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大江戸ラーメン一番勝負!

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●飛脚、峠を行く
 切り立った山道を、数名の男と、何匹かの馬が進んでいた。
 馬の背には、俵が満載されていた。その様子を見るに、いわゆる飛脚。組織化された運送業者であろう。
「おい、馬にちゃんと気をやれよ! ここぁ難所だ。何人も落ちてるって話だからな」
 先頭に立つ男が、馬を操る男へと、声をかけた。その男の言う通り、ここは険しい山の峠道である。山道のすぐ隣には崖があり、ここから落ちれば命はもちろん、救助の手がかかることもまずないだろう。道行く者たちの事故も多いため、この峠を越えるのは、まさに命がけであるといえた。
「へい! しっかし、この『こむぎ』ってなぁ、なんに使うんでしょうね?」
 馬使いが声をあげるのへ、先頭が声をあげた。
「学がねぇなぁ? 『らめーん』とかいう食いモンの材料なんだよ!」
「へぇ、食いモンになるんですかい!?」
 驚く馬使いに、先頭の男は得意げに、笑った。男の言う『らめーん』とは、『ラーメン』の事だろう。『こむぎ』とは『小麦』。つまり、麺の原材料だ。
「おうよ。で、今都じゃ『らめーん』が大人気なんだとよ。だけど、今は余所モンが作る『らめーん』が人気で、余所モンにでかい顔されちまってる。地元衆は面白かねぇ。そこで、今度開かれる『らめーん一番勝負』っつう食べ比べで、一矢報いようっつうわけさ。だから地元衆は、特別なその『こむぎ』を仕入れたっつうわけよ!」
「へぇ! となると、この『こむぎ』っつうのは頼みの綱だ!」
「おう! だからテメェ、気を付けて運べよ! 俺たちァ、地元衆の命握ってるんだからな!」
 先頭の男の声に、荷運びの男たちは、気合充分と返事をする。だが。
「おう、だからよぉ――その命、手放してぇ貰うぜ?」
 そんな飛脚たちの前に、数人の渡世人風の男たちが立ちはだかった。手には、抜身の長ドスを握り、笠より覗く目は、悪辣に輝いている。
「なんでぇ!? テメェら!」
 飛脚たちが声をあげ、護身用のドスを握る。しかし、相手は暴力に生きる渡世人である。その程度の武装など、威嚇にもならない。
「あぁ!? どうせくたばるテメェらに話しても無駄だろうがよ! おう、やれ、テメェら!」
 渡世人がドスの利いた声を張り上げると、部下たちは瞬く間に飛脚たちへと斬りかかっている。飛脚たちも応戦するが、さすがに渡世人相手には分が悪い。瞬く間に切り捨てられ、あるいは山道から突き落とされ、崖下へと転落して行く。
 やがてすべての飛脚たちと荷を乗せた馬、そしてその死体が崖下へと放り投げられ山道には、渡世人たちの姿のみが残ることとなった。
「邪魔者はあの世だ。これで、与太郎の親分ントコの店が不戦勝っつー訳よ」
 首領格の男が、ゲラゲラと笑う。その笑い声は、静かな山道に響き渡った。

●飛脚捜索隊
「飛脚が行方不明なのである」
 と、マイン・ラクーンは手をむにむにとこすりつつ、猟兵たちへと告げた。
 場所は『サムライエンパイア』。都へと向かう為の峠道にて、荷物を運ぶ飛脚たちが行方を絶ったのだという。
 飛脚たちが運んでいたのは、小麦。都にある食堂により発注されたそれは、都にて開催される『ラーメン一番勝負』という催しで提供するラーメンを作るために、必要だったそうだ。
「まぁ、それだけなら不幸な事故である。が、この件、どうにもきな臭い。具体的に言うとオブリビオンのにおいがするのである」
 グリモア猟兵の予知の正確性は絶対である。グリモア猟兵がオブリビオンの影を感じ取ったのならば、それすなわち、この事件にはオブリビオンが関与しているという事なのだ。
「とはいえ、現時点では尻尾はつかめて居ないのである。まずは飛脚たちの痕跡を見つけて、事件の足掛かりとするのだ。……可能性は低いのだが、もしかしたら、飛脚たちにも息があるものがいるかもしれぬ故。では、気を付けていってくるのだぞ、猟兵たちよ」
 そう言って、マインは猟兵たちを送り出したのであった。


洗井落雲
 お世話になっております。洗井落雲です。
 とある峠道にて、飛脚たちが行方不明となりました。
 まずは彼らを見つけ出し、事件の全貌を探る足掛かりとしましょう。

●最終成功条件
 オブリビオン、『遊び人の与太郎』の撃退。

●第一章について
 飛脚たちが姿を消した峠へと向かい、飛脚たちを見つけ出してください。
 峠の入り口には小さな集落があり、峠を越える人たちの宿場町となっています。
 飛脚たちは、此処を出たのを最後に、足取りがつかめなくなっているようです。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『峠越え』

POW   :    実際に歩いて確かめてみる

SPD   :    宿場町で聞き込み、飛脚を追跡

WIZ   :    ドローンで空撮などアイテムや技能を活用

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

沢木・助平
■SPD重視

ラーメン、それはもはや、ただの食にあらず
日々探求、精進していく道であり、人そのもの
ラーメンは文化、ラーメンは進化、ラーメンは可能性
今日もまた新しい出会いを捜して…異世界まで来ちゃいましたー!イェーイ!フゥー↑↑

つーことで麺類大好き沢木ちゃんもこの件噛ませてもらうっすよ。
とりま、聞き込みっすかねぇ。
生き残りを見つけて連れてきて介抱してくれてるっつーパターンがあれば万々歳かな。

というわけで今回のビックリドッキリガジェットショータイムはこれ!
ヘモグロビン探知ドッグ【WASHIZU】くん!
血の臭いを探り反応が強まると「カカカ……!キキキ……!」と笑う優れもの。怖い。早く見つけて消したい。



●探索の始まり
「ラーメン、それはもはや、ただの食にあらず。日々探求、精進していく道であり、人そのもの。ラーメンは文化、ラーメンは進化、ラーメンは可能性……!」
 サムライエンパイアは、とある峠道。その奥へと視線をやりながら、沢木・助平はポーズなどを決めつつ声をあげた。
 麺類大好き沢木ちゃん。ラーメンあるぞと聞いたなら、次元も世界も飛び越えて、やって来る来る峠道。
 ラーメンの危機、命の危機である以上、速やかに飛脚たちを見つけ出さねばならぬのである。
「さて、宿場町の人たちは、飛脚たちはすでに発ったものだと思ってるわけっすね」
 腕くみしつつ、独り言ちる。聞き込みをしてみれば、ケガを負った飛脚たちが発見されたとか、戻ってきたという話はないという。となれば、道中で立ち往生している可能性は高いだろう。
「最悪の場合も想定して~、今回のビックリドッキリガジェットショータイム!」
 と、助平がばぁっ、と両手を広げて披露するのは、ユーベルコードによって召喚された、変な形のガジェットである。その名も、『ヘモグロビン探知ドッグ【WASHIZU】くん』。ヘモグロビン――つまり、血液を探し、見つけると、奇怪な笑い声をあげる頼れるやつである。
 【WASHIZU】くんはさっそく、何かをかぎ取るようなそぶりを見せると、ぴくり、と峠道の先を睨み、
「カカカ……! キキキ……!」
 笑い始めた。
「おっ、さっそくっすね……でも、こいつが反応するってことは、ちょっと血なまぐさい感じっすか」
 ふむふむ、と唸りつつ、助平。【WASHIZU】くんは笑い声をあげながら、助平を先導するように進みだした。
「さて、なるべく早く見つけるっすよ! 怖いし。このガジェットの笑い声、割とマジで、怖いし。早く止めたい」
 助平の切実な本音を合図に、猟兵たちの、飛脚探索は始まったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィクター・ハルフェティ
ラーメン?ラメーン?あいにく俺は食べたことのない料理だが、人気があるなら旨いのだろう。
食べ比べの催しがあると聞いて、サムライエンパイアは割と穏やかな世界なのだろうと想像したが、こんな事件が起こってしまうとはな。

俺は実際に歩いて飛脚を捜す。
峠の入り口の集落で、一応都へ向かうルートを聞いてから出発する。
あとは馬や飛脚の足跡、血の匂いなどがまだ残っていれば辿れるだろう。

生きてる飛脚を見つけたら、運搬などを買ってでる。
力には多少自信があるからな。



(「ラメーン? ラーメン? あいにくと俺は食べたことはないのだが……」)
 胸中で呟いて、ヴィクター・ハルフェティは峠を行く。
 食べ比べという平和な催しにさす、不穏な影。その存在に心を痛めつつ、今は姿を消した飛脚たちの無事を願ってやまない。
「ふむ……確かに、険しい山道だな」
 実際に峠道を歩いてみれば、いつ事故が起こってもおかしくはない、危険なルートであることがわかる。しかし、わずかに残る痕跡を探ってみれば、迂回するなどをして、ルートを外れたという事もないようだ。
「と、なれば……やはり、道中で突然、姿を消したという事になる」
 仲間の猟兵も血の匂いを察知したという、わずかに感じる血の匂い。ヴィクターは眉をひそめた。
「これは、急がなければならんな」
 すでに最悪の事態は進行中のようだ。もし、まだ飛脚たちが生き残っているのならば、もはや一刻の猶予もないのかもしれない。
 ヴィクターは決意を新たに、捜索を続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鉤山・瑠璃
ら、らーめん?明の蕎麦に似たものでしょうか?少し興味はありますわ。
情報収集もいいですが痕跡は雨や風で簡単に消えてしまいますわ。善は急げでわたくしは己の足で情報を集めようと思いますわ。
飛脚さんに向かった方向とその方向の簡単な情報だけ伺ってあとはその方向に向かって現地調査をしますわ。
飛脚さんに歩幅は他の旅人と明らかに異なる為すぐにわかるでしょう。行方不明になった場所付近で道を外れた跡、争った痕跡などが無いかを調べますわ


百地・八刀丸
・目的
取り敢えずは行方不明の飛脚達の捜索よな

・行動>実際に歩いて確かめてみる
聞き込みも良いが、ワシはその峠を見てみるとしようか
聞き込みに時間を使っては足取りや手がかりがなくなってしまうやも知れぬ
特に足跡などは時間で消えかねぬ、雨でも降れば尚更じゃ

・峠
足跡、特に荷を積んだ馬の蹄の跡などは良く残るはずじゃ
「何かあった」となれば、争いやそれに近いものもないとも限らぬ
足元に注意を払い、丁寧に探そうではないか
飛脚達を見つけることがあれば、息のある者を探し、そのまま人を呼びに行くとしようかの
ワシ一人でどうこうするよりは良かろうて

※飛脚の通った峠道に痕跡がないか、丁寧に調べます



「ふうむ」
 あごに手をやりながら、百地・八刀丸は唸った。猟兵たちが到達したのは、すぐ下に崖の広がる、最大の難所と言っても過言ではない地点である。
 猟兵たちの捜索により、この地点までの飛脚たちの足取りは、つかめた。が、この場所より、その痕跡はぷつりと途切れている。
 ここで、何かがあったに違いない。となれば、此処を重点的に捜索する必要があるだろう。
 八刀丸は、足元の地面を見やりながら、再び唸った。すでに消えかかっているが、いくつもの足跡が、乱雑に広がっている……その一部は、崖へと向かっているように見える。また、わずかに残る血の匂いに、気づいた猟兵もいたかもしれない。
「皆さん、これを……!」
 鉤山・瑠璃が声をあげた。その手には石が握られており、見れば黒ずんだ汚れが付着している。猟兵たちは、確信した。それは、血の汚れである、と。
「少々ケガをした、という程度では、これほどの汚れはつきませんわ」
 瑠璃の言葉に、八刀丸は頷いた。
「おう。やはり此処で刃傷沙汰があったのは間違いなかろうな」
 そう言って、八刀丸は眉をひそめた。
「愉快な想像ではないが、おぬしら、此処で人を斬ったとして、その死体をどうする?」
 八刀丸の質問の意味を、猟兵たちは理解していた。ここで飛脚たちを襲った下手人が居たとして、その行動をシミュレートする。深く悩むまでもない。落ちれば戻れぬような崖が、すぐそばにあるのだ。
「なんと、卑劣ですわ……!」
 瑠璃が下手人へ向けて怒りの声をあげて、それから崖下をのぞき込む。
 高さもさることながら、生い茂る草木に隠れ、下方はよく見えない。また、水が流れる音も聞こえ、助けを呼ぶ声もかき消されてしまうだろう。
「飛脚たちが無事だとして――」
 八刀丸が言った。
「水があるというのは救いじゃ。人間、水さえあれば、多少、長く生きながらえることができるしの。それに、足跡から見て、おそらく飛脚たちは馬連れ。最悪、馬を潰せば腹も満たせる」
「けれど、あまり猶予はありませんわね」
 瑠璃の言葉に、八刀丸が頷いた。
「――降りるぞ。異議はあるか?」
 ここにきて、逃げかえるはずもない。
 猟兵たちは頷くと、崖へと臨んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花菱・烈牙
【POW】

ラーメン!いいじゃないか!それを妨害なんてさせねぇぜ!

とりあえず、応急手当用の包帯とか薬等の医療具一式持参で峠道へ向かうぜ。
道中で何かあったと仮定した場合、周辺の立地から、事故にせよ盗賊等にせよオブリビオンの所為にせよ、何かあった時に気づかれ難い場所を特定。
事故で崖下に落ちたとか襲撃の可能性を更に考慮し、場所を更に絞り込んでその周辺を重点的に調べるぜ!

大事な催しの為、頑張ってくれてた飛脚達だ…せめて怪我くらいで済んでいて欲しいモンだが…。



「……! 居たぜ! 皆、こっちだ!」
 先陣を切って崖を降りていた、花菱・烈牙が仲間たちへと声をあげる。
 烈牙の目に飛び込んできたのは、崖の底、川辺に散乱する飛脚たちの死体であった。烈牙は急ぎ、しかし慎重に、地へと降り立つ。
 後続の仲間たちが下りてくるのを確認しつつ、烈牙は飛脚たちの死体へと駆けよった。落下による損傷はもちろんだが、刀によるものだろう、深い切り傷が見え、直接の死因はそれによる物のようだった。
「クソ……ひでぇな……!」
 烈牙が悔しげにうめきながら、あたりを見渡した。奇跡的な事ではあるが、もしも生存者がいれば……そう思ったのである。そして、猟兵たちのその想いが通じたのか。
「だ……誰か……」
 かすかに届く、助けを呼ぶ声。猟兵たちは慌てて、その声の方へと駆けた。
 陰惨な現場からわずか先、岩陰に隠れるようにして、一人の男がうずくまっているのが見えた。
「おい、無事か!?」
 烈牙が声をあげるのに、男は顔をあげた。ひどい顔色だ。かなり消耗しているのだろう。烈牙は男の体を確認する。傷をおってはいたが、幸いにして致命傷ではない。
「よし、大丈夫だ! すぐに助けてやるからな……!」
「荷……荷を……届けて……」
 飛脚の生き残りは、烈牙にそう告げると、意識を手放した。気絶したらしい。猟兵たちがあたりを確認すると、いくつかの俵が転がっているのを見つけた。破れてしまったものもあるが、ほとんどは無事だ。
「……まかせな。アンタらの仕事、俺達が引き継ぐ」
 烈牙は静かに、そう言うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『大江戸ラーメン勝負』

POW   :    麺はしっかり練らないと美味くならねえ、この練り棒を見てくれ、こいつをどう思う?

SPD   :    サムライエンパイアならではの食材を、調達して参りましょう。

WIZ   :    あの渡来人と拉麺の素性を調べれば、攻略法が分かるかもしれません。

👑11
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●都へ
 救出した飛脚を宿場町へと預け、猟兵たちは飛脚に託された荷物……小麦を、都へと運び込む。
 到着した都では、もうじき始まるという『ラーメン一番勝負』の話題で持ちきりであった。沸き立つ住民たちを見やりつつ、猟兵たちは地元の料理店へと、小麦を届けることができた。
「せっかく届けていただいたものですが……もう、無用のものとなってしまいました」
 料理店の看板娘は、申し訳なさそうに、猟兵たちへと頭を下げる。さてどうしたものかと事情を聴いてみれば、看板娘は悔し気に、こう告げるのであった。
「先日より、料理人たちが、突然、去って行ってしまったのです。恐らくは、『与太郎の店』の連中に脅されての事でしょう。唯一残った父は、それでもラーメンを作ると意気込んでいたのですが、暴漢に襲われて、利き手を折られてしまって……」
 なんと卑劣な妨害工作だろう。だが、直接的な物証は、やはり見つけられなかったのだという。このままでは、ラーメン勝負は『与太郎の店』の一人勝ちとなってしまう。
 ……となれば、猟兵たちがとる手は一つだ。
 ラーメンを、作る。『与太郎の店』のラーメンに負けぬような、素晴らしい味のラーメンだ。不正の物証が見つからない以上、正面から相手を打ち負かすしかあるまい……!
「あなた達が、ラーメンを……?」
 猟兵たちの提案に、看板娘は目を丸くし、次の瞬間にはボロボロと涙を流し始めた。やはり相当の心労がたまっていたのだろう。
「ありがとう……ありがとうございます……!」
 看板娘は、猟兵たちへと何度も頭を下げる。さぁ、彼女の期待に応え、『与太郎』なるものの野望を挫かなければならない。猟兵たちよ、究極のラーメンを作れ――!
百地・八刀丸
【WIZ】

敵を知らねば対策も立てられまいて
同じ方向性にするにせよ、別の方向から攻めるにせよ、な
先ずは与太郎とやらの店のラーメンを調べるとしよう

そうじゃな、実際に食べてみるのが一番であろう
最も、一番勝負に同じラーメンを出してくるかは解らんが……
ともあれ、麺の具合やスープや具材の方向性はそこまで変わらんじゃろう
それだけでも知れれば幸いとしようではないか

食べてみた感想はきちんと纏めて他の猟兵にも伝えようぞ

しかし不正を働くと言うても、店を出しているだけのことはあろう
よもや不味い、などと言うことはあるまい

ワシは取り敢えず、この店で最も出ているラーメンを食すとしようかの
楽しみじゃわい



「ほう? なんじゃ、旨いではないか」
 八刀丸は思わず、声をあげた。
 八刀丸が居るのは、まさに敵地――『与太郎の店』の中である。
 戦うためには、まずは敵を知らなければならない。そう言ったわけで、まずは敵情視察。相手のラーメンを食べに来たのだ。
 不正を働く相手である、果たしてどのような味のラーメンを出すのやら……とおもいきや、これがまた、美味い。
「これは……獣の脂か。トンコツというやつじゃな。スープも濃厚で、癖のある匂い。なるほど、これは殴られたような感覚じゃが、癖になるのも頷ける」
 『与太郎の店』のラーメンは、どろりとした濃厚なスープの豚骨ラーメンであるようだ。細麺に、具材はチャーシューやもやしと言ったオーソドックスなものであったが、後を引く味である。
「……だが、これだけうまいもんを作れるんじゃ。不正なんぞする必要もなかろうに」
 店の者には聞かれぬよう、小声でつぶやく。
 これは実際に店に来て分かったことだが、『与太郎の店』とはいうものの、実際にラーメンを作っているのは、また別の人間なのだという。地方から来たというその男は、今も厨房で必死にラーメンを作っている姿が見える。
 当の与太郎とやらは、店の奥に引きこもって姿が見えない。なんでも、その料理人の男に店や商売道具などを手配してやった、との事だが、この与太郎という男、評判はよろしくない。ガラの悪い渡世人とつるんでいる姿も見られるのだとか。
「なんじゃの。こりゃあ、悪い奴に引っ掛かったようじゃなぁ」
 ふむ、と八刀丸は腕を組みつつ、嘆息した。空になったどんぶりに視線を落とす。
「……もう一杯、行くか。なぁに、敵情視察、敵情視察」
 と、八刀丸はもう一杯ラーメンを平らげたのちに、仲間たちへ情報を共有したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

沢木・助平
■POW

凄く…大きいです…(練り棒)

さておいて。
ラーメンはスープもこだわりたいとこっすけど、先ずは麺でしょ!
クソデカい練り棒的なもんをチャチャッと作って準備。
そんでもって…機械全然ねぇじゃん。流石はエンパイアだわ。

気を取り直して人力車こと荷車ちゃんで【ビルドロボット】!
屈強な柔道部員のような木造ロボに変形!
…仕上がりに満足はいかねぇー。自分がいっそ文明開化させちゃろかな。

ま、それは今度やるとして。
麺をとにかく練る!練る!練る!練れば練るほど美味くなる!
もう一丁!もう一丁!(バシーンバシーン)

イイ感じになったら最高の麺の素の出来上がり。
あとは料理上手に任せましょ。
自分は…ラーメン食べいこーっと!



 さて、麺はしっかり練らないと美味くならねえ、この麺棒を見てくれ、こいつをどう思う?
「凄く……大きいです……」
 さておいて。
 ラーメンは麺料理である。何はなくとも、麺がなければ始まらない。飛脚たちが運ぼうとし、そして猟兵たちが引き継いだ小麦。それを利用した、麺づくりを、猟兵たちは始めたのだが。
「うーん……機械全然ねぇじゃん。流石はエンパイアだわ……」
 特大の麺棒片手に、助平はぼやいた。助平のユーベルコード、『ビルドロボット』は、無機物と合体してロボへと変形する能力を持つのだが、特に【自動車】と合体した時に、その最大効果を発揮する――のだが、肝心の自動車が見当たらない。走ってない。
 うーん、と唸りつつ、助平は頭に手をやって、あたりへ視線を巡らせた。なんかないか。なんかないか。あった。人力車。荷車。これも車だ。
 さっそく助平は、『ビルドロボット』の使用を試みた! 分解された人力車が助平へと取り付き、瞬く間屈強な柔道部員のような姿へと変形! 特大麺棒をぐわり、と振り回す!
「……満足いかねぇー。自分がいっそ文明開化させちゃろかな」
 とはいえ、いまいちしっくりこないようである。だが、今はその気持ちは置いておいて、助平は麺を打ち始めた。
 麺と言えば、コシである。それは力強く、丁寧に打つことによって生み出される。
 助平は、そのエネルギーを全開に小麦粉を練り、小麦粉を練る! 叩いて、伸ばして、また叩く。
「ふぅ……こんなもんっすかねぇ」
 やがて、しっかりと練り上げられたタネが出来上がった。後はこれを好みの長さに切り、ゆで上げるだけだ。
「あとは料理上手な人にお任せして」
 その出来栄えに、満足げに唸ってから、
「自分はラーメン食べに行くっす!」
 と、助平は言うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

小野・遠里
・POW

ラーメンは別世界(キマイラフューチャー)でも食べた事はありますが、製法としてはほとんどうどんと変わらないはずです。
どちらも原料は小麦、練る前に入れる水こそがうどんとラーメンの違い…故に基礎は同じ!しっかりと練る事によって良いコシが出る…
(ここまでずっとユーベルコード「着信あり」で電波を受信中)
さあ、力の蓄えは十分ですね。さあ、力いっぱい練りましょう!
その間に、ラーメンにあう食材の調達を待ってますね。

(ビターン)(バターン)(ドゴーン)(バチーン)(ウボァー)(ヴォーイ)(グォゴゴゴ)(バァァァン)

…練るような音じゃない?気にしてはいけません。
ひとまずこれで…ざっと243人分でしょうか?



 ビターン……バターン……ヴォーイ……ビターン……ドゴーン……ウボァー……グォゴゴゴ……。
 調理場より、奇怪なる音がこだまする。果たして一体、何事かと中を覗いてみれば、そこには気合充分と小麦粉を練る遠里の姿があった。どうやらこの音は、麺を練る音であったらしい。どうしてこんな音が……。
「ラーメンは別世界(キマイラフューチャー)でも食べた事はありますが、製法としてはほとんどうどんと変わらないはずです」
 額の黒曜石の角の先端から、謎の電波をぴぴぴと受信しながら言う遠里。それは、ユーベルコード、『着信あり(ユーガットメール)』の効果だ。
「どちらも原料は小麦、練る前に入れる水こそが、うどんとラーメンの違い……なるほど。故に基礎は同じ! しっかりと練る事によって良いコシが出る……!」
 時折変な情報が着信するらしいが、今回はまともな情報であったらしい。にこり、と微笑み、力いっぱい、麺を練る。
 ビターン……バターン……ヴォーイ……ビターン……ドゴーン……ウボァー……グォゴゴゴ……。
 時折麺を練る音とは明らかに違うものが聞こえるが、すべて麺を練る音なのだ。どうして。
「気にしてはいけません」
 あ、はい。
「さておき……これでざっと、243人分。具材やスープはほかの皆さんに任せるとして、まだまだ麺を作らないといけませんね」
 ふぅ、と少しだけ一息ついた後、遠里は再び、麺との格闘を始めるのであった。
 ビターン……バターン……ヴォーイ……ビターン……ドゴーン……ウボァー……グォゴゴゴ……。
 やっぱり時折、変な声が聞こえるよぉ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
UDCの歴史で考えればこの時代に豚骨とか相手が反則に近い内容ですし
此方も枠を外れた手段で無いと勝ち目は薄いでしょうね


SPD
農家や漁師に天下自在符で協力を仰ぎます
傷みやすい卵や魚介類を運ぶのはバイクで行えば
協力者の規模や鮮度の確保という点で与太郎サイドへ有利な差をつけられると思ってます
料理自体は私は苦手なので肝心のスープは後続の猟兵にお任せしますが…
…まぁワンタンやギョウザくらいなら作れます
練った小麦を延ばして刻んだ具を包んで蒸すか揚げるかだけですし
スープに合わせられるように種類を複数考えて用意しておきますね



(最悪全てぶっ込んで次郎系を…
(いや、よそう 私の勝手な推測でみんなを混乱させたくない…



「――ご協力、ありがとうございます」
 ベルベナ・ラウンドディーは、『【宇宙バイク】 V-RAXX』へ、受け取った荷物をしっかりと積み込む。
「おう! ラーメン勝負頑張れよ!」
 と、漁師の男が笑いながら言う。ベルベナは静かに頷いて、バイクを発進させた。
 ベルベナは、近郊の漁師や農家の人間に協力を求めた。ベルベナの説得により、彼らは快く協力を申し出てくれた。
「協力者の確保。そして材料の鮮度。首尾は上々……ですね」
 バイクに積み込まれた荷物へと視線をやりつつ、ベルベナは機嫌よさげに呟く。与太郎サイドへ一つ、大きな差をつけられたと言ってもいいだろう。あとは、協力してくれた彼らの思いにこたえるためにも、しっかりとやらなければならない。
「たしか麺の方は作っていて……次はスープですね。それは料理得意な方にお任せするとして、私はワンタンか餃子でも作るとしましょう」
 ベルベナをはじめとする、猟兵たちの活躍により、活路は確かに見えてきた。あとは、この道を走るのみだ。
「しかし、これだけの素材。最悪、全部ぶっ込んで……」
 ふと、ベルベナが呟いた。思い描くのは、山のように具材を乗せたラーメン……。
「……いや、よそう……」
 ベルベナはその想像を打ち払うように、頭を振るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

沢木・助平
■WIZ

やっぱねー文化が違うからか塩気が足らないよね、エンパイアラーメン。
とりま与太郎さんの店も行ってみたっす。

まー変わった服の眼鏡美少女相手じゃろくな話も聞けないわけで。
ということでこっそり仕込んでましたよ、自慢のガジェットショータイム。

今回のビックリドッキリガジェットはこいつ!
「自立行動型小型情報収集ガジェット白服軍団」!
こいつらは人目につかず与太郎さんとこの情報調べてきてくれてるって代物。
白い理由はほら。目端に誰か捉えてそれが黒いと…あれっぽいじゃん?
沢木ちゃんなりの配慮。

ちゅーことで、白服ちゃん達の集めてきた情報にオブリビオンの手がかりがありゃー万々歳っすね。
で、どれが誰だっけキミら?



「やっぱねー文化が違うからか塩気が足らないよね、エンパイアラーメン」
 と、ほくほく笑顔で帰ってきたのは、助平だ。『与太郎の店』のラーメンを試食してきたわけだが、やはり充分以上に美味い。
「正面からぶつかるのもいいっすけど、ここはやっぱり『からめ手』が必要っすよね。ラーメンだけに。というわけで――」
 助平が指をパチン、とならせば、どこからともなく小さな白い小人のようなものが、わらわらと現れた。
「こいつが今回のビックリドッキリガジェット! 『自立行動型小型情報収集ガジェット白服軍団』!」
 助平のユーベルコードにより生み出された、小さな白服たちが、一斉に礼をする。ちなみに白服なのは、『黒服だと、こう、ふと視界の端に映った時に、黒くて高速で移動する物体って……なんか……アレじゃん……』という、助平の配慮によるものである。飲食店にこの配慮は実にありがたい。
「ってわけで、さっそく報告を聞いちゃおっかな! まずは一号から……あれ、キミ一号っすよね? あれ? っていうか、どれが誰だっけ、キミら……」
 さておき。
 彼らからもたらされた情報によれば、まず与太郎という男がオブリビオンであることは間違いないようである。
 飛脚たちを襲った渡世人、彼らを雇ったのも、与太郎で間違いない。ちなみにこの渡世人たちは、報酬を出し渋った与太郎の手で皆殺しにされたようである。
 ラーメンを作る料理人は、地方から出てきた一般人であり、今回の件の裏には、関わっていないようだ。与太郎の狙いは、料理人を世話すると言って、彼から売り上げを巻き上げて自分は遊び惚ける事で、料理人は都に出てきて右も左もわからぬところを騙されたのだろう。
 料理人は世情には疎いが、料理の腕は確かである。店のラーメンの特徴である『豚の骨を使って濃厚なダシをとったスープ』の作り方は、与太郎がどこぞより仕入れてきた知識らしい。この、都の人間には新しい味のスープと、料理人の確かな腕で、人気は維持されているようだ。
 ついでに、この店のラーメンのレシピについても、入手することができた。これをどう使うかは、猟兵次第である。

成功 🔵​🔵​🔴​

小野・遠里
【SPD】
ふむ、具材集めは難航しているようですね…。
わかりました、面も打ち終わったことですしそちらにも協力しましょう。
私の実家(現代で言う大阪)の周りなら、きっと合う食材が見つかるはず…。海も近いので海産物の流通も結構ありますし、何より天下の商都、各地から様々な食材も集中していることでしょう…。

【お買い物リスト】
・昆布
・海苔
・ねぎ
・肉(種類は問わず、色々)
・塩
・しょうゆ
・その他もろもろ

とにかく見つかる分だけ、しっかりと買いましょう。余り値切り交渉は得意ではありませんが、なけなしのお給金を削り過ぎないように…。

さて、どうやって持ち帰りましょう?台車みたいなのもついでに調達しましょうか…。



「昆布と、海苔……ねぎも買いました」
 台車にいっぱいの荷物を載せて、遠里は街を行く。
 一度、都から離れた遠里は、自らの実家へと向かい、近辺の、いわゆる商都とでもいうべき場所へと赴いた。目的は、ラーメンの具材集めだ。
「ふふ。流石にここなら、色々とそろいますね……値切り交渉が難点ですが」
 苦笑を浮かべながら、遠里が呟く。相手は海千山千の商人である。それを相手とする値切り交渉はあまり得意ではないが、なけなしの資金を、相手の言うがままに浪費するわけにはいかない。
 とはいえ、目的のものは、確実に揃いつつある。台車には荷物が満載されているが、それすら軽く感じるというものだ。
「ラーメン作りも佳境。もうひと頑張りです」
 少し微笑んで、遠里は手にしたメモへと視線を落とした。ええと、と呟き、
「次は……お肉、ですね。確か、こっちの方に安くて質の良いお店があったはず……」
 遠里は道筋を頭に思い浮かべながら、台車をひくのであった。

 さて、猟兵たちのラーメンは、見事に完成した。
 麺は、力強く打たれた、コシの強い麺である。しっかりとした歯ごたえが、心地よく反発を返す。
 それに絡みつくスープは、元々街の衆が出そうとしていた醤油スープを改良したものだ。新鮮な魚介類のダシをベースにし、あっさりとしながらも深い味を実現している。
 ラーメンを彩る具材は、定番ながら、それ故に完成されたものと言えるだろう。ぱりぱりのノリに、チャーシュー。スープの中には、ワンタンも浮かぶ。
 さぁ、準備は整った。あとはこのラーメンで、敵を迎え撃つのみ――!

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『遊び人の与太郎』

POW   :    酒狂
【酩酊状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    博徒
【賽を二つ振って出た目】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【出目×100枚の一文銭を降り注がせること】で攻撃する。
WIZ   :    女衒
【絶世の美女】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠上崎・真鶴です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●陰謀の瓦解
 かくして、ラーメン一番勝負、当日――。
 多くの客が押し寄せる中、出店したのは与太郎の店、そして猟兵たちがバックアップする、地元衆の店の二店だけだ。
 与太郎の店のラーメンは、濃厚、かつ、こってりとした豚骨ラーメン。
 対する地元衆の店のラーメンは、あっさりとした醤油ラーメン。
 審査員となるのは、実際にラーメンを食べる、客――街の衆たちだ。
 果たして、決戦の火ぶたは切って落とされた。与太郎の店のラーメンは人気であったが、地元衆のラーメンも決して負けてはいない。
 多くの客が入り乱れ、最終的に街の衆たちの舌を掴んだのは地元衆のラーメンであった――。

 結末を見届けた猟兵たちは、喜びと快哉に沸く会場を静かに後にし、与太郎の店へと向かった。猟兵たちが到着すると、其処には悪態をつきながら、夜逃げの準備をする男――与太郎の姿があった。
「げぇっ! て、テメェら、地元衆に肩入れしていた……畜生、猟兵か!」
 敗北した自身の料理人へ、あっさりと見切りをつけたのだろう。あるいは、自身の悪行が明るみに出る前に、次の稼ぎ場へ行こうとしたのかもしれない。
 だが、そうは問屋が卸さない。
「直接戦うってのは性に合わねぇが、こうなっちまったら仕方ねぇ! かかってきやがれ!」
 さぁ、最後の仕上げだ! このオブリビオンを討伐し、勝利を掴め!
ミーヤ・ロロルド
にゃにゃーー!! こんな美味しいラーメンを使って悪さをするなんて、酷いやつらにゃ!!

さっきまで食べてたラーメンスープが口元についているが、やる気はバッチリ!!
メインは得意のSPDで、相手を翻弄させつつ。
逃げようとする与太郎を追跡でバッチリ捕捉したのち、ガジェットショータイムで足下を氷の属性をつけた弾で撃って動きを鈍らせます。
「与太郎は、ミーヤがここで倒すにゃ!! そして、ラーメンのおかわりをいっぱいもらうにゃんよ!!」
あたまの中には、勝った暁にもらえるだろう、ラーメンのおかわりのことでいっぱい……みたいです。

※共闘・アレンジ大歓迎です!



「逃がさないにゃよ、与太郎!」
 ミーヤ・ロロルドがすかさず放つ、ガジェットの一撃。
 今回は銃のような形状をしたそれの引き金をひけば、冷凍弾が発射されて、着弾した地面を次々と凍らせていく。与太郎の足元、そして移動先を狙い、凍り付かせることによって、
「くそっ、歩きづれぇったらねぇ!」
 その移動力を大幅に低下させる。与太郎は忌々し気に舌打ち。ミーヤはその様子に、さらにガジェットの銃口を向ける。
「観念するにゃ。与太郎は、ミーヤがここで倒すにゃ!! そして、ラーメンのおかわりをいっぱいもらうにゃんよ!!」
 そう言うミーヤの口元には、先ほどまで食べていたラーメンスープが少し、ついている。その味を思い出して、ミーヤは瞳をキラキラと輝かせた。
「ラーメン食いてぇんなら、俺っちの事なんざ放っておいて食って来いよ!」
 叫びつつ、与太郎はサイコロを放り投げた。ユーベルコード、『博徒』だ。出た目の数×100枚の一文銭を召喚して発射、攻撃する、と言う業なのだが……。
「げぇっ、ピンゾロ!?」
 出た目の数は、共に1……召喚される一文銭も、最低枚数の200枚だ。それでも何とか発射し、猟兵たちを狙う。
「食べ物を利用するから、神様に怒られてるのにゃね!」
 しかし、ミーヤのガジェットがきらめき、次々と冷凍弾を撃ち放った。それにより一文銭は次々と凍り付き、空中で勢いを失い、落下していく。
 ミーヤはガジェットの銃口へ、ふぅ、と息を吹きかけるしぐさをしてから、その銃口を与太郎へと向けた。
「あんな美味しいラーメンを使って悪さするなんて、ひどい奴にゃ! これからお前をお仕置きして、そして勝利のラーメンタイムにゃ!」
 ミーヤの宣言と、ガジェットより放たれる冷凍弾の冷気――それは与太郎に、大量の冷や汗をかかせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オックスマン・ポジクラーシャ
遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ。
ラーメン。なるほど、聞いた事があるぞ。祈りの言葉だ。
何を祈るのかは知らんが俺のする事は決まっている。
オブリビオンは破壊する!

ふむ……女か。女の陰に隠れて何を企んでいるのか……
だが関係はない。
そのユーベルコードは俺の言霊によって破壊する!

今回の俺の立ち位置は破壊者。
邪魔するものは誰であろうと破壊する!
それが嫌ならば遅れずに去れ。

他者の陰に隠れるような奴ではあるがオブリビオン。
相手が一人になろうと俺に油断はない。

今こそその力を放て、漆黒剣。
漆黒の風は渦を巻き、全てを破壊する!
祈りの時間さえ与えはせんぞ。



 オックスマン・ポジクラーシャが、『漆黒剣エタルゾ』を振るう。巻き起こる旋風。漆黒の衝撃波が、地を抉りつつ与太郎へと迫る。
「ひ……ひいっ!」
 悲鳴を上げつつ、与太郎は無様に転がりながら、衝撃波から逃げ回る。だが、直撃せずとも、決して浅くはない傷が、与太郎の身体に刻まれていった。
「ラーメン。確か祈りの言葉だったな」
 超重量の刃を、しかし軽々と振り回しながら、オックスマンは言う。
「だが、貴様には祈りの言葉を唱える時間は……与えん!」
「ラーメンは食いモンだよ、畜生!」
 半ば泣き声をあげつつ、与太郎は大きく息を吸い込むと、
「おい、ヤエ!」
 と、叫んだ。それは女性の名前だ。何が狙いか――だが、オックスマンは敵の狙いを察していた。
「ふむ……女か。確かお前のユーベルコードだったな。祈りの言葉で神にすがり、女にすがり……つまらん男だ」
 オックスマンの、兜の奥の赤い瞳が、炎のごとく輝き、揺らめいた。与太郎に負けじとばかりの大音声で、叫ぶ!
「そのユーベルコードは俺の言霊によって破壊する! 俺の役目は……破壊者! 邪魔するものは誰であろうと破壊する!」
 その叫びは、敵の力を破壊し、縛り付ける枷となる。与太郎の叫びは、より強気言霊によって打ち消され、その救いの声を届かせることは無い。
「ば、馬鹿なぁ?!」
 自らの声がかき消されたことに気づき、与太郎が裏返った声の悲鳴を上げる。
「お前の言葉など、もはや何者にも届かぬと知れ。さぁ、裁きの時だ。オブリビオンは破壊する!」
 オックスマンの言葉とともに放たれた黒い衝撃波は与太郎を捉え、その腕に深い傷を負わせるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

徳川・家光
余のエンパイアで、偉大なるラーメンを悪事に利用するなど……無類のUDCアース好きであるこの徳川家光、断じて許さぬ!

羅刹大伽藍にて、くだらぬ陰謀悪辣全て、剛力で叩き潰してくれよう!

酩酊した動きで行動を読ませないというのなら、こちらは巨大化した伽藍の拳で、行く先全て、まとめて叩き潰します!攻撃範囲が広いため威力は劣りますが、地形を崩し、敵の逃げ場を防ぐ目的も、この一撃にはあります。


百地・八刀丸
年貢の納め時じゃな、与太郎殿よ

「与太郎の店」のラーメン、「地元衆の店」のラーメン
どちらも良い味。甲乙付けがたい
次に勝負すればどちらが勝つか、またこれも解らぬ

じゃがな……
裏から手を回し、料理人の矜持にすら傷をつけた御主は別よ
御主に次はない。ここを以て行き止まりじゃ
ラーメンと、悪人の命。のびては不味いと言うものよ!

姓は百地、名は八刀丸。字を七刃斎、いざ参るッ!

ほう、酔拳……いや、違うか?
ともあれ厄介な動きをしよる。ならば……

両脚の短刀を鞘ごと引き抜き、別々の方向で独楽のように回転させてやろう
「速く動く物」に反応するのであれば、その短刀よりも遅く動けば良い
この背の黒刀でその身を一突きにしてくれよう


アレクシア・アークライト
「骸の海から蘇ってまでやっていることが、他者を陥れての金稼ぎってわけ?」
「ちょっと痛めつけてさようなら、って言いたいところだけど……」

「貴方が殺してきた人達の痛み、苦しみは味わって貰うわ」

・UCを発動して四肢を掴み捻り上げ、サイコロと徳利を取り上げる。

「ラーメンが好きなのよね? 私、あまり詳しくはないんだけど、材料をこねて伸ばすんだったかしら?」

・こねて伸ばす。

「溜め込んだお金は貴方が殺してきた人達の弔いに使ってあげる」
「だから――安心して死になさい」


小野・遠里
ラーメンを利用して人心・人命を弄ぶどころか、上様の御手まで煩わせるとは…その不届きを許すわけには行きません。私の最大限の力をもって、葬るとしましょう。

「西南を護りし神獣の従者よ、迷える時空の異形達を其の叫びで薙ぎ払い給え……『未・申・召・喚』!」
ユーベルコードで故郷の社の御神体に変身、これで相手の攻撃を軽減しながら、攻撃します。(これを使う事、それは彼女の怒り度が高い証拠)
例え集団で来ようとも、破壊の咆哮で一網打尽に、そして落雷で与太郎を狙い撃ちです。

食べ物の恨みは恐ろしいと言いますが、ラーメンを利用して人々を陥れていた貴方に向けられたこの恨み…正に自業自得でしたね。
(味噌ラーメンすすりつつ)



「畜生、何でこうなるんだよ!」
 悲鳴に近い声で悪態をつく与太郎へ、八刀丸は肉薄する。
 放たれる、『小太刀【白鞘雌鳥】』による斬撃――与太郎は、それを這う這うの体でかわすが、完全にかわしきれたわけではなく、その身体に浅く傷を作り上げる。
「『与太郎の店』のラーメン、『地元衆の店』のラーメン。どちらも良い味じゃった。甲乙付けがたい。次に勝負すればどちらが勝つか、またこれも解らぬ。じゃがな……」
 静かに、八刀丸は告げる。射すくめるような眼差しに、与太郎はたまらずつばを飲み込んだ。
「裏から手を回し、料理人の矜持にすら傷をつけた御主は別よ。御主に次はない。ここを以て行き止まりじゃ。ラーメンと、悪人の命。のびては不味いと言うものよ! 年貢の納め時じゃな、与太郎殿よ!」
「うるせぇ! なにが矜持だ下らねぇ! それに俺っちは年貢なんざ払ったことはねぇし、これからも払うつもりはねぇんだよ!」
「――ほう。それは聞き捨てなりませんね」
 与太郎の言葉に、別の猟兵の声が上がる。忌々し気にそちらへと視線とやった与太郎は、たまらず、あんぐりと口を開けた。
「……ハァ!? 徳川の将軍!?」
 声の主――徳川・家光の姿を認めた与太郎が、裏返った悲鳴を上げる。
「余のエンパイアで、偉大なるラーメンを悪事に利用するなど……無類のUDCアース好きであるこの徳川家光、断じて許さぬ! 加えて、今証言した脱税の罪、如何ともしがたい!」
 家光が、左手の小手――『羅刹伽藍手』を掲げる。ぎくり、と身を震わせた与太郎は、懐より酒瓶を取り出した。慌ててその蓋を、口で噛み開けて、一気に中身を煽る。
 与太郎のそれは、錯乱した故の行動ではない。一気に酒を煽り、酩酊状態に陥ることで身体を強化するという、与太郎のユーベルコードの発動を目的としたものだ。
 『羅刹伽藍手』。その小手が輝くとき、将軍は異形のからくりと化し、悪を滅する――その噂を思い出した与太郎の、とっさの判断であった。
 さて、与太郎の判断は正しかった。家光の小手が輝くや、与太郎の店の建物と合体。いわば、『羅刹大伽藍(ラセツダイガラン)』ラーメンモードとでもいうべき巨大なロボが、その姿を現したのだ。
「余の羅刹大伽藍にて、くだらぬ陰謀悪辣全て、剛力で叩き潰してくれよう! 成敗!」
 大伽藍の巨大な拳が、与太郎へと振り下ろされた。だが、酩酊状態に陥った与太郎は、先ほどまでの無様さとは打って変わった俊敏なる動きで、それを避けて見せる。
「酔拳とやらか……? いや、違う……だが面妖な動きよ」
 その動きに、にぃ、と笑い、八刀丸は両脚に差したの短刀、『短刀【西風】』と『短刀【東風】』を抜き放ち、ひとつ、ふたつと、高速で投げつけた。鋭く回転するその短刀は、しかし与太郎の身体を捉えることはできない。大伽藍の拳も天より振り下ろされるが、しかし与太郎は異常な身のこなしで、それすら容易に回避して見せた。
 理性と引き換えに得られるその身体能力は、なるほど、驚異的と言えるだろう。その身のこなしで、猟兵たちと見事に渡り合って見せたのだ――表面的には。
「でも、残念ね。そこまでよ」
 静かに、アレクシア・アークライトの声が響いた時、与太郎はその身をぎくりと硬直させた。
 確かに、与太郎のユーベルコードによる身体強化は驚異的だ。まともにぶつかれば、猟兵たちとて負けないにしても、それなりの損耗はあっただろう。
 故に――猟兵たちは、最初から力でねじ伏せようなどとは思ってはいなかった。
 つまり、八刀丸の攻撃も、家光の攻撃も、その目的は、与太郎の動きを制限して逃げ場を失わせることにこそあったのだ。
 そして今、アレクシアの『念動力(サイコキネシス)』が、袋のネズミとなった与太郎を、捕えたのだ。
「骸の海から蘇ってまでやっていることが、他者を陥れての金稼ぎってわけ? ちょっと痛めつけてさようなら、って言いたいところだけど……」
 アレクシアは、冷たく、そう言った。
「貴方が殺してきた人達の痛み、苦しみは味わって貰うわ。……ラーメンが好きだったのよね? 私、あまり詳しくはないんだけど、材料をこねて伸ばすんだったかしら? こんなふうに――」
 アレクシアがその手を振るうと、与太郎は念動力により高く持ち上げられ、そのまま地へと勢いよく叩きつけられた! 衝撃で、とっくりとサイコロが懐から放り出され、
「いてぇーっ!!」
 たまらず与太郎が悲鳴を上げる。図らずしも、与太郎の手先により切り伏せられ、崖下に転落させられた飛脚たち、その苦しみと痛みを、今与太郎は味わったことになる。
 アレクシアは、再び念動力で与太郎を持ち上げ、放り投げる。一時、自由の身となった与太郎は、しかしすぐにその身体を拘束されることになる。
 与太郎の身体を掴んだのは、『羊の様な体毛を持った巨大な霊長類』――ユーベルコードにて姿を変貌させた、遠里であった。
「ラーメンを利用して人心・人命を弄ぶどころか、上様の御手まで煩わせるとは……その不届きを許すわけには行きません……!」
 静かに……しかし、確かな怒気を含んで、遠里は言う。その姿は、遠里の故郷、その社の御神体の姿であり、遠里がこの姿をとるという事は、すなわちその怒りが高い事を示しているのだ。
「その報い、今ここに受けなさい!」
 遠里が与太郎を、再び空中へと放り投げた。もはや抵抗する力も残されていない与太郎は、なすがままに宙を舞う。
「ち、ちくしょう……覚えてやがれ……」
 悔しげに悪態をつく与太郎。しかし、それをかき消すかのような遠里の咆哮が響き渡り、それによって呼び寄せられた落雷が、与太郎の身体を激しく打ち貫いた。
 与太郎の肉体は消滅し、骸の海へと還る。
 猟兵たちが、多くの人々の無念を晴らした瞬間であった――。


 かくして、猟兵たちの活躍により、悪は去った。
 失われた命、そして傷ついた人々も確かにいたが、しかし今、その無念も晴れた事だろう。
 そしてエンパイアのこの街には、料理人たちと、地元衆の希望から『猟兵ラーメン』と名付けられた新たな名物が生まれ、街の人々のソウルフードとなっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月08日


挿絵イラスト