●???
「フフッ……、フハハ!」
紅蓮の髪と複数の腕を持つ鮮血鬼アルバは、自身の城で愉快そうに笑っていた。
その様子を、1羽の梟が首を傾げながら静かに見つめる。
『何が、そんなに面白い?』
「ん? あぁ、この間の事が非常に愉快に思えてなぁ」
『この間、とは?』
大きな丸い目をパチクリとさせながら問う。
このダークセイヴァーにおいて、時間という概念は希薄だ。だから、「この間」という言葉がいつを指すのか、梟には見当が付かない。
「闇の救済者と名乗る馬鹿どもが、領主を倒しただろう? あれを見て、俺様も奴らと戦争をやってみようかと思ってな」
『あぁ……』
梟は納得し、大きく頷いて見せる。
鮮血鬼アルバは戦闘狂として知られている人物ではあるが、最近は退屈しているようだ。
『(このダークセイヴァーにおいて、強者など腐るほどいるが。趣味で同士討ちや同族狩りを行う者はあまりいないからな)』
かと言って、奴隷達ではアルバを満足させる事は出来ない。
「最近、現れるようになった猟兵って奴らも、どのタイミングでやって来るかよくわかんねぇしなぁ」
『それなら一層、戦争ついでに誘き寄せれば良い。きっと、大きな戦いの気配に誘われて、姿を現す事だろうよ』
「なるほどな〜。それじゃあ早速、闇の救済者って奴らが解放した村の1つから潰しにいくか」
アルバはそう言うと、梟を指差した。
「お前が最初に行け。村を蹂躙しまくれ。そんで、闇の救済者か猟兵が現れたタイミングで包囲しろ。俺様は見晴らしの良い所でその様を見てから行く」
『……わかった』
梟は小さく溜息を吐くと、音もなく飛び立った。
●グリモアベースにて
「皆様、紋章持ちのオブリビオンとの戦い、お疲れ様でした」
ナノ・ナノン(ケットシーの聖者・f18907)は、猟兵たちに深々とお辞儀した。
「少し危険な予知がありましたので、皆様にご報告致します」
少し危険な、という言葉に、一部の猟兵たちの表情が硬くなる。
「闇の救済者の方々が解放した領地を狙って、一部のオブリビオンが動き出そうとしています」
というのも、ダークセイヴァーにおいて、オブリビオン達は自身の支配が今だ盤石であると信じて疑っていない。
猟兵たちが姿を現すようになっても、その現状はあまり変わっていないという。
「だからこそ、向こうから積極的な行動を起こすことはありませんでした」
しかし、今回の事件は違う。
「敵のターゲットは、明らかに私たち猟兵です。私たちを誘き寄せるために、大々的な戦を起こそうとしています」
手初めに、闇の救済者たちの手によって解放された村の1つが狙われたようだ。
「幸いにも、敵は此方の【予知】については知らないようです。誘き寄せられたフリをして、逆に殲滅致しましょう」
ナノンはそう言うと、グリモアを宿した杖を取り出した。
「最初は1体のオブリビオンが村を襲撃して来ますので、撃破してください。その後、村を包囲する形で大群が襲撃して来ます。全てを倒し終わるタイミングで黒幕が現れますので、討伐してください」
転送用の魔法陣の準備が整う。
「くれぐれも、お気をつけて」
猟兵たちはナノンに見送られ、次々と魔法陣に飛び込んだ。
柚子胡椒
こんにちは、柚子胡椒です。
今回はダークセイヴァーの戦闘シナリオとなります。
以下、補足説明です。
第1章、ボス戦『外神禍梟』
村人の避難が間に合わず、敵が村人を襲撃している所から始まります。
敵は、鈍色の空に隠れて音も無く飛来し、腹部の無数の腕に触れた物を無差別に掴んで奪ったり、呪いを振り撒いたりします。
第2章、集団戦『仮面の戦士』
村人の避難が完了したタイミングで、集団戦に突入します。
敵は、顔を覆う重厚な仮面と、全身を覆う鎧を身に着けた戦士たちです。
第3章、ボス戦『鮮血鬼アルバ』
よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『外神禍梟』
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POW : 空から無音で掴み来る
【腹部の無数の腕の中に取り込む事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 無数の呪いを地に撒く
レベル×5本の【敵を追い続ける、呪い】属性の【切断した腕】を放つ。
WIZ : 禍なる腕ですべてを穢す
【腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【魂を穢す呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。
亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」
動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。
また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。
なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。
依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。
イルヴァ・ヘレナ(サポート)
年齢不詳の全身鎧の男です。
普段の口調は「不愛想(俺、呼び捨て、言い切り)」。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、どのような怪我でも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、依頼の成功のためなら賄賂等多少の悪事もやります。
チヒローズ・イッシー(サポート)
自由都市を故郷に持ち、本人も自由を愛する女性です。
戦闘では指定したユーベルコードを状況に応じて使い、人々の自由を取り戻す為に皆さんと力を合わせて戦います。
オラトリオの聖者×プリンセスということで、もしよければキラキラっとした華やかな戦闘演出を描写していただけると嬉しいです。
口調はステータスシートの通り、「なの、よ、なのね、なのよね?」という感じの優しく人当たりのいい女の子といった感じの喋り方です。
一人称は「私」、二人称は基本的に年齢や男女を問わず「さん」付けの呼び方です。
あとはマスターさんにお任せします。よろしくお願いします!
●
「享楽の為に戦を望むとは……」
なんと、哀れな存在であろうかと、厳・範(老當益壮・f32809)は盛大に溜息を吐く。
「ならば、制裁されても文句は言えまい?」
厳は雷公鞭を構えた。
目の前で巨大な梟が1羽、音もなく飛び回っている。
「アレが最初の敵、『外神禍梟』なのよね?」
チヒローズ・イッシー(オラトリオの聖者・f20852)は、気品のある仕草で指差した。
腹部から生えた無数の白い手が地上に向けて伸ばされ、逃げ遅れた村人たちを襲っている。
「……」
その様子を、イルヴァ・ヘレナ(寡黙な全身鎧の重戦士・f35309)は静かに見ていた。
外神禍梟は、魔法陣から飛び出して来る猟兵たちには見向きもせず、村人を追いかけ回している。
イルヴァはロケットペンダントに軽く触れてから、【イルヴァの大剣】を構えた。
「……あの白い手を斬り落とす」
「ならばわしは、この雷公鞭で敵の動きを封じよう」
「だったら、私が村人の保護をするわ。怪我も治してあげるね」
3人は、それぞれの役割を全うすべく走り出した。
●
村に転送された猟兵が出来るだけ被害を抑えようと奔走している中、敵は鉛色の空に同化して音もなくやって来た。
チヒローズはまず初めに、目眩ましに空飛ぶ謎のハート【プリンセスハート】を撒き散らした。
大小様々な鼓動するハートは、村人たちを敵の目から隠し、その間にチヒローズが避難誘導していく。
「ここは、大丈夫かしら?」
途中、逃げ遅れた者は居ないかとチヒローズが建物を一つ一つ覗き込んでいると、突如白い手が現れ、建物を掴み上げてゆく。
白い手は建物は軽々と空へと持ち上げると、中身を出す様に降り回しては投げ捨ててゆく。そしてまた一つ、チヒローズの目の前で家が持ち上がる。
「待って! 子どもがまだ中に居るの!!」
「えっ!」
遠くから悲鳴のような声が聞こえ振り向くと、真っ青な顔で此方に走って来る女性の姿が目に入った。
白い手は家の中に別の手を突っ込むと、グシャグシャと掻き回し、子どもを掴み出した。
『禍なる腕で、すべてを穢す……』
空から気味の悪い声が響くと次の瞬間、白い手が子どもを放り投げた。
女性の悲鳴が聞こえる中、チヒローズはプリンセスハートを足場に一気に駆け上がり、咄嗟に子どもに手を伸ばす。
「掴まえた!」
子どもを抱きしめたまま地面に着地したチヒローズは、すぐに子どもの顔を覗き込んだ。
子どもは『魂を穢す呪い』のせいで鼓動は弱まり、虫の息だった。
「そ、そんな……」
女性が、その場に泣き崩れる。
「大丈夫よ、私ならこの子を救えるから」
チヒローズは両手を組むと祈りを捧げ、【生まれながらの光】を発動した。
天から聖なる光が差し込み、子どもの体を優しく包み込む。やがて白い頬がピンク色に変わり、呼吸が力強いものになる。
「良かった……、ありがとうございます」
女性は涙ながら礼を述べ、子どもを抱く。
チヒローズはニッコリと微笑むと、女性と子どもを連れてその場から離れた。
●
「さてと、まずはあの気味の悪い白い手を、何とかせねばな」
本来、脚が生えているはずの腹部から白い手を伸ばしている外神禍梟の姿を見て、厳は冷静に言った。
「貴殿なら、あれを切り離すことも可能か?」
「あぁ……、問題ない」
イルヴァは小さく頷くと、大剣を静かに構えた。
「結構。ならば行くとしよう」
厳は雷公鞭を振るい、外神禍梟の周囲に向けて雷を発生させた。
雷は天から檻のように降り注ぎ、外神禍梟の動きを封じる。その隙に、イルヴァが大剣で白い手を切断していく。
ボタボタと地面に落ちたそれらを踏み潰しながら、厳も駆けて行く。すると、外神禍梟の大きな目が2人を交互に見つめた。
『来たか、猟兵たち。……空から無音で掴み来る』
外神禍梟の言葉と同時に、腹部から生えていた無数の腕がしゅるりと引っ込んだ。
「……仕掛けてくるぞ」
イルヴァはオーラを全身に纏い、防御の姿勢をとる。厳も結界を張り、敵の攻撃に備えた。
『……禍なる腕ですべてを穢す!』
次の瞬間、白い腕が槍の様に飛び出し、2人を呑み込んだ。
「呪いであるな」
既のところで敵の動きを見切った厳は、白い腕の上を疾走しながら雷公鞭を打った。
「雷公天絶陣!」
雷鳴と共に無数の雷が降り注ぐと、白い手を次々と感電させていく。
一方イルヴァも呪詛耐性を持っていた為、然程のダメージを受けずに済んでいた。
イルヴァは、感電して動けなくなった白い腕を大剣で押し退けると、【御霊契約】を発動した。
『我が名はレギオン、我ら多きが故なり』
魂を喰らう魔人に変身したイルヴァは、その巨大な力でもって、外神禍梟の腹部目掛けて大剣を突き刺す。
『ギィイイイイイィィイーーーー
!!!!』
付け根から白い手が薙ぎ払われ、腹部に大きな切り傷を負わされた外神禍梟は、態勢を立て直さんと上空へと逃れてゆく。
「あれを追う前に、まずは生存者の救助が先だろう」
「……あぁ」
厳とイルヴァは、鉛色の空に逃げ込んだ外神禍梟の追跡を後回しにし、生存者を探し始めたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀形態)
全く、考えることが外道なのよな。しかして、放っておくわけにもいかず。
なればこそ、『我ら』は行くのだ。
さて、猟兵はここにもおるぞ?とか言いながら【四悪霊・『回』】を発動。まあ、見ただけではわからんだろうが。
はは。ああ、こちらに来るがよいよ。その分、住民が安全になるからの。
攻撃は甘んじて受けよう。呪詛耐性はあるし…元々、悪霊ぞ?
穢れも悪霊の糧である。
というわけでな、UCの条件も満たした。黒曜山を振るい、カウンターの斬撃破を浴びせいこう。
我らはオブリビオンを呪う悪霊なれば。
フィリリアンナ・フェアリーガーデン(サポート)
『ボクに不可能なんて字はないのですよっ!』
僕の天才的な頭脳があれば大体のことはちゃちゃっと解決できるのですよ!
便利な魔法の数々をご覧あれです!
戦闘では味方を巻き込まないように注意しつつ強力な魔法で殲滅です!
基本的に詠唱は必要なので気を付けて下さいね。
まぁ足を引っ張るような真似はしないので平気でしょう!
あ、それとA&Wワールド以外はあんまり行ったことないので、ちょっと興味深々になるくらいですかね?
やはり見たことのない景色や知らない知識というのは尊いものですからね。
他の方との絡みとか、連携などはお任せします。よろしくお願いするのですよ!
月影・左京(サポート)
アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱改変・その他OK!
「はわっ!?……大丈夫。私も手伝うから♪」
一人称:私
口調:女性的でラフ(〜よね、なの?、あら〜等)
口癖:はわっ!?
性格:おっとりのんびり。「わぁ!頼りにな……る、の?(笑)」な印象
基本戦法:【忍び足】で敵の死角に入りメイスによる【気絶攻撃】を【2回攻撃】。【鎧砕き】も狙う。
敵の攻撃は【聞き耳】を立てて【第六感】も使い、【見切り】ます。
※不意打ちを受けた時など、「はわーっ!?」と叫ぶ傾向あり。
指定したUCを何でも使用。
但し負傷した猟兵がいれば戦況次第で攻撃より【祈り】の力と【医術】及び【救助活動】で治療。
後はお任せします。よろしくお願いします。
●
「全く、考えることが外道なのよな」
しかし、放っておくわけにもいかず、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はダークセイヴァーの地に姿を現した。
「ほんと、ほんと。ここのオブリビオンは、なんでこうも残虐で嫌な奴らが多いんだろ!」
ほぼ同時に魔方陣から飛び出したフィリリアンナ・フェアリーガーデン(超ド級天才魔導妖精・f00685)も、怒っている。
「でも、私たちが来たからには、もう大丈夫!」
続いて現れた月影・左京(夫婦ゲーマーのはわっ担当・f06388)は、おっとりした口調で言った。
3人の目の前で、鉛色の空に溶け込むような色の巨大な梟が音もなく滑空している。
その腹部からは白い手がヒョロヒョロと何本も伸び、獲物を探して地上を撫で回していた。
「わしは村人を庇いながら、敵を引き剥がそう」
「それなら私は、逃げ遅れた村人を誘導しながら、隙を見て攻撃しましょう」
「私も、得意の救助活動に専念するわね。怪我は医術で診てあげられるわ」
月影とフィリリアンナは気合いを入れると、村人たちの所へ向かった。
馬県も2人に村人の救助を任せ、敵の気配を追い始めた。
●
フィリリアンナと月影は、建物内に隠れていた村人を見つけ、避難させていた。
「みなさーん、落ち着いて此方に来てください!」
「はわっ! 大変!! 怪我してる」
そのほとんどが、老人や小さな子供たちである。
「大人と逸れちゃったり、あるいは足が悪くて逃げられなかったりと言う感じでしょうか」
フィリリアンナが1人の老人に肩を貸しながら言う。
「すまんね、お嬢さん」
「あ、いえいえ。気にしないで。ところで、どうしてこんな所に隠れていたの?」
瓦礫を撤去しながら月影が尋ねると、後ろを歩いていた小さな子が答えてくれた。
「……白い手のオバケが出るから」
「はわっ! オバケ……?」
月影がきょろきょろと周囲を見渡すと、瓦礫の隙間から「ひょろり」と手が伸びてきた。
次の瞬間、「はわーー!!」という悲鳴と、「ゴスッ!」という鈍い音が響く。
月影が手にしていたメイスで白い手を潰したのだ。
「ふぅ、ビックリした」
「月影さん、アイツがコッチに飛んで来ます!」
フィリリアンナが自分の影から精霊を呼び出すと、【精霊杖シャドルアロン】に変え、詠唱を開始する。
「はわっ! それじゃあ、私は敵を惹きつけるわね」
月影はそう言うとオーラを纏い、外神禍梟目掛けて走り出す。
建物の屋根に登り、外神禍梟から伸びる白い手を纏めてメイスで絡めとると、そのまま地上に向けて投げ飛ばした。
『ぐぅ……、猟兵の実力、みくびっていたか。ならば……』
地上に降りた外神禍梟は白い手で月影を無音で掴み取り、腕の中に取り込むとギリギリと締め上げていく。
「は、わ……」
『禍なる腕ですべてを穢す。これで、終わりだ』
月影の体に掴む腕から魂を穢す呪いの力が流れ込むのを感じる。
「もうダメ……、なんてね」
『何?』
「こんな力、浄化の力と神罰で相殺よ! ついでに【達人の智慧】で技を封じてあげる。これでしばらくは、何も出来ないわね」
月影によって召喚された【守護明神】は、バリバリと白い手を引きちぎると、根本をギュッと締め上げた。
「月影さん、お待たせしました!」
詠唱を終えたフィリリアンナは、【ロード・オブ・フェアリー】を発動する。
『ボクに魔力で張り合うのは、100万年早いのですよ!』
精霊杖シャドルアロンから無数の影が解き放つ。影は一塊になると、一匹の巨大なシャドウウルフとなって外神禍梟に襲いかかった。
攻撃の要である白い手が封じられ、反撃出来ずにいる外神禍梟がシャドウウルフに蹂躙されている間、2人は村人を脱出させた。
●
馬県の耳に、逃げ遅れた村人たちの悲鳴が聞こえて来たのは、しばらくしてからの事だった。
見れば、村人たちが白い手に掴み上げられ、今まさに締め殺されそうになっている。
「させぬっ!」
馬県が刀の形態をした【黒曜山】を振り上げ、白い手に飛びかかった。
呪いを宿した白い手の切り口から、呪いが溢れ出ても馬県は構わず切り裂いていく。
1人、また1人と村人が解放されていく。
「あ、ありがとうございました……」
青白い顔をした村人たちは、馬県に掠れた声でお礼を言うと、村の外れに向かって走り出した。
すると外神禍梟は、馬県を無視して再び村人に向けて新たな手を伸ばして行く。
馬県はすかさず、外神禍梟の目の前に飛び出した。
「待て、猟兵はここにもおるぞ? お前たちの目当ては我らであろう?」
黒曜山の剣先を外神禍梟の丸い目に突き付けながら、敵に悟られぬよう【四悪霊・『回』】を発動した。
「(見ただけではわからんだろうからな……)」
『お前が猟兵? 1人だけとは……。やはり、村1つでは然程集まらないか』
「いやいや、ここより先にもっと猟兵たちがおるぞ。なんなら、案内してやろう」
馬県の言葉に、外神禍梟はしばらく沈黙していたが、やがて馬県の後を追う様に飛び始めた。
「はは。ああ、こちらに来るがよいよ。その分、住民が安全になるからの」
その様子に微笑みながら、馬県は小さく呟く。
勿論、黙って付いてくる訳がない。
外神禍梟は後を追いながらも周囲を破壊し、村人の気配があれば白い手を伸ばして殺しにかかる。そのたびに村人を庇い、攻撃をわざとその身に受けていく。
「呪詛耐性はあるし……。わしは元々、悪霊ぞ?」
穢れもまた、悪霊の糧であると……。
そうしている内に、馬県の体内には外神禍梟の【禍なる腕ですべてを穢す】力が蓄積されていく。
「そろそろ、頃合いだろう。というわけでな、条件も満たした」
馬県は、突如向き直ると黒曜山を構え直した。
「因果は巡りて回る。どこまでもーー。我らは、オブリビオンを呪う悪霊なれば、お主の呪い、そっくりそのまま返そうぞ!」
黒曜山が紫黒色の覇気を纏うと、巨大な斬撃破を生み出した。
斬撃破は外神禍梟を彼方へと吹き飛ばしながら、切り刻んでゆく。
しばらくすると天井から大量の梟の羽が、まるで雪の様に降り始める。
馬県は鉛色の羽が舞い散る中、静かに微笑む。
「その先にあるのは、静寂な闇のみぞ……」
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『仮面の戦士』
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POW : 暗黒星雲の力
【闇のオーラ】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【攻撃の命中率低下】を誘発する効果」を付与する。
SPD : 星辰の獣の力
【星辰を宿した剣】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【巨獣】に変身する。
WIZ : 闇の支配者の力
【ヴァンパイアの血】【主人との契約】【星々の輝き】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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●???
「ほぉ、外神禍梟を打ち破ったか。おもしれぇな」
鮮血鬼アルバは、久々の獲物に興奮していた。
「おい、お前。そろそろ、村を包囲している奴らに合図を出せ」
「ハッ!」
アルバの言葉を聞いて、そばに控えていた兵士が去って行く。それと入れ替わるように、別の兵士がやってくると、状況の報告を始めた。
「アルバ様、どうやら騒ぎを聞きつけた『闇の救済者』が動き始めた様です」
「ハハ、ようやく『戦争』らしくなって来たじゃねぇか。おもしれぇ。そのまま、そいつらもおびき寄せろ」
「ハッ!」
兵士は軽く敬礼すると、駆け出した。
「これで暫くは退屈しなくて済みそうだ」
アルバは崖の淵に立つと、目下に広がる村を見下ろした。
「進めっ! そして蹂躙しろっ! そこに村があったなんて事すら分からねぇぐれぇに!!」
馬県・義透
引き続き『不動なる者』にて
ああ、包囲されたうえに数が多いな。まこと、嫌な相手よ。
だが…まだまだやりようはあるのだ。この後のことも考え、できるだけわしのままで、な。
数が多いことを不運にするか。【四悪霊・『解』】。
お主らから得たもの、それに比例するのよ。
その攻撃は見切り、結界で弾いていこう。
うむ、わしに集中するのはよいが。身体、重くないかの?生命力吸収しておるから…活力もだんだんとなくなる。
頃合いである。黒曜山を槍形態にし、なぎ払いいこう。衝撃波もつけておるから、離れたり防御したりも無駄である。
不運であるから、妙なところに当たったり、味方同士でぶつかったりするかもな?
悪霊の呪い、祟り。おもいしれ。
マホルニア・ストブルフ(サポート)
◇口調
男性的【私、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?】~よ、構わん、等
協力者には丁寧に接するよ。
◇行動方針:問題の解決
一般人がいれば保護が優先。
多少の負傷は問題なく行動。
◇戦闘・技能
知覚端子を張り巡らせて情報収集しながらサポートしようか。
電子媒体はハッキング、戦闘はグラップル、切断、射撃系がメインだな。使える技能は使っていこう。
武器はレヴィアスクかアサルトライフル。移動や捕縛でグレイプニルを使うこともあるな。張り巡らせて、多少の高度なら足場などに転用などか。
ユーベルコードの詠唱描写は(長いため)有っても無くても構わんよ。後はよろしく頼む。
◇キャラが壊れなければギャグでもグロでも基本OK
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
高嶋・梓(サポート)
【礼儀作法】【コミュ力】を使って他の猟兵と連携します。
電子ネットワークが使用可能な状況であれば、ネットワークに侵入しセンサーやカメラ類を【ハッキング】で掌握して【情報収集】を行います。
同時にゴーグルのセンサーを使って【索敵】を行い、敵の位置を把握します。
運用可能であればアルテミスに搭乗して活動します。
戦闘時は【戦闘知識】【瞬間思考力】を使って状況を判断し、【誘導弾】【範囲攻撃】【精神攻撃】【属性攻撃】を使い分けて戦います。
UCは状況に適したものを使用します。
口調はスターテス画面準拠。
禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ナイツ・ディン(サポート)
「蹴散らしてやるぜ!」
ナイツは「」、一人称俺、冷静でありつつ好奇心旺盛
ディロ(竜槍/紅竜)は『』、一人称我、不遜な暴れん坊
ローア(竜槍/蒼竜)も『』、一人称私、丁寧な保護者
槍を担いでダッシュで寄って薙ぎ払い、見切りや第六感を駆使して盾受けでダメージを避ける。
目立たないを併用し、ダッシュ、敵を盾にするを使って撹乱もしていく。
小さいから埋もれるとやばいからな。基本的には高めに飛んで戦っていこう。
UCは適宜使っていくぞ。
「小さいからって舐めてると痛い目見るぞ?俺は強いからな。」
援護よりも押せ押せ、アタッカー気質。変身系UCを使った場合は激痛耐性、火炎耐性、、氷結耐性でゴリ押すことも多い。
●
ザッザッザッ……、と土を踏む音が彼方此方から聞こえ始めた頃。
逃げ遅れた村人を1ヶ所に集め、脱出を計っていた猟兵たちは考えあぐねいていた。
「困りました。すっかり囲まれてしまった様です」
「村人を庇いながら突破するには、ちょっと厳しいかもしれないね」
そう言ったのは、高嶋・梓(スペースノイドのサイキッカー・f06493)とマホルニア・ストブルフ(構造色の青・f29723)だった。
そこに、『不動なる者』馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が、敵に悟られぬよう周辺をぐるりと巡って戻って来る。
「ああ、包囲されたうえに数が多いな。まこと、嫌な相手よ」
「ここは、二手に分かれみたらどうだ?」
そう提案したのは、小さな妖精ナイツ・ディン(竜呼びの針・f00509)だった。
「どうするの?」
漆黒のゴスロリドレス姿の禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)が尋ねる。
「1点集中で突破する部隊と、敵の足止めと撹乱を目的に動く部隊に分かれるんだ」
「成る程な。敵の戦力が村人に集中しない為の陽動作戦と言う訳であるな。それなら、村人を逃す事が出来、尚且つ、敵の殲滅も可能となるやもしれん」
馬県の言葉の後、他の4人も「意義なし」と同意する。
「それでは私とミスティ様、マホルニア様で敵陣に穴を開けてみせましょう」
「なれば、わしは陽動も兼ねて敵を殲滅していくとしよう。なに、まだまだやりようはある」
この後のことも考え、できるだけわしのままでな、と馬県は小さく呟く。
「それなら、クロエも敵と遊んで来るね」
「俺も!」
こうして6人の猟兵は、各自配置に付いたのだった。
●陽動部隊
馬県は、後方から攻め寄せる敵部隊を相手取っていた。
仮面を付け、全身を鎧で覆った敵の動きは、見るからに統率のないものだった。
「うむ、やはりな」
それは半ば予測していた事でもあった。
「数が多いというのは、確かに強みとなり得るが……。良い機会だ、逆に不運になる事を思い知らせてやろう」
馬県はそう言うと、【四悪霊・『解』を発動した。
一方で敵は馬県の姿を見るや否や、【星辰を宿した剣】でもって襲いかかってくる。
「来るが良い」
槍の形態をした黒曜山を構え、正面から斬りかかって来た敵の剣を流れる様な動きでいなし、首元を斬り付ける。
すると今度は、左右から同時に4人が飛びかかって来た。
「見えておるぞ」
太刀筋を見切りながら弾き返すと、そのまま敵の鎧の繋ぎ目を狙って突き刺してゆく。そうしている内に、馬県の周りには大勢の敵が集結していた。
すると何人かが、服の切れ端を握っている事に気付く。
「あれは、わしの……」
そう。それは、戦いの最中に切り取られた裾の一部だった。
「肉片ではないが、まぁ十分だろう……」
敵がニタリと笑うと、それを口に含んだ。直後ーー。
「ウガ、ァアァ……!」
呻き声と共に、人の姿から巨獣へと姿を変え、馬県目掛けて前脚を振り上げた。
それだけで突風が吹き、周囲に植わっていた朽木が破壊されていく。
馬県は咄嗟に結界を張ると、敵の攻撃を静かに耐えた。
状況だけ見れば、馬県が不利に思えた。しかし、徐々に獣たちの動きが鈍くなり、やがて一匹、また一匹と動きを止めていく。
「ウガァーー!! ……?」
「うむ、わしに集中するのはよいが。身体、重くないかの?」
馬県は、遂に攻撃を止めてしまった目の前の獣にそう尋ねる。
「生命力を吸収しておるからの、活力もだんだんとなくなってきたのではないか?」
【四悪霊が封じてきた呪詛】を解放した馬県は、その場に居た敵全員からすっかり【運気、霊力、生命力】を奪い取ると、「頃合いである」と黒曜山で一気になぎ払った。
周囲に強力な衝撃波が発生し、獣を吹き飛ばしていく。
しかも、それだけでは済まず、『不運』にもその巨大な体はゴロゴロと転がっていく。
巨大な体は、周囲の敵を次々と押し潰しながら何処までも転がり、遂には見えなくなった。
その様を傍観していた敵が後退りを始めると、馬県は更に敵を殲滅せんと黒曜山を構え直す。
「悪霊の呪い、祟り。思い知るがよい」
●
一方、クロエとナイツは、左舷に展開していた部隊と対峙していた。
「蹴散らしてやるぜ!」
27.6㎝の小さな戦士ナイツは、蒼い竜が宿るドラゴランス【ローア】で敵を薙ぎ払っていく。
その小さな体と目にも止まらぬ速さで、敵の目には見えていなかったようだ。
「なんだ? 何も居ないのに次々とやられている??」
と、戦場が混乱し始める。
「小さいからって舐めてると痛い目見るぞ? 俺は強いからな」
すると突如、ナイツの振るう槍ローアが優しい声音で喋り出した。
「ナイツ、あまり調子に乗ると危ないですよ」
「分かってるよ」
ナイツは敵の集団に押しつぶされないよう、ある程度の高さから急降下しては急浮上を繰り返して攻撃を続ける。
「くそっ! ちょこまかと……! これならどうだ!! 我ら、【ヴァンパイアの血】【主人との契約】【星々の輝き】をもって【闇の支配者の力】を解放せん!!!」
敵は一斉に剣を構えると、今までとは明らかに異なる動きでナイツを攻撃する。
「ユーベルコードで、身体能力が向上させたのか」
剣をひと振りするだけで衝撃波が生まれ、周囲の物を破壊しながらナイツを吹き飛ばす。
「おいおい、こんなのアリかよ」
「ナイツ、十分距離をとりましょう」
「了解」
危うく建物に叩きつけられそうになり、体を捻ってダメージを軽減すると、咄嗟に反撃に出た。
『妖精を敵にまわすと痛い目見るぜ? 妖精の秘術(フェアリーサークル)』
ユーベルコードの発動により、急激に周囲の温度が下がり始めると、チラチラと雪が降り、辺りが白くなる。
敵の鎧には霜が付き、大地から生えて来た霜柱が突如氷の柱となって次々と迫り上がってゆく。やがて氷の柱は壁となり、敵を分断する。
「制御が難しいから、長い時間は無理だけどな」
「分かった。あとはクロエに任せて」
クロエは、分断された敵を前に黒いクマのぬいぐるみのクロームを構えた。
クロームを見えない糸で操りながら、手足からマヒ属性を宿した暗器を次々と放った。
「見えない攻撃の次は、暗器か! ならば、これでどうだ!!」
敵は星辰を宿した剣を構えると、負傷することも厭わず、クロエに剣を振り翳した。
「!?」
剣はクロエの腕を擦り、特注品のドレスの一部が切り取った。
「残念だ。どうせなら、貴様の肉が喰いたかったのだが……。まぁ、良い。見よ、巨獣の力を!!」
敵はそう言うと、クロエの目の前でドレスの端切れを呑み込み、【巨獣】に変身した。
「グガァアアーーーー!!」
巨獣は咆哮すると、クロームを太い前脚で蹴り飛ばし、大きな口を開いてクロエに襲いかかった。
「すー、はー……」
クロエは敵に噛みつかれる瞬間、大きく深呼吸し、【オペラツィオン・マカブル】を発動させる。
脱力状態となったクロエは、そのままバクリと頭から呑み込まれてしまう。
一部始終を上空から見ていたナイツは、思わず「クロエーー!!」と叫んだ。
するとどう言うわけか、予期せぬところから「どうしたの?」とクロエが姿を現す。
「うおっ! 無事だったのか」
「うん」
クロエは無表情のまま小さく頷いた。
【オペラツィオン・マカブル】の効果を応用し、完全に脱力状態で攻撃を受けたクロエは、敵に蹴り飛ばされたクロームを通じて脱出したのだった。
クロエは巨獣を見つめた後、【妖獣の竪琴】を取り出し、唐突に奏で始めた。
「ねぇ、クロエと今だけお友達になってなの」
「ウ、ガガガ、ァ……?」
その不思議な音色は、獣を操るもの。
オブリビオンの巨獣も所詮は獣であると言うクロエの琴の音は、巨獣を洗脳していく。
洗脳された巨獣は、くるりと向きを変えると、敵目掛けて攻撃を始めた。
それを見たナイツは指を弾き、巨大な氷の壁を一気に崩壊させると雪崩を起こす。
雪崩は村への道は閉ざし、敵の進行を阻んでくれた。
「これでひとまずは、大丈夫だろ」
「だと良いな……」
ナイツとクロエは巨獣に跨ると、念のため周辺に敵が残っていないか確認に向かった。
●脱出
高嶋はゴーグルのセンサーをフル活用し、敵の情報を集めていた。
敵の数が比較的少なく、尚且つ、回り込まれたり挟み撃ちに合う可能性の低い場所を探っていく。
「うん。この方角なら、なんとか行けそうです」
高嶋がゴーグルをズラし、隣に居たミスティに声をかけた。
「私、少しでしたら時間稼ぎが出来ると思うのです」
「それじゃあ、私はコイツで道を切り開いて行こう」
そう言ってマホルニアはレヴィアスクを構えると、目の前に現れた敵陣へと攻撃を開始した。
敵陣は、仮面を被った戦士と巨獣とが入り混じった状態となっていた。
高嶋はなるべく巨獣を避け、戦士が固まっている場所目掛けて突き進んで行った。しかも、なるべく敵の攻撃をその身に受けながら、である。
そうして、怯む事なく果敢に攻め込んでいると、腕輪状の機械『サイコブースター』から電子音が鳴った。
「このサイコアブソーバーは、敵の攻撃を吸収して防御フィールドを発生出来るのです」
そう言って高嶋は、最高値に達したダメージをエネルギーに変換し、防御フィールドを発生させる。
薄い膜のような防御フィールドは、周囲にいた敵を押し退けながら尚も広がり続ける。
フィールドによって弾かれた敵は態勢を立て直すと、剣を一斉に構え、高嶋目掛けて突撃する。
「あのフォールドを破壊しろ!」
「我ら、【ヴァンパイアの血】【主人との契約】【星々の輝き】をもって【闇の支配者の力】を解放せん!!!」
敵は掛け声と共に剣を防御フィールドに突き刺していく。すると、強い力がぶつかった反動で、防御フィールドが小規模な爆発を起こし始めた。
咄嗟に受け身を取った高嶋は、不自然な体制のまま今度は【エナジー・ビット】を発動し、反撃に出る。
『エナジービット展開、攻撃します!』
高嶋を中心に召喚された約1000体ほどの高エネルギー体は、幾何学模様を描きながら複雑に飛翔し、敵への攻撃を開始した。
瞬く間に戦場が混戦状態となる。
すると、後方で結界術でもって村人たちの保護をしていたミスティが、こっそり【這い寄る!ニワ子さん】を発動する。
「狙うは、巨獣の目玉……。みんなの居場所を守るのですよー。トリさん、ゴーなのですっ!」
その目的は、ミスティの存在に気付いていないであろう巨獣に、不意打ちを喰らわせる事……。
召喚されたデフォルメ調のニワトリの姿の精霊は、「コケコッコーー!」と鳴くと、戦士の足の間を猛スピードで駆け抜けていく。
「なんだ、コイツらはっ!」
突如現れた白い鳥の大群に、敵は足をバタつかせたり、ピョンピョン跳ねたりと、様々なリアクションを取っている。
「コケーー(死ねぇ)!!」
トリさん曰く、ニワトリたちは巨獣を見つけると、殺気を纏った一撃でもって巨獣の目玉を潰して行く。
「グァアアァアーーーーーー!!」
巨獣は思い掛けない攻撃に悲鳴を上げると、周りを巻き込むように暴れまわり、やがて元の姿へと戻って行く。
「やりましたっ!」
ミスティは小さくガッツポーズを取ると、今度は結界術で避難路を確保していく。
「やるねぇ。私も負けていられないな」
マホルニアは気合いを入れ直すと、改めて戦況を見直す。
ニワトリ達の活躍もあり、粗方巨獣の姿をした戦士が居なくなった事で制圧が容易になりつつあった。
「あそこに居る奴らを蹴散らせば、村人との脱出は出来そうだな」
あれだけ居た仮面の戦士たちも随分数が減り、士気も低下してきている様子に、勝機が見えてくる。
マホルニアは駆け出すと、蒼い光を放つ両刃剣レヴィアスクを器用に回しながら敵を斬りつけ、進んでいく。
「ここを突破させるものかっ!」
「アイツを狙え!」
焦りを見せ始めた敵が、一斉にマホルニアを取り囲み攻撃に出ても、マホルニアの勢いは止まらなかった。
「これで終わりだぁ! 血まみれの髪の乙女(ブローズグハッダ)!!」
全身を光で覆い、戦闘力増強と生命吸収能力を付与した状態となったマホルニアは、払い斬りを繰り出すと、敵の首を切断していく。
胴体だけとなった敵の体が力無く倒れていくのを見届けたマホルニアは、レヴァアスクに付いた血を振り払った。
「これで、この辺は一掃出来たな。あとは……」
マホルニアは確認するように後ろ振り返る。
後方から敵が攻め込んで来るような気配はない。
「向こうも上手くいっているのだろう」
別部隊で動いてくれている仲間に感謝しつつ、彼女たちは村人たちを脱出させていく。
「あとは、この惨劇を引き起こした張本人との戦いだけですね」
高嶋がそう言うと、ミスティとマホルニアが大きく頷いた。
村人たちを庇いながらの集団戦に、流石の猟兵たちも激しく消耗していた。
しかし、ここまで来て引き下がることは出来ない。
猟兵たちは再び武器を構えると、享楽の為だけに戦を起こそうとした邪悪なオブリビオン、鮮血鬼アルバの討伐に乗り出したのだった。
成功
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第3章 ボス戦
『鮮血鬼アルバ』
|
POW : 斬殺剣鬼
【本来の力】に覚醒して【斬殺剣鬼】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 億戦錬磨
【数多の戦闘経験から】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 斬天
レベル×5本の【斬】属性の【斬撃波】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
●???
「ほぉ……、あの数を相手に村人を逃すか。益々、気に入った!」
崖上から戦いの全てを見ていた鮮血鬼アルバは、上機嫌だった。
「こんな気持ちになったのは、いつ振りだろうなぁ……」
人間たちの実力では話にもならない。かと言って、他のオブリビオンと戦う機会はほとんどと言って良い程ない。
「それにアイツらは、人間を虐げるのが好きらしいしな〜」
周囲の領主たちの姿を思い浮かべる。
「さぁて、そろそろ俺様が出向くか!」
目の前の猟兵たちを叩き潰した後、闇の救済者共を相手取って戦争を起こそう。
「ダークセイヴァー全土に、戦争の火種をばら撒いてやろうじゃねぇか!」
七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだ!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』
隠れ里に伝わる『天魔流』のただ一人の免許皆伝。
歴代最年少の免許皆伝。
残像を攻防の両方に使い腰に挿している6振りの刀と扇子を使い戦闘する。
闘う姿は艶やかな舞踏が如く空中戦もできる。
第六感も鋭く見切るまでも早い。
先手後手問わず。
殺気や覇気を残像に残し質量がある残像や分身と勘違いさせる。
常に最善を最短で気づき勝ってきた。
防御無視の内部破壊を息をするかの様に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。
消耗の回復に生命力を吸収する。
優れた第六感で賭け事も強い。
家事も万能。
両親も猟兵である。
厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。
亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」
動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。
また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。
なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。
依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。
リステル・クローズエデン(サポート)
基本
援護主体
潜
迷彩+目立たない+闇に紛れる
避
視力+第六感+見切り
ダッシュ、ジャンプ、空中浮遊など
防
オーラ防御、各種耐性
武器受け
攻撃共通
視力、学習力で見切り。
鎧砕き、目潰し、
武器落とし、部位破壊で
行動阻害や戦力低下を目的とする。
POW攻
呪剣・黒と
ユーベルコードを用いた接近戦。
SPD攻
クナイの投擲による援護射撃。
乱れ撃ちからのスナイパー。
ユーベルコードも有効なら使用。
WIZ攻
ユーベルコードに
破魔、呪詛、恐怖を与える等を組み合わせる。
(コメディタッチシナリオでも、空気を読まず
基本的にはまともに行動します
ただ、ちょっとズレタことになるかも。)
口調 (僕、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)
シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
・落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
・窮地でも動じず冷静に戦況を判断し切り抜ける。
◆猟兵になる以前の経歴から調査、情報操作、諜報が得意。
◆戦闘
【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾等の詠唱銃による攻撃や、魔術による攻撃を得意としている。
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている。
こちらも追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は牙や爪で攻撃。
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
~です、~ます、~ですか?等丁寧で穏やかな話し方。
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方。
●
「お前達の戦い方、なかなか興味深いものだった。さぁて、俺様の最初の遊び相手はどいつだ?」
ストンと、上から軽やかに降りて来た4本の腕を持つ紅蓮の髪の鮮血鬼アルバは、不敵な笑みを浮かべながら猟兵たちに向き直った。
「それで? サシか、それとも全員でかかってくるか? 俺様はどちらでも良いけどなぁ」
4本の刀剣をそれぞれ「バチン、バチン」と擦り合わせながら、一歩、また一歩と歩を進めるアルバ。
その様子に、七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)と厳・範(老當益壮・f32809)がジリジリと間合いを意識して動く。
「凄い殺気と狂気を感じる」
「うむ、まさに戦闘狂であるな」
「敵の実力が未知数である以上、迂闊に飛び込めませんね」
リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)も、厳と七星同様、警戒を露わにした。
「それでも、打って出ないわけにはいきません」
シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)はメガネに軽く触れた後、小さく何事かを呟くと、自動詠唱銃『judicium』を取り出した。
「ならば、わしらが出よう」
厳が雷公鞭を構えると、上空で雷鳴が轟き始める。
「それでは、僕とリステルさんとで援護射撃しましょう」
シンが『judicium』をアルバに向けると、リステルも無言で苦無を構えた。
「良いだろう。4人纏めてかかって来な!」
アルバは嬉々とした様子で剣先を厳と七星に向けると、猛スピードで駆け出した。
七星が天之叢雲剣・真打ちと天魔冥滅・天之羽々斬で斬りかかると、厳が雷公鞭から雷を放った。
雷は途切れることなくアルバを攻撃し、七星が流れるような動きで刀を振るっていく。
「ガン、ガン」と武器同士がぶつかる音が何度も響いた後、アルバが4本の武器で七星の刀を受け止めた。
「太刀筋がバレバレなんだよ!」
ニマニマと笑いながら、アルバは全身から赤黒い闘気を放つと雷を弾き返した。
「させませんよ!」
シンは何かを察し、『judicium』から破魔の魔力を込めた弾丸を刀剣に何発も撃ち込む。
破魔の力は、ほんの少しだけアルバの禍々しい闘気を浄化した。
闇に紛れて移動していたリステルは、敵の動きを止めるべくユーベルコードを発動した。
「呪術・激辛麻婆地獄(ゲキカラマーボー・アジハ・ウマイ)発動。麻婆、はじめました!!」
突如、3人の攻撃に気を取られているアルバの頭上に熱々の激辛麻婆豆腐が現れる。
「チィ……、これならどうだ! 斬天っ!!」
アルバは紅蓮の剣で回転斬りをすると同時に、三日月型の斬撃波を周囲に放つ。
斬撃波は弾丸を砕き、リステル、厳、七星を吹き飛ばした。
しかし、激辛麻婆豆腐だけは何事もなかったかのようにアルバ目掛けて落下すると、アルバの右頬を擦り、右腕に命中した。
すると、激辛麻婆豆腐が静かに鎧の隙間を伝って入り込んでいく。
「どうです。すごい熱さと、凄まじい辛さ。いや、むしろ痛さで暫く動けませんよ!」
「くっ! 食べ物を粗末にするんじゃねぇっ!!」
「なっ! オブリビオンのくせに、まともなことを!?」
小さくショックを受けるリステル。
しかし、ちょっとした時間稼ぎにはなった。
アルバが激辛麻婆豆腐に四苦八苦している間に、厳が雷公鞭でもってアルバを軽く感電させると、七星が腕を狙って一文字斬りを放った。
それらの攻撃を、辛うじて2本の刀剣で防ぐアルバに、七星が【破砕撃・壊】を喰らわせる。
『その防御をぶっ壊す!!』
七星が放った【破砕撃・壊】は、刀剣を折る事は出来なかったが、刃をボロボロにした。
その様を見てアルバが、「やるなぁ」と感心する。
「なら、俺様も本気を出さねぇとな! 見ろ、これが斬殺剣鬼だ!」
アルバは禍々しい闘気を纏うと斬殺剣鬼に変身した。そして、爆発的な力で猟兵たちを斬り付けていく。
七星は残像と見切りで、厳は仙術と結界術で、リステルとシンはオーラ防御と第六感を駆使して攻撃を防いでいく。
「いやはや、何という力……」
「しかし、長い時間は使えないようですね」
すると、シンの指摘通りアルバが元の姿に戻っていく。
「成る程。瞬間的に戦闘力を上げる技だったか」
「助かりましたね」
「あぁ、それと。仲間が駆けつけてくれたようです」
七星とリステルが安堵していると、シンが振り返った。
戦闘開始時に【影の追跡者の召喚】を発動していたシンは、『影の追跡者(シャドウチェイサー)』を召喚し、周囲の情報を常に集めていたのだった。
「凄いな……」
七星が感心していると、「大抵のことはこなせますので……」とシンは穏やかに微笑む。
「では、桃花・愈(タァォフゥア・ユー)を発動するとしよう」
そう言うと、厳が両手を組んで印を結ぶ。
『舞いて癒せ』
ダークセイヴァーに突如桃の花が咲き乱れ、4人を隠すように花吹雪が吹き荒れた。
「なんだ? 目眩しのつもりか、こりゃあ??」
アルバが眉を潜め、桃の花を刀剣で振り払うと、甘い香りが鼻先をくすぐった。
「……なるほどな。睡眠の術か」
術の効果に気が付いたアルバは、アッサリその場から離れて行く。
「あとは任せました」
「では、我々はしばし傷を癒すとしようか」
彼らは後を仲間に託し、自分たちの治療を始めるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
蛇塚・レモン
そんなことはさせないよっ!
虚空に転送されたあたいは念動力で空中浮遊
そのまま空中戦でアルバの頭上からオーラガンの呪殺弾を乱れ撃ちっ!
同時に黄金霊波動のオーラ防御と結界術の障壁へ斬撃波を受け流すよ
アルバは空飛ぶあたいに注目しているから背後はガラ空き
UCでアルバの背後に蛇神様を咄嗟の一撃で召喚っ!
蛇神様の邪眼から破壊念動波(念動力+衝撃波+神罰)をぶつけて
アルバの技と身動きを封じるよっ!(麻痺攻撃+捕縛+呪詛)
この世界はやっと人類が安寧の地を獲得できるまでになったのに
戦争の火種なんて撒き散らす真似は許さないよっ!
トドメは斬天を模倣した蛇腹剣の広範囲攻撃の斬属性斬撃波の爆撃!
これが猟兵の強さだぁーっ!
馬県・義透
引き続き『不動なる者』にて
今までのを見ていた、と。つまり手はある程度、知られておると。
ま、ここまで秘すれば充分か。
出でよ、常に影にいた陰海月と霹靂よ。
はは、充分な回避とは『正常なる時のなか』で行われるが。さて、ここではどうかの?
うむ、陰海月は癒しであるな。その姿に癒されつつ、槍形態の黒曜山を振るおう。
万一避けたとして…さて、見えぬ四天霊障を避けられるか?
さらに、わしの意を反映せぬ…中の三人による念動力使用の四天流星の投擲も避けられるか?
ああもちろん、防御用結界張ってあるからの?
※
陰海月、回避兼ねたゆらゆらダンス。「ぷきゅ」と鳴く
霹靂、色の移り変わり楽しみながら突進したり。「クエッ」と鳴く
●
「みんな、無事かな!」
「大丈夫であろう」
蛇塚・レモン(白き蛇神憑きの金色巫女・f05152)と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は共に、アルバの気配を辿って崖の近くを捜索していた。
「へぇ、こんな所にも猟兵が潜んでいたのか」
「!?」
声のした方に視線を動かすと、ザクザクと土を踏み鳴らす音と共に、紅蓮の髪と4本の刀剣を持つ男、鮮血鬼アルバが姿を現した。
「あぁ、見覚えのある顔もあるなぁ。確か、外神禍梟にトドメ刺した奴だったか」
アルバは「ふーん」と馬県を眺め、続いて蛇塚を見ると、不敵な笑みを浮かべた。
「成る程。こちらの手は、ある程度知られておるということか」
馬県は「ま、ここまで秘すれば充分か」と、小声で呟いた。
「それじゃあ、殺るか。お前たちを血祭りに上げた後、いよいよダークセイヴァー全土で戦争だ!」
4本の刀剣を構えたアルバに最初に攻撃を仕掛けたのは、蛇塚だった。
「そんなことはさせないよっ!」
蛇塚は器用に崖を駆け登り、アルバが放った衝撃波を宙返りでかわしながら、オーラガンから呪殺弾を撃ち込んだ。
アルバもまた、蛇塚を追って崖を登りながら呪殺弾を刀剣で弾き返していく。
馬県は2人を後を追うべく、自身の影に呼びかける。
「出よ、陰海月と霹靂」
馬県の呼びかけに応えるように影が一瞬蒼く輝くと、大きなミズクラゲたちが「プキュ、プキュ」と鳴きながら飛び出した。その後、上半身は鷲、下半身が馬の獣ヒポグリフが飛び出して来ると、馬県が跨った。
「うむ、陰海月は癒しであるな。よし、行くか!」
「クエッ!」
霹靂は短く返事をすると、陰海月に癒しを感じている馬県を背に乗せ飛び立つ。
「ほぉ、影に珍しいもん仕込んでるなぁ。それじゃあ、お手並み拝見といこうかぁ!!」
アルバはギラギラした眼を馬県に向けると、左腕に持った刀剣で鋭い突きを繰り出す。
馬県が槍の姿をした黒曜山で刀剣の軌道をそらすと、空中浮遊していた蛇塚がオーラガンでアルバを狙う。
「余所見してる暇があるのかな?」
蛇塚はそう言うと呪殺弾を乱れ打ちし、馬県も黒曜山で攻撃した。
「ハハ……、こんなクソみたいな攻撃が、俺様に当たるはずないだろう! 億戦錬磨!!」
アルバは崖の側面を疾走しながら、次々と2人の攻撃を回避していく。
「どうかのう。それは、『正常なる時の流れの中』での話であろう?」
霹靂に跨った馬県はそう言うと、周囲を漂っていた陰海月を呼び寄せた。
『我らの癒し要員・陰海月』
【それは虹のように(ゲーミングカゲクラゲ)】の発動によって、陰海月たちは1680万色に輝くと、ダンスをしながら崖の周りを漂った。
ゆらゆらと揺れる輝きは、その場に居たもの全てを魅了した。
但し、1人を除いては……。
「なんだ? このチャラチャラした光は……」
「プキュ?」
アラバが鬱陶しそうに刀剣を振り翳し、影海月を退かす。
「……ん? なんだ」
アルバは、自分が振る刀剣の動きと周囲の動きが奇妙にズレている事に気が付くと、馬県を睨みつけた。
「てめぇ、面白いことしてくれたなぁ。俺様の動きを鈍らせるとは」
「あぁ、気が付いたか。そう、あんたの動きを5分の1までに封じ込めた。もう、逃げられんよ」
馬県はそう言うと更に呪いをかける為、己の中の三人による念動力で動く鏢『四天流星』を投擲した。
四天流星は不規則な動きをしながらアルバの手の甲に刺さると、そこから呪詛をジワジワと流し込んでいく。
次の瞬間、アルバと馬県が同時に叫ぶ。
「こんな呪詛如き……、消し飛ばしてやる! 斬天!!」
「蛇塚殿、今であるぞ!」
馬県の合図で蛇塚はすかさず、【戦闘召喚使役術式・大罪司りし蛇神は妬み嫉む(バトルサモンコード・エンヴィー・レヴィアタン)】で巨大な白き蛇神を召喚した。
『それはズルいから反則だよっ! 使用禁止~っ! 蛇神様っ! あいつにお仕置きしちゃって!!』
蛇神はチロチロと舌を出してアルバの匂いで位置を把握すると、邪眼から破壊念動波を放った。
破壊念動波はアルバの放った斬撃波を打ち消し、次いでアルバの動きを封じると、そのまま地上へと叩き落とす。
馬県と蛇塚は、防御結界、オーラ防御で斬撃波を防ぐと、落下するアルバを追撃した。
「この世界は、やっと人類が安寧の地を獲得できるまでになったのに。戦争の火種なんて撒き散らすなんて真似は許さないよっ!」
蛇塚は【蛇腹剣クサナギ】を構えた状態で落下するアルバより先に着地すると、アルバに向けて斬撃波を放った。
「これが猟兵の強さだぁーっ! 」
蛇腹剣の斬撃波は「ヒュン」と鋭い音を奏で、アルバの肉体を左肩から縦にバッサリ切り裂いた。
●
「あーあ……。これからが面白いのになぁ」
体の左半分を失ったアルバは、飄々とした様子で言う。
「まぁ、良いか。今までにないほど充実した『時間』を過ごせたからな。正直、もっとお前達と遊んでいたかったが……、時間のようだ」
そう言ってアルバは、残った手で紅蓮の髪を掻き上げた。
「じゃあな。骸の海でお前達の戦いを観ててやるよ。だから、無様な戦いだけはすんなよ!」
最初に出会った時と同じように不敵な笑みを浮かべると、やがて黒い煙となって消滅した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
マスターより
今回のシナリオに参加してくださった皆様、ありがとうございました。
また、第1章に引き続き第2章にプレイングを送ってくださった方、途中からプレイング参加してくだった方、本当にありがとうございました。
大成功
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