アポカリプス・ランページ⑬〜アンチ・クライマックス
●Full-Throttle VORTEX
「フィールド・オブ・ナインは、オブリビオン・ストームを終点と定めた」
暗黒の竜巻オブリビオン・ストームが炎を伴いフルスロットルの機械甲冑から放たれた。
刃の如き圧ある竜巻が大地を削り、破滅へと灼熱へと染めていく。
一筋一筋の風は個を持つように吹き、巻き込んだものをあっという間に残骸へと至らせる。
燃えるものは炭となり跡形もなく砕けた。
灰塵がアメリカの大地に降る。
存在証明の窺えない、死ですら生ぬるく思わせる破壊。
「これ以上の発展は不要。これ以上の暴力は不要。
これ以上の歴史も、生命の繁栄も不要!」
フルスロットルは吠えた。言葉を巻き込んだ風が世界に広く大音声を響かせる。
彼らが定めた終点は、今、この時。
さらに踏み込む未来への超克は叩き潰す。――オブリビオン・ストームからオブリビオンが滲み出す――それは大地の残るストームの残滓からも。黒炎が立ち上がり戦車群が現われた。
「かかってこい、猟兵よ! 圧倒的な暴力で、汝らを骸の海に捧げよう!」
猟兵の血と肉、不屈たる精神、髪の毛一筋すらも骸の海に染め上げて。
それは一種の呪術的儀式のようでもあった。
だが本質は絶対的な暴力。それ以外に無い。
●
「いよいよ大本命! フルスロットル・ヴォーテックスを叩き潰しにいきましょう!」
集まった猟兵たちを鼓舞するように、ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)がにっこりと笑って拳を作った。
「レイダーの支援も絶えたことだし、敵地にはフルスロットルが独り――と言いたいところだけど、オブリビオン・ストームから滲み出た戦車群がいるのよね」
自動火器を備え、特殊鋼板製の装甲を持つ戦車だ。
「無限軌道だからそれなりに小回りも利くんだけど、オブリビオン・ストームから出てくるから射出されている、と言った方が正しいかしら……」
ぽーんと虚空に放りだされた戦車から砲撃が大地へと叩きこまれる戦場。弾と戦車の「着弾」が大地を揺るがす。
「皆さんにはこれを倒すなり、回避するなどしてオブリビオン・ストームの中に飛び込んでいただきたいの」
「ええと、ストームの解除とかは……」
「ナイナイ。中にいるフルスロットルを倒さない限りはね」
突撃あるのみ。
嵐から発生するオブリビオン共々猟兵達を吹き飛ばそうとしてくる。
フルスロットルを倒すにはオブリビオン・ストームに飛び込む必要があるのだが、この嵐はオブリビオン以外の全てにとって毒。
「毒には気を付けて。もちろんストームの中にもオブリビオンはいるから、暴力的にストームの盾にするなり、暴力でぶん投げてストームを阻害して刹那の道を作るなり利用できると思うの」
身体千切れるような嵐をなんやかんやして抜ければ、身長5mの改造巨人・フルスロットルが待ち構えている。
それでも猟兵の身はストームの勢いにさらわれてしまうので敵へと攻撃を叩きこめるのは一瞬の勝負となるだろう。
「一撃、もしかしたら返す刃での追撃もできるかもしれない。ストームの中でフルスロットルを視認できたら遠距離も叩きこめるでしょう。攻撃方法は皆さんの現場判断に任せるわ」
オブリビオン・ストームに乗り込む。
見つけたフルスロットルを叩く。
「あっちが世界破滅の暴力を振るうっていうのなら、こっちはそれを返し叩き潰す暴力。目的はシンプルね! 脳筋でいきましょう!」
そう言ってポノは猟兵たちを送り出すのだった。
ねこあじ
ねこあじです。
どちらの筋肉(脳)が勝つのか、暴力勝負といきましょう。
プレイングボーナスは『オブリビオン・ストームに飛び込み、毒と敵群を乗り越える』こと。
制圧による戦争終結には間に合わない可能性もありますが、それでもよろしければ……。
脳筋なシナリオとなりますので、不採用だった時は単純に私の執筆時間が取れなかったのが原因となりますが、採用は頑張っていきたいところです。
それではよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『フルスロットル・ジ・アポカリプス』
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POW : 崩壊世界の覇者
レベル×1体の【オブリビオンレイダー軍団】を召喚する。[オブリビオンレイダー軍団]は【略奪】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : フルスロットル・ストーム
【ヴォーテックス・アーマー】から、戦場全体に「敵味方を識別する【オブリビオン・ストーム】」を放ち、ダメージと【致死毒】の状態異常を与える。
WIZ : ヴォーテックス・アーマー
自身の【ヴォーテックス・アーマー】から【オブリビオン・ストーム】を放出し、戦場内全ての【猟兵の接近】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
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御剣・刀也
へぇ。随分と威勢が良いじゃねぇか
お前が破壊の象徴だって言うなら、俺はお前を越えていく!
俺の剣、受け止められるなら受けてみろ!
崩壊世界の覇者でレイダー軍団を出されても、ダッシュで最短距離を駆け抜け、勇気で傷を恐れず、邪魔なレイダーだけを斬り捨て、他の攻撃は第六感、見切り、残像で避け、自分の間合いに入ったら捨て身の一撃で斬り捨てる
「お前が破壊の象徴だろうと、世界の終焉だろうと関係ねぇ!俺はお前を越えていく!俺が今まで越えてきたやつらの強さの証明のために!」
「へぇ。随分と威勢が良いじゃねぇか」
常に発生するオブリビオン・ストームを突き抜ける、フルスロットル・ヴォーテックスの大音声に御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が笑む。
抜刀した獅子吼の刀身はぎらつく陽射しと炎を弾き、牙の鋭き百獣の王の如き光を宿す。
「お前が破壊の象徴だって言うなら、俺はお前を越えていく! 俺の剣、受け止められるなら受けてみろ!」
刀也の放った声がオブリビオン・ストームに巻き込まれていく。
応じたのは戦車の砲弾だった。重量級の音が腹に響くも、降ってくる砲撃を振り切るように刀也が走り、オブリビオン・ストームへ飛び込む。
彼の身を叩く強風が腕と脚をさらい、刀也をストームの上へと巻き上げた。
風と風の間から滲み出てくるオブリビオン――この時、刀也が捉えたのは主砲。この風に乗って出てくる車体に叩きつけられれば、恐らく刀也が砕けてしまう。
猟兵は無敵では無い。だが、磨き上げてきた技がある。
刀也の覇気を纏う刀が一刀両断したのは砲身。まず相手の初撃ともいえる手を奪い、咄嗟の判断で刀也は戦車を足場に方向転換した。
巻き返しの一風に到達すれば、闇と炎渦巻くストーム内にフルスロットルの巨体を見つける。
放たれるオブリビオンの戦車を避け、阻害する風から刹那の進みを得た。
「かかってこい! 猟兵!」
フルスロットルが叫べば耳を劈くチェーンソーがフル回転する。
オブリビオン・ストームで傷付き、毒の侵食が進む――だが刀也には足を止める理由がなかった。振るうべき一刀。
「お前が破壊の象徴だろうと、世界の終焉だろうと関係ねぇ!」
刀也の一閃がストームを断ち切り、フルスロットルへと至る――否、大きなチェーンソーが刃を阻み弾いた。
上段へと。
天を仰いだ切っ先が翻る。
「俺はお前を越えていく! ――俺が今まで越えてきたやつらの強さの証明のために!」
雲耀の太刀。僅かな隙を捉え振り下ろした剛剣が、フルスロットルに海への道を刻む。
苦戦
🔵🔴🔴
蒼・霓虹
理不尽の種を撒いた上に
苦しみ抜いた民に勝手に終焉を強いる
そんな魂胆はわたし達
【幸運】の虹龍の力で
ぶち壊します!
[POW]プレボ込み
【高速詠唱】UC発動【激痛耐性&毒耐性】で備え〈レインボークローバー〉を【オーラ防御&結界術】込め【高速詠唱】【盾受け&弾幕】展開【念動力】遠隔操作し毒と取り巻き対応
【悪路走破&推力移動&空中浮遊】で〈彩虹(戦車龍)〉さん【操縦】
【第六感】で
【瞬間思考力&見切り】回避
被弾は【ジャストガード&受け流し】
【砲撃&レーザー射撃】の【制圧射撃&威嚇射撃】し
【高速詠唱&全力魔法】で〈ネオスアクアストライク〉【属性攻撃(氷)&貫通攻撃】込め御見舞い
[アドリブ絡み掛け合い大歓迎]
混沌が狂気にさらされている。
アポカリプスヘルには滅さんとする脅威は多く、それでも荒廃しきった世界で懸命に生きる人たちがいる。
彼らは諦めない。
踏みつけられた雑草が、強く、誇らしく立ち上がるように。この世界に住む人は――強い。
(「ですが……」)
オブリビオン・ストームは世界に毒を与え続けている。
蒼・霓虹(彩虹駆る日陰者の虹龍・f29441)が苛烈なストームを見据えた。
「理不尽の種を撒いた上に、苦しみ抜いた民に勝手に終焉を強いる」
そんなことが許されるだろうか……答えは「否」だ。
「そんな魂胆はわたし達、幸運の虹龍の力でぶち壊します!」
意思持つ龍形態の戦車に乗り、彩虹へ準備は良いですか? と語りかける霓虹。
レインボークローバーのマジックカードを彩虹へと挿入すれば、龍が吠える。空翔ける声は伸びる虹の如き煌き。
「フォーチュンMAX起動っ! 強襲『猟機戦龍・彩虹』っ!」
彼女たちを中心に展開された数層――外側の虹色クローバーが戦車の砲弾を弾き、内側のクローバーが旋回とともに魔法弾幕を張っていく。
無差別にも見える光条は時に屈折し、意志を持ったかのようにオブリビオンを貫きに向かった。
向かってくる戦車を見据えた霓虹が念動力で彩なるレーザーを操る。鮮やかな虹光の鋭き舞いが空に描かれていった。
ストームに飛びこめば弾幕がより厚く放たれた。
闇と炎渦巻くオブリビオン・ストームに、巻き上げられる虹色が混ざり合っていく。
魔法弾幕を張ることでストームの影響を和らげながら、内部を突き抜けていく彩虹と霓虹。
一人と一体がひとつになったコンビネーションは易々とフルスロットルの元に辿り着いた。
「来たか! 虹を繰る猟兵よ!!」
「カードセット! ネオスアクアストライク!」
素早くマジックカードを挿しこめば構築されるは絶対零度の輝き。
宝玉型魔法弾が一気に叩きこまれる。避ける隙間など与えない密度ある着弾にフルスロットルと大地が穿たれ、拡がったのは氷の世界。
炎から氷結へ。フルスロットルが立つ戦場ゆえに魔法弾が生み出した真逆の圧縮が敵の身を貫いた。
成功
🔵🔵🔴
尖晶・十紀
アドリブ連携歓迎
事前
予め自分に血清を打ちドーピング、毒耐性を高めておく
気休めかもしれないけどないよりは多分マシ……
作戦
バイクを運転しながらUCの無差別攻撃でストームと相殺させ道を切り開き最短ルートでダッシュして突っ込む
通り道を塞ぐ敵は全て掃除(という名の蹂躙)、カーマイン号の塵となれ
毒はUCの剣を薙いで発生させた衝撃波にて吹き飛ばす
フルスロットルへは急所を狙った暗殺狙いの強襲、その後はヒット&アウェイを繰り返す
既についてる傷を狙い継続ダメージを与え続ける
フルスロットル・ヴォーテックス……お前が全ての元凶か。よし、よく分かった。もう何も言うな。叩き斬ってやる。黙ってその大将首おいてけ……!
自身の特異な血を元に精製した血清を腕に打ち、巡るのをしばし待つ。
(「気休めかもしれないけどないよりはマシ……」)
そんな対処を施して尖晶・十紀(クリムゾン・ファイアリービート・f24470)が踏み込むアポカリプスヘル。
大きなオブリビオン・ストームが展開され、キャタピラの音が地響きと共に渡っている。
零式魔改造トライク:カーマイン号に乗る十紀は降ってくる砲弾を回避しながらストームへと向かっていった。
近くに着弾すれば三輪のバイクが一瞬宙に浮くが、ハンドルを真っ直ぐに切ってオフロードバイク特有の安定した着地を披露する。
進行方向に出てくるのは戦車群だ。カーマイン号から機銃掃射による牽制が行なわれれば、敵の砲身が細いものへと切り替えられ、掃射が返ってくる。
一度回避した十紀が切り替えやすいようハンドルのやや中心に片手を添え、赫炉を握れば先には大剣。
「叩き……潰す」
先頭の戦車一体めがけて紅刃:天羽々斬が叩きこめば、装甲をへこませると共に大地がクレーターを作り出した。
「っ」
崩れる石礫に乗り上げ、跳躍するカーマイン号。
大きな穴に戦車たちが飲みこまれていく――。絡め手なる手段で戦車たちを一時不能にした十紀がオブリビオン・ストームへと飛びこんだ。
叩きつけてくるストームは一筋一筋が鋭く、まるで個があるかのようだ。
例外なくカーマイン号と十紀も風に煽られ巻き込まれていくが、振るい発動する天羽々斬が風を吹き飛ばし刹那の滞空を得る。
(「――見つけた!」)
飛来する戦車を踏み台にカーマイン号が真空地帯へと突入した。そこはフルスロットルの上空。
車体を前傾させれば自由落下速度に重量が伴った――敵の脳天めがけて振るわれた紅刃が強烈な一撃をフルスロットルの巨体に与える。
一瞬ぐらついたフルスロットルが吠えた。
「叩き斬り、ずたずたに破壊してやろう!」
敵のチェーンソーが駆動し十紀の耳を劈く。タイヤが敵の体を削り、カーマイン号はバウンドによる跳躍。十紀が大剣を振るわんと身を乗り出した。
「フルスロットル・ヴォーテックス……お前が全ての元凶か」
「すべてを破滅に導く――猟兵も例外ではない!」
「――よし、よく分かった。もう何も言うな。叩き斬ってやる。黙ってその大将首おいてけ……!」
十紀の単純で重い一撃。シンプルに加わる力は強い。
上段から叩きつける振り下ろしは剛の剣。
フルスロットルの硬い肩口から入った袈裟懸けが敵の傷上に新たな斬撃を刻むのだった。
成功
🔵🔵🔴
オックスマン・ポジクラーシャ
【OX】
遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ。
わかっている。道を阻むこの嵐を破壊せよというのだろう。
このクラッシャーバスで、君たちをフルスロットルまで送り届けよう。協力を頼むぞ。
何だと!オブリビオンストームでタイヤが空転しているというのか!
しかし慌てる事はない……俺は破壊者だ。
俺の宣言は破壊の力。この暴風をも打ち破って見せよう。
突っ込むぞ、振り落とされるなよ。
俺も破壊の風を巻き起こし、敵の接近と毒を押し返すべく尽力しよう。
ターゲットが見えたら、フルスロットルでバスごと突っ込む!
俺たちはOX-MEN。それぞれの立ち位置を活かし、奴を討つのだ!
唸れ、漆黒剣エタルゾ。奴を破壊する!
梟別・玲頼
【OX】
地獄行きのバスツアーってか? 上等!
風には風の力を……ここはこのオックスウィンドに任せて貰おうか
リーダーは安全運転頼むぜ?
UC発動inバス前方
このバスはリーダーの装備であると同時に皆の装備だ
つまり車体全部含めて真空刃の竜巻で覆って防御
風は風で相殺してその隙間を走って貰うぜ
襲ってくる戦車なんかの敵は真空刃で切り刻みながらな!
オレ自身は動けないんでしっかり手すりに掴まっとくわ
おっしゃ、抜けたか
台風の目なら矢が流される事も無いだろう
バスより身を乗り出し、仲間の攻撃に合わせ弓番えフェイント交えた援護射撃
悪しき風はここで終いだ
壮大な無理心中に世界巻き込むのもいい加減にしやがれってんだ!
ライカ・ネーベルラーベ
【OX】
んー、今回はクラッシャーのドライブに付き合おっか
「オックスリターナーも居るよ。終点に着いたら起こしてね」
ん?タイヤが浮いた?じゃあちょっと重石増やそうか
【左腕射出機構】で窓から手を伸ばして手近なオブリビオンをフィッシュ
盾兼重石にして車体バランスを制御
ストームを突破すると同時にフロントガラスに蹴りを入れて破る
「ガラスの弁償は経費でよろしく」
そしてバスで移動中もチャージしてた【雷火砲】をブッ放す!
「こっちもフルスロットルだよ。――レッツパァァティィィ!」
要らないのは諦観と停止だよ
クソッタレでうんざりする世界でもね
第一、みんながみんな間違いだらけなのに
よく自分の判断が正しいなんて信じられるね
カタリナ・エスペランサ
【OX】
バスで…バス?
大丈夫?ちゃんと前に進んでる?
屋根の上、《念動力+結界術》で姿勢保持
【失楽の呪姫】発動し魔神権能の《封印を解く・ドーピング》で自己強化
《属性攻撃+ハッキング+焼却+蹂躙》、操る劫火は万象を終焉の概念に侵蝕し焼き尽くす
真空刃をすり抜けるような特殊な攻撃は勿論、オブリビオンストームの影響さえある程度は焼き払い遮断してみせるよ
さて…これ以上の発展(未来)は不要、そう言ったか
なら赦す訳にはいかないね
破壊も終焉もより善い未来を望む過程に過ぎない
その首級を以てデザイア――未来への渇望者たる立ち位置の証としよう
バス突撃に合わせ黒雷の《属性攻撃+鎧無視攻撃+貫通攻撃+斬撃波》で叩き斬る!
朝倉・くしな
【OX】
遅れて申し訳ありません
私はクルセイダー。つまりは『ブレイクするもの』としていきましょう!
オックスマンさんのバスにしれっと相乗りして
オブリビオン・ストームの中からなんか出てきたらジャッジメントクルセイドをぶち込みまくりましょう
吹き飛ばされなければ私もいい女になれるのでしょうかね!?(怪力でバスをぐにゃっと曲げて引っ掛かりを作ってる)
光をぶち込んで、闇に紛れたのや嵐の中から炙り出すのは得意な方なんですよ(ドヤ(ただの力技
フルスロットルが見えれば今まで打ち込んでおいたジャッジメント・クルセイドを媒介にして結界を構築し、
超絶威力の天からの光を落として、極大ダメージを狙います!
ミルラ・フラン
【OX】
遅れてすまないね!あたしは探索者(サーチャー)でいくよ!
あのデカブツを派手に蹴散らそうじゃないかい!
(お立ち台かのようにバスの上に立って腕を組み)
あたしは良い女なのでバスの上でも吹き飛ばされないよ!
(実はヒールをめり込ませているのは内緒)
浄化とオーラ防御を身に纏って毒への守りを固める!
暴風は大盾に変形させたSignorina Torturaで凌いで突破するよ
見えたよフルスロットル・ジ・アポカリプス!
あたしはSignorina Torturaを鎖付き棘鉄球に変形させて遠距離から牽制して総攻撃のチャンスを作る
他のみんなとタイミングを合わせていくよ、La Tempesta di Rosa!
●CR時々DFのちSN
巨大なオブリビオン・ストームが大地を削り、オブリビオンである戦車が滲出す。空高く放蓄された戦車が砲弾を叩きこむ――そんな戦場に【OX】が立つ。
「遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ」
重厚感のある漆黒の全身鎧。オックスマン・ポジクラーシャ(遅れてきた破壊者・f12872)が表明をすれば、朝倉・くしな(鬼道羅刹僧・f06448)もぺこりと一礼し、
「遅れて申し訳ありません、状況は把握しました。私はクルセイダー。つまりは『ブレイクするもの』としていきましょう!」
揃いつつある面々にオックスマンがゆったりと頷いた。
もの言いたげな皆の表情はオックスマンの発言を待つもの。
「――わかっている。道を阻むこの嵐を破壊せよというのだろう。このクラッシャーバスで、君たちをフルスロットルのところまで送り届けよう。協力を頼むぞ」
そう発言したオックスマンの手がCrusher Busを叩く。
「地獄行きのバスツアーってか? 上等!」
応じた梟別・玲頼(風詠の琥珀・f28577)が続き穏やかな琥珀色の眸をオブリビオン・ストームに向けた。
「バスで……バス?」
カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)がCrusher Busを二度見した。紛うことなきバスだ。ヒーローバスはどこにでも駆けつける。
当然、破壊の限りを尽くそうとするフルスロットルの元にも送り届ける――つもりである。オックスマン的に。
「大丈夫? ちゃんと前に進むの?」
そう発言するカタリナの視線も玲頼を追うようにオブリビオン・ストームへと目を向けられた。バス、絶対ストームに煽られ空高くまで飛ぶのでは?
ならば、と玲頼が請け負う覚悟の眼差し。
「風には風の力を……ここはこのオックスウィンドに任せて貰おうか。リーダーは安全運転頼むぜ?」
「ああ、頼りにしている。では出発しよう!!」
オックスマンの発言しバスの扉を開く。おっけーとゆるく返し最初に乗り込むのはライカ・ネーベルラーベ(りゅうせいのねがい・f27508)であった。くつろげそうな一番後ろの席をゲットする。
「オックスリターナーのわたしはここ。終点に着いたら起こしてね」
ふぁっと欠伸付きの発言。
皆がバスに乗り込み、内部を窺ったオックスマンは一人足りないことに気付いた。
その時、バスの上から威勢の良いミルラ・フラン(Incantata・f01082)の表明。
「遅れてすまないね! 状況は把握した。あたしは探索者でいくよ!」
表明。それは自身の立ち位置を示す大事な行動。
「あのデカブツを派手に蹴散らそうじゃないかい!」
お立ち台のようにバスの上に立っているミルラが腕を組み、進行方向を見据える。
サーチャーたる彼女は外でストームに対応するようだ。
随時行動を起こさんとする頼もしい皆を乗せて、Crusher Busは華麗に砲弾を避け、ぶつかってくる戦車を回避し、オブリビオン・ストームへと突っこんでゆく。
が、即座にハンドルをとられ、オックスマンが運転席でvsハンドル状態になる。
「何だと! オブリビオン・ストームでタイヤが空転しているというのか!」
同時にドン! ガッ! という凄まじい音が天井から聞こえてくる。
『あたしは良い女だからね、良い女はバスの上でも吹き飛ばされないよ! かかってこい!』
ミルラだ。頑張れ、と誰もが祈った。
「いやいやいやいや」
カタリナが結界術を施し、念動力でミルラを支える。優しい。
斜めになる車体――しっかり手すりに掴まりつつ、任せてくれと言ったのは玲頼であった。
「このバスはリーダーの装備であると同時に皆の装備だ」
つまり一心同体。バスが木っ端微塵になる時は皆仲良く木っ端微塵である。
「我が名と共に、守護の風よ――吹き荒れろ」
風神ノ輪舞を発動すれば玲頼(バス)を中心に覆う真空刃の竜巻が発生する。オブリビオン・ストームを相殺し、刹那の道を作り上げていった。
悪路での走行、ストームの中を突っ切るバスは激揺れだ。渋々と起き上がったライカが浮くタイヤをどうにかするために、窓を開けた。左腕を出して射出する。強化しまくった自身の身体――手がこっちに向かって飛んでくる戦車を掴んだ。引き摺り寄せる。
「これで浮かないね」
重しの方が重量級ではあるのでバスがとん挫しそうではあるが、このバスはどこにでも駆けつけるCrusher Bus。物理法則を凌駕し……当然……進むのだ……。
異様なバスを捉えたオブリビオン・戦車が砲身を向けはじめ、行なわれる掃射砲撃。
ストームを一時的に飛ばす爆風、大地に着弾し石礫が叩きつけられようとしている。
玲頼の風が爆風を石礫を削ぎ、残る飛来物――ミルラがSignorina Torturaで変形させた大盾を構え、魔力を最大限に叩きこんだオーラで凌ぐ。今、気を抜けばミンチになるのは彼女だ。
「すごいです、ミルラさん! 吹き飛ばされなければ私もいい女になれるのでしょうかね!?」
いい女(タンク型)の奮闘に憧れ、くしなが助力すべくジャッジメント・クルセイドを放つ。
予めの仕掛けがいるそれは発動までにタイムラグがある。近く、そして遠くにと撃つくしなが少しずつ構築していくもの。
風穴をあけた戦車をカタリナの劫火が焼き払っていく。
「仕方ないなぁ――アタシの本気、ちょっとだけ見せてあげる」
戦車と大地を舐めるかのような劫火がストームに巻き上げられ、炎の竜巻と化した。上空へと至っての巻き返し――その地の通過点にフルスロットルの姿。
「見えたよッ!! フルスロットル・ジ・アポカリプス!」
張ったミルラの声がバスと周囲に響き渡った。
鼓舞されたかのようにオックスマンがアクセルを踏む。
「さすがOX-MEN。俺も負けてはいられぬ。俺は破壊者だ。俺の宣言は破壊の力。この暴風をも打ち破って見せよう!」
アクセルを踏むオックスマン。
●
「大型輸送車か!! 兵站にも特化させるとは――猟兵とは千差万別の極み!」
フルスロットルが吠えた。
「突っ込むぞ、振り落とされるなよ!」
オックスマンの言葉通りCrusher Busがフルスロットルへと突撃していく。
ストームの中心は不思議と風が弱い。時折落ちてくる一筋の風が再び跳ね上がり、オブリビオン・ストームに合流する。
「おっしゃ、抜けたか。窓、開けるぞ」
玲頼の声にバスに乗った面々が窓を開け放つ。
「わたしは前に行く」
後方にいたライカが跳躍した――慣性の法則、放たれた蹴りは『着地』だ。フロントガラスへと突き刺さり、全面に破られた。
「ガラスの弁償は経費でよろしく」
「経費」
至極真面目なオックスマンの声。
「さて……これ以上の発展は不要、そう言ったか」
カタリナが呟く。未来は不要なのだという宣言に否を告げる。
「なら赦す訳にはいかないね。破壊も終焉もより善い未来を望む過程に過ぎない。その首級を以てデザイア――未来への渇望者たる立ち位置の証としよう」
皆の数多の助力が掛け合わされ、ストームを突き抜けたCrusher Busは傷だらけで(たったいま内部から破壊が行なわれたが)まさに戦車そのものだ。
「俺たちはOX-MEN。それぞれの立ち位置を活かし、奴を討つのだ!」
オックスマンの声に応なる声。破壊者の宣言がフルスロットルを捕縛し、敵のユーベルコードを封じる。
好機。
それは訪れを待たず、作り、得るもの。
鎖を繰るミルラが牽制に敵を穿つ棘鉄球、玲頼の矢がフルスロットルの大きな一歩を妨げる。
「結界を構築します」
くしなが告げれば放たれていたジャッジメント・クルセイドたちが光の柱を上げた。
「天から降れ光よ――!」
真っ直ぐに落ちてくる光条。それはフルスロットルを穿ち、更に大地に突き刺さり光檻で場を囲うくしなの領域。
今だ、と皆が動く。
「唸れ、漆黒剣エタルゾ。奴を破壊する!」
「悪しき風はここで終いだ。壮大な無理心中に世界巻き込むのもいい加減にしやがれってんだ!」
永遠の未完を冠とするオックスマンの一刀が空間を渡る間断なき斬撃へと至り、玲頼が自身の羽根を番えれば矢となりて射る敵への追撃。二人の攻撃がフルスロットルに千鳥足の如き歩みを刻ませる。
「さあ舞い踊れ! エスコートはお手柔らかに!」
La Tempesta di Rosa!
ミルラが腕を振るい、大きく弧を描いた棘鉄球が薔薇の花弁へと変化した。
カタリナの黒雷が深緋の花弁を導くように空を駆け、フルスロットルを貫く。耳を劈く落雷によって大地が大きく揺れた。
「こっちもフルスロットルだよ。――レッツパァァティィィ!」
大型のプラズマ火球・雷火砲がライカの掌からぶっ放された。
穿たれたフルスロットルが体勢を崩し尻もちをつく。
「グ……! 猟兵め、抗うのか! だが不要なる世界の破滅からは逃れられぬ!」
フルスロットルが抱くのは絶望だろうか、それとも……ライカが頭を振った。
「要らないのは諦観と停止だよ。クソッタレでうんざりする世界でもね。……第一、みんながみんな間違いだらけなのに、よく自分の判断が正しいなんて信じられるね」
自身の掌に滞留するプラズマを放逐させるように手を振るライカ。
オブリビオンと猟兵。
骸の海から甦るフルスロットルと、今の時をいつかの終わりへと向けて生きる者たち。
敵がかつて辿ったであろう時の道。いつしか、絶望へと至るものなのだろうか……?
きっと否と答えるであろうOX-MEN。
彼らは道を辿るのではなく、新たなる位置とその先を作っていく者たちなのだから。
大成功
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ロク・ザイオン
夏報さん(f15753)と
ひとは火を防ぐために森を植えた
お前たちはここで食い止める
行こう、声の届く限り道を作るから
「響徊」
喚び起こす深森で毒の嵐を遮り
押し寄せる敵みな森に迷わせよう
夏報さん、おれが導くよ
【地形利用】し敵の群れが薄いところを突き進め
露払いはキミに任せた
……意外とキミ、やるな
それとも……すごく、運がいい?
森では、生き残るものだけが強者だ
接近を拒む嵐は命を削る、きっとずっとは続けられない
嵐が緩む隙はどこに生まれるはずだ
逃さず【早業】で接近
閃け"閃煌"、【鎧を砕け】
火はいつか消えなければならない
骸も灰も、この地の糧に置いていけ
臥待・夏報
森番くん(f01377)と
なるほど……これは……道というか、森だな(所在なさげに見渡して)
案内してもらわなきゃ夏報さんまで迷いそう
頼んだよ
そのぶん、雑魚相手の【時間稼ぎ】は任せて
拳銃による【援護射撃】、フックロープの針に仕込んだ致死の【毒使い】
それらを駆使した遠距離戦で地道に敵群に対処していくよ
仮に接近を許したら【暴力】勝負。拾った枝で急所を突くとか
森番くんが嵐に隙を見出す瞬間まで、その集中を乱すものを近づけないように
【たとえばで始まる夜】
(UCの発動は「無自覚」)
ときどき妙な混乱や同士討ちが起こるのは
迷いの森の効果なのかな……?
……言われてみれば
今まで生き残ってきた、運には少し自信があるかも
「ひとは火を防ぐために森を植えた」
巨大なオブリビオン・ストームが世界を削り、オブリビオンである戦車が滲出す。空高く放蓄された戦車が砲弾を叩きこむ――戦場が荒野となる。
そんな光景を前に、どこか悲しむようにロク・ザイオン(変遷の灯・f01377)は言うのだ。
「お前たちはここで食い止める……行こう、声の届く限り道を作るから――」
遠吠えの声を降らせれば場が深森へと変化する。
風が遠ざかり、だが密な空気はストームの気配そのもの。深き森の闇から滲出るはオブリビオン。
停滞した嵐は澱みを内包し、その塊を避けてロクが連れ人を案内する。
『森』の中を進み始めたロクについてくのは臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)だ。
「なるほど……これは……道というか、森だな」
叩きつける暴風がなくなったぶん、先へと進みやすくなった。
「だが、案内してもらわなきゃ夏報さんまで迷いそうだ。森番くん、頼んだよ」
「任せて」
ふ、と笑みを浮かべたような声。
頼もしいと思った夏報が頷き、そのかわり、と言葉を続ける。
厚い滲。敵の気配をかぎ取った夏報がMILK-DIPPERを構えて一点掃射。しっかりと手を添えた射撃姿勢は身に掛かる衝撃を放逐し、狙いは常に一点に定められている。
戦車である敵の装甲をへこませ、機動不能へと追い込んだ。
「雑魚相手の時間稼ぎは夏報さんに任せて」
進みの先にまた一体。
進行方向を阻害する戦車に釣星を繰り出し、電磁の毒を送りこむ夏報。
彼女が狙っているのは接敵前の撃破だ。先端のフックが装甲を薄く数多に傷つけ、機械部に干渉する毒を渡らせてゆけばいつしか戦車は沈黙した。
「行こう」
彼我の距離を保っての撃破。夏報の動きは常に周囲を警戒し注視するものでロクは感嘆する。
「……意外とキミ、やるな。それとも……すごく、運がいい? 森では、生き残るものだけが強者だ」
「……言われてみれば。今まで生き残ってきた、運には少し自信があるかも。それに、夏報さんは夏報さんがやれることに対処しているだけだよ」
「どっちもか。やっぱり、キミは強者だ」
とロクが微笑んだ。つられ、夏報も笑む。
「生き残ることに長けていても、一生迷い続けてしまうかもしれない。適材適所というものだ」
道を知る森番がいて、困難を切り拓く者がいて、そうなると自然と生存率は跳ねあがる。
ロクが嵐に隙を見出すその瞬間まで、その集中を乱すものを近づけないように――それが夏報が今『やれること』なのだ。
深き森に揺蕩うストームの気配に、ほんの少し、違う闇が伸びていく。
たとえばで始まる夜。
彼女たちを護衛するかのように一部の戦車が動き始めていた。
深き森に僅かな光が差し込む――闇の薄れた瞬間。
ここだ、とロクが本能的に察した。
オブリビオン・ストームの緩む瞬間。
「夏報さん」
「うん、援護するよ」
森奥からフルスロットルの巨体が出現する。
「変わった手を使う――面白い、その力、骸の海へと奉じてみよう!」
フルスロットルのチェーンソーが唸り、鼓膜を破るほどの爆音を渡らせた。回転式拳銃が高らかな銃声を上げ続け始める。
「閃け"閃煌"」
獣の如き疾風の駆け。瞬時に距離をつめたロクが踏み込みから僅かに腰を据え、剣鉈を振るう。
斬り上げに一刀、片脚を軸に我が身を回転させての跳躍。赫灼の斬線は剣舞のように弧を数多に虚空に映す。
要塞装甲たる敵鎧に深く痕を残していく。
「ちょこまかと!」
その早業が喉元に至り、一度後退に追い込まれたフルスロットルがチェーンソーを振るった。
鎧を踏み台にロクが間合いを抜ける。
「火はいつか消えなければならない。骸も灰も、この地の糧に置いていけ」
フルスロットルの絶望も、この地は糧として生きていくのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
箒星・仄々
歪んでしまわれてお可哀そうに
フルスロットルさんもストームの犠牲者なのでしょう
海へと導きましょう
ぺろっと毛づくろいをして
いざ!
摩擦抵抗を減じて
ストームの風圧をつるっといなして
すいすい~と進みます
圧を逃がせば微風ですね
風の魔力で
自身の周囲を純粋な空気だけになるよう操作し
毒を防ぎます
戦車軍の攻撃もつるっと避けたり
摩擦抵抗を減らした剣で受け流したりします
被弾しても同じくつる~
行きがけの駄賃としてぺろして
無限軌道を空回りさせたり
部品にバラバラっと分解します
フルスロットルさんの攻撃を
やっぱりつるっと受け流して懐に入り
摩擦抵抗0の超高速の連続刺突でアーマーごと貫きます
終幕
鎮魂の調べ
海で安らかな眠りを
吹く風がケットシーの小さな体に容赦なく叩きつけられる。
黒毛が波立つ風を受けながら箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)が少し悲しそうな眸を湛え、オブリビオン・ストームを見遣った。
「歪んでしまわれてお可哀そうに……フルスロットルさんもストームの犠牲者なのでしょう」
絶望故の破壊。フルスロットルの辿った道はどういったものだったのか――世界のどこかに紡がれた詩はあるだろうか、そんなことを考えて……仄々は頭を振った。
「今、私がやれることはひとつ。彼を骸の海へと導きましょう」
そして念入りに毛づくろい。
「いざ!」
自身を奮起させるように、高らかな声を上げて仄々はストームへと飛び込んだ。
「うわ」
鋭き風が一瞬仄々の身体を浮かせるも――毛づくろいしたおかげで、ストンと着地する仄々。
叩きつける風はつるっと、強く撫でるようにして仄々を通り過ぎていく。
「大丈夫でした」
よかった。ほっと安堵の息を吐いて、ストームの中を進む。
「圧を逃がせば微風ですね」
魔力で起こす風を纏い、吹きつける毒を散らす。
すいすい~っと進んでいけばキャタピラの音があちこちから聞こえ始めた。
砲弾は大地を揺るがすものだが、近付いてしまえば彼らは仄々の小さな体を捉えることは難しくなる。
近付いた仄々が猫の毛づくろいを戦車にしてやれば、内部が空回りし始めたのか機動がおかしくなる戦車たち。
爆風も、降ってくる石礫も受け流して仄々は駆け抜けていくのだった。
「新手の猟兵か! その小さき体で力を振るえるのか?」
巨人であるフルスロットルの足に仄々の全身がようやっと届く、そんな身長差だ。
堅牢な、最早要塞とも例えるべき鎧からフルスロットル・ストームが放たれた。
「乗るべき波はこれです!」
仄々が跳躍すればストームが仄々の体を煽る。風は海、我が身はサーフィンボードの要領で風に乗り、巻き返すストームに勢いに応じた高速刺突。
カッツェンナーゲルが脆くなり始めていた鎧要塞を突き抜け、フルスロットルの体に蜂の巣の如き傷を与えるのだった。
成功
🔵🔵🔴
イヴェッタ・レチアーノ
普段なら毒の嵐なんて嫌だけど、私達の世界を殺して苦しめ続ける仇敵がいるなら臆さないわ!
致死毒じゃないけど呼吸と口での物理的なお喋りは最低限にして息止めを多くしながら
体内のサーバー経由でSNS利用者達に『プロジェクト・ディーヴァ』で
フルスロットルに一撃与えるまでの毒耐性や戦車と砲弾を躱して嵐の風圧を進む力を願うわ
文明の崩壊前も後も正直ギスギスな自覚あるけど、
今回ばかりは共通の敵に報いる為に世界中の皆助けて!
フルスロットルが猟兵の接近を拒むなら私も一歩も退かず
前後ではなく左右だけで躱して時間切れまで耐えてから接近して渾身の銃弾掃射とレーザーを穿つわよ
ここに来れない人類の怒りも私の怒りも受けなさい!
荒廃してしまった世界で、根強く、再生していく人々。
踏みつけられてもまた立ち上がる――イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)もその一人だった。SNサーバーの生体部品になってまでも、得たかったのは生きる道。
普段ならば毒の嵐なんてごめんこうむる。けれども、
(「私達の世界を殺して苦しめ続ける仇敵がいるなら臆さないわ!」)
強き決意は胸に、かわりにぐっと唇を引き結ぶ。
オブリビオン・ストームが近くに在る。それだけで風は毒を含んでいた。
プロジェクト・ディーヴァを発動し、仇敵を倒す力を――そのための力を――強くなりたいという願いはアポカリプスヘルに住む者は多く持つ。
SNSに反映された願いに集まった言葉や想いが力となりイヴェッタの元へ集う。
マフィアの世界に身を置いていたイヴェッタにとって、僅かな気まずさを含みながらもそれは心地の良いものだった。
(「文明の崩壊前も後も正直ギスギスな自覚あるけど、今回ばかりは共通の敵に報いるために――」)
得た力は嵐を進む歩みの強さ。
砲撃に揺らぐ大地と暴風も交えて叩きつける風に怯まない歩みは駆けとなる。
「来たか、我が同胞たる猟兵よ!」
フルスロットルが吠えた。
「この世界の惨状は知っているであろう。暴力に満ちれば、あっけなく砕け散る世界! いとけき夢希望は淘汰され、蔓延するは欲望に満ちた夢希望」
(「いいえ」)
ヴォーテックス・アーマーから放たれるオブリビオン・ストーム。
絶える瞬間は確実にあり、その時を狙い定め避けていたイヴェッタが動く。
淑女勧奨低反動軽機関銃を取り回しての機銃掃射。要塞ともいえるフルスロットルの装甲鎧は高らかな金属音を放ち、痕が刻まれていく。
敵のチェーンソーが唸り渡れば鋭い剣戟の如き攻防。散った弾丸が地を穿ち砂塵を起こす。
「なかなかやりおる。だがいつまで続ける!?」
敵の言葉は気の緩み。すかさず携行しているScar-Redが敵身を穿つレーザーを撃った。
「フルスロットル――ここに来れない人類の怒りも、私の怒りもその身に受けなさい!」
穿ち叩きこまれるレーザーは世界に住む人々の願い、想い、そして怒り。
頑張りが報われない時が長く続いた。
「けれども、今こそ『報い』の時の訪れよ!」
フルスロットルの装甲が崩れ始める。
慈悲無き世界の堅牢が、今、瓦解しようとしていた――。
成功
🔵🔵🔴
ゼロ・クロニクル
【三匹】
気合が入っているな、ガロウよ。だが、拙者も気持ちは同じだ。
なに、心配には及ばん。既に一度死にかけた身だ…
拙者の命、お前の好きなように使え。
いくぞ、活路は拙者が切り開く!
【降魔化身法】を発動、体に宿した妖怪・悪鬼・幽鬼の
力で戦闘力を強化する。
フルスロットルは毒に冒す攻撃を放ってくるが、
予めユーベルコードの反動で毒にかかっておけば
結果として同じこと。拙者もストームブレイドの端くれ、
これしきの拒絶反応には慣れておる!
アモンとフルスロットルの竜巻がカチ合った瞬間、
《野生の勘》《ダッシュ》で距離を詰め、奇襲をかける!
忍者手裏剣と暗器を《投擲》、そしてグランマグナスによる剣の一撃を!
ガロウ・サンチェス
【三匹】
出やがったな、フルスロ!
オブリビオン・ストームの元凶は、オメーだったんだな!
いくぜ、俺の全力の拳をもってオメーをぶちのめす!
【リアルバウト・ガロウスペシャル】発動、
ゼロとアモンが開いた道を一直線に突き進むぜ。
迫りくる大量のレイダーを覇気の弾丸叩きつけて《吹き飛ばし》、
囲まれたら棒術を使って周囲を薙ぎ払い、中華なべで
《ジャストガード》して攻撃を弾きつつ、目指すはフルスロットルの本陣!
跳び蹴りの姿勢を保ったまま飛翔して、《限界突破》したまま
フルスロットルに突撃だ!フィールドオブナインだか知らねえが、
オメーは所詮9人いるうちの1人ってことだろ!
残りの連中も俺が…俺達がぶちのめしてやるぜー!
アモン・スメラギ
【三匹】
なんだよ…なぁに2人してカッコつけてんだよ…
特にゼロ!オメー何死ぬ前提で仕切ってんだよ!
俺にもカッコつけさせろ!命張らせろよな!
今までこの3人でやってきたんだろうが!
【クライシスゾーン】で瑠璃色の蝶を竜巻に変え、《念動力》で
操作しながらゼロと共に走ってフルスロットルのオブリビオンストームに
ぶつけて相殺を図るぜ。相手のユーベルコードは強力だが、
永久に使っていられるわけじゃねえだろ。いずれ解除するか
力を弱めるトキが来るはずだぜ。
竜巻を操りながらもソーシャルレーザーを《乱れ撃ち》、
殲術試薬を《投擲》して残りのレイダーを掃除してやる。
フルスロットルへの道をこじ開けるぜ。今だガロウ、行けーっ!
暗黒の竜巻オブリビオン・ストーム。
数年前に出現したそれが人類の半分を死滅させ、世界を破壊した。そして破壊されたものはオブリビオンへと変貌する――数年前、それを目の当たりにした。
故郷を奪われ、環境に適応しようと努力し、平穏は奪われ抗いながら暮らす日々。アポカリプスヘルの住民は皆が雑草であるかのようにストームの脅威に蹂躙された。けれども立ち上がり、強く天に向かって伸びていく。
そんな再生のさなかにフルスロットル・ヴォーテックスの破滅へと導く行為は到底許せるものではなかった。
あのストームの中心に、発生源であるフルスロットルがいる――!
「出やがったな、フルスロットル! オブリビオン・ストームの元凶は、オメーだったんだな!!」
ガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)は吠えた。
知ってるのか、皆が抗っていることを、絶望などしていないことを!
奪還者として荒野をさすらう日々はたくさんの人と出会う日々でもあった。
「いくぜ、俺の全力の拳をもってオメーをぶちのめす!」
今にも単身駆け出していきそうなガロウを「待て」とゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)が止める。
「気合が入っているな、ガロウよ。だが、拙者も気持ちは同じだ」
ゼロの夕陽色の目が暗黒の竜巻を見据えた。一度底知れぬ絶望を経験したゼロが今一度の覚悟を瞳に湛えている。
ガロウがこちらを見下ろした気配がしたので、ゼロは一度尻尾を振ってみせた。
「……なに、心配には及ばん。既に一度死にかけた身だ……拙者の命、お前の好きなように使え――いくぞ、活路は拙者が切り開く!」
ダッと駆けていきそうなゼロをがしっと捕まえるのはアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)だった。
「ちょ、ちょっと! 何で二人とも単身で駆け出そうとしてるんだよ! なんだよ! ……なぁに2人してカッコつけてんだよ……」
ツッコミ&ブレイン担のアモンが叫び、そしてぐっと込み上げてきた感情をのみこんだ。
「特にゼロ! オメー何死ぬ前提で仕切ってんだよ! 俺にもカッコつけさせろ! 命張らせろよな!」
彼らに出会って、つるんで、本当の自由を知った。世話を焼きながらも基本的にアモンの自由意思を尊重してくれた。やってみたくても、出来そうにないことは、二人の助力で目的を遂げられた時もあった。
「今までこの3人でやってきたんだろうが!」
欠けてはいけない。たぶん、今、二人から二人を守れるのはアモンだけだ。
あーもう! と半ばヤケになった形で「いくよゼロ!」とアモンが走り出した。
「…………結局、一番先に走り出したのはアモンではないか」
「若いしな」
フッと笑みを交わしたゼロとガロウがアモンに続き駆け出す。
機械仕掛けの瑠璃色の蝶を指先から飛ばし、ひらりと舞わせるアモン。発動するクライシスゾーンが蝶を竜巻へと変化させた。
瑠璃色の竜巻が暗黒の竜巻に割り入り、相殺し、道を拓く。
降魔を宿したゼロが疾風の如き駆けで拓かれた場所へと入っていった。彼に移植された偽神細胞、そして代償として蝕み始めた毒がオブリビオン・ストームの毒を身体に馴染ませていく。
(「拙者もストームブレイドの端くれ、これしきの拒絶反応には慣れておる!」)
アモンが試験管を投げつければ滲出てくる戦車が爆破された。爆風と熱が瞬時に巻き上げられていく。
ゼロに向けられた砲身――その大元である戦車をアモンのソーシャル・レーザーが撃ち貫き、機動不能にする。頼もしい援護の数々だった。
その時、ふっと瑠璃色の竜巻が更に拓かれた。まるで扉を開くかのように。
先にある暗黒が払われた瞬間、ゼロは跳躍した。
(「見つけたぞ!!」)
フルスロットル・ヴォーテックス。
堅牢要塞の如き鎧を纏うフルスロットルめがけて投擲するゼロ。跳躍の軌道から放たれるそれらは目くらましの煙玉、鎧を穿つ鉄球は敵の姿勢を崩す。
「新たな猟兵の訪れか! 叩き斬ってやろう!!」
フルスロットルのチェーンソーが爆音を伴い唸り震えた。巨体の武器は大きい。
続き投擲する手裏剣がチェーンソーの斬線を逸らし、隠し剣が敵首に向かって放たれた。飛沫する赤。
敵死角へと着地したゼロがグランマグナスを放つ。オブリビオン・ストームを燃料とする太刀の動力は絶好調。
武器受けするチェーンソーを弾き、フルスロットルへの一刀は袈裟懸けの斬線。
同時に間近で放たれたオブリビオン・ストームがゼロを喰らっていく。重なる毒にまみれた身体が血も凍るくらいの冷たさになっていった。
「今だガロウ、行けーっ!」
アモンの声が戦場に渡る。
「これが俺様の! 正真正銘の本気モードだぜぇー!!」
真白の闘気と纏うガロウが漆黒と瑠璃の夜嵐に輝いた。
流星の如き飛翔と方々に散っていく圧ある覇気が戦車群を叩き潰し、降ってくる砲弾を中華なべで弾く。
ガロウの姿勢は跳躍時から変わらぬ跳び蹴り飛翔。
身を切り裂くような漆黒の竜巻を蹴り飛ばし、到達するは――フルスロットルの頭。
「フィールドオブナインだか知らねえが、オメーは所詮9人いるうちの1人ってことだろ!!」
敵の巨体を上回る高さから降下へと。
「残りの連中も俺が――俺達がぶちのめしてやるぜー!」
鋭角な鋭い蹴りがガロウから放たれ、フルスロットルの脳天が直線的に流れた。大地へと蹴り落す剛剣の如き蹴撃。
「ガアッ!!」
フルスロットルの巨体が転がり大地が震動する。
鎧から滲み出るかのようなストームの残滓が、フルスロットルを骸の海へと招くように纏わり始める。
理不尽を強いられる世界だが、それを蹴り飛ばして生きていく。
動乱の訪れをも夜の輝きにしていく。
それをできる強さが今のアポカリプスヘルにはあるのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
篝・倫太郎
しょこら
吹き飛ばされる前にこい
最後まで立ってた方が勝者なのはこれまでと同じだな
……そんなに心配するな
避難先の懐から顔を出し
鼻を鳴らすしょこらをそう窘めて
暁焔使用
飛翔能力を使って空から嵐の中へ
排出される戦車は吹き飛ばしと衝撃波を乗せた華焔刀で先制攻撃のなぎ払い
刃先返して2回攻撃の範囲攻撃
砲撃を行う隙は与えずに一気に駆ける
嵐の毒は……毒耐性で対処を
多少痺れようが壊疽しようが、死ななければなんとでもなる
内部で接近してくる敵は念動力で投げ飛ばし
華焔刀の衝撃波も併せて路を作る
本命を探すのに使えそうなら暗視と視力も駆使
敵の攻撃は見切りと残像でフェイントも交えて回避
回避不能時はオーラ防御とジャストガードで防いで
咄嗟の一撃でカウンター
一息に距離を詰めてすり抜けると同時に一撃叩き込む
狙うのは装甲の薄いと思われる箇所
この時、これまでの技能に更に部位破壊も乗せていく
終わりがあれば始まりがある
始まりを再び呼ぶ、暁の焔からの一撃だ
こいつを手土産に還って眠りな
※
真の姿モードのため
普段よりやんちゃ度減クール度増な言動
漆黒の竜巻が吹き荒れるアポカリプスヘル。
遠く届く余波にも含まれる毒風。勢いのよいストームが大地を削り、世界に確実な破滅への一歩を刻んいく。
思うように翼を動かせぬ鋭い風にラビットグリフォンが一瞬避けるようにして頭を下げる。
耳がはたりと動いた。
「しょこら、吹き飛ばされる前にこい」
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が呼べばしょこらが懐に飛び込んできた。ぼさぼさになってしまった毛を撫でつけてやる。
オブリビオン・ストームが吹き荒れる戦場はまさに世界の終焉に満ちていた。
「最後まで立ってた方が勝者なのはこれまでと同じだな」
撫でていたしょこらの頭が動いた。見上げたしょこらは鼻を鳴らしたあと、鼻先を倫太郎にくっつける。
「……そんなに心配するな」
とん、としょこらの額を指先でつつき、倫太郎がオブリビオン・ストームを見遣った。緩やかな髪が煽られなびく。
「夜陰の果て、眠りは終焉。常世を焼く焔で暁を呼べ」
時は既にこの身に宿る。暁焔が発動されれば神風の如き飛翔。
砲撃の音が轟き反射的に華焔刀を振るえば、発生した衝撃波が砲弾を弾く。叩き落とされる弾が大地に石礫を噴出させた。
次なる一閃は次弾を許さぬもの。接敵に威力の上がった一振りが戦車の装甲など無かったかのように、車体を真っ二つにした。
ぐっと迫る眼前のオブリビオン・ストームに突っこめば叩きつける風が倫太郎を巻き上げる。暴徒化したストームの中で背に迫るは滲出てくる戦車型オブリビオン群だ。
頑強な装甲に叩きつけられれば無事ではいられない。纏う神力に倫太郎は自身のオーラを馴染ませて身体を捻った。
突きにて戦車を穿ち姿勢の確保、車体に『着地』した倫太郎が刃を返してなぎ払えば衝撃波の圧がストーム内の風を一瞬相殺し、敵群を吹き飛ばした。
新たな突風が迫るまで三拍。
飛翔する倫太郎が黒風の先を読み、自身に到達するまでにもうひと払い。
押し返した漆黒の竜巻が巻き返し視界を塞ぎに掛かってくる。受けた風の毒が呼吸から肌からと侵食していく――多少の耐性がある倫太郎自身は、
(「死ななければなんとでもなる」)
そう対処した。
ただ、懐のしょこらに風が届かぬようになぎ払う手数を一つ分増やす。
夜のように視界の通らぬストーム内にて目を凝らせばチェーンソーの駆動する僅かな音が聞こえ、そこには風に吹き上がっていく炎。
見つけた、と交えに流れる朱の焔。闇にとけることのない黒の長柄がフルスロットル・ヴォーテックスを捉えた。
「来たか、猟兵!」
フルスロットルが新たな訪れに咆哮する。
既に要塞の如き堅牢な鎧に罅入った場所には靄のような漆黒が立ち上がっている。要塞を崩す足掛かりはここだ。
咄嗟に判断した倫太郎が横打ちの一閃を繰り出す――かち合うチェーンソーに刃が持っていかれるその前に、敵武器を巻き外す要領で弾いた。
倫太郎の身体ともに高じた薙刀の攻撃がフルスロットルのチェーンソーを天に向かい叩き上げる。
「何!?」
五メートルの巨体。敵の武器も合わせて大きな重量級だからこそ、物理的な阻害にフルスロットルは驚愕の表情を浮かべた。
掌で回した長柄――刃が翻ると共に繰り出された斬り上げに真の姿の膂力が乗る。
「終わりがあれば始まりがある。始まりを再び呼ぶ、暁の焔からの一撃だ」
噴出する漆黒を斬り裂き、発生する衝撃波がフルスロットルの鎧内に直接叩きこまれた。
夜を彩るは凪の焔。柄に描かれたそれが振るわれれば灼たかの舞。
「こいつを手土産に還って眠りな」
鋭風が敵身から鮮血と破壊の炎をさらっていく。
破壊したものをオブリビオンへと変貌させるオブリビオン・ストーム。
その大元が骸の海に一歩を進めた。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
★真の姿
もー…はとり君今回ずっと無茶ばっかり!
私達にも寿命あるのかな…
いつエンジンが止まるかわからないし
私だって世界の為に戦いたい
いよいよ追い詰めたよ真犯人
『白雪坂のワトソン』夏海箱音が君の相手だ!
「はとり君に気づいてもらえない」
この致命的な代償を払っている今の私は強いよ…!
名探偵属性(物理)で攻撃だ!
偽神兵器をなぎ払って飛んでくる球や戦車をホームラン!
真実の弾丸は竜巻なんか貫いて飛んでくよ
犯人に証拠品を突きつけて
喰らえ名推理カウンター!
名探偵属性は毒の嵐にも負けない
毒で死ぬ名探偵は主役になれないよ!(きり
ここにも証拠品オブリビオンが沢山
真実を掴んで…突きつけるっ!
犯人にぶん投げて気絶攻撃を放つよ
名探偵の告発は絶対当たる!
この感じ懐かしいなぁ…
隣にはとり君がいなければ
私の暴走は誰にも止められないっ!
犯人が気絶してる隙に全力で嵐を抜け
コキュートスの重量で…殴る!
君の扱いなんて鈍器で充分
はとり君をいじめるな!
君がこの戦いを忘れてしまっても
私はずっと世界を守る君を守る
『名探偵』の助手だからね!
吹き荒れる漆黒の竜巻。
「もー……はとり君、今回ずっと無茶ばっかり!」
柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)の姿を変え、戦場に降り立ったのは夏海・箱音。
ぶっきらぼうなはとりとは違って、ころころと変わる表情は心配するものから不安げなものへと変化した。
そっとコキュートスを撫でる。『誰か』に縋りたそうなその手付き。ぽつりと零れる声はやはり不安そうなもので、
「私達にも寿命あるのかな……」
戦い続けて疲弊した『身体』は嫌でも箱音を打ちのめしてくる。
敵を屠り、人々を助け、奔走してきたはとり。
隣に立って一緒に戦いたい――そんな思いがふと訪れて、箱音は頭を振った。
大地を削り破滅へと導くオブリビオン・ストーム。数年前、アポカリプスヘルをずたずたにした元凶。はとりの目を通して見てきた荒廃した世界は、理不尽や暴力に踏みつけられながらも立ち上がろうとする人たちでいっぱいだった。
雑草のように、強い者たち。
「――いつエンジンが止まるかわからないし、私だって世界の為に戦いたい」
それは箱音の願いだった。
すっかり変わってしまった世界だけれども、かつて生きてきた世界なのだから。
叩きつける強風が世界の歩みを強制的に破滅へと向かわせる。
だがそんなこと、させやしない。
オブリビオン・ストームの元凶ともいえるフルスロットル・ヴォーテックスがこの先にいる。
指先を突きつけて箱音が声を張る。
「いよいよ追い詰めたよ真犯人! 『白雪坂のワトソン』夏海箱音が君の相手だ!」
――はとり君に気づいてもらえない。
これは箱音が顕現するにあたっての代償。はとりはここに来たことも、箱音がこうやって走っていることも知ることはない。
それでも同等の力で、同じ脚で、この道を進む。目指す目的は同じもので、それは箱音にとっての救いだった。
砲撃の轟きを捉えた瞬間、砲弾の飛来。
「見えたっ!」
氷の大剣をなぎ払えば斬撃波が砲弾を押し返す。
続けて落ちてくるのは戦車型オブリビオンだ。鋼の装甲を狙い、もう一度大剣を振り被る箱音。
「私はワトソン! 証拠を揃え、検証するのも得意なんだから!」
竜巻に刹那の滞空を作るべく、戦車を名探偵属性(物理)でかっ飛ばせば敵はインフライト。
「真実の弾丸は竜巻なんか貫いて飛んでくよ」
告げて駆けて、跳んで。
ストームへ飛び込んだ箱音が即座にコキュートスを振るう。捉えたのは戦車の砲身。引っ掛けるようにして巻き外せば、戦車がぐるんと回転した。
「ここにも証拠品オブリビオンがたくさん――けど、真実は必ず掴むっ!」
滲出ようとするオブリビオンを見つければ、吹き荒れる嵐の中で刹那の盾にする。
胴を貫くような強い風は毒を含んでいる。だが、
「毒で死ぬ名探偵は主役になれないよ!」
自身を勇気づけて突き進む――ふと、猪突猛進ともいえる自身に気付き箱音が笑む。
「この感じ懐かしいなぁ……でも! 隣にはとり君がいなければ私の暴走は誰にも止められないっ!」
全力で嵐を抜けた箱音の跳躍がフルスロットルへと迫る。時空を超えたかのように到達は刹那。
五メートルもある巨人に怯むことなくコキュートスを振るった。自身も加重に乗せた上段からの一撃は重量級のもの。
「新手の猟兵め!」
フルスロットルのチェーンソーが駆動し箱音を斬り裂かんとする。大地を削ぎ裂く一刀に一度後退した箱音が再度斬りかかった。
「はとり君をいじめるな!」
コキュートスが敵脚を打つ。山をも突き崩す一撃はフルスロットルの姿勢を容易く折った。
(「君がこの戦いを忘れてしまっても、私はずっと世界を守る君を守る」)
なんてったって――彼女は『名探偵』の助手なのだから。
箱音の願いと献身が世界に刻まれてゆく。
大成功
🔵🔵🔵
藤・美雨
ここまで色々あったけど
最後にやることはお互いシンプル
いいと思う!
さあ、嵐を突っ切って行こう!
私は死者だ、生者より毒には強い
でも限度はあるだろうね
だからしっかり防護用の外套で防御だ
【毒耐性・オーラ防御】で毒は軽減出来るはず
致死毒だろうとヴォルテックエンジンを滾らせ耐えてみせよう
敵軍は逆に利用しちゃおう
数が多い分乱戦になるだろうからね
【ダッシュ】で相手を撹乱して
匕首でさくっと致命傷を与えちゃおう
そのまま相手を【怪力】で担いで盾にするよ
残酷だけど……でもあらゆる手段を使って生き延びようとするのが
ヒトの強さだと思うからね
それに瀕死の敵ならオブリビオン・ストームの識別も多少は誤魔化せないかな
あらゆる手段を使い突き進み、目指すは敵の大将の元
私は一度死んだ身だ
でもオブリビオンにはならなかった
それはこれからも、だ
だって私は「生きていたい」
未来へと突き進みたいから!
お前の考えを否定するためここまで来たんだ!
一撃でもいい
敵や嵐、あらゆるものを使って接近するよ
そして放つは【限界突破】の一撃
全力の拳を叩き込む!
レテイシャ・マグナカルタ
オレ達の世界をこんな風にしたオブリビオンストーム(以下嵐)そのものにいよいよカチコミかける時だぜ!
体に纏った魔力がある程度は毒から守ってくれるだろうが完璧じゃねぇ時間はかけられねぇな
翼で飛び魔力を推進力にUC連発で毒と嵐を吹き飛ばしながら強引に進むぜ!
途中でレイダー軍団に鎖を投げつけられて捕縛されるが、略奪(お楽しみ)しようと鼻の下伸ばして近づいてきた野郎共の顔面を、お楽しみの都合で縛れてなかった足で砕きつぶして、そのまま進行方向に蹴り飛ばして嵐の疎外をする
あ、鎖貰ってくな
ボスを見つけたら真の姿の片鱗、蒼い魔力光が竜の形を成して
脚の所が咢になりUC飛び蹴り大爆発
まだ終わらねぇ!レイダーの鎖を投げつけて絡みついて、そのまま遠心力で回りながら巻き付いてボスから離れないように食らいついて、拳、足、頭、使える部位は何でも使って攻撃し続けるぜ
「テメェが勝手に決めた終点なんざ突破してやる!オレは奪還者レテイシャ・マグナカルタ!テメェに奪われたオレ達の『未来』を奪還(か)えしてもらうぜ!!」
漆黒の竜巻が吹き荒れ、遠く届く余波にも含まれる毒風。
勢いのよいオブリビオン・ストームが大地を削り、世界に確実な破滅への一歩を刻んいく。
一気に世界を荒廃させたストームの大元が、今、目の前にいる。
「オレ達の世界をこんな風にしたオブリビオン・ストームそのものにいよいよカチコミかける時だぜ!」
レテイシャ・マグナカルタ(孤児院の長女・f25195)が胸の内に滾る想いを露わにした。
破壊の後に残された哀しみ、嘆き、苦しみ。そのひとつひとつを乗り越えてきた今日。
だが親をなくし、子をなくし、今だ悲しみの淵から動けぬものもいる。
けれども彼らが長い時を経て顔を上げた時に、明日が見えるようにしておきたい。
そのためにフルスロットル・ヴォーテックスを倒す。
掌に拳を打ちつけたレテイシャの言葉に頷くのは藤・美雨(健やか殭屍娘・f29345)であった。
「カチコミ、いいね。最後にやることはお互いシンプルだ」
殴り合いを制してこの世界を破滅から遠ざけるためにこなさなければならない数々の悪路。
しかし猟兵たちに怯む理由など無かった。
美雨が防護用の外套をしっかりと纏い、フードも被れば魔術の働きを頬に感じた。
「さあ、嵐を突っ切って行こう!」
「ああ!」
美雨がヴォルテックエンジンを駆動させ、レテイシャがドラゴニアンの翼を広げる。およそ常人には出せないスピードで二人が嵐へと向かっていく。
美雨はまず手前の戦車型オブリビオン群へと飛び込んだ。
「よっ」
膨大な電流が脚へと供給され跳躍力を高める。戦車に乗り上げては次の戦車へ。彼女を追う敵の砲身が味方戦車へとぶつかり、動きを阻害しあった。
狙い定めた戦車の砲台へ美雨が匕首を振るえば、尋常ならぬ力が上乗せられた一刀が砲台を車体から切り離す。
戦車から滑り降りた美雨は素早く戦車を抱え上げオブリビオン・ストームへと突っこんでいった。
叩きつける鋭い風も、身をさらおうとする厚みある竜巻もオブリビオンを重し兼盾にして駆けていく。
装甲が剥がれ巻き上げられていくのにも構わず、美雨は盾にする角度を変えた。中に潜んでいた人型オブリビオンが隙間から入ってきた風に叩きつけられる音がする。
(「残酷だけど……でもあらゆる手段を使って生き延びようとするのがヒトの強さだと思うからね」)
生きることを諦め、自らと共に破滅へと落とそうとするフルスロットルの言葉が脳裏に過る。
フルスロットルは言葉も存在も、この世界にとっての毒だ。
外套に施された防護の魔術が周囲の環境を読み取り、美雨の纏うオーラを環境や毒に適応させるものにしていった。
死者である美雨は呼吸をしなくても歩む力が弱まることはない。口を閉じ、毒含む空気を内部に取り込まない――他の猟兵にとって容易く不利となるものを利にする。
ヴォルテックエンジンが滾り、死者の体を前へ前へと歩ませていった。
翼を広げ、先を急ぐように飛ぶレテイシャ。
(「纏わせた魔力がある程度は毒から守ってくれるだろうが完璧じゃねぇ……時間はかけられねぇな」)
「吹き飛びやがれ!」
眼前へと迫ったストームへと叩きつけた拳は蒼の魔力を厚く纏うもの。瞬間的爆破の如き魔力の放出が漆黒の嵐を刹那的に吹き飛ばした。
その衝撃に体勢を崩すのは嵐の中にいた戦車型オブリビオンたちだ。
戦車を踏みつけ、加速の一手としたレテイシャを追う敵意。
『……!』
『!!』
中で何かを交線する声が聞こえ、砲身が一斉にレテイシャへと向けられた。発射されるのは鎖を伴う鉄球。
「なっ
……!?」
頭上を飛び越え失速した鎖がレテイシャに叩きつけられる。殴り払い、突き離そうと飛ぶようにもがけば胴に巻き付いていく。腕を封じられ、致命的ともいえる翼も囚われて飛翔能力を失ったレテイシャが落下していく――思わず出たのは舌打ちだった。
「んのヤロウ」
レテイシャとて女の身だ。オブリビオンの敵意から明らかに下に見る侮蔑めいたものを感じとり、身を捻った。落下速度に乗じた回し蹴りが接敵するオブリビオンへと放たれて、再び吹き荒れ始めた嵐に向かって蹴り飛ばす。
同時に狙った刃の如き一閃が鎖も断ち切り、レテイシャは自由の身となった。
「お、使えそうじゃねぇか。鎖、貰ってくな」
逆略奪にニッと笑み、再びレテイシャが飛翔する。
「来たか猟兵!!」
上空から飛び込んできたレテイシャを見つけ、フルスロットルが吠えた。
五メートルもある巨体が大きなチェーンソーを唸らせ振りあげる。
「これ以上の暴力も! 発展も! 歴史も! 生命の繁栄も不要! 抗う世界を憐れと思わぬのか!!」
フルスロットルの勝手な言い分にレテイシャの瞳が燃え上がった。蒼い魔力光が竜の形を成してレテイシャの全身を猛り覆う。
「ふっっざけんな! テメェが勝手に決めた終点なんざ突破してやる!」
鋭角な軌道を描いた飛び蹴りがフルスロットルの要塞の如き鎧を捉えた。
堅牢な檻を喰い破る竜の牙。叩きつける蹴りと強い踏み込み。それは噛み砕く竜のアギト。
「オレは奪還者レテイシャ・マグナカルタ! テメェに奪われたオレ達の『未来』を奪還(か)えしてもらうぜ!!」
接敵のさなか鎖を投げつけたレテイシャが翻弄するようにフルスロットルの周囲を飛ぶ。
あるべきものをあるべき場所へ。
一度は失いすっかりと変貌してしまったであろう、これからゆく時、未来。奪還者として皆のもとに還すもの。
刹那、戦車が飛来しフルスロットルの頭部にぶつけられる。
「美雨!」
鎖で拘束に動いていたレテイシャが叫んだ。凶悪なチェーンソーを鎖に絡め、大地へと叩きつける。
ストームを突破し、さらなる戦車を二投目にした美雨の肉体で電流が駆けた。迸るその跳躍に周囲の石礫が砕け砂となる。
(「私は一度死んだ身だ。でもオブリビオンにはならなかった」)
それはこれからも、だ――願いでもなく、希望でもなく、ただ現実に『美雨』は在ると信じる。
(「だって私は『生きていたい』――」)
迸るヴォルテックエンジン――魂の衝動が膂力に宿る。
「未来へと突き進みたいから! お前の考えを否定するためここまで来たんだ!」
全力で放つ拳がフルスロットルを撃ち抜けば、衝撃に炎雷。血混じりの炎が噴出し、それが敵の瓦解の合図となる。
重ねられた一撃一撃、要塞たる鎧は砕かれ、内部に到達した数多の攻撃の蓄積が一気にフルスロットルを骸の海へと引きずり落とす。
「残酷な世界に――生き、ろ、と…………残酷な者たちめ……」
世界に、猟兵に、悲観の言葉を残しフルスロットルは力尽き倒れた。
●
ここには骸の海に到達していない『生きていたい』者たちばかり。
眩しく強い願いは灼たかのような生命力となり、共鳴していく。
助け合って力を合わせて生きていく。
ふと、目と目が合ったレテイシャと美雨が互いに拳を合わせた。
贈るはフィスト・バンプ――これからの世界に健闘と祝福を。
大成功
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