アポカリプス・ランページ⑯〜エターナル・フォース
「連日の戦闘、お疲れ様。早速だけど『フィールド・オブ・ナイン』が姿を現したわ」
倒してきてくれる? と言いかねない調子で、狐裘・爛(榾火・f33271)がブリーフィングルームで説明をしている。集まった猟兵に感謝を伝えると、しかし緊張した面持ちは崩さない。有り体に言えば「怖がっている」ように見える。
かつてオブリビオン・ストームをもたらし文明社会を破壊したオブリビオン・フォーミュラたち、『フィールド・オブ・ナイン』。たしかにその脅威は猟兵をして恐怖に陥れる。しかし、理由はそれだけではないようだ。
件のオブリビオン「マザー・コンピュータ」はあらゆる物質・概念を「機械化」する能力を持つ。文字通り「全て」が効果の範囲内にあり、周到な彼女はあろうことか予知した猟兵と参加した猟兵の双方に罠を仕掛けている。
「増殖無限戦闘機械都市、と私たちは名付けたわ。デトロイトの都市全てを戦闘機械獣として使役するみたい」
この超巨大な機械都市の内部へ、予知した猟兵は閉じ込められてしまう。大地、水辺、空、建造物、あらゆるものが機械獣として襲いかかる中で、しかもマザー・コンピュータも相手取らなければならない。
「正直、強敵ね。協力してもらわないと、今回ばかりはお手上げかも」
増殖無限戦闘機械都市による、グリモア必殺計画。
猟兵たちの弱点を狙った戦略は、事実上先制攻撃を喰らっているに近い。あるいはオーバーロードに至った猟兵をその目で確かめようとしているのか。
「機械兵器群を無限に創造し、高速飛行する能力。都市に騎乗し、自身の戦闘力を底上げする能力。地面から対猟兵戦闘機械を召喚する能力。いずれも物量、質……マザー自体も対策が必至ね」
それでも、マザーが目論む野望を阻止し、この戦争を無事に集結に導くために、戦うことが必要だ。
ポイントはグリモア猟兵を守り切ること。そして、マザーの機械戦術にいかに対応するか。
「ちなみに! ちなみにね! 私の出来ることは――」
張り切って熱弁をしているが、聞き流してよいだろう。ハッキリ言えばグリモア猟兵に戦わせるのは下策である。まず予知した猟兵が彼女である以上、彼女の死は以降この件への介入が不可能になることを意味する。さらに、転移ができなくなるため、全滅のリスクも負うことになる。
「じゃあ出発しましょ。綺麗に勝ちを収めて、一緒に帰るんだから」
相応のリスクを背負うが、『フィールド・オブ・ナイン』の一角を落とすチャンスでもある。虎穴に入らずんば虎児を得ず。猟兵たちは決死の冒険へと飛び出すのであった――。
地属性
こちらまでお目通しくださりありがとうございます。
改めましてMSの地属性と申します。
以下はこの依頼のざっくりとした補足をして参ります。
今回は戦争、佳境の状況で超巨大コンピュータの生体コアと一本勝負です。元よりスピード攻略が提案されている戦争です。速やかに攻略して参りましょう。
※このシナリオは、『戦争シナリオ』です。
1フラグメントで完結し、『アポカリプス・ランページ』の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
続いて、戦闘について補足をば。
プレイングボーナスは『グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う。』です。グリモア猟兵は相応の戦闘能力を持ちますが、予知担当の死亡は参加猟兵が帰還する手段を失うため「全滅」=失敗に直結します。戦わせるのは得策ではありません。
では皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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――ギチギチギチ、ギリギリギギギ……!
グリモア猟兵、狐裘・爛(榾火・f33271)の体がマシンアームに持ち上げられる。両手で冷たい鋼を振り解こうとするが、それには及ばない。擦り切れた巫女服はそこかしこ血泥が滲み、瞼は切れて腫れ上がり、気道が止められて垂れた涎が鈍く光る。
融解した機械兵は数知れず、しかし一大陸のありとあらゆるものが牙を剥いた瞬間、猟兵は時として無力てある。圧倒的な物量! 圧倒的な絶望!! 視界が深紅にブラックアウトしつつ……息を吹き返して吠える。
「げほ、ごほッ。退いて! 私が死んだら、帰れない人がいるんだから……!」
燃える腕、灼ける頸、機械兵を振り切って、爛は地面へと崩れ落ちる。盛大に呼気を吐き出しながら、射抜く視線だけは、機械群へ! 闘志を失わず睨みつける。
時は無情に流れる。有象無象、押し寄せる機械兵は数多い。でも、戦う……! 猟るか、猟られるか。血で血を洗う闘争は、しかし片側には流れる血は流れていないのだが、続く。
ここからは、「果たし合い」の時間だ――!
シーザー・ゴールドマン
この戦争で確認されているフィールド・オブ・ナインの全滅も見えてきたね。たいしたものだ。
しかし、マザーか。グリモア猟兵を狙うのは理に適っているし、それを為す術も持つとは彼女もまた素晴らしいね。
敬意を以て首を刎ねてあげようじゃないか。
戦場ではグリモア猟兵の間近で『ヤーヌスの双顔』を発動して、不可視の魔力による領域を形成。
敵WIZUCにより生み出された機械は領域に入った瞬間、消滅させながらマザーに近づいていきましょう。(グリモア猟兵も一緒に。多分、他の猟兵と一緒の場所が一番安全でしょう)
マザーが領域内に入れば不可視の魔力による破壊と共にシーザー自身によるオーラセイバーの一撃が打ち込まれます。
トリテレイア・ゼロナイン
お下がり下さい、狐裘様
これより私達がマザーへ攻勢を掛けます
…私達の帰還を、どうぞよろしくお願いいたします
機械兵器の射撃攻撃からグリモア猟兵を盾受け、武器受けでかばいつつマルチセンサーでの●情報収集で敵、マザーへの位置と距離を●瞬間思考力で計測し把握
SSW出身ですので、私も最近になって知ったのですが
『地震』が起こる際に、ある種の電磁波が発生するそうですね
…つまり、こういう事も可能なわけです
用途申請、オブリビオンフォーミュラの撃破!
電脳禁忌剣を大地に突き刺しUC起動
【EMP】…電子攻撃属性の【地震】で●地形破壊し●蹂躙
(自身は電撃耐性で防御)
地面から生える戦闘機械を一網打尽にしマザーごと攻撃
リーヴァルディ・カーライル
…盛り上がっている所で悪いけど下がりなさい狐裘・爛
…片手間で戦える相手じゃないし、貴女が今為すべき事は前に出て闘う事じゃ無い
…貴女達が支援してくれるからこそ、私達は退路を気にせず戦えるのだから
左眼の聖痕に自身の魂を降霊して生命力を吸収しUC発動
第六感が捉えた敵の殺気に感応して空中機動の早業で黒刃外装を乱れ撃ち、
戦闘機械の攻撃の基点を破壊するカウンターで迎撃して自身や爛を護る
マザーの姿が見えたら黒刃外装と大鎌を合体させ武器改造した神剣をなぎ払い、
限界突破して魔力を溜め極限まで切断力を強化した時属性攻撃の斬撃波を放つ
…時間を手繰るのがお前だけの特権と思うな
さあ、過去を刻むものよ。その力を解放せよ
――急造機械軍製造工場。
この世の地獄を煮詰めたかのような、非生命の集積帯に放り込まれた猟兵たち。
「なるほど。こういった趣向か」
「閣下」
「ここまで退けたのは幸運だった。どうしたの?」
先行したシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の指示により、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)とリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が所定位置までグリモア猟兵を連れ戻した。とはいえ安息地帯はない。無生物全てが牙剥く極地。絶えず移動しつつ、マザーに接敵できる位置を探っている。撤退と索敵を兼ねた行動である。
シーザー自身は、何か感づいたように顎を下げて、どこか遠くへ視線を向けている。
「この戦争で確認されているフィールド・オブ・ナインの全滅も見えてきたね。たいしたものだ、と思っていたよ」
「……あのねぇ、それもこれもここを切り抜けないと始まらないでしょ」
グリモア猟兵狐裘・爛は、げほごほ喉を摩りながら、突っ込みを入れる。食ってかかる性分はターゲットにするにはちょうどよかっただろう。シーザーは涼しげな表情だ。四面楚歌の窮地においても冷静で、眉一つ動かしてはいない。
「…盛り上がっている所で悪いけど」
「お下がり下さい、狐裘様」
これより私達がマザーへ攻勢を掛けます、とトリテレイアが同じ方向へ向くと、リーヴァルディも同意して頷く。元より二人とも口が達者、というわけでもなければ、器用でもない。口数は少ないが、それでもはっきりと、退路を気にせず戦える感謝と、祈りとを、グリモア猟兵へと伝えた。
この場にいて危険なのは誰もが同じこと、ならば動き、足掻き、進み続ける他ない。安全圏まで脱出出来るとは到底思えないが、他の猟兵との合流を狙いつつ、少しでもマザーを削らねば。
「ハハハ。ならばこの私てずから、先陣を切ろうじゃないか。適当なところで離脱するといい」
「ならば露払いは私が。マザーに斬り込む役割は……」
「…私。あまり肩入れしたくはないけど、今回は別」
短い言葉で意志を確かめ合い、即座に行動に移す。兵は神速を貴ぶという。絶体絶命の死地においては、一分一秒の判断の遅れが取り返しのつかない事態を招く。
がしゃんと窓ガラスが割れ、どころか地面がメキメキと音を立て引き裂かれ、散乱した瓦礫やら放置された車やら何もかもが一斉に解き放たれ、猟奇的な殺戮機械として自律稼働を始める。道中何度も見た光景だが、銃器や刃物がそこかしこから迫る姿は根源的な恐怖を催す。
「アレクシア、用途倫理判定……オブリビオンフォーミュラの撃破……コード例外承認! 申請者処刑機構……解除確認」
「……聖痕解放。加減はしない」
青い閃光が迸り、瞳の歪な紫光と溶け合って破壊の黒刃外装を呼び起こす。
「回復が必要か?」
「…いい。斬り込むことだけ考えて」
銃口、切先、点滅、攻撃の兆候を見せる眼前の脅威へ向けて、リーヴァルディは次々に黒刃外装を叩き込む。視認すらしていない。その正確無比なターゲッティングは、魂を対価に燃やした成果である。
「道は見えました。あとは直進ください。不肖の騎士たる我が責において、雑兵は打ち払います」
柄を両手で持ち直すと、刀身を反転させ――勢いよく地面へ突き立てる!
電磁パルス、不可視の振動が剣を中心に巻き起こり、接地する機械群を軒並み破砕する。けたたましいほどに鳴り響くエラー音と機械ボディの砕ける音に、悲鳴混じりの苦悶を誤認する。
「こういう事も可能なわけです」
「私を見下ろすとは不敬だな」
天へ向かって意識を集中させると、ドローンのように飛行していた殺戮機械が次々に落下、否、チリと化して消えていく。濃密魔力の《ヤーヌスの双顔(デウス・アルビテル)》。存在が耐えられないものから自壊していく。
とはいえ、それで全ての、大陸上の機械を駆逐できたかといえばそうでもない。ほんの一瞬、僅かに直接叩く好機を得たに過ぎない。
「お、おおおォーッ!」
ミサイルやらレーザーやらが、一矢報いるが如くめちゃくちゃに乱射される中で、トリテレイアは決死の覚悟で盾を構え続け防御する。
「弾幕が厚いですね……っ、マザー至近距離がこれほどとは!」
「ハハハ!」
理にかなった戦術、それを実現するだけの卓越した実力。申し分ない。
距離はもう十分。一撃加えてみるとしよう。
「首を刎ねてあげようじゃないか。光の剣をくれてやる」
不可視の魔力をぶつけ、反響のあった首目掛けて横なぎに斬りつける。
「……ち。まさか、ここまでたどり着くとは」
「斬られたことにも気付かないか?」
「私の思索の邪魔になり得なければ、考慮はしません」
「それなら…これでどう…? 時間を手繰るのがお前だけの特権と思うな。さあ、過去を刻むものよ。その力を解放せよ」
シーザーの脇をすり抜けるようにして、リーヴァルディが体ごと突っ込み、軌道はそのままさらに斬撃をぶち当てる。神剣による概念破断の一撃。時属性攻撃の斬撃波が、「マザーを両断した」という結果だけを押し付ける。彼女の目には、中心線から真っ二つになっていく巨悪の姿が映った。
金色の瞳が爛々と輝き、肢体を掻き抱きながら、ぶわとオーラのようなオレンジの瘴気を噴き出して。
まるで血と涙のように頬に滴らせながら。
「手傷は負わすも健在……ですか。お二方、これ以上は」
「理論上、猟兵達の中でも神格級がいたことは算出済みです。機巧の騎士よ。想定を超えるまで何度でも、希望を求めなさい。私の思索を邪魔するならば、永劫この機械の檻の中で、戯れてあげましょう」
それはまるで、考え事の最中に自然と手遊びしてしまうような、人間的な所作で。破損したボディの修復すら億劫そうに、猟兵へ言葉をかける。
「しかし、過去を刻む、ですか。私は未来も、過去も、考えません」
「化け物め…もう一撃加える」
「引き際だというのがわからないのか?」
敵が無尽蔵に兵力を動員できる以上、この場は退いて別の猟兵にトドメを任せるのが得策だろう。代償に体をぐらつかせるリーヴァルディをトリテレイアが護りつつ、反転、撤退する。
未来に対する思索を巡らさないという思考は猟兵にとって僥倖だろう。仮にマザー・コンピュータは、思索を継続するのが困難な深手(ダメージ)を負ったとしても、その場での演算を優先させるということだ。言うなれば、自分の体力が最大値からどれだけ削られているか、ということにすら頓着しない。真理を求める時間がほしい、と彼女は言った。しかし、現在、それも連綿と連続するような歪んだ現在が、何かを蓄積するものだろうか。今の短いやり取りだけでも違和感が残る。あまりにも時空間への解釈が飛躍している。常人には理解できない感性だ。怖気を催すレベルで。
――こう判断せざるを得ない。おそらく彼女が言う「真理」とやらにたどり着くことはないだろう、カタストロフでも起きない限りは。……シーザーがそう独り言すると、トリテレイアも同意して頷いた。
「緻密、かつ合理的なようでいて、多く矛盾を孕んでいます。我々が突くべき隙は見えましたね。この情報を早く共有しなければ」
ウォーマシンならではの着眼点か、マザーの抱く狂気的な部分にいち早く気づいた彼の撤退提案は正しかった。降り掛かる猛追を迎撃し、射撃を切り払い、絡み付いてくるコードのような触手を裁断して、ぐんぐんと距離を取る。……現在の話をすれば、そう。戦いはまだ、始まったばかりだ。
大成功
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朱鷺透・小枝子
亡国の主に搭乗操縦。
RSパルスガトリングの弾幕で狐裘殿へ近付く機械兵を撃ち払い、亡国の主の体を盾にして狐裘殿を守ります。!
ご無事ですかッ!狐裘殿!!後ろへッ!
一兵士である自分よりも狐裘殿の方が大事だ!!
そして、自分は簡単に壊れる盾ではない!
【劫火殲滅舞踏】発動。無限ガトリングの貫通攻撃で兵器群へ制圧射撃。
同時にBS-B朧影のケーブルを何十本と生やし、早業ロープワーク、マザーの機動を見切り、ケーブルを次々と突き立て生命力吸収。エネルギー充填速度強化で一気に吸い上げ動きを鈍らせる!
撃て撃て撃てぇえええ!!!
吸い上げてたエネルギーを使って、呪詛ブレス攻撃の放射線で追跡なぎ払い、マザーを崩壊させる!!
ランケア・アマカ
グリモア猟兵を狙ってくるなんて、スーパー戦車の母親、今までの敵とは何もかも違いますね
…相手がどんな脅威でも、できることをやるだけです
私達を狙ってくる戦闘機械を【疾風塵】で迎撃しつつ、敵本体への攻撃の隙を窺います
爛さんをやらせるわけにはいきません、MF-L1に乗って立体的に動き回り、襲ってくるものは全て撃ち抜きましょう
出来るだけ味方と連携して、多方向からの同時攻撃にも対応できるようにしたいですね
弾切れの心配はありませんが魔力の枯渇は避けないといけませんし、敵本体を狙う好機を逃さないためにも、出力は必要充分なだけに抑えて冷静に戦闘を進めたいです
敵本体は私の能力を分析して、適切な防御機構を用意してくるだろうと思います
好機があるとすれば、こちらが消耗してきたのを見て勝負を決めるべく攻撃を仕掛けてきた瞬間です
全力の機動で射線を通し、全力の【疾風塵】を撃ち、敵の予測数値を超えてみせます
敵の思惑なんて全て吹き飛ばして、全員で帰還しましょう
リューイン・ランサード
いきなり爛さんが大ピンチです!
右手のエーテルソードと左手の流水剣に光の属性攻撃を宿しての2回攻撃・範囲攻撃・地形破壊で周囲の機械兵を粉砕し、フローティングビームシールドを爛さんの近くに滞空させて、盾受けでかばう。
しかしこの物量は普通に戦ってはじり貧なんですよね。
仕方無いので吸い込んで解決しましょう。
と流水剣をしまい、UCで左手をブラックホールに変換して『マザーと、マザーが生み出した機械全てと、その攻撃手段』を吸い込み対象に設定。
レーザーでもミサイルでも銃弾でも何でも吸い込みます。
デトロイト市くらいなら全部吸い込めるなあ。
但し油断せず、オーラ防御を纏い、第六感・瞬間思考力で状況に備えます。
嗚吼姫・ナエカ
【SPD・オーバーロード】
なんて物量だ……目に映る全部が敵ってコトか。
包囲されれば押し潰されてしまう。根比べじゃきっと勝ちの目はない。
あたしの打つべき手は、あたしに出せる最大の速さでマザー本体を叩くことだ!
覚悟を決めて『転身・雪祈化生』で、真の姿である半人半狼の成人へ変身。
グリモア猟兵の狐裘さんにはあたしにしがみ付いていてもらおう。
しっかり捕まっていて、思いっ切り無茶するから!
マザーが操る都市を本体目指して駆け登るよ!
移動方向や視線のフェイントで都市の攻撃を【おびき寄せ】ながら、護ることと包囲を突破することに専念。
【野生の勘】を研ぎ澄ませ。【覚悟】を決めろ!
逃げ場がないような攻撃の中にだって、本体へ繋がる道が見えるはずだ!
狐裘さんを守り通せるなら自分の負傷は無視だ。
マザーへ辿り着くまでに足の一本でも動いてさえいればいい。
ただ一撃だけを本体へ届かせる。これまでの加速を乗せた渾身の蹴りを叩き込んでやる!
(アレンジなど歓迎)
「ご無事ですかッ! 狐裘殿!! 後ろへッ!」
「グリモアさんだって頑張ってるんです。僕だって!」
特に機械の群れに対して有効打になり得る電磁徹甲弾。それを残弾も気にせず乱射したお陰で、負傷したグリモア猟兵を回収することができた。朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はキャバリア「亡国の主」の中でひとまず安堵する。
だが、兎にも角にもエネルギー切れが心配だ。すでに目の当たりにしているのは圧倒的な物量差。いかに多くの猟兵を動員していたとしても、これだけの数を相手に立ち回るのは、どうしても心許ない。
「この物量は普通に戦ってはじり貧なんですよね……どうしましょう? どうしたらいいんですか?」
「ええい! 落ち着くでありますっ。一兵士である自分らよりも狐裘殿の方が大事だ!! そして、我々は簡単に壊れる盾ではない!」
言葉とは裏腹に、簡単に砕けては「ならない」という使命感の方が先行している対機外通信に、リューイン・ランサード(乗り越える若龍・f13950)は総毛立つ。
それは、そうなんですが、としどろもどろになりながら、しかし、依頼で見かけたこともあるグリモア猟兵がぼろぼろになってる姿を目の当たりにして、奮起しないわけにはいかない。
「……飛んだりできませんか? 僕に考えがあるんです」
「コクピットに押し込めばできなくはない、ですが……」
……わ、私は自分の身くらい自分で守るわよ! と、グリモア猟兵狐裘・爛は胸に手を当てているが、すでにズタボロの状態でそんなことを言われてもかえって不安が募るだけだ。リューイン単独の飛翔能力でも、小枝子のキャバリアの容量的にも、どちらが飛行を担ってもリスクが大きすぎる。
時間は少ない。この瞬間にも、一度散らした追っ手が迫りつつある。選択しなくては。
その時――。
「戦力が必要ですか?」
「あたしらに任せてよ! あのマザーに一発入れてやる」
「そ、その姿は、まさか!」
姿を現したランケア・アマカ(風精銃兵・f34057)そして、嗚吼姫・ナエカ(雪狼牙忍・f26098)に、グリモア猟兵は感嘆の声をあげる。
「究極の力、『オーバーロード』!」
「そんなに驚くことなんですか?」
「あなたたちが来たら百人力よ!」
詳しくはわかりませんが、そういうことなら「魔女さんに感謝しなければなりませんね。と、ランケアは天へ向かって視線を向ける。空には肉食鳥や飛行機のような機械群が埋め尽くすほどに滑空している。生きとし生けるものを付け狙う殺戮機械。彼らが蹂躙する空を取り戻さなければ。ここは自分のよく知る世界ではないけれど、空はきっとどこかで繋がっている。なんとなくそんな気がするのだ。
ナエカはその場でぴょんぴょん跳んだり、屈伸運動をしていたが、やがておもむろに爛を背負った。普段の体躯ならいざ知らず、力を解放して励起した肉体はがっしりと大きく、有無を言わずにぎゅうとしがみついている。鮮やかな白い髪から金尾と白尾の二尾が覗く姿は、伝説の神獣の面持ちである。無茶をします、と、決意がハッキリ表情に表れていた。
「ですが、そういう時こそ冷静に事を運ばなければ。このMF-L1に乗ってください」
リューインが足早にセイルフローターに乗り込むと、彼を連れたアマカが高く飛翔していく。小枝子は追従するようにキャバリア・亡国の主を駆る。ナエカは単独行動。グリモア猟兵の護衛と、最後の一押しを担う。
「飛んだはいいですが、ど、どんどん追ってきますよ!」
「想定内です!」
体を屈め、ぐんぐんとスピードを上げていく。
その機体を掠めるように、突貫してくる機械鳥やグライダーのような飛行物。果ては刀やら触手やら、壊れた機械部品が空中で形を変えて襲いかかってくる。もはやこの空、この大地、大陸上にいる限り敵しかいないのか。ぐるぐる旋回や宙返りを繰り返しながら、巧みな運転捌きでこれを躱す!
「気流の中を飛んでると思えば、これくらい!」
潮騒のような羽音を響かせて飛び追う群れに、劫火殲滅舞踏のダンスマカブルがさらに追討する。無限ガトリングの貫通攻撃が、翼やジェット機構を破壊したのだ。
「飛び散った羽が新たな兵器に!? ならば、これでどうです!」
BS-B朧影のケーブルが伸びていくと貫通させ、その勢いのままマザーの体へ差し貫く。こういうのを百舌の早贄というのかは知らないが、やることはこうだ! パーツの断片から復元されるのであれば、断片も残らないほどに撃ち尽くす!
「撃て撃て撃てぇえええ!!!」
エネルギー吸収からの……呪詛ブレス! 歪な機械音と共に配線の焼き切れる音、ガラスの溶ける音、そして眩き閃光をその場に発して、攻撃を加える。再生速度がみるみる落ちていき、生まれる隙。
「残りは吸い込んで解決しましょう。この左手で」
屈んだ姿勢のまま右手で前髪と銀のロケットを抑えつつ、左手を船外に投げ出す。ターゲットは「マザーと、マザーが生み出した機械全てと、その攻撃手段」に設定。ユーベルコードを起動すると、凄まじい重力に船体がぐらりと傾いて。
「ブラックホールクリエイション! 吸い込んだものはどこかに行きますので大丈夫です」
大陸の大地から、浮遊するナノマシンほどの機械片まで、ぎゅんぎゅんぎゅんと吸い込んでいく。咀嚼すらしない。吸い込んだ先に何があってどうなるのかさえわからない。市全体くらいなら余裕で吸い込めるだろう。油断こそしないが、それだけの自負がある。
「この気配、ど、どうしましょう?!」
「何がです?!」
「全 方 位から攻撃が!」
ランケアはその言葉を聞いて、すっくと船上に仁王立つ。風の抵抗、流れ、迫り来る敵の速度、タイミング。多方向からの独自攻撃。空中を自在に浮遊する囮への迎撃機構。
無限に近い機械群にこちらも手一杯だ。そこにチェックメイトの一撃を加えるべく、退去して押し寄せる、誰がどう見てもの危機。
「でも射線は通っています。こと空において、私の射撃は予測を超える!」
――ジャコっ!
「私は暴風! 全て、吹き飛ばします! 《疾風塵(ダスト・リリス)》!」
塵埃の妖精がその息吹を、戦場の一陣の風として解き放つ。見えない気流と、不可測の軌道・跳弾により辺り一面、否、全球を包囲する形で、加速しながら領域に踏み込んだ敵性を射殺していく。
そして、その領域は徐々に徐々に広がっていく。バレットレインによる駆逐、ブラックホールによる掃討。
――ダンッ、ダァン!! ドギュン!!
「究極の力。私の心臓にまで、届かせるとは、抜かりました。理論を……訂正しなければ」
「やっと話ができましたね、マザー!」
「ですが、私の中枢は心臓でもなければ、頭部でもありません」
膝を抱え、ぐずりと、胸に手を当てると、跳弾を繰り返して放たれた必殺の一撃、風の弾丸を取り出して見せる。目の前でくしゃりと握りつぶすと、どこも見ていない虚ろな視線がランケアを補足した。マザーの泥濘のような声音が、空を飛ぶ彼女にもはっきり届く。
「私の計画に、狂いはありません」
「……それは、どうでしょうか?」
刹那、隙を見逃さない、忍びの眼光。
単騎駆け、雪狼牙忍――!
両手脚を使った迅速歩法で、マザーへの距離をぐんぐん詰めていく。風さえも追いつけないほどに早く、充血したように真っ赤に染まった赤い眼光は、目が一際大きくなったかのように錯覚させる。まるで彼女の中の野性が目覚めたようだ。二筋の赤い流星を戦場に残しながら、最短距離を猛進する。
「疾ィッ――!」
「小癪な真似をしますね」
逃げ場がないような攻撃の中にだって、本体へ繋がる道が見えるはずだ!
その思い切りが、覚悟が、彼女に道をもたらした。マザーまでの最短距離は妨害が多い。飛来した弾丸が、雨霰と叩き込まれる。ほとんどが爪牙に駆逐される中で、数発が肩、脇腹に命中する。血飛沫が飛び散り、ぐぶと柔らかい肉を抉って、ぼっと熱量が急上昇する。なのに当たった箇所はひたすらに冷たい。悲鳴が上がる。これは背に隠れ庇われていたグリモア猟兵のものだ。
「お、おお、おおおオッ!!」
しかし、それだけだ。筋繊維が鋼弾で引き裂かれたくらいじゃ止まらない。背中の少女も無傷だ。
――ブツッ……どすっ! ザグゥ……どぷ、ドグッドグッ……!! ぐぐぐぐ……ッ!
「あ、が……ぁああああ?!」
地面からブービートラップの要領で仕掛けられた、打ち捨てられたコードやら電線やらが機械蛇の毒牙をもって迎撃する。絡め取られ、もんどり打って転びかけたところを牙が柔肌に食い込む寸法だ。野生の獣を捕らえるにはこの手に限る。全身の痛覚だけを鋭敏にし、その分五感の働きを落とす猛毒。さらに解こうとすればより戒め、束縛は強くなり、無理に千切ろうとすれば電流が走る。
――バリリリッバチバチバチバチ……!!
「ぎあぁあッ?! でん……き……あ、ぐ、が……」
全身から黒焦げの煙をあげて、膝を突きかけて。何倍にもなった苦痛を、庇おうとしたせいでモロに受けてしまい、意識を――!
「…………チャージ、完了ぉっ! あたし、覚悟を決めろォ!」
意識を、死守する。
食らった攻撃さえエネルギーに変換して、ぼろぼろズタズタの体に鞭打って加速して。
横宙返りで一っ飛び。聳えるビルを軽々超えて。
横っ面に向かって蹴りを叩き込む――ッ!
「これが、あたしの、全力だぁああ!」
――バギャアァアあアッ!!
神獣の力を集約したドロップキックが、マザーの頬にぶち込まれる。クリーンヒット! 顔面に深々と傷痕を残し、抜けでた歯と折れた鼻のように機械片が飛び散り、気持ちのいい異音が辺りに響き渡る。
ギロリ! と、目線が射抜くように返され、しかし、矜持があるのか、苦悶ひとつ漏らさない。対して、ナエカはふわりと重力に引っ張られて。
「へへ、なんてやつ……だ、よ」
「見事な一撃でした。十分です。ここは退きます!」
力尽きたナエカを回収するように、ランケアがMF-L1を操り再飛翔。反転、マザーに対し距離を取っていく。強烈な布石を打ち込んだ。機械都市における完全無欠の必殺計画に、綻びが生まれた瞬間であった。猟兵が、人が、未来と希望を求める限り、その道は潰えない――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
「マザー、だっけ? えへ……私、母親なんて記憶ないけどさ」
うわ言のように、爛は言う。群れる機械へ向かって、言う。独り、言う。
「でも、帰る場所も仲間も友達もいるのよ。……最期のお願いなんだけど『これ』の感想、聞かせてくれる? ね、綺麗でしょ。そのデカいだけの頭で! 演算できるなら!! してみなさいよ、醜い機械ども……!」
音がする。空気の凍る音だ。自慢の黄色い髪と尾が、赤い瞳が、衣服が、痕が、血が、浮遊していた狐火までもが、すべて青く透き通るように、変じていく。爪と脚に奇妙な鎧を装着し、同時に自然と噴き出した冷気が機械兵器を舐めるように凍結させた――!
……生来の属性とは真逆の、「氷」の異能力。
暴走召喚――力の代償に、召喚先を選べない諸刃の剣。影朧や召喚獣を下僕として従えるに辺り、一般的には交渉や代償を要するが、爛は「似た精神の形」の悪魔(そんざい)を「魂の内側」へと召喚したらしい。
しかし、反撃もそこまで。
魂の摩耗に耐えかねた細い体は、やがて折れたように音もなくその場に倒れ伏して――。
四王天・焔
《狐御縁》
■心情
爛が危ない……大事な家族の為なら、焔もすぐに飛んでいくよ!
待っててね、必ず助けてあげるから。
■行動
白狐召還符(UC)を使用して戦うね。
白狐様の上から、全体を見るようにしつつ
皆のUCを敵から邪魔されない様に警戒して皆に指揮を出していくね。
「皆、頼りにしているからね!」
また、敵がデトロイト市騎乗を使用してきたら
焔の白狐騎乗で対抗し、燦姉の背中を守りつつ、立ち向かうね。
焔も【フローレ】で範囲攻撃していくよ。
「燦姉、背中は任せてね!」
ルルさんの海賊船には聖鞄を守って貰うね。
「ルルさん、シホ姉、爛をお願いするね。」
「テフラさんも、怪我しない様に頑張ってね!」
シホ・エーデルワイス
《狐御縁》
爛!
先制攻撃で爛を狙う敵を中心に
敵味方の識別をハッキングとジャミングで妨害する目潰し誘導弾を
早業で援護射撃して爛を目立たなくし
第六感と聞き耳で皆と連携し攻撃を見切りつつ
斥力結界のオーラで防御しながら
捨て身の一撃で空中ダッシュし爛を救助
爛と手を優しく繋いで落ち着かせ【祝音】で治療し『聖鞄』へ保護
大丈夫
燦もルルも焔もテフラさんも駆けつけてくれています
後は私達に任せて休んでいて
ルルの船上に陣取り
聖鞄に被弾しない様注意
内心
目前で親友を傷つけられ防げなかった自身へ静かに超絶大激怒💢
私が死んだと思った時の燦の気持ち…少しは分かるかも
私の対猟兵戦闘機械は前世で私を罵り処刑した群衆の姿
普段なら罪悪感で動けなくなるが
う・る・さ・い!
真の姿顕現
無限に延びる枷の鎖は通常幻で必要な時だけ実体化し
自動で攻撃を防御し敵を薙ぎ絡みつき締め上げ
他の敵に投げつけるか盾にする
私も聖銃で範囲氷結属性攻撃の誘導弾で燦がマザーに近づける様
援護射撃
帰還後
爛を抱きしめ涙しつつ【復世】で手当て
美意識の強い爛に傷跡は残さない
ルルチェリア・グレイブキーパー
≪狐御縁≫
遅れてごめんなさい、助けに来たわよ爛さん!
安心して、私達が絶対に守るのよ
無数の個性を持つ猟兵を倒す為の機械なんて
ピーキーな機械しか出来ないわ
私を倒す機械は皆が倒してくれる
私は皆を倒す機械を倒すだけよ!
UC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚
シホと聖鞄に入った爛さんを船に乗せて敵の攻撃から守りながら戦うわ
シホ達への攻撃はアイテム『憑装盾』で防ぐのよ
テフラさんと協力して鉄壁のガードなのよ!
二人の事は任せなさい!マザーの相手を宜しくね!
技能【集団戦術】で幽霊の子たちを指揮し銃弾砲弾で空から援護させるわ!
燦さん、焔さんを邪魔する機械は全部やっつけちゃうのよー!
テフラ・カルデラ
≪狐御縁≫
爛さん大丈夫ですか…!?
はやく目の前の敵を何とか倒さなければなのです…!
皆さん…派手に戦っておりますが、こちらはこっそりと仕掛けてみましょうか…?
UC【全てを凍てつかせる小さな妖精】やアイテム【氷結の指輪】を使って氷漬けによる足止め…
もちろんそれだけではなく、熱で溶けて氷から水になります…つまり相手は機械ですから、水によって何かしら動作不良を起こすのではないでしょうか?
燦さんの協力で水と電気によって効果は抜群なのですっ…!
あとは、敵からの飛び火を妖精さん達で凍らせて防いで、爛さんを保護しているシホさんを守ります…!
四王天・燦
《狐御縁》
爛への攻撃・拘束を断つ
治療の意思はシホらしい、爛のこと頼む!
グリモア猟兵だから護るんじゃない
爛はアタシを慕ってくれる可愛い女の子で、大事な仲間だ
痛い想いさせたくねーよ
神鳴から地を這うように電撃属性攻撃の衝撃波を飛ばして敵機を潰す
テフラの水と合わせてショートさせてやるよ
寄らばカウンターで斬る
ルルを始めとする幽霊船に乗る面子には俯瞰しての援護頼む
アタシは地上に残るぜ
焔に背中を任せた!
継戦能力と限界突破で、マザーの集中力が途切れ機械をうまく使えなくなるまで根競べだ
誰一人欠けさせねえ
ついでだ、歌姫と慕われたマザーの名誉も護ってやる
慈悲と赦しの巫女たる真の姿を顕し踏ん張るぜ
ガラスに穴が空けば、爛に似た少女の住まう朱琥珀を取り出して口づけ
力を貸してくれ、爛とアタシたち皆の現在と未来を護るんだ―ホタビのオブリビオンを超克できる可能性を見せてやれ!
フォックスファイア・蛍火式で焼くぜ
封印すりゃあ神鳴を当てて通電でマザーの命を断つよ
爛、いきなり重傷とかびびらせんじゃねーよ
帰ったらお尻ペンペンだ💢
「爛!」
「見つけた!」
二人の声が重なり、刹那、聖銃から銃弾が放たれる。認識阻害効果を持ったジャミング弾だ。次から次へと湧いて出てくる機械群には相性はよくないが、それでも白狐がたどり着くまでの時間は稼ぐことができた。
崩れ落ちる体を、既の所でシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の両腕が抱きとめる。
「待っててね、今みんなを呼んでくるから!」
「その必要はない! なぜならアタシが来た!」
「遅れてごめんなさい、助けに来たわよ」
「爛さん大丈夫ですか…!?」
再び駆け出そうとした四王天・焔(妖の薔薇・f04438)の前に、ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)、四王天・燦(月夜の翼・f04448)が合流する。
三人ともめいめいに声をかけると、安心しきったのか張り詰めた緊張の糸が切れたのか、がっくりと項垂れた。
「治療は頼む。……シホ?」
「爛! 大丈夫。落ち着いて」
「シホ! お前が落ち着けって」
ぎゅうと手を握っていたシホの頭を、ぽんぽんと撫でつける。断続的に続く機械群の攻撃を弾きながら、燦の調子はあくまで「いつも通り」。最愛の存在も「自身を慕ってくれる可愛い女の子で、大事な仲間」も目の前で傷つけられるのは我慢ならない。もっとも傷は生々しく、何よりシホの様子は(燦にしかわからないが)痛ましくあったが。
マザーは可愛い女の子だから手を上げられないな、といつもの調子で茶化しているが、瞳の奥が笑っていない。
「皆さん、ここからは事前の打ち合わせ通り、分かれて行動しましょう」
「うん。『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』、出番よ!」
楽しげな掛け声と共に機械兵器を塵芥のように踏み潰しながら、《お子様幽霊たちの海賊団》が着港する。出し惜しみはしない。カルバリン砲とラッパ銃で重武装した幽霊達が忙しなく動き回る海賊船に、シホと爛を船上に押し込むと、すぐにでも空へ向けて飛び出す準備は万端だ。
「ルルさん、シホ姉、爛をお願いするね。燦姉の背中は私が守るよ」
「いってらっしゃい。ここは私たちのチームプレイの見せ所なのよ。ピーキーな機械に囲まれた孤独な奴に負けるわけがないわ! マザーの相手を宜しくね!」
「皆、頼りにしているからね!」
えへんと鼻を擦るルルチェリアの言葉に、シホは一層表情を険しくする。それだけフィールド・オブ・ナインの一角である「マザー・コンピュータ」への怒りを募らせている、ということだろう。気圧されていては勝てない難敵であるのは間違いない。無敵の理論武装をする彼女の計算を狂わせる「究極の力」オーバーロード。その覚醒が、事態を進展させるに相違ない。
一方、同じ力に目覚めた燦は、援護頼むぜ、といつもの調子。尾を花のように広げた巫女衣装に身を包んだ彼女は、不敵な笑みを崩さず、黙っていれば内心を悟らせない。
――ズゴゴゴ……ズン! メキメキメキメキッ!!
「わわ、なんですか!?」
「前方から大群! 皆の邪魔はさせないよ。短期決戦! 燦姉、背中は任せてね!」
絶望が形を成したかのような機械の群れに対し、白狐の鋭牙での噛みつきを敢行しながら、焔が振り返る。大切な家族を誰もこれ以上傷つけられたくない。その一心で彼女は前線に飛び出しての指揮を買って出たのだ。焔の決死の行動が、グリモア猟兵の発見と、反撃の機会を得る好機を生んだ。
その好機を最大限に生かすのが、チームワークだ。テフラが手を天に掲げると、それに応じるように《全てを凍てつかせる小さな妖精》が現出する。レーダーの探知に捕まることなく、押し寄せる機械たちを次々と凍らせていく。
「テフラさんも、怪我しない様に頑張ってね!」
「はい! 今回は加減なしでいいですよ。フラグじゃないですからね。では、みーんな凍らせてください……うわぁ!?」
とはいえ其れはあくまで「悪戯妖精」。呼び出したテフラさえも悪魔めいた微笑と共に凍りつかせていく。
瞬く間に微動だにしない氷像と化しながら、それでも五感を共有した妖精への指示は欠かさない。指先が悴む、目が霞む。一目には単なる彫像に過ぎないが、彼の(凍結した)驚愕の表情は、狙いを悟らせない幸運を生んだ。
テフラを中心に据えて、輪のように凍結の結界が広がっていく。不可視の触れた指先、放たれた吐息が、熱駆動し焼きつく機械を氷結させた。あとは白狐様の爪牙でも、騎乗のドラゴンランス「フローレ」にでも、選択権のある餌食である。
「ここは任せる!」
「燦姉!」
「誰一人欠けさせねえ。そのためならアタシは、行くぜ」
燃える決心を止める手段を、焔は持たない。今までだって何度も危険な死地に飛び込んできた。今回だって同じことだ。同じように、笑って送り出せばいい。
五感を同じくする小さな妖精も笑っている。ハイタッチは流石にできないけれど、思いは同じらしい。
「退け退け、アタシのお通りだ! 寄らば斬る、ってな」
駆け出す燦の頭上を、援護するように神聖ロイヤル・ルルチェリア号が飛翔する。
グリモア猟兵を『聖鞄』の内に収めたシホに後顧の憂はない。天蓋を覆うほどの飽和攻撃、遠隔からの射撃をものともせず、ぐんぐんと猛進していく。
「燦さん、焔さんを邪魔する機械は全部やっつけちゃうのよー!」
耳をぴこぴこ動かして、ルルチェリアは見得を切る。墓守の一人として、静謐に眠る存在を目覚めさせるものは誰であろうと近づけさせない。そんな気迫と決心が言葉の端端から滲み出ている。
黒い衣装が、戦地を吹き抜ける一陣の風ではためく。手を掲げると、風中を泳ぐように「憑装盾《ゴーストキッズシールド》」が船上に次々と現出した。さながらエアバッグの如く波寄せる衝撃を吸収しながら、敵の群れへと突っ込んでいく。
「ヨーソロー!」
――バキバキバキ……メキバキッ!!
「まだまだ行くのよ! 全速前進!」
破砕音を心地よく響かせて、荒波を行くが如く空を邁進する。
轟音と暴風と、振動。砲火の雨嵐に晒されながら、ぎゅうと胸の前に手を握っていたシホは、カッと目を見開いた。肉体に戒めの手枷足枷が巻き付き、首にも同じ輪が巻きついていく。……これは罰だ。目前で親友を傷つけられ防げなかった自身への。ならば、内に燃える炎は何だ? 燻り続けるこのやり切れない思いは、何だ……?
「シホ! 危ない!」
幸運にも衝撃を逃れ、乗船してくる機械兵器たち。その姿はどことなく、ヒトガタの、何の変哲もないロボットに見える。しかしセンサーのような目は血走った赤い眼光めいて輝いて、まるでシホを糾弾するかのように訴えかける。
制止するまもなくシホに組みつくと、膝をついて祈るシホの前髪を掴んで鉄拳を打ちつけた。ぐらりと揺れる体に、したたかな膝打ちで追撃する。
――ゴッ、ボゴッ!!
「……」
シホの表情は、閉目して穏やかそのものだ。痛みもなければ傷もない。かえって殴りつけた機械の腕や足が損傷するかのような強固な守りが、加護が、彼女を守っている。機械たちは異音を響かせる。その過ちを、計算の狂いを正すべく大挙して――!
「う・る・さ・い!」
――吹き飛ばされた。
ズガン、と船外に放り出されながら、しがみつく機械の一部を咎人殺しの枷が絡めとる。今までこんなものに脅されて罪悪感に苛められていたのが信じられないくらいの、強い決心と怒りを以って、迫る敵を悉く薙ぎ払っていく。もっと燃えろ、さらに滅ぼせ。内なる破壊の衝動が、死んだ瞳のシホに生気と、エネルギーを与える。
これは怒りだ。指摘された通りだ。しかしマザーにではない。
自分は親友を傷つけられた。それも、目の前で。その己への怒りなのだ。
「安らかな眠りを得られるとは、思わないことです」
聖銃を取り出し乱射。さらに、絡め取った鎖を振り回して、同士討ちを誘う。土足で踏み込んでくる機械たちに、一切の容赦はしない。
早く治療をしなければ、美意識の強い彼女と共に、あるべき場所に帰らなければ。
その一心で、シホは鎖を振り回す。結界のように張り巡らされた黒鎖は、機械たちの増援を一手に引き受けて。
「来たぜ」
痺れただろ? と、神鳴を肩に置いて、不敵に笑う。シホの援護射撃、テフラの妖精のカバーにより水浸しになった戦場に、雷はよく通る。空を駆ける雷霆の如く進撃した燦は、マザーと面通しした。
「私とした事が、これほどの接近を許すとは。ですが約十秒後には解決する些事です」
「そっか。こちとら一時間でも一日でも、根比べする準備があったんだけどな」
歌姫と慕われたマザー、その名誉は世が世なら誇られるべきものであったろう。仕草をまねるほどには、好意的な感触を抱いていたことも、内心否定はしない。今の形だって嫌えるものでもないのだ。オブリビオンはオブリビオンのまま、その時間を凍らせて現在の形で永らえ続ける。そんな道があったっていい、と個人的には思っている。
ガラスの障壁をこじ開けると、燦は懐から取り出した「朱琥珀」に口付けした。他人から見れば単なる術の媒介に過ぎないそれを愛おしげに眺めると、呼応するように香ばしい匂いを漂わせる。
封印するつもり? ふふ、ふふっ! たしかに「硝子の箱」よりは居心地がいいかもね――
「そういうことさ。爛とアタシたち皆の現在と未来を護るんだ―ホタビのオブリビオンを超克できる可能性を見せてやれ!」
「……猟兵。それは永遠をも、超える力、ということですか。永久に続く現在」
「原罪? あー知らないのか。『愛は不滅』って言うんだぜ」
魂の燃焼に時間は数秒といらない。驚くほどあっさりと、マザーはその炎を受け入れた。元より現在の思索に耽る環境があれば、彼女のあり方はどこにあろうと構わないのだ。
ならば、今すぐその存在を終わらせる必要もないのかもしれない。夕焼けのような飴色の魔炎で燻しながら、かつて母と呼ばれ、歌姫と慕われ、今は赤子のようにトロ火に微睡む存在を、しっかり封印する。――命を断つのは……いつでもいいだろう。彼女の存在が燦の夢に役立つ可能性を、燦自身が捨て切れなかった。
「じゃあ帰るとするか」
――ホント、いきなり重傷とかびびらせんじゃねーよ。帰ったらお尻ペンペンだ、なんて軽口を叩いて、消えぬ炎を新たに傍で揺蕩わせながら、月夜の翼は機械都市を我が物のように。
必殺の策は潰え、希望が光ともに舞って。
成功
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