●深き海にて
深海を征く影がある。
渦巻く海流を引き裂いて、足を海洋生物の尾ひれへと変異させたミュータントヒーローの男が舌打ちする。
「勘弁してくれよ、あれは猟兵たちに倒されたんじゃなかったのか!」
「悪態をつく暇があったら手を動かして!来るわよ!」
ミュータントヒーローの眼前を覆う暗黒の霧、否、タコの墨だ。眼前を覆い尽くす海中の黒煙に、ミュータントヒーローたちが退避する。
その墨を引き裂いて、青白く輝く触手が這い出てきた。身軽に回避する二人組のヒーローだが、その表情は固い。
両腕に無数の触手。そして巨大な墨袋を両肩に内蔵したクライング・ジェネシスの群れが、ミュータントヒーローの二人組を取り囲んでいたのだから。
●猟書家『クリティアス』
「猟書家クリティアスが、アトランティスの都市を汚染し、超生物スナークを生み出そうとしている」
集った猟兵に、青年姿のアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)が続けて口を開く。
「本来はアトランティスのヒーローチームが対処するんだが、クリティアスは『適応光線』を無効化するユーベルコードを持っているみたいなんだ。だから今回は、体を海洋生物に変異できるミュータントヒーローが対応している」
アインが魔法によって転移先の映像を投影すれば、ミュータントヒーローの二人組が、量産型クライング・ジェネシスの群れに防戦一方となっている。
「量産型クライング・ジェネシスたちは、『カツオノエボシ』と『ヒョウモンダコ』の特性を持った海洋型オブリビオンへと姿を変えている。凄まじい毒性を持つ伸縮自在の触手と、視界を埋め尽くすタコスミだ」
触手の毒は、2つの海洋生物が持つ毒を混ぜ合わせた致死性の毒だ。触れればひとたまりもないだろう。
「アトランティスの都市の上……海中は海流が凄いらしいから、現地のミュータントヒーローたちと共闘して戦ってくれ。自分の体を海洋生物に変質できるミュータントヒーローの背に捕まって戦闘、なんてこともできるからな」
とん、とアインが杖を叩く。転移先はアトランティスの海中、今まさにミュータントヒーローたちが海洋型オブリビオンと化した量産型クライング・ジェネシスと戦っている場所だ。
「海の汚染なんてさせるわけにはいかない。頼んだぞ、皆!」
夕陽
ご無沙汰しております。初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。
ヒーローズアース猟書家『クリティアス』決戦シナリオとなります。
プレイングボーナス(全章共通)……ミュータントヒーローのヒーローチームと共闘する、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)。
以下補足です。
第一章では、海洋型オブリビオンと化した量産型クライング・ジェネシスの集団戦です。
ユーベルコードとは他に、カツオノエボシとヒョウモンダコの特徴を持つ伸縮自在な触手と致死性の毒、巨大な墨袋を使用し戦います。
ミュータントヒーローチームは二人組の男女です。
男性の名前がヴァン、女性の名前がマリー、それぞれ体の一部を海洋生物に変異させて、オブリビオンと戦っています。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『量産型クライング・ジェネシス』
|
POW : GAOOOOOH!
全身を【原初の炎に包まれた姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : BAOOOOOM!
【簡易型骸の海発射装置】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : THEEEEEEND!
【簡易型骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『神々の時代』の火で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
メンカル・プルモーサ
タコやクラゲと融合した量産型クライング・ジェネシス……これもう何が何だか判らないな……?
これだけ雑なのに毒はきっちり脅威なのが納得行かないな…
…秘密結社スナークの方から来たよ…援護するね…
…まずは周囲に復元浄化術式【ハラエド】を付与した術式組紐【アリアドネ】で結界を張って結界内の墨や毒を浄化…これで二人が戦いやすくなる…
…暫く二人に前衛を張って貰ってあいつらの放つ『神々の時代の火』を重奏強化術式【エコー】で強化した【尽きる事なき暴食の大火】で逆に燃料にしてしまおう…
…あとは大きくなった暴食の大火でジェネシス達を燃やすとしよう…
…骸の海のジェネシス(本物)もこの扱いにはキレてるんじゃないかな…
無数のジェネシス相手に、疲労の色が見え始めたミュータントヒーローの二人組の前に、転移の光が現れる。
「なんだ!?」
オブリビオンたちが身構える。光の中から感じるのは、仇敵の気配だ。
「タコやクラゲと融合した量産型クライング・ジェネシス……これもう何が何だか判らないな……?」
現れたのは、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)だ。海中に揺蕩う灰色のセミロングの髪が静かに揺れる。
姿形はかつてのクライング・ジェネシスだが、その片腕と肩には海洋生物特有の器官が露出している。
海洋型オブリビオンに変質しているといっても……。
「これだけ雑なのに毒はきっちり脅威なのが納得行かないな…」
襲いかかってくる触手をひらりと躱す。本人が知れば激怒間違いなしだろう。
「あ、あなたは……?」
「…秘密結社スナークの方から来たよ…援護するね…」
かっ、と術式が瞬く。周囲に閃いた魔法の糸が、戦場を覆っていく。
術式組紐【アリアドネ】の結界が、ジェネシスたちの攻撃を阻害するのと同時に、復元浄化術式【ハラエド】が拡散した。
海中を埋め尽くしていた毒と墨の汚染が掻き消えていく。
次々と起こる超常に、ミュータントヒーローの二人が目をぱちくりさせている。
「…少し時間を稼いでもらっていい?」
「お、おう!任せとけ!」
「これが猟兵の力ってわけね……もちろんよ!」
ジェネシスを牽制すべく、海中をヒーローが征く。鬱陶しそうにジェネシスが墨を吐くが、ハラエドの術式は常に展開されている。墨など皆無に等しい。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
そうして、メンカルは詠唱を紡ぐ。重なった魔法陣は、さらに重奏強化術式【エコー】による魔法陣で『多重化』する――!
しびれを切らしたジェネシスたちが、骸の海発射装置から『神々の時代』の炎を吐き出した。
炎熱によって凄まじい気泡が上がり、周囲に黒炎が蔓延した。
「…とりあえず、ジェネシスに謝るべきだよ」
ユーベルコード【尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)】が放たれた。神々の時代の炎は、如何なる存在も燃料にする白色の炎に――その巨大な炎によって、全てが燃料へと置換された。
眼前に瞬いた白炎がジェネシスの存在を削り取る。燃料として消え失せたオブリビオンに、ヒーローたちがひゅぅ、と口笛を吹く。
「…骸の海のジェネシスもこの扱いにはキレてるんじゃないかな…」
あの下品な笑い声が、微かに聴こえた気がした。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
SPDで挑む
アドリブや協力も大歓迎だ
海に転移するっていうなら、先にUCを発動させておく
「手伝わせてもらうぜ、ヴァン、マリー。
オレの名はブレイザイン!
秘密結社スナークに所属しているヒーローだ!」
手短に説明して戦線に加入
「触手や毒はオレが請け負う!
二人はクライング・ジェネシスに集中してくれ!」
腕のレザーに牙を生やして切断力をUP
渦巻と共に触手を[なぎ払う]
毒や墨は渦巻に巻き込んで遠くにやる
「さあて、ひとまず障害は取り除いた。
後は幻影と奴だけだ!」
幻影と対峙することで[限界突破]
過去の自分を一刀両断
2人を[誘導弾]でフォロー
「超必殺!ダイナミック・バイツ!」
両腕を上下に構え、顎の如く交差して撃破する
クライング・ジェネシスの群れが叫び声をあげる。
数体のクローンが消失しただけ。ジェネシスたちは未だに自らの有利を確信していた。
ミュータントヒーローに襲いかかろうとしたその間に影が割り入る。
「手伝わせてもらうぜ、ヴァン、マリー」
赤茶の髪をオールバックにした少年が、腕のレザーに生えた牙でオブリビオンたちを牽制する。
自信に満ちた表情で、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は微笑んだ。
「オレの名はブレイザイン! 秘密結社スナークに所属しているヒーローだ!」
「ブレイザイン……! ラグランジュポイントに現れた黒い機竜を倒したヒーローか!」
どうやら、ヴァンはブレイザインというヒーローを知っているようだった。他ヒーローからの情報は、ヒーローズアース全体に行き渡っている。それが猟兵となれば当然のことだろう。
「次から次へと熟練の人たちが応援に来てくれるわね! 助かるわ!」
「触手や毒はオレが請け負う! 二人はクライング・ジェネシスに集中してくれ!」
清導――ブレイザインの言葉に二人のミュータントヒーローが頷くと、凄まじい海流の中を自らの領域のように悠然と遊泳する。
汚染の毒と墨が戦場を覆っていく。それでも、二人はブレイザインを信じて戦い続けていた。
力を溜めるように、言い放つ。
「メガリス“ギガ・シャーク メモリ”の力、使わせてもらうぜ!!」
『“ギガ・シャーク”!!』
ブレイブ・ドライバーが輝き、ユーベルコードの超常が清導を覆った。
その力、すなわち“鮫”の力。【プロティアン・ギガシャーク】によって鮫が持つ能力を戦闘用に強化して使用できるのだ。
伸びてくる触手に対して、ブレイザインの装甲に身を包んだ清導が、腕のレザーにはやした牙によって微塵に切り刻む。
そして凄まじい渦の奔流と共に、海中を汚染する毒と墨が散り散りに消し飛んだ。
その力に、ヴァンとマリーが水中の中でイルカに似た口笛を鳴らす。
「さあて、ひとまず障害は取り除いた。後は幻影と奴だけだ!」
ブレイザインが炎を纏って突撃、炎熱によって気泡が弾け、ジェネシスの前に立ちはだかる自らの影をその力によって切り裂いた――!
「超必殺!ダイナミック・バイツ!」
「「くらえっ!」」
両腕を鮫の顎のごとく形成し、ジェネシスを穿つ。それは、捕食者の一撃。
ミュータントヒーローたちとの三位一体の攻撃。粉々に噛み千切られたジェネシスの残滓が、海中に漂って掻き消えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
レーヴァ・アークルージュ
うーん、オブリビオン・フォーミュラが量産化され、それが集団敵として投入されているって……
絶望感よりも罰当たりすぎて目がくらむよ……
予兆や報告書を見た限り小物だったのは間違いないけど、オブリビオン・フォーミュラに選ばれるだけの格や度量なんかは確かに在ったしねぇ……
では、ここは同じく『神々の時代』を生きたかの『正しき神』に登場してもらおうか
UCで鋼神を召喚
まず全身を自在液体化可能な超高熱金属化で赤化した鋼で体が構成された九尾の狐と成り、全てを焼き尽くせる原初の炎を体表に纏って量産型に挑むよ
これほどの純粋な『鋼』と『炎』の神性の前には通常動物の毒など無意味に等しい
ま、一応熱除毒しておこうか
「うーん、オブリビオン・フォーミュラが量産化され、それが集団敵として投入されているって……絶望感よりも罰当たりすぎて目がくらむよ……」
海洋型オブリビオンと化したかつてのオブリビオン・フォーミュラたち。触手の毒と視界を覆う黒煙によって海を汚染するその姿に、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)は呆れるように呟いた。
「予兆や報告書を見た限り小物だったのは間違いないけど、オブリビオン・フォーミュラに選ばれるだけの格や度量なんかは確かに在ったしねぇ……」
あの笑い声と八つ当たりにも似た憎悪はともかく、骸の海発生装置なるものを装備して猟兵たちに苦戦を強いたのも確かだ。
ジェネシスたちと戦う二人のミュータントヒーローに、レーヴァは声をかけた。
「二人共、ちょっと後ろに下がってて。味方にも被害が出そうだから」
「新しい猟兵か!了解した!」
「オーケー!任せたわよ!」
ミュータントヒーローたちがその場を引く。ジェネシスたちはそれを好機と見て、骸の海発生装置から怒涛の『過去』を射出した。
「神々の時代の炎……では、ここは同じく『神々の時代』を生きたかの『正しき神』に登場してもらおうか」
レーヴァの双眼がユーベルコードの超常に光り輝く。そうして、その後ろに現れたのはかつての仇敵、ウルカヌスの霊だ。
「出でよ、原初の鋼と炎を司る神よ。まつろわぬ神から真化し、不死の怪物を討ち『鉱物』と『生命の礎』を世界に齎すが良い」
赤熱する鋼と化したレーヴァが片腕を掲げた。神々の時代の炎と並ぶ――いや、それすらも凌駕する原初の炎が、ジェネシスたちへと放たれた。
ジェネシスたちが持つ毒はかのフグ毒。本来ならば熱への耐性は高く、その毒性は劣化しないはずであるが、原初の炎はあらゆる熱量の遥か上を行く豪熱だ。
触手はたちまち焼却され、ジェネシスたちの体はボロ炭になることもなく、ただ純粋に消え去った。
轟々と上がる水蒸気、海流の動きに合わせて黒煙が霧散する。
その力にミュータントヒーローたちがおお、と声を上げた。
「……猟書家が出てくる前に、ジェネシスたちは駆逐しないとね」
炎が閃く。戦場を覆う墨と毒の汚染は沈静化に向かっていた。
成功
🔵🔵🔴
夜都守・寧闇(サポート)
闇(夜、死、眠りなどを含む)の属性を司る女神様
実年齢不詳(数えれないくらい長く生きている)
性格:鷹揚。人の営みを見守る神としての意識が強く、数歩引いた見方をするためか、大体のことは受け流せる
普段の口調は(私、お前、だ、だな、だろう、なのか?)
神として威圧するときは(我、お主・汝、~である、だ、~であろう、~であるか?)
戦い方:
闇の神であり、闇を操る
武器は常夜見剣
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
量産型とはいえ、クライング・ジェネシスたちは相応の戦闘力を持っている。
海流を薙ぐように、闇が実像を結んだ。肥大化した闇は刹那に弾け、そこから一人の少女が現れる。
「死した存在が、未だに未練を残して彷徨っているといったところか」
少女の容貌からは似つかわしくない、どこか威厳に満ちた発言に、ミュータントヒーローたちが顔を見合わせる。
「なれば、我がくれてやるしかあるまい。永久の闇と死をな」
クライング・ジェネシスたちが、現れた猟兵――夜都守・寧闇(闇の神・f31410)へ殺到した。全身を原初の炎に包まれた姿に変えて、すべてを灰燼に帰そうと両腕を伸ばした。
寧闇が同じく片腕を伸ばし、『常夜見剣』を眼前にかざす。しかしそれは、ジェネシスを斬るためではない。
暗黒じみた閃光と共に、常夜見剣が黒い光の粒子となって弾けた。それは寧闇の後ろに実像を結び、巨大な門として顕れる。
「在るべき場所へ還るがいい。そこに汝の安らぎがあるだろう」
門は開かれる。原初の炎を纏ったジェネシスたちはその瞳を明滅させた。門の奥から、暗黒が漏れ出してくる。ジェネシスたちを引き込むように暗黒がのたうち回り、眼前に存在する死者――すなわち過去の残影である“オブリビオン”を拘束した。
ユーベルコード【冥へ見送る常闇の剣(ヨミオクリ)】。闇を司る女神としての権能、その神髄。
いくら原初の炎を纏っていようと、死者を冥界に送る門の力に抗う術はない。
甲高い悲鳴を上げて、ジェネシスたちが門の奥へと飲み込まれていった。
沈静化に向かう戦場に、寧闇はその目を細ませる。
「――弔いは、未だに続きそうだ」
成功
🔵🔵🔴
ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)
~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
商魂たくましく、がめつい
参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!
乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します
広域では営業車『Floral Fallal』に乗り込みドリフト系UCを使用
狭域では魔法攻撃や『シャッター棒』をブンブンして戦います
「あらあら、盛り上がってるわねぇ」
そんな落ち着いた声音。優しさに満ちた声が、海中の戦場に小さく響いた。
ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)が周囲を見渡す。
「新しい販路を求めてきたんだけど……海中でお花を提供するのは難しそうよねぇ」
流石に塩水に強い花など聞いたことがない。
「でも、お花を植える以前の問題よねぇ。海を汚しちゃダメよ。悪い子にはお仕置きしないとねぇ」
量産型クライング・ジェネシスは残り数体。現れた猟兵へ、骸の海発射装置から『過去』が発射される。
暗黒のレーザーが直撃する寸前、ニコリネはふわり、とその武器を掲げる。
先がくねりと曲がった不可思議な武器――ではなく、シャッターを下ろすために使う『シャッター棒』だ。
「自慢の車が海水で汚れちゃったら元も子もないから、これでいかせてもらうわね。花屋の“とっておき”をあげる!」
シャッター棒が先から空気に溶けるようにかき消える。それは刹那の内に変化し、大千本槍の花びらに変容した。
海水を揺蕩う大千本槍(ガーベラ)の花びらの怒涛は、襲いかかる『過去』に拮抗し――そして退けた。
ユーベルコード【Incantevole Gerbera(インカンテヴォレ・ジェルベーラ)】。他者を魅了するガーベラは、ジェネシスの群れを包み込んで骸の海へと還していく。
そうして、くるりと踵を返して、呆然としているミュータントヒーローの二人に近づく。
「それで、アトランティスにお花のお届けなんてどうかしらぁ?実は防水ケースに包んでお花を提供する、なんてことも考えてるのよぉ」
商魂たくましい彼女は、海中の中でも交渉は惜しまない。凄まじい早口で花の素晴らしさを力説するニコリネに、ミュータントヒーローの二人が苦笑していたのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『クリティアス』
|
POW : 深海激怒ティマイオス
【海を汚染した地上文明に対する怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : 海洋憤懣ヘルモクラテス
自身の【頑健な甲羅】から【大津波と共に汚染に蝕まれた海洋生物たち】を放出し、戦場内全ての【敵を海に沈め、海洋生物以外の水中活動能力】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ : 侵略蔵書「ガベッジ・オーシャン」
【猛毒と化した汚染水を垂れ流す姿】に変身する。変身の度に自身の【体から溢れる汚染廃棄物】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
海中の汚染は未然に防がれ、毒と墨の澱みは猟兵たちの活躍によって沈静化した。
「またジェネシスを倒すとはな、やっぱり精鋭は違うな!」
「ともかく、一旦アトランティスに戻りましょ」
安心しきったミュータントヒーローの二人が尾ひれを動かして帰還しようとしたときだった。
海流が轟、と音を立てて逆巻く。海中に影が差した。
アトランティスを覆う巨影が、そこにある。
「この謀略を妨害するか、猟兵。この大いなる海を穢した者、全てを殺すために……!」
猟書家『クリティアス』。かつて海洋汚染の怒りから地上文明に襲い掛かった海神の眷属。それが、この猟書家の正体だ。
「貴様らへの怒り、決して消えることなどない!」
クリティアスの全身から汚染水が溢れ出す。現れた猟書家に、猟兵たちが身構えた。
【MSより】
前章にて、すでに猟兵の組織である秘密結社スナークを名乗っているので、プレイングボーナスは発生しております。
皆様のプレイングお待ちしております。
レーヴァ・アークルージュ
海洋汚染については確かに問題だね
でも、生憎とオブリビオンである貴方に左右される問題じゃない
今ここに生きている地上も海中も含めた全ての人々が直視する問題
貴方の居場所はどこにもないと知りなさい!
瞬間、真の姿の白き焔で体が構成された九尾の狐へと変わっていく
展開された白き浄滅の炎は猛毒と化した汚染水ごと汚染廃棄物を浄化し、燃やし尽くす
貴方と私にとってこのUCは相性差を体現するようね?
けれど、汚染に怒りを覚えた存在が汚染を撒き散らす存在になり果てる等、恥を知りなさい!
侵略蔵書『ガベッジ・オーシャン』を燃やしてUCを封じた後、クリティアスの巨体を発火させて燃やし尽くしていくわよ
「海洋汚染については確かに問題だね」
そう切り出したのは、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)だった。
ぎろり、と向けられた猟書家の眼光に臆せず、レーヴァは妖狐の尻尾を静かに揺らしている。
「でも、生憎とオブリビオンである貴方に左右される問題じゃない。今ここに生きている地上も海中も含めた全ての人々が直視する問題。貴方の居場所はどこにもないと知りなさい!」
瞬間、爆ぜた。
海中に走った火花はレーヴァを包む白炎へと形を変える。
白い焔を纏う九尾の狐、それがレーヴァの真の姿だった。
猟書家の体から垂れ流される汚染水が、炎熱の怒涛によってたちまちに浄化されていった。
「貴方と私にとってこのユーベルコードは相性さを体現するようね?」
海中を侵蝕する汚染が、浄化の炎によって拮抗している。
【裁断者の浄滅司りし白き王冠の大炎(ジャッジメント・オブ・セラフィック・ホワイト)】は、物質界の存在を無条件で浄滅させる炎だ。それは汚染水であっても例外ではない。
「けれど、汚染に怒りを覚えた存在が汚染を撒き散らす存在になり果てる等、恥を知りなさい!」
白炎の浄化がクリティアスを包み込む。全てを浄滅する炎の怒涛が、侵略蔵書さえも燃やし尽くさんと豪熱を上げ――。
クリティアスが吼えた。
凄まじい衝撃波に、海中が渦巻く。揺らめいた炎の隙間を縫うように抜け出したクリティアスは、その巨眼をレーヴァへと向けた。
「――恥。恥だと?貴様らが海を穢した結果、我はこの力を得た。得てしまったのだ!」
白炎に焼かれてもなお、クリティアスはその生命力を活性化させる。さらなる怒りによって、猟書家が不屈の精神で海中を薙いだ。
「かの戦いはすでに終わっている。だが、この戦いは始まったばかり。大いなる海を穢した者を『穢す』。我が復讐は終わらぬ!」
愚かしい、とレーヴァは海中の中で目を細める。
しかし、この一撃でクリティアスに多大なダメージを与えたのは事実。白炎の妖狐は、アトランティスの汚染を防ぐために後方へ退く。次に現れる猟兵に場を譲るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POWで挑む
アドリブや協力も大歓迎だ
「海を汚したことに怒るのは無理もねえ…。
けど!それはアンタが人を滅ぼすことを見逃す理由にならねえ!」
周囲の海水を蒸発させる熱量を放つ
「手を貸してくれ、ヴァン、マリー!」
影が像を為す
「海洋の守護神!ネプチューン・スナーク!!」
海洋生物の特徴、黄金のトライデントを持つ巨兵が現れた
素早い水中移動で攪乱
巨大化したことが仇になったな
がむしゃらに動くなら、2人に動きのサポートをお願い
隙を見せた瞬間、[オーラ防御]して突撃
ギガボルケーノ・クラッシャーによって[貫通攻撃]
甲羅を砕き、トライデントを突き立てる
「超必殺!ライトニング・パニッシャー!!」
トドメの雷をお見舞いする!
クリティアスの大咆哮が海を揺らす。巨大化していく猟書家の体躯を見ながら、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)はその瞳に炎を秘めていた。
「海を汚したことに怒るのは無理もねえ…。けど! それはアンタが人を滅ぼすことを見逃す理由にならねえ!」
轟!と海水が泡立ち、周囲の水が蒸発していく。圧倒的な熱量を発しながら、清導は後ろに控えるミュータントヒーローたちに告げた。
「手を貸してくれ、ヴァン、マリー!」
にっと笑った二人のミュータントヒーローに頷いて、清導は猟書家に負けぬ叫びを上げる。
「海の力を纏い、勇気は輝く雷となる! 頼むぜ、海洋の守護神! ネプチューン・スナーク!!」
清導を覆うように、影は巨影となって具現化する。巨大な黄金のトライデントを携えた巨兵。海の神の名を冠する巨大ロボ、名を『ネプチューン・スナーク』。
クリティアスの両眼が大きく見開かれる。かすかに体を震わせ、海を揺らがせる怒りの声が伝播した。
「海の神を……我が神の写身を……偽神を成すか!!」
その姿はおそらく、海の神の眷属たるクリティアスにとって、久方ぶりに垣間見た神の姿だったに違いない。
「いくぞ、クリティアス!」
ミュータントヒーローが海水を押して遊泳する。巨大な槍を携えた神と、巨大化した神の化身。圧倒的な質量、その2つが激突する――!
「巨大化したことが仇になったな!」
「ぐ、ぬ……!」
トライデントとクリティアスの一撃が拮抗。押し負けることなく、清導が吼えた。
海流の間隙を翻り、クリティアスの背を取る。トライデントの先に雷光が走り、クリティアスの甲羅へと突き出された。
「超必殺!ライトニング・パニッシャー!!」
クリティアスの絶叫と共に、甲羅の一部が砕け、弾け飛んだ。次いで海中に爆ぜた雷撃によって、凄まじい爆発が巻き起こる。
泡に包まれた海中の先、多大なダメージを負ったクリティアスが小さく呻いた。
「まだだ……我が怒りは……収まらぬ……!」
猟書家の生命力は、やがて小さな灯火へと転じていく。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
海洋汚染の怒りから地上文明に襲いかかった眷属なのに
猟書家になったら自分が海洋を汚染する側に回るのか…
オブリビオンになっちゃってるから仕方ないのかな
…以前に戦ったときもそうだけど猛毒を垂れ流すのが厄介だね…
重奏強化術式【エコー】で強化した復元浄化術式【ハラエド】で猛毒を浄化して動きやすくしよう…
…そして術式装填銃【アヌエヌエ】から貫通弾を放ってダメージを与えていこう…
…回復のために変身しようとしたら【崩壊せし邪悪なる符号】で侵略蔵書を相殺してキャンセル…
…これ以上汚染物質を垂れ流されても困るからね…
…重奏強化術式【エコー】を多重に掛けて威力を増加した魔力の槍を叩き込んで追い込むとしよう
他の猟兵たちの戦いを見ながら、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)がくい、とメガネをあげる。
「…海洋汚染の怒りから地上文明に襲いかかった眷属なのに、猟書家になったら自分が海洋を汚染する側に回るのか…」
かつて汚染されて滅ぼされた海の眷属が、今度は海を穢す眷属となっている。矛盾しているようで、クリティアスの発言もまた道理なのだろう。
「オブリビオンになっちゃってるから仕方ないのかな」
備わるユーベルコードは、生前のオブリビオンの出生に起因するところもある。幾多もの戦いを乗り越えてきたメンカルだからこそ言える言葉だろう。
「消えろ!全て!穢れ堕ちろ!!」
海を侵蝕する汚染水に、メンカルは魔術を構築していく。
「…以前に戦ったときもそうだけど猛毒を垂れ流すのが厄介だね…」
眼前に展開するのは2つの術式。すなわち『重奏強化術式【エコー】』と『復元浄化術式【ハラエド】』だ。
ハラエドによる穢れの浄化を、エコーの術式によって肥大化、増強させる。
降りかかる汚染水が、瞬時に通常の水に変わっていく。凄まじい憤怒に目を輝かせるクリティアスに、メンカルは『術式装填銃【アヌエヌエ】』の銃口を突きつける。
連撃。クリティアスに突き刺さる銃弾は、凄まじい貫通力を伴い甲羅を突き破る。
クリティアスが吼えた。更なる形態に変わる予備動作。体躯を肥大化させる猟書家に、メンカルは全てを予期していたかのように次なる術式を展開する。
「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」
【崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)】。
展開された魔法陣がクリティアスを覆い尽くす。
輝きの渦に巻き込まれたクリティアスの肥大化が停止し、甲高い音を立てて神秘が残滓となって海中に散っていく。
「これは……!我が力を……!」
「…回復はさせない…その侵略蔵書の機能は相殺させてもらう…」
メンカルの周囲に、エコーの増強術式が展開する。迸った魔力の槍が、クリティアスの体を貫く巨槍となって閃いた。
「…これ以上汚染物質を垂れ流されても困るからね…」
猟書家の存在が希薄になっていく。この戦いの終わりは近い。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・イングラム
クリティアス
貴方が抱く怒り、憎しみは正当なものだ
ですが、オブリビオンとなった貴方は、その復讐のためにこの世界そのものを穢そうとしている
今、この海に生きている眷属の命も、今の貴方には些末なものにしか見えないのでしょう
クリティアス、いえ、オブリビオンよ
私は貴方を骸の海に還さなければならない
《聖霊剣》を弓矢へと変化
UCの力を込めた矢をクリティアスに放ち、UCを消去してその巨体を本来の大きさに戻します
クリティアスがこちらのUCの効果に対応できないうちに接近
剣に戻した《聖霊剣》をもって身体を貫き、穢された周囲の海域も含めて《聖光》により浄化します
せめて清浄なる海の中で骸の海に還れ、クリティアス!
クリティアスの大咆哮が海中に轟く。
凄まじい怒りと共に、クリティアスの巨躯が更に肥大化していった。怒りこそこの猟書家の糧であり、アトランティス全てを飲み込むのではないかと思うほどの巨体が迫る。
「クリティアス。貴方が抱く怒り、憎しみは正当なものだ」
イングリット・イングラム(聖堂騎士・f35779)は、静かに告げた。
「ですが、オブリビオンとなった貴方は、その復讐のためにこの世界そのものを穢そうとしている。今、この海に生きている眷属の命も、今の貴方には些末なものにしか見えないのでしょう」
怒りで我を失ったクリティアスにその言葉は届いていない。激高にその瞳を爛々と輝かせるかつての海神の眷属。
イングリットは、『聖霊剣』を構えた。
「……クリティアス、いえ、オブリビオンよ。私は貴方を骸の海に還さなければならない」
その構えは、剣術の構えではない。片足を後ろに引いて、聖霊剣はその機能を変質させた。
それは弓だ。光の残滓が実像を結び、矢と化した聖霊剣を引き絞る。
光の矢と化した聖霊剣の軌跡が、クリティアスの巨躯を捉える。
凄まじい光の奔流と共に、クリティアスの超常は砕け散る。
「――!?我が力を消し去っただと
……!!」
本来の姿へと戻っていくクリティアスの動揺、その隙を聖堂騎士は見逃さなかった。
「せめて清浄なる海の中で骸の海に還れ、クリティアス!」
神速の如き加速と共に、中空で閃いた聖霊剣を構えてクリティアスを両断する。その一撃と共にアトランティスを覆い尽くすような『聖光』が迸る。
汚染された海が、たちまちに本来の海へと戻っていく。過去の残滓へと還っていくクリティアスの言葉が小さく響いた。
「我が怒りは不変なり……我が復讐は……終わらぬ……」
沈静化した海の中、イングリットはその清廉な眼差しをまっすぐ見据えていた。
猟書家の撃破と共に、ミュータントヒーローが嬉々とした表情で近づいてくる。
一時の平穏かもしれないが、アトランティスの汚染は猟兵たちの活躍により食い止められたのだった。
大成功
🔵🔵🔵