黄色いニワトリのような形をした、アメリカンなノリのパーティーグッズです。握り締めるとア゛ーっとシュールな鳴き声を響かせ、海外のナウなヤングにバカ受けだと言います。HAHAHA!
「150cmほどあるそれが、木にブラ下げられててな……団地の連中が鯉を偲んで、フライドチキンやら麦チョコやらを押し込んでたよ……」
 ――益々状況が混沌としてきました。或る日突然、団地のひとびとが狂気に駆られ、鶏に見立ててサバトでも行っていたのでしょうか。もしくは、フォアグラの如く餌を詰め込んで、美味しいチキンを作ろうとしていたのでしょうか。
「まぁ翌日には元気に池泳いでたんだけどな鯉! あいつブラックタールだから! 弱いけどコレがオチだ」
 HAHAHA! と陽気な笑い声を響かせて、八千代の物語が終わりました。怪談なのか小噺なのか判断が付きかねますが、深く突っ込んだらヤンキーっぽい彼女にボコられそうなので黙っておくことにします。
「……あぁでも、未だに夜になると、池からは笑い声みたいなのが響いてくんだよ」
 ――びっくりチキン、笑わねーんだけど。ぞくっとするオチをつけて、今度こそ『団地の怪』の物語は終わりました。
 ア~……風に乗って何処からか、チキンと言うかひよこの、精一杯甲高く鳴いているような声が、そこはかとない物悲しさを感じさせつつ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東雲・咲夜
こわいお話…!(きらきら)
なんや楽しそう

うちのお話はね
…とある御山で迷子になった幼子がおりました
かいらしい猫さんを追いかけてましたら、知らず知らず奥地まで入ってしまい
暗くなっても帰り道がわからず泣いておりました

そうしましたら、えらい別嬪さんな…白銀の長髪に真白いふさふさ尾が九本、狩衣のお兄さんが現れはって
少女の手を引いてくんです
不思議に思うとると、あっという間に見慣れた道に出ましてね
…また『此方側』に迷い込んだらこれを鳴らしなさい
と、小さな鈴をくれはりました
振り返った瞬間、もうそこには誰もいぃひんかったそうです

もしや常世の世界に迷いこんだのやもしれまへんな
(帯に揺れる根付がちりん、と鳴る)


三嶋・友
もふもふっていいよね
正直な所、怖い話はそんなに得意な訳じゃないんだけど…
後に待つもふもふの為なら!(ぐ

むかーし昔、ぐうたら太郎がおりました
ぐうたら太郎は働くのが大嫌いでしたが、生きる為に嫌々山仕事だけはしておりました
そんなある日、山に見慣れぬ木の実が
木の実はみるみる大きくなって、何とぐうたら太郎そっくりに成長しました
ぐうたら太郎は木の実に、自分の代わりに働いてくれるよう頼みます
木の実は真面目に働き…やがて、村の誰もが木の実をぐうたら太郎だと思うようになったのです
俺が本物だ!とぐうたら太郎が怒ると、木の実はにたーり笑って
「皆はお前の方が木の実というさ。何なら試しにその頭、ここで割ってみるかい?」



「もふもふっていいよね……」
 百物語に参加する三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)は、クールな佇まいの中でぽろっと本音を覗かせ、慌ててスマートフォンを握りしめました。普段からネットやゲームに興じている彼女ですから、真夜中を過ぎてもまだまだ、余裕の活動時間帯――にゃんこのストラップを揺らしながら、どんな話をしようかと思案に耽ります。
「正直な所、怖い話はそんなに得意な訳じゃないんだけど……後に待つもふもふの為なら!」
 ぐ、と拳を握る友の様子に、きらきらと藍色の瞳を輝かせる東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)も、わくわくしながら身を乗り出しました。
「こわいお話……! なんや楽しそう」
 桜銀の柔らかな髪が、橙色の灯りにふんわりと照らされ――はんなりと微笑む咲夜は、このお座敷に宿る守り神のようです。そんな、お布団の上でパンダの抱き枕を抱きしめる彼女の期待を受けつつ、友の怪談がしめやかに幕を開けました。
「むかーし昔、ぐうたら太郎がおりました。ぐうたら太郎は働くのが大嫌いでしたが、生きる為に嫌々山仕事だけはしておりました」
 長閑な民話風の導入部ですが、其処まで語った友が『ごふっ』と妙な咳をします。ぐうたら太郎の面倒くさがりな部分に、自分を重ねて自爆してしまったのでしょうか――でも、出来れば楽をしたいと思うのが人間です。ぐうたら太郎のお話も、そんな望みが悲劇を呼んでしまうのでした。
「……そんなある日、山に見慣れぬ木の実が。木の実はみるみる大きくなって、何とぐうたら太郎そっくりに成長しました」
 そっくりな自分がもうひとり居るとなれば、考えることはひとつ――ぐうたら太郎は木の実に、自分の代わりに働いてくれるよう頼んだのです。
 そうして木の実は真面目に働き――やがて、村の誰もが、木の実をぐうたら太郎だと思うようになったのでした。
「其処で、俺が本物だ! とぐうたら太郎が怒ると、木の実はにたーりと笑って、こう言いました」
 ――友の顔が蝋燭の怪しい輝きに照らされる中で、彼女もにたーりと笑って恐怖の結末を語ります。
「……皆はお前の方が木の実というさ。何なら試しにその頭、ここで割ってみるかい?」
 ぎゃあああ、とぱっくり頭を割られる映像が思わず脳裏をよぎって、咲夜の瞳がうるっとなりました。ああ、儚げな美少女が涙ぐむ姿も愛らしい――と友が思ったかどうかは定かではありませんが、ぐうたら太郎に同情的な彼女はこうも思うのです。
(「自分で考えておいて何だけど……ぐうたらな人間が急に真面目になったら、周りの人たちは怪しむよね絶対!」)
 ――それでも結局は、真面目な人間の方が受け入れられるのだ、と言う苦い教訓にすることにして。今度は咲夜が、不思議な物語を語り始めます。
「うちのお話はね……とある御山で、迷子になった幼子がおりました。かいらしい猫さんを追いかけてましたら、知らず知らず奥地まで入ってしまい……暗くなっても、帰り道がわからず泣いておりました」
 にゃんこ、と聞いてきらりと目を光らせる友は、すっかり物語の世界に没入した様子でした。もしかしたら彼女も、猫を追いかけて迷子になったことがあったのかも知れません。
「そうしましたら、えらい別嬪さんな……白銀の長髪に真白いふさふさ尾が九本、狩衣のお兄さんが現れはって少女の手を引いてくんです」
 ――ふさふさ、と再び友の目が光りました。何だか話をする度に凄いリアクションが返って来るので、もしや何処かにお化けが出たのかと、純粋な咲夜は気が気でありません。
「で、ええと……不思議に思うとると、あっという間に見慣れた道に出ましてね」
 ――また『此方側』に迷い込んだらこれを鳴らしなさいと、小さな鈴をくれはりました。此方側、と言う咲夜の意味深な言葉に、広間の空気がすっと冷えたような気配がします。
「振り返った瞬間、もうそこには誰もいぃひんかったそうです」
 もしや、常世の世界に迷いこんだのやもしれまへんな――そんな咲夜の囁きと同時、彼女の帯に揺れる根付がちりん、と澄んだ音を鳴らしました。
「え、え……?」
 直後――ふっ、と全ての蝋燭の灯が消えて、辺りは不気味な闇に包まれます。遠くから、何やら得体の知れない気配が忍び寄ってくるかのようで、誰かが急いで臨時の照明を点けました。
 ――と、其処には。
「ぴぴぴ、ぴぴ……」「ぽぽぽ、ぽぽ!」「きゅー……」
 おしくらまんじゅうをしつつ、もみ合いになりながら天井からぽとぽと落ちてくる――ふわふわまんまるの文鳥さん達の姿があったのです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ぶんちょうさま』

POW   :    文鳥三種目白押し
【白文鳥】【桜文鳥】【シナモン文鳥】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    文鳥の海
【沢山の文鳥】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    魅惑の視線
【つぶらな瞳】を向けた対象に、【嘴】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――ぴいぴい。きゅー、ぽぽぽ。もふーん。
 思い思いの鳴き声を響かせながら、百物語に誘われたあやかし――ぶんちょうさまの団体が広間にご到着です。
 白文鳥に桜文鳥、シナモン文鳥――などなど、どれももふもふしている、可愛らしいぶんちょうさまですが。今まで天井裏辺りで、百物語に耳を澄ませていたのでしょうか。
 ――ぴぴ、ぴぴぴぴ!
 ぶんちょうさまは瞳を潤ませながら、ぷるぷる震えて怯えています。もしやこれは、先制攻撃のチャンス――と言いたい所なのですが、ちょっと待ってみましょう。
 捨てられた過去で彼らは、ひとに酷い仕打ちをされて心に傷を負っているのやも知れません。あと、今まで百物語を聞かされ続けた所為で、かなり怖がってもいる様子です。
 恨みを晴らす為に化けて出てくる怪談も、枚挙にいとまがありませんが――溢れる愛でもふってあげれば、満足した彼らは「ふおおおお」と昇天していきそうです。いや、確実に昇天します。
 最後に『ぽふ』と一発チョップすれば、戦いは何とかなりそうですので、とにかく数が沢山いるぶんちょうさまを、もふもふしまくって無双していくことになるでしょう。

 ――もふもふ百物語、第二幕の開演です!
白雨・七彩
実に聞き応えのある怪談話の数々だった。
この一件が片付いたら、茶菓子を用意してもう一度聞きたいくらいだな。

さて、先程は気配がしたり、ちらりと目が会う程度だったが…。
これはまた愛らしい物の怪もいたものだ。
折角なら手の平に落ちてきたぶんちょうさまを探してみようか。
とはいえ、数が数の様だから探すのは一苦労かも知れないが、
一瞬だけとはいえ触れ合ったのも何かの縁だ。

ぶんちょうさまに怖がられていない様であれば
手を差し出して掬い上げ、撫でてもいいか伺いを立ててから
頭や頬を撫でてみようか。


桜雨・カイ
怖い思いをさせてしまいましたね、もう百物語は終わりましたよ。

(昔、主が夜泣きながら起きてきた息子を同じように寝かせていたのを思い出しつつ)布団の中にぶんちょうさま達を迎え入れ、一緒に横になります。
主の真似をしつつ、目線をあわせ笑いかけながら布団の中でなでてやります。柔らかくて可愛らしくて、なんだか本当に笑いたい気持ちになってきました。
主のようにできるか分かりませんが、ぶんちょうさま達が眠ってしまうまでずっと。

最後にチョップ代わりに軽くポンポンとたたきます。どうか、痛くないように。


雨識・ライラ
文鳥さん、よっぽどこわーい思いをしたんだねぇ

よし!みんなおいで!
花太もいっしょに、文鳥さんをもふもふして慰めてあげよう!
よーしよしよし、いい子だね、がんばったね
どこが気持ちいいのかな?
お腹?頭も気をつけてもふもふしてあげるね
順番待ちしてね
ちゃんとみんなもふもふしてあげるから!

花太もがんばれ!ってうわぁぁ!文鳥さんに埋もれてる!
花太ーー!
(もふもふの中にダイブ)
あれ、これ気持ちいいかも
手を伸ばせばもふもふ。
文鳥さんのにおい。
天国かな?

えい!
ぽふ

アドリブ、共闘歓迎



 ――実に聞き応えのある怪談話の数々だった、と白雨・七彩(水狐・f06113)は、百物語の終了した広間を見渡し、万感の思いで呟きます。
「この一件が片付いたら、茶菓子を用意してもう一度聞きたいくらいだな……さて」
 きらきら輝く金糸の髪を揺らしながら、琥珀の瞳が見つめる先――其処には、身を寄せ合って震えている、愛らしいぶんちょうさまの団体が居たのでした。
「先程は気配がしたり、ちらりと目が会う程度だったが……これはまた愛らしい物の怪もいたものだ」
 ――そう言えば、七彩が百物語を語り終えた際、彼の手の平に落っこちてきた子が居ましたね。あの文鳥は何処かに居るだろうか、と視線を巡らせてみますが、数も数です。
(「しかし、一瞬だけとはいえ、触れ合ったのも何かの縁だろう」)
 彼を探すのも一苦労かと思われましたが、或る一羽のぶんちょうさまと目が合った時、そのつぶらな瞳が大きく見開かれ――まるで金縛りにかかったみたいに、七彩を見つめたまま、滝のように汗を流し始めたではありませんか。
(「あ」)
 きっとあの子が、落っこちてきた子に違いありません。しかし基本的に、ぶんちょうさまは臆病な性格で、大勢のひとを前にしてかなり怖がっているようです。
「文鳥さん、よっぽどこわーい思いをしたんだねぇ」
 怖い話も勿論ですが、ひとと触れ合うこと自体に慣れていないのかも、と雨識・ライラ(レインメランコリー・f12440)は推測してみました。ライラ自身、複雑な環境に育ち、学校でも色々ありましたが――泣きたくなっても顔を上げれば何とかなる、と言い聞かせて生きてきた前向きな一面があるのです。
「って、あ! 落ちる、落ちるよー!」
 ――そんな感じで顔を上げてみたライラの視界には、未だ天井に必死でしがみついている、ぶんちょうさまのご一行が。何だか団子のかたまりが天井からぶら下がっているみたいで、妙にシュールな光景ではありましたが――重力に負けてぽとぽと落ちてくる彼らを、優しく受け止めてくれたのは、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)でした。
「……怖い思いをさせてしまいましたね、もう百物語は終わりましたよ」
 人形のように繊細な指先が、震えるぶんちょうさまの羽毛を優しく撫でると「ぴぴぴ」と、彼らの間からうっとりするような鳴き声が聞こえてきます。
(「昔を……思い出しますね。あの時は、夜に泣きながら起きてきた子が居て――」)
 そんな小鳥たちの様子は、カイの記憶を揺り動かし――彼が未だ魂を持たぬ人形であった頃、彼の主が涙を零す息子を、優しく寝かしつけていた光景を蘇らせたのでした。
「……あんな感じで、私も接してみましょうか。さあ、布団の中にどうぞ」
 ぶんちょうさま一行をぞろぞろと招き入れ、一緒に布団に横になるカイ。そのまま彼は主の真似をしつつ、目線をあわせ笑いかけながら、布団の中でぶんちょうさまを撫でてあげるのです。
(「あ、可愛らしくて柔らかい……これが、もふもふと言うものでしょうか」)
 あったかい布団に包まれて、いつしか楽しそうな囀りが辺りに響いていきました。その雰囲気に背中を押されるように、ライラもすみっこで震えているぶんちょうさまへ手招きをします。
「よし! みんなおいで! よーしよしよし、いい子だね、がんばったね」
 カワウソ型のガジェット――花太と協力しつつ、ライラは文鳥さんをもふもふして、慰めてあげようと奔走していきました。
「どこが気持ちいいのかな? お腹? 頭も気をつけてもふもふしてあげるね」
 ――ぴぴ、ちちち、ぽぽぽ! ぶんちょうさまのもふもふポイントも其々のようです。とっても心地良さそうに、愛情たっぷりにもふもふされている様子を見てか――いつしかライラの前には、ぶんちょうさま達が行列を作って順番待ちをしています。
「ちゃんとみんなもふもふしてあげるから! 花太もがんばれ! ってうわぁぁ! 花太ー!」
 しかし、その勢いが余りにありすぎたのでしょう。気づけば花太が、文鳥さんの中に埋もれてしまっていました。相棒を助けようと、咄嗟にもふもふ文鳥の海にダイブしたライラでしたが――。
(「あれ、これ気持ちいいかも」)
 手を伸ばせばもふもふと、ふんわり陽だまりのような文鳥さんのにおい――天国かな? なんてライラは思ってしまいます。
「……成程、勇気を出してこちらから行くべきか」
 そんな彼女の姿を参考に、七彩もそっと固まっていたぶんちょうさまに手を差し出して。撫でても良いかと伺いを立てるように見つめれば、やがて彼はてぽてぽと近づいて、七彩の手の平にそっと収まったのでした。
「ふむ、もふもふ……ちょっともっちりしたような感触もある」
 興味深そうに自分を撫で撫でする、七彩の穏やかな様子に安堵したのでしょうか――怯えていた文鳥も、溢れる愛に包まれもふもふ、ふわふわ幸せそうな表情になり、嬉しそうな囀りを響かせます。
(「なんだか本当に、こっちも笑いたい気持ちになってきました」)
 ――そして、ころころ文鳥たちとお布団で微睡むカイも、愛おしい気持ちで一杯になって思うのでした。主のように出来るか分からないけれど、ぶんちょうさま達が眠ってしまうまで、ずっとこうしていようと。
(「……と、忘れてはいけませんね。どうか、痛くないように」)
 やがてすやすやと寝息が聞こえて来たところで、カイはチョップ代わりに、軽く彼らの頭をポンポンと叩きます。
「えい!」
 ぽふっ、と音を立てて、ライラと七彩もぶんちょうさまを骸の海へと返していきました。――おやすみなさい、どうかいい夢を、と祈りながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三嶋・友
やっと来たね!!もふもふターイム!!(ぐ)
って、う!?(瞳を潤ませ震える様子に胸を射抜かれ)

ううう、怖がらせてごめんね!
私も怖い話はそんなに得意じゃないからその気持ちはよくわかるよ!
白文鳥に桜文鳥にシナモン文鳥?
他にもまだまだ…みんな可愛すぎない!?
だーいじょうぶ、おいでおいで!
みんなまとめてもふってあげるよ!

炎の魔力をかすかーに纏って防寒(御)力を強化
何といっても冬のお城だしね
寒くない?抱っこしてあっためてあげる!(両手を広げて)

抱っこしながら、もふもふなでなで!
目を見て優しく話しかけよう
…そっか
色々怖い思いをしてきたんだね
でも大丈夫
もう貴方たちをいじめる人はいないから
安心して、空へ帰ってね


オルハ・オランシュ
わ、こんなにたくさん……!
見た目も可愛いし鳴き声まで可愛いなんて反則だと思うんだよね!
一羽連れ帰っちゃ駄目?
駄目だよね……残念

攻撃なのかもしれないけど、たくさんの文鳥を放たれても逃げないよ
今回ばかりは【見切り】なんて封印して受け止めるね!

私、鳥って大好きなの
自分にも鳥の羽が生えていて親近感があるからかなぁ
文鳥じゃなくてオオハシだけど

害をなすつもりはないから怖がらないで?
もう本能のままに撫で回したり毛繕いしたり全力で愛でちゃう!
幸せそうな顔をしてもらえたら私まで昇天しそう……

はっ
いけない、本来の目的を忘れかけてた
名残惜しいけど、優しくチョップしてお別れ
幸せな時間をありがとうね


東雲・咲夜
もしかして、怯えてはるの?
嗚呼…そないにつぶらな瞳を潤ませて
えらい怖かったんやね、堪忍なぁ
ね、こちらにおいでやす
一緒に居れば恐怖も和らぎますよ

よしよし…だいじょうぶですよー
ふふ、お膝の上が気に入らはったん?
まあるくて雪みたいに真っ白
それにおもったよりつやつやしてはるの

せや、文鳥さんは嘴が桜色の子もいはるんやっけ…
…はっ!あなたやね?
うちも髪にちぃとばかし桜色が入っとるの。お仲間さんやねぇ
撫でさせてもろてもええかしら

なーでなで、なーでなで
こわくない、こわくない…♪

…あや、寝てしもた?
なんてかいらしい、癒しの光景
一羽と言わんと皆お持ち帰りしたい…
せやけど、それはあきまへんな

おやすみなさい…(ぽふ)



 押し寄せる、もふもふ第一陣のおもてなしは終了しましたが、まだまだぶんちょうさまの団体はぞろぞろとやって来ます。しかし、脅威に立ち向かってこその猟兵なのです――三嶋・友(孤蝶ノ騎士・f00546)は、勇ましく拳を突き上げて鬨の声を響かせるのでした。
「やっと来たね!! もふもふターイム!! って、う!?」
 ――しかし其処で、彼女に異変が。瞳を潤ませ、ぷるぷる震えている一羽と目が合い、友はきゅうんと胸を射抜かれてしまいます。
「ううう、怖がらせてごめんね! 私も怖い話はそんなに得意じゃないから、その気持ちはよくわかるよ!」
「……もしかして、怯えてはるの? 嗚呼……そないにつぶらな瞳を潤ませて」
 と、急に懺悔を始めた友の様子に、東雲・咲夜(桜歌の巫女・f00865)もひょっこり顔を覗かせ、ぶんちょうさまとご対面。身を寄せ合っておしくらまんじゅうをしている姿に、ふんわり心があたたかくなります。
「えらい怖かったんやね、堪忍なぁ。……ね、こちらにおいでやす」
 一緒に居れば恐怖も和らぎますよ、と手招きをして、咲夜はパンダの抱き枕さんと一緒にお布団の上に膝を付きました。何だか愛おしさがこみ上げてきて、彼らを守ってあげたいと思ってしまう――ああ、この気持ちは弟や妹のお世話をしている時と、似たようなものでしょうか。
「わ、こんなにたくさん……! 見た目も可愛いし、鳴き声まで可愛いなんて反則だと思うんだよね!」
 そうして、お布団に誘われるぶんちょうさまの群れを見つめるオルハ・オランシュ(アトリア・f00497)も、獣耳をぴこっと揺らして花咲くような笑顔を浮かべます。
「一羽連れ帰っちゃ駄目? 駄目だよね……残念」
 そろりと彼女の手の平に登ってきた、一羽のぶんちょうさまに尋ねますが、言葉の意味が良く分かっていないのか「ぴぴぴ?」と小首を傾げる姿もまた、とても可愛らしいのでした。
(「こ、これも攻撃……? でも、逃げないよ!」)
 そう――例え、溢れんばかりの文鳥の海に溺れ、至福のひと時を味わおうとも。得意の見切りやカウンターを封印して受け止めようと、オルハは誓うのです。
「白文鳥に桜文鳥にシナモン文鳥? 他にもまだまだ……みんな可愛すぎない!?」
 一方の友は、文鳥三種目白押しの愛らしさに、すっかりめろめろになっていました。見た目に反し、攻撃力を減らし術まで封じると言う、厄介な一面を持つ文鳥アタックですが――もふもふ愛に溢れた友は、その力を跳ね除け、放たれた文鳥さんを纏めて抱きしめます。
「だーいじょうぶ、おいでおいで! みんなまとめてもふってあげるよ!」
 ――そう、己の身に纏う炎の魔力も、防寒(御)力を強化せんが為。何といっても冬のお城、夜更けともなると寒さも堪えるのでした。
「寒くない? 抱っこしてあっためてあげる!」
「ちちち、ちち……!」
 ふわぁっと柔らかな羽毛が友の腕をくすぐり、お団子のようにひと固まりになったぶんちょうさまが、嬉しそうに囀ります。
「よしよし…だいじょうぶですよー。ふふ、お膝の上が気に入らはったん?」
 おや、咲夜の元へ集まったぶんちょうさまは、膝の上でまるくなってうっとりしているようですね。パンダの背中に乗っかっている子も居て、まあるくて雪みたいに真っ白な姿は、つき立てのお餅のようでもあります。
「思ったより、つやつやしてはるの……せや、文鳥さんは、嘴が桜色の子もいはるんやっけ……?」
 周囲に溢れる文鳥の群れに、咲夜がきょろきょろと視線を向ければ――やがて、つぶらな瞳と目が合い、咲夜の相貌にぱぁっと桜花が咲きました。
「……はっ! あなたやね? うちも髪にちぃとばかし桜色が入っとるの。お仲間さんやねぇ」
 ――さらさらと春の雨のように流れていく、彼女の髪は桜銀色。撫でさせてもろても、と尋ねる声にもふもふの体を近づけてくるぶんちょうさまへ、優しい手と共にあたたかな子守歌が降り注いでいきます。
「なーでなで、なーでなで……こわくない、こわくない……♪」
「ほら、害をなすつもりはないから怖がらないで?」
 やがてぶんちょうさまの間から、怯えのいろは消えて――本能のままに撫で回したり、毛繕いしたりと全力で愛でるオルハにも、うっとりとされるがままになっていきました。
「ああ、幸せそうな顔をしてもらえたら、私まで昇天しそう……」
 鳥好きな彼女は、オオハシの羽を背に持つキマイラであり――故に親近感があるからかなあ、なんて考えてもみましたが。優しいもふもふに包まれていると、理由など些細なことのように思えてしまいます。
「……そっか、色々怖い思いをしてきたんだね。でも大丈夫」
 ぶんちょうさまの目を見て、優しく話しかけているのは友。幸せなひと時にも、終わりが訪れるのだと切なげに微笑みながらも、彼女は『現在』に彷徨い出た彼らをあるべき場所へ帰すと誓ったのでした。
「もう貴方たちをいじめる人はいないから……安心して、空へ帰ってね」
 ぽふん、と可愛らしい音を立てて、ぶんちょうさまが昇天していく中――本来の目的を思い出したオルハも、名残惜しさを感じつつチョップで見送ります。
「幸せな時間をありがとうね……!」
「……あや、寝てしもた?」
 ――そして、咲夜もまた。膝の上でまんまるくなった彼らを慈しむように見つめて、その癒しの光景に魅入りますが――一羽と言わんと、皆お持ち帰りしたいとも思いましたが――それはあきまへん、と毅然とした戦巫女の貌で、ぶんちょうさまにさよならを言うのでした。
「おやすみなさい……。もう、迷子になったらあかんよ?」
 ――ぽふ。そして彼らの魂を導くように、ちりんと根付が澄んだ音を立てたのです。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三岐・未夜
【八千代と】

わー、もふい……。
見渡す限りもふもふ。

最初は1匹もふってみてたけど、八千代が何だかぶんちょうさまに夢中なのは面白くない。
だって、絶対僕の尻尾の方がもふもふだし……ボリュームあるし……だって、ぶんちょうさまちっちゃいし。
ちょこっと燃える謎の対抗心。

その尻尾は現在ぶんちょうさまが定員一杯に詰まっている。怖がって布団に潜り込むみたいなアレだろうか。
気が付いたら一杯いた。

ポン菓子僕も食べるけど……八千代、僕まで食べないでね……?
なんか危機感をほんのり覚えた。肉食獣を前にした草食動物の気分。や、狐雑食だけど。

最後はぽかんと。
……しょうがないなー。
なんて、嬉しそうにいそいそと尻尾を差し出した。


花邨・八千代
【未夜と】 うぉー!すげー!もっふもふだぞ、もっふもふ!
布団と枕に詰めてーなコレ!なぁみや!
うん?みや、みーやー?どうしたオイ、ぶんちょう嫌いかぶんちょう。
まぁまぁ拗ねんなよ、もふもふは平等にもふるべきだぜ。
ほらお前ももふれもふれ、ふっかふかだぞこいつらー。

そういや俺ポン菓子持ってきてたんだった、食うか?
ぶんちょうさま、ふわふわだけど肉付き悪いからなァ。
いっぱい喰えよー、肥えろよー。
……え、いやいや別にヤキトリのこととか考えてねーし別に。

最後はぺしぺしチョップして終了だ。しかし何だか物足りない…。
みやーみやー、尻尾貸してー。
はー、やっぱ触り慣れたもふもふが一番だなァ。



「うぉー! すげー! もっふもふだぞ、もっふもふ!」
 あちらこちらで可愛らしい囀りを響かせる、ぶんちょうさま――その姿を目にした花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は、八重歯をにっと光らせて無邪気な笑みを向けました。
「布団と枕に詰めてーなコレ! なぁみや!」
 ――とは言え、元が強面な羅刹の乙女です。もしや丸呑みされるのでは、とひやひやしている文鳥たちでしたが、八千代が同意を求めた三岐・未夜(かさぶた・f00134)はと言えば、ちょっぴりアンニュイなご様子でした。
「わー、もふい……。見渡す限りもふもふだね」
「うん? みや、みーやー? どうしたオイ、ぶんちょう嫌いかぶんちょう」
 近くにやって来た一羽をもふった後、未夜はぼんやりと――そのまま、うとうとと眠ってしまいそうです。と言うのも、八千代がぶんちょうさまに夢中なのが、彼にはどうにも面白くないのでした。
(「だって、絶対僕の尻尾の方がもふもふだし……ボリュームあるし……」)
「まぁまぁ拗ねんなよ、もふもふは平等にもふるべきだぜ」
 ふさふさした狐の尾を揺らし、ぶんちょうさまに謎の対抗心を燃やす未夜。八千代が取られたように感じて拗ねてしまうのは、見た目よりも幼い彼の心故のことでしょうか。
(「……だって、ぶんちょうさまちっちゃいし」)
「ほらお前も、もふれもふれ。ふっかふかだぞこいつらー」
 そんな複雑な男心も露知らず、ぶんちょうさまをぽーんとパスしてくる八千代に、未夜は溜息をひとつ零して。ふと視線を自分の尻尾に落とせば、其処にはぶんちょうさまが、定員一杯にぎゅうぎゅう詰まっていたのでした。
「……怖がって布団に潜り込むみたいな、アレだろうか」
 気が付いたら一杯いた――と言う状態に思わず瞬きをして魅入ってしまう未夜ですが、その様子に八千代は呵々とした笑いを響かせて、尻尾ごとぶんちょうさまをわしゃわしゃと撫でてやります。
「そういや俺ポン菓子持ってきてたんだった、食うか?」
「僕も食べるけど……八千代、僕まで食べないでね……?」
 香ばしい匂いを漂わせながら、懐かしい駄菓子を取り出す八千代に、思わず未夜がひと声かけたのは――何故だか、ほんのりと危機感を覚えてしまったから。
 例えるのなら、肉食獣を前にした草食動物の気分でしょうか。――いや狐は雑食だけど、と自分に突っ込んでしまう律儀な未夜です。
「ぶんちょうさま、ふわふわだけど肉付き悪いからなァ。いっぱい喰えよー、肥えろよー」
 そんな中で八千代は、手の平一杯に乗せたポン菓子に群がる彼らに、きらきらと期待のまなざしを向けていました。
「……え、いやいや別にヤキトリのこととか考えてねーし、別に」
 時折、訝しむように此方を見上げてくるぶんちょうさまに、慌ててかぶりを振りつつも――すっかり満足した彼らに、最後にぺしぺしチョップを加えてもふもふタイムは終了です。
 しかし――これでは何だか物足りない、と八千代は思いました。
「みやーみやー、尻尾貸してー」
「……って、しょうがないなー」
 ――その言葉にぽかんとしたのも束の間、直ぐに未夜は嬉しそうな様子で、いそいそと尻尾を差し出します。ぽふっとダイブした八千代は、そんな彼の尻尾のもふもふ感を、思う存分堪能するのでした。
「はー、やっぱ触り慣れたもふもふが一番だなァ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キディ・ナシュ
おねえちゃん(f00651)!!
もふもふ鳥さんですよ!
かわいい!たくさん!かわいい!!

近くにいた文鳥たちへ手を伸ばし
一心不乱にもふもふを楽しみます
いいなぁ、この子たち欲しいなぁ

お化けも怖い人もここにはきっといませんよ
だから震えなくとも大丈夫、安心してください
いえ、うちのお姉ちゃんは怖いですけどね!
って文鳥さんたちと無表情にぎころに怯え――

…は!いけません!
思わず目を輝せて堪能してしまいましたが
あれでも立派なオブリビオンなのです
だから、やっつけるのがお仕事です
お仕事の、筈…うっ、かわいい…

えい、やー!
なんとか気合を入れ
でも罪悪感からちょっと顔は背けつつ
ぽこっと、軽ーく、その頭を小突きましょう


イディ・ナシュ
声が大きいですよ、キディ(f00998)
文鳥が怯えますからもう少し静かに…
いえ、もう小言は聞こえませんねあの調子では

怖い話はお嫌いでしたか?失礼しましたと
震える一羽に手を伸べて
両手の中で暫し暖を取って頂きましょうか
素晴らしい手触りと羽艶でいらっしゃいますね

そういえば
小鳥はは「にぎころ」という愛で方をすると聞きました
握って……ころす?のです?
違いましたか?
ああ、却って怖がらせてしまいました
愛はあるつもりなのですけれど
安心して頂こうにも
優しい笑顔など浮かべられる顔でなく

その、きっとあちらの方が心安らかに眠れると思います
ごめんなさいねと頭を撫でて送りましょう
ぽふ、と痛くないよう軽く指先で叩きますね



 ――不思議で怖いお話を、たくさん沢山語り終えた後。広間に降り積もった言の葉に導かれるように、あちらこちらから「ちちち」と囀りを響かせ、ぶんちょうさまの団体がころころと転がりながら登場です。
「おねえちゃん!! もふもふ鳥さんですよ! かわいい!」
 何だかお話のご褒美を貰えたような気がして、キディ・ナシュ(未知・f00998)は慌てふためく彼らへ手を伸ばし、「たくさん!」「かわいい!」と喜びを目一杯表現しました。
「声が大きいですよ、キディ。文鳥が怯えますから、もう少し静かに……」
 お姉さんとしての威厳を見せつつ、イディ・ナシュ(廻宵話・f00651)がやんわりと窘めますが――その声も直ぐに、無邪気なキディの歓声に呑み込まれてしまいます。
(「いえ、もう小言は聞こえませんね……あの調子では」)
 そっと溜息を吐くイディですが、義妹を見つめるまなざしは慈愛に満ちていました。
 ――あの子も、本で小鳥について知ることはあったろうけど、こうして直に触れ合う機会は中々無かった筈。キディの瞳に映る世界はどんなものなのだろうか、その様子を書物に綴れば、どんな物語が生まれるのか――ついそんな想いに耽ってしまう、ヤドリガミのお姉さんです。
「……怖い話はお嫌いでしたか? 失礼しました」
 と、そんなイディの傍にも、ぷるぷる震えるぶんちょうさまがやって来ました。少しでも恐怖が和らぐようにと願いながら、イディはそっと手を伸ばし両手に包み込んで、暫し暖を取って頂くことにします。
「ふんわり、もっちり……素晴らしい手触りと羽艶でいらっしゃいますね」
「いいなぁ、この子たち欲しいなぁ」
 ――ぴぴぴ、とちょっぴり得意げに、イディに頷くぶんちょうさま。一方のキディは近くに居たご一行を纏めて掬い上げ、一心不乱にもふもふを堪能しているようでした。何とも贅沢な楽しみ方ですね。
「お化けも怖い人も、ここにはきっといませんよ。だから震えなくとも大丈夫、安心してください」
 そんな優しいキディの声には、愛らしい囀りとふわふわの羽毛で喜びを表現するぶんちょうさま達です。お団子みたいに丸まっている彼らを見ていると、頬が緩んでしまって――キディはつい、うっかり口を滑らせてしまうのでした。
「いえ、うちのお姉ちゃんは怖いですけどね!」
「……そういえば」
 何でしょう、ぶんちょうさまの毛繕いをしているイディの声が、絶対零度の冷ややかな空気を纏ったような気がします。
「小鳥は『にぎころ』という愛で方をすると聞きました。握って……ころす? のです?」
 違いましたか? なんて小首を傾げるイディの表情が、無に近いのが何とも恐ろしいのでした。『ころす』と『ころがす』、嗚呼ことばって難しい――一緒になって震えるキディとぶんちょうさまに、そっと謝罪するお姉さんです。
「……ああ、却って怖がらせてしまいました。愛はあるつもりなのですけれど」
 ――そう、それは多分、愛と言う名の鞭。何とかして安心して頂こうにも、優しい笑顔など中々浮かべることの出来ないイディです。其処は代わりに妹のキディが、ぶんちょうさまをにぎころして、アフターケアに努めるのでした。
(「でも、これでも立派なオブリビオンなのですよね……だから、やっつけるのがお仕事です」)
 ぴ? と目と目が合うふたり。そのつぶらなまなざしに、キディは「うっ」と怯んでしまいます。
「お仕事の、筈……うっ、かわいい……!」
「その……きっとあちらの方が、心安らかに眠れると思います」
 しかし、心を鬼にしてイディはぶんちょうさまと向き合いました。ごめんなさいね、と頭を撫でて。ぽふ、と痛くないように、軽く指先で叩いて――ぶんちょうさまを骸の海へと送ります。
「そう、ですよね……えい、やー!」
 なんとか気合を入れ――でも、罪悪感からちょっと顔は背けつつ――キディもぽこっと、軽ーく、小鳥の頭を小突いてみると。
「ぴぴぴ、ちちち!」
 ――また遊ぼうねと囁くように、何処か楽しそうな鳴き声を響かせながら。ぶんちょうさま達はふんわりと燐光に包まれて、空へと昇っていったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四・さゆり
【明日知 理(f13813)】と一緒に
〇アレンジ歓迎


マコ。あんたの家、まだ隙間あるわよね、
だめ?

‥‥。仕方ないから今遊び尽くしましょう。


あんたたちほんとに鳥?

ふふ、毛玉みたい
‥‥かわいい

ねえ、ガウェイン?
マコのねこが飛びてできたら、
まとめてもふもふ

食べちゃダメよ、まあ貴方は聡明な子だから
大丈夫でしょうけど

お腹減ったならマコに強請りなさい
良い猫缶くれるわよ
‥‥わたしもから揚げ食べたい

なに、震えて
‥‥あんたたちは毛玉でしょ
食べないわよ

最後は

‥‥おやすみ。
マコを真似て呟いた

「‥‥。味噌煮なの。」

帰ったらどうやって、唐揚げにさせようかしら


明日知・理
【四 さゆり(f00775)】と共に


隙間?
…、
まさか連れてくる気か…?

……
………駄目。



ほら、おいで。
ちょっとだけ、一緒に遊ぼう。


さゆりの隣で鳥をもふもふ撫でる。たまにつつかれる。すまん。
毛づやや毛並みを褒めたり。
もしかしたらフードの中にいる猫(名を『ガウェイン』)が顔を出したりするかもしれない。猫のさがか?

良い猫缶…、
……。まあ、たまにはいいか。

終わりは軽くチョップで。
…おやすみ。


「……今夜の夕飯、チキン南蛮じゃなくて、サバ味噌にしようと思う」
鳥料理はとにかく今夜はしない。
しないったらしない。


アドリブ歓迎



 ――ぴぴぴ、ちぃちぃ、ぽぽぽぽぽ。おしくらまんじゅうをしたり、ちょっぴりうとうとしていたり。もっふもふの、ぶんちょうさまの海に揺られながら、四・さゆり(夜探し・f00775)がぽつりと口を開きます。
「マコ。あんたの家、まだ隙間あるわよね、……だめ?」
「隙間? ……、まさか」
 と、それだけで、彼女が何を望んでいるのかが分かったのでしょう――明日知・理(花影・f13813)は「連れてくる気か」と呟くと、近くにいたぶんちょうさまの頭をころころと撫でました。
「……、…………駄目」
 その間に、ふわふわ小鳥のもっちり感を堪能し、たっぷり間を置いてから彼は答えます。もしかしたら、お持ち帰りをして飼うことが可能か、頭の中でシミュレーションしていたのかも知れません。けれど――やっぱり、隙間にぎゅうぎゅう押し込めるのは可哀想だと、理は思ったのでしょうか。
「……。仕方ないから今遊び尽くしましょう」
 その回答に、さゆりは直ぐに気持ちを切り替えると――今この時を楽しもうと、お団子のような小鳥たちをその腕に抱きかかえます。
「あんたたちほんとに鳥? ふふ、毛玉みたい……かわいい」
「……ほら、おいで。ちょっとだけ、一緒に遊ぼう」
 黄色いレインコートのフード、その下から覗くくせっ毛の間から、さゆりの瞳が穏やかに細められるのが分かりました。理もまた、彼女の隣で文鳥の群れをもふもふ――一応彼らもオブリビオンなので、たまーに嘴でつんつんしてきますが、何だかそれさえもやんちゃで可愛らしく思えてしまいます。
「すまん。ちょっと強かったか。……毛づやも良く、素晴らしい毛並みだな」
 そんなぶっきらぼうな口調の中にも、確かな愛情が感じられて。無機質な理の美貌も、心なしか普段より柔らかいような気がしました。と――溢れんばかりの文鳥の海に、興味を示したのでしょうか。彼のフードの中に隠れていた仔猫のガウェインが、瞳を輝かせてひょっこり顔を覗かせます。
「あら、ガウェイン?」
「……猫のさがか?」
 そのままひょいと身を乗り出したガウェインは、ぶんちょうさま一行の真ん中に降り立ち、毛玉を転がすようにまんまる文鳥ところころ戯れ始めました。
「食べちゃダメよ、まあ貴方は聡明な子だから大丈夫でしょうけど」
 そう声を掛けつつ、ガウェインのしなやかな毛並みも纏めてもふもふする、さゆりです。とは言え、遊んでいる内に食欲も刺激されたのでしょうか――ガウェインのまなざしが、獲物を見るものに変わりつつあるような気がしました。
「お腹減ったならマコに強請りなさい、良い猫缶くれるわよ。……わたしも、から揚げ食べたい」
「良い猫缶……、……。まあ、たまにはいいか」
 さりげなく猫缶を奢ることになった理は、ふぅと吐息を零してもふもふを再開しようとしましたが、その手が不意に止まります。――待て、今さゆりは最後に、とてつもなく不穏なことを言わなかったか。
「なに、震えて。……あんたたちは毛玉でしょ、食べないわよ」
 案の定『から揚げ』に反応して、ぷるぷる震えてしまっている、ぶんちょうさま達が其処に居ました。大丈夫だから――と精一杯の労わりを込めてもふった後、頃合いを見計らって理は、軽くチョップをして彼らの魂を送っていきます。
「……おやすみ」
 ――そんな理の表情が、不思議と穏やかで切なそうだったからでしょうか。
「……おやすみ」
 彼を真似て呟いたさゆりもまた、ぽんと軽やかな音を立てて、ぶんちょうさま達にお別れをするのでした。
「……今夜の夕飯、チキン南蛮じゃなくて、サバ味噌にしようと思う」
 やがて――一通りぶんちょうさまを骸の海へと返した後で、意を決したように理は告げます。鳥料理はとにかく今夜はしない、しないったらしない。彼の決意の強さに、思わず溜息を吐くさゆりは――。
「……。味噌煮なの」
 ――帰ったらどうやって、唐揚げにさせようかしら、と。夕食の献立を巡って、今度は理と静かに火花を散らすことになったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『まっくろピヨたろう』

POW   :    超もふもふひっぷあたっく
単純で重い【もふもふなお尻 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ぱくぱくもぐもぐ
戦闘中に食べた【食べ物 】の量と質に応じて【眠くなってしまうが】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    もふもふあたっくはいぱー
【もふもふ体当たり 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠御剣・誉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 大広間を埋め尽くさんばかりに、ぎゅうぎゅうに溢れていたぶんちょうさまも、皆の奮闘によって一掃されました。と、今度は其処へ、あやかしの総大将が遂に姿を見せるのです。
 ――もふーん、もふーん、もふーん。
 貫禄たっぷりの鳴き声を響かせ、すぱーんと障子を開け放って登場したのは、まっくろピヨたろう――その達磨のように福福しい御姿は、大ボスたる威厳に満ち溢れています。
 よく見れば羽はもふもふに埋もれていて、さっきの障子はどうやって開けたのだろう――なんて疑問も湧いてきますが、それは一先ず置いておいて。
「もふーん……」
 ピヨたろうはきょろきょろと周囲を見渡し、食べ物は無いかと目を光らせています。食べる為なら手段を選ばないとの情報もありますが、かなり大きいのでもふもふするには骨が折れそうです(物理的な意味でも)
 そんな訳で、ひっぷあたっくや体当たりにも注意しながら、たっぷりもふりつつ引導を渡すことにしましょう。

 ――もふもふ百物語、いよいよ最終幕です!
雨識・ライラ
こ、今度のもふもふさんは念力の持ち主!?
…でもそうでもないかな?

チョコレート食べる?キャンディーもあるよ(そっと差し出して)
ごめんねぇ、豆とかピヨさんが好きな感じなのないんだ…

ひっぷあたっくは飛んだら逃げよう!
体当たりは甘んじて…受ける…!もふーんって感じだから、きっとちょっと幸せだと思うんだ!痛いけど!

食べ物を食べておねむになってるところをもふもふするよ!
両手広げてどーーーーん!!(もふーーーん)
あ、これすき(もふもふ)
もふもふだけじゃなくて、マッサージするようにもふもふするね!
ボクの手じゃあんまり気持ちよくならないかな…

攻撃は花太の大行進!
花太出番だよー!ゴーゴー!

アドリブ、共闘歓迎


花邨・八千代
【未夜と】
んぁぁあああああ出たくない!この!もふい尻尾から出たくない!!!
冬の朝に布団から出るレベルの高難易度だぞコレ…ぬくい…。
なぁー、みや抱えて戦っちゃダメか?……ダメかー…。

◆戦闘(POW)
ぬくぬくが恋しいからなぁ、出来るだけ頑張るぜ…。
でもこのピヨたろうも中々もふいじゃねーか、俺は許そう。
ポン菓子ぶちまけて誘いつつついでにもふる、もふる。
体当たりとかは「怪力」と気合で耐えるぜ。
存分にふかふわを堪能したら「怪力」乗せて【羅刹旋風】だ。
悪いなピヨたろう、アンタのもふもふも嫌いじゃなかったぜ…。

終わったらまたみやの尻尾にダーイブ!
あーぬくいー、ねむい…。
このまま寝ながら帰りてぇ……。


三岐・未夜
【八千代と】
八千代言ってること無茶苦茶なんだけど!?
自分よりちっちゃい女の子に抱えられながら戦うとか何の罰ゲームさ!?却下!

全くもー……ほら、アレもふり放題みたいだし埋もれておいでよ。……僕?僕はいいや、近付くと潰されそうだもん。
儚火を喚んで、適当にピヨたろうころころしとこ。八千代がもふるのに邪魔にならない感じで。八千代が満足したら、儚火でピヨたろうの逃げ道を塞ぐよ。ついでに【誘惑、催眠術】で前後不覚にしちゃおう。

……わわっ!ちょ、八千代!
もー……ほら、儚火乗って。
良いよこのまんま寝てても。団地まで送ってあげる。
巨大な狐と自分の尻尾でもふもふサンド。このまま送り届けてあげよう。



「――もふーん」
 とっても威厳のある鳴き声と共に、襖と障子を開け放って登場したのは、あやかしの総大将――その名も、まっくろピヨたろうです。
「こ、今度のもふもふさんは念力の持ち主!?」
 思わず身構えつつ、雨識・ライラ(レインメランコリー・f12440)が驚きの声を上げたのは、ぱっと見で手羽が見えないピヨたろうが、障子をすぱーんと開いてみせたからでした。
「……でもそうでもないかな?」
 ――しかし、よくよく目を凝らしてみれば、まっ黒もふもふの両側が、ぷるぷると引きつっているのが見て取れます。どうやら、かなり頑張って襖を開けたみたいですね。
 もしかしたら向こう側で、登場する為に必死になっていたのかも――その様子を想像すると、ちょっぴり微笑ましい気持ちにもなるライラでした。
「んぁぁあああああ、出たくない! この! もふい尻尾から出たくない!!!」
 その一方で、布団に寝っ転がる花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は、三岐・未夜(かさぶた・f00134)のふっさふさの尻尾にぐるぐる包まって悶絶しています。
「冬の朝に、布団から出るレベルの高難易度だぞコレ……ぬくい……」
 ああ、そうでした。さっきまでは大広間に、ぶんちょうさまの団体がぎゅうぎゅうに詰まっていて、もふもふの海に抱かれ夢見心地だったのです――しかし、彼らが昇天してしまったので、余計に真夜中の廃城の寒さが身に染みるのでした。
「なぁー、みや抱えて戦っちゃダメか? ……ダメかー……」
「って、八千代、言ってること無茶苦茶なんだけど!?」
 半眼で此方を見上げてくる八千代の鬼気迫る様子に(鬼なだけに)、咄嗟に言い返す未夜でしたが――「ダメか」と言いつつ、その気になれば羅刹の怪力で、ことも無げにやってのけそうなので油断は出来ません。
「自分よりちっちゃい女の子に抱えられながら戦うとか、何の罰ゲームさ!? 却下!」
 ――ふたりの身長差は、およそ五センチほど。しかし、角込みの身長を八千代が申請している疑惑もあるので、体感ではもうちょっと差がありそうだと未夜は思っています。
「全くもー……ほら、アレもふり放題みたいだし埋もれておいでよ」
「う、ぬくぬくが恋しいからなぁ、出来るだけ頑張るぜ……」
 未練たっぷりに友人の尻尾から離れた八千代が、彼の指差す方を見つめてみると。其処には黒い毛玉のようなピヨたろうが、でんと鎮座していました。もふもふに覆われて脚は見えませんでしたが、多分座っているような――気がします。
「……あぁ、でも。このピヨたろうも、中々もふいじゃねーか、俺は許そう。なー、みや」
「……僕? 僕はいいや、近付くと潰されそうだもん」
 と、そんな未夜のすげない態度にもめげずに、八千代は獰猛な笑みを浮かべて、ピヨたろうにカチコミを掛けにいきました。
「ごめんねぇ、豆とかピヨさんが好きな感じなのないんだ……」
 其処には、食べ物を寄越せと無言の圧力を掛けてくるピヨたろうと、真摯に向き合うライラが居て――彼女は懐からチョコレートやキャンディをそっと差し出すと、ピヨたろうは「もふーん」とひと声鳴いてお菓子に突進してきたのです。
「わ、早すぎて見えなかった……!」
 気が付けば、ライラの手にあったチョコレート達は姿を消しており、一体どうやって食べたのかと首を傾げるばかり。しかし、時折「もふんもふん」と咳き込みそうになっている所を見ると、口から一気に食べ物を吸い込んだのではないでしょうか。
「……えっと、花太は食べ物じゃないよ?」
 ――しかし、ピヨたろうの食欲は収まらず、今度はライラのカワウソ型ガジェット――花太を見て目を光らせました。大根くらいの大きさなので、多分大根に見えていると思われます。だとしたら、ピヨたろうの視力が心配ですね。
 わたわたと両手を振ってライラが身を引きますが、その分ずずいとピヨたろうも迫ってきます――その時でした。
「おりゃああああああ!!」
 空中にポン菓子が一気にぶちまけられたと思うや否や、勢いよく八千代が突っ込んでいきます。直後、そちらに気を取られたピヨたろうの隙を突き――もふり、もふり、もふります!
「もふーん……!」
 邪魔をするなとばかりに、ピヨたろうの体当たりがもっふりと襲い掛かりますが、八千代は怪力を活かして気合で受け止めました。そしてライラもまた、甘んじてもふもふあたっくを受け、優しさ一杯にピヨたろうを抱きしめるのです。
(「もふーんって感じだから、きっとちょっと幸せ……痛いことは痛いけど!」)
 両手を広げてどーんと受け止めると、「もふーん!」とばかりにピヨたろうも応えてくれます。あ、これ好きかもと思いながらもふもふをするライラは、やがてマッサージをするように巧みにもふもふを続けて、気が付けば――。
「もふーん、もふーん……」
 ――食べ物をたっぷり食べて、食後の運動も済ませたからでしょうか。すっかりおねむになったピヨたろうは、気持ち良さそうに寝息を立てていました。
「さて、存分に堪能し終わった所で――」
 其処で戦闘モードにスイッチを切り替えた八千代は、薙刀をぶんぶん振り回して戦闘力を高め、重量感のある一撃を当てに行きます。動きが見破られやすく当てにくくなるのが弱点なのですが、寝入ってしまったピヨたろうは格好の獲物です。
「悪いなピヨたろう、アンタのもふもふも嫌いじゃなかったぜ……」
 ニヒルな笑みと共に振り下ろされる八千代の薙刀、其処へ更に、ライラが花太の大行進を繰り出し追い打ちをかけていきました。
「花太出番だよー! ゴーゴー!」
 ガジェットの花太が変形したのは――大根です。この形状が有効と判断したのでしょう、ぐっさりと刺さっていきます。
「……逃げ道、塞いどいた方がいいよね」
 加えて未夜が黒狐の儚火を回り込ませつつ、痛みに目を覚ましかけたピヨたろうに催眠術をかけて、前後不覚の状態に持っていきます。
「みやー! あーぬくいー、ねむい……このまま寝ながら帰りてぇ……」
「……わわっ! ちょ、八千代!」
 一撃を入れて緊張が解けたのでしょうか、自分の尻尾にダイブして崩れ落ちていく八千代を、儚火の背中に乗せて。未夜は尻尾でもふもふサンドにしつつ、無事に彼女を送り届けることを誓ったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イディ・ナシュ
…随分とふくよかな小鳥?様でいらっしゃいますね。
ええと、お腹が空いてらっしゃるのでしょうか
うちのキディ(f00998)も万年欠食児童なのです
もしかすると気が合うかもしれませんね

ともあれ、もふも…いえ、海へとお引取り頂きませんと
丹念に焼き上げたビスケットを一枚忍ばせて参りました
これをこうして、こうです
複製すると劣化してしまうので
ありきたりで普通のビスケットになってはしまいますが
量だけは沢山ありますからどうぞ存分に
欠食児童ではないキディも食べて構いませんよ

眠くなられている内に攻撃を…
…むぎゅっと強く抱き締めたらそれらしいでしょうか
チョークスリーパー?という締め技は存じておりますが
首、見えませんね


キディ・ナシュ
小鳥…大鳥さんになるのでしょうか?
ああ、でも素敵に真っ黒な羽毛をしてらっしゃいますね

万年欠食児童だなんて、おねえちゃん(f00651)酷いで、
えっ!ビスケットですか!?
おねえちゃん、わたしも欲しいです!
やったー!おねえちゃん今日はやさしいですね!
食べ物、食べ物なら
あ、林檎はいかがですか?持参したおやつです!
ビスケットと半分こいたしましょう
お口の中がさっぱりしますよ!

満腹でお休みなられたらチャンスです
ここぞとばかりに覚えてきた技で
思い切り丹念に強めに連続もふもふをします
プログラムジェノサイドならぬモフサイドです

可哀想ですがむぎゅっと締め付けて骸の海へとご案内です
どうです、匠の技でしょう!


桜雨・カイ
共闘・アドリブ歓迎
眠りかけてるのなら、そのまま眠ってもらった方が良さそうですね。
喉につまらないようにお菓子などを食べさせます

攻撃はUCで受けます。全力…いえ全脱力でピヨたろうを受け止めます(攻撃を無効化して、もふもふだけ楽しませて貰います)。【手をつなぐ】【優しさ】【動物と話す】などで、ピヨたろうを撫でつつ反応をみて気持ちよさげなポイントをさがします。
攻撃は最小限で痛みの無いように。



 もふーん、もふーん……。
 攻撃を受けつつも、再びうとうとと眠りそうになっている、まっくろピヨたろう。眠りかけているのなら、そのまま眠ってもらった方が良さそうですね――呟く桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は様子を窺いつつ、追加の食べ物を与えるべくそっと近づいていきます。
「小鳥……大鳥さんになるのでしょうか? ああ、でも素敵に真っ黒な羽毛をしてらっしゃいますね」
 そんなカイの後ろを、雛鳥のようにそろそろと付いて歩くのは、キディ・ナシュ(未知・f00998)。こんな大きな鳥さんを目にするのは初めてで、薔薇色の瞳をぱちぱち瞬かせる彼女ですが、不安よりもその黒々とした羽毛の触り心地に興味津々と言った様子でした。
「……ええ、随分とふくよかな小鳥? 様でいらっしゃいますね。ええと、お腹が空いてらっしゃるのでしょうか」
 そんなキディの後ろを、保護者のように追いかけていくのは、彼女のお姉さんであるイディ・ナシュ(廻宵話・f00651)です。先程お菓子を食べて、満足した様子のピヨたろうでしたが――どうやら、またお腹が寂しくなってきたらしく、「もふーん」と切なそうに鳴きつつ辺りを見渡していました。
「そうそう、うちのキディも万年欠食児童なのです。もしかすると、気が合うかもしれませんね」
「えー、万年欠食児童だなんて、おねえちゃん酷いです」
 元気いっぱいに抗議の声をあげるキディはさておいて、ピヨたろうを見上げるイディは、意を決した様子で懐を探ります。
「ともあれ、もふも……いえ、海へとお引取り頂きませんと」
 ――そう告げたイディがポケットから取り出したのは、丹念に焼き上げた一枚のビスケットでした。それにえい、と念を篭めれば、実物を模した複製品が魔法のように現れたのです。
「……これをこうして、こうです」
 ぽんぽん、ぽーんと沢山のビスケットが、イディのレプリカクラフトによって次々に複製されていきます。しかし、大量のコピー品は劣化してしまうのが定め――丹念に焼き上げたビスケットも、ありきたりで普通のビスケットになってしまいますが、量だけは沢山あるので問題なしですね。特に、沢山食べるピヨたろうには打ってつけと言えるでしょう。
「わっ! ビスケットですか!? おねえちゃん、わたしも欲しいです!」
「……そう言うと思って、はい。欠食児童ではないキディも食べて構いませんよ」
 小山のように積もったビスケットの山から、そっと一枚拾い上げて、イディは妹の口元へと持っていきます。あーん、と可愛らしい唇を開いたキディは、さくさくとして香ばしいビスケットの風味を存分に堪能するのでした。
「やったー! おねえちゃん今日はやさしいですね! えっと、食べ物……食べ物なら」
 そうして満面の笑みを浮かべるキディは、ビスケットでからからになった口の中を潤すべく、水気のあるものはないだろうかと荷物をまさぐります。と、彼女の手が瑞々しい果物に触れて、じゃーんと効果音を口にしながらデザートを取り出しました。
「はい、林檎はいかがですか? 持参したおやつです! ビスケットと半分こいたしましょう」
 お口の中がさっぱりしますよ、と言うキディの言葉に、ビスケットの塊を掃除機のように吸い込み続けていたピヨたろうの目が光ります。
「もふーん……!」
 直後ピヨたろうの元へ、林檎が数個吸い込まれていったのですが――ちゃんと噛んで食べないと、さっぱり感も何も無いような。でも、ピヨたろうはとっても幸せそうなので、問題ないのでしょうか。
「喉に詰まらせていないといいのですが……」
 隙を見てお菓子を与えていたカイも、底無しのピヨたろうの胃袋に戦慄すると同時、お腹は大丈夫かと心配する気持ちも出てきました。それでも真面目な彼は、林檎をうさぎさんの形にカットして、フォークと一緒にイディら姉妹に差し出したりしています。
「お……っと!」
 と――お菓子や果物をたらふく食べて、再び眠気が襲って来たのでしょう。ピヨたろうの重量感たっぷりのボディが、カイの居る方向へ倒れ込んできました。
 しかし、こうなる事態も彼は予測済みなのです。全力――いや、全脱力でピヨたろうのもふっとボディを受け止めると、カイはもふもふを堪能しつつその衝撃を無効化し、絡繰人形から上手く排出したのでした。
(「あ……すごくふわっとして、まるで羽毛布団のようですね」)
 ころりと転がったピヨたろうの近くに跪き、まっくろな羽毛に埋もれた羽を何とか探し当てたカイは、優しくその手と手を繋いで撫で撫でしていきます。
「も、もふーん……」
 心地良さそうに鳴き声を響かせるピヨたろうの反応を見つつ、彼のもふもふポイントを探り当てていくカイは、すっかり熟練のもふ職人となっておりました。そうしてすっかりピヨたろうが寝入って、もふーんもふーんと寝息を立てた所で、そろりそろりとキディ達も近づいて来ます。
「お休みになった今がチャンスです……!」
「……ええ、むぎゅっと強く抱き締めたらそれらしいでしょうか」
 其処でイディは、以前格闘技の本で見た『チョークスリーパー』と言う締め技を思い出しました。確か、首を圧迫して気管や血流を妨げ、意識を失わせる危険な技でしたが――。
「首、見えませんね……」
 寝転がるピヨたろうは、どこまでが頭でどこからが胴体なのか、何とも判別しがたく――ついでに大きいので、イディの華奢な腕では、とてもじゃないけど締め付ける長さも足りません。
「なら、わたしが……ここぞとばかりに覚えてきた技を試すしかないようですね!」
 神秘的な拳法家のような手つきで構えを取るキディは、予め脳にプログラムしていた連続攻撃――もとい連続もふもふを発動し、超高速連続もふもふを繰り出したのでした。
「ふおおおおお……どうです、匠の技でしょう!」
 ――思い切り丹念に、そして強めに。プログラムジェノサイドならぬモフサイドは、一度発動すると中止は出来ません。攻撃は最小限で痛みの無いように、と言うカイのポリシーの元、ピヨたろうのもふポイントを的確に突いていくキディは、まるで秘孔を突く世紀末の救世主のようでもありました。
「そして、可哀想ですが……むぎゅっと締め付けて骸の海へとご案内です!」
 恐らく、首と思しき部分に指先を突き付けたキディに見守られながら――忽ちの内に意識を失ったピヨたろうは、何処となく幸せそうな表情で昇天していったのでした。

 ――ちち、ちちち。
 気が付けば長い長い夜は開け、外からは朝日が差し込み、雀の鳴き声が聞こえてきます。
 百物語から始まり、現れたあやかしをもふもふして昇天させていった、慌ただしい一夜ではありましたが。一仕事をやり終えたような、何処か清々しい気持ちが一行の胸を満たしていました。
 これで、もう町はもふもふの脅威に脅かされることはないけれど――ちょっぴり名残惜しさを感じてしまうのは、罪深いでしょうか。
 だから――またいつか、現世に彷徨い出てきたら相手をしてやると誓いつつ。それまではどうか、骸の海でゆっくりとお休みなさいと、皆はもふもふの小鳥たちに手を振って古いお城を後にしたのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月26日


挿絵イラスト